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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】通気部品及び通気構造
(51)【国際特許分類】
   F16K 15/14 20060101AFI20231211BHJP
【FI】
F16K15/14 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020569585
(86)(22)【出願日】2020-01-24
(86)【国際出願番号】 JP2020002560
(87)【国際公開番号】W WO2020158612
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2019013267
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100163463
【弁理士】
【氏名又は名称】西尾 光彦
(72)【発明者】
【氏名】仲山 雄介
(72)【発明者】
【氏名】矢野 陽三
(72)【発明者】
【氏名】笠置 智之
(72)【発明者】
【氏名】宮垣 晶
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/199238(WO,A1)
【文献】特開2018-181329(JP,A)
【文献】特開平10-299922(JP,A)
【文献】実開昭51-135827(JP,U)
【文献】特開2006-266414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力解放弁付きの通気部品であって、
エラストマーを含み、傘布状に形成された弁体部と、
前記弁体部の法線方向に筒状に延びており、前記弁体部を支持する軸部と、
前記軸部及び前記弁体部の少なくとも1つを前記弁体部の法線方向に貫通する通気路と、
前記通気路を通気可能に塞いでいる、厚み方向に気体が通過可能な通気膜と、を備え、
当該通気部品は、内部空間と外部空間とを連通させる開口を有する筐体に固定されて使用され、
前記筐体は、前記開口として、前記軸部を挿入可能な内径を有する軸部用開口と、前記軸部用開口の周辺に位置する周辺開口とを有し、
前記軸部用開口に前記軸部が挿入されて当該通気部品が前記筐体に固定された固定状態において、前記弁体部が前記周辺開口を覆うとともに前記弁体部の外周部分が前記筐体の外面に接触して前記周辺開口を通過する気体の流れを遮断し、前記通気膜を通じて前記内部空間と前記外部空間との間で通気がなされ、
前記固定状態において、前記筐体の内部空間の圧力から前記筐体の外部空間の圧力を差し引いた圧力差が所定値以上であるときに、前記弁体部が弾性変形して前記外面から離れ、前記内部空間の圧力が解放され、
前記弁体部及び前記軸部は一体的に形成されている、
通気部品。
【請求項2】
圧力解放弁付きの通気部品と、
内部空間と外部空間とを連通させる開口を有する筐体と、を備え、
前記通気部品は、
エラストマーを含み、傘布状に形成された弁体部と、
前記弁体部の法線方向に筒状に延びており、前記弁体部を支持する軸部と、
前記軸部及び前記弁体部の少なくとも1つを前記弁体部の法線方向に貫通する通気路と、
前記通気路を通気可能に塞いでいる、厚み方向に気体が通過可能な通気膜と、を備え、
前記通気部品は、前記筐体に固定されて使用され、
前記筐体は、前記開口として、前記軸部を挿入可能な内径を有する軸部用開口と、前記軸部用開口の周辺に位置する周辺開口とを有し、
前記軸部用開口に前記軸部が挿入されて前記通気部品が前記筐体に固定された固定状態において、前記弁体部が前記周辺開口を覆うとともに前記弁体部の外周部分が前記筐体の外面に接触して前記周辺開口を通過する気体の流れを遮断し、前記通気膜を通じて前記内部空間と前記外部空間との間で通気がなされ、
前記固定状態において、前記筐体の内部空間の圧力から前記筐体の外部空間の圧力を差し引いた圧力差が所定値以上であるときに、前記弁体部が弾性変形して前記外面から離れ、前記内部空間の圧力が解放され、
前記通気部品は、前記弁体部の法線方向に沿って前記筐体の外面に向かって前記通気部品を平面視したときに、前記軸部の周囲において前記弁体部を覆い、前記軸部と垂直に交わっているフランジを備え、前記軸部用開口及び前記周辺開口が同一平面をなすように形成された前記筐体に対して固定可能であり、前記弁体部は、前記フランジの両端の間において一定の厚みを有する、
通気構造
【請求項3】
記通気路は前記軸部とともに前記フランジを貫通している、請求項に記載の通気構造
【請求項4】
前記通気部品は、前記弁体部と前記軸部とが組み付けられて形成されている、又は、前記弁体部と前記軸部及び前記フランジを有する部品とが組み付けられて形成されている、
請求項又はに記載の通気構造
【請求項5】
前記弁体部は、前記固定状態において、前記軸部の周囲で前記筐体の前記外面と接触する平面を有し、
前記フランジは、前記固定状態において、前記弁体部の前記平面を前記筐体の前記外面とともに挟持する、請求項又はに記載の通気構造
【請求項6】
前記軸部は、前記固定状態において、前記筐体の内面に係止される係止部を有する、請求項1に記載の通気部品。
【請求項7】
前記軸部は、前記固定状態において、前記筐体の内面に係止される係止部を有する、請求項2~5のいずれか1項に記載の通気構造。
【請求項8】
前記通気膜を覆うとともに、前記通気膜との間に当該通気部品の外部と連通する空間を形成するカバーをさらに備える、請求項1に記載の通気部品。
【請求項9】
前記通気膜を覆うとともに、前記通気膜との間に前記通気部品の外部と連通する空間を形成するカバーをさらに備える、請求項2~5のいずれか1項に記載の通気構造。
【請求項10】
圧力解放弁付きの通気部品であって、
エラストマーを含み、傘布状であるとともに平面視において中心に貫通孔を有する環状の弁体部と、
エラストマーを含み、軸方向に貫通する通気路を有する筒状の保持部と、
前記通気路を通気可能に塞いでいる、厚み方向に気体が通過可能な通気膜と、を備え、
当該通気部品は、内部空間と外部空間とを連通させる開口を有する筐体に固定されて使用され、
前記筐体は、前記開口として、前記筐体の外部空間側に筒状に突出するとともに前記貫通孔及び前記通気路に挿入可能な外径を有する突出部の縁によって形成された突出開口と、前記突出開口の周辺に位置する周辺開口とを有し、
前記貫通孔に前記突出部の前記縁が挿入された後に前記通気路に前記突出部の縁が挿入されて当該通気部品が前記筐体に固定された固定状態において、前記弁体部が前記周辺開口を覆うとともに前記弁体部の外周部分が前記筐体の外面に接触して前記周辺開口を通過する気体の流れを遮断し、前記通気膜を通じて前記内部空間と前記外部空間との間で通気がなされ、
前記固定状態において、前記筐体の内部空間の圧力から前記筐体の外部空間の圧力を差し引いた圧力差が所定値以上であるときに、前記弁体部が弾性変形して前記外面から離れ、前記内部空間の圧力が解放される、
通気部品。
【請求項11】
前記保持部を挿入可能な内径を有する有底の筒状のカバーをさらに備え、
前記カバーは、前記保持部が挿入されたときに、前記通気膜を覆うとともに前記通気膜との間に当該通気部品の外部と連通する空間を形成する、請求項10に記載の通気部品。
【請求項12】
当該通気部品は、前記弁体部と前記保持部とが組み付けられて形成されている、請求項10又は11に記載の通気部品。
【請求項13】
圧力解放弁付きの通気部品であって、
エラストマーを含み、傘布状に形成された弁体部と、
エラストマーを含み、前記弁体部の法線方向に筒状に延び、前記弁体部を支持する軸部と、
前記軸部を前記弁体部の法線方向に貫通する通気路と、
前記通気路を通気可能に塞いでいる、厚み方向に気体が通過可能な通気膜と、を備え、
当該通気部品は、内部空間と外部空間とを連通させる開口を有する筐体に固定されて使用され、
前記筐体は、前記開口として、前記筐体の外部空間側に筒状に突出するとともに前記通気路に挿入可能な外径を有する突出部の縁によって形成された突出開口と、前記突出開口の周辺に位置する周辺開口とを有し、
前記通気路に前記突出部の縁が挿入されて当該通気部品が前記筐体に固定された固定状態において、前記弁体部が前記周辺開口を覆うとともに前記弁体部の外周部分が前記筐体の外面に接触して前記周辺開口を通過する気体の流れを遮断し、前記通気膜を通じて前記内部空間と前記外部空間との間で通気がなされ、
前記固定状態において、前記筐体の内部空間の圧力から前記筐体の外部空間の圧力を差し引いた圧力差が所定値以上であるときに、前記弁体部が弾性変形して前記外面から離れ、前記内部空間の圧力が解放される、
通気部品。
【請求項14】
前記軸部を挿入可能な内径を有する有底の筒状のカバーをさらに備え、
前記カバーは、前記軸部が挿入されたときに、前記通気膜を覆うとともに前記通気膜との間に当該通気部品の外部と連通する空間を形成する、請求項13に記載の通気部品。
【請求項15】
前記弁体部及び前記軸部が一体的に形成されている、請求項13又は14に記載の通気部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アンブレラバルブと呼ばれる弁が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、逆止弁装置を構成するゴム製のアンブレラバルブが記載されている。このアンブレラバルブは、エアポンプに用いられる。エアポンプにおいて、ハウジングの内部の隔壁に形成された複数の流路孔を塞ぐようにアンブレラバルブが取り付けられている。これにより、逆止弁装置が構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-266414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のアンブレラバルブは、エアポンプにおいて逆止弁装置を構成するためのものである。特許文献1に記載の技術によれば、アンブレラバルブが閉じているときに通気を生じさせることはできない。
【0006】
このような事情に鑑み、本発明は、弁体部が閉じた状態でも筐体の内部空間と外部空間との通気を可能にする圧力開放弁付きの通気部品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
圧力解放弁付きの通気部品であって、
エラストマーを含み、傘布状に形成された弁体部と、
前記弁体部の法線方向に筒状に延びており、前記弁体部を支持する軸部と、
前記軸部及び前記弁体部の少なくとも1つを前記弁体部の法線方向に貫通する通気路と、
前記通気路を通気可能に塞いでいる、厚み方向に気体が通過可能な通気膜と、を備え、
当該通気部品は、内部空間と外部空間とを連通させる開口を有する筐体に固定されて使用され、
前記筐体は、前記開口として、前記軸部を挿入可能な内径を有する軸部用開口と、前記軸部用開口の周辺に位置する周辺開口とを有し、
前記軸部用開口に前記軸部が挿入されて当該通気部品が前記筐体に固定された固定状態において、前記弁体部が前記周辺開口を覆うとともに前記弁体部の外周部分が前記筐体の外面に接触して前記周辺開口を通過する気体の流れを遮断し、前記通気膜を通じて前記内部空間と前記外部空間との間で通気がなされ、
前記固定状態において、前記筐体の内部空間の圧力から前記筐体の外部空間の圧力を差し引いた圧力差が所定値以上であるときに、前記弁体部が弾性変形して前記外面から離れ、前記内部空間の圧力が解放される、
通気部品を提供する。
【0008】
また、本発明は、
圧力解放弁付きの通気部品であって、
エラストマーを含み、傘布状であるとともに平面視において中心に貫通孔を有する環状の弁体部と、
エラストマーを含み、軸方向に貫通する通気路を有する筒状の保持部と、
前記通気路を通気可能に塞いでいる、厚み方向に気体が通過可能な通気膜と、を備え、
当該通気部品は、内部空間と外部空間とを連通させる開口を有する筐体に固定されて使用され、
前記筐体は、前記開口として、前記筐体の外部空間側に筒状に突出するとともに前記貫通孔及び前記通気路に挿入可能な外径を有する突出部の縁によって形成された突出開口と、前記突出開口の周辺に位置する周辺開口とを有し、
前記貫通孔に前記突出部の前記縁が挿入された後に前記通気路に前記突出部の縁が挿入されて当該通気部品が前記筐体に固定された固定状態において、前記弁体部が前記周辺開口を覆うとともに前記弁体部の外周部分が前記筐体の外面に接触して前記周辺開口を通過する気体の流れを遮断し、前記通気膜を通じて前記内部空間と前記外部空間との間で通気がなされ、
前記固定状態において、前記筐体の内部空間の圧力から前記筐体の外部空間の圧力を差し引いた圧力差が所定値以上であるときに、前記弁体部が弾性変形して前記外面から離れ、前記内部空間の圧力が解放される、
通気部品を提供する。
【0009】
さらに、本発明は、
圧力解放弁付きの通気部品であって、
エラストマーを含み、傘布状に形成された弁体部と、
エラストマーを含み、前記弁体部の法線方向に筒状に延び、前記弁体部を支持する軸部と、
前記軸部を前記弁体部の法線方向に貫通する通気路と、
前記通気路を通気可能に塞いでいる、厚み方向に気体が通過可能な通気膜と、を備え、
当該通気部品は、内部空間と外部空間とを連通させる開口を有する筐体に固定されて使用され、
前記筐体は、前記開口として、前記筐体の外部空間側に筒状に突出するとともに前記通気路に挿入可能な外径を有する突出部の縁によって形成された突出開口と、前記突出開口の周辺に位置する周辺開口とを有し、
前記通気路に前記突出部の縁が挿入されて当該通気部品が前記筐体に固定された固定状態において、前記弁体部が前記周辺開口を覆うとともに前記弁体部の外周部分が前記筐体の外面に接触して前記周辺開口を通過する気体の流れを遮断し、前記通気膜を通じて前記内部空間と前記外部空間との間で通気がなされ、
前記固定状態において、前記筐体の内部空間の圧力から前記筐体の外部空間の圧力を差し引いた圧力差が所定値以上であるときに、前記弁体部が弾性変形して前記外面から離れ、前記内部空間の圧力が解放される、
通気部品を提供する。
【発明の効果】
【0010】
上記の通気部品は、弁体部が閉じた状態でも筐体の内部空間と外部空間との通気を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A図1Aは、本発明に係る通気部品の一例を示す斜視図である。
図1B図1Bは、図1Aに示す通気部品の平面図である。
図1C図1Cは、図1BのIC-IC線に沿った通気部品の断面図である。
図2A図2Aは、筐体に取り付けられた通気部品の弁体部が閉じた状態を示す断面図である。
図2B図2Bは、筐体に取り付けられた通気部品の弁体部が開いた状態を示す断面図である。
図3A図3Aは、本発明に係る通気部品の別の一例を示す斜視図である。
図3B図3Bは、図3Aに示す通気部品の平面図である。
図3C図3Cは、図3BのIIIC-IIIC線に沿った通気部品の断面図である。
図4A図4Aは、筐体に取り付けられた通気部品の弁体部が閉じた状態を示す断面図である。
図4B図4Bは、筐体に取り付けられた通気部品の弁体部が開いた状態を示す断面図である。
図5A図5Aは、本発明に係る通気部品のさらに別の一例を示す断面図である。
図5B図5Bは、本発明に係る通気部品のさらに別の一例を示す断面図である。
図6図6は、本発明に係る通気部品のさらに別の一例を示す断面図である。
図7A図7Aは、本発明に係る通気部品のさらに別の一例を示す断面図である。
図7B図7Bは、本発明に係る通気部品のさらに別の一例を示す断面図である。
図7C図7Cは、本発明に係る通気部品のさらに別の一例を示す断面図である。
図7D図7Dは、本発明に係る通気部品のさらに別の一例を示す断面図である。
図8図8は、本発明に係る通気部品のさらに別の一例を示す断面図である。
図9図9は、本発明に係る通気部品のさらに別の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。以下の説明は、本発明の例示であり、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0013】
図1A図1B、及び図1Cに示す通り、通気部品1aは、弁体部10と、軸部20と、通気路15と、通気膜30とを備えている。通気部品1aは、圧力解放弁付きの通気部品である。弁体部10は、エラストマーを含み、傘布状に形成されている。傘布状とは、開いた状態の傘における傘布のような形状を意味する。なお、図1Aにおける二点鎖線Aは、弁体部10の軸線である。軸部20は、弁体部10の法線方向に筒状又は柱状に延びている。弁体部10の法線方向とは、弁体部10の曲面又は平面に対して垂直な方向を意味する。弁体部10の法線方向は、例えば、弁体部10の軸線が延びる方向に一致する。軸部20は、弁体部10を支持している。通気路15は、弁体部10及び軸部20の少なくとも一方を弁体部10の法線方向に貫通している。図1Cに示す通り、通気路15は、例えば軸部20を貫通している。通気膜30は、通気路15を通気可能に塞いでいる。通気膜30の厚み方向において気体が通気膜30を通過可能である。
【0014】
図2A及び図2Bに示す通り、通気部品1aは、筐体50に固定されて使用される。筐体50は、内部空間51と外部空間52とを連通させる開口を有する。筐体50は、このような開口として、軸部用開口53と、周辺開口55とを有する。軸部用開口53は、軸部20を挿入可能な内径を有する。周辺開口55は、軸部用開口53の周辺に位置する。
【0015】
図2A及び図2Bに示す通り、軸部用開口53に軸部20が挿入されて通気部品1aが筐体50に固定される。このように通気部品1aが筐体50に固定された状態(以下、「固定状態A」という)において、例えば、図2Aに示す通り、弁体部10が周辺開口55を覆うとともに弁体部10の外周部分が筐体50の外面52aに接触して周辺開口55を通過する気体の流れを遮断する。加えて、通気膜30を通じて内部空間51と外部空間52との間で通気がなされる。一方、図2Bに示す通り、固定状態Aにおいて、筐体50の内部空間51の圧力から筐体50の外部空間52の圧力を差し引いた圧力差が所定値以上であるときに、弁体部10が弾性変形して外面52aから離れ、内部空間51の圧力が解放される。換言すると、通気部品1aは、固定状態Aにおいて、例えば、下記の(i)及び(ii)の条件を満たす。
(i)筐体50の内部空間51の圧力から筐体50の外部空間52の圧力を差し引いた差が所定値未満であるときに、弁体部10が筐体50の外面52aに接触して周辺開口55を覆うように閉じているとともに通気膜30を通じて内部空間51と外部空間52との間で通気がなされる。
(ii)筐体50の内部空間51の圧力から筐体50の外部空間52の圧力を差し引いた差が所定値以上であるときに、弁体部10が弾性変形して外面52aから離れ、内部空間51の圧力が解放される。
【0016】
通気部品1aによれば、固定状態Aにおいて弁体部10が閉じているときに、通気路15及び通気膜30によって、内部空間51と外部空間52との間で通気がなされる。通気膜30によって、筐体50の内部に異物が侵入することを防止できる。加えて、筐体50の内部の圧力が急上昇して、筐体50の内部空間51の圧力から筐体50の外部空間52の圧力を差し引いた差が所定値以上になったときには、弁体部10が開いて内部空間51の圧力が解放される。これにより、通気膜30の破損を防止できる。通気部品1aは簡素な構成を有するので、通気部品1aの製造コストは低い。
【0017】
弁体部10は、例えば、固定状態Aにおいて、筐体50の外面52aと向かい合う対向面11を有する。図2Aに示す通り、弁体部10が閉じているときに、対向面11の一部が筐体50の外面52aに接触している。対向面11は、軸部20の側面に連なって延びている。弁体部10が閉じているときに、対向面11及び軸部20の側面によって、筐体50の外部において筐体50の内部空間51と連通している閉じた空間が形成される。軸部20は、対向面11によって囲まれた空間において弁体部10の法線方向に延びている。これにより、軸部20は、弁体部10との接続部から筐体に向かって延びており、軸部20によって通気部品1aを筐体50に固定しやすい。また、通気部品1aは簡素な構成を有する。
【0018】
軸部20は、例えば、係止部22を有する。係止部22は、固定状態Aにおいて、筐体50の内面51aに係止される。これにより、通気部品1aを筐体50に固定できる。係止部22によって、通気部品1aが筐体50から離れるように移動することを防止できる。例えば、筐体50は、通気部品1aを取り付けるための取付孔を有し、この取付孔に軸部20が差し込まれ、通気部品1aが筐体50に固定される。
【0019】
図1Cに示す通り、通気路15は、例えば、第一開口15aを有する。第一開口15aは、非対向面12によって囲まれている。非対向面12は、通気部品1aを筐体50に固定したときに、弁体部10及び軸部20の少なくとも一方において筐体50の外面52aと向かい合わない面である。通気膜30は、例えば、第一開口15aを覆うように非対向面12に取り付けられている。この場合、埃又は水等の異物が通気膜30に接触しても、通気路15に異物が留まりにくい。このため、内部空間51と外部空間52との間の通気性が良好に保たれやすい。
【0020】
通気部品1aにおいて、弁体部10及び軸部20は、例えば、一体的に形成されている。例えば、弁体部10及び軸部20は、一体成形により作製されうる。これにより、通気部品1aの製造の生産性が高くなりやすい。また、通気部品1aの製造コストが低くなりやすい。
【0021】
通気部品1aは、弁体部10をなす部品と軸部20をなす部品とが組み付けられて形成されていてもよい。この場合、弁体部10及び軸部20のそれぞれの材料及び構造の選択肢が多様になりやすい。
【0022】
弁体部10に含まれるエラストマーは、特定のエラストマーに限定されない。弁体部10に含まれるエラストマーは、例えば、天然ゴム、合成ゴム、又は熱可塑性エラストマー等のエラストマーである。この場合、合成ゴムとしては、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)、アクリルゴム(ACM、ANM)、エピクロロヒドリンゴム(CO、ECO)、シリコーンゴム(VMQ、FVMQ)、ウレタンゴム(AU、EU)、及びフッ素ゴム(FKM、FEPM)を例示できる。
【0023】
通気膜30は、所望の通気性を有する限り特定の通気膜に限定されない。通気膜30は、単層膜であってよいし、多層膜であってもよい。通気膜30が多層膜である場合、各層は、多孔質膜、不織布、クロス、及びメッシュからなる群より選ばれる1つでありうる。通気膜30は、多孔質膜及び不織布を含んでいてよく、クロス及びメッシュの少なくとも1つと多孔質膜とを含んでいてもよく、複数の不織布を含んでいてもよい。通気膜30は、典型的には、有機高分子材料(樹脂)によって構成されている。多孔質膜の材料は、例えば、フッ素樹脂である。フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、又はテトラフルオロエチレン-エチレン共重合体を使用できる。不織布、クロス、及びメッシュの材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン、アラミド、又はエチレン酢酸ビニル共重合体である。
【0024】
通気膜30は、例えば、延伸PTFE多孔質膜を含む。この場合、延伸PTFE多孔質膜は、不織布などの通気性支持材に積層されていてもよい。
【0025】
通気膜30は、必要に応じて撥液処理されていてもよい。撥液処理は、例えば、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系表面修飾剤を含む撥液性の被膜を通気膜30に形成することによってなされる。撥液性の被膜の形成は、特に制限されないが、例えば、エアスプレイ法、静電スプレイ法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、ロールコーティング法、カーテンフローコーティング法、又は含浸法等の方法により、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系表面修飾剤の溶液又はディスパージョンで樹脂多孔質膜をコーティングすることによりなされる。また、電着塗装法又はプラズマ重合法によって、撥液性の被膜を形成してもよい。
【0026】
通気膜30は、例えば、弁体部10及び軸部20の少なくとも一方に対して接着されている。通気膜30は、弁体部10及び軸部20の少なくとも一方に対して溶着されていてもよい。通気膜30は、弁体部10及び軸部20の少なくとも一方に対し両面テープによって取り付けられていてもよい。
【0027】
通気部品1aは、様々な観点から変更可能である。例えば、通気部品1aは、図3A図3Cに示す通気部品1b、図5Aに示す通気部品1c、図5Bに示す通気部品1d、図6に示す通気部品1e、図7A図7Dに示す通気部品1f~1iのように変更されてもよい。通気部品1b~1iのそれぞれは、特に説明する部分を除き通気部品1aと同様に構成されている。通気部品1aの構成要素と同一又は対応する通気部品1b~1iのそれぞれの構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。通気部品1aに関する説明は、技術的に矛盾しない限り通気部品1b~1iのそれぞれにも当てはまる。
【0028】
図3Cに示す通り、通気部品1bにおいて、通気路15は、弁体部10を貫通している。通気部品1bは、例えば複数(図例では4つ)の通気路15を有する。図3Bに示す通り、複数の通気路15は、例えば、弁体部10の軸線A周りに等角度で配置されている。このように、通気路15が弁体部10を貫通している場合、通気部品1bにおいて複数の通気路15を形成しやすい。
【0029】
例えば、通気部品1bにおいて、通気路15の内部には、非対向面12をなす段差を有する。通気膜30は、例えば、この段差における非対向面12に取り付けられている。
【0030】
図4A及び図4Bに示す通り、通気部品1bは、筐体50の内部空間51の圧力から筐体50の外部空間52の圧力を差し引いた差の大きさに応じて、通気部品1aと同様に開閉する。
【0031】
図5Aに示す通り、通気部品1cにおいて、通気膜30は、例えば、通気路15の内部に配置されている。この場合、通気部品1cを筐体50に固定するときに、作業者が通気膜30に触れにくい。
【0032】
図5Bに示す通り、通気部品1dにおいて、通気膜30は、第二開口15bを覆うように取り付けられている。第二開口15bは、弁体部10の法線方向において第一開口15aよりも非対向面12から離れた位置に形成された通気路15の開口である。この場合、筐体50の外部空間52において通気膜30が露出しにくい。
【0033】
図6に示す通り、通気部品1eにおいて、通気路15は、第一開口15aと、第二開口15bとを有する。第一開口15aは、通気部品1eを筐体50に固定したときに、弁体部10及び軸部20の少なくとも一方において筐体50の外面52aと向かい合わない非対向面12によって囲まれている。第二開口15bは、弁体部10の法線方向において第一開口15aよりも非対向面12から離れた位置に形成されている。通気部品1eにおいて、第一開口15aの開口面積は、第二開口15bの開口面積より大きい。これにより、通気膜30を用いた通気における通気量が大きくなりやすい。
【0034】
通気部品1eにおいて、通気膜30は、例えば、第一開口15aを覆うように非対向面12に取り付けられている。
【0035】
通気部品1eにおいて、弁体部10は、筐体50に通気部品1eを固定したときに、筐体50の外面52aと向かい合う対向面11を有する。軸部20は、例えば、押圧部40を有する。押圧部40は、筐体50に通気部品1eを固定した状態で非対向面12を対向面11に向かって押圧したときに筐体50に接触可能である。例えば、弁体部10及び軸部20を含む通気部品1eの部品を筐体50の取付孔に差し込んだ後に通気膜30をこの部品に圧着して通気部品1eを作製することが考えられる。この場合、通気膜30の圧着において押圧部40が筐体50に接触して通気部品1eの部品の移動が制限され、通気膜30を適切に圧着できる。これにより、通気部品1eの製造の生産性が高くなりやすい。
【0036】
図7Aに示す通り、通気部品1fは、例えば、フランジ24をさらに備えている。フランジ24は、弁体部10の法線方向に沿って筐体50の外面52aに向かって通気部品1fを平面視したときに、軸部20の周囲において弁体部10を覆い、軸部20と垂直に交わっている。通気路15は、軸部20とともにフランジ24を貫通している。
【0037】
通気部品1fは、弁体部10と軸部20とが組み付けられて形成されている。換言すると、弁体部10をなす部品と軸部20をなす部品とが組み付けて形成されている。これにより、弁体部10及び軸部20のそれぞれの材料及び構造の選択肢が多様になりやすい。
【0038】
通気部品1fにおいて、軸部20及びフランジ24は、例えば、一体的に形成されている。このため、通気部品1fは、例えば、弁体部10と、軸部20及びフランジ24を有する部品とが組み付けられて形成されている。なお、軸部20とフランジ24とが別々の部品で形成され、これらの部品が組み付けられていてもよい。
【0039】
図7Aに示す通り、弁体部10は、固定状態Aにおいて、軸部20の周囲で筐体50の外面52aと接触する平面10pを有する。フランジ24は、固定状態Aにおいて、弁体部10の平面10pを筐体50の外面52aとともに挟持する。これにより、フランジ24及び外面52aによって、弁体部10がしっかりと固定される。
【0040】
通気部品1fにおいて、弁体部10は、例えば、環状のひだ10mを有する。固定状態Aにおいて、ひだ10mは、例えば、周辺開口55の真上に位置する。このような構成によれば、固定状態Aにおいて、弁体部10の外周部分が筐体50の外面52aから意図せずに離れて周辺開口55から異物が侵入するリスクを低減しやすい。
【0041】
通気部品1fは、例えば、カバー26をさらに備えている。カバー26は、通気膜30を覆うとともに、通気膜30との間に通気部品1fの外部と連通する空間25を形成する。カバー26によって、通気膜30を保護できる。加えて、通気路15及び空間25を気体が通過することによって、内部空間51と外部空間52との間で通気がなされる。
【0042】
図7Aに示す通り、軸部20は、例えば、複数の脚部20gを有する。複数の脚部20gは、軸部20の先端から軸部20の中心軸に沿って延びているスリットによって軸部20の中心軸周りに離れて配置されている。複数の脚部20gのそれぞれの先端部には、係止部22が形成されている。係止部22は、軸部20の中心軸に垂直な方向において外方に突出している。このような構成によれば、軸部20の軸部用開口53への挿入を含む通気部品1fの筐体50への装着において、軸部20の先端部が軸部用開口53の縁2に接触したときに脚部20が内側に弾性変形する。その後、係止部22が軸部用開口53を通過すると、脚部20gの変形が解消され、係合部22が、例えば、筐体50の内面51aに接触する。このように、係合部22がスナップフィットにより筐体50に係合し、通気部品1fが筐体50に装着される。
【0043】
図7Aに示す通り、通気膜30は、例えば、フランジ24に接着されている。通気膜30は、フランジ24に対して溶着されていてもよいし、フランジ24に対し両面テープによって取り付けられていてもよい。
【0044】
図7Bに示す通気部品1g、図7Cに示す通気部品1h、及び図7Dに示す通気部品1iのそれぞれは、特に説明する部分を除き通気部品1fと同様に構成されている。通気部品1fの構成要素と同一又は対応する通気部品1g~1iのそれぞれの構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。通気部品1fに関する説明は、技術的に矛盾しない限り通気部品1g~1iのそれぞれにも当てはまる。
【0045】
図7Bに示す通り、通気部品1gにおいて、弁体部10は、環状のシート状である。通気部品1gは、固定状態Aにおいて、弁体部10の一方の主面が筐体50の外面52aに沿って延びている。典型的には、弁体部10の一方の主面が筐体50の外面52aに接触している。このような構成によれば、弁体部10の構成を簡素にしつつ、筐体50の内部の圧力が急上昇により通気膜30が破損することを防止できる。
【0046】
図7Cに示す通り、通気部品1hにおいて、弁体部10は、環状のシートである。弁体部10は、突起10tを有する。突起10tは、固定状態Aにおいて周辺開口55の内部に収容される。このような構成によれば、周辺開口55を通過して筐体50の内部空間51に異物が入り込むリスクをより低減できる。
【0047】
図7Dに示す通り、通気部品1iにおいて、弁体部10は、軸部20の外周面を覆う被覆部10cを有する。被覆部10cは、例えば、係止部22を覆う。このような構成によれば、弁体部10によって軸部20の外周面を保護できる。
【0048】
図8に示す通気部品1jを提供することもできる。通気部品1jは、特に説明する部分を除き通気部品1aと同様に構成可能である。通気部品1aの構成要素と同一又は対応する通気部品1jの構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。通気部品1aに関する説明は、技術的に矛盾しない限り通気部品1jにも当てはまる。
【0049】
通気部品1jは、圧力解放弁付きの通気部品である。通気部品1jは、環状の弁体部10と、筒状の保持部23と、通気膜30とを備えている。弁体部10は、エラストマーを含み、傘布状であるとともに平面視において中心に貫通孔10hを有する。保持部23は、エラストマーを含み、軸方向に貫通する通気路23hを有する。通気膜30は、通気路23hを通気可能に塞いでおり、厚み方向に気体が通過可能な膜である。
【0050】
通気部品1jは、例えば、筐体50に固定されて使用される。筐体50は、内部空間51と外部空間52とを連通させる開口を有する。筐体50は、このような開口として、突出開口53tと、周辺開口55とを有する。突出開口53tは、突出部50pの縁によって形成されている。突出部50pは、筐体50の外部空間52側に筒状に突出するとともに貫通孔10h及び通気路23hに挿入可能な外径を有する。
【0051】
図8に示す通り、貫通孔10hに突出部50pの縁が挿入された後に通気路23hに突出部50pの縁が挿入されて通気部品1jが筐体50に固定される。このように通気部品1jが筐体50に固定された状態(以下、「固定状態B」という)において、例えば、図8に示す通り、弁体部10が周辺開口55を覆うとともに弁体部10の外周部分が筐体50の外面52aに接触して周辺開口55を通過する気体の流れを遮断する。加えて、通気膜30を通じて内部空間51と外部空間52との間で通気がなされる。一方、固定状態Bにおいて、筐体50の内部空間51の圧力から筐体50の外部空間52の圧力を差し引いた圧力差が所定値以上であるときに、弁体部10が弾性変形して外面52aから離れ、内部空間51の圧力が解放される。これにより、通気膜30の破損を防止できる。
【0052】
典型的には、固定状態Bにおいて、保持部23の内周面は、突出部50pの外周面に接触している。加えて、固定状態Bにおいて、貫通孔10hの縁は、突出部50pの外周面に接触している。
【0053】
保持部23に含まれるエラストマーは、特定のエラストマーに限定されない。保持部23に含まれるエラストマーとして、弁体部10に含まれるエラストマーとして例示されたエラストマーを挙げることができる。
【0054】
図8に示す通り、通気膜30は、例えば、保持部23に接着されている。通気膜30は、保持部23に対して溶着されていてもよいし、保持部23に対し両面テープによって取り付けられていてもよい。
【0055】
通気部品1jは、例えば、弁体部10と保持部23とが組み付けられて形成されている。換言すると、通気部品1jは、弁体部10をなす部品と保持部23をなす部品とが組み付けられて形成されている。弁体部10及び保持部23のそれぞれの材料及び構造の選択肢が多様になりやすい。
【0056】
図8に示す通り、通気部品1jは、有底の筒状のカバー27をさらに備えている。カバー27は、保持部23を挿入可能な内径を有する。カバー27は、カバー27の内部に保持部23が挿入されたときに、通気膜30を覆うとともに通気膜30との間に通気部品1jの外部と連通する空間29aを形成する。このような構成によれば、カバー27によって、通気膜30を保護できる。加えて、空間29aを気体が通過することによって、内部空間51と外部空間52との間で通気がなされる。
【0057】
カバー27の内部に保持部23が挿入されたときに、カバー27の側壁の内面の一部は、保持部23の外周面と接触している。一方、カバー27の側壁の内面の別の一部は、保持部23の外周面から離れている。これにより、カバー27の内部に保持部23が固定されるとともに、空間29aが通気部品1jの外部と連通する。
【0058】
カバー27の底部と反対側の端部には開口が形成されている。カバー27の開口の縁の少なくとも一部は、カバー27の軸線に向かって突出している。これにより、カバー27の開口の縁の少なくとも一部は、例えば、保持部23が挿入されたときに保持部23の外周面と係止する。このため、カバー27を保持部23に所望の状態で取り付けることができる。
【0059】
図9に示す通気部品1kを提供することもできる。通気部品1kは、特に説明する部分を除き通気部品1aと同様に構成可能である。通気部品1の構成要素と同一又は対応する通気部品1kの構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。通気部品1aに関する説明は、技術的に矛盾しない限り通気部品1kにも当てはまる。
【0060】
通気部品1kは、圧力解放弁付きの通気部品である。通気部品1kは、傘布状に形成された弁体部10と、軸部20と、通気路15と、通気膜30とを備えている。弁体部10は、エラストマーを含んでいる。軸部20は、エラストマーを含み、弁体部10の法線方向に筒状に延びている。加えて、軸部20は、弁体部10を支持する。通気路15は、軸部20を弁体部10の法線方向に貫通している。通気膜30は、通気路15を通気可能に塞いでおり、厚み方向に気体が通過可能な膜である。
【0061】
通気部品1kは、例えば、筐体50に固定されて使用される。筐体50は、内部空間51と外部空間52とを連通させる開口を有する。筐体50は、このような開口として、突出開口53tと、周辺開口55とを有する。突出開口53tは、突出部50pの縁によって形成されている。突出部50pは、筐体50の外部空間52側に筒状に突出するとともに通気路15に挿入可能な外径を有する。
【0062】
図9に示す通り、通気路15に突出部50pの縁が挿入されて通気部品1kが筐体50に固定される。このように通気部品1kが筐体50に固定された状態(以下、「固定状態C」という)において、例えば、図9に示す通り、弁体部10が周辺開口55を覆うとともに弁体部10の外周部分が筐体50の外面52aに接触して周辺開口55を通過する気体の流れを遮断する。加えて、通気膜30を通じて内部空間51と外部空間52との間で通気がなされる。一方、固定状態Cにおいて、筐体50の内部空間51の圧力から筐体50の外部空間52の圧力を差し引いた圧力差が所定値以上であるときに、弁体部10が弾性変形して外面52aから離れ、内部空間51の圧力が解放される。これにより、通気膜30の破損を防止できる。
【0063】
典型的には、固定状態Cにおいて、軸部20の内周面は、突出部50pの外周面に接触している。
【0064】
軸部20に含まれるエラストマーは、特定のエラストマーに限定されない。軸部20に含まれるエラストマーとして、弁体部10に含まれるエラストマーとして例示されたエラストマーを挙げることができる。
【0065】
図9に示す通り、通気膜30は、例えば、軸部20に接着されている。通気膜30は、軸部20に対して溶着されていてもよいし、軸部20に対し両面テープによって取り付けられていてもよい。
【0066】
通気部品1kにおいて、弁体部10及び軸部20が一体的に形成されている。例えば、弁体部10及び軸部20は、一体成形により作製されうる。これにより、通気部品1kの製造の生産性が高くなりやすい。また、通気部品1kの製造コストが低くなりやすい。通気部品1aは、弁体部10をなす部品と軸部20をなす部品とが組み付けられて形成されていてもよい。この場合、弁体部10及び軸部20のそれぞれの材料及び構造の選択肢が多様になりやすい。
【0067】
図9に示す通り、通気部品1kは、有底の筒状のカバー27をさらに備えている。カバー27は、軸部20を挿入可能な内径を有する。カバー27は、カバー27の内部に軸部20が挿入されたときに、通気膜30を覆うとともに通気膜30との間に通気部品1kの外部と連通する空間29bを形成する。このような構成によれば、カバー27によって、通気膜30を保護できる。加えて、空間29bを気体が通過することによって、内部空間51と外部空間52との間で通気がなされる。
【0068】
カバー27の内部に軸部20が挿入されたときに、カバー27の側壁の内面の一部は、軸部20の外周面と接触している。一方、カバー27の側壁の内面の別の一部は、軸部20の外周面から離れている。これにより、カバー27の内部に軸部20が固定されるとともに、空間29bが通気部品1kの外部と連通する。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9