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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】超伝導電流源システム
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/92 20060101AFI20231211BHJP
   H03K 19/195 20060101ALI20231211BHJP
   H03K 3/38 20060101ALI20231211BHJP
   H10N 60/10 20230101ALI20231211BHJP
【FI】
H03K17/92
H03K19/195
H03K3/38 Z
H10N60/10
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022079469
(22)【出願日】2022-05-13
(65)【公開番号】P2023001037
(43)【公開日】2023-01-04
【審査請求日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】17/350,712
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ディパンカー バッタチャリア
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド エル.ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ハイタオ オー.ダイ
(72)【発明者】
【氏名】クエンティン ピー.ハー
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-505547(JP,A)
【文献】特表2019-503067(JP,A)
【文献】米国特許第10367483(US,B1)
【文献】特開昭57-063871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/92
H03K 19/195
H03K 3/38
H10N 60/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超伝導電流源システムであって、線形磁束シャトルを備え、前記線形磁束シャトルは、入力と、終端と、前記入力と前記終端との間に直列に配置された複数のジョセフソン伝送線路(JTL)段とを含み、複数のJTL段の各々は、少なくとも1つのジョセフソン接合と、出力インダクタと、クロック入力とを含み、前記線形磁束シャトルは、前記入力における入力パルスの受信に応答して、かつ前記複数のJTL段の各々における前記クロック入力に提供されるクロック信号に応答して、前記複数のJTL段の各々における少なくとも1つのジョセフソン接合が前記線形磁束シャトルに沿って順次トリガすることに応答して、前記複数のJTL段の各々に関連付けられた前記出力インダクタを介して直流(DC)出力電流を生成するように構成されている、超伝導電流源システム。
【請求項2】
前記線形磁束シャトルは、第1の入力と、第1の複数のJTL段とを含む第1の線形磁束シャトルであり、第1の複数のJTL段の各々は、少なくとも1つの第1のジョセフソン接合と、第1の出力インダクタと、第1のクロック入力とを含み、超伝導電流源システムは、
第2の入力と、第2の複数のJTL段とを含む第2の線形磁束シャトルをさらに備え、前記第2の複数のJTL段の各々は、少なくとも1つの第2のジョセフソン接合と、第2の出力インダクタと、第2のクロック入力とを含み、前記第1および第2の線形磁束シャトルは、前記第1の入力における第1の入力パルスおよび前記第2の入力における第2の入力パルスの受信に応答して、かつ個々の前記第1および第2の複数のJTL段の各々の前記第1および第2のクロック入力に供給されるクロック信号に応答して、個々の前記第1および第2の複数のJTL段の各々における個々の少なくとも1つの第1および第2のジョセフソン接合が個々の前記第1および第2の線形磁束シャトルに沿って順次トリガすることに応答して、前記第1の複数のJTL段の各々に関連付けられた前記第1の出力インダクタを介しておよび前記第2の複数のJTL段の各々に関連付けられた前記第2の出力インダクタを介してDC出力電流を生成するように構成されている、請求項1に記載の超伝導電流源システム。
【請求項3】
個々の前記第1および第2の複数のJTL段の各々における前記少なくとも1つの第1および第2のジョセフソン接合が、個々の前記第1および第2の線形磁束シャトルに沿って順次交互にトリガするように、前記第1の入力パルスおよび前記第2の入力パルスは、位相が互いに180°ずれている、請求項2に記載の超伝導電流源システム。
【請求項4】
前記クロック信号は、交流(AC)クロック信号であり、ACクロック信号は、前記ACクロック信号の第1の位相において少なくとも1つの第1のジョセフソン接合をトリガし、前記ACクロック信号の前記第1の位相とは反対の第2の位相において少なくとも1つの第2のジョセフソン接合をトリガするように構成される、請求項3に記載の超伝導電流源システム。
【請求項5】
DC出力電流が提供される出力をさらに備え、前記第1の出力インダクタは、前記DC出力電流を提供するために前記第1の複数のJTL段の個々の1つと前記出力とを相互接続し、前記第2の出力インダクタは、前記DC出力電流を提供するために前記第2の複数のJTL段の個々の1つと前記出力とを相互接続する、請求項2に記載の超伝導電流源システム。
【請求項6】
前記複数のJTL段の各々に関連付けられた少なくとも1つのジョセフソン接合は、複数のジョセフソン接合を含み、前記複数のJTL段の各々は、前記複数のJTL段の各々に関連付けられた少なくとも1つの超伝導量子干渉デバイス(SQUID)を形成するための少なくとも1つのインダクタを含む、請求項1に記載の超伝導電流源システム。
【請求項7】
前記複数のJTL段の各々に関連付けられた前記複数のジョセフソン接合は、順次トリガに応答して、個々の出力インダクタを介してDC出力電流として離散電流パルスを提供するためのシャントジョセフソン接合として構成される、請求項6に記載の超伝導電流源システム。
【請求項8】
前記複数のJTL段の各々に関連付けられたジョセフソン接合は、順次トリガに応答して、個々の出力インダクタを介してDC出力電流として可変連続電流を提供するための非シャントジョセフソン接合として構成され、前記複数のジョセフソン接合の1つに関連付けられた臨界電流と複数のインダクタの1つとの積は1磁束量子未満である、請求項6に記載の超伝導電流源システム。
【請求項9】
前記複数のJTL段は、前記クロック信号の第1の位相に関連付けられた第1の複数の位相JTL段と、前記クロック信号の第2の位相に関連付けられた第2の複数の位相JTL段とを含み、前記線形磁束シャトルは、前記クロック信号の前記第1の位相に応答して少なくとも1つのジョセフソン接合が前記第1の複数の位相JTL段の各々において順次トリガすること応答して、前記第1の複数の位相JTL段の各々に関連付けられた出力インダクタを介してDC出力電流を生成し、前記クロック信号の前記第2の位相に応答して少なくとも1つのジョセフソン接合が前記第2の複数の位相JTL段の各々において順次トリガすることに応答して、前記第2の複数の位相JTL段の各々に関連付けられた出力インダクタを介してDC出力電流を生成するように構成されている、請求項1に記載の超伝導電流源システム。
【請求項10】
前記クロック信号は、AC直交クロック信号として提供される、請求項9に記載の超伝導電流源システム。
【請求項11】
DC出力電流を生成するための方法であって、
線形磁束シャトルの入力に入力パルスを供給するステップと、前記線形磁束シャトルは、前記入力と前記線形磁束シャトルの終端との間に直列に配置された複数のジョセフソン伝送線路(JTL)段を含み、複数のJTL段の各々は、少なくとも1つのジョセフソン接合と、出力インダクタと、クロック入力とを含んでおり、
前記複数のJTL段の各々の前記クロック入力にクロック信号を供給して、前記入力パルスに応答して、前記複数のJTL段の各々における少なくとも1つのジョセフソン接合を前記線形磁束シャトルに沿って順次トリガさせて、前記複数のJTL段の各々に関連付けられた前記出力インダクタを介してDC出力電流を生成するステップと、を含む方法。
【請求項12】
前記線形磁束シャトルは、第1の入力と、第1の複数のJTL段とを含む第1の線形磁束シャトルであり、第1の複数のJTL段の各々は、少なくとも1つの第1のジョセフソン接合と、第1の出力インダクタと、第1のクロック入力とを含んでおり、
前記入力パルスを供給することは、前記第1の線形磁束シャトルの前記第1の入力に第1の入力パルスを供給することと、第2の線形磁束シャトルに関連付けられた第2の入力に第2の入力パルスを供給することとを含み、前記第2の線形磁束シャトルは、第2の複数のJTL段を含み、前記第2の複数のJTL段の各々は、少なくとも1つの第2のジョセフソン接合と、第2の出力インダクタと、第2のクロック入力とを含んでおり、
前記クロック信号を供給することは、前記第1の複数のJTL段の各々に関連付けられた前記第1のクロック入力にクロック信号を供給して、前記第1の入力パルスに応答して、前記第1の複数のJTL段の各々における少なくとも1つの第1のジョセフソン接合を前記第1の線形磁束シャトルに沿って順次トリガし、前記第2の複数のJTL段の各々に関連付けられた前記第2のクロック入力にクロック信号を供給して、前記第2の入力パルスに応答して、前記第2の複数のJTL段の各々における少なくとも1つの第2のジョセフソン接合を前記第2の線形磁束シャトルに沿って順次トリガして、個々の前記第1および第2の複数のJTL段の各々に関連付けられた前記第1の出力インダクタおよび前記第2の出力インダクタを介してDC出力電流を生成することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記クロック信号は、交流(AC)クロック信号であり、個々の前記第1および第2のJTL段の各々における少なくとも1つの第1および第2のジョセフソン接合が、前記クロック信号の個々の第1および第2の位相に基づいて、個々の前記第1および第2の線形磁束シャトルに沿って順次交互にトリガするように、前記第1の入力パルスおよび前記第2の入力パルスは、位相が互いに180°ずれている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数のJTL段の各々に関連付けられた少なくとも1つのジョセフソン接合は、複数のジョセフソン接合を含み、前記複数のJTL段の各々は、前記複数のJTL段の各々に関連付けられた少なくとも1つの超伝導量子干渉デバイス(SQUID)を形成するための少なくとも1つのインダクタを含み、前記複数のJTL段の各々に関連付けられたジョセフソン接合は、順次トリガに応答して個々の出力インダクタを介してDC出力電流として離散電流パルスを提供するためのシャントジョセフソン接合として構成される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のJTL段の各々に関連付けられた少なくとも1つのジョセフソン接合は、複数のジョセフソン接合を含み、前記複数のJTL段の各々は、前記複数のJTL段の各々に関連付けられた少なくとも1つの超伝導量子干渉デバイス(SQUID)を形成するための少なくとも1つのインダクタを含み、前記複数のJTL段の各々に関連付けられたジョセフソン接合は、順次トリガに応答して、個々の出力インダクタを介してDC出力電流として可変連続電流を提供するための非シャントジョセフソン接合として構成され、前記複数のジョセフソン接合の1つに関連付けられた臨界電流と複数のインダクタの1つとの積は1磁束量子未満である、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して超伝導回路に関し、詳しくは線形磁束ポンプ電流源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
超伝導デジタル技術は、これまでにない高速、低消費電力、および低動作温度の恩恵を受けるコンピューティングおよび/または通信リソースを提供する。超伝導デジタル技術は、CMOS技術の代替として開発されており、典型的には、超伝導ジョセフソン接合を利用した超伝導ベースの単一磁束量子超伝導回路を含み、20Gb/s(ギガビット/秒)以上の典型的なデータレートで能動デバイスあたり1nW(ナノワット)未満の典型的な電力損失を示し、約4ケルビンの温度で動作することが可能である。ジョセフソン接合が能動デバイスである特定の超伝導回路は、ジョセフソン接合のDC電流バイアスを必要とすることがある。典型的なシステムは、バイアス抵抗回路網を使用してDCバイアス電流を直接供給することができるが、これは、スプリアス磁界および高い電力損失による熱を発生させる原因となり得る。このような回路の電力バジェットは、能動デバイスがスイッチングしているかどうかに関係なく、バイアス抵抗回路網内で散逸される可能性がある静的電力消費によって支配され得る。
【発明の概要】
【0003】
一例は、線形磁束シャトルを含む超伝導電流源システムを説明している。線形磁束シャトルは、入力と、複数のジョセフソン伝送線路(JTL:Josephson transmission line)段とを含む。複数のJTL段の各々は、少なくとも1つのジョセフソン接合と、出力インダクタと、クロック入力とを含む。線形磁束シャトルは、入力における入力パルスの受信に応答して、かつ複数のJTL段の各々におけるクロック入力に供給されるクロック信号に応答して、複数のJTL段の各々における少なくとも1つのジョセフソン接合が線形磁束シャトルに沿って順次トリガすることに応答して、複数のJTL段の各々に関連付けられた出力インダクタを介して直流(DC)出力電流を生成するように構成されている。
【0004】
別の例は、DC出力電流を生成するための方法を含む。方法は、線形磁束シャトルの入力に入力パルスを供給することを含む。線形磁束シャトルは、複数のJTL段を含む。複数のJTL段の各々は、少なくとも1つのジョセフソン接合と、出力インダクタと、クロック入力とを含む。また、方法は、複数のJTL段の各々のクロック入力にクロック信号を供給して、入力パルスに応答して、複数のJTL段の各々における少なくとも1つのジョセフソン接合を線形磁束シャトルに沿って順次トリガさせて、複数のJTL段の各々に関連付けられた出力インダクタを介して直流(DC)出力電流を生成することを含む。
【0005】
別の例は、超伝導電流源システムを含む。システムは、第1の線形磁束シャトルおよび第2の線形磁束シャトルを含む。第1の線形磁束シャトルは、第1の入力と、第1の複数のJTL段とを含む。第1の複数のJTL段の各々は、少なくとも1つの第1のジョセフソン接合と、第1の出力インダクタと、第1のクロック入力とを含む。第2の線形磁束シャトルは、第2の入力と、第2の複数のJTL段とを含む。第2の複数のJTL段の各々は、少なくとも1つの第2のジョセフソン接合と、第2の出力インダクタと、第2のクロック入力とを含む。システムは出力も含む。第1および第2の線形磁束シャトルは、第1の入力および第2の入力における第1の入力パルスおよび第2の入力における第2の入力パルスの受信に応答して、第1および第2のクロック入力に供給されるクロック信号に応答して、個々の第1および第2の複数のJTL段の各々における個々の少なくとも1つの第1および第2のジョセフソン接合が個々の第1および第2の線形磁束シャトルに沿って順次トリガすることに応答して、第1の複数のJTL段の各々に関連付けられた第1の出力インダクタを介して、および第2の複数のJTL段の各々に関連付けられた第2の出力インダクタを介してDC出力電流を出力上に生成するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】超伝導回路システムの一例を示す図である。
図2】超伝導回路システムの別の一例を示す図である。
図3】超伝導電流源回路の一例を示す図である。
図4】超伝導電流源回路の別の一例を示す図である。
図5】超伝導回路システムの別の一例を示す図である。
図6】DC出力電流を生成する方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、概して超伝導回路に関し、詳しくは線形磁束ポンプ電流源システムに関する。超伝導電流源システムは、少なくとも1つの線形磁束シャトルを含む。本明細書で説明するように、「線形磁束シャトル」という用語は、入力と終端との間に直列に配置された複数のジョセフソン伝送線路(JTL)段の構成を表す。例えば、終端は終端抵抗として構成することができる。各JTL段は、少なくとも1つの超伝導量子干渉デバイス(SQUID)を含み、従って、少なくとも1つのジョセフソン接合、ならびにクロック入力および出力インダクタを含むように構成することができる。一例として、クロック入力は、ACクロック信号を線形磁束シャトルの各JTL段に誘導結合するためのクロック変圧器(例えば、バイアス変圧器)の二次巻線に対応しており、ACクロック信号が線形磁束シャトルの個々のJTL段にバイアス電流を供給することができるようになっている。線形磁束シャトルの入力に供給される入力パルスに応答して、クロック入力を介してクロック信号によって供給されるバイアスに基づいて、JTL段の各々のジョセフソン接合(単数または複数)は、線形磁束シャトルに沿って順次トリガして、JTL段の各々の個々の出力インダクタを介して出力電流を提供することができる。
【0008】
一例として、クロック信号は、ACクロック信号(例えば、レシプロカル量子論理(RQL:reciprocal quantum logic)回路において実施されるような直交クロック信号)であり得る。例えば、超伝導電流源システムは、実質的に同様に構成されているが、ACクロック信号の逆位相にバイアスされている第1の線形磁束シャトルおよび第2の線形磁束シャトルを含むことができる。従って、第1の入力パルスが第1の線形磁束シャトルの入力に供給されて、ACクロック信号の第1の位相において第1の線形磁束シャトルのJTL段に沿って(例えば、個々のジョセフソン接合のトリガを介して)伝播することができ、第1の入力パルスと位相が約180°ずれている第2の入力パルスが第2の線形磁束シャトルの入力に供給されて、同様にACクロック信号の第1の位相と位相が約180°ずれているACクロック信号の第2の位相において第2の線形磁束シャトルのJTL段に沿って(例えば、個々のジョセフソン接合のトリガを介して)伝播することができる。さらに、第1および第2の線形磁束シャトルの所与の1つは、第1および第2の線形磁束シャトルの個々の1つにおける複数の組のJTL段がACクロック信号の異なる位相で動作して、ACクロック信号の周期中に出力電流を提供するできるように、位相境界を含むことができる。
【0009】
図1は、超伝導回路システム100の一例を示す。一例として、超伝導回路システム100は、メモリまたは処理システムなどの様々な超伝導コンピューティング用途のいずれにおいても実装することができる。超伝導回路システム100は、図1の例においてDC出力電流IOUTとして示されているDC出力電流を受け取るデバイス102を含む。一例として、DC出力電流IOUTは、デバイス102を駆動するためのドライバ信号として供給することができる。例えば、デバイス102は、読み取り電流または書き込み電流をメモリセルに供給するなどのメモリドライバに対応することができる。
【0010】
超伝導回路システム100はまた、超伝導電流源システム104に関連付けられたクロック信号に対応することができるACクロック信号CLKに応答してDC出力電流IOUTを生成するように構成された超伝導電流源システム104を含む。一例として、クロック信号CLKは、実質的に一定の周波数(例えば、約5GHzまたは10GHz)およびAC電流の大きさを有する正弦波形であり得る。例えば、クロック信号CLKは、レシプロカル量子論理(RQL)超伝導回路(例えば、約2mA RMS)に適用可能であるような、直交クロック信号として提供することができる。
【0011】
図1の例では、超伝導電流源システム104は、線形磁束シャトル106を含む。線形磁束シャトル106は、線形磁束シャトル106の入力に供給される入力パルスINに応答して、クロック信号CLKに基づいて線形磁束シャトル106に沿って単一磁束量子(SFQ:single-flux quantum)パルス(例えば、フラクソン)を伝播するように構成された複数のJTL段108を含むことができる。一例として、複数のJTL段108の各々は、少なくとも1つのSQUIDを含むように構成することができ、従って、少なくとも1つのジョセフソン接合、ならびにクロック入力および出力インダクタを含む。本明細書で説明するように、SFQパルスに関する「伝播する」という用語は、線形磁束シャトルの所与のJTL段108においてジョセフソン接合(単数または複数)のトリガによりSFQパルスが生成されて、(例えば、クロック信号CLKを介して)バイアス電圧と結合されたSFQパルスの電圧により、線形磁束シャトル内の次のJTL段108のジョセフソン接合が別のSFQパルスを生成すること等を説明するものである。従って、入力パルスINは、入力から線形磁束シャトル106に沿って、線形磁束シャトル106の端部(例えば、終端抵抗)まで、SFQパルスとして伝播することができる。
【0012】
一例として、JTL段108の各々のクロック入力は、クロック信号CLKを線形磁束シャトル106の個々のJTL段108に誘導結合するように構成されたクロック変圧器を含んで、クロック信号CLKが個々のJTL段108にバイアス電流を提供するようになっている。JTL段108の各々に関連付けられた出力インダクタは、個々のJTL段108を介してSFQパルスが伝播することに応答してDC出力電流IOUTを提供するように構成される。従って、線形磁束シャトル106の入力に提供される入力パルスINに応答して、JTL段108の各々におけるジョセフソン接合(単数または複数)は、順次トリガして、クロック信号CLKに基づいて線形磁束シャトル106に沿ってSFQパルスを伝播させる。SFQパルスは、個々のJTL段108に関連付けられた出力インダクタに電圧パルスを提供して、各電圧パルスが負荷インダクタ(図示せず)などのDC出力電流IOUTの一部としての電流ステップを供給するようになっている。従って、DC出力電流IOUTは、クロック信号CLKに基づいて順次供給される電流ステップに基づいて(例えば、負荷インダクタを介して)デバイス102に提供することができる。例えば、電流ステップは、ジョセフソン接合のトリガリングから生成された電圧インパルスに基づいて生成することができ、この場合、電圧ステップは、約2mV*psの電圧と時間の積を有する。電圧インパルスから生成されるJTL段108の各々に関連付けられた出力インダクタに供給される電流は、DC出力電流IOUTを提供するために合計される。
【0013】
図2は、超伝導回路システム200の別の例を示す。図1の例で上記のように設けられたものと同様に、超伝導回路システム200は、図2の例でDC出力電流IOUTとして示されるDC出力電流を受け取るデバイス202を含む。一例として、DC出力電流IOUTは、デバイス202を駆動するためのドライバ信号として供給することができる。
【0014】
また、超伝導回路システム200は、超伝導電流源システム204に関連付けられたクロック信号に対応することができるACクロック信号CLKに応答してDC出力電流IOUTを生成するように構成された超伝導電流源システム204を含む。図2の例では、超伝導電流源システム204は、第1の線形磁束シャトル206および第2の線形磁束シャトル208を含む。第1および第2の線形磁束シャトル206および208の各々は、実質的に同一に構成することができる。従って、図1の例で上記で説明したのと同様に、第1および第2の線形磁束シャトル206および208の各々は、複数のJTL段(図示せず)を含む。例えば、第1の線形磁束シャトル206は、第1の線形磁束シャトル206の入力に供給される第1の入力パルスINに応答して、クロック信号CLKに基づいて、SFQパルス(例えば、フラクソン)を第1の線形磁束シャトル206に沿って伝播させるように構成される。同様に、第2の線形磁束シャトル208は、第2の線形磁束シャトル208の入力に供給される第2の入力パルスIN180に応答して、クロック信号CLKに基づいて、SFQパルス(例えば、フラクソン)を第2の線形磁束シャトル208に沿って伝播させるように構成される。一例として、第1および第2の入力パルスINおよびIN180は、位相が互いに約180°ずれている。上記したように、クロック信号CLKは、ACクロック信号であり得、クロック信号CLKは、クロック信号CLKの第1の位相で第1の線形磁束シャトル206のJTL段をバイアスして、クロック信号CLKの第1の位相中に第1の線形磁束シャトル206を介して出力電流IOUTを提供することができ、かつクロック信号CLKは、第1の位相とは反対のクロック信号CLKの第2の位相で第2の線形磁束シャトル208のJTL段をバイアスして、クロック信号CLKの第2の位相中に第2の線形磁束シャトル208を介して出力電流IOUTを提供することができる。
【0015】
第1および第2の線形磁束シャトル206および208は、図1の例における線形磁束シャトル106と実質的に同様に構成することができる。従って、第1および第2の線形磁束シャトル206および208の各々のJTL段の各々のクロック入力は、クロック信号CLKを個々の第1および第2の線形磁束シャトル206および208の個々のJTL段に誘導結合するように構成されたクロック変圧器を含むことができる。さらに、個々の第1および第2の線形磁束シャトル206および208の各々のJTL段の各々に関連付けられた出力インダクタは、クロック信号CLKの個々の第1の位相および第2の位相中に個々のJTL段を介してSFQパルスを伝播させることに応答してDC出力電流IOUTを提供するように構成される。従って、入力パルスINおよびIN180が第1および第2の線形磁束シャトル206および208の個々の入力に提供されることに応答して、JTL段の各々におけるジョセフソン接合(単数または複数)が順次トリガして、SFQパルスをクロック信号CLKの第1の位相において第1の線形磁束シャトル206に沿って、かつクロック信号CLKの第2の位相において第2の線形磁束シャトル208に沿って伝播させる。従って、超伝導回路システム200は、第1および第2の線形磁束シャトル206および208からの出力電流IOUTを、クロック信号CLKの周期を通して実質的に連続的に提供することができる。
【0016】
超伝導電流源システム204は、磁束シャトルループに配置されるような典型的な電流源システムに対して優位な利点を示す超伝導電流源を提供する。例えば、循環磁束ポンプでは、電流が負荷に分流されると、バイアス源からのDCバイアスが枯渇する可能性がある。電流コンプライアンスでは、典型的な磁束シャトルループのJTLの少なくとも1つは、ACバイアスの頂点で正の方向にパルスし、ACバイアスの反頂点で負の方向にパルスすることができるため、埋め込まれた磁束量子がループの周りを循環するのを停止し、負荷への電流が増加するのを停止するというディザリング状態がもたらされる。超伝導電流源システム204は、第1および第2の線形磁束シャトル206および208におけるJTL段の線形構成に基づいて、ディザリングを発生させることなく動作することができる。別の例として、電流コンプライアンスは、追加のJTL段を追加することで簡単に増加させることができ、クロスオーバーが不要であり、追加のJTL段および/または位相を1つずつ追加することができるため、相補的バイアスを典型的な磁束シャトルループ構成に比べて簡略化することができる。さらに別の例として、SFQパルスのストリームを使用することにより、オフチップ活性化またはポンピングを開始するための特別な専用回路のいずれかを必要とする磁束シャトルループを実装する典型的な電流源と比較して、超伝導電流源システム204の活性化を簡略化することができ、これは、回路全体の性能に影響を与える。さらに別の例として、第1および第2の線形磁束シャトル206および208が鏡像線形回路として配置されることにより、回路レイアウトを簡略化し、利用可能な回路フットプリントを利用し、アレイ回路(例えば、メモリ)におけるピッチマッチングを改善するための僅かなスケーラビリティが可能となる。さらに別の例として、典型的な磁束シャトルループ構成の円形配置とは対照的に、線形磁束シャトル206および208におけるJTL段の線形配置は、回路の性能に有害な影響を及ぼし得るバックグラウンド磁束量子をトラップする可能性を軽減する。従って、超伝導電流源システム204は、磁束シャトルループを実装する典型的な電流源に対して有意な利点を示すことができる。
【0017】
図3は、超伝導電流源回路300の一例を示す。超伝導電流源回路300は、超伝導回路システム100および200における超伝導電流源システム104または超伝導電流源システム204にそれぞれ対応することができる。従って、図3の例に関する以下の説明では、図1および図2の例を参照する。
【0018】
超伝導電流源回路300は、第1の線形磁束シャトル302および第2の線形磁束シャトル304を含む。第1および第2の線形磁束シャトル302および304の各々は、ほぼ同一に構成されている。第1の線形磁束シャトル302は、入力インダクタLIN1を含むとともに、複数のJTL段306を含む。JTL段306の各々は、第1のインダクタL11_X、第2のインダクタL12_X、および第3のインダクタL13_Xを含む。図3の例では、「X」という名称は、N段の合計数に対するJTL段の数に対応するインデックスである。従って、第1のインダクタの番号はL11_1~L11_N、第2のインダクタの番号はL12_1~L12_N、第3のインダクタの番号はL13_1~L13_Nである。また、JTL段306の各々は、第1のジョセフソン接合J11_Xおよび第2のジョセフソン接合J12_Xを含む。図3の例では、ジョセフソン接合J11_XおよびJ12_Xは、シャントジョセフソン接合(shunted Josephson junctions)として示されているため、並列抵抗を含む。
【0019】
また、JTL段306の各々は、図3の例において変圧器Tの二次巻線LSXの第1の極性として示されているクロック入力を含む。変圧器Tの各々の一次巻線LPXには、正弦波クロック信号であり得るクロック信号CLKACが供給される。従って、第1および第2のインダクタL11_XおよびL12_X、ならびに第1および第2のジョセフソン接合J11_XおよびJ12_Xは、クロック信号CLKACの第1の位相中に二次巻線LSXを介して供給されるバイアス電流IBIAS1_XによってバイアスされるSQUIDを形成する。さらに、JTL段306の各々は、個々のJTL段306の個々の第3のインダクタL13_Xに結合された出力インダクタLOUTXを含む。各JTL段306の出力インダクタLOUTXは、本明細書でより詳細に説明されるように、出力電流IOUTを提供するように構成された出力308に結合される。
【0020】
同様に、第2の線形磁束シャトル304は、入力インダクタLIN2を含むとともに、複数のJTL段310を含む。JTL段310の各々は、第1のインダクタL21_X、第2のインダクタL22_X、および第3のインダクタL23_Xを含む。従って、第1のインダクタの番号はL21_1~L21_N、第2のインダクタの番号はL22_1~L22_N、第3のインダクタの番号はL23_1~L23_Nである。また、JTL段310の各々は第1のジョセフソン接合J21_Xおよび第2のジョセフソン接合J22_Xを含む。図3の例では、ジョセフソン接合J21_XおよびJ22_Xは、シャントジョセフソン接合として示されているため、並列抵抗を含む。
【0021】
また、JTL段310の各々は、図3の例において、変圧器Tの二次巻線LSXの、第1の極性とは反対の第2の極性として示されているクロック入力を含む。従って、JTL段306および310の各々は、変圧器Tの二次巻線LSXの反対の極性から個々のバイアス電流が提供されることに基づいて、共通のクロック入力LSXを共有する。しかしながら、別個のクロック入力(例えば、別個の変圧器)を個々のJTL段306および310に設けることができる。従って、第1および第2のインダクタL21_XおよびL22_X、ならびに第1および第2のジョセフソン接合J21_XおよびJ22_Xは、クロック信号CLKACの第1の位相とは反対の第2の位相中に二次巻線LSXを介して供給されるバイアス電流IBIAS2_XによってバイアスされるSQUIDを形成する。従って、バイアス電流IBIAS2_Xは、バイアス電流IBIAS1_Xとは反対の極性を有する。さらに、JTL段310の各々は、個々のJTL段310の個々の第3のインダクタL23_Xに結合された出力インダクタLOUTXを含む。従って、JTL段306および310の各々は、共通の出力インダクタLOUTXを共有する。しかしながら、個別の出力インダクタを個々のJTL段306および310に結合することができる。
【0022】
図3の例では、入力パルスIN(例えば、SFQパルス)が、第1の線形磁束シャトル302の入力312に供給される。入力パルスINは、入力インダクタLIN1を介して、第1および第2のインダクタL11_1およびL12_1、ならびに第1および第2のジョセフソン接合J11_1およびJ12_1によって形成されるSQUIDに伝播する。クロック信号CLKACの第1の位相中に、第1の変圧器Tの二次巻線LS1は、バイアス電流IBIAS1_1を第1のJTL段306に供給する。従って、第1および第2のジョセフソン接合J11_1およびJ12_1は、SFQパルスを第2のJTL段306に伝播するようにトリガする。さらに、SFQパルスが第3のインダクタL13_1を通って伝播するときに、SFQパルスの一部に対応する電流ステップIOUT1_1が第1のJTL段306から提供される。電流IOUT1_1は、出力インダクタLOUT1を介して出力308に供給されるため、出力電流IOUTの一部を形成する。一例として、電流ステップIOUT1_1を、負荷に出力電流IOUTを供給することができるストレージインダクタ(図示せず)に蓄積されたエネルギーに追加することができる。
【0023】
従って、SFQパルスは、第1の線形磁束シャトル302に沿って伝播し続けることができる。例えば、SFQパルスは、JTL段306の順序で、第1および第2のインダクタL11_XおよびL12_Xならびに第1および第2のジョセフソン接合J11_XおよびJ12_Xによって形成される各SQUIDに伝播する。クロック信号CLKACの第1の位相中に、個々の変圧器Tの二次巻線LSXは、バイアス電流IBIAS1_Xを個々のJTL段306に供給する。従って、第1および第2のジョセフソン接合J11_XおよびJ12_Xは、SFQパルスをJTL段306の順序で次のJTL段306に伝播するようにトリガする。各JTL段306において、SFQパルスが第3のインダクタL13_Xを通って伝播するときに、SFQパルスの一部に対応する電流ステップIOUT1_Xが、個々のJTL段306から提供される。電流IOUT1_Xは、個々の出力インダクタLOUTXを介して出力308に供給されるため、出力電流IOUTの一部を形成する。
【0024】
クロック信号CLKACの第2の位相において、入力パルスIN180(例えば、SFQパルス)が第2の線形磁束シャトル304の入力314に供給される。入力パルスIN180は、入力パルスINと位相が約180°ずれているため、クロック信号CLKACの第2の位相とほぼ整列している。入力パルスIN180は、入力インダクタLIN2を介して、第1および第2のインダクタL21_1およびL22_1、ならびに第1および第2のジョセフソン接合J21_1およびJ22_1によって形成されるSQUIDに伝播する。クロック信号CLKACの第2の位相中に、第1の変圧器Tの二次巻線LS1は、バイアス電流IBIAS2_1を第1のJTL段310に供給する。従って、第1および第2のジョセフソン接合J21_1およびJ22_1は、SFQパルスを第2のJTL段310に伝播するようにトリガする。さらに、SFQパルスが第3のインダクタL23_1を通って伝播するときに、SFQパルスの一部に対応する電流ステップIOUT2_1が第1のJTL段310から提供される。電流IOUT2_1は、出力インダクタLOUT1を介して出力308に供給されるため、出力電流IOUTの一部を形成する。一例として、電流ステップIOUT2_1を、負荷に出力電流IOUTを提供することができるストレージインダクタに蓄積されたエネルギーに追加することができる。
【0025】
従って、SFQパルスは、第2の線形磁束シャトル304に沿って伝播し続けることができる。例えば、SFQパルスは、JTL段310の順序で、第1および第2のインダクタL21_XおよびL22_Xならびに第1および第2のジョセフソン接合J21_XおよびJ22_Xによって形成される各SQUIDに伝播する。クロック信号CLKACの第2の位相中に、個々の変圧器Tの二次巻線LSXは、バイアス電流IBIAS2_Xを個々のJTL段310に供給する。従って、第1および第2のジョセフソン接合J21_XおよびJ22_Xは、SFQパルスをJTL段310の順序で次のJTL段310に伝播するようにトリガする。各JTL段310において、SFQパルスが第3のインダクタL23_Xを通って伝播するときに、SFQパルスの一部に対応する電流ステップIOUT2_Xが、個々のJTL段310から提供される。電流IOUT2_Xは、個々の出力インダクタLOUTXを介して出力308に供給されるため、出力電流IOUTの一部を形成する。
【0026】
図4は、超伝導電流源回路400の一例を示す。超伝導電流源回路400は、超伝導回路システム100および200における超伝導電流源システム104または超伝導電流源システム204にそれぞれ対応することができる。従って、図4の例に関する以下の説明では、図1および図2の例を参照する。
【0027】
超伝導電流源回路400は、第1の線形磁束シャトル402および第2の線形磁束シャトル404を含む。第1および第2の線形磁束シャトル402および404の各々は、ほぼ同一に構成されている。第1の線形磁束シャトル402は、複数のJTL段406を含む。JTL段406の各々は、第1のインダクタL11_X、第2のインダクタL12_X、第3のインダクタL13_X、および第4のインダクタL14_Xを含む。図4の例では、「X」という名称は、N段の合計数に対するJTL段の数に対応するインデックスである。従って、第1のインダクタの番号はL11_1~L11_N、第2のインダクタの番号はL12_1~L12_N、第3のインダクタの番号はL13_1~L13_N、第4のインダクタの番号はL14_1~L14_Nである。また、JTL段406の各々は、第1のジョセフソン接合J11_X、第2のジョセフソン接合J12_X、第3のジョセフソン接合J13_X、および第4のジョセフソン接合J14_Xを含む。図4の例では、ジョセフソン接合J11_X、J12_X、J13_X、およびJ14_Xは、非シャントジョセフソン接合(unshunted Josephson junctions)として示されているため、並列抵抗を含んでいない。
【0028】
また、JTL段406の各々は、図4の例において変圧器Tの二次巻線LSXの第1の極性として示されているクロック入力を含む。変圧器Tの各々の一次巻線LPXには、正弦波クロック信号であり得るクロック信号CLKACが供給される。インダクタL11_X、L12_X、L13_X、およびL14_Xならびにジョセフソン接合J11_X、J12_X、J13_X、およびJ14_Xの構成は、図3の例におけるJTL段306のSQUID構成によって提供されるデジタル磁束量子とは対照的に、個々のJTL段406の長さに沿って可変磁束を提供する等価長ジョセフソン接合(equivalent long Josephson junction)を形成する。本明細書で説明するように、「等価長ジョセフソン接合」という用語は、SQUIDのジョセフソン接合J11_X、J12_X、J13_X、およびJ14_Xのうちの所与の1つの臨界電流と、インダクタL11_X、L12_X、L13_X、およびL14_Xのうちの個々の1つのインダクタンスとの積が1磁束量子未満(例えば、1磁束量子の4分の1未満)であることに基づいて、JTL段406の各々が1磁束量子未満を蓄積するJTL段406の各々における一連のSQUIDを指す。図4の例に示されている等価長ジョセフソン接合は、4つのジョセフソン接合および4つのインダクタを含むが、JTL段406の各々は、本明細書に記載されている等価長ジョセフソン接合として実施される4つのジョセフソン接合および4つのインダクタより多いかまたは少ないジョセフソン接合およびインダクタを含むことができる。
【0029】
その結果、ジョセフソン接合J11_X、J12_X、J13_X、およびJ14_Xは、ジョセフソン接合J11_X、J12_X、J13_X、およびJ14_Xの各々とは対照的に、JTL段406における複数のジョセフソン接合J11_X、J12_X、J13_X、およびJ14_Xにわたって約2πの超伝導相を示す。図4の例では、JTL段406の等価長ジョセフソン接合構成は、クロック信号CLKACの第1の位相中に二次巻線LSXを介して第2のインダクタL12_Xに供給されるバイアス電流IBIAS1_Xによってバイアスされる。さらに、JTL段406の各々は、個々のJTL段406の個々の第4のインダクタL14_Xに結合された出力インダクタLOUTXを含む。JTL段406の各々の出力インダクタLOUTXは、本明細書でより詳細に説明されるように、出力電流IOUTを提供するように構成される出力408に結合される。
【0030】
同様に、第2の線形磁束シャトル404は、複数のJTL段410を含む。JTL段410の各々は、第1のインダクタL21_X、第2のインダクタL22_X、第3のインダクタL23_X、および第4のインダクタL24_Xを含む。従って、第1のインダクタの番号はL21_1~L21_N、第2のインダクタの番号はL22_1~L22_N、第3のインダクタの番号はL23_1~L23_N、第4のインダクタ番号はL24_1~L24_Nである。また、JTL段410の各々は、第1のジョセフソン接合J21_X、第2のジョセフソン接合J22_X、第3のジョセフソン接合J23_X、および第4のジョセフソン接合J24_Xを含む。図4の例では、ジョセフソン接合J21_X、J22_X、J23_X、およびJ24_Xは、非シャントジョセフソン接合として示されているため、並列抵抗を含んでいない。
【0031】
また、JTL段410の各々は、図4の例において、変圧器Tの二次巻線LSXの、第1の極性とは反対の第2の極性として示されるクロック入力を含む。従って、JTL段406および410の各々は、変圧器Tの二次巻線LSXの反対の極性から個々のバイアス電流が提供されることに基づいて、共通のクロック入力LSXを共有する。しかしながら、別個のクロック入力(例えば、別個の変圧器)を個々のJTL段406および410に設けることができる。上記と同様に、インダクタL21_X、L22_X、L23_X、およびL24_Xならびにジョセフソン接合J21_X、J22_X、J23_X、およびJ24_Xの構成は、図3の例のJTL段310のSQUID構成によって提供されるデジタル磁束量子とは対照的に、個々のJTL段410の長さに沿って可変磁束を提供する等価長ジョセフソン接合を形成する。JTL段410の等価長ジョセフソン接合構成は、クロック信号CLKACの第2の位相中に二次巻線LSXを介して第2のインダクタL12_Xに供給されるバイアス電流IBIAS2_Xによってバイアスされる。従って、バイアス電流IBIAS2_Xは、バイアス電流IBIAS1_Xとは反対の極性を有する。さらに、JTL段406の各々は、個々のJTL段406の個々の第4のインダクタL14_Xに結合された出力インダクタLOUTXを含む。JTL段410の各々の出力インダクタLOUTXは、出力408に結合されている。従って、JTL段406および410の各々は、共通の出力インダクタLOUTXを共有する。しかしながら、個別の出力インダクタを個々のJTL段406および410に結合することができる。
【0032】
図4の例では、入力パルスIN(例えば、SFQパルス)が、第1の線形磁束シャトル402の入力412に供給される。入力パルスINは、第1のJTL段406におけるインダクタL11_1、L12_1、L13_1、およびL14_1ならびにジョセフソン接合J11_1、J12_1、J13_1、およびJ14_1によって形成される等価長ジョセフソン接合構成に伝播する。クロック信号CLKACの第1の位相中に、第1の変圧器Tの二次巻線LS1は、バイアス電流IBIAS1_1を第1のJTL段406に供給する。従って、ジョセフソン接合J11_1、J12_1、J13_1、およびJ14_1は、SFQパルスを第2のJTL段406に伝播するようにトリガする。さらに、SFQパルスが第4のインダクタL14_1を通って伝播するときに、SFQパルスの一部に対応する電流ステップIOUT1_1が第1のJTL段406から提供される。第1のJTL段406の等価長ジョセフソン接合構成により、SFQパルスが第1のJTL段406を伝播する際に等価長ジョセフソン接合内の磁束が変化するため、電流ステップIOUT1_1を可変振幅で提供することができる。電流IOUT1_1は、出力インダクタLOUT1を介して出力408に供給されるため、出力電流IOUTの一部を形成する。一例として、電流ステップIOUT1_1を、負荷に出力電流IOUTを供給することができるストレージインダクタ(図示せず)に蓄積されたエネルギーに追加することができる。
【0033】
従って、SFQパルスは、第1の線形磁束シャトル402に沿って伝播し続けることができる。例えば、SFQパルスは、JTL段406の順序で各JTL段406に伝播する。クロック信号CLKACの第1の位相中に、個々の変圧器Tの二次巻線LSXは、バイアス電流IBIAS1_Xを個々のJTL段406に供給する。従って、ジョセフソン接合J11_X、J12_X、J13_X、およびJ14_Xは、SFQパルスをJTL段406の順序で次のJTL段406に伝播するようにトリガする。各JTL段406において、SFQパルスが第4のインダクタL14_Xを通って伝播するときに、SFQパルスの一部に対応する可変電流ステップIOUT1_Xが、個々のJTL段406から提供される。電流IOUT1_Xは、個々の出力インダクタLOUTXを介して出力408に供給されるため、出力電流IOUTの一部を形成する。
【0034】
クロック信号CLKACの第2の位相において、入力パルスIN180(例えば、SFQパルス)が第2の線形磁束シャトル404の入力414に供給される。入力パルスIN180は、入力パルスINと位相が約180°ずれているため、クロック信号CLKACの第2の位相とほぼ整列している。入力パルスIN180は、第1のJTL段410におけるインダクタL21_1、L22_1、L23_1、およびL24_1ならびにジョセフソン接合J21_1、J22_1、J23_1、およびJ24_1によって形成される等価長ジョセフソン接合構成に伝播する。クロック信号CLKACの第2の位相中に、第1の変圧器Tの二次巻線LS1は、バイアス電流IBIAS2_1を第1のJTL段410に供給する。従って、ジョセフソン接合J21_1、J22_1、J23_1、およびJ24_1は、SFQパルスを第2のJTL段410に伝播するようにトリガする。さらに、SFQパルスが第4のインダクタL24_1を通って伝播するときに、SFQパルスの一部に対応する可変電流ステップIOUT2_1が第1のJTL段410から提供される。電流IOUT2_1は、出力インダクタLOUT1を介して出力408に供給されるため、出力電流IOUTの一部を形成する。一例として、電流ステップIOUT2_1を、負荷に出力電流IOUTを提供することができるストレージインダクタに蓄積されたエネルギーに追加することができる。
【0035】
従って、SFQパルスは、第2の線形磁束シャトル404に沿って伝播し続けることができる。例えば、SFQパルスは、JTL段410の順序で各JTL段410に伝播する。クロック信号CLKACの第2の位相中に、個々の変圧器Tの二次巻線LSXは、バイアス電流IBIAS2_Xを個々のJTL段410に供給する。従って、ジョセフソン接合J21_X、J22_X、J23_X、およびJ24_Xは、SFQパルスをJTL段410の順序で次のJTL段410に伝播するようにトリガする。各JTL段410において、SFQパルスが第4のインダクタL24_Xを通って伝播するときに、SFQパルスの一部に対応する可変電流ステップIOUT2_Xが、個々のJTL段410から提供される。電流IOUT2_Xは、個々の出力インダクタLOUTXを介して出力408に供給されるため、出力電流IOUTの一部を形成する。
【0036】
従って、図4の例は、図3の例における線形磁束シャトル302および304に対する線形磁束シャトル402および404の変形例を示す。インダクタL11_X、L12_X、L13_X、およびL14_Xならびにジョセフソン接合J11_X、J12_X、J13_X、およびJ14_Xの等価長ジョセフソン接合構成、およびインダクタL21_X、L22_X、L23_X、およびL24_Xならびにジョセフソン接合J21_X、J22_X、J23_X、およびJ24_Xの等価長ジョセフソン接合構成によって、超伝導電流源システム400の動作を、シャントジョセフソン接合なしで動作させることが可能となる。結果として、超伝導電流源システム400は、個々のジョセフソン接合J11_X、J12_X、J13_X、およびJ14_XならびにJ21_X、J22_X、J23_X、およびJ24_X上の抵抗シャントからのエネルギー散逸を軽減することに基づいて、よりエネルギー効率の高い方法で動作することができる。さらに、超伝導電流源システム400は、個々のジョセフソン接合J11_X、J12_X、J13_X、およびJ14_XならびにJ21_X、J22_X、J23_X、およびJ24_X上に抵抗シャントを含まないことによって、よりコンパクトなフォームファクタで製造することができる。
【0037】
図5は、超伝導回路システム500の別の一例を示す。図1および図2の例で上記のように設けられたものと同様に、超伝導回路システム500は、図5の例でDC出力電流IUTとして示される、DC出力電流を受け取るデバイス502を含む。一例として、DC出力電流IUTは、デバイス502を駆動するためのドライバ信号として供給することができる。
【0038】
また、超伝導回路システム500は、超伝導電流源システム504に関連付けられたクロック信号に対応することができるACクロック信号CLKに応答してDC出力電流IOUTを生成するように構成された超伝導電流源システム504を含む。図5の例では、超伝導電流源システム504は、第1の線形磁束シャトル506および第2の線形磁束シャトル508を含む。第1および第2の線形磁束シャトル506および508の各々は、実質的に同一に構成することができる。従って、図1および図2の例で上記したのと同様に、第1および第2の線形磁束シャトル506および508の各々は、複数のJTL段(図示せず)を含む。上記と同様に、第1および第2の線形磁束シャトル506および508は、ACクロック信号に基づいて動作することができる。しかしながら、図5の例では、クロック信号CLKRQLとして示されているACクロック信号は、RQL回路システムにおいて実施されているような、位相が互いに90°ずれている2つの別個の正弦波信号を含むことができる直交クロック信号に対応することができる。
【0039】
図5の例では、第1の線形磁束シャトル506は、クロック信号CLKRQLの0°位相で動作する第1の組の位相JTL段510(「0°JTL段」)、クロック信号CLKRQLの90°位相で動作する第2の組の位相JTL段512(「90°JTL段」)、クロック信号CLKRQLの180°位相で動作する第3の組の位相JTL段514(「180°JTL段」)、およびクロック信号CLKRQLの270°位相で動作する第4の組の位相JTL段516(「270°JTL段」)として示される、複数の組の位相JTL段を含む。例えば、第1の線形磁束シャトル506は、第1の線形磁束シャトル506の入力に供給される第1の入力パルスINに応答して、クロック信号CLKRQLに基づいて、SFQパルス(例えば、フラクソン)を第1の線形磁束シャトル506に沿って伝播するように構成される。一例として、第1の組の位相JTL段510は、クロック信号CLKRQLの0°位相中に出力電流IOUTをデバイス502に提供し、第2の組の位相JTL段512は、クロック信号CLKRQLの90°位相中に出力電流IOUTをデバイス502に提供し、第3の組の位相JTL段514は、クロック信号CLKRQLの180°位相中に出力電流IOUTをデバイス502に提供し、第4の組の位相JTL段516は、クロック信号CLKRQLの270°位相中に出力電流IOUTをデバイス502に提供する。従って、第1の線形磁束シャトル506は、直交クロック信号(例えば、クロック信号CLKRQL)の全周期を通して出力電流をデバイス502に連続的に提供することを可能にする位相境界を含む。
【0040】
同様に、第2の線形磁束シャトル508は、クロック信号CLKRQLの180°位相で動作する第1の組の位相JTL段518(「180°JTL段」)、クロック信号CLKRQLの270°位相で動作する第2の組の位相JTL段520(「270°JTL段」)、クロック信号CLKRQLの0°位相で動作する第3の組の位相JTL段522(「0°JTL段」)、およびクロック信号CLKRQLの90°位相で動作する第4の組の位相JTL段524(「90°JTL段」)として示される、複数の組の位相JTL段を含む。例えば、第2の線形磁束シャトル508は、第2の線形磁束シャトル508の入力に供給される第2の入力パルスIN180に応答して、クロック信号CLKRQLに基づいて、SFQパルス(例えば、フラクソン)を第2の線形磁束シャトル508に沿って伝播するように構成される。一例として、第1の組の位相JTL段518は、クロック信号CLKRQLの180°位相中に出力電流IOUTをデバイス502に提供し、第2の組の位相JTL段520は、クロック信号CLKRQLの270°位相中に出力電流IOUTをデバイス502に提供し、第3の組の位相JTL段522は、クロック信号CLKRQLの0°位相中に出力電流IOUTをデバイス502に提供し、第4の組の位相JTL段524はクロック信号CLKRQLの90°位相中に出力電流IOUTをデバイス502に提供する。従って、第2の線形磁束シャトル508はまた、直交クロック信号(例えば、クロック信号CLKRQL)の全周期を通して出力電流をデバイス502に連続的に提供することを可能にする位相境界を含む。
【0041】
複数の組の位相JTL段510、512、514、516、518、520、522、および524におけるJTL段の数は、クロック信号CLKRQLの周波数に対するSFQパルスの伝播時間に基づくことができる(例えば、最大約15個のJTL段)。従って、第1および第2の線形磁束シャトル506および508は、複数の組の位相JTL段に分割することができる任意の量のJTL段によって拡張可能である。第1および第2の線形磁束シャトル506および508における複数の組の位相JTL段の構成に基づいて、超伝導電流源システム504は、直交クロック信号(例えば、クロック信号CLKRQL)の全周期にわたって出力電流をデバイス502に実質的に連続的に提供することができる。さらに、第1および第2の線形磁束シャトル506および508は、クロック信号CLKRQLの同じ位相で動作する冗長な組の位相JTL段を含むため、出力電流IOUTの振幅を、クロック信号CLKRQLの所与の位相において単一の組のJTLよりも速い速度で増加させることができる。しかしながら、第1および第2の線形磁束シャトル506および508の各々は、4組の位相JTL段を含むが、電流源システム500は、代わりに、第1および第2の線形磁束シャトル506および508の各々において、より多くの組の位相JTL段を含むことができるか、またはより少ない組の位相JTL段(例えば、クロック信号CLKRQLの4つの位相に対応するために、第1および第2の線形磁束シャトル506および508の各々に2組)を含むことができる。従って、超伝導電流源システム500は、所望の電流コンプライアンスに基づいて、様々な方法のいずれかで構成することができる。
【0042】
上記した構造的および機能的特徴を考慮して、本発明の様々な態様による方法は、図6を参照することにより、よりよく理解されるであろう。説明を簡単にするために、図6の方法は順次実行されるものとして示され説明されているが、本発明に従って、いくつかの態様は、本明細書に示し説明したものとは異なる順序で、および/または別の態様と同時に生じ得るので、本発明が例示された順序によって限定されないことを理解および認識されたい。さらに、本発明の一態様による方法を実施するために、図示されたすべての特徴が必要とされるわけではない。
【0043】
図6は、DC出力電流(例えば、DC出力電流IOUT)を生成するための方法600の一例を示す。602において、入力パルス(例えば、入力パルスIN)が線形磁束シャトル(例えば、線形磁束シャトル106)の入力に供給される。線形磁束シャトルは、複数のジョセフソン伝送線路(JTL)段を含む。JTL段の各々は、少なくとも1つのジョセフソン接合(例えば、ジョセフソン接合J12_Xなど)、出力インダクタ(例えば、出力インダクタLOUTX)、およびクロック入力(例えば、二次巻線LSX)を含む。604において、クロック信号(例えば、クロック信号CLK)がJTL段の各々のクロック入力に供給されて、入力パルスに応答して、JTL段の各々における少なくとも1つのジョセフソン接合を線形磁束シャトルに沿って順次トリガして、JTL段の各々に関連付けられた出力インダクタを介してDC出力電流を生成する。
【0044】
上記に記載されているのは、本発明の例である。もちろん、本発明を説明する目的で構成要素または方法の考えられるすべての組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者は、本発明の多くのさらなる組み合わせおよび置換が可能であることを認識するであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲を含む、本出願の範囲内に含まれるそのようなすべての変更、修正、および変形を包含することが意図されている。さらに、開示またはクレームが「1つの(a, an)」、「第1の(a first)」、「もう一つの(another)」要素、またはそれらの均等物を記載する場合、1つまたは複数のそのような要素を含むと解釈されるべきであり、2つ以上のそのような要素を必要とも除外もしない。本明細書で使用される場合、「含む」という用語は、含むがこれに限定されないことを意味し、「含んでいる」という用語は、含んでいるがこれに限定されないことを意味する。「に基づく」という用語は、少なくとも部分的に基づくことを意味する。
以下に、上記実施形態から把握できる技術思想を付記として記載する。
[付記1]
超伝導電流源システムであって、
第1の線形磁束シャトルと、前記第1の線形磁束シャトルは、第1の入力と、第1の複数のジョセフソン伝送線路(JTL)段とを含み、第1の複数のJTL段の各々は、少なくとも1つの第1のジョセフソン接合と、第1の出力インダクタと、第1のクロック入力とを含んでおり、
第2の線形磁束シャトルと、前記第1の線形磁束シャトルは、第2の入力と、第2の複数のJTL段とを含み、前記第2の複数のJTL段の各々は、少なくとも1つの第2のジョセフソン接合と、第2の出力インダクタと、第2のクロック入力とを含んでおり、
出力と、を備え、前記第1および第2の線形磁束シャトルは、前記第1の入力における第1の入力パルスおよび前記第2の入力における第2の入力パルスの受信に応答して、かつ前記第1および第2のクロック入力に供給されるクロック信号に応答して、個々の前記第1および第2の複数のJTL段の各々における個々の少なくとも1つの第1および第2のジョセフソン接合が個々の前記第1および第2の線形磁束シャトルに沿って順次トリガすることに応答して、前記第1の複数のJTL段の各々に関連付けられた前記第1の出力インダクタおよび前記第2の複数のJTL段の各々に関連付けられた前記第2の出力インダクタを介してDC出力電流を前記出力上に生成するように構成されている、超伝導電流源システム。
[付記2]
前記クロック信号は、交流(AC)クロック信号であり、個々の前記第1および第2のJTL段の各々における少なくとも1つの第1および第2のジョセフソン接合が、前記クロック信号の個々の第1および第2の位相に基づいて、個々の第1および第2の線形磁束シャトルに沿って順次に交互にトリガするように、前記第1の入力パルスおよび前記第2の入力パルスは、位相が互いに180°ずれている、付記1に記載の超伝導電流源システム。
[付記3]
前記複数のJTL段の各々に関連付けられた少なくとも1つのジョセフソン接合は、複数のジョセフソン接合を含み、前記複数のJTL段の各々は、前記複数のJTL段の各々に関連付けられた少なくとも1つの超伝導量子干渉デバイス(SQUID)を形成するための少なくとも1つのインダクタを含み、前記複数のJTL段の各々に関連付けられたジョセフソン接合は、順次トリガに応答して個々の出力インダクタを介してDC出力電流として離散電流パルスを供給するためのシャントジョセフソン接合として構成される、付記1に記載の超伝導電流源システム。
[付記4]
前記複数のJTL段の各々に関連付けられた少なくとも1つのジョセフソン接合は、複数のジョセフソン接合を含み、前記複数のJTL段の各々は、前記複数のJTL段の各々に関連付けられた少なくとも1つの超伝導量子干渉デバイス(SQUID)を形成するための少なくとも1つのインダクタを含み、前記複数のJTL段の各々に関連付けられたジョセフソン接合は、順次トリガに応答して、個々の出力インダクタを介してDC出力電流として可変連続電流を提供するための非シャントジョセフソン接合として構成され、前記複数のジョセフソン接合の1つに関連付けられた臨界電流と複数のインダクタの1つとの積は1磁束量子未満である、付記1に記載の超伝導電流源システム。
[付記5]
前記クロック信号は、AC直交クロック信号として供給され、前記第1の複数のJTL段は、前記AC直交クロック信号の第1の位相に関連付けられた第1の複数の位相JTL段と、前記AC直交クロック信号の第2の位相に関連付けられた第2の複数の位相JTL段とを含み、前記第2の複数のJTL段は、前記AC直交クロック信号の前記第1の位相とは反対の第3の位相に関連付けられた第3の複数の位相JTL段と、前記AC直交クロック信号の前記第2の位相とは反対の第4の位相に関連付けられた第4の複数の位相JTL段とを含む、付記1に記載の超伝導電流源システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6