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特許7399890エアロゾル形成基体を加熱するための電気加熱組立品
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  • 特許-エアロゾル形成基体を加熱するための電気加熱組立品 図1
  • 特許-エアロゾル形成基体を加熱するための電気加熱組立品 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】エアロゾル形成基体を加熱するための電気加熱組立品
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20231211BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20231211BHJP
   H05B 6/10 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/465
H05B6/10 371
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020567553
(86)(22)【出願日】2019-06-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2019064768
(87)【国際公開番号】W WO2019234143
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】18176602.3
(32)【優先日】2018-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨクノウィッツ イーヴァン
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/151687(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/064032(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/019543(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第104095291(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0055583(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103653258(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/46
A24F 40/465
H05B 6/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成基体を加熱するための加熱組み立て品であって、
-加熱される前記エアロゾル形成基体を受容するためのカップ形状の加熱チャンバであって、少なくともスリーブ部分と、前記加熱チャンバの開口している近位端の反対側の前記加熱チャンバの遠位端に配設されている底部分とによって形成されている、カップ形状の加熱チャンバと、
-前記スリーブ部分を少なくとも第一の温度に加熱するために、前記スリーブ部分の周りに円周状に配設された少なくとも一つの第一の発熱体を含む第一の電気ヒーターと、
-前記底部分を少なくとも第二の温度に加熱するために、前記底部分の外側端面に配設された少なくとも一つの第二の発熱体を含む第二の電気ヒーターと、を備える、加熱組立品。
【請求項2】
前記第一の電気ヒーターおよび第二の電気ヒーターが、相互に独立して動作するように構成されている、請求項1に記載の加熱組立品。
【請求項3】
前記第一の発熱体が抵抗発熱体を備える、または前記第一の発熱体が第一の誘導コイルを備え、かつ前記スリーブ部分が誘導加熱可能な材料を含む、請求項1または2のいずれか一項に記載の加熱組立品。
【請求項4】
前記第二の発熱体が抵抗発熱体を備える、または前記第二の発熱体が第二の誘導コイルを備え、かつ前記底部分が誘導加熱可能な材料を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の加熱組立品。
【請求項5】
前記第一の発熱体が第一の誘導コイルを備え、かつ前記スリーブ部分が誘導加熱材料を含み、また前記第二の発熱体が第二の誘導コイルを備え、かつ前記底部分が誘導加熱可能な材料を含み、また前記第一の誘導コイルのインダクタンスが前記第二の誘導コイルのインダクタンスと異なる、請求項1または2のいずれか一項に記載の加熱組立品。
【請求項6】
前記カップ形状の加熱チャンバが、前記スリーブ部分と前記底部分との間に配設された断熱性のリングをさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の加熱組立品。
【請求項7】
前記加熱チャンバが円筒状または錐台形状である、請求項1~6のいずれか一項に記載の加熱組立品。
【請求項8】
前記底部分または前記スリーブ部分のうちの少なくとも一つが流体透過性であり、特に少なくとも一つの開口を備える、かつ/または穿孔されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の加熱組立品。
【請求項9】
前記スリーブ部分が第一の材料を含み、かつ前記底部分が前記第一の材料と異なる第二の材料を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の加熱組立品。
【請求項10】
前記スリーブ部分の第一の材料の電気抵抗率、透磁率、または比熱のうちの少なくとも一つが、前記底部分の第二の材料の電気抵抗率、透磁率、または比熱とそれぞれ異なる、請求項9に記載の加熱組立品。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の加熱組立品を備える電気加熱式のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
エアロゾル発生システムであって、
-請求項1~10のいずれか一項に記載の加熱組立品または請求項11に記載のエアロゾル発生装置と、
-前記加熱組立品の前記加熱チャンバの中に受容可能なエアロゾル発生物品であって、加熱される少なくとも一つのエアロゾル形成基体を含む物品と、を備えるエアロゾル発生システム。
【請求項13】
前記物品が、実質的にロッドの形状を有し、コア部分、前記コア部分を包囲する管状の周辺部分、および遠位先端部分を備え、前記管状の周辺部分が第一のエアロゾル形成基体を含み、かつ前記遠位先端部分が第二のエアロゾル形成基体を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記コア部分が中空である、または第三のエアロゾル形成基体を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記コア部分が、エアロゾル密封性分離スリーブによって前記管状の周辺部分から分離されている、請求項13または請求項14のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル形成基体を加熱するための電気加熱組立品に関する。本発明は、電気加熱式のエアロゾル発生装置と、こうした加熱組立品を備えるエアロゾル発生システムとにさらに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル形成基体の電気加熱に基づくエアロゾル発生システムは、先行技術から一般的に周知である。典型的に、これらのシステムは、二つの構成要素、すなわち加熱されるエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品と、加熱チャンバの中への物品の受容に伴い基体を加熱するための加熱チャンバを備えるエアロゾル発生装置とを備える。このために、装置は、電気ヒーター、例えば抵抗ヒーターまたは誘導ヒーターを備え、これは加熱チャンバを加熱するように、それ故に物品内のエアロゾル形成基体を加熱するように構成されている。多くの場合、物品の形状は、従来の紙巻たばこの形状(すなわち実質的にロッド状または円筒状の形状)と類似していて、エアロゾル形成基体は典型的に物品の遠位部分内に位置する。加熱チャンバは、その中に物品を適切に受容するように、対応する形状を有する。加熱チャンバから物品への熱エネルギーの伝達を最大化するために、電気ヒーターは通常、エアロゾル形成基体を含む遠位部分に少なくとも沿って物品をその周囲全体に加熱するように、加熱チャンバの周辺の周りに円周状に配設されている。物品の周囲は通常、ラッピング材料によって囲まれていて、かつ物品の近位端は通常、マウスピースとして機能するフィルタープラグを備える。対照的に、物品の遠位端(すなわち物品の挿入時に加熱チャンバに最初に入る物品の先端)は通常、特にユーザーの吸煙中に物品を通して引き出される空気に対して、物品内のエアロゾル形成基体への直接アクセスのみを提供する。その結果、遠位端は、特にユーザーの味覚体験に関して、物品の非常に特異的な部分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、特にユーザーの味覚体験のより幅広い多様性に関して、物品のこの特異的な区域の全潜在能力を引き出すことを可能にする加熱組立品、エアロゾル発生装置、およびエアロゾル発生システムを有することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によると、エアロゾル形成基体を加熱するための加熱組立品が提供されている。加熱組立品は、加熱されるエアロゾル形成基体を受容するためのカップ形状の加熱チャンバを備える。基体は、加熱チャンバ内に直接的に受容されても、または好ましくは、エアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品の形態であってもよい。加熱チャンバは、スリーブ部分と、加熱チャンバの開口している近位端の反対側にある加熱チャンバの遠位端に配設されている底部分とを備える。その結果、加熱チャンバは、少なくともスリーブ部分および底部分によって実質的に形成されている。加熱組立品は、スリーブ部分を少なくとも第一の温度に加熱するために、スリーブ部分の周りに円周状に配設されている少なくとも一つの第一の発熱体を含む第一の電気ヒーターをさらに備える。加熱組立品は、底部分を少なくとも第二の温度に加熱するために、底部分の外側端面に配設されている少なくとも一つの第二の発熱体を含む第二の電気ヒーターをさらに備える。
【0005】
本発明によると、カップ形状の加熱チャンバの底部で第二の電気ヒーターを使用することは、物品のその他の部品が第一の電気ヒーターによって実質的に加熱される温度と異なることが好ましい温度で物品の遠位端を選択的に加熱することを可能にすることが認識されてきた。その結果、第二の温度は、第一の温度と異なり、特に第一の温度より高いことが好ましい。しかしながら、第二の温度が第一の温度よりも低いことも可能である。物品の異なる部分を異なる温度に加熱する能力を有することは、異なるエアロゾル形成基体および/または異なる材料を物品の内側に有すること、例えば各々が特定の風味および/またはエアロゾルを放出するための特定の温度を有する、一つの異なるエアロゾル形成基体および/または異なる材料を物品の遠位端部分の中に、およびもう一つを物品の管状の周辺部分の中に有することを可能にする。よって、異なる部分に対して第一のヒーターおよび第二のヒーターの加熱温度および動作時間を適切に選択することによって、特に望ましい強度で、かつ/または特に望ましい持続時間の間、異なるエアロゾル形成基体を特に望ましい時間で活性化してもよい。有利なことに、これは、はるかにより豊かな味覚体験をユーザーに提供することを可能にする。当然のことながら、第二の温度が第一の温度と等しいことも可能である。
【0006】
第一の電気ヒーターおよび第二の電気ヒーターは、相互に独立して動作するように構成されていることが好ましい。すなわち、第一のヒーターおよび第二のヒーターは分離していて、かつ独立したヒーターであることが好ましい。有利なことに、これは加熱組立品の動作モードの多様性、およびそれ故にユーザー体験の多様性を増大させる。特に、第一のヒーターおよび第二のヒーターの独立した動作は、異なる風味専用の異なるエアロゾル形成基体を含む物品の異なる部分の逐次的な加熱を可能にする。第一の電気ヒーターおよび第二の電気ヒーターのうちの各一つは、それぞれのヒーターの動作をそれぞれの他のヒーターおよびコントローラと独立して制御するように構成されているそれぞれのコントローラに関連付けられてもよく、かつそれによって実行されてもよい。それぞれのコントローラは、加熱組立品の一部、特に第一のヒーターおよび第二のヒーターのいずれかの一部、または加熱組立品が一部を成すエアロゾル発生装置の一部のいずれかであってもよい。当然のことながら、加熱組立品またはエアロゾル発生装置が、第一のヒーターおよび第二のヒーターの動作を独立して制御するように構成されている単一の、特に総合コントローラを備えることも可能である。後者の場合、総合コントローラは、コントローラサブユニットを備えてもよく、その各々は第一のヒーターおよび第二のヒーターのうちの一つを制御するための専用のものであり、かつこれを制御するように構成されている。総合コントローラはまた、その他の動作、例えばエアロゾル発生装置の電源の再充電を制御するために使用されてもよい。
【0007】
別の方法として、第一のヒーターおよび第二のヒーターは、共通して動作するように構成されてもよい。特に、第一のヒーターおよび第二のヒーターは、第一のヒーターおよび第二のヒーターの動作を同時に制御するよう構成された共通のコントローラに関連付けられてもよい。第一の電気ヒーターおよび第二の電気ヒーターは、例えば並列または直列接続の共通のコントローラによって動作されてもよい。共通のコントローラは、加熱組立品の一部、または加熱組立品が一部を成すエアロゾル発生装置の一部のいずれかであってもよい。上記で説明の通り、共通のコントローラは、エアロゾル発生装置の一部であってもよく、またはエアロゾル発生装置の総合コントローラであってもよい。
【0008】
共通の動作の場合、スリーブ部分を第一の温度に加熱すること、および底部分を第二の温度に加熱すること、特にスリーブ部分と底部分を異なる温度に加熱することは、別々に構成または構築されている第一のヒーターおよび第二のヒーターを有することによって達成されてもよい。追加的に、または別の方法として、スリーブ部分および底部分を異なる温度に加熱することを可能にするように、スリーブ部分は第一の材料を含んでもよく、底部分は第一の材料と異なる第二の材料を含んでもよい。これについては、下記にさらに詳細に説明する。
【0009】
第一の電気ヒーターは、スリーブ部分の周りに円周状に配設されている一つの第一の発熱体のみを含んでもよい。この単一の第一の発熱体は、スリーブ部分の軸方向の長さの延長部全体に実質的に沿ってスリーブ部分の周りに配設されていることが好ましい。別の方法として、第一の電気ヒーターは複数の第一の発熱体を含んでもよい。複数の第一の発熱体のうちの各一つは、それぞれの下位部分、特にスリーブ部分の軸方向の下位部分に関連付けられていること、特にこの下位部分の周りに円周状に配設されていることが好ましい。各下位部分は、スリーブ部分のその他の下位部分とは別々に、その関連付けられた第一の発熱体によって加熱されてもよいことがなおより好ましい。同様に、第二の電気ヒーターは、底部分の外側端面に配設されている一つの第二の発熱体のみを含んでもよい。この単一の第二の発熱体は、底部分の端面全体にわたって配設されていることが好ましい。別の方法として、第二の電気ヒーターは複数の第二の発熱体を含んでもよい。複数の第二の発熱体のうちの各一つは、スリーブ部分のそれぞれの下位部分に関連付けられていることが好ましい。各下位部分は、底部分のその他の下位部分とは別々に、その関連付けられた第二の発熱体によって加熱されてもよいことがなおより好ましい。有利なことに、複数の第一の発熱体および/または第二の発熱体を有することは、より複雑な加熱シーケンスを可能にし、および/または異なる風味に関連付けられた複数の異なる基体の下位部分を有する物品を使用することを可能にする。有利なことに、これはユーザー体験の多様性のさらなる増大を可能にする。
【0010】
一般に、第一の電気ヒーターおよび第二の電気ヒーターのうちの各一つは、抵抗ヒーターまたは誘導ヒーターのいずれかであってもよい。すなわち、第一のヒーターは抵抗ヒーターであってもよく、かつ第二のヒーターは誘導ヒーターであってもよく、または第一のヒーターは誘導ヒーターであってもよく、かつ第二のヒーターは抵抗ヒーターであってもよく、または第一のヒーターは誘導ヒーターであってもよく、かつ第二のヒーターは誘導ヒーターであってもよく、または第一のヒーターは抵抗ヒーターであってもよく、かつ第二のヒーターは抵抗ヒーターであってもよい。
【0011】
抵抗加熱に関して、第一のヒーターおよび第二のヒーターは、それぞれ第一の抵抗発熱体および第二の抵抗発熱体を備えてもよい。すなわち、第一の発熱体および第二の発熱体はそれぞれ、抵抗発熱体であってもよい。抵抗発熱体は、抵抗加熱ワイヤ、抵抗加熱トラック、抵抗加熱グリッド、または抵抗加熱メッシュのうちの少なくとも一つを備えてもよい。例えば、抵抗発熱体は、加熱チャンバのスリーブ部分または底部分それぞれの外表面に被覆された、または取り付けられた金属トラック(例えば白金で作製された金属トラック)であってもよい。加熱容量を最大化するために、金属トラックは蛇行様またはスパイラル様であってもよい。
【0012】
本明細書で使用される「抵抗加熱」という用語は、ジュール加熱としても知られ、導電性材料を通る電流の通過が熱を生成するプロセスを指す。その結果、抵抗ヒーターの場合、第一の抵抗発熱体または第二の抵抗発熱体はそれぞれ、ある特定の抵抗率を有する導電性材料を含む、またはそれから成る。室温(20℃)で測定された抵抗率は、少なくとも1.0×10E-08オームメートル、特に少なくとも2.5×10E-08オームメートルであることが好ましい。
【0013】
導電性材料は、白金、アルミニウム、銅、またはステンレス鋼のうちの一つであってもよい。
【0014】
誘導加熱に関して、第一のヒーターおよび第二のヒーターは、それぞれ第一の誘導発熱体および第二の誘導発熱体を備えてもよい。特に、第一の発熱体は第一の誘導コイルを備えてもよく、またスリーブ部分は誘導加熱可能な材料を含んでもよく、またはそれから成ってもよい。同様に、第二の発熱体は第二の誘導コイルを備えてもよく、また底部分は誘導加熱可能な材料を含んでもよく、またはそれから成ってもよい。
【0015】
本明細書で使用される「誘導加熱可能な材料」という用語は、交流電磁場に位置する時に、電磁エネルギーを熱に変換する能力を有する材料を指す。一般に、これは、材料の電気的特性および磁的特性に依存して、交流電磁場によって誘導加熱可能な材料内に誘起されたヒステリシス損失および/または渦電流の結果であってもよい。ヒステリシス損失は、交流電磁場の影響下で切り替えられる材料内の磁区に起因して、強磁性材料またはフェリ磁性材料の中で生じる。渦電流は、材料が導電性である場合に誘起される場合がある。導電性の強磁性またはフェリ磁性材料の場合、渦電流およびヒステリシス損失の両方に起因して熱を発生させることができる。その結果、第一の発熱体および第二の発熱体それぞれの誘導加熱可能な材料は、ヒステリシス損失または渦電流のうちの少なくとも一つに起因して加熱可能であってもよい。その結果、第一の発熱体および第二の発熱体それぞれの誘導加熱可能な材料は、導電性および磁気性、すなわち強磁性またはフェリ磁性のうちの少なくとも一つであってもよい。例えば、第一の発熱体および/または第二の発熱体は、導電性の常磁性または強磁性の材料、特に金属、例えば強磁性ステンレス鋼またはアルミニウムを含んでもよく、またはそれらから成ってもよい。別の方法として、第一の発熱体および/または第二の発熱体は、ランタンドープチタン酸ストロンチウムまたはイットリウムドープチタン酸ストロンチウムなどの導電性セラミック材料を含んでもよく、またはそれらから成ってもよい。同様に、第一の発熱体および/または第二の発熱体は、セラミックフェライトなどの開放多孔性のフェリ磁性または強磁性のセラミック材料を含んでもよく、またはそれらから成ってもよい。
【0016】
第一の誘導コイルおよび第二の誘導コイルは、それぞれスリーブ部分および底部分の形状と実質的に一致する形状を有してもよい。一般に、第一の誘導コイルおよび第二の誘導コイルのうちの各一つは、らせん状コイルまたはフラットスパイラルコイル、特に平坦なパンケーキコイルもしくは「湾曲した」平面状コイルであってもよい。フラットスパイラルコイルの使用は、頑丈でかつ製造が安価なコンパクトな設計を可能にする。らせん状誘導コイルの使用は有利なことに、均質な交流電磁場を発生することを可能にする。本明細書で使用される「フラットスパイラルコイル」は、一般的に平面状のコイルであり、コイルの巻線の軸がコイルのある表面に対して垂直であるコイルを意味する。フラットスパイラル誘導はコイルの平面内で任意の所望の形状を有することができる。例えば、フラットスパイラルコイルは円形の形状を有してもよく、または概して楕円形もしくは長方形の形状を有してもよい。しかしながら、本明細書で使用される「フラットスパイラルコイル」という用語は、平面状のコイルと、曲面に適合するように成形されたフラットスパイラルコイルとの両方を網羅する。例えば、誘導コイルは、好ましくは円筒状のコイル支持体(例えば、フェライトコア)の周囲に配設された「湾曲した」平面状コイルであってもよい。さらに、フラットスパイラルコイルは、例えば4回巻きフラットスパイラルコイルの二層、または4回巻きフラットスパイラルコイルの単層を備えてもよい。
【0017】
第一の誘導コイルは、存在する場合、スリーブ部分の周りに円周状に配設されたらせん状コイル、またはスリーブ部分の周りに円周状に配設された、かつスリーブ部分の湾曲した表面に適合するように成形された「湾曲した」平面状コイルであることが好ましい。第二の誘導コイルは、存在する場合、底部分を加熱するために底部分の外側端面に配設されたらせん状コイルまたは平坦なパンケーキコイルであることが好ましい。
【0018】
第一の誘導コイルおよび/または第二の誘導コイルは、加熱組立品のハウジング、または加熱組立品を備えるエアロゾル発生装置の主本体またはハウジングのうちの一つ内に保持されることができる。第一の誘導コイルおよび/または第二の誘導コイルは、好ましくは円筒状のコイル支持体、例えばフェライトコアの周りに巻かれてもよい。
【0019】
エアロゾル発生装置は、加熱チャンバとハウジングの外表面との間に断熱材を備えることが好ましい。有利なことに、これはハウジングの過熱、および/または望ましくないやけどの危険性を回避する。加熱組立品が誘導加熱に関与する場合、断熱材の任意の望ましくない誘導加熱を防止するように、断熱材は非導電性および常磁性または反磁性材料で作製されていることが好ましい。
【0020】
第一の誘導コイルおよび第二の誘導コイルは、加熱中に発生したエアロゾルに露出される必要がないことが好ましい。それ故に、コイル上の沈着物および可能性のある腐食を防止することができる。特に、第一の誘導コイルおよび第二の誘導コイルはそれぞれ、保護カバーまたは層を備えてもよい。
【0021】
電磁場によって提供されるエネルギーの、熱への変換を強化するために、第一の誘導コイルとスリーブ部分の間、または第二の誘導コイルと底部分の間の最小距離は、0.05ミリメートル~0.3ミリメートル、特に0.1ミリメートル~0.2ミリメートルの範囲であることが好ましい。
【0022】
誘導加熱は非常に効率的なので、第一のヒーターおよび第二のヒーターは、両方とも誘導ヒーターであることが好ましい。その結果、第一の発熱体は第一の誘導コイルを備えてもよく、スリーブ部分は誘導加熱可能な材料を含んでもよく、またはそれから成ってもよく、また第二の発熱体は第二の誘導コイルを備えてもよく、底部分も誘導加熱可能な材料を含んでもよく、またはそれから成ってもよい。底部分およびスリーブ部分の、異なる温度への加熱を達成するために、第一の誘導コイルのインダクタンスは、第二の誘導コイルのインダクタンスと異なっていてもよい。特に、第一の誘導コイルは、第二の誘導コイルと異なる幾何学的形状を有してもよい。例えば、第一の誘導コイルは、スリーブ部分の周りに配設されたらせん状コイルであってもよく、一方で第二の誘導コイルは、底部分の変化する端面に配設された平坦なパンケーキコイルであってもよい。別の方法として、または追加的に、第一の誘導コイルおよび第二の誘導コイルは、巻数に関して異なっていてもよく、これによって第一の誘導コイルおよび第二の誘導コイルによって発生するそれぞれの交流電磁場は異なり、加熱チャンバのスリーブ部分と底部分とでは異なる渦電流および/またはヒステリシス損失を生じさせる。
【0023】
第一の誘導コイルおよび第二の誘導コイルの異なるインダクタンスの代替として、またはそれに加えて、底部分およびスリーブ部分の誘導加熱可能な材料は異なってもよく、これもまた、加熱チャンバのスリーブ部分と底部分とでは異なる渦電流および/またはヒステリシス損失に起因する発熱を生じさせる。それ故に、第一の誘導コイルおよび第二の誘導コイルが類似していて、かつ同一の条件下で動作する場合、すなわちスリーブ部分および底部分内に類似の電磁場を発生する場合でさえも、異なる温度を達成することができる。
【0024】
さらにより一般的に、かつ誘導加熱と抵抗加熱の両方に関して、加熱機構に依存して材料の差異に起因してスリーブ部分と底部分の中で異なる加熱温度を達成するように、スリーブ部分は第一の材料を含んでもよく、底部分は第一の材料と異なる第二の材料を含んでもよい。このように、スリーブ部分の第一の材料の電気抵抗率、透磁率、または比熱のうちの少なくとも一つは、底部分の第二の材料の電気抵抗率、透磁率、または比熱とそれぞれ異なる。
【0025】
カップ形状の加熱チャンバは、断熱性の材料、例えば断熱性のリングをさらに備えてもよく、これはスリーブ部分と底部分の間に配設されている。有利なことに、これは、スリーブ部分の温度が加熱チャンバの底部分の温度に干渉するのを防止する。この構成において、断熱性の材料またはリングの軸方向位置にて、第一の発熱体と第二の発熱体の間に軸方向の間隙または距離があってもよい。本明細書で使用される「軸方向」という用語は、カップ形状の加熱チャンバの長さ軸を指す。
【0026】
加えて、加熱組立品は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の中に挿入されるように構成された加熱ブレードを備えてもよい。加熱ブレードは、底部分の内表面に取り付けられてもよく、また加熱チャンバの中心軸に実質的に沿って加熱チャンバの内側空間の中に延びてもよい。加熱ブレードは、エアロゾル発生物品の基体の中への挿入を容易にするように、その自由端にてテーパー付きであってもよい。ブレードは、底部分から熱伝導を介して加熱されるように、底部分と熱的に接触してもよく、底部分はその後に第二のヒーターによって加熱可能である。別の方法として、または追加的に、加熱ブレードは抵抗ヒーターなどの別個のヒーターを備えてもよい。抵抗ヒーターは、加熱ブレードの表面に被覆された、または取り付けられた金属トラック(例えば白金で作製された金属トラック)を備えてもよい。加熱ブレードの別個のヒーターは、別個のコントローラによって、または第一のヒーターおよび第二のヒーターを制御するために既に使用されている共通のコントローラによって、または加熱組立品が一部を成すエアロゾル発生装置の総合コントローラによって、動作されてもよい。加熱ブレードの別個のヒーターは、第一のヒーターおよび/または第二のヒーターとは別々に動作するように構成されていることが好ましい。加熱ブレードは、金属コア部材を備えてもよいことが好ましい。別個のヒーターによって加熱される場合、加熱ブレードは、金属コア部材を挟む二つのセラミックカバー部材をさらに備えてもよい。少なくとも一つのカバー部材の外表面は、抵抗ヒーター(例えば金属トラック)で被覆されてもよい。
【0027】
加熱チャンバの底部分がスリーブ部分よりも高い温度に加熱される場合、スリーブ部分の周りに配設されている第一の発熱体は、スリーブ部分に向かって、またはスリーブ部分まで、またはさらにはスリーブ部分を越えて、特に底部分を囲むように、軸方向に延びてもよい。結果として、第一のヒーターによって提供される熱エネルギーの少なくとも一部分を、底部分において第二のヒーターによって提供される熱エネルギーに加える。この構成において、カップ形状の加熱チャンバは、スリーブ部分と底部分の間にいかなる断熱性のリングまたは断熱性の材料も含まないことが好ましい。
【0028】
一般に、加熱チャンバは円筒状または錐台形状であってもよい。加熱チャンバは、異なる断面形状、特に長方形、四角形、円形、楕円形、三角形、多角形、または星形の多面体を有してもよい。このように、加熱チャンバの効果的な加熱表面は、断面形状の周囲長さの増大に伴い増大する。
【0029】
さらに、底部分またはスリーブ部分のうちの少なくとも一つは、流体透過性であってもよく、特に少なくとも一つの開口またはチャネルを備え、かつ/または穿孔されている。有利なことに、これは、空気を加熱チャンバの外側から底部分および/またはスリーブ部分を通して、加熱チャンバ内のエアロゾル形成基体に向かって通すことを可能にする。それ故に、加熱チャンバは、加熱組立品、もしくは加熱組立品が一部を成すエアロゾル発生装置を通って延びる空気経路と流体連通してもよく、またはその一部であってもよい。エアロゾル形成基体がカップ形状の加熱チャンバの底部分に実質的に置かれる場合、穿孔された底部分は、エアロゾル形成基体を物品の遠位端にて加熱チャンバの外側からの空気と接続してもよい。
【0030】
エアロゾル発生物品がその周囲にて、例えば物品のラッピング材料を通る側方の空気吸込み口を有する場合、加熱チャンバはまた、加熱チャンバの中に受容されている時に物品の空気吸込み口の横に位置するように配設されているスリーブ部分を通る穿孔、開口、またはチャネルも備えてもよい。それ故に、空気はまた、物品の中に、その周囲を通して横方向に通過することもできる。
【0031】
加えて、または別の方法として、少なくとも加熱チャンバのスリーブ部分と、好ましくはまた底部分と、存在する場合、好ましくはまた断熱性の材料/リングとは、加熱チャンバの近位端から底部分に延びるそれぞれの内表面に、および好ましくはさらに底部分に沿って、複数のスロットまたは溝を備えてもよく、これによって、加熱チャンバの近位端と、物品が加熱チャンバの中に挿入されている時に物品の遠位端に面する底部分の内表面との間に、複数の気流通路を提供する。その結果、ユーザーが物品の近位端を吸煙する時に、周囲空気は、複数のスロットまたは溝に沿って、その遠位端で物品の中にさらに通るように、加熱チャンバの近位端で引き出される。それ故に、周囲空気は、複数のスロットまたは溝に沿って通る時に、スリーブ部分と、エアロゾル形成に有益に影響を与える底部分とによって予熱されてもよい。
【0032】
上述の通り、第一のヒーターおよび第二のヒーターは、単一のコントローラまたは共通のコントローラまたは総合コントローラによって動作されてもよい。こうしたコントローラは、加熱組立品の一部、または加熱組立品を備えるエアロゾル発生装置の一部のいずれかであってもよい。特に、コントローラは、抵抗ヒーターおよび/または誘導ヒーターを駆動するための駆動電流(DCまたはAC)を提供するように構成されてもよい。誘導加熱の場合、それぞれのコントローラは、交流電流(AC)を提供するように構成された誘導源、特にAC発電機を備えてもよい。
【0033】
さらに、第一のヒーターおよび第二のヒーターに電力供給するための少なくとも一つの電源が提供されてもよい。少なくとも一つの電源は、それぞれのコントローラを介して第一のヒーターおよび第二のヒーターに動作可能に連結されていることが好ましい。電力供給源は、電気加熱組立品の一部であってもよい。別の方法として、電気加熱装置は、本発明の加熱組立品が提供されているエアロゾル発生装置の一部であってもよい。電力供給源がエアロゾル発生装置の一部であるかまたは加熱組立品の一部であるかどうかにかかわらず、電力供給源はまた、例えば加熱組立品のコントローラまたはエアロゾル発生装置の総合コントローラを実行する目的など、その他の目的でも使用されてもよい。
【0034】
本発明によると、本発明による、および本明細書に記載の通りの加熱組立品を備える電気加熱式のエアロゾル発生装置も提供されている。
【0035】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、基体を加熱することによってエアロゾルを発生するように、少なくとも一つのエアロゾル形成基体と相互作用する能力、特にエアロゾル発生物品内に提供されたエアロゾル形成基体と相互作用する能力を有する電気的に作動する装置を記述するために使用される。エアロゾル発生装置は、ユーザーによってユーザーの口を通して直接吸入可能なエアロゾルを発生するための吸煙装置であることが好ましい。特に、エアロゾル発生装置は手持ち式のエアロゾル発生装置である。
【0036】
前述の通り、エアロゾル発生装置は、加熱組立品の第一のヒーターおよび第二のヒーターの動作を制御するために少なくとも一つのコントローラを備えてもよい。特に、エアロゾル発生装置は、第一のヒーターおよび第二のヒーターの動作を制御するための共通のコントローラまたは別個のコントローラを備えてもよい。こうしたコントローラは、エアロゾル発生装置の総合コントローラ内に提供されてもよい。これらのコントローラのいずれかは、マイクロプロセッサ、例えばプログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向け集積回路チップ(ASIC)もしくは制御を提供する能力を有するその他の電子回路を備えてもよい。こうしたコントローラは、少なくとも一つのDC/ACインバータおよび/または電力増幅器(例えば、クラスDまたはクラスE電力増幅器)など、さらなる電子構成要素を備えてもよい。特に、こうしたコントローラは、第一のヒーターおよび/もしくは第二のヒーターへの、例えば第一の誘導コイルおよび/もしくは第二の誘導コイルへの、または第一の抵抗発熱体および/もしくは第二の抵抗発熱体への電流の供給を調節するように構成されてもよい。電流はシステムの起動後、第一のヒーターおよび/または第二のヒーターに連続的に供給されてもよく、または断続的に(例えば、毎回の吸煙ごとに)供給されてもよい。
【0037】
誘導加熱に関して、エアロゾル発生装置は、第一の誘導コイルおよび第二の誘導コイルに電力供給するために、共通の誘導源または別個の誘導源を備えてもよい。誘導源(複数可)は、エアロゾル発生装置の総合コントローラの一部であることが好ましい。誘導源(複数可)は、交流(AC)発電機を備えてもよい。AC発電機はエアロゾル発生装置の電源によって電力供給されてもよい。AC発電機は、第一のヒーターおよび/または第二のヒーターの誘導コイルに動作可能に連結される。AC発電機は、交流電磁場を発生させるために誘導コイルを通過する高周波振動電流を発生するように構成されている。本明細書で使用される「高周波振動電流」は、500kHz~30MHz、好ましくは1MHz~10MHz、より好ましくは5MHz~7MHz、最も好ましくは約6.8MHzの周波数を有する振動電流を意味する。
【0038】
また前述の通り、エアロゾル発生装置は有利なことに、電源、好ましくはリン酸鉄リチウム電池などの電池を備える。代替として、電源は別の形態の電荷蓄積装置(コンデンサーなど)であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、また一回以上のユーザー体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有する場合がある。例えば、電源は約六分間、または六分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の例において、電源は所定の吸煙回数、または誘導コイルの不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0039】
加熱組立品の加熱チャンバは、エアロゾル発生装置のハウジングの中に包埋されてもよい。コントローラ(複数可)および電源を含む主本体に加えて、エアロゾル発生装置はマウスピースをさらに備えてもよい。マウスピースは、装置の主本体に据え付けられてもよい。特に、マウスピースは、マウスピースを主本体に据え付ける際に加熱チャンバを閉じるように構成されてもよい。マウスピースを主本体に取り付けるために、主本体の近位端部分は、マウスピースの遠位端部分にて対応する相手側と係合する磁気的マウントまたは機械的マウント、例えばバヨネットマウントまたはスナップ嵌めマウントを備えてもよい。装置がマウスピースを備えない場合、エアロゾル発生物品はマウスピース、例えばフィルタープラグを備えてもよい。
【0040】
エアロゾル発生装置は、少なくとも一つの空気出口、例えばマウスピース(存在する場合)の空気出口を備えてもよい。
【0041】
エアロゾル発生装置は、少なくとも一つの空気吸込み口から、加熱チャンバを通って、そして場合によってはさらに、マウスピース(存在する場合)の空気出口に延びる空気経路を備えることが好ましい。
【0042】
本発明によるエアロゾル発生装置のさらなる特徴および利点を、本発明による、および本明細書に記載の通りの加熱組立品に関して記載してきた。従って、これらのさらなる特徴および利点を繰り返さない。
【0043】
本発明のさらに別の態様によると、エアロゾル発生システムが提供されている。システムは、本発明による、および本明細書に記載の通りの加熱組立品またはエアロゾル発生装置を備える。システムは、加熱組立品の加熱チャンバの中に受容可能なエアロゾル発生物品をさらに備える。物品は、加熱される少なくとも一つのエアロゾル形成基体を含む。
【0044】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を、加熱された時に放出する少なくとも一つのエアロゾル形成基体を含む物品を指す。エアロゾル発生物品は、加熱式エアロゾル発生物品であることが好ましい。すなわち、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出するために、燃焼ではなく加熱されることが意図されている少なくとも一つのエアロゾル形成基体を含む、エアロゾル発生物品である。エアロゾル発生物品は、消耗品、特に単回使用後に廃棄される消耗品であってもよい。例えば、物品は、加熱される液体エアロゾル形成基体を含むカートリッジであってもよい。別の方法として、物品は従来の紙巻たばこに似ているロッド状の物品(特にたばこ物品)であってもよい。
【0045】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾル形成基体の加熱に伴いエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。エアロゾル形成基体はエアロゾル発生物品の一部である。エアロゾル形成基体は固体エアロゾル形成基体、または好ましくは液体エアロゾル形成基体であってもよい。両方の場合において、エアロゾル形成基体は固体成分および液体成分のうちの少なくとも一つを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例はグリセリンおよびプロピレングリコールである。エアロゾル形成基体はまた、その他の添加物および成分(ニコチンまたは風味剤など)を含んでもよい。エアロゾル形成基体はまた、ペースト様の材料、エアロゾル形成基体を含む多孔性材料のサシェ、または例えばゲル化剤または粘着剤と混合されたルースたばこであってもよく、これはグリセリンなどの一般的なエアロゾル形成体を含むことができ、これはプラグへと圧縮または成形される。
【0046】
一般に、物品は、実質的にロッドの形状を有してもよく、従来の紙巻たばこの形状に似ていることが好ましい。このように、物品は、異なる部分、特にコア部分、コア部分を包囲する管状の周辺部分、および遠位先端部分をさらに備えてもよい。加えて、物品は、マウスピースとして機能する近位端にフィルタープラグを備えてもよい。物品は、少なくともコア部分と、管状の周辺部分と、遠位先端部分とを包囲するラッパー、および好ましくはまたフィルタープラグをさらに備えてもよい。主に、ラッパーは、異なる部分を一緒に保ち、かつ物品の望ましい断面形状を維持するように機能する。例えば、ラッパーは、紙ラッパー、特に紙巻たばこ用紙で作製された紙ラッパーであってもよい。別の方法として、ラッパーは、例えば金属またはプラスチックで作製された箔であってもよい。ラッパーは、気化されたエアロゾル形成基体が物品から放出されることを可能にするように流体透過性であってもよく、空気が物品の中に、その周囲を通して引き出されることを可能にする。ラッパーは多孔性であってもよい。さらに、ラッパーは、加熱に伴い活性化されてラッパーから放出される少なくとも一つの揮発性物質を含んでもよい。例えば、ラッパーは風味揮発性物質で含浸されてもよい。
【0047】
遠位先端部分は、加熱チャンバの底部分によって実質的に加熱され、一方で管状の周辺部分は加熱チャンバのスリーブ部分によって実質的に加熱されることが好ましい。
【0048】
ユーザー体験のより幅広い多様性を提供するために、管状の周辺部分は、好ましくは第一の感覚媒体を含む第一のエアロゾル形成基体を備えてもよく、また遠位先端部分は、好ましくは第二の感覚媒体を含む第二のエアロゾル形成基体を備えてもよい。第一のエアロゾル形成基体および第二のエアロゾル形成基体の各々ならびに感覚媒体は、第一のヒーターおよび第二のヒーターそれぞれの特定の第一の温度および第二の温度で熱的に放出されるように選ばれてもよい。
【0049】
コア部分は、管状の周辺部分からエアロゾル密封性分離スリーブによって分離されてもよい。それ故に、物品は、例えば遠位先端部分で発生したエアロゾルが管状の周辺部分で発生したエアロゾルと混合しないように、異なる区画を提供してもよい。その結果、物品は、二つの主要空気経路、すなわちコア部分を通る、遠位先端部分で発生した空気専用の空気経路と、コア部分の外側の空気経路、すなわち管状の周辺部分を通る、管状の周辺部分で発生したエアロゾル専用の空気経路とを備えてもよい。
【0050】
コア部分は中空であってもよい。別の方法として、コア部分は、好ましくは別の(第三の)感覚媒体を含む、別の(第三の)エアロゾル形成基体を含んでもよい。
【0051】
エアロゾル形成物品の異なる部分におけるエアロゾル形成基体の密度は、異なる引き出し抵抗を有する異なる部分を提供するように異なってもよい。例えば、物品は、管状の周辺部分の中の第一のエアロゾル形成基体(好ましくは第一の感覚媒体を含む)、およびコア部分の中の第二のエアロゾル形成基体(好ましくは、第三の感覚媒体を含む)を有してもよく、第一のエアロゾル形成基体は第三のエアロゾル形成基体よりも高い引き出し抵抗を有する。その結果、物品を通過する空気はコア部分において、管状の周辺部分においてよりも高い速度を有する。具体的に、こうした構成は、管状の周辺部分で発生したエアロゾルを、コア部分の中に引き出すことを可能にし、ここでエアロゾルは直接、物品の近位端に向かって、ユーザーの口の中に移動することができる。
【0052】
さらに、物品の遠位端部分を、特定の感覚媒体、例えば液体または粉末などに浸漬してもよく、その後加熱チャンバの中に挿入することが可能である。ここで、物品の含浸された遠位端部分は、加熱チャンバの加熱された底部分と熱的に近接し、またはこれと接触する。底部分を、スリーブ部分の温度と異なる温度に、特にスリーブ部分の温度とは別の温度に加熱することができるため、遠位端部分内の感覚媒体を、その特定の放出温度にて、特に物品のその他の部分にある、異なる放出温度を有する感覚媒体および/またはエアロゾル形成基体とは別に、選択的に放出することができる。
【0053】
加えて、管状の周辺部分、コア部分および/または遠位先端部分は各々、それぞれの下位部分に分割されてもよい。各下位部分は、異なるエアロゾル形成基体および/または異なる感覚媒体のための専用のものであることが好ましい。こうした構成は、上述の通り、複数の第一の発熱体または第二の発熱体をそれぞれに備える第一のヒーターおよび/または第二のヒーターと組み合わせて使用されることが好ましい。有利なことに、これはユーザー体験の多様性のさらなる増大を可能にする。
【0054】
本発明によるエアロゾル発生システムのさらなる特徴および利点を、本発明による、および本明細書に記載の通りの加熱組立品およびエアロゾル発生装置に関して上記に記載してきた。従って、これらのさらなる特徴および利点を繰り返さない。
【0055】
本発明を、添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに記載する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1図1は、本発明の第一の実施形態による電気加熱組立品を備えるエアロゾル発生システムの概略図である。
図2図2は、本発明の第二の実施形態による電気加熱組立品を備えるエアロゾル発生システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1は、本発明の第一の実施形態による電気加熱組立品20を備えるエアロゾル発生システム1を概略的に図示する。エアロゾル発生システム1は、二つの構成要素、すなわち加熱されるエアロゾル形成基体71、72、73を含むエアロゾル発生物品60と、物品60を装置10の中に受容する際に物品内のエアロゾル形成基体71、72、73を加熱するための電気加熱組立品20を備えるエアロゾル発生装置10とを備える。
【0058】
エアロゾル発生物品60は、従来の紙巻たばこの形状に似ている実質的にロッドの形状を有する。図1で分かる通り、物品60は、異なる部分、すなわちコア部分62と、コア部分62を包囲する管状の周辺部分61と、遠位先端部分63とを備え、それだけでなく物品60の近位端65にマウスピースとして機能するフィルタープラグ64を備える。物品60は、少なくともコア部分62と、管状の周辺部分61と、遠位先端部分63とを包囲するラッパー66、および好ましくはまたフィルタープラグ64をさらに含む。
【0059】
遠位先端の管状の周辺部分61は、第一の感覚媒体を含む第一のエアロゾル形成基体71を備え、遠位先端部分63は第二の感覚媒体を含む第二のエアロゾル形成基体73を備え、またコア部分62は第三の感覚媒体を含む第三のエアロゾル形成基体72を備える。エアロゾル形成基体71、72、73は、例えば異なる風味を有するように、相互に異なることが好ましい。特に、第一、第二、および第三のエアロゾル形成基体71、72、73の各々は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物のそれぞれの基体放出が熱的に活性化される特定の放出温度を有する。三つのエアロゾル形成基体71、72、73のうちの少なくとも二つの特定の放出温度は、相互に異なることが好ましく、これによって基体に異なる加熱温度を適用することによってそれぞれの揮発性化合物の放出が選択的に活性化されうることが好ましい。本実施形態において、第一および第三のエアロゾル形成基体71、72は、実質的に同一の放出温度を有し、一方で第二のエアロゾル形成基体73は著しくより高い放出温度を有する。さらに、第一、第二、および第三のエアロゾル形成基体71、72、73の各々は、特定の引き出し抵抗を提供してもよい。本実施形態において、第一のエアロゾル形成基体71は、第二および第三のエアロゾル形成基体72、73よりずっと高い引き出し抵抗を有する。その結果、物品60を通過する空気はコア部分62において、管状の周辺部分61においてよりも高い速度を有する。結果として、管状の周辺部分で発生したエアロゾルは、コア部分の中に引き出され、ここでエアロゾルは直接、物品60の近位端65に向かって、ユーザーの口の中に移動することができる。図1において、この効果は、装置10および物品60を通る気流を表す矢印によって図示されている。
【0060】
特定の物品部分61、62、63に関連付けられた異なる基体71、72、73の全潜在能力を引き出すために、本発明による加熱組立品20は、中にエアロゾル発生物品60を少なくとも部分的に受容するためのカップ形状の加熱チャンバ30を備える。加熱チャンバ30は、スリーブ部分31と、加熱チャンバ30の開口している近位端35の反対側にある加熱チャンバ30の遠位端34に配設されている底部分32とを備える。それ故に、スリーブ部分31および底部分32は、開口している近位端35を介して物品60を中に挿入することができる加熱チャンバ30を実質的に形成する。図1に示す実施形態において、加熱チャンバ30は、円形断面を含む実質的に円筒状の形状を有する。すなわち、カップ形状の加熱チャンバ30の側壁を形成するスリーブ部分31は実質的に、円筒状の管であり、一方で底部分32は実質的に、円形状のディスクである。
【0061】
加熱組立品20は、スリーブ部分31を第一の温度に加熱するために構成されている第一の電気ヒーター41をさらに備える。このために、第一のヒーター41は、スリーブ部分31の周りに円周状に配設されている第一の発熱体43を含む。同様に、加熱組立品20は、底部分32を第二の温度に加熱するために構成されている第二の電気ヒーター42を備える。第二のヒーター42は、底部分32の外側端面に配設されている第二の発熱体44を含む。その結果、遠位先端部分63は、底部分32によって実質的に加熱され、これはその後、第二のヒーター42によって加熱され、一方で管状の周辺部分61およびコア部分62は、スリーブ部分31によって実質的に加熱され、これはその後、第一のヒーター41によって加熱される。
【0062】
本実施形態において、第一のヒーター41および第二のヒーター42は、それぞれスリーブ部分31および底部分32を誘導加熱するための電磁場を発生するように構成された誘導ヒーターである。その結果、第一の発熱体43は、スリーブ部分31の周りに円周状に配設されていて、かつスリーブ部分31の長さ延長部全体に実質的に沿って延びるらせん状の第一の誘導コイル45を備える。同様に、第二の発熱体44は、底部分32の外側端面に配設された平坦なパンケーキコイルである第二の誘導コイル46を備える。加熱チャンバ30のスリーブ部分31と底部分32の両方は誘導加熱可能な材料を備え、この材料において、それぞれの交流電磁場は、それぞれの誘導加熱可能な材料の電気的特性および磁気的特性に依存して、発熱する渦電流またはヒステリシス損失のうちの少なくとも一つを発生する。それ故に、スリーブ部分31は、第一の誘導コイル45によって誘導加熱される第一のサセプタ素子として機能し、また底部分32は第二の誘導コイル46によって誘導加熱される第二のサセプタ素子として機能する。本実施形態において、スリーブ部分31と底部分32の両方は、同一のタイプの強磁性ステンレス鋼で作製されている。しかしながら、スリーブ部分31および底部分32が、異なる誘導加熱可能な材料を含むか、またはそれらから成ることも可能である。有利なことに、これはスリーブ部分31および底部分32を、それ故に物品60内の異なる部分を異なる温度に加熱することを容易にする。
【0063】
本実施形態において、第一の電気ヒーター41および第二の電気ヒーター42は、相互に独立して動作するように構成されている。すなわち、第一の電気ヒーター41および第二の電気ヒーター42のうちの各一つは、それぞれのヒーターの動作を他のヒーターとは別々に制御するように構成された別個のコントローラ14、15に関連付けられ、かつそれによって実行される。両方のコントローラ14、15は、エアロゾル発生装置10の総合コントローラ13の一部であってもよく、またはそのサブユニットであってもよい。二つのコントローラ14、15の各々は、500kHz~30MHzの周波数を有する高周波振動電流を提供するように構成されているAC発電機(図1に図示せず)を含む。誘導コイルにAC電流を提供するために、コントローラ14、15は、それぞれ第一および第二の誘導コイル45、46と、電線(図1に図示せず)によって動作可能に連結されている。コントローラ13、14、15は、再充電可能電源16、例えばリン酸鉄リチウム電池によって電力供給される。
【0064】
スリーブ部分31および底部分32の第一の加熱温度および第二の加熱温度の完全に独立した制御に関して、コントローラ14、15は、異なる周波数および/または異なる振幅および/または異なる時間にて、第一の誘導コイル45および第二の誘導コイル46を動作させるためのそれぞれの高周波振動電流を発生および提供するように構成されている。第一の誘導コイル45を動作させるための高周波振動電流は、周波数および/または振幅および/または時間および持続時間に関して、第二の誘導コイル46を動作させるための高周波振動電流と異なってもよい。有利なことに、これはスリーブ部分31および底部分32を異なる温度に、および/または異なる時間にて、および/または異なる持続時間の間、加熱することを可能にする。それ故に、好ましくは異なる風味を含む第一、第二、および第三のエアロゾル形成基体は、異なる時間および/または異なる強度にて、かつ/または異なる持続時間の間、活性化されてもよく、これはユーザーの体験の多様性を大きく増大させる。
【0065】
スリーブ部分31および底部分32の独立した加熱を容易にするために、特にスリーブ部分31と底部分32の間の熱干渉を防止するために、加熱チャンバ30は、スリーブ部分31と底部分32の間に配設された断熱性のリング33を備える。
【0066】
図1で分かる通り、加熱チャンバ30のスリーブ部分31、底部分32、および絶縁リング33を含む加熱組立品10だけでなく、コントローラ13、14、15および電源16は、エアロゾル発生装置10のハウジング11内に配設されている。ハウジング11内で、装置10は加熱組立品10の周辺に断熱性の材料17をさらに備え、これはユーザーが装置10を保持する時に、やけどすることを有利に防止する。
【0067】
図1でさらに分かる通り、装置10は、装置ハウジング11の中の側方の空気吸込み口18から底部分32の開口38を通って加熱チャンバ30の内側空間の中に延びる空気経路を備える。そこから、空気経路は、物品60を通して遠位先端部分63を経由して、物品60の近位端65にあるフィルタープラグ64までのその長さの延長部にすべて沿って続く。上記で説明の通り、本実施形態の物品を通る空気経路は主に、物品60の中心を通って延び、特に管状の周辺部分61よりも低い引き出し抵抗を提供するコア部分62を通って延びる。
【0068】
使用時に、ユーザーは、ボタン(図1に図示せず)を押して、複数の異なる加熱配列または動作モードから特定の加熱シーケンスを選択して起動することができる。ユーザーによって選択される特定の加熱シーケンスに依存して、コントローラ14、15は、スリーブ部分31および底部分32内にそれぞれの交流電磁場を発生するように、高周波振動電流を第一の誘導コイル45および/または第二の誘導コイル46に提供する。結果として、スリーブ部分31および/または底部分32は、スリーブ部分31および底部分32それぞれの材料の磁気的特性および電気的特性に依存して、それぞれの交流電磁場によって誘起される渦電流および/またはヒステリシス損失に起因して加熱される。スリーブ部分31および/または底部分32は、第一の加熱温度または第二の加熱温度に達するまで加熱される。これらの温度は、管状の周辺部分61、コア部分62、および遠位先端部分64内の関連付けられた第一、第二、または第三のエアロゾル形成基体の特定のエアロゾル放出温度に関して選ばれる。ある特定の加熱時間の後、ユーザーはマウスピースとして機能するフィルタープラグ64を吸煙して、空気を空気吸込み口18を通して加熱チャンバ13の中に引き出し、そしてさらに物品60を通してユーザーの口の中に引き出してもよい。特定の加熱シーケンスおよび選択されたシーケンス内の特定の時点に依存して、管状の周辺部分61、コア部分62、および/または遠位先端部分64から放出された気化されたエアロゾル形成材料は、コア部分62の中の中央空気経路に実質的に沿って物品60の近位端65に向かって、遠位先端部分64から流れる空気内に同伴される。この過程で、気化されたエアロゾル形成材料は冷却されて、フィルタープラグ64を通してユーザーの口の中に漏れ出る前にエアロゾルを形成する。
【0069】
特定の加熱シーケンスに依存して、コントローラ14、15は、第一のヒーター41および第二のヒーター42に所定の時間にて、かつ所定の持続時間の間、電力を供給する。例えば、特定の加熱シーケンスは、エアロゾル発生物品60内の異なる風味専用の異なる基体部分71、72、73の逐次的な加熱を提供してもよい。別の加熱シーケンスは、エアロゾル発生物品60内の異なる基体部分61、62、63の、異なる強度(経時的に変化させることが可能)での加熱を提供してもよい。また別の加熱シーケンスは、エアロゾル発生物品60内の異なる基体部分61、62、63の加熱を異なる温度にて提供してもよく、異なる基体部分61、62、63は同じエアロゾル形成基体、または異なるエアロゾル形成基体71、72、73のいずれを含んでもよい。
【0070】
その上、エアロゾル発生装置10が、ユーザーまたは装置の供給者によってカスタマイズされた、加熱シーケンスの修正のために構成されることが可能であってもよい。加熱シーケンスは、例えばコントローラ13、14、15と動作可能に連結されている装置にあるユーザーインターフェースによって修正されてもよく、および/またはパーソナルコンピュータまたは携帯電話(例えば、スマートフォン)などの外部装置を使用して、無線接続もしくは有線接続によって遠隔で修正されてもよい。
【0071】
図2は、本発明の第二の実施形態による電気加熱組立品120を備えるエアロゾル発生システム101を概略的に図示する。図2に示すシステム101は、図1に示すシステム1に(特にエアロゾル発生物品60、160およびエアロゾル発生装置10、110に関して)非常に類似している。エアロゾル発生物品60、160は同一でさえある。従って、同様または同一の特徴は、図1と同一の参照符号に100を加えた参照符号で示されている。なお、図1によるエアロゾル発生装置10とは対照的に、図2による装置110は、装置ハウジングの周囲に側方の空気吸込み口を備えない。その代わりに、加熱チャンバ130のスリーブ部分131と、底部分132と、断熱性のリング133とは、加熱チャンバ130の近位端135から底部分132に延びるそれぞれの内表面に、およびさらに底部分の内側に沿って、複数のスロットまたは溝を備えてもよく、これによって、加熱チャンバ130の近位端135と、加熱チャンバ130の中に挿入されている物品160の遠位先端163に面する底部分132の内側との間に、複数の気流通路を提供する。その結果、ユーザーが物品160のフィルタープラグ164を吸煙する時に、周囲空気は加熱チャンバ130の近位端135にて中に引き込まれ、さらに複数のスロットまたは溝に沿って、物品160の遠位先端163の中に移動する。複数のスロットまたは溝に沿って通る時に、周囲空気は、それ故にスリーブ部分132と、エアロゾル形成に有益に影響を与える底部分132とによって予熱される。
図1
図2