(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】積層ラッパーを備えるエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
A24D 1/20 20200101AFI20231211BHJP
A24D 1/02 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
A24D1/20
A24D1/02
(21)【出願番号】P 2021520359
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(86)【国際出願番号】 EP2019083705
(87)【国際公開番号】W WO2020115150
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-04-13
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ラヴァンシー フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ジョルディル イヴ
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/047389(WO,A1)
【文献】特表2016-538863(JP,A)
【文献】特表2017-502656(JP,A)
【文献】特表2016-524913(JP,A)
【文献】特表2018-516565(JP,A)
【文献】特表2015-510399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/00- 3/18
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品であって、
エアロゾル形成基体であって、前記エアロゾル形成基体が、植物材料カットフィラーを含み、前記植物材料カットフィラーが、植物材料の総重量当たり少なくとも25パーセントの植物ラミナを含み、前記エアロゾル形成基体が、約6パーセント~約20パーセントのエアロゾル形成体をさらに含む、エアロゾル形成基体と、
前記エアロゾル形成基体の周りに少なくとも部分的に巻かれて配設された積層ラッパーであって、前記積層ラッパーが、熱伝導性層および熱絶縁層を含む、積層ラッパーと、を備え、
前記積層ラッパーが、30マイクロメートル~100マイクロメートルの厚さを有し、
前記熱伝導性層および前記熱絶縁層が、前記エアロゾル発生物品の軸方向に沿って重な
り、
前記エアロゾル発生物品は、前記エアロゾル形成基体を含有する基体部分と、フィルター部分とを備え、
前記積層ラッパーが、前記基体部分のみを覆う、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記積層ラッパーが、前記熱伝導性層のみが配設されている少なくとも一つの加熱領域を含む、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記加熱領域が環状形状を有する、請求項2に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記熱伝導性層が、アルミニウム、スズ、および銅のうちの一つ以上を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記熱絶縁層が、一つ以上の紙を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記積層ラッパーが、50マイクロメートル~70マイクロメートルの厚さを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記熱伝導性層が、4マイクロメートル~25マイクロメートルの厚さを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記熱絶縁層が、25マイクロメートル~75マイクロメートルの厚さを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記熱絶縁層が、前記熱伝導性層を囲むように配設される、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記エアロゾル発生物品が、非対称プロファイルを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記積層ラッパーが、前記エアロゾル発生物品の前記軸方向に互いに重なる複数の熱伝導性層を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記熱伝導性層が、穴、リング形状、らせん形状、幅の変化を有するらせん形状、軸方向の変動、および半径方向の厚さの変化のうちの一つ以上を含む、請求項1~11いずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
前記エアロゾル発生物品が、前記エアロゾル形成基体の下流に管状フィルターセクションをさらに含み、前記熱伝導性層が、前記管状フィルターセクションの周りに少なくとも部分的に巻かれて配設される、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生物品、エアロゾル発生装置、およびエアロゾル発生物品を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吸入可能なエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置を提供することが知られている。こうした装置は、エアロゾル形成基体を燃焼することなく、エアロゾル発生物品に含有されたエアロゾル形成基体を加熱しうる。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中にエアロゾル発生物品を挿入するためにロッド形状を有してもよい。発熱体は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中に挿入された後に、エアロゾル形成基体を加熱するために、加熱チャンバー中またはその周りに配設されうる。
【0003】
こうした装置が妥当な量の材料を放出して許容可能なエアロゾルの形成を可能にするために必要な温度は燃焼よりも著しく低いが、すべての基体が、エアロゾル形成基体の燃焼温度を下回る所定の温度で、十分な量の材料を放出して適切なエアロゾルを形成するのに適しているわけではない。したがって、低温での材料の放出を可能にするために、精巧なエアロゾル形成基体が開発されてきた。今日、これは、例えば製紙またはキャスティングプロセスを使用して、たばこ葉を人工的な均質化したたばこシートに変換することによって達成される。
【0004】
しかしながら、燃焼を下回る温度での許容可能なエアロゾルの発生を可能にするために、しばしば比較的多くの量のエアロゾル形成体が使用され、典型的には、温度が低いほど、より多くのエアロゾル形成体が必要となる。多くの量のエアロゾル形成体の存在は、意図しない結果、特にエアロゾル発生物品のラッパーの汚れをもたらす。
【0005】
したがって、単純な構造を有し、かつ低温でのエアロゾル発生を可能にするエアロゾル発生物品を提供することが望ましい。さらに、より自然な外観および味を有する、いわゆる“加熱非燃焼式”物品を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第一の態様によると、エアロゾル形成基体および積層ラッパーを備えるエアロゾル発生物品が提供されている。エアロゾル形成基体は、植物材料カットフィラーを含み、植物材料カットフィラーは、植物材料の総重量当たり少なくとも25パーセントの植物ラミナを含み、エアロゾル形成基体は、約6パーセント~約20パーセントのエアロゾル形成体をさらに含む。積層ラッパーは、少なくとも部分的にエアロゾル形成基体の周りに巻かれる。積層ラッパーは、熱伝導性層および熱絶縁層を含む。熱伝導性層および熱絶縁層は、エアロゾル発生物品の軸方向に沿って重なる。
【0007】
有利なことに、天然植物材料ラミナを使用することによって、エアロゾル発生物品のより自然な味および外観が達成されうる。用語「ラミナ」は、茎のない植物の葉身の部分を指す。
【0008】
エアロゾル形成基体はカットフィラーを含むことが好ましい。本文書では、「カットフィラー」は、細かく切られた植物材料、特に葉ラミナ、加工された茎およびリブ、均質化した植物材料、例えば、キャスティングまたは製紙プロセスを使用してシート形態に作られたものなどのブレンドを指すために使用される。カットフィラーはまた、その他のカット後のフィラーたばこまたはケーシングを含んでもよい。本発明の好ましい実施形態によれば、カットフィラーは、少なくとも25パーセントの植物葉ラミナ、より好ましくは少なくとも50パーセントの植物葉ラミナ、さらにより好ましくは少なくとも75パーセントの植物葉ラミナ、最も好ましくは少なくとも90パーセントの植物葉ラミナを含む。植物材料は、たばこ、ミント、茶、およびクローブのうちの一つであることが好ましいが、本発明は、その後エアロゾルを形成することができる熱を適用した時に物質を放出する能力を有するその他の植物材料にも等しく適用可能であることが好ましい。
【0009】
たばこ植物材料は、ブライトたばこラミナ、ダークたばこ、アロマティックたばこ、およびフィラーたばこのうちの一つ以上のラミナを含むことが好ましい。ブライトたばこは、一般的に大きく、明るい色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「ブライトたばこ」という用語は熱風送管乾燥処理されたたばこに対して使用される。ブライトたばこの例としては、中国産の熱風送管乾燥処理されたたばこ、ブラジル産の熱風送管乾燥処理されたたばこ、米国産の熱風送管乾燥処理されたたばこ(バージニアたばこなど)、インド産の熱風送管乾燥処理されたたばこ、タンザニア産の熱風送管乾燥処理されたたばこ、または他のアフリカ産の熱風送管乾燥処理されたたばこが挙げられる。ブライトたばこは、糖対窒素の比が高いことによって特徴付けられる。感覚的な見方からは、ブライトたばこは乾燥処理後に、スパイスが効いていて活気のある感覚を伴うたばこタイプである。本発明によると、ブライトたばこは、還元糖の含有量が葉の乾燥重量基準で約2.5パーセント~約20パーセントであり、かつ総アンモニア含有量が葉の乾燥重量基準で約0.12パーセント未満であるたばこである。還元糖には、例えばグルコースまたはフルクトースが含まれる。総アンモニアには、例えばアンモニアおよびアンモニア塩が含まれる。ダークたばこは、一般的に大きく暗い色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「ダークたばこ」という用語は空気乾燥処理したたばこに対して使用される。さらに、ダークたばこは発酵していてもよい。主として噛みタバコ、嗅ぎたばこ、葉巻たばこ、およびパイプブレンド用に使用されるたばこもこの範疇に含まれる。典型的には、これらのダークたばこは、空気乾燥処理され、発酵される可能性がある。感覚的な見方からは、ダークたばこは、乾燥処理後、スモーキーでダークシガータイプの感覚を伴うたばこタイプである。ダークたばこは糖対窒素の比が低いことによって特徴付けられる。ダークたばこに対する例は、バーレーマラウイまたは他のアフリカンバーレー、乾燥処理したダークブラジルガルパオ、日光乾燥処理または空気乾燥処理したインドネシアカストリ(Kasturi)である。本発明によると、ダークたばこは、還元糖の含有量が葉の乾燥重量基準で約5パーセント未満であり、かつ総アンモニア含有量が葉の乾燥重量基準で最高約0.5パーセントであるたばこである。アロマティックたばこは、しばしば小さい明るい色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「アロマティックたばこ」という用語は、芳香成分含有量、例えば精油の含有量が高いその他のたばこに対して使用される。感覚的な見方からは、アロマティックたばこは、乾燥処理後、スパイスが効いていて芳しい感覚を伴うたばこタイプである。アロマティックたばこの例には、グリークオリエント、オリエントターキー、セミオリエントたばこであるが火力乾燥処理されたたばこ、ペリクなどのUSバーレー、ルスティカ、USバーレーまたはメリーランドがある。フィラーたばこは具体的なたばこタイプではないが、ブレンドで使用され、かつ最終生成物に特定の特徴的な芳香の方向性をもたらさないその他のたばこタイプを補完するために主に使用されるたばこタイプを含む。フィラーたばこの例は、他のたばこタイプの茎、中央脈、または葉柄である。具体的な例は、ブラジル産の熱風送管乾燥葉柄下部の熱風送管乾燥処理された茎でありうる。
【0010】
しかしながら、カットフィラーに多くの量の天然葉を使用するためには、特に低温で多量のエアロゾル形成体が必要となる。本発明によれば、高いエアロゾル形成体含有量に起因する汚れの出現を防止する特別なラッパーが提供される。特に、例えば金属などの熱伝導性材料が、汚れの出現を非常に良好に防ぐことが見出された。その点に関して、エアロゾル形成基体に対する熱伝導性層の配向に関係なく、すなわち、熱伝導性層がエアロゾル形成基体に向かって面しているかどうか、または熱伝導性層がエアロゾル形成基体から離れるように面しているかどうかに関係なく、好都合なことに、汚れが防止されうることが見出された。
【0011】
さらに、好都合なことに、熱伝導性層は、エアロゾル発生物品内のエネルギー分布に有益に寄与しうることが見出された。積層ラッパーに熱伝導性層を提供することによって、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の均一な加熱が達成されうる。この点に関して、エアロゾル発生物品は、以下により詳細に説明するエアロゾル発生装置と一緒に使用されうる。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を加熱するための発熱体を備えうる。発熱体は、この目的のために熱を放射する。積層ラッパーの熱伝導性層を提供することにより、発熱体によって放射された熱が積層ラッパー全体に均一に分布されうる。積層ラッパーは少なくとも部分的にエアロゾル形成基体の周りに配設されているため、熱伝導性層は、エアロゾル発生基体の均一な加熱を助けうる。
【0012】
熱絶縁層は、エアロゾル形成基体からエアロゾル発生物品の周囲に熱が漏れ出るのを防止しうる。さらに、熱絶縁層は、積層ラッパーの構造的安定性を提供しうる。熱絶縁層は、熱絶縁層のための支持体として作用しうる。
【0013】
熱伝導性層と熱絶縁層との組み合わせは、例えば、ピンまたはブレードを用いて、エアロゾル発生物品内からエアロゾル形成基体を加熱するのに特に有益である。本発明によれば、熱伝導性層および熱絶縁層は、エアロゾル発生物品の軸方向に沿って重なる。軸方向は、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に沿った方向である。典型的には、エアロゾル発生物品はロッド形状を有しうる。この場合、軸方向はロッドの延長部に沿う。用語「重なる」とは、積層ラッパーの少なくとも一部分が、半径方向に、熱絶縁層に隣接して配設される熱伝導性層を含み、積層ラッパーの少なくとも異なる一部分が、半径方向に、熱伝導性層のみまたは熱絶縁層のみを含むことを意味する。言い換えれば、積層ラッパーの少なくとも一部分が、熱伝導性層のみまたは熱絶縁層のみを含み、積層ラッパーの少なくとも異なる一部分が、熱伝導性層および熱絶縁層の両方を含む。さらに言い換えれば、熱伝導性層の一部が、熱絶縁層によって覆われないか、またはこれを覆わない、またはその両方である。
【0014】
有利なことに、本発明は、複数の異なる構造におけるエアロゾルの形成に有益でありうる:
- 熱源が、エアロゾル発生物品内にあり(例えば、加熱ブレードまたはピン)、金属層がエアロゾル発生基体に向かって面している場合。こうした構造では、熱伝導性層は、熱源から放射された熱の一部を吸収し、その近くのエアロゾル発生基体を加熱しうる。これは、エアロゾル発生基体全体にわたって滑らかな平均温度を生成しうる。
- 熱源が、エアロゾル発生物品内にあり(例えば、加熱ブレードまたはピン)、金属層がエアロゾル発生基体に向かって面している場合。エアロゾル形成体含有量が高いことに起因して、エアロゾル形成体は、特に、紙、綿、ガラス繊維、ビスコースまたはその他の類似の材料で作製された場合、絶縁層を浸漬する可能性が高い。これは次に、熱伝導性層が加熱され、熱伝導性層に向かって吸い出されるエアロゾル形成体を気化する際にウィッキング効果を生じうる。
- 熱源がエアロゾル発生物品の外側にあり、金属層がエアロゾル発生基体に向かって面している場合。この構造でも、熱伝導性層は、熱源からの熱を吸収し、熱伝導性層と接触しているエアロゾル形成基体に直接熱を放射しうる。このように、熱伝導性層が存在しない実施形態と比較して、熱はエアロゾル形成基体の近くに集中しており、熱は、おそらく対応する紙ラッパーを通って熱源から物品に透過する必要がある。
- 熱源がエアロゾル発生物品の外側にあり、金属層がエアロゾル発生基体に向かって面している場合。この構造は、上述のウィッキングと同じ利点を有しうるが、熱源から熱伝導性層への伝達が中断されにくいという追加的利点を有する。
【0015】
積層ラッパーの少なくとも一部分は、熱伝導性層を含むことが好ましい。積層ラッパーのこの部分は、加熱に使用されうる。この部分は、加熱領域とも呼ばれうる。言い換えれば、積層ラッパーのこの部分は、積層ラッパーのこの部分が最適に加熱されうるように、以下でより詳細に説明する発熱体に近接して配設されうる。積層ラッパーのこの部分で熱絶縁層を省略または低減することは、熱が熱伝導性層および熱伝導性層によって巻かれたエアロゾル形成基体に最適に到達できるという利点を有する。積層ラッパーのこの部分に熱絶縁層を提供することは、熱が、エアロゾル形成基体および熱伝導性層に最適に到達するのを妨げることになる。しかしながら、積層ラッパーの異なる部分に熱絶縁層を提供することは、発熱体から熱伝導性層へ、そしてエアロゾル形成基体へと伝達された熱が、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体内部に留まることを達成する。熱絶縁層を含む積層ラッパーの一部分は、熱伝導性層のみを含む積層ラッパーの一部分と比較して発熱体から距離を置いて配設された積層ラッパーの一部分であることが好ましい。
【0016】
積層ラッパーは、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の全周の周りに巻かれてもよい。別の方法として、積層ラッパーは、所望の場合、エアロゾル形成基体の周りに完全に巻かれなくてもよい。よって、積層ラッパーは、エアロゾル形成基体の周囲を部分的にのみ覆ってもよい。追加のラッパーが、エアロゾル発生物品の周りを包装するように配設されてもよい。具体的には、積層ラッパーが、エアロゾル形成基体の周囲を部分的にしか覆っていない場合、エアロゾル発生物品を完全に覆うために追加的なラッパーが提供されてもよい。
【0017】
ラッパーに関する用語「積層」は、少なくとも二つの層が、好ましくは熱、圧力、溶接、または接着剤によって永久的に一緒に組み立てられているラッパーを意味する。二つの層は、熱絶縁層および熱伝導性層であることが好ましい。積層ラッパーは、所望の場合、さらなる層を含みうる可能性がある。しかしながら、熱伝導性層は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体に直接隣接して配設されることが好ましい。熱絶縁層は、熱伝導性層に直接隣接して配設されることが好ましい。積層ラッパーは、熱伝導性層および熱絶縁層からなることが好ましい。
【0018】
積層ラッパーは、絶縁層がない、または低減されて配設されている、少なくとも一つの加熱領域を含みうる。加熱領域は、加熱スポットとも呼ばれうる。積層ラッパーの一部分に熱伝導性層のみを提供することにより、加熱エネルギーが熱伝導性層およびエアロゾル発生物品の内側のエアロゾル形成基体に最適に伝達されうる、加熱領域が可能になる。エアロゾル発生物品の外側からエアロゾル形成基体への熱の伝達は、加熱領域内の積層ラッパーの熱伝導性層によって補助されうる。積層ラッパーは、加熱領域に隣接して、熱伝導性層および熱絶縁層を含むことが好ましい。熱伝導性層は、熱絶縁層の内側に配設されることが好ましい。言い換えれば、熱伝導性層は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体に半径方向に直接隣接して配設されることが好ましい。熱絶縁層は、熱伝導性層の周りに巻かれて配設されることが好ましい。加熱領域内で熱伝導性層に適用された熱は、熱伝導性層内を軸方向に沿って移動しうる。この熱はまた、エアロゾル形成基体がその中に提供されるエアロゾル発生物品の内側に半径方向に移動する。一方で、熱絶縁層によって覆われる熱伝導性層の一部分では、熱伝導性層の熱は、熱絶縁層によって絶縁されうる。よって、熱伝導性層内の熱は、主に、熱伝導性層の内側に軸方向および半径方向内向きに移動するが、半径方向外向きには移動しない。
【0019】
熱伝導性層のみがエアロゾル発生基体を包装するように提供されている、単一の加熱領域が提供されてもよい。別の方法として、複数の加熱領域が提供されてもよい。それぞれの加熱領域において、熱伝導性層のみがエアロゾル発生基体を囲むように提供されることが好ましい。加熱領域領域間、または加熱領域に隣接した積層ラッパーの一部分において、積層ラッパーは、熱伝導性層の周りを包装する熱絶縁層を追加的に含むことが好ましい。エアロゾル発生装置に関して以下でより詳細に説明するように、複数の加熱領域を、エアロゾル発生装置の発熱体の異なる加熱レジームに使用してもよい。よって、エアロゾル形成基体の複数のセクションは、複数の加熱領域によって同時に加熱されうる。別の方法として、または追加的に、異なる加熱領域の連続的な加熱が実現されてもよい。
【0020】
加熱領域は、環状形状を有してもよい。環状形状とは、エアロゾル形成基体の周囲の周り全体に延びる形状を意味する。環状形状とは、加熱領域において、エアロゾル形成基体の円筒形の外側セクションが、積層ラッパー、より具体的には、積層ラッパーの熱伝導性層によって囲まれていることを意味する。有利なことに、加熱領域の環状形状は、エアロゾル形成基体の均一な周囲加熱を達成する。言い換えれば、加熱領域の環状形状は、リング形状の加熱領域を生成しうることが好ましい。
【0021】
熱伝導性層は、アルミニウム、スズおよび銅のうちの一つ以上を含みうる。これらの材料は、高い熱伝導性を有する。よって、これらの材料は、エアロゾル発生物品の内側に配設されたエアロゾル形成基体に向かって熱を最適に伝達しうる。さらに、熱伝導性層内の軸方向の熱伝達は、高い熱伝導性を有する材料を提供することによって最適化されうる。さらに、エアロゾル発生物品の燃焼は、熱伝導性層のこれらの材料によって防止されうる。この点に関して、本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体を加熱して吸入可能なエアロゾルを生成するが、燃焼しない加熱非燃焼式装置に使用されうる。エアロゾル形成基体の燃焼を防止することは、望ましくないエアロゾル成分の形成を防止する。ユーザーは、誤って、または意図的に、エアロゾル発生物品を点火する場合がある。熱伝導性層の材料によって、こうした望ましくない点火を防止することができうる。言い換えれば、熱伝導性層は気密性でありうる。その結果として、有利なことに、本発明のエアロゾル発生物品の安全な取り扱いが改善され、意図しない様態でのエアロゾル発生物品の使用が防止されうる。
【0022】
本発明と共に使用するのに適したカットフィラーは、一般に、従来の喫煙物品に使用されるカットフィラーに類似していてもよい。カットフィラーのカット幅は、0.3ミリメートル~2.0ミリメートルであることが好ましく、カットフィラーのカット幅は0.5ミリメートル~1.2ミリメートルであることがより好ましく、カットフィラーのカット幅は0.6ミリメートル~0.9ミリメートルであることが最も好ましい。カット幅は、物品の基体部分内側の熱の分布に役割を果たしうる。また、カット幅は、物品の引き出し抵抗に役割を果たしうる。さらに、カット幅は、基体部分の全体的密度に影響を与えうる。
【0023】
ストランドの長さはストランドが切断される物体の全体的なサイズに依存するため、カットフィラーのストランド長さはある程度ランダムな値である。それにもかかわらず、切断前に材料をコンディショニングすることによって、例えば、材料の水分含量および全体的な繊細さを制御することによって、より長いストランドを切断することができる。ストランドは、ストランドが基体セクションに形成される前に、約10ミリメートル~約40ミリメートルの長さを有することが好ましい。明らかに、ストランドが、セクションの長軸方向の延長部分が40ミリメートル未満である長軸方向の基体セクションに配設されている場合、最終基体セクションは、初期ストランド長さよりも平均的に短いストランドを含んでもよい。カットフィラーのストランド長さは、約20パーセント~60パーセントのストランドが基体部分の全長に沿って延びるようなものであることが好ましい。これは、ストランドが基体セクションから容易に外れるのを防ぐ。
【0024】
好ましい実施形態では、エアロゾル形成基体の重量は、80ミリグラム~400ミリグラム、好ましくは150ミリグラム~250ミリグラム、より好ましくは170ミリグラム~220ミリグラムである。この量のエアロゾル形成は、典型的には、エアロゾルの形成のための十分な材料を可能にする。加えて、直径およびサイズに関する前述の制約に照らして、これは、エネルギー取り込みと、引き出し抵抗と、基体が植物材料を含む基体セクション内の流体通路の間のエアロゾル形成基体のバランスのとれた密度を可能にする。
【0025】
本発明によれば、エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成体で浸漬される。エアロゾル形成基体の浸漬は、噴霧またはその他の適切な適用方法によって行うことができる。エアロゾル形成体は、カットフィラーの調製中にブレンドに適用されうる。例えば、エアロゾル形成体は、直接コンディショニングケーシング円筒(DCCC)中のブレンドに適用されてもよい。エアロゾル形成体をカットフィラーに適用するために、従来の機械を使用することができる。エアロゾル形成体は、使用時に密度の高い安定したエアロゾルの形成を促進する、任意の適切な既知の化合物または化合物の混合物とすることができる。エアロゾル形成体は、エアロゾル発生物品の使用中に典型的に適用される温度において、エアロゾルが熱分解に対して実質的に耐性であることを促進しうる。適切なエアロゾル形成体は例えば、多価アルコール(例えば、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、プロピレングリコールおよびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(例えば、グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、モノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(例えば、ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)、およびそれらの組み合わせである。
【0026】
エアロゾル形成体は、グリセリンおよびプロピレングリコールのうちの一つ以上を含んでもよい。エアロゾル形成体は、グリセリンもしくはプロピレングリコール、またはグリセリンおよびプロピレングリコールの組み合わせから成りうる。
【0027】
エアロゾル形成体の量は、エアロゾル形成基体の乾燥質量基準で6重量パーセント~20重量パーセントであることが好ましく、エアロゾル形成体の量は、エアロゾル形成基体の乾燥質量基準で8重量パーセント~18重量パーセントであることがより好ましく、エアロゾル形成体の量は、エアロゾル形成基体の乾燥質量基準で10重量パーセント~15重量パーセントであることが最も好ましい。一部の実施形態では、エアロゾル形成体の量は、エアロゾル形成基体の乾燥質量基準で約13重量パーセントの目標値を有する。エアロゾル形成体の最も効率的な量は、エアロゾル形成基体が植物ラミナを含むかまたは均質化した植物材料を含むかどうかにも依存する。例えば、他の要因の中でも特に、基体のタイプは、エアロゾル形成体が、エアロゾル形成基体からの物質の放出を促進できる程度を決定する。
【0028】
本発明のエアロゾル形成基体は、公知のたばこキャストリーフ(TCL)シートよりも低温でエアロゾルを発生する。エアロゾル形成体は、カットフィラーに含浸されており、したがって、カットフィラーの外面上に提供されているため、より低温でもエアロゾルを発生するのには既に十分である。また、カットフィラーブレンドに含まれるニコチンおよび風味は、カットフィラーの天然の内部構造に従ってより容易に分解され、エアロゾル形成体が吸入可能なエアロゾルを発生するのに利用可能になる。それとは対照的に、人工的に生成されたたばこキャストリーフシートは、表面への活性成分の移動を妨げうる、むしろ無秩序な内部構造を有する。
【0029】
これらの理由から、本発明のエアロゾル発生物品において利用されるエアロゾル形成基体は、たばこキャストリーフシートを使用するこれまでに使用されてきた消耗品よりも比較的低温で十分な量のエアロゾルを効率的に発生することができうる。加熱チャンバー内の150℃~200℃の温度は、本発明のエアロゾル形成基体が十分な量のエアロゾルを発生するのに十分であり、一方でタバコキャストリーフシートを使用するエアロゾル発生装置では、典型的に約250℃の温度が用いられうる。
【0030】
より低い温度で動作することに関連する本発明のさらなる利点は、エアロゾルを冷却することが減少する要件ではないということである。概して低温が使用されるため、より単純な冷却機能で十分でありうる。これは、次に、エアロゾル発生物品のより単純で複雑性の低い構造の使用を可能にする。
【0031】
従って、有利なことに、本発明のエアロゾル発生物品は、追加のセグメントまたはセクションなしに、エアロゾル形成基体が提供される基体部分だけを備える。こうした実施形態は、特に単純な構造を有するものとなる。
【0032】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体を含有する基体部分と、フィルター部分とを備えうる。フィルター部分は、基体部分の下流に配設されることが好ましい。基体部分は、フィルター部分に直接的に当接して配設されてもよい。フィルター部分は、例えば、中空の管状フィルター部分、好ましくは、中空アセテート管(HAT)、微細中空アセテート管(FHAT)、または中央の厚紙管の周りに巻かれたトウのプラグを含んでもよく、そのすべての構造はフィルター要素の製造から知られている。フィルター部分は、中空中央空間を含むことが好ましい。
【0033】
所望の場合、または必要とされる場合、例えば、エアロゾル発生物品の十分高い引き出し抵抗を達成するために、追加的なフィルターセクションが、エアロゾル発生物品に含まれてもよい。こうした追加的なフィルターセクションは、基体部分と口側端部分との間に含まれうることが好ましい。こうした追加的なフィルターセクションは、例えば、酢酸セルロースなどの濾過材料を含むことが好ましい。追加的なフィルターセクションの長さは、約4ミリメートル~約8ミリメートルであることが好ましく、約5ミリメートル~約7ミリメートルであることが好ましい。追加的なフィルターセクションと中空管状フィルター部分の組み合わされた長さは、約10ミリメートル~約18ミリメートルであることが好ましく、13ミリメートルであることが好ましい。
【0034】
本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、本発明によるエアロゾル発生物品の構成要素または構成要素の部分の、エアロゾル発生物品の使用中の、エアロゾル発生物品を通して引き出された空気の方向に対する相対的な位置を説明するために使用される。
【0035】
積層ラッパーは、基体部分、または基体部分およびフィルター部分を覆うように提供されてもよい。積層ラッパーは、基体部分を少なくとも部分的に覆ってもよい。別の方法として、積層ラッパーは、基体部分を完全に覆ってもよい。別の方法として、積層ラッパーは、基体部分を部分的に覆い、かつフィルター部分を部分的に覆ってもよい。別の方法として、積層ラッパーは、基体部分を覆うか、または完全に覆い、かつフィルター部分を部分的に覆う、または基体部分を部分的に覆い、かつフィルター部分を完全に覆ってもよい。
【0036】
積層ラッパーは、エアロゾル基体部分の20ミリメートル~35ミリメートルの長さを覆ってもよい。エアロゾル発生物品がフィルター部分を備える場合、積層ラッパーは、エアロゾル発生物品の20ミリメートル~50ミリメートルの長さを覆ってもよい。積層ラッパーは、エアロゾル形成基体の長さの少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%を覆ってもよい。
【0037】
積層ラッパーがフィルター部分を少なくとも部分的に覆うように提供される場合、最適化された熱絶縁がフィルター部分に提供されうる。この点に関して、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を含有する基体部分を加熱することによって発生されるエアロゾルは、フィルター部分の端部に向かって引き出されうる。フィルター部分を絶縁することは、エアロゾルがフィルター部分を通って流れる間のエアロゾルの維持を最適化し得る。この効果は、特に、積層ラッパーの熱絶縁層によって達成されうる。さらに、積層ラッパーの熱伝導性層は、フィルター部分の周囲に向かって熱を伝達しうる。この熱は、フィルター部分におけるエアロゾルの維持を最適化し、またはフィルター部分におけるエアロゾルの生成にも役立ちうる。さらに、エアロゾル発生物品のフィルター部分を絶縁することは、有利なことに、適用された熱によるフィルター部分の意図しない劣化を防止しうる。
【0038】
フィルター部分は、任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成されてもよい。例えば、フィルター部分は、セルロースアセテート、ボール紙、紙(捲縮した耐熱紙または捲縮した硫酸紙など)、綿、ビスコース、ガラス繊維、およびその他の高分子材料(低密度ポリエチレン(LDPE)など)から成る群から選択される一つ以上の材料から形成されてもよい。好ましい実施形態において、フィルター部分は、セルロースアセテートから形成されている。
【0039】
フィルター部分は中空の管状要素を含みうる。好ましい実施形態において、フィルター部分は中空のセルロースアセテートチューブを含む。
【0040】
フィルター部分は、エアロゾル発生物品の外径にほぼ等しい外径を有することが好ましい。
【0041】
フィルター部分は、およそ4ミリメートル~およそ8ミリメートル、例えばおよそ5ミリメートル~およそ6ミリメートル、好ましくは約5.3ミリメートルの外径を有してもよい。フィルター部分は、およそ10ミリメートル~およそ25ミリメートルの長さを有してもよい。
【0042】
エアロゾル発生物品は、実質的に円筒状であってもよい。しかしながら、別の方法として、他の断面を使用してもよい。実際に、エアロゾル発生物品の断面は、例えば断面の形状または断面寸法を変化させることによって、その長さに沿って変化しうる。エアロゾル発生物品は実質的に細長くてもよい。エアロゾル発生物品は、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。エアロゾル形成基体は実質的に円筒状であってもよい。エアロゾル形成基体は実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体はまた、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。
【0043】
エアロゾル発生物品は、30ミリメートル~60ミリメートル、好ましくは40ミリメートル~50ミリメートル、より好ましくは45ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は、およそ4ミリメートル~8ミリメートル、好ましくは5ミリメートル~6ミリメートル、より好ましくは約5.3ミリメートルの外径を有してもよい。一実施形態において、エアロゾル発生物品は、およそ45ミリメートルの全長を有してもよい。さらに、エアロゾル形成基体は20ミリメートル~55ミリメートルの長さを有してもよい。エアロゾル発生物品に用いられるエアロゾル形成基体は、非液体エアロゾル形成基体であることが好ましい。本明細書で使用される「非液体エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。エアロゾル形成基体は好都合なことに、エアロゾル発生物品または喫煙物品の一部であってもよい。
【0044】
エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体である。揮発性化合物はエアロゾル形成基体の加熱によって放出されてもよい。エアロゾル形成基体はニコチンを含んでいてもよい。エアロゾル形成基体は、植物由来材料を含んでいてもよい。エアロゾル形成基体は、たばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、例えば紙の作製プロセスまたはキャスティングプロセスによって作られた均質化植物系材料(均質化たばこを含む)を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成体を含浸させたカットフィラーとして提供されることが好ましい。
【0045】
熱絶縁層は、紙、好ましくは紙巻たばこラッピングペーパー、綿またはガラス繊維のうちの一つ以上を含みうる。これらの材料は、高い断熱性を有する。さらに、これらの材料は容易に入手できる。
【0046】
積層ラッパーは、30マイクロメートル~100マイクロメートルの厚さを有しうるが、50マイクロメートル~70マイクロメートルであることが好ましく、55マイクロメートル~58マイクロメートルであることが好ましく、約56.5マイクロメートルであることがより好ましい。
【0047】
本明細書全体を通して、用語「約」は、最後の桁±2までの内在する変動を説明する。例えば、用語「約56.5マイクロメートル」は、56.3マイクロメートル~56.7マイクロメートルの範囲を含みうる。あるいは、用語「約」は、いずれか大きい方の値の最大5%の不確かさを含みうる。
【0048】
積層ラッパーの厚さは、熱絶縁層および熱伝導性層の積層を可能にしうる。また、積層ラッパーの寸法的安定性が達成されうる。
【0049】
熱伝導性層は、4マイクロメートル~25マイクロメートルの厚さを有しうるが、5マイクロメートル~10マイクロメートルであることが好ましく、6マイクロメートル~7マイクロメートルであることが好ましく、約6.5マイクロメートルであることがより好ましい。
【0050】
熱伝導性層の厚さは、熱分布を最適化しうる。熱伝導性層の厚さは、熱伝導性層を通した軸方向の熱伝達、ならびにエアロゾル形成基体に向かう半径方向内向きの熱伝達を可能にしうる。
【0051】
熱絶縁層は、25マイクロメートル~75マイクロメートル、好ましくは40マイクロメートル~60マイクロメートル、より好ましくは50マイクロメートルの厚さを有してもよい。
【0052】
熱絶縁層の厚さは、断熱を最適化しうる。熱絶縁層は、積層ラッパーの構造的完全性を増大させるための層として作用しうる。熱絶縁層は、熱伝導性層のための支持体を形成しうる。
【0053】
熱絶縁層は、熱伝導性層を囲むように配設されてもよい。熱は、熱伝導性層を囲む熱絶縁層によってエアロゾル発生物品内側に閉じ込められうる。熱絶縁層は、エアロゾル発生物品の最も外側の層であることが好ましい。
【0054】
エアロゾル発生物品は、非対称の断面を有してもよい。用語「非対称の断面」は、エアロゾル発生物品の、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中への特定の配向、または複数の特定の配向での挿入のみを可能にする、エアロゾル発生物品のプロファイルまたは断面を意味する。この場合、加熱チャンバーは、エアロゾル発生装置に関して以下により詳細に説明される、対応する断面を有することが好ましい。円形断面は、非対称の断面ではない。長方形の断面は、本発明による非対称の断面とみなされうる。長方形の断面は、二つまたは四つの配向でのエアロゾル発生物品の挿入のみを可能にしうる。エアロゾル発生物品の断面が正方形である場合、四つの配向が可能になり、正方形ではない場合、二つの配向が可能になる。エアロゾル発生物品の断面はまた、対応する形状の加熱チャンバーの中に挿入されるエアロゾル発生物品が単一の配向でのみ挿入されうるような形状を有しうる。一つ以上の特定の配向でのみ可能になる挿入は、エアロゾル発生物品のキー式構成としても示されうる。非対称の断面という用語は、対称性を考慮する際に、エアロゾル形成基体の固有の構造、特にカットフィラー細片のランダム配向は無視する。
【0055】
積層ラッパーは、エアロゾル発生物品の軸方向に互いに重なる複数の熱伝導性層を含んでもよい。この態様によれば、エアロゾル発生物品の軸方向に見て、エアロゾル発生物品の異なる加熱領域が画定される。異なる加熱領域では、異なる数の伝導性層が重なりうる。第一の加熱領域では、単一の熱伝導性層が提供されることが好ましい。この第一の加熱領域は、上述の加熱領域に類似して構成されうる。この第一の加熱領域では、熱絶縁層を含む積層ラッパーを有さず、単一の熱伝導性層のみが提供されることが好ましい。第二の加熱領域では、二つの熱伝導性層が、エアロゾル発生物品の半径方向に互いに隣接して提供されてもよい。言い換えれば、第二の加熱領域では、二つの熱伝導性層がエアロゾル形成基体を覆ってもよい。複数の熱伝導性層を提供することは、エアロゾル発生物品の外側からエアロゾル形成基体が提供されるエアロゾル発生物品の内側へと熱が伝達されるのにより長い時間がかかりうるという効果を有する。その結果として、これらの異なる加熱領域によって段階的な加熱が提供されうる。当然のことながら、三つ以上の加熱領域が提供されてもよい。例えば、三つの熱伝導性層がエアロゾル形成基体を囲むように配設される、第三の加熱領域が提供されてもよい。四つ以上の加熱領域が提供されてもよい。追加的な加熱領域のそれぞれは、さらなる熱伝導性層を含むことが好ましい。第一の加熱領域の熱伝導性層は、加熱領域全体に延びてもよい。第二の加熱領域の熱伝導性層は、第二の加熱領域およびすべての追加的な加熱領域に延びるが、第一の加熱領域には延びない場合がある。このようにして、段階的な加熱効果のために複数の加熱領域が提供される、比較的単純な配設を達成することができる。段階的な加熱効果は、エアロゾル発生物品の異なる加熱領域において加熱遅延を発生させる場合がある。よって、加熱領域において、エアロゾル形成基体の段階的な気化が達成されうる。各吸煙について、最適化された基体気化が実現されうるように、単一の吸煙に対して一つの加熱領域が提供されてもよい。エアロゾル発生物品は、特定の吸煙数に対して構成されてもよく、加熱領域の数は、この特定の吸煙数に対応してもよい。
【0056】
複数の熱伝導性層を提供することに追加的に、または別の方法として、複数の熱絶縁層が提供されてもよい。上述の複数の加熱領域は、複数の熱絶縁層を含んでもよい。積層ラッパーは、固定の総数の層を含んでもよい。複数の加熱領域のそれぞれにおいて、層の総数は、積層ラッパーの層の総数に対応しうる。例えば、積層ラッパーが四つの層を含む場合、四つの絶縁層のみが配設される絶縁領域が提供されてもよい。第一の加熱領域には、単一の熱伝導性層および三つの熱絶縁層が提供されてもよい。第二の加熱領域には、二つの熱伝導性層および二つ熱絶縁層が提供されてもよい。第三の加熱領域には、三つの熱伝導性層および一つの熱絶縁層が提供されてもよい。最後に、第四の加熱領域には、四つの熱伝導性層が提供されて、絶縁層は提供されなくてもよい。当然ながら、この実施例は例示に過ぎない。より少ないまたはより多くの加熱領域が、所望に応じて提供されてもよい。熱絶縁層が本明細書に記載するように加熱領域内に提供される場合、最大数の熱伝導性層および最小数の熱絶縁層を有する加熱領域は、エアロゾル発生物品の外側から、エアロゾル形成基体が配設されるエアロゾル発生物品の内側に最大量の熱エネルギーを伝達する可能性が高い。熱伝導性層の数が減少し、かつ熱絶縁層の数が増大した連続的な加熱領域それぞれは、エアロゾル発生物品の外側からエアロゾル発生物品の内側に少ない量の熱エネルギーを伝達する可能性が高い。例示的には、エアロゾル発生装置の発熱体が、エアロゾル発生物品の外側を均一に加熱する場合、熱は、吸入可能なエアロゾルを生成するために、エアロゾル発生物品の内側に徐々に到達する。この効果は、段階的な加熱効果を生成するために望ましい場合がある。さらに、固定数の層を有する積層ラッパーを提供することにより、積層ラッパーの厚さ、したがってエアロゾル発生物品の直径が一定に保たれうる。
【0057】
熱伝導性層は、穴、リング形状、らせん形状、幅の変化を有するらせん形状、軸方向の変動、および半径方向の厚さの変化のうちの一つ以上を含みうる。
【0058】
熱伝導性層の異なる形状は、異なる加熱レジームを実現しうる。エアロゾル形成基体の気化を最適化するために、熱伝導性層のこれらの異なる形状が有利に用いられうる。複数の熱伝導性層が提供される場合、熱伝導性層それぞれは、さらなる熱伝導性層の形状に類似または異なる場合がある所望の形状を有しうる。熱伝導性層を部分的に覆うように配設された積層ラッパーの熱絶縁層は、熱絶縁層によって覆われていない熱伝導性層の形状が異なる形状を有しうるように配設されてもよい。例えば、熱伝導性層のリング形状は、熱伝導性層のリング形状部分が熱絶縁層によって覆われないように、熱絶縁層によって部分的に覆われる均一な熱伝導性層において実現されうる。同じことが、熱伝導性層のさらなる上述の形状に当てはまりうる。別の方法として、熱伝導性層自体がこうした形状を有してもよい。熱伝導性層が軸方向の変動を有する場合、上述の加熱領域は互いに異なる形状であることが好ましい。例えば、第一の加熱領域は、比較的小さな軸方向の長さを有する環状形状を有し、次に、第二の加熱領域は、より長い軸方向の長さを有してもよい。例えば、第一の加熱領域の実際の長さは、約1ミリメートルであってもよく、第二の加熱領域の軸方向の長さは、約2ミリメートルであってもよい。これは例示に過ぎないものと理解される。一つ以上の加熱領域の任意の所望の軸方向の長さおよび形状が選択されうる。熱伝導性層の半径方向の厚さの変化は、熱伝導性層が均一な厚さを有しないことを意味する。一部の実施形態では、熱伝導性層の厚さは、熱伝導性層の軸方向の長さにわたって変化しうる。特に、上述の異なる加熱領域は、複数の熱伝導性層の代わりに、変化する厚さを有する単一の熱伝導性層であってもよい。同様に、熱絶縁層の厚さは、所望の場合、変化しうる。
【0059】
本発明はまた、加熱チャンバーおよび加熱チャンバーに隣接して配設された発熱体を備えるエアロゾル発生装置に関する。加熱チャンバーは、上述のエアロゾル発生物品の挿入のために構成される。エアロゾル発生物品が加熱チャンバーの中に挿入されると、発熱体は、熱伝導性層のみがその中に配設されるエアロゾル発生物品の加熱領域を加熱するように構成される。
【0060】
加熱チャンバーは、エアロゾル発生物品の挿入のために円筒形状を有してもよい。加熱チャンバーは、くぼみであってもよい。加熱チャンバーは、円形のプロファイルまたは断面を有してもよい。上述のように、エアロゾル発生物品が非対称プロファイルを有する場合、加熱チャンバーは、対応する非対称プロファイルを有することが好ましい。例えば、エアロゾル発生物品が長方形のプロファイルを有する場合、加熱チャンバーは、長方形のプロファイルを有することが好ましい。エアロゾル発生物品が、エアロゾル発生物品の加熱チャンバーの中への単一の配向での挿入のみを可能にするように構成された非対称プロファイルを有する場合、加熱チャンバーは、対応する断面を有することが好ましい。例えば、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の長さに沿って、かつエアロゾル発生物品の外側に、溝、ナット、ショルダー部、または類似の要素を含んでもよく、加熱チャンバーは、エアロゾル発生物品を単一の特定の配向で挿入することが可能となるように、エアロゾル発生物品の要素と係合するように対応する溝、ナット、ショルダー部または類似の要素を含んでもよい。
【0061】
発熱体は、加熱チャンバーの内側または周囲に配設されてもよい。発熱体は、加熱チャンバーの中に挿入可能なエアロゾル発生物品を加熱するために、加熱チャンバーの内側またはその周りに配設されうる。別の方法として、または追加的に、例えば、使用のために少なくとも部分的にエアロゾル形成基体に挿入されるピンまたはブレードである、内部発熱体が提供されてもよい。
【0062】
例えば、装置は、加熱チャンバーの周囲の周りに位置付けられた外部発熱体を含んでもよい。外部発熱体は任意の適切な形態を取ってもよい。例えば、外部発熱体は、ポリイミドなどの誘電性基体上の一つ以上の可撓性の加熱箔の形態を取ってもよい。可撓性の加熱箔は、加熱チャンバーの周辺部に適合するように形作られうる。別の方法として、外部発熱体は、金属のグリッド(複数可)、可撓性プリント基板、成形回路部品(MID)、セラミック発熱体、可撓性炭素繊維発熱体の形態を取ってもよく、または適切な形状の基体上にプラズマ蒸着などの被覆技法を使用して形成されてもよい。外部発熱体はまた、温度と抵抗率の間の明確な関係を有する金属を使用して形成されてもよい。こうした例示的な装置において、金属は適切な断熱材料の二層の間のトラックとして形成されてもよい。この様態で形成された外部発熱体は動作中に、外部発熱体の加熱と、その温度の監視の両方に使用されてもよい。発熱体は、およそ摂氏200度の温度に加熱するように構成されてもよい。発熱体はまた、誘導発熱体として構成されてもよく、その場合、発熱体は誘導コイルを含むことが好ましい。この実施形態では、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体は、エアロゾル形成基体の内側で熱を生成するためのサセプタ材料を含んでもよい。別の方法として、この実施形態では、エアロゾル発生物品が加熱チャンバーの中に挿入された時にエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を貫通させるために、例えば、ブレードまたはピンの形状のサセプタ材料が、加熱チャンバーの内側に配設されてもよい。
【0063】
発熱体は、加熱チャンバーの周りに配設されて、加熱チャンバーを均一に加熱してもよい。これは、エアロゾル発生物品が加熱チャンバーの中に挿入された時に、エアロゾル発生物品、特にエアロゾル発生物品の基体部分が均一に加熱されるという効果を有しうる。上述したように、エアロゾル発生物品を囲む積層ラッパーは、エアロゾル発生物品の内側のエアロゾル形成基体の段階的な加熱を可能にする特定の構造を有してもよい。特に、積層ラッパーは、異なる加熱領域を生成してもよい。これらの異なる加熱領域は、エアロゾル発生物品が、加熱チャンバーを囲むように配設される発熱体によって外側から均一に加熱される場合に特に利用されうる。
【0064】
別の方法として、発熱体は、エアロゾル発生物品が加熱チャンバーの中に挿入された時に、エアロゾル発生物品の特定の領域を加熱するように構成されてもよい。発熱体は、この目的のために複数の別個に制御可能な加熱部分を含んでもよい。これらの別個に制御可能な加熱部分は、エアロゾル発生物品の別個のセクションを加熱するために、加熱チャンバーの長軸方向の長さに沿って配設されてもよい。別個に制御可能な加熱部分は、エアロゾル発生物品の異なる加熱領域を加熱するように構成されることが好ましい。別個に制御可能な加熱部分は、それぞれ加熱チャンバーを完全に囲んでもよい。別個に制御可能な加熱部分は、以下でより詳細に説明する電気回路によって制御可能であってもよい。別の方法として、または追加的に、別個に制御可能な加熱部分は、加熱チャンバーの長軸方向軸に平行に配設されてもよい。別個に制御可能な加熱部分の代わりに、発熱体は、加熱中に加熱勾配を生成するように構成されてもよい。発熱体は、加熱チャンバーの長軸方向軸に平行な加熱チャンバーの長軸方向軸に沿って加熱勾配を生成するように構成されてもよい。
【0065】
発熱体は、エアロゾル発生物品が加熱チャンバーの中に挿入された時に、エアロゾル発生物品に向かって熱を放射するように構成されうる。熱は、エアロゾル発生物品の積層ラッパーの熱伝導性層によって最適に吸収および伝達されうる。熱は、熱伝導性層によって、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体に放射または伝達されてもよい。この効果は、熱源が熱を均質に適用しない場合に特に有用である。したがって、熱伝導性層は、エアロゾル発生基体に沿って熱源から熱を搬送し、必要に応じて、熱伝導性層の被覆がエアロゾル発生基体全体にわたって均質である場合には均質に、熱を分布させることができる。別の方法として、熱源からの熱は、熱伝導性層の被覆がエアロゾル発生基体全体にわたっていない場合には、エアロゾル発生基体全体にわって選択的に分布される。
【0066】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」は、エアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置に関する。エアロゾル形成基体はエアロゾル発生物品の一部であってもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置でありうる。エアロゾル発生装置は、ハウジング、電気回路、電源、加熱チャンバー、および発熱体を備えうる。エアロゾル発生装置は随意に、マウスピースを備えてもよい。
【0067】
電気回路はマイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラム可能マイクロプロセッサであってもよい。マイクロプロセッサはコントローラの一部としうる。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路は発熱体への電力供給を調節するよう構成しうる。電力はシステムの起動後に発熱体に連続的に供給されてもよく、または毎回の吸煙ごとなど、断続的に供給されてもよい。電力は、電流パルスの形態で発熱体に供給され得る。電気回路は発熱体の電気抵抗をモニターするように、かつ発熱体の電気抵抗に応じて、発熱体への電力供給を制御するように構成されていることが好ましい。
【0068】
装置は、主本体内に電源(典型的には電池)を備えてもよい。代替として、電源は、コンデンサーなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、また一回以上の使用体験のために十分なエネルギーの蓄積を可能にする容量を有してもよい。例えば、電源は約6分間、または6分の倍数の時間にわたってエアロゾルを連続的に発生するのに十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電源は、複数の吸煙のためのエアロゾルを発生するのに十分な容量を有してもよい。
【0069】
電源は任意の適切な電源であってもよく、例えば電池などの直流電圧源であってもよい。一実施形態において、電源はリチウムイオン電池である。別の方法として、電源は、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウム系電池(例えば、リチウムコバルト電池、リチウム鉄リン酸塩電池、チタン酸リチウム、またはリチウムポリマー電池)であってもよい。
【0070】
エアロゾル発生装置は、マウスピースを備えてもよい。マウスピースは、別個の要素であってもよく、またはエアロゾル発生装置と一体的に形成されてもよい。マウスピースは、好ましくはヒンジによって、エアロゾル発生装置と接続可能、または接続されてもよい。マウスピースは、ベンチュリ要素として構成されてもよい。マウスピースは、エアロゾル発生物品と接続可能に構成されてもよい。マウスピースは、エアロゾル発生物品のフィルター部分の中に挿入可能なように構成されてもよい。
【0071】
本発明は、本明細書に記載のエアロゾル発生装置、および本明細書に記載のエアロゾル発生物品を備えるシステムに関する。本発明はまた、本明細書に記載のエアロゾル発生物品、およびマウスピース、好ましくは本明細書に記載するベンチュリ要素を備えるシステムに関する。本発明はまた、エアロゾル発生装置、エアロゾル発生物品、およびマウスピースを備えるシステムにも関する。
【0072】
本発明はまた、エアロゾル発生物品を製造するための方法に関し、方法は、
i. エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を提供する工程であって、エアロゾル形成基体は、植物材料カットフィラーを含み、植物材料カットフィラーは、植物材料の総重量当たり少なくとも25パーセントの植物ラミナを含み、エアロゾル形成基体は、約6パーセント~約20パーセントのエアロゾル形成体をさらに含む、提供する工程と、
ii. 積層ラッパーを少なくとも部分的にエアロゾル形成基体の周りに巻く工程であって、積層ラッパーが、熱伝導性層および熱絶縁層を含み、熱伝導性層および熱絶縁層が、エアロゾル発生物品の軸方向に沿って重なる、巻く工程と、を含む。
【0073】
方法は、エアロゾル発生物品をエアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中に挿入する工程を含みうる。方法は、エアロゾル発生物品を加熱する工程を含んでもよい。
【0074】
一態様に関して説明された特徴は、本発明の他の態様にも等しく適用されうる。
【0075】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【
図1】
図1は、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中に挿入されたエアロゾル発生物品の断面図を示す。
【
図2】
図2は、エアロゾル発生物品の積層ラッパーの熱伝導性層の異なる実施形態を示す。
【
図3】
図3は、複数の熱伝導性層および複数の熱絶縁層を有する積層ラッパーの実施形態の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0077】
図1は、エアロゾル発生物品10を示す。エアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生装置14の加熱チャンバー12の中に挿入されている。エアロゾル発生物品10は、エアロゾル形成基体を含有する基体部分16を含む。
図1に示す実施形態では、エアロゾル発生物品10は、中空のアセテートチューブの形態のフィルター部分18をさらに備える。フィルター部分18は、基体部分16の下流に配設される。フィルター部分18は随意である。
【0078】
図1は、エアロゾル発生物品10の基体部分16およびフィルター部分18の周りに巻かれた積層ラッパー20を示す。フィルター部分18が提供されない場合、積層ラッパー20は、基体部分16の周りにのみ巻かれる。積層ラッパー20は、熱伝導性層22および熱絶縁層24を含む。熱伝導性層22は、内側に配設されるが、これは、エアロゾル形成基体またはフィルター部分18に直接隣接していることを意味する。熱絶縁層24は、熱伝導性層22の周りに巻かれて配設される。
【0079】
熱絶縁層24および熱伝導性層22は、エアロゾル発生物品10の長軸方向の長さに沿って重なる。
図1に示す実施形態では、エアロゾル発生物品10の上流端26であるエアロゾル発生物品10の底部は、熱伝導性層22のみで巻かれている。よって、基体部分16は、熱伝導性層22によって巻かれている。エアロゾル発生物品10の下流端28である、エアロゾル発生物品10の上部には、フィルター部分18が提供されている。フィルター部分18は、積層ラッパー20の熱絶縁層24のみによって巻かれている。エアロゾル発生物品10の上流端26に隣接する基体部分16の部分と、エアロゾル発生物品10の下流端28に隣接するフィルター部分18との間に、エアロゾル発生物品10を包装する積層ラッパー20は、熱伝導性層22および熱絶縁層24を含む。
【0080】
図1に示すように、エアロゾル発生物品10がエアロゾル発生装置14の中に挿入される場合、エアロゾル発生装置14の発熱体30は、エアロゾル発生物品10の上流端26の近くで熱伝導性層22に隣接して配設されてもよい。熱伝導性層22のみで覆われたエアロゾル発生物品10のこの領域は、加熱領域32として構成される。この領域では、発熱体30によって放射される熱は、積層ラッパー20の熱伝導性層22の中に直接移動する。したがって、熱は熱伝導性層22によって吸収され、エアロゾル発生物品10内に含有されるエアロゾル形成基体に向かってさらに伝達される。さらに、熱伝導性層22によって吸収された熱は、均一な加熱が達成されうるように、エアロゾル発生物品10の軸方向に熱伝導性層22内に伝達される。言い換えれば、エアロゾル発生物品10の基体部分16のフルサイズと比較して、エアロゾル発生物品10の比較的小さな加熱領域32を加熱するために、比較的小さな発熱体30が提供されてもよい。それでもなお、熱伝導性層22の高い熱伝導率によって、熱はエアロゾル発生物品10の基体部分16にわたって均一に分布されうる。
【0081】
別の方法として、発熱体30は、エアロゾル発生物品10のより均一な加熱を達成するために、加熱チャンバー12全体または加熱チャンバー12の大部分を囲むように配設されてもよい。
【0082】
熱絶縁層24は、熱伝導性層22によって熱がエアロゾル発生物品10の内側に到達した時に、エアロゾル発生物品10の内側の熱を吸収する。
図1に見られるように、熱絶縁層24は、エアロゾル発生物品10の下流端28に隣接して配設されたフィルター部分18にわたって延びることが好ましい。このようにして、フィルター部分18の領域において、熱は漏れ出ない、または低減された速度で漏れ出る。この機能性は、エアロゾルが、吸煙中にフィルター部分18を通って基体部分16から引き出される時の、エアロゾルの形成を改善し、エアロゾルを安定化する。
【0083】
図1は、エアロゾル発生装置14を動作させるためのエアロゾル発生装置14のさらなる構成要素を示している。この点に関して、エアロゾル発生装置14は、発熱体30に電力供給するための電源34、好ましくは電池を含む。電源34から発熱体30に向けた電気エネルギーの供給は、電気回路36によって制御される。
【0084】
図2および
図3に関して以下に説明するように、エアロゾル発生物品10の積層ラッパー20によって段階的な加熱効果が達成されうる。
図2は、積層ラッパー20、より具体的には、積層ラッパー20の熱伝導性層22の異なる実施形態を示す。
図2の上部は、穴38が熱伝導性層22内に提供されている実施形態を示す。穴38は、熱伝導性層22の熱伝達特性を変化させうる。
図2の上部に示されるエアロゾル発生物品10の左部分に示されるように、基体部分16の下流領域と比較して、基体部分16の上流領域により多くの穴38が提供されてもよい。結果として、エアロゾル形成基体がより速くまたはより遅く加熱される、加熱領域32が実現されうる。よって、段階的な加熱効果が達成されうる。
【0085】
図2の中央部は、熱伝導性層22が環状形状を有するように提供される実施形態を示す。複数の加熱領域32は、エアロゾル形成基体の周囲を囲む複数の環状リングによって提供される。加熱領域32間の一部分は、一つ以上の熱絶縁層24によって覆われてもよい。
【0086】
図2の下部は、熱伝導性層22がらせん状の構成を有する実施形態を示す。この実施形態は、熱伝導性層22の細片を提供し、細片をエアロゾル形成基体の周りに巻くことによって達成されうる。別の方法として、連続的な熱伝導性層22が提供されてもよく、熱伝導性層22のらせん状の部分の間の一部分は、一つ以上の熱絶縁層24によって覆われてもよい。熱伝導性層22のらせん状の部分は、エアロゾル発生物品10の加熱領域32を実現しうる。
【0087】
図3は、複数の熱絶縁層24および複数の熱伝導性層22が提供される、積層ラッパー20のさらなる実施形態を示す。
図3に示す実施形態は、エアロゾル発生装置14の発熱体30が、エアロゾル発生物品10が加熱チャンバー12の中に挿入された時に、エアロゾル発生物品10の周囲を均一に加熱する場合に特に有益である。
図3に示す積層ラッパー20の複数の層は、複数の加熱領域を生成するために提供されている。
図3に示す積層ラッパー20の左部分は、三つの熱伝導性層層22が提供されている、第一の加熱領域40を示す。この領域では、熱は、熱伝導性層22を通って、熱発生物品内に含有された熱形成基体の中へと高速で移動しうる。積層ラッパー20の中央部分は、二つの熱伝導性層22がエアロゾル形成基体を囲むように配設され、単一の熱絶縁層24が二つの熱伝導性層22を囲むように配設される、第二の加熱領域42を示す。この第二の加熱領域42は、熱絶縁層24に起因して加熱されるのにより長い時間がかかる。よって、すべての加熱領域が、エアロゾル発生装置14の発熱体30によって均一に加熱される場合、熱の方向を示す
図3の矢印に示されるように、段階的な加熱効果が達成されうる。第一の加熱領域40は、第二の加熱領域42よりも速く加熱されうる。
図3の右部分は、単一の熱伝導性層22が提供され、二つの熱絶縁層24が提供される、第三の加熱領域44を示す。この加熱領域は、第二の加熱領域42よりもさらに遅く加熱される。