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特許7399892車両制御方法および装置、電子機器、コンピュータ可読記憶媒体並びにコンピュータプログラム
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  • 特許-車両制御方法および装置、電子機器、コンピュータ可読記憶媒体並びにコンピュータプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】車両制御方法および装置、電子機器、コンピュータ可読記憶媒体並びにコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/08 20200101AFI20231211BHJP
   B60W 50/06 20060101ALI20231211BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
B60W50/08
B60W50/06
G08G1/09 V
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020568681
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 CN2019112779
(87)【国際公開番号】W WO2020147362
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2020-12-22
(31)【優先権主張番号】201910041443.8
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】321009845
【氏名又は名称】アポロ インテリジェント ドライビング テクノロジー(ペキン)カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クー、チンヤン
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/087828(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/038931(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108428357(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に関連付けられた運転補助指令を受信するステップと、
前記車両に発生した感知すべき状況に関連付けられた、運転補助ユーザに前記感知すべき状況を知覚させるための模擬感知操作を確定して実行するステップであって、前記感知すべき状況は、少なくとも単位時間当たりの前記車両の異常変位を含む、ステップと、
前記車両が補助制御指令を実行して前記車両を制御するために前記車両に補助制御指令を送信するステップであって、前記補助制御指令は運転補助ユーザが運転補助ユーザに提示された前記車両の走行環境情報および前記模擬感知操作に基づいて模擬運転操作を行うことにより生成される、ステップと、
を含むことを特徴とする、車両制御方法。
【請求項2】
受信された車両に関連付けられた運転補助指令は、前記車両から送信された運転補助指令、前記運転補助ユーザによって入力された運転補助指令のいずれか一方であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
受信された車両に関連付けられた運転補助指令は、前記車両から送信された運転補助指令であって、前記車両の運転者が運転補助の必要がある状況に運転補助を指示する操作を行うことにより生成されたものであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記運転補助の必要がある状況は、駐車状況、運転者疲労状況のいずれか一方であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
受信された車両に関連付けられた運転補助指令は、前記車両から送信された運転補助指令であって、前記車両によって車両が複雑な走行環境にあることが検出されたことにより生成されたものであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
受信された車両に関連付けられた運転補助指令は、前記車両から送信された運転補助指令であって、少なくとも一部の道路オブジェクトが高精度地図にマーク付けられていないリスク領域を前記車両が走行していることにより生成されたものであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
車両に関連付けられた運転補助指令を受信するように構成された指令受信ユニットと、
前記車両に発生した感知すべき状況に関連付けられた、運転補助ユーザに前記感知すべき状況を知覚させるための模擬感知操作を確定して実行するように構成された感知模擬ユニットであって、前記感知すべき状況は、少なくとも単位時間当たりの前記車両の異常変位を含む、感知模擬ユニットと、
前記車両が助制御指令を実行して前記車両を制御するために、前記車両に前記補助制御指令を送信するように構成された運転補助ユニットであって、前記補助制御指令は運転補助ユーザが運転補助ユーザに提示された前記車両の走行環境情報および前記模擬感知操作に基づいて模擬運転操作を行うことにより生成される、運転補助ユニットと、を含むことを特徴とする、車両制御装置。
【請求項8】
受信された車両に関連付けられた運転補助指令は、前記車両から送信された運転補助指令、前記運転補助ユーザによって入力された運転補助指令のいずれか一方であることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
受信された車両に関連付けられた運転補助指令は、前記車両から送信された運転補助指令であって、前記車両の運転者が運転補助の必要がある状況に運転補助を指示する操作を行うことにより生成されたものであることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記運転補助の必要がある状況は、駐車状況、運転者疲労状況のいずれか一方であることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
受信された車両に関連付けられた運転補助指令は、前記車両から送信された運転補助指令であって、前記車両によって車両が複雑な走行環境にあることが検出されたことにより生成されたものであることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
受信された車両に関連付けられた運転補助指令は、前記車両から送信された運転補助指令であって、少なくとも一部の道路オブジェクトが高精度地図にマーク付けられていないリスク領域を前記車両が走行していることにより生成されたものであることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
1つまたは複数のプロセッサと、1つまたは複数のプログラムを記憶するための記憶装置と、を含む電子機器であって、
前記1つまたは複数のプログラムが前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記1つまたは複数のプロセッサが請求項1~6のいずれか一項に記載の方法を実施することを特徴とする電子機器。
【請求項14】
コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムはプロセッサによって実行されると、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法を実施することを特徴とする、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
コンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されると、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法を実現するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2019年01月16日に出願された、出願番号が201910041443.8、発明名称が「車両制御方法および装置」の中国特許出願の優先権を要求し、この出願の全文は引用の形で本出願に組み込まれている。
【0002】
本出願は車両分野に関し、具体的には車両制御分野に関し、特に車両制御方法および装置、電子機器、コンピュータ可読記憶媒体並びにコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、画像認識のようなコンピュータ技術が車両に広く応用されるにつれて、車両の環境感知能力が向上している。しかしながら、車両の環境感知能力は限られており、例えば複雑な走行環境を有する領域を走行する場合、車両自身の環境感知能力によって走行すると、複雑な走行環境を有する領域を車両が通過できない場合や事故が発生する恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願の実施形態は、車両制御方法および装置、電子機器、コンピュータ可読記憶媒体並びにコンピュータプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、本出願の実施形態は、車両制御方法であって、車両に関連付けられた運転補助指令を受信するステップと、前記車両が補助制御指令を実行して前記車両を制御するために前記車両に補助制御指令を送信するステップであって、前記補助制御指令は運転補助ユーザが運転補助ユーザに提示された前記車両の走行環境情報に基づいて模擬運転操作を行うことにより生成される、ステップと、を含む車両制御方法を提供する。
【0006】
第2の態様によれば、本出願の実施形態は、車両制御装置であって、車両に関連付けられた運転補助指令を受信するように構成された指令受信ユニットと、前記車両が前記補助制御指令を実行して前記車両を制御するために、前記車両に補助制御指令を送信するように構成された運転補助ユニットであって、前記補助制御指令は運転補助ユーザが運転補助ユーザに提示された前記車両の走行環境情報に基づいて模擬運転操作を行うことにより生成される、運転補助ユニットと、を含むことを特徴とする車両制御装置を提供する。
第3の態様によれば、本出願の実施形態は、1つ又は複数のプロセッサと、1つ又は複数のプログラムを記憶するためのメモリとを備える電子機器であって、前記1つ又は複数のプログラムが前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、前記1つ又は複数のプロセッサに第1の態様に記載の方法を実現させる電子機器を提供する。
第4の態様によれば、本出願の実施形態は、コンピュータプログラムが格納されているコンピュータ可読記憶媒体であって、該プログラムがプロセッサによって実行されると、第1の態様に記載の方法を実現するコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
第5の態様によれば、本出願の実施形態は、コンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されると、第1の態様に記載の方法を実現するコンピュータプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本出願の実施形態によって提供される車両制御方法および装置、電子機器、コンピュータ可読記憶媒体並びにコンピュータプログラムは、車両に関連付けられた運転補助指令を受信するステップと、車両が補助制御指令を実行して車両を制御するように、運転補助ユーザが運転補助ユーザに提示された車両の走行環境情報に基づいて模擬運転操作を行うことにより生成された補助制御指令を車両に送信するステップと、を行うことにより、遠隔制御側の運転補助ユーザが車両の所在環境を示す走行環境情報に基づいて模擬運転操作を行い、補助制御指令を生成することで車両の運転補助を行い、車両運転の利便性の向上と車両運転の安全性の向上を実現した。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下の図面を参照して行われた非限定的な実施形態の詳細な説明を読むことによって、本出願の他の特徴、目的、および利点は、より明らかになるであろう。
図1図1は本出願に係る車両制御方法を適用することができる例示的なシステムアーキテクチャを示す図である。
図2図2は本出願に係る車両制御方法の一実施形態を示すフローチャートである。
図3図3は本出願に係る車両制御方法の一例を示す例示的なフローチャートである。
図4図4は本出願に係る車両制御装置の一実施形態を示す例示的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本出願について、添付の図面および実施形態に関連してさらに詳細に説明する。本明細書に記載された特定の実施形態は、本出願の限定ではなく、関連する発明を説明するためにのみ使用されることを理解されたい。さらに、説明を容易にするために、図面には、関連する発明に関連する部分のみが示されている。
【0010】
なお、本出願における実施形態および実施形態における特徴は、衝突することなく、互いに組み合わせられることができる。以下、本開示について、図面を参照し、実施形態を踏まえて詳細に説明する。
【0011】
図1は、本出願に係る車両制御方法を適用することができる例示的なシステムアーキテクチャを示す図である。
【0012】
図1に示すように、システムアーキテクチャは、車両101、遠隔制御側のサーバ102、遠隔制御側の模擬運転装置103を含むことができる。車両101は、自律運転能力を有する自動運転車両であり得る。遠隔制御側の模擬運転操作によって車両101の運転補助を行う人は、運転補助ユーザと呼ばれることができる。
【0013】
遠隔制御側の模擬運転装置103は、模擬運転部、ディスプレイ等を備える。模擬運転部には、ハンドル、ペダル等が含まれる。
【0014】
車両101は、カメラ、レーザレーダ、ミリ波レーダを含むことができるが、これらに限定されないセンサの組み合わせを備える。車両101は、取得された道路状況画像、検出された障害物の属性等の走行環境情報を遠隔制御側のサーバ102に送信することができる。遠隔制御側のサーバ102は、走行環境情報を遠隔制御側の模擬運転装置103に送信することができる。模擬運転装置103のディスプレイにおいては、道路状況画像、検出された障害物の属性等が運転補助ユーザに提示される。
【0015】
遠隔制御側の運転補助ユーザは、運転補助ユーザに提示された走行環境情報に基づいて、模擬運転部に対して模擬運転操作を行い、模擬運転操作に対応する補助制御指令を生成する。生成された補助制御指令は、遠隔制御側のサーバ102を介して車両101に送信されることができる。車両101の制御システムは、補助制御指令を実行して車両101を制御する。
【0016】
図2を参照すると、本出願に係る車両制御方法の一実施形態のフローチャートが示されている。この方法は、以下のステップ(ステップ201~202)を含む。
【0017】
ステップ201:車両に関連付けられた運転補助指令を受信する。
【0018】
本実施形態では、車両に関連付けられた運転補助指令は、遠隔制御側の模擬運転装置によって受信されることができる。運転補助指令は、車両が運転補助を必要とする場合に生成されることができる。
【0019】
本実施形態では、車両に関連付けられた運転補助指令は、遠隔制御側の運転補助ユーザによって入力された運転補助指令であり得る。遠隔制御側の運転補助ユーザが、遠隔制御側の運転補助ユーザに提示された車両の走行環境情報に基づいて、車両が運転補助を必要としていると判断した場合に、遠隔制御側の運転補助ユーザは、運転補助指令を入力することができる。遠隔制御側の運転補助ユーザによって入力されることができる運転補助指令は、遠隔制御側の模擬運転装置によって受信されることができる。
【0020】
例えば、車両は車両において生成された走行環境情報をリアルタイムで遠隔制御側のサーバに送信し、遠隔制御側のサーバは走行環境情報を遠隔制御側の模擬運転装置に送信する。車両の走行環境情報は、取得された走行環境画像、車両によって検出された障害物の属性を含むことができるが、これらに限定されない。取得された環境画像には、車両付近の他の車両、歩行者、交通標識等が含まれる。遠隔制御側の模擬運転装置において遠隔制御側の運転補助ユーザに走行環境情報を提示することにより、遠隔制御側の運転補助ユーザは、車両の現在の所在環境を知ることができる。遠隔制御側の運転補助ユーザが遠隔制御側に提示された運転補助ユーザの走行環境情報に基づいて、車両が複雑な環境にあり運転補助を必要としていることを発見した場合、遠隔制御側の運転補助ユーザは、運転補助指令を入力することができる。例えば、車両が複雑な走行環境にある場合、車両は運転決定を行うことができず、走行を停止したり、道路の複雑な領域を長時間通過できない可能性がある。この場合、遠隔制御側の運転補助ユーザは、運転補助ユーザに提示された車両の走行環境情報に基づいて、走行を停止したり、道路の複雑な領域を長時間通過できない状態が車両に発生したと判断することができる。遠隔制御側の運転補助ユーザは運転補助指令を入力することができる。遠隔制御側の運転補助ユーザによって入力されるこができる運転補助指令は、遠隔制御側の模擬運転装置によって受信されることができる。
【0021】
本実施形態では、車両に関連付けられた運転補助指令は、車両において生成された、車両によって送信された運転補助指令であってもよい。例えば、車両が複雑な走行環境にある場合、車両の運転者は、端末における自動運転車両とインタラクションを行うためのアプリケーションの画面中の運転補助要求ボタンをクリックし、運転補助ユーザに模擬運転操作を行って車両の運転者による駐車を補助するよう要求することができる。車両の運転者がボタンをクリックした後、運転補助指令が生成され、車両が運転補助指令を遠隔制御側のサーバに送信し、遠隔制御側のサーバが車両によって送信された運転補助指令を遠隔制御側の模擬運転装置に送信する。
【0022】
ステップ202:補助制御指令を車両に送信する。
【0023】
本実施形態では、補助制御指令は、運転補助ユーザが運転補助ユーザに提示された車両の走行環境情報に基づいて模擬運転操作を行うことにより生成される。模擬運転操作により生成された、車両によって実行されることができる制御指令は、補助制御指令と呼ばれることができる。遠隔制御側の模擬運転装置は、車両に関連付けられた運転補助指令を受信した後、ハンドル、ペダル等の模擬運転部を動作状態に設定することができる。遠隔制御側の運転補助ユーザは、模擬運転部を操作することにより模擬運転操作を行うことができ、遠隔制御側の模擬運転装置は模擬運転操作に対応する模擬制御指令を生成することができる。
【0024】
本実施形態では、遠隔制御側の運転補助ユーザによるハンドル回転、ペダル踏み込み等の模擬運転操作により生成された模擬制御指令と、車両の制御システムによって出力された制御指令との対応関係を予め確立しておくことができる。遠隔制御側の模擬運転装置によって模擬運転操作に対応する模擬制御指令が生成された後、予め確立された模擬制御指令と車両の制御システムによって出力された制御指令との対応関係に基づいて、模擬運転操作に対応する模擬制御指令を、対応する車両が実行可能な制御指令に変換することができる。
【0025】
本実施形態では、遠隔制御側の模擬運転装置は、車両の制御部と同様の模擬運転部を備えることができる。これにより、運転補助ユーザが模擬運転装置を利用して模擬運転操作を行う場合、生成された模擬運転操作に対応する模擬制御指令は、車両の対応する制御部によって直接実行可能な制御指令となる。すなわち、生成された模擬運転操作に対応する模擬制御指令を直接補助制御指令とすることができる。
【0026】
本実施形態では、遠隔制御側の模擬運転装置によって補助制御指令が生成された後、遠隔制御側の模擬運転装置は補助制御指令を遠隔制御側のサーバに送信し、そして遠隔制御側のサーバは補助制御指令を車両に送信することができる。これにより、車両は、補助制御指令を受信した後、補助制御指令を実行し、車両の運転補助を実現することができる。
【0027】
本実施形態では、遠隔制御側の模擬運転装置において遠隔制御側の運転補助ユーザに走行環境情報を提示することができ、遠隔制御側の運転補助ユーザは車両の現在の所在環境を知ることができる。遠隔制御側の運転補助ユーザは、知り得た車両の現在の所在環境に応じて、模擬運転部を操作してハンドル回転、ペダル踏み込み等の模擬運転操作を行うことで、補助制御指令を生成することができる。生成された補助制御指令が車両に送信され、車両が補助制御指令を実行する。これにより、現在の遠隔制御側の運転補助ユーザが車両内にいて車両を運転していることに相当することができる。
【0028】
本実施形態のいくつかのオプションの実施形態では、運転補助指令は、車両が複雑な走行環境にあることが車両によって検出されたことにより生成されることができる。車両が複雑な走行環境にある場合、車両は車両の走行環境情報に基づいて、車両が複雑な走行環境にあることを検出することができる。車両は運転補助指令を生成し、車両は運転補助指令を遠隔制御側のサーバに送信し、その後、遠隔制御側のサーバは車両によって送信された運転補助指令を遠隔制御側の模擬運転装置に送信することができる。遠隔制御側の模擬運転装置は、車両に関連付けられた運転補助指令を受信した後、ハンドル、ペダル等の模擬運転部を動作状態に設定することができる。
【0029】
本実施形態のいくつかのオプションの実施形態では、車両に関連付けられた運転補助指令は、車両の運転者が駐車状況、疲労状態等の状況で運転補助を指示する操作を行うことにより生成されることができる。
【0030】
車両の運転者は車両を運転してある場所まで走行して運転補助による駐車を必要とする場合、端末における自動運転車両とインタラクションを行うためのアプリケーションの画面中の運転補助要求ボタンをクリックするという車両の運転者による運転補助指示操作を行い、運転補助ユーザに模擬運転操作を行って車両を駐車スペースまで走行して駐車させるように制御をするよう要求することができる。車両の運転者がボタンをクリックした後、運転補助指令が生成され、車両が運転補助指令を遠隔制御側のサーバに送信し、その後、遠隔制御側のサーバが車両から送信された運転補助指令を遠隔制御側の模擬運転装置に送信し、遠隔制御側の模擬運転装置は、車両に関連付けられた運転補助指令を受信した後、ハンドル、ペダル等の模擬運転部を動作状態に設定することができる。
【0031】
車両の運転者は疲労状態で運転補助を必要とする場合、端末における自動運転車両とインタラクションを行うためのアプリケーションの画面における運転補助要求ボタンをクリックするという車両の運転者による運転補助指示操作を行い、運転補助ユーザに模擬運転操作を行って車両を引き続き走行させる制御をするよう要求することができる。車両の運転者がボタンをクリックした後、運転補助指令が生成され、車両が運転補助指令を遠隔制御側のサーバに送信し、その後、遠隔制御側のサーバが車両によって送信された運転補助指令を遠隔制御側の模擬運転装置に送信し、遠隔制御側の模擬運転装置は、車両に関連付けられた運転補助指令を受信した後、ハンドル、ペダル等の模擬運転部を動作状態に設定することができる。
【0032】
本実施形態のいくつかのオプションの実施形態では、運転補助指令は、車両が、道路オブジェクトの少なくとも一部が高精度地図にマーク付けられていないリスク領域を走行していることにより生成されることができる。高精度地図には、車線、横断歩道、停止線、案内線、交通標識等の道路オブジェクトや道路オブジェクトの注釈データが含まれる。車線、横断歩道、停止線、案内線の注釈データはいずれも、パラメータ方程式、角点の世界座標系での座標を含む。道路オブジェクトのうちの少なくとも一部の道路オブジェクトが高精度地図にマーク付けられていない領域、すなわち、道路オブジェクトの少なくとも一部が高精度地図に注釈データを有していない領域は、リスク領域と呼ばれることができる。
【0033】
例えば、車両は高精度地図に基づいて1つの園区内を走行し、その園区の高精度地図では予めその園区内のいくつかの地域内の道路オブジェクトをマーク付けしておき、マーク付けられた道路オブジェクトはすべて注釈データを持つ。車両が1つの領域まで走行すると、取得された道路状況画像を画像認識することにより、その領域内の複数の道路オブジェクトを検出し、かつその検出された複数の道路オブジェクトが高精度地図に注釈データを有しないと判断した場合、検出された複数の道路オブジェクトが高精度地図にマーク付けられていないことが確定され、車両がリスク領域まで走行すると、車両は運転補助指令を生成し、車両が運転補助指令を遠隔制御側のサーバに送信し、その後、遠隔制御側のサーバが車両によって送信された運転補助指令を遠隔制御側の模擬運転装置に送信し、遠隔制御側の模擬運転装置は、車両に関連付けられた運転補助指令を受信した後、ハンドル、ペダル等の模擬運転部を動作状態に設定することができる。
【0034】
本実施形態のいくつかのオプションの実施形態では、車両は車両の走行中における振動、スリップ等の感知すべき状況が発生したか否かを検出することができる。車両が走行中に振動、スリップ等の感知すべき状況が発生した場合、車両は車両に発生した感知すべき状況の識別子を遠隔制御側のサーバに送信し、遠隔制御側のサーバはそれを模擬運転装置に送信することができる。模擬運転装置は、車両に発生した感知すべき状況に関連付けられた、運転補助ユーザに車両に発生した感知すべき状況を知覚させるための模擬感知操作を確定することができる。その後、模擬感知操作を実行することにより、車両に発生した感知すべき状況を運転補助ユーザに知覚させる。例えば、車両に振動が発生した場合、確定された模擬感知操作は、模擬運転装置における運転補助ユーザのシートに振動状態をシミュレートさせることを含み、模擬感知操作を実行することにより、車両に発生した振動状態を運転補助ユーザに知覚させる。
【0035】
図3を参照すると、本出願に係る車両制御方法の例示的なフローチャートが示されている。
【0036】
車両の運転者は車両を運転してある場所まで走行して運転補助による駐車を必要とする場合、端末における自動運転車両とインタラクションを行うためのアプリケーションの画面中の運転補助要求ボタンをクリックするという車両の運転者による運転補助指示操作を行い、運転補助ユーザに模擬運転操作を行って車両を駐車スペースまで走行して駐車させる制御をするよう要求することができる。車両の運転者がボタンをクリックした後、運転補助指令が生成され、車両が運転補助指令を遠隔制御側のサーバに送信し、その後、遠隔制御側のサーバが車両によって送信された運転補助指令を遠隔制御側の模擬運転装置に送信し、遠隔制御側の模擬運転装置は、車両に関連付けられた運転補助指令を受信した後、ハンドル、ペダル等の模擬運転部を動作状態に設定することができる。遠隔制御側の運転補助ユーザは、模擬運転装置における模擬運転部を操作することにより、車両を駐車スペースまで走行して駐車させる制御に関連付けられた一連の模擬運転操作を行うことができ、それに対応して、模擬運転装置において車両を駐車スペースまで走行して駐車させるための一連の補助制御指令を生成することができる。遠隔制御側の模擬運転装置は車両を駐車スペースまで走行して駐車させるための一連の補助制御指令を遠隔制御側のサーバに送信し、遠隔制御側のサーバは車両を駐車スペースまで走行して駐車させるための一連の補助制御指令を車両に送信し、車両は一連の補助制御指令を受信した後、一連の補助制御指令を実行することにより、車両を駐車スペースまで走行して駐車させることで、車両の運転補助を実現することができる。
【0037】
図4を参照すると、本出願では、上述した各図に示す方法の実装として、図2に示す方法の実施形態に対応する車両制御装置の一実施形態を提供する。
【0038】
図4に示すように、本実施形態に係る車両制御装置は、車両に関連付けられた運転補助指令を受信するように構成された指令受信ユニット401と、前記車両が補助制御指令を実行して前記車両を制御するように、運転補助ユーザが運転補助ユーザに提示された前記車両の走行環境情報に基づいて模擬運転操作を行うことにより生成された補助制御指令を前記車両に送信するように構成された運転補助ユニット402と、を含む。
【0039】
本実施形態のいくつかのオプションの実施形態では、受信された車両に関連付けられた運転補助指令は、前記車両によって送信された運転補助指令、前記運転補助ユーザによって入力された運転補助指令のいずれか一方である。
【0040】
本実施形態のいくつかのオプションの実装では、車両制御装置は、前記車両に発生した感知すべき状況に関連付けられた、前記運転補助ユーザに前記車両に発生した感知すべき状況を感知させるための模擬感知操作を確定し、前記模擬感知操作を実行するように構成された感知模擬ユニットをさらに含む。
【0041】
本実施形態のいくつかのオプションの実施形態では、受信された車両に関連付けられた運転補助指令は、前記車両の運転者が運転補助の必要がある状況で運転補助指示操作を行うことにより生成された、前記車両によって送信された運転補助指令である。
【0042】
本実施形態のいくつかのオプションの実施形態では、前記運転補助の必要がある状況は、駐車状況、運転者疲労状況のいずれか一方である。
【0043】
本実施形態のいくつかのオプションの実施形態では、受信された車両に関連付けられた運転補助指令は、前記車両によって車両が複雑な走行環境にあることが検出されたことにより生成された、前記車両によって送信された運転補助指令である。
【0044】
本実施形態のいくつかのオプションの実施形態では、受信された車両に関連付けられた運転補助指令は、道路オブジェクトの少なくとも一部が高精度地図にマーク付けられていないリスク領域を前記車両が走行していることにより生成された、前記車両によって送信された運転補助指令である。
【0045】
本出願はまた、1つまたは複数のプロセッサと、1つまたは複数のプログラムを記憶する記憶装置と、を含む電子機器を提供する。1つまたは複数のプログラムには上述した実施形態に説明された操作を実行するための指令が含まれ得る。1つまたは複数のプログラムが1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、1つまたは複数のプロセッサが上述した実施形態に説明された操作の指令を実行する。
【0046】
本出願はまた、電子機器に含まれてもよく、電子機器に組み込まれず独立してもよいコンピュータ可読媒体を提供する。上述したコンピュータ可読媒体にはコンピュータプログラムが記憶されており、1つまたは複数のプログラムが電子機器によって実行されると、電子機器が上述した実施形態に説明された動作の指令を実行する。
【0047】
なお、本出願のコンピュータ可読媒体はコンピュータ可読信号媒体であってもよく、コンピュータ可読記憶媒体であってもよく、これらの任意の組み合わせであってもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電気的、磁気的、光学的、電磁的、赤外線の、または半導体のシステム、デバイスもしくは部品、または上述した任意の組み合わせであり得るが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例は、1つまたは複数のワイヤを有する電気的接続、携帯型コンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバ、携帯型コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、光記憶装置、磁気記憶装置、および上述した任意の適切な組合せを含むが、これらに限定されない。本出願では、コンピュータ可読記憶媒体は、指令実行システム、デバイスもしくは部品によって使用されるか、またはそれらと組み合わせて使用することができるプログラムを含むまたは記憶する任意の有形媒体であり得る。一方、本出願では、コンピュータ可読信号媒体は、ベースバンドにおいてまたはキャリアの一部として伝播される、コンピュータ可読プログラムコードが記憶されたデータ信号を含むことができる。このように伝播されるデータ信号は、電磁信号、光信号、または上述した任意の適切な組み合わせを含むがこれらに限定されない様々な形態をとることができる。コンピュータ可読信号媒体は、指令実行システム、デバイスもしくは部品によって使用されるか、またはそれらと組み合わせて使用するためのプログラムを送信、伝播、または伝送することができるコンピュータ可読記憶媒体以外の任意のコンピュータ可読媒体であり得る。コンピュータ可読媒体に含まれるプログラムコードは、無線、電線、光ケーブル、RFなど、または上述した任意の適切な組み合わせを含むがこれらに限定されない任意の適切な媒体で送信されることが可能である。
【0048】
添付の図面におけるフローチャートおよびブロック図は、本出願の様々な実施形態に係るシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品の実装可能なアーキテクチャ、機能、および動作を示す。これに関しては、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、所定の論理機能を実装するための1つまたは複数の実行可能な指令を含むモジュール、セグメント、またはコードの一部を表すことができる。なお、代替としてのいくつかの実装では、ブロックに示された機能は、図面に示されたものとは異なる順序で行われることも可能である。例えば、連続して表される2つのブロックは、実際にほぼ並列に実行されてもよく、関連する機能によっては逆の順序で実行されてもよい。なお、ブロック図および/またはフローチャートの各ブロック、ならびにブロック図および/またはフローチャート内のブロックの組み合わせは、所定の機能または動作を実行する専用のハードウェアベースのシステムで実装されてもよいし、専用のハードウェアとコンピュータ指令との組み合わせで実装されてもよい。
【0049】
上述した説明は、あくまでも本出願の好ましい実施形態および応用技術原理の説明にすぎない。当業者であれば、本出願に係る発明の範囲は、上述した技術的特徴の特定の組み合わせによって形成された技術的解決手段に限定されず、上述した発明の構想から逸脱しない範囲で上述した技術的特徴またはその同等の技術的特徴の任意の組み合せによって形成されたその他の技術的解決手段、例えば、上述した特徴と本出願に開示された同様の機能を有する技術的特徴(それだけに限定されない)とが相互に代替することによって形成された技術的解決手段もカバーしていることを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4