(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】磁気シールドパネル
(51)【国際特許分類】
H05K 9/00 20060101AFI20231211BHJP
【FI】
H05K9/00 H
(21)【出願番号】P 2020049417
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2022-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤田 知大
(72)【発明者】
【氏名】永田 洋一郎
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】小縣 剛士
(72)【発明者】
【氏名】野口 茂
(72)【発明者】
【氏名】船山 智
(72)【発明者】
【氏名】林 雄介
(72)【発明者】
【氏名】野月 雄太
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-195410(JP,A)
【文献】特開2003-142873(JP,A)
【文献】特開平10-051176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁鋼板と、前記電磁鋼板に対し厚さ方向に接触又は近接して前記電磁鋼板の面方向へ延設された補強部材とを一体的に具備し
、
前記補強部材には、前記電磁鋼板の少なくとも一方の面に接触又は近接して該面を覆う外板と、前記電磁鋼板の少なくとも一方の面に接触又は近接して該面の連続する方向へ長尺状に延設されるとともにその延設方向に交差する方向に間隔を置いた複数の骨材とが含まれ、
前記外板と前記骨材の間に前記電磁鋼板が挟持されていることを特徴とする磁気シールドパネル。
【請求項2】
電磁鋼板と、前記電磁鋼板に対し厚さ方向に接触又は近接して前記電磁鋼板の面方向へ延設された補強部材とを一体的に具備し、
前記補強部材には、前記電磁鋼板の少なくとも一方の面に接触又は近接して該面を覆う外板と、前記電磁鋼板の少なくとも一方の面に接触又は近接して該面の連続する方向へ長尺状に延設されるとともにその延設方向に交差する方向に間隔を置いた複数の骨材とが含まれ、
前記外板は、前記電磁鋼板および複数の前記骨材をパネル厚方向に挟むようにして表裏両面に設けられていることを特徴とする磁気シールドパネル。
【請求項3】
前記外板は、前記電磁鋼板および複数の前記骨材をパネル厚方向に挟むようにして表裏両面に設けられていることを特徴とする請求項
1記載の磁気シールドパネル。
【請求項4】
前記補強部材には、中空部を多数有する軟質の芯材が含まれることを特徴とする請求項1~
3何れか1項記載の磁気シールドパネル。
【請求項5】
前記電磁鋼板が複数枚重ね合わせられ、これら複数枚の電磁鋼板は、隣接する電磁鋼板間に接着材を介在していないことを特徴とする請求項1~
4何れか1項記載の磁気シールドパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気を遮断するのに用いられる磁気シールドパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、MRI(磁気共鳴画像診断装置)等、強大な磁気を発生する装置が開発されている。そして、これら装置から発生する磁気を、吸収・遮断するためには、モーターやトランス等を構成する電磁鋼板が用いられる場合がある。
例えば、特許文献1に記載の発明は、方向性電磁鋼板と無方向性電磁鋼板を積層してなる複合鋼板により、磁気シールド効果に加えて、電磁波シールド効果も具備しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般的に用いられる電磁鋼板は、鉄損(渦電流損)を極力低くするために、板厚を例えば1mm以下等、非常に薄くしている。このため、一般的な電磁鋼板は、撓み易く扱いが困難であり、広範囲に設置するには工夫を要する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
電磁鋼板と、前記電磁鋼板に対し厚さ方向に接触又は近接して前記電磁鋼板の面方向へ延設された補強部材とを一体的に具備し、前記補強部材には、前記電磁鋼板の少なくとも一方の面に接触又は近接して該面を覆う外板と、前記電磁鋼板の少なくとも一方の面に接触又は近接して該面の連続する方向へ長尺状に延設されるとともにその延設方向に交差する方向に間隔を置いた複数の骨材とが含まれ、前記外板と前記骨材の間に前記電磁鋼板が挟持されていることを特徴とする磁気シールドパネル。
また、本発明は、以下の構成を具備するものである。
電磁鋼板と、前記電磁鋼板に対し厚さ方向に接触又は近接して前記電磁鋼板の面方向へ延設された補強部材とを一体的に具備し、前記補強部材には、前記電磁鋼板の少なくとも一方の面に接触又は近接して該面を覆う外板と、前記電磁鋼板の少なくとも一方の面に接触又は近接して該面の連続する方向へ長尺状に延設されるとともにその延設方向に交差する方向に間隔を置いた複数の骨材とが含まれ、前記外板は、前記電磁鋼板および複数の前記骨材をパネル厚方向に挟むようにして表裏両面に設けられていることを特徴とする磁気シールドパネル。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、撓みを生じ難く施工性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る磁気シールドパネルの一例を示す斜視図である。
【
図2】同磁気シールドパネルを示し、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。
【
図3】本発明に係る磁気シールドパネルの他例を示し、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。
【
図4】本発明に係る磁気シールドパネルの他例を示し、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。
【
図5】本発明に係る磁気シールドパネルの他例を示し、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。
【
図6】本発明に係る磁気シールドパネルの他例を示し、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。
【
図7】本発明に係る磁気シールドパネルの他例を示し、(a)は横断面図、(b)は縦断面図である。
【
図8】本発明に係る磁気シールドパネルの他例を示す横断面図である。
【
図9】本発明に係る磁気シールドパネルの他例を示す横断面図である。
【
図10】本発明に係る磁気シールドパネルの他例を示す横断面図である。
【
図11】本発明に係る磁気シールドパネルの他例を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第一の特徴は、電磁鋼板と、前記電磁鋼板に対し厚さ方向に接触又は近接して前記電磁鋼板の面方向へ延設された補強部材とを一体的に具備している(
図1~
図11参照)。
【0009】
第二の特徴として、前記補強部材には、前記電磁鋼板の少なくとも一方の面に接触又は近接して該面を覆う外板が含まれる(
図1~
図5、
図7~
図9参照)。
【0010】
第三の特徴として、前記補強部材には、前記電磁鋼板の少なくとも一方の面に接触又は近接して該面の連続する方向へ長尺状に延設されるとともにその延設方向に交差する方向に間隔を置いた複数の骨材が含まれる(
図2~
図5、
図7参照)。
【0011】
第四の特徴は、前記外板と前記骨材の間に前記電磁鋼板が挟持されている(
図2~
図5、
図7参照)。
【0012】
第五の特徴として、前記外板は、前記電磁鋼板および複数の前記骨材をパネル厚方向に挟むようにして表裏両面に設けられている(
図2~
図5参照)。
この構成には、前記電磁鋼板および複数の前記骨材をパネル厚方向に挟むようにしてパネル厚方向の表側と裏側にそれぞれ一枚ずつ外板を設けた態様や、前記表側と前記裏側の外板のうちの一方又は双方を、左右や上下等に並設される複数枚の外板により構成した態様等とすることが可能である。
【0013】
第六の特徴は、内部空間を間に確保してパネル厚方向の両側に配設された外板を備え、前記電磁鋼板が、前記外板から離れて前記内部空間に設けられ、前記補強部材は、前記内部空間にて前記外板に接続されるとともに前記電磁鋼板を支持している(
図6参照)。
【0014】
第七の特徴として、前記補強部材には、前記電磁鋼板をその端部側に凹凸状に嵌り合って支持する嵌合支持部材が含まれる(
図6参照)。
【0015】
第八の特徴として、前記補強部材には、前記内部空間の中央寄りで前記電磁鋼板を厚さ方向の両側から挟むように支持する挟持支持部材が含まれる(
図6参照)。
【0016】
第九の特徴は、前記電磁鋼板を覆う外板を前記補強部材として備え、前記外板は、前記電磁鋼板の一方の面に接触又は近接してパネル幅方向へ延設されるとともに、パネル幅方向の一端側にて前記電磁鋼板の端部側を凹状に囲む(
図8,
図9参照)。
【0017】
第十の特徴は、前記電磁鋼板を覆う外板を前記補強部材として備え、前記外板は、パネル幅方向の一端側の外面を凸状に形成するとともに、その他端側の外面を前記凸状の部分に嵌り合う凹状に形成し、前記凸状の部分の内側に前記電磁鋼板の一端側を嵌め合わせている(
図8,
図9参照)。
【0018】
第十一の特徴として、前記補強部材には、中空部を多数有する軟質の芯材が含まれる(
図5,
図8~
図9参照)。
【0019】
第十二の特徴として、前記補強部材は、中空部を多数有する軟質の芯材であり、前記電磁鋼板を厚さ方向に挟むようにして両側に設けられている(
図10参照)。
【0020】
第十三の特徴は、前記両側の補強部材を覆うようにして、硬質材料からなる外板を設けた(
図10参照)。
【0021】
第十四の特徴として、前記補強部材は、中空部を多数有する軟質の芯材であって前記電磁鋼板の面方向へわたって設けられ、前記電磁鋼板は、前記芯材をパネル厚さ方向に挟むようにして両側に設けられている(
図11参照)。
【0022】
第十五の特徴として、前記電磁鋼板は、前記芯材に対しパネル厚方向に接触又は近接してパネル厚方向に対する交差方向へ延設された平板部と、該平板部の端部からパネル厚方向へ突出して前記芯材の端部を覆う曲片部とを有する(
図11参照)。
【0023】
第十六の特徴は、前記電磁鋼板が複数枚重ね合わせられ、これら複数枚の電磁鋼板は、隣接する電磁鋼板間に接着材を介在していない(
図2~
図9参照)。
【0024】
なお、本明細書中、「パネル厚方向」とは、本発明に係る磁気シールドパネル又は電磁鋼板の厚み方向を意味する。
また、「パネル幅方向」とは、パネル厚方向に交差する方向であって、本発明に係る磁気シールドパネル又は電磁鋼板の横幅方向を意味する。
また、「面方向」とは、本発明に係る磁気シールドパネル又は電磁鋼板の表面又は裏面が連続する方向を意味する。
【0025】
<第1の実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る磁気シールドパネルの一例を示す。
【0026】
この磁気シールドパネルAは、複数枚(図示例によれば3枚)重ね合わせられた平板状の電磁鋼板10と、電磁鋼板10の一方側の面に接触又は近接してその面方向へ延設された外板21(補強部材)と、電磁鋼板10の他方側の面に接触又は近接して該面の連続する方向へ長尺状に延設されるとともにその延設方向に略直交する方向(図示例によれば横幅方向)に間隔を置いた複数の骨材23(補強部材)と、これら骨材23を前記他方側から覆うようにして外板21に接続された外板22とを一体的に具備している。
【0027】
複数枚の電磁鋼板10のうち、隣接する電磁鋼板10,10間は、接着材(両面テープや粘着テープ、接着剤を含む)を介在することなく、略接触するように重ね合わせられる。そして、これら複数枚の電磁鋼板10は、複数の骨材23と外板21によって挟持されることで、前記重ね合わせ状態を保持している。
【0028】
すなわち、仮に隣接する電磁鋼板10,10間を接着材等により接着した場合には、接着成分等の揮発により電磁鋼板10,10間が部分的に膨らむようにして剥離するおそれがあるが、本実施の形態の好ましい一例によれば、前記構成により、隣接する電磁鋼板10,10間に接着材等を有さなないため、電磁鋼板10,10間の剥離を防ぐことができる。
【0029】
各電磁鋼板10は、透磁率が高く鉄損の小さい強磁性体を、厚さ0.1mm~1.0mm程度の薄肉の矩形板状に加工した電磁鋼板である
この電磁鋼板10の材質は、例えば鉄にケイ素を添加してなるケイ素鋼板や、コバルト、ニッケルなどを成分に含む鋼板等とすることが可能である。
【0030】
なお、この電磁鋼板10の他例としては、方向性電磁鋼板のみからなる鋼板や、方向性電磁鋼板と無方向性電磁鋼板を積層してなる複合鋼板等を用いることも可能である。
【0031】
一方の外板21は、矩形板状の平板部21aと、この平板部21aの四辺側でそれぞれパネル厚方向へ曲げられて他方の外板22側へ延設された曲片部21bとを一体に備え、電磁鋼板10を補強する補強部材として機能する。
この外板21は、電磁鋼板10よりも厚みの大きい圧延鋼板である。この外板21の厚みは、本実施の形態の一例によればt1.6mmである。
この外板21の材質は、適宜な強度を有する硬質材料であればよく、アルミニウム合金や、ステンレス、その他の金属材料、硬質合成樹脂等とすることも可能である。
【0032】
平板部21aは、その内面を、電磁鋼板10の外側の面に対し、接触又は近接させて、パネル幅方向及び上下方向へ延設されている。
【0033】
四辺側の曲片部21bは、複数の電磁鋼板10の周縁(四辺)を囲むように配設される。そして、各曲片部21bの内面は、前記周縁に接触又は近接する。
【0034】
他方の外板22は、外板21と同一の部材をパネル厚方向に対称に用いたものであり、外板21と同様にして、平板部22a及び複数の曲片部22bを有する。
【0035】
外板21と外板22は、曲片部21b,22bの突端同士を突き合わせるようにして、パネル厚方向に接続され、電磁鋼板10および複数の骨材23をパネル厚方向に挟む。
【0036】
骨材23は、電磁鋼板10に対しパネル厚方向に接触又は近接するとともに面方向に延設されて、該電磁鋼板10を補強する補強部材として機能する。
この骨材23には、電磁鋼板10に沿って上下方向へ延設された縦骨材23aと、電磁鋼板10に沿ってパネル幅方向へ延設された横骨材23bとを含む。
各骨材23(換言すれば、縦骨材23aと横骨材23bの各々)の厚さは、電磁鋼板10の厚さよりも大きく、本実施の形態の一例によれば、外板21,22と同等の厚み(t1.6mm)に設定される。
この骨材23の材質は、適宜な強度を有する硬質材料であればよく、アルミニウム合金や、ステンレス、その他の金属材料、硬質合成樹脂、セラミック、カーボンファイバー等とすることも可能である。
なお、図示例以外の他例としては、骨材23の厚みを外板21,22の厚みよりも大きくして、より頑強な構造にすることが可能である。
【0037】
縦骨材23aは、外板21,22内において上下方向へ延設され、パネル幅方向に間隔を置いて複数(図示例によれば4つ)設けられる(
図2(a)参照)。
複数の縦骨材23aの上端部と下端部は、それぞれ、外板21,22の曲片部21b,22bとの間に隙間を有する。この隙間には、横骨材23bが配設される(
図2(b)参照)。
【0038】
各縦骨材23aは、底片部23a1と、この底片部23a1におけるパネル厚方向の両端側から略直角に立ち上がった曲片部23a2とを有する溝形鋼状の部材である。
【0039】
複数の縦骨材23aのうち、パネル幅方向の両端側に位置する縦骨材23aは、それぞれ、底片部23a1を、表裏側の外板21,22の曲片部21b,22bに重ね合わせ、これらを厚み方向へ貫通する止着具(例えば、ネジやボルト、リベット、ステープル等)によって外板21,22に止着固定される。
各縦骨材23aにおける一方の曲片部23a2は、外板22の内面に対し接着され、他方の曲片部23a2は、電磁鋼板10の内面に接触又は近接する。前記接着は、接着材(接着剤や、両面テープ、粘着テープを含む)を用いた接着や、溶接等とすることが可能である。
【0040】
複数の縦骨材23aのうち、パネル幅方向の両端側の縦骨材23a,23aの内側に位置する縦骨材23aは、その一方の曲片部23a2が、外板22の内面に対し、両面テープを用いて接着される。この接着は、接着剤や粘着テープを用いた接着や、溶接等とすることも可能である。また、他方の曲片部23a2は、電磁鋼板10の内面に重ね合わせられる。
そして、前記他方の曲片部23a2、電磁鋼板10、平板部21aは、これらを厚み方向へ貫通する止着具(例えば、ネジや、ボルトとナット、リベット、ステープル等)によって締め付けられ固定される。
【0041】
各横骨材23bは、縦骨材23aと同様に、底片部23b1と、この底片部23b1の両端側の曲片部23b2とを有する溝形鋼状の部材である。
この横骨材23bは、表裏側の外板21,22内において、上端側と下端側にそれぞれ寄せられている。(
図2(b)参照)。
詳細に説明すれば、上側の横骨材23bは、縦骨材23aの上端部よりも上側に位置し、底片部23b1を、外板21,22の曲片部21b,22bに重ね合わせ、これらを厚み方向へ貫通する止着具(例えば、ネジや、ボルトとナット、リベット、ステープル等)によって外板21,22に止着固定される。
そして、この横骨材23bは、その一方の曲片部23b2が、外板22の内面に対し接着され、他方の曲片部23b2が、電磁鋼板10の内面に接触又は近接する。前記接着は、接着材(接着剤や、両面テープ、粘着テープを含む)を用いた接着や、溶接等とすることが可能である。
【0042】
下側の横骨材23bも、上側の縦骨材23aと同様に、縦骨材23aの下端部よりも下側に位置し、底片部23b1を、外板21,22の曲片部21b,22bに重ね合わせ、これらを厚み方向へ貫通する止着具(例えば、ネジや、ボルトとナット、リベット、ステープル等)によって外板21,22に止着固定される(
図2(b)参照)。
そして、この横骨材23bも、その一方の曲片部23b2が、外板22の内面に対し接着され、他方の曲片部23b2が、電磁鋼板10の内面に接触又は近接する。
【0043】
上記構成の磁気シールドパネルAによれば、薄肉の電磁鋼板10が撓んだりばたついたりすることがなく、軽量で施工性に優れている。
この磁気シールドパネルAは、パネル厚方向において電磁鋼板10側を磁気発生源へ向けるようにして、磁気発生源の周囲等に設置される。
詳細に説明すれば、磁気シールドパネルAは、パネル幅方向へ複数並設され、必要に応じてパネル厚方向にも重ね合わせられる。
これら磁気シールドパネルAによれば、磁気発生源から発せられる磁気が、その周囲の物体(例えば、人体や医療機器、電子機器等)に及ぼす影響を軽減することができる。
【0044】
前記磁気発生源としては、医療用MRI(磁気共鳴画像診断装置)、各種産業機器(電子顕微鏡、半導体製造設備、研究施設等)、変圧設備、電力ケーブル等が想定される。
【0045】
<第2の実施態様>
次に、本発明に係る磁気シールドパネルの他例について説明する。
なお、以下に説明する磁気シールドパネルは、上記構成の磁気シールドパネルAについて、その一部を変更したものであるため、主に変更部分について詳述し、略同様の構成は同一の符号を付けて詳細な説明を省略する。
【0046】
図3に示す磁気シールドパネルBは、上記構成の磁気シールドパネルAにおいて、表裏側の外板21,22を、外板21’,22’に置換し、横骨材23bを省いたものである。
【0047】
表側の外板21’は、上記外板21の形状を変更したものであり、矩形板状の平板部21a’と、この平板部21a’の四辺側でそれぞれパネル厚方向へ曲げられた曲片部21b’とを一体に有する。この外板21’は、電磁鋼板10を補強する補強部材として機能する。
【0048】
パネル幅方向において、その一方(例えば、
図3(a)の右側)の曲片部21b’は、外板22’側へ延設されて、その延設方向の突端部を、外板22’の内面に近接又は接触させ、その延設部分の内面には、最も前記一方寄りに位置する縦骨材23aの底片部23a1が接触する。
同様に、他方(
図3(a)によれば左側)の曲片部21b’は、外板22’側へ延設されて、その延設方向の突端部を、外板22’の内面に近接又は接触させ、その延設部分の内面が、最も前記他方寄りに位置する縦骨材23aの底片部23a1に接触する。
【0049】
裏側の外板22’は、外板21’と略同様の形状を呈し、矩形板状の平板部22a’と、この平板部21a’の四辺側でそれぞれパネル厚方向へ曲げられた曲片部22b’とを一体に有する。
【0050】
パネル幅方向において、その一方(例えば、
図3(a)の右側)の曲片部22b’は、外板21’側へ延設されて、その延設部分の内面を、外板21’の一方の曲片部21b’外面に接触させる。
同様に、他方(
図3(a)によれば左側)の曲片部22b’は、外板21’側へ延設されて、その延設部分の内面を、外板21’の他方の曲片部21b’外面に接触させる。
【0051】
表裏側の外板21’,22’の上端側と他端側の形状は、
図3(b)に示すように、上記パネル幅方向の形状と略同様である。表側の外板21’は、上端側と下端側の曲片部21b’,21b’を有する。裏側の外板22’は、上端側と下端側の曲片部22b’,22b’を有する。
【0052】
そして、内部の縦骨材23a(骨材23)よりも上側と下側の各々において、曲片部21b’の外面に、曲片部22b’が重ね合わせられる。
【0053】
縦骨材23a(骨材23)は、外板21’,22’内の上下方向の略全長にわたって連続している。
【0054】
よって、
図3に示す磁気シールドパネルBによれば、上記態様と同様に、電磁鋼板10の撓みを生じ難く、軽量で施工性に優れ、良好な磁気シールド作用を発揮する上、特に周縁側部分の強度をより向上することができる。
【0055】
<第3の実施態様>
図4に示す磁気シールドパネルCは、上記構成の磁気シールドパネルBにおいて、複数の骨材23を、骨材24に置換したものである。
【0056】
骨材24は、表裏側の外板21’,22’内において、パネル幅方向に間隔を置いて複数(図示例によれば2つ)設けられる。これら複数の骨材24は、図示例によれば、外板21’,22’における曲片部21b’,22b’からパネル幅方向へ離れて配設される。この骨材24は、電磁鋼板10に対しパネル厚方向に接触又は近接して、電磁鋼板10を補強する補強部材として機能する。
【0057】
各骨材24は、横断面上において電磁鋼板10内面に沿う底片部24aと、この底片部24aのパネル幅方向の両端から外板22’側へ突出する曲片部24b,24bと、両曲片部24b,24bからそれぞれパネル幅方向の両側へ突出するとともに外板22’の内面に接続された接続片部24c,24cとを有し、上下方向へ長尺状に連続している。
【0058】
底片部24aは、電磁鋼板10の内面に接触又は近接するように位置する。
この底片部24aは、図示例によれば、電磁鋼板10とは分離しているが、他例としては、電磁鋼板10の内面に対し、接着や溶接、止着具(例えば、ネジやボルトとナット、リベット、ステープル等)等によって接続するようにしてもよい。この接続に止着具を用いる場合、この止着具は、上記磁気シールドパネルA,Bと略同様に、底片部24a、複数の電磁鋼板10、平板部22a’を貫通し締め付ける。
【0059】
よって、
図4に示す磁気シールドパネルCによれば、上記態様と同様に、電磁鋼板10の撓みを生じ難く、軽量で施工性に優れ、良好な磁気シールド作用を発揮する上、特にパネル幅方向の中央寄り部分の強度をより向上することができる。
なお、他例としては、
図4に二点鎖線で示すように、上記構成の磁気シールドパネルCに対し、上述した磁気シールドパネルAと同様にして、パネル幅方向及び上下方向の端部側の縦骨材23aを追加するようにしてもよい。
【0060】
<第4の実施態様>
図5に示す磁気シールドパネルDは、上記構成の磁気シールドパネルAにおいて、パネル幅方向の両端側の縦骨材23a,23aとこれらの間(パネル方向中央寄り)の縦骨材23a,23aとのうち、後者の縦骨材23a,23aを省き、そのパネル内の空間に、補強部材としての芯材25を設け、表裏側の外板21,22を、より厚みの小さい外板21”,22”にしたものである。
【0061】
外板21”と外板22”は、それぞれ、上記外板21,22と同断面形状の部材である。各外板21”(又は22”)の厚みは、単数毎の電磁鋼板10の厚みよりも大きく、且つ上記外板21,22の厚みよりも小さく、図示例によれば、t0.6mmに設定される。
【0062】
図5(a)の横断面に示すように、表裏側の外板21”,22”内には、表側の外板21”の内面に接触又は近接して該内面に沿うように、電磁鋼板10が複数枚重ね合わせられる。これら電磁鋼板10の裏面(背面)には、接触又は近接するように、パネル幅方向両端側の縦骨材23a,23aと、これら縦骨材の間の芯材25が設けられる。
【0063】
また、
図5(b)の縦断面に示すように、表裏側の外板21”,22”内には、複数枚の電磁鋼板10の内側の面に接触又は近接するように、上下両端側に、それぞれパネル幅方向へわたる横骨材23b,23bが設けられ、これら上下の横骨材23b,23bの間に芯材25が位置する。
【0064】
芯材25は、外板21,22よりも軟質の材料から形成され、六角柱状(ハニカム状)の中空部を、平板部21a,22aの面方向に多数並設し一体状に構成した部材であり、ペーパーコアや、ハニカムコア等と呼称される場合がある。
この芯材25の材質は、本実施の形態の好ましい一例によれば、紙であるが、他例としては、紙以外の軟質材料(例えば合成樹脂材料や、ゴム、発泡材、ロックウール、グラスウール等)やその他のコア材等とすることも可能である。また、前記中空部は、円形柱状や、四角柱状等、六角柱状以外の形状とすることが可能である。
【0065】
この芯材25は、前記六角柱状の中空部をパネル厚方向へ向けるようにして、外板21”,22”間に設けられる。そして、この芯材25における外板21”側の端面は、複数の電磁鋼板10の内面に対し、その端部側を除く略全面にわたって接触又は近接している。また、同芯材25における外板22”側の端面は、外板21”の内面に対し、その端部側を除く略全面にわたって接触又は近接している。
芯材25のパネル幅方向の両端部は、それぞれ、両端側の縦骨材23a,23aに接触又は近接し、芯材25の上下方向の両端部は、それぞれ、上下端側の横骨材23b,23bに接触又は近接している。
【0066】
よって、
図5に示す磁気シールドパネルDによれば、上記態様と同様に、電磁鋼板10の撓みを生じ難く、軽量で施工性に優れ、良好な磁気シールド作用を発揮する。その上、搬送中や施工中等における電磁鋼板10のバタつきや振動、当該磁気シールドパネルD全体の撓み等を、芯材25によって効果的に防ぐことができ、ひいては、外板21”,22”を薄肉にして、全体をより軽量化することができる。
【0067】
<第5の実施態様>
図6に示す磁気シールドパネルEは、内部空間Xを間に確保してパネル厚方向の両側に配設された表裏側の外板26,27と、これら外板26,27から離れて内部空間Xに配置された複数枚の電磁鋼板10と、電磁鋼板10をその端部側から凹凸状に嵌り合って支持する嵌合支持部材28(補強部材)と、内部空間Xの中央寄りで電磁鋼板10を厚さ方向の両側から挟むようにして支持する挟持支持部材29と、外板26,27を端部側で補強する縦骨材31及び横骨材32とを一体的に具備している。
【0068】
表側の外板26は、上記外板21と略同様に構成され、それぞれ、平板部26a及び複数の曲片部26bを有する。
裏側の外板27は、上記外板22と略同様に構成され、それぞれ、平板部27a及び複数の曲片部27bを有する。
【0069】
複数枚(図示例によれば三枚)の電磁鋼板10は、表裏側の外板26,27からパネル厚方向に離れて、これら外板26,27間の中央寄り(図示例によれば略中央部)に配置される。
【0070】
嵌合支持部材28は、複数枚の電磁鋼板10の四辺側にそれぞれ設けられる。
各嵌合支持部材28は、複数枚の電磁鋼板10の端部に嵌り合う凹状に形成され、電磁鋼板10の端部に沿って長尺状に連続している。
この嵌合支持部材28は、縦骨材31,横骨材32の底片部31a,32aの内面に、溶接等によって固定される(
図6(a)(b)参照)。
【0071】
このように、各嵌合支持部材28は、電磁鋼板10の端部側の面に対しパネル厚方向に接触又は近接して該面の連続方向へ延設されることで、電磁鋼板10の撓み等を阻む補強部材として機能する。
【0072】
上記構成の嵌合支持部材28は、電磁鋼板に対し、これら両者を貫通する止着具(例えば、ネジやボルト、リベット、ステープル等)、接着材(接着剤、両面テープ、粘着テープ等を含む)等によって固定される。なお、前記した凹凸状の嵌合のみで強度的に十分であれば、この止着具を省くことも可能である。
【0073】
また、挟持支持部材29は、複数枚の電磁鋼板10を挟む両側に、それぞれ設けられる。電磁鋼板10を挟む一方側と他方側の各々において、挟持支持部材29は、パネル幅方向に間隔を置いて複数設けられる。
【0074】
各挟持支持部材29は、上記縦骨材23aと略同様に、底片部29aと、この底片部29aにおけるパネル幅方向の両端側から略直角に立ち上がった曲片部29bとを有する溝形鋼状の部材であり、上下方向へ連続する長尺状に形成される。
この挟持支持部材29は、底片部29aの外面を外板26(又は27)の内面に止着するとともに、両曲片部29bの突端を、上下方向にわたって複数枚の電磁鋼板10の表面に接触又は近接している。
【0075】
各挟持支持部材29を外板26(又は27)に止着する手段は、図示例によれば、両面テープを介した接着としているが、他例としては、接着剤や粘着テープ等の他の接着材による接着や、溶接、止着具(例えば、ネジや、ボルトとナット、リベット、ステープル等)を用いた止着、嵌合等とすることが可能である。
【0076】
縦骨材31及び横骨材32は、上記磁気シールドパネルAの縦骨材23a及び横骨材23bと同様に、底片部31a,32aと、この底片部31a,32aの両端側から立ち上がった曲片部31b,32bとを有する溝形鋼状の部材である。
これら縦骨材31及び横骨材32は、それぞれ、止着具(例えば、ネジやボルト、リベット、ステープル等)による止着や、溶接等によって、外板26,27の内面に固定されている。
【0077】
よって、
図6に示す磁気シールドパネルEによれば、上記態様と同様に、電磁鋼板10の撓みを生じ難く、軽量で施工性に優れ、良好な磁気シールド作用を発揮する。特に、本実施態様によれば、電磁鋼板10を、外板26,27の内面から離して配置しているため、外板26(又は27)の撓み等による厚さ方向の振動が、外板26(又は27)に伝達するようなことを、効果的に防ぐことができる。
【0078】
<第6の実施態様>
図7に示す磁気シールドパネルFは、複数枚の電磁鋼板10と、これら電磁鋼板10の一方の面に対しパネル厚方向に接触又は近接して電磁鋼板10の面方向(図示例によれば上下方向)へ延設された複数の骨材33(補強部材)と、これら骨材33との間に電磁鋼板10を挟むようにして、電磁鋼板10の他方の面に対しパネル厚方向に接触又は近接するとともに電磁鋼板10の面方向へ延設された外板34(補強部材)とを一体的に具備している。
【0079】
骨材33は、電磁鋼板10の裏側の面に、パネル幅方向に間隔を置いて複数(図示例によれば三つ)設けられる。
各骨材33は、上記骨材24と略同様に、底片部33aと、この底片部33aの両端側でそれぞれ曲げられた曲片部33b,33bと、両曲片部33b,33bの突端側でそれぞれパネル面に沿って曲げられ外板34の内面に接続された接続片部33c,33cとを有し、上下方向へわたる長尺状に連続している。
【0080】
各接続片部33cは、止着具(例えば、ネジや、ボルトとナット、リベット、ステープル等)により、複数枚の電磁鋼板10の裏面に接続されている。この止着具は、図示例によれば、接続片部33c、複数枚の電磁鋼板10、及び外板34を貫通するように設けられ、これらを圧接している。
【0081】
また、外板34は、矩形板状の平板部34aと、この平板部34aのパネル幅方向の両端側でそれぞれパネル厚方向へ突出する曲片部34bとを一体に備え、電磁鋼板10を安易に撓まないように補強する補強部材として機能する。
【0082】
平板部34aは、その内面を、電磁鋼板10の外側の面に対し、接触又は近接させて、パネル幅方向及び上下方向へ延設されている。
また、各曲片部34bは、複数の電磁鋼板10のパネル幅方向の端部を覆うようにして、パネル厚方向の内側へ断面略逆L字状に突出している(
図7(a)参照)。各曲片部34bの内面は、電磁鋼板10における前記端部に接触又は近接する。
【0083】
よって、
図7に示す磁気シールドパネルFによれば、上記態様と同様に、電磁鋼板10の撓みを生じ難く、良好な磁気シールド作用を発揮する。特に、この磁気シールドパネルFは、裏面側の外板を有さないため、軽量であり施工性及び搬送性等に秀でている。
【0084】
<第7の実施態様>
図8に示す磁気シールドパネルGは、複数枚(図示例によれば三枚)重ね合わせられた電磁鋼板10と、これら電磁鋼板10をパネル内側から補強する補強部材としての芯材43と、これら複数枚の電磁鋼板10及び芯材43を覆う第一の外板41及び第二の外板42とを具備する。
【0085】
第一の外板41及び第二の外板42は、パネル幅方向の一端側の外面に凸状部40aを有するとともに、その他端側の外面に凸状部40aに嵌り合う凹状部40bを有し、凸状部40aの内側の凹部41bに、複数枚の電磁鋼板10の一端側を嵌め合わせている。
【0086】
第一の外板41は、電磁鋼板10の一方の面に対しパネル厚方向に接触又は近接してその面方向へ延設された平板部41aと、この平板部41aにおけるパネル幅方向の一端側で電磁鋼板10の端部側を凹状に囲む凹部41bと、この凹部におけるパネル内側にてパネル厚方向へ突出して第二の外板42に接続される被接続片部41cと、この被接続片部41cの端部側でパネル内側へ折曲しその突端を芯材43に接触又は近接した突片部41dと、平板部41aにおけるパネル幅方向の他端側にて第二の外板42側へ突出して電磁鋼板10の他端部に接触又は近接するとともに第二の外板42に接続された接続片部41eとを一体に有する(
図8参照)。
【0087】
第二の外板42は、第一の外板41と同構成の部材であり、平板部42aと、凹部42bと、被接続片部42cと、突片部42dと、接続片部42eとを一体に有する。
この第二の外板42は、第一の外板41に対し、左右方向及び表裏方向を逆にして用いられる。
【0088】
この第二の外板42は、パネル幅方向の他端側(
図8によれば左端側)で、第一の外板41と協働して前記電磁鋼板の端部側を凹状に囲む。
すなわち、複数枚の電磁鋼板10は、パネル幅方向の他端側を、平板部41aと接続片部41eと突片部42dからなる凹状部分に嵌め合わせている。
【0089】
そして、第一の外板41の被接続片部41cと、第二の外板42の接続片部42eとが重ね合わせられ、両者を貫通する止着具(ネジや、ボルトとナット、リベット、ステープル等)により接続される。
同様にして、第一の外板41の接続片部41eと、第二の外板42の被接続片部42cも重ね合わせられ、両者を貫通する止着具により接続される。
【0090】
芯材43は、上記芯材25と同様の材料から形成される。
この芯材43は、パネル厚方向の一方の面を、電磁鋼板10内面に接触又は近接して電磁鋼板10の面方向へ延設され、パネル厚方向の他方の面を、第二の外板42における平板部42aの内面に接触又は近接させている。
さらに、この芯材43は、パネル幅方向の両端部を、それぞれ、第一の外板41の突片部41dと、第二の外板42の突片部42dに接触又は近接させている。
【0091】
よって、
図8に示す磁気シールドパネルGによれば、上記態様と同様に、電磁鋼板10の撓みや振動を生じ難く、軽量で施工性に優れ、良好な磁気シールド作用を発揮する。
しかも、
図8に実線及び二点鎖線で示すように、この磁気シールドパネルGをパネル幅方向に複数並設すれば、隣接する磁気シールドパネルG,Gのうち、その一方の凸状部40aと他方の凹状部40bが嵌り合うため、これら磁気シールドパネルG,G間の隙間に磁気が通り抜けるのを効果的に阻むことができる。
【0092】
なお、
図8に示す一例では、凸状部40a及び凹状部40bを磁気シールドパネルGにおける厚さ方向の一方側へ偏って配置して横断面略L字状に形成したが、他例としては、これら凸状部40a及び凹状部40bを磁気シールドパネルGにおける厚さ方向の中央寄りに配置して横断凸字状及び横断面凹字状に形成してもよい。この他例によれば、左右に隣接する磁気シールドパネル間が、厚さ方向の中央側で横断面凹凸状に嵌り合う。
【0093】
<第8の実施態様>
図9に示す磁気シールドパネルHは、上記磁気シールドパネルGに対し、その内部の芯材43を芯材44に置換し、この芯材44を挟む両側に、それぞれ、複数枚重ね合わせられた電磁鋼板10を設けている。
【0094】
第一の外板41及び第二の外板42内の空間には、そのパネル厚方向の一方側と他方側に、それぞれ、複数枚重ね合わせられた電磁鋼板10が設けられる。
一方の電磁鋼板10の束は、パネル幅方向の一端側を、第一の外板41の凹部41bに嵌め合わせ、他端側を、平板部41a、接続片部41e及び突片部42dからなる凹状部分に嵌め合わせている。
他方の電磁鋼板10の束も、同様にして、パネル幅方向の一端側を、第二の外板42の凹部42bに嵌め合わせ、他端側を、平板部42a、接続片部42e及び突片部41dからなる凹状部分に嵌め合わせている。
【0095】
芯材44は、芯材43と同材質の部材であり、芯材43よりも厚みが小さい。
この芯材44は、パネル厚方向の一端面と他端面を、それぞれ、一方の電磁鋼板10の束の内面と、他方の電磁鋼板10の束の内面に、接触又は近接している。さらに、この芯材44は、パネル幅方向の一端部と他端部をそれぞれ、第一の外板41の突片部41dの突端と、第二の外板42の突片部42dの突端に、接触又は近接している。
【0096】
よって、
図9に示す磁気シールドパネルHによれば、上記態様と略同様の作用効果を奏する上、パネル厚方向の両側にそれぞれ設けられる電磁鋼板10の束により、磁気を効果的に阻むことができる。
しかも、
図9に実線及び二点鎖線で示すように、この磁気シールドパネルHをパネル幅方向に複数並設すれば、上記磁気シールドパネルGと同様に、隣接する凸状部40aと凹状部40bの嵌り合いにより、隣接するパネル間の磁気シールド性を向上することができる。
【0097】
<第9の実施態様>
図10に示す磁気シールドパネルIは、その厚さ方向の中央寄りに電磁鋼板11を配置し、この電磁鋼板11を厚さ方向両側の芯材45,45(補強部材)により挟むようにして補強し、これら芯材45,45の外側を、表裏側の外板21,22によって覆っている。
【0098】
外板21と外板22は、パネル幅方向の両端側で、内側に介在する縦骨材23a、23aにより一体的に接続されている。この接続手段は、止着具(ネジや、ボルト、リベット、ステープル等)による止着や、接着材(接着剤、両面テープ、粘着テープ等を含む)を用いた接着、溶接等とすればよい。
【0099】
各芯材44は、上記芯材25と同材質の部材であり、パネル厚方向の一端面を電磁鋼板11に接触又は近接し、他端面を外板21(又は22)の内面に接触又は近接している。
【0100】
電磁鋼板11は、単数枚の電磁鋼板であり、その厚みtが、外板21(又は22)の厚みよりも大きく、例えば1.5mm又は3.0mmに設定される。
なお、他例としては、この電磁鋼板11を、上記した複数枚の薄肉の電磁鋼板10に置換することも可能である。
【0101】
よって、
図10に示す磁気シールドパネルIによれば、上記態様と同様の作用効果を奏する上、電磁鋼板11の厚み方向の振動を両側の芯材45,45により抑制することができ、仮に電磁鋼板11が振動した場合でもその振動が外板21,22に直接伝達するのを、効果的に防ぐことができる。
【0102】
<第10の実施態様>
図11に示す磁気シールドパネルJは、パネル厚方向の中央寄りに、中空部を多数有する軟質の芯材46をパネル幅方向へわたって設け、この芯材46を挟むようにしてその両側にそれぞれ電磁鋼板12を配設し、これら両側の電磁鋼板12,12を覆うようにして表裏側の外板21,22を配設している。
【0103】
芯材46は、上記芯材25等と同材質の部材であり、両側の電磁鋼板12,12の間で、パネル幅方向及び上下方向へわたって設けられる。
【0104】
各電磁鋼板12は、芯材46に対しパネル厚方向に接触又は近接してパネル厚方向に対する直交方向(換言すればパネル幅方向と上下方向)へ延設された平板部12aと、該平板部12aの端部からパネル厚方向へ突出して芯材46の端部を覆う曲片部12bとを有する。
【0105】
電磁鋼板12は、単数枚の比較的厚肉の電磁鋼板であり、その厚みtが、外板21(又は22)の厚みよりも大きく、例えば1.5mm又は3.0mmに設定される。
電磁鋼板12は、平板状の原材を矩形状に裁断し、端部側をプレス加工することにより形成される。
なお、他例としては、この電磁鋼板12を、上記電磁鋼板10と同様に、比較的薄肉の電磁鋼板とし複数枚重ね合わせて用いることも可能である。
【0106】
曲片部12bは、
図11に例示する横断面図によれば、平板部12aにおけるパネル幅方向の両端側にそれぞれ設けられるが、これに加えて、平板部12aにおける上下方向の両端側にも設けるようにしてもよい。
【0107】
よって、
図11に示す磁気シールドパネルJによれば、上記態様と略同様の作用効果を奏する上、特に、曲片部12bを有する電磁鋼板12により、当該磁気シールドパネルJ全体の撓みを、効果的に抑制することができる。
【0108】
<その他の変形例>
なお、上記実施態様によれば、複数の骨材を横幅方向や上下方向に間隔を置いて設けたが、他例としては、これら骨材を斜め方向に間隔を置いて設けた態様等とすることも可能である。
【0109】
また、
図1~
図5に示す各態様によれば、複数枚の電磁鋼板をパネル厚方向において骨材の一方側のみに設けたが、他例としては、複数枚の電磁鋼板をパネル厚方向において骨材の両側に設けることも可能である。
より具体的に説明すれば、例えば、
図2に示す磁気シールドパネルAにおいて、骨材23(縦骨材23a及び横骨材23b)と、裏側の外板22との間にも、複数枚の電磁鋼板10を挟み込むようにしてもよい。
この構成によれば、両側の電磁鋼板10により磁気遮断性能を向上できる上、表裏を区別することなく使用でき、施工性に優れている。
【0110】
また、上記実施態様では、特に好ましい一例として、複数枚の電磁鋼板間を接着しないようにしたが、他例としては、隣接する電磁鋼板間に接着材(接着剤、両面テープ、粘着テープ等を含む)を設けてこれら電磁鋼板間を接着した態様や、隣接する電磁鋼板間を溶接によって接続した態様、隣接する電磁鋼板間を嵌合によって接続した態様等とすることも可能である。
【0111】
また、上記実施態様では、上記構成の磁気シールドパネルを壁材として用いたが、他例としては、同磁気シールドパネルを、天井材や、床材、ドアパネル、シャッターカーテンを構成するパネル等として用いることも可能である。
【0112】
また、上記実施態様は、主に磁気を遮る磁気シールドパネルを構成したが、他例としては、磁気に加えて電磁波も遮る態様とすることも可能である。この態様は、例えば、上記構成の電磁鋼板10に、銅やアルミニウム等の導電性材料を主成分に含む板材を重ね合わせた構成や、上記構成の電磁鋼板10を特許文献1に記載の電磁気シールド用複合材料に置換した構成等とすればよい。
【0113】
また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0114】
10,11,12:電磁鋼板
21,21’,21”,34:外板(補強部材)
22,22’,22”,26,27:外板
23,24,33:骨材(補強部材)
25,43,44,45,46:芯材(補強部材)
28:嵌合支持部材(補強部材)
29:挟持支持部材(補強部材)
40a:凸状部
40b:凹状部
41:第一の外板
41b:凹部
42:第二の外板
A~J:磁気シールドパネル