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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】バイオ由来の化合物を含む弾性接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/12 20060101AFI20231211BHJP
   C09J 179/02 20060101ALI20231211BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20231211BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20231211BHJP
   C07C 229/24 20060101ALN20231211BHJP
【FI】
C09J175/12
C09J179/02
C09J11/06
C08G18/32 025
C07C229/24
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021542502
(86)(22)【出願日】2020-01-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 US2020014467
(87)【国際公開番号】W WO2020154320
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】62/795,473
(32)【優先日】2019-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517366688
【氏名又は名称】ザイマージェン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ナンディタ・バグワット
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ディケンズ
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム・リッター
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド・エー・ヴァンデザンデ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・イー・ヴァンデザンデ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・マクナマラ
【審査官】橋本 栄和
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-508426(JP,A)
【文献】特表2012-532968(JP,A)
【文献】特開2016-053166(JP,A)
【文献】特表2013-521362(JP,A)
【文献】特開2016-191049(JP,A)
【文献】特表2010-507689(JP,A)
【文献】特表2023-541545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 175/12
C09J 179/02
C09J 11/06
C08G 18/32
C07C 229/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.アミンとマイケル受容体との反応生成物からなる修飾されたアミンであって、前記アミンが次の式:
【化1】
(式中、Arはアリーレンであり、Rはアルキレン及びアルケニレンから選択される。)
で表され、かつ
前記マイケル受容体が以下のもの:
【化2】
(式中、R及びRは、各場合に、独立に、水素、アルキル、又はアルケニルから選択され、Rは、各場合に、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、又はアルケノキシから選択される。)
からなる群から選択される、修飾されたアミン;及び
b.イソシアネート樹脂
を含んでなる弾性接着剤。
【請求項2】
以下の特性a~iから選択される少なくとも1つの特性、少なくとも2つの特性、又は少なくとも3つの特性を備えた、請求項1に記載の弾性接着剤:
a.硬化した接着剤の、ASTM D882-18において定義されている破断伸びが、10%~700%、10%~500%、10%~300%、10%~200%、10%~100%、又は10%~50%である;
b.金属、ガラス、セラミックス、及びプラスチックへの、ASTM D3359-17において定義されているクロスカット接着が4Bより大きい;
c.硬化した接着剤の、ASTM D3363-05において定義されている鉛筆硬度が、3B~7H、2B~6H、又は1B~5Hである;
d.硬化した接着剤の、ASTM E313-15において定義されているイエローインデックスが、2未満、1.9未満、1.8未満、1.7未満、1.6未満、1,5未満、1.4未満、1.3未満、1.2未満、1.1未満、1.0未満、0.9未満、又は0.8未満である;
e.硬化した接着剤の、ASTM D638-14において定義されている引張弾性率が、0.1MPaより大きく、0.2MPaより大きく、0.5MPaより大きく、1MPaより大きく、2MPaより大きく、5MPaより大きく、10MPaより大きく、20MPaより大きく、50MPaより大きく、60MPaより大きく、80MPaより大きく、100MPaより大きく、110MPaより大きく、120MPaより大きく、130MPaより大きく、140MPaより大きく、150MPaより大きく、200MPaより大きく、又は250MPaより大きい;
f.硬化した接着剤の、ASTM D5402-15の方法Bにおいて定義されている耐溶剤性が、ラビング10回より多い、ラビング20回より多い、ラビング30回より多い、ラビング40回より多い、ラビング50回より多い、ラビング60回より多い、ラビング80回より多い、ラビング100回より多い、ラビング120回より多い、ラビング140回より多い、ラビング160回より多い、ラビング180回より多い、又はラビング200回より多い;
g.示差走査熱量測定によって決定されたガラス転移温度が、-40℃より高い、-30℃より高い、-20℃より高い、-10℃より高い、0℃より高い、10℃より高い、20℃より高い、又は30℃より高い;
h.ASTM D1002によって決定されたラップ剪断強度が、50psiより大きい、80psiより大きい、100psiより大きい、200psiより大きい、500psiより大きい、又は750psiより大きい;あるいは、
i.ポットライフが、30秒より長い、1分より長い、2分より長い、4分より長い、6分より長い、8分より長い、又は10分より長い。
【請求項3】
Arは、フェニレン、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、フェノキシフェニル、4’-エチレンオキシ-フェニル-4-エチルアントラセン、テルフェニル、フルオレン、ピリジン、1,2-ジアジン、1,3-ジアジン、1,4-ジアジン、1,2,3-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,3,5-トリアジン、プリン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、1H-1,2,3-トリアゾール、2H-1,2,3-トリアゾール、1H-1,2,4-トリアゾール、又は4H-1,2,4-トリアゾールから選択され;
は、メチレン、エチレン、n-プロピレン、オキシ-メチレン、オキシ-エチレン、-オキシ-n-プロピレン、イソプロピレン、n-ブチレン、シス-ブテニレン、トランス-ブテニレン、ブタジエニレン、ポリブタジエニレン、イソブチレン、sec-ブチレン、tert-ブチレン、n-ペンチレン、イソペンチレン、ネオペンチレン、シス-ペンチレン、トランス-ペンチレン、シス,シス-1,3-ペンタジエニレン、シス,トランス-1,3-ペンタジエニレン、トランス,トランス-1,3-ペンタジエニレン、イソプレニレン、ポリイソプレニレン、n-ヘキサニレン、イソヘキサニレン、3-メチルペンタニレン、ネオヘキサニレン、2,3-ジメチルブタニレン、2-メチルヘキサニレン、2-エチルヘキサニレン、2-プロピルヘキサニレン、ヘキセニレン、ヘキサジエニレン、又はヘキサトリエニレンから選択される;及び
及びRは、独立に、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、シス-ブテニル、トランス-ブテニル、ブタジエニル、ポリブタジエニル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シス-ペンチル、トランス-ペンチル、シス,シス-1,3-ペンタジエニル、シス,トランス-1,3-ペンタジエニル、トランス,トランス-1,3-ペンタジエニル、イソプレニル、ポリイソプレニル、n-ヘキサニル、イソヘキサニル、3-メチルペンタニル、ネオヘキサニル、2,3-ジメチルブタニル、2-メチルヘキサニル、2-エチルヘキサニル、2-プロピルヘキサニル、ヘキセニル、ヘキサジエニル、又はヘキサトリエニルから選択される、請求項に記載の弾性接着剤。
【請求項4】
脂肪族アミンとマイケル受容体との第2の反応生成物をさらに含む、請求項に記載の弾性接着剤。
【請求項5】
前記脂肪族アミンが、プトレシン、カダベリン、ノルスペルミジン、スペルミン、ノルスペルミン、スペルミジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、サイクレン、1,4,7-トリアザシクロノナン、又は1,1,1-トリス(アミノメチル)エタンから選択される、請求項4に記載の弾性接着剤。
【請求項6】
アミン又は脂肪族アミンが、グラム陽性菌、グラム陰性菌、真菌、及び酵母による発酵によって生成される、請求項に記載の弾性接着剤。
【請求項7】
イソシアネート樹脂が、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、イソシアヌレート三量体、ビウレット、ウレトジオン二量体、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項に記載の弾性接着剤。
【請求項8】
【化3】
が、
【化4】
から選択され、
式中、X及びXは、各場合において、独立に、メチレン、エチレン、n-プロピレン、イソプロピレン、n-ブチレン、又はsec-ブチレンから選択される、請求項に記載の弾性接着剤。
【請求項9】
溶媒をさらに含み、前記溶媒が極性プロトン性溶媒又は極性非プロトン性溶媒から選択される、請求項に記載の弾性接着剤。
【請求項10】
可撓性基材をコーティングするための、請求項に記載の弾性接着剤の使用。
【請求項11】
可撓性基材が、シリコンエラストマー、ゴム、熱可塑性ポリウレタン、又は熱可塑性エラストマーから選択される、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
第1の基材及び第2の基材を接着するための方法であって、
請求項1に記載の弾性接着剤を第1の基材に適用する工程、及び
第2の基材を前記弾性接着剤に接触させる工程を含み、
前記の第1の基材及び第2の基材が、独立に、金属、ガラス、セラミックス、又はプラスチックから選択される、方法。
【請求項13】
成分A及び成分Bを含み、成分Aが下記式の化合物を含み、成分Bがイソシアネート樹脂を含む、2成分形接着剤:
【化5】
式中、Rは、
【化6】
から選択され、
は、水素、
【化7】
から選択され、
式中、R及びRは、各場合において、独立に、水素、アルキル、又はアルケニルから選択され、Rは、各場合において、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、又はアルケノキシから選択される。
【請求項14】
前記イソシアネート樹脂が、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、イソシアヌレート三量体、ビウレット、ウレトジオン二量体、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項13に記載の2成分形接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2019年1月22日に出願された米国仮出願第62/795,473号の利益を主張し、参照によりその全体を本明細書に援用する。
【0002】
ここでの開示は、一般に、エラストマー及び弾性接着剤の分野に関する。より具体的には、ここでの開示は、バイオ由来のアミン及びマイケル受容体及びポリイソシアネートからの反応生成物によって形成される新規な弾性樹脂(elastomeric resin)に関する。前記の樹脂は、接着剤、シーラント、コーティングとしての用途、及びその他の用途を見出すことができる。
【背景技術】
【0003】
市販の材料によってもたらされる利点を示すとともに、その他の有益な特性、例えば、環境適合性、低毒性、及び最小限の健康への影響を特徴とする、新しいオリゴマー及びポリマー材料が継続的に必要とされている。加えて、バイオベースの資源から導くことができる新しい(コ)ポリマーが必要とされている。
【0004】
コーティング組成物における従来のポリアスパルテートの使用は特定の不利な点をもたらし、それには、不十分な耐薬品性及び適切なポットライフを付与するために溶媒が必要であることが含まれる。ポリアスパルテートの選択は硬化速度に影響を与える可能性があり、かつ困難である可能性があり、なぜなら、特定の用途は溶剤の使用を必要とし、これは避ける必要があるからである。さらに、コーティングは一般にさまざまな欠点、例えば、厚い断面のコーティングの脆化があり、これが収縮及び亀裂をもたらし、それによって水分及び空気の漏れを生じさせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、そのような欠点を克服する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[本発明のまとめ]
第1の側面では、弾性接着剤は、修飾されたアミンを含む。 この修飾されたアミンは、アミンとマイケル受容体との反応生成物であることができる。 アミンは次の式で表すことができる。
【化1】
式中、Arはアリーレンであり、Rはアルキレン及びアルケニレンから選択される。
【0007】
マイケル受容体は以下のものから選択される。
【化2】
式中、R及びRは、各場合に、独立に、水素、アルキル、又はアルケニルから選択することができ、Rは、各場合に、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、又はアルケノキシから選択することができる。さらに、弾性接着剤は、イソシアネート樹脂を含む。
【0008】
第2の側面では、第1の基材及び第2の基材を接着させるための方法は、弾性接着剤を第1の基材に適用することを含む。この方法は、第2の基材をその弾性接着剤に接触させることをさらに含むことができる。第1の基材及び第2の基材は、独立に、金属、ガラス、セラミックス、又はプラスチックから選択される。
【0009】
第3の側面では、2成分形接着剤は、成分A及び成分Bを含み、成分Aは、以下の化合物を含む。
【化3】
式中、Rは、
【化4】
から選択され、
は、水素、
【化5】
から選択され、
式中、nは0、1、又は2であることができ;R及びRは、各場合に、独立に、水素、アルキル、又はアルケニルから選択され;Rは各場合に、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、又アルケノキシから選択される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[発明の詳細な説明]
この書面による説明は、例を用いて、最良のモードを含む実施形態を開示し、また、当業者が本発明を作り及び使用できるようにする。特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に想起されるその他の例を含みうる。そのようなその他の例は、それらが請求項の文言と異ならない構造要素を有する場合、又はそれらが請求項の文言と実質的ではない相違点をもつ等価な構造要素を含む場合、請求項の範囲内にあることが意図される。
【0011】
一般的な説明又は例における上述した行為の全てが必要とされるわけではなく、特定の行為の一部は必要ではない場合があり、かつ、記載したものに加えて1つ以上のさらなる行為を行いうることに留意されたい。行為が挙げられている順序は、必ずしもそれらが実行される順序であるとは限らない。
【0012】
本明細書において、概念は、特定の実施形態を参照して説明されている。しかしながら、当業者は、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を行うことができることを理解している。したがって、明細書及び図面は、限定的な意味というよりむしろ例示と見なされるべきであり、そのようなすべての修正は、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【0013】
本明細書で使用される場合、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」という文言、又はそれらの他の任意の変形は、非排他的な包含をその範囲内に含むことを意図している。例えば、特徴の列挙を含むプロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの特徴だけに限定されるわけではなく、そのようなプロセス、方法、物品、又は装置は、明示的に挙げられていない又は内在的なものではない他の特徴を含むことができる。さらに、明示的に反対の記載がない限り、「又は」は、包括的論理和を示し、排他的論理和を示さない。たとえば、条件A又はBは以下のいずれか1つを満たす:Aが真であり(又は存在し)かつBが偽である(又は存在しない);Aが偽であり(又は存在しない)かつBが真である(又は存在する);及び、AとBの両方が真である(又は存在する)。
【0014】
有益な点、その他の有利な点、及び課題の解決策は、特定の実施形態に関して本明細書に記載されている。ただし、それらの有益な点、有利な点、及び課題の解決策、及びその有益な点、有利な点、又は課題の解決策を生じさせ又はより顕著なものにしうる任意の特徴は、いずれか又は全ての請求項の必須の、必要な、又は欠くことのできない特徴と解釈されるべきではない。
【0015】
本明細書を読んだ後、当業者は、特定の特徴は、明確性のために、別個の実施形態との関連において本明細書に記載されており、単一の実施形態中で組み合わせて備えていてもよいことを理解するであろう。逆に、簡潔にするために単一の実施形態との関連において説明されている様々な特徴はまた、別個に又は任意のサブコンビネーションで備えられていることができる。さらに、範囲として記載されている値への言及には、その範囲内の各値及び全ての値が含まれる。
【0016】
本発明のまとめに記載したように、弾性接着剤は修飾されたアミン(modified amine)を含む。修飾されたアミンは、アミンとマイケルアクセプターとの反応生成物であることができる。アミンは次の式で表すことができる。
【化6】
式中、Arはアリーレンであり、Rはアルキレン及びアルケニレンから選択される。
【0017】
マイケル受容体は以下のものから選択される。
【化7】
式中、R及びRは、各場合に、独立に、水素、アルキル、又はアルケニルから選択することができ、Rは、各場合に、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、又はアルケノキシから選択することができる。さらに、弾性接着剤は、イソシアネート樹脂をさらに含むことができる。
【0018】
一実施形態では、弾性接着剤は、修飾されたアミンをさらに含むことができ、ここで、Arは、フェニレン、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、フェノキシフェニル、4’-エチレンオキシ-フェニル-4-エチルアントラセン、テルフェニル、フルオレン、ピリジン、1,2-ジアジン、1,3-ジアジン、1,4-ジアジン、1,2,3-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,3,5-トリアジン、プリン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、1H-1,2,3-トリアゾール、2H-1,2,3-トリアゾール、1H-1,2,4-トリアゾール、又は4H-1,2,4-トリアゾールから選択することができる。
【0019】
別の実施形態において、Rは、メチレン、エチレン、n-プロピレン、オキシ-メチレン、オキシ-エチレン、-オキシ-n-プロピレン、イソプロピレン、n-ブチレン、シス-ブテニレン、トランス-ブテニレン、ブタジエニレン、ポリブタジエニレン、イソブチレン、sec-ブチレン、tert-ブチレン、n-ペンチレン、イソペンチレン、ネオペンチレン、シス-ペンチレン、トランス-ペンチレン、シス,シス-1,3-ペンタジエニレン、シス,トランス-1,3-ペンタジエニレン、トランス,トランス-1,3-ペンタジエニレン、イソプレニレン、ポリイソプレニレン、n-ヘキサニレン、イソヘキサニレン、3-メチルペンタニレン、ネオヘキサニレン、2,3-ジメチルブタニレン、2-メチルヘキサニレン、2-エチルヘキサニレン、2-プロピルヘキサニレン、ヘキセニレン、ヘキサジエニレン、又はヘキサトリエニレンから選択することができる。
【0020】
さらなる実施形態において、R及びRは、独立に、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、シス-ブテニル、トランス-ブテニル、ブタジエニル、ポリブタジエニル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シス-ペンチル、トランス-ペンチル、シス,シス-1,3-ペンタジエニル、シス,トランス-1,3-ペンタジエニル、トランス,トランス-1,3-ペンタジエニル、イソプレニル、ポリイソプレニル、n-ヘキサニル、イソヘキサニル、3-メチルペンタニル、ネオヘキサニル、2,3-ジメチルブタニル、2-メチルヘキサニル、2-エチルヘキサニル、2-プロピルヘキサニル、ヘキセニル、ヘキサジエニル、又はヘキサトリエニルから選択することができる。
【0021】
マイケル受容体は、電子求引基、例えばケト又はカルボキシ基に隣接するアルファ炭素とベータ炭素とのあいだに炭素-炭素不飽和を含む化合物である。たとえば、マイケル受容体は以下の酸のエステルである:アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、及びムコン酸。
【0022】
一実施形態では、アミン又はマイケル受容体はバイオ由来であり、生物学的調製、例えば発酵によって得ることができる。さらなる一実施形態では、前述のアミン、マイケル受容体、又は接着剤は、ASTM D6866によって決定して、少なくとも2%、例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、又は少なくとも25%のバイオ由来炭素含有量を有する。本明細書で定義されるバイオ由来の炭素含有量は、化合物中の炭素の総数に対する、再生可能な又は生物、例えば植物又は動物が産生する資源由来の炭素のパーセント割合である。
【0023】
一つの態様では、
【化8】
で表される接着剤のアミンは、
【化9】
から選択することができ、
式中、X及びXは、各場合において、独立に、メチレン、エチレン、n-プロピレン、イソプロピレン、n-ブチレン、又はsec-ブチレンから選択される。
【0024】
一実施形態では、前述の構造中のArは、フェニレン、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、フェノキシフェニル、4’-エチレンオキシ-フェニル-4-エチルアントラセン、テルフェニル、フルオレン、ピリジン、1,2-ジアジン、1,3-ジアジン、1,4-ジアジン、1,2,3-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,3,5-トリアジン、プリン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、1H-1,2,3-トリアゾール、2H-1,2,3-トリアゾール、1H-1,2,4-トリアゾール、又は4H-1,2,4-トリアゾールから選択することができる。
【0025】
一実施形態では、弾性接着剤は、脂肪族アミンとマイケル受容体との第2の反応生成物をさらに含むことができる。このような実施形態について、脂肪族アミンは、プトレシン、カダベリン、ノルスペルミジン、スペルミン、ノルスペルミン、スペルミジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、サイクレン、1,4,7-トリアザシクロノナン、又は1,1,1-トリス(アミノメチル)エタンから選択することができる。
【0026】
さらに別の実施形態では、弾性接着剤は、グラム陽性菌、グラム陰性菌、真菌、及び酵母による発酵によって生成されるアミン又は脂肪族アミンを含むことができる。
【0027】
一つのさらなる実施形態では、弾性接着剤のイソシアネート樹脂は、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1-メチル-2,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1-メチル-2,6-ジイソシアナトシクロヘキサン、4-イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、イソシアヌレート三量体、ビウレート、ウレトジオン二量体、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0028】
前述の種類のイソシアネート樹脂は、好ましくは、5~25質量%のNCO基含有量、2.0~5.0、好ましくは2.8~4.0の平均NCO官能数、及び1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満の、それらの調製に使用したジイソシアネートモノマーの残留量を有する。
【0029】
一つの実施形態では、弾性接着剤は、以下から選択される少なくとも1つの特性、例えば、少なくとも2つ、又は少なくとも3つの特性を含む。
a.硬化した接着剤の、ASTM D882-18において定義されている伸びが、10%~700%、10%~500%、10%~300%、10%~200%、10%~100%、又は10%~50%である;
b.金属、ガラス、セラミックス、及びプラスチックへの、ASTM D3359-17において定義されているクロスカット(crosshatch)接着が4Bより大きい;
c.硬化した接着剤の、ASTM D3363-05において定義されている鉛筆硬度が、3B~7H、2B~6H、又は1B~5Hである;
d.硬化した接着剤の、ASTM E313-15において定義されているイエローインデックス(黄色度)が、2未満、1.9未満、1.8未満、1.7未満、1.6未満、1,5未満、1.4未満、1.3未満、1.2未満、1.1未満、1.0未満、0.9未満、又は0.8未満である;
e.硬化した接着剤の、ASTM D638-14において定義されている引張弾性率が、0.1MPaより大きく、0.2MPaより大きく、0.5MPaより大きく、1MPaより大きく、2MPaより大きく、5MPaより大きく、10MPaより大きく、20MPaより大きく、50MPaより大きく、60MPaより大きく、80MPaより大きく、100MPaより大きく、110MPaより大きく、120MPaより大きく、130MPaより大きく、140MPaより大きく、150MPaより大きく、200MPaより大きく、又は250MPaより大きい;
f.硬化した接着剤の、ASTM D5402-15の方法Bにおいて定義されている耐溶剤性が、ラビング10回より多い、ラビング20回より多い、ラビング30回より多い、ラビング40回より多い、ラビング50回より多い、ラビング60回より多い、ラビング80回より多い、ラビング100回より多い、ラビング120回より多い、ラビング140回より多い、ラビング160回より多い、ラビング180回より多い、又はラビング200回より多い;
g.示差走査熱量測定によって決定されたガラス転移温度が、-40℃より高い、-30℃より高い、-20℃より高い、-10℃より高い、0℃より高い、10℃より高い、20℃より高い、又は30℃より高い;
h.ASTM D1002によって決定されたラップ剪断強度が、50psiより大きい、80psiより大きい、100psiより大きい、200psiより大きい、500psiより大きい、又は750psiより大きい;及び/又は
i.ポットライフが、30秒より長い、1分より長い、2分より長い、4分より長い、6分より長い、8分より長い、又は10分より長い。
【0030】
ポットライフは、初期混合粘度が1000cPに達するのにかかる時間として定義される。時間の計測は、製品が混合された瞬間から開始し、室温(23℃)において測定される。
【0031】
一つの実施形態では、破断伸びは700%以下であり、クロスハッチ接着は5Bであり、鉛筆硬度は9H以下であり且つ9Bよりは柔らかくなく、イエローインデックスは少なくとも0.05であり、引張弾性率は1GPa以下であり、又は耐溶剤性がラビング1000回以下である。
【0032】
一つの実施形態では、弾性接着剤は、溶媒をさらに含むことができる。溶媒は、極性プロトン性溶媒又は極性非プロトン性溶媒から選択することができる。適切な溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、又はそれらの混合物であることができる。
【0033】
一つの実施形態では、弾性接着剤は、添加剤をさらに含むことができる。そのような添加剤には、表面改質剤、例えばシリコーン表面改質剤、充填剤、例えばシリカ又は炭素系の充填剤、例えばカーボンナノチューブ、金属充填物、粉末、顔料、顔料安定剤、消泡剤、接着促進剤、例えばシランベースの接着促進剤、酸ベースの接着促進剤又はアルコールベースの接着促進剤、鎖延長剤、例えば、ポリエチレングリコール、増粘剤、例えば、セルロース又は粘土(クレイ)、UV吸収剤が含まれる。
【0034】
一つの実施形態において、第1の基材と第2の基材を接着させるための方法は、弾性接着剤を第1の基材上に適用することを含むことができる。接着剤が硬化するとそれは基材へのコーティングとして機能する。別の実施形態では、この方法は、第2の基材をその弾性接着剤に接触させることをさらに含むことができる。第1の基材及び第2の基材は、独立に、金属、ガラス、セラミックス、又はプラスチックから選択することができる。
【0035】
本発明のまとめに記載されているように、2成分形接着剤は、成分A及び成分Bを含み、成分Aは、以下の化合物を含む。
【化10】
式中、Rは、
【化11】
から選択され、
は、水素、
【化12】
から選択され、
式中、nは0、1、又は2であることができ、R及びRは、各場合に独立に、水素、アルキル、又はアルケニルから選択され、Rは、各場合に独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、又はアルケノキシから選択される。
【0036】
一つの実施形態では、アミンは、p-アミノフェニルエチルアミン(APEA)、p-アミノフェニルメチルアミン(APMA)、又はp-アミノフェニルプロピルアミン(APPA)に由来するものであることができる。
【0037】
別の実施形態では、基材は、金属、ガラス、セラミックス、又はプラスチックから選択することができる。さらに別の実施形態では、金属は、冷間圧延鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、陽極酸化アルミニウム、ニッケル、合金、無電解めっき金属、又は電気めっき金属から選択することができる。一つのさらなる実施形態では、ガラスは、ホウケイ酸ガラス又は石英から選択することができる。もう1つの実施形態では、プラスチックは、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、フィラー充填ポリアミド、ポリエステル、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリビニル、塩素化ポリビニル、又はそれらの積層体から選択することができる。
【0038】
一つのさらなる実施形態では、規定するエラストマーは、ASTM D1653-13に準拠して、100g(m 24h)-1以下、80g(m 24h)-1以下、60g(m 24h)-1以下、40g(m 24h)-1以下、20g(m 24h)-1以下、15g(m 24h)-1、10g(m 24h)-1以下、8g(m 24h)-1以下、5g(m 24h)-1以下、3g(m 24h)-1以下、2g(m 24h)-1以下、1g(m 24h)-1以下、0.8g(m 24h)-1以下、0.5g(m 24h)-1以下、0.2g(m 24h)-1以下、0.1g(m 24h)-1以下、又は0.05g(m 24h)-1以下の水蒸気透過性を有することができる。一つの実施形態では、透水性は少なくとも0.0001mg(m 24h)-1である。
【0039】
さらに別の実施形態では、コーティングとしてエラストマーを含む物品は、電子ウェアラブル、ハンドヘルド電子消費者デバイス、電子機器、船舶用電子デバイス、音響デバイス、スノービークル、ウォータービークル、又は液体容器であることができる。
【0040】
一つの実施形態では、物品は、ASTM D2357-18に準拠して、50mL(m s)-1以下、30mL(m s)-1以下、20mL(m s)-1以下、10mL(m s)-1以下、5mL(m s)-1以下、2mL(m s)-1以下、1mL(m s)-1以下、0.8mL(m s)-1以下、0.5mL(m s)-1以下、0.2mL(m s)-1以下、0.1mL(m s)-1以下の空気透過性を有するエラストマーを含む。一つの実施形態では、空気透過性は少なくとも0.0001マイクロL(m s)-1である。
【0041】
さらに1つのさらなる実施形態では、エラストマーは、ASTM規格D1746-15に準拠して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、又は少なくとも94%の光透過率を有する。一実施形態では、光透過率は99.9%以下である。
【0042】
さらなる実施形態では、本明細書に記載の弾性接着剤は、溶媒を含まない100%樹脂組成物である。したがって、この接着剤はゼロVOC接着剤であることができる。
【0043】
さらに1つのさらなる実施形態では、接着剤をコーティング又は接着剤として使用するために、それを可撓性基材に塗布することができる。柔軟な基材には、シリコンエラストマー、ゴム、熱可塑性ポリウレタン、及び熱可塑性エラストマーが含まれる。別の実施形態では、接着剤がコーティングとして使用される場合、それはハプティックコーティング(haptic coating)、すなわち、柔らかな又はベルベットの感触を提供するコーティングであることができる。接着剤は、スプレーコーティング、ドクターブレード、又はロールコーティングプロセスを使用して塗布できる。
【0044】
一つの実施形態では、以下に示すように、アミン及びマレイン酸エステルを最初に反応させて、修飾されたアミンを形成する。
【化13】
【0045】
さらに具体的な例は以下の反応である。
【化14】
【0046】
修飾されたアミンには、ポリアスパルテートへとさらに重合することができるアスパルテートを形成することができるマイケル付加物が含まれる。次に、ここに示すように、遊離アミンと反応してポリウレアを形成するイソシアネート樹脂又はポリイソシアネートが添加され、その組成物はその全体が弾性接着剤である。
【化15】
【実施例
【0047】
<修飾されたアミンの合成>
マレイン酸ジエチルヘキシル(DEHM)をp-アミノフェニルエチルアミン(APEA)と1:1の比率で混合した。その混合物をGCMS、HPLC、及びNMRで観察して、マイケル付加物の90%より高い収率を得た。その粗生成物は、標準的な方法、例えば、シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー又は酢酸エチル中での再結晶によって精製して、DEHM:APEA付加物を形成することができる。
【化16】
【0048】
別の試験では、APEAとDEHMを一緒に反応させ、24時間後、1当量のアクリル酸ブチル(BA)を添加し、化学量論量の酢酸又は触媒量(1~5モル%)のルイス酸、例えばSnCl又はFeClを添加した。その混合物をさらに24時間100℃に加熱し、GCMS、HPLC、及びNMRで観察した。粗生成物は、標準的な方法、例えば、シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー又は酢酸エチル中での再結晶によって精製することができる。単離後、DEHM:APEA:BA付加物が形成された。
【化17】
【0049】
同じ手順を、ジメチルシトラコン酸(DMC)とAPEAとの反応に使用して、DMC:APEAを生成させた。この反応はGCMS、HPLC、及びNMRで観察し、24~48時間かけて温度を40℃まで上昇させた。
【化18】
【0050】
前述の手順を、ジメチルメトキシ-メチレン-マロネート(DM-MMM)とAPEAの反応に使用して、マイケル付加物とその脱メトキシ化生成物の混合物を生成させた。
【化19】
【0051】
<弾性接着剤配合物>
マイケル付加物は、イソシアネートと、そのままで、又は最大10質量%のシクロヘキサノンもしくは酢酸エチルとともに混合し、基材、例えば、金属(ステンレス鋼)又はプラスチック(Lexan又はKalix)に適用した。約1:1のアミノ:イソシアネート比を達成するための各成分の量。適用された混合物を、基材の性質及び熱安定性に応じて、70℃~200℃のオーブン中で硬化させた。硬化の程度は、適用された混合物の粘着性を試験することによって、又はFTIRによってイソシアネートの低下を監視することによって時々チェックした。用いたイソシアネートは次のとおりである。
【化20】
式中、Rは、アルキレン、例えば、1,2-エチレン又は1,2,3-プロピレンである。
【0052】
表1は調製した配合物を示し、表2は得られた特性を示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
表2からわかるとおり、価値ある特性、例えば、低いT、高い伸び、及び向上した硬度などの価値ある特性を示すバイオベースの弾性接着剤が、様々なポットライフで得ることができることを示している。