(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】がんを処置するための感染性核酸の使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/86 20060101AFI20231211BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20231211BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231211BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231211BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20231211BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231211BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20231211BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
C12N15/86 Z ZNA
C12N15/113 Z
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K31/7088
A61K45/00
A61K48/00
C12N5/10
(21)【出願番号】P 2020547422
(86)(22)【出願日】2019-03-12
(86)【国際出願番号】 US2019021850
(87)【国際公開番号】W WO2019178098
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-01-25
(32)【優先日】2018-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501083115
【氏名又は名称】メイヨ・ファウンデーション・フォー・メディカル・エデュケーション・アンド・リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ,オータム ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル,ステファン ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】エルスダウィ,ノウラ ビー.
【審査官】福澤 洋光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/103755(WO,A1)
【文献】Journal of Virology,2016年,Vol.90, No.8,pp.4078-4092
【文献】Journal of Visualized Experiments,2017年,Vol.120, e55033,pp.1-11
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-15/90
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
20個以上の塩基の1つ以上の異種配列エレメントを含むピコルナウイルスゲノムを含む感染性核酸を含む核酸構築物であって、前記ピコルナウイルスゲノムが、野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムの631位から698位までの少なくとも20ヌクレオチドを欠いているコクサッキーウイルスA21ゲノムであり、前記構築物の比感染性が、生きている哺乳動物に投与した場合に拡散性ピコルナウイルス感染を開始させるのに十分なものであり、前記構築物の前記比感染性が、前記1つ以上の異種配列エレメントを欠く同等の構築物の比感染性と類似する規模のものである、前記核酸構築物。
【請求項2】
前記哺乳動物がヒトである、請求項1に記載の構築物。
【請求項3】
プラスミドDNAとして製剤化される、請求項1または2に記載の構築物。
【請求項4】
RNA分子として製剤化される、請求項1~3のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項5】
前記1つ以上の異種配列エレメントのうちの少なくとも1つが、マイクロRNA応答エレメントである、請求項1~4のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項6】
前記マイクロRNA応答エレメントのマイクロRNA標的エレメントが、非がん細胞中に存在するマイクロRNAと相補的な少なくともある領域を含む、請求項5に記載の構築物。
【請求項7】
前記1つ以上の異種配列エレメントのうちの少なくとも1つが、組織特異的マイクロRNA応答エレメントである、請求項1~6のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項8】
前記1つ以上の異種配列エレメントのうちの少なくとも1つが、筋肉特異的、脳特異的、または心臓特異的マイクロRNA応答エレメントである、請求項1~7のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項9】
前記1つ以上の異種配列エレメントのうちの少なくとも1つが、走査領域内のヌクレオチドの置換として前記ピコルナウイルスゲノムの5'非コード領域中に挿入される、請求項1~8のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項10】
前記ピコルナウイルスゲノムが、I型内部リボソーム進入部位を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項11】
前記ピコルナウイルスゲノムが、コクサッキーウイルス、ポリオウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、またはエンテロウイルスゲノムである、請求項1~10のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項12】
前記ピコルナウイルスゲノムが、コクサッキーウイルスA21ゲノムである、請求項1~11のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項13】
前記ピコルナウイルスゲノムが、miR-133のためのマイクロRNA標的エレメントを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項14】
前記ピコルナウイルスゲノムが、miR-133のための1つより多いマイクロRNA標的エレメントを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項15】
前記ピコルナウイルスゲノムが、miR-206のためのマイクロRNA標的エレメントを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項16】
前記ピコルナウイルスゲノムが、miR-206のための1つより多いマイクロRNA標的エレメントを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項17】
前記ピコルナウイルスゲノムが、miR-133のための1つより多いマイクロRNA標的エレメントおよびmiR-206のための1つより多いマイクロRNA標的エレメントを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項18】
前記ピコルナウイルスゲノムが、コクサッキーウイルスA21ゲノムであり、且つ、前記ピコルナウイルスゲノムが、野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムの631位から698位までの少なくとも30ヌクレオチドを欠く、請求項1~17のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項19】
前記ピコルナウイルスゲノムが、コクサッキーウイルスA21ゲノムであり、且つ、前記ピコルナウイルスゲノムが、野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムのヌクレオチド631~698を欠く、請求項1~18のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項20】
前記核酸構築物がDNAであり、且つ、前記核酸構築物がリボザイムをコードする、請求項1~19のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項21】
前記リボザイムが、前記核酸構築物から転写されるRNA分子から、RNAの5'部分を切断することによって、リボザイム切断RNAを作出するように設計される、請求項20に記載の構築物。
【請求項22】
前記リボザイム切断RNAが、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドを含まない5'末端を含む、請求項21に記載の構築物。
【請求項23】
前記核酸構築物がRNAであり、且つ、前記核酸構築物がリボザイムを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項24】
前記リボザイムが、前記核酸構築物から、RNAの5'部分を切断することによって、リボザイム切断RNAを作出するように設計される、請求項23に記載の構築物。
【請求項25】
前記リボザイム切断RNAが、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドを含まない5'末端を含む、請求項24に記載の構築物。
【請求項26】
前記核酸構築物がDNAであり、且つ、前記核酸構築物が制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項27】
前記制限エンドヌクレアーゼ切断部位が、前記核酸構築物の3'部分の、制限エンドヌクレアーゼを介する切断を可能にすることによって、制限エンドヌクレアーゼ切断核酸構築物を作出するように設計される、請求項26に記載の構築物。
【請求項28】
前記制限エンドヌクレアーゼ切断核酸構築物が、ピコルナウイルスゲノム中には存在しない10個未満のリボヌクレオチドを含む3'末端を含むウイルスをコードする、請求項27に記載の構築物。
【請求項29】
前記制限エンドヌクレアーゼ切断核酸構築物が、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドを含まない3'末端を含むウイルスをコードする、請求項27に記載の構築物。
【請求項30】
前記核酸構築物がDNAであり、前記核酸構築物がリボザイムをコードし、且つ、前記核酸構築物が制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の構築物。
【請求項31】
前記リボザイムが、前記核酸構築物から転写されるRNA分子から、RNAの5'部分を切断することによって、リボザイム切断RNAを作出するように設計される、請求項30に記載の構築物。
【請求項32】
前記リボザイム切断RNAが、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドを含まない5'末端を含む、請求項31に記載の構築物。
【請求項33】
前記制限エンドヌクレアーゼ切断部位が、前記核酸構築物の3'部分の、制限エンドヌクレアーゼを介する切断を可能にすることによって、制限エンドヌクレアーゼ切断核酸構築物を作出するように設計される、請求項30に記載の構築物。
【請求項34】
前記制限エンドヌクレアーゼ切断核酸構築物が、ピコルナウイルスゲノム中には存在しない10個未満のリボヌクレオチドを含む3'末端を含むウイルスをコードする、請求項33に記載の構築物。
【請求項35】
前記制限エンドヌクレアーゼ切断核酸構築物が、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドを含まない3'末端を含むウイルスをコードする、請求項33に記載の構築物。
【請求項36】
生きている哺乳動物内のがん細胞の数を減少させるための製剤であって、請求項1~35のいずれか一項に記載の構築物を含む、前記製剤。
【請求項37】
前記哺乳動物がヒトである、請求項36に記載の製剤。
【請求項38】
前記がん細胞が、メラノーマ、膵がん、前立腺がん、膀胱がん、非小細胞肺がん、ミエローマ、または乳がん細胞である、請求項36または37に記載の製剤。
【請求項39】
前記
製剤の投与ステップが、同等の構築物が同等の哺乳動物に投与された場合に溶解を受ける非がん性細胞の数と比較して、前記投与ステップ後に細胞溶解を受けている前記哺乳動物内に存在する非がん性細胞の数の減少をもたらす、請求項36~38のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項40】
前記
製剤の投与ステップが、同等の構築物が同等の哺乳動物に投与された場合に溶解を受けるがん性細胞の数と比較して、前記投与ステップ後に細胞溶解を受けている前記生きている哺乳動物内に存在する、同様の数または増加した数のがん性細胞をもたらす、請求項36~39のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項41】
生きている哺乳動物内のがん細胞の数を減少させる製剤であって、請求項1~35のいずれか一項に記載の構築物を含み、前記がん細胞が、前記構築物からの対応するピコルナウイルスの邪魔されない合成の結果として溶解を受けることによって、前記生きている哺乳動物内のがん細胞の数を減少させる、前記製剤。
【請求項42】
前記哺乳動物がヒトである、請求項41に記載の製剤。
【請求項43】
前記がん細胞が、メラノーマ、ミエローマ、または乳がん細胞である、請求項41または42に記載の製剤。
【請求項44】
前記
製剤の投与ステップが、同等の構築物が同等の哺乳動物に投与された場合に溶解を受ける非がん性細胞の数と比較して、前記投与ステップ後に細胞溶解を受けている前記哺乳動物内に存在する非がん性細胞の数の減少をもたらす、請求項41~43のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項45】
前記
製剤の投与ステップが、同等の構築物が同等の哺乳動物に投与された場合に溶解を受けるがん性細胞の数と比較して、前記投与ステップ後に細胞溶解を受けている前記生きている哺乳動物内に存在する、同様の数または増加した数のがん性細胞をもたらす、請求項41~44のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項46】
抗がん剤を前記哺乳動物に投与することをさらに含む、請求項41~45のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項47】
前記抗がん剤が、チェックポイント阻害剤である、請求項46に記載の製剤。
【請求項48】
前記チェックポイント阻害剤が、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、およびPD-L1阻害剤からなる群から選択される、請求項47に記載の製剤。
【請求項49】
コクサッキーウイルスをコードする単離された感染性核酸であって、野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムの631位から698位までの少なくとも20ヌクレオチドを欠き、且つ、前記感染性核酸のVIドメインと真正翻訳開始部位との間に位置する筋肉特異的マイクロRNAのためのマイクロRNA標的エレメントを含む、前記感染性核酸。
【請求項50】
631位から698位までの前記ヌクレオチドを欠く、請求項49に記載の単離された感染性核酸。
【請求項51】
前記筋肉特異的マイクロRNAが、miR-133またはmiR-206である、請求項49または50に記載の単離された感染性核酸。
【請求項52】
前記感染性核酸が、第1の位置と第2の位置の間に前記マイクロRNA標的エレメントを含み、前記第1の位置が前記野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムの631位に対応し、且つ、前記第2の位置が前記野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムの699位に対応する、請求項49~51のいずれか一項に記載の単離された感染性核酸。
【請求項53】
前記感染性核酸がDNAであり、且つ、前記感染性核酸がリボザイムをコードする、請求項49~52のいずれか一項に記載の単離された感染性核酸。
【請求項54】
前記リボザイムが、前記感染性核酸から転写されるRNA分子から、RNAの5'部分を切断することによって、リボザイム切断RNAを作出するように設計される、請求項53に記載の単離された感染性核酸。
【請求項55】
前記リボザイム切断RNAが、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドを含まない5'末端を含むコクサッキーウイルスをコードする、請求項54に記載の単離された感染性核酸。
【請求項56】
前記単離された感染性核酸がRNAであり、且つ、前記単離された感染性核酸がリボザイムを含む、請求項49~52のいずれか一項に記載の単離された感染性核酸。
【請求項57】
前記リボザイムが、前記感染性核酸からRNAの5'部分を切断することによって、リボザイム切断RNAを作出するように設計される、請求項56に記載の単離された感染性核酸。
【請求項58】
前記リボザイム切断RNAが、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドを含まない5'末端を含むコクサッキーウイルスをコードする、請求項
57に記載の単離された感染性核酸。
【請求項59】
前記感染性核酸がDNAであり、且つ、前記感染性核酸が制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含む、請求項49~52のいずれか一項に記載の単離された感染性核酸。
【請求項60】
前記制限エンドヌクレアーゼ切断部位が、前記感染性核酸の3'部分の、制限エンドヌクレアーゼを介する切断を可能にすることによって、制限エンドヌクレアーゼ切断感染性核酸を作出するように設計される、請求項59に記載の単離された感染性核酸。
【請求項61】
前記制限エンドヌクレアーゼ切断感染性核酸が、ピコルナウイルスゲノム中には存在しない10個未満のリボヌクレオチドを含む3'末端を含むコクサッキーウイルスをコードする、請求項60に記載の単離された感染性核酸。
【請求項62】
前記制限エンドヌクレアーゼ切断感染性核酸が、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドを含まない3'末端を含むコクサッキーウイルスをコードする、請求項60に記載の単離された感染性核酸。
【請求項63】
前記感染性核酸がRNAであり、前記感染性核酸がリボザイムをコードし、且つ、前記感染性核酸が制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含む、請求項49~52のいずれか一項に記載の単離された感染性核酸。
【請求項64】
前記リボザイムが、前記感染性核酸から転写されるRNA分子から、RNAの5'部分を切断することによって、リボザイム切断RNAを作出するように設計される、請求項63に記載の単離された感染性核酸。
【請求項65】
前記リボザイム切断RNAが、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドを含まない5'末端を含む、請求項
64に記載の単離された感染性核酸。
【請求項66】
前記制限エンドヌクレアーゼ切断部位が、前記感染性核酸からのRNAの3'部分の、制限エンドヌクレアーゼを介する切断を可能にすることによって、制限エンドヌクレアーゼ切断感染性核酸を作出するように設計される、請求項63に記載の単離された感染性核酸。
【請求項67】
前記制限エンドヌクレアーゼ切断感染性核酸が、ピコルナウイルスゲノム中には存在しない10個未満のリボヌクレオチドを含む3'末端を含むコクサッキーウイルスをコードする、請求項66に記載の単離された感染性核酸。
【請求項68】
前記制限エンドヌクレアーゼ切断感染性核酸が、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドを含まない3'末端を含むコクサッキーウイルスをコードする、請求項66に記載の単離された感染性核酸。
【請求項69】
哺乳動物中に存在するがんを処置するための製剤であって、コクサッキーウイルスをコードする有効量の感染性核酸を含み、前記感染性核酸が、野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムの631位から698位までの少なくとも20ヌクレオチドを欠き、且つ、前記感染性核酸が、前記感染性核酸のVIドメインと、真正翻訳開始部位との間に位置する筋肉特異的マイクロRNAのためのマイクロRNA標的エレメントを含む、前記製剤。
【請求項70】
前記哺乳動物がヒトである、請求項69に記載の製剤。
【請求項71】
前記がんが、メラノーマ、ミエローマ、または乳がんである、請求項69または70に記載の製剤。
【請求項72】
前記感染性核酸が、631位から698位までの前記ヌクレオチドを欠く、請求項69~71のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項73】
前記筋肉特異的マイクロRNAが、miR-133またはmiR-206である、請求項69~72のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項74】
前記感染性核酸が、第1の位置と第2の位置の間に前記マイクロRNA標的エレメントを含み、前記第1の位置が前記野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムの631位に対応し、且つ、前記第2の位置が前記野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムの699位に対応する、請求項69~73のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項75】
抗がん剤を前記哺乳動物に投与することをさらに含む、請求項69~74のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項76】
前記抗がん剤が、チェックポイント阻害剤である、請求項75に記載の製剤。
【請求項77】
前記チェックポイント阻害剤が、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、およびPD-L1阻害剤からなる群から選択される、請求項76に記載の製剤。
【請求項78】
20個以上の塩基の1つ以上の異種配列エレメントを含むピコルナウイルスゲノムを含む感染性RNAを作製するための方法であって、前記ピコルナウイルスゲノムが、野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムの631位から698位までの少なくとも20ヌクレオチドを欠いているコクサッキーウイルスA21ゲノムであり、前記感染性RNAの比感染性が、生きている哺乳動物に投与された場合に拡散性ピコルナウイルス感染を開始させるのに十分なものであり、前記感染性RNAの前記比感染性が、前記1つ以上の異種配列エレメントを欠く同等の感染性RNAの比感染性と類似する規模のものであり、前記方法が、
(a)前記感染性RNAをコードするDNA構築物であって、前記DNA構築物がリボザイムをコードし、且つ、前記
DNA構築物が制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含む、前記DNA構築物を提供するステップ、および
(b)前記DNA構築物の少なくとも一部が除去される条件下で、前記DNA構築物と、制限エンドヌクレアーゼとを接触させることによって、制限エンドヌクレアーゼ切断DNA構築物を産生するステップを含み、
前記制限エンドヌクレアーゼ切断DNA構築物が、5'末端に位置する非ピコルナウイルスRNAを有する感染性RNAをコードし、且つ、前記リボザイムが、5'末端に位置する前記非ピコルナウイルスRNAを切断して、前記感染性RNAを生成する、前記方法
(ただし、医療行為を除く)。
【請求項79】
前記制限エンドヌクレアーゼ切断DNA構築物によってコードされる前記感染性RNAが、ピコルナウイルスゲノム中には存在しない10個未満のリボヌクレオチドを含む3'末端を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記制限エンドヌクレアーゼ切断DNA構築物によってコードされる前記感染性RNAが、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドを含まない3'末端を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
前記感染性RNAが、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドを含まない5'末端を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
請求項1~35のいずれか一項に記載の核酸構築物、請求項36~48のいずれか一項に記載の製剤、請求項49~68のいずれか一項に記載の単離された感染性核酸、又は請求項69~77のいずれか一項に記載の製剤によって感染させられた免疫応答性モデルであって、ヒト細胞内接着分子1(ICAM-1)を発現するマウス細胞を含む、前記免疫応答性モデル。
【請求項83】
前記マウス細胞が、マウスメラノーマB16-F10細胞である、請求項82に記載の免疫応答性モデル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年3月12日に出願された米国特許出願第62/641,814号の利益を主張する。先行出願の開示は、本出願の開示の一部と考えられる(および参照により本明細書に組み込まれる)。
1.技術分野
本願は、ウイルス核酸(例えば、ピコルナウイルスをコードする感染性核酸)を用いたがんの処置に関する方法および材料に関する。
【背景技術】
【0002】
2.背景情報
エンテロウイルス属は、ピコルナウイルス科のメンバーであり、ヒトエンテロウイルスの4つの種、HEV-A~-Dを含む。エンテロウイルスは、約7500ヌクレオチド長であるプラスセンス一本鎖RNAゲノムを有する小さい非エンベロープウイルスである。細胞内在化の後、ビリオンは脱殻し、ゲノムRNAは、単一の大きいポリタンパク質にすぐに翻訳され、ウイルスによりコードされたプロテアーゼ(3C)によってプロセッシングされ、キャプシドタンパク質およびウイルス複製に関与する非構造タンパク質をもたらす。マイナスセンス鎖RNAは、ウイルスによりコードされたRNA依存的RNAポリメラーゼ(RdRp-3D)によってプラスセンスウイルスRNAから合成される。マイナス鎖RNAは、翻訳、複製またはパッケージングされ得る、より多くのプラスセンスRNA分子を合成するための鋳型として働く。ウイルスの子孫は、ウイルスが細胞溶解を誘導し、その子孫を環境中に放出するまで、細胞質内に蓄積する。
【0003】
コクサッキーウイルスA21(CVA21)は、ヒトにおいて上気道感染またはより重篤な症例では、筋炎を引き起こすことが知られる、天然に存在するHEV-Cピコルナウイルスである。幼児および免疫不全の個体は、より重篤な合併症を発症する機会がより多い。細胞内接着分子1(ICAM-1)は、ウイルスの主な受容体であり、CVA21は、様々なICAM-1発現がん細胞に対して強力な腫瘍溶解活性を示した。しかしながら、ヒトメラノーマおよびミエローマ異種移植片を担持する免疫不全マウスは、ウイルス粒子として、または感染性核酸として製剤化されたCVA21を用いた処置の後に、急激に発生する致死性筋炎(弛緩性四肢麻痺として呈される)を発症する。
【発明の概要】
【0004】
本願は、哺乳動物内の生きたがん細胞の数を減少させるための、ウイルスをコードする核酸(例えば、感染性核酸)の使用に関する方法および材料を提供する。例えば、本願は、がんを処置(治療)するために感染性核酸を使用する方法、操作されたウイルス核酸、および操作されたウイルス核酸を作製する方法を提供する。
【0005】
マイクロRNAターゲティングを用いて、プラスセンスRNAウイルスの指向性を調節することができる。この技術は、ウイルス複製が望ましくない宿主細胞中で発現される組織特異的マイクロRNA(miRNA)を活用する(Kellyら、Nat. Med., 14:1278-1283 (2008); Barnesら、Cell Host Microbe, 4:239-248 (2008);およびRuizら、J. Virol., 90:4078-4092 (2016))。ゲノムおよびmRNAが宿主miRNAによって認識され、次いで、分解または翻訳抑制され、ウイルス複製および毒性を防止するように、miRNA標的配列を、ウイルスゲノム中に挿入することができる。がん細胞は、脱調節されたmiRNAレベルを有することが多く、許容状態のウイルス複製、その後、腫瘍細胞破壊を可能にする。
【0006】
ウイルスゲノムを含む、RNA分子の形状は、安定性、分子内および分子間相互作用、ならびに活性を調節するように特異的に設計される。したがって、ウイルスゲノム内の任意の場所への追加のヌクレオチド(例えば、miRNA標的)の挿入は、ウイルスの様々な生物学的特性を大きく傷つける可能性を有すると推測することは合理的である。例えば、マイクロRNA標的配列を、3'UTRにおいてウイルスゲノム中に挿入することができ、レスキューされたウイルスは、他の箇所(Kellyら、Nat. Med., 14:1278-1283 (2008))に記載されたように、非改変ウイルスと同様の動力学で複製し、in vivoでヒト異種移植片に対する腫瘍溶解活性を維持し、正常組織中での毒性を低下させることができる。しかしながら、この改変されたウイルスゲノムをコードするRNA転写物のトランスフェクション後に、このウイルスのレスキューは有意に遅延した。
【0007】
さらに、野生型ウイルスは、有意な毒性を示し得る。例えば、野生型ウイルスゲノムをコードするRNA転写物の、ヒトメラノーマまたはミエローマ異種移植片を担持するマウスへの注入は、他の箇所に記載されたように(Hadacら、Molecular Therapy, 19(6):1041-1047 (2011))、腫瘍減少および致死的毒性をもたらす拡散性ウイルス感染の核となった。対照的に、KellyらのmiRNA標的化ウイルスゲノムをコードするRNA転写物の注入は、拡散性感染を開始させず、かくして、感染性核酸としての治療価値を有しない。
【0008】
本明細書に記載されるように、マイクロRNA標的化腫瘍溶解ウイルスを、コクサッキーウイルスA21骨格を使用して、感染性核酸として製剤化した。様々な代替的な挿入機構を設計し、ウイルスゲノムを構築した。さらに、RNA転写物からのウイルスレスキューの動力学、レスキューされたウイルスの複製の動力学、マイクロRNA標的安定性、腫瘍溶解活性、および毒性を、それぞれ、非改変ゲノムおよびKellyらのmiRNA標的化ゲノムと比較して評価した。それぞれの試験した構築物は、Kellyらの構築物と比較してウイルスレスキューの動力学を増強し、腫瘍溶解活性を維持した。さらに、1つの試験した構築物(本明細書ではCVA21-ΔV2xと命名される)は、毒性を改善し、全生存を有意に延長させた。
【0009】
CVA21-ΔV2x構築物は、実験的に検証された許容し得る治療指数を示す感染性核酸として製剤化されたマイクロRNA標的化ウイルスゲノムの例である。本明細書で提供される構築物を、抗がん療法、安全性が増強されたワクチン接種、または様々な産生および標的細胞中でのウイルス増殖の隔離、製造の容易化ならびにウイルス生活環および発症における異なる細胞の役割の実験的評価のために使用することができる。さらに、本明細書で提供されるマイクロRNAターゲティングのための技術を、他のI型IRESをコードするピコルナウイルスと共に使用することができる。
【0010】
一般的には、本願の一態様は、20個以上の塩基の1つ以上の異種配列エレメントを含む(または本質的にからなる、またはからなる)ピコルナウイルスゲノムを含む(または本質的にからなる、またはからなる)感染性核酸を含む(または本質的にからなる、またはからなる)核酸構築物を特徴とし、構築物の比感染性は、生きている哺乳動物に投与した場合に拡散性ピコルナウイルス感染を開始させるのに十分なものであり、構築物の比感染性は、1つ以上の異種配列エレメントを欠く同等の構築物の比感染性と類似する規模のものである。哺乳動物は、ヒトであってもよい。構築物を、プラスミドDNAとして製剤化することができる。構築物を、RNA分子として製剤化することができる。1つ以上の異種配列エレメントのうちの少なくとも1つは、マイクロRNA応答エレメントであってもよい。マイクロRNA応答エレメントのマイクロRNA標的エレメントは、非がん細胞中に存在するマイクロRNAと少なくとも相補的な領域を含んでもよい(または本質的にからなってもよい、またはからなってもよい)。1つ以上の異種配列エレメントのうちの少なくとも1つは、組織特異的マイクロRNA応答エレメントであってもよい。1つ以上の異種配列エレメントのうちの少なくとも1つは、筋肉特異的、脳特異的、または心臓特異的マイクロRNA応答エレメントであってもよい。1つ以上の異種配列エレメントのうちの少なくとも1つを、走査領域内のヌクレオチドの置換として、ピコルナウイルスゲノムの5'非コード領域中に挿入することができる。ピコルナウイルスゲノムは、I型内部リボソーム進入部位を含んでもよい。ピコルナウイルスゲノムは、コクサッキーウイルス、ポリオウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、またはエンテロウイルスゲノムであってもよい。ピコルナウイルスゲノムは、コクサッキーウイルスA21ゲノムであってもよい。ピコルナウイルスゲノムは、miR-133のためのマイクロRNA標的エレメントを含んでもよい。ピコルナウイルスゲノムは、miR-133のための1つより多いマイクロRNA標的エレメントを含んでもよい。ピコルナウイルスゲノムは、miR-206のためのマイクロRNA標的エレメントを含んでもよい。ピコルナウイルスゲノムは、miR-206のための1つより多いマイクロRNA標的エレメントを含んでもよい。ピコルナウイルスゲノムは、miR-133のための1つより多いマイクロRNA標的エレメントおよびmiR-206のための1つより多いマイクロRNA標的エレメントを含んでもよい。ピコルナウイルスゲノムは、コクサッキーウイルスA21ゲノムであってもよく、ピコルナウイルスゲノムは、野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムの631位から698位までの少なくとも20ヌクレオチドを欠いてもよい。ピコルナウイルスゲノムは、コクサッキーウイルスA21ゲノムであってもよく、ピコルナウイルスゲノムは、野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムのヌクレオチド631~698を欠いてもよい。いくつかの事例では、核酸構築物はDNAであってもよく、核酸構築物はリボザイムをコードしてもよい。リボザイムを、核酸構築物から転写されたRNA分子からRNAの5'部分を切断することによって、リボザイム切断RNAを作出するように設計することができる。リボザイム切断RNAは、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドがない5'末端を有してもよい。いくつかの事例では、核酸構築物はRNAであってもよく、核酸構築物はリボザイムを含んでもよい。リボザイムを、核酸構築物からRNAの5'部分を切断することによって、リボザイム切断RNAを作出するように設計することができる。リボザイム切断RNAは、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドがない5'末端を有してもよい。いくつかの事例では、核酸構築物はDNAであってもよく、核酸構築物は制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含んでもよい。制限エンドヌクレアーゼ切断部位を、前記核酸構築物の3'部分の、制限エンドヌクレアーゼを介する切断を可能にすることによって、制限エンドヌクレアーゼ切断核酸構築物を作出するように設計することができる。制限エンドヌクレアーゼ切断核酸構築物は、ピコルナウイルスゲノム中には存在しない10個未満のリボヌクレオチドを含む3'末端を有するウイルス(例えば、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドがない3'末端を有するピコルナウイルスゲノム)をコードしてもよい。いくつかの事例では、核酸構築物はDNAであってもよく、核酸構築物はリボザイムをコードしてもよく、核酸構築物は制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含んでもよい。リボザイムを、核酸構築物から転写されたRNA分子からRNAの5'部分を切断することによって、リボザイム切断RNAを作出するように設計することができる。リボザイム切断RNAは、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドがない5'末端を有してもよい。制限エンドヌクレアーゼ切断部位を、前記核酸構築物の3'部分の、制限エンドヌクレアーゼを介する切断を可能にすることによって、制限エンドヌクレアーゼ切断核酸構築物を作出するように設計することができる。制限エンドヌクレアーゼ切断核酸構築物は、ピコルナウイルスゲノム中には存在しない10個未満のリボヌクレオチドを含む3'末端を有するウイルス(例えば、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドがない3'末端を有するウイルス)をコードしてもよい。
【0011】
別の態様では、本願は、生きている哺乳動物内のがん細胞の数を減少させる方法を特徴とする。方法は、哺乳動物に構築物を投与することを含む(または本質的にからなる、またはからなる)。哺乳動物は、ヒトであってもよい。構築物を、プラスミドDNAとして製剤化することができる。構築物を、RNA分子として製剤化することができる。1つ以上の異種配列エレメントのうちの少なくとも1つは、マイクロRNA応答エレメントであってもよい。マイクロRNA応答エレメントのマイクロRNA標的エレメントは、非がん細胞中に存在するマイクロRNAと少なくとも相補的な領域を含んでもよい(または本質的にからなってもよい、またはからなってもよい)。1つ以上の異種配列エレメントのうちの少なくとも1つは、組織特異的マイクロRNA応答エレメントであってもよい。1つ以上の異種配列エレメントのうちの少なくとも1つは、筋肉特異的、脳特異的、または心臓特異的マイクロRNA応答エレメントであってもよい。1つ以上の異種配列エレメントのうちの少なくとも1つを、走査領域内のヌクレオチドの置換として、ピコルナウイルスゲノムの5'非コード領域中に挿入することができる。ピコルナウイルスゲノムは、I型内部リボソーム進入部位を含んでもよい。ピコルナウイルスゲノムは、コクサッキーウイルス、ポリオウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、またはエンテロウイルスゲノムであってもよい。ピコルナウイルスゲノムは、コクサッキーウイルスA21ゲノムであってもよい。ピコルナウイルスゲノムは、miR-133のためのマイクロRNA標的エレメントを含んでもよい。ピコルナウイルスゲノムは、miR-133のための1つより多いマイクロRNA標的エレメントを含んでもよい。ピコルナウイルスゲノムは、miR-206のためのマイクロRNA標的エレメントを含んでもよい。ピコルナウイルスゲノムは、miR-206のための1つより多いマイクロRNA標的エレメントを含んでもよい。ピコルナウイルスゲノムは、miR-133のための1つより多いマイクロRNA標的エレメントおよびmiR-206のための1つより多いマイクロRNA標的エレメントを含んでもよい。ピコルナウイルスゲノムは、コクサッキーウイルスA21ゲノムであってもよく、ピコルナウイルスゲノムは、野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムの631位から698位までの少なくとも20ヌクレオチドを欠いてもよい。ピコルナウイルスゲノムは、コクサッキーウイルスA21ゲノムであってもよく、ピコルナウイルスゲノムは、野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムのヌクレオチド631~698を欠いてもよい。がん細胞は、メラノーマ、ミエローマ、膵がん、前立腺がん、膀胱がん、非小細胞肺がん、または乳がん細胞であってもよい。投与ステップは、同等の構築物が同等の哺乳動物に投与される場合に溶解を受ける非がん性細胞の数と比較して、投与ステップ後に細胞溶解を受けている哺乳動物内に存在する非がん性細胞の数の減少をもたらし得る。投与ステップは、同等の構築物が同等の哺乳動物に投与される場合に溶解を受けるがん性細胞の数と比較して、投与ステップ後に細胞溶解を受けている生きている哺乳動物内に存在する、同様の数または増加した数のがん性細胞をもたらし得る。
【0012】
別の態様では、本願は、生きている哺乳動物内のがん細胞の数を減少させる方法を特徴とする。この方法は、構築物を哺乳動物に投与することを含み(または本質的にからなり、またはからなり)、がん細胞は、構築物からの対応するピコルナウイルスの邪魔されない合成の結果として溶解を受ける。哺乳動物は、ヒトであってもよい。構築物を、プラスミドDNAとして製剤化することができる。構築物を、RNA分子として製剤化することができる。1つ以上の異種配列エレメントのうちの少なくとも1つは、マイクロRNA応答エレメントであってもよい。マイクロRNA応答エレメントのマイクロRNA標的エレメントは、非がん細胞中に存在するマイクロRNAと少なくとも相補的な領域を含んでもよい(または本質的にからなってもよい、またはからなってもよい)。1つ以上の異種配列エレメントのうちの少なくとも1つは、組織特異的マイクロRNA応答エレメントであってもよい。1つ以上の異種配列エレメントのうちの少なくとも1つは、筋肉特異的、脳特異的、または心臓特異的マイクロRNA応答エレメントであってもよい。1つ以上の異種配列エレメントのうちの少なくとも1つを、走査領域内のヌクレオチドの置換として、ピコルナウイルスゲノムの5'非コード領域中に挿入することができる。ピコルナウイルスゲノムは、I型内部リボソーム進入部位を含んでもよい。ピコルナウイルスゲノムは、コクサッキーウイルスA21、ポリオウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、またはエンテロウイルスゲノムであってもよい。ピコルナウイルスゲノムは、コクサッキーウイルスA21ゲノムであってもよい。ピコルナウイルスゲノムは、miR-133のためのマイクロRNA標的エレメントを含んでもよい。ピコルナウイルスゲノムは、miR-133のための1つより多いマイクロRNA標的エレメントを含んでもよい。ピコルナウイルスゲノムは、miR-206のためのマイクロRNA標的エレメントを含んでもよい。ピコルナウイルスゲノムは、miR-206のための1つより多いマイクロRNA標的エレメントを含んでもよい。ピコルナウイルスゲノムは、miR-133のための1つより多いマイクロRNA標的エレメントおよびmiR-206のための1つより多いマイクロRNA標的エレメントを含んでもよい。ピコルナウイルスゲノムは、コクサッキーウイルスA21ゲノムであってもよく、ピコルナウイルスゲノムは、野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムの631位から698位までの少なくとも20ヌクレオチドを欠いてもよい。ピコルナウイルスゲノムは、コクサッキーウイルスA21ゲノムであってもよく、ピコルナウイルスゲノムは、野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムのヌクレオチド631~698を欠いてもよい。がん細胞は、メラノーマ、ミエローマ、または乳がん細胞であってもよい。投与ステップは、同等の構築物が同等の哺乳動物に投与される場合に溶解を受ける非がん性細胞の数と比較して、投与ステップ後に細胞溶解を受けている哺乳動物内に存在する非がん性細胞の数の減少をもたらし得る。投与ステップは、同等の構築物が同等の哺乳動物に投与される場合に溶解を受けるがん性細胞の数と比較して、投与ステップ後に細胞溶解を受けている生きている哺乳動物内に存在する、同様の数または増加した数のがん性細胞をもたらし得る。
【0013】
別の態様では、本願は、コクサッキーウイルスをコードする単離された感染性核酸を特徴とし、感染性核酸は、野生型コクサッキーウイルスA21ゲノム(例えば、Kuykendall CVA21株)の631位から698位までの少なくとも20ヌクレオチドを欠き、感染性核酸は、感染性核酸のVIドメインと真正翻訳開始部位との間に位置する筋肉特異的マイクロRNAのためのマイクロRNA標的エレメントを含む。感染性核酸は、631位から698位までのヌクレオチドを欠いてもよい。筋肉特異的マイクロRNAは、miR-133またはmiR-206であってもよい。感染性核酸は、第1の位置と第2の位置との間にマイクロRNA標的エレメントを含んでもよく、第1の位置は野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムの631位に対応し、第2の位置は野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムの699位に対応する。いくつかの事例では、感染性核酸はDNAであってもよく、感染性核酸は制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含んでもよい。制限エンドヌクレアーゼ切断部位を、感染性核酸の3'部分の、制限エンドヌクレアーゼを介する切断を可能にすることによって、制限エンドヌクレアーゼ切断感染性核酸を作出するように設計することができる。制限エンドヌクレアーゼ切断感染性核酸は、ピコルナウイルスゲノム中には存在しない10個未満のリボヌクレオチドを含む3'末端を有するコクサッキーウイルス(例えば、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドがない3'末端を有するコクサッキーウイルス)をコードしてもよい。一部の事例では、感染性核酸はRNAであってもよく、感染性核酸はリボザイムをコードしてもよく、感染性核酸は制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含んでもよい。リボザイムを、感染性核酸から転写されたRNA分子からRNAの5'部分を切断することによって、リボザイム切断RNAを作出するように設計することができる。リボザイム切断RNAは、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドがない5'末端を有してもよい。制限エンドヌクレアーゼ切断部位を、感染性核酸に由来するRNAの3'部分の、制限エンドヌクレアーゼを介する切断を可能にすることによって、制限エンドヌクレアーゼ切断感染性核酸を作出するように設計することができる。制限エンドヌクレアーゼ切断感染性核酸は、ピコルナウイルスゲノム中には存在しない10個未満のリボヌクレオチドを含む3'末端を有するコクサッキーウイルス(例えば、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドがない3'末端を含むコクサッキーウイルス)をコードしてもよい。
【0014】
別の態様では、本願は、哺乳動物中に存在するがんを処置するための方法を特徴とする。この方法は、哺乳動物に、コクサッキーウイルスをコードする有効量の感染性核酸を投与することを含み(または本質的にからなり、またはからなり)、感染性核酸は、野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムの631位から698位までの少なくとも20ヌクレオチドを欠き、感染性核酸は、感染性核酸のVIドメインと、真正翻訳開始部位との間に位置する筋肉特異的マイクロRNAのためのマイクロRNA標的エレメントを含む。哺乳動物は、ヒトであってもよい。がんは、メラノーマ、ミエローマ、膵がん、前立腺がん、膀胱がん、非小細胞肺がん、または乳がんであってもよい。感染性核酸は、631位から698位までのヌクレオチドを欠いてもよい。筋肉特異的マイクロRNAは、miR-133またはmiR-206であってもよい。感染性核酸は、第1の位置と第2の位置との間にマイクロRNA標的エレメントを含んでもよく、第1の位置は野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムの631位に対応し、第2の位置は野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムの699位に対応する。
【0015】
別の態様では、本願は、20個以下の塩基の1つ以上の異種配列エレメントを含むピコルナウイルスゲノムを含む感染性RNAを作製するための方法であって、感染性RNAの比感染性が、生きている哺乳動物に投与された場合に拡散性ピコルナウイルス感染を開始させるのに十分なものであり、感染性RNAの比感染性が、1つ以上の異種配列エレメントを欠く同等の感染性RNAの比感染性と同様の規模のものである、方法を特徴とする。この方法は、DNA構築物がリボザイムをコードし、核酸構築物が制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含む、感染性RNAをコードするDNA構築物を提供すること;およびDNA構築物の少なくとも一部が除去される条件下で、DNA構築物と、制限エンドヌクレアーゼとを接触させることによって、制限エンドヌクレアーゼ切断DNA構築物を産生することを含み(または本質的にからなり、またはからなり)、制限エンドヌクレアーゼ切断DNA構築物は、5'末端に位置する非ピコルナウイルスRNAを有する感染性RNAをコードし、リボザイムは、5'末端に位置する非ピコルナウイルスRNAを切断して、感染性RNAを生成する。制限エンドヌクレアーゼ切断DNA構築物によってコードされる感染性RNAは、ピロルナウイルスゲノム中には存在しない10個未満のリボヌクレオチドを有する3'末端を含んでもよい。制限エンドヌクレアーゼ切断DNA構築物によってコードされる感染性RNAは、ピロルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドがない3'末端を含んでもよい。感染性RNAは、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドがない5'末端を含んでもよい。
【0016】
別の態様では、本願は、ウイルスをコードする感染性核酸によって感染させることができる免疫応答モデルであって、ヒトICAM-1を発現するマウス細胞を含む、免疫応答モデルを特徴とする。マウス細胞は、マウスメラノーマB16-F10細胞であってもよい。
【0017】
本明細書で用いられる用語「比感染性」とは、全核酸分子に対する感染性ウイルス間の比(すなわち、設定されたコピー数のウイルスゲノムから得られるプラーク形成単位の数)を指す。
【0018】
本明細書で用いられる用語「走査領域」とは、内部リボソーム進入部位中のサイレントな、またはクリプティックなAUG部位と、真正のAUGとの間の空間を指す。リボソームは、翻訳開始前にこの領域を走査する。この空間は、一般的には、ピコルナウイルス中で35~160ヌクレオチドの範囲である。
【0019】
別途定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似するか、または等価である方法および材料を用いて、本発明を実施することができるが、好適な方法および材料を以下で説明する。本明細書に記載される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。矛盾する場合、定義を含む本明細書が支配する。さらに、材料、方法、および実施例は、例示に過ぎず、限定を意図するものではない。
【0020】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載される。本発明の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】マイクロRNA応答エレメント(RE)のための潜在的なUTR局在化挿入部位の略図である。(A)筋肉脱標的化応答エレメントの配列。上=配列番号1;下=配列番号2。1X構築物は、miR-133(下線)およびmiR-206(斜体)と相補的な標的配列の、それぞれ1コピーを含有し、2X構築物は、それぞれ2コピーを含有する。(B)分析したRE挿入部位を有するCVA21ゲノムのダイアグラム。5'UTR中のドメインI~VIおよび応答エレメント挿入部位を標識する。ドメインVI中のクリプティックなAUG部位は、二重線で表される。(C)左:CVA21
WT3'UTRに関するRNA二次構造モデルおよびKellyらにより構築されたREのための位置(配列番号3)。右:CVA21-3'TR構築物のための二次構造モデル(配列番号4)。「キッシングドメイン」の形成に関与する残基を、相互接続する線と共に示す。TRを形成するために複製される残基を標識する。(D)分析した全てのマイクロRNA標的化CVA21構築物のための命名法。
【
図2】miRT-CVA21感染性RNAのトランスフェクションは、野生型CVA21 RNAと同様の比率でウイルス子孫を産生する。(A)上パネル:CVA21またはmiRT-CVA21をコードする2.5μgの感染性RNAをトランスフェクトした72時間後のH1-HeLa細胞。下パネル:トランスフェクトされた細胞から採取された清澄化された溶解物を感染させた24時間後のH1-HeLa細胞。(B~C)CVA21またはmiRT-CVA21をコードする1μgの感染性RNAをトランスフェクトしたH1-HeLa細胞(B)およびMel624細胞(C)中での感染性ウイルスの時間経過産生。実験を、少なくとも3回繰り返した。データを、平均ウイルス力価+/-標準偏差として表す。
【
図3】5'UTR内のREの局在化は、ウイルス指向性の調節を増強する。(A)非改変および新しいmiRT-CVA21の1ステップ増殖曲線。(B)上:100nMのmiRNA模倣体(x軸上で標識されている)で予め処理されたH1-HeLa細胞に、1のMOIで非改変または新しいmiRT-CVA21を感染させた24時間後の細胞の生存能力。下:対応する感染から採取された上清のウイルス力価。実験を3回行い、データを平均生存能力または平均ウイルス力価+/-標準偏差として表す。
【
図4】CVA21-ΔV(2x)RNAによる処置は、毒性を引き起こすことなく完全な腫瘍退縮をもたらす。(A)食塩水(n=5)またはCVA21(n=5)、CVA21-3'miRT(n=5)、CVA21-ΔV(1x)(n=5)、CVA21-ΔV(2x)(n=5)、CVA21-686(2x)(n=5)、もしくはCVA21-3'TR(1x)(n=4)をコードするRNA転写物30μgでIT処置した後の皮下Mel624腫瘍を担持するSCIDマウスに由来する腫瘍体積および体重の測定値。(B)各群において毒性を生じるマウスの比率および全生存パーセント。(C)処置したマウスのKaplan-Meier生存グラフ。食塩水とCVA21-ΔV(2x)RNAで処置したマウス間の生存の統計的有意性を、ログランク検定を用いて比較した。(D)処置したマウスから療法後7日目に採取した血清中のウイルス量。水平の線は平均ウイルス力価を表す。
【
図5】CVA21-ΔV(2x)RNAの腫瘍溶解活性は、用量依存的である。(A)食塩水(n=4)、1μg(n=5)、4μg(n=5)、8μg(n=5)、16μg(n=5)、または32μg(n=5)のCVA21-ΔV(2x)RNAの単回IT注射後の皮下Mel624腫瘍を担持するSCIDマウスに由来する腫瘍体積および体重の測定値。(B)Aで処置されたマウスからRNA投与後9日目に採取した血清中のウイルス量。(C)処置したマウスのKaplan-Meier生存グラフ。
【
図6】腫瘍細胞系のパネルにおけるCVA21およびCVA21-ΔV(2x)の細胞傷害性。ウェルあたり1x10
4個の細胞のMel624ヒトメラノーマ(A)、DU145ヒト前立腺(B)、Panc1ヒト膵管腺癌(C)、U266、RPMI-8226、MM-1、Kas6.1、JJN-3、またはARh77ヒトミエローマ(D)細胞を、96ウェル組織培養皿に播種した。細胞に、無血清培地中、37℃で2時間、0.001、0.01、0.1、1、または10のMOIでCVA21またはCVA21-ΔV(2x)を感染させた。感染後、培地および取り込まれなかったウイルスを除去し、100μLの完全増殖培地と交換し、細胞を37℃でインキュベートした。感染の72時間後、細胞を、3-(4,5-ジメチルチアゾリル-2)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)キット(ATCC、Manassas、VA)を用いて増殖についてアッセイした。ミエローマパネル(n=5)。他の全ての細胞系(n=3)。データを、モック感染細胞に対して正規化された平均細胞生存能力パーセント+/-標準偏差として表す。
【
図7-1】野生型CVA21の感染性核酸をコードするDNAおよびコードされたRNA(配列番号5)の配列表である。
【
図8-1】CVA21-ΔV(1x)の感染性核酸をコードするDNAおよびコードされたRNA(配列番号6)の配列表である。miRT(1x)に下線を付す。
【
図9-1】CVA21-ΔV(2x)の感染性核酸をコードするDNAおよびコードされたRNA(配列番号7)の配列表である。miRT(2x)に下線を付す。
【
図10-1】CVA21-686(2x)の感染性核酸をコードするDNAおよびコードされたRNA(配列番号8)の配列表である。miRT(2x)に下線を付す。
【
図11-1】CVA21-3'TR(1x)の感染性核酸をコードするDNAおよびコードされたRNA(配列番号9)の配列表である。miRT(1x)に下線を付す。
【
図12-1】CVA21-3'TR(2x)の感染性核酸をコードするDNAおよびコードされたRNA(配列番号10)の配列表である。miRT(2x)に下線を付す。
【
図13】マイクロRNA脱標的化CVA21非コード領域と非改変の予測される二次RNA構造。予測されるシュードノット相互作用を、ループ間の線によって描写する。二次RNA構造を、Graduate School of Information Science, Nara Institute of Science and Technology Japanを通して利用可能なIPknotウェブサーバー(rtips.dna.bio.keio.ac.jp/ipknot/)を用いて生成した。5'非コード領域予測はドメインVIおよび走査領域に広がり、改良されたレベル2(ネステッドシュードノット)、CONTRAfoldスコアリングモデルを用いて予測した。3'非コード領域予測は、3D間の接続部に広がり、20ヌクレオチド長のポリA尾部を有する3'非コード領域を、改良されたレベル3(ネステッドシュードノットでシュードノット化される)予測、CONTRAfoldスコアリングモデルを用いて予測した。5'非コード領域予測は、(A)非改変CVA21;(B)CVA21-ΔV(2x);および(C)CVA21-686(2x)を含む。(D)CVA21;(E)CVA21-3'miRT;および(F)CVA21-TR(2x)の3'非コード領域予測。
【
図14】真正ウイルスゲノム末端は、CVA21-ΔV(2x)をコードするin vitro由来RNA転写物からのウイルス回収率を増強する。(A)ウェルあたり1x10
5個のH1-HeLa細胞に、ゲノムの5'末端にリボザイム(Rz-CVA21-ΔV(2x))、ポリA尾部に直接隣接する3'末端に制限酵素部位(CVA21-ΔV(2x)-3'NheI)もしくは異なるリボザイム(CVA21-ΔV(2x)-3'Rz)、または5'リボザイムと、3'末端の制限酵素部位(Rz-CVA21-ΔV(2x)-3'NheI)もしくはリボザイム(Rz-CVA21-ΔV(2x)-3'Rz)との組合せを含む、または含まないCVA21-ΔV(2x)をコードするin vitro由来RNA転写物0.5μgをトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、細胞をトリパンブルーで染色し、CPEイメージングした。(B)(A)に記載されたように処理された細胞の生存能力を、3-(4,5-ジメチルチアゾリル-2)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)キット(ATCC、Manassas、VA)を用いて決定した。(C)(A)に記載された構築物をコードする0.5μgの感染性RNAをトランスフェクトしたH1-HeLa細胞中での感染性ウイルスの時間経過産生。実験を2回実行し、データを平均ウイルス力価+/-標準偏差として表す。
【
図15】真正末端改変を有するCVA21-ΔV(2x)をコードするin vitro由来RNA転写物は、拡散性腫瘍溶解感染を開始させる。皮下Mel624異種移植片を担持するCB-17 SCIDマウスを、食塩水(n=5)、30μg(n=5)もしくは1μg(n=6)のCVA21-ΔV(2x)、30μg(n=6)もしくは1μg(n=6)のRz-CVA21-ΔV(2x)-3'NheI、または30μg(n=6)もしくは1μgのRz-CVA21-ΔV(2x)-3'Rz RNAで腫瘍内処置した。(A)全ての処置されたマウスの腫瘍体積(黒色)および体重(灰色の線)。(B)Aで処置されたマウスからRNA投与後2日目または7日目に採取された血清中のウイルス力価。全てのデータ点は異なる動物である。
【
図16】CVA21-ΔV(2x)は、CVA21の受容体であるヒト細胞内接着分子1(hICAM-1)を安定に発現するB16-F10細胞中で複製することができる。B16-F10-hICAM-1細胞または親B16-F10細胞を、CVA21-ΔV(2x)に1のMOIで感染させた。感染の24時間後、総ウイルス力価を決定した。CVA21-ΔV(2x)複製は、親細胞系と比較して、hICAM-1を発現する細胞中で有意に増強された(p=0.029)。実験を2回実行し、データを平均ウイルス力価+/-標準偏差として表す。
【
図17】CVA21-ΔV(2x)のin vitroでの転写反応をミリグラムレベルに拡大して、同様の完全性を維持することができる。小さいスケール(10μl)および大きいスケール(1mL)の反応を同時に実行し、塩化リチウム沈降を用いて精製した。各反応物に由来する1μgの精製されたRNAをRNA FlashGel(Lonza)上で泳動した。レーン1、10μlの反応物#1。レーン2、1mLの反応物#1。レーン3、10μlの反応物#2。レーン4、1mLの反応物#2。各反応物に由来する全収量は、それぞれ、150.55μg、7.1768mg、146.55μg、および7.3192mgであった。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本願は、哺乳動物内の生きたがん細胞の数を減少させるために、ウイルス(例えば、I型内部リボソーム進入部位を含むゲノムを有するピコルナウイルス)をコードする核酸(例えば、感染性核酸)を使用するための方法および材料を提供する。例えば、本願は、哺乳動物内の生きたがん細胞の数を減少させるために、ウイルスをコードする感染性核酸を使用するための方法を提供する。本明細書で提供される核酸は、任意の適切なウイルスをコードしてもよく、これを用いて、哺乳動物内の生きたがん細胞の数を減少させることができる。いくつかの事例では、本明細書で提供される核酸によってコードされるウイルスは、がん細胞内で複製することができる。いくつかの事例では、ピコルナウイルスをコードする感染性核酸を用いることができる。ピコルナウイルスは、エンテロウイルス(例えば、ウシエンテロウイルス、ヒトエンテロウイルスA、ヒトエンテロウイルスB、ヒトエンテロウイルスC、ヒトエンテロウイルスD、ヒトエンテロウイルスE、ポリオウイルス、ブタエンテロウイルスA、およびブタエンテロウイルスB)、ライノウイルス(例えば、ヒトライノウイルスAおよびヒトライノウイルスB)、カルジオウイルス(例えば、脳心筋炎ウイルスおよびタイロウイルス)、アフトウイルス(例えば、ウマ鼻炎Aウイルスおよび口蹄疫ウイルス)、ヘパトウイルス(例えば、A型肝炎ウイルス)、パレコウイルス(例えば、ヒトパレコウイルスおよびユンガンウイルス)、エルボウイルス(例えば、ウマ鼻炎Bウイルス)、コブウイルス(例えば、アイチウイルス)、またはテッショウウイルス(例えば、ブタテッショウウイルス1~7およびブタテッショウウイルス)であってもよい。いくつかの事例では、本明細書で提供される感染性核酸は、コクサッキーウイルスA21(Shafrenら、Clin. Cancer Res., 10(1 Pt. 1):53-60 (2004))、コクサッキーウイルスB3 (Suskindら、Proc. Soc. Exp. Biol. Med., 94(2):309-318 (1957))、ポリオウイルスIII型 (Pond and Manuelidis, Am. J. Pathol., 45:233-249 (1964))、エコーウイルスI (Shafrenら、Int. J. Cancer, 115(2):320-328 (2005))、または脳心筋炎ウイルスE型 (Adachiら、J. Neurooncol., 77(3):233-240 (2006))をコードしてもよい。
【0023】
ウイルスをコードする核酸(例えば、感染性核酸)は、任意の適切な核酸(例えば、DNA、RNA、またはその組合せ)であってもよい。いくつかの事例では、ウイルスをコードする核酸は、核酸構築物であってもよい。例えば、ウイルスをコードする核酸構築物は、プラスミドDNAであってもよい。例えば、ウイルスをコードする核酸構築物は、RNA分子であってもよい。
【0024】
いくつかの事例では、本明細書で提供される核酸(例えば、感染性核酸)は、I型内部リボソーム進入部位を含むゲノムを有するピコルナウイルスをコードしてもよい。エンテロウイルスおよびライノウイルスは、I型IRESを有する。I型内部リボソーム進入部位を含むゲノムを有するピコルナウイルスの例としては、限定されるものではないが、コクサッキーウイルス(例えば、コクサッキーウイルスA21)、ポリオウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルス(例えば、エンテロウイルス-70)、およびライノウイルスが挙げられる。
【0025】
本明細書で提供されるウイルス(例えば、コクサッキーウイルスA21などのピコルナウイルス)をコードする核酸(例えば、感染性核酸)を、がん細胞に直接投与する(例えば、腫瘍内投与により)か、または全身投与することができる(例えば、静脈内、腹腔内、胸膜内、もしくは動脈内投与により)。哺乳動物に投与される感染性核酸の量は、体重1kgあたり約10ng~約1mg(例えば、100ng~500μg、約250ng~約250μg、約500ng~約200μg、または約1μg~約100μg)の範囲であってよい。いくつかの事例では、ウイルス(例えば、コクサッキーウイルスA21などのピコルナウイルス)をコードする約100ng~約500μgの感染性核酸を、単回腫瘍内用量として投与することができる。いくつかの事例では、哺乳動物に投与される感染性核酸の量は、約3x1010~約3x1014ゲノムコピー(例えば、約3x1010~約3x1013、約3x1010~約3x1012、約3x1011~約3x1014、約3x1011~約3x1013、または約3x1011~約3x1012ゲノムコピー)のウイルスゲノムコピー数に等しくてもよい。例えば、本明細書で提供される感染性核酸を、約3x1011ウイルスゲノムコピーが哺乳動物に送達されるような量で投与することができる。いくつかの事例では、投与される感染性核酸の量は、体重1kgあたり約3x1010~約3x1014ウイルスゲノムコピーであってよい。
【0026】
ウイルス(例えば、コクサッキーウイルスA21などのピコルナウイルス)をコードする核酸(例えば、感染性核酸)を、そのウイルスの野生型バージョンに存在する10以上のヌクレオチド長の1個以上(例えば、1、2、3、4個以上)の連続するヌクレオチド配列を欠くように設計することができる。例えば、ウイルス(コクサッキーウイルスA21などのピコルナウイルス)をコードする感染性核酸は、5'UTRのVIドメインと、ウイルスポリタンパク質の翻訳開始部位(例えば、AUG開始部位)との間に通常見出される少なくとも10個(例えば、少なくとも10、20、30、40、50、60個以上)の連続するヌクレオチドを欠いてもよい。感染性核酸がコクサッキーウイルスA21をコードする場合、感染性核酸は、野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムに見出される631位から698位までの少なくとも10個(例えば、少なくとも10、20、30、40、50、60個以上)の連続するヌクレオチドを欠いてもよい。いくつかの事例では、コクサッキーウイルスA21をコードする感染性核酸を、野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムに見出される631位から698位までの全てのヌクレオチドを欠くように設計することができる。
【0027】
本明細書に記載されるように、ウイルス(例えば、コクサッキーウイルスA21などのピコルナウイルス)をコードする核酸(例えば、感染性核酸)を、非がん細胞内に存在する対応するマイクロRNA(miRNA、miR-#と示される特異的miRNA)が、その非がん細胞中でのウイルス遺伝子発現、ウイルス複製、またはウイルス安定性を減少させることができるようなマイクロRNA標的エレメントを含有するように設計することができる。マイクロRNAは、翻訳抑制、またはいくつかの事例では、RISC誘導性切断によるmRNA破壊を媒介することができる、小さい、21~23ヌクレオチドの高度に保存された調節性RNAである。マイクロRNAは、多くの哺乳動物細胞内に存在し、組織特異的組織分布を有してもよい。そのため、マイクロRNAを用いて、複製するウイルスの指向性をモジュレートして、任意のウイルスのためのターゲティング手法を提供することができる。ウイルス(コクサッキーウイルスA21などのピコルナウイルス)をコードする感染性核酸が非がん細胞溶解をもたらす能力を、非がん細胞中に存在するマイクロRNAと相補的である少なくともある領域を有するマイクロRNA標的エレメントを使用して低下させることができる。例えば、野生型コクサッキーウイルスA21は、筋肉細胞に感染することができる。かくして、筋肉細胞中に存在するマイクロRNAと相補的であるマイクロRNA標的エレメントを、コクサッキーウイルスA21感染性核酸中に組み込んで、筋肉細胞溶解を減少させることができる。同様に、ワクチンの安全性を、ウイルスの指向性をモジュレートすることによって改善することができる。例えば、神経および/または脳のマイクロRNA標的エレメントをポリオウイルス中に組み込んで、経口ポリオワクチンによって誘導される急性灰白髄炎の発生を減少させることができる。
【0028】
この同じ手法を用いて、他のウイルス核酸による非がん細胞溶解を減少させることができる。例えば、表1に記載のマイクロRNAと相補的である少なくともある領域を有するマイクロRNA標的エレメントを用いて、列挙されるウイルスならびに他のウイルスに関して示された組織の細胞溶解を減少させることができる。ウイルス媒介性細胞溶解を減少させるように設計することができるマイクロRNA標的エレメントの他の例としては、限定されるものではないが、表2に列挙される組織特異的マイクロRNAと相補的な少なくともある領域を有するものが挙げられる。いくつかの事例では、本明細書で提供される感染性核酸は、ウイルスをコードし、分類された組織特異的マイクロRNAと相補的な少なくともある領域を有するマイクロRNA標的エレメントを含有してもよい。マイクロRNA標的エレメントは、マイクロRNAとの完全な相補性を有してもよい。いくつかの事例では、マイクロRNA標的エレメントは、それがマイクロRNAの種配列(例えば、塩基対2~7)との完全な相補性を含有するという条件で、マイクロRNAとのその相補性においてミスマッチを含有してもよい。例えば、Limら、Nature, 433(7027):769-73 (2005)を参照されたい。
【0029】
【0030】
【0031】
分子クローニング技術を用いて、マイクロRNA標的エレメントを、ウイルス(例えば、コクサッキーウイルスA21などのピコルナウイルス)をコードする核酸(例えば、感染性核酸)中に挿入することができる。本明細書で提供される感染性核酸は、1個のマイクロRNA標的エレメントまたは複数のマイクロRNA標的エレメント(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30個以上のマイクロRNA標的エレメント)を含有してもよい。例えば、本明細書で提供される感染性核酸は、miR-133の標的であるものおよびmiR-206の標的であるものなどの2つの異なるマイクロRNA標的エレメントを含んでもよい。いくつかの事例では、本明細書で提供される感染性核酸は、2個以上の同一のマイクロRNA標的エレメントを含有してもよい。例えば、本明細書で提供される感染性核酸は、それぞれmiR-133の標的である2個のマイクロRNA標的エレメントまたはそれぞれmiR-206の標的である2個のマイクロRNA標的エレメントを含んでもよい。いくつかの事例では、本明細書で提供される感染性核酸は、それぞれmiR-133の標的である2個以上(例えば、2、3、4個以上)のマイクロRNA標的エレメントおよびそれぞれmiR-206の標的である2個以上(例えば、2、3、4個以上)のマイクロRNA標的エレメントを含んでもよい。
【0032】
本明細書で記載されるように、1個以上(例えば、1、2、3、4、5、6個以上)のマイクロRNA標的エレメントを、5'UTRのVIドメインと、ウイルスポリタンパク質の翻訳開始部位(例えば、AUG開始部位)との間で、ウイルス(例えば、コクサッキーウイルスA21などのピコルナウイルス)をコードする核酸(例えば、感染性核酸)中に挿入することができる。感染性核酸がコクサッキーウイルスA21をコードする場合、感染性核酸は、野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムに見出される631位と698位との間に挿入された1個以上(例えば、1、2、3、4、5、6個以上)のマイクロRNA標的エレメントを含んでもよい。いくつかの事例では、本明細書で提供されるウイルス(例えば、コクサッキーウイルスA21などのピコルナウイルス)をコードする感染性核酸は、5'UTRのVIドメインと、ウイルスポリタンパク質の翻訳開始部位(例えば、AUG開始部位)との間に通常見出される、少なくとも10個(例えば、少なくとも10、20、30、40、50、60個以上)の連続するヌクレオチドを欠いてもよく、この同じ位置内に、1個以上(例えば、1、2、3、4、5、6個以上)のマイクロRNA標的エレメントを含んでもよい。いくつかの事例では、コクサッキーウイルスA21をコードする感染性核酸は、野生型コクサッキーウイルスA21ゲノム(例えば、Kuykendall CVA21株)に見出される631位から698位までの全てのヌクレオチドを欠くように設計することができ、これらの除去されたヌクレオチドの代わりに、1個以上(例えば、1、2、3、4、5、6個以上)のマイクロRNA標的エレメントを含んでもよい。そのような感染性核酸の例は、
図8および
図9に記載される。本明細書で提供される感染性核酸の他の例は、
図10および
図11に記載される。
【0033】
いくつかの事例では、がん細胞中での発現が限られた正常細胞中で遍在的に発現されるマイクロRNAと相補的であるマイクロRNA標的エレメントを用いて、がん細胞には細胞溶解を指令し、非がん細胞には細胞溶解しないように指令することができる。例えば、B細胞リンパ球性白血病を処置するためにウイルスをコードする核酸を使用する場合、核酸(例えば、感染性核酸)を、正常組織中では遍在的に発現されるが、B細胞リンパ球性白血病細胞中では下方調節されるマイクロRNAと相補的なマイクロRNA標的エレメントを含有するように設計することができる。そのようなマイクロRNAの例としては、限定されるものではないが、miR-15およびmiR-16が挙げられる。
【0034】
ウイルス(例えば、コクサッキーウイルスA21などのピコルナウイルス)をコードする核酸(例えば、感染性核酸)を、リボザイムまたはリボザイムをコードする核酸を含むように設計することができる。例えば、いくつかの事例では、ウイルス(例えば、コクサッキーウイルスA21などのピコルナウイルス)をコードする核酸(例えば、感染性核酸)を、それ自体からRNAの一部を切断するように設計されたリボザイムを含むように設計することができ、いくつかの事例では、ウイルス(例えば、コクサッキーウイルスA21などのピコルナウイルス)をコードする感染性DNAを、感染性DNAから転写されたRNA分子からRNAの一部を切断するように設計されたリボザイムをコードするDNA配列を含むように設計することができる。そのようなリボザイムは、ハンマーヘッドリボザイム、デルタ肝炎ウイルスリボザイム、ヘアピンリボザイム、Varkud Satelliteリボザイム、glmSリボザイム、Twisterリボザイム、Twisterシスターリボザイム、Hatchetリボザイム、Pistolリボザイム、または合成リボザイムであってもよい。リボザイムを、感染性RNAからRNAの任意の部分を除去するように設計することができる。例えば、リボザイムを、ウイルスをコードする感染性RNAから、RNAの5'末端部分または3'末端部分を除去するように設計することができる。いくつかの事例では、ウイルス(例えば、コクサッキーウイルスA21などのピコルナウイルス)をコードする感染性核酸(例えば、DNAまたはRNA)を、(a)DNAの場合の第1のリボザイムまたはRNAの場合の第1のリボザイムをコードする核酸および(b)DNAの場合の第2のリボザイムまたはRNAの場合の第2のリボザイムをコードする核酸を含むように設計することができる。そのような場合、第1のリボザイムを、ウイルスをコードする感染性RNAから、RNAの5'末端部分を除去するように設計し、第2のリボザイムを、3'末端部分を除去するように設計することができる。いくつかの事例では、ウイルスをコードする核酸の制限エンドヌクレアーゼ切断後、ウイルスをコードする核酸によってコードされるウイルスは、88個未満(例えば、63個未満、または10個未満、例えば、5、4、3、2、1、または0個)の非ウイルスヌクレオチド(例えば、真正末端の近く)を有するウイルスコード配列を含んでもよい。いくつかの事例では、リボザイム切断後のウイルスをコードする得られる感染性RNAは、非ウイルス配列(例えば、真正末端)を有しないウイルスコード配列を含んでもよい。
【0035】
ウイルス(例えば、コクサッキーウイルスA21などのピコルナウイルス)をコードする核酸(例えば、感染性核酸)を、制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含むように設計することができる。例えば、ウイルス(例えば、コクサッキーウイルスA21などのピコルナウイルス)をコードする核酸(例えば、DNA)を、感染性核酸から核酸の一部を切断するように設計された制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含むように設計することができる。いくつかの事例では、ウイルス(例えば、コクサッキーウイルスA21などのピコルナウイルス)をコードするDNA(例えば、感染性DNA)を、感染性DNAが、その制限エンドヌクレアーゼ切断部位でRNAを切断する制限エンドヌクレアーゼによって切断され得る制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含むようなDNA配列を含むように設計することができる。いくつかの事例では、ウイルス(例えば、コクサッキーウイルスA21などのピコルナウイルス)をコードするRNA(例えば、感染性RNA)を、その制限エンドヌクレアーゼ切断部位でRNAおよび/またはDNAを切断する制限エンドヌクレアーゼによって切断され得る制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含むように設計することができる。任意の適切な制限エンドヌクレアーゼ切断部位およびその制限エンドヌクレアーゼ切断部位で核酸を切断することができる制限エンドヌクレアーゼを用いることができる。制限エンドヌクレアーゼ切断部位の例およびこれらの制限エンドヌクレアーゼ切断部位で核酸を切断することができる制限エンドヌクレアーゼを、表3に提供する。
【0036】
【0037】
制限エンドヌクレアーゼ切断部位を、その切断部位での切断が、ウイルス(例えば、コクサッキーウイルスA21などのピコルナウイルス)をコードする核酸(例えば、感染性核酸)から、核酸の任意の部分を除去するように設計することができる。例えば、制限エンドヌクレアーゼ切断部位を、ウイルスをコードする核酸から、核酸の5'末端部分および/または3'末端部分を除去するように配置することができる。いくつかの事例では、ウイルス(例えば、コクサッキーウイルスA21などのピコルナウイルス)をコードする感染性核酸を、1、2、3、4個以上の制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含むように設計することができる。例えば、第1の制限エンドヌクレアーゼ切断部位を、ウイルスをコードする感染性RNAからRNAの5'末端部分を除去するように配置し、第2のエンドヌクレアーゼ切断部位を、3'末端部分を除去するように配置することができる。2個以上の制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含む場合、切断部位は、同じ制限エンドヌクレアーゼ(例えば、NheI)がこれらの部位を切断するように同じ(例えば、2個のNheI切断部位)であってもよいか、または切断部位は、異なる制限エンドヌクレアーゼ(例えば、NheIおよびNheI切断部位ではない1個の切断部位)が異なる部位を切断するように異なって(例えば、1個のNheI切断部位およびNheI切断部位ではない1個の切断部位)いてもよい。いくつかの事例では、ウイルスをコードする核酸の制限エンドヌクレアーゼ切断後、ウイルスをコードする核酸によってコードされるウイルスは、88個未満(例えば、63個未満、または10個未満、例えば、5、4、3、2、1、または0個)の非ウイルスヌクレオチド(例えば、真正末端の近く)を有するウイルスコード配列を含んでもよい。いくつかの事例では、制限エンドヌクレアーゼ切断後のウイルスをコードする得られる感染性RNAは、非ウイルス配列(例えば、真正末端)を有しないウイルスコード配列を含んでもよい。
【0038】
いくつかの事例では、ウイルス(例えば、コクサッキーウイルスA21などのピコルナウイルス)をコードする核酸(例えば、感染性核酸)を、感染性RNAの場合、1個以上のリボザイムの組合せ(または感染性DNAの場合、1個以上のリボザイムおよび1個以上の制限エンドヌクレアーゼ切断部位をコードする配列の組合せ)を含むように設計することができる。例えば、ウイルスをコードする核酸は、コードされたウイルスの5'末端部分を除去するように設計されたリボザイムをコードするDNA配列を含んでもよく、コードされたウイルスが非ウイルス配列(例えば、真正末端)を含有しないように核酸の3'末端部分を除去する制限エンドヌクレアーゼによって切断されるように設計された制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含んでもよい。
【0039】
いくつかの事例では、制限エンドヌクレアーゼ切断部位を使用する場合、その制限エンドヌクレアーゼ切断部位を切断することができる制限エンドヌクレアーゼを、切断しようとする核酸(例えば、感染性RNAなどの感染性核酸)を含有する溶液に外因的に添加することができる。例えば、外因的に添加される制限エンドヌクレアーゼを、制限エンドヌクレアーゼが感染性核酸を切断するのを可能にする条件下で、切断しようとする感染性核酸を含有する溶液に添加することができる。いくつかの事例では、制限エンドヌクレアーゼおよび切断しようとする感染性核酸を含む溶液を、約60分~約300分(例えば、約60分~約240分、約60分~約200分、約60分~約180分、約60分~約150分、約60分~約120分、約60分~約100分、約60分~約90分、約90分~約300分、約100分~約300分、約120分~約300分、約150分~約300分、約180分~約300分、約200分~約300分、約240分~約300分、約90分~約240分、約120分~約210分、約150分~約180分、約60分~約90分、約90分~約120分、約120分~約150分、約150分~約180分、約180分~約210分、約210分~約240分、または約240分~約270分)にわたってインキュベートして、制限エンドヌクレアーゼが感染性核酸を切断するのを可能にすることができる。いくつかの事例では、制限エンドヌクレアーゼおよび切断しようとする感染性核酸を含む溶液を、約37℃~約60℃(例えば、約37℃、約42℃、約45℃、約50℃、または約55℃)でインキュベートして、制限エンドヌクレアーゼが感染性核酸を切断するのを可能にすることができる。例えば、制限エンドヌクレアーゼがNheIである場合、NheIおよび切断しようとする感染性核酸を含む溶液を、約60分~約180分間、約37℃でインキュベートして、NheIが感染性核酸を切断するのを可能にすることができる。いくつかの事例では、制限エンドヌクレアーゼが感染性核酸を切断するのを可能にする条件下で、外因的に添加された制限エンドヌクレアーゼおよび切断しようとする感染性核酸を含有する溶液をインキュベートした後、切断された感染性核酸を、溶液から単離することができる。任意の適切な技術を用いて、切断された感染性核酸を溶液から単離することができる。例えば、エタノール沈降またはカラム精製を用いて、切断された感染性核酸を溶液から単離することができる。
【0040】
ウイルス(例えば、コクサッキーウイルスA21などのピコルナウイルス)をコードする核酸(例えば、感染性核酸)を哺乳動物に投与して、がん(例えば、B細胞リンパ球性白血病)を処置する場合、哺乳動物に1つ以上のさらなるがん処置をも投与してもよい。1つ以上のさらなるがん処置は、任意の適切ながん処置を含んでもよい。いくつかの事例では、がん処置は、外科手術を含んでもよい。いくつかの事例では、がん処置は、放射線療法を含んでもよい。いくつかの事例では、がん処置は、化学療法剤、チェックポイント阻害剤(例えば、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、およびPD-L1阻害剤)、腫瘍溶解ウイルス、遺伝子療法、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、抗微生物剤、免疫療法、ワクチン、タンパク質キナーゼ阻害剤、カスパーゼの第2のミトコンドリア由来アクチベーター(SMAC)模倣体、および/または全体観的療法などの1つ以上の抗がん剤の投与を含んでもよい。抗がん剤は、任意の適切な型の分子(例えば、抗体または小分子などのポリペプチド)であってもよい。抗がん剤の例としては、限定されるものではないが、イピリムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、セミプリマブ、スパルタリズマ、タリモジーン・ラハーパレプベック(T-vec)、トリコスタチンA(TSA)、パノビノスタット、エンチノスタット、ロミデプシン、コビメチニブ、クリゾチニブ、カボザンチニブ、ダサチニブ、エントレクチニブ、エルダフィチニブ、エルロチニブ、フォスタマチニブ、ゲフィチニブ、イブルチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ムブリチニブ、ニロチニブ、パゾパニブ、ペガプタニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、バンデタニブ、ベムラフェニブ、およびその組合せが挙げられる。例えば、がん(例えば、B細胞リンパ球性白血病)を有する哺乳動物を、哺乳動物に、コクサッキーウイルスA21などのピコルナウイルスをコードする核酸を投与することおよび1つ以上のチェックポイント阻害剤(例えば、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、および/またはPD-L1阻害剤)を投与することによって処置することができる。
【0041】
がんを有する哺乳動物が、ウイルス(例えば、コクサッキーウイルスA21などのピコルナウイルス)をコードする核酸(例えば、感染性核酸)を用いて処置され、1つ以上のがん処置を用いて処置される(例えば、1つ以上の抗がん剤を投与される)事例では、がん処置を、同時に、または独立して投与することができる。例えば、ウイルスをコードする核酸を1番目に投与し、1つ以上のがん処置を2番目に投与するか、またはその逆であってもよい。
【0042】
また、ウイルス(例えば、コクサッキーウイルスA21などのピコルナウイルス)をコードする核酸(例えば、感染性核酸)によって感染させることができる免疫応答性モデルも本明細書で提供される。例えば、ウイルス受容体(例えば、ICAM-1)を発現する細胞を、ウイルス(例えば、コクサッキーウイルスA21などのピコルナウイルス)をコードする感染性核酸によって感染させることができる。ウイルス受容体がICAM-1である場合、ICAM-1は任意の供給源に由来するものであってもよい。例えば、ICAM-1は、ヒトICAM-1であってもよい。いくつかの事例では、免疫応答性モデルは、ウイルス受容体を内因的に発現しない。ウイルス受容体を発現する免疫応答性モデルは、ウイルス受容体を安定に発現するか、またはウイルス受容体を一過的に発現することができる。いくつかの事例では、本明細書に記載の免疫応答性モデルを用いて、ウイルスをコードする核酸によってコードされるウイルスを複製させることができる。いくつかの事例では、本明細書に記載の免疫応答性モデルを、感染の特異性(例えば、ウイルス産生後の)を評価および/またはモニタリングするためのモデルとして使用することができる。
【0043】
いくつかの事例では、ウイルスをコードする核酸(例えば、感染性核酸)によって感染させることができる免疫応答性モデルは、ウイルス受容体(例えば、ヒトICAM-1などのICAM-1)を発現することができる(例えば、発現するように設計される)細胞(例えば、細胞系)であってもよい。任意の適切な細胞を用いて、本明細書に記載の免疫応答性モデルを作製することができる。いくつかの事例では、本明細書に記載の免疫応答性モデルを作製するために用いられる細胞を、哺乳動物(例えば、一次細胞であってもよい)から取得することができる。いくつかの事例では、本明細書に記載の免疫応答性モデルを作製するために用いられる細胞を、細胞系(例えば、マウスメラノーマB16-F10細胞などの哺乳動物細胞系)から取得することができる。
【0044】
いくつかの事例では、ウイルスをコードする核酸(例えば、感染性核酸)によって感染させることができる免疫応答性モデルは、ウイルス受容体(例えば、ICAM-1)を発現することができる(例えば、発現するように設計される)1つ以上の細胞を有する非ヒト動物モデル(例えば、マウスモデル)であってもよい。任意の適切な非ヒト動物を用いて、本明細書に記載の免疫応答性モデルを作製することができる。いくつかの事例では、本明細書に記載の免疫応答性モデルを作製するために用いられる非ヒト動物は、哺乳動物(例えば、マウスまたはラット)であってもよい。
【0045】
任意の適切な方法を用いて、本明細書に記載の免疫応答性モデルを作製することができる。免疫応答性モデルが細胞である場合、ウイルス受容体をコードする核酸を、ウイルス受容体が細胞によって発現されるように細胞中に導入することができる。例えば、ウイルス受容体をコードするレンチウイルスベクターを、ウイルス受容体が細胞によって発現されるように細胞中に形質導入することができる。免疫応答性モデルが非ヒト動物である場合、ウイルス受容体をコードする核酸を、ウイルス受容体が非ヒト動物内の1つ以上の細胞によって発現されるように、非ヒト動物内の1つ以上の細胞中に導入することができる。本発明を、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を限定しない、以下の実施例でさらに説明する。
【実施例】
【0046】
〔実施例1〕
がんを処置するために使用することができる感染性核酸の生成
エンテロウイルスおよびライノウイルスは、ウイルス翻訳を調節するためにI型内部リボゾーム進入部位(IRES)を使用する。ポリオウイルスIRESの構造を予測し、消化/化学的精査および変異原性分析によって検証した(Riveraら、Virology, 165:42-50 (1988); Pilipenkoら、Virology, 168:201-209 (1989); Skinnerら、J. Mol. Biol., 207:379-392 (1989); およびBurrillら、J. Virol., 87:11670-11683 (2013))。CVA21は、ポリオ様ウイルスであり、ポリオウイルスIRESとの相対的に86%の相同性を共有する。ポリオウイルス5'UTRは、6個のドメイン(I~VI)を含有する。ドメインIは、プラス鎖とマイナス鎖の両方の合成にとって必要とされるクローバーの葉の構造を形成する(Andinoら、Cell, 63:369-380 (1990); Andinoら、EMBO J., 12:3587-3598 (1993); Bartonら、EMBO J., 20:1439-1448 (2001); およびVogtら、PLoS Pathog., 6:e1000936 (2010))。ドメインII~VIは、IRES活性に関与する。ウイルスの複製および翻訳には、宿主IRES-trans作用因子(ITAF)および開始因子の動員を含む、RNA-RNAおよびRNA-タンパク質複合体相互作用が必要である(Leeら、Trends Microbiol., 25:546-561 (2017))。これらのドメインの破壊は、弱毒化またはウイルスにとって致死的な表現型をもたらし得る。ポリオウイルスと同様、CVA21は、リボソーム量に関与するドメインVI中にクリプティックなAUG部位を有する(Vermaら、J. Gen. Virol., 92:2310-2319 (2011))。一次AUG部位での翻訳の開始は、「走査領域」と呼ばれる長い可変リンカーを介するリボソーム走査に依存する。
【0047】
感染性核酸を、この走査領域内に位置するマイクロRNA応答エレメント(RE)を含むように設計した。真正AUGの前に翻訳を開始することができるAUG部位を欠くように、REを設計した。
【0048】
CVA21の安全性プロファイルを、免疫不全患者における処置にとって十分なレベルまで上昇させるために除去する必要がある致死性筋炎が、主な毒性であった。本明細書で提供されるREは、筋肉組織内でのウイルス複製の除去に対して向けられたものであった。miR-133およびmiR-206を選択した。それらは筋肉組織内で高度に富化されており、他の箇所に記載のように、CVA21の3'UTR中に挿入した場合、毒性を除去することが以前に示された(Kellyら、Nat. Med., 14:1278-1283 (2008))。
【0049】
ウイルス複製を下方調節するためには、単一のマイクロRNA標的で十分であるが、ターゲティングの効率に影響する有意な数の変数が存在する。さらに、RNAウイルスは、RdRpの低い忠実性のため、迅速に突然変異を蓄積し、感染の直後にRE機能の喪失をもたらし得る。したがって、REを、それぞれ1コピー(miRT-1x)またはそれぞれ2コピー(miRT-2x)の、miR-133およびmiR-206と相補的な配列をコードするように設計した。REのための配列を、
図1Aに示す。重複伸長PCR、部位特異的突然変異誘発により、またはゲノムの断片を合成した後、完全長構築物(pGEM-CVA21)中にサブクローニングすることにより、REのための所望の位置でpGEM-CVA21中にAscI部位を挿入した。AscI酵素的消化中に生成される突出配列にフランキングするREをコードするオリゴヌクレオチドウルトラマーをアニーリングさせた後、適切に消化され、精製されたAscI-完全長ベクター中にライゲーションすることによって、全てのREをウイルスゲノム中に挿入した。
【0050】
5'UTR中にREをコードする3つの異なる構築物を生成した。第1は、ヌクレオチド位置686で走査領域中に2x-REを挿入することを含んでいた(CVA21-686(2x))。さらに、可変走査領域内の残基631~698が欠失され、REが付加された2つの構築物を生成した。第1は、miRT-1xRE(CVA21-ΔV(1x))を含有し、その他はmiRT-2xRE(CVA21-ΔV(2x))を含有していた。
図1Bは、CVA21ウイルスゲノム、UTRの構造エレメント、および試験したRE挿入部位を記載する。
【0051】
大部分の以前に試験された細胞性マイクロRNA標的配列は、標的mRNAの3'UTR内に位置する。ポリオウイルス3'UTRの実験的に検証されたモデリングに基づくと(Pilipenkoら、EMBO J., 15:5428-5436 (1996))、CVA21(ポリオ様ウイルス)の3'UTRの二次構造は、ループが「キッシングドメイン」として知られるシュードノット相互作用を形成する2個のヘアピン(YおよびX)を含有すると考えられた(van Ooijら、J. Gen. Virol., 87:689-695 (2006))。これらの構造は、マイナス鎖合成のための複製起点(oriR)を含んでいた。他のエンテロウイルス中のキッシングドメインの脱安定化は、ウイルスRNA合成を大幅に阻害し、温度感受性突然変異体または致死性表現型をもたらす(van Ooijら、J. Gen. Virol., 87:689-695 (2006); Melchersら、J. Virol., 71:686-696 (1997); Wangら、Nucleic Acids Res., 27:485-490 (1999); およびMelchersら、RNA, 6:976-987 (2000))。ポリオウイルスおよびコクサッキーウイルスB3においては、脱安定化されたウイルスの連続継代は、シュードノット相互作用が回復される復帰突然変異体をもたらした(Pilipenkoら、EMBO J., 15:5428-5436 (1996); およびvan Ooijら、J. Gen. Virol., 87:689-695 (2006))。2つのドメインの欠失もまた、ポリ(A)尾部のトランケーションをもたらした(van Ooijら、Nucleic Acids Res., 34:2953-2965 (2006))。ウイルスをこれらの欠失突然変異体から回収したが、それらは細胞性ポリアデニル化シグナルに対応するポリ(AU)ストレッチを獲得した。XおよびYドメインの長さは、エンテロウイルス間で高度に保存されており、ドメインYは、ドメインXに関する8bpのステムと共に、12bpであるべきであることが示された。さらに、「キッシングドメイン」に対するドメインY中の2つの最も遠い塩基対は、ワトソンクリックのCG対である必要があった(Melchersら、J. Virol., 71:686-696 (1997))。2つのステムループ間のリンカー領域の長さは、ヘリックスの正確な配向および相互作用するそれらの能力にとって重要であった。最後に、Sドメインの存在も、ポリ(A)尾部が3D遺伝子中の停止コドンの上流の4個のウリジン残基の区域と塩基対を形成すると示唆された。このドメインはoriR構造を閉鎖し、より硬い3'UTR構造を作出した(Pilipenkoら、Nucleic Acids Res., 20:1739-1745 (1992))。したがって、マイナスセンス鎖合成に関与するリボ核タンパク質複合体と結合するタンパク質の正確なドッキングおよび配向を確保するために、適切に折り畳まれた3'UTRを含ませた。
【0052】
図1C中の左パネルは、CVA21 oriRの二次構造モデルおよびヌクレオチド位置7343でKellyらの構築物(CVA21-3'miRT)において用いられたREの位置を示す。この部位での挿入は、ドメインYの長さを破壊し、遠いCG塩基対と干渉し、おそらくドメインXとYの間のリンカー領域を破壊し、ヘリックスの配向と干渉する。3'UTR中の全ての残基およびコード配列中のいくつかの残基は、REのための潜在的な挿入部位を限定する、oriR構造の維持に関与していた。構造破壊を避けるために、AscI制限部位、次いで、末端反復(TR)エレメントを、停止コドンのすぐ下流に挿入した。このTRエレメントは、ドメインS中に含まれると考えられる4個のウリジン残基を含有する、ヌクレオチド7325~7340を含んでいた。TRは、コード配列を維持しながら、AscI部位に挿入されたREから、oriR構造を分離すると仮定された(
図1C、右)。miRT-1x(CVA21-3'TR(1x))とmiRT-2x(CVA21-3'TR(2x))の両方を含有する構築物を生成した。
【0053】
マイクロRNA標的挿入物の完全性を、挿入領域を配列決定することによって全ての構築物において検証した。
【0054】
RNA転写物からのウイルスレスキューの動力学
1つの目標は、非改変ウイルスと同様の速度で標的感染性核酸からの拡散性ウイルス感染の核となり得る感染性核酸を取得することであった。ウイルス子孫を産生する標的感染性RNAの能力を分析するために、miR-133もmiR-206も発現しないH1-HeLa細胞(ATCC、Manassas、VA)に、それぞれのmiRT-CVA21をコードする感染性RNAをトランスフェクトした。制限エンドヌクレアーゼMluI-HF (New England Biolabs、Ipswich、MA)を用いて、非改変またはmiRT-CVA21をコードするプラスミドDNAを線状化した後、エタノール沈降を行い、ヌクレアーゼを含まない水に再懸濁することによって、感染性RNAを調製した。1μgの線状化DNAを、Ambion MEGAscript T7転写キットを用いてRNA転写物に転写し、MEGAclear転写クリーンアップキット(Thermo Fisher Scientific Inc.、Waltham、MA)を用いてRNAを精製した;両方とも製造業者の指示書に従った。転写物のサイズおよび完全性を、RNA Flashゲル(Lonza、Basel、Switzerland)上でRNAを泳動することによって検証した。6ウェル組織培養プレート中に、ウェルあたり4x105個の細胞を播種し、24時間後にトランスフェクトした。TransIT-mRNAトランスフェクションキット(Mirus Bio LLC、Madison、WI)を用いて、各ウェルに2.5μgの精製T7 RNAをトランスフェクトした。細胞変性効果(CPE)が観察されたら、細胞を上清中に擦り取り、個々のクライオチューブ中に試料を採取した。試料を3回の凍結-解凍サイクルにかけ、4℃で5分間、2500rpmでの遠心分離によって明澄化し、0.22μmのシリンジフィルターを通して濾過した。50μLの明澄化された溶解物を使用して、6ウェル組織培養プレートのウェル中で新鮮なH1-HeLa細胞を感染させた。 無血清培地中、37℃で2時間、細胞を感染させた。培地および取り込まれなかったウイルスを除去し、ウェルあたり2mLの新鮮な完全増殖培地を添加した。感染後24時間で、細胞をCPEについて観察した。Kellyらの構築物CVA21-3'miRTを除いて、全てのmiRT-CVA21は、目に見えるCPEをもたらす十分なウイルス子孫を生成した(
図2A)。
【0055】
ウイルス子孫を、これらの標的ウイルスゲノムをコードするRNA転写物から生成した速度を評価するために、増殖曲線時間経過をH1-HeLa細胞中で行った。12ウェル組織培養皿中に、ウェルあたり2.5x10
5個のH1-HeLa細胞を播種し、24時間後にトランスフェクトした。TransIT-mRNAトランスフェクションキット(Mirus Bio LLC、Madison、WI)を用いて、各ウェルに1μgの精製T7 RNAをトランスフェクトした。トランスフェクション後6時間で、培地を除去し、細胞を完全培地で1回洗浄した。ウェルあたり1mLの完全増殖培地を添加し、所望の時点まで細胞を37℃でインキュベートした。トランスフェクション後6、12、24、および48時間で、細胞を上清中に擦り取り、個々のクライオチューブ中に試料を採取し、全ての試料が採取されるまで-80℃で保存した。試料を、3回の凍結-解凍サイクルにかけ、4℃で5分間、2500rpmでの遠心分離によって明澄化した。明澄化された溶解物をH1-HeLa細胞上で滴定し、各試料1mLあたりのTCID50を、Spearman-Karber式を用いて決定した。Kellyらの構築物CVA21-3'miRTからのウイルス産生は、大幅に損なわれた。CVA21-TR(2x)RNAからのレスキューの速度は、非改変CVA21 RNAと比較してわずかに遅延した。他の全てのmiRT-CVA21 RNAは、非改変RNAゲノムと同様の速度およびレベルでウイルスをレスキューした(
図2B)。時間経過をヒトメラノーマ細胞系Mel624(Imanis Life Sciences、Rochester、MN)中で行った場合、同様の結果が観察された(
図2C)。
【0056】
miRT-CVA21ウイルスの特性評価
ウイルス保存液を生成するために、上記のようにウイルスRNAを産生させた。ウェルあたり2.5μgのRNAを、上記のように6ウェルプレート中に播種されたH1-HeLa細胞中にトランスフェクトした。トランスフェクション後48~72時間で、細胞を上清中に擦り取り、試料を採取した。試料を3回の凍結-解凍サイクルにかけ、4℃で5分間、2500rpmでの遠心分離によって明澄化し、0.22μmのシリンジフィルターを通して濾過した。T75フラスコ中のH1-HeLa細胞に、無血清培地中、37℃で明澄化された溶解物を感染させた。感染の2時間後、培地および取り込まれなかったウイルスを除去し、細胞に完全増殖培地を補充した。CPEが観察されたら、試料を同じ様式でプロセッシングした。明澄化された溶解物のウイルス保存液をアリコートし、-80℃で保存した。ウイルスをH1-HeLa細胞上で滴定した。ウェルあたり1x104個の細胞を、96ウェル組織培養プレート中に播種し、24時間後、感染させた。ウイルスの2倍連続希釈液(1x10-2~1x10-10)を、無血清培地中で作製し、100μLの各希釈液を、8個の複製ウェルのそれぞれに添加した。細胞を37℃で2時間感染させた後、培地を除去し、100μLの完全増殖培地と交換した。細胞を37℃で72時間インキュベートした後、ウェルをCPEについて視覚的に検査した。各試料1mLあたりのTCID50を、Spearman-Karber式を用いて決定した。
【0057】
1ステップ増殖曲線を作製して、miRT-CVA21の複製動力学を非改変ウイルスと比較した。H1-HeLa細胞に、無血清培地中で3.0の感染多重度で非改変ウイルスまたはmiRT-CVA21を感染させた。感染の2時間後、細胞を洗浄し、完全増殖培地を添加した。試料を、トランスフェクション後の特定の時間(2、4、6、8、12、24、および48時間)で採取し、-80℃で保存した。全ての時点の完了後、試料を3回凍結および解凍し、4℃で5分間、2500rpmでの遠心分離によって細胞破片を溶解物から明澄化した。次いで、明澄化された溶解物を滴定し、Spearman-Karber式を用いてウイルス力価を決定した。全てのmiRT-CVA21が非改変ウイルスと同様の動力学で複製した。
【0058】
相補的または非相補的合成miRNA模倣体(Dharmacon、Lafayette、CO)をトランスフェクトしたH1-HeLa細胞中での細胞生存能力およびウイルス複製を測定することによって、マイクロRNAターゲティングの効率および特異性を分析した。それぞれ100nMの濃度で、製造業者のプロトコールに従ってTransIT-mRNAトランスフェクションキットを用いて、模倣体をH1-HeLa細胞中に逆トランスフェクトした。簡単に述べると、トランスフェクション複合体を、96ウェルプレート中に集め、室温で5分間インキュベートした。T75フラスコ中のH1-HeLa細胞をトリプシン処理し、計数し、90μLあたり1x104個の細胞の濃度で完全増殖培地中に再懸濁した。ウェルあたり90μLの細胞を添加し、細胞/トランスフェクション混合物を37℃で12時間インキュベートした。細胞を、無血清培地中、37℃で2時間にわたって、1のMOIでそれぞれのmiRT-CVA21に感染させた。感染後、培地および取り込まれなかったウイルスを除去し、100μLの完全増殖培地と交換し、細胞を37℃でインキュベートした。感染の24時間後、上清を採取し、上記のように滴定した。細胞を、3-(4,5-ジメチルチアゾリル-2)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)キット(ATCC、Manassas、VA)を用いて増殖についてアッセイした。CVA21-3'TR(2x)複製は、miR-133、miR-206、または2つの模倣体の組合せによって調節されなかった。ウイルス複製は、CVA21-686(2x)およびCVA21-ΔV(2x)についてはmiR-133によって最小限に制御された。マイクロRNA-206は、ウイルス複製の制御においてはるかにより効率的であり、CVA21-ΔV(1x)、CVA21-ΔV(2x)、CVA21-686(2x)、およびCVA21-3'TR(1x)について、細胞生存能力を増大させ、ウイルス力価を低下させた。ウイルス指向性は、miR-133とmiR-206の両方をトランスフェクトしたH1-HeLa細胞において同様に調節された。miR-142対照模倣体をトランスフェクトしたH1-HeLa細胞または非トランスフェクト細胞において、細胞生存能力およびウイルス力価の差異は観察されなかった。注目すべきことに、5'UTR局在化REを含むウイルスは、CVA21-3'TR(1x)よりも容易に制御された。これらの結果に基づいて、分析はCVA21-3'TR(2x)構築物に関しては継続しなかった。
【0059】
応答エレメントのin vitroでの遺伝的安定性
可変位置でのREの遺伝的安定性を、miR-133およびmiR-206を発現するTE671筋肉細胞中でmiRT-CVA21を強制継代することによって評価した。より高レベルのmiR-133およびmiR-206を発現するミオチューブ中での細胞の分化を誘導する、TE-671細胞を、2%ウマ血清中で4日間培養した。6ウェル組織培養プレート中の分化したTE-671細胞(dTE-671)に、無血清培地中、37℃で2時間、10のMOIでCVA21-ΔV(1x)、CVA21-ΔV(2x)、CVA21-686(2x)、CVA21-3’TR(1x)、またはCVA21-3’TR(2x)を感染させた。2時間後、培地および取り込まれなかったウイルスを除去し、細胞を完全培地で洗浄した。ウェルあたり1.5mLの完全培地を添加し、細胞を37℃でインキュベートした。トランスフェクション後24時間で、細胞を上清中に擦り取り、試料を採取した。全ての試料を、3回の凍結-解凍サイクルにかけ、溶解物を4℃で5分間、2500rpmでの遠心分離によって明澄化し、0.22μmのフィルターを通して濾過した。明澄化された溶解物中のウイルスを、それぞれの回で、2容量の新鮮な培地に対して1容量の明澄化された溶解物を用いて、dTE-671細胞中で7回、連続的に継代した。製造業者の指示書に従ってQIAampウイルスRNAミニキット(Qiagen、CA)を用いて、それぞれの継代の明澄化された溶解物からウイルスRNAを単離した。cDNAを合成し、REを含有する領域を増幅した。アンプリコンを、ネステッドプライマーを用いて配列決定した。このアッセイを、2回行った。エスケープ変異体は、早ければ継代2でCVA21-686(2x)試料中で観察された。他の全てのmiRT-CVA21感染は、継代4~7の間でエスケープ変異体を生じた。
【0060】
腫瘍溶解活性のin vivoでの分析
in vitroでの結果に基づいて、CVA21-3'TR(2x)構築物はin vivoで評価しなかった。4~5週齢のメスのCB17 ICR-SCIDマウスを、Envigo (Huntingdon、Cambridgeshire、UK)から購入した。マウスを照射し、24時間後、右脇腹に5e6個のMel624細胞を皮下的に埋め込んだ。腫瘍が0.5cm x 0.5cmの平均に達した時、腫瘍を、50μLの食塩水中の30μgのRNAで腫瘍内的に処置した。手持ち式ノギスを使用して測定される腫瘍体積、体重、および全体的な健康を日常的にモニタリングした。RNA処置後、7日目に全てのマウスから血液を採取した。イソフルランの吸入によってマウスを麻酔し、血清分離ゲルを含むBDマイクロテイナーチューブ中に、顎下腺静脈から血液を採取した。血液を、室温で30分間凝固させた後、4℃で5分間、8000rpmでの遠心分離によって血清を分離した。血清を-80℃で保存した。血清中のウイルスを、H1-HeLa細胞上でウイルス保存液について記載されたように滴定した。血清(心穿刺によって出血させた)および骨格筋組織を、安楽死の時点で全てのマウスから取得した。骨格筋切片をすぐに簡易凍結し、-80℃で保存したか、または10%ホルマリン中で固定した。製造業者の指示書に従ってRNeasy Plus Universalミニキット(Qiagen、CA)を用いて、簡易凍結組織切片から全RNAを単離した。製造業者の指示書に従ってQIAampウイルスRNAミニキット(Qiagen、CA)を用いて、血清からウイルスRNAを単離した。cDNAを合成し、REを含有する領域を、製造業者の指示書に従ってTitan One-Tube RT-PCRシステム(Sigma Aldrich、St.Louis、MO)を用いて増幅した。アンプリコンを、ネステッドプライマーを用いて配列決定した。
【0061】
実験期間を通じた、全てのマウスの腫瘍体積および体重を、
図4Aに示す。対照処置マウスおよびCVA21-3'miRT RNAを投与したマウスは全て、進行性の腫瘍増殖を示し、腫瘍体積が体重の10%を超えたか、腫瘍潰瘍形成のため、安楽死させた。CVA21-3'miRTで処置した1匹のマウスは、瀕死状態で見られ、すぐに安楽死させた。このマウスに由来する骨格筋組織中のウイルスゲノムの配列分析は、野生型への復帰を示した。CVA21、CVA21-ΔV(1x)、CVA21-ΔV(2x)、CVA21-686(2x)、またはCVA21-3’TR(1x) RNAで処置した全てのマウスにおいて、迅速な腫瘍退縮が観察された。後肢麻痺(HLP)、突然死(FD)、または過剰な体重減少(WL)の形態の毒性が、CVA21 RNAで処置した全てのマウスならびにそれぞれ、60%、60%、および75%の、CVA21-ΔV(1x)、CVA21-686(2x)、またはCVA21-3’TR(1x) RNAで処置した一定割合のマウスにおいて観察された。CVA21-ΔV(2x)で処置したマウスにおいては、毒性は観察されなかった。観察された毒性および1群あたりの割合を、
図4Bに示す。CVA21-ΔV(2x)で処置した全てのマウスは、試験90日目の終わりに健康であり腫瘍がないように見えた。全てのCVA21-ΔV(2x)で処置したマウスに由来する血清および骨格筋から単離されたウイルスゲノムは、突然変異なくREを維持していた。CVA21-ΔV(2x)で処置したマウスの全生存率は100%であり、対照処置群と比較して生存率を有意に改善した。p=0.002(
図4C)。
【0062】
図4Dに示されるように、CVA21-3'miRT RNAで処置したマウスから処置後7日目に単離された血清から、感染性ウイルスは回収されなかった。対照的に、CVA21-ΔV(1x)、CVA21-ΔV(2x)、CVA21-686(2x)、またはCVA21-3’TR(1x) RNAで処置したマウスに由来する血清中で観察されたウイルス力価は、CVA21 RNAで処置したマウスにおいて見られたものと同様のレベルであった。
【0063】
CVA21-ΔV(2x) RNAのin vivoでの用量漸増
Envigo (Huntingdon,Cambridgeshire,UK)からの4~5週齢のメスのCB17 ICR-SCIDマウスを照射し、24時間後、右脇腹に5e6個のMel624細胞を皮下的に埋め込んだ。腫瘍が0.5cm x 0.5cmの平均に達した時、腫瘍を、50μLの食塩水中の1~32μgのCVA21-ΔV (2x)RNAで腫瘍内的に処置した。手持ち式ノギスを使用して測定される腫瘍体積、体重、および全体的な健康を日常的にモニタリングした。RNA処置後、9日目に全てのマウスから血液を採取した。腫瘍サイズ、体重、血液、血清単離、組織採取、およびゲノム配列決定を全て、以前のin vivo実験について記載されたように測定、取得、プロセッシングおよび分析した。
【0064】
図5Aに示されるように、対照処置マウスは、進行性の腫瘍増殖を示し、腫瘍サイズまたは潰瘍形成のため、全て安楽死させた。1μgのCVA21-ΔV(2x)RNAで処置した5匹のマウスのうちの4匹も進行性の腫瘍増殖を示したが、完全な腫瘍退縮が1匹のマウスにおいて観察された。4~32μgのCVA21-ΔV(2x)RNAで処置した他の全てのマウスにおいて、完全な腫瘍退縮が観察された。8μgのCVA21-ΔV(2x) RNAで処置した1匹のマウスにおいて、後肢麻痺が観察された。骨格筋の配列分析および組織学的分析は、応答エレメント配列のいかなる突然変異も、筋炎の兆候も示さなかった。32μgのCVA21-ΔV(2x) RNAで処置した別のマウスは、RNA処置後78日目に死亡が見られた。4~32μgのCVA21-ΔV(2x) RNAで処置したマウスの大部分が、RNA処置後9日目に血清中の高いウイルス量を示したが、数匹は示さなかった(
図5B)。RNA処置後の血清中のウイルス量の時間経過分析を用いて、ピークウイルス量がいつ観察されるかを確立することができる。1μg群に由来する1匹のマウスにおいてはウイルス血症のみが観察され、このマウスは完全な腫瘍退縮を示した。
【0065】
CVA21-ΔV(2x)RNA療法後の両側性腫瘍破壊
4~5週齢のメスのCB17 ICR-SCIDマウスを照射し、24時間後、右脇腹に5e6個のMel624細胞および左脇腹に5e6個のMel624細胞を皮下的に埋め込む。腫瘍が0.5cm x 0.5cmの平均に達した時、マウスを処置する。それぞれのマウスの右脇腹腫瘍に、2、10、または30μgのCVA21-ΔV(2x) RNAの単回注射を与える。手持ち式ノギスを使用して測定される腫瘍体積、体重、および全体的な健康を日常的にモニタリングする。血液を、処置後、2、4、6、8または10日目に、1群あたり2匹のマウスから採取する。腫瘍サイズ、体重、血液、血清単離、組織採取、およびゲノム配列決定を、以前のin vivo実験について記載されたように測定、取得、プロセッシングおよび分析する。
【0066】
CVA21-ΔV(2x)療法のための潜在的な感染性核酸製剤
感染性核酸製剤の例としては、限定されるものではないが、ピコルナウイルスゲノムをコードする感染性cDNAクローンまたはRNA転写物が挙げられる。感染性cDNAからウイルスRNAゲノムを合成するために用いられる技術は、5'および/または3'末端上のさらなるヌクレオチド(ウイルスゲノムの部分ではない)をもたらし得る。ポリオウイルスを含む、いくつかのプラス鎖およびマイナス鎖RNAウイルスは、効率的な複製のために正確な末端を必要とすることが示されている(Boyerら、Virology, 198:415-426 (1994); Herold and Andino, J. Virol., 74(14):6394-6400 (2000))。これらの残基を複製中に除去して、真正ウイルスゲノムを生成することができるが、その初期の存在は、治療用核酸の比感染性に対する有害な効果を有し得る。CVA21-ΔV(2x)感染性核酸療法を、真正ウイルスゲノムを迅速に生成するための機構を用いることによって改善することができる。1つのそのような機構は、5'および/または3'末端でリボザイム配列をコードすることである。リボザイムは、触媒特性を有するRNA分子(構造)である。ある特定のリボザイムは、非常に特異的な位置でcisまたはtransにRNA分子を切断することができる。CVA21-ΔV(2x)をコードする感染性核酸製剤中のウイルスゲノムの5'および/または3'末端でのリボザイムのコードは、治療効能をさらに改善することができる。
【0067】
3つの異なる構築物を作製して、これを確認する。第1のものは、CVA21-ΔV(2x)ゲノムのすぐ上流にリボザイムを含む(Rz-CVA21-ΔV(2x))。このリボザイムを、CVA21-ΔV(2x)ゲノムの正確に5'末端でcisに切断を可能にするように改変する。第2の構築物は、CVA21-ΔV(2x)のコードされたポリA尾部のすぐ下流でcisにRNAを切断するように、CVA21-ΔV(2x)ゲノムのすぐ下流に異なるリボザイムを含む(CVA21-ΔV(2x)-Rz)。第3の構築物は、これらのリボザイムの両方に隣接したCVA21-ΔV(2x)ゲノムを含む(Rz-CVA21-ΔV(2x)-Rz)。RNAゲノムを合成し、その比感染性、ターゲティング効率/特異性、遺伝的安定性、および治療効能/安全性を、非改変CVA21-ΔV(2x)について上記されたように特性評価する。真正またはほぼ真正の3'末端を確保するための機構は、コードされた3'末端(例えば、ポリA尾部)の後の5個のヌクレオチド残基に直接隣接するか、またはその中にある制限エンドヌクレアーゼによって切断することができる制限部位をコードする配列を含むことである。NheI制限酵素部位は、コードされたポリA尾部に直接隣接するウイルスゲノムCVA21-ΔV(2x)をコードするDNA内でコードしていた。CVA21-ΔV(2x)をコードするin vitro由来RNA転写物がポリA尾部の後に5個の非ウイルスヌクレオチドを含有するように、DNAをNheI制限エンドヌクレアーゼで線状化した(CVA21-ΔV(2x)3'NheI)。CVA21-ΔV(2x)ゲノムのすぐ上流のリボザイムと共に、CVA21-ΔV(2x)ゲノムの3'末端にNheI部位を含む別の構築物を作製した(Rz-CVA21-ΔV(2x)-3'NheI)。RNAゲノムを合成し、その比感染性、ターゲティング効率/特異性、遺伝的安定性、および治療効能/安全性を、非改変CVA21-ΔV(2x)について上記されたように特性評価する。
【0068】
様々な腫瘍型における治療効能
CVA21-ΔV(2x)感染性核酸療法を用いて、限定されるものではないが、メラノーマ、ミエローマ、前立腺がん、乳がん、肺がん(例えば、非小細胞肺がん)、および膵がんなどの様々ながん型を処置することができる。ウェルあたり1x10
4個のこれらのがん型の代表的な腫瘍細胞系を、96ウェル組織培養皿に播種した。細胞に、無血清培地中、37℃で2時間、CVA21またはCVA21-ΔV2を、0.001~1の増大するMOIで感染させた。感染後、培地および取り込まれなかったウイルスを除去し、100μLの完全増殖培地と交換し、細胞を37℃でインキュベートした。感染の72時間後、細胞を、3-(4,5-ジメチルチアゾリル-2)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)キット(ATCC、Manassas、VA)を用いて増殖についてアッセイした。試験した全ての細胞系は、CVA21に対してと同様、CV21-ΔV2に対して感受性であった(
図6)。
【0069】
この腫瘍細胞パネルを、CVA21-ΔV2をコードする感染性核酸製剤に対する感受性について分析する。ウェルあたり6x104個の細胞を、24ウェル組織培養皿に播種する。CVA21、CVA21-ΔV2、Rz-CVA21-ΔV2、CVA21-ΔV2-Rz、またはRz-CVA21-ΔV2-RzをコードするRNA転写物を、細胞中にトランスフェクトする。TransIT-mRNAトランスフェクションキット(Mirus Bio LLC、Madison、WI)を用いて、各ウェルに0.5μgの精製T7 RNAをトランスフェクトする。トランスフェクションプロトコールと関連する細胞生存能力の変化を説明するために、鋳型なしのトランスフェクション対照を用いる。トランスフェクション後、24、48、および72時間で、3-(4,5-ジメチルチアゾリル-2)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)キット(ATCC、Manassas、VA)を用いて増殖についてアッセイする。
【0070】
〔実施例2〕
がんを処置するために用いることができる核酸の感染性および安定性
ドメインY中への2x REの挿入はCVA21-3'miRTゲノムをコードする感染性RNAの比感染性を低下させ、治療効能を除去する
CVA21-3'miRTをコードする1μgのin vitro由来感染性RNAのトランスフェクション後の感染性ウイルスの回収は、非改変CVA21をコードするRNAと比較して、H1-HeLa細胞とMel624細胞の両方において大幅に遅延した(
図2)。4~5週齢のメスのCB17 ICR-SCIDマウスを、Envigo (Huntingdon、Cambridgeshire、UK)から購入した。マウスを照射し、24時間後、右脇腹に5e6個のMel624細胞を皮下的に埋め込んだ。腫瘍が0.5cm x 0.5cmの平均に達した時、腫瘍を、50μLの食塩水中の非改変CVA21またはCVA21-3'miRTをコードする30μgのRNAで腫瘍内的に処置した。手持ち式ノギスを使用して測定される腫瘍体積、体重、および全体的な健康を日常的にモニタリングした。RNA処置後、7日目に全てのマウスから血液を採取した。イソフルランの吸入によってマウスを麻酔し、血清分離ゲルを含むBDマイクロテイナーチューブ中に、顎下腺静脈から血液を採取した。血液を、室温で30分間凝固させた後、4℃で5分間、8000rpmでの遠心分離によって血清を分離した。血清を-80℃で保存した。血清中のウイルスを、H1-HeLa細胞上でウイルス保存液について記載されたように滴定した。
図4AおよびDに示されるように、CVA21-3'miRTをコードするRNAは、いかなる腫瘍溶解活性も示さず、ウイルス血症も誘導しなかった。RNA二次構造予測は、oriRのYドメインの破壊およびin vitro由来RNAの比感染性の低下および治療効能の欠如におそらく寄与するシュードノット形成の確率の低下を示す(
図13)。
【0071】
走査領域置換はマイクロRNA応答エレメント安定性を増強する
安楽死の時点で、ウイルスゲノムを、血清ならびにCVA21-ΔV(2x)で処置したマウスおよび毒性の臨床兆候を示すマウスの骨格筋から単離した。ウイルスまたは全RNAを、それぞれ、試料から単離し、cDNAを合成した。マイクロRNA応答エレメントを含有する領域を増幅し、アンプリコンを配列決定した。復帰変異体が、後肢麻痺を発症したCVA21-ΔV(1x)で処置した1匹のマウスの骨格筋において、および後肢麻痺を発症したCVA21-686(2x)で処置した3匹全部のマウスにおいて検出された。対照的に、復帰またはエスケープ変異体は、CVA21-ΔV(2x)で処置したマウスのいずれにおいても検出された。注目すべきことに、復帰変異体はまた、CVA21-TR(1x)で処置した両方の評価可能なマウスにおいても検出された。in vitroでのマイクロRNA応答エレメントの安定性を決定するための努力において、miR-133およびmiR-206を発現する分化したTE671(dTE-671)筋肉細胞中で、それぞれのマイクロRNA脱標的化CVA21の連続継代を行った。dTE671細胞を、最初に10のMOIで感染させた。感染後24時間で、試料を採取し、新鮮なdTE671細胞に50%の明澄化された溶解物を感染させた。ウイルスRNAを、7回の連続継代の明澄化された溶解物から単離し、cDNAを合成し、応答エレメントを含有する領域を配列決定のために増幅させた。両方の実験において、復帰変異体が、CVA21-ΔV(2x)およびCVA21-ΔV(1x)試料中での検出の前に2~3回継代したCVA21-686(2x)試料中で検出された。このデータは、マイクロRNA応答エレメントを直接挿入した走査領域の伸長が、遺伝的安定性を低下させることを示し、in vivoでより顕著な効果である。
【0072】
リボソーム走査領域とマイクロRNA応答エレメントとの交換は構造変化の可能性を最小化する
3'NCRの複雑な構造環境とは対照的に、CVA21の5'NCRは、IRESのすぐ下流に不規則な走査領域を含有すると予測される。CVA21複製におけるこのドメインの役割は未知である。この領域はin vitroおよびin vivoでポリオウイルス複製にとって重要ではないことが示されているが、それは、エンテロウイルス71の翻訳を増強するIRES trans作用因子の結合において示されている。RNA二次構造分析は、CVA21-ΔV(2x)構成が、IRES内のドメインVIの維持をもたらし、したがって、リボソーム量および翻訳に有意に影響しないはずであると予測した(
図13)。3'NCR内の任意の場所での挿入と同様、5'NCR内での挿入によって、シュードノット形成は影響されない。
図13D~Fに示されるように、TR(2x)構築物はoriRループからマイクロRNA応答エレメントを分離するが(ドメインYおよびX)、ドメインYとドメインXとの予測されるシュードノット相互作用は、ループ間接続線によって描写されるように、依然として失われている。
【0073】
CVA21-ΔV(2x)療法のための潜在的な感染性核酸製剤
CVA21-ΔV(2x)感染性核酸療法を、真正ウイルスゲノムを迅速に生成するための機構を用いることによって改善することができる。1つのそのような機構は、5'および3'末端でリボザイム配列をコードすることである。リボザイムは、触媒特性を有するRNA分子(構造)である。ある特定のリボザイムは、非常に特異的な位置でcisまたはtransにRNA分子を切断することができる。CVA21-ΔV(2x)をコードする感染性核酸製剤中のウイルスゲノムの5'および/または3'末端でのリボザイムのコードは、治療効能をさらに改善することができる。
【0074】
5つの異なる構築物を作製して、この仮説を試験した。第1のものは、CVA21-ΔV(2x)ゲノムのすぐ上流にリボザイムを含んでいた(Rz-CVA21-ΔV(2x))。このリボザイムを、CVA21-ΔV(2x)ゲノムの正確に5'末端でcisに切断を可能にするように改変した。第2の構築物は、CVA21-ΔV(2x)のコードされたポリA尾部のすぐ下流でcisにRNAを切断するように、CVA21-ΔV(2x)ゲノムのすぐ下流に異なるリボザイムを含んでいた(CVA21-ΔV(2x)-Rz)。第3の構築物は、プラスミドDNA中にコードされたウイルスゲノムのポリA尾部に直接隣接するNheI制限酵素切断部位を含んでいた。NheI切断部位を用いて、ほんのわずかな残基がポリA尾部に続くように線状の転写物を生成した。第4の構築物は、CVA21-ΔV(2x)ゲノムの5'末端にリボザイムを、およびポリA尾部の後にNheI切断部位を含んでいた(Rz-CVA21-ΔV(2x)-3'NheI)。第5の構築物は、これらのリボザイムの両方に隣接したCVA21-ΔV(2x)ゲノムを含んでいた(Rz-CVA21-ΔV(2x)-3'Rz)。RNAゲノムを合成し、その比感染性、ターゲティング効率/特異性、遺伝的安定性、および治療効能/安全性を、非改変CVA21-ΔV(2x)について上記されたように特性評価した。
図14に示されるように、二重の真正末端または真正に近い末端を有する両方の構築物(すなわち、それぞれ、Rz-CVA21-ΔV(2x)-3’Rzおよび Rz-CVA21-ΔV(2x)-3’NheI)は、非改変CVA21-ΔV(2x) RNAと比較して、H1-HeLa細胞のトランスフェクション後すぐに観察される比感染性および細胞変性効果を増大させた。これらの構築物は両方ともCB-17 SCIDマウスにおいて皮下Mel624異種移植腫瘍に対する腫瘍溶解活性を示す(
図15A)。また、両構築物は、療法後2および7日目の処置マウスにおけるウイルス血症の発症によって示されたように、拡散性の腫瘍溶解感染を生成することもできた。Rz-CVA21-ΔV(2x)-3'NheIは、CVA21-ΔV(2x)およびRz-CVA21-ΔV(2x)-3'Rzよりも効率的であり、Rz-CVA21-ΔV(2x)-3'NheIで処置したマウスにおけるウイルス血症の発症はより一貫していた。リボザイムをコードする配列と制限酵素切断部位(それらの切断部位で切断するように設計された外因的に添加される制限酵素)の様々な組合せを用いて、感染性RNA製剤の比感染性および治療能力をモジュレートすることができる。これは、限定されるものではないが、様々な腫瘍微小環境および送達経路における構築物の免疫原性能力を含んでもよい。
【0075】
異種腫瘍細胞の初期播種はウイルス受容体発現とは無関係であるが、拡散および安全性は依然としてhICAM-1および/または崩壊促進因子の発現に依存する
マウスメラノーマB16-F10細胞は、ウイルス受容体を発現しないため、CVA21に対する感受性がない。hICAM-1を安定に発現するB16-F10細胞系を、レンチウイルス形質導入、抗生物質選択、単一細胞選別およびクローン集団の拡大によって生成した。1のMOIでのCVA21-ΔV(2x)による感染の24時間後のこの細胞系B16-F10-hICAM1からのウイルス回収は、親細胞系と比較して有意に増強された(
図16)。また、この効果を、ウイルス進入のための受容体を発現しない他の細胞系に適用して、in vivoモデルのレパートリーを拡大することもできる。感染性核酸を用いて、ウイルス産生後の拡散の特異性を維持しながら、ウイルスの受容体を発現しない細胞を含むように腫瘍細胞の初期播種を拡大することができる。細胞型特異性を、異なるマイクロRNA標的配列の組込みによってさらにモジュレートすることができる。
【0076】
in vitro転写反応を拡大して、CVA21-ΔV(2x)感染性RNAの臨床調製物を生成することができる
前臨床試験は、in vitro RNA転写キットを用いて、RNA転写物を生成した。それぞれ10マイクロリットルの反応液は、約100マイクログラムのRNAをもたらし、これをin vivo試験において用いた。市販のキットを用いずに生産方法を拡大する実現可能性を証明するために、同様の反応を設定し、1mL(100倍)に拡大し、得られる転写物を、塩化リチウム沈降を用いて精製した。この拡大された反応は、RNAゲル電気泳動によって観察されたように、10マイクロリットルの反応液と同様の完全性で7ミリグラムを超えるRNAをもたらした(
図17)。
【0077】
in vitro由来感染性核酸の改変を用いて、異なる環境における安定性を増強することができる
様々な機構を用いて、血液中でのRNAの安定性および細胞内での内在化後の翻訳可能性を増強することができる。これらの技術としては、限定されるものではないが、処置される宿主内に通常存在するRNAに非常によく似ているRNAを生成するためのin vitroでの転写における修飾塩基(例えば、N-メチルシュードウリジン)の使用、キャッピング機構、および転写物のポリアデニル化が挙げられる。これらの機構ならびに核酸に基づく治療剤の安定性、送達、取込み、および発現を増強する他の機構は全て、感染性核酸療法に適用することができる。また、これらの機構を用いて、患者あたりベースで感染性核酸の免疫原性をモジュレートすることもできる。さらに、核酸と、限定されるものではないが、脂質ベース、ポリマーベース、ナノ粒子ベース、および他の生合成分子を含む様々な異なる担体分子とを複合体化することによって、感染性核酸の送達を増強することができる。
【0078】
〔実施例3〕
コストの低減および製造の単純化
製造プロセスはそれぞれの腫瘍溶解ウイルスについて変化するが、十分な力価の感染性粒子を含む大量のウイルスを生産および精製するのに必要な手順の一般的概略は類似している。GMPマスターセルバンクおよびマスターシードウイルスを生成し、適格化する。これらの細胞を播種し、十分な数の細胞が確立されるまで、最適化された培地製剤を用いて拡大する。これらの細胞は、さらなる拡大および感染のために大きなバイオリアクター中に播種されることが多い。ウイルスを収獲し、一般には、細胞破片の溶解および/または明澄化、次いで、残留核酸の酵素的消化および溶解物の精製を要する。下流の精製プロセスは、様々な限外濾過および透析濾過ステップならびにクロマトグラフィー(例えば、イオン交換およびゲル浸透)に基づく精製を含んでもよい。この後、別の濾過ステップを行った後、バイアルに注入し、保存する。RNAに基づく治療剤の生産はより少ないステップを必要とし、より低容量(すなわち、より小さいバイオリアクター)でより高収量を生産するためにスケーリングすることができる。感染性RNAの生産に関与するステップは、より少なく、より単純である。ウイルスゲノムをコードする線状化プラスミドDNAのマスターバンクを作製する。これをin vitroでの転写反応(一般的には、ストックあたり約1L)のために用いて、感染性RNAを生産する。DNase消化を用いて、残留プラスミドDNAを除去した後、感染性RNAを沈降またはカラム濾過によって精製する。HPLCまたはFPLC精製を用いて、さらなる夾雑物を除去して、純度を確保することができる。現在のmRNAに基づく治療剤とは対照的に、CVA21-ΔV(2x)転写物は、in vitro転写GMPプロトコールを使用する合成および精製のコスト/ステップを減少させるキャッピングまたはテーリングを必要としない。腫瘍溶解性CVA21ウイルスを、免疫療法と組み合わせて臨床的に使用することができる。
【0079】
〔実施例4〕
ウイルス単剤療法を増強する能力
感染性核酸としてのCVA21の製剤化は、その単剤療法としての効力を安全に増強する能力を有する。核酸は、反復投与中に中和抗体を回避する機構を提供するウイルス粒子よりも免疫原性が低い。感染性核酸送達は、反復注入の間に療法の腫瘍溶解期を強化する中和抗体の存在下であっても細胞に感染することができ、処置の全体的な効能を増強し得る。さらに、感染性核酸は、ウイルス受容体(例えば、ヒト細胞内接着分子I)を発現する腫瘍細胞に限定されない。腫瘍細胞の初期播種は、通常はウイルス感染に対して不応性の細胞を含み、腫瘍不均一性の障壁を克服するであろう。この戦略を、他の腫瘍溶解性ピコルナウイルスにも適用することができる。
【0080】
〔実施例5〕
安全性の改善は患者の適格性を拡大する
CVA21の許容性は、いくつかの進行悪性腫瘍を有する患者における第I相および第II相臨床試験において証明されている。しかしながら、現在までの試験は、機能的な免疫系を有する患者に限定されていた。ヒトにおいては稀であるが、CVA21は、特に脆弱である免疫不全宿主に関して筋炎を引き起こし得る。かくして、筋肉細胞中で複製することができないCVA21の開発は、免疫系の障害がある患者への臨床分析の拡大を可能にするであろう。CVA21-ΔV(2x)は、筋肉組織内で富化されたマイクロRNAによって認識される配列を含むマイクロRNA応答エレメントを有する。このエレメントは、同種マイクロRNAを発現する細胞中でのウイルス複製を減少させ、CVA21で処置された皮下腫瘍を担持する免疫不全マウスにおいて観察される毒性を改善する。CVA21-ΔV(2x)を含むマイクロRNA脱標的化ウイルスを用いて、免疫障害がある患者における腫瘍溶解療法の安全性を改善することができる。
【0081】
他の実施形態
本発明をその詳細な説明と共に説明してきたが、前記説明は、添付の特許請求の範囲によって定義される、本発明の範囲を例示することを意図するものであり、それを制限することを意図するものではないことが理解されるべきである。他の態様、利点、および改変は、以下の特許請求の範囲内にある。
(付記)
(付記1)
20個以上の塩基の1つ以上の異種配列エレメントを含むピコルナウイルスゲノムを含む感染性核酸を含む核酸構築物であって、前記構築物の比感染性が、生きている哺乳動物に投与した場合に拡散性ピコルナウイルス感染を開始させるのに十分なものであり、前記構築物の前記比感染性が、前記1つ以上の異種配列エレメントを欠く同等の構築物の比感染性と類似する規模のものである、前記核酸構築物。
(付記2)
前記哺乳動物がヒトである、付記1に記載の構築物。
(付記3)
プラスミドDNAとして製剤化される、付記1または2に記載の構築物。
(付記4)
RNA分子として製剤化される、付記1~3のいずれか一項に記載の構築物。
(付記5)
前記1つ以上の異種配列エレメントのうちの少なくとも1つが、マイクロRNA応答エレメントである、付記1~4のいずれか一項に記載の構築物。
(付記6)
前記マイクロRNA応答エレメントのマイクロRNA標的エレメントが、非がん細胞中に存在するマイクロRNAと相補的な少なくともある領域を含む、付記5に記載の構築物。
(付記7)
前記1つ以上の異種配列エレメントのうちの少なくとも1つが、組織特異的マイクロRNA応答エレメントである、付記1~6のいずれか一項に記載の構築物。
(付記8)
前記1つ以上の異種配列エレメントのうちの少なくとも1つが、筋肉特異的、脳特異的、または心臓特異的マイクロRNA応答エレメントである、付記1~7のいずれか一項に記載の構築物。
(付記9)
前記1つ以上の異種配列エレメントのうちの少なくとも1つが、走査領域内のヌクレオチドの置換として前記ピコルナウイルスゲノムの5'非コード領域中に挿入される、付記1~8のいずれか一項に記載の構築物。
(付記10)
前記ピコルナウイルスゲノムが、I型内部リボソーム進入部位を含む、付記1~9のいずれか一項に記載の構築物。
(付記11)
前記ピコルナウイルスゲノムが、コクサッキーウイルス、ポリオウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、またはエンテロウイルスゲノムである、付記1~10のいずれか一項に記載の構築物。
(付記12)
前記ピコルナウイルスゲノムが、コクサッキーウイルスA21ゲノムである、付記1~11のいずれか一項に記載の構築物。
(付記13)
前記ピコルナウイルスゲノムが、miR-133のためのマイクロRNA標的エレメントを含む、付記1~12のいずれか一項に記載の構築物。
(付記14)
前記ピコルナウイルスゲノムが、miR-133のための1つより多いマイクロRNA標的エレメントを含む、付記1~13のいずれか一項に記載の構築物。
(付記15)
前記ピコルナウイルスゲノムが、miR-206のためのマイクロRNA標的エレメントを含む、付記1~14のいずれか一項に記載の構築物。
(付記16)
前記ピコルナウイルスゲノムが、miR-206のための1つより多いマイクロRNA標的エレメントを含む、付記1~15のいずれか一項に記載の構築物。
(付記17)
前記ピコルナウイルスゲノムが、miR-133のための1つより多いマイクロRNA標的エレメントおよびmiR-206のための1つより多いマイクロRNA標的エレメントを含む、付記1~16のいずれか一項に記載の構築物。
(付記18)
前記ピコルナウイルスゲノムが、コクサッキーウイルスA21ゲノムであり、且つ、前記ピコルナウイルスゲノムが、野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムの631位から698位までの少なくとも20ヌクレオチドを欠く、付記1~17のいずれか一項に記載の構築物。
(付記19)
前記ピコルナウイルスゲノムが、コクサッキーウイルスA21ゲノムであり、且つ、前記ピコルナウイルスゲノムが、野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムのヌクレオチド631~698を欠く、付記1~18のいずれか一項に記載の構築物。
(付記20)
前記核酸構築物がDNAであり、且つ、前記核酸構築物がリボザイムをコードする、付記1~19のいずれか一項に記載の構築物。
(付記21)
前記リボザイムが、前記核酸構築物から転写されるRNA分子から、RNAの5'部分を切断することによって、リボザイム切断RNAを作出するように設計される、付記20に記載の構築物。
(付記22)
前記リボザイム切断RNAが、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドを含まない5'末端を含む、付記20に記載の構築物。
(付記23)
前記核酸構築物がRNAであり、且つ、前記核酸構築物がリボザイムを含む、付記1~19のいずれか一項に記載の構築物。
(付記24)
前記リボザイムが、前記核酸構築物から、RNAの5'部分を切断することによって、リボザイム切断RNAを作出するように設計される、付記23に記載の構築物。
(付記25)
前記リボザイム切断RNAが、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドを含まない5'末端を含む、付記24に記載の構築物。
(付記26)
前記核酸構築物がDNAであり、且つ、前記核酸構築物が制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含む、付記1~19のいずれか一項に記載の構築物。
(付記27)
前記制限エンドヌクレアーゼ切断部位が、前記核酸構築物の3'部分の、制限エンドヌクレアーゼを介する切断を可能にすることによって、制限エンドヌクレアーゼ切断核酸構築物を作出するように設計される、付記26に記載の構築物。
(付記28)
前記制限エンドヌクレアーゼ切断核酸構築物が、ピコルナウイルスゲノム中には存在しない10個未満のリボヌクレオチドを含む3'末端を含むウイルスをコードする、付記27に記載の構築物。
(付記29)
前記制限エンドヌクレアーゼ切断核酸構築物が、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドを含まない3'末端を含むウイルスをコードする、付記27に記載の構築物。
(付記30)
前記核酸構築物がDNAであり、前記核酸構築物がリボザイムをコードし、且つ、前記核酸構築物が制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含む、付記1~19のいずれか一項に記載の構築物。
(付記31)
前記リボザイムが、前記核酸構築物から転写されるRNA分子から、RNAの5'部分を切断することによって、リボザイム切断RNAを作出するように設計される、付記30に記載の構築物。
(付記32)
前記リボザイム切断RNAが、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドを含まない5'末端を含む、付記30に記載の構築物。
(付記33)
前記制限エンドヌクレアーゼ切断部位が、前記核酸構築物の3'部分の、制限エンドヌクレアーゼを介する切断を可能にすることによって、制限エンドヌクレアーゼ切断核酸構築物を作出するように設計される、付記30に記載の構築物。
(付記34)
前記制限エンドヌクレアーゼ切断核酸構築物が、ピコルナウイルスゲノム中には存在しない10個未満のリボヌクレオチドを含む3'末端を含むウイルスをコードする、付記30に記載の構築物。
(付記35)
前記制限エンドヌクレアーゼ切断核酸構築物が、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドを含まない3'末端を含むウイルスをコードする、付記30に記載の構築物。
(付記36)
生きている哺乳動物内のがん細胞の数を減少させる方法であって、付記1~35のいずれか一項に記載の構築物を哺乳動物に投与することを含む、前記方法。
(付記37)
前記哺乳動物がヒトである、付記36に記載の方法。
(付記38)
前記がん細胞が、メラノーマ、膵がん、前立腺がん、膀胱がん、非小細胞肺がん、ミエローマ、または乳がん細胞である、付記36または37に記載の方法。
(付記39)
前記投与ステップが、同等の構築物が同等の哺乳動物に投与された場合に溶解を受ける非がん性細胞の数と比較して、前記投与ステップ後に細胞溶解を受けている前記哺乳動物内に存在する非がん性細胞の数の減少をもたらす、付記36~38のいずれか一項に記載の方法。
(付記40)
前記投与ステップが、同等の構築物が同等の哺乳動物に投与された場合に溶解を受けるがん性細胞の数と比較して、前記投与ステップ後に細胞溶解を受けている前記生きている哺乳動物内に存在する、同様の数または増加した数のがん性細胞をもたらす、付記36~39のいずれか一項に記載の方法。
(付記41)
生きている哺乳動物内のがん細胞の数を減少させる方法であって、付記1~35のいずれか一項に記載の構築物を前記哺乳動物に投与することを含み、前記がん細胞が、前記構築物からの対応するピコルナウイルスの邪魔されない合成の結果として溶解を受けることによって、前記生きている哺乳動物内のがん細胞の数を減少させる、前記方法。
(付記42)
前記哺乳動物がヒトである、付記41に記載の方法。
(付記43)
前記がん細胞が、メラノーマ、ミエローマ、または乳がん細胞である、付記41または42に記載の方法。
(付記44)
前記投与ステップが、同等の構築物が同等の哺乳動物に投与された場合に溶解を受ける非がん性細胞の数と比較して、前記投与ステップ後に細胞溶解を受けている前記哺乳動物内に存在する非がん性細胞の数の減少をもたらす、付記41~43のいずれか一項に記載の方法。
(付記45)
前記投与ステップが、同等の構築物が同等の哺乳動物に投与された場合に溶解を受けるがん性細胞の数と比較して、前記投与ステップ後に細胞溶解を受けている前記生きている哺乳動物内に存在する、同様の数または増加した数のがん性細胞をもたらす、付記41~44のいずれか一項に記載の方法。
(付記46)
抗がん剤を前記哺乳動物に投与することをさらに含む、付記41~45のいずれか一項に記載の方法。
(付記47)
前記抗がん剤が、チェックポイント阻害剤である、付記46に記載の方法。
(付記48)
前記チェックポイント阻害剤が、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、およびPD-L1阻害剤からなる群から選択される、付記47に記載の方法。
(付記49)
コクサッキーウイルスをコードする単離された感染性核酸であって、野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムの631位から698位までの少なくとも20ヌクレオチドを欠き、且つ、前記感染性核酸のVIドメインと真正翻訳開始部位との間に位置する筋肉特異的マイクロRNAのためのマイクロRNA標的エレメントを含む、前記感染性核酸。
(付記50)
631位から698位までの前記ヌクレオチドを欠く、付記49に記載の単離された感染性核酸。
(付記51)
前記筋肉特異的マイクロRNAが、miR-133またはmiR-206である、付記49または50に記載の単離された感染性核酸。
(付記52)
前記感染性核酸が、第1の位置と第2の位置の間に前記マイクロRNA標的エレメントを含み、前記第1の位置が前記野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムの631位に対応し、且つ、前記第2の位置が前記野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムの699位に対応する、付記49~51のいずれか一項に記載の単離された感染性核酸。
(付記53)
前記感染性核酸がDNAであり、且つ、前記感染性核酸がリボザイムをコードする、付記49~52のいずれか一項に記載の単離された感染性核酸。
(付記54)
前記リボザイムが、前記感染性核酸から転写されるRNA分子から、RNAの5'部分を切断することによって、リボザイム切断RNAを作出するように設計される、付記53に記載の単離された感染性核酸。
(付記55)
前記リボザイム切断RNAが、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドを含まない5'末端を含むコクサッキーウイルスをコードする、付記54に記載の単離された感染性核酸。
(付記56)
前記単離された感染性核酸がRNAであり、且つ、前記単離された感染性核酸がリボザイムを含む、付記49~52のいずれか一項に記載の単離された感染性核酸。
(付記57)
前記リボザイムが、前記感染性核酸からRNAの5'部分を切断することによって、リボザイム切断RNAを作出するように設計される、付記56に記載の単離された感染性核酸。
(付記58)
前記リボザイム切断RNAが、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドを含まない5'末端を含むコクサッキーウイルスをコードする、付記56に記載の単離された感染性核酸。
(付記59)
前記感染性核酸がDNAであり、且つ、前記感染性核酸が制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含む、付記49~52のいずれか一項に記載の単離された感染性核酸。
(付記60)
前記制限エンドヌクレアーゼ切断部位が、前記感染性核酸の3'部分の、制限エンドヌクレアーゼを介する切断を可能にすることによって、制限エンドヌクレアーゼ切断感染性核酸を作出するように設計される、付記59に記載の単離された感染性核酸。
(付記61)
前記制限エンドヌクレアーゼ切断感染性核酸が、ピコルナウイルスゲノム中には存在しない10個未満のリボヌクレオチドを含む3'末端を含むコクサッキーウイルスをコードする、付記60に記載の単離された感染性核酸。
(付記62)
前記制限エンドヌクレアーゼ切断感染性核酸が、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドを含まない3'末端を含むコクサッキーウイルスをコードする、付記60に記載の単離された感染性核酸。
(付記63)
前記感染性核酸がRNAであり、前記感染性核酸がリボザイムをコードし、且つ、前記感染性核酸が制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含む、付記49~52のいずれか一項に記載の単離された感染性核酸。
(付記64)
前記リボザイムが、前記感染性核酸から転写されるRNA分子から、RNAの5'部分を切断することによって、リボザイム切断RNAを作出するように設計される、付記63に記載の単離された感染性核酸。
(付記65)
前記リボザイム切断RNAが、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドを含まない5'末端を含む、付記63に記載の単離された感染性核酸。
(付記66)
前記制限エンドヌクレアーゼ切断部位が、前記感染性核酸からのRNAの3'部分の、制限エンドヌクレアーゼを介する切断を可能にすることによって、制限エンドヌクレアーゼ切断感染性核酸を作出するように設計される、付記63に記載の単離された感染性核酸。
(付記67)
前記制限エンドヌクレアーゼ切断感染性核酸が、ピコルナウイルスゲノム中には存在しない10個未満のリボヌクレオチドを含む3'末端を含むコクサッキーウイルスをコードする、付記66に記載の単離された感染性核酸。
(付記68)
前記制限エンドヌクレアーゼ切断感染性核酸が、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドを含まない3'末端を含むコクサッキーウイルスをコードする、付記66に記載の単離された感染性核酸。
(付記69)
哺乳動物中に存在するがんを処置するための方法であって、前記哺乳動物に、コクサッキーウイルスをコードする有効量の感染性核酸を投与することを含み、前記感染性核酸が、野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムの631位から698位までの少なくとも20ヌクレオチドを欠き、且つ、前記感染性核酸が、前記感染性核酸のVIドメインと、真正翻訳開始部位との間に位置する筋肉特異的マイクロRNAのためのマイクロRNA標的エレメントを含む、前記方法。
(付記70)
前記哺乳動物がヒトである、付記69に記載の方法。
(付記71)
前記がんが、メラノーマ、ミエローマ、または乳がんである、付記69または70に記載の方法。
(付記72)
前記感染性核酸が、631位から698位までの前記ヌクレオチドを欠く、付記69~71のいずれか一項に記載の方法。
(付記73)
前記筋肉特異的マイクロRNAが、miR-133またはmiR-206である、付記69~72のいずれか一項に記載の方法。
(付記74)
前記感染性核酸が、第1の位置と第2の位置の間に前記マイクロRNA標的エレメントを含み、前記第1の位置が前記野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムの631位に対応し、且つ、前記第2の位置が前記野生型コクサッキーウイルスA21ゲノムの699位に対応する、付記69~73のいずれか一項に記載の方法。
(付記75)
抗がん剤を前記哺乳動物に投与することをさらに含む、付記69~74のいずれか一項に記載の方法。
(付記76)
前記抗がん剤が、チェックポイント阻害剤である、付記75に記載の方法。
(付記77)
前記チェックポイント阻害剤が、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、およびPD-L1阻害剤からなる群から選択される、付記76に記載の方法。
(付記78)
20個以上の塩基の1つ以上の異種配列エレメントを含むピコルナウイルスゲノムを含む感染性RNAを作製するための方法であって、前記感染性RNAの比感染性が、生きている哺乳動物に投与された場合に拡散性ピコルナウイルス感染を開始させるのに十分なものであり、前記感染性RNAの前記比感染性が、前記1つ以上の異種配列エレメントを欠く同等の感染性RNAの比感染性と類似する規模のものであり、前記方法が、
(a)前記感染性RNAをコードするDNA構築物であって、前記DNA構築物がリボザイムをコードし、且つ、前記核酸構築物が制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含む、前記DNA構築物を提供するステップ、および
(b)前記DNA構築物の少なくとも一部が除去される条件下で、前記DNA構築物と、制限エンドヌクレアーゼとを接触させることによって、制限エンドヌクレアーゼ切断DNA構築物を産生するステップを含み、
前記制限エンドヌクレアーゼ切断DNA構築物が、5'末端に位置する非ピコルナウイルスRNAを有する感染性RNAをコードし、且つ、前記リボザイムが、5'末端に位置する前記非ピコルナウイルスRNAを切断して、前記感染性RNAを生成する、前記方法。
(付記79)
前記制限エンドヌクレアーゼ切断DNA構築物によってコードされる前記感染性RNAが、ピコルナウイルスゲノム中には存在しない10個未満のリボヌクレオチドを含む3'末端を含む、付記78に記載の方法。
(付記80)
前記制限エンドヌクレアーゼ切断DNA構築物によってコードされる前記感染性RNAが、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドを含まない3'末端を含む、付記78に記載の方法。
(付記81)
前記感染性RNAが、ピコルナウイルスゲノム中には存在しないリボヌクレオチドを含まない5'末端を含む、付記78に記載の方法。
(付記82)
ウイルスをコードする感染性核酸によって感染させることができる免疫応答性モデルであって、ヒト細胞内接着分子1(ICAM-1)を発現するマウス細胞を含む、前記免疫応答性モデル。
(付記83)
前記マウス細胞が、マウスメラノーマB16-F10細胞である、付記82に記載の免疫応答性モデル。
【配列表】