IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車載電池管理装置 図1
  • 特許-車載電池管理装置 図2
  • 特許-車載電池管理装置 図3
  • 特許-車載電池管理装置 図4
  • 特許-車載電池管理装置 図5
  • 特許-車載電池管理装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】車載電池管理装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20231211BHJP
   B60L 58/16 20190101ALI20231211BHJP
【FI】
H02J7/00 Y
H02J7/00 P
B60L58/16
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021143235
(22)【出願日】2021-09-02
(65)【公開番号】P2023036272
(43)【公開日】2023-03-14
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】小林 憲令
(72)【発明者】
【氏名】古川 公彦
(72)【発明者】
【氏名】湯郷 政樹
(72)【発明者】
【氏名】乾 真也
(72)【発明者】
【氏名】中村 昂章
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 桂一
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-080403(JP,A)
【文献】特開2015-014487(JP,A)
【文献】特開2003-092836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 -13/00
B60L 15/00 -58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両の車載電池が接続される充放電装置に対し、予め定められた処理条件で前記車載電池を充放電するように前記充放電装置を制御する処理と、ここで、前記電動車両では、前記車載電池の劣化進行度が設定されている、
前記充放電時の充放電情報に基づいて前記車載電池の劣化進行度を算出する処理と、
前記充放電情報に基づいて算出された劣化進行度を予め定められた通知先に通知する処理と
前記充放電情報に基づいて算出された劣化進行度を基に、前記車載電池に設定されている劣化進行度の補正を促す処理と、
前記車載電池に設定されている劣化進行度が補正されたか否かの結果を受信する処理と
が実行されるように構成された、車載電池管理装置。
【請求項2】
前記電動車両では、劣化進行度が算出され、かつ、前記電動車両で算出された劣化進行度が前記車載電池の劣化進行度として設定されており、
前記電動車両側で算出された劣化進行度を取得する処理と、
前記電動車両から取得した劣化進行度と、前記充放電情報に基づいて算出された劣化進行度とのうち少なくともいずれかが予め定められた値以下であった場合に、前記予め定められた値以下であった劣化進行度を予め定められた通知先に通知する処理と
がさらに実行されるように構成された、請求項に記載された車載電池管理装置。
【請求項3】
前記電動車両では、劣化進行度が算出され、かつ、前記電動車両で算出された劣化進行度が前記車載電池の劣化進行度として設定されており、
前記電動車両側で算出された劣化進行度を取得する処理と、
前記電動車両から取得した劣化進行度と、前記充放電情報に基づいて算出された劣化進行度とが予め定められた値以上離れている場合に、予め定められた通知先に通知する処理とがさらに実行されるように構成された、請求項1または2に記載された車載電池管理装置。
【請求項4】
前記充放電情報に基づいて算出された劣化進行度を記憶する処理と、
前記記憶した劣化進行度に基づいて前記車載電池の寿命を推定する処理と
がさらに実行されるように構成された、請求項1~のいずれか一項に記載された車載電池管理装置。
【請求項5】
前記充放電情報に基づいて算出された劣化進行度に基づいて、前記車載電池の充放電条件を設定する処理がさらに実行されるように構成された、請求項1~のいずれか一項に記載された車載電池管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載電池管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2019-80403号公報には、車両に搭載される車載電池と、車載電池に充放電を行わせる充放電装置とを備える車載電池の充放電管理システムが開示されている。充放電装置は、車載電池から系統電力網への電力の放電と、系統電力網から車載電池への電力の供給とが選択的に可能である。同公報に開示されている充放電管理システムは、系統電力網との間での充放電動作に伴う車載電池の劣化進行度を車両のユーザまたはオーナに通知する電池劣化通知部を備えている。車載電池の劣化進行度が通知されることによって、車両のユーザまたはオーナは、需給バランス調整のために車載電池を利用したことによる充放電対価と、電池の劣化による車両の資産価値の減少量とを比較することができる。それによって、需給バランス調整のために車載電池の利用を許可するか否かの判断が容易になるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-80403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者の知見では、車載電池の劣化度は、算出方法の違いによって値が異なる場合がある。本発明者は、より高い精度で算出された車載電池の劣化度を利用する方法を提供したいと考えている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここで開示される車載電池管理装置は、電動車両の車載電池が接続される充放電装置に対し、予め定められた処理条件で車載電池を充放電するように充放電装置を制御する処理と、充放電時の充放電情報に基づいて車載電池の劣化進行度を算出する処理と、算出された劣化進行度を予め定められた通知先に通知する処理とが実行されるように構成されている。車載電池管理装置がかかる構成を有していることによって、電動車両のユーザ等は、より高い精度で算出された車載電池の劣化度を利用することができる。
【0006】
電動車両では、車載電池の劣化進行度が設定されてもよい。車載電池管理装置は、充放電情報に基づいて算出された劣化進行度を基に、車載電池に設定されている劣化進行度の補正を促す処理と、劣化進行度が補正されたか否かの結果を受信する処理とがさらに実行されるように構成されていてもよい。
電動車両では、劣化進行度が算出されてもよい。車載電池管理装置は、電動車両側で算出された劣化進行度を取得する処理と、電動車両から取得した劣化進行度と、充放電情報に基づいて算出した劣化進行度とのうち少なくともいずれかが予め定められた値以下であった場合に、劣化進行度を予め定められた通知先に通知する処理とがさらに実行されるように構成されていてもよい。
また、車載電池管理装置は、電動車両側で算出された劣化進行度を取得する処理と、電動車両から取得した劣化進行度と、充放電情報に基づいて算出した劣化進行度とが予め定められた値以上離れている場合に、予め定められた通知先に通知する処理とがさらに実行されるように構成されていてもよい。
【0007】
車載電池管理装置は、充放電情報に基づいて算出した劣化進行度を記憶する処理と、記憶した劣化進行度に基づいて車載電池の寿命を推定する処理とがさらに実行されるように構成されていてもよい。
車載電池管理装置は、充放電情報に基づいて算出した劣化進行度に基づいて、車載電池の充放電条件を設定する処理がさらに実行されるように構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、車載電池管理システム100を示すブロック図である。
図2図2は、車載電池管理装置40によって実現される処理の手順を示すフローチャートである。
図3図3は、車載電池11に設定されている劣化進行度を補正する処理の手順を示すフローチャートである。
図4図4は、車載電池11の劣化の進行状況を通知する処理の手順を示すフローチャートである。
図5図5は、劣化進行度Aと劣化進行度Bが乖離している場合に通知する処理の手順を示すフローチャートである。
図6図6は、車載電池11の寿命を推定する処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、ここで開示される車載電池管理装置の一実施形態について図面を参照して説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。本発明は、特に言及されない限りにおいて、ここで説明される実施形態に限定されない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略される。
【0010】
<車載電池管理システム100>
図1は、車載電池管理システム100を示すブロック図である。図1に示されているように、車載電池管理システム100は、電動車両10を電力系統70に接続し、電動車両10に搭載された車載電池11に対して充電および放電(以下、充放電ともいう)を実行する充放電装置30と、充放電装置30を制御するとともに、車載電池11を管理する車載電池管理装置40とを備えている。車載電池管理システム100は、電力が蓄えられる蓄電装置(図示省略)を備えていてもよい。車載電池管理システム100は、システム管理者によって管理されている。
【0011】
<電動車両10>
電動車両10は、充放電可能な車載電池11を搭載した車両である。電動車両10は、車載電池11から得られる電力をエネルギー源として走行する。電動車両10には、電気自動車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車などの電力をエネルギー源とした車両が含まれる。電動車両10は、四輪車であってもよいし、二輪車であってもよい。電動車両10のユーザは、ユーザ端末15を使用する。ユーザ端末15は、例えば電動車両10に搭載されたカーナビゲーションシステムであってもよいし、ユーザが使用するスマートフォン、タブレット端末、デスクトップ型やラップトップ型のパーソナルコンピュータであってもよい。ユーザ端末15は、例えば、タッチパネル、キーボードまたはマウスなどのユーザが操作して入力する入力手段や、画面等を備えている。ユーザ端末15は、端末制御装置16を備えている。ユーザ端末15は、端末制御装置16を介して電動車両10や車載電池管理装置40と通信可能に構成されている。ユーザは、ユーザ端末15を介して電動車両10や車載電池11に関する情報を確認することができる。
【0012】
電動車両10は、車両制御装置20を備えている。車両制御装置20は、車載電池11と通信可能に接続されている。車両制御装置20は、記憶部21と、第1通信部22と、第2通信部23と、算出部24と、設定部25とを備えている。車両制御装置20の各部21~25は、1つまたは複数のプロセッサによって実現されてもいてよいし、回路に組み込まれていてもよい。車両制御装置20は、第1通信部22を介して車載電池管理装置40と通信可能に構成されている。車両制御装置20は、第2通信部23を介してユーザ端末15と通信可能に構成されている。記憶部21は、劣化進行度データベースDB1を記憶している。劣化進行度データベースDB1には、車両制御装置20の算出部24で算出された劣化進行度が記憶されている。
【0013】
ところで、車載電池11は、電動車両10の使用や充放電に伴って劣化が進行しうる。電動車両10では、車載電池11の劣化進行度が設定されている。電動車両10では、車載電池11の劣化進行度が算出されるように構成されている。車載電池11の劣化進行度は、車両制御装置20の算出部24で算出される。この実施形態では、車載電池11の劣化進行度は、SOH(State of Health)として表される。例えば、車載電池11の劣化進行度は、電動車両10の使用初期の車載電池11の満充電容量に対する劣化進行度算出時の満充電容量として表される。電動車両10の使用初期の車載電池11の満充電容量は、例えば、算出部24に登録されている。この実施形態では、算出部24は、電動車両10の走行時や電動車両10の充放電時に劣化進行度を算出する。例えば、車載電池11が特定のSOC(State Of Charge)の範囲で充放電された際の充放電容量を測定する。次いで、充放電のSOC範囲と測定された充放電容量から、満充電容量(すなわち、SOCが100%の状態の電池容量)を算出する。そして、電動車両10の使用初期の車載電池11の満充電容量に対する、ここで算出された満充電容量を求めることにより、劣化進行度を算出する。
【0014】
設定部25は、算出部24で算出された劣化進行度を車載電池11の劣化進行度として設定する。また、設定部25は、後述する車載電池管理装置40で算出された劣化進行度を基にして、車載電池11の劣化進行度を補正しうる。設定部25で設定された劣化進行度は、例えば、電動車両10の使用時や車載電池11の充放電時の充放電範囲を定めたり、車載電池11の交換時期を判断したりする際などに用いられる。
【0015】
<充放電装置30>
充放電装置30は、電動車両10の車載電池11に対して充放電するための装置である。充放電装置30は、コネクタ31と、制御装置32とを備えている。制御装置32は、通信部33と、設定部34と、実行部35と、取得部36とを備えている。制御装置32は、例えば、マイクロコンピュータでありうる。制御装置32の各部33~36は、1つまたは複数のプロセッサによって実現されてもいてよいし、回路に組み込まれていてもよい。充放電装置30の制御装置32は、通信部33を介して車載電池管理装置40と通信可能に構成されている。
【0016】
充放電装置30のコネクタ31は、電動車両10に接続される。車載電池11は、コネクタ31を介して充放電が実行される。特に限定されないが、コネクタ31としては、例えば、充放電ケーブル等が用いられうる。充放電装置30は、コネクタ31を介して蓄電装置から車載電池11に電力を供給できるように構成されている。充放電装置30は、コネクタ31を介して車載電池11から蓄電装置に電力を供給できるように構成されている。電動車両10は、充放電装置30を介して電力系統70に接続されている。
【0017】
電力系統70は、発電、送電、変電、配電等を行う電気設備によって構成されるシステムである。電力系統70は、電力需要に応じて需要家の電気設備まで電力を供給する。電力量は、需要と供給とのバランスを保つように調整される。このような電力需給の調整は、アグリゲータとも称される管理者によって管理されうる。アグリゲータは、車載電池管理システム100のシステム管理者でもありうる。
【0018】
<車載電池管理装置40>
車載電池管理装置40は、電動車両10の車載電池11に対する充放電や、車載電池11の使用状況や劣化状態等の情報を管理する。この実施形態では、車載電池管理装置40は、車載電池11の劣化状態を劣化進行度として管理する。車載電池管理装置40は、単一のコンピュータによって実現されてもよいし、複数のコンピュータが協働して実現されてもよい。車載電池管理装置40は、車載電池管理システム100のシステム管理者によって管理されうる。
【0019】
車載電池管理装置40は、制御装置50を備えている。制御装置50は、例えば、マイクロコンピュータでありうる。制御装置50は、記憶部51と、第1通信部52と、第2通信部53と、第3通信部54と、算出部61と、取得部62と、第1判定部63と、第2判定部64と、推定部65と、設定部66とを備えている。制御装置50の各部51~66は、1つまたは複数のプロセッサによって実現されてもいてよいし、回路に組み込まれていてもよい。制御装置50は、第1通信部52を介して充放電装置30と通信可能に構成されている。制御装置50は、第2通信部53を介して電動車両10と通信可能に構成されている。制御装置50は、第3通信部54を介してユーザ端末15と通信可能に構成されている。
【0020】
記憶部51は、充放電条件データベースDB2と、劣化進行度データベースDB3とを記憶している。充放電条件データベースDB2には、種々の充放電条件が登録されている。充放電条件としては、充電、放電、充放電の停止等を制御するための電流、電圧、充放電範囲等のパラメータが登録されている。充放電条件データベースDB2には、例えば、通常の充放電時の充放電条件や、後述する劣化進行度算出用の充放電条件等が記憶されている。劣化進行度データベースDB3には、車載電池管理装置40で算出された劣化進行度が記憶されている。
【0021】
ところで、車載電池11の劣化進行度は、車両制御装置20の記憶部21に記憶されている劣化進行度データベースDB1を基に設定されうる。本発明者の知見では、例えば、電動車両10を長期にわたって使用した場合等、劣化進行度データベースDB1を基に設定された劣化進行度と、車載電池11の実際の劣化進行度との間にずれが生じる場合がある。車載電池11の劣化進行度は、例えば、車載電池11の使用可能な充放電範囲を定める際に用いられる。車両制御装置20で設定された劣化進行度と、実際の劣化進行度との間にずれが生じている場合、充放電範囲が適切に設定されない懸念がある。充放電範囲が適切に設定されていない場合には、車載電池11の劣化を早める原因となりうる。例えば、車載電池11を高いSOCに保持することは、車載電池11の劣化を進める要因になりうる。車載電池11の実際の劣化進行度が、設定された劣化進行度よりも低い場合には、必要以上に高いSOCに充電され、車載電池11の劣化がより進行する等の懸念がある。本発明者は、車載電池11の劣化進行度を精度よく算出し、利用する方法を提供したいと考えている。
【0022】
図2は、車載電池管理装置40によって実現される処理の手順を示すフローチャートである。車載電池管理装置40は、電動車両10の車載電池11が接続される充放電装置30に対し、予め定められた処理条件で車載電池11を充放電するように充放電装置30を制御する処理S11と、充放電時の充放電情報に基づいて車載電池11の劣化進行度を算出する処理S13と、算出された劣化進行度を予め定められた通知先に通知する処理S15とが実行されるように構成されている。以下、それぞれの処理を具体的に説明する。
なお、これらの処理は、例えば、電動車両10が充放電装置30のコネクタ31に接続され、かつ、ユーザが車載電池管理装置40での劣化進行度の算出を希望した場合に実行される。これらの処理は、例えば1か月に1回等、定期的に実行されてもよい。
【0023】
充放電装置30を制御する処理S11は、電動車両10が充放電装置30のコネクタ31に接続された状態で、車載電池管理装置40の制御装置50の第1通信部52を介して算出信号を充放電装置30に送信することによって開始される。算出信号は、例えば、ユーザがユーザ端末15を介して指示したタイミングで送信されてもよく、制御装置50から定期的に送信されるように設定されていてもよい。
【0024】
充放電装置30が通信部33を介して算出信号を受信すると、設定部34は、充放電条件を劣化進行度算出用の充放電条件に設定する。この実施形態では、劣化進行度算出用の充放電条件は、充放電条件データベースDB2に記憶されている。劣化進行度算出用の充放電条件は、制御装置50から充放電装置30に、算出信号と併せて送信される。そして、設定部34によって劣化進行度算出用の充放電条件が設定される。なお、劣化進行度算出用の充放電条件の設定は、かかる形態に限られない。例えば、充放電条件が設定部34に予め登録されており、算出信号を受信した際に劣化進行度算出用の充放電条件が設定されてもよい。この実施形態では、劣化進行度算出用の充放電条件では、はじめに、SOCが予め定められた値になるまで放電される。次いで、SOCが予め定められた値になるまで充電される。精度よく劣化進行度を算出する観点から、ここでのSOCの範囲は、なるべく大きくすることが好ましい。
【0025】
なお、ユーザが劣化進行度の算出を希望しない場合や、劣化進行度を算出するタイミングではない場合には、算出信号は送信されない。その際、設定部34は、通常の充放電条件を設定し、充放電が開始される。通常の充放電条件とは、例えば、電動車両10の使用後に所定の充電レートで所定の充電量まで充電される際の充電条件でありうる。また、通常の充放電条件とは、例えば、車載電池11に設定されている劣化進行度に応じて決定されうる。通常の充放電条件には、当該劣化進行度によって定めされる車載電池11の充放電範囲が含まれる。
【0026】
実行部35は、設定部34によって設定された劣化進行度算出用の充放電条件に従って車載電池11の放電を実行する。車載電池11は、コネクタ31を介して放電される。車載電池11は、SOC予め定められた値になるまで放電される。このときのSOCは特に限定されないが、この実施形態では、車載電池11は、SOCが0%になるまで放電される。ただし、例えば、車載電池11として複数の蓄電池が用いられており、蓄電池ごとに電池電圧がばらついている場合等、SOCが0%になるまで放電できないことがありうる。その場合、SOCが0%に近くなるまで放電される。
【0027】
実行部35は、設定部34によって設定された劣化進行度算出用の充放電条件に従って車載電池11の充電を実行する。車載電池11は、コネクタ31を介して充電される。車載電池11は、SOCが予め定められた値になるまで充電される。このときのSOCは特に限定されないが、この実施形態では、車載電池11は、SOCが100%になるまで定電流で充電される。ただし、例えば、車載電池11として複数の蓄電池が用いられており、蓄電池ごとに電池電圧がばらついている場合等、SOCが100%になるまで充電できないことがありうる。その場合、SOCが100%に近くなるまで充電される。
【0028】
充電の際、取得部36は、車載電池管理装置40で劣化進行度を算出するための充放電情報を取得する。以下、車載電池管理装置40で劣化進行度を算出するための充放電情報のことを「充放電情報I」とも称する。この実施形態では、充放電情報Iは、SOCが0%から100%まで充電する際の充電容量である。充放電情報Iは、例えば、充電電流、充電電圧、充電時間等を含みうる。取得部36で取得された充放電情報Iは、通信部33を介して車載電池管理装置40に送信される。車載電池管理装置40は、充放電情報Iを、第1通信部52を介して受信する。
【0029】
図2のS13では、車載電池管理装置40の算出部61は、受信した充放電情報Iに基づいて車載電池11の劣化進行度を算出する。算出部61には、電動車両10の使用初期の満充電容量が予め登録されている。算出部61は、登録されている満充電容量と、充放電情報I(例えば、SOC0%からSOC100%まで充電した際の充電量)とに基づいて車載電池11の劣化進行度を算出する。以下、充放電情報Iに基づいて車載電池管理装置40の算出部61で算出された劣化進行度を、「劣化進行度A」とも称する。
【0030】
図2のS15では、車載電池管理装置40で算出された劣化進行度Aは、予め定められた通知先に通知される。この実施形態では、第3通信部54は、劣化進行度Aをユーザ端末15に送信する。この実施形態では、ユーザ端末15は、劣化進行度データベースDB1を確認できるように構成されている。ユーザは、送信された劣化進行度Aを確認し、劣化進行度データベースDB1に記憶されている劣化進行度と比較することができる。ユーザは、劣化進行度Aを確認し、車載電池11の劣化進行度として設定される値を選択することができる。例えば、ユーザは、車載電池11の劣化進行度として劣化進行度Aを設定したり、劣化進行度Aを用いて劣化進行度データベースDB1に基づいて設定される劣化進行度を補正したりすることを選択することができる。設定部26は、ユーザの選択に応じて、車載電池11の劣化進行度を設定する。
【0031】
ところで、車両制御装置20の劣化進行度データベースDB1に記憶されている劣化進行度は、車載電池管理装置40で算出された劣化進行度Aとは異なる条件で算出された劣化進行度である。この実施形態では、劣化進行度データベースDB1には、車両制御装置20の算出部24によって算出された劣化進行度が記憶されている。算出部24は、電動車両10の走行時や通常の充放電時に取得された情報に基づいて劣化進行度を算出する。以下では、車両制御装置20で算出される劣化進行度を、「劣化進行度B」とも称する。劣化進行度Bの算出は、劣化進行度Aの算出よりも高い頻度で行われうる。
【0032】
上述した実施形態では、車載電池管理装置40は、電動車両10の車載電池11が接続される充放電装置30に対し、予め定められた処理条件で車載電池11を充放電するように充放電装置30を制御する処理が実行されるように構成されている。また、車載電池管理装置40は、かかる充放電時の充放電情報Iに基づいて車載電池11の劣化進行度Aを算出する処理が実行されるように構成されている。車載電池管理装置40で算出される車載電池11の劣化進行度Aは、電動車両10の車両制御装置20で算出される劣化進行度Bよりも精度良く車載電池11の劣化度を評価しうる。例えば、車両の演算装置の演算能力を上げるには、車両コスト増になる。このため、車両の演算装置の演算能力のうち車載電池11の劣化度を評価するための演算に割り当てられる能力には、制約がある。これに対して、車載電池管理装置40は、そのような制約がない。このため、車載電池管理装置40では、車載電池11の劣化度を評価する上で、より精緻な演算が可能である。
【0033】
また、車両制御装置20で劣化進行度Bを算出する際、算出のための充放電範囲は、普段の電動車両10を使用する際の使用環境や充放電範囲に依存する。車載された車両制御装置20では、電動車両10の使用状況に応じて充放電の条件が定められる。このため、車両制御装置20では、車載電池11の劣化度を評価する上で適当な充放電の条件を実現することが難しい。そして、電動車両10の使用状況に応じた成り行きの充放電を基に車載電池11の劣化度を評価し、劣化進行度Bを算出することになりうる。これに対し、車載電池管理装置40は、電動車両10が充電スタンドのような充放電装置30に接続されている状態で、車載電池11を充放電する。このため、車載電池管理装置40は、車載電池11の劣化度を評価する上で適当な充放電条件を実現しやすい。この実施形態では、車載電池管理装置40は、車載電池11の劣化度を評価する上で適当な予め定められた処理条件で車載電池11を充放電するように充放電装置30を制御するように構成されているとよい。そして、かかる制御において得られた充放電情報Iを基に、劣化進行度Aが算出される。例えば、電動車両10が停車しており充放電装置30に接続されている状態では、SOC0%になるまで車載電池11を一旦放電した後で、SOC100%になるまで車載電池11を充電するような充放電を行なうことが可能である。この場合、SOC0%からSOC100%になるまでの充電容量を測定することができ、満充電容量を評価できる。そして、車載電池11の使用初期の満充電容量と比較することで、車載電池11の容量劣化を評価できる。また、車載電池11について、充放電性能など、電池性能に関して基準となるデータを車載電池管理装置40が備えると、さらに車載電池管理装置40の制御において得られた充放電情報Iをより精緻に分析することが可能であり、電池容量以外の情報も加味して劣化進行度Aを算出しうる。車載電池11は電動車両10の車種ごとに機種(種類)が異なることがありうるので、車載電池11の機種ごとに基準となるデータを備えることができる。
【0034】
次に、車載電池管理装置40で算出された劣化進行度Aを用いて車載電池11に設定されている劣化進行度を補正する場合の処理について説明する。図3は、車載電池11に設定されている劣化進行度を補正する処理の手順を示すフローチャートである。車載電池管理装置40は、充放電情報Iに基づいて算出された劣化進行度Aを基に、車載電池11に設定されている劣化進行度Bの補正を促す処理S21と、劣化進行度が補正されたか否かの結果を受信する処理S23とがさらに実行されるように構成されている。
【0035】
図3のS21では、車載電池管理装置40は、第2通信部53を介して電動車両10に、車載電池管理装置40で算出された劣化進行度Aを送信する。それとともに、車載電池管理装置40は、車載電池11に設定されている劣化進行度Bの補正を促す補正信号を送信する。電動車両10の車両制御装置20は、第1通信部22を介して補正信号を受信する。車両制御装置20は、補正信号を受信すると、第2通信部23を介してユーザ端末15に劣化進行度の確認を促す確認信号を送信する。ユーザ端末15が確認信号を受信すると、ユーザは、ユーザ端末15で劣化進行度を確認することを促される。それとともに、劣化進行度Aを基に補正の要否の選択が促される。ユーザが補正を許可する場合、車両制御装置20の設定部25は、劣化進行度Aを基に車載電池11の劣化進行度Bを補正する。ユーザが補正を許可しない場合、設定部25は、車載電池11に設定されている劣化進行度Bを維持する。劣化進行度が補正されると、第1通信部23は、車載電池管理装置40に補正された劣化進行度を送信する。
【0036】
なお、車載電池管理装置40で算出された劣化進行度Aを基に車載電池11の劣化進行度Bを補正する場合の補正の方法は特に限定されない。例えば、補正後の劣化進行度が、補正前の劣化進行度Bと劣化進行度Aとの間の値になるように補正されもよい。例えば、補正後の劣化進行度が、補正前の劣化進行度Bと劣化進行度Aとの平均値になるように補正されてもよい。このように補正されることによって、車載電池11の劣化進行度として設定されている値が段階的に劣化進行度Aに近づけられうる。また、補正後の劣化進行度が劣化進行度Aとなるように補正されてもよい。補正された車載電池11の劣化進行度は、車両制御装置20の劣化進行度データベースDB1に記憶されてもよい。記憶された劣化進行度は、次回以降の劣化進行度の算出に用いられてもよい。
【0037】
図3のS23では、車載電池管理装置40の第2通信部53は、設定された劣化進行度を受信する。それによって、車載電池管理装置40は、劣化進行度が補正されたか否かの結果を受信することができる。なお、受信した劣化進行度は、劣化進行度データベースDB3に記憶されてもよい。
【0038】
上述した実施形態では、電動車両10では、車載電池11の劣化進行度Bが設定されている。車載電池管理装置40は、充放電情報Iに基づいて算出された劣化進行度Aを基に、車載電池11に設定されている劣化進行度Bの補正を促す処理が実行されるように構成されている。かかる構成によって、ユーザは、より高い精度で算出された劣化進行度Aを用いて劣化進行度Bを補正することができる。
【0039】
なお、上述した実施形態では、車載電池11に設定されている劣化進行度Bの補正を促す処理S21(図3参照)が実行されると、ユーザがユーザ端末15を介して補正の要否を選択していたが、かかる形態に限定されない。例えば、ユーザが予め許可している場合には、車載電池管理装置40で算出された劣化進行度Aを基に自動的に車載電池11の劣化進行度が補正されるように構成されていてもよい。
【0040】
図4は、車載電池11の劣化の進行状況を通知する処理の手順を示すフローチャートである。車載電池管理装置40は、電動車両10側(すなわち、車載電池管理システム20)で算出された劣化進行度Bを取得する処理S31と、電動車両10から取得した劣化進行度Bと、充放電情報Iに基づいて算出した劣化進行度Aとのうち少なくともいずれかが予め定められた値(以下では、「設定値C」とも称する)以下であった場合に、劣化進行度を予め定められた通知先に通知する処理S33,35とがさらに実行されるように構成されている。
【0041】
図4のS31では、取得部62は、車載電池管理システム20で算出された劣化進行度Bを取得する。この実施形態では、車両制御装置20の劣化進行度データベースDB1に記憶された劣化進行度Bは、第1通信部22を介して車載電池管理装置40に送信される。取得部62は、送信された劣化進行度Bを取得する。このとき、取得した劣化進行度Bは、劣化進行度データベースDB3に記憶されてもよい。取得した劣化進行度Bは、車載電池管理装置40で算出された劣化進行度Aとは分けて劣化進行度データベースDB3に記憶されてもよい。
【0042】
図4のS33では、第1判定部63は、車載電池管理装置40で算出された劣化進行度A、および、車載電池管理システム20で算出された劣化進行度Bが、設定値C以下であるか否か(すなわち、AorB≦C)を判定する。設定値Cは、例えば、電動車両10のユーザが任意に設定してもよく、SOH50%,60%,70%等の与えられた選択肢からユーザが選択してもよい。また、設定値Cは、例えば、アグリゲータや電動車両10の点検や整備を行う車両整備者(例えば、ディーラ)等によって設定されてもよい。
【0043】
ここで、劣化進行度Aおよび劣化進行度Bがいずれも設定値C以下でない場合には、S33の判定をNOとする。この場合、劣化進行度は通知されない。劣化進行度Aおよび劣化進行度Bのうち少なくともいずれか一方が設定値C以下である場合には、S33の判定をYESとして、S35に進む。
【0044】
図4のS35では、劣化進行度Aおよび劣化進行度Bのうち、設定値C以下であった劣化進行度が予め定められた通知先に通知される。この実施形態では、設定値C以下であった劣化進行度は、ユーザに通知される。劣化進行度は、第3通信部54を介してユーザ端末15に送信される。ユーザ端末15では、端末制御装置16で当該劣化進行度を受信する。ユーザは、受信した劣化進行度をユーザ端末15の画面等によって確認することができる。
【0045】
図5は、劣化進行度Aと劣化進行度Bが乖離している場合に通知する処理の手順を示すフローチャートである。車載電池管理装置40は、電動車両10側(すなわち、車載電池管理システム20)で算出された劣化進行度Bを取得する処理S41と、電動車両10から取得した劣化進行度Bと、充放電情報Iに基づいて算出した劣化進行度Aとが予め定められた値(以下では、「設定値D」とも称する)以上離れている場合に、予め定められた通知先に通知する処理S43,45とがさらに実行されるように構成されている。
【0046】
図5のS41では、図4のS31と同様に、取得部62は、車載電池管理システム20で算出された劣化進行度Bを取得する。
図5のS43では、第2判定部64は、車載電池管理装置40で算出された劣化進行度Aと車載電池管理システム20で算出された劣化進行度Bとが設定値D以上離れているか否か(すなわち、|A-B|≧D)を判定する。設定値Dは、例えば、電動車両10のユーザが任意に設定してもよく、SOH5%,10%等の与えられた選択肢からユーザが選択してもよい。また、設定値Dは、例えば、アグリゲータや電動車両10の点検や整備を行う車両整備者等によって設定されてもよい。
【0047】
ここで、劣化進行度Aと劣化進行度Bとが設定値D以上離れていない場合には、S43の判定をNOとする。この場合、通知先への通知は行われない。劣化進行度Aと劣化進行度Bとが設定値D以上離れている場合には、S43の判定をYESとして、S45に進む。
【0048】
図5のS45では、劣化進行度Aと劣化進行度Bとが設定値D以上離れている場合に、予め定められた通知先へ通知される。この実施形態では、劣化進行度Aと劣化進行度Bとがユーザに通知される。劣化進行度Aと劣化進行度Bは、第3通信部54を介してユーザ端末15に送信される。ユーザ端末15では、端末制御装置16で当該劣化進行度を受信する。ユーザは、受信した劣化進行度をユーザ端末15の画面等によって確認することができる。
【0049】
車載電池管理装置40は、電動車両10から取得した劣化進行度Bと、充放電情報Iに基づいて算出した劣化進行度Aとのうち少なくともいずれかが予め定められた値以下であった場合に、劣化進行度を予め定められた通知先に通知する処理が実行されるように構成されている。このように、算出方法の異なる劣化進行度Aと劣化進行度Bの両方を基準として車載電池11の劣化が判定される。劣化進行度Aと、劣化進行度Bとのうち少なくともいずれかが設定値C以下であることが通知されることによって、ユーザは、車載電池11の劣化の進行等を早期に把握しうる。
また、車載電池管理装置40は、電動車両10から取得した劣化進行度Bと、充放電情報Iに基づいて算出した劣化進行度Aとが予め定められた値以上離れている場合に、予め定められた通知先に通知する処理が実行されるように構成されている。異なる条件で算出された劣化進行度Aと劣化進行度Bとの差が大きい場合、例えば、通常の充放電時の充放電条件が適切に設定されていない可能性がある。劣化進行度Aと、劣化進行度Bとが設定値D以上離れている場合に通知を受けることによって、ユーザは、充放電範囲等の充放電条件を早期に見直したり、車載電池11の点検を受けたりする等の処置をとることができる。その結果、車載電池11がより長く使用されうる。
【0050】
また、上記の通知先は、ユーザに限られない。例えば、アグリゲータや電動車両10の点検や整備を行う車両整備者等に通知されてもよい。アグリゲータや車両整備者に車載電池11の劣化の進行が通知されることによって、アグリゲータや車両整備者は、ユーザに電動車両10や車載電池11の点検を促すことができる。それによって、車載電池11の劣化の原因を早期に突き止められ、車載電池11がより長く使用されうる。
【0051】
図6は、車載電池11の寿命を推定する処理の手順を示すフローチャートである。車載電池管理装置40は、充放電情報Iに基づいて算出した劣化進行度Aを記憶する処理S51と、記憶した劣化進行度Aに基づいて車載電池11の寿命を推定する処理S53とがさらに実行されるように構成されている。
【0052】
図6のS51では、記憶部51は、算出部61で算出された劣化進行度Aを記憶する。劣化進行度Aは、劣化進行度データベースDB3に記憶される。劣化進行度データベースDB3には、この処理を行う以前に算出された劣化進行度Aも記憶されている。劣化進行度データベースDB3には、例えば、電動車両10の使用開始日時と劣化進行度Aを算出した日時とから得られる使用期間と、算出された劣化進行度Aが対応付けて蓄積される。
【0053】
図6のS53では、推定部65は、記憶した劣化進行度Aに基づいて車載電池11の寿命を推定する。車載電池11の寿命を推定する方法は特に限定されない。この実施形態では、蓄積された劣化進行度Aと使用期間との相関関係から、現在から所定期間経過後の劣化進行度Aを推定する。例えば、劣化進行度を使用期間の関数としてフィッティング処理を行い、劣化進行度と使用期間の相関関係を求めてもよい。また、電動車両10のユーザは、車載電池11の劣化進行度Aの下限値を設定することができる。劣化進行度Aの下限値は、例えば、アグリゲータや電動車両10の点検や整備を行う車両整備者等によって設定されてもよい。設定された下限値と上記の相関関係により、車載電池11の寿命を推定することができる。
【0054】
上述したように、車載電池管理装置40は、充放電情報Iに基づいて算出した劣化進行度Aを記憶する処理と、記憶した劣化進行度Aに基づいて車載電池11の寿命を推定する処理とが実行されるように構成されている。かかる構成によって、車載電池11の使用可能な期間が把握される。特に限定されないが、推定された車載電池11の寿命は、例えば、第3通信部54を介してユーザ端末15に送信されてもよい。ユーザは、ユーザ端末15によって車載電池11の寿命の推定値を把握することができる。
【0055】
また、車載電池管理装置40は、充放電情報Iに基づいて算出した劣化進行度Aに基づいて、車載電池11の充放電条件を設定する処理がさらに実行されるように構成されている。ここでの充放電条件は、例えば、電動車両10を使用したり車載電池11に充放電を行ったりする際の充放電範囲や、充放電電流・電圧等である。
【0056】
ここでは、設定部66は、算出部61で算出された劣化進行度Aに基づいて充放電条件を設定する。充放電条件の設定では、アグリゲータが有している車載電池11の劣化進行度や充放電に関する情報を用いることができる。劣化進行度Aが低い場合は、車載電池11の充電量が少なく設定される。つまり、車載電池11の経時的な劣化に伴って、車載電池11の充電量は段階的に低くなるように設定されうる。車載電池11は、SOCが高い状態に置かれた場合により劣化が進行しうる。電動車両10の使用に伴って車載電池11の劣化が進行した場合には、車載電池11の満充電容量が低くなる。そのため、車載電池11の充電量が変更されない場合には、充電時のSOCは相対的に高くなる。車載電池11の充電量が段階的に低くなるように設定されることによって、充電時にSOCが高い状態に置かれることを抑制することができる。充放電情報Iに基づいて算出した劣化進行度Aに基づいて、車載電池11の充放電条件を設定する処理が実行されるように構成されていることによって、車載電池11の劣化を低減しうる。
【0057】
以上、ここで開示される充放電制御装置について、種々説明した。特に言及されない限りにおいて、ここで挙げられた実施形態などは本発明を限定しない。また、ここで開示される車載電池管理装置や車載電池管理システムは、種々変更でき、特段の問題が生じない限りにおいて、各構成要素やここで言及された各処理は適宜に省略され、または、適宜に組み合わされうる。
【符号の説明】
【0058】
10 電動車両
11 車載電池
15 ユーザ端末
16 端末制御装置
20 車両制御装置
21 記憶部
22 第1通信部
23 第2通信部
24 算出部
25 設定部
30 充放電装置
31 コネクタ
32 制御装置
33 通信部
34 設定部
35 実行部
36 取得部
40 車載電池管理装置
50 制御装置
51 記憶部
52 第1通信部
53 第2通信部
54 第3通信部
61 算出部
62 取得部
63 第1判定部
64 第2判定部
65 推定部
66 設定部
70 電力系統
100 車載電池管理システム
DB1 劣化進行度データベース
DB2 充放電条件データベース
DB3 劣化進行度データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6