(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】エアロゾル生成消耗品
(51)【国際特許分類】
A24D 1/20 20200101AFI20231211BHJP
A24D 1/02 20060101ALI20231211BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20231211BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20231211BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20231211BHJP
【FI】
A24D1/20
A24D1/02
A24F40/42
A24F40/465
A24F40/20
(21)【出願番号】P 2020571370
(86)(22)【出願日】2019-07-02
(86)【国際出願番号】 EP2019067770
(87)【国際公開番号】W WO2020007879
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-06-28
(32)【優先日】2018-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】モロニー, パトリック
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-511316(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104095291(CN,A)
【文献】特開2017-140044(JP,A)
【文献】国際公開第2017/072147(WO,A2)
【文献】国際公開第2012/090294(WO,A1)
【文献】特表2017-510270(JP,A)
【文献】特開2017-225357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/20
A24F 40/00~47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル化可能材料を加熱して前記エアロゾル化可能材料の少なくとも1つの成分を揮発させるように構成された装置とともに使用するための消耗品であって、
外側シェルと、
前記外側シェル内の、エアロゾル化可能材料を包含する内側シェルと、
前記内側シェルを前記外側シェルから分離する断熱層と
を備える消耗品。
【請求項2】
前記内側シェルと前記外側シェルとの間に配置されたスペーサを備え、前記スペーサが、前記内側シェルと前記外側シェルとの間を分離するように配置された、請求項1に記載の消耗品。
【請求項3】
前記スペーサが、5W/mKより小さい、2W/mKより小さい、又は1W/mKより小さい熱伝導率を有する材料を含む、請求項2に記載の消耗品。
【請求項4】
前記スペーサが、厚紙材料、紙材料、木材、及びプラスチック材料のうちの1つ又は複数を含む、請求項2又は3に記載の消耗品。
【請求項5】
前記内側シェル及び前記外側シェルが円筒状であり、前記内側シェルが、前記外側シェルの断面直径より小さな断面直径を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の消耗品。
【請求項6】
前記スペーサが、前記内側シェルの外面の周りに周方向に配置された複数のスペーサ要素を備える、
請求項2~4の何れか一項に従属する場合の請求項5に記載の消耗品。
【請求項7】
前記スペーサが、前記内側シェルの外径の周りに周方向に配置された波形材料を備える、
請求項2~4の何れか一項に従属する場合の請求項5に記載の消耗品。
【請求項8】
前記波形材料の内側部分が前記内側シェルと接触し、前記波形材料の外側部分が前記外側シェルと接触している、請求項7に記載の消耗品。
【請求項9】
前記内側シェルと前記外側シェルとの間の通路を含む流路であって、前記消耗品の第1の端部と前記消耗品の前記第1の端部とは反対側の第2の端部とを流体接続する流路を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の消耗品。
【請求項10】
前記エアロゾル化可能材料を加熱するように構成されたヒーターを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の消耗品。
【請求項11】
前記ヒーターが、前記エアロゾル化可能材料を加熱するために、変動磁場の侵入によって加熱可能な前記内側シェル内のサセプタ材料を含む、請求項10に記載の消耗品。
【請求項12】
前記内側シェルが紙材料を含み、前記サセプタ材料が前記内側シェルの内面に接合されている、請求
項11に記載の消耗品。
【請求項13】
前記内側シェルがサセプタ材料から形成されている、請求項10又は11に記載の消耗品。
【請求項14】
前記サセプタ材料がアルミニウムを含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の消耗品。
【請求項15】
前記サセプタ材料が、使用時に前記装置の対応するコイルに誘導結合されると誘導加熱されるように構成された、請求項11~14のいずれか一項に記載の消耗品。
【請求項16】
前記ヒーターが、前記エアロゾル化可能材料を加熱するために電流を印加することによって加熱可能な抵抗ヒーターを含む、請求項10に記載の消耗品。
【請求項17】
前記ヒーターが複数の加熱要素を備える、請求項10~16のいずれか一項に記載の消耗品。
【請求項18】
前記外側シェルが紙材料を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の消耗品。
【請求項19】
前記断熱層が、空気及び/又は固体ベースの断熱材を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の消耗品。
【請求項20】
エアロゾル化可能材料を加熱して前記エアロゾル化可能材料の少なくとも1つの成分を揮発させるように構成された装置であって、
請求項1~19のいずれか一項に記載の消耗品を受け入れるように構成されたハウジング
と、
請求項1~19のいずれか一項に記載の消耗品と、を備える装置。
【請求項21】
前記消耗品の前記内側シェル内に包含される前記エアロゾル化可能
材料に挿入されるように構成された抵抗ヒーターを備える、請求項2
0に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル化可能材料を加熱するように構成された装置とともに使用するための消耗品に関する。
【背景】
【0002】
紙巻タバコ及び葉巻タバコなどの物品は、使用中にタバコを燃焼させてタバコ煙を発生させる。燃焼させずに化合物を放出する製品を創出することによって、タバコを燃焼するこれらの物品に代わるものを提供する試みがなされている。そのような製品の例としては、タバコ加熱製品又はタバコ加熱デバイスとしても知られているいわゆる非燃焼加熱式製品があり、これらは材料を燃焼させるのではなく加熱することで化合物を放出する。その材料は、例えば、タバコでもよいし、他の非タバコ製品でもよいし、ブレンドされた混合物などの組合せでもよく、それらは、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【概要】
【0003】
本発明の第1の態様によれば、エアロゾル化可能材料を加熱してエアロゾル化可能材料の少なくとも1つの成分を揮発させるように構成された装置とともに使用するための消耗品が提供される。本消耗品は、
外側シェルと、
外側シェル内の、エアロゾル化可能材料を包含する内側シェルと、
内側シェルを外側シェルから分離する断熱層と
を備える。
【0004】
断熱層は、使用しているとき、エアロゾル化可能材料の温度に対して消耗品の外面を相対的に低い温度に保つ。これは、消耗品を加熱するように構成された装置への熱伝達を減らし(そうでなければ、消耗品を加熱することに寄与しない装置の領域を不必要に加熱することがある)、以って、断熱要件を下げる、又は必要とされる断熱度を下げる。したがって、断熱層によって与えられる断熱によって、エアロゾル化可能材料をより効率的に加熱することができ、以って、エアロゾル化可能材料を加熱するための装置の電力効率を改善することができる。さらに、断熱層によって、使用者は、その後の使用で不快さ又はやけどの危険性を少なくして消耗品を取り扱うことができる。
【0005】
例示的な実施形態では、本装置は、内側シェルと外側シェルとの間に配置されたスペーサを備え、スペーサは、内側シェルと外側シェルとの間を分離するように配置される。
【0006】
例示的な実施形態では、スペーサは、5W/mKより小さい、2W/mKより小さい、又は1W/mKより小さい熱伝導率を有する材料を含む。
【0007】
例示的な実施形態では、スペーサは、厚紙材料、紙材料、木材、及びプラスチック材料のうちの1つ又は複数を含む。
【0008】
例示的な実施形態では、内側シェル及び外側シェルは円筒状であり、内側シェルは、外側シェルの断面直径より小さな断面直径を有する。
【0009】
例示的な実施形態では、スペーサは、内側シェルの外面の周りに周方向に配置された複数のスペーサ要素を備える。
【0010】
例示的な実施形態では、スペーサは、内側シェルの外径の周りに周方向に配置された波形材料を備える。
【0011】
例示的な実施形態では、波形材料の内側部分は内側シェルと接触し、波形材料の外側部分は外側シェルと接触している。
【0012】
例示的な実施形態では、本消耗品は、内側シェルと外側シェルとの間の通路を含む流路を備え、流路は、消耗品の第1の端部と消耗品の第1の端部とは反対側の第2の端部とを流体接続する。
【0013】
例示的な実施形態では、本消耗品は、エアロゾル化可能材料を加熱するように構成されたヒーターを備える。
【0014】
例示的な実施形態では、ヒーターは、エアロゾル化可能材料を加熱するために、変動磁場の侵入によって加熱可能な内側シェル内のサセプタ材料を含む。
【0015】
例示的な実施形態では、内側シェルは紙材料を含み、サセプタ材料は内側シェルの内面に接合されている。
【0016】
例示的な実施形態では、内側シェルはサセプタ材料から形成されている。
【0017】
例示的な実施形態では、サセプタ材料はアルミニウムを含む。
【0018】
例示的な実施形態では、サセプタ材料は、使用時に装置の対応するワークコイルに誘導結合されると誘導加熱されるように構成される。
【0019】
例示的な実施形態では、ヒーターは、エアロゾル化可能材料を加熱するために電流を印加することによって加熱可能な抵抗ヒーターを含む。
【0020】
例示的な実施形態では、ヒーターは複数の加熱要素を備える。
【0021】
例示的な実施形態では、外側シェルは紙材料を含む。
【0022】
例示的な実施形態では、断熱層は、空気及び/又は固体ベースの断熱材を含む。
【0023】
本発明の第2の態様によれば、エアロゾル化可能材料を加熱してエアロゾル化可能材料の少なくとも1つの成分を揮発させるように構成された装置が提供される。本装置は、本発明の第1の態様による消耗品を受け入れるように構成されたハウジングを備える。
【0024】
例示的な実施形態では、本装置は、本発明の第1の態様による消耗品を備える。
【0025】
例示的な実施形態では、本装置は、内側シェル内に包含されるエアロゾル化可能に挿入されるように構成された抵抗ヒーターを備える。
【0026】
本発明の第3の態様によれば、エアロゾル化可能材料を加熱してエアロゾル化可能材料の少なくとも1つの成分を揮発させるように構成された装置が提供される。本消耗品は、
外側シェルと、
外側シェル内の内側シェルと、
エアロゾル化可能材料を加熱するために内側シェル内に配置されたヒーター要素と
を備え、
内側シェルと外側シェルは断熱層によって分離されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態を単なる例として説明する。
【
図1】エアロゾル化可能材料を加熱してエアロゾル化可能材料の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置の例の概略断面図である。
【詳細な説明】
【0028】
典型的には、エアロゾル化可能材料を燃やさずに又は燃焼させずに吸引することができるエアロゾルを形成するために、エアロゾル化可能材料を加熱してエアロゾル化可能材料の少なくとも1つの成分を揮発させる装置が知られている。このような装置は、「非燃焼加熱式」装置、若しくは「タバコ加熱製品」、若しくは「タバコ加熱デバイス」、又はこれらに類似するものとして、しばしば記述される。同様に、いわゆるeシガレットデバイスもあり、これは、典型的には、ニコチンを含む場合も含まない場合もある液体の形態のエアロゾル化可能材料を気化する。一般に、エアロゾル化可能材料は、装置に挿入することができるロッド、カートリッジ、若しくはカセットなどの形態の場合があり、又はこれらの一部として提供される場合がある。エアロゾル化可能材料を加熱して揮発させるための加熱材は、装置の「永久」部分として提供される場合があり、又は使用後破棄されて交換される消耗品の一部として提供される場合がある。この文脈の「消耗品」とは、使用時にエアロゾル化可能材料を含む若しくは含有し、使用時に加熱されて、エアロゾル化可能材料を揮発させるデバイス、若しくは物品、又は他の構成部品のことである。
【0029】
本書では、用語「エアロゾル化可能材料」は、加熱すると、典型的には蒸気又はエアロゾルの形態で揮発した成分を供する材料を含む。「エアロゾル化可能材料」はタバコを含有しない材料であってもよいし、タバコを含有する材料であってもよい。「エアロゾル化可能材料」は、例えば、タバコ自体、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、タバコ抽出物、均質化タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ又は複数を含んでもよい。エアロゾル化可能材料は、挽きタバコ、刻みラグタバコ、押出タバコ、再生タバコ、再生エアロゾル化可能材料、液体、ゲル、ゲル化シート、粉末、又は塊などの形態であり得る。「エアロゾル化可能材料」はまた、他の非タバコ製品を含んでもよく、この非タバコ製品は、製品によってニコチンを含んでもよいし、含まなくてもよい。「エアロゾル化可能材料」は、グリセロール又はプロピレングリコールなど、1つ又は複数の保湿剤を含んでもよい。
【0030】
本書では、用語「加熱材」又は「ヒーター材」は、変動磁場の侵入によって加熱可能な材料を指す。
【0031】
誘導加熱は、導電性物体に変動磁場を侵入させることによってその物体を加熱するプロセスである。このプロセスは、ファラデーの電磁誘導の法則及びオームの法則によって説明される。誘導ヒーターは、電磁石と、この電磁石に交流電流などの変動電流を流すためのデバイスとを備えることができる。電磁石と加熱しようとする物体が、電磁石によって生じた変動磁場がこの物体に侵入するように適切な相対位置に配置されると、この物体内に1つ又は複数の渦電流が発生する。この物体は電流の流れに対して抵抗を有する。したがって、この物体内にこのような渦電流が発生すると、渦電流が物体の電気抵抗に抗して流れ、それによってこの物体が加熱される。誘導加熱することができる物体は、サセプタとして知られている。
【0032】
図1を参照すると、本発明の実施形態による装置の例の概略断面図が示されている。装置100は、エアロゾル化可能材料を加熱してエアロゾル化可能材料の少なくとも1つの成分を揮発させるためのものである。
【0033】
装置100は、本体102と以降称する装置ハウジング102を備える。本体102は、加熱されるエアロゾル化可能材料を備える消耗品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域104を備える。装置100は、使用時に消耗品が加熱領域104で加熱されると、エアロゾル化可能材料の揮発した成分が加熱領域104から装置100の外部に向かって流れることを可能にするために、加熱可能な材料のための出口106を有する。装置100はまた、使用時に変動磁場を生成するための磁場発生器108を備える。
【0034】
装置100は、加熱領域104を装置100の外部と流体接続する空気入口を画定することができる。使用者は、消耗品から揮発した成分(複数可)を吸い込むことによってエアロゾル化可能材料の揮発成分(複数可)を吸引することができる。揮発した成分(複数可)が消耗品から出ると、空気は、装置100の空気入口を通って加熱領域104内に吸い込むことができる。
【0035】
この実施形態では、加熱領域104は、消耗品の少なくとも一部分を受け入れるための凹部又は空洞を備える。他の実施形態では、加熱領域104は、凹部以外、例えば、棚、面、又は突起であってもよく、また、消耗品と協働するため又は消耗品を受け入れるために消耗品との機械的な嵌合を必要としてもよい。この実施形態では、加熱領域104は細長く、消耗品の一部分を収容するような大きさと形状であり、その結果、消耗品のさらなる部分は本体102から突き出る。他の実施形態では、加熱領域104は消耗品全体を受け入れるような寸法であってもよい。
【0036】
磁場発生器108は、電源110と、コイル112と、コイル112に交流電流などの変動電流を流すためのデバイス114と、制御器116と、制御器116を使用者が操作するためのユーザインターフェース118とを備える。
【0037】
この実施形態の電源110は再充電可能なバッテリーである。他の実施形態では、電源110は、例えば、再充電ができないバッテリー、キャパシタ、バッテリー-キャパシタハイブリッド、又は商用電源への接続部など、再充電可能なバッテリー以外であってもよい。
【0038】
コイル112は任意の適切な形態を採ることができる。コイル112はワークコイルと称することもある。この実施形態では、コイル112は、銅などの導電性材料の螺旋コイルである。いくつかの実施形態では、磁場発生器108は、コイル112が巻かれた透磁性コアを備えてもよい。このような透磁性コアは、使用時にコイル112によって生成された磁束を集中させ、磁場をより強力にする。透磁性コアは、例えば鉄で作ることができる。いくつかの実施形態では、透磁性コアは、コイル112の長さに沿って部分的にだけ延在して、特定の領域のみに磁束を集中させてもよい。いくつかの実施形態では、コイルは平面コイルであってもよい。すなわち、コイルは2次元の渦巻体であってもよい。コイル112は、加熱領域104の長手方向軸線と実質的に合わせられた長手方向軸線に沿って延在する。
【0039】
コイル112に変動電流を流すためのデバイス114は、電源110とコイル112との間に電気的に接続される。制御器116もまた、電源110に電気的に接続され、デバイス114を制御するためにデバイス114に通信可能に接続される。より詳細には、制御器116はデバイス114を制御して、電源110からコイル112への電力の供給を制御するためのものである。制御器116は、例えば、プリント回路基板(PCB:printed circuit board)上の集積回路(IC:integrated circuit)などのICを備えてもよい。装置100は、デバイス114及び制御器116を備える単一の電気又は電子構成部品を有してもよい。
【0040】
説明した例では、制御器116は、ユーザインターフェース118を使用者が操作することによって動作する。ユーザインターフェース118は、本体102の外側に配置される。ユーザインターフェース118は、例えば、押しボタン、トグルスイッチ、ダイヤル、タッチスクリーンなどを備えてもよい。他の実施形態では、ユーザインターフェース118は遠隔にあって、ブルートゥース(Bluetooth(商標))などによって装置の残りの部分に無線で接続されてもよい。
【0041】
使用者がユーザインターフェース118を操作することによって、制御器116は、デバイス114がコイル112に交流電流を流すようにさせ、その結果、コイル112に交流磁場を生成させる。装置100のコイル112及び加熱領域104は、コイル112によって生成された変動磁場が加熱領域104に侵入するように適切な相対位置に配置される。上記のように、加熱材が導電性材料の場合、これは、加熱材に1つ又は複数の渦電流を生じさせる。渦電流が加熱材の電気抵抗に抗して加熱材内を流れると、加熱材はジュール加熱によって加熱される。
【0042】
下記のように、使用時、消耗品は加熱領域104に挿入される。この実施形態では、消耗品は、変動磁場を印加することによって加熱されやすい加熱材で作られた加熱要素を備える。したがって、消耗品が加熱領域104に存在し、デバイス114がコイル112に変動磁場を印加すると、加熱要素は、エアロゾル化可能材料を加熱してエアロゾル化可能材料の成分を揮発させるように加熱される。
【0043】
他の実施形態では、その代わりに、加熱要素は装置100の一部であってもよい。例えば、装置100の加熱領域は、消耗品を突き刺して、エアロゾル化可能材料の内部を加熱するように配置された加熱要素を備えてもよい。例えば、装置100はスパイクを備えてもよく、消耗品が装置100に挿入されると、そのスパイクの上に消耗品が配置される。このような加熱要素はそれ自体、装置の加熱領域を取り囲むコイルによって誘導加熱されてもよいし、電流を抵抗電気巻線に流すことによって熱を生成する抵抗ヒーターであってもよい。或いは、装置100は、赤外線で照射することによってエアロゾル化可能材料を加熱する赤外線ヒーターを備えてもよい。
【0044】
磁場発生器108のコイル112のインピーダンスは、消耗品の加熱要素のインピーダンスと等しい、又は実質的に等しい。もしも、その代わりに、加熱要素のインピーダンスがコイル112のインピーダンスよりも低い場合、使用時の加熱要素の両端に生成される電圧は、インピーダンスを一致させたときに加熱要素の両端に生成することができる電流よりも低くなる可能性がある。或いは、その代わりに、加熱要素のインピーダンスがコイル112のインピーダンスよりも高い場合、使用時の加熱要素に生成される電流は、インピーダンスを一致させたときに加熱要素に生成することができる電流よりも低くなる可能性がある。インピーダンスを一致させると、使用時、加熱要素に生成される加熱電力を最大にするために電圧と電流とのバランスをとる助けとなり得る。いくつかの実施形態では、デバイス114のインピーダンスは、コイル112と消耗品の加熱要素との組み合わさったインピーダンスと等しくすることができる、又は実質的に等しくすることができる。
【0045】
装置100は、加熱領域104に挿入された消耗品の一部分、例えばエアロゾル化可能材料を備える消耗品の部分の温度を検知するための温度センサ120を備える。いくつかの実施形態では、温度センサ120は、無線で検出された消耗品内の加熱要素の特性に基づいて(例えば、サセプタ材料のインピーダンスの明白な変化に基づいて)消耗品の一部分の温度を決定又は推測するように構成されてもよい。温度センサ120は、制御器116に通信可能に接続され、その結果、制御器116は消耗品のその部分の温度を監視することができる。制御器116は、消耗品のその部分の温度を所定の温度範囲内に確実に維持するために、温度センサ120から受け取った1つ又は複数の信号に基づいて、必要に応じてコイル112に流す変動電流又は交流電流の特性をデバイス114に調節させることができる。この特性は、例えば、振幅又は周波数又は負荷サイクルとすることができる。使用時、加熱領域104に配置された消耗品内のエアロゾル化可能材料は、所定の温度範囲内で、エアロゾル化可能材料を燃焼させることなくエアロゾル化可能材料の少なくとも1つの成分を揮発させるのに十分な加熱がなされる。したがって、制御器116及び装置100は全体として、エアロゾル化可能材料を加熱して、エアロゾル化可能材料を燃焼させることなくエアロゾル化可能材料の少なくとも1つの成分を揮発させるようにエアロゾル化可能材料を加熱するように構成される。いくつかの実施形態では、使用時のエアロゾル化可能材料の温度範囲は、100℃~300℃、例えば、約170℃~約250℃であってもよい。他の実施形態では、温度範囲は、この範囲以外であってもよい。いくつかの実施形態では、温度範囲の上限は300℃よりも高くすることができる。いくつかの実施形態では、温度センサ120は省略されてもよい。いくつかの実施形態では、加熱材は、加熱材を加熱しようとする最高温度に基づいて選択されたキュリー点温度を有することができ、その結果、加熱材を誘導加熱することによってその温度より高くさらに加熱することが妨げられる又は防がれる。
【0046】
いくつかの実施形態では、温度センサ120は、装置100内の温度、例えば加熱領域104の温度を直接測定するように構成されてもよく、制御器116は、測定された温度から、加熱領域104に挿入された消耗品の部分の温度を推測するように構成されてもよい。このような実施形態では、加熱領域の温度は、例えば、60℃~120℃の範囲であってもよい。
【0047】
空気が装置100に入って、その空気を装置100に挿入された消耗品に吸い込むことを可能にするために、装置100は、本体102の表面に配置され、加熱領域104の遠位端に流体接続された1つ又は複数の入口122を備えてもよい。
【0048】
図2を参照すると、本発明の実施形態による、エアロゾル化可能材料を加熱してエアロゾル化可能材料の少なくとも1つの成分を揮発させるように構成された
図1を参照して上で説明した装置100などの装置とともに使用するための消耗品200である装置が示されている。消耗品200は、外側シェル202及び内側シェル204を備える。内側シェル204を外側シェル202から分離しているのは、断熱層206である。
【0049】
断熱層206は、エアロゾル生成材料を消耗品200の外面から離しておく。したがって、断熱層206は、使用しているとき、エアロゾル化可能材料の温度に対して消耗品200の外面を相対的に低い温度に保つ。これは、消耗品200を加熱するように構成された装置100への熱伝達を減らし(そうでなければ、消耗品200を加熱することに寄与しない装置100の領域を不必要に加熱することがある)、以って、装置100内に断熱要件を下げる、又は必要とされる断熱度を下げる。したがって、断熱層206によって与えられる断熱によって、熱伝導で失われる熱が少なくなるので、エアロゾル化可能材料をより効率的に加熱することができる。したがって、これは、エアロゾル化可能材料を加熱するための装置100の電力効率を改善することができる。さらに、断熱層206によって、使用者は、その後の使用で不快さ又はやけどの危険性を少なくして消耗品200を取り扱うことができる。
【0050】
図2に示された例では、消耗品は、内側シェル204と外側シェル202との間に配置された1つ又は複数のスペーサ208を備える。スペーサ208は、内側シェル204と外側シェル202との間の空隙を保し、その空隙が断熱層206を提供する。空気は、0.26~0.04W/mK(温度に依存する)の低い熱伝導率を有し、したがって、内側シェル204と外側シェル202との間を良好に断熱する。
【0051】
スペーサ208は、例えば、厚紙材料、紙材料、木材、及びプラスチック材料のうちの1つ又は複数から作られてもよい。厚紙及び紙材料は典型的には、~0.05W/mKの熱伝導率、木材は典型的には、0.04~0.17W/mKの範囲の熱伝導率、プラスチック材料は典型的には、0.05~0.3W/mKの範囲の熱伝導率を有する。したがって、これらの材料から作られるスペーサ208も、内側シェル204と外側シェル202との間を良好に断熱する。
【0052】
図2に示された例では、内側シェル204及び外側シェル202は円筒状であり、スペーサ208は環状スペーサである。したがって、内側シェル204と外側シェル202は同軸である。スペーサ208は、内側シェル204と外側シェル202との間に気密封止又は気密に近い封止を形成する。したがって、使用時、エアロゾル化可能材料から揮発した成分を含む空気は、内側シェル204に吸い込むことができるが、内側シェル204と外側シェル202との間の空間内の空気は静止したままである。
図2には2つのスペーサが示されているが、他の実施形態では、内側シェル204と外側シェル202との間を分離するためにこれより多い又は少ないスペーサを使用してもよい。
【0053】
エアロゾル化可能材料を含む基材210が、内側シェル204内に配置されてもよい。例えば、基材210は、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、タバコ抽出物、均質化タバコ、又はタバコ代替品を含んでもよく、これらは、上記のように、内側シェル204内に配置されてもよい。或いは、基材210は、非タバコ製品を含んでもよく、この非タバコ製品は、製品によってニコチンを含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0054】
図2に示された実施形態では、消耗品200はフィルター部分212を備える。例えば、フィルター部分212は、セルロースアセテート繊維などのフィルター材料を含んでもよい。フィルター部分212は、使用時、エアロゾル化可能材料から揮発した成分を含む空気を吸い込むことができる消耗品200用の吸い口として働くことができる。消耗品200のフィルター部分とは反対側の端部(遠位端とも称される)には開口があり、空気をこの開口に吸い込んで、次いで消耗品200に吸い込むことができる。
【0055】
他の実施形態では、フィルター210は省略されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、消耗品200全体が装置内に包含されていてもよく、装置は、使用者がエアロゾル化可能材料から揮発した成分を含む空気を吸い込むことができる吸い口を備えてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、消耗品は、基材210内のエアロゾル化可能材料を加熱してエアロゾル化可能材料の少なくとも1つの成分を揮発させるために一体型加熱要素を備える。
【0057】
図3を参照すると、本発明の実施形態による消耗品300の一部分の拡大図が示されている。
図3に示された実施形態では、消耗品は、
図2に示された消耗品200と同様に、外側シェル302及び内側シェル304を備える。さらに、
図2に示された消耗品200と同様に、内側シェル304は、エアロゾル化可能材料を含む基材310を包含するように構成される。
【0058】
図3に示された実施形態では、内側シェル304に加熱要素306が接合されている。加熱要素306は、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を含み、したがって、上記のようにサセプタとして働く。例えば、加熱要素306は、アルミニウムなどの金属材料から形成されてもよい。他の例では、加熱要素306は、アルミナ及び窒化アルミニウム又は窒化ケイなどのセラミック材料から形成又は作られてもよく、これらは、
図3に示されるように、内側シェル304の内面などの内側シェル304の表面に接合、積層、及び/又は焼結されてもよい。内側シェル304自体は、例えば、厚紙材料又は紙材料から形成されてもよい。
【0059】
図4を参照すると、本発明の実施形態による別の消耗品400の一部分の拡大図が示されている。
図2及び
図3に示された実施形態と同様に、消耗品400は、外側シェル402及び内側シェル404を備え、内側シェル404は、エアロゾル化可能材料を含む基材410を包含するように構成される。しかしながら、
図4に示された消耗品400では、内側シェル304自体が、変動磁場の侵入によって加熱可能で、上記のようにサセプタとして働く加熱材を含む。例えば、加熱材は、アルミニウムなどの金属材料、或いはアルミナ及び窒化アルミニウム又は窒化ケイなどのセラミック材料から形成されてもよい。或いは、内側シェル404は、アルミニウムなどの金属材料、或いはアルミナ及び窒化アルミニウム又は窒化ケイなどのセラミック材料で含侵された紙材料又は厚紙材料などの基材材料から形成されてもよい。
【0060】
図3及び
図4を参照して説明された消耗品300、400は、単一の加熱要素を有するとして説明されたが、いくつかの実施形態では、消耗品は複数の加熱要素を備えてもよい。例えば、消耗品は、基材の異なる領域を加熱するために異なる加熱要素を備えてもよい。
【0061】
図2~
図4を参照して上で説明された実施形態では、消耗品の使用中、消耗品の内側シェルは、断熱層を提供する静止空気を含む空隙を形成するスペーサによって外側シェルから分離される。しかしながら、いくつかの実施形態では、スペーサは、内側シェルと外側シェルとの間に相対的に気密な封止を提供するのではなく、むしろ、使用者が空気を消耗品に吸い込むときに空気が流れることができる流体通路を提供してもよい。
【0062】
図5を参照すると、使用時に動的な空気流が断熱を提供する消耗品500が示されている。
図2~
図4を参照して上で説明された消耗品と同様に、
図5に示された消耗品500は、断熱層506によって分離された外側シェル502及び内側シェル504を備える。内側シェル504はまた、エアロゾル化可能材料を含む基材510を包含するように構成される。
【0063】
図5に示された消耗品500はまた、
図2~
図4を参照して上で説明された消耗品を参照して説明されたものと同様のフィルター及び/又は1つ若しくは複数の加熱要素を備える。さらに、
図2を参照して上で説明された消耗品200と同様に、消耗品500のフィルターとは反対側の端部には開口があってもよく、空気をこの開口に吸い込んで、次いで消耗品500に吸い込むことができる。
【0064】
図5に示された消耗品500はまた、内側シェル504と外側シェル502との間に配置された1つ又は複数のスペーサ508を含み、スペーサ508は、内側シェル504と外側シェル502との間に空隙を保って断熱層506を提供する。しかしながら、
図5に示されたスペーサ508は、内側シェル504と外側シェル502との間に気密封止を形成せず、その代わりに、使用者が消耗品500に空気を吸い込むと、内側シェル504と外側シェル502との間を空気が流れることができる。例えば、
図5の矢印によって示されるように、内側シェル504と外側シェル502との間の空間は、消耗品500の長手方向に沿う流路を画定することができる。したがって、基材510を通る流路に加えて、流路は、消耗品の1つの端部と消耗品500の他の反対側の第2の端部とを流体接続する、内側シェル504と外側シェル502との間の通路を画定することができる。
【0065】
一実施形態では、スペーサ508は通気性材料を含んでもよく、これは、
図5を参照して上で説明されたのと同様の長手方向の通路に沿って空気がこの材料を通って流れることを可能にする。
【0066】
図6は、別の実施形態の消耗品600の断面図を示し、この実施形態では、使用者が空気を消耗品600に吸い込むときに、スペーサは、内側シェル604と外側シェル602との間を空気が流れることを可能にしている。
図6に示された実施形態では、スペーサは、内側シェルの外面の周りに周方向に配置された複数のスペーサ要素606を備える。スペーサ要素606間には、
図5を参照して上で説明されたのと同様の長手方向の通路に沿って空気が流れることができる隙間がある。
【0067】
図7は、他の実施形態の消耗品700a、700b、700cの断面図を示し、これらの実施形態では、使用者が空気を消耗品600に吸い込むときに、スペーサは、内側シェル604と外側シェル602との間を空気が流れることを可能にする。これらの実施形態では、スペーサ706a、706b、706cは、内側シェルの外径の周りに周方向に配置された波形材料を備える。例えば、スペーサ706a、706b、706cは、波形の紙材料、厚紙材料、又はプラスチック材料を含んでもよい。
図7に示された実施形態のそれぞれに示されているように、波形材料の内側部分は内側シェルと接触し、波形材料の外側部分は外側シェルと接触している。これによって、
図5を参照して上で説明されたのと同様の長手方向の通路に沿って空気が流れることができる隙間が設けられる。
【0068】
図1~
図7を参照して上で説明された実施形態では、消耗品内に設けられた誘導加熱構成体によって、エアロゾル化可能材料を加熱してエアロゾル化可能材料の少なくとも1つの成分を揮発させているが、いくつかの実施形態では、消耗品内の誘導加熱構成体の代わりに、又はそれに加えて他の加熱構成体によって加熱してもよい。例えば、消耗品は、誘導加熱構成体の代わりに、又はそれに加えて抵抗加熱構成体を備えてもよい。他の例では、エアロゾル化可能材料を加熱するように構成された装置はそれ自体加熱構成体を備えて、誘導加熱、抵抗加熱、又は輻射加熱(すなわち赤外線による加熱)、或いはこれらのいくつかの組合せによってエアロゾル化可能材料を加熱してもよい。
【0069】
さらに、
図2~
図7を参照して上で説明された実施形態では、断熱層は1つ又は複数の空隙を備えるが、いくつかの実施形態では、内側シェルと外側シェルとの間の空間の1つ又は複数の部分に固体ベースの断熱材を加えることによって断熱してもよいし、又は断熱を改善してもよい。
【0070】
本書で説明された様々な実施形態は、特許請求される特徴の理解と教示を助けるために提示されているに過ぎない。これらの実施形態は、実施形態の単なる代表的な例として供され、すべての実施形態を網羅するものでもなければ、他の実施形態を排除するものでもない。本書で説明された利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定するものとも、特許請求の範囲の均等物を制限するものとも考えるべきではなく、特許請求される発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用し、変形を施すことができることを理解されたい。本発明の様々な実施形態は、本書で詳細に説明されたもの以外の、開示された要素、構成要素、特徴、部品、ステップ、手段などの適切な組合せを適切に含み、それらから構成され、或いは実質的にそれらから構成されてもよい。さらに、本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性のある他の発明を含むことができる。