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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】二次電池の保護回路
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20231211BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02J7/00 Y
H02H7/18
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020529841
(86)(22)【出願日】2019-06-27
(86)【国際出願番号】 IB2019055428
(87)【国際公開番号】W WO2020012284
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2018131018
(32)【優先日】2018-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018141302
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】池田 隆之
(72)【発明者】
【氏名】上妻 宗広
(72)【発明者】
【氏名】松嵜 隆徳
(72)【発明者】
【氏名】田島 亮太
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】岡本 佑樹
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0123008(US,A1)
【文献】特開2014-143190(JP,A)
【文献】特開平09-017458(JP,A)
【文献】特開2014-039459(JP,A)
【文献】特開2013-230078(JP,A)
【文献】特表2007-527597(JP,A)
【文献】特開2017-011802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02H7/00
H02H7/10-7/20
H01M10/42-10/48
G01R31/36-31/396
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池と電気的に接続される第1の記憶回路と、
前記第1の記憶回路と電気的に接続される比較回路と、
前記比較回路と電気的に接続される第2の記憶回路と、
前記第2の記憶回路と電気的に接続される電源遮断スイッチと、を有し、
前記比較回路は、前記二次電池と電気的に接続され、
前記電源遮断スイッチは、前記二次電池と電気的に接続され、
前記第1の記憶回路は、期間Δtごとにオフセットされた二次電池の電圧値をアナログ方式で保持する機能を有し、
前記比較回路は、前記二次電池の電圧値と、前記第1の記憶回路に保持された前記オフセットされた二次電池の電圧値と、を比較する機能を有し、
前記二次電池の電圧値と前記第1の記憶回路に保持された前記オフセットされた二次電池の電圧値との差が大きい場合、前記電源遮断スイッチは、オフ状態となる機能を有し、
前記第1の記憶回路は、酸化物半導体膜にチャネル形成領域を有する第1のトランジスタを少なくとも有する二次電池の保護回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2の記憶回路は、酸化物半導体膜にチャネル形成領域を有する第2のトランジスタを少なくとも有し、
前記第2の記憶回路は、前記電源遮断スイッチのデータ保持する機能を有する二次電池の保護回路。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記酸化物半導体膜は、インジウム、ガリウム、亜鉛のいずれか一を含む二次電池の保護回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一様態は、物、方法、又は、製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、又は、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。本発明の一態様は、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、照明装置または電子機器の製造方法に関する。本発明の一態様は、車両、または車両に設けられる車両用電子機器に関する。特に、二次電池の保護回路、二次電池の充電制御方法、二次電池の異常検知システム、及び二次電池を有する電子機器に関する。
【0002】
なお、本明細書中において、蓄電装置とは、蓄電機能を有する素子及び装置全般を指すものである。例えば、リチウムイオン二次電池などの二次電池、リチウムイオンキャパシタ、全固体電池、及び電気二重層キャパシタなどを含む。
【背景技術】
【0003】
近年、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ、空気電池等、種々の蓄電装置の開発が盛んに行われている。特に高出力、高エネルギー密度であるリチウムイオン二次電池は、携帯電話、スマートフォン、タブレット、もしくはノート型コンピュータ等の携帯情報端末、携帯音楽プレーヤ、デジタルカメラ、医療機器、又は、ハイブリッド車(HEV)、電気自動車(EV)、もしくはプラグインハイブリッド車(PHEV)等の次世代クリーンエネルギー自動車など、半導体産業の発展と併せて急速にその需要が拡大し、充電可能なエネルギーの供給源として現代の情報化社会に不可欠なものとなっている。
【0004】
携帯情報端末や電気自動車などにおいては、複数の二次電池を直列接続または並列接続して保護回路を設け、電池パック(組電池ともよぶ)として使用される。電池パックとは、二次電池の取り扱いを容易にするため、複数の二次電池を、所定の回路と共に容器(金属缶、フィルム外装体)内部に収納したものを指す。電池パックは、動作状態を管理するために、ECU(Electronic Control Unit)が設けられる。
【0005】
電池パック(組電池)を構成する複数の二次電池はそれぞれ特性にバラツキがあると、アンバランスが生じてしまう。アンバランスが生じると充電時に過充電になる二次電池や、満充電まで充電されない二次電池が生じ、全体として、使用できる容量が減少する。
【0006】
一つの電池パック、即ち複数の二次電池をまとめて充電、または放電を行っているため、一つの電池パック内部ではアンバランスが増大し、充放電を繰り返し行えば、電池パックとしての寿命がどんどん短くなるという悪循環になっている。
【0007】
また、電気自動車やハイブリッド自動車に用いる二次電池は、充電回数、放電深度、充電電流、充電する環境(温度変化)などによって劣化が生じる。使用者の使い方にも依存し、充電時の温度や、急速充電する頻度や、回生ブレーキによる充電量や、回生ブレーキによる充電タイミングなども劣化に関係する可能性がある。
【0008】
特許文献1では、二次電池の微小短絡を検出する電池状態検知装置及びそれを内蔵する電池パックが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2010-66161号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
保護回路によって、二次電池の異常を検知し、例えば二次電池の安全性を低下させる現象を早期に検知し、使用者に警告、または二次電池の使用を停止することにより、安全性を確保することを課題の一つとしている。また、製造コストが安価な保護回路を提供することも課題の一つとしている。
【0011】
また、リアルタイムで二次電池の異常を検知する保護回路を提供することも課題の一つとしている。
【0012】
二次電池の異常のうち、マイクロショートの発生を検知する保護回路を実現することを課題の一つとしている。
【0013】
マイクロショートとは、二次電池の内部の微小な短絡のことを指しており、二次電池の正極と負極が短絡して充放電不可能の状態になるというほどではなく、微小な短絡部で短絡電流が短期間流れてしまう現象を指している。マイクロショートの原因は、充放電が複数回行われることによって、劣化が生じ、リチウムやコバルトなどの金属元素が電池内部で析出し、析出物が成長することにより、正極の一部と負極の一部で局所的な電流の集中が生じ、セパレータの一部が機能しなくなる箇所が発生すること、または副反応物が発生することにあると推定されている。
【0014】
二次電池の小型化のため、セパレータの薄化が望まれており、さらに、高い電圧での急速給電による充電が望まれており、どちらも二次電池にマイクロショートが生じやすい構成となっている。
【0015】
従来、デバイスの設計者は使用する二次電池の上限電圧と下限電圧とを設定し、外部出力電流の上限を制限している。二次電池の下限電圧以上上限電圧以下の範囲内は、使用が推奨されている電圧範囲内であり、その範囲内で生じるマイクロショートなどの異常検出を保護回路などでは実施していない。そのため、マイクロショートにより瞬間的に大電流が流れることを繰り返すと二次電池の異常発熱、及び発火などの重大事故に繋がる可能性がある。従って異常等を早期に発見することが好ましい。また、このリスクを低減するための電池の充放電制御も求められている。
【0016】
また、電池内部のマイクロショートに類する現象として、複数の電池を内包する電池パックにおいて、内部の各電池の電圧検知線が、多ピンコネクターにまとめられている場合、エレクトロケミカルマイグレーションによる微小短絡現象が存在する。このような微小短絡現象を検出することも課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
高い精度でマイクロショートを検出するため、マイクロショートなどの異常検出回路の一部を酸化物半導体を用いたトランジスタを含む記憶回路(メモリとも呼ぶ)で構成する。
【0018】
本発明の一態様は、二次電池に電気的に接続する第1の記憶回路と、第1の記憶回路と電気的に接続する比較回路と、比較回路と電気的に接続する第2の記憶回路と、第2の記憶回路と電気的に接続する電源遮断スイッチと、を有し、電源遮断スイッチは、二次電池と電気的に接続し、第1の記憶回路は、酸化物半導体を有する第1のトランジスタを有し、二次電池の電圧値をアナログ方式で保持する二次電池の保護回路である。
【0019】
上記構成において、第2の記憶回路は、酸化物半導体を有する第2のトランジスタを有し、電源遮断スイッチのデータ保持を行う。
【0020】
上記構成において、比較回路は、二次電池と電気的に接続し、二次電池の電圧降下が生じた場合に比較回路の出力信号が反転し、異常を検知し、電源遮断スイッチをオフ状態とする。
【0021】
上記構成において、第1の記憶回路は、オフセットされた二次電池の電圧値を保持する。
【0022】
上記構成において、第1の記憶回路は、期間Δtごとに書き込みを行い、前記比較回路で前記二次電池の電圧値と前記第1の記憶回路に保持された値を比較する。
【0023】
また、保護回路は、マイクロショートなどの異常検出回路だけでなく、さらに、過充電を防止する機能を有する回路や、過放電を防止する機能を有する回路を有してもよい。
【0024】
また、表示画面にマイクロショートに関する情報、例えば、マイクロショートの強度や、発生回数を表示する機能を有する回路を有し、使用者に二次電池の交換を促してもよい。
【0025】
また、保護回路を含む異常検知システムも本発明の一態様であり、二次電池の電圧値のデータ取得手段と、オフセットされた二次電池の電圧値を保持する記憶手段と、を有し、オフセットされた二次電池の電圧値と比較して前記二次電池の電圧値と大きく変動した時点で充電を停止する二次電池の異常検知システムである。
【0026】
また、保護回路を含む異常検知システムも本発明の一態様であり、その構成は、二次電池の電圧値のデータ取得手段と、オフセットされた二次電池の電圧値を保持する記憶手段と、オフセットされた二次電池の電圧値と比較して二次電池の電圧値と大きく変動した時点で使用者に異常を警告する二次電池の異常検知システムである。
【0027】
上記異常検知システムにおいて、比較するタイミングは期間Δtごとに行えばよく、第1の記憶回路が保持できる期間内であれば、特に限定されない。第1の記憶回路は、酸化物半導体を用いたトランジスタを用いているため、シリコンを用いたメモリに比べて保持期間となる期間Δtを長くすることができる。期間Δtは短縮することもでき、リアルタイムでマイクロショートの検出が可能である。
【0028】
また、実質的に期間Δtをなくすため、マイクロショートを検知するタイミングが異なる2以上の系統の異常検出回路を用いる構成としてもよい。2以上の系統の異常検出回路を用いて交互にサンプリングすることで検知する間隔を短くすることができる。従って、リアルタイムでマイクロショートの検出が可能である。
【0029】
ここでいうリアルタイムとは、その時点で直近(最新)を意味することに限定されず、瞬時から最大3分間までの範囲内にあることを意味する。例えば、あるサンプリングタイミングと次のサンプリングタイミングの間隔が1分間である場合、リアルタイムでマイクロショートの検出を行っていると言える。
【0030】
第1の異常検出回路の検出時にマイクロショートの発生とサンプリングが重なっても第2の異常検出回路で検出することができる。
【0031】
本明細書で開示する構成の一つは、二次電池に電気的に接続する第1の記憶回路と、第1の記憶回路と電気的に接続される第1の比較回路と、二次電池に電気的に接続する第2の記憶回路と、第2の記憶回路と電気的に接続される第2の比較回路と、第1の比較回路の出力と、第2の比較回路の出力がそれぞれ入力されるOR回路と、第1の記憶回路は、酸化物半導体を有する第1のトランジスタを少なくとも有し、二次電池の電圧値をアナログ方式で保持し、第2の記憶回路は、酸化物半導体を有する第2のトランジスタを少なくとも有し、前記第1の記憶回路と異なるタイミングで前記二次電池の電圧値をアナログ方式で保持する二次電池の保護回路である。
【0032】
なお、OR回路は、論理和を表す信号を信号検知出力として供給する。
【0033】
また、マイクロショートを検知するタイミング期間を可変にすることができる。マイクロショートは充電中に生じる現象である。
【0034】
例えば、充電条件が定電圧充電条件の場合には10分間隔で1系統の異常検出回路の検出のみを行い、定電流充電条件の場合には1秒間隔で2系統の異常検出回路の検出を交互に行って、マイクロショートが発生しそうな充電条件の時に精密な検出を行ってもよい。
【0035】
異常検出回路は、酸化物半導体を用いたトランジスタを含む記憶回路で構成するため、使用していない異常検出回路は、電力をほとんど消費せず、有用である。
【0036】
充電していない時は、2系統とも異常検出回路の動作を停止すると、消費電力が少なく有用である。
【0037】
また、上記構成のOR回路に電気的に接続する第3の記憶回路と、第3の記憶回路と電気的に接続する電源遮断スイッチを設けてもよく、本明細書で開示する他の構成は、二次電池に電気的に接続する第1の記憶回路と、第1の記憶回路と電気的に接続する第1の比較回路と、二次電池に電気的に接続する第2の記憶回路と、第2の記憶回路と電気的に接続する第2の比較回路と、第1の比較回路及び第2の比較回路と電気的に接続する第3の記憶回路と、第3の記憶回路と電気的に接続する電源遮断スイッチと、を有する二次電池の保護回路である。
【0038】
また、保護回路を含む異常検知システムも本発明の一態様であり、二次電池の電圧値のデータ取得手段と、オフセットされた二次電池の電圧値を保持する記憶手段と、を有し、オフセットされた二次電池の電圧値と比較して二次電池の電圧値と大きく変動する異常点の回数または強度に合わせて充電条件を変更する二次電池の異常検知システムである。
【発明の効果】
【0039】
保護回路により、異常、特にマイクロショートなどの微小短絡現象を検出することができ、異常検出時には、二次電池の出力を遮断することで二次電池の発火などの事故を未然に防ぐことができる。
【0040】
また、アナログ方式の記憶回路(アナログメモリとも呼ぶ)に酸化物半導体を用いたトランジスタを用いているため、待機時の消費電力を抑えることができる。二次電池の電圧値のアナログデータを増幅することなく、そのまま比較回路に入力することで高精度にマイクロショートの検出を行うことができる。
【0041】
2系統の異常検出回路を交互に用いるため、リアルタイムでマイクロショートの検出が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】(A)は本発明の一態様を示すブロック図の一例であり、(B)はメモリセルの回路構成例であり、(C)はトランジスタの電気特性を示す図である。
図2】本発明の一態様を示す正常時におけるタイミングチャートである。
図3】本発明の一態様を示す正常時におけるタイミングチャートである。
図4】本発明の一態様を示すフローチャートの一例である。
図5】本発明の一態様を示すフローチャートの一例である。
図6】(A)及び(B)は、本発明の一態様を示すブロック図の一例である。
図7】マイクロショートを説明するグラフである。
図8】半導体装置の構造例を示す断面図。
図9】半導体装置の構造例を示す断面図。
図10】(A)はトランジスタの上面図であり、(B)及び(C)はトランジスタの構造例を説明する断面図である。
図11】(A)はトランジスタの上面図であり、(B)及び(C)はトランジスタの構造例を説明する断面図である。
図12】(A)はトランジスタの上面図であり、(B)及び(C)はトランジスタの構造例を説明する断面図である。
図13】(A)はトランジスタの上面図であり、(B)及び(C)はトランジスタの構造例を説明する断面図である。
図14】(A)円筒型二次電池を説明する斜視図であり、(B)は分解斜視図であり、(C)は保護回路基板を示す図である。
図15】(A)は二次電池を説明する斜視図であり、(B)は分解斜視図である。
図16】(A1)、(A2)、(B1)、(B2)は二次電池を説明する斜視図であり、(C)は保護回路基板を示す図である。
図17】(A)及び(B)は二次電池を説明する斜視図である。
図18】二次電池を説明する斜視図である。
図19】電子機器の一例を示す斜視図である。
図20】本発明の一態様を示すブロック図の一例である。
図21】本発明の一態様を示すタイミングチャートの一例である。
図22】本発明の一態様を示すタイミングチャートの一例である。
図23】本発明の一態様を示すフロー図の一例である。
図24本発明の一態様を示すために用いるトランジスタ400の断面図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0044】
(実施の形態1)
図1(A)に二次電池101の異常検出を行う保護回路100のブロック図の一例を示す。
【0045】
図1(A)に示すように二次電池101の保護回路100は、比較回路102と、第1のメモリ103と、第2のメモリ104と、電源遮断スイッチ105と、制御回路とを少なくとも備える。
【0046】
図1(A)では二次電池101と保護回路100を分けて示しているが、二次電池モジュールとして二次電池101の端子と回路基板に実装された保護回路100の端子とをそれぞれ半田接続で固定する場合もある。
【0047】
二次電池101はリチウムイオン二次電池を用いる。リチウムイオン二次電池は、充電或いは放電しすぎると劣化が促進される。従ってリチウムイオン二次電池は、過充電および過放電を防ぐため、充電率が一定範囲内(例えば、理論容量を最大値とした充電率の20%以上80%以下)に収まるように充放電時の条件が制御回路などによって管理される。
【0048】
比較回路102は、2つの入力電圧の大小関係を比較し、出力する。比較回路102は、酸化物半導体をチャネル形成領域に有するトランジスタを用いて単極性回路を用いることもできる。
【0049】
第1のメモリ103は、アナログメモリであり、オフセットされた二次電池のアナログ電位を保存する。オフセットされた二次電池の電圧値のデータ作成は、第1のメモリ103のトランジスタのゲートに書き込み信号を印加することでゲート電極とドレイン電極間の寄生容量により作成することができる。第1のメモリ103は酸化物半導体をチャネル形成領域に有するトランジスタ1つと容量とで構成される。第1のメモリ103は、高精度な充電電圧モニター回路とも呼べる。また、第1のメモリ103は、酸化物半導体をチャネル形成領域に有するトランジスタの低リーク電流であることのメリットを生かすことができる。
【0050】
第2のメモリ104は、第1のメモリ103と同じ素子構成であり、酸化物半導体をチャネル形成領域に有するトランジスタ1つと容量とで構成される。第2のメモリ104は、電源遮断スイッチ105のデータ保持を行う。第2のメモリは一時保存に使う。短時間の出力であってもノイズではなく、酸化物半導体を用いたメモリで保持することで電源スイッチを確実に切り替える。
【0051】
電源遮断スイッチ105は、異常が発生した二次電池の電源への電力供給を遮断するためのスイッチである。電源遮断スイッチ105は、図1(A)に示す回路構成とすることで、異常が発生した二次電池101を継続して充電してしまい、発火することを防ぐことができる。
【0052】
図2には正常時のタイミングチャートの一例を示す。なお、図2は二次電池の充電途中の一期間を示している。図2中に示すΔtはサンプリング期間を示しており、図2において3回のサンプリングを行い、全て正常である様子を示している。図2には、二次電池の充電電圧、第1のメモリの保持電圧、メモリの書き込み信号、比較回路の出力信号、電源遮断スイッチの制御信号がそれぞれ示されている。
【0053】
正常時においては、書き込み信号をHighとしてオフセットされた二次電池の充電電圧を第1のメモリに保存する。第1のメモリの保持電圧と二次電池の充電電圧を比較した結果が、正常時において常にHighとなり、電源遮断スイッチ制御信号もHighとなる。
【0054】
図3には異常発生時のタイミングチャートの一例を示す。
【0055】
マイクロショートなどの異常発生時においては、二次電池の充電電圧の降下が急に発生する。一方、異常電流は電池内部で保護回路とは異なる経路(電池内部)で流れる。図7に縦軸を電圧、横軸を時間として充電を行い20分付近でマイクロショートを生じさせているグラフを一例として示す。また、図3中の充電電圧が急に下がっている時点が異常発生時点である。図3において3回のサンプリングを行い、2回目までが正常であり、3回目が異常である様子を示している。3回目のサンプリング時(メモリの書き込み時)に、比較回路の出力信号が反転し、異常挙動を検出し、その結果、電源遮断スイッチの制御信号がLowとなり、電源遮断スイッチをオフ状態とすることで二次電池への電力供給をストップすることができる。
【0056】
図1(A)では、電源遮断スイッチ105を用いて異常検出後に二次電池への電力供給をストップする例を示しているが、異常検出の回数に合わせて充電条件の変更や充電の一時停止や警告表示などを行ってもよい。
【0057】
図4に二次電池を搭載したモバイル機器に対して1回の充電中に複数回の異常検出を行う場合の、フローの一例を示す。
【0058】
まず、電圧モニターなどの電圧値取得手段により、二次電池の電圧値データを取得する。(S1)次いで、サンプリング期間であるΔtごとに第1の記憶回路にオフセットされた二次電池の電圧データを書き込む。(S2)
【0059】
次いで、現時点と、異なる時点とで測定した電圧値を比較する。(比較ステップ:S3)比較した結果、2つの入力電圧の差が小さい場合には、上述したデータの取得と比較を繰り返す。異常検知されずに充電しつづけ、満充電に到達(S7)した場合は、充電停止(S8)となる。
【0060】
比較ステップS3において、2つの入力電圧の差が大きい場合には、異常と判断し、二次電池への充電停止(S8)とする。
【0061】
また、ここでは、マイクロショートのような異常を検出する構成を主に説明したが、特に限定されず、過放電の防止、過充電の防止、組電池でのセルバランス、温度、劣化度に応じた充電電流量の制御なども同じ充電中に行ってもよい。
【0062】
また、図1(A)に示す第1のメモリ103、および第2のメモリ104に用いることのできるメモリセルを図1(B)に示す。図1(B)はトランジスタにバックゲートを有する場合のメモリセルの回路構成例である。
【0063】
メモリセル10は、トランジスタM1と、容量素子CAと、を有する。なお、トランジスタM1は、フロントゲート(単に「ゲート」ともいう。)、およびバックゲートを有する。バックゲートは、ゲートとバックゲートで半導体層のチャネル形成領域を挟むように配置される。なお、ゲートおよびバックゲートの呼称は便宜的なものであり、一方を「ゲート」という場合に他方を「バックゲート」という。よって、ゲートおよびバックゲートの呼称は、互いに入れ換えて用いることができる。ゲートまたはバックゲートの一方を「第1のゲート」と呼び、他方を「第2のゲート」と呼ぶ場合もある。
【0064】
トランジスタM1のソースまたはドレインの一方は、容量素子CAの一方の電極と電気的に接続され、トランジスタM1のソースまたはドレインの他方は、ビット線BLまたはビット線BLBの一方と電気的に接続され、トランジスタM1のゲートは、ワード線WLと電気的に接続され、トランジスタM1のバックゲートは、配線BGLと電気的に接続されている。容量素子CAの他方の電極は、配線CALと接続されている。
【0065】
配線CALは、容量素子CAの他方の電極に所定の電位を印加するための配線として機能する。データの書き込み時、および読み出し時において、配線CALには、VSSなどの固定電位を供給するのが好ましい。
【0066】
配線BGLは、トランジスタM1のバックゲートに電位を印加するための配線として機能する。
【0067】
図1(C)に、トランジスタの電気特性の1つであるId-Vg特性の一例を示す。Id-Vg特性は、ゲート電圧(Vg)の変化に対するドレイン電流(Id)の変化を示す。図1(C)の横軸は、Vgをリニアスケールで示している。また、図1(C)の縦軸は、Idをログスケールで示している。図1(C)に示すように、配線BGLにバックゲート電圧(Vbg)として、正バイアスである電圧+Vbgを供給すると、Id-Vg特性がVgのマイナス方向にシフトする。配線BGLに負バイアスである電圧-Vbgを供給すると、Id-Vg特性がVgのプラス方向にシフトする。Id-Vg特性のシフト量は、配線BGLに供給される電圧の大きさで決まる。配線BGLに任意の電圧を印加することによって、トランジスタM1のしきい値電圧を増減することができる。
【0068】
データの書き込みおよび読み出しは、ワード線WLにトランジスタM1を導通状態(オン状態)とする電位を供給し、トランジスタM1を導通状態にして、ビット線BLまたはビット線BLBと容量素子CAの一方の電極を電気的に接続することによって行われる。
【0069】
なお、トランジスタM1として、チャネルが形成される半導体層に金属酸化物の一種である酸化物半導体を用いたトランジスタ(「OSトランジスタ」ともいう。)を用いることが好ましい。例えば、チャネルが形成される半導体層として、インジウム、元素M(元素Mはアルミニウム、ガリウム、イットリウム、またはスズ)、亜鉛のいずれか一を有する酸化物半導体を用いることが好ましい。特に、OSトランジスタの半導体層として、インジウム、ガリウム、亜鉛からなる酸化物半導体を用いることが好ましい。
【0070】
インジウム、ガリウム、亜鉛を含む酸化物半導体を適用したOSトランジスタは、オフ電流が極めて小さいという特性を有している。トランジスタM1としてOSトランジスタを用いることによって、トランジスタM1のリーク電流を非常に低くすることができる。つまり、書き込んだデータをトランジスタM1によって長時間保持することができるため、メモリセルのリフレッシュの頻度を少なくすることができる。また、メモリセルのリフレッシュ動作を不要にすることができる。また、リーク電流が非常に低いため、メモリセルに対してアナログデータを保持することができる。
【0071】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1とは異なるフローの一例を示す。図5に二次電池を搭載したモバイル機器に対して1回の充電中に複数回の異常検出を行う場合の、フローの一例を示す。
【0072】
まず、電圧モニターなどの電圧値取得手段により、二次電池の電圧値データを取得する。(S1)次いで、サンプリング期間であるΔtごとに第1の記憶回路にオフセットされた二次電池の電圧データを書き込む。(S2)
【0073】
現時点と、異なる時点とで測定した電圧値を比較する。(比較ステップ:S3)比較した結果、2つの入力電圧の差が小さい場合には、上述したデータの取得と比較を繰り返す。異常検知されずに充電しつづけ、満充電に到達(S7)した場合は、充電停止(S8)となる。
【0074】
2つの入力電圧の差が大きい場合には、異常判定(S4)とする。異常判定(S4)時には強度を判定することが望ましく、強、中、小などで異常の程度を類別してもよい。異常判定(S4)時に即座に充電停止の必要のある、異常の強度が大きい場合には、使用者にモバイル機器の表示画面またはスピーカを使用して警告を通知し、使用者の停止指示があれば二次電池への充電停止(S8)とする。
【0075】
異常判定(S4)時に軽度の異常であれば、マイクロショートの回数や強度に合わせて充電条件の変更や充電の一時休止(S5)を適宜選択してもよい。軽度のマイクロショートの場合、引き続き二次電池の使用が可能である。充電条件の変更は、例えば、急速充電と通常充電の切り替え(充電電流の低減)、充電最大電圧の低減、定電圧充電と定電流充電の切り替えなどである。充電電流の低減や充電最大電圧の低減は、異常回数に応じて段階的に実施してもよい。
【0076】
また、軽度のマイクロショートの異常判定が繰り返し発生する場合には、使用者に再警告(S6)を行い、軽度のマイクロショートであっても頻度によって安全性を確保するため、充電を停止(S8)する。再警告は、二次電池の充電履歴に基づいて使用者に通知する。
【0077】
また、ここでは、マイクロショートのような異常を検出する構成を主に説明したが、特に限定されず、過放電の防止、過充電の防止、組電池でのセルバランス、温度、劣化度に応じた充電電流量の制御なども同じ充電中に行ってもよい。例えば、室温温度(約25℃)よりも温度が低い場合には、通常よりも充電時の電流量を小さくする。また、劣化度が大きい場合には、通常よりも充電時の電流量を小さくする。また、40℃以上の高温の場合に充電最大電圧、電流量を制限する。また、組電池での充電時に使用電圧を上回らないようにセルバランスを調節する。これらの制御も行うことで、さらに二次電池の安全性を高めることができる。
【0078】
本実施の形態は他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0079】
(実施の形態3)
本実施の形態では、第1のメモリ103に複数のトランジスタを用いる例を示す。
【0080】
本実施の形態では、図6(A)に示すように、第1のメモリ103はトランジスタを2つ使用することで、オフセットされた二次電池の電圧値のデータ作成を行う。トランジスタを2つ使用することでオフセット値を調節することができる。オフセットとは、入力信号が0Vであるにも関わらずわずかに出力されてしまう電圧のことである。
【0081】
なお、図6(A)において、図1(A)と同じ部分には同じ符号を用いて説明する。
【0082】
また、容量素子を1つ追加し、図6(B)に示す第1のメモリ103の構成としてもよい。オフセットされた二次電池の電圧値のデータ作成は、容量素子を介した容量結合により作成することができる。
【0083】
なお、図6(B)において、図1(A)と同じ部分には同じ符号を用いて説明する。
【0084】
図6(A)や図6(B)に示す第1のメモリ103の構成を用いることで、オフセット量を調節し、異常と判定する二次電池の電圧差を調節することができる。
【0085】
本実施の形態は他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0086】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態に示した保護回路のメモリセルに用いることができるトランジスタの構造例について説明する。
【0087】
<トランジスタの構造例1>
容量及び複数のトランジスタを1つの半導体基板上に形成した半導体装置の構成例を以下に示す。
【0088】
図8に示す半導体装置は、トランジスタ300と、トランジスタ400と、容量素子800と、を有している。
【0089】
トランジスタ400は、チャネル形成領域に金属酸化物を有するトランジスタ(OSトランジスタ)である。トランジスタ400は、オフ電流が小さいため、これを半導体装置が有するOSトランジスタに用いることにより、長期にわたり書き込んだデータを保持することが可能である。
【0090】
本実施の形態で説明する半導体装置は、図8に示すようにトランジスタ300、トランジスタ400、容量素子800を有する。トランジスタ400はトランジスタ300の上方に設けられ、容量素子800はトランジスタ300、及びトランジスタ400の上方に設けられている。
【0091】
トランジスタ300は、基板311上に設けられ、導電体316、絶縁体315、基板311の一部からなる半導体領域313、ソース領域又はドレイン領域として機能する低抵抗領域314a、及び低抵抗領域314bを有する。
【0092】
トランジスタ300は、半導体領域313の上面及びチャネル幅方向の側面が絶縁体315を介して導電体316に覆われている。このように、トランジスタ300をFin型とすることにより、実効上のチャネル幅が増大し、トランジスタ300のオン特性を向上させることができる。また、ゲート電極の電界の寄与を高くすることができるため、トランジスタ300のオフ特性を向上させることができる。
【0093】
なお、トランジスタ300は、pチャネル型、あるいはnチャネル型のいずれでもよい。
【0094】
半導体領域313のチャネルが形成される領域、その近傍の領域、ソース領域、又はドレイン領域となる低抵抗領域314a、及び低抵抗領域314bなどにおいて、シリコン系半導体などの半導体を含むことが好ましく、単結晶シリコンを含むことが好ましい。又は、Ge(ゲルマニウム)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、GaAlAs(ガリウムアルミニウムヒ素)などを有する材料で形成してもよい。結晶格子に応力を与え、格子間隔を変化させることで有効質量を制御したシリコンを用いた構成としてもよい。又はGaAsとGaAlAs等を用いることで、トランジスタ300をHEMT(High Electron Mobility Transistor)としてもよい。
【0095】
低抵抗領域314a、及び低抵抗領域314bは、半導体領域313に適用される半導体材料に加え、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、又はホウ素などのp型の導電性を付与する元素を含む。
【0096】
ゲート電極として機能する導電体316は、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、もしくはホウ素などのp型の導電性を付与する元素を含むシリコンなどの半導体材料、金属材料、合金材料、又は金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。
【0097】
なお、導電体の材料によって仕事関数が決まるため、当該導電体の材料を選択することで、トランジスタのしきい値電圧を調整することができる。具体的には、導電体に窒化チタンや窒化タンタルなどの材料を用いることが好ましい。さらに導電性と埋め込み性を両立するために導電体にタングステンやアルミニウムなどの金属材料を積層として用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが耐熱性の点で好ましい。
【0098】
なお、図8に示すトランジスタ300は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。例えば、半導体装置をOSトランジスタのみで構成する場合、図9に示すとおり、トランジスタ300の構成を、酸化物半導体を用いているトランジスタ400と同様の構成にすればよい。
【0099】
トランジスタ300を覆って、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、及び絶縁体326が順に積層して設けられている。
【0100】
絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、及び絶縁体326として、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを用いればよい。
【0101】
なお、本明細書中において、酸化窒化シリコンとは、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を示す。また、本明細書中において、酸化窒化アルミニウムとは、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化アルミニウムとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を示す。
【0102】
絶縁体322は、その下方に設けられるトランジスタ300などによって生じる段差を平坦化する平坦化膜としての機能を有していてもよい。例えば、絶縁体322の上面は、平坦性を高めるために化学機械研磨(CMP)法等を用いた平坦化処理により平坦化されていてもよい。
【0103】
また、絶縁体324には、基板311、又はトランジスタ300などから、トランジスタ400が設けられる領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。
【0104】
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、例えば、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタ400等の酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、当該半導体素子の特性が低下する場合がある。したがって、トランジスタ400と、トランジスタ300との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
【0105】
また、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、及び絶縁体326には容量素子800、又はトランジスタ400と接続する導電体328、及び導電体330等が埋め込まれている。なお、導電体328、及び導電体330は、プラグ又は配線としての機能を有する。また、プラグ又は配線としての機能を有する導電体は、複数の構造をまとめて同一の符号を付与する場合がある。
【0106】
各プラグ、及び配線(導電体328、導電体330等)の材料としては、金属材料、合金材料、金属窒化物材料、又は金属酸化物材料などの導電性材料を、単層又は積層して用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、タングステンを用いることが好ましい。又は、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。低抵抗導電性材料を用いることで配線抵抗を低くすることができる。
【0107】
絶縁体326、及び導電体330上に、配線層を設けてもよい。例えば、図8において、絶縁体350、絶縁体352、及び絶縁体354が順に積層して設けられている。また、絶縁体350、絶縁体352、及び絶縁体354には、導電体356が形成されている。導電体356は、トランジスタ300と接続するプラグ、又は配線としての機能を有する。なお導電体356は、導電体328、及び導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0108】
なお、例えば、絶縁体350は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。なお、水素に対するバリア性を有する導電体としては、例えば、窒化タンタル等を用いるとよい。
【0109】
絶縁体354、及び導電体356上に、配線層を設けてもよい。例えば、図8において、絶縁体360、絶縁体362、及び絶縁体364が順に積層して設けられている。また、絶縁体360、絶縁体362、及び絶縁体364には、導電体366が形成されている。導電体366は、プラグ又は配線としての機能を有する。なお導電体366は、導電体328、及び導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0110】
なお、例えば、絶縁体360は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体366は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体360が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ400とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ400への水素の拡散を抑制することができる。
【0111】
絶縁体364、及び導電体366上に、配線層を設けてもよい。例えば、図8において、絶縁体370、絶縁体372、及び絶縁体374が順に積層して設けられている。また、絶縁体370、絶縁体372、及び絶縁体374には、導電体376が形成されている。導電体376は、プラグ又は配線としての機能を有する。なお導電体376は、導電体328、及び導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0112】
なお、例えば、絶縁体370は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体376は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体370が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ400とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ400への水素の拡散を抑制することができる。
【0113】
絶縁体374、及び導電体376上に、配線層を設けてもよい。例えば、図8において、絶縁体380、絶縁体382、及び絶縁体384が順に積層して設けられている。また、絶縁体380、絶縁体382、及び絶縁体384には、導電体386が形成されている。導電体386は、プラグ又は配線としての機能を有する。なお導電体386は、導電体328、及び導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0114】
なお、例えば、絶縁体380は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体386は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体380が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ400とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ400への水素の拡散を抑制することができる。
【0115】
絶縁体384上には絶縁体410、絶縁体412、絶縁体414、及び絶縁体416が、順に積層して設けられている。絶縁体410、絶縁体412、絶縁体414、及び絶縁体416のいずれかは、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。
【0116】
例えば、絶縁体410、及び絶縁体414には、例えば、基板311、又はトランジスタ300を設ける領域などから、トランジスタ400を設ける領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。したがって、絶縁体324と同様の材料を用いることができる。
【0117】
また、水素に対するバリア性を有する膜として、例えば、絶縁体410、及び絶縁体414には、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物を用いることが好ましい。図24にトランジスタ400を示す。
【0118】
また、例えば、絶縁体412、及び絶縁体416には、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。
【0119】
また、絶縁体410、絶縁体412、絶縁体414、及び絶縁体416には、導電体418、及びトランジスタ400を構成する導電体403等が埋め込まれている。なお、導電体418は、容量素子800、又はトランジスタ300と接続するプラグ、又は配線としての機能を有する
【0120】
特に、絶縁体410、及び絶縁体414と接する領域の導電体403aは、酸素、水素、及び水に対するバリア性を有する導電体であることが好ましい。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ400とは、酸素、水素、及び水に対するバリア性を有する層で、分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ400への水素の拡散を抑制することができる。
【0121】
絶縁体416の上方には、トランジスタ400が設けられている。
【0122】
トランジスタ400は、図24に示すように、絶縁体414及び絶縁体416に埋め込まれるように配置された導電体403と、絶縁体416及び導電体403の上に配置された絶縁体420と、絶縁体420の上に配置された絶縁体422と、絶縁体422の上に配置された絶縁体424と、絶縁体424の上に配置された酸化物430aと、酸化物430aの上に配置された酸化物430bと、酸化物430b上に互いに離れて配置された導電体442a及び導電体442bと、導電体442a及び導電体442b上に配置され、導電体442aと導電体442bの間に重畳して開口が形成された絶縁体480と、開口の底面及び側面に配置された酸化物430cと、酸化物430cの形成面に配置された絶縁体450と、絶縁体450の形成面に配置された導電体460と、を有する。
【0123】
また、酸化物430a、酸化物430b、導電体442a、及び導電体442bと、絶縁体480との間に絶縁体444が配置されることが好ましい。
【0124】
また、導電体460は、絶縁体450の内側に設けられた導電体460aと、導電体460aの内側に埋め込まれるように設けられた導電体460bと、を有することが好ましい。また、絶縁体480、導電体460、及び絶縁体450の上に絶縁体474が配置されることが好ましい。
【0125】
なお、以下において、酸化物430a、酸化物430b、及び酸化物430cをまとめて酸化物430という場合がある。
【0126】
なお、トランジスタ400では、チャネルが形成される領域と、その近傍において、酸化物430a、酸化物430b、及び酸化物430cの3層を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、酸化物430bの単層、酸化物430bと酸化物430aの2層構造、酸化物430bと酸化物430cの2層構造、又は4層以上の積層構造を設ける構成にしてもよい。また、トランジスタ400では、導電体460を2層の積層構造として示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体460が、単層構造であってもよいし、3層以上の積層構造であってもよい。また、図8及び図24に示すトランジスタ400は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
【0127】
ここで、導電体460は、トランジスタのゲート電極として機能し、導電体442a及び導電体442bは、それぞれソース電極又はドレイン電極として機能する。上記のように、導電体460は、絶縁体480の開口、及び導電体442aと導電体442bに挟まれた領域に埋め込まれるように形成される。導電体460、導電体442a及び導電体442bの配置は、絶縁体480の開口に対して、自己整合的に選択される。つまり、トランジスタ400において、ゲート電極を、ソース電極とドレイン電極の間に、自己整合的に配置させることができる。よって、導電体460を位置合わせのマージンを設けることなく形成することができるので、トランジスタ400の占有面積の縮小を図ることができる。これにより、半導体装置の微細化、高集積化を図ることができる。
【0128】
さらに、導電体460が、導電体442aと導電体442bの間の領域に自己整合的に形成されるので、導電体460は、導電体442a又は導電体442bと重畳する領域を有さない。これにより、導電体460と導電体442a及び導電体442bとの間に形成される寄生容量を低減することができる。よって、トランジスタ400のスイッチング速度を向上させ、周波数特性を高めることができる。
【0129】
導電体460は、第1のゲート(トップゲートともいう)電極として機能する場合がある。また、導電体403は、第2のゲート(ボトムゲートともいう)電極として機能する場合がある。その場合、導電体403に印加する電位を、導電体460に印加する電位と、連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ400のしきい値電圧を制御することができる。特に、導電体403に負の電位を印加することにより、トランジスタ400のしきい値電圧を0Vより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したがって、導電体403に負の電位を印加したほうが、印加しない場合よりも、導電体460に印加する電位が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
【0130】
導電体403は、酸化物430、及び導電体460と、重なるように配置する。これにより、導電体460、及び導電体403に電位を印加した場合、導電体460から生じる電界と、導電体403から生じる電界と、がつながり、酸化物430に形成されるチャネル形成領域を覆うことができる。本明細書等において、第1のゲート電極、及び第2のゲート電極の電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(S-channel)構造とよぶ。
【0131】
また、導電体403は、導電体418と同様の構成であり、絶縁体414及び絶縁体416の開口の内壁に接して導電体403aが形成され、さらに内側に導電体403bが形成されている。なお、トランジスタ400では、導電体403a及び導電体403bを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体403は、単層、又は3層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。
【0132】
ここで、導電体403aは、水素原子、水素分子、水分子、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい。)導電性材料を用いることが好ましい。又は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)導電性材料を用いることが好ましい。なお、本明細書において、不純物、又は酸素の拡散を抑制する機能とは、上記不純物、又は上記酸素のいずれか一又は、すべての拡散を抑制する機能とする。
【0133】
例えば、導電体403aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、導電体403bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。
【0134】
また、導電体403が配線の機能を兼ねる場合、導電体403bは、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする、導電性が高い導電性材料を用いることが好ましい。その場合、導電体405は、必ずしも設けなくともよい。なお、導電体403bを単層で図示したが、積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
【0135】
絶縁体420、絶縁体422、絶縁体424、及び絶縁体450は、第2のゲート絶縁膜としての機能を有する。
【0136】
ここで、酸化物430と接する絶縁体424は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む絶縁体を用いることが好ましい。つまり、絶縁体424には、過剰酸素領域が形成されていることが好ましい。このような過剰酸素を含む絶縁体を酸化物430に接して設けることにより、酸化物430中の酸素欠損を低減し、トランジスタ400の信頼性を向上させることができる。
【0137】
また、絶縁体424が、過剰酸素領域を有する場合、絶縁体422は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)ことが好ましい。
【0138】
絶縁体422が、酸素や不純物の拡散を抑制する機能を有することで、酸化物430が有する酸素は、絶縁体420側へ拡散することがなく、好ましい。また、導電体403が、絶縁体424や、酸化物430が有する酸素と反応することを抑制することができる。
【0139】
絶縁体422には、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウム及びハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、又は(Ba,Sr)TiO(BST)などのいわゆるhigh-k材料を含む絶縁体を単層又は積層で用いることが好ましい。
【0140】
特に、不純物及び酸素などの拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)絶縁性材料であるアルミニウム、ハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体を用いるとよい。アルミニウム、ハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウム及びハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。このような材料を用いて絶縁体422を形成した場合、絶縁体422は、酸化物430からの酸素の放出や、トランジスタ400の周辺部から酸化物430への水素等の不純物の混入を抑制する層として機能する。
【0141】
又は、これらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。又はこれらの絶縁体を窒化処理してもよい。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコン又は窒化シリコンを積層して用いてもよい。
【0142】
また、絶縁体520は、熱的に安定していることが好ましい。例えば、酸化シリコン及び酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、好適である。また、high-k材料の絶縁体を酸化シリコン、または酸化窒化シリコンと組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造の絶縁体420や絶縁体426を得ることができる。
【0143】
なお、トランジスタ400では、3層の積層構造からなる第2のゲート絶縁膜として、絶縁体520、絶縁体422、及び絶縁体424が図示されているが、第2のゲート絶縁膜は、単層、2層、又は4層以上の積層構造を有していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構造に限定されず、異なる材料からなる積層構造でもよい。
【0144】
酸化物430においてチャネル形成領域として機能する金属酸化物は、バンドギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上のものを用いることが好ましい。このように、バンドギャップの大きい金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0145】
酸化物430は、酸化物430b下に酸化物430aを有することで、酸化物430aよりも下方に形成された構造物から、酸化物430bへの不純物の拡散を抑制することができる。また、酸化物430b上に酸化物430cを有することで、酸化物430cよりも上方に形成された構造物から、酸化物430bへの不純物の拡散を抑制することができる。
【0146】
なお、酸化物430は、各金属原子の原子数比が異なる酸化物からなる積層構造を有することが好ましい。具体的には、酸化物430aに用いる金属酸化物において、構成元素中の元素Mの原子数比が、酸化物430bに用いる金属酸化物における、構成元素中の元素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、酸化物430aに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物430bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物430bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物430aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物430cには、酸化物430a又は酸化物430bに用いることができる金属酸化物を、用いることができる。
【0147】
酸化物430b上には、ソース電極、及びドレイン電極として機能する導電体442a及び導電体442bが設けられる。
【0148】
また、酸化物430の、導電体442a(導電体442b)との界面とその近傍には、低抵抗領域として、領域443a、及び領域443bが形成される場合がある。このとき、領域443aはソース領域又はドレイン領域の一方として機能し、領域443bはソース領域又はドレイン領域の他方として機能する。また、領域443aと領域443bに挟まれる領域にチャネル形成領域が形成される。
【0149】
絶縁体444は、導電体442a、及び導電体442bを覆うように設けられ、導電体442a、及び導電体442bの酸化を抑制する。このとき、絶縁体444は、酸化物430の側面を覆い、絶縁体424と接するように設けられてもよい。
【0150】
絶縁体444として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、ネオジム、ランタン又は、マグネシウムなどから選ばれた一種、又は二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。また、絶縁体444として、窒化酸化シリコン又は窒化シリコンなども用いることができる。
【0151】
特に、絶縁体444として、アルミニウム、又はハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体である、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウム、及びハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。
【0152】
絶縁体444を有することで、絶縁体480に含まれる水、及び水素などの不純物が酸化物430c、絶縁体450を介して、酸化物430bに拡散することを抑制することができる。また、絶縁体480が有する過剰酸素により、導電体460が酸化するのを抑制することができる。
【0153】
加熱により酸素が放出される絶縁体を、絶縁体450として、酸化物430cの上面に接して設けることにより、絶縁体450から、酸化物430cを通じて、酸化物430bのチャネル形成領域に効果的に酸素を供給することができる。また、絶縁体424と同様に、絶縁体450中の水又は水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体450の膜厚は、1nm以上20nm以下とするのが好ましい。
【0154】
第1のゲート電極として機能する導電体460は、単層構造でもよいし、2層以上の積層構造であってもよい。
【0155】
導電体460aには、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(NO、NO、NOなど)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
【0156】
また、導電体460bには、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。
【0157】
絶縁体480は、絶縁体444を介して、導電体442a、及び導電体442b上に設けられる。絶縁体480は、過剰酸素領域を有することが好ましい。
【0158】
絶縁体480の開口は、導電体442aと導電体442bの間の領域に重畳して形成される。これにより、導電体460は、絶縁体480の開口、及び導電体442aと導電体442bに挟まれた領域に、埋め込まれるように形成される。
【0159】
絶縁体474は、絶縁体480の上面、導電体460の上面、及び絶縁体450の上面に接して設けられることが好ましい。絶縁体474をスパッタリング法で成膜することで、絶縁体450、及び絶縁体480へ過剰酸素領域を設けることができる。これにより、当該過剰酸素領域から、酸化物430中に酸素を供給することができる。
【0160】
また、絶縁体474の上に、層間膜として機能する絶縁体481を設けることが好ましい。絶縁体481は、絶縁体424などと同様に、膜中の水又は水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。
【0161】
また、絶縁体481、絶縁体474、絶縁体480、及び絶縁体444に形成された開口に、導電体440a、及び導電体440bを配置する。導電体440a及び導電体440bは、導電体460を挟んで対向して設ける。導電体540a及び導電体440bは、後述する導電体446、及び導電体448と同様の構成である。
【0162】
絶縁体481上には、絶縁体482が設けられている。絶縁体482には、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。
【0163】
また、絶縁体482上には、絶縁体486が設けられている。絶縁体486は、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。
【0164】
また、絶縁体420、絶縁体422、絶縁体424、絶縁体444、絶縁体480、絶縁体474、絶縁体481、絶縁体482、及び絶縁体486には、導電体446、及び導電体448等が埋め込まれている。
【0165】
導電体446、及び導電体448は、容量素子800、トランジスタ400、又はトランジスタ300と接続するプラグ、又は配線としての機能を有する。導電体446、及び導電体448は、導電体328、及び導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0166】
続いて、トランジスタ400の上方には、容量素子800が設けられている。容量素子800は、導電体810と、導電体820、絶縁体830とを有する。
【0167】
また、導電体446、及び導電体448上に、導電体812を設けてもよい。導電体812は、トランジスタ400と接続するプラグ、又は配線としての機能を有する。導電体810は、容量素子800の電極としての機能を有する。なお、導電体812、及び導電体810は、同時に形成することができる。
【0168】
絶縁体830を介して、導電体810と重畳するように、導電体820を設ける。なお、導電体820は、金属材料、合金材料、又は金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。
【0169】
導電体820、及び絶縁体830上には、絶縁体840が設けられている。絶縁体840は、絶縁体320と同様の材料を用いて設けることができる。また、絶縁体840は、その下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜として機能してもよい。
【0170】
本構造を用いることで、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた半導体装置において、電気特性の変動を抑制するとともに、信頼性を向上させることができる。又は、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた電池保護回路において、微細化又は高集積化を図ることができる。
【0171】
<トランジスタの構造例2>
図10(A)、(B)および(C)を用いてトランジスタ510Bの構造例を説明する。図10(A)はトランジスタ510Bの上面図である。図10(B)は、図10(A)に一点鎖線L1-L2で示す部位の断面図である。図10(C)は、図10(A)に一点鎖線W1-W2で示す部位の断面図である。なお、図10(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0172】
トランジスタ510Bは上記構造例1で示したトランジスタの変形例である。よって、説明の繰り返しを防ぐため、主に上記トランジスタと異なる点について説明する。
【0173】
図10(A)乃至(C)では、導電層542(導電層542a、および導電層542b)を設けずに、露出した酸化物530b表面の一部に領域531aおよび領域531bを有する。領域531aまたは領域531bの一方はソース領域として機能し、他方はドレイン領域として機能する。また、酸化物530bと、絶縁層574の間に、絶縁層573を有する。
【0174】
図10に示す、領域531(領域531a、および領域531b)は、酸化物530bに上記の元素が添加された領域である。領域531は、例えば、ダミーゲートを用いることで形成することができる。
【0175】
具体的には、酸化物530b上にダミーゲートを設け、当該ダミーゲートをマスクとして用い、上記酸化物530bを低抵抗化する元素を添加するとよい。つまり、酸化物530が、ダミーゲートと重畳していない領域に、当該元素が添加され、領域531が形成される。なお、当該元素の添加方法としては、イオン化された原料ガスを質量分離して添加するイオン注入法、イオン化された原料ガスを質量分離せずに添加するイオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いることができる。
【0176】
なお、酸化物530を低抵抗化する元素としては、代表的には、ホウ素、またはリンが挙げられる。また、水素、炭素、窒素、フッ素、硫黄、塩素、チタン、希ガス等を用いてもよい。希ガスの代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、及びキセノン等がある。当該元素の濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)などを用いて測定すればよい。
【0177】
特に、ホウ素、及びリンには、アモルファスシリコン、または低温ポリシリコンの製造ラインの装置を使用することができるため、好ましい。既存の設備を転用することができ、設備投資を抑制することができる。
【0178】
続いて、酸化物530b、およびダミーゲート上に、絶縁層573となる絶縁膜、および絶縁層574となる絶縁膜を成膜してもよい。絶縁層573となる絶縁膜、および絶縁層574を積層して設けることで、領域531と、酸化物530cおよび絶縁層550とが重畳する領域を設けることができる。
【0179】
具体的には、絶縁層574となる絶縁膜上に絶縁層580となる絶縁膜を設けた後、絶縁層580となる絶縁膜にCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理を行うことで、絶縁層580となる絶縁膜の一部を除去し、ダミーゲートを露出する。続いて、ダミーゲートを除去する際に、ダミーゲートと接する絶縁層573の一部も除去するとよい。従って、絶縁層580に設けられた開口部の側面には、絶縁層574、および絶縁層573が露出し、当該開口部の底面には、酸化物530bに設けられた領域531の一部が露出する。次に、当該開口部に酸化物530cとなる酸化膜、絶縁層550となる絶縁膜、および導電層560となる導電膜を順に成膜した後、絶縁層580が露出するまでCMP処理などにより、酸化物530cとなる酸化膜、絶縁層550となる絶縁膜、および導電層560となる導電膜の一部を除去することで、図10に示すトランジスタを形成することができる。
【0180】
なお、絶縁層573、および絶縁層574は必須の構成ではない。求めるトランジスタ特性により、適宜設計すればよい。
【0181】
図10に示すトランジスタには、既存の装置を転用することができ、コストの低減を図ることができる。
【0182】
<トランジスタの構造例3>
図11(A)、(B)および(C)を用いてトランジスタ510Cの構造例を説明する。図11(A)はトランジスタ510Cの上面図である。図11(B)は、図11(A)に一点鎖線L1-L2で示す部位の断面図である。図11(C)は、図11(A)に一点鎖線W1-W2で示す部位の断面図である。なお、図11(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0183】
トランジスタ510Cは上記トランジスタ400の変形例である。よって、説明の繰り返しを防ぐため、主にトランジスタ400と異なる点について説明する。
【0184】
トランジスタ510Cは、導電層542(導電層542a、および導電層542b)と、酸化物530c、絶縁層550、酸化物551および導電層560と、が重畳する領域を有する。当該構造とすることで、オン電流が高いトランジスタを提供することができる。また、制御性が高いトランジスタを提供することができる。
【0185】
第1のゲート電極として機能する導電層560は、導電層560a、および導電層560a上の導電層560bを有する。導電層560aには、導電層505aと同様に、水素原子、水素分子、水分子、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
【0186】
導電層560aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、導電層560bの材料選択性を向上することができる。つまり、導電層560aを有することで、導電層560bの酸化が抑制され、導電率が低下することを防止することができる。
【0187】
また、トランジスタのVthを調整するために、導電層560aに用いる材料は、仕事関数を考慮して決定してもよい。例えば、導電層560aを窒化チタン、導電層560bをタングステンで形成してもよい。導電層560aおよび導電層560bは、スパッタリング法、CVD法、またはAFM法などの既知の成膜方法で形成すればよい。なお、窒化チタンをCVD法で成膜する場合の成膜温度は380℃以上500℃以下が好ましく、400℃以上450℃以下がより好ましい。
【0188】
酸化物551は、他の絶縁層と同様の材料を用いて形成してもよい。また、酸化物551として、過剰酸素を含むIn-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種)等の金属酸化物を用いてもよい。例えば、酸化物551として、In-Ga-Zn酸化物をスパッタリング法で成膜する。具体的には、例えば原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:4のターゲットを用いて、酸素を含むスパッタリングガスを用いて成膜する。酸化物551をスパッタリング法で成膜する場合、スパッタリングガスに含まれる酸素の流量比は70%以上が好ましく、80%以上がさらに好ましく、100%がより好ましい。
【0189】
スパッタリングガスに酸素を含むガスを用いることで、酸化物551だけでなく、酸化物551の被形成面である絶縁層550に酸素を供給することができる。また、スパッタリングガスに含まれる酸素の流量比を大きくすることで、絶縁層550への酸素供給量を増やすことができる。
【0190】
また、絶縁層550上に酸化物551を設けることで、絶縁層550に含まれる過剰酸素が導電層560へ拡散しにくくなる。よって、トランジスタの信頼性を高めることができる。なお、酸化物551は、目的などによっては省略される場合がある。
【0191】
また、導電層560の上面および側面、絶縁層550の側面、および酸化物530cの側面を覆うように、絶縁層574を設けることが好ましい。なお、絶縁層574は、水または水素などの不純物、および酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いるとよい。例えば、酸化アルミニウムまたは酸化ハフニウムなどを用いることが好ましい。また、他にも、例えば、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジムまたは酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどを用いることができる。
【0192】
絶縁層574を設けることで、導電層560の酸化を抑制することができる。また、絶縁層574を有することで、絶縁層580が有する水、および水素などの不純物がトランジスタ510Cへ拡散することを抑制することができる。
【0193】
また、導電層546と、絶縁層580との間に、バリア性を有する絶縁層576(絶縁層576a、および絶縁層576b)を配置してもよい。絶縁層576を設けることで、絶縁層580の酸素が導電層546と反応し、導電層546が酸化することを抑制することができる。
【0194】
また、バリア性を有する絶縁層576を設けることで、プラグや配線に用いられる導電体の材料選択の幅を広げることができる。例えば、導電層546に、酸素を吸収する性質を持つ一方で、導電性が高い金属材料を用いることができる。
【0195】
<トランジスタの構造例4>
図12(A)、(B)および(C)を用いてトランジスタ510Dの構造例を説明する。図12(A)はトランジスタ510Dの上面図である。図12(B)は、図12(A)に一点鎖線L1-L2で示す部位の断面図である。図12(C)は、図12(A)に一点鎖線W1-W2で示す部位の断面図である。なお、図12(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0196】
トランジスタ510Dは上記トランジスタ400の変形例である。よって、説明の繰り返しを防ぐため、主にトランジスタ400と異なる点について説明する。
【0197】
図12に示すトランジスタ510Dは、導電層542aと酸化物530bの間に導電層547aが配置され、導電層542bと酸化物530bの間に導電層547bが配置されている。ここで、導電層542a(導電層542b)は、導電層547a(導電層547b)の上面および導電層560側の側面を越えて延在し、酸化物530bの上面に接する領域を有する。ここで、導電層547には、導電層542に用いることができる導電体を用いればよい。さらに、導電層547の膜厚は、少なくとも導電層542より厚いことが好ましい。
【0198】
図12に示すトランジスタ510Dは、上記のような構成を有することにより、トランジスタ400よりも、導電層542を導電層560に近づけることができる。または、導電層542aの端部および導電層542bの端部と、導電層560を重ねることができる。これにより、トランジスタ510Dの実質的なチャネル長を短くし、オン電流および周波数特性の向上を図ることができる。
【0199】
また、導電層547a(導電層547b)は、導電層542a(導電層542b)と重畳して設けられることが好ましい。このような構成にすることで、導電層546a(導電層546b)を埋め込む開口を形成するエッチングにおいて、導電層547a(導電層547b)がストッパとして機能し、酸化物530bがオーバーエッチングされるのを防ぐことができる。
【0200】
また、図12に示すトランジスタ510Dは、絶縁層544の上に接して絶縁層565を配置する構成にしてもよい。絶縁層544としては、水または水素などの不純物や、過剰な酸素が、絶縁層580側からトランジスタ510Dに混入するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。絶縁層565としては、絶縁層544に用いることができる絶縁層を用いることができる。また、絶縁層544を、例えば、窒化アルミニウム、窒化アルミニウムチタン、窒化チタン、窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンなどの、窒化物絶縁材料を用いて形成してもよい。
【0201】
また、図12に示すトランジスタ510Dは、図24に示すトランジスタ400と異なり、導電層505を単層構造で設けてもよい。この場合、パターン形成された導電層505の上に絶縁層516となる絶縁膜を成膜し、当該絶縁膜の上部を、導電層505の上面が露出するまでCMP法などを用いて除去すればよい。ここで、導電層505の上面の平坦性を良好にすることが好ましい。例えば、導電層505上面の平均面粗さ(Ra)を1nm以下、好ましくは0.5nm以下、より好ましくは0.3nm以下にすればよい。これにより、導電層505の上に形成される、絶縁層の平坦性を良好にし、酸化物530bおよび酸化物530cの結晶性の向上を図ることができる。
【0202】
<トランジスタの構造例5>
図13(A)、(B)および(C)を用いてトランジスタ510Eの構造例を説明する。図13(A)はトランジスタ510Eの上面図である。図13(B)は、図13(A)に一点鎖線L1-L2で示す部位の断面図である。図13(C)は、図13(A)に一点鎖線W1-W2で示す部位の断面図である。なお、図13(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0203】
トランジスタ510Eは上記トランジスタ400の変形例である。よって、説明の繰り返しを防ぐため、主に上記トランジスタ400と異なる点について説明する。
【0204】
図13(A)乃至(C)では、導電層503を設けずに、第2のゲートとしての機能を有する導電層505を配線としても機能させている。また、酸化物530c上に絶縁層550を有し、絶縁層550上に金属酸化物552を有する。また、金属酸化物552上に導電層560を有し、導電層560上に絶縁層570を有する。また、絶縁層570上に絶縁層571を有する。
【0205】
金属酸化物552は、酸素拡散を抑制する機能を有することが好ましい。絶縁層550と、導電層560との間に、酸素の拡散を抑制する金属酸化物552を設けることで、導電層560への酸素の拡散が抑制される。つまり、酸化物530へ供給する酸素量の減少を抑制することができる。また、酸素による導電層560の酸化を抑制することができる。
【0206】
なお、金属酸化物552は、第1のゲートの一部としての機能を有してもよい。例えば、酸化物530として用いることができる酸化物半導体を、金属酸化物552として用いることができる。その場合、導電層560をスパッタリング法で成膜することで、金属酸化物552の電気抵抗値を低下させて導電層とすることができる。これをOC(Oxide Conductor)電極と呼ぶことができる。
【0207】
また、金属酸化物552は、ゲート絶縁層の一部としての機能を有する場合がある。したがって、絶縁層550に酸化シリコンや酸化窒化シリコンなどを用いる場合、金属酸化物552は、比誘電率が高いhigh-k材料である金属酸化物を用いることが好ましい。当該積層構造とすることで、熱に対して安定、かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。したがって、物理膜厚を保持したまま、トランジスタ動作時に印加するゲート電位の低減化が可能となる。また、ゲート絶縁層として機能する絶縁層の等価酸化膜厚(EOT)の薄膜化が可能となる。
【0208】
トランジスタ510Eにおいて、金属酸化物552を単層で示したが、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、ゲート電極の一部として機能する金属酸化物と、ゲート絶縁層の一部として機能する金属酸化物とを積層して設けてもよい。
【0209】
金属酸化物552を有することで、ゲート電極として機能する場合は、導電層560からの電界の影響を弱めることなく、トランジスタ510Eのオン電流の向上を図ることができる。または、ゲート絶縁層として機能する場合は、絶縁層550と、金属酸化物552との物理的な厚みにより、導電層560と、酸化物530との間の距離を保つことで、導電層560と酸化物530との間のリーク電流を抑制することができる。従って、絶縁層550、および金属酸化物552との積層構造を設けることで、導電層560と酸化物530との間の物理的な距離、および導電層560から酸化物530へかかる電界強度を、容易に適宜調整することができる。
【0210】
具体的には、酸化物530に用いることができる酸化物半導体を低抵抗化することで、金属酸化物552として用いることができる。または、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、または、マグネシウムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。
【0211】
特に、アルミニウム、またはハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁層である、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。特に、ハフニウムアルミネートは、酸化ハフニウム膜よりも、耐熱性が高い。そのため、後の工程での熱処理において、結晶化しにくいため好ましい。なお、金属酸化物552は、必須の構成ではない。求めるトランジスタ特性により、適宜設計すればよい。
【0212】
絶縁層570は、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いるとよい。例えば、酸化アルミニウムまたは酸化ハフニウムなどを用いることが好ましい。これにより、絶縁層570よりも上方からの酸素で導電層560が酸化するのを抑制することができる。また、絶縁層570よりも上方からの水または水素などの不純物が、導電層560および絶縁層550を介して、酸化物230に混入することを抑制することができる。
【0213】
絶縁層571はハードマスクとして機能する。絶縁層571を設けることで、導電層560の加工の際、導電層560の側面が概略垂直、具体的には、導電層560の側面と基板表面のなす角を、75度以上100度以下、好ましくは80度以上95度以下とすることができる。
【0214】
なお、絶縁層571に、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いることで、バリア層としての機能を兼ねさせてもよい。その場合、絶縁層570は設けなくともよい。
【0215】
絶縁層571をハードマスクとして用いて、絶縁層570、導電層560、金属酸化物552、絶縁層550、および酸化物530cの一部を選択的に除去することで、これらの側面を略一致させて、かつ、酸化物530b表面の一部を露出させることができる。
【0216】
また、トランジスタ510Eは、露出した酸化物530b表面の一部に領域531aおよび領域531bを有する。領域531aまたは領域531bの一方はソース領域として機能し、他方はドレイン領域として機能する。
【0217】
領域531aおよび領域531bの形成は、例えば、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法、またはプラズマ処理などを用いて、露出した酸化物530b表面にリンまたはボロンなどの不純物元素を導入することで実現できる。なお、本実施の形態などにおいて「不純物元素」とは、主成分元素以外の元素のことをいう。
【0218】
また、酸化物530b表面の一部を露出させた後に金属膜を成膜し、その後加熱処理することにより、該金属膜に含まれる元素を酸化物530bに拡散させて領域531aおよび領域531bを形成することもできる。
【0219】
酸化物530bの不純物元素が導入された領域は、電気抵抗率が低下する。このため、領域531aおよび領域531bを「不純物領域」または「低抵抗領域」という場合がある。
【0220】
絶縁層571および/または導電層560をマスクとして用いることで、領域531aおよび領域531bを自己整合(セルフアライメント)的に形成することができる。よって、領域531aおよび/または領域531bと、導電層560が重ならず、寄生容量を低減することができる。また、チャネル形成領域とソースドレイン領域(領域531aまたは領域531b)の間にオフセット領域が形成されない。領域531aおよび領域531bを自己整合(セルフアライメント)的に形成することにより、オン電流の増加、しきい値電圧の低減、動作周波数の向上などを実現できる。
【0221】
なお、オフ電流を更に低減するため、チャネル形成領域とソースドレイン領域の間にオフセット領域を設けてもよい。オフセット領域とは、電気抵抗率が高い領域であり、前述した不純物元素の導入が行なわれない領域である。オフセット領域の形成は、絶縁層575の形成後に前述した不純物元素の導入を行なうことで実現できる。この場合、絶縁層575も絶縁層571などと同様にマスクとして機能する。よって、酸化物530bの絶縁層575と重なる領域に不純物元素が導入されず、該領域の電気抵抗率を高いままとすることができる。
【0222】
また、トランジスタ510Eは、絶縁層570、導電層560、金属酸化物552、絶縁層550、および酸化物530cの側面に絶縁層575を有する。絶縁層575は、比誘電率の低い絶縁層であることが好ましい。例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン、または樹脂などであることが好ましい。特に、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンを絶縁層575に用いると、後の工程で絶縁層575中に過剰酸素領域を容易に形成できるため好ましい。また、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい。また、絶縁層575は、酸素を拡散する機能を有することが好ましい。
【0223】
また、トランジスタ510Eは、絶縁層575、酸化物530上に絶縁層574を有する。絶縁層574は、スパッタリング法を用いて成膜することが好ましい。スパッタリング法を用いることにより、水または水素などの不純物の少ない絶縁層を成膜することができる。例えば、絶縁層574として、酸化アルミニウムを用いるとよい。
【0224】
なお、スパッタリング法を用いた酸化膜は、被成膜構造体から水素を引き抜く場合がある。従って、絶縁層574が酸化物530および絶縁層575から水素および水を吸収することで、酸化物530および絶縁層575の水素濃度を低減することができる。
【0225】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0226】
(実施の形態5)
本実施の形態では、円筒型の二次電池の例について図14を参照して説明する。円筒型の二次電池600は、上面に正極キャップ(電池蓋)601を有し、側面および底面に電池缶(外装缶)602を有している。これら正極キャップと電池缶(外装缶)602とは、ガスケット(絶縁パッキン)610によって絶縁されている。また、二次電池600の電池缶の底面付近には、樹脂カバーで覆われた保護回路基板618が電気的に接続されている。
【0227】
図14(C)に示す電子部品700はIC半導体装置であり、リードおよび回路部を有する。回路部は、例えば、実施の形態1に示した保護回路100を含む。電子部品700は、例えばプリント基板に実装される。保護回路基板618は、一つまたは複数の電子部品700が実装されたプリント基板である。
【0228】
図14(B)は、円筒型の二次電池の断面を模式的に示した図である。中空円柱状の電池缶602の内側には、帯状の正極604と負極606とがセパレータ605を間に挟んで捲回された電池素子が設けられている。図示しないが、電池素子はセンターピンを中心に捲回されている。電池缶602は、一端が閉じられ、他端が開いている。電池缶602には、電解液に対して耐腐食性のあるニッケル、アルミニウム、チタン等の金属、又はこれらの合金やこれらと他の金属との合金(例えば、ステンレス鋼等)を用いることができる。また、電解液による腐食を防ぐため、ニッケルやアルミニウム等を被覆することが好ましい。電池缶602の内側において、正極、負極およびセパレータが捲回された電池素子は、対向する一対の絶縁板608、609により挟まれている。また、電池素子が設けられた電池缶602の内部は、非水電解液(図示せず)が注入されている。非水電解液は、コイン型の二次電池と同様のものを用いることができる。
【0229】
円筒型の二次電池に用いる正極および負極は捲回するため、集電体の両面に活物質を形成することが好ましい。正極604には正極端子(正極集電リード)603が接続され、負極606には負極端子(負極集電リード)607が接続される。正極端子603および負極端子607は、ともにアルミニウムなどの金属材料を用いることができる。正極端子603は安全弁機構612に、負極端子607は電池缶602の底にそれぞれ抵抗溶接される。安全弁機構612は、PTC素子(Positive Temperature Coefficient)611を介して正極キャップ601と電気的に接続されている。安全弁機構612は電池の内圧の上昇が所定の閾値を超えた場合に、正極キャップ601と正極604との電気的な接続を切断するものである。また、PTC素子611は温度が上昇した場合に抵抗が増大する熱感抵抗素子であり、抵抗の増大により電流量を制限して異常発熱を防止するものである。PTC素子には、チタン酸バリウム(BaTiO)系半導体セラミックス等を用いることができる。
【0230】
[二次電池の構造例]
二次電池の別の構造例について、図15乃至図18を用いて説明する。
【0231】
図15(A)及び図15(B)は、電池パックの外観図を示す図である。電池パックは、回路基板900と、二次電池913と、を有する。二次電池913は、端子951と、端子952とを有し、ラベル910で覆われている。また電池パックはアンテナ914を有してもよい。アンテナ914を用いて二次電池913に非接触で充電を行うこともできる。
【0232】
回路基板900はシール915で固定されている。回路基板900は、電子部品700が実装されており、例えば、実施の形態1に示した保護回路100を含む。端子911は、回路基板900を介して、二次電池913が有する端子951および端子952と電気的に接続される。また端子911は、回路基板900を介して、アンテナ914、及び電子部品700と電気的に接続される。なお、端子911を複数設けて、複数の端子911のそれぞれを、制御信号入力端子、電源端子などとしてもよい。
【0233】
電子部品700は、マイクロショートなどの異常を検出する。さらに、過充電、過放電および過電流から二次電池913を保護する、保護回路としての機能を有してもよい。電子部品700は、回路基板900の裏面に設けられていてもよい。なお、アンテナ914は、コイル状に限定されず、例えば線状、板状であってもよい。また、平面アンテナ、開口面アンテナ、進行波アンテナ、EHアンテナ、磁界アンテナ、誘電体アンテナ等のアンテナを用いてもよい。アンテナ914は、たとえば外部機器とのデータ通信を行うことができる機能を有する。アンテナ914を介した電池パックと他の機器との通信方式としては、NFCなど、電池パックと他の機器との間で用いることができる応答方式などを適用することができる。
【0234】
電池パックは、アンテナ914と、二次電池913との間に層916を有する。層916は、例えば二次電池913による電磁界を遮蔽することができる機能を有する。層916としては、例えば磁性体を用いることができる。
【0235】
なお、電池パックの構造は、図15に限定されない。
【0236】
例えば、図16(A1)及び図16(A2)に示すように、図15(A)及び図15(B)に示す二次電池913のうち、対向するもう一対の面にアンテナ918を設けてもよい。図16(A1)は、上記一対の面の一方側方向から見た外観図であり、図16(A2)は、上記一対の面の他方側方向から見た外観図である。なお、図15(A)及び図15(B)に示す電池パックと同じ部分については、図15(A)及び図15(B)に示す電池パックの説明を適宜援用できる。
【0237】
図16(A1)に示すように、二次電池913の一対の面の一方に層916を挟んでアンテナ914が設けられ、図16(A2)に示すように、二次電池913の一対の面の他方に層917を挟んでアンテナ918が設けられる。層917は、例えば二次電池913による電磁界を遮蔽することができる機能を有する。層917としては、例えば磁性体を用いることができる。
【0238】
上記構造にすることにより、電池パックにアンテナを二つ設け、かつアンテナ914及びアンテナ918の両方のサイズを大きくすることができる。
【0239】
アンテナ918は、アンテナ914に適用可能な形状のアンテナを適用することができる。さらにアンテナ918は平板状の導体でもよい。この平板状の導体は、電界結合用の導体の一つとして機能することができる。つまり、コンデンサの有する2つの導体のうちの一つの導体として、アンテナ914を機能させてもよい。これにより、電磁界、磁界だけでなく、電界で電力のやり取りを行うこともできる。非接触での充電を行う際にもマイクロショートが発生する恐れがあるため、上述した実施の形態の保護回路を設けることが好ましい。これらのアンテナと二次電池の間には充電制御回路が設けられ、二次電池と電気的に接続する保護回路を設けてもよい。
【0240】
又は、図16(B1)に示すように、図15(A)及び図15(B)に示す電池パックに表示装置920を設けてもよい。表示装置920は、端子911に電気的に接続される。なお、図15(A)及び図15(B)に示す電池パックと同じ部分については、図15(A)及び図15(B)に示す電池パックの説明を適宜援用できる。
【0241】
表示装置920には、例えば充電中であるか否かを示す画像、二次電池の残量を示す画像、異常発生を警告する情報などを表示してもよい。表示装置920としては、例えば電子ペーパー、液晶表示装置、エレクトロルミネセンス(ELともいう)表示装置などを用いることができる。例えば、電子ペーパーを用いることにより表示装置920の消費電力を低減することができる。
【0242】
又は、図16(B2)に示すように、図15(A)及び図15(B)に示す二次電池913にセンサ921を設けてもよい。センサ921は、端子922および回路基板900を介して端子911に電気的に接続される。なお、図15(A)及び図15(B)に示す二次電池と同じ部分については、図15(A)及び図15(B)に示す二次電池の説明を適宜援用できる。
【0243】
センサ921としては、例えば、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい、又は赤外線を測定することができる機能を有すればよい。センサ921を設けることにより、例えば、二次電池が置かれている環境を示すデータ(温度など)を検出し、電子部品700内のメモリに記憶しておくこともできる。図16(C)は、回路基板900の上面図の一例である。回路基板の端子961は端子951と接続し、端子962は、端子952と電気的に接続する。センサ921の端子922は、回路基板900の端子963と電気的に接続する。これらの端子からの入力が電子部品700に入力され、それらの情報を基にマイクロショートなどの異常を検知することができる。
【0244】
さらに、二次電池913の構造例について図17及び図18を用いて説明する。
【0245】
図17(A)に示す二次電池913は、筐体930の内部に端子951と端子952が設けられた捲回体950を有する。捲回体950は、筐体930の内部で電解液に含浸される。端子952は、筐体930に接し、端子951は、絶縁材などを用いることにより筐体930に接していない。なお、図17(A)では、便宜のため、筐体930を分離して図示しているが、実際は、捲回体950が筐体930に覆われ、端子951及び端子952が筐体930の外に延在している。筐体930としては、金属材料(例えばアルミニウムなど)又は樹脂材料を用いることができる。
【0246】
なお、図17(B)に示すように、図17(A)に示す筐体930を複数の材料によって形成してもよい。例えば、図17(B)に示す二次電池913は、筐体930aと筐体930bが貼り合わされており、筐体930a及び筐体930bで囲まれた領域に捲回体950が設けられている。
【0247】
筐体930aとしては、有機樹脂など、絶縁材料を用いることができる。特に、アンテナが形成される面に有機樹脂などの材料を用いることにより、二次電池913による電界の遮蔽を抑制できる。なお、筐体930aによる電界の遮蔽が小さければ、筐体930aの内部にアンテナ914などのアンテナを設けてもよい。筐体930bとしては、例えば金属材料を用いることができる。
【0248】
さらに、捲回体950の構造について図18に示す。捲回体950は、負極931と、正極932と、セパレータ933と、を有する。捲回体950は、セパレータ933を挟んで負極931と、正極932が重なり合って積層され、該積層シートを捲回させた捲回体である。なお、負極931と、正極932と、セパレータ933と、の積層を、さらに複数重ねてもよい。
【0249】
負極931は、端子951及び端子952の一方を介して図15に示す端子911に接続される。正極932は、端子951及び端子952の他方を介して図15に示す端子911に接続される。
【0250】
図15に示す端子952及び端子911とそれぞれ電気的に接続される回路基板900は、電子部品700が実装されており、例えば、実施の形態1に示した保護回路100を含むため、安全性の高い二次電池913とすることができる。
【0251】
(実施の形態6)
上述した実施の形態では、回路基板に一つの電子部品700を設ける例を示したが、特に限定されず、パッケージ基板(プリント基板)上にインターポーザが設けられ、インターポーザ上にIC半導体装置が複数組み合わされている電子部品730を用いてもよい。電子部品700または電子部品730には、上述した実施の形態の保護回路を有し、二次電池のマイクロショートなどの異常を検知することができる。
【0252】
本実施の形態では、保護回路を備えた電子機器の例について図19を用いて説明を行う。
【0253】
ロボット7100は、二次電池、照度センサ、マイクロフォン、カメラ、スピーカ、ディスプレイ、各種センサ(赤外線センサ、超音波センサ、加速度センサ、ピエゾセンサ、光センサ、ジャイロセンサなど)、および移動機構などを備える。ロボット7100の二次電池に本発明の一態様の保護回路を適用して、二次電池のマイクロショートなどの異常を検知することができる。
【0254】
マイクロフォンは、使用者の音声および環境音などの音響信号を検知する機能を有する。また、スピーカは、音声および警告音などのオーディオ信号を発する機能を有する。ロボット7100は、マイクロフォンを介して入力されたオーディオ信号を解析し、必要なオーディオ信号をスピーカから発することができる。ロボット7100において、は、マイクロフォン、およびスピーカを用いて、使用者とコミュニケーションをとることが可能である。
【0255】
カメラは、ロボット7100の周囲を撮像する機能を有する。また、ロボット7100は、移動機構を用いて移動する機能を有する。ロボット7100は、カメラを用いて周囲の画像を撮像し、画像を解析して移動する際の障害物の有無などを察知することができる。
【0256】
飛行体7120は、プロペラ、カメラ、および二次電池などを有し、自律して飛行する機能を有する。
【0257】
また、飛行体7120の二次電池に本発明の一態様の保護回路を適用して、二次電池のマイクロショートなどの異常を検知することができる。
【0258】
掃除ロボット7140は、二次電池、上面に配置されたディスプレイ、側面に配置された複数のカメラ、ブラシ、操作ボタン、各種センサなどを有する。図示されていないが、掃除ロボット7140には、タイヤ、吸い込み口などが備えられている。掃除ロボット7140は自走し、ゴミを検知し、下面に設けられた吸い込み口からゴミを吸引することができる。掃除ロボット7140の二次電池に電気的に接続する本発明の一態様の保護回路を適用して、二次電池のマイクロショートなどの異常を検知することができる。
【0259】
移動体の一例として電気自動車7160を示す。電気自動車7160は、二次電池、タイヤ、ブレーキ、操舵装置、カメラなどを有する。電気自動車7160の二次電池に接続する本発明の一態様の保護回路を適用して、二次電池のマイクロショートなどの異常を検知することができる。
【0260】
なお、上述では、移動体の一例として電気自動車について説明しているが、移動体は電気自動車に限定されない。例えば、移動体としては、電車、モノレール、船、飛行体(ヘリコプター、無人航空機(ドローン)、飛行機、ロケット)なども挙げることができ、これらの移動体の二次電池に電気的に接続する本発明の一態様の保護回路を適用して、二次電池のマイクロショートなどの異常を検知することができる。
【0261】
電子部品700および/または電子部品730は、スマートフォン7210、PC7220(パーソナルコンピュータ)、ゲーム機7240等に組み込むことができる。
【0262】
スマートフォン7210は、携帯情報端末の一例である。スマートフォン7210は、マイクロフォン、カメラ、スピーカ、各種センサ、および表示部を有する。電子部品730によってこれら周辺機器が制御される。スマートフォン7210の二次電池に電気的に接続する本発明の一態様の保護回路を適用して、二次電池のマイクロショートなどの異常を検知することができ、安全性を高めることができる。
【0263】
PC7220はノート型PCの例である。ノート型PCの二次電池に電気的に接続する本発明の一態様の保護回路を適用して、二次電池のマイクロショートなどの異常を検知することができ、安全性を高めることができる。
【0264】
ゲーム機7240は携帯型ゲーム機の例である。ゲーム機7260は家庭用の据え置き型ゲーム機の例である。ゲーム機7260には、無線または有線でコントローラ7262が接続されている。コントローラ7262に、電子部品700および/または電子部品730を組み込むことで二次電池のマイクロショートなどの異常を検知することができる。
【0265】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0266】
(実施の形態7)
図20に二次電池の異常検出を行う保護回路のブロック図の一例を示す。
【0267】
図20に示すように二次電池の保護回路は、第1の比較回路と、第1のメモリ113と、第2の比較回路と、第2のメモリ114と、オフセット回路110、OR回路111とを少なくとも備える。
【0268】
二次電池はリチウムイオン二次電池を用いる。リチウムイオン二次電池は、充電或いは放電しすぎると劣化が促進される。従ってリチウムイオン二次電池は、過充電および過放電を防ぐため、充電率が一定範囲内(例えば、理論容量を最大値とした充電率の20%以上80%以下)に収まるように充放電時の条件が制御回路などによって管理される。
【0269】
第1及び第2の比較回路は、2つの入力電圧の大小関係を比較し、出力する。第1及び第2の比較回路は、酸化物半導体をチャネル形成領域に有するトランジスタを用いて単極性回路を用いることもできる。
【0270】
第1の比較回路に電気的に接続される第1のメモリは、アナログメモリであり、オフセット回路110により、オフセットされた二次電池のアナログ電位を保存する。オフセットされた二次電池の電圧値のデータ作成は、第1のメモリのトランジスタのゲートに書き込み信号を印加することでゲート電極とドレイン電極間の寄生容量により作成することができる。第1のメモリは酸化物半導体をチャネル形成領域に有するトランジスタ1つと容量とで構成される。第1のメモリは、高精度な充電電圧モニター回路とも呼べる。また、第1のメモリは、酸化物半導体をチャネル形成領域に有するトランジスタの低リーク電流であることのメリットを生かすことができる。
【0271】
また、図21には、第1及び第2の比較回路を用いる場合の正常時のタイミングチャートの一例を示す。
【0272】
第2の比較回路に電気的に接続される第2のメモリは、第1のメモリと同じ素子構成であり、酸化物半導体をチャネル形成領域に有するトランジスタ1つと容量とで構成される。
【0273】
図21中に示す期間Δt1は第1のメモリのサンプリング期間を示しており、図21において3回のサンプリングを行い、全て正常である様子を示している。また、図21中に示す期間Δt2は第2のメモリのサンプリング期間を示しており、図21において3回のサンプリングを行い、全て正常である様子を示している。また、第1のメモリの書き込み信号と、第2のメモリの書き込み信号とは期間Δt3のずれがあり、二次電池は交互にサンプリングが行われ、結果的には合計6回のサンプリングが行われる例を示している。
【0274】
図22には異常発生時のタイミングチャートの一例を示す。
【0275】
マイクロショートなどの異常発生時においては、二次電池の充電電圧の降下が急に発生する。一方、異常電流は電池内部で保護回路とは異なる経路(電池内部)で流れる。また、図22中の充電電圧が急に下がっている時点が異常発生時点である。図22において6回のサンプリングを行い、5回目までが正常であり、6回目が異常である様子を示している。6回目のサンプリング時(メモリの書き込み時)に、第1の比較回路の出力信号が反転し、異常挙動を検出することができる。
反転した第1の比較回路の出力信号は、OR回路111に入力され、OR回路111の出力により異常判定できる。
【0276】
図23に二次電池を搭載したモバイル機器に対して1回の充電中に複数回の異常検出を行う場合の、フローの一例を示す。
【0277】
まず、電圧モニターなどの電圧値取得手段により、二次電池の電圧値データを取得する。次いで、サンプリング期間ごとに第1の記憶回路或いは第2の記憶回路にオフセットされた二次電池の電圧データ(アナログデータ)を書き込む。(S1)書き込みは、間隔を開けて交互に行われる。
【0278】
次いで、現時点と、異なる時点とで測定した電圧値を比較する。(比較ステップ:S2)比較した結果、2つの入力電圧の差が小さい場合には、上述したデータの取得と比較を繰り返す。異常検知されずに充電しつづけ、満充電に到達(S7)した場合は、充電停止(S8)となる。
【0279】
比較ステップS2において、2つの入力電圧の差が大きい場合には、異常発生(S3)と判断し、OR回路から出力される信号(例えばモバイル機器のCPUなど)を異常検知信号として外部に伝達する(S6)。そして、外部からの指示により充電停止(S8)とする。
【0280】
図20に示す回路構成とし、図23に示すフローに従うことで、異常が発生した二次電池を継続して充電してしまい、発火することを防ぐことができる。
【0281】
図20に示す回路構成とし、2系統の異常検出回路を交互に用いるため、リアルタイムでマイクロショートの検出が可能である。例えば期間Δtを1秒とすると、2系統の異常検出回路を交互に用いる場合、0.5秒ごとに異常検出のための駆動を図20に示す回路構成が行っている。
【0282】
また、マイクロショートの発生とサンプリングが重なった場合であっても検出が可能である。また、マイクロショートは発生した後、正常に戻る場合があるが、正常に戻るまでの間に検出できればよく、図20に示す回路構成は2系統としているため、検出する確率が上がるため、高精度といえる。さらに3系統以上としてもよく、酸化物半導体を用いたトランジスタを用いているため、系統数を増やしても消費電力、及びリーク電流を低減できる。
【0283】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0284】
10:メモリセル、100:保護回路、101:二次電池、102:比較回路、103:メモリ、104:メモリ、105:電源遮断スイッチ、110:オフセット回路、111:OR回路、113:第1のメモリ、114:第2のメモリ、230:酸化物、503:導電層、505:導電層、505a:導電層、505b:導電層、510B:トランジスタ、510C:トランジスタ、510D:トランジスタ、510E:トランジスタ、511:絶縁層、512:絶縁層、514:絶縁層、516:絶縁層、521:絶縁層、522:絶縁層、524:絶縁層、530:酸化物、530a:酸化物、530b:酸化物、530c:酸化物、531:領域、531a:領域、531b:領域、542:導電層、542a:導電層、542b:導電層、544:絶縁層、546:導電層、546a:導電層、546b:導電層、547:導電層、547a:導電層、547b:導電層、550:絶縁層、551:酸化物、552:金属酸化物、560:導電層、560a:導電層、560b:導電層、565:絶縁層、570:絶縁層、571:絶縁層、573:絶縁層、574:絶縁層、575:絶縁層、576:絶縁層、576a:絶縁層、576b:絶縁層、580:絶縁層、582:絶縁層、584:絶縁層、600:二次電池、601:正極キャップ、602:電池缶、603:正極端子、604:正極、605:セパレータ、606:負極、607:負極端子、608:絶縁板、609:絶縁板、611:PTC素子、612:安全弁機構、618:保護回路基板、700:電子部品、730:電子部品、900:回路基板、910:ラベル、911:端子、913:二次電池、914:アンテナ、915:シール、916:層、917:層、918:アンテナ、920:表示装置、921:センサ、922:端子、930:筐体、930a:筐体、930b:筐体、931:負極、932:正極、933:セパレータ、950:捲回体、951:端子、952:端子、961:端子、962:端子、963:端子、7100:ロボット、7120:飛行体、7140:掃除ロボット、7160:電気自動車、7210:スマートフォン、7220:PC、7240:ゲーム機、7260:ゲーム機、7262:コントローラ、7300:掃除ロボット
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