(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】情報管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0202 20230101AFI20231211BHJP
G06Q 30/0207 20230101ALI20231211BHJP
【FI】
G06Q30/0202
G06Q30/0207
(21)【出願番号】P 2022094121
(22)【出願日】2022-06-10
(62)【分割の表示】P 2018116546の分割
【原出願日】2018-06-20
【審査請求日】2022-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】幸田 敏宏
(72)【発明者】
【氏名】新井 克典
(72)【発明者】
【氏名】王 宇童
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-188031(JP,A)
【文献】特開2001-256281(JP,A)
【文献】特開2016-006563(JP,A)
【文献】国際公開第2012/035818(WO,A1)
【文献】特開2015-038676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の商品の購入に関する複数のイベントを記憶するイベント記憶部と、
前記複数のイベントの各々について、実店舗内でユーザが行った又は該ユーザの端末で行われたことを検知するイベント検知部と、
前記イベント検知部により検知された各イベントに応じて、前記ユーザによる前記商品の購入確率を増減させる購入確率増減部と、
前記購入確率増減部により増減された前記購入確率を経過時間に応じて減少させる購入確率減少部と、
前記商品の購入確率が所定の閾値を超えたか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記購入確率が前記所定の閾値を超えたと判定された場合には、前記ユーザの端末に前記商品に関する情報を配信する情報配信部と、
を備え
、
前記イベント検知部は、
第1の実店舗内におけるユーザの行動を検知する第1行動検知部と、
前記第1の実店舗で販売される商品と類似する商品を販売する1以上の第2の実店舗の各々における前記ユーザの行動を検知する第2行動検知部と、
前記端末を介して、前記ユーザが前記商品に関する所定の登録を行ったことを検知する登録検知部と、
前記端末を介して、前記商品が掲載された電子書籍又はウェブサイトを前記ユーザが閲覧したことを検知する閲覧検知部と、
を含む、
情報管理システム。
【請求項2】
請求項
1に記載の情報管理システムにおいて、
前記複数のイベントには、前記第1の実店舗において、前記ユーザが前記第1の実店舗で販売される商品を手に取ること、前記ユーザが商品棚又は商品ケースに置かれた当該商品を所定時間見続けること、及び、前記ユーザが当該商品に付されるタグ又はラベルを見ることの少なくとも1つと、前記第1の実店舗への再度の入店と、前記第2の実店舗への入店と、前記第1の実店舗で販売される商品と類似する商品を販売するオンラインショップ又は類似のオンラインショップのウェブサイトの閲覧と、これらのウェブサイトにおける当該又は類似の商品のお気に入りの登録を含む所定の登録との少なくとも複数が含まれる、情報管理システム。
【請求項3】
請求項
1又は請求項2に記載の情報管理システムにおいて、
前記商品に関する情報は、当該商品が購入可能な前記実店舗又はオンラインショップのクーポンと、前記商品の詳細情報との少なくとも一方を含む、情報管理システム。
【請求項4】
請求項
1又は請求項2に記載の情報管理システムにおいて、
前記商品の購入確率が所定の下限値を下回ったか否かを判定する下限値判定部をさらに備え、
前記下限値判定
部により前記商品の購入確率が前記所定の下限値を下回ったと判定された場合には、前記イベント検知部は、前記商品の購入に関するイベントの検知を終了する、情報管理システム。
【請求項5】
請求項
1又は請求項
2に記載の情報管理システムにおいて、
前記第1及び第2の実店舗内における所定の商品に対するユーザの行動を検知する行動検知部と、
ネットワーク上のオンラインショップから前記ユーザが前記所定の商品を購入したことを検出する購入検出部と、
前記購入検出部により前記ユーザによる前記所定の商品の購入が検出されたとき、前記行動検知部により前記ユーザの所定の行動が前記第1又は第2の実店舗内で検知されている場合には、当該実店舗に対して特典を付与することを決定する特典決定部と、
をさらに備える、情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実店舗とネットワーク上のオンラインショップとにおける商品に係る情報を管理する情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネットなどのネットワークの普及により、ユーザが商品を購入するに至るまでに取る行動は、実店舗とネットワーク上のオンラインショップ(ウェブサイト)との関係により多様化している。
【0003】
ネットワーク上のオンラインショップでのみ販売されている商品を購入しようとする場合には、ユーザは、オンラインショップのウェブサイトにおいて、その商品の画像や説明、その商品を購入したユーザのレビュー(口コミ)などを介してのみ、商品の見た目や品質、雰囲気などを確認することができる。
【0004】
一方、オンラインショップだけではなく、実店舗でも販売されている商品を購入しようとする場合には、ユーザは、オンラインショップのウェブサイトにおける行動に加え、実店舗においてその商品を実際に手に取って見たり、その商品が紹介されている雑誌や電子書籍を見たりして、商品の見た目等を確認することができる。
【0005】
特に、実店舗におけるユーザの行動を検知する手法として、複数種類のセンサによりユーザが手に取った商品を検出する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2015-012396号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、実店舗とオンラインショップの両方で販売されている商品に対して上記のような行動を取ったユーザは、最終的にその商品の購入を決断したとき、実店舗における販売価格と、複数のオンラインショップの販売価格とを比較する。そして、ユーザは、販売価格に加えて、商品の納期等を考慮して、実店舗より安い価格でいずれかのオンラインショップにおいてその商品を購入することが多い。このようなユーザの行動は、ショールーミングとして知られている。
【0008】
しかしながら、ユーザがショールーミングをすることにより、実店舗では、その商品が売れ残ってしまう可能性がある。このような状況では、実店舗全体の売上げが下がってしまうため、当該実店舗では、取り扱う商品数を削減したり、売り場面積を縮小したりすることになり、場合によっては、実店舗を閉店せざるを得ない状況となってしまう。
【0009】
本発明は、上述の問題点に着目してなされたものであり、その目的は、オンラインショップで商品を購入したユーザが購入前にその商品を手に取ったり試着したりした実店舗に何らかの特典を付与することにより、実店舗とオンラインショップの共存に寄与することができる情報管理システムを提供することにある。
【0010】
本発明の上記の並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0012】
本発明の代表的な実施の形態による情報管理システムは、所定の商品の購入に関する複数のイベントを記憶するイベント記憶部と、前記複数のイベントの各々について、実店舗内でユーザが行った又は該ユーザの端末で行われたことを検知するイベント検知部と、前記イベント検知部により検知された各イベントに応じて、前記ユーザによる前記商品の購入確率を増減させる購入確率増減部と、前記購入確率増減部により増減された前記購入確率を経過時間に応じて減少させる購入確率減少部と、前記商品の購入確率が所定の閾値を超えたか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記購入確率が前記所定の閾値を超えたと判定された場合には、前記ユーザの端末に前記商品に関する情報を配信する情報配信部と、を備えるものである。
【0013】
また、本発明は、上記の情報管理システムにおいて実行される情報管理方法、及び情報管理システムとして機能するようにコンピュータに処理を実行させる情報管理プログラムにも適用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0015】
すなわち、本発明の代表的な実施形態によれば、ユーザがオンラインショップで商品を購入した場合、そのユーザがその商品を手に取ったり試着したりした実店舗に何らかの特典を付与することにより、ユーザが手に取った商品が売れ残ったとしても、その貢献に対する利益や特典を実店舗に付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態における情報管理システムの構成例について概要を示した図である。
【
図2】
図1に示す店舗サーバの構成例について概要を示した図である。
【
図3】
図2に示す店舗サーバに対応する実店舗の出入口をユーザが通過する状況を説明するための図である。
【
図4】
図2に示す店舗サーバに対応する実店舗に陳列されている商品をユーザが手に取る状況を説明するための図である。
【
図5】
図1に示す情報管理サーバ及び携帯端末の構成例について概要を示した図である。
【
図6】
図2に示す店舗サーバにより実行される商品関係性処理の流れの例について概要を示したフローチャートである。
【
図7】
図5に示す情報管理サーバにより実行される特典付与処理の流れの例について概要を示したフローチャートである。
【
図8】本発明の第2実施形態における情報管理サーバ及び携帯端末の構成例について概要を示した図である。
【
図9】
図8に示す情報管理サーバにより実行される情報配信処理の流れの例について概要を示したフローチャートである。
【
図10】商品の購入確率が購入閾値を超えて、商品に関する情報がユーザの端末に配信される状況を説明するための図である。
【
図11】商品の購入確率が下限値を下回り、商品の購入に関するイベントの検知を終了する状況を説明するための図である。
【
図12】本発明の第3実施形態における情報管理サーバ及び携帯端末の構成例について概要を示した図である。
【
図13】
図12のイベント分類部により分類されたイベントのカテゴリの分布例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。一方、ある図において符号を付して説明した部位について、他の図の説明の際に再度の図示はしないが同一の符号を付して言及する場合がある。
【0018】
<概要>
本発明の一実施の形態である情報管理システムは、インターネットなどのネットワーク上にウェブサイトを開設して商品を販売しているオンラインショップと、同じ商品を販売している実店舗とにおけるユーザの行動に基づいて、当該ユーザがオンラインショップにおいてその商品を実際に購入した際に、ユーザが購入前に訪れた実店舗に特典を付与することを可能にするシステムである。
【0019】
上述のように、ショールーミングが行われることにより、実店舗が廃れていくと、ユーザは、オンラインショップで取り扱っている商品を実店舗で直接確認(チェック)することができなくなってしまう。そして、ユーザは、商品をチェックすることができないことにより、その商品の購入意欲が下がってしまうという問題があった。このような状況は、商品の製造業者も望んでいないものと思われる。本システムは、このような課題を解決するためのものである。
【0020】
オンラインショップにおけるユーザの行動としては、例えば、当該ウェブサイトでその商品やレビューなどを閲覧したり、その商品をお気に入りに登録したりすることなどがある。実店舗におけるユーザの行動としては、例えば、その商品を所定時間以上手に取って見たり、その商品のタグ又はラベルや商品説明を確認したり、その商品が衣服等であれば、試着したりすることなどがある。
【0021】
本発明の代表的な実施形態によれば、ユーザがオンラインショップで商品を購入した場合、そのユーザがその商品を手に取ったり試着したりした実店舗に何らかの特典を付与することにより、ユーザが手に取った商品が売れ残ったとしても、その貢献に対する利益や特典を実店舗に付与することができる。これにより、売上げの減少により実店舗が廃れることを回避して、実店舗とオンラインショップの共存に寄与することができる。さらに、実店舗が廃れていくことにより、ユーザがオンラインショップで取り扱っている商品を実店舗で直接確認(チェック)することができなくなってしまうという不利益を低減することができる。
【0022】
下記の実施の形態では、ユーザが洋服や小物を販売する実店舗で所定の商品を所定時間以上手に取ることにより、その商品とユーザ(例えば、ユーザID)との関係性が記憶され、その後、ユーザがオンラインショップでその商品を購入したとき、ユーザが商品を手に取った実店舗に特典を付与することを決定する場合の例を説明する。
【0023】
また、本発明の別の実施の形態である情報管理システムは、例えば、ユーザが、オンラインショップのウェブサイトで商品をお気に入りに登録したり、実店舗でその商品を手に取ったり試着したりすることに応じて、その商品に関するユーザの行動を取得して、所定のタイミングでユーザの携帯端末又は据置型のコンピュータ(以下、単に「端末」という場合もある)にその商品の詳細な情報や実店舗又はオンラインショップで利用可能なクーポンを配信することを可能にするシステムである。
【0024】
商品を購入するまでのユーザの行動を検知することができるならば、実店舗であるかオンラインショップであるかを問わず、その商品の購入を考えているユーザに最適なタイミングで広告やクーポンを配信したいという要望もある。本システムは、このような課題を解決するためのものである。
【0025】
本実施形態の情報管理システムでは、商品の購入に関する複数のイベントを予め記憶しておき、ユーザが、複数のイベントの各々を行ったことを検知し、検知された各イベントに応じて、ユーザによるその商品の購入確率を増減させ、また、時間の経過に伴ってその購入確率を減少させ、そのようにして得られた商品の購入確率が所定の購入閾値を超えたときに、当該ユーザの端末に商品に関する情報を配信する。
【0026】
この場合、ユーザが、オンラインショップのウェブサイトでその商品をお気に入りに登録したり、実店舗でその商品を手に取ったり試着したりした後、イベントを行うことにより、商品の購入確率が所定の購入閾値を超えたときに、商品に関する情報である商品の詳細情報(広告を含む)やクーポンをユーザの端末に対して配信すればよい。
【0027】
本発明の別の実施形態によれば、ある商品に対するユーザの行動をイベントとして検知し、検知したイベントに基づいてその商品の購入確率を算出・推定することにより、その商品の購入を考えているユーザに最適なタイミングでその商品の広告やクーポンを配信することができる。
【0028】
下記の実施の形態では、商品を手に取るなどのユーザの行動や検知されたイベントからの時間経過に応じて、上記購入確率が増減していくが、ユーザがいくつかのイベントを行うことで、その商品の購入確率が所定の購入閾値を超える可能性がある場合の例を説明する。
【0029】
さらに、本発明のさらに別の実施の形態である情報管理システムは、所定の商品の購入に関する複数のイベントを記憶しておき、これらのイベントをユーザが行うことを検知すると、その履歴(イベント履歴)を作成し、このイベント履歴に基づいて、各イベントの寄与度を算出して、複数のイベントをいくつかのカテゴリに分類することを可能にするシステムである。
【0030】
特に、オンラインショップでは、ユーザの実社会での行動と、商品の購入との関係性とを把握し、ユーザのニーズに合わせた商品ラインアップをウェブサイトで提示することにより、売上げを増大させることを期待しているものとも考えられる。本システムは、このような課題を解決するためのものである。
【0031】
本実施形態の情報管理システムでは、実店舗やオンラインショップでのユーザの行動や、オンラインショップのウェブサイトや端末内の電子書籍における商品の閲覧などを検知し、所定の条件、例えば、オンラインショップのウェブサイトでその商品を閲覧した場合や、実店舗でその商品を手に取った場合などに、イベントの記憶を開始し、所定時間経過後、あるいは、対象のユーザが当該商品又は類似の商品を購入したときに、イベントの記憶を終了している。
【0032】
本発明のさらに別の実施形態によれば、ある商品に対するユーザの行動が検知された場合、その商品に対するユーザの行動を検知することにより、ユーザの購買活動の情報を取得することができる。また、ユーザの購買活動を把握することにより、実店舗やオンラインショップでは、商品のラインアップを適宜調整することができる。さらに、取得したユーザの購買活動の情報を利用することにより、実店舗又はオンランショップでは、例えば、購入の可能性の高いユーザに対してその商品の広告やクーポンを配信することもできる。
【0033】
各イベントの関係性を演算により確認する場合には、例えば、イベント履歴の情報を機械学習することにより達成されてもよく、あるいは、人工知能(AI)を用いて各イベントの関係性を演算させることにより達成されてもよい。
【0034】
(第1実施形態)
<システム構成>
図1は、本発明の第1実施形態における情報管理システム1の構成例について概要を示した図である。
図1に示すように、情報管理システム1は、互いにネットワーク2を介して接続される、情報管理サーバ10と、実店舗やオンラインショップにそれぞれ対応して設置される複数の店舗サーバ20、21~2M(Mは任意の正の整数)と、これら実店舗やオンラインショップに訪れる複数のユーザの携帯端末30、31~3N(Nは任意の正の整数)とを含む。なお、情報管理システム1の構成は、
図1に示す構成に限定されず、一部の実店舗やオンラインショップに対応する一部の店舗サーバの機能を情報管理サーバ10で実現するような構成であってもよい。また、情報管理システム1の構成は、すべての店舗サーバ20、21~2Mの機能を情報管理サーバ10で実現し、実店舗側では、ネットワーク2を介して必要な情報を情報管理サーバ10に送信するような構成であってもよい。
【0035】
なお、情報管理システム1は、実店舗やオンラインショップにそれぞれ対応して複数の店舗サーバ20、21~2Mが設けられる場合に限らず、1つの店舗サーバ20のみで複数の実店舗や複数のオンラインショップに対するそれらの機能を実現するように構成されてもよい。
【0036】
また、図示しないが、携帯端末30、31~3Nは、それぞれ、通信業者によって管理される基地局と無線通信回線によるデータ通信を行うことにより、インターネットなどのネットワーク2と接続するものである。各携帯端末30、31~3Nは、例えば、携帯電話やスマートフォン、タブレット型端末、ノート型パソコン等の携帯型の情報処理端末から構成される。
【0037】
情報管理サーバ10は、例えば、1台以上のサーバ機器やクラウドコンピューティングサービス上に構築された仮想サーバにより構成される。また、情報管理サーバ10は、情報処理システム1の管理者によって管理され、ネットワーク2を介して、店舗サーバ20、21~2Mや携帯端末30、31~3Nから後述する情報管理システム1の各種機能を実現するために必要な情報・データを受信するように構成される。
【0038】
本実施形態の情報管理システム1は、特に、各店舗サーバ20、21~2Mに対応する実店舗における携帯端末30、31~3Nを携帯したユーザによる商品に対する行動に基づいて、ユーザとその商品との関係性を特定し、所定の付与条件が満たされた場合に、対象の実店舗に特典を付与することを決定するものである。
【0039】
所定の付与条件とは、例えば、関係性が特定されているユーザが実店舗で販売している商品と同じ商品をオンラインショップで購入したことが検知されるという条件である。購入先のオンラインショップは、そのオンラインショップでのユーザの購入が検出される限り、店舗サーバ20、21~2Mのいずれにも対応していなくてもよい。
【0040】
実店舗に付与される特典の例としては、その商品の販売価格に対して所定の割合の現金又は電子マネーや、その商品の製造業者が管理するポイントなどがある。現金又は電子マネーは、商品が購入されたオンラインショップから提供されてもよく、その商品の製造業者から提供されてもよい。また、製造業者が管理するポイントが特典として利用される場合には、そのポイントが一定以上になると、実店舗は、製造業者又はオンラインショップから現金等を受け取ることができるような仕組みであってもよい。
【0041】
以下、店舗サーバ20に対応する実店舗Aにおいて、携帯端末30(以下、単に「端末30」という場合もある)を携帯したユーザが所定の行動を取った場合を例として情報管理システム1を構成する店舗サーバ20及び情報管理サーバ10の構成を説明する。なお、その他の店舗サーバ21~2Mにおいても、実店舗に対応するものであれば、店舗サーバ20と同様の機能を少なくとも有するものとする。
【0042】
図2は、
図1に示す店舗サーバ20の構成例について概要を示した図である。
図3は、
図2に示す店舗サーバ10に対応する実店舗Aの出入口をユーザが通過する状況を説明するための図であり、
図4は、
図2に示す店舗サーバ10に対応する実店舗Aに陳列されている商品(ここでは、洋服)をユーザが手に取る状況を説明するための図である。この店舗サーバ20は、端末30を携帯したユーザが実店舗A内で行った行動に応じて、後述する関係性情報を生成し、必要に応じて、生成した関係性情報を情報管理サーバ10に送信する機能を有する。
【0043】
図2に示すように、店舗サーバ20は、入退店情報取得部201と、映像取得部202と、音取得部203と、制御部204と、関係性記憶部205と、送受信部206とを少なくとも備える。なお、本実施形態では、制御部204の制御により、各取得部201~203が各種センサから対象となる情報等を取得し、制御部204は、取得した情報に基づいて、ユーザと商品との関係性があるか否かを判定し、関係性がある場合には、関係性情報を生成して、関係性記憶部205に記憶(保存)する機能を有する。そして、ユーザが実店舗を退店するまでにその商品を購入しなかった場合には、制御部204は、送受信部206を介して、生成した関係性情報を情報管理サーバ10に送信する機能を有する。
【0044】
入退店情報取得部201は、出入口ゲート210を通って実店舗Aに対して、ユーザが入店又は退店するときにICカード読取部211を介して読み取ったユーザ情報及び入退店情報を出入口ゲート210から取得する機能を有する。
【0045】
具体的には、
図3に示すように、ユーザが出入口ゲート210のICカード読取部211にICカードを接触(タッチ)し、あるいは、近づけると、ICカード読取部211は、ICカードに記憶されているユーザ情報を読み取る。このユーザ情報は、入店又は退店時間とともに図示しない記憶部に記憶されるとともに、これらの情報は、実店舗A内の有線又は無線ネットワークを介して店舗サーバ20に送信される。入退店情報取得部201は、送受信部206を介して、出入口ゲート210からユーザ情報及び入退店情報を取得する。ユーザ情報としては、ICカードに通常記憶されているユーザの氏名、生年月日、電話番号などに加え、情報管理システム1で利用されるユーザIDが含まれる。
【0046】
なお、本実施形態では、出入口ゲート210で入退店情報を取得するための構成として、ユーザが所持するICカードを利用する場合を示したが、本発明は、この構成に限定されない。例えば、出入口ゲート210は、ICカード読取部211の代わりに、バーコードやQRコード(登録商標)などを読取り可能なバーコードリーダを有し、ユーザは、実店舗Aに入退店する際には、端末30の表示画面に専用のアプリケーションにより生成されたバーコードなどを表示して、表示したバーコードなどをバーコードリーダにかざすように構成されてもよい。また、出入口ゲート210におけるユーザの入退店は、例えば、ユーザが所持する端末30との間でBLE(Bluetooth Low Energy)などの近距離無線通信を行うことにより検知するようにしてもよい。
【0047】
映像取得部202は、実店舗Aの入口や店舗内に設置されている複数のカメラ220により撮影された映像を必要に応じて取得する機能を有する。本実施形態では、
図3に示すように、実店舗Aへのユーザの入退店時に、出入口ゲート210のICカード読取部211付近を撮像しているカメラ220は、入退店のタイミングでユーザを撮像する。カメラ220により撮像された映像データは、実店舗A内のネットワークを介して、例えば、図示しない店舗サーバ20の記憶装置又は記憶部に記憶される。
【0048】
映像取得部202は、入退店情報取得部201により取得された入店時間における映像データをこの記憶装置から取得する。取得した映像データは、制御部204に出力される。制御部204は、実店舗Aに入店したユーザのユーザIDと、店舗入口のカメラ220により撮像された映像データから抽出したそのユーザの映像又は画像の特徴(特に、服装、背格好、肌の色など)とを関連付けて、店舗サーバ20の図示しない記憶部に記憶させる。
【0049】
また、
図4に示すように、実店舗Aの店内には、実店舗Aに入店したユーザを追跡(トラッキング)することができる程度の数のカメラ220が設置されている。制御部204は、これらのカメラ220で撮像された映像も、店舗サーバ20の図示しない記憶部に記憶させる。映像取得部202は、追跡されているユーザが撮像された映像を記憶部から順次取得する。
【0050】
音取得部203は、
図4に示すような複数のマイクロフォン230により収音された音を図示しない記憶部から取得する機能を有する。具体的には、実店舗A内には、複数のマイクロフォン230が設置されており、これらのマイクロフォン230により、例えば、実店舗A内を移動するユーザの足音や声などが収音され、店舗サーバ20の図示しない記憶部に記憶される。そして、音取得部203は、ユーザの足音や声などに基づいて、収音された音データを記憶部から取得する。
【0051】
なお、複数のカメラ220及び複数のマイクロフォン230は、制御部204とともに、実店舗A内における所定の商品に対するユーザの行動を検知する行動検知部を構成する。行動検知部としては、カメラ220やマイクロフォン230以外にも、例えば、温度センサ、圧力センサ、赤外線センサなどが設けられていてもよい。この場合、各種センサの検出情報は、実店舗A内の有線又は無線ネットワークを介して店舗サーバ20に送信される。
【0052】
制御部204は、店舗サーバ20の各部の動作を制御するものであり、図示しない記憶部に記憶された情報に基づいて、入退店情報取得部201、映像取得部202、及び音取得部203に対象となる情報・データを取得させる機能を有する。なお、出入口ゲート210、複数のカメラ220及び複数のマイクロフォン230と、各取得部201~203と、それらを制御する制御部204とは、本実施形態において、イベント検知部としても機能する。
【0053】
また、制御部204は、実店舗Aへの入店が検知され、追跡が開始されると、対象となるユーザの映像及び足音等を追跡することができるように、複数のカメラ220により撮像された映像データと、複数のマイクロフォン230により収音された音データとを図示しない記憶部より取得して、ユーザの位置を特定する機能も有する。
【0054】
さらに、制御部204は、上記映像データ及び音データに基づいて、商品が陳列された商品棚の前にユーザが位置し、所定の商品を手に取ったことを検知すると、その所定の商品を特定し、図示しない記憶部からその商品の商品データを取得する機能も有する。
【0055】
関係性記憶部205は、所定の記憶条件が満たされたユーザのユーザIDと、所定の商品の商品データとを関連付けて得られた関係性情報を記憶するための記憶領域としての機能を有する。制御部204は、所定の記憶条件が満たされると、ユーザのユーザIDと、所定の商品の商品データとを関連付けて、関係性情報を作成し、作成した関連性情報を関係性記憶部205に記憶させる。
【0056】
送受信部206は、出入口ゲート210からユーザの入店又は退店情報を受信するとともに、所定の送信条件が満たされると、関係性記憶部205に記憶されている関係性情報を情報管理サーバ10に送信する機能を有する。
【0057】
ここで、所定の記憶条件としては、例えば、ユーザが実店舗Aで販売される所定の商品を手に取るという条件がある。この所定の記憶条件は、単にユーザが所定の商品を手に取るという条件に限定されず、例えば、手に取った状態で所定時間が経過するという条件、ユーザが商品棚又は商品ケースに置かれた所定の商品を所定時間見続けるという条件、ユーザが所定の商品に付されるタグ又はラベルを見る(確認する)という条件などの少なくとも1つの条件であればよい。
【0058】
なお、制御部204は、ユーザと所定の商品との関係性情報が関係性記憶部205に記憶された後、ユーザが実店舗Aから退店する前に、実店舗Aで当該商品を購入したことを検知した場合には、関係性記憶部205に記憶していた関係性情報を削除するように構成してもよい。このような構成にすることにより、実質的に不要な関係性情報を情報管理サーバ10に送信する必要がなくなり、それによって、後述する特典付与処理において、当該商品の購入に関するユーザが行うイベントを検知することを効果的に防止することができる。
【0059】
また、制御部204は、関係性記憶部205に関係性情報が記憶されたユーザが再度実店舗Aを訪れ、出入口ゲート210により入店が検知されると、送受信部206を介して、実店舗Aへの再度の入店に関する情報(再入店情報)を情報管理サーバ10に送信する。この再入店情報は、関係性情報で関連付けられている商品をユーザが再度手に取ったという情報を含んでもよい。これらの情報は、後述する特典付与処理(
図7参照)におけるイベント情報の1種類を構成する。
【0060】
ここで、商品の購入を検知する方法は、特に限定されないが、例えば、ユーザの端末30にインストールされている銀行やクレジットカード会社のアプリケーション、又はそれらの情報を取得可能な専用のアプリケーションから対象となる決済情報を取得するような方法であればよい。
【0061】
一方、ユーザが所定の商品を購入することなく、出入口ゲート210のICカード読取部211にICカードをかざして、実店舗Aから退店した場合には、制御部204は、送受信部206を介して、関係性記憶部205に記憶された関係性情報を情報管理サーバ10に送信する。このような行動は、所定の送信条件に相当する。
【0062】
次に、実店舗Aの店内における各種センサの配置等を説明する。
図4に示すように、実店舗Aの店内には、店内を移動するユーザを追跡(トラッキング)することができるように、複数のカメラ220と、複数のマイクロフォン230とが設置されている。複数のカメラ220により撮像された映像だけでなく、複数のマイクロフォン230により収音された音を利用することにより、ユーザの位置を的確に追跡することができる。
【0063】
例えば、
図4に示すように、ユーザが商品棚に掛けられているコートを手に取ると、制御部204は、その商品棚を撮像しているカメラ220の映像を映像取得部202に取得させ、手に取られた商品の配置や色・形状等により、その商品を特定する。ユーザがその商品を所定時間手に取っていると、制御部204は、ユーザのユーザIDとその商品の商品データとを関連付けて得られた関係性情報を関係性記憶部205に記憶させる。
【0064】
なお、本実施形態では、ユーザが商品を手に取るという行動は、複数のカメラ220により検知される構成としたが、本発明は、このような構成に限定されない。例えば、商品棚には、各商品を特定することができるように、重量センサや赤外線センサなどが設けられていてもよい。
【0065】
その代わりに、商品棚に陳列されている商品又は商品である洋服が掛けられているハンガー等には、それぞれICタグが取り付けられており、制御部204は、ユーザの端末30とこのICタグとの距離が所定距離よりも短くなると、ユーザのユーザIDとその商品の商品データとを関連付けて得られた関係性情報を関係性記憶部205に記憶させるように構成されてもよい。
【0066】
次に、本実施形態における情報管理サーバ10と携帯端末30の構成を説明する。
図5は、
図1に示す情報管理サーバ10及び携帯端末30、31~3Nの構成例について概要を示した図である。ここでは、携帯端末30、31~3Nを代表して、端末30について説明する。
【0067】
まず、情報管理サーバ10の構成を説明する。
図5に示すように、情報管理サーバ10は、制御部101と、関係性情報記憶部102と、送受信部103と、端末情報取得部104と、特典決定部105とを少なくとも備える。
【0068】
制御部101は、情報管理サーバ10の各部の動作を制御するものであり、例えば、店舗サーバ20から関係性情報が送信されると、送受信部103を介してその関係性情報を受信し、関係性情報記憶部102に記憶させる機能を有する。
【0069】
また、制御部101は、ユーザの端末30から各種端末情報が送信されると、送受信部103及び端末情報取得部104を介してその各種端末情報を受信し、図示しない記憶部に記憶させる機能を有する。
【0070】
本実施形態では、各種端末情報とは、特に、ユーザのユーザIDと関連付けられた商品の購入に関する情報を意味する。端末30には、ICカードと同様に、ユーザ情報として、ユーザの氏名、生年月日、電話番号などに加え、情報管理システム1で利用されるユーザIDが記憶されている。また、各種端末情報には、銀行やクレジットカード会社のアプリケーションにより取得される決済情報も含まれる。
【0071】
さらに、各種端末情報には、端末30にダウンロードされている電子書籍において、当該商品を閲覧したという情報や、端末30のウェブ閲覧アプリケーションにより当該商品又は類似の商品を販売しているオンラインショップのウェブサイトを閲覧したという情報、いわゆるインターネットバンキングや銀行アプリケーションにより、あるいは、オンラインショップのウェブサイトの決済情報により、その商品又は類似の商品を購入したという情報なども含まれる。これらの情報は、後述する特典付与処理におけるイベント情報の一部を構成する。
【0072】
端末情報取得部104は、送受信部103を介して、端末30から送信された各種端末情報を受信すると、ユーザIDと関連付けて各種端末情報を取得し、図示しない記憶部に記憶させる機能を有する。本実施形態では、端末情報取得部104は、ネットワーク上のオンラインショップからユーザが所定の商品を購入したことを検出する購入検出部として機能する。
【0073】
特典決定部105は、端末情報取得部104によりユーザがオンラインショップから所定の商品を購入したことが検出された場合には、ユーザが訪れて所定の行動を行うことにより関係性情報が生成された店舗サーバ20に対応する実店舗Aに対して特典を付与することを決定する機能を有する。この特典付与決定に関する情報は、例えば、情報管理システム1の管理者だけでなく、ユーザが商品を購入したオンラインショップにも提供される。
【0074】
本実施形態の情報管理システム1は、図示等を省略するが、特典付与決定に関する情報を受け取ったオンラインショップのオーナーは、予め定めた所定の割合に応じて、実店舗Aのオーナーに手数料やポイントを支払うように構成されればよい。
【0075】
また、特典決定部105は、上述のように取得したイベント情報に基づいて、実店舗Aにおけるユーザの行動、すなわち、商品を手に取ったり、試着等したりした行動がその商品の購入にどの程度寄与をしたかを示す寄与度を算出する機能も有する。すなわち、特典決定部105は、寄与度算出部としても機能する。
【0076】
そして、特典決定部105は、算出した寄与度に応じて、上記手数料やポイントの割合を算出する機能を有する。本実施形態では、実店舗Aに支払われる手数料やポイントは、この割合を勘案して決定されてもよい。
【0077】
次に、携帯端末30の構成を説明する。本実施形態では、
図5に示すように、携帯端末30は、閲覧履歴記憶部301と、決済情報取得部302と、送受信部303とを少なくとも備える。
【0078】
閲覧履歴記憶部301は、端末30のウェブブラウザを介して、対象となる商品が掲載されているウェブサイトをユーザが閲覧したことを閲覧履歴情報として記憶する機能を有する。この場合、閲覧履歴情報には、ウェブサイトの訪問日時、商品の閲覧時間などが含まれればよい。
【0079】
決済情報取得部302は、端末30を介して、いわゆるインターネットバンキングや銀行アプリケーションにより、あるいは、オンラインショップのウェブサイトにおいて、ユーザが電子決済によりその商品又は類似の商品を購入したことを検知すると、その決済情報を取得して、図示しない記憶部に記憶させる機能を有する。
【0080】
なお、閲覧履歴記憶部301と決済情報取得部302は、端末30上における所定の商品の購入に関するイベントを検知するイベント検知部としても機能する。
【0081】
端末30は、送受信部303を介して、このようにして得られ、図示しない記憶部に記憶されている閲覧履歴情報と決済情報を所定のタイミングで情報管理サーバ10に送信する。この所定のタイミングとしては、それらの情報が取得されたとき即時であってもよく、午前0時などの決まった時間であってもよい。
【0082】
<処理フロー(店舗サーバ20による商品関係性処理)>
図6は、
図2に示す店舗サーバ20により実行される商品関係性処理の流れの例について概要を示したフローチャートである。商品関係性処理は、店舗サーバ20によりユーザが実店舗Aに入店したことを検知したときに開始される。ここでは、ユーザが実店舗Aに入店したときの行動に基づいて、店舗サーバ20により商品関係性処理が実行される場合を例として説明する。
【0083】
商品関係性処理では、まず、店舗サーバ20は、入退店情報取得部201により、ユーザが出入口ゲート210を通ったことを検知すると、実店舗Aへのユーザの入店として検知するとともに(ステップS101)、出入口ゲート210付近のカメラ220により、ユーザの画像又は映像を取得する(ステップS102)。なお、実店舗Aへの入店時には、ICカード読取部211により、ユーザのユーザIDを含むユーザ情報が取得される。
【0084】
店舗サーバ20の制御部204は、ユーザの画像からユーザの特徴(特に、服装、背格好、肌の色など)を抽出し、入店時にICカードから取得したユーザIDと関連付けて、図示しない記憶部に記憶させる(ステップS103)。その後、制御部204は、複数のカメラ220及び複数のマイクロフォン230を利用して、実店舗Aの店舗内においてそのユーザの行動を追跡(トラッキング)する(ステップS104)。
【0085】
次いで、制御部204は、入退店情報取得部201により当該ユーザの退店が検知されたか否かを判定する(ステップS105)。ユーザの退店を検知したと判定した場合には、制御部204は、そのままこの商品関係性処理を終了する。
【0086】
一方、ユーザがまだ退店していないと判定した場合には、制御部204は、映像取得部202を介して複数のカメラ220から取得したユーザの映像に基づいて、ユーザが所定の行動を取ったか否かを判定する(ステップS106)。ここでは、ユーザの映像から、ユーザが商品棚から商品を手に取ったか否かが判定される。なお、ユーザが商品を手に取ったことが判定されると、制御部204は、カメラ220により撮像された商品の映像に基づいて、図示しない記憶部に記憶している商品データを取得する。制御部204は、ユーザが所定の行動を取るまでは、ステップS104~S106の処理を繰り返し実行する。
【0087】
ユーザが所定の行動を取ったと判定した場合には、制御部204は、続けて、その行動が所定時間以上継続したか否かを判定する(ステップS107)。その行動が所定時間継続していないと判定した場合には、制御部204は、ステップS104の処理に戻り、ユーザが再度所定の行動を取るか、実店舗Aを退店するまで、ステップS104~S106の処理を繰り返し実行する。
【0088】
ユーザが所定の行動を取り、その行動が所定時間以上継続したと判定した場合には、制御部204は、入店時に取得したユーザIDと、商品の商品データとを関連付けて、関係性情報を作成し、その関係性情報を関係性記憶部205に記憶する(ステップS108)。
【0089】
関係性情報が関係性記憶部205に記憶されると、制御部204は、端末30にダウンロードされた銀行のアプリケーションなどにより、ユーザがその商品を実店舗Aで購入したか否かを判定する(ステップS109)。ユーザが実店舗Aを退店する前にその商品を購入したと判定した場合には、制御部204は、関係性記憶部205に記憶されている関係性情報を削除して(ステップS110)、ステップS104の処理に戻り、ユーザが再度所定の行動を取るか、実店舗Aを退店するまで、ステップS104~S106の処理を繰り返し実行する。
【0090】
一方、その商品の購入を検知することができない場合には、制御部204は、入退店情報取得部201により当該ユーザの退店が検知されたか否かを判定する(ステップS111)。ユーザの退店が検知されない場合には、制御部204は、ステップS104の処理に戻り、ユーザが再度所定の行動を取るか、実店舗Aを退店するまで、ステップS104~S106の処理を繰り返し実行する。
【0091】
ユーザの退店を検知したと判定した場合には、制御部204は、ユーザと所定の商品との関係性情報が関係性記憶部205に記憶されているか否かを判定する(ステップS112)。関係性記憶部205に関係性情報が記憶されていない場合には、制御部204は、そのままこの商品関係性処理を終了する。
【0092】
一方、関係性記憶部205に関係性情報が記憶されている場合には、制御部204は、記憶されている関係性情報を情報管理サーバ10に送信し、この商品関係性処理を終了する。
【0093】
ここでは、実店舗Aにおけるユーザの行動に基づいて、1つの商品に関する関係性情報が記憶された場合について説明した。しかしながら、ステップS108で関係性記憶部205に関係性情報を記憶した後、ユーザが別の商品に対して所定の行動を取った場合には、制御部204は、その別の商品に対しても関係性情報を生成して、関係性記憶部205に記憶するように構成してもよい。この場合、ユーザがいずれの商品も購入することなく、実店舗Aから退店すると、制御部204は、ユーザIDと関連付けられたすべての商品との関係性情報を情報管理サーバ10に送信すればよい。
【0094】
<処理フロー(情報管理サーバ10による特典付与処理)>
図7は、
図5に示す情報管理サーバ10により実行される特典付与処理の流れの例について概要を示したフローチャートである。この特典付与処理は、店舗サーバ20、21~2Mのいずれかからあるユーザと所定の商品との関係性情報が情報管理サーバ10に受信されたときに開始される。ここでは、情報管理サーバ10が店舗サーバ20から関係性情報を受信した場合を例として説明する。
【0095】
特典付与処理では、まず、情報管理サーバ10は、実店舗Aで販売している所定の商品とユーザとの関係を示す関係性情報を店舗サーバ20から受信し、受信した関係性情報を関係性情報記憶部102に記憶する(ステップS201)。これ以降、情報管理サーバ10は、その商品の購入に関するイベント情報を当該ユーザの端末30や店舗サーバ20、21~2Mから適宜取得し(ステップS202)、このイベント情報を図示しない記憶部に記憶する。
【0096】
ここで、イベント情報としては、ユーザが所定の商品を購入するきっかけ(機会)となるイベントや、逆に、ユーザが所定の商品を購入しなくなるきっかけとなるイベントなどが含まれる。「購入するきっかけとなるイベント」の例としては、例えば、実店舗Aへの再度の入店や所定の商品を再度手に取る行動、実店舗Aで販売される商品と類似の商品を取り扱っている別の実店舗Bへの入店、所定の商品が掲載された電子書籍の閲覧、所定の商品を取り扱っているオンラインショップ又は類似のオンラインショップのウェブサイトの閲覧(商品のレビューなどを確認する行為)、これらのウェブサイトにおける当該又は類似の商品のお気に入りの登録、ユーザの銀行の口座残高が給料などの振り込みにより増加したことなどがある。また、「購入しなくなるきっかけとなるイベント」の例としては、例えば、所定の商品に類似する商品の実店舗又はオンラインショップでの購入、実店舗Aから遠方へのユーザの引っ越しなどがある。ユーザの「遠方への引っ越し」を含むのは、ユーザが遠方に引っ越すことにより、実店舗Aでの所定の商品の購入の可能性がほとんどなくなるだけでなく、実店舗Aにおけるユーザの行動が商品の購入にあまり寄与しなくなると考えられるためである。
【0097】
次いで、情報管理サーバ10は、端末情報取得部104により、ユーザの端末30から銀行口座又はクレジットカードの決済情報を取得することにより、ユーザが所定の商品を販売しているネットワーク上のオンラインショップから当該商品を購入したか否かを検知する(ステップS203)。オンラインショップでの所定の商品の購入が検出されない場合には、情報管理サーバ10は、上記決済情報を利用して、所定の商品と類似する商品を当該又は別のオンラインショップや実店舗で購入したか否かを検知するとともに、ユーザの端末30のユーザ情報や端末30の位置情報などに基づいて、ユーザが実店舗Aから遠方に引っ越しをしたか否かを検知する(ステップS204)。
【0098】
類似の商品の購入を検知することができず、遠方にも引っ越していない場合には、情報管理サーバ10は、ステップS202の処理に戻り、オンラインショップで所定の商品を購入したか、類似の商品をオンラインショップ又は実店舗で購入したか、ユーザが遠方に引っ越したかのいずれかを検知するまで、ステップS202~S204の処理を繰り返し実行する。
【0099】
一方、オンラインショップで所定の商品の購入を検知した場合には、情報管理サーバ10は、記億部に記憶したイベント情報に基づいて、商品の購入に対する実店舗Aの寄与度を算出する(ステップS206)。具体的には、特典決定部105は、イベント情報に記憶されているユーザの行動の数、すなわち、ユーザがオンラインショップで所定の商品を購入するまでに行った商品の購入に関する行動の数に応じて、実店舗Aの寄与度を算出する。例えば、イベント情報に5つのイベントが記憶されている場合には、実店舗Aの寄与度は、1/5(=0.2)と算出される。
【0100】
次いで、特典決定部105は、算出した実店舗Aの寄与度に応じて、実店舗Aに付与する特典の割合を決定し、算出した割合に応じた特典を前記実店舗に付与することを決定する(ステップS207)。割合に応じた特典の付与を決定した後は、当該ユーザに対するイベント情報の取得が不要になったものと考えられ、制御部101は、関係性情報記憶部102に記憶されている当該ユーザと所定の商品との関係性情報を削除し(ステップS205)、この特典付与処理を終了する。
【0101】
また、ステップS204において、所定の商品と類似する商品を当該又は別のオンラインショップや実店舗で購入したと判定した場合や、ユーザが実店舗Aから遠方に引っ越しをしたと判定した場合には、所定の商品の購入に対して実店舗Aの寄与度が実質的に消滅したものと考えられ、制御部101は、関係性情報記憶部102に記憶されている当該ユーザと所定の商品との関係性情報を削除し(ステップS205)、この特典付与処理を終了する。
【0102】
以上に説明したように、本発明の第1実施形態における情報管理システム1によれば、実店舗A内における所定の商品に対するユーザの行動を検知し、検知した実店舗A内におけるユーザの行動(特に、ユーザが実店舗Aで販売される商品を手に取ったり、商品棚又は商品ケースに置かれた当該商品を所定時間見続けたり、当該商品に付されるタグ又はラベルを見たりするような行動)に基づいて、所定の商品とユーザとの関係性を記憶し、その後、ネットワーク上のオンラインショップからユーザがこの所定の商品を購入したことを検出した場合には、実店舗Aに対して特典を付与することを決定するように構成した。このように、ユーザがオンラインショップで商品を購入した場合、ユーザがその商品を手に取ったり試着したりした実店舗Aに何らかの特典を付与することにより、ユーザが手に取った商品が実店舗Aで売れ残ったとしても、その貢献に対する利益や特典を実店舗Aに付与することができる。これにより、売上げの減少により実店舗が廃れることを回避して、実店舗とオンラインショップの共存に寄与することができる。さらに、実店舗が廃れていくことにより、ユーザがオンラインショップで取り扱っている商品を実店舗で直接確認(チェック)することができなくなってしまうという不利益を低減することができる。
【0103】
なお、上記特典付与処理では、イベント情報に記憶されているイベントの数に応じて、実店舗Aの寄与度を算出し、その寄与度に基づいて、付与する特典の割合を調整する場合を説明したが、本発明は、このような構成に限定されない。例えば、特典決定部105は、実店舗Aの寄与度を算出することなく、予め定められた特典をそのまま実店舗Aに付与するように決定するように構成してもよい。その代わりに、特典決定部105は、イベントの数ではなく、各イベントの寄与度を予め設定しておき、イベント情報に記憶されたイベントと対応する寄与度を用いて、実店舗Aの寄与度を算出するように構成してもよい。例えば、イベント情報には、実店舗Aで商品を手に取ったこと(例えば、0.5)に加え、オンラインショップでその商品をお気に入りに登録したこと(例えば、0.2)、類似する商品を販売する別の実店舗Bで類似の商品を手に取ったこと(例えば、0.3)、商品が掲載されている電子書籍を閲覧したこと(例えば、0.2)、及び、再度実店舗Aで商品を手に取ったこと(0.5)が記憶されていた場合、実店舗Aの寄与度は、2回の実店舗Aでの行動の寄与度を加えた1.0と、トータルの寄与度1.7とを用いて、1.0/1.7(≒0.588)となる。
【0104】
(第2実施形態)
<システム構成>
本発明の第2実施形態における情報管理システム1は、第1実施形態の
図1に示す全体構成を有するものであり、店舗サーバ20の構成も第1実施形態の
図2に示す構成に類似する。そのため、システム全体の構成と、店舗サーバ20の構成とについては、図示を省略し、必要に応じて、同一の符号を付して言及する。
【0105】
なお、本実施形態の情報管理システム1では、ユーザが、実店舗Aで商品を手に取ることに応じて、それ以後のその商品の購入に関するユーザの行動を取得して、所定のタイミングでユーザの携帯端末30A(以下、単に「端末30A」という場合もある)にその商品の詳細な情報や実店舗A又はオンラインショップで利用可能なクーポンを配信する場合について説明する。
【0106】
図8は、本発明の第2実施形態における情報管理サーバ10A及び携帯端末30Aの構成例について概要を示した図である。
図8に示すように、情報管理サーバ10Aは、制御部101と、送受信部103と、端末情報取得部104と、イベント記憶部106と、購入確率算出部107と、判定部108と、情報配信部109とを少なくとも備える。なお、同じ符号を付した各部の詳細な説明は省略する。
【0107】
イベント記憶部106は、所定の商品の購入に関する複数のイベントを記憶する機能を有する。「複数のイベント」には、ユーザが第1の実店舗Aで販売されている商品を手に取ること、ユーザが実店舗Aの商品棚又は商品ケースに置かれた当該商品を所定時間見続けること、及び、ユーザが当該商品に付されるタグ又はラベルを見ることの少なくとも1つが含まれる。また、「複数のイベント」には、第1の実店舗Aへの再度の入店(この場合、上記第1の実店舗A内でのユーザの行動のいずれかを取ることが好ましい)と、第2の実店舗Bへの入店(この場合、第2の実店舗B内で、ユーザが所定の商品と類似の商品を手に取ったり、見続けたり、タグ等を見たりすることが好ましい)と、第1の実店舗Aで販売される商品と類似する商品を販売するオンラインショップ又は類似のオンラインショップのウェブサイトの閲覧と、これらのウェブサイトにおける当該又は類似の商品の所定の登録(すなわち、お気に入りの登録)とが含まれる。イベント記憶部106に記憶され得るイベントは、これらに限らず、所定の商品の購入に関して、ユーザがとり得る行動やユーザに影響を与える行動がさらに含まれてもよい。
【0108】
制御部101は、イベント検知部として機能する端末情報取得部104を介して取得した端末情報や、店舗サーバ20から受信した関係性情報又は入店情報などに基づいて、イベント記憶部106に記憶されたいずれかのイベントをユーザが行ったり、ユーザの端末30に格納されるアプリケーションにより実行されたりしたことを検知するように機能する。
【0109】
「ユーザが行うイベント」としては、実店舗Aにおいて所定の商品を手に取ったり試着したりすること、実店舗Aと類似の商品を販売する1以上の別の実店舗において類似の商品を手に取ったり試着したりすること、所定の商品を販売するオンラインショップのウェブサイトに訪問すること、そのウェブサイトで当該商品をお気に入りに登録すること、所定の商品が掲載された電子書籍をダウンロードし、当該商品を閲覧すること、などが考えられる。
【0110】
一方、「端末30のアプリケーションにより実行されるイベント」としては、銀行のアプリケーションによる取引履歴の取得(特に、銀行口座への入金)や、情報管理システム1のアプリケーションによる銀行口座やクレジットカードなどの決済情報の取得などがある。
【0111】
購入確率算出部107は、制御部101により、所定の商品の購入に関するイベントが行われたことを検知すると、そのイベントの種類に応じて、実店舗やオンラインショップを問わず、ユーザがその商品を購入する確率、すなわち、購入確率を算出する機能を有する。具体的には、各イベントには、その商品の購入確率を増減させるように予め設定された数値が割り当てられており、イベントが検知されると、そのときの購入確率をその数値分だけ増減させている。ここでは、購入確率算出部107は、本実施形態の情報管理システム1の購入確率増減部として機能する。
【0112】
一方、時間の経過とともに、ユーザのその商品への関心が薄れ、購入確率が下がっていくものと考えられる。そのため、購入確率算出部107は、経過時間に対して所定の係数を乗算して得られる数値だけ購入確率を減少させる機能も有する。ここでは、購入確率算出部107は、本実施形態の情報管理システム1の購入確率減少部として機能する。購入確率の減少方法は、特に限定されないが、時間の一次関数として時間に応じて一定の割合で減少させる方法や、微分積分などを利用して遅れを利用して減少させる方法などがある。
【0113】
判定部108は、購入確率算出部107により算出した購入確率が所定の閾値(購入閾値)を超えたか否かを判定する機能を有する。購入閾値は、各イベントに設定されている数値を考慮して、情報管理システム1の管理者により適宜決定されればよい。判定部108は、購入確率が購入閾値を超えたと判定すると、その判定結果を情報配信部109に出力する。
【0114】
また、判定部108は、購入確率算出部107により算出した商品の購入確率が所定の下限値を下回ったか否かを判定する機能も有する。この場合、判定部108は、本実施形態の情報管理システム1における下限値判定部として機能する。この判定結果は、制御部101に出力され、制御部101は、判定結果に基づいて、後述する情報配信処理を続行するか否かを決定する。
【0115】
情報配信部109は、購入確率が購入閾値を超えたという判定結果を受け取ると、そのユーザの端末30Aに商品に関する情報を配信する機能を有する。「商品に関する情報」としては、例えば、ユーザの購入意欲を高めるために、その商品の詳細な情報やお勧めポイントなどを含む商品レビューなどがある。
【0116】
さらに、「商品に関する情報」としては、ユーザが訪れた実店舗Aでその商品を購入する際に利用可能なクーポンや、その商品をお気に入りに登録したオンラインショップで利用可能なクーポンなどがある。特に、情報配信部109が実店舗Aで利用可能なクーポンを配信する場合には、実店舗Aでのその商品の購入をユーザに喚起することができる。これにより、ショールーミングによる実店舗Aの不利益を抑制することができる。
【0117】
なお、ユーザが訪問し、その商品を手に取った実店舗Aや、その商品に類似する商品を販売する他の実店舗Bには、第1実施形態において詳述した
図2に示す店舗サーバがそれぞれ設けられており、各実店舗内には、
図3及び
図4に示すような出入口ゲート210、複数のカメラ220、複数のマイクロフォン230などが設置されている。
【0118】
実店舗A内におけるユーザの所定の行動、すなわち、商品を手に取るなどの行動を検知するカメラ220、マイクロフォン230、店舗サーバ20の各部は、本実施形態の情報管理システム1における第1行動検知部として機能する。また、別の実店舗B内におけるユーザの動揺の行動を検知する同様の各部は、本実施形態の情報管理システム1における第2行動検知部として機能する。第1行動検知部及び第2行動検知部で検知されたユーザの行動(その実店舗への入店も含む)に関する情報は、店舗サーバ20、21~2Mの送受信部206を介して、情報管理サーバ10Aに送信される。
【0119】
次に、本実施形態の端末30Aの構成を説明する。端末30Aは、
図8に示すように、送受信部303と、登録検知部304と、閲覧検知部305とを少なくとも備える。なお、第1実施形態の携帯端末30と同様に、端末30Aは、閲覧履歴記憶部301や決済情報取得部302を備えていてもよい。
【0120】
登録検知部304は、オンラインショップのウェブサイトにおいて、ユーザが所定の商品に関する所定の登録を行ったことを検知する機能を有する。具体的には、登録検知部304は、当該ウェブサイトにおいて所定の商品を「お気に入り」に登録したことを検知する。登録検知部304は、お気に入りに登録したことを検知すると、そのオンラインショップと登録された商品とを関連付けて、登録情報として図示しない記憶部に記憶する。
【0121】
閲覧検知部305は、所定の商品を販売しているオンラインショップのウェブサイトにおいて、その商品が掲載されているページをユーザが閲覧したことを検知する機能を有する。また、閲覧検知部305は、ユーザの端末30Aにダウンロードされた電子書籍のうち、所定の商品が掲載された電子書籍の該当ページをユーザが閲覧したことを検知する機能も有する。閲覧検知部305は、ウェブサイトや電子書籍の閲覧を検知すると、当該ウェブサイトのURLや電子書籍の書籍名とその商品とを関連付けて、閲覧情報として図示しない記憶部に記憶する。
【0122】
なお、図示を省略したが、端末30Aには、銀行やクレジットカード会社のアプリケーション又はそれらの情報を取得可能なアプリケーションがインストールされている。これらのアプリケーションからユーザの銀行口座への入金が検知されると、この入金情報も図示しない記憶部に記憶される。
【0123】
登録検知部304や閲覧検知部305と、口座入金を検知可能なアプリケーションも、本実施形態の情報管理システム1におけるイベント検知部として機能する。
【0124】
送受信部303は、所定のタイミングで、記憶部に記憶されている登録情報、閲覧情報及び入金情報を情報管理サーバ10に送信する機能を有する。所定のタイミングとしては、それらの情報が取得されたとき即時であってもよく、午前0時などの決まった時間であってもよい。
【0125】
<処理フロー(情報管理サーバ10Aによる情報配信処理)>
図9は、
図8に示す情報管理サーバ10Aにより実行される情報配信処理の流れの例について概要を示したフローチャートである。この情報配信処理は、イベント検知部により検知されたイベントの情報を常時受信しているが、その中にユーザの所定の行動があった場合に、所定の商品に関する情報の配信に関する処理が開始される。ここでは、情報管理サーバ10Aが店舗サーバ20からユーザの所定の行動に関するイベント情報を受信した場合を例として説明する。
【0126】
情報配信処理では、まず、情報管理サーバ10Aは、各イベント検知部において検知したイベントの情報をユーザの端末30Aや店舗サーバ20、21~2Mから受信する(ステップS301)。情報管理サーバ10Aの制御部101は、受信したイベント情報の中に、ユーザの所定の行動に関する情報が含まれるか否かを判定する(ステップS302)。所定の行動に関する情報がイベント情報に含まれていないと判定した場合には、制御部101は、ステップS301の処理に戻り、所定の行動に関する情報が含まれるまで、ステップS301、S302の処理を繰り返し実行する。
【0127】
一方、所定の行動に関する情報がイベント情報に含まれていると判定した場合には、制御部101は、当該ユーザによるその商品の購入に関するイベントの検知及び記憶を開始する(ステップS303)。本実施形態では、このイベントの検知及び記憶の開始以降、制御部101は、その商品に関する情報をユーザの端末30Aに配信するか、所定条件が満たされたことによりイベントの検知を終了するまで、情報配信処理の実行を継続する。
【0128】
なお、このユーザの所定の行動により、すなわち、ユーザが実店舗Aにおいて所定の商品を手に取ることにより、その商品の購入確率は、所定の値、例えば、50%に設定される。ただし、ユーザが実店舗Aから退店する前にその商品を購入した場合には、情報管理サーバ10Aは、端末30Aからその商品の決済情報を取得することとなる。このような場合には、制御部101は、情報配信処理のステップS303以降の処理を行うことなく、この情報配信処理を終了すればよい。
【0129】
イベントの検知及び記憶の開始以降、制御部101は、送受信部103を介して、ユーザの端末30A又は各店舗サーバ20、21~2Mからイベント情報をさらに受信すると、所定の商品の購入に関するイベントが含まれているか否かを判定する(ステップS304)。商品の購入に関するイベントが含まれていないと判定した場合には、購入確率算出部107は、所定の行動のイベント検知からの時間経過に応じて、所定値に設定した購入確率を徐々に減少させていく(ステップS306)。
【0130】
一方、所定の商品の購入に関するイベントが含まれていたと判定した場合には、購入確率算出部107は、そのイベントの種類等に応じて、商品の購入確率を算出する(ステップS305)。具体的には、購入確率算出部107は、イベントの種類に応じた値を現在の購入確率に加算して、商品の購入確率を算出する。その後、購入確率算出部107は、商品の購入確率の算出からの時間経過に応じて、算出した購入確率を徐々に減少させていく(ステップS306)。
【0131】
次いで、判定部108は、商品の購入確率が所定の購入閾値を超えたか否かを判定する(ステップS307)。判定部108により購入確率が購入閾値を超えたと判定された場合には、情報配信部109は、ユーザの端末30Aに商品に関する情報(例えば、実店舗Aにおけるその商品のクーポンなど)を配信し(ステップS308)、この情報配信処理を終了する。
【0132】
一方、判定部108により購入確率が購入閾値を超えていないと判定された場合には、判定部108は、続いて、商品の購入確率が所定の下限値を下回ったか否かを判定する(ステップS309)。判定部108により商品の購入確率が下限値を下回ったと判定された場合には、制御部101は、この情報配信処理を終了する。
【0133】
また、判定部108により商品の購入確率が下限値を下回っていないと判定された場合には、制御部101は、ステップS304の処理に戻り、ステップS304~S309の処理を繰り返し実行する。すなわち、本実施形態の情報配信処理では、一旦商品の購入に関するイベントの検知を開始すると(ステップS303)、その商品に関する情報をユーザの端末30Aに配信するか(ステップS308)、購入確率が下限値を下回りイベントの検知を終了するまで(ステップS309で「Yes」)、制御部101は、イベントの検知と、商品の購入確率の増減とを実行し続けることとなる。
【0134】
ここで、商品に関する情報を配信する場合における購入確率の変動の例を簡単に説明する。
図10は、商品の購入確率が購入閾値を超えて、商品に関する情報がユーザの端末に配信される状況を説明するための図である。ユーザが実店舗Aで商品を手に取ったことを情報管理サーバ10Aで検知することにより、情報配信処理が開始される。
【0135】
まず、実店舗Aにおいて、ユーザが所定の商品を手に取ると、商品の購入確率が一段上昇する。その後、所定の割合で購入確率は減少していく。そして、オンラインショップのウェブサイトにおいて、ユーザが端末30Aを介してその商品をお気に入りに登録すると、商品の購入確率が再度上昇する。本例においては、実店舗Aからの情報配信(クーポンの配布)を優先しているため、「お気に入りの登録」には、購入閾値に到達しない程度の値が割り当てられる。
【0136】
一方、その商品に類似する商品を販売する同一の又は別のオンラインショップのウェブサイトにおいて、ユーザがその商品と類似する商品をお気に入りに登録すると、その商品を購入する可能性が下がることも考えられるため、商品の購入確率はわずかに下がる。
【0137】
その後、例えば、ユーザの給料日などにユーザの銀行口座への入金が検出されると、商品の購入確率が一段上昇する。本例では、その後、ユーザが実店舗Aに再来店し、その商品を手に取ったり、商品タグを確認したりすることにより、商品の購入確率がさらに上昇する。そして、このタイミングで商品の購入確率が購入閾値を超えて、ユーザの端末30Aには、商品に関する情報、すなわち、実店舗Aにおけるその商品の購入に利用可能なクーポンが配信される。
【0138】
なお、配信される商品に関する情報は、実店舗Aにおけるその商品のクーポンに限定されず、例えば、ユーザが閲覧したことのあるオンラインショップにおけるそのクーポンであってもよく、単にその商品の詳細情報(レビュー等を含む)であってもよい。さらに、配信される商品に関する情報は、配信のトリガとなった行動に応じて適宜決定されてもよい。例えば、オンラインショップの再度の閲覧により商品の購入確率が購入閾値を超えた場合には、そのオンラインショップにおいてその商品の購入に利用可能なクーポンがユーザの端末30Aに配信されてもよい。
【0139】
次に、商品に関する情報を配信することなく、情報配信処理を終了する場合を簡単に説明する。
図11は、商品の購入確率が下限値を下回り、商品の購入に関するイベントの検知を終了する状況を説明するための図である。この場合にも、ユーザが実店舗Aで商品を手に取ったことを情報管理サーバ10Aで検知することにより、情報配信処理が開始される。
【0140】
図10の場合とは異なり、同一又は類似の商品を販売するオンラインショップのウェブサイトにおいて、ユーザがその商品と類似する商品をお気に入りに登録した後、そのオンラインショップでその類似商品を購入すると、商品の購入確率は、実質的にゼロまで下がる。これにより、その商品の購入確率が下限値を下回り、上昇管理サーバ10Aは、商品に関する情報を配信することなく、情報配信処理を終了する。すなわち、情報管理サーバ10Aは、所定の商品の購入に関するイベントの検知及び取得を終了する。
【0141】
以上に説明したように、本発明の第2実施形態における情報管理システム1によれば、所定の商品の購入に関する複数のイベントを記憶しておき、複数のイベントの各々について、ユーザが行った又は該ユーザの端末30Aで行われたことを検知すると、当該ユーザによる商品の購入確率を増減させるとともに、最初のイベントを取得したタイミングからの経過時間に応じて、商品の購入確率を減少させ、商品の購入確率が所定の購入閾値を超えたか否かを判定し、商品の購入確率が購入閾値を超えたと判定した場合には、ユーザの端末30Aに商品に関する情報を配信するように構成した。このように、ユーザ又はユーザの端末30Aによるイベントに応じて、ユーザによる商品の購入確率を変動させ、その購入確率が購入閾値を超えたことに応じて、商品に関する情報を配信することにより、その商品の購入を考えているユーザに最適なタイミングでその商品の広告やクーポンを配信することができる。
【0142】
特に、商品に関する情報としてユーザが訪れた実店舗Aのクーポンを配信する場合には、ユーザが実店舗Aでその商品を購入することを期待することができる。これにより、実店舗Aの売り上げに貢献することができる。
【0143】
また、商品に関する情報としてオンラインショップのクーポンを配信する場合であっても、第1実施形態で上述した特典を実店舗Aに付与することにより、商品の購入に貢献した実店舗Aにも利益や特典を付与することができる。これにより、売上げの減少により実店舗が廃れることを回避して、実店舗とオンラインショップの共存に寄与することができる。
【0144】
(第3実施形態)
<システム構成>
本発明の第3実施形態における情報管理システム1は、第1実施形態の
図1に示す全体構成を有するものであり、店舗サーバ20の構成も第1実施形態の
図2に示す構成に類似する。そのため、システム全体の構成と、店舗サーバ20の構成とについては、図示を省略し、必要に応じて、同一の符号を付して言及する。なお、本実施形態では、複数のユーザによる行動を検知するために、複数の形態端末30、31~3Nからイベント情報を取得する場合を説明するが、説明の便宜上、情報端末30Bのみを代表として図示し、説明する。
【0145】
図12は、本発明の第3実施形態における情報管理サーバ10B及び携帯端末30B(以下、単に「端末30B」という場合もある)の構成例について概要を示した図である。
図12に示すように、情報管理サーバ10Bは、制御部101と、送受信部103と、端末情報取得部104と、イベント記憶部106と、イベント履歴記憶部110と、寄与度算出部111と、イベント分類部112とを少なくとも備える。
【0146】
イベント履歴記憶部110は、第2実施形態で上述したようなイベント検知部やユーザの端末30、31~3Nから各ユーザが行ったイベントに関するイベント情報を取得すると、少なくともそのユーザとイベントの種類とを関連付けてイベント履歴として記憶する機能を有する。このイベント履歴としては、当該イベントの発生の前後やその当日にそのユーザが行ったイベントも関連付けて記憶するものとする。なお、イベント発生時の天気や気温、イベントの発生場所なども適宜記憶してもよい。
【0147】
例えば、ターゲットとなるイベント(以下、「ターゲットイベント」という)が野球場で売られているビールの購入であった場合には、野球場でユーザが軽食(ホットドッグ等)を購入したり、野球場に到着する前にユーザがお菓子やおつまみなどを実店舗で購入したりしたことも、ターゲットイベントであるビールの購入と関連付けて記憶されればよい。
【0148】
また、ターゲットイベントに関連付けられる各イベントには、ターゲットイベントの実行の可能性を示す確率(ここでは、ビールの購入確率)や、そのターゲットイベントの実行に寄与するタイミング(即効性(即時性)であるか、遅効性であるか)などが関連付けられてもよい。
【0149】
また、イベント履歴記憶部110は、所定の商品の購入がターゲットイベントである場合には、イベント記憶部106に記憶した当該商品の購入に関する複数のイベントを含むイベント情報を取得すると、取得した各イベントとターゲットイベントとの関係性を記憶する機能を有する。
【0150】
なお、イベント履歴記憶部110は、各行動検知部により各ユーザの所定の行動(例えば、実店舗Aでユーザがその商品を手に取ったり、試着したりする行動)が検知された場合に、当該ユーザのその商品の購入に関連するイベントの記憶を開始するように構成してもよい。その代わりに、イベント履歴記憶部110は、後述する端末30Bの閲覧検知部305により各ユーザのオンラインショップのウェブサイトの閲覧が検知された場合に、当該ユーザの所定の商品の購入に関連するイベントの記憶を開始するように構成してもよい。
【0151】
また、イベント履歴記憶部110は、上記のように当該ユーザの所定の商品の購入に関連するイベントの記憶を開始した後、イベント検知部により当該ユーザが所定の商品又は類似する商品を購入したことが検知した場合には、当該ユーザの所定の商品の購入に関連するイベントの記憶を終了するように構成してもよく、あるいは、イベントの記録開始後、所定期間が経過したときにこのイベントの記憶を終了してもよい。
【0152】
寄与度算出部111は、イベント履歴記憶部110に記憶された所定の商品の購入に関連するイベント履歴に基づいて、所定の商品の購入、すなわち、ターゲットイベントに対する各イベントの寄与度を算出する機能を有する。各イベントの寄与度としては、イベントの種類や数に応じて、%により正の整数で定義してもよく、イベントの寄与度をいくつかのカテゴリに分けて、カテゴリ番号などにより定義してもよい。
【0153】
イベント分類部112は、寄与度算出部111により算出された寄与度に基づいて、イベント履歴記憶部110に記憶されている各イベントを複数カテゴリに分類する機能を有する。イベント分類部112は、イベント履歴記憶部110に記憶されたターゲットイベントと他のイベントとの関係性に基づいて、各イベントを複数のカテゴリに分類すればよい。
【0154】
複数のカテゴリとしては、ターゲットイベントに直結するイベント、すなわち、商品の購入確率がかなり高く即効性のあるイベントが分類されるカテゴリ1と、ターゲットイベントに至る可能性が十分にあるイベント、すなわち、商品の購入確率がそれなりにあり、すぐではないがターゲットイベントが発生し得るイベントが分類されるカテゴリ2と、ターゲットイベントに至る可能性はそれほど高くない(低い)イベント、すなわち、商品の購入確率が低く、ターゲットイベントが発生しにくいイベントが分類されるカテゴリ3と、ターゲットイベントが発生し得ないイベント、すなわち、商品の購入確率が全くないイベントが分類されるカテゴリ4とがある。
【0155】
なお、ターゲットイベントが発生し得ないイベントを分類するには、所定のタイミング(例えば、カテゴリ1のイベントの最初の発生時)から所定期間その商品を購入していないという条件でイベントを分類するなどの方法が考えられる。
【0156】
このように各イベントを分類することにより、ユーザが商品の購入に至るタイミングを見極めることができる。これにより、上記第2実施形態のように、商品の詳細情報やクーポンを配信して、ユーザがその商品を購入する動機付けを効果的に行うことができる。
【0157】
なお、これらのイベントを検知するためのイベント検知部としては、上記第1及び第2実施形態で説明した実店舗A内のユーザの行動を検知する行動検知部や、ユーザの端末30Bを介して、所定の商品を販売しているオンラインショップのウェブサイトでその商品をお気に入りに登録したこと(所定の登録)を検知する登録検知部や、ユーザの端末30Bを介して、所定の商品が掲載されたオンラインショップのウェブサイトや端末30Bにダウンロードした電子書籍をユーザが閲覧したことを検知する閲覧検知部などがあればよい。
【0158】
ここで、イベント履歴記憶部110に記憶される多数のユーザによるすべてのイベント(事象)のデータを公知の機械学習用のエンジンを用いて機械学習することにより、商品の購入との関係性に基づいて、商品購入に対する寄与度を算出し、その寄与度に応じて、各イベントを複数のカテゴリに分類してもよい。その代わりに、人工知能(AI)を用いて同様の処理を行ってもよい。すなわち、情報管理サーバ10Bには、
図12に示す寄与度算出部111及びイベント分類部112の代わりに、機械学習部又は人工知能運転部が設けられてもよい。
【0159】
人工知能の例としては、例えば、ニューラルネットワーク(神経回路網)を応用して、各イベントを人工ニューロン(ノード)とみなし、シナプス結合によりネットワークを形成して、所定の商品の購入と各イベントとの関係を学習させてもよい。この場合、所定の商品の購入確率の上昇又は低下に基づいて、所定の商品の購入に対応するノード(中心に位置するノード)に直接接続されているノードのイベントを上記カテゴリ1又は4に分類すればよい。また、所定の商品の購入に対応するノードに間接的に接続されているノードのイベントのうち、商品の購入確率を上昇させ得るものを上記カテゴリ2又は3に分類すればよい。
【0160】
本実施形態の携帯端末30Bは、第2実施形態と同様に、送受信部303と、登録検知部304と、閲覧検知部305とを少なくとも備える。なお、第1実施形態の携帯端末30と同様に、端末30Bは、閲覧履歴記憶部301や決済情報取得部302を備えていてもよい。これらの構成については、第2実施形態の端末30Aと実質的に同様であるので、重複した記載を避ける観点からその詳細な説明を省略する。
【0161】
<カテゴリの分布例>
図13は、
図12に示す情報管理サーバ10Bのイベント分類部112により分類されたイベントのカテゴリの分布例を説明するための図である。上述のように、本実施形態の情報管理システム1は、所定の商品の購入に関する複数のイベントを4つのカテゴリに分類するように構成される。
【0162】
図13に示すように、商品の購入確率が高く、購入タイミングとしても即効性のあるイベントは、カテゴリ1に分類される。本例では、カテゴリ1には、例えば、実店舗Aで商品を手に取ったというイベント、その商品のクーポンを受け取ったというイベント、ユーザの銀行口座への入金が検知されたというイベント、ユーザが端末30Bに登録している記念日が近づいたというイベントなどが含まれる。
【0163】
情報管理サーバ10Bは、イベント履歴記憶部110によるユーザに関するイベントの取得が、例えば、このカテゴリ1に属するイベントの発生に応じて、開始されるように構成してもよい。ただし、カテゴリ1に属するイベントが発生したとしても、イベントの発生後早いタイミングで、ユーザがその商品を実際に購入したことを検知した場合には、情報管理システム1は、そのユーザに関するイベントの検知を終了すればよい。
【0164】
また、商品の購入確率はそれほど高くないが、ユーザがまだその商品を購入する可能性があるカテゴリ2には、例えば、オンラインショップのウェブサイトでその商品をお気に入りに登録したというイベント、その商品に類似する商品を同様にお気に入りに登録したというイベント、一度商品を手に取ったことがある実店舗Aにユーザが再来店したというイベントなどが含まれる。
【0165】
上記第2実施形態のように、このようなイベントが発生するタイミングであれば、ユーザがその商品を購入する可能性は十分にあると考えられる。この点を考慮して、情報管理サーバ10Bは、ユーザの端末30Bにその商品の詳細情報やクーポンなどを配信するように構成されてもよい。
【0166】
また、ユーザがじっくりと吟味している段階に相当すると考えられるカテゴリ3には、例えば、ユーザの端末30Bにダウンロードされた電子書籍によりその商品又は類似商品を確認又は閲覧するというイベント、類似商品を販売する別の実店舗Bに来店したというイベント、その実店舗Bで類似商品を手に取ったというイベントなどが含まれる。このようなイベントが発生するタイミングでは、ユーザは、当該商品ではなく、類似商品に興味を示したものとも考えられる。したがって、カテゴリ2とは異なり、実店舗Aで利用可能なクーポンを配信しても、ユーザがその商品を購入する可能性は低いものと考えられる。そのため、情報管理サーバ10Bは、カテゴリ3のイベントが発生したとしても、当該商品のクーポン等の情報を敢えて配信しないように構成してもよい。その代わりに、情報管理サーバ10Bは、カテゴリ2の場合よりも割引率を高めたクーポンを配信することにより、当該商品の販売促進の方法を変えるように構成してもよい。
【0167】
その商品の購入確率がほとんどゼロになるカテゴリ4には、例えば、ユーザが実際にその商品と類似する商品を購入したというイベント、実店舗Aから遠方にユーザが引っ越してしまったというイベントなどが含まれる。カテゴリ4のイベントの発生タイミングでは、ユーザがその商品を購入したというイベントを検知した場合と同様に、情報管理システム1は、そのユーザに関するイベントの検知を終了すればよい。
【0168】
以上に説明したように、本発明の第3実施形態における情報管理システム1によれば、所定の商品の購入に関する複数のイベントを記憶しておき、複数のイベントの各々について、複数のユーザの各々が行ったことを検知し、複数のユーザの各々が行ったと検知したイベントをイベント履歴として順次記憶し、所定の商品の購入に関連するイベント履歴に基づいて、所定の商品の購入に対する各イベントの寄与度を算出し、算出した寄与度に基づいて、複数のイベントを複数のカテゴリに分類するように構成した。このように構成することにより、所定の商品に対するユーザの購買活動の情報を取得することができる。また、ユーザの購買活動を把握することにより、実店舗やオンラインショップでは、商品のラインアップを適宜調整することができる。さらに、実店舗又はオンランショップでは、例えば、購入の可能性の高いユーザに対してその商品の広告やクーポンを最適なタイミングで配信することもできる。
【0169】
なお、図示及び説明を省略したが、本実施形態の情報管理システムにおいても、ターゲットイベントが検知された場合には、ユーザが実際に訪れた実店舗に対して特典を付与することを決定してもよい。これにより、商品の購入に貢献した実店舗にも利益や特典を付与することができる。これにより、売上げの減少により実店舗が廃れることを回避して、実店舗とオンラインショップの共存に寄与することができる。
【0170】
以上、本出願の発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記の実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。さらに、上記第1~第3実施形態の各特徴を適宜組み合わせることも可能である。
【0171】
<付記>
上述した実施形態の説明は、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者(すなわち、当業者)が少なくとも下記発明を実施することができるように記載したものである。
【0172】
[1]
実店舗内における所定の商品に対するユーザの行動を検知する行動検知部と、
前記行動検知部により検知された前記実店舗内における前記ユーザの行動に基づいて、前記所定の商品と前記ユーザとの関係性を記憶する関係性記憶部と、
ネットワーク上のオンラインショップから前記ユーザが前記所定の商品を購入したことを検出する購入検出部と、
前記購入検出部により前記ユーザによる前記所定の商品の購入が検出された場合には、前記実店舗に対して特典を付与することを決定する特典決定部と、
を備える情報管理システム。
【0173】
[2]
[1]に記載の情報管理システムにおいて、
前記行動検知部は、少なくともカメラを含み、
前記行動検知部により検知されるユーザの行動には、前記ユーザが前記実店舗で販売される商品を手に取ること、前記ユーザが商品棚又は商品ケースに置かれた当該商品を所定時間見続けること、及び、前記ユーザが当該商品に付されるタグ又はラベルを見ることの少なくとも1つが含まれる、情報管理システム。
【0174】
[3]
[1]又は[2]に記載の情報管理システムにおいて、
前記所定の商品の購入に関する複数のイベントに対して、ユーザがいずれかのイベントを行ったことを検知するイベント検知部と、
前記購入検出部により前記ユーザによる前記所定の商品の購入が検出された場合には、前記行動検知部により検知された前記ユーザの行動と、前記イベント検知部により検知されたイベントの種類又はイベント数とに基づいて、当該所定の商品の購入に対する前記実店舗での前記ユーザの行動の寄与度を算出する寄与度算出部と、
をさらに備え、
前記特典決定部は、前記寄与度に基づいて前記特典の割合を算出し、該算出した割合に応じた特典を前記実店舗に付与することを決定する、情報管理システム。
【0175】
[4]
[1]から[3]のいずれかに記載の情報管理システムにおいて、
前記複数のイベントには、前記実店舗への再度の入店、前記実店舗で販売される商品と類似の商品を取り扱っている別の実店舗への入店、前記実店舗で販売される商品が掲載された電子書籍の閲覧、前記オンラインショップ又は類似のオンラインショップのウェブサイトの閲覧、これらのウェブサイトにおける当該又は類似の商品の所定の登録(お気に入りの登録)の少なくとも1つが含まれる、情報管理システム。
【0176】
[5]
所定の商品の購入に関する複数のイベントを記憶するイベント記憶部と、
前記複数のイベントの各々について、ユーザが行った又は該ユーザの端末で行われたことを検知するイベント検知部と、
前記イベント検知部により検知された各イベントに応じて、前記ユーザによる前記商品の購入確率を増減させる購入確率増減部と、
前記購入確率増減部により増減された前記購入確率を経過時間に応じて減少させる購入確率減少部と、
前記商品の購入確率が所定の閾値を超えたか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記購入確率が前記所定の閾値を超えたと判定された場合には、前記ユーザの端末に前記商品に関する情報を配信する情報配信部と、
を備える情報管理システム。
【0177】
[6]
[5]に記載の情報管理システムにおいて、
前記イベント検知部は、
第1の実店舗内におけるユーザの行動を検知する第1行動検知部と、
前記第1の実店舗で販売される商品と類似する商品を販売する1以上の第2の実店舗の各々における前記ユーザの行動を検知する第2行動検知部と、
前記端末を介して、前記ユーザが前記商品に関する所定の登録を行ったことを検知する登録検知部と、
前記端末を介して、前記商品が掲載された電子書籍又はウェブサイトを前記ユーザが閲覧したことを検知する閲覧検知部と、
を含む、情報管理システム。
【0178】
[7]
[6]に記載の情報管理システムにおいて、
前記複数のイベントには、前記第1の実店舗において、前記ユーザが前記実店舗で販売される商品を手に取ること、前記ユーザが商品棚又は商品ケースに置かれた当該商品を所定時間見続けること、及び、前記ユーザが当該商品に付されるタグ又はラベルを見ることの少なくとも1つと、前記第1の実店舗への再度の入店と、前記第2の実店舗への入店と、前記第1の実店舗で販売される商品と類似する商品を販売するオンラインショップ又は類似のオンラインショップのウェブサイトの閲覧と、これらのウェブサイトにおける当該又は類似の商品の所定の登録(お気に入りの登録)との少なくとも複数が含まれる、情報管理システム。
【0179】
[8]
[5]から[7]のいずれかに記載の情報管理システムにおいて、
前記商品に関する情報は、当該商品が購入可能な前記実店舗又はオンラインショップのクーポンと、前記商品の詳細情報との少なくとも一方を含む、情報管理システム。
【0180】
[9]
[5]から[8]のいずれかに記載の情報管理システムにおいて、
前記商品の購入確率が所定の下限値を下回ったか否かを判定する下限値判定部をさらに備え、
前記下限値判定手段により前記商品の購入確率が前記所定の下限値を下回ったと判定された場合には、前記イベント検知部は、前記商品の購入に関するイベントの検知を終了する、情報管理システム。
【0181】
[10]
[6]から[9]のいずれかに記載の情報管理システムにおいて、
前記第1及び第2の実店舗内における所定の商品に対するユーザの行動を検知する行動検知部と、
ネットワーク上のオンラインショップから前記ユーザが前記所定の商品を購入したことを検出する購入検出部と、
前記購入検出部により前記ユーザによる前記所定の商品の購入が検出されたとき、前記行動検知部により前記ユーザの所定の行動が前記第1又は第2の実店舗内で検知されている場合には、当該実店舗に対して特典を付与することを決定する特典決定部と、
をさらに備える、情報管理システム。
【0182】
[11]
所定の商品の購入に関する複数のイベントを記憶するイベント記憶部と、
前記複数のイベントの各々について、複数のユーザの各々が行ったことを検知するイベント検知部と、
前記複数のユーザの各々が行った前記イベントをイベント履歴として順次記憶するイベント履歴記憶部と、
前記イベント履歴記憶部に記憶された前記所定の商品の購入に関連するイベント履歴に基づいて、前記所定の商品の購入に対する各前記イベントの寄与度を算出する寄与度算出部と、
前記寄与度算出部により算出された寄与度に基づいて、前記複数のイベントを複数のカテゴリに分類するイベント分類部と、
を備える情報管理システム。
【0183】
[12]
[11]に記載の情報管理システムにおいて、
前記イベント検知部は、
前記所定の商品を販売する1以上の実店舗内における該所定の商品に対する前記複数のユーザの各々の行動を検知する行動検知部と、
前記複数のユーザの各々の端末を介して、前記所定の商品が掲載されたウェブサイトを当該ユーザが閲覧したことを検知する閲覧検知部と、
を含み、
前記イベント履歴記憶部は、前記行動検知部により前記各ユーザの所定の行動が検知された場合、又は、前記閲覧検知部により前記各ユーザの前記ウェブサイトの閲覧が検知された場合には、当該ユーザの前記所定の商品の購入に関連するイベントの記憶を開始する、情報管理システム。
【0184】
[13]
[12]に記載の情報管理システムにおいて、
前記イベント履歴記憶部は、前記ユーザの前記所定の商品の購入に関連するイベントの記憶を開始した後、所定時間を経過したとき、又は、前記イベント検知部により当該ユーザが前記所定の商品又は類似する商品を購入したことが検知された場合には、前記イベントの記憶を終了する、情報管理システム。
【0185】
[14]
[11]から[13]のいずれかに記載の情報管理システムにおいて、
前記寄与度算出部及び前記イベント分類部は、機械学習を行うことにより実現され、あるいは、人工知能を利用して実現される、情報管理システム。
【0186】
[15]
[11]から[14]のいずれかに記載の情報管理システムにおいて、
前記複数のイベントには、前記所定の商品又は該所定の商品と類似する商品を販売する1以上の実店舗の各々への入店と、前記所定の商品又は該所定の商品と類似する商品を販売する1以上のオンラインショップのウェブサイトの閲覧と、前記各ウェブサイトにおける前記所定の商品又は前記類似商品の所定の登録と、前記複数のユーザの各々の口座への入金と、前記所定の商品又は前記類似商品に関する情報の前記複数のユーザの各々への配信と、前記所定の商品又は前記類似商品が掲載された電子書籍の閲覧とのうち、少なくとも複数が含まれる、情報管理システム。
【0187】
[16]
[12]から[15]のいずれかに記載の情報管理システムにおいて、
前記イベント検知部は、
ネットワーク上のオンラインショップから前記ユーザが前記所定の商品を購入したことを検出する購入検出部をさらに含み、
前記情報管理システムは、
前記購入検出部により前記複数のユーザの各々による前記所定の商品の購入が検出されたとき、前記行動検知部により当該ユーザの所定の行動が前記いずれかの実店舗内で検知されている場合には、当該実店舗に対して特典を付与することを決定する特典決定部をさらに備える、情報管理システム。
[17]
[12]から[16]のいずれかに記載の情報管理システムにおいて、
前記行動検知部により前記複数のユーザのうち特定のユーザの所定の行動が前記いずれかの実店舗内で検知されている場合には、前記イベント検知部により検知された前記特定のユーザによる各イベントに応じて、前記特定のユーザによる前記商品の購入確率を増減させる購入確率増減部と、
前記購入確率増減部により増減された前記購入確率を経過時間に応じて減少させる購入確率減少部と、
前記所定の商品の購入確率が所定の閾値を超えたか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記購入確率が前記所定の閾値を超えたと判定された場合には、前記特定のユーザの端末に前記商品に関する情報を配信する情報配信部と、
をさらに備える、情報管理システム。
【産業上の利用可能性】
【0188】
本発明は、実店舗とオンラインショップの両方で販売されている商品の購買履歴に基づいて、実店舗に特典を付与したり、実店舗又はオンラインショップのクーポンを配信したりする情報管理システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0189】
1…情報管理システム、2…ネットワーク、10、10A、10B…情報管理サーバ、20、21、2M…店舗サーバ、30、31、3N、30A、30B…携帯端末、
101…制御部、102…関係性情報記憶部、103…送受信部、104…端末情報取得部、105…特典決定部、106…イベント記憶部、107…購入確率算出部、108…判定部、109…情報配信部、110…イベント履歴記憶部、111…寄与度算出部、112…イベント分類部、
201…入退店情報取得部、202…映像取得部、203…音取得部、204…制御部、205…関係性記憶部、206…送受信部、
210…出入口ゲート、220…カメラ、230…マイクロフォン、
301…閲覧履歴記憶部、302…決済情報取得部、303…送受信部、304…登録検知部、305…閲覧検知部。