(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】ベリリウム-銅合金から形成される金属リング
(51)【国際特許分類】
C22F 1/08 20060101AFI20231211BHJP
C22C 9/00 20060101ALI20231211BHJP
C22F 1/00 20060101ALN20231211BHJP
【FI】
C22F1/08 M
C22C9/00
C22F1/00 624
C22F1/00 682
C22F1/00 683
C22F1/00 691B
C22F1/00 694B
C22F1/00 684C
C22F1/00 691C
C22F1/00 692B
C22F1/00 694A
C22F1/00 630A
C22F1/00 630C
C22F1/00 630K
C22F1/00 661A
C22F1/00 631A
C22F1/00 631B
C22F1/00 604
(21)【出願番号】P 2020527012
(86)(22)【出願日】2018-11-16
(86)【国際出願番号】 US2018061524
(87)【国際公開番号】W WO2019099830
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-11-11
(32)【優先日】2017-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508348680
【氏名又は名称】マテリオン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】シルム, ジェフリー エム.
(72)【発明者】
【氏名】ダムシュローダー, クリストファー ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ロンジェンバーガー, エドワード ビー.
(72)【発明者】
【氏名】マクブライド, ジェフリー エー.
【審査官】山本 佳
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102212712(CN,A)
【文献】特表平11-504265(JP,A)
【文献】特表2011-527731(JP,A)
【文献】国際公開第2014/069303(WO,A1)
【文献】特開昭59-059851(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0216817(US,A1)
【文献】Lamineries MATTHEY SA,Guide to High Performance Alloys,スイス,2012年,URL:www.matthey.ch/fileadmin/user_upload/brochure/guide_to_hp_alloys.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22F 1/08
C22C 9/00 ー 9/10
C22F 1/00
B22D 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
BeCu合金から金属リングを作製するためのプロセスであって、
BeCu合金ビレットを800℃~850℃の温度において予熱することと、
前記ビレットを750℃~850℃の温度において輪形状のプリフォームに鍛造することと、
前記プリフォームを815℃~835℃の温度において均熱させることと、
前記プリフォームを750℃~850℃の温度においてリング圧延し、ある壁厚を有するリングを形成することと、
前記リングを780℃~800℃の温度において溶体化焼鈍し、前記リングを急冷させることが即座に続くことと、
前記リングを385℃~400℃の温度において熱処理することと
を含む、プロセス。
【請求項2】
前記予熱することは、少なくとも8時間の期間にわたって生じる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記均熱させることは、
少なくとも2時間
の期間にわたって生じる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記均熱させることは、鍛造することの後に前記プリフォーム
を600℃以下の温度まで冷却した
後、少なくとも8時間の期間にわたって実施される、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記溶体化焼鈍することは、少なくとも1.5時間の期間にわたって生じる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記熱処理することは、3時間の期間にわたって生じる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
393℃の温度において前記3時間の期間を開始することと、前記温度を400℃まで上昇させることと、前記リングを、残りの時間期間にわたって、前記400℃の温度において熱処理することとをさらに含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記予熱することおよび均熱させることは、それぞれ、820℃の温度において実施される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記リング圧延することは、前記壁厚を少なくとも50
%低減させる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記溶体化焼鈍することは、前記リングの壁厚の25mm毎に30分の期間にわたって実施される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記リング圧延することおよび前記熱処理することの両方の後に前記リングを空冷することをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
金属リングを作製するためのプロセスであって、
1.6重量%~2.0重量%のベリリウムを含むBeCu合金から作製されるビレットを提供することと、
前記ビレットを、少なくとも8時間の期間にわたって、800℃~850℃の温度において予熱することと、
輪形状のプリフォームを、750℃~850℃の温度において前記ビレットから形成することと、
前記プリフォームを、2時間~8時間の期間にわたって、815℃~835℃の温度において均熱させることと、
前記プリフォームを、前記プリフォームが均一な壁厚を有するまで、750℃~850℃の温度においてリング圧延し、空冷することが続くことと、
前記プリフォームを、少なくとも1.5時間の期間にわたって、780℃~800℃の温度において溶体化焼鈍し、急冷媒体内で急冷させることが即座に続くことと、
前記プリフォームを、3時間の期間にわたって、385℃~400℃の温度において熱処理し、空冷することが続くことと、
前記プリフォームを機械加工し、所望される形状を有する前記金属リングを形成することと
を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、参照することによって本明細書に完全に組み込まれる、2017年11月17日に出願された、米国仮特許出願第62/587,533号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、アモルファス金属を鋳造するために使用される、金属縁またはリングに関する。特に、本開示のリングは、ベリリウム-銅合金から作製される。それを作製するためのプロセスが、開示され、とりわけ、それに関して説明されるであろう。
【背景技術】
【0003】
ベリリウム-銅(「BeCu」)合金は、それらの熱伝導性、強度、靭性、衝撃エネルギー、および耐腐食性の優れた組み合わせのために注目に値する。BeCu合金の付加的利点は、比較的に高い導電性と、超音波検査性と、良好な熱管理とを含む。本性質の組み合わせは、BeCu合金を広い範囲の用途に関して望ましいものにしてきた。しかしながら、BeCu合金のより経済的な処理が、求められる。
【0004】
従来の金属リングは、表面品質寿命、延性、形成性、超音波検査性、伝導性、および微粒化の欠如に関連する問題を被っている。本明細書に開示される金属リングは、製品の製造を容易にし、コストを低減させながら、これらの課題に対処する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、微細かつ均一な粒状構造を有するBeCu金属リング、およびそれを形成するためのプロセスに関する。未加工のBeCu鋳造物が、予め鍛造され、BeCuビレットを形成するように変化される。一般に、熱処理および冷却サイクルが、実施され、リングが長い時間期間にわたって表面品質を維持することを可能にする材料性質を達成しながら、同時に、顧客が各鋳造リングからより高い生産性を得ることを可能にする。非常に大まかには、BeCuビレットは、予熱され、鍛造するステップを介して熱間加工され、再度加熱され、リング圧延するステップを介して再度熱間加工され、空冷するステップが続き、溶体化焼鈍され、急冷させるステップが続き、最後に、加熱され、空冷するステップが続く。
【0006】
本明細書の種々の実施形態に開示されるものは、BeCu合金から作製されるビレットを提供するステップを含む、金属リングを作製するためのプロセスである。ビレットは、少なくとも8時間の期間にわたって、約820℃を含む、約800℃~約850℃の温度において予熱される。ビレットは、次いで、ビレットを約750℃~約850℃の温度において輪形状のプリフォームに鍛造することによって熱間加工される。鍛造するステップは、輪形状のビレットを作成するための、プレス鍛造するステップと、穿刺するステップとを含むことができる。
【0007】
次いで、プリフォームは、約820℃を含む、約815℃~約835℃の温度において均熱される。本均熱させるステップは、少なくとも2時間、または少なくとも8時間の期間にわたって行われることができる。いくつかの特定の実施形態では、プリフォームは、プリフォームが約600℃以下の温度まで冷却した場合、少なくとも8時間の期間にわたって均熱される。プリフォームは、次いで、750℃~約850℃の温度においてプリフォームをリング圧延するステップを介して再度熱間加工され、望ましくは、リングの円周を中心として実質的に均一である、壁厚を有する、リングを形成する。
【0008】
リング圧延するステップの後、リングは、空冷される。リングは、次いで、少なくとも1.5時間の期間にわたって、約780℃~約800℃の温度において溶体化焼鈍される。溶体化焼鈍するステップに即座に続いて、リングは、(水等の)急冷媒体内で急冷される。概して、急冷媒体は、急冷させるステップの前で約40℃の最高温度、急冷させるステップの後で約50℃の最高温度を有する。リングは、次いで、約3時間の期間にわたって、約385℃~約400℃の温度において熱処理することによって時効硬化される。特定の実施形態では、約3時間の期間は、約393℃の温度において開始し、温度は、約400℃まで上昇される。400℃の温度は、次いで、残りの時間期間にわたって維持される。熱処理するステップの後、リングは、空冷される。
【0009】
いくつかの実施形態では、機械加工するステップが、最終的な所望される形状を達成するために、リング上で実施されることができる。
【0010】
金属リングを作製するために使用されるBeCu合金は、約1.8重量%~約2.0重量%および約1.6重量%~約1.85重量%を含む、約1.6重量%~約2.0重量%のベリリウム含有量を有する。いくつかの特定の実施形態では、BeCu合金は、約1.8重量%~約1.9重量%のベリリウム含有量を有する。BeCu合金の残りは、通常、銅である。いくつかの実施形態では、BeCu合金はさらに、約0.2重量%~約0.3重量%のコバルトを含む、またはさらに、約0.2重量%~約0.6重量%の鉛を含む、またはさらに、(ニッケル+コバルト)の合計が、約0.2重量%以上であり、(ニッケル+コバルト+鉄)の合計が、約0.6重量%以下になるように、ある量のニッケルと、コバルトと、随意に、鉄とを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、リング圧延するステップによって達成される、熱間加工するステップは、壁厚を少なくとも50%だけ低減させる。さらなる実施形態では、少なくとも70%以上の壁厚の合計低減が、プロセス全体(すなわち、全てのプロセスステップ)にわたって達成される。
【0012】
溶体化焼鈍するステップは、リングの壁厚の約25ミリメートル(mm)毎に約30分の期間にわたって実施されることができる。
【0013】
本明細書の付加的な実施形態に開示されるものは、上記に説明されるプロセスによって作製される、金属リングである。金属リングは、約1.8重量%~約2.0重量%および約1.8重量%~約1.9重量%を含む、約1.6重量%~約2.0重量%のベリリウム含有量を有し、残りは実質的に銅である、BeCu合金から作製される。BeCu金属リングはさらに、少なくとも760MPaの0.2%のオフセット降伏強度、少なくとも27HRCのロックウェルC硬度、少なくとも6%の伸び率、少なくとも25%IACSの導電性、および/または0.1mm未満の平均粒径を有する。
【0014】
本開示のこれらおよび他の非限定的な特性が、下記により具体的に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下は、図面の簡単な説明であり、これは、本明細書に開示される例示的実施形態を例証する目的のために提示され、それを限定する目的のためにもたらされているものではない。
【0016】
【
図1】
図1は、種々の熱処理および冷却ステップを含む、ベリリウム-銅(「BeCu」)合金から金属リングを作製する、第1の例示的プロセスに関するフローチャートである。
【0017】
【
図2】
図2は、種々の熱処理および冷却ステップを含む、BeCu合金から金属リングを作製する、第2の例示的プロセスに関するフローチャートである。
【0018】
【
図3】
図3は、本明細書に開示されるBeCu金属リングを形成するために使用される例示的リング圧延機を利用する、圧延動作の図である。
【0019】
【
図4】
図4は、本明細書に開示されるプロセスによって形成される、例示的BeCu金属リングプリフォームの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書に開示される構成要素およびプロセスのより完全な理解が、付随の図面の参照によって得られることができる。これらの図は、単に、本開示を実証する利便性およびその容易性に基づく略図であり、したがって、本デバイスまたはその構成要素の相対的サイズおよび寸法を示すこと、および/または例示的実施形態の範囲を定義または限定することは意図されない。
【0021】
具体的な用語が、明確化のために以下の説明において使用されるが、これらの用語は、図面における例証のために選択される実施形態の特定の構造のみを指すことが意図され、本開示の範囲を定義または限定することは意図されない。図面および下記の以下の説明では、同様の数字表示は、同様の機能の構成要素を指すことを理解されたい。
【0022】
文脈が明確に別様に指示しない限り、単数形「a」、「an」、および「the」は、複数の指示物を含む。
【0023】
本明細書および請求項において使用されるように、用語「comprising(~を備える)」は、「consisting of(~から成る)」および「consisting essentially of(~から本質的に成る)」実施形態を含み得る。用語「comprise(~を備える)」、「include(~を含む)」、「having(~を有する)」、「has(~を有する)」、「can(~することができる)」、「contain(~を含有する)」、およびそれらの変形例は、本明細書で使用されるように、明示された構成要素/ステップの存在を要求し、かつ他の構成要素/ステップの存在を可能にする、非制約的な移行句、用語、または単語であることが意図される。しかしながら、そのような説明は、列挙される構成要素/ステップ「から成る」および「から本質的に成る」ものとして組成またはプロセスを説明するものとも解釈されるべきであり、これは、そこから生じ得る任意の不純物に加えて、明示された構成要素/ステップのみの存在を可能にし、他の構成要素/ステップを除外する。
【0024】
本願の明細書および請求項内の数値は、値を決定するために、同一の数の有効数字まで丸められると同一になる数値と、述べられる値から、本願に説明されるタイプの従来の測定技法の実験誤差未満だけ異なる数値とを含むものとして理解されるべきである。
【0025】
本明細書に開示される全ての範囲は、列挙される終点を含み、独立して組み合わせ可能である(例えば、「2グラム~10グラム」の範囲は、終点(すなわち、2グラムおよび10グラム)と、全ての中間値とを含む)。
【0026】
用語「約」は、その値の基本機能を変化させることなく変動し得る、任意の数値を含むために使用されることができる。ある範囲と併用されると、「約」はまた、2つの終点の絶対値によって定義される範囲も開示し、例えば、「約2~約4」はまた、「2~4」の範囲も開示する。用語「約」は、示される数の±10%を指し得る。
【0027】
本開示は、規定された温度において生じる、金属合金/物品を処理するためのステップに言及する。本明細書に言及される温度は、金属合金が暴露される大気の温度、すなわち、加熱デバイス(例えば、炉)が設定される温度であることに留意されたい。金属合金自体が、必ずしもこれらの温度に到達しているわけではない。
【0028】
本開示は、「均一な」壁厚に言及する。本用語は、壁厚が変動することを可能にし、同一の数の有効数字まで丸められると同一になる数値と、述べられる値から、従来の測定技法の実験誤差未満だけ異なる数値とを含むものとして理解されるべきである。
【0029】
金属縁またはリングは、限定ではないが、ベアリング、クラッチ、結合具、駆動部、フランジ等のための使用を含む、産業機械、風力発電所、高出力ギヤ、海洋工学、旋回ベアリングのためのリングおよび支持リング、タービン、発電機、変圧器、油圧モータ、弁、パイプライン、繊維機械、タンク/圧力容器、ギヤリング、航空宇宙および宇宙飛行、飼料圧接機、製鋼所に関連する、プロセスおよび機器において使用される。しかしながら、従来のリングは、急速に摩耗し、これは、毎年購入される必要があるリングの数を増加させる。
【0030】
本明細書に開示されるベリリウム-銅リングは、リングの表面が、より長い時間期間にわたるさらなる安定性を達成することを可能にし、表面を再加工する、または交換用リングを購入する必要が生じる前に、より多くの金属が、リングを横断して鋳造されることを可能にする、材料性質を付与する、新規の熱処理プロセスによって生産される。特に、本開示される金属リングは、下記にさらに詳細に説明される熱処理および急冷/冷却サイクルによって改良を施すことが可能である性質の組み合わせを提供する、ベリリウム-銅(「BeCu」)合金から作製される。そのような強化された性質は、限定ではないが、降伏強度、硬度、延性、導電性、微細かつ均一な粒状構造、および超音波検査性を含む。微細かつ均一な粒状構造および最大伝導率は、過時効プロセスステップを連続させることが続く、過時効および過度の溶体化焼鈍によって生産される。
【0031】
図1を参照すると、第1の実施形態による、種々の熱処理および急冷/冷却サイクルを含む、金属リングを作製する例示的プロセス(S100)が、S101において開始する。S102において、BeCu金属合金ビレットが、提供または受容される。S104において、ビレットは、少なくとも8時間の期間にわたって、約820℃を含む、約800℃~約850℃の温度において予熱される。本予熱するステップは、後続のステップが、ビレット内の金属合金の全体に均一に影響を及ぼすように、ビレットの厚さ全体を通して可能な限り均一な温度を得ることが意図される。
【0032】
S106において、ビレットは、輪形状のプリフォームに熱間加工される。特に、ビレットは、輪形状のプリフォームに鍛造される。熱間加工は、概して、合金の再結晶化温度を上回る温度において、合金の断面が低減され、所望される形状および寸法を作製する、金属形成プロセスである。これは、概して、機械的性質の指向性を低減させ、新しい等軸微細構造を生産する。
【0033】
鍛造は、ワークピースの厚さが、熱および圧力の印加によって圧縮され、その横断面を拡張させるか、または、その形状を別様に変化させる、プロセスである。これは、合金を可塑的に変形させ、概して、再結晶化温度を上回る温度で実施される。これは、機械的性質を改良し、延性を改良し、さらに、合金を均質化させ、粗粒子を微細化する。
【0034】
鍛造の間、熱間加工は、概して、鍛造欠陥を回避するための制御された温度範囲内に維持されなければならない。例えば、過度に高い温度は、初期融解をもたらし得、過度に低い温度は、表面の亀裂をもたらし得る。いずれにしても、鍛造温度は、過剰な微細構造粒の成長を助長することなく再結晶化を可能にするために十分に高くあるべきである。故に、S106の熱間加工するステップは、約750℃~約850℃の温度において実施される。好ましくは、約770℃~約834℃の温度が、熱間加工するステップの間、維持される。
【0035】
本第1の熱間加工するステップは、限定ではないが、プレス鍛造するステップと、穿刺するステップとを含む、種々の鍛造ステップによって実施されることができる。プレス鍛造は、BeCuビレット上への圧力の緩慢かつ継続的な印加を指す。特に、プレス鍛造は、概して、圧力が、ビレットの縦軸に作用し、ビレットをパンケーキ形状に形成させる、BeCuビレットの据え込みを含む。据え込みはまた、ビレット内に指向性の粒流をもたらす。穿刺するステップの間、孔が、プレス鍛造するステップの間に平坦にされている、BeCuビレットの中央に開けられる。穿刺するステップの結果として、BeCuビレットは、輪形状のプリフォームに変形され、リング形状は、略トロイダル型または「ドーナツ状」になる。打抜するステップが、随意に、穿刺するステップの代わりに、またはそれとの組み合わせにおいて実施されることができ、打抜は、BeCuビレットの中央部分からスラグを除去する。
【0036】
S108において、プリフォームは、約820℃を含む、約815℃~約835℃の温度において均熱される。再び、これは、後続の処理のために、ビレットの厚さ全体を通して可能な限り均一な温度を得ることが意図される。本均熱させるステップは、概して、少なくとも2時間にわたって生じ、いくつかの実施形態では、少なくとも8時間の期間にわたって生じてもよい。特定の実施形態では、均熱させるステップは、約2時間~約8時間の期間にわたって生じる。
【0037】
S110において、リング圧延するステップが、約750℃~約850℃の温度においてプリフォーム上で実施され、均一な壁厚を有するリングを形成し、空冷するステップが続く。温度は、リング圧延するステップ全体の間、維持されるべきである。リング圧延するステップは、好ましくは、約770℃~約834℃の温度において実施される。リング圧延するステップは、壁厚を少なくとも50%だけ低減させる。言い換えると、輪形状のプリフォーム上で実施される熱間加工鍛造するステップは、概して、鋳造物の面積を少なくとも50%だけ低減させる。
【0038】
リング圧延するステップに続いて、リングは、空冷される。この点について、BeCuリングは、炉から除去され、周囲温度に暴露される。所望される場合、空冷するステップが、アクティブであることができ、すなわち、周囲空気が、リングに向かって吹送される。
【0039】
S112において、リングは、少なくとも1.5時間の期間にわたって、約780℃~約800℃の温度において溶体化焼鈍される。一般に、S112の溶体化焼鈍するステップは、リングの壁厚の約25mm毎に約30分の期間にわたって実施されるべきである。
【0040】
溶体化焼鈍するステップは、S114において、リングを急冷媒体内で急冷させるステップが、即座に続く。急冷媒体は、急冷させるステップの前で約40℃の最高温度、急冷させるステップの後で約50℃の最高温度を有するべきである。本タイプの急冷は、BeCuリングの温度を急速に変化させ、概して、単相をもたらす。
【0041】
S116において、リングは、約3時間の期間にわたって、約385℃~約400℃の温度において熱処理することによって時効硬化され、空冷するステップが続く。リングの機械加工が、随意に、S118において実施されることができる。これらのステップの結果として、微細かつ均一な粒径を伴うBeCu金属リングが、形成される。
【0042】
図2を参照すると、第2の実施形態に従って金属リングを作製する別の例示的プロセス(S200)が、S201において開始する。S202において、BeCu金属合金ビレットが、提供される。S204において、ビレットは、少なくとも8時間の期間にわたって、約820℃を含む、約800℃~約850℃の温度において予熱される。S206において、ビレットは、輪形状のプリフォームに熱間加工される。再び、熱間加工は、概して、上記で議論されるように、鍛造欠陥を回避するために制御された温度範囲内に維持されなければならない。故に、ビレットは、約750℃~約850℃の温度において輪形状のプリフォームに鍛造される。好ましくは、約770℃~約834℃の温度が、熱間加工するステップの間、維持される。
【0043】
S208において、プリフォームが、約600℃以下の温度まで冷却した場合、プリフォームは、少なくとも8時間を含む、約8時間の期間にわたって、約820℃を含む、約815℃~約835℃の温度において均熱される。S210において、リング圧延するステップが、約750℃~約850℃の温度において、プリフォーム上で実施され、均一な壁厚を有するリングを形成し、空冷するステップが続く。再び、リング圧延するステップは、好ましくは、約770℃~約834℃の温度において実施される。S212において、リングは、少なくとも1.5時間の期間にわたって、約780℃~約800℃の温度において溶体化焼鈍される。一般に、S212の溶体化焼鈍するステップは、リングの壁厚の約25mm毎に約30分の期間にわたって実施される。
【0044】
溶体化焼鈍するステップは、S214において、リングを急冷媒体内で急冷させるステップが即座に続く。急冷媒体は、通常、水である。急冷媒体は、急冷させるステップの前で約40℃の最高温度、急冷させるステップの後で約50℃の最高温度を有するべきである。
【0045】
S216において、リングは、約3時間の期間にわたって約385℃~約400℃の温度において熱処理することによって時効硬化され、空冷するステップが続く。リングの機械加工が、随意に、S218において実施されることができる。微細かつ均一な粒径を伴うBeCuアモルファス金属リングが、形成される。
【0046】
図1および
図2に図示される特定の実施形態では、熱処理するステップ(S116、S216)の間、約3時間の期間が、約393℃の温度において開始する。温度は、約400℃まで上昇され、温度は、残りの時間期間にわたって本温度に維持される。
【0047】
より一般的には、
図1および
図2に図示されるプロセスは、微細かつ均一な粒径を有するBeCuリングを作製するステップに関連する。未加工のBeCu鋳造物が、予め鍛造され、リングが作製される、ビレットに変えられる。BeCu金属合金ビレットが、提供される(S102、S202)。ビレットは、少なくとも8時間の第1の時間期間にわたって、約820℃を含む、約800℃~約850℃の第1の温度において予熱される(S104、S204)。ビレットの第1の熱間加工鍛造するステップが、実施され、輪形状のプリフォームを作成する(S106、S206)。輪形状のプリフォームは、次いで、少なくとも2時間の第2の時間期間にわたって、約815℃~約835℃の第2の温度において
均熱される(S108、S208)。第2の熱間加工鍛造するステップが、リング圧延するステップによって実施され、空冷するステップが続き、均一な壁厚を有するリングを形成する(S110、S210)。リングは、次いで、第3の時間期間にわたって、約780℃~約800℃の第3の温度に暴露される(S112、S212)。第3の温度および第3の時間期間の直後に、リングは、急冷させるステップによって冷却される(S114、S214)。リングは、次いで、第4の時間期間にわたって、第1、第2、および第3の温度未満である第4の温度まで加熱され、最終的な周囲温度まで空冷するステップが続き、微細かつ均一な粒径を伴うリングを生産する(S116、S216)。所望される場合、機械加工するステップが、リング上で実施されることができる(S118、S218)。機械加工するステップは、BeCu金属リングのための所望される最終形状を達成するために、限定ではないが、鋸切断、穿孔、ねじ立て、掘削、フライス、旋削、研削、バニシング、リーミング、放電加工(「EDM」)等を含んでもよい。BeCu金属リングの最終形状は、リングが使用される用途に基づくものであってもよい。
【0048】
図1および
図2に図示されるプロセスは、概して、少なくとも70%の壁厚の合計低減をもたらす。一般に、BeCuの輪形状のプリフォームのための低減比は、変形が作用区分全体を穿通することを可能にするために十分に大きくあるべきである。特に、リング圧延するステップの最終パス上での部分的な穿通は、BeCuリング内の所望される均一な動的再結晶化を生産しないであろう。不十分な変形は、プロセスステップにおける時効硬化の後、微細構造および機械的性質の不均一性をもたらし得る(S116、S216)。
【0049】
低減の程度は、熱間リング圧延するステップの前後、または予熱するステップの前、または熱処理するステップまたは随意の仕上げのステップの後に、以下の公式に従って、リング壁の断面積の変化を測定することによって決定されることができる。
%HW=100*[A0-Af]/A0
(式中、A0は、熱間加工するステップの前の初期断面積または原断面積であり、Afは、熱間加工するステップの後の最終断面積である。断面積の変化は、通常、合金の厚さの変化のみに起因し、そのため、%HWもまた、初期および最終の厚さを使用して同様に計算され得ることに留意されたい。)
【0050】
本明細書に説明される熱処理プロセスにおいて使用される、炉は、好ましくは、高温測定に関する、AMS2750またはNORSOKと同等のものの要件を満たす。プロセスステップ(S112、S212)の溶体化焼鈍は、好ましくは、クラス5の炉において、より好ましくは、クラス2の炉において実施される。(S116、S216)の時効硬化または熱処理のステップは、好ましくは、クラス2の炉において実施される。炉のクラス定義は、AMS2750またはNORSOKと同等のものに記述されている。
【0051】
図1および
図2によって図示される両方の実施形態では、第2の熱間加工鍛造するステップ(S110、S210)は、概して、圧延機上でリング圧延することによって実施される。リング圧延機302を含む、例示的リング圧延動作300が、
図3に図示される。リング圧延するステップの間、BeCuの輪形状のプリフォーム304は、アイドラロール306にわたって設置される。アイドラロール306は、概して、輪形状のプリフォーム304の中空の中心部分308の中に配置され、その内側表面310または直径に対して作用する。駆動ロール312が、概して、輪形状のプリフォームの外側表面314または直径に対して配置される。上側軸方向ローラ316が、プリフォームの上面320に対して配置される。下側軸方向ローラ318が、プリフォームの底面322に対して配置される。
【0052】
圧力が、アイドラロール306、駆動ロール312、上側軸方向ローラ316、および下側軸方向ローラ318によってプリフォーム304に継続的に印加される。圧力は、リングの所望される内径、外径、高さ、および/または壁厚が達成されるまで、継続的に印加される。概して、リング圧延するステップは、再結晶化の後、粒径差を最小限にさせるためにリングの断面をできる限り均一に徹底的に加工することを目標に実施される。約0.1mm未満の平均粒径が、望ましい。
【0053】
図4は、プリフォーム304の断面図であり、これはまた、完成されたリングも表し得る。プリフォームは、内径D
iと、外径D
oとを有する。リングの壁厚Tは、2つの直径間の差異である。リングはまた、高さHを有する。直径は、中心軸305から測定される。
【0054】
いくつかの実施形態では、BeCuリングは、約350mm~約2,000mmを含む、約250mm~約8,000mmの外径Doを有してもよい。BeCuリングの内径Diは、少なくとも約150mm~約350mmであってもよい。BeCuリングは、概して、約700mm~約800mm未満の壁厚Tを有する。BeCuリングの高さHは、概して、約200mm~約300mmを含む、約20mm~約900mmである。
【0055】
内側表面310は、概して、平滑である。外側表面314、上側表面320、および下側表面322は、平坦であるものとして示されるが、それらは、リングが使用されるべき用途/デバイスに関して所望されるように成形されることができる。
【0056】
上記に説明される例示的プロセスステップの結果として、種々の有利な性質を有する、BeCuから作製される金属リングが、形成される。これらの有利な性質は、限定ではないが、強度、硬度、延性、導電性、および微細化された粒径を含む。特に、有利な性質は、少なくとも760MPaの0.2%のオフセット降伏強度と、約27HRC~約33HRCのロックウェルC硬度と、少なくとも6%の伸び率と、国際焼鈍銅規格(「IACS」、100%IACSは、5.8×107ジーメンス/メートルまたは1.72マイクロオーム-cmに等しい)の少なくとも25%の導電性と、0.1mm未満の平均粒径との任意の組み合わせを含む。平均粒径は、圧延されたリングから得られた薄片上で、かつ仕上げ処理された部品に近接する薄片の内面上で軸方向に測定される。0.2%のオフセット降伏強度は、ASM E8に従って測定される。ロックウェルC硬度は、ASTM E18に従って測定される。伸び率は、ASTM E3に従って測定される。導電性は、ASTM E1004に従って測定される。
【0057】
金属リングを形成するために使用される、BeCu合金は、約1.8重量%~約2.0重量%および約1.8重量%~約1.9重量%のベリリウムを含む、約1.6重量%~約2.0重量%のベリリウムを含む。
【0058】
BeCu合金はまた、少量のコバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、および/または鉛(Pb)を含むことができる。いくつかの実施形態では、BeCu合金はさらに、約0.2重量%~約0.3重量%のコバルトを含んでもよい。さらに他の実施形態では、約0.2重量%~約0.6重量%の鉛が、BeCu合金中に含まれてもよい。
【0059】
他の実施形態では、BeCu合金中のコバルトおよびとニッケルの合計は、少なくとも0.2重量%である。他の実施形態では、BeCu合金中のコバルト、ニッケル、および鉄の合計は、最大で0.6重量%である。これは、3つの元素全てが存在することを要求するものではないことに留意されたい。そのような合金は、ニッケルまたはコバルトのうちの少なくとも1つを含有し得るが、潜在的に、ニッケルまたはコバルトのみを含有し得る。鉄の存在は、要求されていないが、いくつかの特定の実施形態では、鉄は、約0.1重量%以上の量(述べられる限界まで)で存在する。
【0060】
いくつかの特定の実施形態では、BeCu合金は、約1.8重量%~約2.0重量%のベリリウムと、少なくとも0.2重量%のコバルトおよびニッケルの合計と、最大で0.6重量%のコバルト、ニッケル、および鉄の合計と、残りの銅とを含む。本合金は、Alloy25としてMaterion Corporationから商業的に入手可能である。Alloy25は、約131GPaの弾性係数と、約8.36g/ccの密度と、25℃における、約105W/(m・K)の熱伝導性と、熱処理前で約130MPa~約280MPaの0.2%のオフセット降伏強度と、熱処理前で約410MPaの最低最終引張強度と、熱処理前で35%の最低伸び率とを有する。
【0061】
いくつかの特定の実施形態では、BeCu合金は、約1.6重量%~約1.85重量%のベリリウムと、少なくとも0.2重量%のコバルトおよびニッケルの合計と、最大で0.6重量%のコバルト、ニッケル、および鉄の合計と、残りの銅とを含む。本合金は、Alloy165としてMaterion Corporationから商業的に入手可能である。Alloy165は、約131GPaの弾性係数と、約8.41g/ccの密度と、25℃において約105W/(m・K)の熱伝導性と、熱処理前で約130MPa~約280MPaの0.2%のオフセット降伏強度と、熱処理前で約410MPaの最低最終引張強度と、熱処理前で35%の最低伸び率とを有する。
【0062】
他の実施形態では、BeCu合金は、約1.6重量%~約2.0重量%のベリリウムと、約0.2重量%~約0.3重量%のコバルトと、残りの銅とを含む。本合金は、MoldMax HH(登録商標)またはMoldMax LH(登録商標)としてMaterion Corporationから商業的に入手可能である。
【0063】
MoldMax HH(登録商標)は、約131GPaの弾性係数と、約8.36g/ccの密度と、25℃において約130W/(m・K)の熱伝導性と、約1,000MPaの0.2%のオフセット降伏強度と、約1,170MPaの典型的最終引張強度と、5%の典型的伸び率とを有する。
【0064】
MoldMax LH(登録商標)は、約131GPaの弾性係数と、約8.36g/ccの密度と、25℃において約155W/(m・K)の熱伝導性と、約760MPaの0.2%のオフセット降伏強度と、約965MPaの典型的最終引張強度と、15%の典型的伸び率とを有する。
【0065】
他の特定の実施形態では、BeCu合金は、約1.8重量%~約2.0重量%のベリリウムと、少なくとも0.2重量%のコバルトおよびニッケルの合計と、最大で0.6重量%のコバルト、ニッケル、および鉄の合計と、約0.2重量%~約0.6重量%の鉛と、残りの銅とを含む。本合金は、Alloy M25としてMaterion Corporationから商業的に入手可能である。Alloy M25は、約131GPaの弾性係数と、約8.36g/ccの密度と、25℃において約105W/(m・K)の熱伝導性と、熱処理前で約130MPa~約250MPaの0.2%のオフセット降伏強度と、熱処理前で約410MPaの最低最終引張強度と、熱処理前で20%の最低伸び率とを有する。
【0066】
いくつかの特定の実施形態では、BeCu合金は、約1.8重量%~約2.0重量%のベリリウムと、少なくとも0.2重量%のコバルトおよびニッケルの合計と、最大で0.6重量%のコバルト、ニッケル、および鉄の合計と、残りの銅とを含む。本合金は、Alloy 190としてMaterion Corporationから商業的に入手可能である。Alloy 190は、約131GPaの弾性係数と、約8.36g/ccの密度と、25℃において約105W/(m・K)の熱伝導性とを有する。
【0067】
いくつかの特定の実施形態では、BeCu合金は、約1.8重量%~約2.0重量%のベリリウムと、少なくとも0.2重量%のコバルトおよびニッケルの合計と、最大で0.6重量%のコバルト、ニッケル、および鉄の合計と、残りの銅とを含む。本合金は、Alloy290としてMaterion Corporationから商業的に入手可能である。Alloy290は、約131GPaの弾性係数と、約8.36g/ccの密度と、25℃において約105W/(m・K)の熱伝導性とを有する。
【0068】
上記に手短に言及されるように、本開示のリングのためにBeCu合金を使用することに対する1つの利点は、超音波検査を実施するための能力である。超音波検査は、欠陥検出/評価、寸法測定、材料の質特性評価、およびさらなるもののために使用され得る、有用かつ汎用性のある非破壊試験技法である。超音波試験は、概して、AMS 2154タイプIおよびクラスA、またはEN10228-4、クラス3と同等のものに従って実施される。BeCuリングのサイズに応じて、超音波検査に先立ってリングを予め加工し、超音波検査のためのより良好な表面仕上げを提供し、仕上げ加工に先立って、リングの任意の移動を可能にすることが必要であり得る。
【0069】
本開示は、例示的実施形態を参照して説明されている。修正および改変が、前述の発明を実施するための形態を熟読および理解することに応じて、当業者に想起されるであろう。本開示は、添付の請求項またはそれらの均等物の範囲内に該当する限りにおいて、そのような修正および改変全てを含むものとして解釈されることが意図される。
本発明の具体的態様は以下のとおりである。
[態様1]
BeCu合金から金属リングを作製するためのプロセスであって、
BeCu合金ビレットを約800℃~約850℃の温度において予熱することと、
前記ビレットを約750℃~約850℃の温度において輪形状のプリフォームに鍛造することと、
前記プリフォームを約815℃~約835℃の温度において均熱させることと、
前記プリフォームを約750℃~約850℃の温度においてリング圧延し、ある壁厚を有するリングを形成することと、
前記リングを約780℃~約800℃の温度において溶体化焼鈍し、前記リングを急冷させることが即座に続くことと、
前記リングを約385℃~約400℃の温度において熱処理することと
を含む、プロセス。
[態様2]
前記予熱することは、少なくとも8時間の期間にわたって生じる、態様1に記載のプロセス。
[態様3]
前記均熱させることは、2時間の最短期間にわたって生じる、態様1に記載のプロセス。
[態様4]
前記均熱させることは、前記プリフォームが約600℃以下の温度まで冷却した場合、少なくとも8時間の期間にわたって実施される、態様3に記載のプロセス。
[態様5]
前記溶体化焼鈍することは、少なくとも1.5時間の期間にわたって生じる、態様1に記載のプロセス。
[態様6]
前記熱処理することは、約3時間の期間にわたって生じる、態様1に記載のプロセス。
[態様7]
約393℃の温度において前記約3時間の期間を開始することと、前記温度を約400℃まで上昇させることと、前記リングを、残りの時間期間にわたって、前記約400℃の温度において熱処理することとをさらに含む、態様6に記載のプロセス。
[態様8]
前記予熱することおよび均熱させることは、それぞれ、約820℃の温度において実施される、態様1に記載のプロセス。
[態様9]
前記リング圧延することは、前記壁厚を少なくとも50%だけ低減させる、態様1に記載のプロセス。
[態様10]
前記溶体化焼鈍することは、前記リングの壁厚の約25mm毎に約30分の期間にわたって実施される、態様1に記載のプロセス。
[態様11]
前記リング圧延することおよび前記熱処理することの両方の後に前記リングを空冷することをさらに含む、態様1に記載のプロセス。
[態様12]
金属リングであって、
約1.6重量%~約2.0重量%のベリリウムを含むBeCu合金であって、前記BeCu合金は、
少なくとも760MPaの0.2%のオフセット降伏強度と、
少なくとも27HRCのロックウェルC硬度と、
少なくとも6%の伸び率と
を有する、BeCu合金
を含む、金属リング。
[態様13]
前記BeCu合金は、約1.8重量%~約2.0重量%のベリリウムを含む、または約1.8重量%~約1.9重量%のベリリウムを含む、態様12に記載のリング。
[態様14]
前記BeCu合金はさらに、約0.2重量%~約0.3重量%のコバルトを含む、態様12に記載のリング。
[態様15]
前記BeCu合金はさらに、約0.2重量%~約0.6重量%の鉛を含む、態様12に記載のリング。
[態様16]
前記BeCu合金はさらに、(ニッケル+コバルト)の合計が、約0.2重量%以上であり、(ニッケル+コバルト+鉄)の合計が、約0.6重量%以下になるように、ある量のニッケルと、コバルトと、随意に、鉄とを含む、態様12に記載のリング。
[態様17]
前記BeCu合金は、少なくとも25%IACSの導電性を有する、態様12に記載のリング。
[態様18]
前記BeCu合金は、0.1mm以下の平均粒径を有する、または前記BeCu合金は、27HRC~約33HRCのロックウェルC硬度を有する、態様12に記載のリング。
[態様19]
金属リングを作製するためのプロセスであって、
約1.6重量%~約2.0重量%のベリリウムを含むBeCu合金から作製されるビレットを提供することと、
前記ビレットを、少なくとも8時間の期間にわたって、約800℃~約850℃の温度において予熱することと、
輪形状のプリフォームを、約750℃~約850℃の温度において前記ビレットから形成することと、
前記プリフォームを、約2時間~約8時間の期間にわたって、約815℃~約835℃の温度において均熱させることと、
前記プリフォームを、前記プリフォームが実質的に均一な壁厚を有するまで、約750℃~約850℃の温度においてリング圧延し、空冷することが続くことと、
前記プリフォームを、少なくとも1.5時間の期間にわたって、約780℃~約800℃の温度において溶体化焼鈍し、急冷媒体内で急冷させることが即座に続くことと、
前記プリフォームを、約3時間の期間にわたって、約385℃~約400℃の温度において熱処理し、空冷することが続くことと、
前記プリフォームを機械加工し、所望される形状を有する前記金属リングを形成することと
を含む、プロセス。
[態様20]
金属リングを含むアモルファス金属鋳造装置であって、前記金属リングは、約1.6重量%~約2.0重量%のベリリウムを含むBeCu合金から作製され、前記BeCu合金は、
少なくとも760MPaの0.2%のオフセット降伏強度と、
少なくとも27HRCのロックウェルC硬度と、
少なくとも6%の伸び率と
を有する、アモルファス金属鋳造装置。