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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】無線送電システムにおける安全動作
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/12 20160101AFI20231211BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20231211BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231211BHJP
   H02M 7/219 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
H02J50/12
H02J50/80
H02J7/00 301D
H02M7/219
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021503743
(86)(22)【出願日】2019-07-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2019069776
(87)【国際公開番号】W WO2020020875
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-02-09
(31)【優先権主張番号】18185532.1
(32)【優先日】2018-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518307145
【氏名又は名称】ヴィフェリオン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・トリッチュラー
(72)【発明者】
【氏名】ベンリアー・ゲルディ
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-029404(JP,A)
【文献】特表2016-501001(JP,A)
【文献】特開2012-019603(JP,A)
【文献】特開2014-079107(JP,A)
【文献】特開平11-027870(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0313801(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J50/00-50/90
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02M7/00-7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線送電システムの固定側共振回路(18)に誘導結合される可動側共振回路(26)と、
可動側回路の故障のない動作中に、フルブリッジ整流モードである第1の動作モードで動作するように適合された可動側整流器(32)であって、前記可動側整流器(32)は、フルブリッジ整流器であり、前記フルブリッジ整流器の第1の出力端子(54)と第2の出力端子(56)の間に直列に接続された第1の整流素子(50)および第2の整流素子(52)と、前記フルブリッジ整流器の第1の入力端子(58)に接続された共通接続端子と、前記フルブリッジ整流器の前記第1の出力端子(54)と前記第2の出力端子(56)との間に直列に接続された第3の整流素子(60)および第4の整流素子(62)と、前記フルブリッジ整流器の第2の入力端子(64)に接続された共通接続端子とを備え、これにより、可動側整流器(32)の前記第1の入力端子(58)と前記第2の入力端子(64)が前記可動側共振回路(26)に接続される、可動側整流器(32)と、
前記可動側整流器(32)の出力端子と並列に接続され、前記可動側整流器(32)の出力を平滑化するように適合されるエネルギー貯蔵回路(34)と
を備えた無線送電システムの可動側回路であって
前記可動側整流器(32)は、前記第1の整流素子(50)に対して並列に接続された第1のスイッチング素子(82)と、前記第4の整流素子(62)に対して並列に接続された第2のスイッチング素子(84)とを備え、
可動側制御回路(53)は、前記可動側回路(24)における故障状態の発生時に、前記第1のスイッチング素子(82)と前記第2のスイッチング素子(84)とを同時に閉じることにより、前記第1の動作モードから、前記エネルギー貯蔵回路(34)を横切る直流電圧が、極性反転することなく、かつ前記可動側共振回路(26)を短絡することなく、前記可動側整流器(32)の前記第1の入力端子(58)と前記第2の入力端子(64)とにマッピングされる第2の動作モードに、動作を変更するように適合されており、または
前記可動側整流器(32)は、前記第2の整流素子(52)に並列に接続された第3のスイッチング素子(86)と、前記第3の整流素子(60)に並列に接続された第4のスイッチング素子(88)とを備え、
前記可動側制御回路(40)は、前記可動側回路(32)における故障状態の発生時に、前記第3のスイッチング素子(86)と前記第4のスイッチング素子(88)とを同時に閉じるかまたは開くことにより、前記第1の動作モードから、前記エネルギー貯蔵回路(34)を横切る直流電圧が、極性反転して、かつ前記可動側共振回路(26)を短絡することなく、前記可動側整流器(32)の前記第1の入力端子(58)と前記第2の入力端子(64)とにマッピングされる第3の動作モードに、動作を変更するように適合されている、
ことを特徴とする、可動側回路。
【請求項2】
無線送電システムの固定側共振回路(18)に誘導結合される可動側共振回路(26)と、
可動側回路の故障のない動作中に、フルブリッジ整流モードである第1の動作モードで動作するように適合された可動側整流器(32)であって、前記可動側整流器(32)は、フルブリッジ整流器であり、前記フルブリッジ整流器の第1の出力端子(54)と第2の出力端子(56)の間に直列に接続された第1の整流素子(50)および第2の整流素子(52)と、前記フルブリッジ整流器の第1の入力端子(58)に接続された共通接続端子と、前記フルブリッジ整流器の前記第1の出力端子(54)と前記第2の出力端子(56)との間に直列に接続された第3の整流素子(60)および第4の整流素子(62)と、前記フルブリッジ整流器の第2の入力端子(64)に接続された共通接続端子とを備え、これにより、可動側整流器(32)の前記第1の入力端子(58)と前記第2の入力端子(64)が前記可動側共振回路(26)に接続される、可動側整流器(32)と、
前記可動側整流器(32)の出力端子と並列に接続され、前記可動側整流器(32)の出力を平滑化するように適合されるエネルギー貯蔵回路(34)と
を備えた、無線送電システムの可動側回路であって、
前記第1の整流素子(50)と並列に接続される第1のスイッチング素子(90)と、
前記第2の整流素子(52)と並列に接続される第2のスイッチング素子(92)と、
前記第3の整流素子(60)と並列に接続される第3のスイッチング素子(94)と、
前記第4の整流素子(62)と並列に接続される第4のスイッチング素子(96)と、
前記可動側回路(32)の故障状態の発生時に、前記可動側整流器(32)の前記第1の動作モードを逆相モードに変更するように前記第1から第4のスイッチング素子(90、92、94、96)を制御するように適合された可動側制御回路(40)と
を備え、
前記逆相モードは、
前記可動側整流器(32)の入力電圧および入力電流が、所定の位相シフト範囲に従って互いに対して位相シフトされ、かつ
エネルギーが、
前記可動側共振回路(26)からの前記電流の負のサイクルの間に、同時に、前記第1のスイッチング素子(90)と前記第4のスイッチング素子(96)とを閉じるとともに、前記第2のスイッチング素子(92)と前記第3のスイッチング素子(94)とを開くこと、および
前記可動側共振回路(26)からの前記電流の正のサイクルの間に、同時に、前記第2のスイッチング素子(92)と前記第3のスイッチング素子(94)とを閉じるとともに、前記第1のスイッチング素子(90)と前記第4のスイッチング素子(96)とを開くこと、
によって、ワイヤレス電力伝送システムの固定側に送り返される、
ことを特徴とする可動側回路。
【請求項3】
前記可動側制御回路(40)が、前記無線送電システムの前記可動側回路(24)から固定側回路(12)への電力の逆伝送のために前記可動側整流器(32)への入力電圧が前記可動側整流器(32)への入力電流に関して180°±30°または90°±30°の範囲の移相を有するように第2の動作モードを前記逆相モードに変更するように適合される、請求項2に記載の可動側回路。
【請求項4】
前記可動側回路(24)での故障状態の発生を検出するように適合される可動側検出器(42)を備え、前記可動側制御回路(40)が、前記可動側検出器(42)が前記可動側回路(24)での故障状態の発生を検出すると前記エネルギー貯蔵回路(34)を可動側負荷(38)に接続するスイッチ(36)を開くように適合される、請求項1から3のいずれか一項に記載の可動側回路。
【請求項5】
前記無線送電システムの固定側制御回路(16)に前記可動側回路(24)での故障状態の発生を示すように適合される可動側通信インタフェース(46)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の可動側回路。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の少なくとも1つの可動側回路(24)と、
前記少なくとも1つの可動側回路(24)への無線送電のために固定側共振回路(18)を励起するように適合される固定側励起ユニット(14)と、
前記固定側励起ユニット(14)の動作を制御し、
前記少なくとも1つの可動側回路(24)への電力伝達を監視し、
前記少なくとも1つの可動側回路(24)に送信される電力量の変化が所定の閾値を超えると無線送電を遮断する
ように適合される固定側制御回路(16)と
を備えることを特徴とする、無線送電システム。
【請求項7】
前記固定側制御回路(16)が、前記少なくとも1つの可動側回路(24)に送信される電力量が5%以上変動すると前記可動側回路(24)への無線送電を遮断するように適合される、請求項6に記載の無線送電システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの可動側回路(24)での故障の発生の通知を受信するように適合される固定側通信インタフェース(48)を備え、前記固定側制御回路(16)が、前記少なくとも1つの可動側回路(24)での故障の発生の前記通知の受信に応じて無線送電を遮断するように適合される、請求項6または7に記載の無線送電システム。
【請求項9】
請求項1に記載の無線送電システムの可動側回路を動作させる方法であって、
前記可動側回路の無故障動作の間、可動側整流器(32)をフルブリッジ整流モードである第1の動作モードで動作させるステップ(S14)と、
前記可動側回路(24)における故障状態の発生時に、前記第1のスイッチング素子(82)と前記第2のスイッチング素子(84)とを同時に閉じるかまたは開くことにより、前記動作モードを、前記エネルギー貯蔵回路(34)を横切る直流電圧が、極性反転することなく、かつ前記可動側共振回路(26)を短絡することなく、前記可動側整流器(32)の前記第1の入力端子(58)と前記第2の入力端子(64)とにマッピングされる第2の動作モードに、変更するステップと、または
前記可動側回路(32)における故障状態の発生時に、前記第3のスイッチング素子(86)と前記第4のスイッチング素子(88)とを同時に閉じるかまたは開くことにより、前記第1の動作モードから、前記エネルギー貯蔵回路(34)を横切る直流電圧が、極性反転して、かつ前記可動側共振回路(26)を短絡することなく、前記可動側整流器(32)の前記第1の入力端子(58)と前記第2の入力端子(64)とにマッピングされる第3の動作モードに、変更するステップと、
を具備する、方法。
【請求項10】
請求項2に記載の無線送電システムの可動側回路を動作させる方法であって、
前記可動側回路の無故障動作の間、可動側整流器(32)をフルブリッジ整流モードである第1の動作モードで動作させるステップ(S14)と、

前記可動側回路(32)の故障状態の発生時に、前記可動側整流器(32)の前記第1の動作モードを逆相モードに変更するように前記第1から第4のスイッチング素子(90、92、94、96)を制御するステップであって、前記逆相モードは、
前記可動側整流器(32)の入力電圧および入力電流が、所定の位相シフト範囲に従って互いに対して位相シフトされ、かつ
エネルギーが、
前記可動側共振回路(26)からの前記電流の負のサイクルの間に、同時に、前記第1のスイッチング素子(90)と前記第4のスイッチング素子(96)とを閉じるとともに、前記第2のスイッチング素子(92)と前記第3のスイッチング素子(94)とを開くこと、および
前記可動側共振回路(26)からの前記電流の正のサイクルの間に、同時に、前記第2のスイッチング素子(92)と前記第3のスイッチング素子(94)とを閉じるとともに、前記第1のスイッチング素子(90)と前記第4のスイッチング素子(96)とを開くこと、
によって、ワイヤレス電力伝送システムの固定側に送り返される、
ステップと、
を具備する、方法。
【請求項11】
前記可動側回路(24)への電力伝達を監視するステップ(S26、S28)と、
前記可動側回路(24)に送信される電力量の変化が所定の閾値を超えると無線送電を遮断するステップ(S30)と
を含む、請求項9または10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線送電システムの安全動作に関し、特に可動側回路での故障状態の発生時に可動側整流器における回路トポロジが動的に構成可能である無線送電システムの可動側回路に、更に可動側回路を使用する無線送電システムに、ならびに可動側回路および無線送電システムのための関連する動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線送電システムは、誘導送電システムとも称されており、ケーブル接続システムに勝る大きな利点を有する。技術進歩により、例えばモバイルバッテリの充電のために使用される無線送電システムがますます多くの注目を得ている。
【0003】
概して、無線送電システムは、固定側回路および可動側回路から成る。固定側回路は、少なくとも1つのコンデンサおよび送信コイルから成る固定側共振回路のための固定励起ユニットとして作用するスイッチングモード電子回路を有する。可動側回路では、可動側共振回路において電圧および電流が誘導される。パッシブまたはアクティブ整流器が、バッテリ、または幾つかの負荷、例えばDC/DCコンバータならびにバッテリ、スーパーキャパシタおよび/もしくはウルトラキャパシタのようなエネルギー貯蔵装置から成るモバイルエネルギーシステムに直接給電する。
【0004】
図1は、当該技術において周知の直列-直列補償を使用する無線送電システムの概要図を示す。
【0005】
図1に示されるように、無線送電システムにおいて直列-直列補償技術が使用され得る。固定側回路のために、固定側共振回路2に給電する固定励起ユニット1が設けられる。可動側回路では、可動側共振回路3によって出力される受信AC信号を、ブリッジ整流器4がDC出力電圧および電流へ変換する。整流器4の出力は、平滑コンデンサ、およびバッテリまたは任意の他の消費もしくは貯蔵装置であり得る負荷6と並列に接続される。一般に、可動側回路での故障状態の発生時に負荷6を保護するためにスイッチング素子5が設けられる。
【0006】
しかしながら、スイッチング素子5の開口または可動側回路の開回路に至る任意の他の事象は、固定電源が依然として可動側共振回路にエネルギーを給電し続けるので可動側共振回路の出力での過電圧に至り得る。これは、可動側電子部品に損傷を与えることに至り得る。可動側電子部品への損傷を回避するために、可動側回路は、可動側故障状態の発生時に時間遅延なく保護される必要がある。
【0007】
この問題を解決するために、米国特許第6,037,745(A)号において、可動側バッテリまたはエネルギー貯蔵装置を短絡させることなく可動側共振回路を短絡させることが提起されている。直列-直列補償トポロジにとって、これを現状技術とみなすことができる。しかしながら、可動側共振回路を短絡させることは、バッテリへの電力供給を遮断するが、可動側共振回路における電流を遮断しない。これに鑑みて、EP2903852B1において、可動側共振回路を短絡させること、および固定側共振回路からの電力供給の遮断のために固定側において短絡を検出することが提案されている。
【0008】
図2は、直列-直列補償誘導送電システムのための可動側回路の可動側共振回路の短絡を確立した後の電圧および電流波形を示す。
【0009】
図2に示されるように、上記したように可動側共振回路を短絡させることは、可動側共振回路の突然の非常に激しいステップ応答に、しかも送電コイルにおける他に共振コンデンサにおける非常に高い電流および極めて高い電圧ピークに至る。これは、これらの部分における分離故障に、または高電流による短絡スイッチの損傷もしくは劣化に至り得る。
【0010】
図2に同じく示されるように、突然の電圧ステップは、初期定常状態電流のほぼ4倍に到達する極めて高い電流を発生させる。これは、送信コイルにおける他に共振コンデンサにおける非常に高い電圧に至る。他方で、短絡しているMOSFET回路は非常に高い電流ストレスに直面する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第6,037,745(A)号
【文献】EP2903852B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記に鑑みて、本発明の目的は、無線送電システムの安全動作を保証する一方で、可動側での故障状態の発生時に可動側回路への損傷を効果的に回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、同目的は、無線送電システムの可動側回路によって達成される。可動側回路は、無線送電システムの固定側共振回路に誘導結合される可動側共振回路と、可動側回路の無故障動作の間ハーフブリッジ整流モードまたはフルブリッジ整流モードである第1の動作モードで動作するように適合される可動側整流器と、可動側整流器の出力端子と並列に接続され、可動側整流器の出力を平滑化するように適合されるエネルギー貯蔵回路とを備える。更に、可動側制御回路が、可動側回路での故障の発生時に可動側整流器の少なくとも1つの整流素子と並列に接続される少なくとも1つのスイッチング素子を制御して可動側整流器の第1の動作モードを第2の動作モードに変更するように適合される。本発明によれば、第2の動作モードは第1の動作モードと異なり、ハーフブリッジモード、フルブリッジモード、エネルギー貯蔵回路にわたる電圧が極性反転を伴ってまたは伴わずに可動側整流器の入力に切り替えられるDCモード、ならびに可動側整流器の入力電圧および入力電流が所定の移相に従って互いに関して移相される逆相モードから成る群から選択される。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、同目的は、第1の態様に係る可動側回路を備える無線送電システムによって達成される。無線送電システムは、可動側回路への無線送電のために固定側共振回路を励起するように適合される固定側励起ユニットと、固定側コントローラとを更に備える。固定側コントローラは、固定励起ユニットの動作を制御し、可動側回路への電力伝達を監視し、可動側回路に送信される電力量の変化が所定の閾値を超えると無線送電を遮断するように適合される。
【0015】
本発明の第3の態様によれば、同目的は、本発明の第1の態様に係る可動側回路を動作させる方法であって、可動側回路の無故障動作の間、可動側整流器をハーフブリッジ整流モードまたはフルブリッジ整流モードである動作モードで動作させるステップと、可動側回路での故障状態の発生時に可動側整流器の少なくとも1つの整流素子と並列に接続される少なくとも1つのスイッチング素子を制御して可動側整流器の第1の動作モードを第2の動作モードに変更するステップとを含む、方法によって達成される。ここで、第2の動作モードは第1の動作モードと異なり、ハーフブリッジモード、フルブリッジモード、エネルギー貯蔵回路にわたる電圧が極性反転を伴ってまたは伴わずに可動側整流器の入力に切り替えられるDCモード、ならびに可動側整流器の入力電圧および入力電流が所定の範囲に従って互いに関して偏移される逆相モードから成る群から選択される。
【0016】
本発明の第4の態様によれば、同目的は、可動側回路への電力伝達を監視するステップと、可動側回路に送信される電力量の変化が所定の閾値を超えると無線送電を遮断するステップとを含む、本発明の第2の態様に係る無線送電システムを動作させる方法によって達成される。
【0017】
以下では図面を参照しつつ本発明の実施形態が記載されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】当該技術において周知の直列-直列補償を使用する無線送電システムの概要図である。
図2】直列-直列補償誘導送電システムのための可動側回路の可動側共振回路の短絡を確立した後の電圧および電流波形を示す図である。
図3】本発明に係る直列-直列補償を使用する無線送電システムの概要図である。
図4】本発明に係る無線送電システムの可動側回路のための動作のフローチャートである。
図5】本発明に係る無線送電システムの固定側回路のための動作のフローチャートである。
図6】本発明の第1の実施形態に係るフルブリッジモードからハーフブリッジモードへのおよびその逆への可動側整流器の動作モードの変更のための第1の例を示す図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係るフルブリッジモードからハーフブリッジモードへのおよびその逆への可動側整流器の動作モードの変更のための第2の例を示す図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係るフルブリッジモードからハーフブリッジモードへのおよびその逆への可動側整流器の動作モードの変更のための第3の例を示す図である。
図9】本発明の第1の実施形態に係るフルブリッジモードからハーフブリッジモードへのおよびその逆への可動側整流器の動作モードの変更のための第4の例を示す図である。
図10】本発明の第1の実施形態に係るフルブリッジモードからハーフブリッジモードへのおよびその逆への可動側整流器の動作モードの変更に応じた固定側回路および可動側回路における電圧および電流の信号図である。
図11】本発明の第1の実施形態に係るハーフブリッジモードからフルブリッジモードへのおよびその逆への可動側整流器の動作モードの変更に応じた固定側回路および可動側回路における電圧および電流の信号図である。
図12】本発明の第2の実施形態に係るフルブリッジモードから極性反転を伴わないDCモードへのおよびその逆への可動側整流器の動作モードの変更のための第1の例を示す図である。
図13図12に示されるようなフルブリッジモードから極性反転を伴わないDCモードへの可動側整流器の動作モードの変更に対する等価概要図である。
図14】本発明の第2の実施形態に係るフルブリッジモードから極性反転を伴うDCモードへのおよびその逆への可動側整流器の動作モードの変更のための第2の例を示す図である。
図15図14に示されるようなフルブリッジモードから極性反転を伴うDCモードへの可動側整流器の動作モードの変更に対する等価概要図である。
図16】本発明の第3の実施形態に係るフルブリッジモードから逆相モードへのおよびその逆への可動側整流器の動作モードの変更のための一例を示す図である。
図17】可動側整流器への入力電流の負のサイクルに対する図16に示されるようなフルブリッジモードから逆相モードへの可動側整流器の動作モードの変更に対する等価概要図である。
図18】可動側整流器への入力電流の正のサイクルに対する図16に示されるようなフルブリッジモードから逆相モードへの可動側整流器の動作モードの変更に対する等価概要図である。
図19】本発明の第4の実施形態に係る可動側での故障の発生時のハーフブリッジモードから極性反転を伴わないDCモードへのおよびその逆への可動側整流器の動作モードの変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では図面を参照しつつ本発明が詳細に説明されることになる。ここで、そのような説明が本発明の例に関連するだけであり、特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲を拘束してはいないことが理解されるべきである。基礎となる機能性のための例と考えられることになる具体的な回路部品に言及がなされる場合、同じ機能性が達成される限り、そのような回路部品は明らかに交換可能である。
【0020】
図3は、本発明に係る直列-直列補償を使用する無線送電システム10の概要図を示す。
【0021】
図3に示されるように、誘導電力伝達システム10は、固定側DC/ACコンバータ14、固定側コントローラ16、ならびに少なくとも1つの固定側コンデンサ20および少なくとも1つの固定側送信用コイル22から構築される固定側共振回路18を備える固定側回路12を有する。
【0022】
動作的に、固定側DC/ACコンバータ14は、無線送電の間、振動磁場の発生のために固定側共振回路18を励起するように適合される。更に、動作的に、固定側コントローラ16は、1次側DC/ACコンバータ14の制御のために固定側高周波電流および任意選択で固定側高周波電圧を測定するように適合される。また更に、動作的に、固定側コントローラ16は、固定側回路12から無線送電システム10の可動側回路24に無線送信される電力量を測定するように任意選択で適合される。
【0023】
図3に示されるように、無線電力伝達システム10は、固定側回路12から分離された少なくとも1つの可動側回路24も有する。
【0024】
図3に示されるように、可動側回路24は、少なくとも1つの可動側コンデンサ30に直列に接続される少なくとも1つの受信用コイル28から構築される可動側共振回路26を備える。可動側回路24は、可動側整流器32を更に備える。入力では可動側整流器32は可動側共振回路26に接続され、そして出力では可動側整流器32はエネルギー貯蔵回路34に接続される。エネルギー貯蔵回路34、例えばコンデンサは、負荷38にスイッチ36を介して接続される。可動側回路24は、可動側整流器32を制御するように適合される可動側コントローラ40を備える。
【0025】
図3に示されるように、可動側回路は、可動側回路24での故障状態の発生を検出するように適合され、可動側コントローラ40に結合される可動側故障検出器42も備え得る。任意選択で、可動側コントローラ40は、固定側コントローラ16に故障状態の発生を示すように適合される可動側通信インタフェース46を備え得る。
【0026】
動作的に、受信用コイル28は、送信用コイル22によって生成される磁場に置かれると、誘導結合を通じて送信用コイル22によって送信されるエネルギーを受信する。誘導結合は、可動側共振回路26における可動側高周波電圧および可動側高周波電流の発生に至る。
【0027】
動作的に、可動側整流器32は、エネルギー貯蔵回路34による以降の平滑化のために可動側コントローラ40の制御下で可動側高周波電圧および可動側高周波電流を可動側整流電圧へ変換するように適合される。また、動作的に可動側整流器32は、スイッチ36を越えて負荷38への供給のために可動側直流電流を出力する。
【0028】
動作的に、可動側コントローラ40は、任意選択として、可動側整流器32への入力として可動側高周波電流を測定するようにかつ可動側高周波電圧を測定するように適合され得る。更に、可動側コントローラ40は、可動側整流器32の制御のために可動側直流電流および/または可動側DC電圧を測定するようにならびに生成された測定結果を処理するように適合される。
【0029】
図3に示されるように、本発明によれば固定側回路12と可動側回路24との間の無線通信リンク44の提供は任意選択である。この場合、固定側コントローラ16は第1の通信インタフェース48を備え、そして可動側コントローラ40は第2の通信インタフェース46を備える。本発明によれば、例えば、IrDa規格に、または代替的にブルートゥース(登録商標)、WiFi、WLAN等に依存し得る無線通信リンク44のために実装される無線通信の種類に関しては制限がないことが留意されるべきである。
【0030】
一般に、非常に頻繁に無線送電システムの可動側の整流器は、少なくとも2つの整流素子、例えば、整流機能性を実装するために可動側コントローラ40によって制御されるダイオードまたはアクティブスイッチング素子から構築されるフルまたはハーフブリッジ整流器を使用する。
【0031】
最も一般的な意味で本発明によれば、故障の発生時に少なくとも可動側整流器32における整流素子をバイパスまたは短絡させる任意選択を提供することが提案される。以下により詳細に説明されることになるように、これは、可動側整流器32の動作モードを、
● ハーフブリッジモード、
● フルブリッジモード、
● エネルギー貯蔵回路34にわたる電圧がエネルギー貯蔵回路34にわたる電圧の極性の反転を伴わずに可動側整流器32の入力側に切り替えられる極性反転を伴わないDCモード、
● エネルギー貯蔵回路34にわたる電圧がエネルギー貯蔵回路34にわたる電圧の極性の反転を伴って可動側整流器32の入力側に切り替えられる極性反転を伴うDCモード、
● 例えば、可動側共振回路26を流れる電流が負極性を有するときエネルギー貯蔵回路34にわたる電圧を電圧極性を維持しつつ可動側整流器の入力側にマッピングすることによっておよび可動側共振回路26を流れる電流が正極性を有するときエネルギー貯蔵回路34にわたる電圧を電圧極性を反転させつつ可動側整流器の入力側にマッピングすることによって、可動側整流器32の入力電圧および入力電流が所定の移相範囲に従って互いに関して移相される逆相モード、
から成る群から選択される1つの動作モードに変更することを可能にする。
【0032】
最も一般的な意味で、可動側整流器32における動作モードの変更は、可動側整流器32の出力電力を変化させて、ストレスを軽減し、そして可動側回路への損傷を回避する。例えば、フルブリッジモードからハーフブリッジモードへの遷移は、突然に出力電力を半分だけ低下させる。本発明によれば、この事象は固定側において検出されて、固定側回路から可動側回路への無線送電を遮断できる。
【0033】
本発明の重要な利点は、時間遅延を伴って故障の発生を通信する固定側回路と可動側回路との間の通信路の提供が必須でないということである。反対に、本発明は、可動側回路による即時対応が時間遅延なく故障の発生を処理することを可能にする。
【0034】
更に、2次側共振回路26を短絡させることがフルブリッジモードからハーフブリッジモードに切り替えることより安全であることを当業者が提案するであろうが、そのような理解は、この切替え事象の間に非常に高い電流が発生されて新たな種類の危険に至ることを軽視している。本発明はこの危険を克服する。
【0035】
更に、本発明によれば、激しい短絡を切り替える場合におけるほど電圧の変化が大きくないという事実により、故障の発生時に可動側整流器32における電流ストレスが有意に軽減される。
【0036】
本発明による別の重要な利点は、最小構成での可動側整流器の動作モードの変更として、故障の発生時に少なくとも可動側整流器32における整流素子をバイパスまたは短絡させるために、2つのスイッチの代わりに1つのスイッチング素子だけが必要とされるということである。これはシステムのコストおよび複雑さを低減させる。
【0037】
更に、本発明によれば、無故障動作の間の動作モードが可動側回路24での故障の発生時に使用される可動側整流器32の目標動作モードと異なる限り、可動側整流器32における動作モードの変更がいかなる形であれ1つの方向だけに、例えばフルブリッジモードからハーフブリッジモードに限定されないことが留意されるべきである。
【0038】
以下では、上で概説されたように本発明の基本概念を実現するための種々の例が図4から図19を参照しつつ説明されることになる。
【0039】
図4は、本発明に係る無線送電システムの可動側回路のための動作のフローチャートを示す。
【0040】
図4に示されるように、ステップS10において、動作的に固定側コントローラ16の制御下の固定側回路12によっておよび可動側コントローラ40の制御下の可動側回路24によって実行されて、無線送電システム10が無線送電を開始する。この段階で、ステップS12において、動作的に可動側故障検出器42および可動側コントローラ40によって実行されて、可動側において故障が発生しているかどうかが検査されることになる。そうであれば、本発明に係る故障処理手続きが開始することになり、そうでなければプロセスフローは標準手続きに従って進行する。
【0041】
図4に示されるように、ステップS14において、動作的に可動側コントローラ40によって実行されて、現行の動作条件、例えば負荷38の種類、負荷38による消費電力等に従って可動側整流器32のための第1の動作モードが決定される。次いで可動側整流器は、可動側回路の無故障動作の間、例えばハーフブリッジ整流モードまたはフルブリッジ整流モードである第1の動作モードで動作する。
【0042】
図4に示されるように、ステップS16において、動作的に可動側故障検出器42および可動側コントローラ40によって実行されて、可動側において故障状態が発生しているかどうかが再び検査されることになる。そのような検査は、所定の間隔に従って、関連する制御信号の発行に応じて、または任意の他の適切な条件で実施され得る。
【0043】
図4に示されるように、ステップS16の結果が、可動側において故障状態が発生しているということであれば、続いてステップS18が、動作的に可動側コントローラ40によって実行されて、第1の動作モードと異なり、ハーフブリッジモード、フルブリッジモード、エネルギー貯蔵回路34にわたる電圧が極性反転を伴ってまたは伴わずに可動側整流器32の入力に切り替えられるDCモード、ならびに可動側整流器32の入力電圧および入力電流が所定の範囲に従って互いに関して偏移される逆相モードから成る群から選択される第2の動作モードを決定する。
【0044】
図4に示されるように、ステップS20において、動作的に可動側コントローラ40によって実行されて、可動側整流器32が第2の動作モードで動作される。上で概説されかつ以下により詳細に説明されるように、これは、可動側回路での故障状態の発生時に可動側整流器32の少なくとも1つの整流素子と並列に接続される少なくとも1つのスイッチング素子を制御して可動側整流器32の第1の動作モードを第2の動作モードに変更することによって達成され得る。
【0045】
図4に示されるように、ステップS22において、動作的に可動側故障検出器42および可動側コントローラ40によって実行されて、可動側において故障が存続しているかどうかが検査されることになる。そのような検査は、所定の間隔に従って、関連する制御信号の発行に応じて、または任意の他の適切な条件で実施され得る。ステップ22の結果が否定的であれば、第2の動作モードでの可動側回路の動作が続くことになり、そうでなければ手順は第1の動作モードでの可動側回路24の動作を続けることになる。
【0046】
本発明によれば、第1の動作モードが、例えばフルブリッジモードもしくはハーフブリッジモードに一定に保たれ得る、または可動側の無故障動作の間の動作条件が要求するとフルブリッジモードからハーフブリッジモードに変化し得ることが留意されるべきである。
【0047】
図5は、本発明に係る無線送電システムの固定側回路のための動作のフローチャートを示す。
【0048】
図5に示されるように、かつ無線送電が開始したと想定して、ステップS24において、動作的に固定側コントローラ16によって制御されて、固定側から可動側に無線電力伝達が生じる。次いでステップS26において、動作的に固定側コントローラ16によって実行されて、可動側に送信される電力量が監視されることになる。そのような監視が一定間隔で、動作条件の変化により、または任意の他の適切な条件下で実施され得ることが留意されるべきである。
【0049】
図5に示されるように、ステップS28において、動作的に固定側コントローラ16によって実行されて、送信電力または電流量の変化が所定の閾値を超えるか否かが判定されることになる。本発明による所定の閾値のための典型的な範囲は5%から20%の範囲であり得る。ステップS28での評価が肯定的であれば、続いてステップS30が、動作的に固定側コントローラ16によって実行されて、可動側への無線送電を遮断する。可動側回路24への電力供給の遮断は、非常に効率的かつ安全な方式で可動側回路24の回路素子へのいかなる損傷も回避することを可能にする。
【0050】
図5に示されるようにかつ任意選択として、ステップS28での評価が肯定的でなければ、可動側回路24への電力供給の遮断を達成する別の仕方は、ステップ32において、動作的に可動側コントローラ40および可動側通信インタフェース46の他に固定側コントローラ16および固定側通信インタフェース48によって実行される、可動側回路から固定側回路への故障状態の通知のやり取りである。
【0051】
以下では、本発明の第1の実施形態に係る、可動側整流器32における動作モードの変更のための種々の例が、可動側整流器がフルブリッジ回路トポロジを有すると想定して説明されることになる。
【0052】
図6は、本発明の第1の実施形態に係るフルブリッジモードからハーフブリッジモードへのおよびその逆への可動側整流器32の動作モードの変更のための第1の例を示す。
【0053】
図6に示されるように、可動側整流器32はフルブリッジ整流器であり、そしてフルブリッジ整流器の第1の出力端子54と第2の出力端子56との間に直列に接続され、フルブリッジ整流器の第1の入力端子58に接続される共通接続端子を有する第1の整流素子50および第2の整流素子52を有する。
【0054】
図6に示されるように、可動側整流器32は、フルブリッジ整流器32の第1の出力端子54と第2の出力端子56との間に直列に接続され、フルブリッジ整流器の第2の入力端子64に接続される共通接続端子を有する第3の整流素子60および第4の整流素子62を更に有する。
【0055】
図6に示されるように、可動側整流器は、第1の整流素子50と並列に接続される第1のスイッチング素子66を更に有する。
【0056】
図6に示されるように、可動側回路24での故障状態の発生時に第1の整流素子50がバイパスされると想定して、次いで、可動側整流器32への入力電流の正の半サイクルの間、電流は、図6の中央の図に示されるように流れる一方で、可動側整流器32への入力電流の負の半サイクルの間、図6の右の図に示されるように流れる。
【0057】
図6に示されるように、入力電流の正の半サイクルの間、電流は第1のスイッチング素子66、エネルギー貯蔵回路34および第4の整流素子62にわたって流れる。それ以外では、入力電流の負の半サイクルの間、電流は第3の整流素子60および第1のスイッチング素子66にわたって流れる。
【0058】
以上から、第1の整流素子50を短絡または同等にバイパスすることによって、フルブリッジモードからハーフブリッジモードへの可動側整流器における動作モードの変更が達成されて、第1のハーフブリッジ回路68を実現することが明白であるはずである。また、電流が常に第1のハーフブリッジ回路68の1つの整流素子、第1のスイッチング素子66および-正の半サイクルの間-エネルギー貯蔵回路34にわたって流れることになるので、可動側共振回路26の短絡ならびに可動側回路24における電圧および電流の関連する過剰な過渡挙動が回避され得る。
【0059】
図7は、本発明の第1の実施形態に係るフルブリッジモードからハーフブリッジモードへのおよびその逆への可動側整流器の動作モードの変更のための第2の例を示す。
【0060】
図7に示される可動整流回路32のための基本回路トポロジは、図6に関して上で概説されたものと同様であり、相違点は、第2の整流素子52に第2のスイッチング素子70が接続されることである。
【0061】
図7に示されるように、可動側回路24での故障状態の発生時に第2の整流素子52がバイパスされると想定して、次いで可動側整流器32への入力電流の正の半サイクルの間、電流は、図7の中央の図に示されるように流れる一方で、可動側整流器32への入力電流の負の半サイクルの間、図7の右の図に示されるように流れる。
【0062】
図7に示されるように、入力電流の正の半サイクルの間、電流は第2のスイッチング素子70および第4の整流素子62にわたって流れる。それ以外では、入力電流の負の半サイクルの間、電流は第3の整流素子60およびエネルギー貯蔵回路34、ならびに第2のスイッチング素子70にわたって流れる。
【0063】
以上から、第2の整流素子52を短絡または同等にバイパスすることによって、フルブリッジモードからハーフブリッジモードへの可動側整流器における動作モードの変更が達成されて、第2のハーフブリッジ回路72を実現することが明白であるはずである。更に、図7に示される例に従って達成される効果は、図6に関して上で説明されたのと同じである。
【0064】
図8は、本発明の第1の実施形態に係るフルブリッジモードからハーフブリッジモードへのおよびその逆への可動側整流器の動作モードの変更のための第3の例を示す。
【0065】
図8に示される可動整流回路32のための基本回路トポロジは、図6に関して上で概説されたものと同様であり、相違点は、第3の整流素子60に第3のスイッチング素子74が接続されることである。
【0066】
図8に示されるように、可動側回路24での故障状態の発生時に第3の整流素子60がバイパスされると想定して、次いで可動側整流器32への入力電流の正の半サイクルの間、電流は、図8の中央の図に示されるように流れる一方で、可動側整流器32への入力電流の負の半サイクルの間、図8の右の図に示されるように流れる。
【0067】
図8に示されるように、入力電流の正の半サイクルの間、電流は第1の整流素子50および第3のスイッチング素子74にわたって流れる。それ以外では、入力電流の負の半サイクルの間、電流は第3のスイッチング素子74、エネルギー貯蔵回路34および第2の整流素子52にわたって流れる。
【0068】
以上から、第3の整流素子60を短絡または同等にバイパスすることによって、フルブリッジモードからハーフブリッジモードへの可動側整流器における動作モードの変更が達成されて、第3のハーフブリッジ回路76を実現することが明白であるはずである。更に、図8に示される例に従って達成される効果は、図6に関して上で説明されたのと同じである。
【0069】
図9は、本発明の第1の実施形態に係るフルブリッジモードからハーフブリッジモードへのおよびその逆への可動側整流器の動作モードの変更のための第4の例を示す。
【0070】
図9に示される整流回路のための基本回路トポロジは、図6に関して上で概説されたものと同様であり、相違点は、第4の整流素子62に第4のスイッチング素子78が接続されることである。
【0071】
図9に示されるように、可動側回路24での故障状態の発生時に第4の整流素子62がバイパスされると想定して、次いで可動側整流器32への入力電流の正の半サイクルの間、電流は、図9の中央の図に示されるように流れる一方で、可動側整流器32への入力電流の負の半サイクルの間、図9の右の図に示されるように流れる。
【0072】
図9に示されるように、入力電流の正の半サイクルの間、電流は第1の整流素子50、エネルギー貯蔵ユニット34および第4のスイッチング素子78にわたって流れる。それ以外では、入力電流の負の半サイクルの間、電流は第4のスイッチング素子78および第2の整流素子52にわたって流れる。
【0073】
以上から、第4の整流素子62を短絡または同等にバイパスすることによって、フルブリッジモードからハーフブリッジモードへの可動側整流器における動作モードの変更が達成されて、第4のハーフブリッジ回路80を実現することが明白であるはずである。更に、図9に示される例に従って達成される効果は、図6に関して上で説明されたのと同じである。
【0074】
図10は、本発明の第1の実施形態に係るフルブリッジモードからハーフブリッジモードへのおよびその逆への可動側整流器の動作モードの変更に応じた固定側回路12および可動側回路24における電圧および電流の信号図を示す。
【0075】
図10に示されるように、図2に示される配置と比較して、本発明によれば、電圧および電流の過渡挙動は、有意に低減されたオーバーシュートを示し、したがって可動側回路24の回路素子への関連する負荷軽減を達成する。図10に示されるように、高電流も高電圧も発生されないので、可動整流回路32における電流ストレスは激しい短絡シナリオと比較して回避可能である。
【0076】
図11は、本発明の第1の実施形態に係るハーフブリッジモードからフルブリッジモードへのおよびその逆への可動側整流器32の動作モードの変更に応じた固定側回路12および可動側回路24における電圧および電流の信号図を示す。
【0077】
図11に示されるように、本発明は、可動側整流器32のための動作モードの変更がハーフブリッジモードからフルブリッジモードであるとき図10に示されたのと同様の結果に至る。
【0078】
更に、図11に示される例は、固定側コントローラ16が可動側回路24への電力供給の増加を検出してまたは可動側回路24での故障発生の通知を受信して次いで可動側回路24への無線電力伝達を遮断する、図5に関して上で例示されたシナリオに関連する。
【0079】
以下では、本発明の第2の実施形態に係る可動側整流器32における動作モードの変更のための種々の例が、可動側整流器がフルブリッジ回路トポロジを有すると想定して説明されることになる。図6から図9に関して上で例示された例に関する相違点は、後続の例では、可動側整流器32の動作モードの変更のために2つのスイッチング素子が設けられるということである。
【0080】
図12は、本発明の第2の実施形態に係るフルブリッジモードから極性反転を伴わないDCモードへのおよびその逆への可動側整流器32の動作モードの変更のための第1の例を示す。
【0081】
図12に示されるように、可動側整流器32は、第1の整流素子50と並列に接続される1つのスイッチング素子82および第4の整流素子62と並列に接続される1つのスイッチング素子84を備える。
【0082】
動作的に、可動側制御回路40は、可動側回路24での故障状態の発生時に第1の整流素子50と並列に接続されるスイッチング素子82および第4の整流素子62と並列に接続されるスイッチング素子84を同時に閉じるまたは開くように適合される。
【0083】
図12に示されるように、可動側回路24での故障状態の発生時に第1の整流素子50および第4の整流素子62がバイパスされると想定して、次いで可動側整流器32への入力電流の正の半サイクルの間、電流は、図12の中央の図に示されるように流れる一方で、可動側整流器32への入力電流の負の半サイクルの間、図12の右の図に示されるように流れる。
【0084】
図12に示されるように、入力電流の正の半サイクルの間、電流は、第1の整流素子50と並列に接続されるスイッチング素子82、エネルギー貯蔵回路34、および第4の整流素子62と並列に接続されるスイッチング素子84にわたって流れる。更に、入力電流の負の半サイクルの間、電流は、第4の整流素子62と並列に接続されるスイッチング素子84、エネルギー貯蔵回路34、および第1の整流素子50と並列に接続されるスイッチング素子82にわたって流れる。
【0085】
図13は、図12に示されるようなフルブリッジモードから極性反転を伴わないDCモードへの可動側整流器の動作モードの変更に対する等価概要図を示す。
【0086】
図13に示されるように、第2の動作モードをエネルギー貯蔵回路34にわたる電圧の極性反転を伴わないDCモードに変更するために、両スイッチング素子82および84をオンに切り替えることによって、負荷38への電力伝達は即時に遮断される。2次共振回路は、エネルギー貯蔵回路34の電圧に等しいDC電圧に接続される。任意選択で、無線送電システムの固定側回路12は、この事象を検出し、そして固定側回路12から可動側回路24への電力供給を停止する。
【0087】
図14は、本発明の第2の実施形態に係るフルブリッジモードから極性反転を伴うDCモードへのおよびその逆への可動側整流器の動作モードの変更のための第2の例を示す。
【0088】
図14に示されるように、可動側整流器32は、第2の整流素子52と並列に接続される1つのスイッチング素子86および第3の整流素子60と並列に接続される1つのスイッチング素子88を備える。
【0089】
動作的に、可動側制御回路40は、可動側回路24での故障状態の発生時に第2の整流素子52と並列に接続されるスイッチング素子86および第3の整流素子60と並列に接続されるスイッチング素子88を同時に閉じるまたは開くように適合される。
【0090】
図14に示されるように、可動側回路24での故障状態の発生時に第2の整流素子52および第3の整流素子60がバイパスされると想定して、次いで可動側整流器32への入力電流の正の半サイクルの間、電流は、図14の中央の図に示されるように流れる一方で、可動側整流器32への入力電流の負の半サイクルの間、図14の右の図に示されるように流れる。
【0091】
図14に示されるように、入力電流の正の半サイクルの間、電流は、第2の整流素子52と並列に接続されるスイッチング素子86、エネルギー貯蔵回路34、および第3の整流素子60と並列に接続されるスイッチング素子88にわたって流れる。更に、入力電流の負の半サイクルの間、電流は、第3の整流素子60と並列に接続されるスイッチング素子88、エネルギー貯蔵回路34、および第2の整流素子52と並列に接続されるスイッチング素子86にわたって流れる。
【0092】
図15は、図14に示されるようなフルブリッジモードから極性反転を伴うDCモードへの可動側整流器の動作モードの変更に対する等価概要図を示す。
【0093】
図15に示されるように、図12および図13に関して上で説明された本発明の第2の実施形態の第1の例と図14および図15に関して説明される本発明の第2の実施形態の第2の例との間の相違点は、エネルギー貯蔵回路34にわたる電圧が極性反転を伴って整流回路32の入力端子にマッピングされるDCモードである。また、ここでは、本発明の第2の実施形態の第1の例に対して上で概説されたのと同様の効果が本発明の第2の実施形態の第2の例に対して達成され得るように、可動側共振回路26は決して短絡されない。
【0094】
以下では、本発明の第3の実施形態に係る可動側整流器32における動作モードの変更のための種々の例が、可動側整流器がフルブリッジ回路トポロジを有すると想定して説明されることになる。図6から図9に関して上で例示された例に関する相違点は、後続の例では、可動側整流器32の動作モードの変更のために4つのスイッチング素子が設けられるということである。
【0095】
図16は、本発明の第3の実施形態に係るフルブリッジモードから逆相モードへのおよびその逆への可動側整流器32の動作モードの変更のための一例を示す。
【0096】
図16に示されるように、本発明の第3の実施形態によれば、可動側整流器32は、第1の整流素子50と並列に接続される1つのスイッチング素子90、第2の整流素子52と並列に接続される1つのスイッチング素子92、第3の整流素子60と並列に接続される1つのスイッチング素子94、および第4の整流素子62と並列に接続される1つのスイッチング素子96を有する。
【0097】
動作的に、可動側制御回路40は、可動側共振回路26からの電流の負のサイクルの間、同時に、第1の整流素子50と並列に接続されるスイッチング素子90および第4の整流素子62と並列に接続されるスイッチング素子96を閉じ、かつ第2の整流素子52と並列に接続されるスイッチング素子92および第3の整流素子60と並列に接続されるスイッチング素子94を開くことによって逆相モードを実装するように適合される。
【0098】
更に、動作的に、可動側制御回路40は、可動側共振回路26からの電流の正のサイクルの間、同時に、第2の整流素子52と並列に接続されるスイッチング素子92および第3の整流素子60と並列に接続されるスイッチング素子94を閉じ、かつ第1の整流素子50と並列に接続されるスイッチング素子90および第4の整流素子62と並列に接続されるスイッチング素子96を開くことによって逆相モードを実装するように適合される。
【0099】
図16に示されるように、可動側回路24での故障状態の発生時に第1の整流素子50および第4の整流素子62がバイパスされると想定して、次いで可動側整流器32への入力電流の負の半サイクルの間、電流は、図16の中央の図に示されるように流れる一方で、可動側整流器32への入力電流の正の半サイクルの間、図16の右の図に示されるように流れる。
【0100】
図16に示されるように、入力電流の負の半サイクルの間、電流は、第1の整流素子50と並列に接続されるスイッチング素子90、エネルギー貯蔵回路34、および第4の整流素子62と並列に接続されるスイッチング素子96にわたって流れる。更に、入力電流の正の半サイクルの間、電流は、第3の整流素子60と並列に接続されるスイッチング素子94、エネルギー貯蔵回路34、および第2の整流素子52と並列に接続されるスイッチング素子92にわたって流れる。
【0101】
図17は、可動側整流器への入力電流の負のサイクルに対する図16に示されるようなフルブリッジモードから逆相モードへの可動側整流器の動作モードの変更に対する等価概要図を示す。
【0102】
図17に示されるように、可動側回路24での故障状態の発生の場合、4つのスイッチング素子90、92、94、96は、電流i_2,hfと比較した180°移相を有する電圧u_2,hfを生成する、すなわち電流i_2,hfの負の半サイクルの間、正の電圧u_2,hfを生成する。したがって、固定側にエネルギーが逆伝達されることになり、固定側コントローラ16がこの事象を検出し、そして可動側共振回路26への、したがって可動側回路24への電力の供給を停止し得る。
【0103】
図18は、可動側整流器への入力電流の正のサイクルに対する図16に示されるようなフルブリッジモードから逆相モードへの可動側整流器の動作モードの変更に対する等価概要図を示す。
【0104】
図18に示されるように、可動側回路24での故障状態の発生の場合、4つのスイッチング素子90、92、94、96は、電流i_2,hfと比較した180°移相を有する電圧u_2,hfを生成する、すなわち電流i_2,hfの正の半サイクルの間、負の電圧u_2,hfを生成する。したがって、電流i_2,hfの正の半サイクルの間も、固定側にエネルギーが逆伝達されることになる。再び、固定側コントローラ16は、可動側回路24への電力の供給を停止し得る。
【0105】
本発明によれば、電圧u_2,hfと電流i_2,hfとの間の移相が180°の値に限定されないことが留意されるべきである。一般に、本発明によれば、可動側コントローラ40は、180°±30°の範囲にある電流i_2,hfと比較した移相を有する電圧u_2,hfを生成するようにスイッチング素子90、92、94、96を制御するように適合され得る。代替として、移相は、180°±30°の範囲と比較して可動側回路への電力伝達低下に至る一方、同時に関連する回路素子へのストレスを軽減する90°±30°の範囲にあり得る。
【0106】
以下では、本発明の第4の実施形態に係る可動側整流器32における動作モードの変更のための一例が、可動側整流器がハーフブリッジ回路トポロジを有すると想定して説明されることになる。
【0107】
図19は、本発明の第4の実施形態に係る可動側での故障の発生時のハーフブリッジモードから極性反転を伴わないDCモードへのおよびその逆への可動側整流器の動作モードの変更例を示す。
【0108】
図19に示されるように、本発明の第4の実施形態によれば、可動側整流器(32)はハーフブリッジ整流器であり、第1の整流素子98および第2の整流素子100であって、ハーフブリッジ整流器の第1の出力端子102と第2の出力端子104との間に直列に接続され、ハーフブリッジ整流器の第1の入力端子106に接続される共通接続端子を有し、かつ共通接続点と異なる第2の整流素子の接続端子がハーフブリッジ整流器の第2の入力端子108に接続される、第1の整流素子および第2の整流素子を有する。更に、本発明の第4の実施形態によれば、第1の整流素子98と並列に1つのスイッチング素子110が接続される。
【0109】
第4の実施形態によれば、動作的に可動側制御回路40は、第1の整流素子98と並列に接続されるスイッチング素子110を閉じて、第2の動作モードをエネルギー貯蔵回路34にわたる電圧の極性反転を伴わないDCモードに変更するように適合される。
【0110】
図19に示されるように、可動側回路24での故障状態の発生時にハーフブリッジ整流器の第1の整流素子98がバイパスされると想定して、次いで可動側整流器32への入力電流の正の半サイクルの間、電流は、図19の中央の図に示されるように流れる一方で、可動側整流器32への入力電流の負の半サイクルの間、図19の右の図に示されるように流れる。すなわち、どちらの場合も、電流は、異なる方向に沿ってではあるが、スイッチング素子110およびエネルギー貯蔵回路34にわたって流れることになる。
【符号の説明】
【0111】
10 無線送電システム
12 固定側回路
14 固定側DC/ACコンバータ
16 固定側コントローラ
18 固定側共振回路
20 固定側コンデンサ
22 送信用コイル
24 可動側回路
26 可動側共振回路
28 受信用コイル
30 可動側コンデンサ
32 可動側整流器
34 エネルギー貯蔵回路
36 スイッチ
38 負荷
40 可動側コントローラ
42 可動側故障検出器
44 無線通信リンク
46 可動側通信インタフェース
48 固定側通信インタフェース
50 第1の整流素子
52 第2の整流素子
54 第1の出力端子
56 第2の出力端子
58 第1の入力端子
60 第3の整流素子
62 第4の整流素子
64 第2の入力端子
66 第1のスイッチング素子
68 第1のハーフブリッジ回路
70 第2のスイッチング素子
72 第2のハーフブリッジ回路
74 第3のスイッチング素子
76 第3のハーフブリッジ回路
78 第4のスイッチング素子
80 第4のハーフブリッジ回路
82 スイッチング素子
84 スイッチング素子
86 スイッチング素子
88 スイッチング素子
90 スイッチング素子
92 スイッチング素子
94 スイッチング素子
96 スイッチング素子
98 第1の整流素子
100 第2の整流素子
102 第1の出力端子
104 第2の出力端子
106 第1の入力端子
108 第2の入力端子
110 スイッチング素子
図1
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