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特許7399936再利用可能な医療器具を再処理する方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】再利用可能な医療器具を再処理する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/00 20060101AFI20231211BHJP
   A61B 50/33 20160101ALI20231211BHJP
   A61L 2/20 20060101ALN20231211BHJP
   A61L 101/10 20060101ALN20231211BHJP
【FI】
A61L2/00
A61B50/33
A61L2/20 100
A61L101:10
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2021500773
(86)(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 NL2019050179
(87)【国際公開番号】W WO2019182449
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-03-15
(31)【優先権主張番号】2020655
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(31)【優先権主張番号】2022713
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】520364716
【氏名又は名称】ログ10 ベー.フェー.
【氏名又は名称原語表記】Log10 B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】バーホーベン, フランシスクス, マリーア
(72)【発明者】
【氏名】ペッサーズ, ポール, ヘルマン, マリーア
(72)【発明者】
【氏名】ファン・デア・レイ, テオ, アレックス, エドゥアルト
(72)【発明者】
【氏名】バッカー-ファン・デ・ケルクホフ, ヨランデ, ウィルヘルミナ
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0236631(US,A1)
【文献】実開昭50-065297(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0077435(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L2/00-2/28
A61L11/00-12/14
A61B34/00-90/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再利用可能な医療器具を再処理する方法であって、
トレイおよび蓋を有する容器であって、前記トレイは前記医療器具を支持する一のまたは複数の支持体を備え、前記トレイは前記医療器具を前記トレイの内部空間へと挿入するための開口部を有し、前記蓋は前記開口部を気密に密封するように構成されている、前記容器を準備する工程と、
前記容器を除染装置へと挿入する工程と、
前記除染装置内において、前記蓋を前記開口部から外した状態で、前記トレイ、前記蓋および前記医療器具を除染する工程と、
前記除染装置内において、前記除染装置の容器ハンドラによって、前記開口部を閉じるべく前記トレイに前記蓋で蓋をして前記容器を気密に密封する工程と、
前記容器を閉じる工程の前に、前記容器内のガス圧を低減する工程と、
前記除染装置から閉じられた状態の前記容器を取り出した後も、前記容器内の低減されたガス圧を維持する工程と、
前記医療器具を収容する閉じられた前記容器を、前記除染装置から取り出す工程と、
を備える方法。
【請求項2】
前記除染する工程の間に、前記開口部が直立面に延在する状態となる直立位置に前記トレイを保持する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記容器は密封されていない状態で前記除染装置に挿入される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記除染する工程の間、前記容器は、第1のチャンバにて保持された後、第2のチャンバにて保持される、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のチャンバから前記第2のチャンバへと移動する際には閉じられた状態である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記除染装置の内部において、前記容器にラベルを貼る工程を更に備える、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記容器は更なる蓋を有し、前記トレイは望ましくは前記第1の開口部に対向する更なる開口部を有し、
前記方法は、
前記除染装置内において、前記蓋を前記開口部から取り外し前記更なる蓋を前記更なる開口部から取り外した状態で、前記トレイ、前記蓋、前記更なる蓋および前記医療器具を除染する工程と、
前記除染装置内において、前記容器ハンドラが、前記開口部を閉じるべく前記トレイに前記蓋で蓋をし、前記更なる開口部を閉じるべく前記トレイに前記更なる蓋で蓋をする工程と、
を備える、請求項1から6の何れか一項記載の方法。
【請求項8】
前記挿入する工程は、前記蓋および対向する前記更なる蓋で前記トレイが閉じられた状態で、前記容器が前記除染装置に挿入されることを含み、
前記方法は、前記除染装置内において、前記開口部から前記蓋を取り外し、必要に応じて前記更なる開口部から前記更なる蓋を取り外す工程を備える、請求項1から7の何れか一項記載の方法。
【請求項9】
前記除染する工程は、すすぎ、洗浄、消毒、滅菌および乾燥のうちの一つまたは複数を含み、
前記方法は必要に応じて、前記除染装置の第1のチャンバで洗浄を行い前記前記除染装置の第2のチャンバで滅菌を行う工程を備える、請求項1から8の何れか一項記載の方法。
【請求項10】
前記閉じる工程は、微生物が前記内部空間に侵入するのを防ぐ微生物バリアが形成されるように前記容器を閉じることを含む、
請求項1から9の何れか一項記載の方法。
【請求項11】
前記除染装置が、前記容器の表示から除染についての指示情報を読み取る工程を備える、請求項1から10の何れか一項記載の方法。
【請求項12】
再処理される少なくとも一つの医療器具を保管するための容器であって、
内部空間、前記少なくとも一つの医療器具を支持する一つまたは複数の支持体、および、前記医療器具を前記内部空間に挿入するために第1の側に設けられた第1の開口部、を有するトレイと、
前記第1の開口部を気密に密封する第1の蓋と、
必要に応じて、再処理される少なくとも一つの医療器具と、を備え、
前記容器は、閉じられた状態で除染装置から取り出した後も、前記容器内の低減されたガス圧を維持するように構成され、
前記再処理される少なくとも一つの医療器具は滅菌されているかまたは、
前記再処理される少なくとも一つの医療器具は消毒されているが、滅菌されていない、容器。
【請求項13】
前記第1の側に対向する第2の側に設けられた第2の開口部と、
前記第2の開口部を閉じる第2の蓋と、
を更に備える、請求項12に記載の容器。
【請求項14】
前記第1の蓋、前記第2の蓋および/または前記トレイは、把持されるように構成されたタブまたは縁部を有し、
前記トレイの前記タブまたは前記縁部は、必要に応じて前記第1の開口部と前記第2の開口部との中間を通過する中心面に対して偏心して配置され、
必要に応じて、前記第1の蓋、前記第2の蓋および前記トレイのうちの一つまたは複数はそれぞれ、前記第1の蓋、前記第2の蓋および前記トレイをセンタリングするためのセンタリングタブを有する、請求項12または13に記載の容器。
【請求項15】
前記第1の蓋、前記第2の蓋および/または前記トレイは、前記容器の内部空間と周囲空気とを連通させる穿孔を有する、請求項12から14の何れか一項に記載の容器。
【請求項16】
前記穿孔を閉じるラベルを備える
、請求項15に記載の容器。
【請求項17】
容器内の再利用可能な医療器具を再処理するための除染装置であって、
前記容器は、トレイおよび蓋を有し、前記トレイは一のまたは複数の医療器具を支持する一のまたは複数の支持体を備え、前記トレイは前記一のまたは複数の医療器具を前記トレイの内部空間へと挿入するための開口部を有し、前記蓋は前記開口部を閉じるように構成されており、
前記除染装置は、
前記容器を前記除染装置へと受容するための入口と、
前記除染装置において前記容器を保持するように構成された容器ハンドラと、
前記トレイ、前記蓋および前記医療器具を除染するように構成された除染ユニットと、
前記容器を閉じる前に、前記容器内のガス圧を下げるポンプ手段と、
前記医療器具を収容する閉じられた前記容器を、前記除染装置から取り出すため出口と、
を備え、
前記容器ハンドラは、除染の間に、前記蓋を保持して前記開口部から取り外し、
前記容器ハンドラは更に、除染の後に、前記蓋で前記トレイに蓋をして前記容器を気密に密封する、除染装置。
【請求項18】
前記容器ハンドラは、除染の間に、前記開口部が直立面に延在する状態となり、必要に応じて設けられる更なる開口部が更なる直立面に延在する状態となる直立位置に前記トレイを保持する、請求項17に記載の除染装置。
【請求項19】
前記除染装置は、密封されていない状態の前記容器を受容するように構成される、請求項17または18に記載の除染装置。
【請求項20】
前記除染装置は、第1のチャンバおよび第2のチャンバを備え、
前記容器ハンドラは、前記容器を前記第1のチャンバから前記第2のチャンバへと搬送するように構成され、
前記除染装置は、前記第1のチャンバにおいて第1の除染を行い、前記第2のチャンバにおいて第2の除染を行い、
必要に応じて、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバは、それぞれの主面が延在する方向が実質的に互いに平行になるように配置され、および/または、
必要に応じて、前記容器が前記第1のチャンバから前記第2のチャンバへと移動する間は、前記容器が閉じた状態となるように前記除染装置が構成される、請求項17から19の何れか一項に記載の除染装置。
【請求項21】
前記容器にラベルを貼り付けるように構成されたラべリングユニットを備え、
必要に応じて、前記ラベリングユニットは容器の穿孔をラベルで閉じるように構成され、
密封されていない状態では、容器の穿孔により当該容器の内部空間と周囲空気とが連通する、請求項17から20の何れか一項に記載の除染装置。
【請求項22】
更なる蓋を有し、前記トレイが望ましくは前記第1の開口部に対向する更なる開口部を有する、前記容器を受容するように構成されており、
前記容器ハンドラは、除染の間に、前記更なる蓋を前記更なる開口部から取り外すように前記更なる蓋を保持し、
前記容器ハンドラは更に、除染の後に、前記蓋で前記トレイに蓋をして前記容器を閉じる、請求項17から21の何れか一項に記載の除染装置。
【請求項23】
前記入口は、前記蓋および必要に応じて前記更なる蓋が前記トレイ上で閉じられた状態の前記容器を受容するように構成され、
除染の前に、前記容器ハンドラは、前記蓋を前記開口部から取り外し、必要に応じて前記更なる蓋を前記更なる開口部から取り外すように構成される、請求項17から22の何れか一項に記載の除染装置。
【請求項24】
前記容器ハンドラは、前記トレイ、前記蓋、および、必要に応じて前記更なる蓋を把持することにより前記容器を把持し、
前記容器ハンドラは、前記蓋のタブもしくは縁部を把持するように構成される、および/または、前記更なる蓋のタブもしくは縁部を把持するように構成される、および/または、前記トレイのタブもしくは縁部を把持するように構成される、請求項17から23の何れか一項に記載の除染装置。
【請求項25】
前記除染ユニットは、すすぎ、洗浄、消毒、滅菌および乾燥のうちの一つまたは複数を行うように構成されている、請求項17から24の何れか一項に記載の除染装置。
【請求項26】
微生物が前記内部空間に侵入するのを防ぐ微生物バリアが形成されるように前記容器を閉じるように構成される、
請求項17から25の何れか一項に記載の除染装置。
【請求項27】
前記容器の表示から除染についての指示情報を読み取るように構成されたリーダを更に備える、請求項17から26の何れか一項に記載の除染装置。
【請求項28】
請求項17から27の何れか一項に記載の除染装置と、
少なくとも一つの容器と、
を備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用器具のような再利用可能医療器具の再処理に関する。
【背景技術】
【0002】
再利用可能な医療器具とは、医療提供者が複数の患者を診断および/または治療する際に再利用できる器具である。再利用可能な医療器具の例には、メス、注射器、スコープ、鏡、ドリル、バー、ディスク、ハンドピース、エクスカベータ、タービン、ファイル、リーマ等の歯科治療に使用される医療器具が含まれる。
【0003】
このような医療器具は患者に使用されると、血液、組織、および、微生物等の他の生物学的破片により汚染される。汚染された器具による感染リスクを回避するため、再利用可能な器具には再処理が施される。これは、汚染を除去するプロセスであり、例えば、器具を洗浄し、消毒および/または滅菌する。再処理を行うことにより、同じ患者または複数の患者に対して、複数回安全に使用できる医療器具が得られる。再利用可能な医療機器の適切な再処理は、患者の安全を確保するために不可欠である。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、医療器具の除染作業の手間、時間および/または費用を軽減するシステムおよび方法を提供することを目的とする。
本発明は、概して、再利用可能な医療器具を再処理するための方法およびシステムを提供することを目的とする。
【0005】
本発明の一の態様では、再利用可能な医療器具を再処理するための方法を提供する。方法は、トレイおよび蓋を有する容器を準備する工程を備える。トレイは、医療器具を支持するための一つまたは複数の支持体を有する。トレイは、前記トレイの内部空間へと医療器具を挿入するための開口部を有する。蓋は、開口部を閉じるように構成される。方法は、前記容器を除染装置内に挿入する工程を備える。方法は、前記除染装置内において、前記蓋を前記開口部から外した状態で、前記トレイ、前記蓋および前記医療器具を除染する工程を備える。方法は、前記除染装置内において、前記除染装置の容器ハンドラによって、前記開口部を閉じるべく前記トレイに前記蓋で蓋をして前記容器を閉じる工程を備える。方法は、前記除染装置の除染チャンバのようなクリーンゾーンにおいて、前記除染装置内において前記容器を密封する工程を備えてもよい。方法は、前記医療器具を収容する閉じられた前記容器を、前記除染装置から取り出す工程を備える。したがって、前記トレイ、前記蓋および前記医療器具の除染が終了した時には、前記容器は閉じられている、または、必要に応じて密封された状態である。例えば、前記除染装置の除染チャンバのようなクリーンゾーン内である、前記除染装置内では、前記容器は閉じられた状態である。除染された医療器具を収容する除染された前記容器は、前記除染装置のクリーンゾーンにおいて閉じられてもよい。このように、前記容器の内容物、すなわち、医療器具の除染を容易に行うことができる。また、除染の間に前記蓋が前記開口部から取り外されることにより、除染の前記内部空間および前記医療器具に容易にアクセス可能となる。
【0006】
通常の使用時(例えば、テーブルの上面に置かれる時)には、前記容器は望ましくは、前記開口部がほぼ水平方向に延在するように配置される。望ましくは、前記容器が前記通常使用時の位置にある時、前記医療器具は前記容器内において横置される。望ましくは、前記容器が前記通常使用の位置にある時、前記医療器具は前記容器内において(実質的に)水平に置かれる。
【0007】
必要に応じて、上記方法において、除染の間、前記トレイを、前記開口部が直立面に延在するような位置に保持する。前記開口部が延びる方向が直立となる面とは、例えば、実質的に鉛直、例えば、鉛直方向である。これにより、除染の間に容易にアクセス可能となる。また、除染に使用される液体が容易に滴り落ちるようにすることができる。前記蓋についても、上記の直立面内に延在するように保持してもよい。例えば、開口部が延在する面に対して垂直方向に延びる軸に沿って、蓋を前記開口部から離れる方向に移動させることができる。このようにして、除染の間にトレイの内部空間にアクセスすることを可能にするとともに、蓋をトレイの近くに保持することができる。
【0008】
必要に応じて、除染の間に、前記医療器具を直立配置に保持してもよい。通常、細長い形状を有する医療器具は、直立配置では、当該医療器具の長手方向の主軸が直立となる、すなわち、例えば、実質的に鉛直方向に延在する。前記容器が通常使用配置にある時に前記医療器具が前記容器内において(ほぼ)水平方向に配置される場合には、前記トレイの開口部が直立面に延在する直立配置に配置される時には前記医療器具も直立配置に保持される。この場合、液体が医療器具から容易に滴り落ちる。また、医療器具と支持体との接触面積を最小限にすることができる。特に、除染に噴射を使用する場合および/または超音波洗浄を使用する場合には、除染の間に接点が変化することから、前記医療器具の完全な除染が可能となる。
【0009】
必要に応じて、前記容器を密閉しない状態で除染装置へと挿入してもよい。この場合、密封されていない容器が除染装置に投入され、密封された容器が除染装置から出てくる。密封された状態の容器を除染装置内で処理するためには、更なるおよび/またはより複雑な容器の処理工程が必要になる可能性がある。除染装置に挿入される時に容器が密封されない場合、除染装置の操作は、装置に挿入する前にユーザが容器をどれだけうまく閉じたかということを考慮する必要がなくなる。したがって、密封されていない状態で除染装置に挿入された容器を処理するためには、複雑でない除染装置で十分であると考えられる。
【0010】
密閉されていない状態では、容器は外気に開放されている。したがって、密封されていない状態では、微生物やその他の汚染物質が容器に入る可能性がある。密閉状態では、微生物バリアが形成されて、微生物が内部空間に侵入するのを防ぐ。したがって、密閉された容器は、除染装置から取り出された時に、微生物汚染に対する保護を提供する。必要に応じて、容器は密封された状態において、容器は気密に保持される。
【0011】
前記除染する工程の間、前記容器は、第1のチャンバに保持された後、第2のチャンバに保持されてもよい。方法は更に、前記除染装置の第1のチャンバで洗浄を行い、前記前記除染装置の第2のチャンバで滅菌を行う工程を備えてもよい。
【0012】
前記除染する工程は、すすぎ、洗浄、消毒、滅菌および乾燥のうちの一つまたは複数を含んでもよい。前記除染する工程は、超音波洗浄を含んでもよい。
洗浄は、血液の凝固を避けるために、例えば、約37℃である低温での洗浄を含みうる。これに代えてまたは加えて、洗浄は、50~100℃の高温、例えば、約73℃での洗浄を含むことができる。除染工程は、2つのチャンバまたは3つ以上のチャンバで実行されてもよい。例えば、各除染ステップが専用のチャンバで実行されてもよい。
【0013】
前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバは、それぞれの主面が延在する方向が実質的に互いに平行になるように配置されてもよい。ここで、主面とは、チャンバが有する2つの最大寸法の方向を指している。例えば、長さが幅を超え、幅が高さを超えるチャンバの場合、最大寸法は長さおよび幅である。したがって、延在する主面とは、前記チャンバの長さおよび幅によって画定される平面である。前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバは、それぞれの主面が延在する方向が実質的に互いに平行になるように配置されている場合、これらチャンバが占める体積が小さくなる。このようにして、除染装置をコンパクトに構築することが可能である。除染装置が2つ以上のチャンバを備える場合、好ましくは、2つ以上のチャンバは、それぞれの主面が延在する方向が実質的に平行になるように配置される。
【0014】
前記容器は、前記第1のチャンバから前記第2のチャンバへと移動する際には閉じられた状態であってもよい。この場合、容器は、処理のために第1のチャンバで開かれた後、閉じた状態で第1のチャンバから第2のチャンバに移動され、更なる処理のために第2のチャンバで再び開かれる。これにより、第1または第2のチャンバの外側にある間は、容器の内側が汚染されないという利点を提供する。また、容器が第1または第2のチャンバの外側にある間、除染装置が汚染されないという利点も提供する。除染装置が3つ以上のチャンバを含む場合、好ましくは、容器は、一のチャンバから次のチャンバに移動される間、閉じた状態に保たれる。
【0015】
前記閉じる工程は、前記容器を気密に密封してもよい。方法は、前記容器を閉じる工程の前に、前記容器内のガス圧を低減する工程と、前記除染装置から閉じられた状態の前記容器を取り出した後も、前記容器内の低減されたガス圧を維持する工程と、を更に備えてもよい。この場合、除染された医療器具を次の使用時まで減圧下に保存することができる。前記容器内が前記減圧されたガス圧になっている第1の状態および前記容器内が周囲圧力となっている第2の状態において、開封された場合には開封跡が残るような特徴を備えてもよい。この場合、容器が除染装置によって減圧されたガス圧を依然として保っているのか、それとも開封されたのかを容易に判断することができる。容器を満たすのに使用されるガスは、空気であってもよく、例えば、高効率微粒子空気(HEPA)フィルタを使用してろ過した空気であってもよい。
ガスはまた、窒素などの不活性ガスであってもよい。
【0016】
方法は、除染装置の内部において、容器にラベルを貼り付ける工程を備えてもよい。方法は、例えば、除染装置のラベリングユニットを使用して、実行された除染内容を表すラベルを容器に貼り付ける工程を備えてもよい。ラベルは、例えば、ステッカである、または、容器に印刷してもよい。この場合、機器で実行された除染内容をラベルから判断することが可能となる。ラベルには、実行された除染内容に関する情報を含めることができ、例えば、実行された処理工程を表すコードが含まれてもよい。ラベルには、実行された除染内容に関する情報が保存されているデータベース内の場所を表す情報を含めることもできる。また、ラベルには、除染の日時を表す情報を含めることができる。
【0017】
前記密封されていない状態において、前記蓋および/または前記トレイの穿孔により、前記容器の内部空間と周囲空気とが連通するようにしてもよい。方法は、ラベルで穿孔を閉じる工程を備えてもよい。ラベルによって穿孔を閉じることができる。したがって、ラベルを剥がすと気密を破ることができる。ラベルは、例えば、紙および/またはプラスチックのラベルであってもよい。また、ユーザは、ラベルを剥がした時に穿孔から容器に充填された空気が出る音を観察することにより、容器を開ける直前に密閉されていたことを確認することができる。
【0018】
必要に応じて、上記容器は更なる蓋を備えてもよい。トレイは、好ましくは第1の開口部と対向する側に更なる開口部を有してもよく、更なる蓋が当該更なる開口部を閉じるために配置される。方法は、前記除染装置内において、前記蓋を前記開口部から取り外し前記更なる蓋を前記更なる開口部から取り外した状態で、前記トレイ、前記蓋、前記更なる蓋および前記医療器具を除染する工程を備えてもよい。方法は、前記除染装置内において、前記容器ハンドラが、前記開口部を閉じるべく前記トレイに前記蓋で蓋をし、前記更なる開口部を閉じるべく前記トレイに前記更なる蓋で蓋をする工程を備えてもよい。蓋および更なる蓋を備える容器を除染する場合、蓋および更なる蓋の一方のみを対応する開口部または更なる開口部から外している間に、トレイ、蓋、更なる蓋および医療器具を除染することが可能であることが理解されよう。
【0019】
トレイを上側から見た場合に、前記開口部は前記トレイのほぼ断面積全体わたって設けられていてもよい。例えば、トレイを上側から見た場合にトレイの断面積の80%、望ましくは、90%より大きな面積を開口部は有する。ほぼ垂直な側壁等のトレイの側壁によって開口部を画定することができる。
【0020】
トレイを上側から見た場合に、前記更なる開口部は前記トレイのほぼ断面積全体わたって設けられていてもよい。例えば、トレイを上側から見た場合にトレイの断面積の80%、望ましくは、90%より大きな面積を前記更なる開口部は有する。ほぼ垂直な側壁等のトレイの側壁によって前記更なる開口部を画定することができる。トレイは、実質的に管形状を有してもよい。
管状トレイは、直交する方向の寸法よりも短い長さ(第1の開口部から第2の開口部までの方向の長さ)を有することができる。トレイの前記開口部と前記更なる開口部との間に一つまたは複数の医療器具を保持するべく、一つまたは複数の支持体を設けてもよい。一つまたは複数の支持体は、トレイがいかなる方向を向いても器具がトレイから落下するのを防ぐべく、器具をトレイに係止するように設けてもよい。
【0021】
前記挿入する工程は、前記蓋および対向する前記更なる蓋で前記トレイが閉じられた状態で、前記容器が前記除染装置に挿入されることを含んでもよい。この場合、望ましくは除染される一つまたは複数の医療器具を収容する閉じられた状態の容器を除染装置に挿入することができる。したがって、ユーザは、患者に使用した後、医療機器を容器に集め、容器を閉じ、閉じた容器を除染装置に提示して再処理することができる。
【0022】
方法は、前記除染装置内において、前記開口部から前記蓋を取り外し、前記更なる開口部から必要に応じて前記更なる蓋を取り外す工程を備えてもよい。この場合、除染される医療器具を収容する閉じられた容器を除染装置に挿入することができ、除染装置は、除染中に医療器具へ良好にアクセス可能とするために容器を開く。
【0023】
方法は、前記トレイ、前記蓋、および、必要に応じて前記更なる蓋を把持することにより、前記容器を把持する容器ハンドラを備えてもよい。この場合、容器ハンドラは効果的におよび所望に容器を開閉することができる。
【0024】
除染装置に開いた状態の容器を提示することも可能であることは明らかである。
例えば、別々のスタックでおよび/または別々の入口から、トレイと蓋とを別々に除染装置に提示することが可能である。
【0025】
医療器具は、歯科用器具であってもよい。
歯科用器具は、例えば、メス、注射器、スコープ、鏡、スコープ、鏡、ドリル、バー、ディスク、ハンドピース、エクスカベータ、タービン、ファイル、リーマ、(プラスチック)再利用可能または使い捨て人工装具、インプラント、3D印刷インプラント、インサート、測定装置、スプレッダ等であってもよい。
【0026】
方法は、容器の機械可読な識別情報から除染指示情報を読み取る除染装置を備えてもよい。除染装置は、読み取った指示情報に従って除染のプロセス実行することができる。
【0027】
除染装置は、特定の容器の除染プロセスを表すデータをメモリ内のレコードに格納してもよい。この場合、除染プロセスを表すデータを取得することが可能である。
【0028】
除染装置は、容器の除染履歴をモニタしてもよい。除染装置は、特定の容器が所定の期間除染されていないことを警告するようにしてもよく、例えば、前の除染プロセスから計測される有効期限に近づいている、一致している、または超過していることを知らせるようにしてもよい。この場合、除染装置は、例えば、所定の容器の除染の有効期限が切れたことを警告し、新たな除染のために、当該容器を除染装置に提示するよう要求してもよい。
【0029】
本発明の一の態様では、再利用可能な医療器具を再処理するためのシステムを提供する。システムは、除染装置および容器を備える。容器は、トレイおよび蓋を備える。トレイは、一のまたは複数の医療器具を支持する一つまたは複数の支持体を有する。トレイは、前記トレイの内部空間へと一つのまたは複数の医療器具を挿入するための開口部を有する。蓋は、開口部を閉じるように構成される。除染装置は、容器を除染装置内へと挿入する入口を有する。除染装置は、容器を除染装置内に保持するように構成された容器ハンドラを備える。除染装置は、トレイ、蓋および医療器具を除染するために設けられた除染ユニットを備える。除染装置は、除染された医療器具を収容した閉じた状態の容器を除染装置から取り出すための取り出し口を有する。前記容器ハンドラは、除染の間に、蓋を保持して開口部から取り外し、除染の後には、前記蓋でトレイに蓋をして容器を閉じる。
【0030】
前記容器ハンドラは、除染の間に、前記開口部が直立面に延在する状態となり、必要に応じて更なる開口部が更なる直立面に延在する状態となる直立位置に前記トレイを保持してもよい。
【0031】
前記容器は密閉されていない状態で前記除染装置に挿入されてもよい。
【0032】
前記除染装置は、第1のチャンバおよび第2のチャンバを備えてもよい。前記容器ハンドラは、容器を第1のチャンバから第2のチャンバへと搬送するように構成されてもよい。前記除染装置は、第1のチャンバ内で、洗浄および/または消毒等の第1の除染を実行するように構成されてもよい。
前記除染装置は、第2のチャンバ内で滅菌等の第2の除染を実行するように構成されてもよい。前記容器ハンドラは、第1の除染後に容器を閉じ、閉じた容器を第1のチャンバから第2のチャンバに搬送し、第2の除染を実行するために第2のチャンバ内において前記容器を開くように構成されてもよい。前記除染装置が、3つ以上のチャンバを備えてもよい。
【0033】
前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバは、それぞれの主面が延在する方向が実質的に互いに平行になるように配置されてもよい。
【0034】
前記容器が前記第1のチャンバから前記第2のチャンバへと移動する間は、前記容器が閉じた状態となるように前記システムが構成されていてもよい。
【0035】
システムは、前記容器にラベルを貼り付けるように構成されたラベリングユニットを備えてもよい。容器が密封されていない状態において、前記蓋および/または前記トレイの穿孔により、前記容器の内部空間と周囲空気とが連通するようにしてもよい。前記ラベリングユニットは、前記ラベルによって前記穿孔を閉じてもよい。
【0036】
必要に応じて、上記容器は更なる蓋を備えてもよい。前記トレイは、望ましくは前記第1の開口部に対向する更なる開口部を有してもよい。前記容器ハンドラは、除染の間に、前記更なる蓋を前記更なる開口部から取り外すように前記更なる蓋を保持し、除染の後に、前記蓋で前記トレイに蓋をして前記容器を閉じるように構成されてもよい。
【0037】
前記入口は、前記蓋および必要に応じて前記更なる蓋が、前記トレイ上で閉じられた状態の前記容器を受容するように構成されてもよい。
【0038】
除染の前に、前記容器ハンドラは、前記蓋を前記開口部から取り外し、必要に応じて前記更なる蓋を前記更なる開口部から取り外すように構成されてもよい。
【0039】
前記容器ハンドラは、前記トレイ、前記蓋、および、必要に応じて前記更なる蓋を把持することにより、前記容器を把持するように構成されてもよい。前記蓋は、前記容器ハンドラによって把持されるように構成されたタブまたは縁部を有してもよい。前記更なる蓋は、前記容器ハンドラによって把持されるように構成されたタブまたは縁部を有してもよい。前記トレイは、前記容器ハンドラによって把持されるように構成されたタブまたは縁部を有してもよい。前記蓋、前記更なる蓋および前記トレイのうちの一つまたは複数はそれぞれ、前記蓋、前記更なる蓋または前記トレイを前記容器ハンドラに対してセンタリングするためのセンタリングタブを有してもよい。
【0040】
前記蓋は、容器を積み重ねるために、別の容器のトレイの一つまたは複数の対応する突起またはくぼみとそれぞれ係合するように構成された一つまたは複数のくぼみまたは突起を有してもよい。
【0041】
前記蓋は、容器を積み重ねるために、別の容器の前記更なる蓋の一つまたは複数の対応する突起またはくぼみとそれぞれ係合するように構成された一つまたは複数のくぼみまたは突起を有してもよい。
【0042】
蓋は、逆さに配置された状態で、トレイ上で安定して位置することが可能となる形状を有してもよい。
この場合、簡単な方法で、除染された器具を準備するための除染された作業スペースを提供することができる。
【0043】
前記除染ユニットは、すすぎ、洗浄、消毒、滅菌および乾燥のうちの一つまたは複数を行うように構成されてもよい。すすぎは、血液の凝固を防ぐために冷水のような水を使用して実行されてもよい。洗浄は水を使用して行うことができる。洗浄は、血液の凝固を避けるために、例えば、約37℃の低温での洗浄を含み得る。これに代えてまたは加えて、洗浄は、高温での洗浄を含んでもよく、例えば、50~100℃で、例えば、約73℃での洗浄を含み得る。洗浄には、水を使用することが含まれ、例えば、洗剤を使用して行ってもよい。消毒は、消毒剤を使用して行うことができる。滅菌は蒸気を使用して行うことができる。好ましくは、滅菌は、オゾン等のガス状滅菌剤を使用して実施される。乾燥は、例えば、熱風を使用して行うことができる。除染工程は、2つのチャンバまたは3つ以上のチャンバで実行されてもよい。例えば、各除染ステップが専用のチャンバで実行されてもよい。除染装置は、すすぎチャンバ、洗浄チャンバ、消毒チャンバ、乾燥チャンバおよび滅菌チャンバのうちの一つまたは複数を備えてもよい。前記除染装置は、第1の洗浄チャンバおよび第2の洗浄チャンバを備える。第1の洗浄チャンバは、低温で洗浄するように構成してもよい。第2の洗浄チャンバは、高温で洗浄するように構成してもよい。
【0044】
除染ユニットは、機器を超音波洗浄するように構成されてもよい。除染装置は、超音波洗浄チャンバを備えてもよい。
【0045】
前記除染ユニットは、微生物が前記内部空間に侵入するのを防ぐ微生物バリアが形成されるように前記容器を閉じるように構成されてもよい。前記除染ユニットは、容器を密閉するように構成されてもよい。
システムは、容器を閉じる前に容器内のガス圧を下げるためのポンプを備えてもよい。
【0046】
システムは、容器の機械可読な識別情報から除染指示情報を読み取るリーダを備えてもよい。
【0047】
本発明の別の態様では、システムの容器が提供される。
【0048】
再処理された少なくとも一つの医療器具を保持する容器であって、内部空間、前記少なくとも一つの医療器具を支持する一のまたは複数の支持体、および、医療器具を前記内部空間へと挿入するための第1の開口部を第1の側に有する、トレイと、前記第1の開口部を閉じる第1の蓋とを備え、前記再処理される少なくとも一つの医療器具は滅菌されている。
【0049】
滅菌され再処理された器具を簡単な方法で保持する容器によって、滅菌された再処理された器具がユーザに提供される。
【0050】
再処理された少なくとも一つの医療器具を保持する容器であって、内部空間、前記少なくとも一つの医療器具を支持する一のまたは複数の支持体、および、医療器具を前記内部空間へと挿入するための第1の開口部を第1の側に有する、トレイと、前記第1の開口部を閉じる第1の蓋とを備え、前記再処理される少なくとも一つの医療器具は消毒されているが、滅菌されていない。
【0051】
消毒されているが減菌されていない器具を簡単な方法で保持する容器によって、消毒されているが減菌されていない器具がユーザに提供される。消毒されているが滅菌されていない再処理された医療機器は、一般に密閉容器に包装されていないことが知られている。したがって、消毒されているが滅菌されていない医療機器の汚染は実際にリスクとなっている。
【0052】
消毒されているが滅菌されていない再処理された器具を保管する容器は、気密に密閉されていることが望ましく、例えば、容器内が周囲圧力よりも低い圧力になっていることが望ましい。したがって、消毒されているが滅菌されていない再処理された医療器具の消毒品質が容易に保証され得る。
【0053】
本発明の他の実施形態では、再利用可能な医療器具を再処理するための再処理容器を提供する。容器はトレイを備える。トレイは内部空間を有する。トレイは、一のまたは複数の医療器具を支持する一つまたは複数の支持体を有する。トレイは、医療器具を前記内部空間に挿入するために第1の側に設けられた第1の開口部を有する。容器は、前記第1の開口部を閉じるための第1の蓋を備える。
【0054】
上記の全ての容器について、以下に記す特徴および機能が付加されてもよい。
【0055】
通常の使用時(例えば、テーブルの上面に置かれる時)には、前記容器は望ましくは、前記開口部がほぼ水平方向に延在するように配置されてもよい。望ましくは、前記容器が前記通常使用時の位置にある時、前記医療器具は前記容器内において横置される。望ましくは、前記容器が前記通常使用の位置にある時、前記医療器具は前記容器内において(実質的に)水平に置かれる。
【0056】
トレイを上側から見た場合に、前記第1の開口部は前記トレイのほぼ断面積全体わたって設けられていてもよい。例えば、トレイを上側から見た場合にトレイの断面積の80%、望ましくは、90%より大きな面積を前記第1の開口部は有する。ほぼ垂直な側壁等のトレイの側壁によって前記第1の開口部を画定することができる。
【0057】
前記容器は、前記第1の側に対向する第2の側に設けられた第2の開口部と、前記第2の開口部を閉じる第2の蓋とをさらに備えてもよい。この場合、容器の内部およびそこに収容される器具の洗浄、例えば、除染装置で行われる洗浄を、大幅に強化することができる。
【0058】
トレイを上側から見た場合に、前記第2の開口部は前記トレイのほぼ断面積全体わたって設けられていてもよい。例えば、トレイを上側から見た場合にトレイの断面積の80%、望ましくは、90%より大きな面積を前記第2の開口部は有する。ほぼ垂直な側壁等のトレイの側壁によって前記第2の開口部を画定することができる。トレイは、実質的に管形状を有してもよい。管状トレイは、直交する方向の寸法よりも短い長さ(第1の開口部から第2の開口部までの方向の長さ)を有することができる。前記第1の開口部と前記第2の開口部との間に一つまたは複数の医療器具を保持するべく、一つまたは複数の支持体を設けてもよい。一つまたは複数の支持体は、トレイがいかなる方向を向いても器具がトレイから落下するのを防ぐべく、器具をトレイに係止するように設けてもよい。
【0059】
前記第1の蓋は、把持されるように構成されたタブまたは縁部を有してもよい。前記第2の蓋は、把持されるように構成されたタブまたは縁部を有してもよい。前記トレイは、把持されるように構成されたタブまたは縁部を有してもよい。前記トレイの前記タブまたは前記縁部は、前記第1の開口部と前記第2の開口部との中間を通過する中心面に対して偏心して配置されてもよい。
【0060】
前記第1の蓋、前記第2の蓋および前記トレイのうちの一つまたは複数はそれぞれ、前記第1の蓋、前記第2の蓋および前記トレイをセンタリングするためのセンタリングタブを有してもよい。
【0061】
前記第1の蓋、前記第2の蓋および/または前記トレイは、前記容器の内部空間と周囲空気とを連通させる穿孔を有してもよい。前記容器は、穿孔を閉じるラベルを有してもよい。
【0062】
第1の蓋および/または第2の蓋は、容器を開かずに容器内の器具の目視検査を可能にするための透明な窓を有してもよい。
第1の蓋および/または第2の蓋は透明であってもよい。
【0063】
第1の蓋は、容器を積み重ねるために、別の容器の前記更なる蓋の一つまたは複数の対応する突起またはくぼみとそれぞれ係合するように構成された一つまたは複数のくぼみまたは突起を有してもよい。
【0064】
第1の蓋および/または第2の蓋は、逆さに配置された状態で、トレイ上で安定して位置することが可能となる形状を有してもよい。この場合、簡単な方法で、除染された器具を準備するための除染された作業スペースを提供することができる。
【0065】
前記容器は、微生物が前記内部空間に侵入するのを防ぐ微生物バリアが形成されるように閉じられてもよい。前記容器は密閉されるように構成されてもよい。前記容器は、閉じた時に減圧されたガス圧を維持できるように構成されてもよい。
【0066】
容器は、当該容器内が前記減圧されたガス圧になっている第1の状態および前記容器内が周囲圧力となっている第2の状態において、開封された場合には開封跡が残るような特徴を備えてもよい。
【0067】
容器は、機械可読な識別情報を有してもよい。
【0068】
本発明の別の態様では、前記システムの除染装置が提供される。
【0069】
本発明の別の態様では、容器内の再利用可能な医療器具を再処理するための除染装置を提供する。容器は、トレイおよび蓋を備える。トレイは、一のまたは複数の医療器具を支持する一つまたは複数の支持体を有する。トレイは、前記トレイの内部空間へと一つのまたは複数の医療器具を挿入するための開口部を有する。蓋は、開口部を閉じるように構成される。除染装置は、容器を除染装置内へと受容する入口を有する。除染装置は、容器を除染装置内に保持するように構成された容器ハンドラを備える。除染装置は、トレイ、蓋および医療器具を除染するために設けられた除染ユニットを備える。除染装置は、除染された医療器具を収容した閉じた状態の容器を除染装置から取り出すための取り出し口を有する。前記容器ハンドラは、除染の間に、蓋を保持して開口部から取り外し、除染の後には、前記蓋でトレイに蓋をして容器を閉じるように構成される。
【0070】
通常の使用時(例えば、テーブルの上面に置かれる時)には、前記容器は望ましくは、前記開口部がほぼ水平方向に延在するように配置される。望ましくは、前記容器が前記通常使用時の位置にある時、前記医療器具は前記容器内において横置される。望ましくは、前記容器が前記通常使用の位置にある時、前記医療器具は前記容器内において(実質的に)水平に置かれる。前記容器ハンドラは、除染の間に、前記開口部が直立面に延在する状態となり、必要に応じて更なる開口部が更なる直立面に延在する状態となる直立位置に前記トレイを保持してもよい。
【0071】
前記除染装置は、密封されていない状態の前記容器を受容するように構成されてもよい。
【0072】
前記除染装置は、第1のチャンバおよび第2のチャンバを備えてもよい。前記容器ハンドラは、容器を第1のチャンバから第2のチャンバへと搬送するように構成されてもよい。前記除染装置は、前記第1のチャンバにおいて第1の除染を行い、前記第2のチャンバにおいて第2の除染を行うことができる。
【0073】
前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバは、それぞれの主面が延在する方向が実質的に互いに平行になるように配置されてもよい。
【0074】
前記容器が前記第1のチャンバから前記第2のチャンバへと移動する間は、前記容器が閉じた状態となるように前記除染装置が構成されてもよい。
【0075】
前記除染装置は、前記容器にラベルを貼り付けるように構成されたラべリングユニットを備えてもよい。前記ラベリングユニットは容器の穿孔をラベルで閉じるように構成され、密封されていない状態では、容器の穿孔により当該容器の内部空間と周囲空気とが連通する。
【0076】
前記除染装置は、更なる蓋を有し前記トレイが望ましくは前記第1の開口部に対向する更なる開口部を有する前記容器を、受容するように構成されてもよい。前記容器ハンドラは、除染の間に、前記更なる蓋を前記更なる開口部から取り外すように前記更なる蓋を保持し、除染の後に、前記蓋で前記トレイに蓋をして前記容器を閉じるように構成されてもよい。
【0077】
前記入口は、前記蓋および必要に応じて前記更なる蓋が、前記トレイ上で閉じられた状態の前記容器を受容するように構成されてもよい。
【0078】
除染の前に、前記容器ハンドラは、前記蓋を前記開口部から取り外し、必要に応じて前記更なる蓋を前記更なる開口部から取り外すように構成されてもよい。
【0079】
前記容器ハンドラは、前記トレイ、前記蓋、および、必要に応じて前記更なる蓋を把持することにより、前記容器を把持するように構成されてもよい。前記容器ハンドラは、前記蓋のタブまたは縁部を把持するように構成されてもよい。前記容器ハンドラは、前記更なる蓋のタブまたは縁部を把持するように構成されてもよい。前記容器ハンドラは、前記トレイのタブまたは縁部を把持するように構成されてもよい。
【0080】
前記除染ユニットは、すすぎ、洗浄、消毒、滅菌および乾燥のうちの一つまたは複数を行うように構成されてもよい。洗浄は、血液の凝固を避けるために、例えば、約37℃の低温での洗浄を含み得る。これに代えてまたは加えて、洗浄は、高温での洗浄を含んでもよく、例えば、50~100℃で、例えば、約73℃での洗浄を含み得る。洗浄には、水を使用することが含まれ、例えば、洗剤を使用して行ってもよい。消毒は、消毒剤を使用して行うことができる。滅菌は蒸気を使用して行うことができる。好ましくは、滅菌は、オゾン等のガス状滅菌剤を使用して実施される。乾燥は、例えば、熱風を使用して行うことができる。除染工程は、2つのチャンバまたは3つ以上のチャンバで実行されてもよい。例えば、各除染ステップが専用のチャンバで実行されてもよい。除染装置は、すすぎチャンバ、洗浄チャンバ、消毒チャンバ、乾燥チャンバおよび滅菌チャンバのうちの一つまたは複数を備えてもよい。前記除染装置は、第1の洗浄チャンバおよび第2の洗浄チャンバを備える。第1の洗浄チャンバは、低温で洗浄するように構成してもよい。第2の洗浄チャンバは、高温で洗浄するように構成してもよい。
【0081】
前記除染装置は、微生物が前記内部空間に侵入するのを防ぐ微生物バリアが形成されるように前記容器を閉じるように構成されてもよい。前記除染装置は、容器を密閉するように構成されてもよい。前記除染装置は、容器を閉じる前に容器内のガス圧を下げるためのポンプを備えてもよい。
【0082】
前記除染装置は、容器の機械可読な識別情報から除染指示情報を読み取るリーダを備えてもよい。
【0083】
本発明の別の態様では、一つまたは複数の再利用可能な医療器具を容器に関連付ける方法が提供される。
例えば、所定の器具のセットを所定の容器に関連付けることが可能である。例えば、除染システムの除染装置のユーザインターフェースを使用して、上記のように、機器のセットおよび容器を表すデータを含むメモリにレコードを格納することができる。レコードには、容器の機械可読な識別情報を表すデータを含めることもできる。容器はまた、名前、番号、コード、色、図等の人間が読める識別情報を含んでもよい。
器具のセットを所定のタイプの容器に関連付けることも可能である。例えば、いくつかのタイプ、例えば、容器の5つのタイプを事前に定義してもよい。容器のタイプは、例えば、色付きのラベル等、人間が読める形式の識別情報によって認識可能である。
【0084】
ユーザインターフェースを使用して、処理命令(どの除染処理工程を次に行うか等)を挿入および/または選択できる。処理命令を表すデータをレコードに保存することができる。
【0085】
医療器具または医療器具のセットが(ある種類の)容器に関連付けられると、その器具はその(種類の)容器にとどまることが意図されている。除染された器具を収容する容器を、除染装置または保管場所から取り出して、処置スペースに持ち込むことができる。そこで、除染された器具を容器から取り出し(例えば、開封跡等の検査後)、治療に使用される。治療の後、汚染された器具は容器内に再配置されます。容器を、除染装置に提示する。例えば、除染装置のリーダは、容器の機械可読なIDを判別可能である。メモリから、対応するレコードが取得される。容器内の器具の除染は、レコード内の処理命令を使用して実施してもよい。この場合、同じ器具が除染装置に提示される都度、当該器具の処理命令を入力する必要はなくなる。
【0086】
本発明の別の態様では、容器内の再利用可能な医療器具を再処理する方法が提供される。容器は、トレイおよび蓋を備える。トレイは、一のまたは複数の医療器具を支持する一つまたは複数の支持体を有する。トレイは、前記トレイの内部空間へと一つのまたは複数の医療器具を挿入するための開口部を有する。蓋は、開口部を閉じるように構成される。方法は、除染の間、前記トレイを、前記開口部が直立面に延在するような位置に保持する。
【0087】
除染の間に、前記医療器具を直立配置に保持してもよい。通常、細長い形状を有する医療器具は、直立配置では、当該医療器具の長手方向の主軸が直立となる、すなわち、例えば、実質的に鉛直方向に延在する。この場合、医療器具と支持体との接触面積を最小限にすることができる。特に、除染に噴射を使用する場合および/または超音波洗浄を使用する場合には、除染の間に接点が変化することから、前記医療器具の完全な除染が可能となる。
【0088】
上記の態様、特徴、およびオプションの何れか1つ以上の組み合わせが可能であることも明らかとなるであろう。上記の複数の態様のうちの1つにおいて説明されたオプションのいずれか1つは、他のどの態様にも等しく適用できることが理解されよう。また、方法の観点から説明されている全ての側面、機能およびオプションが、システム、装置および容器に等しく適用可能であり、その逆も同様であることも明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0089】
本発明を、図面に示される例示的な各実施形態に基づいて更に説明する。例示的な各実施形態は、非限定的な例示として与えられる。各図面は本発明の実施形態を模式的に示したものに過ぎず、非限定的な例として与えられることに留意すべきである。
【0090】
図1】容器の一例を示す。
図2】容器の一例を示す。
図3】容器の分解図の一例を示す。
図4】除染装置の一例を示す。
図5a】例示的な除染装置における処理工程の例を示す。
図5b】例示的な除染装置における処理工程の例を示す。
図5c】例示的な除染装置における処理工程の例を示す。
図5d】例示的な除染装置における処理工程の例を示す。
図5e】例示的な除染装置における処理工程の例を示す。
図5f】例示的な除染装置における処理工程の例を示す。
図5g】例示的な除染装置における処理工程の例を示す。
図6】除染装置の一例を示す。
図7】除染装置の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0091】
図1は、再利用可能な医療器具2を保管するための再処理容器1の例を概略的に示している。図1の例において、容器はトレイ4を含む。トレイは、医療器具2または複数の医療器具2を支持するための支持体6を有する。支持体6は、トレイの向きに関係なく、器具2を挿入するための開位置、および、医療器具がトレイから脱落するのを防ぐための閉位置へと移動可能に設けられた可動支持部6aを含む。本例では、可動支持部6aは、枢着部6bにおいてトレイ4に枢動可能に取り付けられている。トレイは、第1の開口部8を有する。第1の開口部8は、トレイ4の周壁10の内面によって画定される領域全体にわたって延在している。この例では、トレイ4を上側から見た場合に、第1の開口部8はトレイのほぼ断面積全体わたって設けられている。したがって、一の器具2または複数の器具2を、第1の開口部8を介してトレイの内部空間12に容易に配置することができる。本例では、トレイ4はさらに底部15を有する。医療器具2を容器に挿入するおよび/または医療器具2を容器から取り出す際には、容器1は通常、カウンターの上面またはテーブルの上面等のキャリア表面上に、その底部15が配置される。ここで、底部15は周壁10と一体に形成されている。
【0092】
また、容器1は、第1の蓋14を有する。第1の蓋は、第1の開口部8を閉じるべく配置される。本例では、第1の蓋14は、第1の周縁シール16を含む。通常の使用では、底部15を下に向けた状態で第1の蓋14を開くと、第1の開口部8を介して容器1内の医療器具2に容易にアクセス可能であり、トレイ4の上側に延在することとなる。
【0093】
図2は、再利用可能な医療器具2を保管するための再処理容器1の別の一例を概略的に示している。図3は、図2の容器1の組立分解等角図を示している。本例において、容器はトレイ4を含む。トレイは、医療器具2または複数の医療器具2を支持するための支持体6を有する。支持体6は、トレイの向きに関係なく、医療器具がトレイから脱落するのを防ぐための可動支持部6aを含む。本例では、可動支持部6aは、枢着部6bにおいてトレイ4に枢動可能に取り付けられている。トレイは、第1の開口部8を有する。第1の開口部8は、トレイ4の周壁10の内面によって画定される領域全体にわたって延在している。この例では、トレイ4を上側から見た場合に、第1の開口部8はトレイのほぼ断面積全体わたって設けられている。したがって、一の器具2または複数の器具2を、第1の開口部8を介してトレイの内部空間12に容易に配置することができる。
【0094】
また、容器1は、第1の蓋14を有する。第1の蓋は、第1の開口部8を閉じるべく配置される。本例では、第1の蓋14は、第1の周縁シール16を有する。
【0095】
図2の例では、トレイ4は第2の開口部18を有する。第2の開口部18は、トレイ4の周壁10の内面によって画定される領域全体にわたって延在している。この例では、トレイ4を上側から見た場合に、第2の開口部18はトレイのほぼ断面積全体わたって設けられている。また、容器1は、第2の蓋20を有する。第2の蓋20は、第2の開口部18を閉じるべく配置される。本例では、第2の蓋20は、第2の周縁シール22を有する。
【0096】
医療器具2を容器に挿入するおよび/または医療器具2を容器から取り出す際には、容器1は通常、カウンターの上面またはテーブルの上面等のキャリア表面上に、その第2の蓋20が配置される。この場合、第2の蓋は容器1の底として機能する。
【0097】
通常の使用では、第2の蓋20を下に向けた状態で第1の蓋14を開くと、第1の開口部8を介して容器1内の医療器具2に容易にアクセス可能であり、トレイ4の上側に延在することとなる。
【0098】
図1および図2の例において、容器1は、機械可読な識別情報34を有してもよく、本例では、無線自動識別情報、RFIDを有してもよい。このような例において、容器1はまた、人間が読むことができる識別情報36を有してもよく、本例では、ラベルを有してもよい。
【0099】
図4は、除染装置24の一例を概略的に示している。除染装置24は、入口26を有する。入口26は、容器1を除染装置24に挿入するために設けられている。以下に説明するように、除染装置は、図1に記載されている容器1および/または図2および図3に記載されている容器1と共に使用することができる。一つまたは複数の容器1と組み合わせた除染装置24は、再利用可能な医療器具2を再処理するためのシステムを構成する。
【0100】
除染装置24は、容器1を除染装置内に保持するように構成された容器ハンドラ28を備える。除染装置24は、容器1および医療器具2を除染するために設けられた除染ユニット30を備える。除染装置は、除染された医療器具2を収容した閉じた状態の容器1を除染装置から取り出すための取り出し口32を有する。
【0101】
本例では、除染装置24は、機械可読な識別情報34を読み取るための読み取り部38を備える。
【0102】
また、除染装置24はプロセッサ40を備える。プロセッサ40は、メモリ42と通信可能に接続されている。プロセッサ40は、ユーザインターフェース44と通信可能に接続されている。
【0103】
本例では、除染ユニット30は、第1のチャンバ30Aおよび第2のチャンバ30Bを有する。
【0104】
上記の除染装置24は、図4および図5a~図5gを参照して、以下に説明するように使用することができる。
【0105】
除染する容器1および医療器具2を、除染装置24に提示する。本例では、汚染された医療器具2は、内部空間12に収容されている。ここで、容器1は閉じられている。容器1を、入口26に提示する。読み取り部38が、容器の識別情報34を読み取る。本例では、複数の容器1が重ねられたスタックが入口26で提示されている(図4を参照)。この場合、除染される器具2を収容する次の容器がスタックの最上部に配置され、除染装置24によって処理されるのを待つ。
【0106】
本例において、プロセッサ40は、メモリ42から、容器1の識別情報34に関連付けられたレコードを検索する。この例では、レコードには、容器1の除染のための処理命令を表すデータが含まれている。処理命令を表すデータをユーザインターフェース44に表示させることも可能である。例えば、ユーザインターフェースには、レコードから取得したクリーニングサイクルが表示されてもよい。ユーザインターフェース44により、処理命令の手動による操作を可能にしてもよいことは理解されよう。プロセッサ40がメモリ42から処理命令を読みださず、ユーザインターフェース44を介してユーザに容器の処理命令を入力するように促す構成も可能である。
【0107】
スタックの最下部にある容器1は、容器ハンドラ28と係合する(図5aを参照)。本例では、容器ハンドラ28は、トレイ4と係合するように構成された第1の噛み合い部48を備え、本例では、トレイ4の縁部50において係合するように設けられている。容器ハンドラ28はまた、第1の蓋14と係合するように構成された第2の噛み合い部52を備え、本例では、第1の蓋14の縁部53と係合するように設けられている。容器ハンドラ28は更に、第2の蓋20と係合するように構成された第3の噛み合い部54を備え、本例では、第2の蓋20の縁部56と係合するように設けられている。図1に示されるように、汚染除去装置が容器のみを処理するように設けられている場合、第3の噛み合い部54は省略可能であることが理解されよう。
【0108】
本例では、噛み合い部48、52、54はそれぞれ、縁部50、53、56の前側72Aおよび後側72Bと係合するように構成された溝付き側部材70A、70Bを含む。ここで、溝付き側部材70Bはばね等の弾性要素74によって付勢されおり、それにより対応する縁部の周囲を封止している。溝付き側部材70Bを付勢力に逆らって動かすことにより溝付きサイド部材70A、70B間の距離を拡大させた後、縁部をそれぞれ把持する。
【0109】
本例において、容器1は閉じられた状態で第1のチャンバ30Aへと移動される。容器ハンドラ28が、容器1をスタックの底部から第2のチャンバ30Aの上へと水平に移動させる。次に、容器ハンドラ28は、開口部8、18(蓋14、20によって閉じられている状態)が鉛直面内に延在するように容器1を傾ける(図5bを参照)。ここで、正確な鉛直方向からのずれても許容されることは明らかである。次いで、容器1を第1のチャンバ30A内に下ろす。この時、一般的に細長い形状である医療器具2は、それらの長手方向軸が実質的に鉛直方向となる直立位置に配置されていることが理解されよう。
【0110】
第1のチャンバに入ると(または第1のチャンバに入る間またはその前に)、第1の蓋14が第2の噛み合い部52によって外されて第1の開口部8から離れる方向に移動され、第2の蓋20は第3の噛み合い部54によって外されて第2の開口部18から離れる方向に移動される(図5cを参照)。
本例では、第1のチャンバ30Aの壁58は、ガイド溝60A、60B、60Cを有する。第1のガイド溝60Aは、第1の噛み合い部48が第1のチャンバ30Aに入る時に第1の噛み合い部48を案内する。第1のガイド溝60Aは、第1の噛み合い部48を直線に沿って案内する。
第2のガイド溝60Bは、第2の噛み合い部52が第1のチャンバ30Aに入る時に第2の噛み合い部52を案内する。第2のガイド溝60Bは、第2の噛み合い部52を曲線に沿って案内する。第2のガイド溝60Bの曲線により第1の蓋14を第1の開口部8から遠ざけるように移動させ、第1の開口部8を有効に開く。第3のガイド溝60Cは、第3の噛み合い部54が第1のチャンバ30Aに入る時に第3の噛み合い部54を案内する。第3のガイド溝60Cは、第3の噛み合い部54を曲線に沿って案内する。第3のガイド溝60Cの曲線により第2の蓋20を第2の開口部18から遠ざけるように移動させ、第2の開口部18を有効に開く。
【0111】
そして、容器1は開いた状態で、第1のチャンバ30A内に配置される。
容器の内面および収容されている器具を除染することができる。本例では、容器の外面も除染できることが理解されよう。
【0112】
本例では、除染には以下に説明する処理工程が含まれる。本例における最初の処理工程は、すすぎ(リンス)である。水等の液体を容器1の内部に噴射して、すすぎを行う。すすぎを効率的に行うために、すすぎを行う間、容器1を噴射に対して上下に移動させてもよい。本例における2番目の処理工程は、洗浄である。洗浄のために、本例では、第1のチャンバ30Aが容器全体を沈めるのに十分な水位の洗浄液で満たされている。洗浄では、容器と器具が沈められている液体浴において超音波洗浄を使用してもよい。本例における3番目の処理工程は、消毒である。消毒のために、本例では、消毒剤を含有する温水等の液体を容器1の内部に噴射する。消毒を行う間、容器1を噴射に対して上下に移動させてもよい。本例における4番目の処理工程は、乾燥である。乾燥では、容器を開いた状態で、熱風等の乾燥ガスを吹き付ける。
【0113】
上記の処理工程を考慮して、除染装置は、噴射するための1つまたは複数のノズル、すすぎ液体供給手段、洗浄液体供給手段、消毒液体供給手段、ノズルに液体を供給するための液体ポンプ、チャンバに液体を充填するための液体ポンプ、チャンバを空にするための液体ポンプ、液体加熱手段、ガス加熱手段、吹き付け手段および超音波振動子を備えることは明らかである。
【0114】
ノズルは、第1チャンバの底から延在する構造体上に配置することができる(図6を参照)。トレイ4がこの構造体の一方側を通過し、第1の蓋または第2の蓋が構造体の反対側を通過するように当該構造体を配置してもよい。この場合、容器が第1のチャンバ内で開かれた状態にあるときに、構造体はトレイと第1の蓋または第2の蓋との間に挿入される。これにより、トレイ、蓋、医療器具の近くにノズルを効率的に配置できる。このような第1の構造体を第1の蓋とトレイとの間に設け、第2のこのような構造体を第2の蓋とトレイとの間に配置することができることが理解されよう。また、一つまたは複数の超音波振動子を構造体上に配置することもできる。
【0115】
除染プロセスは、容器に収容されている医療器具の除染ニーズに合うように変更され得ることは理解されよう。例えば、一つまたは複数の処理ステップを省略できる。液体温度、噴射圧力、噴射継続時間、超音波強度、超音波継続時間、すすぎ、洗浄、消毒および/または乾燥中の容器の動き、ガス温度等の処理パラメータを必要に応じて変更することも可能である。
【0116】
本例では、乾燥後、容器1を第1のチャンバ30Aから取り出す。ここで、容器1をチャンバ30Aから取り出すべく持ち上げる際に、ガイド溝60A、60B、60Cにより容器1が再び閉じられる。このように、除染済の密閉容器がこの時点で提供されることになる。本例では、容器1が、ラベリングユニット62(図5eを参照)に向かって輸送される(図5dを参照)。ラベリングユニット62は、容器1、ここでは第1の蓋14にラベル64を貼り付けるために設けられている。ラベル64は、人間が読める表示を含んでもよい。人間が読める形式の表示は、例えば、容器(容器の内容物)に実施される除染プロセスに関する情報を含む。情報は、例えば、処理日および/または有効期限を含む。
【0117】
本例では、さらなる処理工程を実行するために、容器1が第2のチャンバ30B内に下ろされる(図5fを参照)。第2のチャンバに入ると(または第2のチャンバに入る間またはその前に)、第1の蓋14が第2の噛み合い部52によって外されて第1の開口部8から離れる方向に移動され、第2の蓋20は第3の噛み合い部54によって外されて第2の開口部18から離れる方向に移動される。本例では、第2のチャンバ30Bの壁66は、ガイド溝68A、68B、68Cを有する。第1のガイド溝68Aは、第1の噛み合い部48が第2のチャンバ30Bに入る時に第1の噛み合い部48を案内する。第1のガイド溝68Aは、第1の噛み合い部48を直線に沿って案内する。第2のガイド溝68Bは、第2の噛み合い部52が第2のチャンバ30Bに入る時に第2の噛み合い部52を案内する。第2のガイド溝68Bは、第2の噛み合い部52を曲線に沿って案内する。第2のガイド溝68Bの曲線により第1の蓋14を第1の開口部8から遠ざけるように移動させ、第1の開口部8を有効に開く。第3のガイド溝68Cは、第3の噛み合い部54が第2のチャンバ30Bに入る時に第3の噛み合い部54を案内する。第3のガイド溝68Cは、第3の噛み合い部54を曲線に沿って案内する。第3のガイド溝68Cの曲線により第2の蓋20を第2の開口部18から遠ざけるように移動させ、第2の開口部18を有効に開く。
【0118】
本例の第2のチャンバ30Bでは、第5の処理工程が実行される。本例では、第5の処理工程は滅菌である。滅菌のために、本例では、第2のチャンバ30Bは、滅菌ガス、例えば、オゾンを含む滅菌ガスで満たされている。滅菌に関する情報についても、ラベル64に表示させることが可能であることは明らかである。ラベルは、滅菌前または滅菌後に容器に貼付けることができる。
【0119】
本例では、第6の処理工程は排気である。ここで、第2のチャンバを排気して、例えば、周囲圧力より低い所定の圧力にする。本例では、第2のチャンバ30B内において容器1が持ち上げられている間に、ガイド溝68A、68B、68Cによって容器1が再び閉じられる。ここで、排気が行われている間に、容器は第2のチャンバ30Bの内で閉じられる。したがって、密封された容器内には、周囲圧力未満の空気または保護ガス等のガスで満たされている。容器1は、容器内の圧力が所定の閾値圧力を下回っているかどうかを示すインジケータを備えてもよい。このように、この時点で滅菌済みの密閉容器が提供される。本例において、容器1は出口32へと搬送される(図5gを参照)。本例では、容器は、出口32の容器のスタックの最下部に配置される。容器は、出口32から、例えば、手動で、取り出すことができる。
【0120】
図7は、除染装置24の一例を概略的に示している。除染装置24は、入口26を有する。入口26は、容器1を除染装置24に挿入するために設けられている。以下に説明するように、除染装置は、図1に記載されている容器1および/または図2および図3に記載されている容器1と共に使用することができる。一つまたは複数の容器1と組み合わせた除染装置24は、再利用可能な医療器具2を再処理するためのシステムを構成する。
【0121】
除染装置24は、容器1を除染装置内に保持するように構成された容器ハンドラ28を備える。除染装置24は、容器1および医療器具2を除染するために設けられた除染ユニット30を備える。除染装置は、除染された医療器具2を収容した閉じた状態の容器1を除染装置から取り出すための取り出し口32を有する。
【0122】
除染装置24は、機械可読な識別情報34を読み取るための読み取り部38を備えてもよい。除染装置24は、プロセッサ40を備えてもよい。
プロセッサ40は、メモリ42と通信可能に接続されてもよい。プロセッサ40は、ユーザインターフェース44と通信可能に接続することができる。
【0123】
本例では、除染ユニット30は、第1のチャンバ30A、第2のチャンバ30B、第3のチャンバ30C、第4のチャンバ30Dおよび第5のチャンバ30Eを含む。本例では、第1のチャンバ30Aは、医療器具2を、例えば37℃の低温で、水等の液体、例えば、洗剤を含有する水で洗浄するように構成されている。第1のチャンバ30Aは、器具2を超音波洗浄するための超音波手段70を含んでもよい。本例において、第2のチャンバ30Bは、医療器具2を、例えば73℃の高温で、水等の液体、例えば、洗剤を含有する水で洗浄するように構成されている。本例において、第3のチャンバ30Cは、器具を、例えば、93℃の温度で消毒するように構成されている。本例において、第4のチャンバ30Dは、器具2および容器1を乾燥させるように構成されている。ここで、第4のチャンバ30Dは、ブロワ72および/またはヒータ74等の乾燥手段を備えている。本例では、第5のチャンバ30Eは、器具2を滅菌するように構成されている。
【0124】
本例では、チャンバ30A、30B、30C、30D、30Eは、それぞれの主面が実質的に平行に延在するように配置されている。ここで、主面とは、チャンバが有する2つの最大寸法の方向を指している。例えば、長さが幅を超え、幅が高さを超えるチャンバの場合、最大寸法は長さおよび幅である。したがって、延在する主面とは、前記チャンバの長さおよび幅によって画定される平面である。ここで、第1から第5のチャンバ30A、30B、30C、30D、30Eは、それらが小さな容積を占めるように、それぞれの主面が実質的に互いに平行に延在するように配置されている。このようにして、除染装置をコンパクトに構築することが可能である。
【0125】
上記で説明した除染装置24を、図7を参照して以下に説明するように使用することができる。
【0126】
除染する容器1および医療器具2を、除染装置24に提示する。この例では、汚染された医療器具2は、内部空間12に収容されている。ここで、容器1は閉じられている。この例では、閉じたコンテナは密閉されていない状態である。ここで、蓋14は、空気が容器の内部空間に出入りすることを可能にする穿孔を有する。容器1を、入口26に提示する。読み取り部38が、容器の識別情報34を読み取る。この例では、複数の容器1のスタックが入口26において提示される。この場合、除染される器具2を収容する次の容器がスタックの最上部に配置され、除染装置24によって処理されるのを待つ。
【0127】
本例において、プロセッサ40は、メモリ42から、容器1の識別情報34に関連付けられたレコードを検索する。この例では、レコードには、容器1の除染のための処理命令を表すデータが含まれている。処理命令を表すデータをユーザインターフェース44に表示させることも可能である。例えば、ユーザインターフェースには、レコードから取得したクリーニングサイクルが表示されてもよい。ユーザインターフェース44により、処理命令の手動による操作を可能にしてもよいことは理解されよう。プロセッサ40がメモリ42から処理命令を読みださず、ユーザインターフェース44を介してユーザに容器の処理命令を入力するように促す構成も可能である。
【0128】
スタックの最下部にある容器1は、容器ハンドラ28と係合する。ここで、容器ハンドラ28は、容器1をスタックの最下部から、水平方向に移動させ垂直方向へと回転させる。ここで、正確な鉛直方向からのずれても許容されることは明らかである。この例において、容器1は閉じられた状態で第1のチャンバ30Aの上方へと移動される。次いで、容器1を第1のチャンバ30A内に下ろす。この時、一般的に細長い形状である医療器具2は、それらの長手方向軸が実質的に鉛直方向となる直立位置に配置されていることが理解されよう。
【0129】
第1のチャンバに入ると(または第1のチャンバに入る間またはその前に)、第1の蓋14が第1の開口部8から離れる方向に外され、第2の蓋20が第2の開口部18から離れる方向に外される。そして、容器1は開いた状態で、第1のチャンバ30A内に配置される。容器の内面および収容されている器具を洗浄することができる。この例では、容器の外面も洗浄可能であることが理解されよう。
【0130】
この例では、第1のチャンバ30Aで洗浄した後、容器1が第1のチャンバ30Aから取り出される。ここで、容器1をチャンバ30Aから持ち上げる間または持ち上げる前に、容器1が再び閉じられる。このように、この時点で洗浄済みの閉じた容器が提供される。この例では、容器1は、第2のチャンバ30Bの上方へと搬送される。第2のチャンバ30Bに入ると(または第2のチャンバに入る間またはその前に)、第1の蓋14が第1の開口部8から離れる方向に外され、第2の蓋20が第2の開口部18から離れる方向に外される。そして、容器1は開いた状態で、第2のチャンバ30B内に配置される。容器の内面および収容されている器具を洗浄することができる。この例では、容器の外面も洗浄可能であることが理解されよう。
【0131】
この例では、第2のチャンバ30Bで洗浄した後、容器1が第2のチャンバ30Bから取り出される。ここで、容器1をチャンバ30Bから持ち上げる間または持ち上げる前に、容器1が再び閉じられる。このように、この時点で洗浄済みの閉じた容器が提供される。この例では、容器1は、第3のチャンバ30Cの上方へと搬送される。第3のチャンバ30Cに入ると(または第3のチャンバに入る間またはその前に)、第1の蓋14が第1の開口部8から離れる方向に外され、第2の蓋20が第2の開口部18から離れる方向に外される。そして、容器1は開いた状態で、第3のチャンバ30C内に配置される。容器の内面および収容されている器具を消毒することができる。この例では、容器の外面も消毒可能であることが理解されよう。
【0132】
この例では、第3のチャンバ30Cで消毒した後、容器1が第3のチャンバ30Cから取り出される。ここで、容器1をチャンバ30Cから持ち上げる間または持ち上げる前に、容器1が再び閉じられる。このように、この時点で消毒済みの閉じた容器が提供される。この例では、容器1は、第4のチャンバ30Dの上方へと搬送される。第4のチャンバ30Dに入ると(または第4のチャンバに入る間またはその前に)、第1の蓋14が第1の開口部8から離れる方向に外され、第2の蓋20が第2の開口部18から離れる方向に外される。そして、容器1は開いた状態で、第4のチャンバ30D内に配置される。容器の内面および収容されている器具を乾燥することができる。この例では、容器の外面も乾燥可能であることが理解されよう。
【0133】
容器を出口32に向かって移動させ、この時点で、消毒されているが滅菌されていない医療器具を収容した容器を提供することができる。蓋の穿孔は、以下に説明するようにラベルで閉じることができる。
【0134】
上記の構成に代えて、以下のようにしてもよい。第4のチャンバ30Dで乾燥した後、容器1を第4のチャンバ30Dから取り出す。ここで、容器1をチャンバ30Dから持ち上げる間または持ち上げる前に、容器1が再び閉じられる。このように、この時点で乾燥済みの閉じた容器が提供される。この例では、容器1は、第5のチャンバ30Eの上方へと搬送される。第5のチャンバ30Eに入ると(または第5のチャンバに入る間またはその前に)、第1の蓋14が第1の開口部8から離れる方向に外され、第2の蓋20が第2の開口部18から離れる方向に外される。
そして、容器1は開いた状態で、第5のチャンバ30E内に配置される。容器の内面および収容されている器具を滅菌することができる。この例では、容器の外面も滅菌可能であることが理解されよう。第5のチャンバ30Eで滅菌した後、容器1を第5のチャンバ30Eから取り出す。ここで、容器1をチャンバ30Eから持ち上げる間または持ち上げる前に、容器1が再び閉じられる。このように、この時点で滅菌済みの密閉容器が提供される。
【0135】
容器は、ラべリングユニット62へと移動されてもよい。ラベリングユニット62は、容器1、ここでは第1の蓋14にラベル64を貼り付けるために設けられている。ラベルは、蓋14の穿孔を閉じることができる。ラベル64は、人間が読める表示を含んでもよい。人間が読める形式の表示は、例えば、容器(容器の内容物)に実施される除染プロセスに関する情報を含む。情報は、例えば、処理日および/または有効期限を含む。
【0136】
本例における6番目の処理工程は、排気である。ここで、ラベリングユニットにおいて、容器は、例えば、周囲圧力より低い所定の圧力まで排気されてもよい。ここでは、排気中に容器が閉じられる。このように、この時点で滅菌済みの密閉容器が提供される。本例において、容器1は出口32へと搬送される。本例では、容器は、出口32の容器のスタックの最下部に配置される。容器は、出口32から、例えば、手動で、取り出すことができる。
【0137】
上記の除染方法は、以下のように使用することができる。
【0138】
一例では、所定の容器または所定のタイプの容器を備える所定の医療器具のセットに適応可能である。所定の器具のセットとは、例えば、患者に対して特定の治療を実行するために必要なセットである。所定の容器とは、数字、文字、コード、色、アイコン、図面等の所定のインジケータを外面に有する、識別可能な容器であり得る。
【0139】
所定の医療器具のセットと、所定の容器または所定のタイプの容器との関連付けの情報は、除染装置のメモリ42またはリモートメモリに格納されて、イントラネットやインターネット等の通信ネットワークを介してプロセッサ40によって検索可能である。関連付け情報は、メモリ内のレコードに保存される。レコードには、医療器具のセットおよび容器を表すデータを含んでもよい。レコードには、容器の機械可読な識別情報を表すデータを含めることもできる。レコードには、処理命令(どの除染プロセスステップに従うか、どのパラメータを使用するか等)を含めることができる。新しい関連付け情報の場合、そのレコードを、ユーザインターフェース44を使用して作成可能であってもよい。ユーザインターフェース44を使用して既存の関連付けを変更することも可能である。
【0140】
上記の例では、読み取り部38が容器1を認識すると、レコードをメモリから検索し、容器内の器具の処理工程がプロセッサ40に自動的に読み込まれる。
ユーザインターフェースを介して、読みだした処理工程を手動で変更または上書きできるように構成してもよいことが理解されよう。
【0141】
医療器具または医療器具のセットが(ある種類の)容器に関連付けられると、その器具はその(種類の)容器にとどまることが意図されている。除染された器具を収容する容器を、除染装置または保管場所から取り出して、処置スペースに持ち込むことができる。そこで、除染された器具を容器から取り出し(例えば、開封跡等の検査後)、治療に使用される。治療の後、汚染された器具は容器内に再配置されます。汚染された器具の入った容器を、再び除染装置に提示してもよい。
【0142】
本明細書では、本発明の各実施形態の具体的な例を参照して本発明が説明された。ただし、本発明において、本発明の本質から逸脱することなく、様々な変更および変形が可能であることは明白であろう。説明を明確化および簡潔にする目的で、特徴は、同じまたは別個の例または実施形態の一部として本明細書に記載されているが、これらの別個の実施形態に記載される特徴の全てまたはいくつかの組み合わせを有する代替の実施形態も想定される。
【0143】
実施例では、洗浄、洗浄、消毒および乾燥の処理工程は第1のチャンバで行われ、滅菌および排気は第2のチャンバで行われる。このような処理工程を、異なる態様でチャンバに割り当てることも可能であることは明らかである。また、全ての処理工程を単一のチャンバ内で実行することも可能であることは理解されよう。これに代えて、処理工程を実行するために3つ以上のチャンバを使用することも可能である。除染する医療器具の要件を考慮して、一つまたは複数の処理工程を省略できることが理解されよう。
【0144】
本明細書では、本発明の各実施形態の具体的な例を参照して本発明が説明された。ただし、本発明において、本発明の本質から逸脱することなく、様々な変更、変形、代替、および改変を行うことができることは明白であろう。明確化および簡潔な説明のために、本明細書では同じまたは別々の実施形態の一部として特徴が説明されているが、これらの別々の実施形態において説明される特徴の全てまたは一部の組み合わせを有する代替的な実施形態も特許請求の範囲によって概説される本発明の枠組み内にあると想定および理解される。従って、各仕様、図面、および例は、制限的な意味ではなく、例示的な意味で解釈されるべきである。本発明は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内にある全ての代替、変更、および変形を包含することを意図している。また、説明される要素の多くは、個別の、もしくは分散された構成要素として、または他の構成要素と併用して、任意の好適な組み合わせおよび位置で実装され得る機能的エンティティである。
【0145】
特許請求の範囲において、括弧内のいかなる参照符号も、請求項を限定するものとは解釈されないものとする。請求項における「備える、有する、含む(comprising)」という言葉は、請求項に列挙されたもの以外の機能またはステップの存在を排除するものではない。また、単語「a」および「an」は、「1つだけ」に限定されると解釈されるべきではなく、「少なくとも1つ」を意味するために用いられ、複数を排除しない。特定の手段が相互に異なる請求項で引用されているとしても、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを意味するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図5f
図5g
図6
図7