(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20231211BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20231211BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G09F9/30 308Z
G06F1/16 312F
G06F1/16 312G
G06F1/16 312J
(21)【出願番号】P 2022160031
(22)【出願日】2022-10-04
(62)【分割の表示】P 2020017112の分割
【原出願日】2015-05-05
【審査請求日】2022-10-31
(31)【優先権主張番号】P 2014095610
(32)【優先日】2014-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】リンドブラド ジュリアン
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-255514(JP,A)
【文献】特開2010-218102(JP,A)
【文献】特開2015-518579(JP,A)
【文献】特開2009-170173(JP,A)
【文献】特開2002-278515(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0307816(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/005583(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 - 9/46
H05B 33/00 - 33/28
H05B 44/00
H05B 45/60
H10K 50/00 - 99/00
G06F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルディスプレイと、複数の柱状体と、を有する電子装置であって、
前記複数の柱状体の各々は、隣接する1あるいは2の柱状体と機械的あるいは物理的に連結され、且つ、連結部にある軸の周りに回転可能であり、
前記フレキシブルディスプレイは、前記複数の柱状体の取る形に応じて、形を変えることができ、
前記複数の柱状体のいくつかをそれぞれの軸の周りに回転させ、前記電子装置の少なくとも一部をロールさせることで、グリップを形成することができ、
使用者が前記グリップを持つとき、前記フレキシブルディスプレイの前記グリップに対応する部分は、前記使用者の手と前記グリップを構成する柱状体との間に位置し、
前記フレキシブルディスプレイは、第1のディスプレイ領域を表示するように設定され、
前記第1のディスプレイ領域は、前記グリップが形成されたときに大きさが変更される、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示物は電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルディスプレイを有するさまざま種類の電子装置が提案されている(例えば、
特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第8,427,420号明細書
【文献】米国特許公開2014/0028597号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ディスプレイ装置に関する、あるいは、ディスプレイ装置を有する、回路、アーキテクチ
ャ、駆動方法、電子装置であって、何らかの新規なものがこの開示物で提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
具体的には、デバイス層を備えたフレキシブルディスプレイと複数の柱状体とを備えた電
子装置が提供される。しかし、これに限定されない。電子装置は、以下の特徴を有しても
よい。すなわち、個々の柱状体は、隣接する1あるいは2の柱状体と連結部において機械
的あるいは物理的に連結されていて、連結部にある軸の周りに回転可能であること、複数
の柱状体の取る形に応じて、フレキシブルディスプレイが形を変えるように設計されてい
ること、フレキシブルディスプレイは第1のディスプレイ領域を表示するように設定され
ていること、複数の連結部において、複数の柱状体のいくつかをそれぞれの軸の周りに回
転させることで、電子装置の右側と左側の少なくとも一方をロールさせ、グリップが形成
できるように設計されていること、使用者がグリップを持つとき、フレキシブルディスプ
レイのグリップに対応する部分は、使用者の手とグリップを構成する柱状体の間に位置す
るように設計されていること、第1のディスプレイ領域は、グリップが形成されたとき大
きさが変更されるように設定されていること、である。また、フレキシブルディスプレイ
は、グリップに対応する部分に第2のディスプレイ領域を表示するように設定されていて
もよい。また、電子装置は、個々の柱状体に設けられているストッパーによって隣接する
柱状体との角度が制限できるように設計されていてもよい。また、電子装置は、電子装置
の両端をロールさせたとき、第1のディスプレイ領域の第1の部分に第1の画像を、第1
のディスプレイ領域の第2の部分に、第1の画像を制御するための第2の画像を表示する
ように設定されていてもよい。また、電子装置は、2以上の柱状体を貫通して設けられる
板によって折り曲げが妨げられるよう設計されていてもよい。また、デバイス層が有機発
光ダイオード(OLED)と、OLEDを制御する回路とを有してもよい。また、フレキ
シブルディスプレイが弾性材料を有してもよい。
【発明の効果】
【0006】
使用者は電子装置の形状を、タブレット、電子書籍やハンドヘルドゲーム機というように
簡単に変えることができる。電子装置は、形状に応じて、その主ディスプレイ領域のサイ
ズを変更し、操作するためのボタンを配置または提供するように設定されている。例えば
、通常のタブレットデバイスとして使用すること(タブレットモード)に加えて、片手で
快適に電子デバイスを持ちつつ、電子デバイス上で新聞を読み、他方の手でカップを持つ
こと(電子書籍モード)、あるいは、ハンドヘルドゲーム装置のように両手で電子デバイ
スをつかむことで、より快適に安定して電子装置を握り、ゲームをおこなう(ゲームモー
ド)ということ、が1つの装置で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図16】電子装置の駆動方法を説明するための例を示す。
【
図17】電子装置の駆動方法を説明するための例を示す。
【
図18】電子装置の駆動方法を説明するための例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態を、図面を参照しながら説明する。しかしながら、実施の形態は多くの異なる
態様で実施することができる。形態および詳細を、本開示の精神および範囲から逸脱する
ことなく様々に変更し得ることは当業者には容易に理解されよう。
【0009】
タブレット状電子装置を持つ際の快適さを向上させるために、本実施の形態では、電子装
置の右側および/または左側をロールさせて、グリップ(握り部)を導入する。グリップ
は折り曲げ可能な電子装置を使用することにより得られる。この方法により、使用者は、
右側および左側の一方あるいは両方をロールさせて、シリンダー状のグリップを形成する
ことができ、通常のタブレットの使用(タブレットモード)に加えて、片手あるいは両手
で電子装置を持ちやすくなる。
【0010】
可能な使用ケースの一は、一方の手で電子装置を快適に持って、ニュースや小説を読み、
他方の手でカップを持つもの(電子書籍モード)である。このモードでは、電子装置に、
最小限の操作(例えば、ページバック、送り、中止)のための電子ボタン(ソフトウェア
ボタン)を、電子装置を持つ指の届く範囲に表示させてもよい。
【0011】
他の使用ケースは、電子装置をハンドヘルドゲーム装置に変形させること(ゲームモード
)で、電子装置でゲームをしている際により快適に安定して電子装置を握ることができる
。
【0012】
(支持体)
電子装置は折り曲げ可能なOLEDディスプレイを支持体に装着することにより作製され
る。支持体は、複数の連結した台形あるいは長方形の柱状体を有する。
図1は、上記3つ
のモードに対応する支持体100の変形を示す。
図1(A)、
図1(B)、
図1(C)は
、それぞれ、タブレットモード、電子書籍モード(左電子書籍モード)、ゲームモードで
ある。
【0013】
図1(A)、
図1(B)、
図1(C)には、柱状体101のうち、柱状体101[0]と
柱状体101[1]の位置を示す。例えば、
図1(B)のように支持体100の右側をロ
ールさせれば、右側のグリップ102Rが形成できる。また、
図1(C)のように支持体
100の左側もロールさせれば、左側のグリップ102Lが形成できる。
【0014】
図2(A)、
図2(B)、
図2(C)は、それぞれ、上方、側方、下方からタブレットモ
ードの支持体100を見た様子を示す。このように、支持体100は複数の柱状体(柱状
体101[0]乃至101[10])を有する。個々の柱状体は、台形あるいは長方形の
断面を有し、それらのいくつかはプロセッサ、メモリ、バッテリ、(ジャイロセンサや加
速度計のような)センサ、スピーカ、バイブレータ、マイク等の電子部品を有してもよい
。
【0015】
(柱状体)
個々の柱状体101は、他の一あるいは二の柱状体101と連結するための、1以上の接
続部分を有する。例えば、
図3(A)に示されるように、柱状体101[3]は2つの接
続部分、接続部分104a[3]と接続部分104b[3]を、それぞれ、側面103a
[3]と側面103b[3]に有する。なお、側面103a[3]は側面103b[3]
と対向する。同様に、柱状体101[4]は接続部分104a[4]と接続部分104b
[4]を側面103a[4]と側面103b[4]にそれぞれ有する。示されていないが
、柱状体101[3]は他方の端に同様な構造と、さらに2つの接続部分を有する。
【0016】
接続部分104aと接続部分104bは、それぞれ穴105aと穴105bを有する。2
つの柱状体101を連結するために、軸が穴105aと穴105bを通るように設けられ
てもよい。例えば、柱状体101[3]と柱状体101[4]は、穴105a[4]と穴
105b[3]が重なるようにして、接続部分104b[3]と接続部分104a[4]
により連結される。
【0017】
穴105aと穴105bの中心は、それぞれの穴により連結されている柱状体の回転軸と
なることがある。したがって、例えば、柱状体101[3]と柱状体101[4]は、穴
105a[4](穴105b[3])に形成される回転軸の周りに回転可能である。また
、他の柱状体101のそれぞれも、対応する回転軸のそれぞれの周りに回転可能であり、
それらの回転軸は互いに実質的に平行である。
【0018】
図3(A)の例では、柱状体101[3]の接続部分104a[3]と接続部分104b
[3]が、隣の柱状体101[4]の接続部分104a[4]と接続部分104b[4]
より低く、柱状体101[3]の接続部分104b[3]は、対応する柱状体101[4
]の接続部分104a[4]と機械的におよび/または物理的に連結する。
【0019】
図3(A)の例では、1つの柱状体101の接続部分104aと接続部分104b(例え
ば、柱状体101[3]の接続部分104a[3]と接続部分104b[3])は同じ高
さに設けられる。
図3(B)の例では、1つの柱状体101の接続部分104aと接続部
分104bの高さは互いに異なり、その柱状体101の接続部分104aの高さは、隣接
する柱状体101のものと同じである。接続部分104bについても同様である。
【0020】
図3(C)の例では、それぞれの柱状体101は、一端の一の側面に2以上の接続部分を
有する。
図3(A)乃至
図3(C)の例では、接続部分104aと接続部分104bは、
柱状体101の上端付近に設けられているが、柱状体101のどの場所に設けられてもよ
い。
【0021】
図4(A)は主要なサイズ、すなわち、第1の長さ”a”、第2の長さ”b”、高さ”h
”、側長”x”、半径”r”、を伴った柱状体101[3]の概略断面図を示す。上述の
とおり、柱状体101[3]は、穴105a[3]と穴105b[3]を有する。半径”
r”は穴105a[3](あるいは穴105b[3])の中心と柱状体101[3]の上
面(あるいはそれを含む面)の間の距離である。第1の長さ”a”は2つの穴、穴105
a[3]と穴105b[3]、の中心間の距離であり、高さ”h”は、穴105a[3]
(あるいは穴105b[3])の中心と柱状体101[3]の下面(あるいはそれを含む
面)との距離である。側長”x”は、”h”の二乗と”(a-b)/2”の二乗の和の平
方根に等しい。
【0022】
図4(B)は、直線状に伸びている柱状体101[3]と柱状体101[4]を示す。こ
の状態では、柱状体101[3]と柱状体101[4]の外縁長さは、左の穴105a[
3]の中心と右の穴105b[4]の中心の間の長さに相当し、”2a”である。
【0023】
図4(C)は、下方に折れている(すなわち、内側に折れている)連結された柱状体10
1[3]と柱状体101[4]を示す。最大限折れた場合、柱状体101[3]と柱状体
101[4]は、それらの下側の角でぶつかる。最大のロール角θ(単位:ラジアン)は
、”2arctan((a-b)/2h)”で与えられる。
【0024】
柱状体101が、支持体100がさらにロールするのを自然に止めるので、支持体100
のロールは限定される。さらに、そのような形状の柱状体101を使用することで、支持
体100のロールした方の最小半径も設定でき、形成されたグリップを使用者が堅く握る
ことが容易になる。グリップをより緩やかにするには、より小さな柱状体101を使用す
ればよい。
【0025】
折り曲げることによって、柱状体101[3]と柱状体101[4]の外縁長さは
図4(
C)に示すように”2a+rθ”に伸びる。このことは、柱状体101[3]と柱状体1
01[4]を折り曲げるのに、余分な長さ”rθ”が必要とされることを意味する。そし
て、”r”が小さければ、伸びも短くなる。理想的には、”r”が0であれば伸びも0で
ある。
【0026】
このように個々の柱状体101は、隣接する一あるいは二の柱状体101と機械的あるい
は物理的に連結されていて、一あるいは二の軸の周りに回転可能である。そして、柱状体
101のいくつかをそれぞれ対応する軸の周りに回転させることで、支持体100の右側
と左側の少なくとも一方をロールさせ、グリップ102Rやグリップ102Lが形成でき
るように設計されている。
【0027】
(ストッパー)
電子装置は、上方に折れないようにすべき、すなわち、電子装置は下方(あるいは内側)
にのみ折れるようにすべきであるので、柱状体101には、
図5(A)に示すように、望
ましくない変形を防止するためのストッパー106を設けることができる。
【0028】
図5(B)は、それぞれストッパー106を有する、直線状に連結している柱状体101
[3]と柱状体101[4]を示す。ストッパー106を破壊せずにそれらを上方に折り
曲げることは困難と言うより不可能である。
【0029】
図5(C)は、内側に下り曲がっている、連結した柱状体101[3]と柱状体101[
4]を示す。連結した柱状体101[3]と柱状体101[4]を
図5(B)から
図5(
C)に変形するのは容易である。
【0030】
柱状体101[3]と柱状体101[4]が折り曲がったとき、ストッパー106は、柱
状体101[3]と柱状体101[4]の外側に突き出る(
図5(C)参照)ので、スト
ッパー106は、柱状体101の上に形成されるフレキシブルディスプレイと重ならない
ように設けるとよい。
【0031】
図5(D)は他の例を示す。柱状体101[3]、柱状体101[4]、柱状体101[
5]は、それぞれ、ストッパー107[3]、ストッパー107[4]、ストッパー10
7[5]を有する。ストッパー107[3]、ストッパー107[4]は、それぞれ、柱
状体101[4]、柱状体101[5]に形成された凹部108[4]、凹部108[5
]に収納されるように設計されている。
【0032】
図5(D)において、柱状体101[4]、柱状体101[5]は伸びた状態である。使
用者が、柱状体101[5]を上方に折り曲げよう(外側に折り曲げよう)としても、ス
トッパー107[4]により、上昇しようとする凹部108[5]の下壁はブロックされ
る。
【0033】
なお、ストッパー107は、内側に折り曲げることも制限できる。
図5(D)に示すよう
に、柱状体101[3]は下方に折り曲げられている(内側に折り曲げられている)。柱
状体101[3]の右下角と柱状体101[4]の左下角にはいくらかの隙間がある。し
かしながら、ストッパー107[3]が凹部108[4]の上壁によってブロックされる
ので、さらに下に折り曲げることはできない。
【0034】
凹部108[4]の内壁は、ストッパー107[3]の先端の動き(回転)に応じて形成
される軌跡の外側となるように設計される。凹部108[4]は、実質的には柱状体10
1[3]と柱状体101[4]の間に閉ざされ、ストッパー107[3]は、実質的に凹
部108[4]の内側を動く。したがって、柱状体101を折り曲げることによって生じ
る凹凸は、
図5(D)のほうが
図5(C)より小さい。
【0035】
(固定板)
タブレットモードの期間、電子装置は、堅くまっすぐであることが必要である。電子装置
に固定板機構を導入することで、タブレットモードを強化できる。電子装置に内蔵され、
堅い材料で作製されたスライド式固定板(あるいは層、棒、物体といったもの)をこの目
的に使用してもよい。柱状体101内部にこれをスライドさせることで、柱状体101を
堅固な状態に固定し、電子装置を通常のタブレットとして使用可能とできる。
【0036】
図6は固定板の例を示す。固定板109[0]は、柱状体101[0]の凹部あるいは穴
に収納され(
図6(A))、外側にスライドする(
図6(B))ように設計されている。
【0037】
図6(C)は、内側に折り曲がっている支持体100の概略断面図を示す。固定板109
[0]は、柱状体101[0]の凹部に収納されている。さらに、他の柱状体101[1
]乃至柱状体101[5]のそれぞれにも凹部が形成されている。
【0038】
図6(D)はタブレットモードの支持体100の概略断面図を示す。固定板109[0]
は、柱状体101[5]、柱状体101[4]、柱状体101[3]等の凹部を貫通して
スライドし、支持体100を堅固に伸びた状態とする。
【0039】
図7は他の固定板の例を示す。固定板109は、それぞれの柱状体101の凹部や穴に収
納され(
図7(A))、隣接する1以上の柱状体101の凹部や穴にスライドする(
図7
(B))ように設計されている。
【0040】
図7(C)は、内側に折り曲がった支持体100の概略断面図を示す。それぞれの固定板
109は、それぞれの柱状体101の凹部に収納される。この例では、柱状体101[0
]には、固定板は備えられていないが、凹部は設けられている。
【0041】
図7(D)はタブレットモードの支持体100の概略断面図を示す。それぞれの固定板1
09は、隣の柱状体101の凹部にスライドする。例えば、
図7(C)で柱状体101[
3]の凹部に収納されていた固定板109[3]は、柱状体101[4]の凹部にスライ
ドし、柱状体101[3]と柱状体101[4]とを架橋する。
【0042】
固定板109の動きは電気的および/または機械的に制御されてもよい。例えば、固定板
109が、2つの隣接する柱状体101の間の角度を検知して動くように設計されていて
もよい。あるいは、固定板109は、柱状体101への何らかの圧力を検知して動くよう
に設計されていてもよい。
【0043】
(バネや弾性材料)
バネや弾性材料を使用することも有効である。
図8は、電子装置にバネや弾性材料を実装
する例を示す。これらを導入することにより、頼りない感触ではなくなるので電子装置に
対する感触を高め、使用者が握る際に一定の抵抗感が得られる。
【0044】
この機能を実現するには、2つの柱状体101の間にバネを配置し、それらを押し離すよ
うに(つまり、外側に向かうように)すればよい。一例では、柱状体101が、外側にロ
ールすることを防ぐストッパーとともに組み合わされていることが重要である。
【0045】
図8(A)は、柱状体101[3]、柱状体101[4]と、それらの間のバネ110の
概略図である。
図8(B)は斜視図である。この例では、バネ110の一端は柱状体10
1[3]に固定され、他端は柱状体101[4]に固定される。この例では、バネ110
の螺旋の軸は、柱状体101[3]、柱状体101[4]の回転軸と平行であるが、それ
に限定されない。
【0046】
バネの機能は、弾性材料(ゴムやシリコーン樹脂等)を電子装置に配置することでも実現
できる。例えば、弾性材料の2つの層(あるいは、棒、板、物体といったもの)が柱状体
101の回転軸を挟むように設けられる。
図8(C)は、弾性材料層112と弾性材料層
113を使用する例であり、これらによって、電子装置に力が加えられていないときには
平坦になる。弾性材料層113は柱状体101を貫通して設けることができる。
【0047】
(その他の装備)
さらに、支持体100(の一部)は、物理的なボタンとして作用するように設計されても
よい。そのような物理的なボタンは、例えば、圧力センサを柱状体101に組み込み、使
用者が電子装置を握ったときの柱状体101が受ける機械的な圧力を測定することで実現
できる。圧力センサは、例えば、ピエゾ抵抗器を使用して作製してもよい。柱状体101
は、使用者がグリップを握ったとき特徴的なバネ感覚が得られるように、(ゴムのような
)より弾性的な材料で製造されてもよい。
【0048】
さらに、使用者がリアルなプレス感が得られるように、1以上の機械的ボタンを2つの柱
状体101の間に配置してもよい。
【0049】
ストッパー、固定板、バネ等の上述した技術は、より好ましい結果をもたらすために互い
に組み合わせてもよい。
【0050】
(電子装置1)
電子装置は上述のような支持体100にフレキシブルディスプレイを装着して作製される
。
図9(A)は、電子書籍モードの電子装置114aを示す。電子装置114aは、支持
体とフレキシブルディスプレイ115を有する。上述のとおり、支持体は、互いに連結し
た柱状体101[0]乃至柱状体101[10]を有する。
【0051】
図9(B)は電子装置114aの概略断面図を示す。フレキシブルディスプレイ115は
、
図9(C)に示すように、フレキシブル層115a、デバイス層115b、フレキシブ
ル層115cを有してもよい。この例ではデバイス層115bは、フレキシブル層115
aとフレキシブル層115cの間に位置する。柱状体101とフレキシブル層115aの
間に設けられるフレキシブル層115cは、フレキシブル層115aより薄くてもよい。
さらに、マルチタッチ機能を可能とするため、静電容量式あるいは光学式のタッチセンサ
を有する層をフレキシブルディスプレイ115に設けてもよい。タッチセンサの機能はデ
バイス層115bに備えてもよい。
【0052】
図4(C)で述べたように、支持体を折り曲げるときには、回転半径”r”に比例して、
支持体の周囲の長さが伸びる。したがって、そのような伸びを供給するための機械的な構
造を追加してもよい。
【0053】
その目的のために、フレキシブルディスプレイ115は、全ての柱状体101と固定され
ない、あるいは、柱状体101[0]以外の全ての柱状体101と固定されないようにし
てもよい。例えば、フレキシブルディスプレイ115のうち、柱状体101[1]乃至柱
状体101[10]に対応する部分は、折り曲げの程度に応じて移動するように設計され
てもよい。
【0054】
(電子装置2)
図10(A)は電子書籍モードの別の電子装置114bを示す。電子装置114bは、柱
状体111[0]乃至柱状体111[10]とフレキシブルディスプレイ115を有する
。この例では、柱状体111[0]乃至柱状体111[10]は、直接には互いに連結さ
れていない。柱状体111[0]乃至柱状体111[10]はフレキシブルディスプレイ
115に接着されている。したがって、柱状体111は、フレキシブルディスプレイ11
5を介して連結されている。
【0055】
図10(B)は電子装置114bの概略断面図を示す。フレキシブルディスプレイ115
は、
図10(C)に示すようにフレキシブル層115a、デバイス層115b、フレキシ
ブル層115cを有してもよく、柱状体111は、フレキシブル層115cに間隔”W”
で接着される。間隔”W”によって、柱状体111間の曲率半径が決まることがある。電
子装置114bでは、機械的な接続が必要とされないので、半径”r”は最小化できる。
フレキシブル層115aとフレキシブル層115cの一方あるいは双方はシリコーン樹脂
やゴムのような何らかの弾性材料で作製されてもよい。
【0056】
上記で説明したストッパー、固定板、バネ等の技術のいくつかは、電子装置114bにも
適用できる。例えば、ストッパーは極端な折り曲げを制限するのには効果的であるが、形
を固定して維持するのには向かない。しかし、バネや固定板と組み合わせることで、電子
装置114bを標準形態では伸びた状態とし、適度に折り曲げる(ロールする)こともで
きる。
【0057】
(タブレットモード)
図11は、一例として、タブレットモードの電子装置114bを示す。電子装置114b
が折り曲げられないで伸びた状態であるときには、標準的なタブレットデバイスとして使
用される。タブレットモードで使用するときには、電子装置114bを十分に堅固にする
ために、固定板を使用することができる。
【0058】
タブレットモードではフレキシブルディスプレイ115のほとんどを主ディスプレイ領域
116に使用できる。具体的には、主ディスプレイ領域116の幅を”Full Wid
th”と呼び、柱状体111それぞれに対応する幅を”Unit Width”と呼ぶ。
【0059】
なお、例えば、フレキシブルディスプレイ115の柱状体111[5]に対応する部分は
、常に柱状体111[5]と重なる部分を意味するとは限らないことに注意が必要である
。
【0060】
主ディスプレイ領域116の周縁にもタッチセンサがあるが、使用者の手による不要な反
応を避けるため、不活性になるように設定されてもよい。
【0061】
(電子書籍モード)
図12は、一例として、電子書籍モードの電子装置114bを示す。特に、この状態は、
柱状体111[6]乃至柱状体111[10]が折り曲げられ、フレキシブルディスプレ
イ115の右の部分は、主ディスプレイ領域116に使用できないので、左電子書籍モー
ドと呼ばれる。折り曲げられた柱状体111[6]乃至柱状体111[10]は、グリッ
プ102Rとして電子装置114bをつかむのに使用できる。
【0062】
電子装置114bの右側あるいは左側の一方のみがロールされたとき、電子装置114b
は電子書籍モードに入ることができる。このモードでは、主ディスプレイ領域116は、
何らかの情報(例えば、文章、画像、映像等)を表示し、グリップ102Rは、その情報
を読むあいだ、電子装置を安定して快適な方法でつかむのに使用できる。
【0063】
電子書籍モードでは、フレキシブルディスプレイ115の左および中央の部分が主ディス
プレイ領域116に使用できる。したがって、主ディスプレイ領域116の幅は、タブレ
ットモードのときより小さくなる。例えば、幅は、”Full Width”から”Un
it Width”の5倍を差し引いたものとなる。タブレットモードと同様に、主ディ
スプレイ領域116の外側のタッチセンサが不活性となるように設定してもよい。
【0064】
図13に示すように、グリップ102Rを、副ディスプレイ領域117に使用して、次や
前のページボタン、終了ボタン等の非侵入型インターフェースを表示させることもできる
。この例では、副ディスプレイ領域117のタッチセンサが選択的に活性であるように設
定してもよい。
【0065】
また、上述の物理的なボタンを使用する場合には、グリップ102Rは書類のナビゲーシ
ョンに使用できる。例えば、1回握れば次のページへ進む操作を実行し、2回握れば前の
ページに戻る操作を実行するように設定されてもよい。
【0066】
(ゲームモード)
図14は、一例として、ゲームモードの電子装置114bを示す。電子装置114bの左
側と右側両方がロールされたとき、電子装置114bはゲームモードに入ることを決定す
る。このモードでは、例えば、主ディスプレイ領域116の上半分は、ビデオや対象物の
表示ウィンドウに使用され、主ディスプレイ領域116の下半分は、ゲームコントローラ
を表示するのに使用される。
【0067】
柱状体111[1]乃至柱状体111[5]と柱状体111[6]乃至柱状体111[1
0]が折り曲げられ、フレキシブルディスプレイ115の中央の部分のみが主ディスプレ
イ領域116に使用される。したがって、主ディスプレイ領域116の幅は、タブレット
モードのときよりさらに小さくなる。例えば、幅は”Full Width”から”Un
it Width”の10倍を差し引いたものとなる。折り曲げられた柱状体111[1
]乃至柱状体111[5]と柱状体111[6]乃至柱状体111[10]は、電子装置
114bをつかむための、グリップ102Lとグリップ102Rとして、それぞれ、使用
される。
【0068】
フレキシブルディスプレイ115の折り曲げられた部分にもタッチセンサが含まれるので
、電子書籍モードあるいは
図13で述べられたように、グリップ102Lとグリップ10
2Rの副ディスプレイ領域117に追加のコントローラボタンを表示させることもできる
。なお、副ディスプレイ領域117は、ロールさせた電子装置114bのグリップ102
Lとグリップ102Rの両方に設けてもよい。また、上述のように、グリップ102Lと
グリップ102Rで物理的なボタンを作動させてもよい。
【0069】
他の例では、主ディスプレイ領域116のすべてあるいはほとんどをビデオや対象物の表
示ウィンドウに使用する。このことは、主ディスプレイ領域116には、コントローラや
ボタンが表示されないことを意味する。例えば、カーレースゲームでは、ユーザーが握る
グリップ102Lとグリップ102Rがステアリングとして使用され、内蔵されたジャイ
ロセンサがステアリングの回転を認識し、グリップ102Lとグリップ102Rに設けら
れたボタンが加速、減速に使用できる。主ディスプレイ領域116には、他の表示は必要
ない。余計な入力ボタンが表示されないので、主ディスプレイ領域116のより多くの部
分がゲームを表示するのに使用できる。
【0070】
変形例を示す。例えば、柱状体111[2]乃至柱状体111[4]の連結部分のみを折
り曲げてもよい。この場合には、柱状体111[0]と柱状体111[5]乃至柱状体1
11[10]に対応するフレキシブルディスプレイ115が、変形された右電子書籍モー
ドとして、表示するのに使用できる。
【0071】
上記の例では、
図10の電子装置114bを使用して説明したが、
図9の電子装置114
aにも適用できる。
【0072】
(センサ)
このように、電子装置114a(あるいは電子装置114b)は、折り曲げ(ロール)の
程度に応じて、主ディスプレイ領域116、活性なタッチセンサ領域、副ディスプレイ領
域117を調整する必要がある。折り曲げはさまざまなセンサで検出できる。
【0073】
例えば、
図15(A)に示すように、柱状体101のそれぞれの上方のそれぞれの角に導
電性材料118aと導電性材料118bを組み込むことができる。
【0074】
柱状体101は連結されているので、一の柱状体101の導電性材料118aと隣の柱状
体101の導電性材料118bの対により、抵抗センサが形成される。例えば、
図15(
B)のように、導電性材料118b[3]と導電性材料118a[4]により、センサ1
20[3]が形成される。センサ120[3]は連結部119[3]に対応する。
【0075】
柱状体101が折り曲げられ、その角で相互に接触すると、隣接する導電性材料118a
と導電性材料118bも接触して、電流が流れる。したがって、対応する連結部119が
十分に折り曲げられていることが判断できる。
図15(C)では、対応するセンサ120
[1]乃至センサ120[5]が導電的であるので連結部119[1]乃至連結部119
[5]の全てが折り曲がっていると判断される。
【0076】
なお、抵抗センサの代わりに、圧力センサ、静電容量センサ、磁気センサ、光学センサの
ような他の方式のセンサも、折り曲げの程度や、隣接する柱状体101間の角度を検出す
ることに使用できる。
【0077】
図15(C)には示されていないが、センサ120[6]が柱状体101[0]と柱状体
101[6]の間に設けられる。センサ120[7]乃至センサ120[10]も同様に
設けられる。そして、センサ120[6]乃至センサ120[10]は、それぞれ、連結
部119[6]乃至連結部119[10]に対応する。
【0078】
(モード決定プロセス)
センサ120は、使用者がどのモードに入ろうとしているのか自動的に決定するのに使用
される。
図16はモードを決定するフローチャートの例を示す。
【0079】
最初に、連結部119[5]と連結部119[6]の双方が折り曲がっているか否かが検
証される。もし、Yesであれば、電子装置114aはゲームモードに入る。もし、No
なら、連結部119[5]が折り曲がっているか否かが検証される。もし、Yesであれ
ば、電子装置114aは右電子書籍モード(R-eBook mode)に入る。もし、
Noなら、連結部119[6]が折り曲がっているか否かが検証される。もし、Yesで
あれば、電子装置114aは左電子書籍モード(L -eBook mode)に入る。
もし、Noなら、電子装置114aはタブレットモードに入る。主ディスプレイ領域11
6は、決定されたモードに応じて大きさが設定される。
【0080】
図17は別の例を示す。
図17に示されるフローチャートは、折り曲げられた部分に応じ
て主ディスプレイ領域116を変更するのに使用できる。最初に、”L”は0、”i”は
1に設定される。そして、連結部119[i]が折り曲がっているか否か(第1の質問)
が検証される。もし、Yesなら、”L”は”i”に設定される(すなわち、最初のルー
プでは”L”は1に設定される)。さらに、第1の質問の答えに関係なく、”i”は1だ
け増加する。そして、”i”が電子装置の左側の連結部分の数より大きいか否か(第2の
質問)が検証される。電子装置114aでは、その数は5である。もし、Noなら、第1
の質問に戻る。もし、Yesなら、主ディスプレイ領域116には使用できない、使用不
可の左幅が、”L”と”Unit Width”の積として計算される。
【0081】
例えば、連結部119[1]、連結部119[3]、連結部119[4]が折り曲げられ
ている場合、
図17のフローチャートは”L”が4であり、使用不可の左幅は”Unit
Width”の4倍であると決定され、柱状体101[5]に対応する部分は主ディス
プレイ領域116に使用可能となる。一方、柱状体101[1]乃至柱状体101[4]
に対応する部分は、連結部119[2]が折り曲げられていないにも関わらず、使用され
ない。
【0082】
図17のフローチャートは主ディスプレイ領域116の左側のみを決定することができる
。右側は
図18のフローチャートによって決定できる。
図18のプロセスは
図17のもの
と同様であり、主ディスプレイ領域116には使用できない、使用不可の右幅が、同様に
計算される。
【0083】
このようにして、主ディスプレイ領域116が、”Full Width”から使用不可
の右幅と使用不可の左幅を差し引いて決定される。
【0084】
計算は決定されたモードに応じて変えてもよい。例えば、電子書籍モードでは、
図17と
図18のフローチャートから直接得られた”L”や”R”を主ディスプレイ領域116の
幅を計算するのに使用する。一方、ゲームモードでは、使用不可の右幅(あるいは使用不
可の左幅)を”L-1”(あるいは”R-1”)と”Unit Width”の積と定義
する。
【符号の説明】
【0085】
100 支持体
101 柱状体
102R グリップ
102L グリップ
103a 側面
103b 側面
104a 接続部分
104b 接続部分
105a 穴
105b 穴
106 ストッパー
107 ストッパー
108 凹部
109 固定板
110 バネ
111 柱状体
112 弾性材料層
113 弾性材料層
114a 電子装置
114b 電子装置
115 フレキシブルディスプレイ
115a フレキシブル層
115b デバイス層
115c フレキシブル層
116 主ディスプレイ領域
117 副ディスプレイ領域
118a 導電性材料
118b 導電性材料
119 連結部
120 センサ