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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/586 20210101AFI20231211BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20231211BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20231211BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20231211BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20231211BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20231211BHJP
   H01M 50/538 20210101ALI20231211BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20231211BHJP
   H01G 11/74 20130101ALI20231211BHJP
   H01G 11/82 20130101ALI20231211BHJP
【FI】
H01M50/586
H01M10/04 W
H01M10/0566
H01M10/0587
H01M50/103
H01M50/119
H01M50/538
H01M50/593
H01G11/74
H01G11/82
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021027251
(22)【出願日】2021-02-24
(65)【公開番号】P2022128818
(43)【公開日】2022-09-05
【審査請求日】2022-02-28
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】脇元 亮一
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-029218(JP,A)
【文献】国際公開第2014/002647(WO,A1)
【文献】特開2017-091792(JP,A)
【文献】特開2015-210892(JP,A)
【文献】特開2019-121496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/10-50/198
H01M 10/05-10/0587
H01G 11/00-11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極板および負極板を有する電極体と、
前記電極体を挿入可能な開口部を有し、前記電極体および電解液を収容する金属製の外装体と、
前記開口部を封口する封口板と、
前記電極体と前記外装体との間に配置された1枚の絶縁シートとを備え、
前記外装体は、前記開口部に対向する底部と、前記底部の縁から立設されつつ互いに対向する1対の第1側壁と、前記底部の縁から立設されつつ互いに対向して前記第1側壁同士を接続する1対の第2側壁とを有し、
前記絶縁シートは、
前記底部と対向する底面部と、
前記1対の第1側壁のうちの一方と前記電極体との間に配置される第1側面部と、
前記1対の第1側壁のうちの他方と前記電極体との間に配置される第2側面部と、
前記第1側面部の側方の一方の端部から曲げられており、前記1対の第2側壁のうちの一方と前記電極体との間に配置される第1左側片部と、
前記第2側面部の側方の一方の端部から曲げられており、前記1対の第2側壁のうちの一方と前記電極体との間にて、前記第1左側片部と少なくとも一部が重なって配置される第2左側片部と、
前記底面部の側方の一方の端部から立ち上がっており、前記1対の第2側壁のうちの一方と前記電極体との間にて、互いに重なっている前記第1左側片部および前記第2左側片部より外側に位置する左側底片部と、
前記第1左側片部および前記左側底片部の各々に連続して設けられ、前記第1左側片部および前記左側底片部の各々との境界で折り曲げられて前記第1左側片部と前記左側底片部との間に挟まれている第1左側接続部と、
前記第2左側片部および前記左側底片部の各々に連続して設けられ、前記第2左側片部および前記左側底片部の各々との境界で折り曲げられて前記第2左側片部と前記左側底片部との間に挟まれている第2左側接続部とを含み、かつ、
前記第1左側片部と前記第2左側片部と前記左側底片部と前記第1左側接続部と前記第2左側接続部とによって、前記第1左側接続部および前記第2左側接続部の各々の前記外装体の開口部側の端の位置に第1開口端を有する、前記絶縁シートの内側と外側とを連通させる第1連通路が形成されており、
前記第1連通路は、前記外装体の底部側かつ前記1対の第2側壁のうちの一方側の稜線部に最も接近している前記電極体の端部に前記絶縁シートの外側から浸入する前記電解液の最短浸入経路上に位置しており、
前記絶縁シートは、折り曲げられることにより有底筒状に形成されており、
前記底面部は、1対の長辺および該1対の長辺に直交する1対の短辺を有する矩形形状であり、
前記底面部の前記1対の長辺のうちの一方に前記第1側面部が接続されており、前記底面部と前記第1側面部との境界に第1折り曲げ線が形成されており、
前記底面部の前記1対の長辺のうちの他方に前記第2側面部が接続されており、前記底面部と前記第2側面部との境界に第2折り曲げ線が形成されており、
前記第1側面部と前記第1左側片部との境界に第3折り曲げ線が形成されており、
前記底面部の前記1対の短辺のうちの一方と前記左側底片部との境界に第4折り曲げ線が形成されており、
前記第2側面部と前記第2左側片部との境界に第5折り曲げ線が形成されており、
前記第1左側片部と前記第1左側接続部との境界に第6折り曲げ線が形成されており、
前記左側底片部と前記第1左側接続部との境界に第7折り曲げ線が形成されており、
前記左側底片部と前記第2左側接続部との境界に第8折り曲げ線が形成されており、
前記第2左側片部と前記第2左側接続部との境界に第9折り曲げ線が形成されており、
前記絶縁シートは、前記1対の第2側壁のうちの一方と前記電極体との間にて、前記第1左側片部および前記第2左側片部が互いに重なる第1重なり領域、前記第1左側片部、前記第2左側片部および前記左側底片部が互いに重なる第2重なり領域、前記第1左側片部、前記左側底片部および前記第1左側接続部が重なる第3重なり領域、ならびに、前記第2左側片部、前記左側底片部および前記第2左側接続部が重なる第4重なり領域とを有し、
前記第3重なり領域および前記第4重なり領域の各々の前記外装体の開口部側の端の位置に前記第1開口端が位置しており、
前記正極板および前記負極板の少なくとも一方に設けられ、前記電極体の側方に延出するタブ部と、
前記タブ部に接続された集電体とをさらに備え、
前記集電体は、前記第2側壁に対向する第1領域と、該第1領域の封口板側に位置する第2領域と、該第2領域の封口板側に位置して前記第2側壁に対向する第3領域とを有し、
前記第1領域に前記タブ部が接続されており、
互いに対向する前記集電体および前記第2側壁において、前記第2側壁に直交する方向における、前記第1領域と前記第2側壁との間の最短距離は、前記第3領域と前記第2側壁との間の最短距離より短い、電池。
【請求項2】
前記底面部に直交する方向において、前記底面部と前記第1開口端との最短距離は5mm以上である、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
正極板および負極板を有する電極体と、
前記電極体を挿入可能な開口部を有し、前記電極体および電解液を収容する金属製の外装体と、
前記開口部を封口する封口板と、
前記電極体と前記外装体との間に配置された1枚の絶縁シートとを備え、
前記外装体は、前記開口部に対向する底部と、前記底部の縁から立設されつつ互いに対向する1対の第1側壁と、前記底部の縁から立設されつつ互いに対向して前記第1側壁同士を接続する1対の第2側壁とを有し、
前記絶縁シートは、
前記底部と対向する底面部と、
前記1対の第1側壁のうちの一方と前記電極体との間に配置される第1側面部と、
前記1対の第1側壁のうちの他方と前記電極体との間に配置される第2側面部と、
前記第1側面部の側方の一方の端部から曲げられており、前記1対の第2側壁のうちの一方と前記電極体との間に配置される第1左側片部と、
前記第2側面部の側方の一方の端部から曲げられており、前記1対の第2側壁のうちの一方と前記電極体との間にて、前記第1左側片部と少なくとも一部が重なって配置される第2左側片部と、
前記底面部の側方の一方の端部から立ち上がっており、前記1対の第2側壁のうちの一方と前記電極体との間にて、互いに重なっている前記第1左側片部および前記第2左側片部より外側に位置する左側底片部と、
前記第1左側片部および前記左側底片部の各々に連続して設けられ、前記第1左側片部および前記左側底片部の各々との境界で折り曲げられて前記第1左側片部と前記左側底片部との間に挟まれている第1左側接続部と、
前記第2左側片部および前記左側底片部の各々に連続して設けられ、前記第2左側片部および前記左側底片部の各々との境界で折り曲げられて前記第2左側片部と前記左側底片部との間に挟まれている第2左側接続部とを含み、かつ、
前記第1左側片部と前記第2左側片部と前記左側底片部と前記第1左側接続部と前記第2左側接続部とによって、前記第1左側接続部および前記第2左側接続部の各々の前記外装体の開口部側の端の位置に第1開口端を有する、前記絶縁シートの内側と外側とを連通させる第1連通路が形成されており、
前記第1連通路は、前記外装体の底部側かつ前記1対の第2側壁のうちの一方側の稜線部に最も接近している前記電極体の端部に前記絶縁シートの外側から浸入する前記電解液の最短浸入経路上に位置しており、
前記絶縁シートは、折り曲げられることにより有底筒状に形成されており、
前記底面部は、1対の長辺および該1対の長辺に直交する1対の短辺を有する矩形形状であり、
前記底面部の前記1対の長辺のうちの一方に前記第1側面部が接続されており、前記底面部と前記第1側面部との境界に第1折り曲げ線が形成されており、
前記底面部の前記1対の長辺のうちの他方に前記第2側面部が接続されており、前記底面部と前記第2側面部との境界に第2折り曲げ線が形成されており、
前記第1側面部と前記第1左側片部との境界に第3折り曲げ線が形成されており、
前記底面部の前記1対の短辺のうちの一方と前記左側底片部との境界に第4折り曲げ線が形成されており、
前記第2側面部と前記第2左側片部との境界に第5折り曲げ線が形成されており、
前記第1左側片部と前記第1左側接続部との境界に第6折り曲げ線が形成されており、
前記左側底片部と前記第1左側接続部との境界に第7折り曲げ線が形成されており、
前記左側底片部と前記第2左側接続部との境界に第8折り曲げ線が形成されており、
前記第2左側片部と前記第2左側接続部との境界に第9折り曲げ線が形成されており、
前記絶縁シートは、前記1対の第2側壁のうちの一方と前記電極体との間にて、前記第1左側片部および前記第2左側片部が互いに重なる第1重なり領域、前記第1左側片部、前記第2左側片部および前記左側底片部が互いに重なる第2重なり領域、前記第1左側片部、前記左側底片部および前記第1左側接続部が重なる第3重なり領域、ならびに、前記第2左側片部、前記左側底片部および前記第2左側接続部が重なる第4重なり領域とを有し、
前記第3重なり領域および前記第4重なり領域の各々の前記外装体の開口部側の端の位置に前記第1開口端が位置しており、
前記底面部に直交する方向において、前記底面部と前記第1開口端との最短距離は5mm以上であり、
前記絶縁シートにおいて、
前記第6折り曲げ線と前記第7折り曲げ線とに挟まれつつ前記第1左側接続部に隣接する領域に第1貫通欠除部が形成されており、
前記第8折り曲げ線と前記第9折り曲げ線とに挟まれつつ前記第2左側接続部に隣接する領域に第2貫通欠除部が形成されている、電池。
【請求項4】
前記電極体は、前記正極板および前記負極板がともに巻回された巻回型電極体であり、
前記電極体の前記1対の第1側壁が互いに対向する方向における幅寸法をWとし、
前記底面部に直交する方向における前記底面部から前記第1開口端までの高さ寸法をHとすると、
前記幅寸法Wと前記高さ寸法Hとは、H<W/2の関係を満たしている、請求項3に記載の電池。
【請求項5】
前記正極板および前記負極板の少なくとも一方に設けられ、前記電極体の側方に延出するタブ部と、
前記タブ部に接続された集電体とをさらに備え、
前記集電体は、前記第2側壁に対向する第1領域と、該第1領域の封口板側に位置する第2領域と、該第2領域の封口板側に位置して前記第2側壁に対向する第3領域とを有し、
前記第1領域に前記タブ部が接続されており、
互いに対向する前記集電体および前記第2側壁において、前記第2側壁に直交する方向における、前記第1領域と前記第2側壁との間の最短距離は、前記第3領域と前記第2側壁との間の最短距離より短い、請求項3に記載の電池。
【請求項6】
前記集電体と接続された延長集電体をさらに備え、
前記延長集電体は、前記電極体と前記封口板との間に配置された基部および該基部の端から前記底部に向かって延びる集電体接続部を有し、
前記集電体接続部は、前記第3領域に接続されている、請求項5に記載の電池。
【請求項7】
前記外装体内に配置された前記絶縁シートの内側に、複数の前記巻回型電極体が収容されている、請求項4に記載の電池。
【請求項8】
前記底面部の前記1対の長辺のうちの一方の全長に亘って、前記第1側面部と前記底面部とが連続して接続されており、
前記底面部の前記1対の長辺のうちの他方の全長に亘って、前記第2側面部と前記底面部とが連続して接続されている、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電池。
【請求項9】
前記底面部の前記1対の短辺のうちの一方の全長に亘って、前記底面部と前記左側底片部とが連続して接続されている、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電池。
【請求項10】
前記第1側面部と前記第1左側片部との境界において前記電極体と面している範囲の全長に亘って前記第1側面部と前記第1左側片部とが連続して接続されており、
前記第2側面部と前記第2左側片部との境界において前記電極体と面している範囲の全長に亘って前記第2側面部と前記第2左側片部とが連続して接続されている、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の電池。
【請求項11】
前記第1折り曲げ線、前記第2折り曲げ線、前記第3折り曲げ線、前記第4折り曲げ線、前記第5折り曲げ線、前記第7折り曲げ線および前記第8折り曲げ線の各々は、前記絶縁シートの一方の面側から凹まされて形成されており、
前記第6折り曲げ線および前記第9折り曲げ線の各々は、前記絶縁シートの他方の面側から凹まされて形成されている、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の電池。
【請求項12】
前記絶縁シートは、
前記第1側面部の側方の他方の端部から曲げられており、前記1対の第2側壁のうちの他方と前記電極体との間に配置される第1右側片部と、
前記第2側面部の側方の他方の端部から曲げられており、前記1対の第2側壁のうちの他方と前記電極体との間にて、前記第1右側片部と少なくとも一部が重なって配置される第2右側片部と、
前記底面部の側方の他方の端部から立ち上がっており、前記1対の第2側壁のうちの他方と前記電極体との間にて、互いに重なっている前記第1右側片部および前記第2右側片部より外側に位置する右側底片部と、
前記第1右側片部および前記右側底片部の各々に連続して設けられ、前記第1右側片部および前記右側底片部の各々との境界で折り曲げられて前記第1右側片部と前記右側底片部との間に挟まれている第1右側接続部と、
前記第2右側片部および前記右側底片部の各々に連続して設けられ、前記第2右側片部および前記右側底片部の各々との境界で折り曲げられて前記第2右側片部と前記右側底片部との間に挟まれている第2右側接続部とを含み、かつ、
前記第1右側片部と前記第2右側片部と前記右側底片部と前記第1右側接続部と前記第2右側接続部とによって、前記第1右側接続部および前記第2右側接続部の各々の前記外装体の開口部側の端の位置に第2開口端を有する、前記絶縁シートの内側と外側とを連通させる第2連通路が形成されており、
前記第2連通路は、前記外装体の底部側かつ前記1対の第2側壁のうちの他方側の稜線部に最も接近している前記電極体の端部に前記絶縁シートの外側から浸入する前記電解液の最短浸入経路上に位置している、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の電池。
【請求項13】
前記第1側面部と前記第1右側片部との境界に第10折り曲げ線が形成されており、
前記底面部の前記1対の短辺のうちの他方と前記右側底片部との境界に第11折り曲げ線が形成されており、
前記第2側面部と前記第2右側片部との境界に第12折り曲げ線が形成されており、
前記第1右側片部と前記第1右側接続部との境界に第13折り曲げ線が形成されており、
前記右側底片部と前記第1右側接続部との境界に第14折り曲げ線が形成されており、
前記右側底片部と前記第2右側接続部との境界に第15折り曲げ線が形成されており、
前記第2右側片部と前記第2右側接続部との境界に第16折り曲げ線が形成されており、
前記絶縁シートは、前記1対の第2側壁のうちの他方と前記電極体との間にて、前記第1右側片部および前記第2右側片部が互いに重なる第5重なり領域、前記第1右側片部、前記第2右側片部および前記右側底片部が互いに重なる第6重なり領域、前記第1右側片部、前記右側底片部および前記第1右側接続部が重なる第7重なり領域、ならびに、前記第2右側片部、前記右側底片部および前記第2右側接続部が重なる第8重なり領域とを有し、
前記第7重なり領域および前記第8重なり領域の各々の前記外装体の開口部側の端の位置に前記第2開口端が位置している、請求項12に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電池に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電装置の構成を開示した先行文献として、特開2019-29218号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載された蓄電装置は、電極体と、絶縁ホルダと、外装ケースとを備える。絶縁ホルダは、電極体を収容する。外装ケースは、電極体を絶縁ホルダおよび電解液とともに収容する。絶縁ホルダは、絶縁シートが折られて形成されている。絶縁シートは、複数の折り目と、複数の切れ目とによって区分された複数のシート要素から構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-29218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池周辺の浸水などによって直列に接続されている複数の電池のうちの両端に位置する電池同士の間に高電圧が印加される短絡経路が形成された場合、短絡経路に位置する電池の内部において電極体と外装体との間に高電圧が印加され、絶縁シートの切れ目により形成される電極体と外装体との間の隙間を通じて、電極体と外装体との絶縁が破壊されて部分放電が発生する可能性がある。
【0005】
本技術は、上記の課題を解決するためになされたものであって、電極体と外装体との間での部分放電の発生を抑制することができる、電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術に基づく電池は、電極体と、金属製の外装体と、封口板と、1枚の絶縁シートとを備える。電極体は、正極板および負極板を有する。外装体は、電極体を挿入可能な開口部を有し、電極体および電解液を収容する。封口板は、上記開口部を封口する。絶縁シートは、電極体と外装体との間に配置される。外装体は、底部と、1対の第1側壁と、1対の第2側壁とを有する。上記底部は、開口部に対向する。1対の第1側壁は、上記底部の縁から立設されつつ互いに対向する。1対の第2側壁は、上記底部の縁から立設されつつ互いに対向して第1側壁同士を接続する。絶縁シートは、底面部と、第1側面部と、第2側面部と、第1左側片部と、第2左側片部と、左側底片部と、第1左側接続部と、第2左側接続部とを含む。上記底面部は、上記底部と対向する。第1側面部は、上記1対の第1側壁のうちの一方と電極体との間に配置される。第2側面部は、上記1対の第1側壁のうちの他方と電極体との間に配置される。第1左側片部は、上記第1側面部の側方の一方の端部から曲げられており、上記1対の第2側壁のうちの一方と電極体との間に配置される。第2左側片部は、上記第2側面部の側方の一方の端部から曲げられており、上記1対の第2側壁のうちの一方と電極体との間にて、上記第1左側片部と少なくとも一部が重なって配置される。左側底片部は、上記底面部の側方の一方の端部から立ち上がっており、上記1対の第2側壁のうちの一方と電極体との間にて、互いに重なっている上記第1左側片部および上記第2左側片部より外側に位置する。第1左側接続部は、上記第1左側片部および上記左側底片部の各々に連続して設けられ、上記第1左側片部および上記左側底片部の各々との境界で折り曲げられて上記第1左側片部と上記左側底片部との間に挟まれている。第2左側接続部は、上記第2左側片部および上記左側底片部の各々に連続して設けられ、上記第2左側片部および上記左側底片部の各々との境界で折り曲げられて上記第2左側片部と上記左側底片部との間に挟まれている。絶縁シートには、上記第1左側片部と上記第2左側片部と上記左側底片部と上記第1左側接続部と上記第2左側接続部とによって、上記第1左側接続部および上記第2左側接続部の各々の外装体の開口部側の端の位置に第1開口端を有し、絶縁シートの内側と外側とを連通させる第1連通路が形成されている。上記第1連通路は、外装体の底部側かつ上記1対の第2側壁のうちの一方側の稜線部に最も接近している電極体の端部に絶縁シートの外側から浸入する電解液の最短浸入経路上に位置している。
【発明の効果】
【0007】
本技術によれば、電極体と外装体との間での部分放電の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本技術の実施の形態1に係る電池の構成を示す斜視図である。
図2図1の電池をII-II線矢印方向から見た断面図である。
図3】本技術の実施の形態1に係る電池が備える外装体および絶縁シートを除いて電池の内部構成を示す斜視図である。
図4】本技術の実施の形態1に係る電池が備える正極板が成形される前の正極原板を示す正面図である。
図5図4の正極原板をV-V線矢印方向から見た断面図である。
図6】本技術の実施の形態1に係る電池が備える正極板が成形された後の状態を示す正面図である。
図7】本技術の実施の形態1に係る電池が備える負極板が成形される前の負極原板を示す正面図である。
図8図7の負極原板をVIII-VIII線矢印方向から見た断面図である。
図9】本技術の実施の形態1に係る電池が備える負極板が成形された後の状態を示す正面図である。
図10】本技術の実施の形態1に係る電池が備える電極体および集電体の構成を示す斜視図である。
図11図10の電極体および集電体をXI-XI線矢印方向から見た断面図である。
図12】本技術の実施の形態1に係る電池が備える電極体のタブ部が折り曲げられた状態を示す断面図である。
図13】本技術の実施の形態1に係る電池が備える集電体の一部および封口板の構成を示す上方斜視図である。
図14】本技術の実施の形態1に係る電池が備える集電体の一部および封口板の構成を示す下方斜視図である。
図15図2に示す電池のXV部を拡大して示す断面図である。
図16図2に示す電池のXVI部を拡大して示す断面図である。
図17】本技術の実施の形態1に係る電池が備える電池ケースと絶縁シートとの位置関係を示す斜視図である。
図18】本技術の実施の形態1に係る電池が備える外装体を除いて電池の構成を示す斜視図である。
図19図18に示す電池のXIX部を拡大して示す斜視図である。
図20】本技術の実施の形態1に係る電池が備える絶縁シートの構成を示す展開図である。
図21】本技術の実施の形態1に係る電池が備える絶縁シートが折り曲げられている状態を示す斜視図である。
図22図18の電池を矢印XXII方向から見た側面図である。
図23図17の電池をXXIII-XXIII線矢印方向から見た断面図である。
図24図18の電池を矢印XXIV方向から見た側面図である。
図25】本技術の実施の形態2に係る電池が備える絶縁シートの構成を示す展開図である。
図26】本技術の実施の形態2に係る電池の内部構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0010】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。
【0011】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0012】
本明細書において、「電池」は、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池など他の電池を含み得る。本明細書において、「電極」は正極および負極を総称し得る。また、「電極板」は正極板および負極板を総称し得る。
【0013】
本明細書において、「蓄電セル」ないし「蓄電モジュール」は、電池セルないし電池モジュールに限定されず、キャパシタセルないしキャパシタモジュールを含み得る。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本技術の実施の形態1に係る電池の構成を示す斜視図である。図2は、図1の電池をII-II線矢印方向から見た断面図である。図3は、本技術の実施の形態1に係る電池が備える外装体および絶縁シートを除いて電池の内部構成を示す斜視図である。
【0015】
図1図3に示すように、電池1は、電池ケース10と、電極体20と、正極集電体30と、負極集電体40と、絶縁シート50と、正極外部導電部材60と、負極外部導電部材70とを備える。電池ケース10は、外装体100と、封口板110とを含む。
【0016】
外装体100は、電極体20を挿入可能な開口部101を有する有底角筒状である。外装体100は、電極体20および電解液を収容する。外装体100は、金属製である。具体的には、外装体100は、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄または鉄合金などにより構成されている。
【0017】
外装体100は、底部102と、1対の第1側壁103a,103bと、1対の第2側壁104a,104bとを有する。
【0018】
底部102は、開口部101に対向している。1対の第1側壁103a,103bの各々は、底部102の縁から立設されつつ互いに平行に対向している。1対の第2側壁104a,104bの各々は、底部102の縁から立設されつつ互いに平行に対向している。1対の第2側壁104a,104bの各々は、第1側壁103a,103b同士を接続している。1対の第1側壁103a,103bの各々の面積は、1対の第2側壁104a,104bの各々の面積より大きい。
【0019】
封口板110は、外装体100の開口部101を封口する。封口板110は、たとえば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄または鉄合金などにより構成されている。
【0020】
封口板110には、電解液注液孔111が設けられている。電解液注液孔111は、封止部材112により封止されている。封口板110には、電池ケース10内の圧力が所定値以上になったときに破断し、電池ケース10内のガスを外部に排出するガス排出弁113が設けられている。
【0021】
本実施の形態における電極体20は、後述する正極板および負極板を有する扁平形状の電極体である。具体的には、電極体20は、図示しない帯状のセパレータを介して帯状の正極板および帯状の負極板がともに巻回された巻回型電極体である。
【0022】
図2および図3に示すように、電池ケース10は、電極体20を収容している。具体的には、電池ケース10における外装体100内に配置された絶縁シート50の内側に、複数の巻回型電極体が図示しない電解液とともに収容されている。本実施の形態における電池ケース10は、3つの巻回型電極体を収容している。電極体20は、その巻回軸が底部102と平行になる向きで、外装体100内に収容されている。なお、外装体100内に配置される電極体20の数量は、3つに限定されない。また、電極体20は、巻回型電極体に限定されず、複数枚の正極板と複数枚の負極板とが交互に積層された積層型電極体であってもよい。
【0023】
電極体20には、タブ部21が正極板および負極板の少なくとも一方に設けられ、電極体20の側方に延出している。本実施の形態における電極体20においては、電極体20の巻回軸が延びる方向における一方の端部に、一方のタブ部21として複数枚の正極タブを含む正極タブ群210が設けられている。電極体20における電極体20の巻回軸が延びる方向における他方の端部には、他方のタブ部21として複数枚の負極タブを含む負極タブ群260が設けられている。
【0024】
電極体20は、一方の第2側壁104aと正極タブ群210とが対向し、かつ、他方の第2側壁104bと負極タブ群260とが対向する向きで、絶縁シート50を間に挟んで外装体100内に配置されることが好ましい。
【0025】
図1図3に示すように、封口板110には、正極端子230及び負極端子280が取り付けられている。具体的には、図2および図3に示すように、正極端子230は、正極集電体30を介して、複数の電極体20の各々における正極タブ群210と電気的に接続されている。正極端子230には、正極外部導電部材60が接続されている。なお、電池1は、正極外部導電部材60を必ずしも含んでいる必要はない。
【0026】
正極端子230および正極外部導電部材60の各々は、金属製であることが好ましく、アルミニウム製またはアルミニウム合金製であることがより好ましい。
【0027】
負極端子280は、負極集電体40を介して複数の電極体20の各々における負極タブ群260に電気的に接続されている。負極端子280には、負極外部導電部材70が接続されている。なお、電池1は、負極外部導電部材70を必ずしも含んでいる必要はない。
【0028】
負極端子280は、金属製であることが好ましく、銅製または銅合金製であることがより好ましい。負極外部導電部材70は、金属製であることが好ましく、アルミニウム製またはアルミニウム合金製であることがより好ましい。なお、負極端子280は、負極集電体40と接続される領域が銅または銅合金により構成され、封口板110より外側に突出する領域がアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成されていてもよい。
【0029】
正極集電体30は、板状の形状を有している。正極集電体30は、一方のタブ部21に接続されている。本実施の形態における正極集電体30は、正極タブ群210に接続されている。正極集電体30は、金属製であることが好ましく、アルミニウム製またはアルミニウム合金製であることがより好ましい。
【0030】
本実施の形態における正極集電体30は、延長集電体としての第1正極集電体300および集電体としての第2正極集電体310を含む。
【0031】
第1正極集電体300は、電極体20と封口板110との間において正極端子230と接続されている。第1正極集電体300は、正極端子230が接続されている側とは反対側の端部において、第2正極集電体310に接続されている。第2正極集電体310は、第1正極集電体300と接続されている側とは反対側において正極タブ群210に接続されている。なお、正極集電体30は、1つの部品から構成されていてもよい。
【0032】
負極集電体40は、板状の形状を有している。負極集電体40は、他方のタブ部21に接続されている。本実施の形態における負極集電体40は、負極タブ群260に接続されている。負極集電体40は、金属製であることが好ましく、銅製または銅合金製であることがより好ましい。
【0033】
本実施の形態における負極集電体40は、延長集電体としての第1負極集電体400および集電体としての第2負極集電体410を含む。第1負極集電体400は、電極体20と封口板110との間において負極端子280と接続されている。第1負極集電体400は、負極端子280が接続されている側とは反対側の端部において、第2負極集電体410に接続されている。第2負極集電体410は、第1負極集電体400と接続されている側とは反対側において負極タブ群260に接続されている。なお、負極集電体40は、1つの部品から構成されていてもよい。
【0034】
図2に示すように、1枚の絶縁シート50が電極体20と外装体100との間に配置されている。絶縁シート50は、樹脂製のシートが好ましい。絶縁シート50の材質は、たとえば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリイミド(PI)またはポリオレフィン(PO)が好ましい。特に、絶縁シート50の材質は、PPが好ましい。
【0035】
絶縁シート50の融点は、100℃以上400℃以下であることが好ましく、より好ましくは120℃以上300℃以下、特に好ましくは150℃以上170℃以下である。
【0036】
絶縁シート50の厚みは、0.05mm以上1mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.08mm以上0.5mm以下、特に好ましくは0.1mm以上0.2mm以下である。
【0037】
以下、電池1の各構成要素の詳細および電池1の製造方法について説明する。まず、正極板について説明する。
【0038】
図4は、本技術の実施の形態1に係る電池が備える正極板が成形される前の正極原板を示す正面図である。図5は、図4の正極原板をV-V線矢印方向から見た断面図である。図6は、本技術の実施の形態1に係る電池が備える正極板が成形された後の状態を示す正面図である。
【0039】
正極板は、正極原板200Sを加工することにより製造される。図4および図5に示すように、正極原板200Sは、正極芯体201と、正極活物質層202と、正極保護層203とを含む。正極芯体201は、アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔である。
【0040】
正極芯体201には、両面の一方側の端部を除いて正極活物質層202が形成されている。正極活物質層202は、正極活物質層スラリーをダイコータによって塗布することにより正極芯体201上に形成される。
【0041】
正極活物質層スラリーは、正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)、導電材としての炭素材料、および、分散媒としてのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物:PVdF:炭素材料の質量比が97.5:1:1.5となるように混練することによって作製される。
【0042】
正極保護層203は、正極芯体201に接しつつ正極活物質層202の幅方向の一方側の端部に形成されている。正極保護層203は、正極保護層スラリーをダイコータによって塗布することにより正極芯体201上に形成される。
【0043】
正極保護層スラリーは、アルミナ粉末、導電材としての炭素材料、結着材としてのPVdF、および、分散媒としてのNMPを、アルミナ粉末:炭素材料:PVdFの質量比が83:3:14となるように混練することによって作製される。
【0044】
正極活物質層スラリーおよび正極保護層スラリーが塗布された正極芯体201を乾燥させ、正極活物質層スラリーおよび正極保護層スラリーに含まれるNMPを除去する。これにより、正極活物質層202および正極保護層203が形成される。さらに、正極活物質層202を圧縮することにより、正極芯体201、正極活物質層202および正極保護層203を含む正極原板200Sとする。正極原板200Sを所定の形状に切断し、正極板とする。なお、正極原板200Sは、エネルギー線の照射によるレーザー加工、金型加工、または、カッター加工などにより切断することができる。
【0045】
図6に示すように、正極原板200Sから成形された正極板200の幅方向の一方端部には、正極芯体201からなる正極タブ220が複数設けられている。複数の正極タブ220は、積層されて正極タブ群210として正極集電体30に接続される状態を考慮して、複数の正極タブ220の各々が形成される位置によって、その突出方向の長さ、または幅が適宜調整されている。
【0046】
複数の正極タブ220の各々の根元には、正極保護層203が設けられている。なお、正極タブ群210には、正極保護層203が設けられていなくてもよい。
【0047】
次に、負極板について説明する。図7は、本技術の実施の形態1に係る電池が備える負極板が成形される前の負極原板を示す正面図である。図8は、図7の負極原板をVIII-VIII線矢印方向から見た断面図である。図9は、本技術の実施の形態1に係る電池が備える負極板が成形された後の状態を示す正面図である。
【0048】
負極板は、負極原板250Sを加工することにより製造される。図7および図8に示すように、負極原板250Sは、負極芯体251と、負極活物質層252とを含む。負極芯体251は、銅箔または銅合金箔である。
【0049】
負極芯体251には、両面の一方側の端部を除いて負極活物質層252が形成されている。負極活物質層252は、負極活物質層スラリーをダイコータによって塗布することにより形成される。
【0050】
負極活物質層スラリーは、負極活物質としての黒鉛、結着材としてのスチレンブタジエンゴム(SBR)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)、および、分散媒としての水を、黒鉛:SBR:CMCの質量比が98:1:1となるように混練することによって作製される。
【0051】
負極活物質層スラリーが塗布された負極芯体251を乾燥させ、負極活物質層スラリーに含まれる水を除去する。これにより、負極活物質層252が形成される。さらに、負極活物質層252を圧縮することにより、負極芯体251および負極活物質層252を含む負極原板250Sとする。負極原板250Sを所定の形状に切断し、負極板250とする。なお、負極原板250Sは、エネルギー線の照射によるレーザー加工、金型加工、または、カッター加工などにより切断することができる。
【0052】
図9に示すように、負極原板250Sから成形された負極板250の幅方向の一方端部には、負極芯体251からなる負極タブ270が複数設けられている。複数の負極タブ270は、積層されて負極タブ群260として負極集電体40に接続される状態を考慮して、複数の負極タブ270の各々が形成される位置によって、その突出方向の長さ、または幅が適宜調整されている。
【0053】
次に、電極体20、正極集電体30および負極集電体40について説明する。図10は、本技術の実施の形態1に係る電池が備える電極体および集電体の構成を示す斜視図である。図10において、タブ部21が折り曲げられる前の状態を示している。
【0054】
図10に示すように、上述の方法で作製した帯状の正極板200及び帯状の負極板250を、図示しない帯状のセパレータを介して巻回し、偏平形状の電極体20を作製する。セパレータは、ポリオレフィン製の基材の表面に、耐熱層が設けられたものであることが好ましい。この耐熱層は、セラミック粒子およびバインダーを含む。セラミック粒子としては、たとえば、酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化アルミニウム、または、チタニアなどを用いることができる。
【0055】
電極体20の巻回軸が延びる方向における電極体20の側方の一方の端部に、正極板200に設けられた複数の正極タブ220を含む正極タブ群210が配置されている。
【0056】
正極タブ220の厚みは、5μm以上30μm以下であることが好ましく、より好ましくは8μm以上20μm以下である。正極タブ群210における正極タブ220の積層枚数は、10枚以上であることが好ましく、より好ましくは20枚以上、特に好ましくは30枚以上である。
【0057】
電極体20の巻回軸が延びる方向における電極体20の側方の他方の端部に、負極板250に設けられた複数の負極タブ270を含む負極タブ群260が配置されている。このように、タブ部21は、正極タブ群210および負極タブ群260の少なくとも一方で構成されている。本実施の形態におけるタブ部21は、正極タブ群210と負極タブ群260とにより構成されている。
【0058】
負極タブ270の厚みは、5μm以上30μm以下であることが好ましく、より好ましくは8μm以上20μm以下である。負極タブ群260における負極タブ270の積層枚数は、10枚以上であることが好ましく、より好ましくは20枚以上、特に好ましくは30枚以上である。
【0059】
第2正極集電体310は、第1領域311と、第2領域312と、第3領域313とを有している。図2に示すように、第1領域311は、一方の第2側壁104aに対向している。第1領域311には、タブ部21が接続されている。
【0060】
図2および図10に示すように、第2領域312は、第1領域311の封口板110側に位置している。第2領域312は、第1領域311および第3領域313の双方に対して傾斜している。
【0061】
第3領域313は、第2領域312の封口板110側に位置して一方の第2側壁104aに対向している。第3領域313は、第1正極集電体300に接続される。
【0062】
図2に示すように、第1領域311および第3領域313は、その平面部が電極体20の巻回軸に対して略垂直になるように配置されている。互いに対向する第2正極集電体310および一方の第2側壁104aにおいて、一方の第2側壁104aに直交する方向における、第1領域311と一方の第2側壁104aとの間の最短距離は、第3領域313と一方の第2側壁104aとの間の最短距離より短くなっている。
【0063】
図10に示すように、第3領域313には、凹部314が設けられている。凹部314が設けられている部分は、その周囲よりも厚みが薄い。凹部314には、貫通孔315が設けられている。凹部314において、第3領域313が第1正極集電体300に接合されている。第2正極集電体310には、ヒューズ孔316を設けることができる。
【0064】
第2負極集電体410は、第2正極集電体310と同様に、第1領域411と、第2領域412と、第3領域413とを有する。第3領域413には、凹部414及び貫通孔415が設けられている。凹部414において、第3領域413が第1負極集電体400に接合されている。
【0065】
次に、集電体とタブ部21との接続について説明する。図11は、図10の電極体および集電体をXI-XI線矢印方向から見た断面図である。図12は、本技術の実施の形態1に係る電池が備える電極体のタブ部が折り曲げられた状態を示す断面図である。
【0066】
図11に示すように、複数枚の正極タブ220を含む正極タブ群210の先端部221を第2正極集電体310の第1領域311に隣接させた状態で、第1領域311と正極タブ群210とを接合する。この接合により、タブ接合部320が形成される。第1領域311と正極タブ群210との接合方法としては、超音波溶接、抵抗溶接またはレーザー溶接などを用いることができる。
【0067】
図12に示すように、タブ接合部320が形成された正極タブ群210は、折り曲げられることにより湾曲する。タブ部21のうち折り曲げられている先端部221は、1対の第2側壁104a、104bの少なくとも一方に対向している。本実施の形態においては、先端部221が一方の第2側壁104aに対向している。このように、第2正極集電体310は、正極タブ群210が折り曲げられていることによって電池ケース10の側面と面する。なお、タブ接合部320は、第1領域311における電極体20とは反対側の面に接合されていてもよい。
【0068】
負極タブ群260は、正極タブ群210と同様に、第2負極集電体410の第1領域411に隣接させた状態で、第1領域411と負極タブ群260とを接合する。この接合により、タブ接合部が形成される。タブ接合部が形成された負極タブ群260は、折り曲げられることにより湾曲する。タブ部21のうち折り曲げられている先端部は、1対の第2側壁104a,104bの少なくとも一方に対向している。本実施の形態においては、先端部が他方の第2側壁104bに対向している。このように、第2負極集電体410は、負極タブ群260が折り曲げられていることによって他方の第2側壁104bと面する。
【0069】
第2正極集電体310の第1領域311において、タブ接合部320は、正極タブ群210の根元側に寄せて配置されることが好ましい。このような構成であると、正極タブ群210を折り曲げた際、正極タブ群210の根元近傍に安定的に湾曲形状を形成することができる。第2負極集電体410の第1領域411において、負極タブ群260が接合される位置についても第2正極集電体310の場合と同様である。
【0070】
図2に示すように、第2正極集電体310の外装体100の底部102側の端部は、正極タブ群210の外装体100の底部102側の端部よりも底部102側に位置することが好ましい。このような構成であると、正極タブ群210を折り曲げる工程において、正極タブ群210を安定的に折り曲げることが可能となる。第2負極集電体410の下端部についても、第2正極集電体310の場合と同様である。
【0071】
次に、封口板110について説明する。図13は、本技術の実施の形態1に係る電池が備える集電体の一部および封口板の構成を示す上方斜視図である。図14は、本技術の実施の形態1に係る電池が備える集電体の一部および封口板の構成を示す下方斜視図である。図15は、図2に示す電池のXV部を拡大して示す断面図である。図16は、図2に示す電池のXVI部を拡大して示す断面図である。図13において、電池1の外側から封口板110を示し、図14において、電池1の内側から封口板110を示している。
【0072】
図13および図15に示すように、封口板110は、一方の端部近傍に正極端子取り付け孔114を有し、他方の端部近傍に負極端子取り付け孔115を有している。
【0073】
図13図15に示すように、封口板110において、電極体20側とは反対側の面の正極端子取り付け孔114の周囲に第1外部側絶縁部材231が配置され、電極体20側の面の正極端子取り付け孔114の周囲に内部側絶縁部材240および第1正極集電体300が配置されている。
【0074】
正極端子230を、電池1の外側から、第2外部側絶縁部材232の貫通孔232h、封口板110の正極端子取り付け孔114、内部側絶縁部材240の貫通孔240hおよび第1正極集電体300の貫通孔301hに挿入する。正極端子230は、第1正極集電体300上にカシメられ、カシメ部230Aが形成される。なお、正極端子230は、カシメられた後にカシメ部230Aが第1正極集電体300に溶接されてもよい。
【0075】
図13図14および図16に示すように、封口板110において、負極端子取り付け孔115の電極体20とは反対側の面に第1外部側絶縁部材281が配置され、負極端子取り付け孔115の電極体20側の面に内部側絶縁部材290および第1負極集電体400が配置される。
【0076】
負極端子280を、電池1の外側から、第2外部側絶縁部材282の貫通孔282h、封口板110の負極端子取り付け孔115、内部側絶縁部材290の貫通孔290hおよび第1負極集電体400の貫通孔401hに挿入する。負極端子280は、第1負極集電体400上にカシメられ、カシメ部280Aが形成される。なお、負極端子280は、カシメられた後にカシメ部280Aが第1負極集電体400に溶接されてもよい。
【0077】
なお、正極端子230に正極外部導電部材60を接続する、または、負極端子280に負極外部導電部材70を接続するタイミングは特に限定されない。この接続のタイミングは、正極端子230と負極端子280とが封口板110に固定された後であってもよいし、外装体100に接続された封口板110の電解液注液孔111を封止した後であってもよい。
【0078】
図13図15に示すように、延長集電体である第1正極集電体300は、断面視においてL字形状を有している。第1正極集電体300は、基部301と、集電体接続部302とを有する。基部301は、電極体20と封口板110との間において、内部側絶縁部材240を介して、封口板110に沿って配置されている。
【0079】
集電体接続部302は、基部301の端から折り曲げられ、底部102に向かって延びている。集電体接続部302は、第2正極集電体310の第3領域313に接続されている。集電体接続部302は、外装体100の一方の第2側壁104aと電極体20との間に配置される。
【0080】
図13図14および図16に示すように、延長集電体である第1負極集電体400は、断面視においてL字形状を有している。第1負極集電体400は、基部401と、集電体接続部402とを有する。基部401は、電極体20と封口板110との間において、内部側絶縁部材290を介して、封口板110に沿って配置されている。
【0081】
集電体接続部402は、基部401の端から折り曲げられ、底部102に向かって延びている。集電体接続部402は、第2負極集電体410の第3領域413に接続されている。集電体接続部402は、外装体100の他方の第2側壁104bと電極体20との間に配置される。
【0082】
次に、第1集電体と第2集電体との接続について説明する。図3に示すように、第2正極集電体310および第2負極集電体410が取り付けられた3つの電極体20を並べて配置する。このとき、3つの電極体20の各々は、正極タブ群210同士が同じ側に配置され、負極タブ群260同士も同じ側に配置されている。
【0083】
3つの電極体20の正極タブ群210の各々を湾曲させた状態で、3つの電極体20に取り付けられた第2正極集電体310を、封口板110に固定された第1正極集電体300の集電体接続部302に接合する。これにより、集電体接続部302と第3領域313との接合部が、凹部314内に形成される。
【0084】
3つの電極体20の負極タブ群260の各々を湾曲させた状態で、3つの電極体20に取り付けられた第2負極集電体410を、封口板110に固定された第1負極集電体400の集電体接続部402に接合する。これにより、集電体接続部402と第3領域413との接合部が、凹部414内に形成される。
【0085】
第1正極集電体300および第2正極集電体310、または、第1負極集電体400および第2負極集電体410の接続方法としては、超音波溶接、抵抗溶接、または、高エネルギー線の照射によるレーザー溶接などを用いることができる。特に、レーザー溶接を用いることが好ましい。
【0086】
次に、外装体100への電極体20の挿入について説明する。図2に示すように、袋状または箱状とした絶縁シート50内に、電極体20を配置する。絶縁シート50で覆われた電極体20を外装体100内に挿入する。これにより、電池ケース10内に複数の巻回型電極体が収容される。次に、外装体100の開口部101において、封口板110をレーザー溶接などにより接合する。
【0087】
その後、封口板110に設けられた電解液注液孔111から非水電解液を注液し、電解液注液孔111を封止部材112により封止する。これにより、電池1が完成する。なお、本実施の形態に係る電池1に使用される正極板200、負極板250、セパレータ、電解液および各機構部品を構成する材料は、公知のものを用いることができる。
【0088】
以下、本技術の実施の形態1における絶縁シート50の構造について詳細に説明する。
【0089】
図17は、本技術の実施の形態1に係る電池が備える電池ケースと絶縁シートとの位置関係を示す斜視図である。図18は、本技術の実施の形態1に係る電池が備える外装体を除いて電池の構成を示す斜視図である。
【0090】
図17および図18に示すように、絶縁シート50は、底面部500と、第1側面部510と、第2側面部511と、第1左側片部520と、第2左側片部521と、左側底片部522と、第1左側接続部523と、第2左側接続部524とを含む。
【0091】
底面部500は、電極体20と外装体100の底部102との間に配置されている。底面部500は、底部102に対向している。
【0092】
第1側面部510は、1対の第1側壁103a,103bのうちの一方と電極体20との間に配置されている。本実施の形態における第1側面部510は、一方の第1側壁103aと電極体20との間に配置されている。
【0093】
第2側面部511は、1対の第1側壁103a,103bのうちの他方と電極体20との間に配置されている。本実施の形態における第2側面部511は、他方の第1側壁103bと電極体20との間に配置されている。
【0094】
第1左側片部520は、第1側面部510の側方の一方の端部から曲げられている。本実施の形態における第1左側片部520は、電池1の正極側における第1側面部510の側方の端部から曲げられている。
【0095】
第1左側片部520は、1対の第2側壁104a,104bのうちの一方と電極体20との間に配置されている。本実施の形態における第1左側片部520は、一方の第2側壁104aと電極体20との間に配置されている。
【0096】
第2左側片部521は、第2側面部511の側方の一方の端部から曲げられている。本実施の形態における第2左側片部521は、電池1の正極側における第2側面部511の側方の端部から曲げられている。
【0097】
第2左側片部521は、1対の第2側壁104a,104bのうちの一方と電極体20との間にて、第1左側片部520と少なくとも一部が重なって配置されている。本実施の形態における第2左側片部521は、一方の第2側壁104aと電極体20との間に配置されている。
【0098】
左側底片部522は、底面部500の側方の一方の端部から立ち上がっている。本実施の形態における左側底片部522は、電池1の正極側における底面部500の側方の端部から立ち上がっている。
【0099】
左側底片部522は、1対の第2側壁104a,104bのうちの一方と電極体20との間にて、互いに重なっている第1左側片部520および第2左側片部521より外側に位置している。本実施の形態における左側底片部522は、一方の第2側壁104aと電極体20との間にて、第1左側片部520および第2左側片部521より一方の第2側壁104a側に位置している。
【0100】
第1左側接続部523は、第1左側片部520および左側底片部522の各々に連続して設けられている。第1左側接続部523は、第1左側片部520および左側底片部522の各々との境界で折り曲げられ、第1左側片部520と左側底片部522との間に挟まれている。
【0101】
第2左側接続部524は、第2左側片部521および左側底片部522の各々に連続して設けられている。第2左側接続部524は、第2左側片部521および左側底片部522の各々との境界で折り曲げられ、第2左側片部521と左側底片部522との間に挟まれている。
【0102】
図19は、図18に示す電池のXIX部を拡大して示す斜視図である。
【0103】
図19に示すように、絶縁シート50には、絶縁シート50の内側と外側とを連通させる第1連通路530が形成されている。第1連通路530は、第1左側片部520と第2左側片部521と左側底片部522と第1左側接続部523と第2左側接続部524とによって構成されている。第1連通路530は、第1左側片部520、第2左側片部521、左側底片部522、第1左側接続部523および第2左側接続部524の各々が折り曲げられて互いに隣接することにより形成された隙間であり、第1連通路530を通じて電解液が絶縁シート50の内側と外側とを通流可能になっている。
【0104】
第1連通路530は、第1開口端531を有している。第1開口端531は、第1左側接続部523および第2左側接続部524の各々の外装体100の開口部101側の端の位置に位置している。本実施の形態における第1開口端531は、左側底片部522、第1左側接続部523および第2左側接続部524の各々の外装体100の開口部101側の端に位置している。
【0105】
図20は、本技術の実施の形態1に係る電池が備える絶縁シートの構成を示す展開図である。
【0106】
図18および図20に示すように、1枚の絶縁シート50が折り曲げられることにより有底筒状に形成されている。図20に示すように、底面部500は、1対の長辺および1対の長辺に直交する1対の短辺を有する矩形形状である。
【0107】
底面部500の1対の長辺のうちの一方には、第1側面部510が接続されている。具体的には、底面部500の1対の長辺のうちの一方の全長に亘って、第1側面部510と底面部500とが連続して接続されている。
【0108】
底面部500の1対の長辺のうちの他方には、第2側面部511が接続されている。具体的には、底面部500の1対の長辺のうちの他方の全長に亘って、第2側面部511と底面部500とが連続して接続されている。
【0109】
底面部500の1対の短辺のうちの一方の全長に亘って、底面部500と左側底片部522とが連続して接続されている。
【0110】
第1側面部510と第1左側片部520との境界において電極体20と面している範囲の全長に亘って第1側面部510と第1左側片部520とが連続して接続されている。本実施の形態において、第1側面部510および第1左側片部520は、互いの境界の全長に亘って連続して接続されている。ただし、第1側面部510と第1左側片部520との境界において電極体20と面していない上端部に、切り込みまたは貫通孔が形成されて第1側面部510と第1左側片部520とが非連続な箇所があってもよい。
【0111】
第2側面部511と第2左側片部521との境界において電極体20と面している範囲の全長に亘って第2側面部511と第2左側片部521とが連続して接続されている。本実施の形態において、第2側面部511および第2左側片部521は、互いの境界の全長に亘って連続して接続されている。ただし、第2側面部511と第2左側片部521との境界において電極体20と面していない上端部に、切り込みまたは貫通孔が形成されて第2側面部511と第2左側片部521とが非連続な箇所があってもよい。
【0112】
絶縁シート50には、第1折り曲げ線551と、第2折り曲げ線552と、第3折り曲げ線553と、第4折り曲げ線554と、第5折り曲げ線555と、第6折り曲げ線556と、第7折り曲げ線557と、第8折り曲げ線558と、第9折り曲げ線559とが形成されている。
【0113】
第1折り曲げ線551は、底面部500と第1側面部510との境界に形成されている。第2折り曲げ線552は、底面部500と第2側面部511との境界に形成されている。第3折り曲げ線553は、第1側面部510と第1左側片部520との境界に形成されている。第4折り曲げ線554は、底面部500の1対の短辺のうちの一方と左側底片部522との境界に形成されている。第5折り曲げ線555は、第2側面部511と第2左側片部521との境界に形成されている。第6折り曲げ線556は、第1左側片部520と第1左側接続部523との境界に形成されている。第7折り曲げ線557は、左側底片部522と第1左側接続部523との境界に形成されている。第8折り曲げ線558は、左側底片部522と第2左側接続部524との境界に形成されている。第9折り曲げ線559は、第2左側片部521と第2左側接続部524との境界に形成されている。
【0114】
第1折り曲げ線551、第2折り曲げ線552、第3折り曲げ線553、第4折り曲げ線554、第5折り曲げ線555、第7折り曲げ線557および第8折り曲げ線558の各々は、絶縁シート50の一方の面側から凹まされて形成されている。第6折り曲げ線556および第9折り曲げ線559の各々は、絶縁シート50の他方の面側から凹まされて形成されている。これにより、左側底片部522を第1左側片部520および第2左側片部521より外側に配置することができる。
【0115】
絶縁シート50は、第1交点540と第2交点541とをさらに含む。第1交点540は、第1折り曲げ線551、第3折り曲げ線553、第4折り曲げ線554、第6折り曲げ線556および第7折り曲げ線557との交点である。第2交点541は、第2折り曲げ線552、第4折り曲げ線554、第5折り曲げ線555、第8折り曲げ線558、第9折り曲げ線559との交点である。第1交点540および第2交点541は、底面部500の1対の短辺のうちの一方側の角部に位置している。
【0116】
図21は、本技術の実施の形態1に係る電池が備える絶縁シートが折り曲げられている状態を示す斜視図である。
【0117】
図21に示すように、絶縁シート50は、底面部500に対して第1側面部510、第2側面部511、第1左側片部520、第2左側片部521、左側底片部522、第1左側接続部523および第2左側接続部524が第1~第9折り曲げ線551~559において折り曲げられることにより有底筒状に形成される。
【0118】
具体的には、第1左側片部520が第2左側片部521の外側にくるように折り曲げられる。第1左側片部520および第1左側接続部523は、左側底片部522と第2左側接続部524との間に挟まれるように折り曲げられる。これにより、図19に示すように、絶縁シート50には、互いに折り重なった、第1左側片部520、第2左側片部521、左側底片部522、第1左側接続部523および第2左側接続部524によって、絶縁シート50の内側と外側とに連通した隙間である第1連通路530が形成される。
【0119】
図22は、図18の電池を矢印XXII方向から見た側面図である。図22に示すように、絶縁シート50は、第1重なり領域571と、第2重なり領域572と、第3重なり領域573と、第4重なり領域574とをさらに有する。
【0120】
第1重なり領域571は、1対の第2側壁104a,104bのうちの一方と電極体20との間にて、第1左側片部520および第2左側片部521が互いに重なる領域である。本実施の形態における第1重なり領域571は、一方の第2側壁104aと電極体20との間に位置している。
【0121】
第2重なり領域572は、第1左側片部520、第2左側片部521および左側底片部522が互いに重なる領域である。本実施の形態における第2重なり領域572は、第1左側片部520、第2左側片部521および左側底片部522に加えて第1左側接続部523および第2左側接続部524も重なっている。
【0122】
第3重なり領域573は、第1左側片部520、左側底片部522および第1左側接続部523が重なる領域である。第4重なり領域574は、第2左側片部521、左側底片部522および第2左側接続部524が重なる領域である。
【0123】
第3重なり領域573および第4重なり領域574の各々の外装体100の開口部101側の端の位置に第1開口端531が位置している。本実施の形態における第1開口端531は、第2重なり領域572、第3重なり領域573および第4重なり領域574の各々の開口部101側の端に位置している。
【0124】
底面部500に直交する方向において、底面部500と第1開口端531との最短距離Lは5mm以上である。この構成により、電極体20の底面の短辺側の端部(後述する端部20e)と、外装体100との沿面距離を5mm以上確保することができる。本実施の形態に係る絶縁シート50においては、第1交点540および第2交点541の各々の半径5mm以内に、絶縁シート50の内側と外側とが連通している箇所が存在しないことにより、電極体20の底面の短辺側の端部(後述する端部20e)と外装体100との沿面距離を5mm以上確保することができる。
【0125】
図23は、図17の電池をXXIII-XXIII線矢印方向から見た断面図である。図23においては、第6折り曲げ線556および第9折り曲げ線559の交わった位置での底面部500に垂直方向の断面を示している。
【0126】
図23に示すように、絶縁シート50は、底部102側の角部周辺において、電極体20から外装体100に向かって、第2左側片部521、第2左側接続部524、第1左側片部520、第1左側接続部523および左側底片部522の順に配置されている。
【0127】
第1連通路530は、外装体100の底部102側かつ1対の第2側壁104a,104bのうちの一方側の稜線部に最も接近している電極体20の端部に絶縁シート50の外側から浸入する電解液の最短浸入経路上に位置している。本実施の形態においては、第1連通路530は、外装体100の底部102側かつ一方の第2側壁104a側の稜線部104eに最も接近している電極体20の端部20eに絶縁シート50の外側から浸入する電解液80の最短浸入経路上に位置している。
【0128】
電池1周辺の浸水などによって直列に接続されている複数の電池1のうちの両端に位置する電池1同士の間に高電圧が印加される短絡経路が形成される場合がある。この場合、短絡経路に位置する電池1の内部において、電極体20の端部20eと外装体100の稜線部104eとの間に最も高い電圧が印加される。本実施の形態に係る電池1においては、電極体20の端部20eに絶縁シート50の外側から浸入する電解液80の最短浸入経路上に第1連通路530が位置することによって、電極体20の端部20eと外装体100の稜線部104eとの間に高電圧が印加された場合であっても、電極体20の端部20eと外装体100の稜線部104eとの沿面距離を確保することができるため、電極体20の端部20eと外装体100の稜線部104eとの間での部分放電の発生を抑制することができる。
【0129】
図24は、図18の電池を矢印XXIV方向から見た側面図である。図17図20および図24に示すように、絶縁シート50は、第1右側片部525と、第2右側片部526と、右側底片部527と、第1右側接続部528と、第2右側接続部529とを含む。
【0130】
第1右側片部525は、第1側面部510の側方の他方の端部から曲げられている。本実施の形態における第1右側片部525は、電池1の負極側における第1側面部510の側方の端部から曲げられている。
【0131】
第1右側片部525は、1対の第2側壁104a,104bのうちの他方と電極体20との間に配置されている。本実施の形態における第1右側片部525は、他方の第2側壁104bと電極体20との間に配置されている。
【0132】
第2右側片部526は、第2側面部511の側方の他方の端部から曲げられている。本実施の形態における第2右側片部526は、電池1の負極側における第2側面部511の側方の端部から曲げられている。
【0133】
第2右側片部526は、1対の第2側壁104a,104bのうちの他方と電極体20との間にて、第1右側片部525と少なくとも一部が重なって配置されている。本実施の形態における第2右側片部526は、他方の第2側壁104bと電極体20との間に配置されている。
【0134】
右側底片部527は、底面部500の側方の他方の端部から立ち上がっている。本実施の形態における右側底片部527は、電池1の負極側における底面部500の側方の端部から立ち上がっている。
【0135】
右側底片部527は、1対の第2側壁104a,104bのうちの他方と電極体20との間にて、互いに重なっている第1右側片部525および第2右側片部526より外側に位置している。本実施の形態における右側底片部527は、他方の第2側壁104bと電極体20との間にて、第1右側片部525および第2右側片部526より他方の第2側壁104b側に位置している。
【0136】
第1右側接続部528は、第1右側片部525および右側底片部527の各々に連続して設けられている。第1右側接続部528は、第1右側片部525および右側底片部527の各々との境界で折り曲げられ、第1右側片部525と右側底片部527との間に挟まれている。
【0137】
第2右側接続部529は、第2右側片部526および右側底片部527の各々に連続して設けられている。第2右側接続部529は、第2右側片部526および右側底片部527の各々との境界で折り曲げられ、第2右側片部526と右側底片部527との間に挟まれている。
【0138】
絶縁シート50には、第10折り曲げ線560と、第11折り曲げ線561と、第12折り曲げ線562と、第13折り曲げ線563と、第14折り曲げ線564と、第15折り曲げ線565と、第16折り曲げ線566とが形成されている。
【0139】
第10折り曲げ線560は、第1側面部510と第1右側片部525との境界に形成されている。第11折り曲げ線561は、底面部500の1対の短辺のうちの他方と右側底片部527との境界に形成されている。第12折り曲げ線562は、第2側面部511と第2右側片部526との境界に形成されている。第13折り曲げ線563は、第1右側片部525と第1右側接続部528との境界に形成されている。第14折り曲げ線564は、右側底片部527と第1右側接続部528との境界に形成されている。第15折り曲げ線は、右側底片部527と第2右側接続部529との境界に形成されている。第16折り曲げ線566は、第2右側片部526と第2右側接続部529との境界に形成されている。
【0140】
絶縁シート50には、絶縁シート50の内側と外側とを連通させる第2連通路532が形成されている。第2連通路532は、第1右側片部525と第2右側片部526と右側底片部527と第1右側接続部528と第2右側接続部529とによって構成されている。第1連通路530は、第1右側片部525、第2右側片部526、右側底片部527、第1右側接続部528および第2右側接続部529の各々が折り曲げられて互いに隣接することにより形成された隙間であり、第2連通路532を通じて電解液が絶縁シート50の内側と外側とを通流可能になっている。
【0141】
第2連通路532は、第2開口端533を有している。第2開口端533は、第1右側接続部528および第2右側接続部529の各々の外装体100の開口部101側の端に位置している。本実施の形態における第2開口端533は、右側底片部527、第1右側接続部528および第2右側接続部529の各々の外装体100の開口部101側の端に位置している。
【0142】
絶縁シート50は、第5重なり領域575と、第6重なり領域576と、第7重なり領域577と、第8重なり領域578とをさらに有する。
【0143】
第5重なり領域575は、1対の第2側壁104a,104bのうちの他方と電極体20との間にて、第1右側片部525および第2右側片部526が互いに重なる領域である。本実施の形態における第5重なり領域575は、他方の第2側壁104bと電極体20との間に位置している。
【0144】
第6重なり領域576は、第1右側片部525、第2右側片部526および右側底片部527が互いに重なる領域である。本実施の形態における第6重なり領域576は、第1右側片部525、第2右側片部526および右側底片部527に加えて第1右側接続部528および第2右側接続部529も重なっている。
【0145】
第7重なり領域577は、第1右側片部525、右側底片部527および第1右側接続部528が重なる領域である。第8重なり領域578は、第2右側片部526、右側底片部527および第2右側接続部529が重なる領域である。
【0146】
第7重なり領域577および第8重なり領域578の各々の外装体100の開口部101側の端の位置に第2開口端533が位置している。本実施の形態における第2開口端533は、第6重なり領域576、第7重なり領域577および第8重なり領域578の各々の開口部101側の端に位置している。
【0147】
絶縁シート50は、第3交点542と第4交点543とをさらに含む。第3交点542は、第1折り曲げ線551、第10折り曲げ線560、第11折り曲げ線561、第13折り曲げ線563および第14折り曲げ線564との交点である。第4交点543は、第2折り曲げ線552、第11折り曲げ線561、第12折り曲げ線562、第15折り曲げ線565、第16折り曲げ線566との交点である。第3交点542および第4交点543は、底面部500の1対の短辺のうちの他方側の角部に位置している。
【0148】
第2連通路532は、外装体100の底部102側かつ1対の第2側壁104a,104bのうちの他方側の稜線部に最も接近している電極体20の端部に絶縁シート50の外側から浸入する電解液80の最短浸入経路上に位置している。本実施の形態においては、第2連通路532は、外装体100の底部102側かつ他方の第2側壁104b側の稜線部に最も接近している電極体20の端部に絶縁シート50の外側から浸入する電解液の最短浸入経路上に位置している。
【0149】
絶縁シート50における第1右側片部525、第2右側片部526、右側底片部527、第1右側接続部528および第2右側接続部529ならびに第10~第16折り曲げ線560~566は、上述した構成以外については、第1左側片部520、第2左側片部521、左側底片部522、第1左側接続部523および第2左側接続部524ならびに第3~第9折り曲げ線553~559と同様の構成を有している。
【0150】
本実施の形態に係る電池1においては、絶縁シート50に設けられた第1連通路530が外装体100の底部102側かつ1対の第2側壁104a,104bのうちの一方側の稜線部に最も接近している電極体20の端部に絶縁シート50の外側から浸入する電解液80の最短浸入経路上に位置していることによって、電極体20の端部と外装体100の稜線部との間に高電圧が印加された場合であっても、電極体20の端部と外装体100の稜線部との沿面距離を確保することができるため、電極体20の端部と外装体100の稜線部との間での部分放電の発生を抑制することができる。
【0151】
本実施の形態に係る電池1においては、底面部500に直交する方向において、底面部500と第1開口端531との最短距離が5mm以上であることによって、電極体20の端部20eと外装体100の稜線部104eとの間での部分放電の発生を抑制することができる。なお、上記最短距離は、5mmに限定されず、電池1の電圧などに応じた必要な沿面距離によって適宜設定される。
【0152】
本実施の形態に係る電池1においては、一方の第2側壁104aに直交する方向における、第1領域311と一方の第2側壁104aとの間の最短距離を、第3領域313と一方の第2側壁104aとの間の最短距離より短くすることによって、箱状の絶縁シート50の開口端に近い位置において、電極体20と外装体100との絶縁距離を長く確保することができる。第1領域411、第3領域413および他方の第2側壁104bにおいても、第1領域311、第3領域313および一方の第2側壁104aと同様の構成を有することにより、同様の効果を得ることができる。
【0153】
本実施の形態に係る電池1においては、第1正極集電体300および第2正極集電体310、または、第1負極集電体400および第2負極集電体410の2つの部材を用いて、タブ部21と正極端子230または負極端子280とを接続することにより、電池ケース10の電極体20との電気接続経路を容易に構成することができる。
【0154】
本実施の形態に係る電池1においては、電池ケース10内に配置された絶縁シート50の内側に、複数の巻回型電極体が収容されていることにより、1つの厚型の巻回型電極体が収容されている場合に比較して、電極体20の底面部500側の端部の湾曲半径を小さくして電解液80が電極体20に浸入できる領域を大きく確保できるため、電極体20内の電解液80が不足することを抑制することができる。
【0155】
本実施の形態に係る電池1においては、絶縁シート50の底面部500の1対の長辺のうちの一方の全長に亘って、第1側面部510と底面部500とが連続して接続され、底面部500の1対の長辺のうちの他方の全長に亘って、第2側面部511と底面部500とが連続して接続されていることによって、第1折り曲げ線551および第2折り曲げ線552の各々において電極体20と外装体100とを連続的に絶縁して部分放電の発生を抑制することができる。
【0156】
本実施の形態に係る電池1においては、絶縁シート50の底面部500の1対の短辺のうちの一方の全長に亘って、底面部500と左側底片部522とが連続して接続されていることによって、第4折り曲げ線554において電極体20と外装体100とを連続的に絶縁して部分放電の発生を抑制することができる。
【0157】
本実施の形態に係る電池1においては、絶縁シート50の第1側面部510と第1左側片部520との境界において電極体20と面している範囲の全長に亘って第1側面部510と第1左側片部520とが連続して接続され、第2側面部511と第2左側片部521との境界において電極体20と面している範囲の全長に亘って第2側面部511と第2左側片部521とが連続して接続されていることによって、第3折り曲げ線553および第5折り曲げ線555の各々において電極体20と外装体100とを連続的に絶縁して部分放電の発生を抑制することができる。
【0158】
本実施の形態に係る電池1においては、第1折り曲げ線551、第2折り曲げ線552、第3折り曲げ線553、第4折り曲げ線554、第5折り曲げ線555、第7折り曲げ線557および第8折り曲げ線558の各々は、絶縁シート50の一方の面側から凹まされて形成され、第6折り曲げ線556および第9折り曲げ線559の各々は、絶縁シート50の他方の面側から凹まされて形成されていることによって、凹まされた側を折り曲げの谷側にすることができるため、絶縁シート50を容易に折り曲げて箱状にすることができる。
【0159】
本実施の形態に係る電池1においては、折り曲げられた絶縁シート50に設けられた第2連通路532が外装体100の底部102側かつ1対の第2側壁104a,104bのうちの他方側の稜線部に最も接近している電極体20の端部に絶縁シート50の外側から浸入する電解液80の最短浸入経路上に位置していることによって、電極体20の端部と外装体100の稜線部との沿面距離を確保することができるため、電極体20の端部と外装体100の稜線部との間での部分放電の発生を抑制することができる。
【0160】
(実施の形態2)
以下、本技術の実施の形態2に係る電池について説明する。本技術の実施の形態2に係る電池は、絶縁シートの構成が本技術の実施の形態1に係る電池1と異なるため、本技術の実施の形態1に係る電池1と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0161】
図25は、本技術の実施の形態2に係る電池が備える絶縁シートの構成を示す展開図である。図25に示すように、本実施の形態に係る電池が備える絶縁シート50Aは、底面部500と、第1側面部510と、第2側面部511と、第1左側片部520と、第2左側片部521と、左側底片部522と、第1左側接続部523Aと、第2左側接続部524Aとを含む。
【0162】
第1左側接続部523Aは、第1左側片部520および左側底片部522の各々に連続して設けられている。第2左側接続部524Aは、第2左側片部521および左側底片部522の各々に連続して設けられている。
【0163】
絶縁シート50Aは、第1折り曲げ線551と、第2折り曲げ線552と、第3折り曲げ線553と、第4折り曲げ線554と、第5折り曲げ線555と、第6折り曲げ線556Aと、第7折り曲げ線557Aと、第8折り曲げ線558Aと、第9折り曲げ線559Aとが形成されている。
【0164】
第6折り曲げ線556Aは、第1左側片部520と第1左側接続部523Aとの境界に形成されている。第6折り曲げ線556Aは、第1左側片部520における第1左側接続部523A側の短辺部分を含む。
【0165】
第7折り曲げ線557Aは、左側底片部522と第1左側接続部523Aとの境界に形成されている。第7折り曲げ線557Aは、左側底片部522における第1左側接続部523A側の短辺部分を含む。
【0166】
第8折り曲げ線558Aは、左側底片部522と第2左側接続部524Aとの境界に形成されている。第8折り曲げ線558Aは、左側底片部522における第2左側接続部524A側の短辺部分を含む。
【0167】
第9折り曲げ線559Aは、第2左側片部521と第2左側接続部524Aとの境界に形成されている。第9折り曲げ線559Aは、第2左側片部521における第2左側接続部524A側の短辺部分を含む。
【0168】
絶縁シート50Aにおいて、第6折り曲げ線556Aと第7折り曲げ線557Aとに挟まれつつ第1左側接続部523Aに隣接する領域に第1貫通欠除部523hが形成されている。第8折り曲げ線558と第9折り曲げ線559とに挟まれつつ第2左側接続部524Aに隣接する領域に第2貫通欠除部524hが形成されている。なお、第1貫通欠除部523hおよび第2貫通欠除部524hは切欠形状に限定されず、スリット、貫通孔またはミシン目などの絶縁シート50の内側と外側とを連通させることができる構造であってもよい。
【0169】
第1折り曲げ線551、第2折り曲げ線552、第3折り曲げ線553、第4折り曲げ線554、第5折り曲げ線555、第7折り曲げ線557Aおよび第8折り曲げ線558Aの各々は、絶縁シート50の一方の面側から凹まされて形成されている。第6折り曲げ線556Aおよび第9折り曲げ線559Aの各々は、絶縁シート50の他方の面側から凹まされて形成されている。これにより、左側底片部522を第1左側片部520および第2左側片部521より外側に配置することができる。
【0170】
図26は、本技術の実施の形態2に係る電池の内部構成を示す側面図である。図26に示すように、第1左側接続部523Aは、第1左側片部520および左側底片部522の各々との境界で折り曲げられ、第1左側片部520と左側底片部522との間に挟まれている。第2左側接続部524Aは、第2左側片部521および左側底片部522の各々との境界で折り曲げられ、第2左側片部521と左側底片部522との間に挟まれている。
【0171】
絶縁シート50Aには、絶縁シート50Aの内側と外側とを連通させる第1連通路530Aが形成されている。第1連通路530Aは、第1左側片部520と第2左側片部521と左側底片部522と第1左側接続部523Aと第2左側接続部524Aとによって構成されている。第1連通路530Aは、第1左側片部520、第2左側片部521、左側底片部522、第1左側接続部523Aおよび第2左側接続部524Aの各々が折り曲げられて互いに隣接することにより形成された隙間であり、第1連通路530Aを通じて電解液が絶縁シート50Aの内側と外側とを通流可能になっている。
【0172】
第1連通路530Aは、第1開口端531Aを有している。第1開口端531Aは、第1連通路530Aにおいて、第1左側接続部523Aおよび第2左側接続部524Aの各々の外装体100の開口部101側の端に位置している。
【0173】
絶縁シート50Aは、第1重なり領域571と、第2重なり領域572Aと、第3重なり領域573Aと、第4重なり領域574Aと、第9重なり領域579と、第10重なり領域580とをさらに有する。
【0174】
第1重なり領域571は、第1左側片部520および第2左側片部521が互いに重なる領域である。第2重なり領域572Aは、第1左側片部520、第2左側片部521および左側底片部522が互いに重なる領域である。第3重なり領域573は、第1左側片部520、左側底片部522および第1左側接続部523Aが重なる領域である。第4重なり領域574は、第2左側片部521、左側底片部522および第2左側接続部524Aが重なる領域である。
【0175】
第9重なり領域579は、第1左側片部520および左側底片部522が互いに重なる領域である。第10重なり領域580は、第2左側片部521および左側底片部522が互いに重なる領域である。
【0176】
第3重なり領域573Aおよび第4重なり領域574Aの各々の外装体100の開口部101側の端の位置に第1開口端531Aが位置している。本実施の形態における第1開口端531Aは、図26に示すように、第6折り曲げ線556Aと第9折り曲げ線559Aとが交わる位置より底面部500側に位置している。
【0177】
電極体20の1対の第1側壁103a,103bが互いに対向する方向における幅寸法をWとし、底面部500に直交する方向における底面部500から第1開口端531Aまでの高さ寸法をHとすると、幅寸法Wと高さ寸法Hとは、H<W/2の関係を満たしている。この関係により、第1開口端531Aは、電極体20の底面部500側の端部に近接する。
【0178】
なお、本実施の形態の絶縁シート50Aにおける第1右側片部525、第2右側片部526、右側底片部527、第1右側接続部528Aおよび第2右側接続部529Aならびに第10~第12折り曲げ線560~562および第13~第16折り曲げ線563A~566Aは、第1左側片部520、第2左側片部521、左側底片部522、第1左側接続部523Aおよび第2左側接続部524Aならびに第3~第5折り曲げ線553~555および第6~第9折り曲げ線556A~559Aと同様の構成を有している。
【0179】
本実施の形態に係る電池においては、絶縁シート50Aに第1貫通欠除部523hおよび第2貫通欠除部524hが形成されていることによって、底面部500に直交する方向において、第1貫通欠除部523hおよび第2貫通欠除部524hが形成されていない場合と比較して、第1連通路530Aの第1開口端531Aが底面部500に近い位置に位置しているため、電極体20の端部20eと外装体100の稜線部104eとの間での部分放電の発生を抑制しつつ、絶縁シート50の外側から内側へ電解液を浸入しやすくすることができる。
【0180】
本実施の形態に係る電池1においては、電極体20の1対の第1側壁103a,103bが互いに対向する方向における幅寸法Wと、底面部500に直交する方向における底面部500から第1開口端531Aまでの高さ寸法Hとが、H<W/2の関係を満たしていることによって、第1開口端531Aを電極体20の底面部500側の端部に近接させることができるため、絶縁シート50の外側の電解液が少量である場合でも絶縁シート50の内側に電解液を浸入させることができる。なお、本実施の形態においても、底面部500に直交する方向において、底面部500と第1開口端531Aとの最短距離が5mm以上であることが好ましい。
【0181】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0182】
1 電池、10 電池ケース、20 電極体、20e 端部、21 タブ部、30 正極集電体、40 負極集電体、50,50A 絶縁シート、60 正極外部導電部材、70 負極外部導電部材、80 電解液、100 外装体、101 開口部、102 底部、103a,103b 第1側壁、104a,104b 第2側壁、104e 稜線部、110 封口板、111 電解液注液孔、112 封止部材、113 ガス排出弁、114 正極端子取り付け孔、115 負極端子取り付け孔、200 正極板、200S 正極原板、201 正極芯体、202 正極活物質層、203 正極保護層、210 正極タブ群、220 正極タブ、221 先端部、230 正極端子、230A,280A カシメ部、231,281 第1外部側絶縁部材、232,282 第2外部側絶縁部材、232h,240h,282h,290h,301h,315,401h,415 貫通孔、240,290 内部側絶縁部材、250 負極板、250S 負極原板、251 負極芯体、252 負極活物質層、260 負極タブ群、270 負極タブ、280 負極端子、300 第1正極集電体、301,401 基部、302,402 集電体接続部、310 第2正極集電体、311,411 第1領域、312,412 第2領域、313,413 第3領域、314,414 凹部、316 ヒューズ孔、320 タブ接合部、400 第1負極集電体、410 第2負極集電体、500 底面部、510 第1側面部、511 第2側面部、520 第1左側片部、521 第2左側片部、522 左側底片部、523,523A 第1左側接続部、523h 第1貫通欠除部、524,524A 第2左側接続部、524h 第2貫通欠除部、525 第1右側片部、526 第2右側片部、527 右側底片部、528 第1右側接続部、529 第2右側接続部、530,530A 第1連通路、531,531A 第1開口端、532 第2連通路、533 第2開口端、540 第1交点、541 第2交点、542 第3交点、543 第4交点、551 第1折り曲げ線、552 第2折り曲げ線、553 第3折り曲げ線、554 第4折り曲げ線、555 第5折り曲げ線、556,556A 第6折り曲げ線、557,557A 第7折り曲げ線、558,558A 第8折り曲げ線、559,559A 第9折り曲げ線、560 第10折り曲げ線、561 第11折り曲げ線、562 第12折り曲げ線、563 第13折り曲げ線、564 第14折り曲げ線、565 第15折り曲げ線、566 第16折り曲げ線、571 第1重なり領域、572,572A 第2重なり領域、573,573A 第3重なり領域、574,574A 第4重なり領域、575 第5重なり領域、576 第6重なり領域、577 第7重なり領域、578 第8重なり領域、579 第9重なり領域、580 第10重なり領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
図11
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