(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】照明システム
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/11 20060101AFI20231211BHJP
F21S 41/657 20180101ALI20231211BHJP
F21W 107/17 20180101ALN20231211BHJP
【FI】
B60Q1/11
F21S41/657
F21W107:17
(21)【出願番号】P 2020573075
(86)(22)【出願日】2019-03-14
(86)【国際出願番号】 US2019022285
(87)【国際公開番号】W WO2019178365
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-02-03
(32)【優先日】2018-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521423636
【氏名又は名称】オールライト インターナショナル アーべー
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ハシモト, ペイモン
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-324191(JP,A)
【文献】特開2014-000876(JP,A)
【文献】特開2012-166781(JP,A)
【文献】特開平09-277974(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03141425(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/11
F21S 41/657
F21W 107/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾動車両(200)のヘッドライトアセンブリ(205)に取り付けるための照明システム(100)であって、前記照明システムは、
発光装置(201、201')及び光反射装置(201'')に固定するように構成されたピボットフレーム(101)と、
前記傾動車両のライトフィッティング(202)に固定するように構成されたマウント(102)と、
前記ピボットフレーム及び前記マウントに取り付けられたモーター(103)と、
前記モーターと電気的に通信し、前記傾動車両の傾斜角(v)のセンサーデータを受信するように構成されたコントローラー(104)と、
を備え、
前記モーターは、前記モーターの回転軸周りに前記マウントに対する前記ピボットフレームの回転運動を提供するように構成されており、これによって、前記回転軸は、前記発光装置(201、201')の光軸(203、203')と同心であるピボット軸(105)であり、
前記コントローラーは、前記モーターを制御して、前記傾斜角に基づいて前記マウントに対して相対的に前記ピボットフレームを所望の角度(v')に回転させるように構成され、
これにより、前記発光装置及び光反射装置は、前記モーターによって前記マウントに対して相対的に回転可能になり、
前記モーターは、前記ピボットフレームに対して同心に配置され、
前記ピボットフレーム及び前記マウントは、前記モーターの両側を挟むように接続し、
前記マウントは、前記発光装置と光反射装置が前記モーターによってヘッドライトアセンブリ(205)に対して相対的に回転できるように、前記傾動車両の前記ヘッドライトアセンブリの対応するライトフィッティングに前記照明システムを取り付けるために構成された連結要素を備える、
照明システム。
【請求項2】
前記傾動車両の前記傾斜角を検出し、前記センサーデータを前記コントローラーに送信するように構成されたセンサー(106)を備える、
請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記センサーは、前記ピボットフレームに取り付けられている、
請求項2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記センサーは、前記マウントに取り付けられている、
請求項2に記載の照明システム。
【請求項5】
前記マウントは、前記発光装置(201)に取り付けるように構成されたコネクター(107)を備える、
請求項1から4のいずれかに記載の照明システム。
【請求項6】
前記コネクターは、前記ピボットフレームの前記ピボット軸(105)と同心的に整列配置されている、
請求項5に記載の照明システム。
【請求項7】
前記ピボットフレームに固定された第2の発光装置(201')を備える、
請求項5又は6に記載の照明システム。
【請求項8】
前記傾動車両の電気システム(204)に接続するように構成された電気接続インターフェース(108)を備え、
電気接続インターフェース(108)は、電気システム(204)と前記センサーデータを受信するコントローラーとの間の通信のために、及び/又は前記電気システム(204)と前記発光装置(201、201')との間の通信のために、前記傾動車両の前記電気システム(204)に接続するように構成されている
請求項1から7のいずれかに記載の照明システム。
【請求項9】
前記マウントは、前記傾動車両のヘッドライトアセンブリ(205)の前記ライトフィッティング(202)に前記照明システムを取り外し可能に取り付けるように構成されている、
請求項1から8のいずれかに記載の照明システム。
【請求項10】
前記モーターは、前記ピボットフレームに対して同心的に配置され、
前記ピボットフレームの前記ピボット軸(105)に対して垂直な方向の前記モーターの幅(w
1)は、前記ピボットフレームに接続された発光装置及び/又は前記ピボットフレームの幅(w
2)よりも最大で50%広い、
請求項1から9のいずれかに記載の照明システム。
【請求項11】
前記モーターは、前記ピボットフレームに対して同心的に配置され、
前記ピボットフレームのピボット軸(105)に対して垂直な方向のモーターの幅(w
1)は、前記ピボットフレームに接続された発光装置及び/又は前記ピボットフレームの幅(w
2)に実質的に対応するか、それよりも小さい、
請求項1から10のいずれかに記載の照明システム。
【請求項12】
前記モーターは、ジンバルモーターである、
請求項1から11のいずれかに記載の照明システム。
【請求項13】
前記発光装置を備え、
前記発光装置は、前記ピボットフレームに取り付けられた光源を備える、
請求項1から12のいずれかに記載の照明システム。
【請求項14】
前記コントローラーは、前記傾斜角(v)及び前記傾動車両の運動特性の関数として、所望の角度(v')を決定するように構成されている、
請求項1から13のいずれかに記載の照明システム。
【請求項15】
前記コントローラーは、前記傾斜角に基づいて前記発光装置への出力を制御するように構成されている、
請求項1から14のいずれかに記載の照明システム。
【請求項16】
発光装置(201、201')及び光反射装置(201'')に固定するように構成されたピボットフレーム(101)と、傾動車両のライトフィッティング(202)に固定するように構成されたマウント(102)と、前記ピボットフレーム及び前記マウントに取り付けられたモーター(103)とを備える傾動車両の
ヘッドライトアセンブリ(205)に取り付けるための照明システム(100)における照明制御の方法(300)であって、
前記方法は、
傾動車両の傾斜角(v)のセンサーデータを受信する受信工程(301)と、
前記傾斜角に基づいて前記マウントに対して相対的に所望の角度まで前記ピボットフレームを回転させる回転工程(302)と、
を有し、
前記モーター(103)は、前記モーターの回転軸周りに前記マウントに対する前記ピボットフレームの回転運動を提供するように構成されており、これによって、前記回転軸は、前記発光装置(201、201')の光軸(203、203')と同心であるピボット軸(105)であり、
これにより、前記発光装置及び光反射装置は、前記モーターによって前記マウントに対して相対的に回転可能になり、
前記モーターは、前記ピボットフレームに対して同心に配置され、
前記ピボットフレーム及び前記マウントは、前記モーターの両側を挟むように接続し、
前記マウントは、前記発光装置と光反射装置が前記モーターによってヘッドライトアセンブリ(205)に対して相対的に回転できるように、前記傾動車両の前記ヘッドライトアセンブリの対応するライトフィッティングに前記照明システムを取り付けるために構成された連結要素を備える、
方法。
【請求項17】
傾動車両のための照明を提供する方法(400)であって、前記方法は、
発光装置(201、201')及び光反射装置(201'')に固定するように構成されたピボットフレーム(101)と、傾動車両のライトフィッティング(202)に固定するように構成されたマウント(102)と、前記ピボットフレーム及び前記マウントに取り付けられたモーター(103)とを備える照明システム(100)を提供する提供工程(401)と、
前記傾動車両の
ヘッドライトアセンブリ(205)のライトフィッティング(202)に前記マウント
の連結要素を固定する固定工程(402)と、
コントローラー(104)と通信して、及び/又は前記発光装置(201、201')と通信して、電気接続インターフェース(108)を前記傾動車両の電気システム(204)に接続する接続工程(403)とを有し、
前記モーター(103)は、前記モーターの回転軸周りに前記マウントに対する前記ピボットフレームの回転運動を提供するように構成されており、これによって、前記回転軸は、前記発光装置(201、201')の光軸(203、203')と同心であるピボット軸(105)であり、
これにより、前記発光装置及び光反射装置は、前記モーターによって前記マウントに対して相対的に回転可能になり、
前記コントローラーは、
前記発光装置と光反射装置が前記モーターによってヘッドライトアセンブリ(205)に対して相対的に回転できるように、前記傾動車両の傾斜角(v)のセンサーデータに基づいて前記マウントに対して相対的に前記ピボットフレームを所望の角度に回転させるように前記モーターを制御するように構成され、
前記モーターは、前記ピボットフレームに対して同心に配置され、
前記ピボットフレームと前記マウントは、前記モーターの両側を挟むように接続している、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪車等の傾かせる車両の照明システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
傾いたり、バンクしたり、その他の方法で走行姿勢が大きく変化する車両のための各種の照明システムが知られている。そのような車両として、オートバイ、スクーター、モペットなどを挙げることができる。例えばオートバイの運転に一般的に関連する問題の1つは、道路を照らす必要があるときに照明の使用が制限されることである。例えば、ライダーがオートバイを傾けて旋回すると、ライダーにとって理想的な道を照明が照らすことができず、オートバイの安全な運転に悪影響を及ぼす。このように、オートバイ用照明システムの分野は進歩はしているものの、多くの欠点が残っている。オートバイの位置が道路との関係で変化するために照明を適応させる既存の解決策の問題点には、複雑で高価な解決策が含まれており、コンパクトで非常に多くのデザインが存在する現代のオートバイのヘッドライトアセンブリに取り付けたり、後付けしたりするのも大変である。
【発明の概要】
【0003】
先行技術の1つ以上の制限を少なくとも部分的に克服することが本発明の目的である。特に、オートバイのような傾動車両のための改良された照明システムを提供することが目的であり、特に、製造の複雑さとコストを抑えつつ、より広範なヘッドライトアセンブリへの容易な適合又は後付けを可能にすることを目的とする。
【0004】
本発明の第1の態様において、これは、
発光及び/又は光反射装置に固定するように構成されたピボットフレームと、
傾動車両のライトフィッティングに固定するように構成されたマウントと、
上記ピボットフレーム及び上記マウントに取り付けられたモーターと、
上記モーターと電気的に通信し、上記傾動車両の傾斜角のセンサーデータを受信するように構成されたコントローラーと、
を備え、
上記モーターは、上記マウントに対する上記ピボットフレームの回転運動を提供するように構成されており、
上記コントローラーは、上記モーターを制御して、上記傾斜角に基づいて上記マウントに対して相対的に上記ピボットフレームを所望の角度に回転させるように構成されている、
傾動車両のための照明システム
によって達成される。
【0005】
本発明の第2の態様において、これは、傾動車両のための照明システムにおける照明制御の方法によって達成される。
照明システムは、
発光及び/又は光反射装置に固定するように構成されたピボットフレームと、傾動車両のライトフィッティングに固定するように構成されたマウントと、上記ピボットフレーム及び上記マウントに取り付けられ、上記マウントに対して相対的な上記ピボットフレームの回転運動を提供するように構成されたモーターとを備える。
上記方法は、
傾動車両の傾斜角のセンサーデータを受信する受信工程と、
上記傾斜角に基づいて上記マウントに対して相対的に所望の角度まで上記ピボットフレームを回転させる回転工程と、
を有する。
【0006】
本発明の第3の態様において、これは、傾動車両のための照明を提供する方法によって達成される。
上記方法は、
発光及び/又は光反射装置に固定するように構成されたピボットフレームと、傾動車両のライトフィッティングに固定するように構成されたマウントと、上記ピボットフレーム及び上記マウントに取り付けられ、上記マウントに対して相対的な上記ピボットフレームの回転運動を提供するように構成されたモーターと、を備える照明システムを提供する提供工程と、
上記傾動車両のライトフィッティングに上記マウントを固定する固定工程と、
コントローラーと通信して、及び/又は上記発光装置と通信して、電気接続インターフェースを上記傾動車両の電気システムに接続する接続工程とを有し、
上記コントローラーは、上記傾動車両の傾斜角のセンサーデータに基づいて上記マウントに対して相対的に上記ピボットフレームを所望の角度に回転させるように上記モーターを制御するように構成されている。
【0007】
本発明のさらなる例は、従属項で定義される。第1の態様に関する特徴は、第2の態様及びそれに続く態様に関して実装することができ、その逆も可能である。
【0008】
発光及び/又は光反射装置に固定するように構成されたピボットフレーム、傾動車両のライトフィッティングに固定するように構成されたマウント、傾動車両の傾斜角(v)のセンサーデータに応答してマウントに対して相対的にピボットフレームを回転させるようにピボットフレームとマウントに取り付けられたモーターを備えることで、オートバイ、スクーター、モペットなどの車両、ATV、水上飛行機及び三輪車用の幅広いヘッドライトアセンブリへの適合又は後付けを容易にする、コンパクトで低複雑性の照明システムが提供される。
【0009】
本発明のさらに他の目的、特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明及び図面から明らかになるであろう。
【0010】
本発明の実施形態は、以下で、一例として、添付の概略図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の一実施例による照明システムの断面側面図での概略図である。
【
図2】
図2a及びbは、本開示の実施例による照明システムの断面側面図での概略図である。
【
図3】
図3a及びbは、本開示の実施例による照明システムの断面側面図での概略図である。
【
図4】
図4a及びbは、本開示の実施例による照明システムの断面側面図での概略図である。
【
図5】
図5a及びbは、本開示の実施例による照明システムの断面側面図での概略図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施例による照明システムの概略図である。
【
図7】
図7は、オートバイに取り付けられた本開示の一実施例による照明システムの概略図である。
【
図8a】
図8aは、本開示の実施例による照明システムの、斜視図での概略図である。
【
図8b】
図8bは、本開示の実施例による照明システムの、斜視図での概略図である。
【
図9】
図9は、本開示の一実施例による照明システムの、斜視図での概略説明図である。
【
図10】
図10aは、本開示の一実施例による照明システムにおける照明制御方法のフローチャートである。
図10bは、本開示の一実施例による照明システムにおける照明制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本発明の実施形態は、以下で、添付の図面を参照して、全てではないが本発明のいくつかの実施形態をより詳細に説明している。本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載された実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。
【0013】
図1は、
図7に例示されたオートバイなどの傾動車両200のための照明システム100の概略図である。照明システム100は、
図1から
図5に関連してさらに説明する通り、発光及び/又は光反射装置201,201',201''に固定するように構成されたピボットフレーム101を備える。
図1の例では、ピボットフレーム101は、光反射装置201''に固定されている。発光装置201もまた、
図1の例ではピボットフレーム101に固定されているが、
図3bは、ピボットフレーム101が発光装置201ではなく光反射装置201''に取り付けられている例を示している。
図1から
図5、
図7から
図9に模式的に示されているすべての例において、光反射装置201''及び/又は発光装置201,201'は、ピボットフレーム101に取り外し可能に取り付けられていてもよい。そのような取り外し可能な取り付けは、ねじ、スクリュー、ボルト、クランプ、コネクター、ピン、又は他の係合機構によって提供されてもよい。したがって、光反射装置201''及び/又は発光装置201,201'は、ピボットフレーム101にアタッチメントによって固定されてもよく、また、ピボットフレーム101から取り外すこともできる。以下にさらに詳細に説明するような有利な利点は、照明システム100が傾動車両200に取り付けられる前に、光反射装置201''及び/又は発光装置201,201'がピボットフレーム101に取り付けられているか否かにかかわらず、第1の態様による照明システム100によって可能になる。光反射装置201''は、所望のパターンに従って発光装置201,201からの光を指向させるための異なるタイプ及び組み合わせの反射面を備えていてもよい。光反射装置201''はまた、路面(R)上の所望の照明パターンによって発光装置201,201'からの光を投射するためのレンズ又は投射要素(図示せず)を備えていてもよい。光反射装置201''は、
図1から
図5に模式的に図示しているに過ぎず、光反射装置201''は、ピボットフレーム101に固定又は取り付け可能である一方で、様々な形状及び構成を有していてもよいことが理解されるべきである。照明システム100は、光反射装置201''の任意のそのようなバリエーションについて本開示に記載されているような有利な利点を提供する。発光装置201,201'は、LED又はレーザー光源のような発光光源、又はキセノンランプのようなガス放電ランプ、又は高輝度放電ランプ(HIDランプ)のような電気的ガス放電ランプ、又はそれらの任意の組み合わせを有していてもよい。照明システム100は、発光装置201、201'の任意のそのようなバリエーションについて、本開示に記載されているような有利な利点を提供する。
【0014】
照明システム100は、オートバイ200のような傾動車両のライトフィッティング202に固定するように構成されたマウント102を備える。
図1の例では、概略的なライトフィッティング又はコネクター202のみが示されている。マウント102は、例えば、ねじ、スクリュー、ボルト、クランプ、コネクター、ピン、又は他の係合機構を含む連結要素によって、そのようなフィッティング202と係合し、傾動車両200に対するマウント102の固定位置を提供するように構成されていてもよい。マウント102は、例えば、前述した係合機構のいずれかによって、照明システム100を傾動車両200のヘッドライトアセンブリ205のライトフィッティング202に取り外し可能に取り付けるように構成されていてもよい。マウント101は、いくつかの実施例では、ねじ切りロッドをフィッティング202の対応する雌ねじ開口部にねじ込むことによって取り付けを容易にするためのいくつかの実施例においてねじ棒を備えていてもよい。照明システム100は、広範囲のヘッドライトアセンブリ205に取り付けられ、また、運転者の安全性を向上させるために車両200に取り付けられた補助光源のような車両200上の任意の他の光源として利用され得る。本開示に記載されているような任意の複数の照明システム100は、複数のヘッドライトアセンブリ及び/又は複数の補助光源のような複数の光源と組み合わせてもよい。
【0015】
照明システム100は、マウント102及びピボットフレーム101に取り付けられたモーター103を備える。モーター103は、
図1においてモーター103における対向する複数の矢印で模式的に示されているように、マウント102に対するピボットフレーム101の相対的な回転運動を提供するように構成されている。したがって、発光装置201、201'及び/又は光反射装置201''は、マウント102に対して相対的に回転可能である。照明システム100は、モーター103と電気的に通信するコントローラー104を備える。コントローラー104は、
図7の傾いているオートバイで示されている通り、傾動車両200の傾斜角(v)のセンサーデータを受信するように構成されている。センサーデータは、オートバイの電気システム204に既に接続されているモーションセンサーコンポーネントによって提供されてもよく、及び/又はセンサーデータは、例えば
図2a及びbを参照して以下でさらに説明しているように、照明システム100に接続されたモーションセンサー106によって提供されてもよい。センサーデータは、有線接続を介して、又は様々な電磁通信周波数を介した無線データ伝送を介して、コントローラー104と通信してもよい。コントローラー104は、モーター103と一体化されていてもよく、マウン卜102又はピボットフレーム101に接続されていてもよい。あるいは、コントローラー104は、傾動車両200の任意の構成要素に取り付けられ、有線接続又は無線接続を介してモーター103と通信するように構成されていてもよい。後者の場合、モーター103は、コントローラー104から制御命令を受信するための受信機(図示せず)を備えていてもよい。したがって、コントローラー104は、傾斜角(v)に基づいて、ピボットフレーム101をマウント102に対して所望の角度に回転させるようにモーター103を制御するように構成されている。コントローラー104は、路面(R)に対するピボットフレーム101の定義されたレベル位置が維持されるように、マウント102に対するピボットフレーム101の角度を相対的に回転させるように構成されていてもよい。したがって、
図7の例では、レベル位置が、路面(R)の垂線(N)に対してv = 0度で定義されている場合、コントローラー104は、そのようなレベル位置からの逸脱を打ち消すような角度(v')でピボットフレーム101をマウント102に対して相対的に回転させるように構成されてもよく、例えば、オートバイ200がレベル位置から角度vで傾いている場合、ピボットフレーム101を角度v' = -vで回転させることによって、ピボットフレーム101をマウント102に対して相対的に回転させるように構成されていてもよい。マウント102は、オートバイ200に対して固定された関係にあると仮定される。しかしながら、コントローラー104は、例えば、オートバイ200が傾く任意の角度(v)に関してピボットフレーム101がマウント102に対して相対的に回転される角度(v')に任意のオフセット値(W)を適用する(例えば、v' = -v±W)ように構成されていてもよい。例えば、いくつかの応用又は状況では、オートバイ200の傾いた動きを過剰補償又は過小補償することが望ましい場合がある。そのような補償は、傾斜角(v)の線形又は非線形関数(f)、すなわちv'=f(v)であってもよく、ここで、関数(f)は、さらに、3次元における速度及び加速度など、傾動車両200の任意の運動特性(m)を考慮(v'=f(v,m))してもよい。したがって、コントローラー104は、所望の角度(v')を、傾斜角(v)及び傾動車両200の運動特性の関数として決定するように構成されていてもよい。また、コントローラー104が、車両200を走行させる際の環境又は周囲データ、例えば周囲光条件などの他のセンサーデータに基づいて角度v'を決定するように構成され、走行条件に対する道路の照明のさらなる最適化を提供するように構成されていてもよい。
【0016】
したがって、照明システム100をオートバイ200に取り付けると、ピボットフレーム101に取り付けられたことになる発光装置201,201'及び/又は光反射装置201''は、ピボットフレーム101の回転角度(v')に沿って回転するため、車両200の傾斜角(v)に関係なく、光パターン及び特性を運転者にとって最適化することができる。発光及び/又は光反射装置201,201',201''に固定するように構成されたピボットフレーム101と、傾動車両200のライトフィッティング202に固定するように構成されたマウント102と、傾動車両200の傾斜角(v)のセンサーデータに応答してマウント102に対してピボットフレーム101を相対的に回転させるようにピボットフレーム101及びマウント102に取り付けられたモーター103とを備えることは、少ない構成要素で特にコンパクトな照明システム100を提供することができ、これによって、様々なヘッドライトアセンブリへの適合又は後付けが容易になる。記載の通り、照明システム100は、様々な走行特性及び車両特性を考慮に入れることが可能な適応性の高い照明を提供する。
【0017】
ピボットフレーム101は、光軸203、203'に沿って光を発するように構成された発光装置201、201'に固定するように構成されていてもよい。ピボットフレーム101は、ピボット軸105を中心にマウント102に対して相対的に回転可能に構成されていてもよい。
図1及び
図4aの例では、発光装置201の光軸203及びピボットフレーム101のピボット軸105が図示されている。ピボット軸105は、
図1及び4aにさらに図示されているように、光軸203と平行であってもよい。これによって、様々な運転条件にわたって光パターンの効果的な操作がもたらされる一方で、様々なヘッドライトアセンブリへの適合又は後付けが容易になる。
【0018】
光軸203は、
図1に例示されるように、ピボット軸105と実質的に同心であってもよい。これにより、ピボット軸105に対して垂直な方向の設置面積が最小化されたコンパクトな照明システム100が提供される。これは、取り付けスペースが限られている小型ヘッドライトアセンブリにおいて特に有利となり得る。
【0019】
別の例では、
図4a及びbに示されるように、光軸203、203'は、ピボット軸105からピボット軸105に垂直な方向にオフセット距離(d
1、d
2)でオフセットされている。
図4aに例示されるように、オフセットされた光軸203を提供することによって、上で説明したような照明システム100の適応可能な照明を、様々な光学構成及びヘッドライトアセンブリに利用することが可能になる。これによって、そのような適応可能な照明のために、複数の発光装置201,201'を利用することも容易になる。これは、
図4bに例示しており、2つの発光装置201、201'及び関連する光軸203、203'は、ピボット軸105からオフセット距離(d
1、d
2)でそれぞれ配置されている。任意の複数の発光装置201、201'をこのように利用してもよい。
【0020】
前述の例では、光軸203、203'は、ピボット軸105と平行に配置されているが、いくつかの応用では、光軸203、203'をピボット軸105から角度をつけて配置することが有利となる場合がある。
【0021】
照明システム100は、傾動車両200の傾斜角(v)を検出し、センサーデータをコントローラー104に送信するように構成されたセンサー106を備えていてもよい。センサー106は、照明システム100と一体化されていてもよく、これによって、既存のヘッドライトアセンブリへの容易な後付けがもたらされるとともに、照明システム100をよりコンパクト且つ堅牢にすることが可能になる。センサー106は、
図2a及びbに示すように、ピボットフレーム101又はマウント102に取り付けられることによって、照明システム100と一体化されていてもよく、モーター103自体に取り付けられていてもよい。照明システム100と一体化されているセンサー106は、センサーデータをコントローラー104に提供する専用のセンサー106と通信するコントローラー104と見なしてもよく、それによって、標準的な非適応型照明と照明システム100との交換が容易になる。
【0022】
センサー106は、
図2aの例で模式的に示されているように、ピボットフレーム101に取り付けられてもよい。これによって、上で説明している通り、コンパクトな照明システム100が提供され、後付けが容易になる。センサー106をピボットフレーム101に取り付けることは、マウント102の周りで利用可能なスペースが限られている設置において特に有利となり得る。したがって、センサー106は、ピボットフレーム101と一緒に回転してもよい。これによって、センサー106を定義された水準に維持され得るため、いくつかの状況においてセンサー106の性能が改善され得る。センサー106は、傾斜角(v)の検出に加えて、周囲センサー、又は速度及び加速度の検出のためのセンサーのような複数のセンサーで構成されていてもよい。このようなセンサーの性能は、車両200の走行中にセンサーが水準を維持していれば、いくつかの応用において改善され得る。したがって、コントローラー104と通信しているセンサー106は、その現在の傾斜角を所望の角度、例えば水平位置と比較し、センサー106が所望の角度に対応する位置をとるように、ピボットフレーム101及びそれに取り付けられたセンサー106を回転させるようにモーター103に指示を送るように構成されていてもよい。
【0023】
あるいは、
図2bに模式的に示すように、センサー106をマウント102に取り付けてもよい。また、センサー106は、モーター103と一体的に、ピボットフレーム101と一体的に回転する部分に取り付けてもよく、マウント102と一体的に回転する部分に取り付けてもよい。
【0024】
図3bに模式的に図示されているように、マウント102は、発光装置201に取り付けるように構成されたコネクター107を備えていてもよい。コネクター107は、発光装置201から、車両200のフィッティング202と係合するマウント102の部分まで延在している。したがって、この例では、発光装置201は、車両200に対して固定された位置を有する。ピボットフレーム101は、光反射装置201''に固定するように構成されている。したがって、光反射装置201''は、モーター103によって発光装置201に対して相対的に回転可能である。これによって、照明システム100をそこに取り付けるか、又は後付けする際に、いくつかのヘッドライトアセンブリとの統合が容易になる。固定した発光装置201は、例えば、車両200の電気システムへの電気接続を容易になる場合がある。
【0025】
コネクター107は、
図3bに例示されるように、ピボットフレーム101のピボット軸105と同心に配置されていてもよい。これにより、上述したようなコンパクトな照明システム100が提供される。
【0026】
照明システム100は、
図4bの例に示すように、ピボットフレーム101に固定された第2の発光装置201'を備えていてもよい。任意の複数の発光装置201,201'は、上述したように、ピボットフレーム101に固定されていてもよいことが理解される。
【0027】
照明システム100は、光反射装置201''を備えていてもよい。光反射装置201''は、ピボットフレーム101に取り付けられている。光反射装置201''は、ピボットフレーム101と一体化されていてもよく、これにより、特に堅牢でコンパクトな照明システム100が提供され得る。ピボットフレーム101は、発光装置201,201'に固定するように構成されていてもよい。発光装置201、201'及び光反射装置201''は、このように、モーター103によってマウント102に対して相対的に回転可能である。
【0028】
照明システム100は、上述したように、
図1に模式的に示しているように、センサーデータを受信し、電気システム204とコントローラー104との間の通信のために、傾動車両200の電気システム204に接続するように構成された電気接続インターフェース108を備えていてもよい。したがって、センサーデータは、車両200の電気システム204に既に接続されているセンサーを介して受信されてもよい。
【0029】
電気接続インターフェース108はまた、電気システム204と発光装置201,201'との間の通信を可能にするように、すなわち、発光装置201,201'への電力を制御するように構成されてもよい。一例では、コントローラー104は、発光装置201、201'への出力電力を制御するように、例えば、センサーデータに依存して光の量を変化させるように構成されていてもよい。例えば、オートバイが道路のカーブで傾いたときに瞬間的に光出力を増加させることが望ましい場合がある。したがって、コントローラーは、傾斜角(v)に基づいて、発光装置201、201'への出力を制御するように構成されていてもよい。
【0030】
図6は、一実施例による照明システム100の概略図である。センサー106及びモーター104は、コントローラー104と通信している。電気接続インターフェース108は、コントローラー104及び/又は発光装置201,201'との電気的な通信を可能にするために、傾動車両200の電気システム204に接続してもよい。また、コントローラー104は、上述したように、発光装置201,201'と通信してもよい。
【0031】
モーター103は、ピボットフレーム101に対して同心に配置されていてもよい。ピボットフレーム101のピボット軸105に対して垂直な方向におけるモーター103の幅(W1)は、ピボットフレーム101に接続された発光装置201及び/又はピボットフレーム101の幅(W2)よりも最大で50%広くてもよい。これにより、様々なヘッドライトアセンブリ205への一体化が容易となるコンパクトな照明システム100が提供される。
【0032】
モーター103の幅(W
1)は、ピボットフレーム101のピボット軸105に対して垂直な方向において、ピボットフレーム101に接続された発光装置201及び/又はピボットフレーム101の幅(W
2)に実質的に対応していてもよく、それよりも小さくてもよい。
図5bの例では、モーター103の幅(W
1)は、ピボットフレーム101及び/又は発光装置201の幅(W
2)に実質的に対応している。これよって、様々なヘッドライトアセンブリ205への組み込みが特に容易になる。したがって、照明システム100は、ヘッドライトアセンブリ205内の標準光源を取り外し、照明システム100のマウント102を標準光源フィッティング202内に接続することにより、標準的な非適応型照明を容易に置き換えることができる。モーター103の幅は、一実施例では、そのような容易な後付けのために、又は様々なコンパクトヘッドライトアセンブリ205の製造における容易な一体化のために、最大で30mmであってもよい。
【0033】
モーター103は、ジンバルモーターであってもよい。マウント102とピボットフレーム101とを接続するために、ステッピングモーターやサーボモーターなど、様々なタイプのモーター103が配置されていてもよい。モーター103は、迅速な応答と回転方向の瞬時の変化に最適化されたブラシレスモーターであってもよい。照明システム100によって実現されるコンパクトな配置によって、特に光軸203がピボット軸105と整列配置している例では、必要なトルク、すなわちピボット運動のためにモーター103が引っ張る必要がある荷重を最小化することが可能になる。これにより、コンパクトなジンバルモーター103を使用することが可能となり、照明システム100のコンパクト性がさらに向上する。ジンバルモーター103は、車両200のレベル調整に関連する定義された角度間隔内で迅速且つ正確に応答するように最適化されてもよい。
【0034】
照明システム100は、発光装置201,201'を備えていてもよい。発光装置201,201'は、ピボットフレーム101に取り付けられ、ピボットフレーム101に取り付けられた電気コネクターを介して電気接続インターフェース108と電気的に通信してもよい。発光装置201、201'は、車両204の電気システム204に接続された接続インターフェース108に恒久的に接続された、ピボットフレーム101に取り付けられた長寿命の光源(例えば、LED)であってもよい。これにより、特定のコンパクト且つ軽量な照明システム100が提供される。しかしながら、そのような発光装置201、201'及びその接続インターフェース108は、異なる照明レベル出力を有する例えばLEDへの容易な交換を可能にするために、ピボットフレーム101に取り外し可能に取り付けられていてもよい。一例では、発光装置201、201'は、ピボットフレーム101に取り付けられた電気コネクターのソケットに接続するように構成された光源を備え、この場合、発光装置201、201'は、そのような電気ソケットに取り外し可能に取り付けられる。
【0035】
図8a-bは、照明システム100のさらなる例を示す図である。例えば、
図8aは、車両200の対応するフィッティング202に固定するためのねじ棒を備えるマウント102を示している。マウント102は、モーター103に連結され、その片方がピボットフレーム101に連結されている。モーター103の回転可能な内部103'が示されている。反射器201''は、マウント102に対する反射器201''の相対的な回転を可能にするようにピボットフレーム101に取り付けられている。電気接続インターフェース108のワイヤーは、マウント102を介して、すなわち棒の内部に配置されている。マウント102、モーター103、及びピボットフレーム101のコンパクトな配置は、既存の様々なヘッドライトアセンブリへの照明システム100の取り付けを容易にする。マウント102は、様々なオートバイ200に適合するように変化させてもよい。
図8bは、
図8aの図示と比較して、反射器201''がマウント102に対してわずかに回転された照明システム100の別の図を示す。要素201''は、反射器又は光反射装置201''と称されるが、様々な外部ハウジング構成要素を配置して光反射装置201''の実際の光指向要素を囲んでもよいことが理解されるだろう。
図8a及びb及び
図9は、そのようなハウジング構成要素の例を示している。
図9の図は、照明システム100を取り付け可能なヘッドライトアセンブリ205のハウジングの例を示している。マウント102は、照明システム100の確実な装着を容易にするように配置されたプレート102'を備えていてもよい。上述したように、光反射装置201''は、発光装置201,201'からの光を所望の照明パターンで路面に向けるための任意の反射部材又は光学部材を備えていてもよい。光反射装置201''は、例えば、
図9の視点で図示されているように、レンズ又は光投射要素201aを備えていてもよい。それらは、適切に、上述したようにマウント102に対して相対的に回転する。
【0036】
図10aは、傾動車両200のための照明システム100における照明制御方法300のフローチャートである。照明システム100は、発光及び/又は光反射装置201,201',201''に固定するように構成されたピボットフレーム101と、傾動車両200のライトフィッティング202に固定するように構成されたマウント102と、ピボットフレーム101及びマウント102に取り付けられたモーター103とを備えている。モーター102は、上で説明したように、マウント102に対するピボットフレーム101の相対的な回転運動を提供するように構成されている。方法300は、傾動車両200の傾斜角(v)のセンサーデータを受信する受信工程301と、傾斜角(v)に基づいてマウント101に対してピボットフレーム101を所望の角度(v')に相対的に回転させる回転工程302と、を有する。このようにして、方法300は、照明システム100及び
図1から
図9について上述したような有利な利点がもたらされる。
【0037】
図10bは、傾動車両200のための照明を提供する方法400のフローチャートである。方法400は、発光及び/又は光反射装置201、201'、201''に固定するように構成されたピボットフレーム101と、傾動車両200のライトフィッティング202に固定するように構成されたマウント102と、ピボットフレーム101及びマウント102に取り付けられたモーター103とを備える照明システム100を提供する提供工程401を有する。モーター103は、マウント102に対するピボットフレーム101の回転運動を提供するように構成されている。方法400は、傾動車両200のライトフィッティング202にマウントを固定する固定工程402を有する。方法400は、コントローラー104と通信して、及び/又は発光装置201、201'と通信して、電気接続インターフェース108を傾動車両200の電気システム204に接続する接続工程403を有する。コントローラー104は、傾動車両200の傾斜角(v)のセンサーデータに基づいて、マウント102に対して相対的にピボットフレーム101を所望の角度(v')に回転させるようにモーター103を制御するように構成されている。
【0038】
以上の説明から、本発明の様々な実施形態を記載し、示してきたが、本発明は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲に定義される主題の範囲内で他の態様でも具現化され得る。