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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】医用画像診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20231211BHJP
   A61B 6/10 20060101ALI20231211BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
A61B6/03 323A
A61B6/10 350
A61B6/10 355
A61B6/03 321G
A61B5/055 366
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020070168
(22)【出願日】2020-04-09
(65)【公開番号】P2020192319
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】P 2019095653
(32)【優先日】2019-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】五反田 克己
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特許第6514756(JP,B1)
【文献】特開2005-013489(JP,A)
【文献】特開2009-106572(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0345543(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055、6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体が送り込まれる開口部を有する架台装置と、
前記被検体の移動又は前記架台装置の移動により前記被検体が前記開口部に送り込まれる範囲を表す送り込み範囲を、スキャン計画に基づいて設定する設定部と、
前記送り込み範囲内の前記被検体の位置を第1位置情報として取得する取得部と、
前記第1位置情報に基づいて、前記被検体が前記架台装置と干渉するか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記判定部は、前記第1位置情報に基づいて、前記被検体が前記開口部に送り込まれる過程において、前記被検体が前記架台装置と干渉するか否かを判定し、前記判定の結果に基づいて、天板の位置を調整し、
前記判定部は、
前記被検体が前記架台装置と干渉すると判定した場合、前記天板の位置調整により、前記スキャン計画に含まれる撮影範囲が前記開口部内の撮影可能な範囲から外れるか否かを判定し、
前記天板の位置調整により前記撮影範囲が前記開口部内の撮影可能な範囲から外れる場合、前記被検体の送り込みを中断させる、医用画像診断装置。
【請求項2】
前記被検体が前記架台装置と干渉すると判定された場合、当該干渉する範囲を通知する、又は、前記被検体が前記架台装置と干渉する旨を通知する通知部、
を更に備える請求項に記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記送り込み範囲は、前記被検体が搭載される天板の移動により前記被検体が前記開口部に送り込まれる範囲を表す、
請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記判定部は、
前記第1位置情報と前記開口部の位置を表す第2位置情報とを用いて、前記被検体が前記架台装置と干渉するか否かを判定し、
前記被検体が前記架台装置と干渉すると判定した場合、前記第1位置情報と前記第2位置情報とに基づいて、当該干渉を回避するための補正量を決定し、
前記補正量に基づいて、前記天板の位置を調整する、
請求項に記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記被検体が前記開口部に送り込まれる前に、
前記取得部は、前記第1位置情報を取得し、
前記判定部は、前記第1位置情報に基づいて、前記被検体が前記架台装置と干渉するか否かを判定し、前記判定の結果に基づいて、前記天板の位置を調整する、
請求項又はに記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記天板の位置調整により前記撮影範囲が前記開口部内の撮影可能な範囲に含まれる場合、前記天板の位置を調整する、
請求項に記載の医用画像診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線コンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)装置などの医用画像診断装置では、寝台装置の天板に被検体を搭載して、天板の移動により被検体を架台装置内に送り込むことによって、被検体を撮影する。ここで、X線CT装置では、被検体が架台装置と干渉する場合、撮影の中断や撮り直しが発生する場合がある。この場合、不要被曝となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-296469号公報
【文献】特開2004-208954号公報
【文献】特開2006-187515号公報
【文献】特開2017-77457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、被検体と架台装置との干渉を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る医用画像診断装置は、架台装置と、設定部と、取得部と、判定部と、を備える。前記架台装置は、被検体が送り込まれる開口部を有する。前記設定部は、前記被検体の移動又は前記架台装置の移動により前記被検体が前記開口部に送り込まれる範囲を表す送り込み範囲を、スキャン計画に基づいて設定する。前記取得部は、前記送り込み範囲内の前記被検体の位置を第1位置情報として取得する。前記調整部は、前記第1位置情報に基づいて、前記被検体が前記架台装置と干渉するか否かを判定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成の一例を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るX線CT装置による処理の手順を示すフローチャートである。
図3図3は、第1の実施形態に係るX線CT装置による処理を説明するための図である。
図4図4は、第1の実施形態に係るX線CT装置による処理を説明するための図である。
図5図5は、第1の実施形態に係るX線CT装置による処理を説明するための図である。
図6図6は、第1の実施形態に係るX線CT装置による処理を説明するための図である。
図7図7は、第1の実施形態に係るX線CT装置による処理を説明するための図である。
図8図8は、第1の実施形態における撮影処理の手順を示すフローチャートである。
図9図9は、第2の実施形態に係るX線CT装置による処理の手順を示すフローチャートである。
図10図10は、第2の実施形態に係るX線CT装置による処理を説明するための図である。
図11図11は、第3の実施形態における撮影処理の手順を示すフローチャートである。
図12図12は、第4の実施形態における撮影処理の手順を示すフローチャートである。
図13図13は、第4の実施形態に係るX線CT装置による処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、医用画像診断装置の実施形態について詳細に説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
医用画像診断装置は、被検体(例えば、患者)を撮影等することにより検査を実施する装置である。医用画像診断装置は、例えば、X線コンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)装置、磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置、核医学診断装置等を含む。本実施形態では、X線CT装置を一例として説明する。
【0009】
図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置1の構成の一例を示す図である。X線CT装置1は、被検体のCT画像データを収集する。具体的には、X線CT装置1は、被検体を略中心にX線管及びX線検出器を旋回移動させ、被検体を透過したX線を検出して投影データを収集する。そして、X線CT装置1は、収集した投影データに基づいて、CT画像データを生成する。図1に示すように、第1の実施形態に係るX線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを有する。
【0010】
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台装置30の天板33の長手方向をZ軸方向とする。また、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をX軸方向とする。また、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向とする。なお、図1は、説明のために架台装置10を複数方向から描画したものであり、X線CT装置1が架台装置10を1つ有する場合を示す。
【0011】
架台装置10は、X線管11と、X線検出器12と、回転フレーム13と、X線高電圧装置14と、制御装置15と、ウェッジ16と、コリメータ17と、DAS(Data Acquisition System)18とを有する。
【0012】
X線管11は、熱電子を発生する陰極(フィラメント)と、熱電子の衝突を受けてX線を発生する陽極(ターゲット)とを有する真空管である。X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加により、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することで、被検体Pに対し照射するX線を発生する。例えば、X線管11には、回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管がある。
【0013】
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。例えば、ウェッジ16は、ウェッジフィルタ(wedge filter)やボウタイフィルタ(bow-tie filter)であり、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウム等を加工したフィルタである。
【0014】
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。なお、コリメータ17は、X線絞りと呼ばれる場合もある。また、図1においては、X線管11とコリメータ17との間にウェッジ16が配置される場合を示すが、X線管11とウェッジ16との間にコリメータ17が配置される場合であってもよい。この場合、ウェッジ16は、X線管11から照射され、コリメータ17により照射範囲が制限されたX線を透過して減衰させる。
【0015】
X線検出器12は、X線を検出する検出素子を複数有する。X線検出器12における各検出素子は、X線管11から照射されて被検体Pを通過したX線を検出し、検出したX線量に対応した信号をDAS18へと出力する。X線検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心とした1つの円弧に沿ってチャンネル方向(チャネル方向)に複数の検出素子が配列された複数の検出素子列を有する。X線検出器12は、例えば、チャンネル方向に複数の検出素子が配列された検出素子列が列方向(スライス方向、row方向)に複数配列された構造を有する。
【0016】
例えば、X線検出器12は、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収するX線遮蔽板を有する。なお、グリッドはコリメータ(1次元コリメータ又は2次元コリメータ)と呼ばれる場合もある。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、フォトダイオード等の光センサを有する。なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
【0017】
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧を発生する高電圧発生装置と、X線管11が発生するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であってもよい。なお、X線高電圧装置14は、回転フレーム13に設けられてもよいし、図示しない固定フレームに設けられても構わない。ここで、固定フレームは、回転フレーム13を回転可能に支持するフレームである。
【0018】
DAS18は、X線検出器12が有する各検出素子によって検出されるX線の信号を収集する。例えば、DAS18は、各検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、検出データを生成する。DAS18は、例えば、プロセッサにより実現される。
【0019】
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。例えば、回転フレーム13は、アルミニウムを材料とした鋳物である。なお、回転フレーム13は、X線管11及びX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14やウェッジ16、コリメータ17、DAS18等を更に支持することもできる。更に、回転フレーム13は、図1において図示しない種々の構成を更に支持することもできる。
【0020】
なお、DAS18が生成したデータは、回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(Light Emitting Diode: LED)を有する送信機から、光通信によって、架台装置10の非回転部分(例えば、固定フレーム等であり、図1での図示は省略している)に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置40へと転送される。なお、回転フレーム13から架台装置10の非回転部分へのデータの送信方法は、光通信に限らず、非接触型の如何なるデータ伝送方式を採用してもよいし、接触型のデータ伝送方式を採用しても構わない。
【0021】
制御装置15は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。制御装置15は、後述する入力インターフェース43からの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う。例えば、制御装置15は、回転フレーム13の回転や架台装置10のチルト、寝台装置30及び天板33の動作等について制御を行う。一例を挙げると、制御装置15は、架台装置10をチルトさせる制御として、入力された傾斜角度(チルト角度)情報により、X軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させる。なお、制御装置15は架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられてもよい。
【0022】
ここで、図1に示すように、架台装置10には、位置センサ50が設けられている。位置センサ50の処理については後述する。
【0023】
寝台装置30は、撮影対象の被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを有する。基台31は、支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を、天板33の長軸方向に移動する駆動機構であり、モータ及びアクチュエータ等を含む。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長軸方向に移動してもよい。
【0024】
コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44とを有する。なお、コンソール装置40は架台装置10とは別体として説明するが、架台装置10にコンソール装置40又はコンソール装置40の各構成要素の一部が含まれてもよい。
【0025】
メモリ41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。メモリ41は、例えば、投影データやCT画像データを記憶する。また、例えば、メモリ41は、X線CT装置1に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。なお、メモリ41は、X線CT装置1とネットワークを介して接続されたサーバ群(クラウド)により実現されることとしてもよい。
【0026】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された各種の画像を表示したり、操作者から各種の操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。例えば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。なお、ディスプレイ42は、架台装置10に設けられてもよい。また、ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0027】
入力インターフェース43は、操作者から各種の入力操作を受け付けて、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、CT画像データを再構成する際の再構成条件や、CT画像データから後処理画像を生成する際の画像処理条件等の入力操作を操作者から受け付ける。例えば、入力インターフェース43は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インターフェース43は、架台装置10に設けられてもよい。また、入力インターフェース43は、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インターフェース43は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、コンソール装置40とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース43の例に含まれる。
【0028】
処理回路44は、X線CT装置1全体の動作を制御する。例えば、処理回路44は、システム制御機能440、スキャン制御機能441、前処理機能442、再構成処理機能443、及び、表示制御機能444を実行する。
【0029】
システム制御機能440は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各種機能を制御する。
【0030】
スキャン制御機能441は、当該被検体Pに対してX線を利用したスキャンを実行する。例えば、スキャン制御機能441は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、スキャンを制御する。具体的には、スキャン制御機能441は、入力操作に基づいて、X線高電圧装置14に制御信号を送信することで、高電圧発生装置からの出力電圧を制御する。また、スキャン制御機能441は、DAS18に制御信号を送信することで、DAS18によるデータ収集を制御する。
【0031】
前処理機能442は、DAS18から送信されたX線検出データに対して前処理を行うことで、前処理を施したデータを生成する。具体的には、前処理機能442は、対数変換処理や、オフセット補正、感度補正、ビームハードニング補正等の補正処理を行なうことで、前処理を施したデータを生成する。なお、前処理前のデータ(X線検出データ)及び前処理後のデータを総称して、投影データと称する場合もある。
【0032】
再構成処理機能443は、前処理機能442により生成された投影データを種々の再構成法(例えば、FBP(Filtered Back Projection)などの逆投影法や、逐次近似法など)によって再構成することでCT画像データを生成する。また、再構成処理機能443は、生成したCT画像データをメモリ41に格納する。
【0033】
表示制御機能444は、処理回路44によって生成された各種の画像をディスプレイ42に表示させる。例えば、表示制御機能444は、再構成処理機能443によって生成されたCT画像データをディスプレイ42に表示させる。表示制御機能444は、通知部の一例である。
【0034】
また、例えば、処理回路44は、設定機能445、取得機能446、及び、判定機能447を実行する。設定機能445、取得機能446、及び、判定機能447の処理については後述する。なお、設定機能445は、設定部の一例である。取得機能446は、取得部の一例である。判定機能447は、判定部の一例である。
【0035】
図1に示すX線CT装置1においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ41へ記憶されている。処理回路44は、メモリ41からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路44は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
【0036】
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable GateArray:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
【0037】
以上、本実施形態に係るX線CT装置1の全体構成について説明した。ところで、X線CT装置1では、寝台装置30の天板33に被検体Pを搭載して、天板33の移動により被検体Pを架台装置10内に送り込むことによって、被検体Pを撮影する。ここで、被検体Pが架台装置10と干渉する場合、撮影の中断や撮り直しが発生する場合がある。例えば、被検体Pが架台装置10内に送り込まれる前に、被検体Pが動いたことにより被検体Pの位置が変わってしまった場合、撮影の中断や撮り直しが発生する。この場合、不要被曝となる。
【0038】
そこで、本実施形態に係るX線CT装置1は、被検体Pと架台装置10との干渉を防止するために、以下の処理を実行する。本実施形態に係るX線CT装置1は、架台装置10と、設定機能445と、取得機能446と、判定機能447と、を備える。架台装置10は、被検体Pが送り込まれる開口部100(図1を参照)を有する。設定機能445は、被検体Pの移動により被検体Pが架台装置10の開口部100に送り込まれる範囲を表す送り込み範囲を、スキャン計画に基づいて設定する。取得機能446は、送り込み範囲内の被検体Pの位置を第1位置情報として取得する。判定機能447は、第1位置情報に基づいて、被検体Pが架台装置10と干渉するか否かを判定する。具体的には、送り込み範囲は、被検体Pが搭載される寝台装置30の天板33の移動により被検体Pが開口部100に送り込まれる範囲を表す。また、判定機能447は、更に、判定の結果に基づいて、天板33の位置を調整する。
【0039】
次に、第1の実施形態において、処理回路44が実行する設定機能445、取得機能446、及び、判定機能447の各機能について説明する。
【0040】
図2は、第1の実施形態に係るX線CT装置1による処理の手順を示すフローチャートである。図3図7は、第1の実施形態に係るX線CT装置1による処理を説明するための図である。
【0041】
図2のステップS101では、被検体Pのセッティングが行われる。具体的には、まず、検査技師等の操作者は、コンソール装置40を用いて、検査開始の契機となる入力操作を行う。このとき、取得機能446は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた当該入力操作に基づいて、次の検査の患者情報を取得し、取得した患者情報をディスプレイ42に表示させる。次に、操作者は、取得した患者情報を基に、例えば被検体P(患者)の腹部を撮影するスキャン計画を立てる。この場合、例えば、操作者は、被検体Pが頭側又は足側から架台装置10の開口部100に送り込まれるように、被検体Pを寝台装置30の天板33に寝かせる。すなわち、被検体Pを天板33にセッティングする。セッティングの向きは、検査部位や検査目的によって異なり、図3に示す例では、操作者は、被検体Pが足側から架台装置10の開口部100に送り込まれるように、被検体Pを天板33にセッティングする。
【0042】
図2のステップS102では、スキャン計画から送り込み範囲と撮影範囲とが設定される。具体的には、図4に示すように、操作者は、スキャン計画に基づいて、天板33を体軸方向の移動により被検体Pを架台装置10の開口部100に送り込む範囲を表す送り込み範囲R1を決定する。例えば、送り込み範囲R1は、天板33の先端から、被検体Pの腹部までの範囲を表す。また、操作者は、スキャン計画に基づいて、送り込み範囲R1内で被検体Pを撮影する範囲を表す撮影範囲R2を決定する。例えば、撮影範囲R2は、スキャン計画に含まれており、被検体Pの腹部を含む範囲を表す。設定機能445は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、スキャン計画から操作者により決定された送り込み範囲R1と撮影範囲R2とを設定する。なお、送り込み範囲R1と撮影範囲R2とは設定機能445により自動的に設定されてもよい。例えば、被検体Pを横から平面で観察できる位置に配置されたカメラにより、架台装置10と天板33上の被検体Pとを撮影画像として撮影し、設定機能445は、当該撮影画像及びスキャン計画から送り込み範囲R1と撮影範囲R2とを自動的に設定してもよい。ここで、被検体Pを横から観察できる平面とは、例えば、Z-Y平面である。
【0043】
ここで、架台装置10と天板33上の被検体Pとを撮影画像として撮影するカメラは、被検体Pを横から平面で観察できる位置に配置されているが、これに限定されない。例えば、カメラは、被検体Pを上から平面で観察できる位置に配置されてもよい。ここで、被検体Pを上から観察できる平面とは、例えば、Z-X平面である。
【0044】
また、カメラは、X線CT装置1の架台装置10に設けられてもよいし、X線CT装置1が設置された検査室の壁に設けられてもよいし、検査室の天井に設けられてもよい。例えば、カメラが、被検体Pを横から平面で観察できる位置に配置されている場合、検査室の壁に設けられている。例えば、カメラが、被検体Pを上から平面で観察できる位置に配置されている場合、架台装置10、又は、検査室の天井に設けられている。
【0045】
図2のステップS103では、被検体Pが架台装置10の開口部100に送り込まれる前に、被検体Pが架台装置10と干渉するか否かが判定される。
【0046】
具体的には、まず、取得機能446は、被検体Pが架台装置10の開口部100に送り込まれる前に、位置センサ50から、図5に示すような被検体位置情報L1を取得する。被検体位置情報L1は、送り込み範囲R1内の被検体Pの位置を表す。位置センサ50は、送り込み範囲R1内の被検体Pの位置を、例えば深さや奥行きなどで検出し、検出した位置を被検体位置情報L1としてコンソール装置40に出力する。コンソール装置40において、取得機能446は、位置センサ50から出力された被検体位置情報L1を取得する。被検体位置情報L1は、第1位置情報の一例である。
【0047】
ここで、位置センサ50としては、超音波センサや、光学センサ、磁気センサなどが挙げられる。また、送り込み範囲R1内の被検体Pの位置を深さや奥行きなどで検出することができれば、上述の位置センサ50に限定されず、例えば、深度センサ付きのカメラでもよい。また、送り込み範囲R1内の被検体Pの位置を深さや奥行きなどで検出することができれば、位置センサ50が設置される位置はどこでもよい。設置される位置センサ50の数に制限は無く、取得機能446は、複数の位置センサ50から被検体位置情報L1を取得してもよい。また、必要に応じて、位置センサ50の向きを可変してもよい。
【0048】
次に、判定機能447は、取得機能446が取得した被検体位置情報L1に基づいて、被検体Pが架台装置10と干渉するか否かを判定する。具体的には、判定機能447は、現在の天板33の位置を認識しており、天板33から被検体Pまでの高さを、取得機能446が取得した被検体位置情報L1により認識する。また、判定機能447は、架台装置10の開口部100の位置を開口部位置情報として認識しており、取得機能446が取得した被検体位置情報L1と、開口部位置情報とを用いて、被検体Pが架台装置10と干渉するか否かを判定する。開口部位置情報は、第2位置情報の一例である。
【0049】
ここで、判定の結果、被検体Pが架台装置10と干渉しない場合(ステップS103;No)、図2のステップS110が実行される。
【0050】
一方、判定の結果、被検体Pが架台装置10と干渉する場合(ステップS103;Yes)、図2のステップS104が実行される。具体的には、操作者が被検体Pを天板33にセッティングした後に、被検体Pが足(例えば、右足)を曲げたものとする。又は、被検体Pは右足を曲げられない状態であるものとする。この場合、図5に示すように、取得機能446が取得した被検体位置情報L1は、被検体Pの右足の位置、特に、被検体Pの右膝の位置が最も高いことを表している。そこで、判定機能447は、例えば、取得機能446が取得した被検体位置情報L1と、図5に示す開口部位置情報L2とを比較する。開口部位置情報L2は、例えば、Y軸方向において被検体Pが架台装置10と干渉する限界位置を表す。判定機能447は、被検体位置情報L1と開口部位置情報L2とを比較した結果に基づいて、被検体Pの右足が架台装置10と干渉する範囲を表す干渉範囲R3を検出する。この場合、判定機能447は、被検体Pが架台装置10と干渉すると判定し、図2のステップS104が実行される。
【0051】
図2のステップS104では、天板33の位置の調整が行われる。具体的には、判定機能447は、被検体Pが架台装置10と干渉すると判定した場合、被検体位置情報L1と開口部位置情報L2とに基づいて、当該干渉を回避するための補正量ΔYを決定する。補正量ΔYは、図5に示すように、干渉範囲R3におけるY軸方向の補正量を表し、被検体位置情報L1が表す被検体Pの右足の位置と、開口部位置情報L2が表す限界位置との差分の最大値に相当する。この場合、図6に示すように、判定機能447は、決定した補正量ΔYに基づいて、天板33の位置を調整する。具体的には、判定機能447は、Y軸方向の負方向に、天板33の位置を補正量ΔYだけ下向きに移動させるように、寝台装置30の寝台駆動装置32を制御する。
【0052】
なお、判定機能447は、被検体Pが架台装置10と干渉すると判定した場合、天板33の位置をY軸方向(上下方向)に調整しているが、これに限定されず、判定機能447は、天板33の位置をX軸方向(左右方向)に調整してもよい。例えば、判定機能447は、被検体Pが架台装置10と干渉すると判定した場合、被検体位置情報L1と開口部位置情報L2とに基づいて、当該干渉を回避するために、X軸方向に調整する補正量ΔXを決定してもよい。そして、図7に示すように、判定機能447は、決定した補正量ΔXに基づいて、天板33の位置を調整する。具体的には、判定機能447は、X軸方向の負方向に、天板33の位置を補正量ΔXだけ横向きに移動させるように、寝台装置30の寝台駆動装置32を制御する。また、判定機能447は、天板33の位置の調整をY軸方向及びX軸方向の一方だけ適用しているが、これに限定されず、天板33の位置の調整をY軸方向とX軸方向との両方に適用してもよい。
【0053】
図8は、第1の実施形態における撮影処理(ステップS110)の手順を示すフローチャートである。
【0054】
図8のステップS111では、天板33を移動させて、被検体Pを架台装置10の開口部100に送り込む。具体的には、スキャン制御機能441は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、寝台装置30の寝台駆動装置32を制御することにより、被検体Pが載置された天板33を移動させて、被検体Pを架台装置10の開口部100に送り込む。
【0055】
図8のステップS112では、撮影範囲R2で撮影が行われる。具体的には、スキャン制御機能441は、撮影範囲R2で撮影が行われるように、架台装置10を制御する。すなわち、スキャン制御機能441は、架台装置10に対してスキャン制御を行う。
【0056】
図8のステップS113では、天板33を元の位置に移動させる。具体的には、スキャン制御機能441は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、寝台装置30の寝台駆動装置32を制御することにより、天板33を元の位置に移動させる。
【0057】
以上、説明したとおり、第1の実施形態に係るX線CT装置1では、まず、設定機能445は、寝台装置30の天板33の移動により被検体Pを架台装置10の開口部100に送り込む範囲を表す送り込み範囲と当該送り込み範囲内で被検体Pを撮影する撮影範囲とをスキャン計画から設定する。被検体Pが架台装置10の開口部100に送り込まれる前に、取得機能446は、送り込み範囲内の被検体Pの位置を被検体位置情報L1として取得する。そして、判定機能447は、被検体位置情報L1と、架台装置10の開口部100の位置を表す開口部位置情報L2とに基づいて、被検体Pが架台装置10と干渉するか否かを判定し、判定の結果に基づいて、天板33の位置を調整する。このように、第1の実施形態に係るX線CT装置1では、被検体Pが架台装置10の開口部100に送り込まれる前に、被検体Pが動いたことにより被検体Pの位置が変わってしまっても、被検体Pが架台装置10と干渉すると判定した場合に、判定の結果に基づいて、天板33の位置を調整する。そのため、第1の実施形態に係るX線CT装置1では、被検体Pと架台装置10との干渉による撮影の中断や撮り直しを防止し、不要被曝を低減することができる。
【0058】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、被検体Pが架台装置10と干渉すると判定された場合、当該干渉する範囲を通知する場合について説明する。以下では、第2の実施形態では、第1の実施形態とは異なる処理を中心に説明する。
【0059】
図9は、第2の実施形態に係るX線CT装置1による処理の手順を示すフローチャートである。図10は、第2の実施形態に係るX線CT装置1による処理を説明するための図である。
【0060】
まず、図9において、図2と同様のステップS101~S103が実行される。ステップS103では、被検体Pが架台装置10の開口部100に送り込まれる前に、被検体Pが架台装置10と干渉するか否かが判定される。ここで、判定の結果、被検体Pが架台装置10と干渉する場合(ステップS103;Yes)、図9のステップS201が実行される。
【0061】
図9のステップS201では、干渉範囲が通知される。具体的には、コンソール装置40において、表示制御機能444は、被検体Pが架台装置10と干渉すると判定された場合、当該干渉する範囲をディスプレイ42に表示することによって、被検体Pが架台装置10と干渉する旨を操作者に通知する。例えば、表示制御機能444は、図10に示す画像を表示画像としてディスプレイ42に表示することによって、操作者に通知する。図10に示すように、表示画像は、例えば、架台装置10と、天板33上の被検体Pと、判定機能447により検出された干渉範囲R3とを表している。具体的には、例えば、被検体Pを上から平面で観察できる位置に配置されたカメラにより、架台装置10と天板33上の被検体Pとを撮影画像として撮影し、表示制御機能444は、当該撮影画像が表す被検体Pの右足の位置に、干渉範囲R3を表す画像を合成した画像を、表示画像としてディスプレイ42に表示することによって、操作者に通知する。ここで、被検体Pを上から観察できる平面とは、例えば、Z-X平面である。又は、架台装置10と天板33上の被検体Pとを上から平面で観察した場合の模式図をサンプル画像として用意しておき、表示制御機能444は、サンプル画像が表す被検体Pの右足の位置に、干渉範囲R3を表す画像を合成した画像を、表示画像としてディスプレイ42に表示することによって、操作者に通知してもよい。
【0062】
図9のステップS202では、調整指示を受け付けたか否かが判定される。例えば、判定機能447は、操作者からの調整指示の受け付けを待ち(ステップS202;No)、入力インターフェース43を介して操作者から調整指示を受け付ける(ステップS202;Yes)。この場合、図9において、図2と同様のステップS104、S110が実行される。
【0063】
以上、説明したとおり、第2の実施形態に係るX線CT装置1では、被検体Pが架台装置10の開口部100に送り込まれる前に、被検体Pが架台装置10と干渉すると判定された場合、当該干渉する干渉範囲R3を操作者に通知する。そのため、第2の実施形態に係るX線CT装置1では、被検体Pと架台装置10との干渉による撮影の中断や撮り直しを防止し、不要被曝を低減することができる。
【0064】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、撮影処理(ステップS110)において、更に被検体Pが架台装置10の開口部100に送り込まれる過程で、被検体Pが架台装置10と干渉すると判定された場合について説明する。以下では、第3の実施形態では、第1、第2の実施形態とは異なる処理を中心に説明する。
【0065】
図11は、第3の実施形態における撮影処理(ステップS110)の手順を示すフローチャートである。
【0066】
まず、図11において、図8と同様のステップS111が実行される。ステップS111では、天板33を移動させて、被検体Pを架台装置10の開口部100に送り込む。
【0067】
図11のステップS301では、送り込み中に干渉するか否かが判定される。具体的には、取得機能446は、被検体Pが架台装置10の開口部100に送り込まれる過程においても、位置センサ50から被検体位置情報L1を取得する。そして、当該過程において、判定機能447は、取得機能446が取得した被検体位置情報L1に基づいて、被検体Pが架台装置10と干渉するか否かを判定する。
【0068】
ここで、判定の結果、被検体Pが架台装置10と干渉しない場合(ステップS301;No)、図11において、図8と同様のステップS112、S113が実行される。
【0069】
一方、判定の結果、被検体Pが架台装置10と干渉する場合(ステップS301;Yes)、図11のステップS302が実行される。
【0070】
図11のステップS302では、天板33の位置の調整が行われる。具体的には、判定機能447は、被検体Pが架台装置10と干渉すると判定した場合、被検体位置情報L1と開口部位置情報とに基づいて、当該干渉を回避するための補正量を決定する。判定機能447は、決定した補正量に基づいて、天板33の位置を調整する。具体的には、判定機能447は、天板33の位置が補正量で調整されるように、寝台装置30の寝台駆動装置32を制御する。その後、図11において、図8と同様のステップS112、S113が実行される。
【0071】
以上、説明したとおり、第3の実施形態に係るX線CT装置1では、更に被検体Pが架台装置10の開口部100に送り込まれる過程において、被検体Pが架台装置10と干渉すると判定した場合に、判定の結果に基づいて、天板33の位置を調整する。そのため、第1の実施形態に係るX線CT装置1では、被検体Pと架台装置10との干渉による撮影の中断や撮り直しを防止し、不要被曝を低減することができる。
【0072】
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、撮影処理(ステップS110)において、更に被検体Pが架台装置10の開口部100に送り込まれる過程で、被検体Pが架台装置10と干渉すると判定された際に、天板33の位置調整により撮影範囲R2が架台装置10の開口部100内の撮影可能な範囲から外れるか否かを判定する場合について説明する。以下では、第4の実施形態では、第3の実施形態とは異なる処理を中心に説明する。
【0073】
図12は、第4の実施形態における撮影処理(ステップS110)の手順を示すフローチャートである。図13は、第4の実施形態に係るX線CT装置1による処理を説明するための図である。
【0074】
まず、図12において、図11と同様のステップS111、S301が実行される。ステップS301では、送り込み中に干渉するか否かが判定される。ここで、判定の結果、被検体Pが架台装置10と干渉する場合(ステップS301;Yes)、図12のステップS401が実行される。
【0075】
図12のステップS401では、天板33の位置調整により撮影範囲R2が架台装置10の開口部100内の撮影可能な範囲から外れるか否かが判定される。具体的には、判定機能447は、被検体Pが架台装置10と干渉すると判定した場合、被検体位置情報L1と開口部位置情報とに基づいて、当該干渉を回避するための補正量を決定する。そして、判定機能447は、決定した補正量に基づいて天板33の位置を調整する場合に、天板33の位置調整により撮影範囲R2が開口部100内の撮影可能な範囲R100(図13を参照)から外れるか否かを判定する。
【0076】
ここで、判定の結果、天板33の位置調整により撮影範囲R2が開口部100内の撮影可能な範囲R100から外れる場合(ステップS401;Yes)、図11のステップS402が実行される。
【0077】
図12のステップS402では、送り込みを中断させる。具体的には、判定機能447は、天板33の位置調整により撮影範囲R2が開口部100内の撮影可能な範囲R100から外れる場合に、寝台装置30の寝台駆動装置32を制御して、被検体Pの送り込みを中断させる。その後、図12において、図11と同様のステップS113が実行される。
【0078】
一方、判定の結果、天板33の位置調整により撮影範囲R2が開口部100内の撮影可能な範囲R100に含まれる場合(ステップS401;No)、図12において、図11と同様のステップS302、S112、S113が実行される。
【0079】
以上、説明したとおり、第4の実施形態に係るX線CT装置1では、被検体Pが架台装置10の開口部100に送り込まれる過程で、被検体Pが架台装置10と干渉すると判定された際に、天板33の位置調整により撮影範囲R2が架台装置10の開口部100内の撮影可能な範囲R100から外れる場合に、被検体Pの送り込みを中断させる。一方、天板33の位置調整により撮影範囲R2が開口部100内の撮影可能な範囲R100に含まれる場合、被検体Pが架台装置10と干渉すると判定した結果に基づいて、天板33の位置を調整する。そのため、第4の実施形態に係るX線CT装置1では、被検体Pと架台装置10との干渉による撮影の中断や撮り直しを防止し、不要被曝を低減することができる。
【0080】
(その他の実施形態)
これまで第1~第4の実施形態について説明したが、上述した第1~第4の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0081】
上述した実施形態では、被検体Pの移動により被検体Pが架台装置10の開口部100に送り込まれているが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、架台装置10の移動により被検体Pが架台装置10の開口部100に送り込まれてもよい。また、本実施形態は、立位CT装置のように、被検体Pが載置される寝台装置30を備えないX線CT装置に対しても適用可能である。
【0082】
上述した実施形態では、被検体Pが架台装置10と干渉すると判定された場合、表示制御機能444は、当該干渉する範囲を通知しているが、実施形態はこれに限定されない。例えば、表示制御機能444は、当該被検体Pが架台装置10と干渉する旨を、メッセージ等によりディスプレイ42に表示したり、音声出力したりすることによって、操作者に通知してもよい。
【0083】
上述した実施形態では、モダリティ装置としてX線CT装置1を例にして説明したが、X線CT装置1だけでなく、MRI装置、核医学診断装置(例えば、PET(Positron Emission Tomography)装置)等のモダリティ装置にも適用することができる。
【0084】
また、処理回路44は、ネットワークを介して接続された外部装置のプロセッサを利用して、機能を実現することとしてもよい。例えば、処理回路44は、メモリ41から各機能に対応するプログラムを読み出して実行するとともに、X線CT装置1とネットワークを介して接続された外部のワークステーションやクラウドを計算資源として利用することにより、図1に示す各機能を実現する。
【0085】
上述した実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。即ち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
【0086】
また、上述した実施形態で説明した制御方法は、予め用意された制御プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0087】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、被検体と架台装置との干渉を防止することができる。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0089】
1 X線CT装置
10 架台装置
30 寝台装置
33 天板
100 開口部
445 設定機能
446 取得機能
447 判定機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13