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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】電力ケーブル終端システム
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/06 20060101AFI20231211BHJP
   H02G 15/08 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
H02G15/06
H02G15/08
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021570233
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2020065480
(87)【国際公開番号】W WO2020245269
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-05-09
(31)【優先権主張番号】19179006.2
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519099829
【氏名又は名称】エヌケーティー エイチブイ ケーブルズ エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フェルテ, フレードリク
【審査官】岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-184046(JP,A)
【文献】特開2018-195410(JP,A)
【文献】特開2005-354880(JP,A)
【文献】特開平4-325821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 15/06
H02G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力ケーブル導体(3a)と、前記電力ケーブル導体(3a)を電気的に絶縁するように構成された電力ケーブル絶縁システム(3b)とを有する電力ケーブル(3)と、
銅を含み、またはアルミニウムから製造される終端ケーブル導体(7a)と、前記終端ケーブル導体(7a)を電気的に絶縁するように構成された終端ケーブル絶縁システム(7b)とを有する終端ケーブル(7)であって、前記終端ケーブル(7)が前記電力ケーブル(3)よりも少なくとも1桁短く、
前記終端ケーブル導体(7a)が、前記電力ケーブル導体(3a)の電気抵抗よりも低い電気抵抗を有し、単位長さ当たりの前記終端ケーブル導体における電力低減を行い、単位長さ当たりの前記終端ケーブル導体における前記電力低減が、前記終端ケーブル導体の抵抗率×前記電力ケーブル導体の断面積÷前記電力ケーブル導体の抵抗率×前記終端ケーブル導体の断面積に比例し、および/または前記終端ケーブル絶縁システム(7b)が、前記電力ケーブル絶縁システム(3b)よりも高い単位長さ当たりの絶縁抵抗を有する、終端ケーブル(7)と、
前記電力ケーブル(3)と前記終端ケーブル(7)とを接合するように構成されたジョイント(5)と、
前記終端ケーブル(7)を終端するように構成されたケーブル終端デバイス(9)と
を備える電力ケーブル終端システム(1)。
【請求項2】
前記終端ケーブルが前記電力ケーブル(3)よりも複数桁短い、請求項1に記載の電力ケーブル終端システム(1)。
【請求項3】
前記電力ケーブル導体(3a)と前記終端ケーブル導体(7a)とが同じ電気抵抗率を有し、前記終端ケーブル導体(7a)が、前記電力ケーブル導体(3a)よりも大きい断面積を有する、請求項1または2に記載の電力ケーブル終端システム(1)。
【請求項4】
前記終端ケーブル(7)が、最大でも100メートルの全長を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の電力ケーブル終端システム(1)。
【請求項5】
前記電力ケーブル(3)が前記ジョイント(5)に接続され、前記終端ケーブル(7)が前記ジョイント(5)に接続され、前記終端ケーブル(7)が前記ケーブル終端デバイス(9)に直接接続された、請求項1から4のいずれか一項に記載の電力ケーブル終端システム(1)。
【請求項6】
前記終端ケーブル(7)が、前記ケーブル終端デバイス(9)の内側に取り付けられた部分を有する、請求項5に記載の電力ケーブル終端システム(1)。
【請求項7】
前記ケーブル終端デバイス(9)が電気絶縁流体を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の電力ケーブル終端システム(1)。
【請求項8】
前記ケーブル終端デバイス(9)がドライケーブル終端デバイスである、請求項1から6のいずれか一項に記載の電力ケーブル終端システム(1)。
【請求項9】
前記ケーブル終端デバイスが、ゲルで充填されたエンクロージャを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の電力ケーブル終端システム(1)。
【請求項10】
前記終端ケーブルが電力ケーブルアクセサリである、請求項1から9のいずれか一項に記載の電力ケーブル終端システム(1)。
【請求項11】
前記電力ケーブル(3)が高電圧電力ケーブルである、請求項1から10のいずれか一項に記載の電力ケーブル終端システム(1)。
【請求項12】
前記電力ケーブル(3)が陸上電力ケーブルである、請求項1から11のいずれか一項に記載の電力ケーブル終端システム(1)。
【請求項13】
前記電力ケーブル(3)が海底電力ケーブルである、請求項1から11のいずれか一項に記載の電力ケーブル終端システム(1)。
【請求項14】
前記電力ケーブル(3)がDC電力ケーブルである、請求項1から13のいずれか一項に記載の電力ケーブル終端システム(1)。
【請求項15】
前記電力ケーブル(3)がAC電力ケーブルである、請求項1から13のいずれか一項に記載の電力ケーブル終端システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力ケーブルに関し、詳細には、ケーブル終端を含む電力ケーブル終端システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブル終端デバイスは、たとえば、ランドフォールまたはサブステーションにおいて電力ケーブルを終端するために使用される。動作中に、大電流が電力ケーブルの導体を通って流れると、電力ケーブルが加熱する。これは、通常、接地に接続される外側半導体層を含む、電力ケーブルの外層が一般にはがされた閉鎖空間である、ケーブル終端デバイス内で特に問題になる。
【0003】
ケーブル終端デバイス中の高温はいくつかの欠点を有する。たとえば、高温になると、固体絶縁材料(架橋ポリマー(XLPE)、ゴム)中の熱暴走の危険が高まり、より大きい熱膨張により機械的運動が増加し、化学反応が加速され、しきい値温度効果により新しい化学反応が起こり得る。その上、DC電気特性は温度依存性であり、したがって、高温はDC適用例において主要な問題であり得る。
【0004】
ケーブル終端デバイスはまた、特に外側半導体層がはがされた上述の領域中で、高電界を受ける。通常、電界を低減するために、応力コーンまたはフィールドグレーディング(field-grading)アダプタがこの領域中の電力ケーブルの周りに配置される。電界は、動作圧力と材料破壊強度とによって決定される、ケーブル終端デバイス中で絶縁目的のためにどのタイプの油またはガスが使用されるかに関する限界を与える。さらに、高電界は、フィールドグレーディングアダプタおよび/または応力コーンなどの固体絶縁構成要素にかなりの応力をかける。
【0005】
どちらの問題もそれ自体で処理することが困難であり、組み合わさると、それらの問題は、ケーブル終端デバイスを設計するときにより一層の課題を生じる。
【0006】
製造業者が固体材料、絶縁流体、および空気中の高電界の問題を克服することを試みる複数の方法がある。設計の改善、材料の最適化、表面処理、ガス圧力の増加などに焦点が置かれるが、大きいコストと労力とを要する。しばしば、新しい概念およびアイデアが試みられるが、潜在的失敗の危険性が高い。
【0007】
提案されている1つの解決策は、ラッピング/加硫(vulcanization)、またはケーブル絶縁特性と同様の特性の絶縁アダプタのいずれかによって、終端内のケーブル端部のケーブルを厚くすることである。この手法は、時間がかかり、かなりの危険に関連する。たとえば、作業の品質は最高水準のものでなければならない。その上、直径を大きくしたケーブル端部の外面の調製は困難であり、それにより境界面問題の危険が高くなる。また、絶縁アダプタとXLPEとの間の材料不整合があり得る。さらに、絶縁厚さの追加は断熱の増加をも意味する。したがって、この解決策では、熱的問題の危険が高くなる。
【0008】
高温に対処する解決策としては、強制冷却、またはより良い熱的特性のための材料の変更がある。それらの解決策は、限られた温度低減のみにおいて開発の複雑さ/危険およびコストを増大させる。
【発明の概要】
【0009】
上記に鑑みて、本開示の目的は、従来技術の問題を解決するか、または少なくとも緩和する電力ケーブル終端システムを提供することである。
【0010】
したがって、電力ケーブル導体と、電力ケーブル導体を電気的に絶縁するように構成された電力ケーブル絶縁システムとを有する電力ケーブルと、終端ケーブル導体と、終端ケーブル導体を電気的に絶縁するように構成された終端ケーブル絶縁システムとを有する終端ケーブルであって、終端ケーブルが電力ケーブルよりも少なくとも1桁短く、終端ケーブル導体が、電力ケーブル導体の電気抵抗よりも低い電気抵抗を有し、および/または終端ケーブル絶縁システムが、電力ケーブル絶縁システムよりも高い単位長さ当たりの絶縁抵抗を有する、終端ケーブルと、電力ケーブルと終端ケーブルとを接合するように構成されたジョイントと、終端ケーブルを終端するように構成されたケーブル終端デバイスとを備える電力ケーブル終端システムが提供される。
【0011】
より低い電気抵抗により、終端ケーブル導体中の温度はかなり低減され得る。ケーブル終端デバイスは、したがって、スケールダウンされ、その結果、物理的フットプリントならびに環境フットプリントが小さくなり得る。これにより、たとえば、現在使用されている絶縁材料とは異なる絶縁材料が可能になり得る。さらに、より低い温度により、たとえば、より小さい熱膨張により、一般的な危険が低減され得る。
【0012】
ジョイントはトランジションジョイント(transition joint)または非対称ジョイントであり得る。
【0013】
終端ケーブルが電力ケーブルの代わりにケーブル終端デバイス中に挿入されるので、より高い単位長さ当たりの絶縁抵抗により、ケーブル終端デバイス中の電界がかなり低減される。ケーブル終端デバイスは、したがって、スケールダウンされ、その結果、物理的フットプリントならびに環境フットプリントが小さくなり得る。代替および/または追加として、たとえば、SF6よりも環境的に有害でない誘電性流体がケーブル終端デバイス中で使用され得る。
【0014】
安全余裕度(margin of safety)の大幅な増加により、より経済的な設計が得られ得、および/または性能が向上し得る。
【0015】
その上、同じ電圧定格の多数の異なる電力ケーブルタイプのためにケーブル終端デバイスの同じ設計が使用され得る。特に、ケーブル終端デバイスは、終端ケーブルとともに使用するために設計されるので、ある電圧定格に対していくつかの電力ケーブルタイプ/モデルとともに1つのサイズが使用され得る。したがって、ある電圧定格の異なる電力ケーブルタイプのためにジョイントのみが変更される必要があるであろう。結果として、終端ケーブルならびにケーブル終端デバイスは事前製造され、棚に保管され得る。ケーブル終端デバイスおよび予備部品の迅速な供給がそれにより行われ得る。また、終端ケーブルをもつケーブル終端デバイスを事前設置することが可能であり、それにより、現場での設置時間が大幅に低減されるであろう。
【0016】
ケーブル終端デバイスは、したがって、プロジェクトケーブル/供給ケーブル、すなわち、特定のプロジェクトのためのオーダーであったが、代わりに終端ケーブル上で、トランジションジョイントによって供給ケーブルに接続される電力ケーブルに基づいて設計されない。ケーブル終端デバイスは、したがって、終端ケーブルに直接接続されるように構成される。
【0017】
電力ケーブル終端システムは、それの単純さにより、コスト、設置時間を低減し、危機管理に益する。
【0018】
終端ケーブルは、本質的に、ケーブル終端デバイスの直接近傍において電力ケーブルとケーブル終端デバイスとを接続するジョイントセクションまたはスプライスセクションである。
【0019】
一実施形態によれば、終端ケーブルは電力ケーブルよりも複数桁短い。終端ケーブルは、たとえば、電力ケーブルよりも少なくとも2桁短くなり得る。
【0020】
一実施形態によれば、電力ケーブル導体と終端ケーブル導体とは同じ電気抵抗率を有し、終端ケーブル導体は、電力ケーブル導体よりも大きい断面積を有する。
【0021】
一実施形態によれば、終端ケーブルは、最大で100メートルの全長を有する。
【0022】
終端ケーブル導体は、好ましくは、銅を含むか、または銅からなり得る。終端ケーブル導体における電力低減は、それにより、電力ケーブル導体の材料とは無関係に最小限に抑えられ得る。単位長さ当たりの終端ケーブル導体における電力低減は、終端ケーブル導体の抵抗率×電力ケーブル導体の断面積÷電力ケーブル導体の抵抗率×終端ケーブル導体の断面積に比例する。終端ケーブル導体は、代替的に、たとえば、アルミニウムから製造され得る。
【0023】
一例として、アルミニウムから製造された終端ケーブル導体は、たとえば、銅から製造された電力ケーブル導体を有する電力ケーブルと接合され得る。この場合、終端ケーブル導体の単位長さの抵抗、すなわち抵抗率/断面は、電力ケーブル導体の単位長さの抵抗よりも低くなければならない。
【0024】
一実施形態によれば、電力ケーブルはジョイントに接続され、終端ケーブルはジョイントに接続され、その終端ケーブルはケーブル終端デバイスに直接接続される。
【0025】
一実施形態によれば、終端ケーブルは、ケーブル終端デバイスの内側に取り付けられた部分を有する。
【0026】
一実施形態によれば、ケーブル終端デバイスは電気絶縁流体を含む。電気絶縁流体は、たとえば、絶縁油またはSFガスであり得る。
【0027】
一実施形態によれば、ケーブル終端デバイスはドライケーブル終端デバイスである。ケーブル終端デバイスは、それのエンクロージャ内に固体絶縁物を含み得る。ドライケーブル終端は、ドライケーブル終端内に液体またはSFガスなどの電気絶縁流体を必要としない、そのような固体絶縁システムを、それのエンクロージャ内に有する。
【0028】
一実施形態によれば、ケーブル終端デバイスは、ゲルで充填されたエンクロージャを有する。ゲルは電気絶縁性である。ゲルは、エンクロージャがゲルで充填されているときは液体であり得、ゲルは、少し後で凝固して、よりゴム状になり得る。ゲルの粘度は、組立てから動作までの間に変化し得る。
【0029】
一実施形態によれば、終端ケーブルは電力ケーブルアクセサリである。終端ケーブルは、したがって、ケーブル終端デバイスとまったく同様に、電力ケーブルへのアクセサリである。それの唯一の目的は、ケーブル終端デバイス内の温度および/または電界を低減するための、電力ケーブルとケーブル終端デバイスとの間の寸法決定境界面として働くことである。
【0030】
一実施形態によれば、電力ケーブルは高電圧電力ケーブルである。
【0031】
一実施形態によれば、電力ケーブルは陸上電力ケーブルまたは海底電力ケーブルである。海底電力ケーブルの場合、電力ケーブルには1つまたは複数の外装(armouring)層が設けられ得る。終端ケーブルには、この場合、1つまたは複数の外装層が設けられ得るが、一般的には外装層は設けられないであろう。
【0032】
一実施形態によれば、電力ケーブルはDC電力ケーブルまたはAC電力ケーブルである。
【0033】
一例によれば、ジョイントはトランジションジョイントであり、電力ケーブル絶縁システムは第1のタイプの絶縁材料を含み、トランジションケーブル絶縁システムは第2のタイプの絶縁材料を含む。たとえば、第1のタイプの絶縁材料は熱可塑性物質を含み得、第2のタイプの絶縁材料は架橋ポリエチレン(XLPE)を含み得る。終端ケーブルは、ケーブル終端デバイス中でより低いまたは等しい電気応力を与えるように設計される。
【0034】
概して、特許請求の範囲において使用されるすべての用語は、本明細書で別段に明記されていない限り、当技術分野においてそれらの用語の通常の意味に従って解釈されるべきである。「1つの(或る)(a/an)/その(the)要素、装置、構成要素、手段など」へのすべての言及は、別段に明記されていない限り、要素、装置、構成要素、手段などの少なくとも1つの事例に言及するものとしてオープンに解釈されるべきである。
【0035】
次に、添付の図面を参照しながら、例として発明的概念の特定の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】電力ケーブル終端システムの一例を概略的に示す図である。
図2】絶縁抵抗のためのパラメータを概略的に示す図である。
図3】トランジションジョイントの縦断面を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
次に、例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照しながら、発明的概念について以下でより十分に説明する。発明的概念は、しかしながら、多くの異なる形態で具体化され得、本明細書に記載された実施形態に限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が周到で完全になり、発明的概念の範囲を当業者に十分に伝えるように、例として与えられるものである。説明全体にわたって、同様の番号は同様の要素を指す。
【0038】
図1は、電力ケーブル終端システム1の一例を示す。例示された電力ケーブル終端システム1は高電圧電力ケーブル終端システム1である。高電圧とは72kV以上の電圧を意味する。電力ケーブル終端システム1は、代替的に、72kVよりも低い電圧で使用するために構成され得る。
【0039】
例示された電力ケーブル終端システム1は、DC適用例のためのDC電力ケーブル終端システムであるが、代替的に、AC適用例のためのAC電力ケーブル終端システムであり得る。
【0040】
電力ケーブル終端システム1は電力ケーブル3を備える。電力ケーブル3は、「供給電力ケーブル」、すなわち、事前指定された仕様/特性とともに、海上または陸上の、あるグリッドプロジェクトのために注文された電力ケーブルである。
【0041】
電力ケーブル3は導体3aと電力ケーブル絶縁システム3bとを備える。電力ケーブル3は、電力ケーブル絶縁システム3bの半径方向外側に設けられるが、簡単のために図1に示されていない、1つまたは複数の追加の層を備える。例示された電力ケーブル絶縁システム3bは、電力ケーブル導体を電気的に絶縁するように構成された固体絶縁層であり得る。固体絶縁層は、たとえば、XLPEを含むか、またはXLPEからなり得るが、代替的に、熱可塑性材料など他の固体絶縁材料を含み得る。
【0042】
電力ケーブル導体3aは第1の断面積を有する。電力ケーブル導体3aが円形または本質的に円形の断面を有する例では、電力ケーブル導体3aは第1の導体直径dを有し得る。
【0043】
電力ケーブル3は、第1の直径を有する、電力ケーブル3の最外層の半径方向内側に直接設けられた層を有する。最外層は、一般に、電力ケーブル3の外側シースまたは外側サービングである。
【0044】
電力ケーブル絶縁システム3bは半径方向絶縁厚さtを有し得る。絶縁厚さtは半径方向における電力ケーブル絶縁システム3bの厚さである。
【0045】
電力ケーブルがAC電力ケーブルである実施形態では、電力ケーブルは、一般に、複数のコア、たとえば3相電力ケーブルの場合は3つのコアを備える。各コアは、前に説明したように、それぞれの導体と電力ケーブル絶縁システムとを備える。コアは、好ましくは、コア撚りピッチ(core stranding pitch)で撚られる。
【0046】
電力ケーブル終端システム1は、トランジションジョイントまたは非対称ジョイントなどのジョイント5と、終端ケーブル7とをさらに備える。ジョイント5は、電力ケーブル3と終端ケーブル7とを接合するように構成される。ジョイント5はプレハブジョイント(prefabricated joint)またはフレキシブル加硫ジョイントであり得る。プレハブトランジションジョイント5の一例を図2に示し、以下で説明する。
【0047】
電力ケーブル終端システム1はケーブル終端デバイス9をさらに備える。
【0048】
終端ケーブル7は供給電力ケーブルではない。終端ケーブル7は、したがって、一般に、特定のグリッドプロジェクトのために注文された電力ケーブルではない。終端ケーブル7は、ケーブル終端デバイス9とまったく同様に、電力ケーブルアクセサリである。終端ケーブル7は、したがって、電力ケーブル3へのアクセサリである。このコンテキストにおける電力ケーブル3は、一般に、長さ数キロメートル、たとえば、しばしば長さ10キロメートル超である。終端ケーブル7は、電力ケーブル3の長さよりも1桁または複数桁短い長さを有する。終端ケーブル7は、一般に、長さ100メートル以下であり得る。終端ケーブル7は、電力ケーブル3をケーブル終端デバイス9と接続する終端接続として働くように構成される。終端ケーブル7は、通常、地下または海中に設置されるセクションを有しない。
【0049】
終端ケーブル7は終端ケーブル導体7aと終端ケーブル絶縁システム7bとを有する。終端ケーブル7は、終端ケーブル絶縁システム7bの半径方向外側に設けられるが、簡単のために図示されていない、1つまたは複数の追加の層を備える。
【0050】
例示された終端ケーブル絶縁システム7bは固体絶縁層を備える。固体絶縁層は、たとえば、XLPEを含むか、またはXLPEからなり得るが、代替的に、熱可塑性材料など他の固体絶縁材料を含み得る。
【0051】
終端ケーブル7は、第2の直径を有する、終端ケーブル7の最外層の直接半径方向内側に層を有する。最外層は、一般に、終端ケーブル7の外側シースまたは外側サービングである。第2の直径は第1の直径よりも大きくなり得る。第2の直径は、たとえば、第1の直径の少なくとも1.1倍、たとえば、第1の直径の少なくとも1.2倍など、たとえば、第1の直径の少なくとも1.3倍、1.4倍、または1.5倍など、であり得る。いくつかの例では、終端ケーブル7の外径と電力ケーブル3の外径とは同じであり得ることに留意されたい。
【0052】
終端導体7aは第2の断面積を有する。終端ケーブル導体7aが円形または本質的に円形の断面を有する例では、終端ケーブル導体7aは第2の導体直径Dを有し得る。図1の例によれば、第2の導体直径Dは第1の導体直径dよりも大きい。いくつかの例では、第1の導体直径dと第2の導体直径Dとは同じであり得ることに留意されたい。電力ケーブル導体3aは、しかしながら、終端ケーブル導体7aよりも高い電気抵抗を有する。終端ケーブル導体7aは、したがって、電力ケーブル導体3aよりも生成される熱出力が少ない。電力ケーブル導体3aと終端ケーブル導体7aとが同じ材料から製造される場合、第2の導体直径Dを第1の導体直径dよりも大きくすることによって、終端ケーブル導体7aにおけるより低い電気抵抗が達成され得る。別の代替は、電力ケーブル導体3aよりも低い抵抗率を有する材料から終端ケーブル導体7aを製造することである。たとえば、終端ケーブル導体7aは銅から製造され得、電力ケーブル導体3aはアルミニウムから製造され得る。終端ケーブル導体および電力ケーブル導体の異なる導体直径と異なる導体材料との組合せも想定される。
【0053】
図1に示された例によれば、第1の断面積は第2の断面積よりも小さい。この目的のために、電力ケーブル導体3aの断面積は、任意の場所で、または少なくとも、電力ケーブル3の長さの大部分に沿って、および終端ケーブル7の長さに沿って取られた、すべてのまたは本質的にすべての断面において、終端ケーブル導体7aの断面積よりも小さい。終端ケーブル導体7aの断面積は、好ましくは、一定であるか、または本質的に一定である。終端ケーブル導体7aのより大きい断面積により、発熱は低減され得る。特に、より大きい断面積により、終端ケーブル導体7aの抵抗は電力ケーブル導体3aの場合よりも小さくなり、その結果、熱の発生が少なくなる。
【0054】
終端ケーブル絶縁システム7bは、電力ケーブル絶縁システム3bよりも高い単位長さ当たりの絶縁抵抗を有する。終端ケーブル絶縁システム7bおよび電力ケーブル絶縁システム3bの2つの絶縁システムが同じ材料から製造され、したがって、同じ抵抗率ρを有する場合、終端ケーブル絶縁システム7bを電力ケーブル絶縁システム3bよりも厚くすることによって、および/または終端ケーブル絶縁システム7bに電力ケーブル絶縁システム3bよりも高い抵抗率ρを与えることによって、より高い長さ単位当たりの絶縁システム抵抗が実装され得る。これは、電力ケーブル絶縁システム3bと異なる材料から終端ケーブル絶縁システム7bを製造することによって得られ得る。
【0055】
図2は、絶縁抵抗の定義のための電力ケーブルの断面図を概略的に示す。単位長さ当たりの絶縁抵抗Rinsは、
として表され得、上式で、rは絶縁システムの外径であり、rは絶縁システムの内径である。図2に見られ得るように、内径rは導体8から半径方向外側に配置される。電力ケーブルの使用に際して、絶縁システムの内面は、すなわち、内径rにおいて、一般に、電力の公称電圧における電圧電位を有し、絶縁システムの外面は、すなわち、外径rにおいて、一般に、接地される。
【0056】
終端ケーブル絶縁システム7bは半径方向絶縁厚さTを有し得る。絶縁厚さTは半径方向における終端ケーブル絶縁システム7bの厚さである。
【0057】
図1に示された例によれば、終端ケーブル絶縁システム7bの絶縁厚さTは電力ケーブル絶縁システム3bの絶縁厚さtよりも大きい。電界は、それにより、終端ケーブル7とケーブル終端デバイス9とが接続されているときに、特にケーブル終端デバイス9において低減され得る。2つの異なる絶縁システム、すなわち、終端ケーブル絶縁システムと異なる電力ケーブル絶縁システムがトランジションジョイントを介して接続される場合、終端ケーブル絶縁システムは、電力ケーブル絶縁システムよりも薄いケーブル絶縁を可能にする電気特性を有し、また、たとえばケーブル終端デバイスにおける電界低減を達成し得る。
【0058】
絶縁厚さTは、たとえば、絶縁厚さtよりも少なくとも10%大きくなり得る。いくつかの例によれば、絶縁厚さTと絶縁厚さtとは同じであり得る。いくつかの例では、終端ケーブル導体の電気抵抗と電力ケーブル導体の電気抵抗とは同じであり得るが、絶縁厚さTと絶縁厚さtとは異なり得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、終端ケーブル導体の断面積および終端ケーブル絶縁システムの厚さのうちの一方のみが電力ケーブルの対応する特徴よりも大きい。一般に、これにより、終端ケーブルの外径は電力ケーブルの外径よりも大きくなる。
【0060】
ケーブル終端デバイス9は細長い中空本体9aを有する。本体9aは、磁器、ゴム、またはポリマー材料などの絶縁材料から製造され得る。本体9aには、本体9aの軸方向に順次配置された複数のシェッド(shed)が設けられ得る。
【0061】
本体9aは、終端ケーブル7の端部部分を受けるように構成された第1の開口9bを有する。終端ケーブル7は、知られている様式でケーブル終端デバイス9中に設置されるが、これについては本明細書でさらに詳細に説明しない。たとえば、フィールドグレーディングアダプタおよび/または応力コーンが本体9a内の終端ケーブル7のはがされた部分の周りに取り付けられ得る。ケーブル終端デバイス9は、密封され、電気絶縁流体で充填され得る。電気絶縁流体は、たとえば、SF6などのガス、または油などの誘電性流体であり得る。
【0062】
ケーブル終端デバイス9は、代替的に、接地された導電材料から製造された本体を有するガス絶縁サブステーション(GIS)終端であり得る。
【0063】
有利には、電力ケーブル3の特定の電圧定格の異なるケーブルタイプについて、終端ケーブル7とケーブル終端デバイス9とは同じ設計を有し得、あらかじめ製造され、棚に保管され得、トランジションジョイント5のみが電力ケーブルに適応させられる必要がある。さらに、温度の低減により、ケーブル終端デバイス9のサイズは縮小され得る。ケーブル終端デバイス9のサイズはまた、電界の低減により縮小され得る。代替および/または追加として、より低い電界により、ケーブル終端デバイス9内の絶縁流体は、より環境に優しく、健康上の害がより少ないように選択され得る。また、一例によれば、たとえば、可燃性の油から可燃性でない油に変更することによる、火災特性の改善が想定される。
【0064】
図3は、プレハブトランジションジョイントの形態のジョイント5の一例を概略的に示す。ジョイント5は細長いコネクタ5aを備え得る。コネクタ5aは、銅、アルミニウム、またはステンレス鋼などの金属から製造され得る。コネクタ5aは、第1の端部において、電力ケーブル導体3aを受けるように構成された第1の軸方向開口5bを有する。コネクタ5aは、第1の端部に対向する第2の端部において、終端ケーブル導体7aを受けるように構成された第2の軸方向開口5cを有する。第2の開口5cは、第1の開口5bよりも大きい直径を有し得る。ジョイント5は、電力ケーブル導体3aの端面と終端ケーブル導体7aの端面とを機械的に接続するためのジョイント部材5dをも含み得る。コネクタ5aには、電力ケーブル導体3aと終端ケーブル導体7aとをコネクタ5aに固定するための、ねじ、ボルト、またはクランプなどの手段が設けられ得る。代替または追加として、電力ケーブル導体3aと終端ケーブル導体7aとは、たとえばコネクタ5aに溶接され得るか、または電力ケーブル導体と終端ケーブル導体とは、コネクタを使用せずに互いに溶接され得る。ジョイント5はまた、主固体絶縁体5eと、ケーブル端部ディフレクタ5fと、幾何学的およびフィールドグレーディングを与えるための1つまたは複数の抵抗性フィールドグレーディング層5gとを備え得る。フィールドグレーディング層および/またはディフレクタの材料は抵抗性および/または容量性であり得る。
【0065】
発明的概念について、主に数例を参照しながら上記で説明した。しかしながら、当業者によって容易に諒解されるように、上記で開示した実施形態以外の実施形態が、添付の特許請求の範囲によって定義されている発明的概念の範囲内で等しく可能である。
図1
図2
図3