(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】シールドコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6592 20110101AFI20231211BHJP
【FI】
H01R13/6592
(21)【出願番号】P 2020095890
(22)【出願日】2020-06-02
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】高木 章義
(72)【発明者】
【氏名】石川 歩
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/050849(WO,A1)
【文献】特開2007-335379(JP,A)
【文献】特開2012-048990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/6592
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端末に端子が設けられた電線と、
前記端子を保持する絶縁性のハウジングと、
導電性の金属によって筒状に形成され、前記ハウジングの一部を内側に収容するシールドシェルと、
筒状に形成され、前記電線の一部を内側に収容する一方、前記シールドシェルの外側に配置され、前記シールドシェルを形成する金属とは異なる金属によってメッキされた導電性の編組体と、
導電性材料を含有し、かつ、絶縁性の合成樹脂によって筒状に形成され、前記編組体に設けられた導電性樹脂部材と、
前記シールドシェルに非接触の状態の前記編組体を前記シールドシェルに固定する固定部材と、
を備え、
前記固定部材によって前記編組体を前記シールドシェルに固定した状態では、前記導電性樹脂部材を介して前記シールドシェルと前記編組体とを電気的に接続することを特徴とする、
シールドコネクタ。
【請求項2】
前記導電性樹脂部材は、前記編組体の軸線方向における一方の端部を全周にわたって囲む折り返し部を含む、
請求項1に記載のシールドコネクタ。
【請求項3】
前記導電性材料は、導電性の炭素系材料である、
請求項1に記載のシールドコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
シールドコネクタは、電力供給電線と、導電性のシールドシェルと、導電性の編組体とを備え、編組体の内側に電力供給電線を収容する。そして、シールドコネクタは、シールドシェルと、編組体とを電気的に接続することによって、所望のシールド機能を発揮し、当該シールド機能によって、電力供給電線から発生するノイズがシールドシェルの外部及び編組体の外部に漏れることを抑制することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シールドシェルを形成する金属と、編組体をメッキする金属とが異なり、かつ、シールドシェルと編組体とが接触している箇所に水等の溶液がかかった場合には、シールドシェル及び編組体にガルバニック腐食が生じるおそれがある。そして、ガルバニック腐食が生じた場合には、シールドシェルと編組体との電気的接続に影響を与えるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、ガルバニック腐食が発生することを抑制することができるシールドコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係るシールドコネクタは、一方の端末に端子が設けられた電線と、前記端子を保持する絶縁性のハウジングと、導電性の金属によって筒状に形成され、前記ハウジングの一部を内側に収容するシールドシェルと、筒状に形成され、前記電線の一部を内側に収容する一方、前記シールドシェルの外側に配置され、前記シールドシェルを形成する金属とは異なる金属によってメッキされた導電性の編組体と、導電性材料を含有し、かつ、絶縁性の合成樹脂によって筒状に形成され、前記編組体に設けられた導電性樹脂部材と、前記シールドシェルに非接触の状態の前記編組体を前記シールドシェルに固定する固定部材と、を備え、前記固定部材によって前記編組体を前記シールドシェルに固定した状態では、前記導電性樹脂部材を介して前記シールドシェルと前記編組体とを電気的に接続することを特徴とする。
【0007】
また、上記シールドコネクタにおいて、前記導電性樹脂部材は、前記導電性樹脂部材は、前記編組体の軸線方向における一方の端部を全周にわたって囲む折り返し部を含む、ことが好ましい。
【0008】
また、上記シールドコネクタにおいて、前記導電性材料は、導電性の炭素系材料である、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るシールドコネクタは、上記構成を有するため、ガルバニック腐食が発生することを抑制することができるシールドコネクタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るシールドコネクタの斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係るシールドコネクタの断面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係るシールドコネクタの要部拡大断面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係るシールドコネクタにおいて、第1サブアッセンブリの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係るシールドコネクタにおいて、第2サブアッセンブリの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係るシールドコネクタの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
[実施形態]
図1は、本実施形態に係るシールドコネクタ100の斜視図である。
図2は、本実施形態に係るシールドコネクタ100の断面図である。
図3は、本実施形態に係るシールドコネクタ100の要部拡大断面図である。
図4は、本実施形態に係るシールドコネクタ100において、第1サブアッセンブリ101の分解斜視図である。
図5は、本実施形態に係るシールドコネクタ100において、第2サブアッセンブリ102の分解斜視図である。
【0013】
図1~
図5に示すように、X方向は、本実施形態におけるシールドコネクタ100の軸線方向である。Y方向は、軸線方向Xに直交するシールドコネクタ100の第1直交方向である。Z方向は、軸線方向X及び第1直交方向Yのそれぞれに直交するシールドコネクタ100の第2直交方向である。本明細書における軸線方向Xにおいて、相手方機器19側を前方側といい、これと反対側を後方側という場合がある。
【0014】
本実施形態に係るシールドコネクタ100は、例えば、自動車等の車両に使用されるワイヤハーネスWHに適用される。ワイヤハーネスWHは、例えば、車両に搭載される各電気機器間の接続のために、電力供給等に用いられる複数の電線W1を束にして集合部品とし、シールドコネクタ100等で各電線W1を各電気機器に接続するようにしたものである。ワイヤハーネスWHは、
図1に示すように、導電性を有する複数の電線W1を含むシールドコネクタ100を備える。ワイヤハーネスWHは、この他に、さらに、グロメット、プロテクタ、外装材、固定具等を含んで構成されてもよい。本実施形態に係るシールドコネクタ100は、例えば、ハイブリッド自動車、電気自動車等の車両において、インバータからモータへ電力を供給する電力供給用の電線W1を有するワイヤハーネスWHに用いられる。
【0015】
シールドコネクタ100は、例えば、複数の電線W1と相手方機器19とを電気的に接続する電線対電気機器接続用の接続機構に用いられるものである。
【0016】
本実施形態に係るシールドコネクタ100は、
図1~
図5に示すように、複数の電線W1と(端子11、12、13を含む)、ハウジング2(ハウジング本体部20、フロントホルダ2FH、及び、リアホルダ2RHを含む)と、パッキンPと、ゴム栓Gと、スペーサ3と、シールドシェル4と、導電性樹脂部材5と、編組体6と、固定部材7とを備える。本実施形態に係るシールドコネクタ100は、例えば、
図4に示す第1サブアッセンブリ101を組み立て、次に、
図5に示す第2サブアッセンブリ102を組み立てた後、第1サブアッセンブリ101に第2サブアッセンブリ102を組み付けて、シールドコネクタ100を形成する。そこで、最初に第1サブアッセンブリ101について説明する。第1サブアッセンブリ101は、電線W1、ハウジング2、ゴム栓G、及び、パッキンPで構成する。以下に、電線W1、ハウジング2、ゴム栓G、パッキンPについて説明する。
【0017】
各電線W1の一方の端末には端子W2がそれぞれ設けられる。例示する端子W2は雄端子である。シールドコネクタ100は、相手方機器19と嵌合することによって、端子W2と、相手方機器19の内部に収容される雌端子である相手方端子とを電気的に接続することができる。
【0018】
本実施形態に係るシールドコネクタ100は、複数の電線W1を備える。より具体的に説明すると、シールドコネクタ100は、例えば、3本の電線W1を備える。各電線W1は、端子W2をそれぞれ有する。従って、シールドコネクタ100は、3つの端子W2を有する。なお、本実施形態に係るシールドコネクタ100の3本の電線W1は同一の構成である。このため、3本の電線W1のうちの1本の第1電線W11について以下に説明し、残りの2本の電線W1である第2電線W12、及び、第3電線W13の説明を省略する。同様に、本実施形態に係るシールドコネクタ100の3つの端子W2は同一の構成である。このため、3つの端子W2のうちの1つの第1端子W21について以下に説明し、残りの2つの端子W2である第2端子W22、及び、第3端子W23の説明を省略する。
【0019】
図2に示す第1端子W21は、導電性を有する銅等の金属によって平板状に形成され、第1電線W11の第1芯線W11aの端末に電気的に接続される。第1端子W21は、軸線方向Xに沿って延在して相手方機器19の不図示の相手方端子と電気的に接続可能である。
【0020】
第1電線W11は、導電性の材料で形成された第1芯線W11aと、第1芯線W11aの周面を被覆する絶縁性の第1被覆部分W11bとを有する。第1電線W11の端末は、第1被覆部分W11bが除去されて第1芯線W11aが露出し、当該第1芯線11aが露出した箇所に第1端子W21が接続される。
【0021】
第1端子W21は、前方側に位置して相手方機器19(
図1参照)の不図示の相手方端子(雌端子)が接続される端子接続部W21aと、後方側に位置して第1電線W11の第1芯線W11aの端末が接続される電線接続部W21bとを有する。第1端子W21は、第1直交方向Yにおいて電線接続部W21bを貫通する端子係合孔と、電線接続部W21bから第1直交方向Yの一方側へ突出する電線係合爪とを有する。作業者は、電線W1にゴム栓Gを挿入した後、端子W2と電線W1とを接続する。
【0022】
ハウジング2は、端子W2を保持するものであって、絶縁性を有する合成樹脂で所定形状に形成される。本実施形態のハウジング2は、3つの端子W2を保持するものである。ハウジング2は、ハウジング本体部20と、リアホルダ2RHと、フロントホルダ2FHとを有する。ハウジング本体部20は、ハウジング筒状部21と、ハウジング突出部22とを有し、ハウジング筒状部21とハウジング突出部22とが一体で形成される。一方、リアホルダ2RH及びフロントホルダ2FHは、ハウジング本体部20と別体で形成される。
【0023】
ハウジング筒状部21は、内部に電線W1の一部を収容する筒状部空間部21Sを有し、ハウジング周壁21aによって軸線方向Xに沿う略長円筒状に形成される。つまり、ハウジング筒状部21は、軸線XLに沿って略長円筒状に形成される。
【0024】
ハウジング筒状部21は、後方側に位置し、第1直交方向Yにおいてハウジング周壁21aを貫通するハウジング貫通孔21bを有する。また、ハウジング筒状部21は、後方側に位置し、ハウジング周壁21aの外周面から外側へ向けて突出するハウジング爪部21cを有する。さらに、ハウジング筒状部21は、前方側に位置し、内部に端子W2を収容する端子収容部23を有する。本実施形態のハウジング筒状部21は、3つの端子収容部23を有する。本実施形態に係るシールドコネクタ100の3つの端子収容部23は同一の構成である。このため、3つの端子収容部23のうちの1つである第1端子収容部23aについて以下に説明し、残りの2つの端子収容部23である第2端子収容部23b、及び、第3端子収容部23cの説明を省略する。
【0025】
第1端子収容部23aは、ハウジング筒状部21から軸線方向Xにおける前方側へ向けて突出し、第1端子W21の電線接続部W21bを覆うフード部24を有する。フード部24は、第1端子W21の第2直交方向Zにおける一方の表面部を覆うフード壁部241aと、第1端子W21の第1直交方向Yにおける両側部を覆う一対のフード両側壁部241b、241cとを有する。
【0026】
第1端子収容部23aは、第1端子W21の位置決めを行う第1ハウジング爪部23d、及び、端子係合凹部23eと、フロントホルダ2FHの位置決めを行う第2ハウジング爪部23fとをさらに有する。第1ハウジング爪部23dは、基端が、第2直交方向Zにおける一方側に位置するフード壁部241aに位置する一方、先端が、フード壁部241aから第2直交方向Zにおける他方へ向けて突出する。端子係合凹部23eは、例えば、軸線方向Xに直交する平面を有する第1板部と、第1直交方向Yに直交する平面を有する第2板部と、第2直交方向Zに直交する平面を有する第3板部とによって構成される。このような端子係合凹部23eは、一対のフード両側壁部241b、241cにおけるいずれか一方のフード側壁部(例えば、側壁部241c)の前方側に位置する。
【0027】
第1ハウジング爪部23dは、端子係合孔部211に係合する一方、端子係合凹部23eは、端子係合爪部212に係合することによって、ハウジング2は、第1端子W21を保持するとともに、ハウジング2に対する第1端子W21の軸線方向X、第1直交方向Y、及び、第2直交方向Zの位置を決定する。
【0028】
ハウジング突出部22は、ハウジング筒状部21の軸線方向Xの中央部から径方向の外側へ向けて突出するように形成され、全体として軸線方向Xに沿う環状に形成される。ハウジング突出部22は、
図2に示すように、ハウジング筒状部21との間にパッキン収容空間部22Sを有し、当該パッキン収容空間部22Sには、パッキンPにおけるパッキン後方部P3が挿入される。
【0029】
ハウジング筒状部21とハウジング突出部22との間には、
図4に示すように、ハウジング筒状部21とハウジング突出部22とを連結するハウジングリブ25を、周方向Rへ間隔をあけて配置してある。
【0030】
図1、
図2に示すフロントホルダ2FHは、ハウジング本体部20が保持する端子W2が、ハウジング本体部20から脱落することを防止するものである。フロントホルダ2FHは、例えば、ホルダ本体部FH1と、3つの進入突部FH2と、3つの弾性変形部FH4とを有し、これらが一体で形成される。
【0031】
ホルダ本体部FH1は、内部にホルダ空間部FH1Sを有し、ホルダ周壁FH1aによって軸線方向Xに沿う略長円筒状に形成される。ホルダ周壁FH1aは、前方側に位置し、第2直交方向Zにおいて対向する背面壁F10と、正面壁F11とを有する。背面壁F10は、3つの端子収容部23の全体に対応して幅広に形成される。一方、正面壁F11は、3つの端子収容部23の個々に対応して、幅が狭い平板状に形成される。シールドコネクタ100が組み立てられた状態では、ホルダ空間部FH1Sに、端子1Wの電線接続部W21bが収容される。また、ホルダ本体部FH1は、後方側の端部における内周面に切欠FH1bを有する(
図2参照)。
【0032】
本実施形態のフロントホルダ2FHの3つの進入突部FH2は同一の構成である。このため、3つの進入突部FH2のうち第1直交方向Yの中央に位置する進入突部FH2について説明し、当該進入突部FH2における第1直交方向Yの両側に位置する進入突部FH2の説明を省略する。
【0033】
図2に示す進入突部FH2は、ホルダ本体部FH1から後方側へ向けて突出し、端子収容部23に進入する。進入突部FH2は、第2直交方向Zにおいて進入突部FH2を貫通するホルダ貫通孔FH3を有する。ホルダ貫通孔FH3は、ハウジング本体部20の第2ハウジング爪部23fを挿入することが可能である。
【0034】
本実施形態のフロントホルダ2FHの3つの弾性変形部FH4は同一の構成である。このため、3つの弾性変形部FH4のうち第1直交方向Yの中央に位置する弾性変形部FH4について説明し、当該弾性変形部FH4における第1直交方向Yの両側に位置する2つの弾性変形部FH4の説明を省略する。
【0035】
弾性変形部FH4は、ホルダ本体部FH1の内周面から径方向の内側に突出するホルダ先端部FH5を有し、弾性変形可能に形成してある。各弾性変形部F4は、先端に行くに従ってホルダ本体部FH1から徐々に離れるように、軸線方向Xおよび第2直交方向Zに対してそれぞれ傾斜する。弾性変形部FH4のホルダ先端部FH5は、第1端子W21の端子係合孔部211に挿入することが可能である。
【0036】
リアホルダ2RHは、ハウジング本体部20に組み付けられた状態で、複数の電線W1を保持するものである。リアホルダ2RHは、例えば、リア第1部RH1と、リア第2部RH2とを有し、第2直交方向Zにおいて、二分割が可能であって、リア第1部RH1とリア第2部RH2との間に複数の電線W1を挟持可能に構成してある。
【0037】
リア第1部RH1は、第1電線W11の一部を収容可能な弧状の第1収容部RH1aと、第2電線W12の一部を収容可能な弧状の第2収容部RH1bと、第3電線W13の一部を収容可能な弧状の第3収容部RH1cとを有する。また、リア第1部RH1は、ハウジング本体部20のハウジング爪部21cに係合可能な第1ホルダ係合凹部RH1dを2つ有する。
【0038】
リア第2部RH2は、第1電線W11の一部を収容可能な弧状の第4収容部RH2aと、第2電線W12の一部を収容可能な弧状の第5収容部RH2bと、第3電線W13の一部を収容可能な弧状の第6収容部RH2cとを有する。また、リア第2部RH2は、ハウジング本体部20のハウジング爪部21cに係合可能な第2ホルダ係合凹部RH2dを2つ有する。
【0039】
ゴム栓Gは、弾性を有する合成ゴムによって形成してある。このシールドコネクタ100は、3つのゴム栓Gを有する。本実施形態の3つのゴム栓Gは同一の構成である。このため、3つのゴム栓Gのうち第1直交方向Yの中央に位置するゴム栓Gについて説明し、当該ゴム栓Gにおける第1直交方向Yの両側に位置する2つのゴム栓Gの説明を省略する。ゴム栓Gは、円筒状に形成してあり、軸線方向Xにおいて、ゴム栓Gを貫通するゴム貫通孔G1を有する。このようなゴム栓Gは、ゴム貫通孔G1に電線W1を挿入した状態で、径方向において、電線W1の外周面と、ハウジング本体部20の内周面との間に配置する。そして、ゴム栓Gは、電線W1及びハウジング本体部20に圧縮されることによって、電線W1及びハウジング本体部20に密着するため、ハウジング本体部20の後方側において、電線W1とハウジング本体部20との間から端子収容部23の内部に水が浸入するのを防止する。
【0040】
パッキンPは、弾性を有する合成ゴムによって弾性変形可能に形成してある。パッキンPは、軸線方向Xに対して直角に交差する平面において環状に形成される。パッキンPは、
図2に示すように、軸線方向Xの中央部に位置するパッキン本体部P1と、パッキン本体部P1から前方側へ向けて突出するパッキン前方部P2と、パッキン本体部P1から後方側へ向けて突出するパッキン後方部P3とを有し、これらが一体で形成される。
【0041】
パッキン本体部P1は、パッキンPにおいて、最も厚さが厚く、径方向の外側へ向けて突出するリップ部P11を有する。リップ部P11は、シールドコネクタ100が相手方機器19に取り付けられた状態で、相手方機器19の壁部の内周面に接触し、シールドコネクタ100と相手方機器19との間から水等の異物が浸入することを防止する。パッキン前方部P2は、平板状に形成してある。パッキン後方部P3は、平板状に形成してある。
【0042】
これらのような
図4に示すフロントホルダ2FH、リアホルダ2RH、ゴム栓G、及び、パッキンPは、以下のようにしてハウジング本体部20に組み付けることによって、シールドコネクタ100の第1サブアッセンブリ101を組み立てる。
【0043】
作業者は、先ず、ゴム栓Gのゴム貫通孔G1に電線W1を挿入した後、電線W1の端末に端子W2を取り付ける。
【0044】
次に、作業者は、ハウジング本体部20の後方側に、端子W2を取り付けた電線を配置し、不図示の治具によってハウジング本体部20を固定した状態において、端子W2を後方側から前方側へ移動させ、各端子収容部23に端子W2をそれぞれ配置する。端子収容部23に端子W2が配置された状態では、端子係合孔部211に第1ハウジング爪部23dが係合し、ハウジング本体部20に端子W2が保持される。
【0045】
次いで、作業者は、ハウジング本体部20の前方側にフロントホルダ2FHを配置し、かつ、ハウジング本体部20とフロントホルダ2FHとの間にパッキンPを配置する。そして、作業者は、例えば、不図示の治具に固定したハウジング本体部20に対してフロントホルダ2FHを後方側へ移動させて、ハウジング本体部20に、フロントホルダ2FH及びパッキンPを組み付ける。この状態では、パッキン前方部P2が、ホルダ本体部FH1の切欠FH1bに挿入され、ハウジング本体部20の外周面と、フロントホルダ2FHの内周面との間に位置する。加えて、この状態では、パッキン後方部P3が、ハウジング本体部20のパッキン収容空間部22Sに収容される。さらに、この状態では、フロントホルダ2FHの進入突部FH2が、ハウジング本体部20の端子収容部23に進入し、第2ハウジング爪部23fがホルダ貫通孔FH3に挿入され、かつ、弾性変形部FH4が端子係合孔部211に挿入される。そして、フロントホルダ2FHがハウジング本体部20に組み付けられた状態では、
図2に示すように、フロントホルダ2FHの正面壁F11が、ハウジング本体部20の第1ハウジング爪部23dに対向して位置し、端子W2がハウジング本体部20から脱落することが防止される。
【0046】
作業者は、次いで、ハウジング本体部20の後方側において、リアホルダ2RHのリア第1部RH1とリア第2部RH2とを、第2直交方向Zへ離隔させた状態で配置する。そして、リア第1部RH1とリア第2部RH2との間に3本の電線W1を配置した後、第2直交方向Zにおいて、リア第1部RH1とリア第2部RH2とを近接させ、これら3本の電線W1をリア第1部RH1とリア第2部RH2とで挟持する。その後、作業者は、例えば、不図示の治具に固定したハウジング本体部20に対してリアホルダ2RHを前方側へ移動させ、リアホルダ2RHを筒状部空間部21Sに進入させる。この際、作業者は、ハウジング爪部21cと第1ホルダ係合凹部RH1dとを係合し、かつ、ハウジング爪部21cと第2ホルダ係合凹部RH2dとを係合して、リアホルダ2RHをハウジング本体部20に組み付ける。このようにして、フロントホルダ2FH、リアホルダ2RH、ゴム栓G、及び、パッキンPは、ハウジング本体部20に組み付けられ、第1サブアッセンブリ101の組み立てが終了する。
【0047】
次に、第2サブアッセンブリ102を構成するスペーサ3、シールドシェル4、導電性樹脂部材5、編組体6、及び、シールドリングである固定部材7について説明する。
【0048】
スペーサ3は、絶縁性の合成樹脂によって軸線方向Xに沿って略筒状に形成される。つまり、スペーサ3は、軸線XLに沿って略筒状に形成される。スペーサ3は、軸線方向Xにおいて、シールドシェル4と相手方機器19との間に位置する。スペーサ3は、
図5に示すように、スペーサ筒状部31と、スペーサ突出部32とを有し、これらが一体で形成される。
【0049】
スペーサ筒状部31は、内部にスペーサ空間部31Sを有し、軸線方向Xに沿う略長円筒状に形成される。
【0050】
スペーサ突出部32は、スペーサ筒状部31における径方向の外側に位置する端部から、さらに径方向の外側へ向けて突出し、径方向の外側における端部から前方側へ向けて突出するように形成される。スペーサ突出部32は、スペーサフランジ部32aと、板状のスペーサ板状部32bとを有する。スペーサフランジ部32a及びスペーサ板状部32bは、第1直交方向Yにおける一方側から視た場合には、L字状に連結される。
【0051】
スペーサフランジ部32aは、全体として軸線方向Xに沿う略長円環状に形成される。
スペーサフランジ部32aは、軸線方向Xにおいて、後方側に位置する端面32fから、さらに後方側へ向けて突出するスペーサ爪部32a1を有する。本実施形態のスペーサフランジ部32aは、4つのスペーサ爪部32a1を有する。
【0052】
スペーサ爪部32a1は、
図2に示すように、軸線方向Xにおける前方側から後方側へ向けて延在するスペーサ基端部3211と、スペーサ基端部3211の後方側の端部から折れ曲がる折曲部3212と、折曲部3212の前方側の端部からさらに前方側へ向けて突出する先端部3213とを有し、全体としてU字状に形成される。スペーサ爪部32a1は、シールドシェル4の後述する第1シェル貫通孔42a1に係合する。スペーサ爪部32a1と第1シェル貫通孔42a1とが係合した状態では、端面32fと先端部3213との間に後述するシェルフランジ部42aが挟持され、スペーサ3がシールドシェル4に組み付けられる。
【0053】
スペーサ板状部32bは、第2直交方向Zにおいて、スペーサフランジ部32aの一方側の端部から軸線方向Xにおける前方側へ向けて突出するように形成される。
【0054】
スペーサ板状部32bは、第2直交方向Zにおいてスペーサ板状部32bを貫通するスペーサ貫通孔32b1を有する。スペーサ貫通孔32b1は、例えば、円形状に形成される。本実施形態のスペーサ板状部32bは、例えば、4つのスペーサ貫通孔32b1を有する。スペーサ貫通孔32b1には、カラー33を設けてある。
【0055】
カラー33は、例えば、スペーサ3よりも剛性が大きい金属等によって形成される。本実施形態のスペーサ3は、2つのカラー33を有し、これらのカラー33は、インサート成型等の一体成型によってスペーサ3とともに形成される。本実施形態のシールドコネクタ100は、例えば、2つのカラー33を不図示の金型に収容した後、当該金型の内側に溶融した樹脂が射出されて充填され、その後、金型に充填された樹脂が冷却されて固化されることにより、カラー33がスペーサ3に組み付けられた状態で形成される。
【0056】
シールドシェル4は、導電性を有する金属によって軸線方向Xに沿って略筒状に形成される。つまり、シールドシェル4は、軸線XLに沿う略筒状に形成される。本実施形態のシールドシェル4は、導電性を有するアルミニウム、又は、アルミニウム合金で形成される。シールドシェル4は、
図2に示すように、ハウジング本体部20の外側に位置して当該ハウジング本体部20の一部を収容するものである。つまり、シールドシェル4は、ハウジング2の一部を内側に収容するものである。シールドシェル4は、
図5に示すように、シェル筒状部41と、シェル突出部42とを有し、これらが一体で形成される。
【0057】
シェル筒状部41は、内部にシェル空間部41Sを有し、シェル周壁41aによって軸線方向Xに沿う略長円筒状に形成される。シェル筒状部41は、内周面から径方向の内側へ突出する不図示のシェル爪部を有する。本実施形態のシェル爪部は、シェル筒状部41において、後方側から前方側へ凹む凹部41bにおける後方側の端部にそれぞれ設けてある。シェル筒状部41の外周面4oには、径方向の外側から内側へ向けて凹むシェル凹部41cを形成してある(
図3参照)。シェル凹部41cは、シェル筒状部41の外周面4oに沿い、かつ、軸線XLに対する周方向Rに連続して延在する。また、シェル筒状部41の後方側の外周面4oは、軸線XLと直交する方向において、外側へ向けて突出するでっぱりのない曲面に形成される。
【0058】
シェル突出部42は、シェル筒状部41の前方側の端部から径方向の外側へ向けて突出し、その後、径方向における外側の端部から前方側へ向けてさらに突出するように形成される。シェル突出部42は、シェルフランジ部42aと、板状のシェル板状部42bとを有する。シェルフランジ部42a及びシェル板状部42bは、第1直交方向Yにおける一方側から視た場合には、L字状に連結される。
【0059】
シェルフランジ部42aは、全体として軸線方向Xに沿う略長円環状に形成される。シェルフランジ部42aは、軸線方向Xにおいてシェルフランジ部42aを貫通する第1シェル貫通孔42a1を有する。第1シェル貫通孔42a1は、例えば、矩形状に形成される。本実施形態のシェルフランジ部42aは、4つの第1シェル貫通孔42a1を有する。
【0060】
シェル板状部42bは、第1直交方向Yにおいてシェル板状部42bを貫通する第2シェル貫通孔42b1を有する。第2シェル貫通孔42b1は、例えば、円形状に形成される。第2シェル貫通孔42b1の内径は、カラー33の内径と同一である。本実施形態のシェル板状部42bは、4つの第2シェル貫通孔42b1を有する。
【0061】
図5に示す導電性樹脂部材5は、編組体6に設けられる。導電性樹脂部材5は、導電性材料を含有し、かつ、絶縁性の合成樹脂によって軸線方向Xに沿う二重の略筒状に形成される。つまり、導電性樹脂部材5は、軸線XLに沿う略筒状に形成される。本実施形態の導電性樹脂部材5は、絶縁性を有する合成樹脂の中に導電性材料である導電性の炭素等が含まれ、全体として導電性を有する。炭素は、例えば、導電性を有するカーボンブラックである。また、炭素は、絶縁性の合成樹脂の剛性よりも高い剛性を有するものが好ましい。本実施形態の導電性樹脂部材5は、内側に位置する基部5aと、基部5aにおける前方側の端部から外側へ向けて折り返される折り返し部5bとを有する。つまり、基部5aは、径方向の内側に位置し、折り返し部5bが径方向の外側に位置し、基部5aの前方側と折り返し部5bの前方側とが連結される。
【0062】
基部5aは、軸線方向Xに沿う略長円筒状に形成され、編組体6の内周面6iに沿って周方向Rに連続して延在する(
図3、
図5参照)。また、基部5aは、外力が加えられていない状態では、内周面5ai及び外周面5aoに突出する凸部、及び、凹む凹部が存在しない。その上、基部5aの内周面5aiは、
図3に示すように、シールドシェル4の外周面4oと接触する。このため、導電性樹脂部材5は、シールドシェル4に電気的に接続される。その上、本実施形態の導電性樹脂部材5における基部5aの外周面5aoは、編組体6の内周面6iに接触する。このため、導電性樹脂部材5は、編組体6に電気的に接続される。これらによって、シールドコネクタ100は、導電性樹脂部材5を介して、シールドシェル4と編組体6とが電気的に接続される。これによって、シールドコネクタ100は、所望のシールド機能を発揮し、当該シールド機能によって、電力供給用の電線W1から発生するノイズがシールドシェル4の外部及び編組体6の外部に漏れることを抑制することができる。また、シールドコネクタ100の軸線方向Xに対する直交方向において、シールドシェル4と編組体6との間には、導電性樹脂部材5の一部(基部5a)が位置するため、シールドシェル4の外周面4oと、編組体6の内周面6iとの間には、樹脂部材空間部5Sが形成される。したがって、本実施形態のシールドコネクタ100は、導電性樹脂部材5によって、シールドシェル4と編組体6とが非接触の状態になる。
【0063】
折り返し部5bは、軸線方向Xに沿って略長円筒状に形成され、編組体6の外周面6oに沿って周方向Rに連続して延在する。このため、折り返し部5bは、編組体6における一方の端部6aを全周にわたって囲む。折り返し部5bは、外力が加えられていない状態では、内周面5ai及び外周面5aoに突出する凸部、及び、凹む凹部が存在しない。
【0064】
図5に示す編組体6は、導電性を有する金属を編み込み、かつ、編み込んだ金属の表面に、導電性を有する金属のメッキ層を設けることによって形成してある。本実施形態のメッキ層は、錫メッキ層である。つまり、本実施形態のシールドコネクタ100は、編組体6のメッキ層を形成する金属と、シールドシェル4を形成する金属とが異なる。編組体6は、前方側部分61と後方側部分62と縮径部分63とを有するように、軸線方向Xに沿って略筒状に形成してある。つまり、編組体6は、軸線XLに沿う筒状に形成される。前方側部分61は、軸線方向Xにおいて前方側に配置され、略長円筒状に形成される。前方側部分61は、軸線方向Xにおける前方側に端部61aを有し、端部61aによって前方側開口61bが形成される。後方側部分62は、軸線方向Xにおいて後方側に配置され、略長円筒状に形成される。編組体6は、後方側部分62の径方向の長さが、前方側部分61の径方向の長さよりも小さくなるように形成される。また、後方側部分62は、軸線方向Xに延在する。縮径部分63は、軸線方向Xにおいて、前方側部分61と後方側部分62との間に配置され、略長円筒状に形成される。縮径部分63は、軸線方向Xにおいて、前方側から後方側へ向かうに従って径方向の大きさが徐々に小さくなる。
【0065】
前方側部分61は、
図3に示すように、導電性樹脂部材5の基部5aと折り返し部5bとの間に挟持される。また、前方側部分61は、軸線方向Xと交差する方向において、導電性樹脂部材5の基部5aと折り返し部5bとの間に挟持される積層部分61cを有する。
【0066】
固定部材7は、例えば、筒状のシールドリングである。固定部材7は、略長円環状の金属製メタルタイ又は圧着リングで構成される。固定部材7の内側には、軸線方向Xにおける中央に位置し、径方向の外側から内側へ向けて突出する固定部材凸部7aを有する。固定部材凸部7aは、シェル凹部41cに係合可能である。固定部材凸部7aは、固定部材7における軸線方向Xの途中に位置する。そして、固定部材凸部7aは、導電性樹脂部材5の折り返し部分5bを径方向の内側へ押圧して、折り返し部分5bと編組体6とを接触させ、かつ、導電性樹脂部材5の基部5aを径方向の内側へ押圧して、基部5aとシールドシェル4とを接触させる。固定部材7は、編組体6の積層部分61cの外側に位置し、径外方向から径内方向へ縮径させることによって、シールドシェル4と導電性樹脂部材5とを接触させ、かつ、導電性樹脂部材5と編組体6とを接触させる。つまり、シールドコネクタ100は、導電性樹脂部材5を介して、編組体6と導電性樹脂部材5とを適正に電気的に接続し、かつ、導電性樹脂部材5とシールドシェル4とを電気的に接続する。したがって、シールドコネクタ100は、導電性樹脂部材5を介して、シールドシェル4と編組体6とを電気的に接続する。これらによって、シールドコネクタ100は、シールドシェル4と、編組体6とを電気的に接続することによって、所望のシールド機能を発揮し、当該シールド機能によって、電力供給用の電線W1から発生するノイズがシールドシェル4の外部及び編組体6の外部に漏れることを抑制することができる。加えて、この状態におけるシールドコネクタ100は、導電性樹脂部材5がシールドシェル4と編組体6との間に位置するため、シールドシェル4と編組体6とが非接触の状態である。
【0067】
これらのような
図5に示すスペーサ3、導電性樹脂部材5、編組体6、及び、固定部材7は、以下のようにしてシールドシェル4に組み付けることによって、シールドコネクタ100の第2サブアッセンブリ102を組み立てる。
【0068】
作業者は、先ず、不図示の治具によってシールドシェル4を固定した後、シールドシェル4の前方側にスペーサ3を配置する。
【0069】
作業者は、次に、シールドシェル4に対してスペーサ3を軸線方向Xの後方側に移動させ、第1シェル貫通孔42a1にスペーサ爪部32a1を係合させ、シールドシェル4にスペーサ3を組み付ける。
【0070】
作業者は、次いで、固定部材7の内側に、編組体6の軸線方向Xにおける一方の端部を挿入する。
【0071】
作業者は、次に、導電性樹脂部材5において、基部5aと折り返し部5bとを軸線方向Xに沿って並べ、基部5aに対して径方向の内側にシールドシェル4の外周面4oを挿入する。
【0072】
作業者は、次いで、基部5aの外周面5aoの外側に、編組体6の前方側部分61を配置する。
【0073】
作業者は、次に、導電性樹脂部材5の軸線方向Xにおいて、基部5aに対して折り返し部5bを折り返し、編組体6における前方側部分61の外周面6oの外側に折り返し部5bを配置する。
【0074】
作業者は、最後に固定部材7を縮径させて、シールドシェル4に、導電性樹脂部材5、編組体6及び固定部材7を組み付ける。このようにして、スペーサ3、導電性樹脂部材5、編組体6、及び、固定部材7は、シールドシェル4に組み付けられ、第2サブアッセンブリ102の組み立てが終了する。
【0075】
次に、作業者は、第1サブアッセンブリ101に第2サブアッセンブリ102を組み付ける。より具体的に説明すると、
図4に示すハウジング本体部20のハウジング貫通孔21bに、
図5に示すシールドシェル4の凹部41bに対応して形成されたシェル爪部を係合することによって、第1サブアッセンブリ101に第2サブアッセンブリ102が組み付けられ、
図1に示すシールドコネクタ100が組み立てられる。
【0076】
このようなシールドコネクタ100において、
図1に示すように、頭部18a及びネジ部18bを有するボルト18と不図示のナットとを用い、作業者は、ネジ部18bの先端を相手方機器19の不図示のボルト貫通孔に挿入し、かつ、ネジ部18bの先端をカラー33及び第2シェル貫通孔42b1に挿入する。次に、作業者は、ネジ部18bとナットとを締結することによって、相手方機器19にシールドコネクタ100を組み付ける。
【0077】
本実施形態に係るシールドコネクタ100は、以下の構成を有する。本実施形態に係るシールドコネクタ100は、シールドシェル4と編組体6とを非接触の状態で編組体6をシールドシェル4に固定する固定部材7を備える。そして、固定部材7によって編組体6をシールドシェル4に固定した状態では、導電性樹脂部材5を介してシールドシェル4と編組体6とを電気的に接続する。そのため、本実施形態に係るシールドコネクタ100は、シールドシェル4と編組体6とを非接触の状態で、導電性樹脂部材5を介してシールドシェル4と編組体6とを電気的に接続することができる。この結果、本実施形態に係るシールドコネクタ100は、シールドシェル4、及び、編組体6にガルバニック腐食が発生することを抑制することができる。その上、本実施形態に係るシールドコネクタ100は、導電性樹脂部材5を介してシールドシェル4と編組体6とを電気的に接続するため、シールドシェル4と編組体6との導通性が低下することを抑制でき、これによって、所望のシールド性能を維持することができる。さらに、その上、本実施形態に係るシールドコネクタ100は、シールドシェル4、及び、編組体6にガルバニック腐食が発生することを抑制することができるため、耐久性を向上することができる。
【0078】
本実施形態に係るシールドコネクタ100は以下の構成を有する。導電性樹脂部材5は、編組体6の軸線方向Xにおける一方の端部6aを全周にわたって囲む折り返し部5bを含む。このため、本実施形態に係るシールドコネクタ100は、折り返し部5bによって、編組体6の軸線方向Xにおける一方の端部6aが、他の部品に接触することを防止することができる。従って、本実施形態のシールドコネクタ100は、編組体6を折り返すこと、及び、編組体6の軸線方向Xにおける一方の端部6aを覆う別の部品を設けること等の他の手段を設けることなく、編組体6の軸線方向Xにおける一方の端部がほつれることを防止することができる。
【0079】
本実施形態に係るシールドコネクタ100は以下の構成を有する。導電性材料は、導電性の炭素系材料である。このため、本実施形態に係るシールドコネクタ100は、絶縁性の合成樹脂よりも導電性材料である炭素系材料が硬質であるため、導電性樹脂部材5の剛性を向上することができる。従って、本実施形態のシールドコネクタ100は、導電性樹脂部材5の弾性変形を抑制することができる。これにより、本実施形態に係るシールドコネクタ100は、軸線を含む断面視において、シールドシェル4と編組体6との間に導電性樹脂材料を配置すれば、シールドシェル4と編組体6とのクリアランスを確保することができ、シールドシェル4と編組体6との非接触状態を維持することができる。
【0080】
なお、上述した実施形態には、車両内のインバータやモータ等へ電力を供給する電力供給用の電線W1に使用されるシールドコネクタ100を説明した。しかし、本実施形態は、それに限られず、車両内の各種電子機器へ電気信号を送受信する信号線にシールドコネクタ100を使用することができる。信号線にシールドコネクタ100を使用すれば、外部のノイズが信号線に侵入することを抑制することができる。
【0081】
また、上述した実施形態のシールドコネクタ100は、電線W1対電気機器接続用の接続機構に用いられるシールドコネクタ100を説明した。しかし、本実施形態に係るシールドコネクタ100は、それに限られず、電線W1対電線W1用の接続機構に用いるシールドコネクタ100に適用することができる。
【0082】
さらに、上述した実施形態の導電性樹脂部材5は、絶縁性を有する合成樹脂の中に充填材である導電性の炭素等が含まれるものを説明した。しかし、この発明は、それに限られず、導電性樹脂部材5は、絶縁性を有する合成樹脂の中に充填材である導電性の金属が含まれるものでもよい。導電性樹脂部材5は、充填材に導電性の金属を用いる場合、ガルバニック腐食の発生を抑えるため、シールドシェル4の形成に用いる金属、及び、編組体6のメッキに用いる金属と同種金属、又は、標準電極電位の差が近い異種金属を用いることが好ましい。ガルバニック腐食は、標準電極電位の差がある異種金属が接触する箇所に水等の溶液がかかる場合に発生する。しかし、ガルバニック腐食は、標準電極電位の差が近い異種金属が接触する場合には、その発生を抑えることができる。標準電極電位の差が小さい金属のグループとしては、例えば、アルミニウムと亜鉛と鉄のグループがある。
【0083】
さらに、上述した実施形態のシールドシェル4は、導電性を有するアルムニウム、又は、アルミニウム合金で形成されるものを説明した。しかし、本実施形態は、それに限られず、導電性を有する他の金属によってシールドシェル4を設けてもよい。
【0084】
また、上述した実施形態の編組体6は、導電性を有する金属を編み込み、かつ、編み込んだ金属の表面に錫メッキ層を設けるものを説明した。しかし、本実施形態は、それに限られず、導電性を有する他の金属によってメッキ層を設けてもよい。
【符号の説明】
【0085】
2 ハウジング
4 シールドシェル
5 導電性樹脂部材
5b 折り返し部
6 編組体
6a 一方の端部
7 固定部材
100 シールドコネクタ
W1 電線
W11 第1電線(電線)
W12 第2電線(電線)
W13 第3電線(電線)
W2 端子
W21 第1端子(端子)
W22 第2端子(端子)
W23 第3端子(端子)