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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20231211BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20231211BHJP
【FI】
H01M10/04 W
H01M10/0587
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021131370
(22)【出願日】2021-08-11
(65)【公開番号】P2023025916
(43)【公開日】2023-02-24
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】池下 一哉
(72)【発明者】
【氏名】古小路 佳之
【審査官】村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/020658(WO,A1)
【文献】特開2011-253701(JP,A)
【文献】特開2011-116525(JP,A)
【文献】特開2014-222595(JP,A)
【文献】国際公開第2013/065535(WO,A1)
【文献】特開2021-020700(JP,A)
【文献】特開2014-154457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/00-10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回電極体を備えた電池の製造方法であって、
第1セパレータ、第2セパレータ、正極板および負極板を、第1位置に配置された巻芯に巻き付ける工程Aと、
前記巻芯が前記第1位置から離れ、前記第1位置に前記巻芯とは別の巻芯が配置される工程Bと、
前記工程Bで前記第1位置から離れた前記巻芯に巻き付けられた前記第1セパレータおよび前記第2セパレータが、前記工程Bで前記第1位置に配置された前記別の巻芯の外周面に吸着されることによって、前記別の巻芯の外周面に重ねられて保持された状態で、かつ、前記別の巻芯の外周面に軸方向に沿って設けられた溝で切断される工程Cと、
前記工程Cで切断された前記第1セパレータおよび前記第2セパレータが切断された端部まで、前記工程Bで前記第1位置から離れた前記巻芯に巻き付けられる工程Dと
を有する、電池の製造方法。
【請求項2】
巻回電極体を備えた電池の製造方法であって、
第1セパレータ、第2セパレータ、正極板および負極板を、第1位置に配置された巻芯に巻き付ける工程Aと、
前記巻芯が前記第1位置から離れ、前記第1位置に前記巻芯とは別の巻芯が配置される工程Bと、
前記工程Bで前記第1位置から離れた前記巻芯に巻き付けられた前記第1セパレータおよび前記第2セパレータが、前記工程Bで前記第1位置に配置された前記別の巻芯の外周面に重ねられて保持された状態で、かつ、前記別の巻芯の外周面に軸方向に沿って設けられた溝で切断される工程Cと、
前記工程Cで切断された前記第1セパレータおよび前記第2セパレータが切断された端部まで、前記工程Bで前記第1位置から離れた前記巻芯に巻き付けられる工程Dと
を有
前記工程Cでは、前記第1セパレータと前記別の巻芯とは直接接触し、前記巻芯において前記第1セパレータと接触するのは外周面のみであり、前記第2セパレータは前記第1セパレータ上に配置される、
電池の製造方法。
【請求項3】
巻回電極体を備えた電池の製造方法であって、
第1セパレータ、第2セパレータ、正極板および負極板を、第1位置に配置された巻芯に巻き付ける工程Aと、
前記巻芯が前記第1位置から離れ、前記第1位置に前記巻芯とは別の巻芯が配置される工程Bと、
前記工程Bで前記第1位置から離れた前記巻芯に巻き付けられた前記第1セパレータおよび前記第2セパレータが、前記工程Bで前記第1位置に配置された前記別の巻芯の外周面に重ねられて保持された状態で、かつ、前記別の巻芯の外周面に軸方向に沿って設けられた溝で切断される工程Cと、
前記工程Cで切断された前記第1セパレータおよび前記第2セパレータが切断された端部まで、前記工程Bで前記第1位置から離れた前記巻芯に巻き付けられる工程Dと
を有
前記工程Cでは、前記第1セパレータと前記別の巻芯とは直接接触し、前記第2セパレータは前記第1セパレータ上に配置され、前記第1セパレータの移動経路における前記第1セパレータの切断位置の上流側および下流側において、前記別の巻芯に接した状態で第1セパレータが切断される、
電池の製造方法。
【請求項4】
前記工程Cの後、前記別の巻芯に正極板および負極板が巻回されて巻回体が作製され、その後、前記別の巻芯において作成された巻回体を前記別の巻芯から取り外す工程を有する、請求項1から3までの何れか一項に記載された電池の製造方法。
【請求項5】
前記工程Cでは、前記第1セパレータおよび前記第2セパレータは、前記別の巻芯に対して周方向に15~180度の領域に巻き付いた状態で切断される、請求項1から4までの何れか一項に記載された電池の製造方法。
【請求項6】
前記工程Cでは、前記第1セパレータの移動経路における前記第1セパレータの切断位置の上流側および下流側において、前記別の巻芯に接した状態で第1セパレータが切断される、請求項1から5までの何れか一項に記載された電池の製造方法。
【請求項7】
前記工程Cでは、前記第1セパレータおよび前記第2セパレータを切断する際に、前記第1セパレータおよび前記第2セパレータが前記別の巻芯に押え治具によって押さえ付けられる、請求項1からまでの何れか一項に記載された電池の製造方法。
【請求項8】
前記押え治具は、外周面に複数の突起が形成されたローラである、請求項に記載された電池の製造方法。
【請求項9】
前記工程Cでは、前記別の巻芯に近づくように動く刃で前記第1セパレータおよび前記第2セパレータが切断される、請求項1からまでの何れか一項に記載された電池の製造方法。
【請求項10】
前記刃は、波刃である、請求項に記載された電池の製造方法。
【請求項11】
前記工程Bで前記第1位置から離れた前記巻芯は、前記工程Dにおいて第2位置に位置し、その後、前記第1位置および前記第2位置とは異なる第3位置に移動し、前記第3位置において、前記工程Bで前記第1位置から離れた前記巻芯から、前記第1セパレータ、前記第2セパレータ、前記正極板および前記負極板が巻回された巻回体が取り外される工程をさらに有する、請求項1から10までの何れか一項に記載された電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2009-193750号公報には、帯状の正極板および負極板を、2枚のセパレータを交互に重ねつつ渦巻状に巻回する非水系二次電池用極板群の製造方法が開示されている。同公報で開示される製造方法では、セパレータの先端部分が巻芯に押し付けられながら吸着し、正極板と負極板が挟み込まれて渦巻状に巻回されている。
【0003】
特開2011-253701号公報には、巻回素子の製造装置が開示されている。同公報で開示される製造装置は、自身の中心軸を回転軸として回転可能な円板状のターレットに、両電極箔および両セパレータを巻き取る巻芯が設けられている。巻芯は、ターレットの回転方向に沿って間欠的に複数設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-193750号公報
【文献】特開2011-253701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような巻回電極体を備えた電池の製造方法において、巻回電極体の生産性を向上させたいと、本発明者は考えている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで開示される電池の製造方法は、巻回電極体を備えた電池の製造方法であって、以下の工程を有する。
工程A:第1セパレータ、第2セパレータ、正極板および負極板を、第1位置に配置された巻芯に巻き付ける工程
工程B:巻芯が第1位置から離れ、第1位置に巻芯とは別の巻芯が配置される工程Bと、
工程C:工程Bで第1位置から離れた巻芯に巻き付けられた第1セパレータおよび第2セパレータが、工程Bで第1位置に配置された別の巻芯の外周面に重ねられて保持された状態で、かつ、別の巻芯の外周面に軸方向に沿って設けられた溝で切断される工程
工程D:工程Cで切断された第1セパレータおよび第2セパレータが、切断された端部まで、工程Bで第1位置から離れた巻芯に巻き付けられる工程
【0007】
かかる製造方法では、第1セパレータと第2セパレータが安定した状態で切断される。巻回電極体を備えた電池の製造方法において、巻回電極体の生産性を向上する。
【0008】
工程Cでは、第1セパレータおよび第2セパレータは、別の巻芯に対して周方向に15~180度の領域に巻き付いた状態で切断されてもよい。また、工程Cでは、第1セパレータの移動経路における第1セパレータの切断位置の上流側および下流側において、別の巻芯に接した状態で第1セパレータが切断されてもよい。また、工程Cでは、第1セパレータおよび第2セパレータを切断する際、第1セパレータが別の巻芯に吸着されてもよい。また、工程Cでは、第1セパレータおよび第2セパレータを切断する際に、第1セパレータおよび第2セパレータが別の巻芯に押え治具によって押さえ付けられてもよい。押え治具は、外周面に複数の突起が形成されたローラであってもよい。工程Cでは、別の巻芯に近づくように動く刃で第1セパレータおよび第2セパレータが切断されてもよい。刃は、波刃であってもよい。
【0009】
工程Bで第1位置から離れた巻芯は、工程Dにおいて第2位置に位置し、その後、第1位置および第2位置とは異なる第3位置に移動し、第3位置において、工程Bで第1位置から離れた巻芯から、第1セパレータ、第2セパレータ、正極板および負極板が巻回された巻回体が取り外される工程をさらに有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、電池2の縦断平面図である。
図2図2は、巻回電極体20の模式図である。
図3図3は、巻回機100の模式図である。
図4図4は、巻回機100の模式図である。
図5図5は、巻回機100の模式図である。
図6図6は、巻回機100の模式図である。
図7図7は、第1位置P1に配置された巻芯140を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、ここで開示される発明の実施の形態を説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。本発明は、特に言及されない限りにおいて、ここで説明される実施形態に限定されない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
図1は、電池2の縦断平面図である。図1では、電池ケース10の正面側の幅広面が仮想的に取り除かれ、電池ケース10の内部が見えるように電池2が模式的に図示されている。電池2は、ここで開示される製造方法によって製造される電池の一形態であり、電池ケース10の内部に巻回電極体20が収容されている。ここで開示される製造方法によって製造される電池は、図1に示された形態に限定されない。
【0013】
《電池2》
図1に示された電池2は、横長の角形電池である。電池2は、図1に示されているように、電池ケース10と、巻回電極体20と、正極端子50と、負極端子60とを有している。電池ケース10は、外装体11と、封口板12とを有している。
【0014】
〈外装体11〉
外装体11は、有底の角形ケースであり、横長の矩形の収容空間を有している。外装体11は、巻回電極体20を主として収容している。外装体11は、略長方形の底面11eと、底面11eの長辺に沿った対向する一対の幅広面11a,11b(図示省略)と、底面11eの短辺に沿った対向する一対の幅狭面11c,11dとを有している。底面11eに対向する面には、巻回電極体20を収容するための開口11fが形成されている。開口11fには、封口板12が取り付けられている。
【0015】
〈封口板12〉
封口板12は、電池ケース10の開口11fに装着されている。封口板12は、外装体11の開口11fに装着されうる略長方形の板材で構成されている。封口板12は、略長方形の板材であり、長手方向の片側に正極端子50を取り付けるための取付孔が形成されており、反対側に負極端子60を取り付けるための取付孔12a,12bが形成されている。
【0016】
封口板12の中央部には、注液孔12cと、ガス排出弁12dとが設けられている。注液孔12cは、密閉後の電池ケース10の内部に非水電解液を注液するために設けられた貫通孔である。注液孔12cは、非水電解液の注液後に封止部材12eが装着されることによって封止されている。また、ガス排出弁12dは、電池ケース10内で大量のガスが発生した際に破断(開口)し、当該ガスを排出するように設計された薄肉部である。
【0017】
非水電解液には、従来公知の二次電池において使用されているものを特に制限なく使用できる。例えば、非水電解液は、非水系溶媒に支持塩を溶解させることによって調製される。非水系溶媒の一例として、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート系溶媒が挙げられる。支持塩の一例として、LiPF等のフッ素含有リチウム塩が挙げられる。
【0018】
〈正極端子50,負極端子60〉
正極端子50と、負極端子60とは、封口板12に取り付けられている。巻回電極体20は、正極端子50と、負極端子60とに取り付けられた状態で、外装体11に収容されている。正極端子50は、外部端子51と、軸部材52と、内部端子53と、集電部材54と、第1インシュレータ71と、第2インシュレータ72と、ガスケット73とを備えている。負極端子60は、外部端子61と、軸部材62と、内部端子63と、集電部材64と、第1インシュレータ81と、第2インシュレータ82と、ガスケット83とを備えている。第1インシュレータ71,81と、第2インシュレータ72,82と、ガスケット73,83とは、それぞれ絶縁材である。第1インシュレータ71,81と第2インシュレータ72,82は、それぞれ所要の剛性を有する樹脂である。ガスケット73,83は、封口板12の取付孔12a,12bに装着される部材であり、所要の可撓性を有している。
【0019】
正極端子50と負極端子60の軸部材52,62は、ガスケット73,83を介在させて封口板12の取付孔12a,12bに装着されている。封口板12の外側には、第1インシュレータ71,81を介在させて外部端子51,61が取り付けられている。外部端子51,61は、取付孔を有し、軸部材52,62の外側の軸端に装着されている。封口板12の内側には、第2インシュレータ72,82を介在させて内部端子53,63が取り付けられている。内部端子53,63は、取付孔を有し、軸部材52,62の内側の軸端に装着されている。軸部材52,62の内側の軸端は、内部端子53,63の取付孔の周りにかしめられている。集電部材54,64は、内部端子53,63の一端に取り付けられている。
【0020】
このように、正極端子50と負極端子60は、第1インシュレータ71,81と、第2インシュレータ72,82と、ガスケット73,83とを介して電気的に絶縁された状態で、かつ、気密性が確保された状態で、封口板12に取り付けられている。また、外部端子51,61と、軸部材52,62と、内部端子53,63と、集電部材54,64とによって、電気的な導通経路が形成されている。そして、集電部材54,64に巻回電極体20が取り付けられている。巻回電極体20は、このように封口板12に取り付けられた状態で、外装体11に収容される。1つの封口板12に、複数の巻回電極体20が取り付けられてもよく、1つの電池ケース10に、複数の巻回電極体20が収容されてもよい。
【0021】
〈巻回電極体20〉
図2は、巻回電極体20の模式図である。図2では、巻回電極体20は、一端が展開された状態で図示されている。巻回電極体20は、例えば、図2に示されているように、それぞれ長尺の帯状の正極板21と、第1のセパレータ31と、負極板22と、第2のセパレータ32とが、長手方向を揃えて順に重ねられつつ、幅方向に設定された巻回軸WL回りに巻回されている。
【0022】
正極板21は、正極芯体21aと、正極活物質層21bと、保護層21cと、タブ21dとを備えている。正極芯体21aは、正極板21の基材である。正極芯体21aは、所定の金属箔(例えば、アルミニウム箔)で形成されている。正極活物質層21bは、正極芯体21aに、幅方向の片側の端部に一定の幅で形成されている。正極芯体21aのうち正極活物質層21bが形成された部分を除く部分には、保護層21cが正極板21の両面に形成されている。さらに、正極芯体21aには、保護層21cが形成された側において、幅方向に突出したタブ21dが形成されている。タブ21dは、保護層21cが形成された側において部分的に所定の幅で突出しており、正極芯体21aが露出している。
【0023】
正極活物質層21bは、正極活物質を含む層である。正極活物質は、例えば、リチウムイオン二次電池では、リチウム遷移金属複合材料のように、充電時にリチウムイオンを放出し、放電時にリチウムイオンを吸収しうる材料である。正極活物質は、一般的にリチウム遷移金属複合材料以外にも種々提案されており、特に限定されない。正極活物質は、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物が好適である。上記リチウム遷移金属複合酸化物の中でも、遷移金属として、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)およびマンガン(Mn)からなる群の少なくとも一種を含むリチウム遷移金属複合酸化物は特に好適である。具体例としては、リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物(NCM)、リチウムニッケル系複合酸化物、リチウムコバルト系複合酸化物、リチウムマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム系複合酸化物(NCA)、リチウム鉄ニッケルマンガン系複合酸化物等が挙げられる。また、Ni、CoおよびMnを含まないリチウム遷移金属複合酸化物の好適例として、リチウムリン酸鉄系複合酸化物(LFP)等が挙げられる。
【0024】
なお、本明細書における「リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物」とは、主要構成元素(Li、Ni、Co、Mn、O)の他に、添加的な元素を含む酸化物を包含する用語である。かかる添加的な元素の例としては、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Si、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Na、Fe、Zn、Sn等の遷移金属元素や典型金属元素等が挙げられる。また、添加的な元素は、B、C、Si、P等の半金属元素や、S、F、Cl、Br、I等の非金属元素であってもよい。正極活物質層21bは、正極活物質以外の添加剤を含んでいてもよい。かかる添加剤の一例として、導電材、バインダ等が挙げられる。導電材の具体例としては、アセチレンブラック(AB)等の炭素材料が挙げられる。バインダの具体例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等の樹脂バインダが挙げられる。なお、正極活物質層21bの固形分全体を100質量%としたときの正極活物質の含有量は、概ね80質量%以上であり、典型的には90質量%以上でありうる。
【0025】
保護層21cは、電気伝導性が低くなるように構成された層である。かかる保護層22cを正極活物質層21bの縁部に隣接した領域に設けられている。セパレータ31,32の何れかが破損した際に、正極芯体21aと負極活物質層22bとが直接接触し、内部短絡することが防止されうる。保護層22cには、例えば、絶縁性のセラミック粒子を含む層が形成されていることが好ましい。かかるセラミック粒子としては、アルミナ(Al)、マグネシア(MgO)、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)等の無機酸化物や、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物や、マイカ、タルク、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン等の粘土鉱物や、ガラス繊維などが挙げられる。絶縁性や耐熱性を考慮すると、上述の中でも、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、シリカおよびチタニアが好適である。また、保護層22cは、上記セラミック粒子を正極芯体21aの表面に定着させるためのバインダを含有していてもよい。かかるバインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等の樹脂バインダが挙げられる。保護層22cには、導電材(例えば、カーボンブラック等の炭素材料)が僅かに添加されてもよい。導電材が添加されることによって、僅かな導電性を持たせてもよい。導電材の添加量は、所要の導電性が発現する量に調整されるとよい。なお、保護層は、正極板の必須の構成要素ではない。すなわち、ここに開示される二次電池では、保護層が形成されていない正極板を使用することもできる。
【0026】
負極板22は、負極芯体22aと、負極活物質層22bと、タブ22dとを備えている。負極芯体22aは、負極板22の基材である。負極芯体22aは、所定の金属箔(例えば、銅箔箔)で形成されている。負極活物質層22bは、負極芯体22aに大凡全幅に亘って両面に形成されている。負極芯体22aには、幅方向の片側に突出したタブ22dが形成されている。タブ22dは、負極芯体22aの幅方向の片側において部分的に所定の幅で突出している。
【0027】
負極活物質層22bは、負極活物質を含む層である。負極活物質には、上述した正極活物質との関係において電荷担体を可逆的に吸蔵・放出できれば特に限定されない。かかる負極活物質としては、炭素材料、シリコン系材料などが挙げられる。炭素材料としては、例えば、黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン、非晶質炭素等が使用されうる。また、黒鉛の表面が非晶質炭素で被覆された非晶質炭素被覆黒鉛なども使用されうる。シリコン系材料には、シリコン、シリコン酸化物(シリカ)などが挙げられる。また、シリコン系材料は、他の金属元素(例えばアルカリ土類金属)や、その酸化物を含有していてもよい。また、負極活物質層22bは、負極活物質以外の添加剤を含んでいてもよい。かかる添加剤の一例として、バインダ、増粘剤等が挙げられる。バインダの具体例として、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム系のバインダが挙げられる。また、増粘剤の具体例としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。なお、負極活物質層22bの固形分全体を100質量%としたときの負極活物質の含有量は、概ね30質量%以上であり、典型的には50質量%以上である。負極活物質は、負極活物質層22bの80質量%以上を占めていてもよいし、90質量%以上を占めていてもよい。
【0028】
セパレータ31,32には、例えば、所要の耐熱性を有する電解質が通過しうる多孔質の樹脂シートが用いられる。セパレータ31,32についても種々提案されており、特に限定されない。セパレータ31,32の好適例として、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP))等からなる樹脂製の多孔質基材層を含むセパレータが挙げられる。また、この多孔質基材層の片面または両面には、適宜にコート層が形成されていてもよい。コート層には、絶縁性の無機材料を含む多孔質表面層や接着層などが含まれうる。この多孔質表面層は、耐熱性に優れているため、温度上昇によるセパレータ31,32の収縮や破損を抑制できる。かかる多孔質表面層の無機材料としては、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、チタニア等のセラミック粒子が挙げられる。また、多孔質表面層には、セラミック粒子を結着させるバインダが含まれている。バインダには、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、アクリル系樹脂等の樹脂バインダを使用できる。なお、本実施形態において使用される2枚のセパレータ31,32は、同じ材料で構成されていてもよいし、異なる材料で構成されていてもよい。
【0029】
図2に示されているように、負極板22の負極活物質層22bは、セパレータ31,32を介在させた状態で正極板21の正極活物質層21bを覆っているとよい。セパレータ31,32は、さらに正極板21の正極活物質層21bおよび負極板22の負極活物質層22bを覆っているとよい。また、図示は省略するが、正極板21と、負極板22と、セパレータ31,32の長さは、セパレータ31,32>負極板22>正極板21であるとよい。正極活物質層21bの幅Laと、負極活物質層22bの幅Lnと、セパレータ31,32の幅Lsとは、Ls>Ln>Laであるとよい。正極板21と負極板22とが重なる部位で、正極活物質層21bが形成された部位は、負極活物質層22bで覆われている。また、正極板21に負極活物質層22bが重なる部位で、正極活物質層21bが対向しない部分には保護層22cが形成されている。
【0030】
図2に示されているように、正極板21のタブ21dは、セパレータ31,32の幅方向の片側にはみ出ている。正極板21には、長手方向に所定のピッチで複数のタブ21dが設けられている。負極板22のタブ22dは、幅方向の反対側においてセパレータ31,32からはみ出ている。負極板22には、長手方向に所定のピッチで複数のタブ22dが設けられている。正極板21の複数のタブ21dと、負極板22の複数のタブ22dは、巻回電極体20に巻回された後で、概ね同じ位置になるように予め定められたピッチで設けられている。なお、正極板21のタブ21dと、負極板22のタブ22dとは、それぞれ正極板21と負極板22が用意される段階で形成されていてもよい。正極板21のタブ21dと、負極板22のタブ22dとは、巻回電極体20が巻回された後で、切り出されてもよい。
【0031】
巻回電極体20は、図1および図2に示されているように、封口板12が装着される開口11fから外装体11に収容される。このため、開口11fの形状に合わせて扁平な形状である。巻回電極体20を作製するときは、かかる巻回される時に扁平な形状の軸に巻回されてもよい。また、巻回電極体20を作製するときは、円筒形状の軸に巻回された後で、扁平にプレス成形してもよい。巻回電極体20と外装体11とは、巻回電極体20と外装体11との間に配置された樹脂製の絶縁シート90によって、電気的に絶縁されている。絶縁シート90は、樹脂性のシートであり、巻回電極体20を包むように箱状に折曲げられている。なお、図1では、絶縁シート90のうち正面側の幅広面も取り除かれた状態で図示されている。
【0032】
《巻回機100》
次に、巻回機100を説明する。図3から図6は、巻回機100の模式図である。巻回機100は、ここで開示される電池の製造方法を具現化する巻回機の一例である。図3から図6には、巻回機100のうちターレット120の部分をターレット120の回転軸C1の遠方から見た図がそれぞれ示されている。
【0033】
図3では、巻回機100に新しく正極板21と負極板22が巻き始められる際の待機状態が示されている。図4では、巻回機100に新しく正極板21と負極板22が巻かれている状態が示されている。図5では、正極板21と負極板22が巻かれた巻芯140が第1位置P1から第2位置P2に移動する状態が示されている。図6では、正極板21と負極板22が巻かれた巻芯140が第2位置P2に移動し、新たな巻芯が第1位置P1に移動し、セパレータ31,32が切断される状態が示されている。
【0034】
巻回機100は、図3に示されているように、正極板21と負極板22とセパレータ31,32を巻回するための装置である。ターレット120には、正極板21と負極板22とセパレータ31,32が巻回される複数の巻芯140(1)~(3)が設けられている。
【0035】
巻回機100は、図3に示されているように、移動経路k1~k4と、ターレット120と、複数の巻芯140(1)~(3)と、カッター151と、押えローラ152と、複数の固定ローラ161~163と、複数の可動ローラ171~174と、第1チャック181と、第2チャック182と、ターレット120に設けられたインデックスユニット185と、インデックスユニット185に設けられたインデックスローラ186~188と、巻止装置190と、制御装置200とを備えている。正極板21と負極板22とセパレータ31,32とは、それぞれリール(図示省略)などに巻かれた状態で用意されている。巻回機100の各構成要素は、それぞれ所要のアクチュエータを適宜に有している。制御装置200は、予め設定されたプログラムに沿って所定のタイミングで所要の動作が実行されるように、巻回機100の各構成要素を制御するように構成されている。制御装置200は、例えば、マイクロコントローラのようなコンピュータによって具現化されうる。
【0036】
〈移動経路k1~k4〉
移動経路k1は、リールからターレット120に向けて正極板21が送り出される経路である。移動経路k2は、リールからターレット120に向けて負極板22が送り出される経路である。移動経路k3は、リールからターレット120に向けて第1セパレータ31が送り出される経路である。移動経路k4は、リールからターレット120に向けて第2セパレータ32が送り出される経路である。正極板21,負極板22,第1セパレータ31および第2セパレータ32は、それぞれ帯状であり、所定の移動経路k1~k4に沿って送り出される。正極板21の移動経路k1は、第1位置P1に配置された巻芯140に至る手前で、第1セパレータ31の移動経路k3に合流している。負極板22の移動経路k1は、第1位置P1に配置された巻芯140に至る手前で、第2セパレータ32の移動経路k4に合流している。移動経路k1~k4には、送り出される正極板21,負極板22,第1セパレータ31および第2セパレータ32の緩みを取り除くためのダンサロール機構や、テンションを調整するためのテンションナーなどがそれぞれ適宜に配置される。
【0037】
〈ターレット120〉
ターレット120は、中心C1に回転軸が設定された回転盤である。複数(この実施形態では、3つ)の巻芯140は、ターレット120に配置されている。複数の巻芯140は、それぞれ独立して回転可能な略円筒状の軸である。この実施形態では、複数の巻芯140の軸は、ターレット120の中心軸と平行になるように設けられている。ターレット120には、第1巻芯140(1)と、第2巻芯140(2)と、第3巻芯140(3)の3つの巻芯140が設けられている。第1巻芯140(1)と、第2巻芯140(2)と、第3巻芯140(3)とは、ターレット120の中心軸回りに、周方向に等間隔で配置されている。第1巻芯~第3巻芯140(1)~(3)は、それぞれ同じ構成を有する巻芯である。図示は省略するが、ターレット120は、所要のアクチュエータ(例えば、サーボモータ)を備えており、適当なタイミングで適当な角度回転する。
【0038】
ターレット120の中心C1の軸回りに、第1位置P1、第2位置P2、第3位置P3が予め設定されている。図3では、第1位置P1に第1巻芯140(1)が配置されており、第2位置P2に第3巻芯140(3)が配置されており、第3位置P3に第2巻芯140(2)が配置されている。第1巻芯~第3巻芯140(1)~(3)の位置は、図3に示された位置に固定されない。この実施形態では、ターレット120は、反時計回りに回転する。第1巻芯~第3巻芯140(1)~(3)もそれぞれ半時計回りに回転する。第1巻芯~第3巻芯140(1)~(3)は、ターレット120の回転によって第1位置P1、第2位置P2、第3位置P3を順に移動していく。図示は省略するが、第1巻芯~第3巻芯140(1)~(3)は、所要のアクチュエータ(例えば、サーボモータ)を備えており、適当なタイミングで、適当な速度で回転する。ここでは、第1巻芯~第3巻芯140(1)~(3)は、特に区別しないときには巻芯140と称される。また、第1巻芯~第3巻芯140(1)~(3)が区別される場合、巻芯140(1),巻芯140(2),巻芯140(3)として適宜に区別される。
【0039】
〈巻芯140〉
図7は、第1位置P1に配置された巻芯140を模式的に示す断面図である。巻芯140は、略円筒状の部材である。図7では、巻芯140の軸方向から見た図が示されており、図3に示されているように、第1位置P1に配置された巻芯140に第1セパレータ31と第2セパレータ32が巻き付けられる際の状態が示されている。巻芯140は、図4に示されているように、側周面に巻き付けられるセパレータ31,32を保持する機能を有する。この実施形態では、巻芯140は、吸引孔141と、吸引経路142と、溝143とを有する。吸引孔141は、側周面に巻き付けられるセパレータ31,32を吸着させるための孔である。吸引経路142は、巻芯140の内部に形成され、吸引孔141に通じた流路である。吸引経路142は、吸引孔141に負圧を形成するための流路である。吸引経路142は、例えば、外部に設置される真空ライン(図示省略)に適宜に接続されて負圧が形成されるように構成されているとよい。溝143は、セパレータ31,32が切断される際に、カッター151の刃が降ろされる受け部として形成されている。この実施形態では、溝143は、巻芯140の外周面に巻芯140の軸方向に沿って形成されている。なお、この実施形態では、巻芯140は、略円筒形状であるが、扁平な形状に巻回する場合には、扁平な巻芯が用いられてもよい。また、巻芯は、径方向に沿って分割された巻芯であってもよく、巻芯の径が可変であってもよい。
【0040】
〈カッター151〉
カッター151は、セパレータ31,32を切断するカッターである。第1位置P1に配置された巻芯140に保持されたセパレータ31,32に刃151aが押し当てられるように構成されている。この実施形態では、カッター151は、巻芯140に保持されたセパレータ31,32に刃が押し当てられるように定められた位置にガイドに沿って押し出されたり、当該位置から後退したりする。カッター151は、図示は省略するが、アクチュエータ(例えば、シリンダ機構)によって適当なタイミングで動作するように操作される。刃151aは、例えば、波刃(のこぎり状の刃)であってもよい。
【0041】
〈押えローラ152〉
押えローラ152は、セパレータ31,32を第1位置P1に配置された巻芯140に押し付けるローラである。かかる押えローラ152によって、セパレータ31,32は、第1位置P1に配置された巻芯140に押し当てられつつ、巻取られる。押えローラ152は、セパレータ31,32を第1位置P1に配置された巻芯140に押さえ付ける押え治具として機能する。この実施形態では、図7に示されているように、押えローラ152は、複数の突起152aが外周面に形成されている。このように突起152aのあるローラ152によって、2枚のセパレータ31,32が巻芯140に押し付けられることによって、突起152aによって力が局所的に集中してセパレータ31,32が強く押し付けられる。このため、セパレータ31,32同士がより好適に圧着される。押えローラ152は、例えば、略円筒形状であり、周側面にローレット加工が施されているとよい。押えローラ152は、例えば、バネなどが内装された機構によって、第1位置P1に配置された巻芯140にセパレータ31,32を適当な圧力で押し当てるように構成されているとよい。また、押えローラ152は、図示は省略するが、ガイドおよびアクチュエータによって、第1位置P1に配置された巻芯140に巻き付けられたセパレータ31,32に押し当てられる位置(図3参照)と、巻芯140から離れる位置(図5参照)とに移動する。押えローラ152は、巻芯140の幅方向に1つの円筒状のローラで設けられていてもよいし、巻芯140の幅方向に間欠的に複数配置された複数のローラで構成されていてもよい。
【0042】
〈固定ローラ161,可動ローラ171〉
固定ローラ161は、第1セパレータ31の移動経路k3と正極板21の移動経路k1とが合流する位置に設けられている。可動ローラ171は、固定ローラ161に対して第1セパレータ31を押し付けて、第1セパレータ31を挟むローラである。可動ローラ171は、ガイドおよびアクチュエータによって所定の方向に移動する。可動ローラ171の動きは、制御装置200によって制御される。可動ローラ171は、固定ローラ161に対して第1セパレータ31を押し付ける位置と、固定ローラ161から離れる位置とに動くように構成されている。可動ローラ171は、第1セパレータ31を挟む時には、バネなどの作用によって所定の力で第1セパレータ31を挟むように構成されているとよい。第1セパレータ31は、固定ローラ161と可動ローラ171とで適当な力で挟まれることによって、緩みなく第1位置P1に配置された巻芯140に向けて送り出される。
【0043】
〈固定ローラ162,可動ローラ172〉
固定ローラ162は、第2セパレータ32の移動経路k4と負極板22の移動経路k2とが合流する位置に設けられている。可動ローラ172は、固定ローラ162に対して第2セパレータ32を押し付けて、第2セパレータ32を挟むローラである。可動ローラ172は、ガイドおよびアクチュエータによって所定の方向に移動する。可動ローラ172の動きは、制御装置200によって制御される。可動ローラ172は、固定ローラ162に対して第2セパレータ32を押し付ける位置と、固定ローラ162から離れる位置とに動くように構成されている。可動ローラ172は、第2セパレータ32を挟む時には、バネなどの作用によって所定の力で第2セパレータ32を挟むように構成されているとよい。第2セパレータ32は、固定ローラ162と可動ローラ172とで適当な力で挟まれることによって、緩みなく第1位置P1に配置された巻芯140に向けて送り出される。
【0044】
〈固定ローラ163〉
固定ローラ163は、第1セパレータ31の移動経路k3の所定位置に配置され、第1セパレータ31の移動経路k3の移動経路を定めるためのローラである。
【0045】
〈第1チャック181〉
第1チャック181は、図3に示されているように、正極板21が送り出される移動経路k1のうち第1セパレータ31を挟む一対のローラ161,171の手前に配置されている。第1チャック181は、正極板21を掴む部材である。この実施形態では、第1チャック181は、一対の把持部材を備えている。図示は省略するが、第1チャック181は、正極板21を切断するためのカッターを備えている。第1チャック181は、図示は省略するが、ガイドおよびアクチュエータ(例えば、シリンダ機構)によって適当なタイミングで動作する。第1チャック181の動作は、制御装置200によって制御されるように構成されている。
【0046】
図3に示された状態では、第1セパレータ31は、第1位置P1に配置された巻芯140に保持され、かつ、一対のローラ161,171に挟まれた状態で、移動経路k3に沿って延びている。第1チャック181は、一対のローラ161,171の手前で正極板21を掴んでいる。第1位置P1に配置された巻芯140に正極板21が巻き取られる際には、図4に示されているように、第1チャック181は保持した正極板21を一対のローラ161,171の間に挿し込むとともに、正極板21を解放する。これにより、正極板21は、第1セパレータ31と一緒に一対のローラ161,171に引き込まれて第1位置P1に配置された巻芯140に巻き取られる。正極板21が所定の長さ送り出されると、巻芯140の巻き取りが停止する。正極板21は、第1チャック181によって掴まれ、第1チャック181と、一対のローラ161,171との間で切断される。第1チャック181は、正極板21を掴む所定位置と、正極板21を一対のローラ161,171の間に挿し込む所定位置との間で適宜に動くように構成されている。
【0047】
〈第2チャック182〉
第2チャック182は、図3に示されているように、負極板22が送り出される移動経路k2のうち第2セパレータ32を挟む一対のローラ162,172の手前に配置されている。第2チャック182は、負極板22を掴む部材である。この実施形態では、第2チャック182は、一対の把持部材を備えている。図示は省略するが、第2チャック182は、負極板22を切断するためのカッターを備えている。第2チャック182は、図示は省略するが、ガイドおよびアクチュエータ(例えば、シリンダ機構)によって適当なタイミングで動作する。第2チャック182の動作は、制御装置200によって制御されるように構成されている。
【0048】
図3に示された状態では、第2セパレータ32は、第1位置P1に配置された巻芯140に保持され、かつ、一対のローラ162,172に挟まれた状態で、移動経路k4に沿って延びている。第2チャック182は、一対のローラ162,172の手前で負極板22を掴んでいる。第1位置P1に配置された巻芯140に負極板22が巻き取られる際には、図4に示されているように、第2チャック182は保持した負極板22を一対のローラ162,172の間に挿し込むとともに、負極板22を解放する。これにより、負極板22は、第2セパレータ32と一緒に一対のローラ162,172に引き込まれて第1位置P1に配置された巻芯140に巻き取られる。上述のように、正極板21が所定の長さ送り出されると、巻芯140の巻き取りが停止する。換言すると、負極板22が所定の長さ送り出されたときに、巻芯140の巻き取りが停止する。負極板22は、第2チャック182によって掴まれ、第2チャック182と、一対のローラ162,172との間で切断される。第2チャック182は、負極板22を掴む所定位置と、負極板22を一対のローラ162,172の間に挿し込む所定位置との間で適宜に動くように構成されている。
【0049】
正極板21と負極板22は、例えば、第1セパレータ31と第2セパレータ32が巻芯140の外周面に一周程度巻き付けられた後で、一対のローラ161,171の間、および、一対のローラ162,172の間にそれぞれ挿入されるとよい。
【0050】
〈可動ローラ173〉
可動ローラ173は、図6に示されているように、第1セパレータ31と第2セパレータ32とが切断される際に、第1セパレータ31と第2セパレータ32とを第1位置P1に配置された巻芯140に押し付けるためのローラである。可動ローラ173は、ガイドおよびアクチュエータによって所定の方向に移動する。可動ローラ173の動きは、制御装置200によって制御される。可動ローラ173は、図6に示されているように、第1セパレータ31と第2セパレータ32とが切断される際に、第1セパレータ31と第2セパレータ32を第1位置P1に配置された巻芯140に押し付ける位置に配置される。それ以外のタイミングでは、可動ローラ173は、図3に示されているように、第1位置P1に配置された巻芯140から離れた位置に動く。可動ローラ173は、第1セパレータ31と第2セパレータ32を巻芯140に押し付ける時には、バネなどの作用によって所定の力で第1セパレータ31を挟むように構成されているとよい。
【0051】
図6に示されているように、第1位置P1に配置された巻芯140にカッター151が押し付けられることによって、第1セパレータ31と第2セパレータ32とが切断される。この実施形態では、図7に示されているように、巻芯140の外周面に溝143が設けられている。巻芯140にカッター151が押し付けられる際には、カッター151が押し付けられる位置に巻芯140の外周面に設けられた溝143が向けられる。溝143がカッター151に向けられた状態で、可動ローラ173によって第1セパレータ31と第2セパレータ32が巻芯140に押し付けられる。これによって、第1セパレータ31と第2セパレータ32が巻芯140に吸着される。さらにこの状態で、カッター151が巻芯140に保持された第1セパレータ31と第2セパレータ32に押し当てられる。これにより、第1セパレータ31と第2セパレータ32とが切断される。また、カッター151の刃は、巻芯140の溝143に入り込むので、第1セパレータ31と第2セパレータ32とがより確実に綺麗に切断されるとともに、巻芯140に傷が付きにくく、異物が発生しにくい。
【0052】
〈可動ローラ174〉
可動ローラ174は、図6に示されているように、第1セパレータ31と第2セパレータ32とが切断される際に、第1セパレータ31と第2セパレータ32とにテンションを付与するためのローラである。可動ローラ174は、ガイドおよびアクチュエータによって所定の方向に移動する。可動ローラ174の動きは、制御装置200によって制御される。
【0053】
例えば、図4に示されているように、第1位置P1に配置された巻芯140(1)によって、正極板21と、第1セパレータ31と、負極板22と、第2セパレータ32とが順に重ねられつつ巻き取られる。正極板21と第1セパレータ31と負極板22と第2セパレータ32とを巻き取った巻芯140(1)は、図5に示されているように、第1位置P1から第2位置P2に移動する。その際、第1位置P1には別の巻芯140(2)が移動していく。そして、図6に示されているように、第1位置P1に新たに配置された巻芯140(2)に、第1セパレータ31と第2セパレータ32が吸着されて、巻芯140(2)の外周面に第1セパレータ31と第2セパレータ32が保持される。このとき、第2位置P2に配置された巻芯140(1)に巻き取られた第1セパレータ31と第2セパレータ32は、繋がった状態で第1位置P1に配置された巻芯140(2)の外周面に保持される。
【0054】
可動ローラ174は、巻芯140(1)が第1位置P1から第2位置P2に移動する際に、適当なタイミングで第1セパレータ31と第2セパレータ32に向けて押し出されて、図6に示されているように、第1セパレータ31と第2セパレータ32とに押し当てられる。可動ローラ174によって、第1セパレータ31と第2セパレータ32とは、巻芯140(1)が第1位置P1から第2位置P2に移動する際に緩みなく送り出される。可動ローラ174は、図3から図5に示されているように、このタイミングを除いて、ターレット120から離れた位置に退避している。
【0055】
〈インデックスユニット185〉
インデックスユニット185は、ターレット120の中心部に設けられている。ターレット120には、上述のように、3つの巻芯140(1)~(3)が周方向に均等配置されている。インデックスユニット185は、ターレット120と一緒に廻る略正三角形のベースを備えている。ベースの頂点には、それぞれインデックスローラ186~188が配置されており、インデックスローラ186~188は、3つの巻芯140(1)~(3)のそれぞれの間にそれぞれ配置されている。
【0056】
インデックスユニット185は、正極板21と第1セパレータ31と負極板22と第2セパレータ32とを巻き取った巻芯140(1)が、第1位置P1から第2位置P2に移動する際に、図6に示されているように、インデックスローラ186~188のうち第1位置P1から第2位置P2に配置されるインデックスローラ186が第1セパレータ31と第2セパレータ32に対して内径側から押し当たる。かかるインデックスローラ186と可動ローラ174とによって、第1位置P1と第2位置P2との間で第1セパレータ31と第2セパレータ32が緩みなく送り出される。図6に示されたタイミングでは、インデックスローラ186が、第1セパレータ31と第2セパレータ32に対して内径側から押し当たっているが、インデックスユニット185は、ターレット120の回転とともに回転する。このため、インデックスユニット185のインデックスローラ186~188は、正極板21と第1セパレータ31と負極板22と第2セパレータ32とを巻き取った巻芯140が、第1位置P1から第2位置P2に移動する際に、第1セパレータ31と第2セパレータ32に対して内径側から押し当たるローラとして順に機能する。
【0057】
〈巻止装置190〉
例えば、図6に示されているように、正極板21と第1セパレータ31と負極板22と第2セパレータ32とを巻き取った巻芯140(1)は、第1位置P1から離れた第2位置P2に移動する。そして、セパレータ31,32が切断された後で、切断されたセパレータ31,32は、切断された端部まで巻き取られる。巻止装置190は、当該第2位置P2に配置されている。巻止装置190は、押えローラ191と、テープ貼付装置192とを備えている。押えローラ191は、第2位置P2に移動した巻芯140が、切断された正極板21と第1セパレータ31と負極板22と第2セパレータ32とを切断された端部まで巻き取られる際に、巻芯140(1)に巻き付けられた最外周の第2セパレータ32に押し当てられる。これにより、切断された正極板21と第1セパレータ31と負極板22と第2セパレータ32とは、それぞれ緩まずに巻き取られる。テープ貼付装置192は、最外周の第2セパレータ32または第1セパレータ31の切断された端部を止めるためのテープを貼る装置である。かかる巻止処理は、例えば、第1位置P1に新たに配置された巻芯140(2)に第1セパレータ31と、正極板21と、第2セパレータ32と、負極板22とが巻回される処理と並行して実施されてもよい。
【0058】
さらに、この実施形態では、例えば、図6に示されているように、巻回機100は、巻止処理が実施され、かつ、第1位置P1に配置された巻芯140(2)に新たに正極板21と第1セパレータ31と負極板22と第2セパレータ32とを巻き取られた後、ターレット120が回転する。巻止処理が実施された巻芯140(1)は第3位置P3に移動し、巻芯140(2)は第2位置P2に移動し、第1位置P1にはさらに別の巻芯140(3)が配置される。このとき、第2位置P2に配置された巻芯140(2)に巻き取られた第1セパレータ31と第2セパレータ32は、繋がった状態で第1位置P1に配置された巻芯140(3)の外周面に保持される。そして、セパレータ31,32が切断された後、第2位置P2では、巻芯140(2)の巻止処理が実施される。第1位置P1では、巻芯140(3)に新たに正極板21と第1セパレータ31と負極板22と第2セパレータ32とを巻き取られる。第3位置P3では、巻芯140(1)から巻回体20aが取り出される(図3参照)。巻回体20aは、取り出された後、扁平にプレスされ、巻回電極体20として扱われうる。このように、ターレット120に備えられた巻芯140(1)~(3)は、第1位置P1~第3位置P3を順次移動する。そして、正極板21と第1セパレータ31と負極板22と第2セパレータ32とは、巻芯140(1)~(3)に順に連続して巻き取られる。
【0059】
ここで巻回機100は、巻回電極体20を備えた電池2の製造方法に関し、以下の工程A~Dを具現化する。
工程A:工程Aでは、第1セパレータ31、第2セパレータ32、正極板21および負極板22が、第1位置P1に配置された巻芯140(1)に巻き付けられる(図3および図4参照)。
工程B:工程Bでは、巻芯140(1)が第1位置P1から離れ、第1位置P1に巻芯140(1)とは別の巻芯140(2)が配置される(図5参照)。
工程C:工程Cでは、工程Bで第1位置P1から離れた巻芯140(1)に巻き付けられた第1セパレータ31および第2セパレータ32が、工程Bで第1位置P1に配置された別の巻芯140(2)の外周面に重ねられて保持された状態で、かつ、別の巻芯140(2)の外周面に軸方向に沿って設けられた溝143で切断される(図6図7参照)。
工程D:工程Dでは、工程Cで切断された第1セパレータ31および第2セパレータ32は切断された端部まで、工程Bで第1位置P1に配置された巻芯140に巻き付けられる(図6参照)。
【0060】
かかる電池の製造方法によれば、図6および図7に示されているように、第1位置P1から離れた巻芯140(1)に巻回された第1セパレータ31および第2セパレータ32が切断される際には、第1位置P1に別の巻芯140(2)が配置されている。そして、当該別の巻芯140(2)に第1セパレータ31および第2セパレータ32が繋がった状態で保持されている。さらに、第1セパレータ31および第2セパレータ32は、別の巻芯140(2)の外周面に軸方向に沿って設けられた溝143で切断される。このため、第1セパレータ31と第2セパレータ32が安定した状態で切断される。また、切断された端部の形状が安定するので、巻回電極体20の第1セパレータ31と第2セパレータ32の巻き始めの端部の形状が安定する。これにより、作製される巻回電極体20の厚みや形状が安定する。このようなことから巻回電極体20の歩留まりが高くなり、この巻回電極体20を備えた電池の生産性が向上する。
【0061】
このような観点において、工程Cで切断される際に、第1セパレータ31および第2セパレータ32が第1位置P1に配置された巻芯140に対して周方向に巻き付いた長さは、例えば、第1セパレータ31および第2セパレータ32が巻芯140に対して安定して巻回される長さに設定されるとよい。例えば、本発明者の知見では、第1セパレータ31および第2セパレータ32は、工程Bで第1位置P1に配置された別の巻芯140(2)に対して周方向に、15~180度の領域に巻き付いた状態で切断されるとよい。安定して巻回されるとの観点では、第1セパレータ31と第2セパレータ32が巻芯140に十分な長さで巻き付いているとよい。好ましくは巻芯140(2)に対して周方向に30度以上の領域で巻き付いた状態で切断されるとよい。さらに、ハンドリングの良さという観点を鑑みれば、第1セパレータ31および第2セパレータ32は、巻芯140に、例えば、30度以上、より好ましくは45度以上の領域に巻き付いた状態で切断されるとよい。また、150度以下、より好ましくは120度以下の領域に巻き付いた状態で切断されるとよい。ここで、角度は、巻芯140を軸方向の遠方から見たときの巻芯の巻回中心を中心とした角度で規定されうる。領域は、当該巻回中心を中心とした扇形の弧の部分であり、巻芯140の外周面に表れる領域である。また、当該領域に溝143が含まれる場合には、当該溝143除く巻芯140の外周面に第1セパレータ31と第2セパレータ32が巻き付く領域が設定されるとよい。
【0062】
このように、工程Cで切断される際に、第1セパレータ31および第2セパレータ32が巻芯140(2)に対して周方向に巻き付いた長さが適切に設定されているとよい。このことによって工程Bで第1位置P1に配置された巻芯140(2)に対して安定した状態で巻回が開始される。なお、第1セパレータ31と第2セパレータ32が巻芯140に巻き付いている領域には、巻芯140の溝143が配置されうる。この場合、第1セパレータ31と第2セパレータ32が巻芯140に巻き付いている領域には、第1セパレータ31と第2セパレータ32が巻芯140に接していない部分が生じうる。また、第1セパレータ31と第2セパレータ32の幅は、長ければ長いほど巻芯140との接触面積が広くなり、安定して巻回されるようになる。かかる観点では、例えば、第1セパレータ31と第2セパレータ32の幅は、20cm以上であることが好ましく、また、25cm以上であることがより好ましい。
【0063】
工程Cでは、第1セパレータ31の移動経路k3における第1セパレータ31の切断位置の上流側および下流側において、工程Bで第1位置P1に配置された別の巻芯140に接した状態で第1セパレータ31が切断されてもよい。この実施形態では、巻芯140に対して第1セパレータ31の上に第2セパレータ32が配置されている。図6および図7に示されているように、溝143の下流側では、第1セパレータ31と第2セパレータ32は、吸引孔141に負圧で吸引されることによって巻芯140に吸着している。溝143の上流側では、第1セパレータ31と第2セパレータ32は、可動ローラ174によって巻芯140の外周面に沿うように押し付けられている。
【0064】
溝143の下流側は、巻芯140の外周側に吸引孔141が形成されており、セパレータ31,32を吸着させて保持させる構造であれば、別途、可動ローラのような押し付け部材が外径側に設けなくてよい。このため、巻回機100の巻芯140の廻りの構成を簡素化できる。かかる観点で、溝143の下流側は、吸着によってセパレータ31,32を保持できる構造が採用されることが好ましい。溝143の下流側は、吸着によって保持させる場合、押えローラ152のような押え治具によって、セパレータ31,32を巻芯140に押し付ける構造が付加されていてもよい。
【0065】
溝143の上流側は、第1セパレータ31が、第1位置P1に配置された巻芯140と接する領域よりも上流側で、第1セパレータ31と第1位置P1に配置された巻芯140が接していない部分を、第1位置P1に配置された巻芯140側に規制することで、第1セパレータ31が、第1位置P1に配置された巻芯140の溝143近傍(上流側)に接するように配置されているとよい。この点は、例えば、図6に示された形態では、可動ローラ174によって具現化されている。
【0066】
工程Cでは、第1セパレータ31および第2セパレータ32を切断する際、第1セパレータ31が、工程Bで第1位置P1に配置された巻芯140に吸着されていてもよい。この場合、巻芯140には、図7に示されているように、複数の吸引孔141が形成されているとよい。この場合、切断された第1セパレータ31を容易に巻芯140に保持できるようになる。また、切断された第1セパレータ31を把持するためのチャック機構などが不要であり、切断された第1セパレータ31について把持するための余剰の部位が不要になる。
【0067】
工程Cでは、第1セパレータ31および第2セパレータ32を切断する際に、第1セパレータ31および第2セパレータ32が工程Bで第1位置P1に配置された巻芯140に押え治具(図3に示された形態では、押えローラ152)によって押さえ付けられてもよい。これにより、巻芯140に対する第1セパレータ31および第2セパレータ32の保持がより安定する。また、巻芯140に第1セパレータ31を吸着させる場合にも、より安定した状態で第1セパレータ31を吸着させることができる。この場合、押え治具は、上述した押えローラ152のように、外周面に複数の突起152aが形成されたローラであってもよい。外周面に複数の突起152aが形成されたローラであることによって、第1セパレータ31および第2セパレータ32が複数の突起152aが当たる形で巻芯140に押し当てられるので、より安定した状態で第1セパレータ31を巻芯140に吸着させることができる。
【0068】
工程Bで第1位置P1に配置された巻芯140の外周面には、第1セパレータ31および第2セパレータ32が切断される位置に応じて別の巻芯140の軸方向に沿った溝143が形成されていてもよい。この場合、溝143に沿って第1セパレータ31および第2セパレータ32が切断されることによって、巻芯140に傷が生じにくく、異物も発生しにくい。ここで、巻芯140は、溝143と吸引孔141が設けられた領域との距離が近い方がよい。溝143と吸引孔141が設けられた領域との距離が近ければ、巻芯140に対して、切断された第1セパレータ31と第2セパレータ32の端部が安定して巻芯140に吸着される。かかる観点において、例えば、溝143と吸引孔141との距離は、巻芯140の外周面において、好ましくは20mm以下でもよく、より好ましくは10mm以下でもよく、さらに好ましくは5mm以下でもよい。吸引孔141は、切断された第1セパレータ31と第2セパレータ32の端部を保持するとの観点において、第1セパレータ31と第2セパレータ32の移動経路k3,k4において、溝143の下流側のみにあってもよい。また、切断時に、第1セパレータ31と第2セパレータ32を巻芯140に安定して保持するとの観点において、溝143の上流側と下流側にそれぞれ吸引孔141が設けられていてもよい。
【0069】
工程Cでは、図7に示されているように、工程Bで第1位置P1に配置された巻芯140に近づくように動く刃(図7に示された形態では、カッター151の刃151a)で第1セパレータ31および第2セパレータ32が切断されてもよい。かかる切断によれば、第1セパレータ31と第2セパレータ32が安定して切断される。ここで、かかる切断は、常温で行なわれてもよいし、熱を加えて行なわれてもよい。また、カッター151の刃151aは、例えば、波刃であってもよい。カッター151の刃151aが、波刃であることによって、刃151aがセパレータ31,32に当たる際に小さい範囲で当たり、局所的に大きな力が入り、また破断がスムーズに広がる。このため、セパレータ31,32がより小さな力でスムーズに破断される。波刃は、例えば、刃先に凹凸が繰り返されているとよく、先端が丸い波型の刃や、先端が尖った山形の刃など、適宜に採用されうる。カッター151の刃151aは、特段、波刃に限定されるものではなく、ストレートな刃で構成されてもよい。
【0070】
また、ここで開示される製造方法では、図3から図6に示されているように、工程Bで第1位置P1から離れた巻芯140は、工程Dにおいて第2位置P2に位置していてもよい。そして、第1位置P1および第2位置P2とは異なる第3位置P3において、工程Bで第1位置P1から離れた巻芯140から第1セパレータ31、第2セパレータ32、正極板21および負極板22を含む巻回体20aが取り外される工程をさらに有していてもよい。第3位置P3において巻回体20aが取り出された巻芯140は、その後、ターレット120の回転によって、第1位置P1に移動する。このように、この巻回機100によれば、巻芯140が第1位置P1、第2位置P2、第3位置P3、第1位置P1と順に移動する。そして、第1セパレータ31、第2セパレータ32、正極板21および負極板22が巻芯140に巻き付けられる工程A、第1セパレータ31および第2セパレータ32が切断され、第1セパレータ31および第2セパレータ32が切断された端部まで巻芯140に巻き付けられる工程C,D,その後、巻回体20aが巻芯140から取り外される工程において、巻芯140が位置を変えることで、それぞれの工程が並行して進められる。この結果、連続的に巻回体20aが製造される。このため、巻回電極体20の生産性が格段に向上する。
【0071】
以上、ここで開示される電池の製造方法および当該電池の製造方法を具現化する巻回機100を説明した。巻回機100は、電池の製造方法を具現化する巻回機の一形態に過ぎず、特に言及されない限りにおいて、電池の製造方法を具現化する巻回機は上述した形態に限定されない。例えば、上述した実施形態では、3つの巻芯140がターレット120に設けられ、ターレット120の回転によって同時に移動するように構成されている。ターレット120には、さらに複数の巻芯が設けられ、複数の位置で複数の処理が並行して行なわれるように構成されていてもよい。また、特に言及されない限りにおいて、複数の巻芯は、ターレットに設けられておらず、それぞれ独立して動くように構成されていてよい。また、上述した電池の製造方法の各工程は、並行して行なわれる場合でも、開始されるタイミングは同時であってもよく、適宜にずれていてもよい。
【0072】
また上述した実施形態では、巻芯が第1セパレータおよび第2セパレータを保持する機構として巻芯への吸着が例示されている。巻回機は、特に言及されない限りにおいて、かかる形態に限定されない。例えば、巻芯に、ローラを押し当てて巻芯に第1セパレータおよび第2セパレータを保持する機構が採用されてもよい。
【0073】
また、押え治具として、円筒状の押えローラ152を例示したが、押え治具は、第1セパレータ31と第2セパレータ32を第1位置P1に配置された巻芯140に押し付ける部材であるとよく、必ずしもローラの形態に限定されない。
【0074】
以上、ここで開示される発明について、種々説明した。特に言及されない限りにおいて、ここで挙げられた実施形態などは本発明を限定しない。また、ここで開示される発明の実施形態は、種々変更でき、特段の問題が生じない限りにおいて、各構成要素やここで言及された各処理は適宜に省略され、または、適宜に組み合わされうる。
【符号の説明】
【0075】
10 電池ケース
11 外装体
12 封口板
20 巻回電極体
20a 巻回体
21 正極板
22 負極板
31,32 セパレータ
50 正極端子
60 負極端子
100 巻回機
120 ターレット
140 巻芯
141 吸引孔
142 吸引経路
143 溝
151 カッター
151a 刃
152 ローラ
152a 突起
161~163 固定ローラ
171~174 可動ローラ
181 第1チャック
182 第2チャック
185 インデックスユニット
186~188 インデックスローラ
190 巻止装置
191 ローラ
192 テープ貼付装置
200 制御装置
k1~k4 移動経路
P1 第1位置
P2 第2位置
P3 第3位置
WL 巻回軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7