(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】車両のセンターコンソール
(51)【国際特許分類】
B60R 7/04 20060101AFI20231211BHJP
B60N 3/00 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
B60R7/04 C
B60N3/00 Z
(21)【出願番号】P 2021181892
(22)【出願日】2021-11-08
【審査請求日】2022-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 浩康
(72)【発明者】
【氏名】山本 洋幸
(72)【発明者】
【氏名】塚越 俊典
(72)【発明者】
【氏名】星島 陸宏
【審査官】佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-133503(JP,A)
【文献】特開2014-133509(JP,A)
【文献】特開2018-075875(JP,A)
【文献】特開2020-040497(JP,A)
【文献】特開2021-102356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
B60N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形板状の物品を載置可能な載置面を有する物品載置部と、
前記物品載置部の前後に配置される前ブロック部、及び、後ブロック部と、
前記前ブロック部と前記後ブロック部とに架設されるとともに、前記物品載置部の上方に空間部を挟んで配置されるブリッジ部と、
前記載置面の前部
の車幅方向中央領域から上方に起立し、
後方に向かって膨出する後方膨出部と、
前記後方膨出部の車幅方向外側に位置される
とともに前記載置面から前方に延び
、その上方スペースへの指の挿入を許容する指入れ受容面と、を備えていることを特徴とする車両のセンターコンソール。
【請求項2】
前記載置面の上面には、滑り止め部材が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両のセンターコンソール。
【請求項3】
前記載置面の車幅方向両側部には、上方に向かって起立する側壁が設けられ、
前記載置面と各前記側壁の間には、前記載置面から前記側壁の上部側に向かって凹状に湾曲する湾曲面が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両のセンターコンソール。
【請求項4】
前記ブリッジ部の少なくとも前後方向の中央領域には、前記載置面よりも車幅方向の幅が狭く、車幅方向の両側の端部が前記載置面の車幅方向の両側の端部よりも内側に位置される狭幅部が設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の車両のセンターコンソール。
【請求項5】
前記指入れ受容面の前方には、上方に向かって前方側に傾斜する傾斜壁が配置され、
前記傾斜壁には、電気使用機器の端子が接続される端子接続口が配置され、
前記前ブロック部には、前記端子接続口の上方に張り出す庇部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の車両のセンターコンソール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のセンターコンソールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の車室内の構造として、シフト操作部や各種のスイッチ類、物品収容部等が配置されるセンターコンソールが、前席の運転席と助手席の間に設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のセンターコンソールは、ボックス状のコンソール本体の上部に、上方側に開口する略矩形状の物品収容部が形成されている。物品収容部には、上方の開口を通して様々な物品を収容することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のセンターコンソールは、物品収容部の開口形状が略矩形状であるため、携帯情報端末等の矩形板状の物品を物品収容部内に平坦な面を下向きにして載置したときに、物品の取り出しが難しくなる。特に、物品の前後幅が物品収容部の開口の前後幅に近いときには、物品の取り出し時に物品の端部に指を掛けることが難しい。
【0006】
また、近年、トレイ状の物品載置部の前後に前ブロック部と後ブロック部が配置され、前ブロックと後ブロックに架設されるブリッジ部が物品載置部の上方を前後に跨ぐ構造のセンターコンソールが案出されている。
この種のセンターコンソールの場合、物品載置部の上方スペースがブリッジ部によって大きく制限されるため、物品載置部に矩形板状の物品を載置したときに、物品載置部上の物品の端部に指を掛けて取り出すことが難しくなる。
【0007】
そこで本発明は、物品載置部に載置した矩形板状の物品を物品載置部から容易に取り出すことができる車両のセンターコンソールを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車両のセンターコンソールは、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
即ち、本発明に係る車両のセンターコンソールは、矩形板状の物品(例えば、実施形態の携帯情報端末50)を載置可能な載置面(例えば、実施形態の載置面11a)を有する物品載置部(例えば、実施形態の物品載置部11)と、前記物品載置部の前後に配置される前ブロック部(例えば、実施形態の前ブロック部12)、及び、後ブロック部(例えば、実施形態の後ブロック部13)と、前記前ブロック部と前記後ブロック部とに架設されるとともに、前記物品載置部の上方に空間部(例えば、実施形態の空間部25)を挟んで配置されるブリッジ部(例えば、実施形態のブリッジ部14)と、前記載置面の前部の車幅方向中央領域から上方に起立し、後方に向かって膨出する後方膨出部(例えば、実施形態の後方膨出部15)と、前記後方膨出部の車幅方向外側に位置されるとともに前記載置面から前方に延び、その上方スペースへの指の挿入を許容する指入れ受容面(例えば、実施形態の延長載置面11b)と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
上記の構成により、物品載置部の載置面上に矩形板状の物品が載置されたときには、物品の前部位置が膨出部によって制限され、指入れ受容面上には物品が配置されない。このため、物品載置部から物品を取り出す場合には、利用者は指び入れ受容面に向けて指を差し込み、指先を物品の前端部に掛けて物品を物品載置部から容易に取り出すことができる。
また、本構成のセンターコンソールは、物品載置部の上方にブリッジ部が配置されているため、センターコンソールの上方に誤って飲み物等の液体をこぼすことがあっても、その液体が物品載置部上の物品にかかるのを防ぎ、物品を保護することができる。また、物品載置部の上方にブリッジ部が配置されていても、指入れ受容面は、物品載置部の前部の車幅方向の外側寄りに配置されているため、物品載置部に載置された物品の前端部に容易に指を掛けることができる。
【0010】
前記載置面の上面には、滑り止め部材(例えば、実施形態の滑り止め用のマット30)が配置されるようにしても良い。
【0011】
この場合、物品載置部に載置された物品の前端部に指を掛け、物品を手前に引き起こすときに物品の後端部の滑りが滑り止め部材によって抑制される。このため、物品を手前に引き起こして物品収容部から物品を容易に取り出すことができる。
【0012】
前記載置面の車幅方向両側部には、上方に向かって起立する側壁(例えば、実施形態の側壁11c)が設けられ、前記載置面と各前記側壁の間には、前記載置面から前記側壁の上部側に向かって凹状に湾曲する湾曲面(例えば、実施形態の湾曲面35)が設けられるようにしても良い。
【0013】
この場合、物品載置部に載置した物品の奥側の側部に指を掛け、手前の側壁方向に物品を引き寄せると、物品の手前側の側端部が湾曲面に沿って上方に持ち上がる。したがって、物品をそのまま引き寄せることにより、物品を物品載置部から容易に取り出すことができる。
【0014】
前記ブリッジ部の少なくとも前後方向の中央領域には、前記載置面よりも車幅方向の幅が狭く、車幅方向の両側の端部が前記載置面の車幅方向の両側の端部よりも内側に位置される狭幅部(例えば、実施形態の狭幅部14a)が設けられるようにしても良い。
【0015】
この場合、物品載置部に載置する物品が表示画面を持つ携帯情報端末であるときに、携帯情報端末を載置面上の自席寄りに載置すると、ブリッジ部の狭幅部の手前側のスペースを通して携帯情報端末の画面を自席から容易に目視確認することができる。また、他方の席の乗員が携帯情報端末を載置面上の他方の席寄りに配置した場合には、その画面はブリッジ部(狭幅部)に隠されて一方の席の乗員からは見えにくくなる。したがって、本構成を採用した場合には、前席の左右の席に着座した乗員のプライバシーを守ることができる。
また、本構成では、ブリッジ部の少なくとも前後方向の中央領域に狭幅部が設けられているため、物品載置部に載置された物品の前端部に指を掛けて物品を取り出すときに、人の手がブリッジ部と干渉しにくくなり、物品の取り出しが容易になる。
【0016】
前記指入れ受容面の前方には、上方に向かって前方側に傾斜する傾斜壁(例えば、実施形態の傾斜壁17)が配置され、前記傾斜壁には、電気使用機器(例えば、実施形態の携帯情報端末50)の端子が接続される端子接続口(例えば、実施形態の端子接続口18)が配置され、前記前ブロック部には、前記端子接続口の上方に張り出す庇部(例えば、実施形態の庇部22)が設けられるようにしても良い。
【0017】
この場合、物品載置部の幅方向外側寄りの前部に配置された傾斜壁に端子接続口が配置されるため、乗員は前席に着座したまま端子接続口に電気使用機器の端子を容易に脱着することができる。また、端子接続口の上方が前ブロック部から張り出した庇部によって覆われるため、センターコンソールの上方に誤って飲み物等の液体がこぼれたときに、端子接続口にその液体がかかるのを庇部によって確実に防ぐことができる。
また、本構成では、指入れ受容面の前方に傾斜壁が配置されているため、物品載置部に載置された物品の前端部に指を掛けて物品を取り出すときに、人の手が前ブロック部と干渉しにくくなり、物品の取り出しが容易になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る車両のセンターコンソールは、物品載置部の載置面上に矩形板状の物品が載置されるときに、物品の前部位置が後方膨出部によって規制され、指入れ受容面上に物品が配置されなくなる。このため、指入れ受容面に向けて指を差し込むことによって物品載置部に載置された物品の前部に指を掛け、物品を物品載置部から容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】実施形態のセンターコンソールの平面図である。
【
図3】実施形態のセンターコンソールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明において、前後や上下、左右については、特別に断らない限り、車両についての前後や上下、左右を意味するものとする。また、図面の適所には、車両の上方を指す矢印UPと、車両の前方を指す矢印FRと、車両の左側方を指す矢印LHが記されている。
【0021】
図1は、実施形態の車両1の車室内の前席前方部分を示す斜視図である。
図1に示すように、車室内の前席の前方には、各種の計器類や、オーディオ操作部、空調操作部等が設置されるインストルメントパネル2が配置されている。なお、本実施形態の車両1は、車両前方側に向かって左側に運転席が配置され、右側に助手席が配置される所謂左ハンドル車である。運転席と助手席の間には、センターコンソール10が配置されている。センターコンソール10は、車室内のフロア3に対して上方に膨出し、前端部がインストルメントパネル2の下部領域まで延びている。センターコンソール10は、全体が前後方向に長い略長方体状に形成されている。
【0022】
図2は、センターコンソール10の平面図であり、
図3は、センターコンソール10を後部左上方から見た斜視図である。
センターコンソール10は、上面に平坦な載置面11aを有する物品載置部11と、物品載置部11の前後に配置される前ブロック部12、及び、後ブロック部13と、前ブロック部12と後ブロック部13に架設されるブリッジ部14と、を備えている。
【0023】
物品載置部11は、略水平に延びる上面視が略矩形状の載置面11aと、載置面11aの左右の側端部から前方に略水平に延びる延長載置面11bと、載置面11aと延長載置面11bの車幅方向外側の端部から上方に起立する側壁11cと、を備えている。物品載置部11は左右両側に縁のあるトレイ状に形成されている。載置面11aの前部の車幅方向中央領域には、上方に起立する後方膨出部15が配置されている。後方膨出部15は、前ブロック部12の後壁の一部を構成している。後方膨出部15は、物品載置部11の前部の車幅方向中央領域において、車両後方側に向かって円弧状に膨出している。左右の延長載置面11bは、後方膨出部15によって左右に分断された載置面11aの前方延長領域である。
【0024】
図4は、
図3のIV-IV線に沿う断面図である。
図4に示すように、後方膨出部15は、載置面11a上に携帯情報端末50等の矩形板状の物品を載置したときに、物品の前端部に当接することで物品の前方変位を規制することができる。また、矩形板状の物品を載置面11a上に載置したときには、物品の幅方向外側寄りの前端部の前方には延長載置面11bによるスペースが確保される。載置面11a上から矩形板状の物品を取り出すときには、利用者が延長載置面11bによるスペースに指を差し入れ、物品の前端部に指を掛けて容易に取り出すことができる。
本実施形態ては、延長載置面11bが指入れ受容面を構成している。延長載置面11bは、その上方スペースに指先の第1,第2関節までを入れることができる程度の幅と前後長さとされている。
【0025】
前ブロック部12は、上面にシフトレバー16が配置され、内部にレバー連動機器や配線等が内蔵されるブロックである。前ブロック部12の前端部は、インストルメントパネル2の車幅方向中央領域の下方に連結されている。前ブロック部12の後部の車幅方向中央領域には、上記の後方膨出部15が設けられている。前ブロック部12の後部の後方膨出部15の左右両側には、上方に向かって車両前方に傾斜する傾斜壁17が夫々形成されている。各傾斜壁17は、物品載置部11の左右の各延長載置面11bの前方位置に配置され、前席(運転席、または、助手席)に着座した乗員の方向に向かって(着座した乗員にほぼ正対するように)車幅方向にも傾斜している。
【0026】
左右の各傾斜壁17には、携帯情報端末50等の電気使用機器を接続するための端子接続口18が設置されている。端子接続口18は、電気使用機器との間で電力供給や信号の送受信等を行うための端子を接続するUSBポート等の接続口である。端子接続口18の形状や構造は任意である。傾斜壁17に設置する端子接続口18の数は、二つ以上であっても良い。この場合、各端子接続口18は、同形態(同規格)のものであっても異なる形態(異なる規格)のものであっても良い。
なお、各端子接続口18には、携帯情報端末50等の電気使用機器に接続したケーブルの端子を接続することができるが、フラッシュメモリ等の機器であれば、機器に突設された端子を直接差し込むことも可能である。
また、左右の各傾斜壁17の上端部には、車両後方に向かって張り出し、端子接続口18の上方を覆う庇部22が延設されている。
【0027】
後ブロック部13は、上方に開口する物品収納凹部20と、物品収納凹部20の開口を開閉する蓋体21と、を備えている。蓋体21は、後端部側に図示しない開閉ヒンジが設けられ、乗員による操作によって開閉ヒンジのヒンジ軸を中心として動作する(回動する)。蓋体21は、物品収納凹部20の開口を開くときに、後端側を中心として前端側が上方に大きく持ち上がる。また、蓋体21の上面側と周域には、クッション材が内蔵されている。蓋体21は、物品収納凹部20の開口を閉じた状態において、前席に着座した乗員が腕を載せ置くアームレストとしても機能する。
【0028】
ブリッジ部14は、車両前後方向に延び前ブロック部12の後上端部と後ブロック部13(物品収納凹部20)の前上端部とを連結している。ブリッジ部14は、物品載置部11の上方に空間部25を挟んで配置されている。ブリッジ部14の車幅方向の幅は、物品載置部11の載置面11aの車幅方向の幅よりも狭く設定されている。
【0029】
より具体的には、ブリッジ部14の前後方向の中央領域から後端部にかけては、載置面11aよりも車幅方向の幅が充分に狭く、車幅方向の両側の端部が載置面11aの車幅方向の両側の端部よりも内側に位置される狭幅部14aとされている。ブリッジ部14の狭幅部14aの前部側には、車幅方向の幅が前方に向かって漸増する拡幅部14bが設けられている。拡幅部14bの前端部は、前ブロック部12の後部に一体に接続されている。拡幅部14bの前端側の幅方向外側の縁部は、上述した前ブロック部12の庇部22に連設されている。
【0030】
ブリッジ部14の狭幅部14aは、車幅方向の両側の端部が載置面11aの車幅方向の両側の端部よりも内側に位置されているため、
図2に示すように、センターコンソール10を上方から見たときには、載置面11aの車幅方向の両側縁の一部が外側に露出して見える。このため、
図4に示すように、画面が上方を向くように携帯情報端末50を載置面11aの側部寄りに載置した場合には、載置した携帯情報端末50に近い側の席(運転席、または、助手席)に着座した乗員から携帯情報端末50の画面を容易に視認することができる。なお、このとき載置した携帯情報端末50から遠い側の席(助手席、または、運転席)に着座した乗員からは、携帯情報端末50の画面はブリッジ部14(狭幅部14a)が目隠しとなって視認を遮られる。したがって、前席の各席に着座する乗員が自分に近い側に載置した携帯情報端末50の画面を隣の乗員に見られることがなく、前席の乗員各自のプライバシーを保護することができる。
【0031】
また、物品載置部11の前部の左右の各傾斜壁17に設置される端子接続口18は、上面視において、ブリッジ部14と重ならない位置に設置されている。端子接続口18の設置位置は、さらに前席に着座した乗員の視線方向から見て、ブリッジ部14と重ならない位置であることが望ましい。
また、ブリッジ部14の上面には、パーキングスイッチ等の各種のスイッチSが前後方向に並んで配置されている。
【0032】
図5は、
図3のV-V線に沿う断面図であり、
図6は、
図5の
一部の拡大図である。
図5,
図6に示すように、物品載置部11の載置面11a上には、少なくとも上面側が滑り止め機能を持つマット30が配置されている。マット30は、例えば、弾性を有するゴム材や軟質性の樹脂等によって構成することができる。マット30は、上面に携帯情報端末50等の矩形板状の物品が載置されたときに、物品の端部の滑りを抑制することができる。このため、物品の前端部に指を掛けて引き起こそうとしたときには、物品の後端部がマット30上で確実に係止され、その結果、物品の前端部側が容易に立ち上がるようになる。
本実施形態では、マット30が滑り止め部材を構成している。
【0033】
また、物品載置部11の載置面11aと車幅方向両側の各側壁11cの間には、載置面11aから各側壁11cの上部側に向かって凹状に湾曲する湾曲面35が設けられている。載置面11a上のマット30が敷設される部分には、マット30の上面が載置面11aの側縁部とほぼ面一になるように凹状の段部が形成されている。載置面11aの側縁部から湾曲面35にかけては、滑り止め部材であるマット30は敷設されていない。
【0034】
物品載置部11の載置面11aに載置した携帯情報端末50等の物品は、
図5に示すように、物品の幅方向奥側の側端部に上方から指fを掛け、手前の側壁11c
側に引っ張ることによって物品の手前側の側端部50eを引き起こすことができる。このとき、
図6に拡大して示すように、物品の側端部50eが湾曲面35を滑り上がり、さらに指fを手前に引くことによって物品を引き起こして取り出すことができる。
【0035】
以上のように本実施形態のセンターコンソール10は、物品載置部11の載置面11a上に矩形板状の物品(例えば、携帯情報端末50)が載置されるときに、物品の前部位置が後方膨出部によって規制され、延長載置面11b(指入れ受容面)上に物品が配置されなくなる。このため、前席に着座した利用者は、延長載置面11bに向けて指を差し込むことによって物品載置部11に載置された物品の前部に指を掛け、物品を物品載置部11から容易に取り出すことができる。
【0036】
特に、本実施形態では、後方膨出部が円弧状に後方に膨出しているため、延長載置面11b(指入れ受容面)の後端側を幅方向の内側に広く確保することができる。このため、物品の取り出し時に、矩形板状の物品の幅方向の中央部近くに指を容易に掛けることができる。このため、物品の取り出し作業をより容易行うことができる。
【0037】
また、本実施形態のセンターコンソール10は、物品載置部11の上方にブリッジ部14が配置されているため、センターコンソール10の上方に誤って飲み物等の液体をこぼした場合でも、その液体が物品載置部11上の物品にかかるのを防ぎ、物品を保護することができる。また、本構造では、物品載置部11の上方にブリッジ部14が存在するため、着座した乗員が操作のし易いブリッジ部14の上面位置に各種のスイッチ類を配置することができる。
さらに、本実施形態のセンターコンソール10は、物品載置部の上方にブリッジ部が配置されていても、延長載置面11b(指入れ受容面)は、物品載置部11の前部の車幅方向の外側寄り位置に配置されているため、物品載置部11に載置された物品の前端部に容易に指を掛けることができる。
【0038】
また、本実施形態のセンターコンソール10は、物品載置部11の載置面の上面に、滑り止め用のマット30(滑り止め部材)が敷設されている。物品載置部11に載置された物品の前端部に指を掛け、物品を手前に引き起こすときに物品の後端部の滑りを滑り止め用のマット30によって止めることができる。
したがって、本構成を採用した場合には、載置面11aの前後長に対して物品の前後長が短いときでも物品を物品載置部11から容易に取り出すことができる。
【0039】
また、本実施形態のセンターコンソール10は、物品載置部11の載置面11aと各側壁11cの間に、載置面11aから側壁11cの上部側に向かって凹状に湾曲する湾曲面35が形成されている。このため、載置面11a上に載置された物品の幅方向の奥側の端部に指fを掛けそのまま手前に引くことで、物品の手前側の側端部を湾曲面35に沿わせて上方に持ち上がらせることができる。
したがって、本構成を採用した場合には、載置面11aに載置された物品を幅方向の手前側に引き寄せることによっても、物品を物品載置部11から容易に取り出すことができる。
【0040】
さらに、本実施形態のセンターコンソール10は、ブリッジ部14の前後方向の中央領域から後端部に亘る部位に、載置面11aよりも車幅方向の幅が狭く、車幅方向の両側の端部が載置面11aの車幅方向の両側の端部よりも内側に位置される狭幅部14aが設けられている。このため、物品載置部11の載置面11a上の自席に近接する側の側部に携帯情報端末50を載置したときに、ブリッジ部14の狭幅部14aの手前側のスペースを通して携帯情報端末50の画面を自席から容易に目視確認することができる。また、他方の席の乗員が載置面11a上の他方の席に近接する側の側部に携帯情報端末50を載置した場合には、その携帯情報端末50の画面は、狭幅部14aによって隠されて一方の席の乗員からは見えにくくなる。
したがって、本構成を採用した場合には、前席の左右の席に着座した乗員のプライバシーを守ることができる。
【0041】
また、本実施形態のセンターコンソール10は、ブリッジ部14の少なくとも前後方向の中央領域に狭幅部14aが設けられているため、物品載置部11に載置された物品の前端部に指を掛けて物品を取り出すときに、人の手がブリッジ部14と干渉しにくくなり、物品の取り出しが容易になる。さらに、物品載置部11に載置された物品の幅方向の奥側に指を掛けて物品を取り出すときにも、人の手がブリッジ部14と干渉しにくくなり、物品の取り出しが容易になる。
【0042】
また、本実施形態のセンターコンソール10は、延長載置面11b(指入れ受容面)の前方に傾斜壁17が配置され、傾斜壁17に端子接続口18が設けられている。このため、端子接続口18は、物品載置部11の幅方向外側寄りの前部に上方に傾斜した状態で配置されることになる。したがって、乗員は前席に着座したまま端子接続口18に電気使用機器の端子を容易に脱着することができる。
さらに、本実施形態のセンターコンソール10は、前ブロック部12に端子接続口18の上方に張り出す庇部22が設けられている。このため、端子接続口18の上方が前ブロック部12の庇部22によって覆われるため、センターコンソール10の上方に誤って飲み物等の液体がこぼれたときに、端子接続口18に液体がかかるのを庇部22によって確実に防ぐことができる。
また、延長載置面11bの前方には、上方に向かって前方に傾斜するように傾斜壁17が配置されているため、載置面11aに載置された物品の前端部に指を掛けて物品を取り出すときに、人の手が前ブロック部12と干渉しにくくなり、物品の取り出しが容易になる。
【0043】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
例えば、上記の実施形態では、ブリッジ部14の前後方向の中央領域から後端部に亘る部位が狭幅部14aとされているが、狭幅部14aの配置される領域はこれに限定されない。狭幅部14aの配置される領域は、ブリッジ部14の前後方向の少なくとも中央領域を含めば良い。
また、上記の実施形態では、物品載置部11の載置面11a上に滑り止め部材であるマット30が敷設されているが、滑り止め部材は必ずしもマット形状である必要はなくブロック形状やその他の任意の形状であっても良い。さらに、載置面11a上の後部領域に、物品の後方側への変位を規制する突部のようなものがあれば、滑り止め部材は必ずしも無くても良い。
【符号の説明】
【0044】
10…センターコンソール
11…物品載置部
11a…載置面
11b…延長載置面
11c…側壁
12…前ブロック部
13…後ブロック部
14…ブリッジ部
14a…狭幅部
15…後方膨出部
17…傾斜壁
18…端子接続口
22…庇部
25…空間部
30…滑り止め用マット(滑り止め部材)
35…湾曲面
50…携帯情報端末(矩形板状の物品)