(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】中空コア光ファイバおよびレーザシステム
(51)【国際特許分類】
G02B 6/02 20060101AFI20231211BHJP
H01S 3/10 20060101ALI20231211BHJP
G02B 6/032 20060101ALI20231211BHJP
G02B 6/036 20060101ALI20231211BHJP
G02B 6/32 20060101ALI20231211BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
G02B6/02 451
H01S3/10 Z
G02B6/032 Z
G02B6/036
G02B6/02 376B
G02B6/32
G02B6/42
(21)【出願番号】P 2022112153
(22)【出願日】2022-07-13
(62)【分割の表示】P 2018532357の分割
【原出願日】2016-12-22
【審査請求日】2022-08-10
(32)【優先日】2015-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(32)【優先日】2016-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】506179491
【氏名又は名称】エヌケイティー フォトニクス アクティーゼルスカブ
【氏名又は名称原語表記】NKT PHOTONICS A/S
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】リンスー、イェンス クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブセン、クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ミキエレット、マッティア
【審査官】林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-504350(JP,A)
【文献】国際公開第2004/083919(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/185761(WO,A1)
【文献】特開昭62-178203(JP,A)
【文献】特開平05-002118(JP,A)
【文献】特開平01-086104(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02533081(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第101122651(CN,A)
【文献】特開2004-077979(JP,A)
【文献】米国特許第08854728(US,B1)
【文献】Francesco Poletti,Nested antiresonant nodeless hollow core fiber,Optics Express,Vol. 22,Issue 20,2014年09月,pp. 23807-23828,https://www.osapublishing.org/DirectPDFAccess/3A4156E5-EF1B-0E9B-20AC6F7175857817_301570/oe-22-20-23807.pdf?da=1&id=301570&seq=0&mobile=no
【文献】Walter Belardi,Design and Properties of Hollow Antiresonant Fibers for the Visible and Near Infrared Spectral Range,Journal of Lightwave Technology,Volume: 33, Issue: 21,IEEE,2015年11月,pp.4497- 4503,https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=7247624,DOI:10.1109/JLT.2015.2477775
【文献】W. Belardi et al.,"Hollow antiresonant fibers with low bending loss",Optics Express,Vol. 22, No. 8,2014年04月18日,pp. 10091-10096,https://www.osapublishing.org/DirectPDFAccess/83D23091-6DB5-4182-9B85BA72B101F933_283622/oe-22-8-10091.pdf?da=1&id=283622&seq=0&mobile=no,https://doi.org/10.1364/OE.22.010091
【文献】L. Vincetti et al.,"Waveguiding mechanism in tube lattice fibers",Optics Express,Vol. 18, No. 22,2010年10月19日,pp. 23133-23146,https://www.osapublishing.org/DirectPDFAccess/34EBD706-BE30-BBD8-CEEC4AE6319B47F8_206719/oe-18-22-23133.pdf?da=1&id=206719&seq=0&mobile=no,https://doi.org/10.1364/OE.18.023133
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02-6/036
G02B 6/10
G02B 6/44
G02B 6/26-6/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/42-6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側クラッド領域と、前記外側クラッド領域に取り囲まれる7本の中空管とを備える中空コアフォトニック結晶ファイバ(PCF)であって、前記中空管の各々は前記外側クラッド領域に溶融されて、内側クラッド領域を画定するリングと、前記内側クラッド領域に取り囲まれる中空コア領域とを形成し、前記中空管は互いに接触しておらず、前記中空管は入れ子状の小管を備えておらず、前記中空管の各々は、コア中心に面した壁厚tの領域を備え、前記壁厚は最大約2.1μmであり、前記中空コア領域は、約10μmから約100μmのコア径Dを有し、前記コア径に対する前記管の外径の平均d2/Dは、約0.5から約0.75までである、中空コアフォトニック結晶ファイバ(PCF)。
【請求項2】
前記中空管の各々は平均外径d2および平均内径d1を有し、d1/d2が約0.8以上である、請求項1に記載の中空コアPCF。
【請求項3】
前記中空管は、隣り合う中空管同士の中心間距離Λを有し、前記距離Λは約1.01×d2から約1.5×d2の間である、請求項1または請求項2に記載の中空コアPCF。
【請求項4】
前記中空管は実質的に平行な中心軸を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の中空コアPCF。
【請求項5】
前記中空管の3本が、所定の壁厚を有し、残り4本の前記中空管が、別の壁厚を有する、請求項1に記載の中空コアPCF。
【請求項6】
前記中空管の少なくとも1本は、前記中空管の少なくとも他の1本の壁厚よりも少なくとも約5%大きな壁厚を有し、好ましくは、前記中空管のうちの少なくとも1本は、前記中空管の少なくとも他の1本の前記壁厚よりも少なくとも約10%大きな壁厚を有する、請求項
5に記載の中空コアPCF。
【請求項7】
前記中空管の各々は実質的に円形である、請求項1~
6のいずれか1項に記載の中空コアPCF。
【請求項8】
前記中空管の各々は、長い内径D
lと、前記長い内径D
lに対して垂直な短い内径D
sとを有し、D
lは半径方向において決定される、請求項1~
7のいずれか1項に記載の中空コアPCF。
【請求項9】
前記中空管の少なくとも1本は、前記中空管の1以上のコア中心に面した領域に配置される1以上のノジュールを備え、好ましくは、前記ノジュールは前記中空コア領域の境界に配置され、前記ノジュールは、好ましくは、動作波長で反共振になるように配置されて、基本モードの光が前記ノジュールから実質的に除外されるようにする、請求項1~
8のいずれか1項に記載の中空コアPCF。
【請求項10】
隣り合う中空管間の最小距離は少なくとも約0.1μmである、請求項1~
9のいずれか1項に記載の中空コアPCF。
【請求項11】
前記中空コア領域および前記中空管は互いに独立して、空気、アルゴン、窒素または前述の気体のいずれかを含む混合気体から選択される気体を含み、オプションで、前記中空コア領域および前記中空管は互いに独立して、真空引きされ、または加圧気体が充填される、請求項1~
10のいずれか1項に記載の中空コアPCF。
【請求項12】
前記外側クラッド領域は少なくとも約125μmの外径を有する、請求項1~
11のいずれか1項に記載の中空コアPCF。
【請求項13】
前記外側クラッド領域および前記中空管の両方または一方はソリッドガラス材料を備え、好ましくは、前記ソリッドガラス材料は、オプションで屈折率修正ドーパントが添加された、シリカから作られる、請求項1~
12のいずれか1項に記載の中空コアPCF。
【請求項14】
前記外側クラッド領域は、前記内側クラッド領域を取り囲むフォトニックバンドギャップ構造を備える、請求項1~
13のいずれか1項に記載の中空コアPCF。
【請求項15】
前記外側クラッド領域は、屈折率N
ocを有する外側背景材料と、前記背景材料の前記屈折率とは異なる屈折率を有する複数の介在物とを備え、前記外側背景材料内の前記複数の介在物は、好ましくは、前記内側クラッド領域を取り囲む2つ以上の介在物のリングを含む断面パターンで配置される、請求項
14に記載の中空コアPCF。
【請求項16】
前記外側背景材料内の前記複数の介在物は、実質的に六角形パターンで配置される、請求項
15に記載の中空コアPCF。
【請求項17】
前記複数の介在物は、ソリッド材料から作られる、請求項
15または請求項
16に記載の中空コアPCF。
【請求項18】
前記複数の介在物は空隙であるか、または気体から作られる、請求項
15または請求項
16に記載の中空コアPCF。
【請求項19】
前記複数の介在物は、最大約2.5μmの平均径(d
inc)を有する、請求項
15~
18のいずれか1項に記載の中空コアPCF。
【請求項20】
前記複数の介在物は、最大約6μmのピッチ(Λ
inc)で配置される、請求項
15~
19のいずれか1項に記載の中空コアPCF。
【請求項21】
ユーザ装置にレーザ光を伝送するレーザシステムであって、レーザ光源と、前記レーザ光源から前記ユーザ装置に光を伝送するファイバ伝送ケーブルとを備え、前記ファイバ伝送ケーブルは請求項1~
20のいずれか1項に記載の中空コアPCFを備える、レーザシステム。
【請求項22】
前記レーザ光源はレーザ光パルスを生成するように構成されて、前記ファイバ伝送ケーブルに光学的に接続され、好ましくは、前記レーザ光源はフェムト秒レーザ源である、請求項
21に記載のレーザシステム。
【請求項23】
前記レーザ光源は約30fsから約30psまでのポンプ持続時間を有する、請求項
21に記載のレーザシステム。
【請求項24】
前記レーザ光源は、少なくとも約5kWの、前記レーザ光源の出口において決定されるピーク電力を有する、請求項
21または請求項
22に記載のレーザシステム。
【請求項25】
前記レーザ光源は、モード同期レーザであり、前記モード同期レーザは、好ましくは、1以上の増幅器を備える、請求項
21~
24のいずれか1項に記載のレーザシステム。
【請求項26】
前記中空コアPCFは、約200nmから約4.5μmまでの範囲の少なくとも1つの波長、好ましくは1000nmから約1100nmまでの範囲の少なくとも1つの波長のシングルモードを案内するように構成される、請求項
21~
25のいずれか1項に記載のレーザシステム。
【請求項27】
前記中空コアPCFは、少なくとも約0.1μmの帯域幅の光の波長の連続波を誘導するように構成される、請求項
21に記載のレーザシステム。
【請求項28】
前記中空コアPCFは、前記ユーザ装置に接続されるように構成された第1ファイバ端部と、ファイバカップリング構造体を介して前記レーザ光源の出力ファイバに光学的に接続される第2ファイバ端部とを有する、請求項
21~
27のいずれか1項に記載のレーザシステム。
【請求項29】
前記ファイバカップリング構造体は、
集光レンズ、
グレーデッドインデックス要素(GRIN)、
保護要素、および、
フェルール構造体、
のうちの少なくとも1つを備える、請求項
28に記載のレーザシステム。
【請求項30】
前記第1ファイバ端部はフェルール構造内に取り付けられる、請求項
28または請求項
29に記載のレーザシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空コアフォトニック結晶ファイバおよび中空コア光ファイバを備えるレーザシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
中空コアフォトニック結晶ファイバ(PCF:photonic crystal fiber)は長年知られており、いくつかのアプリケーションでは、ソリッドコアPCFと比較してその伝播損失が非常に低く、非線形効果が低く、損傷閾値が高いため、使用が非常に魅力的である。
【0003】
中空コアファイバは本質的に中空領域内で光を案内する光ファイバであるため、コアを取り囲むソリッドファイバ材料内では光電力のごく一部しか伝播しない。中空領域には空気もしくは任意の他の気体を充填してもよく、または非常に低い気体圧力になるように排気してもよい。
【0004】
長年にわたり、例えば特許文献1に記載される中空コアフォトニックバンドギャップファイバ、例えば特許文献2に記載されるカゴメ設計型ファイバなど、いくつかのタイプの中空コアPCFが開発されてきた。
【0005】
カゴメ型ファイバは反共振効果によって光を案内し、フォトニックバンドギャップファイバで達成されるものよりも実質的に広いスペクトル伝送を可能にする。
近年、この中空コア反共振ファイバ(ARF:anti-resonant fiber)は、特に低損失かつ広いスペクトル伝送に関して、ファイバのさらなる改良を目指して集中的に研究されている。
【0006】
減衰を低減する試みにおいて、非特許文献1は、中空コアを8本の同一毛細管で取り囲んだ中空コアファイバを提案した。損失を低減するにはより大きな寸法のコアが好ましく、クラッド内の毛細管の数を増やすことにより損失低減が達成できると結論付けられた。
【0007】
先行技術の中空コア反共振ファイバの別の欠点は、そのファイバがいくつかの高次モード(HOM:higher-order mode)もサポートするため、純粋なシングルモード導波管ではないことである。これらのHOMは損失が比較的低いことが多いため、HOMの汚染のない純粋なLP01モードを励振するのが非常に難しく、さらにHOMが曲げ応力または外部応力によって励起される可能性がある。
【0008】
この問題を解決し、LP01モードで適度に低損失を維持しながら、HOMのできるだけ高い抑制を達成しようとする中で、非特許文献2で、改造されたファイバ設計が提案された。この論文に記載されるARRファイバは、壁厚tおよび内径dの等間隔に離れて接触しない6本の毛細管(以下、中空管ともいう)によって取り囲まれる中央の中空コア(内径D)を備え、それが厚壁の1本の支持毛細管内に支持される。接触しないガラス要素は高次コアモードとの共振位相整合結合を確保するように合わせられたモードを有し、高次コアモードを非常に高率で支持ソリッドガラスシースに漏洩させた。d/D比≒0.68で、管の壁Tが十分に薄い、つまりt/D=0.01であれば、ファイバが低損失で案内する広波長帯域でHOMの極めて高い抑制を達成できることが分かった。
【0009】
特許文献3は同様な反共振中空コアファイバを記載しており、この反共振中空コアファイバは、クラッド内面を画定する第1管状クラッド要素と、クラッド面に装着されて、有効半径をもつコアを共同して画定する複数の第2管状要素であって、前記第2管状要素は相隔たる関係で配置されて、第2管状要素の隣り合うものがその間に間隔を有する、第2管状要素と、第2管状要素の各々の中にそれぞれ入れ子式に収められる複数の第3管状要素とを備える。HOMを抑制するための管の最適な数は6本であると結論付けられた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許6892018号明細書
【文献】米国特許8306379号明細書
【文献】国際公開第15185761号
【非特許文献】
【0011】
【文献】コリャディン(Kolyadin)ら著「オプティックエクスプレス(Optics Express)」、第21巻、2013年、p.9514~9519
【文献】グネディ(Gunedi)ら著「高次モードの共振フィルタによる広帯域かつロバストなシングルモード中空コアPCF(Broad-band robustly single-mode hollow-core PCF by resonant filtering of higher order modes)」コーネル大学図書館アーカイブ(Cornell university library arXiv):1508.06747[phisics.optics]、(2015年8月27日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、前述した欠点の少なくとも1つを軽減する中空コアPCFを提供することである。
一実施形態において、高スペクトル伝送およびHOMの高い抑制を有する中空コアPCFを提供することが目的である。
【0013】
一実施形態において、高いシングルモード伝送効率を有し、実質的に曲げの影響を受けない中空コアPCFを提供することが目的である。
一実施形態において、少なくとも約50nmの帯域幅で、好ましくは約50dB/km未満の伝送損失の所望の低損失伝送帯域を有するように簡単に設計することのできる中空コアPCFを提供することが目的である。
【0014】
一実施形態において、約400nmから約1200nmまでの範囲の波長を備える伝送帯域を有する中空コアPCFを提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
以上の目的および他の目的は、請求項に定義されるとともに本明細書中以下説明する、本発明およびその実施形態によって解決されている。
本発明またはその実施形態は、以下の説明から当業者には明らかになる多数の追加の利点を有することが分かっている。
【0016】
「半径方向距離」という用語は、中空コアの中心軸から半径方向において決定される距離を意味する。「半径方向」という用語は、コアの中心軸から半径方向外側の方向である。
【0017】
「実質的に」という用語は、本明細書において、通常の製品の差異および許容差が含まれることを意味すると解釈するべきである。
「約」という用語は、一般に、測定の不確かさ内であるものを含むために使用される。「約」いう用語が範囲で使用されるとき、本明細書においては、測定の不確かさの範囲内であるものがその範囲に含まれることを意味すると解釈するべきである。
【0018】
「備える/備え」いう用語は、本明細書で使用される場合、非限定用語として解釈されるべき、つまり、要素、ユニット、整数、ステップ、コンポーネントおよびその組み合わせなど、具体的に述べられる特徴の存在を明記すると解釈されるべきであるが、述べられる1つまたは複数の他の特徴の存在または追加を排除するものではないことは特記しておく。
【0019】
本明細書または請求項を通し、別の規定がされていない限り、または文脈上要求されない限り、単数は複数を包含する。
径、厚さおよび他の構造的な値は、別の規定がなされていない限り、または文脈から明らかでない限り、中空コアPCFの断面図でみなされる。
【0020】
本発明の中空コアフォトニック結晶ファイバ(PCF)は、外側クラッド領域と、外側クラッド領域に取り囲まれる7本の中空管とを備える。中空管の各々は外側クラッドに溶融されて、内側クラッド領域を画定するリングと、内側クラッド領域に取り囲まれる中空コア領域とを形成する。中空管は互いに接触していない。望ましくない高次モードの抑制のためには、各中空管がd2と呼ばれる平均外径とd1と呼ばれる平均内径とを有することが有利であることが分かった。d1/d2比は約0.8以上である。
【0021】
各中空管の平均外径d2および/または平均内径は、中空管同士で等しくても、または異なっていてもよい。
一実施形態において、d1および/またはd2は少なくとも3本の中空管、例えば7本の中空管全てなどで、実質的に同一である。
【0022】
本発明によると、また先行技術の中空コアPCFのすべての教唆に照らし、驚くべきことに、7本の非接触管がある非接触内側クラッド構造を有する中空コアPCFは、前述した6本の非接触内側クラッド管を有する中空コアPCFよりも、より高次のモード(HOM)の抑制を非常に高めることが分かった。特に、かつ実施例で示すように、7本の非接触管を有する本発明の中空コアPCFは、3次のHOMなど、方位数が1より大きいHOMの抑制を高めると同時に、少なくとも伝送帯域が2μm未満、好ましくは1.5μm未満の基本モードで低損失を有することが分かった。
【0023】
「伝送帯域」という用語は、本明細書において、少なくとも約10nm、例えば少なくとも約25nmなど、好ましくは少なくとも約50nm、またはさらには少なくとも約100nmの伝送波長の帯域幅を有する帯域を意味するために使用される。
【0024】
「低損失伝送帯域」という用語は、その基本モードの光について、約100dB/km未満、好ましくは約60dB/km未満、さらに好ましくは約50dB/km未満の伝送損失を有する伝送帯域を意味する。
【0025】
d1/d2比を高めることにより、1200nm未満、例えば1μm未満など、例えば800μm未満など、例えば600my未満などの波長を備える低損失伝送帯域などのさらに低い波長でも、低損失伝送帯域を達成できることが分かった。d1/d2比は約0.85以上、例えば約0.9以上などであると有利である。
【0026】
外側クラッドはソリッドクラッド材料を備え、好ましくは全体がソリッド材料で作られる。
一実施形態において、各中空管は、隣り合う中空管から実質的に等間隔に配置される。それにより、非常に高いガウシアンビーム品質が得られる。代替実施形態において、各中空管は、隣り合う中空管から異なる距離だけ離して配置される。後者の実施形態では、隣り合う中空管間の距離の差異は、管の外径d2を異ならせることによってもたらされる。中空管の内径d1および/または外径d2が異なる場合、計算が中空管の厚さである場合を除き、または別の規定がなされていない限り、内径d1、外径d2はそれぞれd1およびd2の平均値として計算される。したがって、d1/d2比はd1およびd2の平均値によって求められる。HOMの最適な抑制には、隣り合う中空管間の最小距離は比較的小さく、好ましくは中空管の外径d2の約半分未満にする必要があることが分かった。他方で、この距離を狭めすぎてもならず、それは、距離を狭めすぎると、ファイバの線引き中の表面の張力および材料の引力のために、ファイバ全長の一部またはファイバ全長に沿ってこの距離が完全になくなるリスクが生じるおそれがあるためである。このようなリスクを避けるために、隣り合う中空管間の最小距離は少なくともd2の0.01倍である。
【0027】
隣り合う中空管間の最小距離は少なくとも約0.1μm、例えば少なくとも約1μmなど、例えば少なくとも約2μmなど、例えば少なくとも約5μmなどであると有利である。
【0028】
一実施形態において、隣り合う中空管間の最小距離は約5μm以下、例えば約4μm以下などである。
隣り合う中空管同士の中心間距離Λは、約1.01×d2から約1.5×d2の間、例えば1.05×d2から1.2×d2の間などである。
【0029】
中空管は、有利なことに、実質的に平行な中心軸を有する。実際上、中空管の中心軸は、加工のばらつきにより、直線からやや逸脱してもよい。中空管は、例えば、非常に長いピッチで、例えば最大1kmのピッチなど、例えば1cmから100mの間などで、コアに対してらせん状であってもよい。
【0030】
中空コアPCFの構造により、コアは、原則として、任意の径のコア領域で設計してもよい。コア領域は実質的に円形であることが有利である。一実施形態において、コア領域は円形ではなく、楕円形、または実質的に五角形などの角度を有する。コア径Dは、7本の中空管によって内接される最大の円の直径として定義される。
【0031】
有利なことに、中空コア領域は、約10μmから約100μmまで、例えば約10μmから約60μmまでなどのコア径Dを有する。
最適なコア径Dは、中空コアPCFの伝送帯域の中心波長に合わせてスケーラブルであることが分かった。
【0032】
中心波長が約1.0μmの場合、コア径Dは、有利なことに、例えば約20μmから約50μmなど、例えば約25μmから約40μmなどである。好適なコア径Dは、中空コアPCFの伝送帯域の中心波長に正比例してスケーリングされる。
【0033】
中空コアPCFは、コアが比較的大きい場合でも、非常に高いビーム品質を有し得ることが分かった。一実施形態において、ビーム品質M2は約1.75以下、例えば約1.6以下など、例えば約1.5またはさらにそれ以下などである。
【0034】
一実施形態において、コア径に対する管外径の平均d2/Dは、約0.5から約0.75まで、例えば約0.65から約0.72までなどであり、それにより、中空管間の所望の最小距離と、(特に3次および4次のHOMでは)非常に効果的なHOMの抑制が確保される。
【0035】
さらに、コア径に対する管外径の平均d2/Dが約0.5から約0.75までの中空コアPCFで得られるビームのモード品質は、非常に高いことが示された。
中空管の壁厚は、中空コアPCFの1つまたは複数の低損失伝送帯域に大きく影響することが分かった。実際、関係する壁厚tは、コア中心に面した中空管の壁領域であることが分かった。
【0036】
したがって、コア中心に面した中空管の領域の壁厚t(またはtの平均値)は、主に低損失伝送帯域の波長に関する位置に影響することが分かった。一般に、中空コアPCFは1、2、3、4またはさらにそれ以上の低損失伝送帯域など、1つまたは複数の低損失伝送帯域を有することがある。有利なことに、中空コアPCFは少なくとも3つの低損失伝送帯域、例えば少なくとも4つの低損失伝送帯域などを有する。0.2μm未満の低損失帯域を1つまたは複数得るためには、壁厚tは最大で約2.1μm、例えば最大約1μmなど、例えば約150から約350nmまでの範囲または約650から約850nmまでの範囲または約900から約2.1μmまでの範囲などであることが望ましい。
【0037】
例えば、本発明の一実施形態の中空コアPCFの場合、ファイバは壁厚t=150~350nm、好ましくは200~300nm(最も高い波長をもつ低損失伝送帯域‐帯域I)、壁厚t=650~850nm、好ましくは700~800nm(2番目に高い波長の低損失伝送帯域‐帯域II)、1030~1064nmを備える3番目の伝送帯域については最初の範囲の5倍の壁厚(つまり5×150nm~5×350nm)、1030~1064nmを備える4番目の伝送帯域については最初の範囲の7倍などの場合に、1030~1064nmで低損失伝送を有することが分かっている。
【0038】
有利なことに、中空コアPCFは、中空コアが基本モードで光を案内するように設計され、損失が約1000dB/km未満の場合、200nmから4000nmの間、例えば400から2000nmの間など、例えば800から1600nmの間など、例えば1000から1100nmの間などの波長から少なくとも1つの波長を備える。
【0039】
有利なことに、中空コアPCFは、伝送損失が約100dB/km未満、好ましくは約60dB/km未満、さらに好ましくは50dB/km未満で、1000から1100nmの間の間隔の波長を備え、好ましくは少なくとも1030~1064nmの波長を備える、基本モードの低損失伝送帯域を有する。
【0040】
一実施形態において、中空コアPCFは、基本モードの低伝送帯域で、約2000dB/kmより大きいHOMの伝送損失を有し、それにより効果的なシングルモード伝送を確保する。
【0041】
中空コアPCFは実質的に曲げの影響を受けないことがさらに分かっており、例えば、本発明の一実施形態の中空コアPCFは約6cmの直径で巻いたときに、1030~1060nmで約5%/km未満の低損失を有する。
【0042】
有利なことに、中空管の各々の壁厚tは実質的に同一である。好ましくは、中空管は実質的に同一であり、隣り合う中空管から等間隔に配置される。それにより、中空コアPCFは所望の波長の伝送に対して設計しやすくなる。
【0043】
一実施形態において、管のうちの少なくとも1本は、中空管のうちの少なくとも他の1本のものとは異なる壁厚tを有する。好ましくは、中空管の3本が、ある壁厚を有し、残りの4本の中空管が、別の壁厚を有する。この構成により、中空コアPCFは、主に壁厚tの差と、より大きいおよびより小さい壁厚tを有する中空管の相対的な位置とによって、複屈折を生じさせることが分かった。
【0044】
一実施形態において、中空管のうちの少なくとも1本は、他の中空管のうちの少なくとも1本の壁厚よりも少なくとも約5%大きい壁厚を有し、好ましくは、中空管のうちの少なくとも1本は、中空管のうちの少なくとも他の1本の壁厚よりも少なくとも約10%大きい壁厚を有する。
【0045】
一実施形態において、中空管の各々は実質的に円形である。実際上は、第一に、各中空管を外側クラッドの内側に溶融する場合のわずかな変形により、第二に、ファイバの線引き中に、隣り合う中空管に中空管が引きつけられ得ることにより、真円形の中空管を得るのは非常に難しい。
【0046】
一実施形態において、中空管の各々は、長い内径Dlと、長い内径Dlに対して垂直な短い内径Dsとを有し、Dlは中空コアの中心軸から半径方向において決定される。
有利なことに、Ds/Dl比は、約0.5から約0.99まで、例えば約0.8から約0.99までなどである。
【0047】
一実施形態において、Ds/Dl比は約0.9よりも大きく、例えば約0.95より大きいなどで、これは実際上製造しやすい。
一実施形態において、Ds/Dl比は約0.95よりも小さく、例えば0.9よりも小さいなどで、これは比較的大きなコア径Dになり、それにより基本モードの伝送損失をさらに低減することができる。
【0048】
一実施形態において、中空管の少なくとも1本は、中空管の中空構造内に配置される少なくとも1本の入れ子状の小管を備え、小管は中空管に溶融され、好ましくは外側クラッドへの溶融部にアラインされ、つまりコア領域から最も遠い。
【0049】
1本または複数本の入れ子状の管を有する中空管は、例えば、各第2管状要素内に入れ子式に収められる第3管状要素を有する第2管状要素を備える、国際公開第15185761号のPCFについて記載される通りにしてもよく、中空コアPCFが、入れ子状の第3管状管を有する第2管状要素を7本有する点が異なる。
【0050】
小管は、有利なことに、中空管の平均内径dよりも実質的に小さい平均外径dsubを有する。平均外径d2subは、好ましくは、中空管の最大約0.9×d2、例えば最大約0.9×d2などであり、好ましくは、内部小管は、コアの中心軸からその最大半径距離のところで中空管に溶融される。
【0051】
一実施形態において、中空管のうちの少なくとも1本は、中空管のうちの1本または複数本の、コア中心に面した領域に配置される1つまたは複数のノジュールを備え、好ましくは、ノジュールは中空コア領域の境界に配置され、ノジュールは、好ましくは、動作波長で反共振になるように配置されて、基本モードの光がノジュールから実質的に除外されるようにする。それにより、中空コアPCFのコア領域で伝送される基本モードでの光の損失をさらに低減するための、基本モードのより強力な閉じ込めが得られる。
【0052】
ノジュールは、有利なことに、小結節状、もしくは玉状の構造の形態であっても、または壁の局部的に厚い領域がファイバの長さの少なくとも一部に沿って延びる形態であってもよい。このノジュールは、例えば米国特許第7321712号明細書に記載されるように、先行技術の光ファイバではノードまたは小塊と呼ばれることもある。ノジュール、および中空管の残りの部分は、同一の材料で作られると有利である。
【0053】
コア領域および/または中空管は、原則として、任意の流体を含んでもよい。好ましくは、コア領域および/または中空管は互いに独立して、温度25℃で厳密に100000Paの絶対圧力として標準環境温度および圧力(SATP)で判断される気体を含む。適切な気体には、空気、アルゴン、窒素または前述した気体のいずれかを含む混合気が含まれる。オプションで、中空コア領域および/または中空管は互いに独立して、真空引きされ(非常に低い気体圧力を有するように排気され)、または加圧気体が充填される。
【0054】
一実施形態において、中空コア領域および/または中空管は、標準温度で約100hPa(1mbar)以下の圧力、例えば約10hPa(0.1mbar)以下の圧力など、例えば約1hPa(0.01mbar)以下の圧力などに真空引きされる。
【0055】
一実施形態において、中空コア領域および/または中空管は、標準温度で最大200kPa(2bar)、例えば最大約150kPa(1.5bar)などの圧力に加圧される。
【0056】
外側クラッド領域は、原則として、中空管に対して十分な機械的な支持を中空コアPCFに与えるのであれば、任意の寸法にしてもよい。一実施形態において、外側クラッド領域は少なくとも約125μm、150μm、例えば少なくとも約200μmなどの外径を有する。
【0057】
一般に、中空コアPCFは、オプションで屈折率修正ドーパントが添加された、好ましくはガラス、さらに好ましくはシリカである、1つの材料から作るのが望ましい。一実施形態において、中空管のうちの1本または複数本、例えば全てをドープシリカで作り、外側クラッド領域は非ドープシリカから作る。ドーパントは、例えば、F、Ge、P、Bまたはその組み合わせなど、屈折率変更材料を含んでもよい。
【0058】
さらに、前記内側クラッド領域を取り囲むフォトニックバンドギャップ構造を備える外側クラッド領域を提供することにより、閉じ込め損失を低減できることが分かった。
フォトニックバンドギャップ構造は、任意の手段、例えば、屈折率の異なる同心円リングを備える屈折率格子を外側クラッド領域に設けることにより、および/または屈折率の異なる微細構造を含むことにより、提供してもよい。
【0059】
一実施形態において、外側クラッド領域は、屈折率Nocを有する外側背景材料と、背景材料の屈折率とは異なる屈折率を有する複数の介在物とを備える。介在物は、背景材料の屈折率よりも低い屈折率を有すると有利である。介在物は、好ましくは、コア領域に実質的に平行に延びている。介在物は、中空コアPCFの、ある長さ区間に延びても、または中空コアPCFの実質的に全長に延びてもよい。
【0060】
一実施形態において、外側背景材料内の複数の介在物は、内側クラッド領域を取り囲む介在物の少なくとも2つのリング、例えば介在物の少なくとも3つのリングなど、例えば少なくとも4つのリングなどを備える断面パターンで配置される。
【0061】
「介在物のリング」とは、コアから実質的に等しい半径方法の距離を有し、コアを取り囲むリング構成でアラインされる、外側クラッド介在物の介在物をいう。典型的には、介在物のリングは完全には円形ではなく、六角形形状など、多数の丸みのある角をもって形作られる。好ましくは、介在物のリングのすべての介在物は実質的に同じ寸法であり、好ましくは同じソリッド材料、空隙および/または気体から作られる。
【0062】
背景材料は、有利なことに、非ドープシリカまたはドープシリカなどのシリカであってもよい。ドーパントは、例えば、F、Ge、P、Bまたはその組み合わせなどの屈折率変更材料を含んでもよい。
【0063】
一実施形態において、外側背景材料内の複数の介在物は、実質的に六角形パターンで配置される。
一実施形態において、複数の介在物は空隙であるか、または空気などの気体から作られる。
【0064】
介在物の径は、有利なことに、選択された波長または波長の範囲の損失を最小化するように選択される。したがって、径は所望の伝送プロファイルに最適になるように選択することができる。
【0065】
一実施形態において、介在物は実質的に同一の径を有する。
有利なことに、複数の介在物は、最大約2.5μm、例えば最大約2μmなど、例えば約1.1μmから1.8μmの間など、例えば約1.15μmから約1.7μmの間など、例えば約1.2μmから約1.5μmの間など、例えば約1.3μmなどの平均径(dinc)を有する。
【0066】
また、各介在物間の距離が、閉じ込め損失の最適化(最小化)に関係があることが示された。一実施形態において、閉じ込め損失を最適にするために、複数の介在物は、最大約6μm、例えば最大約5μmなど、例えば最大約4μmなど、例えば約2μmから4μmの間などのピッチ(Λinc)で配置される。
【0067】
一実施形態において、介在物は、最大約3.5μm、例えば最大約3μmなど、例えば最大約2.5μmなど、例えば約1.1μmから2μmの間などのピッチ(Λinc)で配置される。
【0068】
本発明は、ユーザ装置にレーザ光を伝送するレーザシステムも備え、レーザシステムは、レーザ光源と、レーザ光源からユーザ装置に光を伝送するためのファイバ伝送ケーブルとを備え、ファイバ伝送ケーブルは、前述した中空コアPCFを備える。
【0069】
中空コアPCFを備えるファイバ伝送ケーブルは、好ましくは、最大50m、例えば約0.3mから約20mまでなど、例えば約1mから約15mまでなどの長さを有してもよい。
【0070】
有利なことに、レーザ光源はレーザ光パルスを生成するように構成されて、ファイバ伝送ケーブルに光学的に接続され、好ましくは、レーザ光源はフェムト秒レーザ光源である。
【0071】
レーザ光源は、一実施形態において、例えば中空コアPCFに溶融することによって、中空コアPCFに光を直接送るように配置してもよい。一実施形態において、レーザ光源は、1つまたは複数の光学要素を介しておよび/または自由空間を介して、中空コアPCFに光を送るように配置される。
【0072】
一実施形態において、レーザ光源は約30fsから約30psまで、例えば約100fsから約10psまでのポンプ持続時間を有する。
一実施形態において、レーザ光源は、少なくとも約5kW、例えば少なくとも約10kWなど、例えば少なくとも約30kWなど、例えば少なくとも約50kWなどの、レーザ光源の出口において決定されるピーク電力を有する。
【0073】
レーザ光源は、有利なことに、モード同期レーザ光源である。一実施形態において、レーザ光源は能動モード同期レーザである。一実施形態において、レーザ光源は受動モード同期レーザである。モード同期レーザは、好ましくは、1つまたは複数の増幅器を備える。
【0074】
一実施形態において、中空コアPCFは、約200nmから約4.5μmまでの範囲の少なくとも1つの波長、好ましくは1000nmから約1100nmまでの範囲の少なくとも1つの波長を備える光、好ましくはシングルモード光を案内するように構成される。
【0075】
一実施形態において、中空コアPCFは、好ましくは少なくとも約0.1μm、例えば少なくとも約0.3μmなど、例えば少なくとも約0.5μmなどにまたがる光の波長の連続波を誘導するように構成される。
【0076】
一実施形態において、中空コアPCFは、ユーザ装置に接続されるように構成された第1ファイバ端部と、ファイバカップリング構造体を介してレーザ光源の出力ファイバに光学的に接続される第2ファイバ端部とを有する。ファイバカップリング構造体は、好ましくは第1ファイバ端部の保護、および好ましくは第1ファイバ端部の端面の保護を提供して、端面および/または中空コアが埃、湿気または同様なもので汚染されないように確保する。安全な低損失接続を確保する他に、カップリング構造は、集光レンズなどのレンズ、グレーデッドインデックス要素、または一般に中空コアファイバのカップリング構造のために当業界で公知のものなどの他の要素を備えてもよい。
【0077】
一実施形態において、ファイバカップリング構造体は、例えば米国特許第8854728号明細書に記載されるもののような集光レンズを備える。
一実施形態において、ファイバカップリング構造体は、米国特許出願公開第2003/0068150号明細書に記載されるもののようなグレーデッドインデックス要素(GRIN)を備える。
【0078】
一実施形態において、ファイバカップリング構造体は、米国特許第7373062号明細書に記載されるもののような保護要素を備える。
好適な一実施形態において、第1ファイバ端部はフェルール構造体内に取り付けられ、好ましくは「フォトニック結晶ファイバアセンブリ(PHOTONIC CRYSTAL
FIBER ASSEMBLY)」の名称のデンマーク特許出願第201570876号明細書に記載されるフェルール構造体に対して取り付けられ、同出願は、本明細書で明示的に開示される主題と組み込まれる主題とに矛盾がある場合には、本明細書で明示的に開示される主題の内容を優先することを条件に、参照により本開示に組み込まれる。
【0079】
本明細書に開示される中空コアPCFは、有利なことに、プリフォームから線引きすることにより製造してもよく、線引きは、例えば米国特許第6954574号明細書、米国特許第8215129号明細書、米国特許第7793521号明細書、および/または「プリフォーム用のリング要素、プリフォームおよびそのプリフォームから線引きされる光ファイバ(A RING ELEMENT FOR A PREFORM,A PREFORM AND AN OPTICAL FIBER DRAWN FROM THE PREFORM)」の名称のデンマーク特許出願第201670262号明細書に記載されるように、中空管内の圧力を制御しながら行われる。
【0080】
プリフォームは、有利なことに、外側クラッド領域用の中空管および内側クラッド用の7本の中空管を提供することによって製造され、外側クラッド領域用の中空管は、7本の中空管の外径よりも、または異なる場合には、内側クラッド用の7本の中空管の最大の外径よりも、2倍大きい、例えば少なくとも3倍など、例えば少なくとも4倍など大きい内径を有する。好ましくは、外側クラッド領域は、7本の中空管が互いに接触しないように、7本の中空管を外側クラッド領域用の中空管の内部に接触して配置するのに十分に大きい内径を有する。7本の中空管を外側クラッド領域用の中空管の内部に配置するために、中空管の各端部に短い区間の支持要素(例えば、ガラス製の管またはロッド)を配置してもよい。7本の中空管を外側クラッド領域用の中空管に溶融した後、支持要素を備える溶融した中空管の端部は切り落としてもよい。
【0081】
次いで、プリフォームを、好ましくは各中空管内の圧力を個々のまたは共通の圧力制御を同時に行うことにより、ファイバ線引き塔で線引きすることができる。
一実施形態において、「細長い空孔」または単に「空孔」とも呼ばれる、プリフォームの中空管のうちの1本または複数本それぞれの圧力制御は、空孔と圧力源との間に圧力管を配置することによってもたらされる。圧力源は、中空管内の圧力を、プリフォームからファイバを線引きする間、圧力管を介して所望のレベルに制御することを確保する。
【0082】
圧力管は中空圧力管であると有利である。「管内」とは、圧力管の中空部分内をいう。
したがって、一実施形態において、方法は、圧力管の第1端部をプリフォームの第1端部でプリフォームの空孔に挿入する工程と、線引き中、圧力管を介してプリフォームの空孔を制御圧力にさらす工程とを含む。有利なことに、少なくとも、圧力管の第1端部を含む圧力管長さ区間をプリフォームの細長い空孔に挿入する。圧力管長さ区間は、好ましくは少なくとも約0.5mm、例えば約1mmから約20cmまでなど、例えば約2mmから約5cmまでなど、例えば約0.5から1cmまでなどの長さを有するべきである。
【0083】
実際上、圧力管長さ区間は、圧力管長さ区間と細長い空孔との間に封止を提供するだけの十分な長さを有することが望ましいが、圧力管長さ区間を含むプリフォームの長さ部分が、一実施形態では、ファイバに線引きされないことがあるため、または、代替実施形態では、ファイバに線引きされたとしても、得られるファイバが管長さ区間のないプリフォーム材料から線引きしたファイバとは異なる特性を有することになるため、長すぎてはいけない。
【0084】
圧力管の第1端部を空孔に挿入するだけで、ならびに、オプションで、圧力管長さ区間の外面が細長い空孔の円周面に適合するように圧力管長さ区間が膨張されるようにすることによって、ならびに/または接着剤、エポキシ、グリースおよび/もしくはゴムまたは任意の他の柔軟な封止材などの封止材を施すことによって、細長い空孔と圧力管との間に安全な気体接続が得られることが分かった。
【0085】
圧力管は、有利なことに、プリフォームの空孔に嵌まり込むように選択される外径および外周を有する。空孔の断面形状は円形または楕円形または任意の他の適切な形状でもよい。空孔を画定する表面は、細長い空孔の円周面とも呼ばれる。圧力管は、好ましくは、プリフォームの空孔の断面形状に対応する外側断面形状を有するが、平均径はプリフォームの空孔の平均径よりもやや小さくして、圧力管の第1端部を空孔に挿入できるようにする。
【0086】
一実施形態において、圧力管または少なくとも圧力管の圧力管長さ区間は、空孔の平均内径の約80%から最大100%、例えば空孔の平均径の約90%から約99%などの平均外径を有する。
【0087】
有利なことに、圧力管は、空孔の外側にある供給区間を有し、つまり、空孔から圧力源への気体接続に導く圧力管の部分を有する。
一実施形態において、圧力管の供給区間は、空孔内の圧力を制御するために、圧力源と気体接続されている供給開口を有する。
【0088】
一実施形態において、圧力管の供給区間は、圧力調整室内にある供給開口を有する。圧力調整室内の圧力を、例えば圧力源によって調整することにより、圧力管内の圧力も調整され、それによって、細長い空孔内の圧力が調整される。
【0089】
一実施形態において、圧力管の供給区間は、圧力管内の圧力を調整するために圧力源に直接接続される供給開口を有し、それによって、細長い空孔内の圧力が調整される。
圧力管は、原則として、任意の材料から作ることができる。一実施形態において、圧力管は熱成形可能な材料、例えばファイバ線引き塔で成形または線引きできる材料から作られる。有利なことに、圧力管は、オプションでポリマーコーティングを含むシリカから作られる。一実施形態において、圧力管の少なくとも供給区間は外側ポリマーコーティングを有し、オプションで、圧力管長さ区間にはポリマーコーティングがない。ポリマーコーティングは圧力管の柔軟性を高めるとともに、圧力管の破断のリスクを低減する。
【0090】
シリカ製の圧力管に、コーティングされていない圧力管長さ区間を有する圧力管長さ区間とポリマーコーティングを施した圧力管供給区間とを提供することにより、圧力管の望ましく大きい中空部分の断面径が得られるのと同時に、圧力管供給区間を望ましく柔軟にかつ耐破断性にすることができる。
【0091】
前述したように、プリフォームの数個の空孔は前述したように圧力管で圧力制御してもよい。圧力管は、同じ圧力源に接続しても、または異なる圧力源に接続してもよい。
上記説明した本発明および本発明の実施形態のすべての特徴は、範囲および好適な範囲を含め、かかる特徴を組み合わせるべきではない特別の理由がない限り、本発明の範囲内で様々な形で組み合わせることができる。
【0092】
本発明の上記および/または追加の目的、特徴および利点は、添付の図面を参照して、以下の例示的かつ非限定的な本発明の実施形態の詳細な説明からさらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【
図1】本発明の中空コアPCFの一実施形態の断面を示す図。内径d1、外径d2および壁厚tを示すために中空管の1本を拡大している。
【
図2】中空管の何本かが中空管の他のものより大きな壁厚tを有する、本発明の中空コアPCFの一実施形態の断面を示す図。
【
図3】中空管が楕円形である、本発明の中空コアPCFの一実施形態の断面を示す図。
【
図4】中空管が、中空管の中空構造内に配置されて、中空管に溶融される入れ子状の小管を備える、本発明の中空コアPCFの一実施形態の断面を示す図。
【
図5】中空管が、コア中心に面した領域に配置されるノジュールを備える、本発明の中空コアPCFの一実施形態の断面を示す図。
【
図6】中空コアPCFにシングルモード光が送られた、本発明の中空コアPCFの一実施形態の断面を示す図。
【
図7】本発明の一実施形態の中空コアPCFのいくつかの低損失伝送帯域を示すグラフ。
【
図8】本発明の一実施形態の中空コアPCFの広い低損失伝送帯域を示すグラフ。
【
図9】6本の中空管を有する先行技術の中空コアPCFのHOMの抑制を示すグラフ。
【
図10】7本の中空管を有する本発明の一実施形態の中空コアPCFのHOMの抑制を示すグラフ。
【
図11】本発明の一実施形態のレーザシステムおよびユーザ装置の略図。
【
図12】7個の細長い空孔を形成する7本の中空管を有する、本発明の中空コアPCFの一実施形態のためのプリフォームの第1端部を示す図。線引き中の空孔の圧力制御のために、各圧力管の第1端部が各空孔に挿入されている。
【
図13a】フォトニックバンドギャップ構造を備える外側クラッド領域を備える、本発明の一実施形態の中空コアPCFを示す図。
【
図13b】
図13aの実施形態の中空コアPCFの2つの変型例に関する伝送損失を示すグラフ。
【
図14】実施例1で製作されたファイバのビーム品質M
2の測定を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0094】
図面は、明確にするために模式的に簡略化している。全体を通し、同一の部品または対応する部品には同じ参照符号を使用している。
図1に示す本発明の中空コアPCFは、外側クラッド領域1と、前記外側クラッド領域に取り囲まれる7本の中空管2とを備える。中空管2はそれぞれ溶融点3で外側クラッド1に溶融されて、内側クラッド領域を画定するリングと、内側クラッド領域に取り囲まれるとともにコア径Dを有する中空コア領域4とを形成する。
【0095】
中空管は互いに接触しておらず、一般に非接触中空管と呼ばれる。中空管の拡大図に示すように、中空管2はそれぞれ平均外径d2および平均内径d1と、各中空管2の、中心に面した領域における壁厚tとを有する。外側クラッド1は内径IDおよび外径ODを有する。この実施形態では、中空管2は同一であり、断面が実質的に円形である。
【0096】
図2に示す実施形態では、中空コアPCFは、外側クラッド領域11と、前記外側クラッド領域に取り囲まれる7本の非接触中空管12a、12bとを備え、中空管12a、12bは溶融点13で外側クラッド11に溶融されて、内側クラッド領域を画定するリングと、内側クラッド領域に取り囲まれる中空コア領域14とを形成する。非接触中空管12aの3本は、残りの4本の非接触中空管12bよりも大きな壁厚tを有する。図示するように、7本の各非接触中空管12a、12bはそれぞれ厚さが均一で、それによって中空コアPCFが製造しやすくなる。
【0097】
図3に図示する実施形態では、中空コアPCFは、外側クラッド領域21と、前記外側クラッド領域に取り囲まれる7本の同一な非接触中空管22とを備え、中空管22は外側クラッド21に溶融されて、内側クラッド領域を画定するリングと、内側クラッド領域に取り囲まれる中空コア領域24とを形成する。中空管22は楕円形であり、中空管22の各々が、長い内径D
lと、長い内径D
lに対して垂直な短い内径D
sとを有し、D
lは半径方向において決定される。
【0098】
図4に図示する実施形態では、中空コアPCFは、外側クラッド領域31と、前記外側クラッド領域に取り囲まれる7本の同一な非接触中空管32とを備え、中空管32は溶融点33で外側クラッド31に溶融されて、内側クラッド領域を画定するリングと、内側クラッド領域に取り囲まれる中空コア領域34とを形成する。中空管32は、中空管の中空構造内に配置されるとともにコアの中心軸からそれぞれ最大半径距離にある溶融点33で中空管に溶融される入れ子状の小管35を備える。
【0099】
図5に図示する実施形態では、中空コアPCFは、外側クラッド領域41と、前記外側クラッド領域に取り囲まれる7本の非接触中空管42a、42bとを備え、中空管42a、42bは外側クラッド41に溶融されて、内側クラッド領域を画定するリングと、内側クラッド領域に取り囲まれる中空コア領域44とを形成する。非接触中空管12aの4本はそれぞれの壁の厚さが均一なのに対し、残り3本の非接触中空管42bは、各中空管の、コア中心に面した領域に配置されるノジュール45を備える。各非接触中空管42a、42bの外径d2は実質的に同一であるため、ノジュール45は中空コア領域の境界に配置される。
【0100】
図6に図示する実施形態では、中空コアPCFは主に
図1の中空コアPCFと同じ構造を有する。図示されていないシングルモードレーザ源が配置されて、PCFの低損失伝送帯域の波長でPCFにレーザ光を放射する。符号6で示すように、PCFで伝送されるビームは、5mまたはさらには10の後でも、ガウシアンビーム品質を有し、完全なシングルモードである。10mの伝送後、基本モードの損失は非常に小さく、例えば伝送効率は85%を超え、例えば90%を超える。
【0101】
図7のグラフは、
図1に図示する構造を有し、コアの寸法Dが約30μmでt=750nmのファイバのいくつかの低損失伝送帯域を示す。帯域には、一番長い波長の帯域から、より短い波長の帯域に昇順で番号を振っている。見て分かるように、中空コアPCFは低損失伝送の帯域を4つ有し、低損失伝送帯域のうちの3つは1.2μm未満の波長を備える。
【0102】
図8のグラフは、伝送帯域IIのD=30μmでt=750nmの、
図1の中空コアPCFの伝送損失の詳細図を示す。低損失伝送帯域は非常に広く、1.064μm付近で200~250nmの帯域幅を有することが分かる。
【0103】
6本の中空管を有する中空コアPCF(先行技術の中空コアPCF)と7本の中空管を有する中空コアPCF(本発明の一実施形態)とについて、シミュレーションを行った。シミュレーションは、1032nmにおいて、D=30μm、t=750nmで行った。
【0104】
図9および
図10は、6本の中空管を有する先行技術の中空コアPCF(
図9)と、7本の中空管を有する本発明の一実施形態の中空コアPCF(
図10)との、d/D(D=Dcore)に対するHOM消光比を示す。
【0105】
図10で分かるように、0.6から0.75の間の最適なd/D比は、Lp11状のモードおよび他のいくつかのより高次のHOMをクラッドモードに共振結合することを確実にする。
【0106】
図9では、6本の中空管の使用により、Lp11状のモードの部分的な抑制を達成できることが分かる。しかし、より高次の方位数のモードは摂動を受けないままで、HOMの全体的な消光を制限している。
【0107】
このように、7本の中空管を有する本発明の中空コアPCFは、6本の中空管を有する先行技術の中空コアPCFよりも、HOMの抑制の特性を大きく改善していることが明確に示されている。
【0108】
ミキエレット(Michieletto)らの論文、「高電力パルス伝送のための中空コアファイバ(Hollow-core fibers for high power
pulse delivery)」、オプティクスエクスプレス(Optics Express)、7103~7119頁(2016年3月号)にて、本発明の一実施形態の中空コアPCFと6本の中空管を有する中空コアPCFとのさらなる比較が開示されている。この論文の内容は、本明細書で明示的に開示される主題と組み込まれる主題とに矛盾がある場合には、本明細書で明示的に開示される主題の内容を優先することを条件に、参照により本開示に組み込まれる。
【0109】
図11に図示するレーザシステムは、レーザ光源51と、レーザ光源51からユーザ装置54に光を伝送するためのファイバ伝送ケーブル52とを備える。ファイバ伝送ケーブル52は、その導波管として、ユーザ装置に相関される1つまたは複数の低損失伝送帯域を有する前述の中空コアPCFを備える。示すように、ファイバ伝送ケーブル52はやや長くてもよいが、それでも基本モードでユーザ装置54に高効率かつ低損失でシングルモード光を伝送する。ファイバ伝送ケーブル52は第1端部53aおよび第2端部53bを有する。図示する実施形態では、第1端部53aおよび第2端部53bはそれぞれ、ユーザ装置54およびレーザ光源5にそれぞれ接続するためにフェルール構造体内に取り付けられる。
【0110】
図示していない代替実施形態では、ファイバ伝送ケーブル52の第2端部は、レーザ光源51のファイバ出力に接合される。
図12に図示するプリフォームは、本明細書で説明する中空コアファイバの一実施形態のためのプリフォームである。
【0111】
プリフォームは、プリフォーム外側クラッド領域165と、プリフォーム外側クラッド領域165に取り囲まれて溶融される非接触リングに配置される7本の中空プリフォーム管161a、161b(つまり、管は互いに接触していない)とを備える。
【0112】
図示していない圧力源にプリフォーム管のうちの3本(主中空管)の各々を接続する圧力管164を、線引き中に主中空管161aの圧力を制御するために配置する。各主中空管161aの空孔に挿入される圧力管長さ区間164aはコーティングされていないシリカであると有利であるが、圧力管164の残りの部分(圧力管供給区間と呼ばれる)は、ポリマーコートしたシリカである。副中空管161bの圧力は、有利なことに、「プリフォーム用のリング要素、プリフォームおよびそのプリフォームから線引きされる光ファイバ(A RING ELEMENT FOR A PREFORM,A PREFORM
AND AN OPTICAL FIBER DRAWN FROM THE PREFORM)」の名称のデンマーク特許出願第201670262号明細書の
図15および
図16に図示されるような圧力室で制御してもよい。
【0113】
図13aに図示する実施形態では、中空コアPCFは、外側クラッド領域171と、内側クラッド領域を形成するとともに前記外側クラッド領域171に取り囲まれる7本の非接触中空管172とを備える。中空管172は溶融点173で外側クラッド171の内側に溶融されて、内側クラッド領域と、内側クラッド領域に取り囲まれる中空コア領域174とを形成する。外側クラッド領域は、クラッド背景材料175bとは異なる屈折率を有する微細構造(介在物)175aの形態のフォトニックバンドギャップ構造を備える。
【0114】
フォトニックバンドギャップ(PBG)構造は、任意の手段、例えば屈折率の異なる同心円リングを備える屈折率格子を外側クラッド領域に設けることにより、および/または包含により提供してもよい。
【0115】
外側背景材料175bの介在物175aは、約5つのリングを備える断面パターンで配置される。
前述したように、介在物は空隙であるか、または気体から作られ、比較的小さな径を有し、所望の波長または波長の範囲の閉じ込め損失を最適化(最小化)するために短く配置するのが好ましい。
【0116】
図13bは、
図13aの実施形態の中空コアPCFの2つの変型例についての伝送損失を示し、各クラッドにPBG構造を有する中空コアPCFの2つの変型例は、それぞれ1064nm(左)および1550nm(右)の所望の中心波長付近で閉じ込め損失を低減するように最適にされている。見て分かるように、損失は非常に低い。さらに、閉じ込め損失低減のためのこのアプローチは、偏波保持反共振ファイバでも活用することができることが分かる。
【0117】
さらに、閉じ込め損失は、フォトニックバンドギャップ構造の全体的な厚さを増やすことによって、恣意的に低減されるようであることが分かった。
実施例1
図1に図示する構造を有する中空コアPCFは、スタックアンドロー製法を使用して製作した。図示する製作したファイバはコア径が約30μm、d2 約17μmで、d2/D 約0.57である。1064nmで測定したモードフィールド径は2μmである。管にはわずかな寸法の差が存在するが、それでもファイバは、極めて低い損失および曲げ損失、および優れたモード品質を示している。製作したファイバのモード品質係数は、1064nmの波長のレーザと5mのFUTを用いて、カメラベースのM
2測定システム(Spiricon M2-2OOS)でモード品質係数を測定した。標準的な8cmのスプールに巻いたファイバで、それ以上のコイルなしで測定を行った。この結果を表Iにまとめ、
図14に図示する。ファイバ出力ビームは、無視できる非点収差と不平衡を示し、M
2は1.2である。
【0118】