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特許7399900データ処理システム、データ処理方法及びデータ処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】データ処理システム、データ処理方法及びデータ処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0633 20230101AFI20231211BHJP
   G06Q 10/10 20230101ALI20231211BHJP
【FI】
G06Q10/0633
G06Q10/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021012502
(22)【出願日】2021-01-28
(65)【公開番号】P2022115749
(43)【公開日】2022-08-09
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松代 紘生
(72)【発明者】
【氏名】中村 真一
(72)【発明者】
【氏名】増山 信吾
(72)【発明者】
【氏名】真野 敦美
【審査官】中野 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-181598(JP,A)
【文献】特開2013-045263(JP,A)
【文献】国際公開第2008/146341(WO,A1)
【文献】特開2017-199075(JP,A)
【文献】特開2005-141423(JP,A)
【文献】特開2001-229315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
業務の連鎖をモデルとして管理するモデル管理部と、
前記業務の実施履歴を案件データとして管理する案件データ管理部と、
前記業務の実行者に役割を割り当てて管理する役割管理部と、
前記役割に対してアクセス権限を設定してアクセス権限情報を生成するアクセス権限設定部と、
前記実行者に割り当てられた役割に基づいて前記アクセス権限情報を参照し、前記アクセス権限情報により許可された操作を受け付けるアクセス制御部と、
前記業務の実行者に対して前記案件データに係る操作画面を提供する画面制御部と、
所定の設定情報から、前記操作画面の構成を示す画面構成情報を生成する画面構成情報生成部と、
前記所定の設定情報から、前記操作画面に表示される項目と当該項目の参照先とを対応づけたビュー情報を生成するビュー情報生成部と、
を備え、
前記アクセス権限設定部は、前記役割に対して機能ごとのアクセス権限を設定した機能アクセス権限情報と、前記役割に対して前記業務ごとのアクセス権限を設定した業務アクセス権限情報とを生成し、
前記アクセス制御部は、前記業務アクセス権限情報と前記機能アクセス権限情報の双方で許可された操作を受け付け、
前記画面制御部は、前記実行者からのアクセスを受け付けた場合に、前記画面構成情報を参照して前記操作画面を生成し、
前記案件データ管理部は、前記操作画面に表示された項目について、前記ビュー情報により参照先を決定する
ことを特徴とするデータ処理システム。
【請求項2】
前記アクセス制御部は、各案件について、実施済の業務は参照を許可し、実施前の業務は参照とデータ投入を許可し、未到達の業務は参照とデータ投入を禁止することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項3】
前記画面構成情報は、前記案件データに含まれるデータに対応する項目と、前記実行者から受け付ける操作に対応する項目とを含むことを特徴とする請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項4】
前記モデル管理部は、患者からのサンプルの採取業務、前記サンプルの輸送業務、前記サンプルを用いた薬剤の生成業務、前記薬剤の輸送業務、前記薬剤の投与業務を含む業務の連鎖についてモデルを管理することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項5】
コンピュータが、
業務の連鎖をモデルとして管理するモデル管理ステップと、
前記業務の実施履歴を案件データとして管理する案件データ管理ステップと、
前記業務の実行者に役割を割り当てて管理する役割管理ステップと、
前記役割に対してアクセス権限を設定してアクセス権限情報を生成するアクセス権限設定ステップと、
前記実行者に割り当てられた役割に基づいて前記アクセス権限情報を参照し、前記アクセス権限情報により許可された操作を受け付けるアクセス制御ステップと、
所定の設定情報から、前記案件データに係る操作画面の構成を示す画面構成情報を生成する画面構成情報生成ステップと、
前記所定の設定情報から、前記操作画面に表示される項目と当該項目の参照先とを対応づけたビュー情報を生成するビュー情報生成ステップと、
前記業務の実行者に対して前記操作画面を提供する画面制御ステップと、
を含み、
前記アクセス権限設定ステップは、前記役割に対して機能ごとのアクセス権限を設定した機能アクセス権限情報と、前記役割に対して前記業務ごとのアクセス権限を設定した業務アクセス権限情報とを生成し、
前記アクセス制御ステップは、前記業務アクセス権限情報と前記機能アクセス権限情報の双方で許可された操作を受け付け、
前記画面制御ステップは、前記実行者からのアクセスを受け付けた場合に、前記画面構成情報を参照して前記操作画面を生成し、
前記案件データ管理ステップは、前記操作画面に表示された項目について、前記ビュー情報により参照先を決定する
を含むことを特徴とするデータ処理方法。
【請求項6】
コンピュータに、
業務の連鎖をモデルとして管理するモデル管理ステップと、
前記業務の実施履歴を案件データとして管理する案件データ管理ステップと、
前記業務の実行者に役割を割り当てて管理する役割管理ステップと、
前記役割に対してアクセス権限を設定してアクセス権限情報を生成するアクセス権限設定ステップと、
前記実行者に割り当てられた役割に基づいて前記アクセス権限情報を参照し、前記アクセス権限情報により許可された操作を受け付けるアクセス制御ステップと、
所定の設定情報から、前記案件データに係る操作画面の構成を示す画面構成情報を生成する画面構成情報生成ステップと、
前記所定の設定情報から、前記操作画面に表示される項目と当該項目の参照先とを対応づけたビュー情報を生成するビュー情報生成ステップと、
前記業務の実行者に対して前記操作画面を提供する画面制御ステップと、
を実行させ、
前記アクセス権限設定ステップは、前記役割に対して機能ごとのアクセス権限を設定した機能アクセス権限情報と、前記役割に対して前記業務ごとのアクセス権限を設定した業務アクセス権限情報とを生成し、
前記アクセス制御ステップは、前記業務アクセス権限情報と前記機能アクセス権限情報の双方で許可された操作を受け付け、
前記画面制御ステップは、前記実行者からのアクセスを受け付けた場合に、前記画面構成情報を参照して前記操作画面を生成し、
前記案件データ管理ステップは、前記操作画面に表示された項目について、前記ビュー情報により参照先を決定する
ことを特徴とするデータ処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理システム、データ処理方法及びデータ処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザによる操作を受け付ける画面を生成するため、特開2020-00922号公報(特許文献1)に記載の技術がある。この公報には、「ユーザ固有の紙書式の帳票を画像データとして取り込み、帳票データ入力画面や承認対象の申請書などの表示画面における背景画面として使用し、その背景画面に合わせて入力領域や捺印表示欄などからなるGUI(Graphical User Interface)を構築する編集機能を有するので、ユーザが所望する画面表示に設定できることから、紙書式の帳票から電子化することへのユーザの違和感が少なくスムーズに電子化へ移行できる」という記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-00922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、紙書式の帳票を電子化することができるが、複数のユーザが複雑に関与するシステムで操作画面を生成することは想定されていない。
【0005】
例えば、供給に係る業務の連鎖であるサプライチェーンでは、業務ごとに関与するユーザが異なり、投入を求めるデータや閲覧を許可するデータがそれぞれ異なる。このような複雑なシステムにおいて、業務の数だけ操作画面を実装することは多大な労力を要し、また、各操作画面で参照先のテーブルを逐一指定するのは煩雑である。
【0006】
そこで、本発明では、複数の業務に関する操作画面を効率的に生成するデータ処理システム、データ処理方法及びデータ処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、代表的な本発明のデータ処理システム、データ処理方法及びデータ処理プログラムの一つは、供給に係る業務の連鎖をモデルとして管理し、前記供給に係る業務の実施履歴を案件データとして管理し、前記業務の実行者に対して前記案件データに係る操作画面を提供し、所定の設定情報から、前記操作画面の構成を示す画面構成情報を生成し、前記所定の設定情報から、前記操作画面に表示される項目と当該項目の参照先とを対応づけたビュー情報を生成する。そして、前記実行者からのアクセスを受け付けた場合に、前記画面構成情報を参照して前記操作画面を生成し、前記操作画面に表示された項目について、前記ビュー情報により参照先を決定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の業務に関する操作画面を効率的に生成することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例に係る操作画面の生成の説明図。
図2】ワークフロー画面の生成の説明図。
図3】データタイプの具体例。
図4】案件の進捗と権限による表示態様の制御についての説明図。
図5】ビュー情報と操作画面の具体例。
図6】実施例に係るシステムを実現するコンピュータの構成図。
図7】データの具体例についての説明図。
図8】案件の状態表示に係る処理手順を示すフローチャート。
図9】業務の詳細表示に係る処理手順を示すフローチャート。
図10】参照系の処理手順を示すフローチャート。
図11】入力系の処理手順を示すフローチャート。
図12】業務画面へのアクセス制御についての説明図。
図13】個別案件トップ画面の具体例。
図14】ワークフロー画面の自動生成の具体例。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施例を図面を用いて説明する。
【実施例
【0011】
図1は、実施例に係る操作画面の生成の説明図である。本実施例では、供給に係る業務の連鎖であるサプライチェーン、特に再生医療等製品のサプライチェーンの管理を行うシステムにおいて、業務の状態を示すワークフロー画面を例に説明を行う。
【0012】
図1に示すサプライチェーンでは、業務Aと業務Bを順次実行して得られた物品に対し、業務Cと業務Dを実行する。業務は、例えば、患者からのサンプルの採取業務、サンプルの輸送業務、サンプルを用いた薬剤の生成業務、薬剤の輸送業務、薬剤の投与業務などである。また、物品は、その時点のサンプルや薬剤である。このシステムでは、業務と物品をノードとし、ノードをリンクで接続したモデルにより、サプライチェーンを管理している。そして、各ノードに実施の履歴等を関連付けることで、案件ごとの進捗状況を案件データとして管理する。
【0013】
さらに、本システムでは、各業務について項目設定を受け付け、項目設定からワークフロー画面とビュー情報を生成する。項目設定は、その業務に関する項目と、項目のデータタイプを示すものであり、特許請求の範囲における所定の設定情報に対応する。
【0014】
ワークフロー画面は、業務の実行者に対して提供される操作画面であり、項目設定から画面の構成が自動で生成される。
ビュー情報は、ワークフロー画面に表示される項目と当該項目の参照先とを対応付けた仮想的なテーブルであり、項目設定から自動で生成される。
【0015】
実行者からのアクセスを受け付けた場合には、本システムは、ワークフロー画面を自動的に生成して表示し、ワークフロー画面に表示された項目について、ビュー情報により参照先を決定することになる。
【0016】
このように操作画面を自動生成するため、ワークフローの業務の数だけ画面を実装する必要はなく、実装コストを大幅に削減することができる。また、他のシステムへの展開も容易である。そして、自動生成したビュー情報により参照先のテーブルを特定可能であり、ワークフロー画面はビュー情報を介してデータを読み書きするので、ワークフロー画面でテーブル構造を意識する必要はない。
【0017】
図2は、ワークフロー画面の生成の説明図である。図2では、業務Bの項目B1~B3について、項目B1と項目B2のデータタイプを文字列と指定し、項目B3のデータタイプを整数と指定している。システムは、あらかじめ一通りのデータタイプを定義し、コンポーネントを実装しており、項目設定で指定されたデータタイプに連動して自動でコンポーネントを選択し、画面に表示する。
【0018】
このため、項目B1と項目B2は、データタイプ「文字列」のコンポーネントを用いてテキスト入力を受け付け、項目B3はデータタイプ「整数」のコンポーネントを用いて整数の入力と増減の操作を受け付けることになる。
【0019】
図3は、データタイプの具体例である。図3に示すように、データタイプには、参照、文字列、日付、整数、論理値などが含まれる。これらの項目は、案件データに含まれるデータに対応する項目であり、案件データのテーブルから読み出して表示され、入力された値は案件データのテーブルに書き込まれる。
【0020】
また、案件データに含まれるデータの他、前記実行者から受け付ける操作に対応する項目などをデータタイプに含めることもできる。例えば、入力した項目の値をデータに反映させる登録の操作ボタンや、承認や発番の操作ボタン、ファイルのアップロードの操作ボタンなどがデータタイプに含まれてもよい。
【0021】
図4は、案件の進捗と権限による表示態様の制御についての説明図である。サプライチェーンのモデルをノードとエッジを組み合わせたモデルとして表示する場合や、業務の一覧を表示する場合には、案件の進捗と権限による表示態様に応じて業務に係る表示態様を異ならせることが望ましい。
【0022】
案件の進捗は、業務のステータス(未到達、実施前/実施中、実施済など)によって示される。権限は、各業務についてリードのみの許可(R)、リードライトの許可(RW)、リードもライトも禁止(D)などにより指定される。
【0023】
図4の例では、リードもライトも禁止された業務、すなわちアクセス権の無い業務は、非表示に設定されている。また、未到達の業務についてRW又はRの権限があれば、業務自体は表示するが、詳細への推移を行わない非アクティブとする。
【0024】
実施済の業務についてRW又はRの権限があれば、業務は表示し、詳細への推移が可能なアクティブとする。このとき、詳細へ推移しても、項目のライトは禁止する。実施前/実施中の業務についてRWの権限があれば、アクセスした者が当該業務の実行者であって、当該業務を実施可能かつ実施が完了していない実施前の状態であるため、詳細への推移が可能なアクティブとし、ライトを許可する。実施前/実施中の業務についてRの権限があれば、アクセスした者は当該業務の実行者ではなく、他の実行者による実施が行われている実施中の状態であるため、業務自体は表示するが、詳細への推移を行わない非アクティブとする。
【0025】
図5は、ビュー情報と操作画面の具体例である。図5では、発注承認業務用の発注承認viewに、発注品、数量、発注者、発注承認者、コメントの項目が含まれている。これらの項目のうち、発注品、数量、発注者は、発注承認業務よりも前の業務である発注申請業務において入力され、発注申請tableに登録されている。そして、発注承認者とコメントの項目は、発注承認業務で新規に入力する項目であり、発注承認tableに登録されることになる。
【0026】
発注承認画面では、各項目は、発注承認viewを介して読み書きが行われる。発注品、数量及び発注者は、以前の業務で入力された値となるので、リードのみが許可され、発注承認者及びコメントはライトが許可される。また、発注承認画面には、発注承認者及びコメントに入力した項目を確定する「承認」の操作ボタンが設けられている。
【0027】
図6は、本実施例に係るシステムを実現するコンピュータの構成図である。図2に示したコンピュータ10は、インタフェース部21、制御部22及び記憶部23を有する。
【0028】
インタフェース部21は、例えば通信ネットワークを介して操作者からの入力を受け付け、操作者に対する操作画面を提供する。操作者には、サプライチェーンのモデルを構築する構築者、アクセス制限の設定などを行う運用者、サプライチェーンに含まれる業務を実行する実行者が含まれる。
インタフェース部21は、構築者、運用者、実行者とのそれぞれに対し、個別に設けられた操作画面を提供することができる。
【0029】
制御部22は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、図示しないメモリにプログラムを展開して実行することにより、各種機能を実現する。記憶部23は、磁気記憶デバイスなどの記憶媒体であり、各種データの格納に用いられる。
【0030】
制御部22は、具体的には、モデル管理部31、役割定義部32、画面構成情報生成部33a、ビュー情報生成部33b、役割管理部34、機能アクセス権限設定部35、業務アクセス権限設定部36、画面制御部37、アクセス制御部38及び案件データ管理部39として動作する。
【0031】
記憶部23は、サプライチェーンのモデルを示すモデルデータ41、システムにアクセスするユーザを登録したユーザデータ42、画面構成情報43a、ビュー情報43b、ユーザに役割(ロール)を割り当てた役割設定データ44、ロールに対して機能ごとのアクセス権限を設定した機能アクセス権限データ45、ロールに対して業務ごとのアクセス権限を設定した業務アクセス権限データ46、案件ごとの業務や物品に関する情報である案件データ47などを保持する。
【0032】
モデル管理部31は、サプライチェーンのモデルを生成し、モデルデータ41として記憶部23に格納して管理する。
役割定義部32は、ユーザに対して割り当てることのできる役割(ロール)を定義する。ロールは、例えば医師、医療スタッフ、輸送担当者、製薬技術者などである。
【0033】
画面構成情報生成部33aは、所定の設定情報から、操作画面の構成を示す画面構成情報を生成する。この画面構成情報は、案件データに含まれるデータに対応する項目と、実行者等から受け付ける操作に対応する項目とを含むことができる。
【0034】
ビュー情報生成部33bは、前記所定の設定情報から、前記操作画面に表示される項目と当該項目の参照先とを対応づけたビュー情報を生成する。
【0035】
役割管理部34は、業務の実行者を含むユーザに役割を割り当てて役割設定データ44を生成し、記憶部23に登録する。
機能アクセス権限設定部35は、役割(ロール)に対して機能ごとのアクセス権限を設定して機能アクセス権限データ45を生成し、記憶部23に格納する。具体的には、機能ごとにAPIを用意し、各APIでロールに対するアクセス権限を設定すればよい。
業務アクセス権限設定部36は、役割(ロール)に対して業務ごとのアクセス権限を設定して業務アクセス権限データ46を生成し、記憶部23に格納する。
【0036】
画面制御部37は、業務の実行者などに対して案件データに係る操作画面を提供する。具体的には、画面制御部37は、実行者からのアクセスを受け付けた場合に、画面構成情報を参照して自動的に操作画面を生成して提供する。
アクセス制御部38は、業務の実行者などのユーザからアクセスを受け付けた場合に、当該ユーザに割り当てられたテナントとロール、案件の進捗状況に基づいてアクセス制御を行う。
案件データ管理部39は、サプライチェーンの業務の実施履歴を案件データ47に登録して管理する。このとき、案件データ管理部39は、操作画面に表示された項目について、ビュー情報により参照先を決定する。
【0037】
アクセス制御部38は、具体的には、各案件について、実施済の業務は参照を許可し、実施前/実施中の業務は参照とデータ投入を許可し、未到達の業務は参照とデータ投入を禁止する。
また、アクセス制御部38は、機能アクセス権限データ45と業務アクセス権限データ46の双方で許可された操作を受け付ける。
【0038】
コンピュータ10は、業務の実行者に役割(ロール)を割り当てて管理している。例えば、システムにおける機能ごとにAPIを用意すれば、各APIでロールに対するアクセス権限を設定することにより、ロールに対して機能ごとのアクセス制御を実現することができる。このようにAPI単位でのアクセス制御を便宜上、APIベースアクセスコントロール(ACL)という。
【0039】
APIベースアクセスコントロールのみでは、どの業務に対しても同一のアクセス権限が与えられてしまう。そこで、コンピュータ10は、ロールに対して業務ごとのアクセス権限をさらに設定し、機能と業務に基づくアクセス制御を行っている。業務に基づくアクセス制御を、便宜上、プロセスベースアクセスコントロールという。
【0040】
図7は、データの具体例についての説明図である。
図7に示すユーザデータ42は、ユーザを識別するユーザIDに、名前などの情報を対応付けている。
図7に示す役割設定データ44は、ユーザIDに役割(ロール)を特定するロールIDを対応付けている。
図7に示す機能アクセス権限データ45は、機能を特定する機能IDに、ロールID及び権限を対応付けている。権限は、リードのみの許可(R)、リードライトの許可(RW)、リードもライトも禁止(D)などにより指定される。
図7に示す業務アクセス権限データ46は、業務を特定する業務IDに、ロールID及び権限を対応付けている。権限は、リードのみの許可(R)、リードライトの許可(RW)、リードもライトも禁止(D)などにより指定される。
【0041】
図8は、案件の状態表示に係る処理手順を示すフローチャートである。アクセス制御部38は、案件を選択すると(ステップS101)、選択した案件についてユーザがアクセス権を有する業務の一覧を取得する(ステップS102)。
【0042】
アクセス制御部38は、取得した業務の各々について、ステップS104~S109を繰り返す(ステップS103)。
【0043】
ステップS104では、アクセス制御部38は、選択した業務まで処理が到達しているか否かを判定する。到達していれば(ステップS104;Yes)、アクセス制御部38は、ステップS105に移行する。また、到達していなければ(ステップS104;No)、ステップS107に移行する。
【0044】
ステップS105では、アクセス制御部38は、選択した業務が実施済であるか否かを判定する。実施済であれば(ステップS105;Yes)、アクセス制御部38は、ステップ109に移行する。実施済でなければ(ステップS105;No)、アクセス制御部38は、ステップS106に移行する。
【0045】
ステップS106では、アクセス制御部38は、アクセス権を判別する。アクセス権がRWであれば、アクセス制御部38は、ステップS108に移行する。アクセス権がRであれば、アクセス制御部38は、ステップS107に移行する。
【0046】
ステップS107では、アクセス制御部38は、選択中の業務を非アクティブで表示する。
ステップS108では、アクセス制御部38は、選択中の業務をアクティブで表示し、ライトを許可する。
ステップS109では、アクセス制御部38は、選択中の業務をアクティブで表示し、リードのみを許可する。
そして、取得した全ての業務についてステップS103~109を実行した後、アクセス制御部38は、図8の処理手順を終了する。
【0047】
図9は、業務の詳細表示に係る処理手順を示すフローチャートである。画面制御部37は、業務を選択すると(ステップS201)、選択した業務の画面構成情報43aを取得する(ステップS202)。
【0048】
画面制御部37は、取得した画面構成情報43aに含まれる項目の各々について、ステップS204~S207を繰り返す(ステップS203)。
【0049】
ステップS204では、画面制御部37は、選択した項目とコンポーネントをマッチングし、ステップS205に移行する。
ステップS205では、画面制御部37は、業務の状態が実施前であるか否かを判定する。業務の状態が実施前であれば(ステップS205;Yes)、画面制御部37は、ステップS206に移行する。業務の状態が実施前でなければ(ステップS205;No)、画面制御部37は、ステップS207に移行する。
【0050】
ステップS206では、画面制御部37は、項目に対応するコンポーネントを入力系で描画する。
ステップS207では、画面制御部37は、項目に対応するコンポーネントを参照系で描画する。
そして、画面の全ての項目についてステップS203~207を実行した後、アクセス制御部38は、図9の処理手順を終了する。
【0051】
図10は、参照系の処理手順を示すフローチャートである。案件データ管理部39は、まず、選択中の案件の案件IDを取得し(ステップS301)、参照先のviewとカラムを取得する(ステップS302)。その後、案件IDをキーとして参照先を特定し(ステップS303)、参照先から最新データを取得して(ステップS304)、処理を終了する。
【0052】
図11は、入力系の処理手順を示すフローチャートである。案件データ管理部39は、登録操作を受け付けると(ステップS401)、画面に入力されたデータを取得し(ステップS402)、viewにデータを登録する(ステップS403)。その後、案件データ管理部39は、業務実施完了イベントを発行し(ステップS404)、処理を終了する。
【0053】
図12は、業務画面へのアクセス制御についての説明図である。まず、ユーザは、ワークフローシステムの個別案件トップ画面にアクセスする(1)。個別案件トップ画面は、ワークフローシステムにおいて、業務画面アプリケーションの画面表示プログラムにより提供される。
【0054】
画面表示プログラムは、アクセス権判定プログラムからアクセス可能な業務を取得し、
業務画面へのリンクの活性制御を行う(2)。
【0055】
このとき、業務画面アプリケーションに含まれる業務情報一覧表示プログラムは、モデル管理データ群の業務権限テーブルにアクセスし、業務とその業務へのアクセス権限の一覧を取得する(3)。
また、業務画面アプリケーションに含まれる業務ベース権限絞込プログラムは、R又はRWの権限が与えられた業務を絞り込む(4)。
また、業務画面アプリケーションに含まれる業務状態取得プログラムは、モデル管理データ群のグラフデータベースにアクセスし、各業務の状態を取得する(5)。
また、業務画面アプリケーションに含まれる業務状態による絞込プログラムは、実施可、実施待ち又は実施済の業務を絞り込む(6)。
【0056】
画面表示プログラムは、アクセス権限判定プログラムによる判定の結果、アクセス可能な業務へのリンクだけが活性化された状態で業務メニューとサプライチェーンモデルを表示する(7)。
【0057】
図13は、個別案件トップ画面の具体例である。図13に示した個別案件トップ画面では、左の表示領域に業務の一覧を表示し、右側の表示領域にモデルを表示している。
【0058】
具体的には、左側の表示領域は、ユーザのロールに対してアクセスが許可された業務を一覧表示している。この一覧において、業務の実施の状況に応じて表示態様を変化させる、詳細画面へのリンクを設ける、などの処理を行ってもよい。
【0059】
右側の表示領域は、サプライチェーン全体をノードとリンクによりグラフ表示し、各ノードについて実施の状況を表示態様の違いで示している。表示態様の違いとしては、色、パターン、形状、大きさなどの違いを用いることができる。図13では、実施済を示す表示態様が白抜きの一重丸、実施前/実施中が白抜きの二重丸、未到達が斜線パターンの一重丸である。実施済みと実施前/実施中のノードには、詳細画面へのリンクが設けられている。
【0060】
図14は、ワークフロー画面の自動生成の具体例である。まず、初期設定として、項目設定が読み込まれ、業務のビュー情報と画面構成情報が自動生成されている。
図14では、ユーザは、ワークフローシステムの業務Bの画面にアクセスしている(1)。業務Bの画面は、ワークフローシステムにおいて、業務画面アプリケーションの業務画面表示プログラムにより提供される。
【0061】
業務画面表示プログラムは、モード変更プログラムに表示モードの切替を行わせる(3)。モード変更プログラムは、業務状態取得プログラムに業務Bの状態の取得を依頼し、状態が実施済であれば参照モードに切り替え、状態が実施前/実施中であれば編集モードに切り替え、状態が未到達であれば非表示に切り替える。業務状態取得プログラムは、モデル管理データ群のグラフデータベースにアクセスして、業務Bの状態を取得する(3)。
【0062】
また、業務画面アプリケーションに含まれる画面構成情報取得プログラムは、モデル管理データ群から業務Bの画面構成情報を取得する(4)。
【0063】
また、業務画面表示プログラムは、コンポーネント選択プログラムから項目に応じたコンポーネントを取得する(5)。コンポーネント選択プログラムは、項目のデータタイプにマッチするコンポーネントをコンポーネントプログラム群から選択する(6)。
【0064】
業務画面アプリケーションに含まれる案件データ取得プログラムは、業務Bのviewを介して業務Bの実績データを取得する(7)。
業務画面表示プログラムは、取得したコンポーネントに実績データを差し込み、画面を表示する(8)。
【0065】
上述してきたように、実施例に係るデータ処理システムとして動作するコンピュータ10は、供給に係る業務の連鎖をモデルとして管理するモデル管理部31と、前記供給に係る業務の実施履歴を案件データとして管理する案件データ管理部39と、前記業務の実行者に対して前記案件データに係る操作画面を提供する画面制御部37と、所定の設定情報から、前記操作画面の構成を示す画面構成情報を生成する画面構成情報生成部33aと、前記所定の設定情報から、前記操作画面に表示される項目と当該項目の参照先とを対応づけたビュー情報を生成するビュー情報生成部33bと、を備え、前記画面制御部37は、前記実行者からのアクセスを受け付けた場合に、前記画面構成情報を参照して前記操作画面を生成し、前記案件データ管理部39は、前記操作画面に表示された項目について、前記ビュー情報により参照先を決定する。
かかる構成及び動作により、データ処理システムは、複数の業務に関する操作画面を効率的に生成することができる。
具体的には、操作画面を自動生成するため、ワークフローの業務の数だけ画面を実装する必要はなく、実装コストを大幅に削減することができる。また、他のシステムへの展開も容易である。そして、自動生成したビュー情報により参照先のテーブルを特定可能であり、ワークフロー画面はビュー情報を介してデータを読み書きするので、ワークフロー画面でテーブル構造を意識する必要はない。
【0066】
また、コンピュータ10は、前記業務の実行者に役割を割り当てて管理する役割管理部34と、前記役割に対してアクセス権限を設定してアクセス権限情報を生成するアクセス権限設定部としての機能アクセス権限設定部35及び業務アクセス権限設定部36と、前記実行者に割り当てられた役割に基づいて前記アクセス権限情報を参照し、前記アクセス権限情報により許可された操作を受け付けるアクセス制御部38と、をさらに備える。
【0067】
より詳細には、前記アクセス権限設定部としての機能アクセス権限設定部35及び業務アクセス権限設定部36は、前記役割に対して機能ごとのアクセス権限を設定した機能アクセス権限情報と、前記役割に対して前記業務ごとのアクセス権限を設定した業務アクセス権限情報とを生成し、前記アクセス制御部38は、前記業務アクセス権限情報と前記機能アクセス権限情報の双方で許可された操作を受け付ける。
かかる構成及び動作により、コンピュータ10は、所定の設定情報とアクセス権限時応じた操作画面を生成し、データの入出力を行うことができる。
【0068】
また、アクセス制御部38は、各案件について、実施済の業務は参照を許可し、実施前/実施中の業務は参照とデータ投入を許可し、未到達の業務は参照とデータ投入を禁止する。
かかる構成及び動作により、コンピュータ10は、案件の進捗状況をさらに用いて操作画面を生成することができる。
【0069】
また、前記画面構成情報は、前記案件データに含まれるデータに対応する項目と、前記実行者から受け付ける操作に対応する項目とを含んでもよい。
かかる構成により、案件のデータに限らず、操作に関する要素についても画面上に自動生成することができる。
【0070】
本実施例では、再生医療等製品のサプライチェーンの管理を例示し、モデル管理部31は、患者からのサンプルの採取業務、前記サンプルの輸送業務、前記サンプルを用いた薬剤の生成業務、前記薬剤の輸送業務、前記薬剤の投与業務を含む業務の連鎖についてモデルを管理することとした。
再生医療等製品のサプライチェーンはあくまで一例であり、本発明は任意のサプライチェーンに用いることができる。
【0071】
このように、実施例に示した構成及び動作はあくまで一例であり、本発明は適宜構成及び動作を変更して実施することが可能である。
例えば、コンピュータ10は、物理的に1つの筐体を有する装置である必要はなく、仮想的なリソースを組み合わせてコンピュータ10と同様の動作を実現してもよい。
【符号の説明】
【0072】
10:コンピュータ、21:インタフェース部、22:制御部、23:記憶部、31:モデル管理部、32:役割定義部、33a:画面構成情報生成部、33b:ビュー情報生成部、34:役割管理部、35:機能アクセス権限設定部、36:業務アクセス権限設定部、37:画面制御部、38:アクセス制御部、39:案件データ管理部、41:モデルデータ、42:ユーザデータ、43a:画面構成情報、43b:ビュー情報、44:役割設定データ、45:機能アクセス権限データ、46:業務アクセス権限データ、47:案件データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図11
図12
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図14