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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】ショベル及び健康管理システム
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20231211BHJP
   B60R 11/04 20060101ALI20231211BHJP
   B60R 1/29 20220101ALI20231211BHJP
【FI】
E02F9/26 B
B60R11/04
B60R1/29
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022108715
(22)【出願日】2022-07-05
(62)【分割の表示】P 2019535637の分割
【原出願日】2018-08-06
(65)【公開番号】P2022132337
(43)【公開日】2022-09-08
【審査請求日】2022-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2017153670
(32)【優先日】2017-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】古賀 方土
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-088497(JP,A)
【文献】特開2016-186812(JP,A)
【文献】特開2015-71318(JP,A)
【文献】特開2017-100207(JP,A)
【文献】特開2008-54915(JP,A)
【文献】特開2016-133849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/26
B60R 11/04
B60R 1/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
旋回機構を介して前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、
前記アタッチメント及び前記旋回機構の少なくとも一方を用いて行われる作業の内容であるショベルの作業内容とショベルの操作者の生体情報とを時系列で関連付けて解析対象データとして保存する制御装置と、を備える、
ショベル。
【請求項2】
前記生体情報は、操作者を撮像するカメラ、運転席に埋め込まれたセンサ、又は、操作者が着用するセンサによって取得される、
請求項1に記載のショベル。
【請求項3】
前記作業内容は、所定時間毎のまとまりで算出された運転情報に基づいて所定の判定時間毎に判定される、
請求項1又は2に記載のショベル。
【請求項4】
前記作業内容は、掘削作業、積み込み作業、又は、法面整形作業である、
請求項1乃至3の何れかに記載のショベル。
【請求項5】
前記作業内容は、前記アタッチメント及び前記旋回機構の少なくとも一方を用いて行われる作業の合間である待機を含む
請求項1乃至4の何れかに記載のショベル。
【請求項6】
前記生体情報は、特定の作業が行われているときに取得される生体情報、前記特定の作業の開始直前に取得される生体情報、及び、前記特定の作業の終了直後に取得される生体情報を含み、
前記特定の作業は、前記アタッチメント及び前記旋回機構の少なくとも一方を用いて行われる作業である
請求項1乃至5の何れかに記載のショベル。
【請求項7】
下部走行体と、旋回機構を介して前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、を備えるショベルの操作者の健康を管理するシステムであって、
ショベルに取り付けられた運転情報取得装置と、
前記運転情報取得装置が取得した運転情報に基づいて判定されるショベルの作業内容とショベルの操作者の生体情報とを時系列で関連付けて解析対象データとして保存する制御装置と、
ショベルの操作者の前記生体情報と前記運転情報とを関連付けて表示する表示装置と、を備え
前記作業内容は、前記アタッチメント及び前記旋回機構の少なくとも一方を用いて行われる作業の内容である、
健康管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショベル、ショベルの支援装置、及び、ショベルの管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
旋回操作が行われた合計時間、走行操作が行われた合計時間、及び、掘削操作が行われた合計時間のそれぞれに所定の重み係数を掛けて操作者の疲労度を算出する運転支援システムを搭載したショベルが知られている(特許文献1参照。)。このショベルは、算出した疲労度が所定の閾値を超えたときに、操作者が疲労している旨を操作者に知らせるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-38346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のショベルは、各種操作が行われた時間に基づいて操作者の疲労度を推定するのみであり、その推定は正確性に欠けるおそれがある。操作者の疲労度は、作業環境によって大きく異なるためである。例えば、操作者は、直射日光を受けながら作業を行った場合には、作業内容及び作業時間が同じであっても、直射日光を受けずに作業を行った場合に比べて疲れやすいためである。
【0005】
そこで、操作者の疲労の度合いをより正確に推定できるようにすることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係るショベルは、下部走行体と、旋回機構を介して前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、前記アタッチメント及び前記旋回機構の少なくとも一方を用いて行われる作業の内容であるショベルの作業内容とショベルの操作者の生体情報とを時系列で関連付けて解析対象データとして保存する制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
上述の手段により、操作者の疲労の度合いをより正確に推定できるようにするショベルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】健康管理システムの構成例を示す概略図である。
図2】健康管理システムのシステム構成図である。
図3】キャビン内部の側面図である。
図4】関連付け処理の一例のフローチャートである。
図5】健康管理システムが提示可能な情報の一例を示す図である。
図6】健康管理システムが提示可能な情報の別の一例を示す図である。
図7】健康管理システムの別の構成例を示すキャビン内部の側面図である。
図8】健康管理システムの更に別の構成例を示すキャビン内部の側面図である。
図9】健康管理システムが提示可能な情報の更に別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
最初に、図1図3を参照し、本発明の実施形態に係るショベル(掘削機)100を含む健康管理システムSYSについて説明する。図1は、健康管理システムSYSの構成例を示す概略図である。図2は、健康管理システムSYSのシステム構成図である。図3はキャビン10の内部の左側面図である。
【0010】
健康管理システムSYSは、ショベルの操作者の健康を管理するシステムである。本実施形態では、健康管理システムSYSは、ショベルの操作者の疲労を管理するシステムであり、主に、ショベル100、支援装置200及び管理装置300で構成される。健康管理システムSYSを構成するショベル100、支援装置200及び管理装置300はそれぞれ1台であってもよく、複数台であってもよい。本実施形態では、1台のショベル100と、1台の支援装置200と、1台の管理装置300を含む。
【0011】
支援装置200は、携帯端末装置であり、例えば、作業現場にいる作業者等が携帯するノートPC、タブレットPC、スマートフォン等のコンピュータである。ショベル100の操作者が携帯するコンピュータであってもよい。
【0012】
管理装置300は、固定端末装置であり、例えば、作業現場外の管理センタ等に設置されるコンピュータである。管理装置300は、可搬性のコンピュータ(例えば、ノートPC、タブレットPC、スマートフォン等の携帯端末装置)であってもよい。
【0013】
ショベル100の下部走行体1には旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはバケット6が取り付けられている。作業要素としてのブーム4、アーム5及びバケット6はアタッチメントの一例である掘削アタッチメントを構成する。ブーム4、アーム5、バケット6は、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。上部旋回体3には運転室としてのキャビン10が設けられ、且つ、エンジン11等の動力源が搭載されている。
【0014】
ショベル100は、図2に示すように、エンジン11、メインポンプ14、パイロットポンプ15、コントロールバルブ17、操作装置26、コントローラ30、エンジン制御装置74等で構成されている。
【0015】
エンジン11はショベル100の駆動源であり、例えば、所定の回転数を維持するように動作するディーゼルエンジンである。エンジン11の回転軸はメインポンプ14及びパイロットポンプ15の回転軸に接続されている。
【0016】
メインポンプ14は、作動油ライン16を介して作動油をコントロールバルブ17に供給する斜板式可変容量型油圧ポンプである。メインポンプ14は、斜板傾転角の変化に応じて1回転当たりの吐出流量が変化する。斜板傾転角は、例えば、レギュレータ14aにより制御される。レギュレータ14aは、例えば、コントローラ30からの制御電流の変化に応じて斜板傾転角を変化させる。ショベル100には、メインポンプ14の吐出圧を検出する吐出圧センサ、斜板傾転角を検出する傾転角センサが取り付けられている。
【0017】
パイロットポンプ15は、パイロットライン25を介して操作装置26等の各種油圧制御機器に作動油を供給する固定容量型油圧ポンプである。
【0018】
コントロールバルブ17は油圧アクチュエータに関する作動油の流れを制御する流量制御弁のセットである。コントロールバルブ17は、操作装置26の操作方向及び操作量に対応するパイロット圧の変化に応じ、メインポンプ14から作動油ライン16を通じて受け入れた作動油を1又は複数の油圧アクチュエータに選択的に供給する。油圧アクチュエータは、例えば、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、左走行用油圧モータ1A、右走行用油圧モータ1B、旋回用油圧モータ2A等を含む。ショベルには、油圧アクチュエータにおける作動油の圧力を検出する作動油圧センサが取り付けられていてもよい。
【0019】
操作装置26は、ショベル100の操作者が油圧アクチュエータの操作のために用いる装置である。操作装置26はパイロットライン25を介してパイロットポンプ15から作動油の供給を受けてパイロット圧を生成する。そして、パイロットライン25aを通じ、対応する流量制御弁のパイロットポートにそのパイロット圧を作用させる。パイロット圧は操作装置26の操作方向及び操作量に応じて変化する。パイロット圧センサ15aはパイロット圧を検出し、その検出値をコントローラ30に対して出力する。図3は、操作装置26を構成する左操作レバー26L、左走行ペダル26PL及び左走行レバー26DLを示している。
【0020】
コントローラ30は、ショベル100を制御するための制御装置である。本実施形態では、コントローラ30はCPU、揮発性記憶媒体、不揮発性記憶媒体等を備えたコンピュータで構成される。コントローラ30のCPUは、各種機能に対応するプログラムを実行することで、それらプログラムのそれぞれに対応する機能を実現させる。
【0021】
エンジン制御装置74はエンジン11を制御する装置である。エンジン制御装置74は、例えば、入力装置を介して設定されたエンジン回転数が実現されるように燃料噴射量等を制御する。エンジン制御装置74には、エンジン回転数センサ、エンジン負荷率センサ、燃料噴射量センサ等が接続されている。エンジン負荷率センサは、エンジントルクセンサであってもよい。
【0022】
上部旋回体3に取り付けられた送信装置S1、受信装置S2、測位装置S3、姿勢検出装置S4、向き検出装置S5、カメラS6、運転情報取得装置S7、生体情報取得装置S8及び表示装置40のそれぞれはコントローラ30に接続されている。コントローラ30は、受信装置S2、測位装置S3、姿勢検出装置S4、向き検出装置S5、カメラS6、運転情報取得装置S7及び生体情報取得装置S8のそれぞれが出力する情報に基づいて各種演算を実行する。そして、演算結果に基づいて生成した情報を送信装置S1から外部に発信し、或いは、表示装置40で表示する。
【0023】
送信装置S1はショベル100の外部に向けて情報を発信する。送信装置S1は、例えば、支援装置200及び管理装置300の少なくとも一方(以下、「外部装置」とする。)が受信可能な情報を発信する。本実施形態では、送信装置S1は、衛星回線、携帯電話回線等を通じて外部装置が受信可能な情報を外部装置に向けて発信する。
【0024】
受信装置S2はショベル100の外部からの情報を受信する。受信装置S2は、例えば、外部装置が発信する情報を受信する。本実施形態では、受信装置S2は、衛星回線、携帯電話回線等を通じて外部装置が発信する情報を受信する。
【0025】
測位装置S3はショベル100の位置に関する情報を取得する。本実施形態では、測位装置S3はGNSS(GPS)受信機であり、ショベル100の存在位置の緯度、経度、高度を測定する。
【0026】
姿勢検出装置S4はショベル100の姿勢を検出する。ショベル100の姿勢は、例えば、掘削アタッチメントの姿勢である。本実施形態では、姿勢検出装置S4は、ブーム角度センサ、アーム角度センサ、バケット角度センサ、及び機体傾斜センサを含む。ブーム角度センサは、ブーム角度を取得するセンサであり、例えば、ブームフートピンの回転角度を検出する回転角度センサ、ブームシリンダ7のストローク量を検出するストロークセンサ、ブーム4の傾斜角度を検出する傾斜(加速度)センサ等を含む。加速度センサとジャイロセンサの組み合わせであってもよい。アーム角度センサ及びバケット角度センサについても同様である。機体傾斜センサは機体傾斜角度を取得するセンサであり、例えば、水平面に対する上部旋回体3の傾斜角度を検出する。本実施形態では、機体傾斜センサは上部旋回体3の前後軸及び左右軸回りの傾斜角を検出する2軸加速度センサである。なお、上部旋回体3の前後軸及び左右軸は、例えば、互いに直交してショベル100の旋回軸上の一点であるショベル中心点を通る。機体傾斜センサは3軸加速度センサであってもよい。
【0027】
向き検出装置S5は、ショベル100の向きを検出する。向き検出装置S5は、例えば、地磁気センサ、旋回機構2の旋回軸に関するレゾルバ又はエンコーダ、ジャイロセンサ等で構成される。本実施形態では、向き検出装置S5は、3軸地磁気センサとジャイロセンサの組み合わせで構成される。一対のGNSS受信機であってもよい。
【0028】
コントローラ30は、測位装置S3、姿勢検出装置S4及び向き検出装置S5の出力に基づいてバケット6の爪先の軌跡に関する情報を取得できる。
【0029】
コントローラ30、表示装置40、エンジン制御装置74等は蓄電池70から電力の供給を受けて動作する。蓄電池70はエンジン11によって駆動される発電機によって充電される。蓄電池70の電力はエンジン11のスタータ等にも供給される。スタータは蓄電池70からの電力で駆動されてエンジン11を始動させる。
【0030】
カメラS6は、取得した画像をコントローラ30に対して出力する。本実施形態では、カメラS6は、ショベル100の後方の空間を撮像するバックカメラS6Bを含む。ショベル100の右側方の空間を撮像する右カメラ、及び、ショベル100の左側方の空間を撮像する左カメラを含んでいてもよい。また、カメラS6は、キャビン10内にいる操作者を撮像する室内カメラS6Cを含む。図3の破線で示す範囲R1は、室内カメラS6Cの撮像範囲を表す。コントローラ30は、室内カメラS6Cが撮像した操作者の画像に各種画像処理を施して操作者を識別し或いは認証してもよい。
【0031】
運転情報取得装置S7は、ショベル100の運転に関する情報である運転情報を取得する。本実施形態では、運転情報取得装置S7は、パイロット圧センサ15a、吐出圧センサ、傾転角センサ、作動油圧センサ、エンジン回転数センサ、エンジン負荷率センサ、燃料噴射量センサ、測位装置S3、姿勢検出装置S4、向き検出装置S5等を含む。運転情報は、作業環境に関する情報を含んでいてもよい。この場合、運転情報取得装置S7は、外気温センサ、内気温センサ、気圧センサ、湿度センサ、照度センサ、機体傾斜センサ、振動センサ等を含んでいてもよい。
【0032】
生体情報取得装置S8は、ショベル100の操作者に関する情報である生体情報を取得する。本実施形態では、生体情報取得装置S8は、運転席DSに埋め込まれた脈拍センサS8A、体圧センサS8B及び体温センサS8Cを含む。運転席DSに埋め込まれた体重計等を含んでいてもよい。そして、生体情報取得装置S8は、操作者が運転席DSに着座すると、操作者の生体情報を所定の制御周期で繰り返し取得するように構成されていてもよい。
【0033】
生体情報取得装置S8は、室内カメラS6Cを含んでいてもよい。この場合、コントローラ30は、室内カメラS6Cが撮像した操作者の画像に各種画像処理を施して操作者の体調を判定してもよい。
【0034】
生体情報取得装置S8は、リストバンド型脈拍計、リストバンド型血圧計等、操作者が着用するセンサ(ウェアラブルセンサ)であってもよい。ウェアラブルセンサは、着脱情報と共に生体情報を出力するように構成されていてもよい。着脱情報は、操作者がウェアラブルセンサを着用しているか否かを表す情報である。
【0035】
運転席DSは、ショベルの操作者が着座するシートである。本実施形態では、運転席DSは、コントローラ30からの制御指令に応じて動作可能なマッサージチェアである。具体的には、運転席DSは、運転モードを選択できるように構成されている。運転モードの分類は、例えば、「もみ」、「指圧」、「たたき」、「もみたたき」等のマッサージ方法による分類であってもよく、「肩」、「腰」、「ふくらはぎ」、「大腿部」等のマッサージ部位による分類であってもよい。ショベル100の操作者は、任意のタイミングで、運転席DSのマッサージ機能を利用できる。運転席DSのマッサージ機能は、コントローラ30によって自動的に制御されてもよい。運転席DSは、例えば、所定の条件が満たされた場合に、マッサージ機能が自動的に開始するように構成されていてもよい。
【0036】
表示装置40は、各種情報を表示する装置であり、キャビン10内の運転席DSの近傍に配置されている。本実施形態では、表示装置40は、カメラS6が撮像した画像を表示可能である。カメラS6が撮像した画像は、複数台のカメラの撮像画像を合成して得られる合成画像であってもよい。合成画像は、視点変換処理等の各種画像処理が施されていてもよい。表示装置40は、ノートPC、タブレットPC、スマートフォン等の携帯端末装置であってもよい。
【0037】
支援装置200は、制御装置201、送信装置202、受信装置203、表示装置204、操作入力装置205等で構成されている。
【0038】
制御装置201は、支援装置200を制御するための装置である。本実施形態では、制御装置201は、揮発性記憶媒体、不揮発性記憶媒体等を備えたコンピュータで構成されている。制御装置201のCPUは、各種機能に対応するプログラムを実行することで、それらプログラムのそれぞれに対応する機能を実現させる。
【0039】
送信装置202は、支援装置200の外部に向けて情報を発信する。送信装置202は、例えば、衛星回線、携帯電話回線等を通じてショベル100及び管理装置300の少なくとも一方が受信可能な情報をショベル100に向けて発信する。
【0040】
受信装置203は、支援装置200の外部からの情報を受信する。受信装置203は、例えば、衛星回線、携帯電話回線等を通じてショベル100及び管理装置300の少なくとも一方が発信する情報を受信する。
【0041】
表示装置204は、各種情報を表示するための装置である。本実施形態では、表示装置204は液晶ディスプレイであり、ショベル100による作業に関する情報、ショベル100の操作者の疲労に関する情報、地形データに関する情報等を表示する。
【0042】
操作入力装置205は、操作入力を受けるための装置である。本実施形態では、操作入力装置205は、液晶ディスプレイの上に配置されるタッチパネルである。タッチパッド、キーボード、マウス、トラックボール等であってもよい。
【0043】
管理装置300は、制御装置301、送信装置302、受信装置303、表示装置304、操作入力装置305等で構成されている。
【0044】
制御装置301は、管理装置300を制御するための装置である。本実施形態では、制御装置301は、揮発性記憶媒体、不揮発性記憶媒体等を備えたコンピュータで構成されている。制御装置301のCPUは、各種機能に対応するプログラムを実行することで、それらプログラムのそれぞれに対応する機能を実現させる。
【0045】
送信装置302は、管理装置300の外部に向けて情報を発信する。送信装置302は、例えば、衛星回線、携帯電話回線等を通じてショベル100及び支援装置200の少なくとも一方が受信可能な情報をショベル100に向けて発信する。
【0046】
受信装置303は、管理装置300の外部からの情報を受信する。受信装置303は、例えば、衛星回線、携帯電話回線等を通じてショベル100及び支援装置200の少なくとも一方が発信する情報を受信する。
【0047】
表示装置304は、各種情報を表示するための装置である。本実施形態では、表示装置304は液晶ディスプレイであり、ショベル100による作業に関する情報、ショベル100の操作者の疲労に関する情報、地形データに関する情報等を表示する。
【0048】
操作入力装置305は、操作入力を受けるための装置である。本実施形態では、操作入力装置305は、液晶ディスプレイの上に配置されるタッチパネルである。タッチパッド、キーボード、マウス、トラックボール等であってもよい。
【0049】
次に、図4を参照し、コントローラ30が運転情報と生体情報とを関連付ける処理(以下、「関連付け処理」とする。)について説明する。図4は、関連付け処理の一例のフローチャートである。コントローラ30は、ショベルの稼働中、所定の制御周期で繰り返しこの関連付け処理を実行する。「関連付け」は、例えば、各時点における運転情報と、対応する各時点における生体情報とを対応付けることを含む。具体的には、運転情報に含まれる時刻情報と、生体情報に含まれる時刻情報とを利用して行われる。ショベル100のID番号、操作者のID番号等が利用されてもよい。
【0050】
最初に、コントローラ30は、生体情報に関する異常が発生したか否かを判定する(ステップST1)。本実施形態では、コントローラ30は、例えば、運転席DSに埋め込まれた脈拍センサS8Aの出力が所定範囲外となった場合に、ショベル100の操作者の生体情報に関する異常が発生したと判定する。
【0051】
生体情報に関する異常が発生したと判定した場合(ステップST1のYES)、コントローラ30は、一次データの関連付けを実行する(ステップST2)。
【0052】
一次データは、未加工のデータすなわち生データを意味する。一次データの関連付けでは、コントローラ30は、異常判定時点から所定時間だけ遡った時点を記録開始時点とし、且つ、異常判定時点から所定時間が経過した時点を記録終了時点とする。異常判定時点は、生体情報に関する異常が発生したと判定した時点である。
【0053】
そして、記録開始時点から記録終了時点の間に揮発性記憶媒体に記憶された運転情報の生データと生体情報の生データとを関連付けて解析対象データとして不揮発性記憶媒体に保存する。運転情報の生データは、カメラS6が撮像した画像を含んでいてもよい。コントローラ30は、送信装置S1を通じて解析対象データを外部に送信してもよい。コントローラ30は、任意のタイミングで(例えば保存が行われた直後に)解析対象データを外部に送信するように構成されていてもよく、所定の送信時刻に解析対象データを外部に送信するように構成されていてもよい。その後、コントローラ30は、ステップST3を実行する。
【0054】
生体情報に関する異常が発生していないと判定した場合(ステップST1のNO)、コントローラ30は、一次データの関連付けを実行することなく、ステップST3を実行する。
【0055】
ステップST3では、コントローラ30は、ショベルが停止したか否かを判定する。本実施形態では、エンジンキーがオフ位置に操作されたときにエンジン11が停止したと判定する。
【0056】
ショベルが停止していないと判定した場合(ステップST3のNO)、コントローラ30は、ステップST1の判定を再び実行する。
【0057】
ショベルが停止したと判定した場合(ステップST3のYES)、コントローラ30は、二次データの関連付けを実行する(ステップST4)。本実施形態では、コントローラ30は、作業開始時刻から作業終了時刻までの間に揮発性記憶媒体に記憶された一次データに基づき、二次データの関連付けを実行する。作業開始時刻は、例えば、エンジンキーがオン位置に操作された時刻である。作業終了時刻は、例えば、エンジンキーがオフ位置に操作された時刻である。
【0058】
二次データは、加工が行われたデータ、すなわち、一次データから導き出されるデータを意味する。二次データは、例えば、ショベルの作業内容に関するデータを含む。コントローラ30は、運転情報取得装置S7が出力する時系列データに基づき、所定の判定時間毎に、直近の判定時間に対応するショベルの作業内容を判定する。ショベルの作業内容は、例えば、「掘削作業」、「積み込み作業」、「待機」、「法面整形作業」等に分類される。
【0059】
二次データは、複数の一次データ(生データ)に基づいて算出される平均値、最大値、最小値、中間値、中央値、標準偏差、分散等の統計量を含んでいてもよい。コントローラ30は、例えば、運転情報取得装置S7が出力した時系列データの統計量を所定時間(例えば数分間)毎のまとまりで算出してもよい。生体情報取得装置S8が出力した時系列データについても同様である。
【0060】
そして、所定時間毎のまとまりで算出された運転情報に関する統計量と生体情報に関する統計量とを関連付けて解析対象データとして不揮発性記憶媒体に保存する。例えば、時系列に並べられたショベルの作業内容毎に運転情報に関する統計量と生体情報に関する統計量を関連付けて解析対象データとして保存してもよい。コントローラ30は、ステップST2のときと同様に、送信装置S1を通じて解析対象データを外部に送信してもよい。
【0061】
このように、コントローラ30は、ショベルが停止したと判定した場合、作業開始時刻から作業終了時刻までの間に揮発性記憶媒体に記憶された一次データに基づき、二次データの関連付けを実行する。そのため、一次データの関連付けを実行する場合に比べ、不揮発性記憶媒体に保存されるデータの容量を低減できる。但し、コントローラ30は、この段階においても、二次データの関連付けを実行する代わりに一次データの関連付けを実行してもよい。
【0062】
また、上述の例では、コントローラ30は、ショベルが停止したと判定したときに二次データの関連付けを行うが、所定時間毎に二次データの関連付けを行うようにしてもよい。揮発性記憶媒体の容量が小さい場合に対応できるようにするためである。また、コントローラ30は、リアルタイムで二次データの関連付けを行うようにしてもよい。
【0063】
次に、図5及び図6を参照し、ショベル100の操作者の生体情報と、ショベル100の運転情報と、運転席DSのマッサージ機能の作動状態(以下、「マッサージ作動状態」とする。)との関係について説明する。図5及び図6は、それぞれ、健康管理システムSYSが提示可能な情報の一例を示す。具体的には、生体情報としての脈拍と、運転情報としての作業内容と、マッサージ作動状態との関係を示す。図5及び図6は何れも、上から順に、脈拍、作業内容及びマッサージ作動状態の時間的推移を示す。脈拍の時間的推移は、所定時間毎に算出された平均値の時間的推移を表す。作業内容の時間的推移は、所定時間毎に判定された結果が「積み込み」、「待機」、「法面整形」の何れであったかを表す。また、図5及び図6は、作業開始時刻tsでエンジンキーがオン操作され、作業終了時刻teでエンジンキーがオフ操作されたことを示す。すなわち、作業開始時刻tsで1日の作業が開始され、且つ、作業終了時刻teで1日の作業が終了したことを示す。
【0064】
図5は、作業開始時刻tsから作業終了時刻teまで休憩無しで法面整形作業が継続的に行われ、且つ、マッサージ機能が利用されなかった場合に、操作者の脈拍が増大して時刻t1で閾値THを上回る様子を示している。閾値THは、例えば、操作者の脈拍が異常であることを操作者、管理者等に知らせるトリガーとなる値である。
【0065】
図6は、作業開始時刻tsから時刻t2まで積み込み作業が断続的に行われた後、時刻t2から時刻t3までの休憩を挟んで、時刻t3から作業終了時刻teまで再び積み込み作業が断続的に行われた場合に脈拍が閾値TH未満のレベルで維持される様子を示している。また、図6は、積み込み作業の合間の待機中にマッサージ機能が利用され、且つ、時刻t2から時刻t3までの休憩中にマッサージ機能が利用された様子を示している。
【0066】
コントローラ30は、作業終了時刻teにおいてショベルが停止したと判定すると、生体情報と運転情報の関連付けを実行する。図5及び図6に示す例では、コントローラ30は、生体情報としての脈拍と運転情報としての作業内容とマッサージ作動状態とを関連付けている。
【0067】
関連付けを行った後、コントローラ30は、図5及び図6に示すような関係を、任意のタイミングで、ショベルの操作者、管理者等に提示できる。コントローラ30は、例えば、図5及び図6に示すような関係を表示装置40に表示してもよい。提示を受けた操作者、管理者等は、運転情報及びマッサージ作動状態が操作者の生体情報に与える影響を把握できる。例えば、図5図6を比較し、ショベル100の待機中及び休憩中に運転席DSのマッサージ機能を利用することが脈拍の増大の抑制に効果があることを把握できる。
【0068】
このように、ショベル100は、運転情報を取得する運転情報取得装置S7と、運転情報を記憶するコントローラ30とを備える。コントローラ30は、キャビン10にいる操作者の生体情報を取得し、生体情報と運転情報とを関連付けるように構成されている。そして、関連付けられた生体情報と運転情報を任意のタイミングで操作者又は管理者に提示できる。この構成により、ショベル100は、例えば、運転席DSに着座する操作者の疲労を操作者自身又は管理者が容易に管理できるようにする。また、操作者の疲労の度合いを操作者自身又は管理者がより正確に推定できるようにする。また、操作者及び管理者の健康管理意識を高めることができる。また、操作者の生体情報における異常を検知した場合、ショベル100は、その旨を即座に管理者に知らせることができる。
【0069】
管理者は、例えば、操作者の現在の疲労の度合いを把握することで、次の作業内容を適切に割り当てることができる。すなわち、操作者の健康と安全に配慮して作業スケジュールを変更することができる。例えば、長時間にわたって同じ作業を行った操作者に対して別の作業を割り当てることができる。操作者の疲労を軽減させるためである。
【0070】
生体情報は、典型的には、キャビン10内に設置された運転席DSに着座する操作者の生体情報である。生体情報は、作業開始前に取得される生体情報を含んでいてもよい。作業を行ったことによる生体情報に対する影響を把握できるようにするためである。また、生体情報は、作業終了後に取得される生体情報を含んでいてもよい。作業を止めたことによる生体情報に対する影響を把握できるようにするためである。
【0071】
生体情報は、望ましくは、操作者毎に区別できるように取得される。ある操作者に関する生体情報に別の操作者に関する生体情報が混入するのを防止するためである。そのため、キャビン10にいる操作者を撮像する撮像装置としての室内カメラS6Cが利用されてもよい。この場合、キャビン10にいる操作者は、室内カメラS6Cが撮像した画像に基づいて識別或いは認証される。そして、生体情報及び運転情報には操作者のID番号が付与される。
【0072】
コントローラ30は、ショベル100の支援装置200及び管理装置300の少なくとも一方に向けて情報を送信するように構成されていてもよい。例えば、運転情報及び生体情報を送信するように構成されていてもよい。運転情報と生体情報の関連付けが支援装置200及び管理装置300の少なくとも一方で実行されるようにするためである。
【0073】
生体情報は、キャビン10内に設置された運転席DSに取り付けられた生体情報取得装置S8を通じて取得される情報であってもよい。コントローラ30は、例えば、運転席DSに埋め込まれた脈拍センサS8A、体圧センサS8B、体温センサS8C等の埋め込み型センサが出力する生体情報を取得するように構成されていてもよい。この構成により、健康管理システムSYSは、操作者にウェアラブルセンサの着用を強いることなく、生体情報を確実に取得できる。
【0074】
次に、図7を参照し、健康管理システムSYSの別の構成例について説明する。図7に示す健康管理システムSYSは、ウェアラブルセンサが出力する生体情報と運転情報とをコントローラ30が関連付ける点、及び、運転席DSが生体情報取得装置S8を備えない点で、図3に示す健康管理システムSYSと異なるがその他の点で共通する。そのため、共通部分の説明を省略し、相違部分を詳説する。
【0075】
図7の例では、運転席DSは、マッサージ機能を備えるが、脈拍センサ、体圧センサ、体温センサ等の生体情報取得装置S8を備えていない。そのため、コントローラ30は、無線通信又は有線通信を介し、ウェアラブルセンサとしてのリストバンド型脈拍計S8Dが出力する生体情報を取得する。
【0076】
コントローラ30は、例えば、リストバンド型脈拍計S8Dが出力する生体情報を継続的に取得して揮発性記憶媒体に記憶する。そして、エンジンキーがオフ操作されたときに、揮発性記憶媒体に記憶されている作業開始時刻から作業終了時刻までの運転情報と生体情報とを関連付ける。
【0077】
コントローラ30は、エンジンキーがオフ操作されたときに、リストバンド型脈拍計S8Dに向けてデータ送信要求を発信してもよい。この場合、リストバンド型脈拍計S8Dは、データ送信要求に応じ、作業開始時刻から作業終了時刻までの生体情報をコントローラ30に向けて送信する。その後、コントローラ30は、揮発性記憶媒体に記憶されている作業開始時刻から作業終了時刻までの運転情報と、受信した作業開始時刻から作業終了時刻までの生体情報とを関連付ける。
【0078】
このように、生体情報は、キャビン10にいる操作者が着用する生体情報取得装置S8を通じて取得される情報であってもよい。この構成により、健康管理システムSYSは、操作者が所有するウェアラブルセンサを利用して生体情報を収集できるため、専用の生体情報取得装置S8を用意する必要がない。
【0079】
次に、図8を参照し、健康管理システムSYSの更に別の構成例について説明する。図8に示す健康管理システムSYSは、生体情報と運転情報を支援装置200が関連付ける点、及び、運転席DSが生体情報取得装置S8を備えない点で、図3に示す健康管理システムSYSと異なるがその他の点で共通する。そのため、共通部分の説明を省略し、相違部分を詳説する。
【0080】
図8の例では、運転席DSは、マッサージ機能を備えるが、脈拍センサ、体圧センサ、体温センサ等の生体情報取得装置S8を備えていない。そのため、支援装置200は、無線通信を介し、ウェアラブルセンサとしてのリストバンド型脈拍計S8Dが出力する生体情報を取得する。また、支援装置200は、無線通信を介し、コントローラ30が出力する運転情報を取得する。支援装置200は、コントローラ30経由で、リストバンド型脈拍計S8Dが出力する生体情報を取得してもよい。この場合、リストバンド型脈拍計S8Dは、無線通信又は有線通信を介してコントローラ30に生体情報を送信する。
【0081】
図8の例では、コントローラ30は、ショベル100に取り付けられた運転情報取得装置S7が出力する運転情報を継続的に取得して揮発性記憶媒体に記憶している。支援装置200は、リストバンド型脈拍計S8Dが出力する生体情報を継続的に取得して揮発性記憶媒体に記憶している。そして、エンジンキーがオフ操作されたときに、コントローラ30は、揮発性記憶媒体に記憶されている作業開始時刻から作業終了時刻までの運転情報を支援装置200に向けて送信する。運転情報を受信した支援装置200は、揮発性記憶媒体に記憶されている作業開始時刻から作業終了時刻までの生体情報と、受信した作業開始時刻から作業終了時刻までの運転情報とを関連付ける。
【0082】
支援装置200は、生体情報に関する異常が発生した場合には、コントローラ30に向けてデータ送信要求を発信してもよい。この場合、コントローラ30は、データ送信要求に応じ、記録開始時点から記録終了時点までの運転情報を支援装置200に向けて送信する。その後、支援装置200は、揮発性記憶媒体に記憶されている記録開始時点から記録終了時点までの生体情報と、受信した記録開始時点から記録終了時点までの運転情報とを関連付ける。
【0083】
関連付けを行った後、支援装置200は、生体情報と運転情報の関係を、任意のタイミングで、ショベルの操作者、管理者等に提示できる。支援装置200は、例えば、生体情報と運転情報の関係を表示装置204に表示してもよい。提示を受けた操作者、管理者等は、運転情報が操作者の生体情報に与える影響を把握できる。
【0084】
このように、支援装置200は、表示装置204と、ショベル100に取り付けられた運転情報取得装置S7が出力する運転情報を取得する制御装置201とを備えている。制御装置201は、キャビン10にいる操作者の生体情報を取得し、生体情報と運転情報とを関連付けて表示情報を生成し、表示情報を表示装置204に表示させるように構成されている。この構成により、支援装置200は、例えば、運転席DSに着座する操作者の疲労を操作者自身又は管理者が容易に管理できるようにする。また、操作者の疲労の度合いを操作者自身又は管理者がより正確に推定できるようにする。また、操作者及び管理者の健康管理意識を高めることができる。また、操作者の生体情報における異常を検知した場合、支援装置200は、その旨を即座に管理者に知らせることができる。
【0085】
健康管理システムSYSは、生体情報と運転情報を管理装置300が関連付けるように構成されていてもよい。この場合、管理装置300は、無線通信を介し、ウェアラブルセンサとしてのリストバンド型脈拍計S8Dが出力する生体情報を取得する。また、管理装置300は、無線通信を介し、コントローラ30が出力する運転情報を取得する。管理装置300は、コントローラ30経由で、リストバンド型脈拍計S8Dが出力する生体情報を取得してもよい。この場合、リストバンド型脈拍計S8Dは、無線通信又は有線通信を介してコントローラ30に生体情報を送信する。
【0086】
具体的には、コントローラ30は、ショベル100に取り付けられた運転情報取得装置S7が出力する運転情報を継続的に取得して揮発性記憶媒体に記憶している。管理装置300は、リストバンド型脈拍計S8Dが出力する生体情報を継続的に取得して揮発性記憶媒体に記憶している。そして、エンジンキーがオフ操作されたときに、コントローラ30は、揮発性記憶媒体に記憶されている作業開始時刻から作業終了時刻までの運転情報を管理装置300に向けて送信する。運転情報を受信した管理装置300は、揮発性記憶媒体に記憶されている作業開始時刻から作業終了時刻までの生体情報と、受信した作業開始時刻から作業終了時刻までの運転情報とを関連付ける。
【0087】
管理装置300は、生体情報に関する異常が発生した場合には、コントローラ30に向けてデータ送信要求を発信してもよい。この場合、コントローラ30は、データ送信要求に応じ、記録開始時点から記録終了時点までの運転情報を管理装置300に向けて送信する。その後、管理装置300は、揮発性記憶媒体に記憶されている記録開始時点から記録終了時点までの生体情報と、受信した記録開始時点から記録終了時点までの運転情報とを関連付ける。
【0088】
関連付けを行った後、管理装置300は、生体情報と運転情報の関係を、任意のタイミングで管理者等に提示できる。管理装置300は、例えば、生体情報と運転情報の関係を表示装置304に表示してもよい。提示を受けた管理者等は、運転情報が操作者の生体情報に与える影響を把握できる。
【0089】
このように、管理装置300は、表示装置304と、ショベル100に取り付けられた運転情報取得装置S7が出力する運転情報を取得する制御装置301とを備えている。制御装置301は、キャビン10にいる操作者の生体情報を取得し、生体情報と運転情報とを関連付けて表示情報を生成し、表示情報を表示装置304に表示させるように構成されている。この構成により、管理装置300は、例えば、運転席DSに着座する操作者の疲労を管理者が容易に管理できるようにする。また、操作者の疲労の度合いを管理者がより正確に推定できるようにする。また、管理者の健康管理意識を高めることができる。また、操作者の生体情報における異常を検知した場合、管理装置300は、その旨を即座に管理者に知らせることができる。
【0090】
次に、図9を参照し、健康管理システムSYSが提示可能な情報の別の一例について説明する。図9は、健康管理システムSYSが提示可能な情報の別の一例を示す。具体的には、図9は、総作業時間及び平均血圧の一日毎の推移を示す。左側の縦軸で表される平均血圧は、作業開始時刻から作業終了時刻まで所定周期で繰り返し検出されるショベル100の操作者の血圧の平均値である。折れ線グラフが平均血圧の推移を表している。右側の縦軸で表される総作業時間は、作業開始時刻から作業終了時刻までの時間である。総作業時間は、各作業が行われた時間の合計である。積み上げ棒グラフの高さが総作業時間を表している。積み上げ棒グラフの各要素は、各作業が行われた時間を表している。
【0091】
具体的には、図9は、7月4日の総作業時間がD1で且つ平均血圧がP1であることを示す。そして、総作業時間D1は、積み込み作業の時間Da1、掘削作業の時間Db1、及び、法面整形作業の時間Dc1の合計であることを示す。また、図9は、7月5日の総作業時間がD2で且つ平均血圧がP2であることを示す。そして、総作業時間D2は、積み込み作業の時間Da2のみで構成されていることを示す。また、図9は、7月6日の総作業時間がD3で且つ平均血圧がP3であることを示す。そして、総作業時間D3は、積み込み作業の時間Da3、掘削作業の時間Db3、及び、法面整形作業の時間Dc3の合計であることを示す。また、図9は、7月7日の総作業時間がD4で且つ平均血圧がP4であることを示す。そして、総作業時間D4は、積み込み作業の時間Da4、掘削作業の時間Db4、及び、法面整形作業の時間Dc4の合計であることを示す。
【0092】
コントローラ30は、図9に示すような関係を、任意のタイミングで、ショベルの操作者、管理者等に提示できる。そのため、ショベルの操作者、管理者等は、作業内容が操作者の生体情報に与える影響を把握できる。例えば、掘削作業の時間が長いほど操作者の平均血圧が高くなっていることを把握できる。
【0093】
以上、本発明の好ましい実施形態が説明された。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱すること無しに、種々の変形、置換等が適用され得る。また、上述の実施形態を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
【0094】
本願は、2017年8月8日に出願した日本国特許出願2017-153670号に基づく優先権を主張するものであり、この日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。
【符号の説明】
【0095】
1・・・下部走行体 1A・・・左走行用油圧モータ 1B・・・右走行用油圧モータ 2・・・旋回機構 2A・・・旋回用油圧モータ 3・・・上部旋回体 4・・・ブーム 5・・・アーム 6・・・バケット 7・・・ブームシリンダ 8・・・アームシリンダ 9・・・バケットシリンダ 10・・・キャビン 11・・・エンジン 14・・・メインポンプ 14a・・・レギュレータ 15・・・パイロットポンプ 15a・・・パイロット圧センサ 16・・・作動油ライン 17・・・コントロールバルブ 25、25a・・・パイロットライン 26・・・操作装置 26DL・・・左走行レバー 26L・・・左操作レバー 26PL・・・左走行ペダル 30・・・コントローラ 40・・・表示装置 70・・・蓄電池 74・・・エンジン制御装置 100・・・ショベル 200・・・支援装置 201・・・制御装置 202・・・送信装置 203・・・受信装置 204・・・表示装置 205・・・操作入力装置 300・・・管理装置 301・・・制御装置 302・・・送信装置 303・・・受信装置 304・・・表示装置 305・・・操作入力装置 DS・・・運転席 S1・・・送信装置 S2・・・受信装置 S3・・・測位装置 S4・・・姿勢検出装置 S5・・・向き検出装置 S6・・・カメラ S6B・・・バックカメラ S6C・・・室内カメラ S7・・・運転情報取得装置 S8・・・生体情報取得装置 S8A・・・脈拍センサ S8B・・・体圧センサ S8C・・・体温センサ S8D・・・リストバンド型脈拍計 SYS・・・健康管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9