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特許7399938改良された通路構成を備えた熱交換器を実装した熱交換方法、及び関連する方法
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  • 特許-改良された通路構成を備えた熱交換器を実装した熱交換方法、及び関連する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】改良された通路構成を備えた熱交換器を実装した熱交換方法、及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/00 20060101AFI20231211BHJP
   F28D 9/00 20060101ALI20231211BHJP
   F25J 1/00 20060101ALI20231211BHJP
   F25J 5/00 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
F28F3/00 301Z
F28D9/00
F25J1/00 B
F25J5/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021501290
(86)(22)【出願日】2019-07-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 FR2019051779
(87)【国際公開番号】W WO2020025873
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】1857133
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ハイクベロウド、ナタチャ
(72)【発明者】
【氏名】ラッツェラーニ、ソフィー
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202013008316(DE,U1)
【文献】特開2002-054887(JP,A)
【文献】特開2009-133607(JP,A)
【文献】特開2018-059708(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0255617(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/00
F28D 9/00
F25J 1/00
F25J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプレート(2)であって、長手方向(z)に平行であるとともに、一緒に、少なくとも1つの熱産生流体(C)と熱を交換することを意図された、少なくとも1つの冷媒(F1)と他の冷媒(F2)のフローのための通路(10)の第1シリーズ、及び前記他の冷媒(F2)のフローのための通路の第2シリーズを画定する複数のプレート(2)
2つの隣接するプレート(2)間に画定された前記第1シリーズの少なくとも1つの通路(10)であって、前記通路(10)が、
- 前記冷媒(F1)を前記通路(10)の一部分(100)に導入するように構成された冷媒入口(31)と、前記冷媒(F1)を前記部分(100)から排出するように構成された冷媒出口(41)とを備え、そして
前記他の冷媒(F2)を前記通路(10)の他の部分(200)に導入するように構成された少なくとも1つの他の冷媒入口(32)と、前記他の冷媒(F2)を前記他の部分(200)から排出するように構成された少なくとも1つの他の冷媒出口(42)とを備え、
前記第1シリーズの少なくとも1つの通路(10)が、前記長手方向(z)において、少なくとも前記冷媒(F1)の前記フローのための前記部分(100)及び前記他の冷媒(F2)のフローのための前記他の部分(200)に分割されるように、前記他の冷媒入口及び前記他の冷媒出口(32、42)が配置されている、前記通路(10)と、
を備える熱交換器(E1)を実装した熱交換方法であって、
前記熱交換器(E1)が、第1端部(1a)の近傍において、作動中に温度が前記熱交換器の最低である第1端部(1a)と、第2端部(1b)近傍において、作動中に温度が前記熱交換器の最高である第2端部(1b)とを備え、
前記第2端部(1b)が前記長手方向(z)において前記第1端部(1a)の下流に配置され、前記冷媒(F1)のフローのための前記部分(100)が前記第1端部(1a)に並んで配置され、前記他の冷媒(F2)のフローのための前記他の部分(200)が前記部分(100)と前記第2端部(1b)との間に配置されている熱交換方法において、
前記熱交換方法が、以下のステップ、すなわち、
i)熱産生流体(C)の流れを前記熱交換器(E1)の前記複数のプレート(2)の間に画定された通路の第2シリーズの少なくとも1つの通路(11)に導入するステップ、
ii)冷媒(F1)を前記第1シリーズの少なくとも1つの通路(10)の前記冷媒入口(31)を介して導入するステップ、
iii)ステップii)において導入された前記冷媒(F1)を前記通路(10)の前記冷媒出口(41)を介して排出するステップ、
iv)少なくとも1つの他の冷媒(F2)を前記通路(10)の前記他の冷媒入口(32)を介して導入するステップ、及び
v)ステップiv)において導入された前記他の冷媒(F2)を前記通路(10)の前記他の冷媒出口(42)を介して排出するステップ
を含み、
前記熱産生流体(C)の流れが少なくとも前記冷媒(F1)及び前記他の冷媒(F2)と熱交換し、
ステップiii)において排出された前記冷媒(F1)が前記熱交換器(E1)を第1温度(T1)で出て、ステップiv)において導入された前記他の冷媒(F2)が前記熱交換器(E1)に第2温度(T2)で入り、前記第2温度(T2)が前記第1温度(T1)未満であることを特徴とする、熱交換方法。
【請求項2】
前記第1シリーズの複数の通路(10)の各々が、冷媒のための少なくとも1つの入口(31)、1つの出口(41)、1つの他の入口(32)及び1つの他の出口(42)を含み、前記入口(31)が入口マニホールド(71)に流体接続されており、前記他の入口(32)が同一の他の入口マニホールド(72)に流体接続されており、前記出口(41)が同一の出口マニホールド(81)に流体接続されており、前記他の出口(42)が同一の他の出口マニホールド(82)に流体接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の交換方法
【請求項3】
前記複数のプレート(2)が少なくとも1つの熱産生流体(C)のフローのための通路(11)の第2シリーズを一緒に画定し、前記第2シリーズの少なくとも1つの通路(11)が前記第1シリーズの少なくとも1つの通路(10)に隣接しており、熱産生流体(C)の流れが前記通路(11)において循環すると、前記熱産生流体(C)の流れが前記部分(100)の少なくとも一部分の近傍で前記冷媒(F1)と熱交換し、及び前記他の部分(200)の少なくとも一部分の近傍で前記他の冷媒(F2)と熱交換するように構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の交換方法
【請求項4】
前記第2シリーズの少なくとも1つの通路(11)が、前記交換器の前記第2端部(1b)の近傍において、前記少なくとも1つの通路(11)において前記熱産生流体(C)を分配するように構成された熱産生流体入口と、前記交換器の前記第1端部(1a)の近傍において、前記熱産生流体(C)を前記少なくとも1つの通路(11)から排出するように構成された出口とを含むことを特徴とする、請求項3に記載の交換方法
【請求項5】
前記第1シリーズの少なくとも1つの通路(10)が、それぞれ少なくとも2つの他の冷媒(F2、F3)を前記通路(10)の少なくとも2つの他のそれぞれの部分(200、300)に導入するように構成された少なくとも2つの他の入口(32、33)と、それぞれ前記少なくとも2つの他の冷媒(F2、F3)を前記少なくとも2つの他の部分(200、300)から排出するように構成された2つの他の出口(42、43)とを備え、前記2つの他の入口(32、33)及び前記2つの他の出口(42、43)が、前記第1シリーズの少なくとも1つの通路(10)が、前記長手方向(z)において、少なくとも前記部分(100)前記2つの他の部分(200、300)に分割されるように配置されていることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の交換方法
【請求項6】
前記第2温度(T2)が前記第1温度(T1)より少なくとも1℃低いことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱交換方法
【請求項7】
熱産生流体(C)の流れとして炭化水素の流れを冷却するための方法であって、前記方法が、請求項1~のいずれか一項に記載の熱交換方法を実行し、以下のステップ、すなわち、
a)炭化水素(C)の流れを前記熱交換器(E1)に導入するステップ、
b)第1冷却流れ(30)を前記熱交換器(E1)に導入するステップ、
c)前記熱交換器(E1)から、前記第1冷却流れ(30)に由来する部分冷却流れ(301)及び少なくとも1つの他の部分冷却流れ(302)を抽出するステップ、
d)前記部分冷却流れ(301)及び前記他の部分冷却流れ(302)を、それぞれ前記冷媒(F1)及び前記他の冷媒(F2)を生成するために異なる圧力レベルで解放するステップ、
e)前記第1シリーズの少なくとも1つの通路(10)の前記冷媒入口(31)を介して前記冷媒(F1)を前記熱交換器(E1)に再導入するステップ、
f)前記通路(10)の前記他の冷媒入口(32)を介して前記他の冷媒(F2)を前記熱交換器(E1)に再導入するステップ、及び
g)少なくとも前記冷媒(F1)及び前記他の冷媒(F2)と熱交換することにより炭化水素(C)の流れを冷却するステップ
備える、方法。
【請求項8】
前記第1冷却流れ(30)が炭化水素の混合物であることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項9】
ステップd)において生成された前記冷媒(F1)が第1圧力(P1)を有し、ステップd)において生成された前記他の冷媒(F2)が第2圧力(P2)を有し、前記第2圧力(P2)が前記第1圧力(P1)より高いことを特徴とする、請求項又はに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの冷媒のフローが熱産生流体と熱を交換することを可能にするために通路のシリーズを含む熱交換器であって、前記冷媒の及び少なくとも1つの他の冷媒のフローを可能にするように構成された少なくとも1つの通路を含む交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
交換器のために現在使用されている技術は、大きい交換面を提供する極めてコンパクトなデバイスを得ることを可能にするアルミニウムろう付けプレートフィン交換器のものである。
【0003】
これらの交換器は、プレートの積み重なりであって、2つの寸法、すなわち長さ及び幅において延在する、したがって、蒸発通路の積み重なり及び凝縮通路の積み重なりであって、それぞれ、例えば、冷媒を蒸発させるように、及び熱産生ガスを凝縮させるように意図された蒸発通路の積み重なり及び凝縮通路の積み重なりを形成するプレートの積み重なりを含む。流体間での熱の交換は相の変化を伴って又は伴わずに生じ得ることに留意されたい。
【0004】
流体を交換器に導入するため、及び交換器から排出するために、通路には流体入口及び出口開口が設けられている。交換器の通路のスタッキング方向において上下に配置された入口及び出口は、略半管状形の入口及び出口マニホールドであって、それを通じて流体が分配及び排出される略半管状形の入口及び出口マニホールドでそれぞれ接合される。
【0005】
違った性質及び/又は違った特徴を有するいくつかの熱産生及び冷媒流体が交換器内を循環し得る。これらの流体は、1つのタイプの流体専用の入口及び出口のセットを介して交換器に導入されるとともに交換器から排出される違った流れ又はフローを形成する。
【0006】
従来、いくつかの冷媒が交換器内を循環する場合、異なる冷媒のための入口及び出口は、交換器のコールドエンド、すなわち、流体が交換器の全ての温度のうち最低温度で導入される、交換器へ入るポイントから始まり、温度の昇順で、交換器の長さに沿って連続的に配置される。
【0007】
したがって、ある冷媒の出口温度が他の冷媒の入口温度より高い場合、この他の冷媒は、ある冷媒の出口よりもコールドエンドにより近い位置で交換器の長さに沿って、交換器に入らなければならない。
【0008】
既知のやり方において、交換器において熱を交換する流体がどのように循環し、設備のエネルギー効率をどのように最大化するのか計画するためにピンチ解析法が使用される。
【0009】
「ピンチ」という用語は、冷媒すなわち交換器において温まる流体の温度と、熱産生流体すなわち交換器において冷える流体の温度との最も小さい差を指し、これは交換器の所定のポイントでのことである。このピンチポイントを見るために、交換熱-温度ダイアグラムの2つの複合線図間の差が、図3B(a)に示されるとおり、分析され、一方は加熱されるフローに関連し、他方は冷却されるフローに関連する。この最小差が正である限り、理論上、エネルギー消費を減少させる方法がある。
【0010】
従来、ピンチ解析法に由来する交換ダイアグラムの線図間のピンチポイントを最適化するために、少なくとも2つのタイプの異なる冷媒通路が提供され、ある冷媒の循環専用の1つのタイプの通路及び他方の冷媒循環専用の少なくとも1つの他のタイプの通路である。これらの異なるタイプの通路は交換器の隣接するプレートの同じ対間には形成されない。
【0011】
これは、交換器の複雑さを増すとともに交換器のサイズを著しく増す。さらに、各タイプの通路はこのとき、流体が循環していないかなりの部分、すなわち熱産生流体との交換に関して非作動ゾーンを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明のねらいは、特に、よりコンパクトであるとともに熱効率及び機械的強度が改良された熱交換器を提案することにより、前述の問題の全て又は一部を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明による解決策は、熱交換器であって、複数のプレートであって、長手方向に平行であるとともに、一緒に、少なくとも1つの熱産生流体と熱を交換することを意図された少なくとも1つの冷媒のフローのための通路の第1シリーズを画定する複数のプレート、2つの隣接するプレート間に画定された第1シリーズの少なくとも1つの通路であって:
- 冷媒を前記通路の一部分に導入するように構成された冷媒入口と冷媒を当該部分から排出するように構成された冷媒出口と
を含む第1シリーズの少なくとも1つの通路を含む熱交換器において、
第1シリーズの前記少なくとも1つの通路が、
- 他の冷媒を前記通路の他の部分に導入するように構成された少なくとも1つの他の冷媒入口と、他の冷媒を他の部分から排出するように構成された少なくとも1つの他の冷媒出口と
をさらに含み、
前記他の入口及び出口が、第1シリーズの前記少なくとも1つの通路が、長手方向において、少なくとも冷媒のフローのための前記部分及び他の冷媒のフローのための前記他の部分に分割されるように配置される
ことを特徴とする熱交換器である。
【0014】
状況に依存して、本発明は以下の特徴の1つ又は複数を含み得る、すなわち、
- 第1シリーズの複数の通路が各々、冷媒のための少なくとも1つの入口、1つの出口、1つの他の入口及び1つの他の出口を含み、前記入口が同じ入口マニホールドに流体接続されており、前記他の入口が他の同一の入口マニホールドに流体接続されており、前記出口が同一の出口マニホールドに流体接続されており、前記他の出口が他の同一の出口マニホールドに流体接続されている、
- 交換器が、第1端部であって、第1端部の近傍において、作動中、温度が交換器の最低である第1端部と、第2端部であって、第2端部の近傍において、作動中、温度が交換器の最高である第2端部とを含み、前記第2端部が長手方向において第1端部の下流に配置され、冷媒のフローのための部分が第1端部と並んで配置され、他の冷媒のフローのための他の部分が当該部分と第2端部との間に配置されている、
- プレートが少なくとも1つの熱産生流体のフローのための通路の第2シリーズを一緒に画定し、第2シリーズの少なくとも1つの通路が第1シリーズの前記少なくとも1つの通路に隣接しており、熱産生流体の流れが前記通路において循環すると、熱産生流体の前記流れが当該部分の少なくとも一部分の近傍で冷媒と、及び他の部分の少なくとも一部分の近傍で他の冷媒と熱を交換するように構成されている、
- 第2シリーズの少なくとも1つの通路が、交換器の第2端部の近傍において、前記少なくとも1つの通路において熱産生流体を分配するように構成された熱産生流体入口と、交換器の第1端部の近傍において、熱産生流体を前記少なくとも1つの通路から排出するように構成された出口とを含む、
- 第1シリーズの前記少なくとも1つの通路が、少なくとも2つの他の入口であって、それぞれ少なくとも2つの他の冷媒を前記通路の少なくとも2つの他のそれぞれの部分に導入するように構成された少なくとも2つの他の入口と、少なくとも2つの他の出口であって、それぞれ少なくとも2つの他の冷媒を少なくとも2つの他の部分から排出するように構成された少なくとも2つの他の出口とを含み、前記少なくとも2つの他の入口及び少なくとも2つの他の出口が、第1シリーズの前記少なくとも1つの通路が、長手方向において、少なくとも3つの連続的部分に分割されるように配置される。
【0015】
本発明はまた、本発明による熱交換器を実装する熱を交換するための方法に関し、前記方法は以下のステップ、すなわち、
i)熱産生流体の流れを交換器のプレートの間に画定された通路の第2シリーズの少なくとも1つの通路に導入するステップ、
ii)冷媒を第1シリーズの少なくとも1つの通路の入口を介して導入するステップ、
iii)ステップii)において導入された冷媒を前記通路の出口を介して排出するステップ、
iv)少なくとも1つの他の冷媒を前記通路の前記他の入口を介して導入するステップ、
v)ステップiv)において導入された他の冷媒を前記通路の他の出口を介して排出するステップ
を含み、
熱産生流体の前記流れが少なくとも冷媒と及び他の冷媒と熱を交換する。
【0016】
好ましくは、ステップiii)において排出された冷媒は第1温度を有し、ステップiv)において導入された他の冷媒は、第2温度を有し、第2温度が第1温度未満である。
【0017】
有利には、第2温度は第1温度より少なくとも1℃低い。
【0018】
本発明は、熱交換器であって、冷媒として2つの液-気相を備えた流体の少なくとも2つの部分流れ、特に、複数の構成成分、例えば炭化水素の混合物を備えた混合物の少なくとも2つの部分流れを、少なくとも1つの熱産生流体、例えば天然ガスと熱を交換することにより蒸発させる熱交換器に適用され得る。
【0019】
特に、本発明は天然ガスなど炭化水素の混合物を冷却、なおさらには液化する方法に適用され得る。特に、液化する方法は液化天然ガス(LNG)を製造する方法において実装される。
【0020】
「天然ガス」という表現は、少なくともメタンを含む炭化水素を含有する任意の組成物を指す。これは、「加工されていない」組成物(何らかの処理又は洗浄の前)及びまた、限定するものではないが、硫黄、二酸化炭素、水、水銀及び特定の重質及び芳香族炭化水素を含む1つ又は複数の化合物の削減及び/又は除去のために部分的に、実質的又は完全に処理されている任意の組成物を含む。
【0021】
したがって、本発明は、熱産生流体の流れとして、天然ガスなど炭化水素の流れを冷却するための方法に関し、前記方法は本発明による熱交換器又は本発明により熱を交換するための方法を実装し、以下のステップ、すなわち、
a)炭化水素の流れを熱交換器に導入するステップ、
b)第1冷却流れを熱交換器に導入するステップ、
c)熱交換器から、第1冷却流れに由来する部分冷却流れ及び少なくとも1つの他の部分冷却流れを抽出するステップ、
d)部分冷却流れ及び他の部分冷却流れをそれぞれ冷媒及び他の冷媒を生成するために異なる圧力レベルで解放するステップ、
e)ステップd)において生成された冷媒を第1シリーズの少なくとも1つの通路の入口を介して再導入するステップ、
f)ステップd)において生成された他の冷媒を前記通路の他の入口を介して再導入するステップ、
g)少なくとも冷媒及び他の冷媒と熱を交換することにより炭化水素の流れを冷却するステップ
を含む。
【0022】
ステップg)に由来する炭化水素の流れは少なくとも部分的に液化され得ることに留意されたい。
【0023】
任意選択的に、冷却された及び/又はステップg)において少なくとも部分的に液化された炭化水素の流れは、他の交換器に導入され、この他の交換器に第2冷却流れが導入される。好ましくは、他の交換器を出る第2冷却流れは解放され、次いで、前記他の交換器に再導入されて、そこで、炭化水素の流れ及び第2冷却流れを冷却する間蒸発させられ、その結果、炭化水素の流れが液化され過冷却された状態で他の交換器を出る。
【0024】
第1冷却流れは炭化水素の混合物、例えばエタンとプロパンとを含む混合物であり得る。
【0025】
好ましくは、ステップd)において生成された冷媒は第1圧力を有し、ステップd)において生成された他の冷媒は第2圧力を有し、第2圧力は第1圧力より高い。
【0026】
本発明は、もっぱら非限定的な例として添付図面を参照して提供された以下の説明によりより良好に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】先行技術による熱交換器の冷媒通路の、交換器のプレートに平行な平面における概略断面図である。
図2図1の熱交換器の通路のシリーズの、プレートに直交するとともに交換器の長手方向に平行な平面における概略断面図である。
図3A】本発明の他の実施形態による熱交換器の通路の、交換器のプレートに平行な平面における他の概略断面図である。
図3B】一方は、図1に示された従来の交換器の交換ダイアグラム線図、及び他方は、図3Aに示された本発明による交換器の交換ダイアグラム線図を示す。
図4】本発明の一実施形態による交換器を実装する熱を交換するための方法の実施形態を概略的に示す。
図5】本発明の他の実施形態による熱交換器の通路の、交換器のプレートに平行な平面における概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、2次元、すなわち長さ及び幅において、それぞれ長手方向z及びzに直交するとともにプレート2に平行である横方向yにおいて延在する複数のプレート2を含む先行技術による熱交換器の通路10a、10bを示す。
【0029】
プレートは、スタッキング方向xに間隔をあけて平行に上下に重ねて配置され、したがってプレートを介して間接的に熱を交換する流体のための複数の通路を形成する。好ましくは、交換器の各通路は平行六面体及び平らな形状を有する。2つの連続的プレート間の間隙は各連続的プレートの長さ及び幅と比べて小さい。
【0030】
図1は、熱産生流体Cと熱を交換することにより冷媒F1及び他の冷媒F2を蒸発させるように構成された交換器の通路を概略的に示す。
【0031】
他の冷媒F2は冷媒F1とは異なる組成物を備えた流体又はさらには冷媒F1と同じ組成物を備えるが、少なくとも1つの物理的特徴、特に冷媒F1のものとは異なる圧力、温度を備える冷媒であり得ることに留意されたい。
【0032】
熱産生流体Cは、第1シリーズの通路10a、10bの全て又は一部分と交互に又は隣接して完全に又は部分的に配置された(図2に示された)通路11の第2シリーズにおいて循環する。通路における流体のフローは長手方向zに略平行に生じ、これは好ましくは、図示された場合におけるとおり、交換器の作動中垂直である。
【0033】
プレートの縁に沿った通路10a、10bのシールは概して、プレートに取り付けられた横の及び長手方向シーリングストリップ4により提供される。横のシーリングストリップ4は通路10a、10bを完全に密封せず、流体入口31、32及び出口41、42開口をあけたままにする。
【0034】
それ自体既知のやり方において、交換器は、通路の入口及び出口から及び通路の入口及び出口へ延在する分配コンポーネント51、61、52、62を含む。これらのコンポーネント、例えば、分配波形部又はチャネルは、通路の幅全体にわたって流体の均一な分配及び回収を指示及び提供するように構成される。
【0035】
さらに、通路10a、10bは、有利にはプレート間に配置された熱交換構造を含む。これらの構造の目的は交換器の熱交換表面領域を増やすことである。実際、熱交換構造は通路において循環する流体と接触しているとともに、隣接するプレートまでの伝導により熱フローを伝達する。
【0036】
熱交換構造はまた、特に、交換器のろう付け組立体中に、及び加圧流体を実装するときにプレートの変形を回避するためにプレート2間のスペーサとして機能する。これらはまた、交換器の通路における流体のフローのための誘導を提供する。
【0037】
好ましくは、これらの構造は、熱交換波形部であって、有利には、通路10a、10bの長さに沿った分配コンポーネント51、61、52、62の延在部において通路10a、10bの幅及び長さに沿ってプレート2に平行に延在する熱交換波形部を含む。交換器の通路はしたがって、熱交換ゾーンそれ自体を形成するそれらの長さの主要部分を有し、これはコンポーネント51、61、52、62が設けられた分配ゾーンにより境界付けられている。
【0038】
図1による通路のこのような配置構成は特に、天然ガスを液化するための方法において実装された交換器において見られる。液化天然ガスを得るための既知の方法の1つは、冷却炭化水素の第1及び第2混合物をそれぞれ実装する天然ガスを冷却するための2つのサイクルの使用に基づく。第1冷却サイクルは、サイクルの効率を上げるための少なくとも2つの異なるリリーフレベルを使用して天然ガスがその露点まで冷却されることを可能にする。第2サイクルは、天然ガスが液化及び過冷却されることを可能にするとともに、1つのリリーフレベルのみを有することを可能にする。
【0039】
第1リリーフサイクルにおいて、コンプレッサに由来する第1冷却混合物は第1交換器において過冷却される。第1冷却混合物に由来する少なくとも2つの部分流れは交換器から2つの違った出口ポイントで抽出され、次いで異なる圧力レベルで解放され、したがって、少なくとも2つの違った冷媒F1及びF2を形成し、この少なくとも2つの違った冷媒F1及びF2は、通路10a、10bに選択的に供給する違った入口31、32を介して交換器に再導入され、その中で蒸発させられ、次いで違った出口41、42を介して排出される。
【0040】
既知の方法によると、所定の圧力レベルで解放された冷媒F1は、交換器のコールドエンドに位置する入口31を介して入るとともに、他の圧力レベルで解放される他の冷媒の入口32を介して、入口温度より高い温度で出口41を介して出る。
【0041】
流体の温度の昇順での入口及び出口の配置構成に従うために、他の冷媒の入口は従来、長手方向zにおいて、より圧力の低い冷媒の出口より交換器のコールドエンドに近い位置に位置する。
【0042】
図1において見られ得るとおり、交換器は、2つのタイプの冷媒通路、冷媒F1のためのもの10a及び他の冷媒F2のための他のもの10bを含む。あるタイプ10a及び/又は他のタイプ10bの通路に隣接して通路11を流れる熱産生流体Cは、したがって、作動交換ゾーンA1の近傍で流体F1と、及び他の流体F2については作動交換ゾーンA2の近傍で熱を交換する。ゾーンI1及びI2には流体は供給されず、したがって熱レベルでは非作動ゾーンを形成する。
【0043】
本発明は、これらの非作動ゾーンの長手方向延在部を減少させること、及びさらには、交換器の2つのプレート2間に形成された少なくとも1つの通路の長手方向の共有を提案することによりそれらを完全に無くすこと、及び異なる冷媒をその中で循環させることをねらいとする。
【0044】
図3は、本発明の一実施形態による交換器の通路の、図1の概略断面図に平行な平面における、概略断面図である。図示された例において、単純化のために異なるタイプの冷媒の数は2つに限られており、より多くの数のタイプの流体が同じ原理に従ってこのような通路に循環し得ることが理解される。
【0045】
図3において見られ得るとおり、冷媒通路の第1シリーズの少なくとも1つの通路10は、他の冷媒F2のための少なくとも1つの他の入口32と少なくとも1つの他の出口42とを含む。
【0046】
前記他の入口及び出口32、42は、第1シリーズの前記通路10が、長手方向zにおいて、冷媒F1のフローのための少なくとも1つの部分100及び他の冷媒F2のフローのための他の部分200に分割されるように配置される。
【0047】
このようにして、交換器が作動するとき、いくつかの異なるタイプの冷媒F1、F2が、長手方向zにおいて連続している専用フロー部分で、同じ通路内部、すなわち交換器の同じ2つのプレート間を循環する。
【0048】
このようにして、交換器における非作動ゾーンの部分は著しく減少し、さらには無くなり、同じ通路は少なくとも2つの作動交換ゾーンA1、A2を有し、少なくとも2つの作動交換ゾーンA1、A2の近傍において、冷媒F1及び前記少なくとも1つの他の冷媒F2は熱産生流体Cと熱を連続的に交換する。
【0049】
第2シリーズの熱産生流体通路11のほぼ全て、さらには全てが、したがって第1シリーズの冷媒通路10と接触し、このことは熱交換を促すとともに交換器のプレート及び入口/出口マニホールドにかけられる熱的及び機械的ストレスを大幅に減少させる。交換器のサイズは減少させることができ、したがって、交換器及びそれが内部に一体化されている保冷容器のコストを低下させる。交換器内部の非作動ゾーンの減少はまたその機械的強度を高める。
【0050】
実際、本発明の発明者らは、方法の設計段階から温度のオーバーラップを考慮に入れることにより、第1流体の出口温度が第2流体の入口温度より高い場合でさえも、冷媒を同じ通路において循環させることが可能であることを実証した。この目的のために、交換器が呈する実際の形状、したがって実際のピンチポイントに最良にアプローチするために、交換器は、既知のピンチ解析法の場合のように異なる温度で到着する2つの冷媒を備えた単一のセクションとしてではなく、異なる連続的セクション(挙げられた例においては2つ)であって、これらのセクションの各々が、その入口温度で到着する単一の冷媒を含む異なる連続的セクションとしてシミュレーションされる必要がある。
【0051】
これは図3Bに示されており、図3Bは、一方では、((a)において)従来のピンチ解析法に従いシミュレーションされた交換器、他方では、((b)において)流体が本発明に従って循環する交換器により得られた交換熱-温度(ΔH-T)交換ダイアグラム、又はエンタルピー線図の間の比較を示す。線図C、F、F1、F2は、それぞれ熱産生流体、従来のピンチ解析法を使用して構築された複合材料冷媒、本発明による冷媒F1、及び本発明による他の冷媒F2について、温度に応じて交換熱量の漸進的な変化を説明する。
【0052】
好ましくは、通路10の第1シリーズの総数の大部分、より好ましくは少なくとも80%、さらには第1シリーズの全ての通路10が、各々冷媒F1のための入口及び出口31、41と、他の冷媒F2のための少なくとも1つの他の入口及び1つの他の出口32、42とを含む。
【0053】
有利には、本発明による交換器は、単一のタイプの冷媒通路10を有し、このことは設計を著しく単純化する。同じタイプの通路は、特に通路の寸法、流体入口及び出口の配置構成に関して同一構成又は構造を有する通路であると理解される。
【0054】
好ましくは、通路10の第1シリーズの総数の大部分、好ましくは少なくとも80%、さらには全ては同一の構成を有する。特に、入口及び出口31、41、32、42は長手方向zにおいて実質的に同一の位置に配置される。
【0055】
したがって、通路10の第1シリーズの入口及び出口31、41、32、42は、通路のスタッキング方向xに従い、対応して上下に配置される。このように上下に配置された入口31、32及び出口41、42は、それぞれ半管状のマニホールド71、72、81、82において接合され、それらを通じて流体が分配及び排出される。
【0056】
好ましくは、長手方向は交換器が作動しているときは垂直である。冷媒F1、F2は概ね垂直に上方へ流れる。熱産生流体Cは好ましくはフローに対抗して循環する。流体のフローF1、F2についての他の方向及び意図も、本発明の範囲から逸脱すること無しに明らかに想定され得る。
【0057】
好ましくは、交換器の通路10は、通路10の入口31、32及び出口41、42から並び通路10の入口31、32及び出口41、42へ延在する、好ましくは分配コンポーネントが設けられた分配ゾーン51、61、52、62を含む。これらの分配ゾーンは、流体F1及びF2をそれぞれ交換ゾーンA1及びA2の幅全体にわたって均一に導くとともに取り戻すように構成される。
【0058】
有利には、通路10の部分100は分配ゾーン51、61及び交換ゾーンA1を含み、他の部分200は分配ゾーン52、62及び交換ゾーンA2を含む。
【0059】
有利には、熱交換構造は交換ゾーンA1及びA2に配置される。交換ゾーンA1、A2の熱交換構造を形成するためにろう付けプレートフィンタイプ交換器において一般的に実装される様々なタイプの波形部が使用され得る。波形部は、穿孔されていてもされていなくてもよい直線波形部、鋸歯状波形部、ヘリボーン波形部として知られるタイプのウェーブから選択され得る。
【0060】
有利には、分配コンポーネント及び熱交換構造は、通路10内に複数のチャネルであって入口31及び出口41を一緒に並びに他の入口32及び出口42を一緒に流体接続する複数のチャネルを形成する。
【0061】
有利には、交換器は、第1端部1aであって、第1端部1aの近傍において、作動中、温度が交換器の最低である第1端部1aと、第2端部1bであって、第2端部1bの近傍において、作動中、温度が交換器の最高である第2端部1bとを含む。
【0062】
好ましくは、通路10における流体F1、F2のフローの方向が概ね上昇しているように、第2端部1bは長手方向zにおいて第1端部1aの下流に配置される。
【0063】
好ましくは、冷媒F1のフローの部分100は第1端部1aと並んで配置され、他の冷媒のフローF2の他の部分200は部分100と第2端部1bとの間に配置される。
【0064】
したがって、図3において提供された表現において、他の部分200は、長手方向zにおいて、部分100の下流に延在する。
【0065】
好ましくは、部分100、200は図3に示されるとおり、長手方向zにおいて並置され、これにより、通路10内部の空間が、作動ゾーンの延在部を最大化することにより最適となることが可能になる。
【0066】
図5に示された代替的実施形態によると、2つの他の冷媒F2、F3が本発明による同じ通路10に流入する。
【0067】
この場合、第1シリーズの少なくとも1つの冷媒通路10は、2つの他の入口32、33であってそれぞれ2つの他の冷媒F2、F3を通路10の2つの他のそれぞれの部分200、300に導入するように構成された2つの他の入口32、33と、2つの他の出口42、43であってそれぞれ他の2つの冷媒F2、F3を他の2つの部分200、300から排出するように構成された2つの他の出口42、43とを含む。通路10は長手方向zにおいて、3つの連続的部分100、200、300に分割される。
【0068】
有利には、交換器が作動するとき、冷媒F1は初期温度T0と呼ばれる温度で少なくとも1つの通路10の入口31を介して入り、T0より高い第1温度T1で出口41を介して排出される。好ましくは、温度T0は-55~-75℃であり、温度T1は-10~-30℃である。
【0069】
好ましくは、他の冷媒F2は第2温度T2で他の入口32を介して通路10に入り、第3温度T3で他の出口42を介して出て、T3はT2より高い。好ましくは、温度T2は-15~-35℃であり、温度T3は35~0℃である。
【0070】
好ましくは、第2温度T2は第1温度T1より低い。これは、流体F2の蒸発開始温度、T2が十分に低い(T1未満)ことにより交換器の他の部分200における熱産生流体の有効な冷却を提供すると同時に、交換器の部分100を出るときに過熱された(T1の高さ)流体F1が提供されることを可能にする。
【0071】
より好ましくは、第2温度T2は第1温度T1より少なくとも1℃低い。好ましくは、第2温度T2は第1温度T1より最大で15℃、より好ましくは最大で10℃、好ましくは最大で5℃低い。これは交換器における過剰な機械的負荷を回避するためである。
【0072】
ここで、2つの他の冷媒F2、F3が同じ通路10において流れる代替的実施形態が参照される。
【0073】
有利には、交換器が作動するとき、冷媒F1は少なくとも1つの通路10の入口31を介して-55~-75℃の初期温度T0で入り、出口41を介してT0より高い第1温度T1で排出され、T1は-25~-45℃である。
【0074】
好ましくは、第1の他の冷媒F2は第1の他の入口32を介して第2温度T2で通路10に入り、他の出口42を介して温度T3で出、T3はT2より高い。好ましくは、温度T2は-30~-50℃であり温度T3は0~-20℃である。
【0075】
好ましくは、第2の他の冷媒F3は他の第2入口33を介して第4温度T4で通路10に入り、他の第2出口43を介して第5温度T5で出、T5はT4より高い。好ましくは、温度T4は-5~-25℃であり、温度T5は30~0℃である。
【0076】
有利には、第4温度T4は第3温度T3未満である。これは、流体F3の蒸発開始温度、T4が十分低い(T3未満)ことにより、交換器の他の部分300における熱産生流体の有効な冷却を提供すると同時に、交換器の部分200を出るときに過熱された(T3の高さ)流体F2が提供されることを可能にする。
【0077】
好ましくは、第4温度T4は第3温度T3より少なくとも1℃低い。
【0078】
好ましくは、第2温度T2は第1温度T1より最大で15℃、より好ましくは最大で10℃、好ましくは最大で5℃低い。
【0079】
有利には、第4温度T4は第3温度T3より少なくとも1℃低く、好ましくは、第4温度T4は第3温度T3より最大で15℃低く、より好ましくは、交換器における過剰な機械的負荷を回避するために、第3温度T4より最大で10℃、好ましくは最大で5℃低い。
【0080】
特定の実施形態によると、冷媒F1及び少なくとも1つの他の冷媒F2は異なる圧力を有する流体である。特に、冷媒F1は第1圧力P1で交換器に流入し、他の冷媒F2は、好ましくは第1圧力P1より高い第2圧力P2で交換器に流入する。流体F1、F2は同じ組成を有し得る。
【0081】
本発明による交換器は、特に、組成及び/又は特徴、例えば圧力、温度、物理的状態などに関していくつかの異なるタイプの冷媒を実装する任意の方法において使用され得る。
【0082】
本発明による交換器の使用は、天然ガスなど炭化水素の流れを液化する方法において特に有利である。このような方法の例は図4において部分的に概略的に示されている。
【0083】
図4において概略的に示されている天然ガスを液化する方法によると、天然ガスは、例えば4Mpa~7Mpaの圧力及び30℃~60℃の温度でパイプ110を介して到着する。パイプ110内を循環する天然ガス、パイプ30において循環する第1冷却流れ及びパイプ20内を循環する第2冷却流れは、本発明による交換器E1に入り、その中で平行及び並流方向に循環する。
【0084】
天然ガスは、例えば-35℃~-70℃の温度へ冷却されたパイプ102を介して交換器E1を出る。第2冷却流れはパイプ202を介して、完全に凝縮された状態で、例えば-35℃~-70℃の温度で交換器E1を出る。
【0085】
交換器E1において、第1液相冷却流れのフロー又は部分流れとも呼ばれる3つの分画301、302、303が連続的に抽出される。分画は3つの異なる圧力レベルで安全弁V11、V12及びV13を通じて解放され、冷媒F1及び2つの他の冷媒F2、F3を形成する。これらの3つの異なるタイプの冷媒F1、F2、F3は、本発明による3つの違った入口31、32、33が設けられた冷媒通路を備えた交換器E1へ再導入され、次いで天然ガス、第2冷却流れ及び第1冷却流れの一部と熱を交換することにより蒸発させられる。
【0086】
3つの蒸発した冷媒F1、F2、F3はコンプレッサK1の異なるステージへ送られ、圧縮され、次いで、コンデンサC1において外部冷却流体、例えば水又は空気と熱を交換することにより凝縮される。コンデンサC1に由来する第1冷却流れはパイプ30を介して交換器E1内へ送られる。コンプレッサK1の出口での第1冷却流れの圧力は2Mpa~6Mpaであり得る。コンデンサC1の出口での第1冷却流れの温度は10℃~45℃であり得る。
【0087】
第1冷却流れは炭化水素の混合物、例えばエタン及びプロパンの混合物により形成され得るが、メタン、ブタン及び/又はペンタンも含み得る。第1冷却混合物のコンポーネントのモル分率(%)は以下のとおりであり得る:
エタン:30%~70%、
プロパン:30%~70%、
ブタン:0%~20%。
【0088】
パイプ102内を循環する天然ガスは分けられ得る、すなわち少なくとも2つの炭素原子を含む炭化水素C2+の一部は、当業者に既知のデバイスを使用して天然ガスから分離される。分割された天然ガスはパイプ102を介して他の交換器E2内へ送られる。集められた炭化水素C2+は脱エタン塔を含む分留塔内へ送られる。脱エタン塔の頂部に集められた軽い分画は、パイプ102において循環している天然ガスと混合され得る。脱エタン塔の底部で集められた液体の分画は脱プロパン塔へ送られる。
【0089】
パイプ102内を循環するガス及びパイプ202内を循環する第2冷却流れは他の交換器E2に入り、その中で平行及び並流方向に循環する。
【0090】
パイプ201を介して交換器E2を出る第2冷却流れは、解放コンポーネントT3により解放される。解放コンポーネントT3はタービン、バルブ又はタービン及びバルブの組合せであり得る。タービンT3に由来する第2の解放された冷却流れはパイプ203により交換器E2内へ送られ、対向流が天然ガス及び第2冷却流れを冷却している間に蒸発させられる。
【0091】
交換器E2の出口で、第2の蒸発した冷却流れはコンプレッサK2により圧縮され、次いで間接熱交換器C2において、外部冷却流体、例えば水又は空気と熱を交換することにより冷却される。交換器C2に由来する第2冷却流れはパイプ20を介して交換器E1内へ送られる。コンプレッサK2を出るときの第2冷却流れの圧力は2Mpa~8Mpaであり得る。交換器C2の出口での第2冷却流れの温度は10℃~45℃であり得る。
【0092】
図4を参照して説明された方法においては、第2冷却流れは個別の分画に分割されないが、交換器E2内へのアプローチを最適化するために、第2冷却流れはまた2つ又は3つの分画へと分離されることができ、各分画は異なる圧力レベルで解放され、次いでコンプレッサK2の異なるステージに送られる。
【0093】
第2冷却流れは、例えば炭化水素と窒素の混合物、例えばメタン、エタン及び窒素の混合物により形成されるが、プロパン及び/又はブタンも含み得る。第2冷却混合物のコンポーネントのモル分率(%)は以下のとおりであり得る:
窒素:0%~10%、
メタン:30%~70%、
エタン:30%~70%、
プロパン:0%~10%。
【0094】
天然ガスは、大気圧で生成された液化天然ガスの泡立ち点温度より少なくとも10℃高い温度(泡立ち点温度は、第1の蒸気泡が所定の圧力で液体天然ガスにおいて形成される温度を指す)で、及び天然ガスの入口圧力と同一の圧力で、液化された状態でパイプ101を介して最も近い圧力損失まで熱交換器E2を出る。例えば、天然ガスは、-105℃~-145℃の温度で及び4Mpa~7Mpaの圧力で交換器E2を出る。これらの温度及び圧力条件下では、天然ガスは、大気圧までの膨張後は全てが液体のままでは残らない。
【0095】
当然のことながら、本発明は本出願において説明及び図示された特定の例に限定されない。当業者の能力内の他の代替的形式又は実施形態もまた本発明の範囲から逸脱すること無しに想定され得る。例えば、流体を交換器に注入する及び交換器から抽出するための他の構成、流体のフローの他の方向、他のタイプの流体などは、明らかに、実装されることになる方法により定められた限界に依存して想定され得る。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 熱交換器(E1)であって、複数のプレート(2)であって、長手方向(z)に平行であるとともに、一緒に、少なくとも1つの熱産生流体(C)と熱を交換することを意図された少なくとも1つの冷媒(F1)のフローのための通路(10)の第1シリーズを画定する複数のプレート(2)、2つの隣接するプレート(2)間に画定された前記第1シリーズの少なくとも1つの通路(10)であって、
- 前記冷媒(F1)を前記通路(10)の一部分(100)に導入するように構成された冷媒入口(31)と前記冷媒(F1)を前記部分(100)から排出するように構成された冷媒出口(41)とを含む前記第1シリーズの少なくとも1つの通路(10)
を含む熱交換器(E1)において、
前記第1シリーズの前記少なくとも1つの通路(10)が、
- 他の冷媒(F2)を前記通路(10)の他の部分(200)に導入するように構成された少なくとも1つの他の冷媒入口(32)と、前記他の冷媒(F2)を前記他の部分(200)から排出するように構成された少なくとも1つの他の冷媒出口(42)とをさらに含み、
前記他の入口及び出口(32、42)が、前記第1シリーズの前記少なくとも1つの通路(10)が、前記長手方向(z)において、少なくとも前記冷媒(F1)の前記フローのための前記部分(100)及び前記他の冷媒(F2)の前記フローのための前記他の部分(200)に分割されるように配置されていることを特徴とする、熱交換器(E1)。
[2] 前記第1シリーズの複数の通路(10)が各々、冷媒のための少なくとも1つの入口(31)、1つの出口(41)、1つの他の入口(32)及び1つの他の出口(42)を含み、前記入口(31)が同じ入口マニホールド(71)に流体接続されており、前記他の入口(32)が他の同一の入口マニホールド(72)に流体接続されており、前記出口(41)が同一の出口マニホールド(81)に流体接続されており、前記他の出口(42)が他の同一の出口マニホールド(82)に流体接続されていることを特徴とする、[1]に記載の交換器。
[3] 前記交換器が、第1端部(1a)であって、前記第1端部(1a)の近傍において、作動中、温度が前記交換器の最低である第1端部(1a)と、第2端部(1b)であって、前記第2端部(1b)近傍において、作動中、温度が前記交換器の最高である第2端部(1b)とを含み、前記第2端部(1b)が前記長手方向(z)において前記第1端部(1a)の下流に配置され、前記冷媒(F1)の前記フローのための前記部分(100)が前記第1端部(1a)と並んで配置され、前記他の冷媒(F2)の前記フローのための前記他の部分(200)が前記部分(100)と前記第2端部(1b)との間に配置されていることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の交換器。
[4] 前記プレート(2)が少なくとも1つの熱産生流体(C)の前記フローのための通路(11)の第2シリーズを一緒に画定し、前記第2シリーズの少なくとも1つの通路(11)が前記第1シリーズの前記少なくとも1つの通路(10)に隣接しており、熱産生流体(C)の流れが前記通路(20)において循環すると、熱産生流体(C)の前記流れが前記部分(100)の少なくとも一部分の近傍で前記冷媒(F1)と、及び前記他の部分(200)の少なくとも一部分の近傍で前記他の冷媒(F2)と熱を交換するように構成されていることを特徴とする、[1]~[3]のいずれか一項に記載の交換器。
[5] 前記第2シリーズの少なくとも1つの通路(11)が、前記交換器の前記第2端部(1b)の近傍において、前記少なくとも1つの通路(11)において前記熱産生流体(C)を分配するように構成された熱産生流体入口と、前記交換器の前記第1端部(1a)の近傍において、前記熱産生流体(C)を前記少なくとも1つの通路(11)から排出するように構成された出口とを含むことを特徴とする、[4]に記載の交換器。
[6] 前記第1シリーズの前記少なくとも1つの通路(10)が、少なくとも2つの他の入口(32、33)であって、それぞれ少なくとも2つの他の冷媒(F2、F3)を前記通路(10)の少なくとも2つの他のそれぞれの部分(200、300)に導入するように構成された少なくとも2つの他の入口(32、33)と、2つの他の出口(42、43)であって、それぞれ前記少なくとも2つの他の冷媒(F2、F3)を前記少なくとも2つの他の部分(200、300)から排出するように構成された2つの他の出口(42、43)とを含み、前記2つの他の入口(32、33)及び2つの他の出口(42、43)が、前記第1シリーズの前記少なくとも1つの通路(10)が、前記長手方向(z)において、少なくとも前記部分(100)に及び前記2つの他の部分(200、300)に分割されるように配置されていることを特徴とする、[1]~[5]のいずれか一項に記載の交換器。
[7] [1]~[6]のいずれか一項に記載の熱交換器(E1)を実装する熱を交換するための方法であって、前記方法が、以下のステップ、すなわち、
i)熱産生流体(C)の流れを前記交換器(E1)の前記プレート(2)の間に画定された通路の第2シリーズの少なくとも1つの通路(11)に導入するステップ、
ii)冷媒(F1)を前記第1シリーズの少なくとも1つの通路(10)の前記入口(31)を介して導入するステップ、
iii)ステップii)において導入された前記冷媒(F1)を前記通路(10)の前記出口(41)を介して排出するステップ、
iv)少なくとも1つの他の冷媒(F2)を前記通路(10)の前記他の入口(32)を介して導入するステップ、
v)ステップiv)において導入された前記他の冷媒(F2)を前記通路(10)の前記他の出口(41)を介して排出するステップ
を含み、
熱産生流体(C)の前記流れが少なくとも前記冷媒(F1)と及び前記他の冷媒(F2)と熱を交換する方法。
[8] ステップiii)において排出された前記冷媒(F1)が前記交換器(E1)を第1温度(T1)で出て、ステップiv)において導入された前記他の冷媒(F2)が前記交換器(E1)に第2温度(T2)で入り、前記第2温度(T2)が前記第1温度(T1)未満であることを特徴とする、[7]に記載の方法。
[9] 前記第2温度(T2)が前記第1温度(T1)より少なくとも1℃低いことを特徴とする、[8]に記載の方法。
[10] 熱産生流体(C)の流れとして、天然ガスなど炭化水素の流れを冷却するための方法であって、前記方法が、[1]~[5]のいずれか一項に記載の熱交換器(E1)又は[6]~[8]のいずれか一項に記載の熱を交換するための方法を実装し、以下のステップ、すなわち、
a)炭化水素(C)の前記流れを前記熱交換器(E1)に導入するステップ、
b)第1冷却流れ(30)を前記熱交換器(E1)に導入するステップ、
c)前記熱交換器(E1)から、前記第1冷却流れ(30)に由来する部分冷却流れ(301)及び少なくとも1つの他の部分冷却流れ(302)を抽出するステップ、
d)前記部分冷却流れ(301)及び前記他の部分冷却流れ(302)をそれぞれ前記冷媒(F1)及び前記他の冷媒(F2)を生成するために異なる圧力レベルで解放するステップ、
e)前記第1シリーズの少なくとも1つの通路(10)の前記入口(31)を介して前記冷媒(F1)を前記熱交換器(E1)に再導入するステップ、
f)前記通路(10)の前記他の入口(32)を介して前記他の冷媒(F2)を前記熱交換器(E1)に再導入するステップ、
g)少なくとも前記冷媒(F1)及び前記他の冷媒(F2)と熱を交換することにより炭化水素(C)の前記流れを冷却するステップ
を含む方法。
[11] 前記第1冷却流れ(30)が炭化水素の混合物、例えばエタンとプロパンとを含む混合物であることを特徴とする、[10]に記載の方法。
[12] ステップd)において生成された前記冷媒(F1)が第1圧力(P1)を有し、ステップd)において生成された前記他の冷媒(F2)が第2圧力(P2)を有し、前記第2圧力(P2)が前記第1圧力(P1)より高いことを特徴とする、[10]又は[11]に記載の方法。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5