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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】半導体素子搭載用基板
(51)【国際特許分類】
   B21D 28/16 20060101AFI20231211BHJP
   B21D 28/02 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
B21D28/16
B21D28/02 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022170595
(22)【出願日】2022-10-25
【審査請求日】2022-10-25
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504178812
【氏名又は名称】SHプレシジョン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520108017
【氏名又は名称】界霖科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100187632
【弁理士】
【氏名又は名称】橘高 英郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 治
(72)【発明者】
【氏名】野宮 秀司
(72)【発明者】
【氏名】安部 由香利
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特許第7140306(JP,B1)
【文献】特開2018-41973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 28/00 - 28/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子が搭載される基板であって、
一対の主面と、それらの間をつなぐ複数の側面と、を備える直方体として構成された金属プレス加工品からなり
記一対の主面のうち少なくともいずれか一方の面は、前記半導体素子を搭載する面として構成されており、前記主面の面積に対して、平面度が10μm以下となる平坦面積の割合が90%以上であり、
前記複数の側面のうち少なくともいずれかの面は、破断面と、第1せん断面と、第2せん断面と、を有し、
前記第2せん断面は、前記第1せん断面のせん断傷とは、長さ、ピッチ、深さのうち少なくともいずれかが異なるせん断傷を有し、
4つの側面のうち向かい合う一対の側面にのみ、前記第2せん断面が設けられている、半導体素子搭載用基板。
【請求項2】
前記一対の主面のうち、一方はバリを有する面、他方はダレを有する面であり、
前記第2せん断面は、前記ダレを有する面側に設けられている、請求項に記載の半導体素子搭載用基板。
【請求項3】
前記第2せん断面の幅は、前記側面の厚みの10%以上20%以下である、請求項に記載の半導体素子搭載用基板。
【請求項4】
前記第2せん断面が設けられていない側面においては、破断面が前記ダレを有する面側に設けられている、請求項に記載の半導体素子搭載用基板。
【請求項5】
長辺側の側面にのみ、前記第2せん断面が設けられている、請求項に記載の半導体素子搭載用基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属プレス加工品および金属プレス加工品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体用の放熱基板(ヒートシンク)や、パワーモジュール用の金属セラミック基板等には、銅やアルミニウムの金属プレス加工品が用いられている。例えば、特許文献1には、ワークの表面および裏面に溝部を形成し、バリの発生を防止するプレス加工品の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-6971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ダレを抑制し、主面の平坦面積の割合が高い金属プレス加工品を製造できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、
一対の主面と、それらの間をつなぐ複数の側面と、を備える多面体として構成された金属プレス加工品であって、
前記複数の側面のうち少なくともいずれかの面は、せん断面を有し、
前記一対の主面のうち少なくともいずれか一方の面は、前記主面の面積に対して、平面度が10μm以下となる平坦面積の割合が90%以上である、金属プレス加工品が提供される。
【0006】
本発明の他の態様によれば、
金属板の最終打ち抜き予定ラインに沿って、傾斜角が非対称に構成された非対称V溝を、少なくとも1本形成する、非対称V溝加工工程と、
前記非対称V溝が形成された面と対向する面から、前記金属板を打ち抜く、最終打ち抜き工程と、
を有する、金属プレス加工品の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ダレを抑制し、主面の平坦面積の割合が高い金属プレス加工品を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る金属プレス加工品10の斜視図である。図1(b)は、本発明の第1実施形態に係る金属プレス加工品10の長辺側の側面図である。図1(c)は、本発明の第1実施形態に係る金属プレス加工品10の短辺側の側面図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係る金属プレス加工品10の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図3図3(a)は、本発明の第1実施形態に係る第1打ち抜き工程S101を行った後の金属板50を示す平面図である。図3(b)は、本発明の第1実施形態に係る第1打ち抜き工程S101を示す、図3(a)の矢印方向から見た概略断面図である。
図4図4(a)は、本発明の第1実施形態に係る第1シェービング加工工程S102を行った後の金属板50を示す平面図である。図4(b)は、本発明の第1実施形態に係る第1シェービング加工工程S102を示す、図4(a)の矢印方向から見た概略断面図である。
図5図5(a)は、本発明の第1実施形態に係るレ溝加工工程S103を行った後の金属板50を示す平面図である。図5(b)は、本発明の第1実施形態に係るレ溝加工工程S103を示す、図5(a)の矢印方向から見た概略断面図である。図5(c)は、本発明の第1実施形態に係るレ溝60の拡大図である。
図6図6(a)は、本発明の第1実施形態に係る平打ち工程S104を行った後の金属板50を示す平面図である。図6(b)は、本発明の第1実施形態に係る平打ち工程S104を示す、図6(a)の矢印方向から見た概略断面図である。
図7図7(a)は、本発明の第1実施形態に係る第2シェービング加工工程S105を行った後の金属板50を示す平面図である。図7(b)は、本発明の第1実施形態に係る第2シェービング加工工程S105を示す、図7(a)の矢印方向から見た概略断面図である。
図8図8(a)は、本発明の第1実施形態に係る最終打ち抜き工程S106を行った後の金属板50を示す平面図である。図8(b)は、本発明の第1実施形態に係る最終打ち抜き工程S106を示す、図8(a)の矢印方向から見た概略断面図である。
図9図9(a)は、金属板を一般的なプレス加工で打ち抜いた場合の切口面を示す模式図である。図9(b)は、図9(a)のダレ面104を拡大した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の実施形態の説明]
<発明者の得た知見>
まず、発明者等が得た知見について説明する。
【0010】
図9(a)は、金属板を一般的なプレス加工で打ち抜いた場合の切口面を示す模式図である。図9(a)に示すように、切口面は、破断面101と、せん断面102とを有している。一般的に、破断面101は、凹凸が激しいのが特徴であり、せん断面102は、平滑で打ち抜き方向にせん断傷があるのが特徴である。また、破断面101側の主面は、周縁部に突起(バリ)を有する面(以下、バリ面103ともいう)となり、せん断面102側の主面は、周縁部に滑らかなR形状(ダレ)を有する面(以下、ダレ面104ともいう)となる。
【0011】
半導体等に用いられる金属プレス加工品としては、バリ面103やダレ面104が問題となる場合がある。例えば、バリ面103に半導体素子を搭載する場合、半導体素子にキズ等がつくリスクがある。また、例えば、ダレ面104を半田付けする場合、接合面積が小さくなってしまう問題がある。このうち、バリの発生を抑制する方法としては、例えば、特許文献1に記載されている製造方法がある。
【0012】
一方、本願発明者等は、ダレを抑制する方法の開発を試みた。従来、ダレを抑制する方法としては、例えば、切口面をわずかに削るシェービング加工が知られている。しかしながら、シェービング加工のみでは、ダレを充分に抑制することが難しいことがわかった。図9(b)は、ダレ面104を拡大した模式図である。図9(b)に示すように、主面(例えば、ダレ面104)全体の面積をS1とし、該主面において平面度(JIS B 0621参照)が10μm以下となる部分の面積(以下、平坦面積とよぶ)をS2とする。従来法では、ダレが大きくなってしまうため、主面の面積S1に対する平坦面積S2の割合(S2/S1)が90%以上となるような金属プレス加工品を製造することは不可能であった。また、シェービング加工は製品を抜き落とさないため、順送プレス加工に組み込み難いといった問題もある。
【0013】
本願発明者等は、上述のような事象に対して鋭意研究を行った。その結果、金属板の最終打ち抜き予定ラインに沿って、傾斜角が非対称に構成された非対称V溝(以下、レ溝ともいう)を、少なくとも1本(または一対)形成し、レ溝が形成された面と対向する面から、金属板を打ち抜くことによって、ダレを抑制し、主面の平坦面積S2の割合が高い金属プレス加工品を製造できることを見出した。本発明によれば、例えば、主面の面積S1に対して、平面度が10μm以下となる平坦面積S2の割合(S2/S1)が90%以上である、多面体の金属プレス加工品を実現することが可能である。
【0014】
[本発明の実施形態の詳細]
次に、本発明の一実施形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0015】
<本発明の第1実施形態>
(1)金属プレス加工品10の構成
まず、本実施形態の金属プレス加工品10の構成について説明する。
【0016】
本実施形態の金属プレス加工品10は、一対の主面と、それらの間をつなぐ複数の側面と、を備える多面体として構成されており、複数の側面のうち少なくともいずれかの面は、せん断面を有している。本実施形態の金属プレス加工品10は、半導体用の放熱基板(ヒートシンク)や、パワーモジュール用の金属セラミック基板等に用いることができる。金属プレス加工品10の素材となる金属材料としては、用途に応じた所定の熱伝導率および所定の電気伝導度を有する金属材料、例えば、銅またはアルミニウムを用いることができる。
【0017】
図1(a)は、本実施形態の金属プレス加工品10の斜視図である。図1(a)に示すように、本実施形態の金属プレス加工品10は、例えば、直方体形状(立方体形状を含む)であり、一方の主面は周縁部にバリを有する面(以下、バリ面20ともいう)、他方の主面は周縁部にダレを有する面(以下、ダレ面21ともいう)となっている。図1(b)は、本実施形態の金属プレス加工品10の長辺側の側面図であり、図1(c)は、本実施形態の金属プレス加工品10の短辺側の側面図である。以下、本実施形態では、長辺側の側面を第1側面30、短辺側の側面を第2側面31という。図1(b)に示すように、第1側面30は、破断面40と、第1せん断面41と、第2せん断面42とを有している。また、図1(c)に示すように、第2側面31は、破断面40と、せん断面43とを有している。なお、第1側面30において、第1せん断面41と第2せん断面42とを合わせてせん断面43ともいう。
【0018】
上述のように、本実施形態の金属プレス加工品10において、複数の側面のうち少なくともいずれかの面(本実施形態では第1側面30)は、破断面40と、第1せん断面41と、第2せん断面42とを有している。第2せん断面42は、後述するレ溝加工工程S103において形成されたレ溝60の痕跡である。レ溝60を形成することにより、本実施形態の金属プレス加工品10は、ダレ面21のダレが抑制されており、一対の主面のうち少なくともいずれか一方の面(例えば、ダレ面21)は、主面の面積S1に対して、平面度(JIS B 0621参照)が10μm以下となる平坦面積S2の割合(S2/S1)が90%以上(好ましくは95%以上)となっている。これにより、例えば、本実施形態の金属プレス加工品10をヒートシンクに用いた場合、放熱性を向上させることができる。また、半田付けの際の接合面積を大きくすることができる。さらに、切削加工品と比べて、安価に製造することが可能である。なお、平坦面積S2を測定するには、例えば、三次元測定機を用いて、主面の最表面から、10μm以内の高さ座標を有する部分の面積を平坦面積S2とすればよい。また、金属プレス加工品10において、一対の主面における割合(S2/S1)がいずれも90%以上であることがより好ましく、金属プレス加工品10を構成するすべての面(側面においては、主面の面積S1を側面の面積S1に読み替える)における割合(S2/S1)がいずれも80%以上であることがさらに好ましい。
【0019】
図1(b)に示すように、第1側面30においては、バリ面20側に破断面40が設けられており、ダレ面21側に第2せん断面42が設けられている。第1せん断面41は、破断面40と第2せん断面42との間に設けられている。第1せん断面41および第2せん断面42は、第1側面30の厚み方向に微細なせん断傷を多数有している。第2せん断面42は、第1せん断面41のせん断傷とは、長さ、ピッチ、深さのうち少なくともいずれかが異なるせん断傷を有することが好ましい。一例として、第2せん断面42のせん断傷は、第1せん断面41のせん断傷より数が少なく、ピッチが広くなっている場合がある。なお、本明細書において、せん断傷の長さ、ピッチ、深さのうち少なくともいずれかが異なることを、煩雑性を避けるために、単に、せん断傷が異なるともいう。第1せん断面41と第2せん断面42とのせん断傷が異なっていることで、例えば、両者の境界では、半田濡れ性が小さくなるため、ダレ面21を半田付けする際に、余剰な半田が流れ出すリスクを低減することができる。
【0020】
第1側面30において、第2せん断面42の幅(せん断傷方向の幅)は、第1側面30の厚みの10%以上20%以下であることが好ましい。上述のように、第2せん断面42は、レ溝60の痕跡であり、第2せん断面42の幅は、レ溝60の深さと言い換えることもできる。第2せん断面42の幅が第1側面30の厚みの10%未満では、ダレを抑制する効果が小さくなってしまう可能性がある。これに対し、第2せん断面42の幅を第1側面30の厚みの10%以上とすることで、ダレを抑制する効果を充分に得ることができる。一方、第2せん断面42の幅が第1側面30の厚みの20%を超えると、レ溝60を形成する際に、レ溝60の周囲が隆起し、平坦なダレ面21が得られ難い可能性がある。これに対し、第2せん断面42の幅を第1側面30の厚みの20%以下とすることで、レ溝60の周囲の隆起を抑制し、平坦なダレ面21を得ることができる。
【0021】
第2側面31には、第2せん断面42が設けられていないことが好ましい。つまり、金属プレス加工品10において、4つの側面のうち向かい合う一対の側面(本実施形態では第1側面30)にのみ、第2せん断面42が設けられていることが好ましい。例えば、後述するレ溝加工工程S103において、最終打ち抜き予定ライン53のすべて(例えば、ダレ面21を構成する4辺)に沿うように、格子状のレ溝60を形成した場合、金属プレス加工品10の角部にRがついてしまう可能性がある。これに対し、向かい合う一対の側面にのみ、第2せん断面42が設けられるように、レ溝60を形成することで、金属プレス加工品10の角部を直角に形成しやすくなる。これにより、金属プレス加工品10の主面の平坦面積S2の割合をより高くすることができる。
【0022】
図1(c)に示すように、第2側面31においては、バリ面20側にせん断面43が設けられており、ダレ面21側に破断面40が設けられている。つまり、第2せん断面42が設けられていない側面(本実施形態では第2側面31)においては、破断面40がダレ面21側に設けられており、第1側面30とは、破断面40とせん断面43との位置関係が逆になっていることが好ましい。破断面40は、せん断面43に比べて表面粗さが大きく、半田濡れ性が小さいため、例えば、ダレ面21を半田付けする際に、余剰な半田が流れ出すリスクを低減することができる。
【0023】
第2せん断面42は、長辺側の側面(つまり第1側面30)にのみ設けられていることが好ましい。ダレ面21において、長辺近傍は、短辺近傍に比べて、ダレの発生しやすい箇所である。長辺側の側面に第2せん断面42を設けることで、ダレを抑制する効果をより効果的に得ることができる。
【0024】
図1(c)に示すように、第2側面31のうち一部の面(例えば、ダレ面21に近い側の面)は、わずかに内側に傾斜していてもよい。第2側面31の傾斜は、レ溝60の傾斜角に起因するものであり、第2側面31が上記のように傾斜しているということは、第1側面30に、第2せん断面42が設けられていることを示している。このような傾斜を有することで、例えば、レ溝60を形成した面が半導体パッケージ等から露出する構造において、部品の脱落を抑制できるというメリットがある。
【0025】
(2)金属プレス加工品10の製造方法
次に、本実施形態の金属プレス加工品10の製造方法について説明する。
【0026】
図2は、本実施形態の金属プレス加工品10の製造方法の一例を示すフローチャートである。図2に示すように、本実施形態の金属プレス加工品10の製造方法は、例えば、第1打ち抜き工程S101と、第1シェービング加工工程S102と、レ溝加工工程S103と、平打ち工程S104と、第2シェービング加工工程S105と、最終打ち抜き工程S106と、有している。本実施形態では、金属板50に対してプレス加工を行い、直方体の金属プレス加工品10を製造する場合について説明する。金属板50としては、銅板やアルミニウム板を用いることができる。以下、金属板50の一方の主面を表面51とし、他方の主面を裏面52とする。
【0027】
(第1打ち抜き工程S101)
図3(a)は、第1打ち抜き工程S101を行った後の金属板50を示す平面図であり、図3(b)は、第1打ち抜き工程S101を示す、図3(a)の矢印方向から見た概略断面図である。図3(a)に示すように、金属板50には、金属プレス加工品10の形状に基づいた最終打ち抜き予定ライン53が設定されており。第1打ち抜き工程S101は、例えば、金属板50の表面51側から、金属板50の最終打ち抜き予定ライン53の短辺近傍を打ち抜く工程である。
【0028】
第1打ち抜き工程S101では、まず、金属板50をプレス機に送り込む。図3(b)に示すように、プレス機には、例えば、ダイ54と、パンチ55と、ストリッパー56とが設けられている。ダイ54とパンチ55との間に金属板50を送り込んだ後、パンチ55を下降させ、金属板50を打ち抜く。この際、ストリッパー56は、金属板50を抑える板押さえの役割を果たす。打ち抜かれた部分(スクラップ57)は廃棄してもよい。金属板50を打ち抜いた部分の間には、金属プレス加工品10となる部分が含まれているが、表面51側にはダレが発生する。
【0029】
図3(a)に示すように、第1打ち抜き工程S101では、金属板50の最終打ち抜き予定ライン53の短辺よりやや外側を打ち抜くことが好ましい。上述のように、第1打ち抜き工程S101を行った後は、金属板50の表面51側にダレが発生するため、第1打ち抜き工程S101では、最終打ち抜き予定ライン53の短辺よりやや外側を打ち抜くことで、後述の第1シェービング加工工程S102や第2シェービング加工工程S105において、表面51側のダレを除去することができる。
【0030】
(第1シェービング加工工程S102)
図4(a)は、第1シェービング加工工程S102を行った後の金属板50を示す平面図であり、図4(b)は、第1シェービング加工工程S102を示す、図4(a)の矢印方向から見た概略断面図である。第1シェービング加工工程S102は、例えば、金属板50の表面51側から、表面51のダレ部分を打ち抜く工程である。
【0031】
図4(b)に示すように、第1シェービング加工工程S102では、第1打ち抜き工程S101で用いたパンチ55よりも大きいパンチ55を用いて、第1打ち抜き工程S101において金属板50を打ち抜いた部分の外周近傍を打ち抜く。これにより、第1打ち抜き工程S101において発生したダレ部分を除去することができる。打ち抜かれた部分(スクラップ57)は廃棄してもよい。
【0032】
図4(a)に示すように、第1シェービング加工工程S102では、金属板50の最終打ち抜き予定ライン53の短辺よりやや外側を打ち抜くことが好ましい。第1シェービング加工工程S102のみでは、第1打ち抜き工程S101において発生したダレ部分の除去が不充分である可能性があるため、第1シェービング加工工程S102では、最終打ち抜き予定ライン53の短辺よりやや外側を打ち抜くことで、後述の第2シェービング加工工程S105において、表面51側のダレをさらに除去することができる。
【0033】
(レ溝加工工程S103)
図5(a)は、レ溝加工工程S103を行った後の金属板50を示す平面図であり、図5(b)は、レ溝加工工程S103を示す、図5(a)の矢印方向から見た概略断面図である。レ溝加工工程S103は、例えば、金属板50の最終打ち抜き予定ライン53に沿って、傾斜角が非対称に構成された非対称V溝(レ溝60)を、少なくとも1本(本実施形態では一対)形成する工程である。
【0034】
図5(b)に示すように、レ溝加工工程S103では、所定の高さにレ溝駒58を設置し、ダイ54およびレ溝駒58とストリッパー56との間に金属板50を送り込んだ後、レ溝駒58に金属板50を押し付け、金属板50の裏面52に一対のレ溝60を形成する。この際、ストリッパー56は、金属板50を抑える板押さえの役割を果たす。レ溝60の内側の面の一部は、第2せん断面42となる。
【0035】
図5(c)は、レ溝60の拡大図である。図5(c)に示すように、レ溝加工工程S103では、外側傾斜角αと内側傾斜角βと有するレ溝60を形成する。外側傾斜角αは、内側傾斜角βよりも大きいことが好ましい。また、外側傾斜角αと内側傾斜角βとの和(α+β)が、例えば、45度以上70度以下であることが好ましい。(α+β)が45度未満では、ダレを抑制する効果が小さくなってしまう可能性がある。これに対し、(α+β)を45度以上とすることで、ダレを抑制する効果を充分に得ることができる。一方、(α+β)が70度を超えると、レ溝60の周囲が隆起し、平坦なダレ面21が得られ難い可能性がある。これに対し、(α+β)を70度以下とすることで、レ溝60の周囲の隆起を抑制し、平坦なダレ面21を得ることができる。外側傾斜角αおよび内側傾斜角βを上記範囲に制御したレ溝60を形成することで、後述の最終打ち抜き工程S106において、裏面52側のダレを抑制しつつ、金属プレス加工品10を打ち抜きやすくすることができる。
【0036】
レ溝60の深さは、金属板50の厚みの10%以上20%以下であることが好ましい。レ溝60の深さが金属板50の厚みの10%未満では、ダレを抑制する効果が小さくなってしまう可能性がある。これに対し、レ溝60の深さを金属板50の厚みの10%以上とすることで、ダレを抑制する効果を充分に得ることができる。一方、レ溝60の深さが金属板50の厚みの20%を超えると、レ溝60を形成する際に、レ溝60の周囲が隆起し、平坦なダレ面21が得られ難い可能性がある。これに対し、レ溝60の深さを金属板50の厚みの20%以下とすることで、レ溝60の周囲の隆起を抑制し、平坦なダレ面21を得ることができる。
【0037】
レ溝加工工程S103では、金属板50の最終打ち抜き予定ライン53の長辺に沿って、一対のレ溝60を形成することが好ましい。これにより、ダレを抑制する効果をより効果的に得ることができる。
【0038】
(平打ち工程S104)
図6(a)は、平打ち工程S104を行った後の金属板50を示す平面図であり、図6(b)は、平打ち工程S104を示す、図6(a)の矢印方向から見た概略断面図である。平打ち工程S104は、例えば、レ溝60が形成された面(裏面52)を平坦にする工程である。裏面52において、レ溝60の周辺が隆起している可能性がある。平打ち工程S104を行うことで、金属プレス加工品10の主面の平坦面積S2をより大きくすることができる。
【0039】
図6(b)に示すように、平打ち工程S104では、所定の高さに平駒59を設置し、ダイ54および平駒59とストリッパー56との間に金属板50を送り込んだ後、平駒59を金属板50に押し付け、金属板50の裏面52に圧力を加える。この際、ストリッパー56は、金属板50を抑える板押さえの役割を果たす。
【0040】
(第2シェービング加工工程S105)
図7(a)は、第2シェービング加工工程S105を行った後の金属板50を示す平面図であり、図7(b)は、第2シェービング加工工程S105を示す、図7(a)の矢印方向から見た概略断面図である。第2シェービング加工工程S105は、例えば、金属板50の表面51側から、表面51のダレ部分を打ち抜く工程である。
【0041】
図7(b)に示すように、第2シェービング加工工程S105では、第1シェービング加工工程S102で用いたパンチ55よりも大きいパンチ55を用いて、第1シェービング加工工程S102において金属板50を打ち抜いた部分の外周近傍を打ち抜く。これにより、第1打ち抜き工程S101において発生したダレ部分、または、平打ち工程S104において裏面52を平坦にした際に発生する余肉部を除去することができる。打ち抜かれた部分(スクラップ57)は廃棄してもよい。
【0042】
図7(a)に示すように、第2シェービング加工工程S105では、金属板50の最終打ち抜き予定ライン53の短辺に沿って打ち抜くことが好ましい。第1シェービング加工工程S102と、第2シェービング加工工程S105とを行い、複数回に分けて表面51のダレ部分を除去することで、金属プレス加工品10の主面の平坦面積S2の割合をより高くすることができる。第2シェービング加工工程S105において、最終打ち抜き予定ライン53の短辺に沿って打ち抜いた切口面は、第2側面31となり、表面51側にはせん断面43が、裏面52側には破断面40が形成される。
【0043】
(最終打ち抜き工程S106)
図8(a)は、最終打ち抜き工程S106を行った後の金属板50を示す平面図であり、図8(b)は、最終打ち抜き工程S106を示す、図8(a)の矢印方向から見た概略断面図である。最終打ち抜き工程S106は、例えば、レ溝60が形成された面と対向する面(表面51)から、金属板50を打ち抜く工程である。
【0044】
図8(b)に示すように、最終打ち抜き工程S106では、ダイ54とストリッパー56との間に金属板50を送り込んだ後、パンチ55を下降させ、金属板50を打ち抜く。この際、ストリッパー56は、金属板50を抑える板押さえの役割を果たす。打ち抜かれた部分は、金属プレス加工品10となる。この際、裏面52にレ溝60が形成されているため、裏面52側のダレを抑制することができる。最終打ち抜き工程S106において、最終打ち抜き予定ライン53の長辺に沿って打ち抜いた切口面は、第1側面30となり、表面51側には破断面40が、裏面52側には第2せん断面42が、破断面40と第2せん断面42との間には第1せん断面41が形成される。また、表面51はバリ面20となり、裏面52はダレ面21となる。
【0045】
金属板50の裏面52には、最終打ち抜き予定ライン53に沿ってレ溝60が形成されているため、最終打ち抜き工程S106では、裏面52がダイ54に接触することなく、金属プレス加工品10を打ち抜くことができる。これにより、裏面52(ダレ面21)を平坦な状態に保ったまま、金属プレス加工品10を打ち抜くことが可能となる。
【0046】
以上の工程により、主面の面積S1に対して、平面度が10μm以下となる平坦面積S2の割合(S2/S1)が90%以上(好ましくは95%以上)となっている、金属プレス加工品10を製造することができる。本実施形態の金属プレス加工品10の製造方法は、プレス加工によって主面の平坦面積S2の割合が高い金属プレス加工品10を実現できるため、切削加工等と比べて、安価に製造することが可能である。また、最終打ち抜き工程S106において、最終的に金属プレス加工品10を金型から抜き落として製造工程を終えることができるため、大量生産に適した順送プレス加工に組み込むことが容易である。
【0047】
(3)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0048】
(a)本実施形態の金属プレス加工品10において、一対の主面のうち少なくともいずれか一方の面は、主面の面積S1に対して、平面度が10μm以下となる平坦面積S2の割合(S2/S1)が90%以上(好ましくは95%以上)となっている。例えば、本実施形態の金属プレス加工品10をヒートシンクに用いた場合、放熱性を向上させることができる。また、半田付けの際の接合面積を大きくすることができる。さらに、切削加工品と比べて、安価に製造することが可能である。
【0049】
(b)本実施形態の金属プレス加工品10において、複数の側面のうち少なくともいずれかの面は、破断面40と、第1せん断面41と、第2せん断面42と、を有し、第2せん断面42は、第1せん断面41のせん断傷とは、長さ、ピッチ、深さのうち少なくともいずれかが異なるせん断傷を有する。第2せん断面42は、レ溝加工工程S103において形成されたレ溝60の痕跡である。レ溝60を形成することにより、本実施形態の金属プレス加工品10は、ダレ面21のダレを抑制することができる。また、第1せん断面41と第2せん断面42とのせん断傷が異なっていることで、例えば、両者の境界では、半田濡れ性が小さくなるため、ダレ面21を半田付けする際に、余剰な半田が流れ出すリスクを低減することができる。
【0050】
(c)本実施形態の金属プレス加工品10において、第2せん断面42はダレ面21側に設けられている。これにより、ダレ面21を半田付けする際に、余剰な半田が流れ出すリスクを低減することができる。
【0051】
(d)本実施形態の金属プレス加工品10において、第2せん断面42の幅は、第1側面30の厚みの10%以上20%以下であることが好ましい。第2せん断面42の幅が第1側面30の厚みの10%未満では、ダレを抑制する効果が小さくなってしまう可能性がある。これに対し、第2せん断面42の幅を第1側面30の厚みの10%以上とすることで、ダレを抑制する効果を充分に得ることができる。一方、第2せん断面42の幅が第1側面30の厚みの20%を超えると、レ溝60を形成する際に、レ溝60の周囲が隆起し、平坦なダレ面21が得られ難い可能性がある。これに対し、第2せん断面42の幅を第1側面30の厚みの20%以下とすることで、レ溝60の周囲の隆起を抑制し、平坦なダレ面21を得ることができる。
【0052】
(e)本実施形態の金属プレス加工品10において、4つの側面のうち向かい合う一対の側面(本実施形態では第1側面30)にのみ、第2せん断面42が設けられていることが好ましい。例えば、レ溝加工工程S103において、最終打ち抜き予定ライン53のすべて(例えば、ダレ面21を構成する4辺)に沿うように、格子状のレ溝60を形成した場合、金属プレス加工品10の角部にRがついてしまう可能性がある。これに対し、向かい合う一対の側面にのみ、第2せん断面42が設けられるように、レ溝60を形成することで、金属プレス加工品10の角部を直角に形成しやすくなる。これにより、金属プレス加工品10の主面の平坦面積S2の割合をより高くすることができる。
【0053】
(f)本実施形態の金属プレス加工品10において、第2せん断面42が設けられていない側面(本実施形態では第2側面31)では、破断面40がダレ面21側に設けられており、第1側面30とは、破断面40とせん断面43との位置関係が逆になっていることが好ましい。破断面40は、せん断面43に比べて表面粗さが大きく、半田濡れ性が小さいため、例えば、ダレ面21を半田付けする際に、余剰な半田が流れ出すリスクを低減することができる。
【0054】
(g)本実施形態の金属プレス加工品10において、第2せん断面42は、長辺側の側面(つまり第1側面30)にのみ設けられていることが好ましい。ダレ面21において、長辺近傍は、短辺近傍に比べて、ダレの発生しやすい箇所である。長辺側の側面に第2せん断面42を設けることで、ダレを抑制する効果をより効果的に得ることができる。
【0055】
(h)本実施形態の金属プレス加工品10の製造方法では、プレス加工によって主面の平坦面積S2の割合が高い金属プレス加工品10を実現できるため、切削加工等と比べて、安価に製造することが可能である。また、最終打ち抜き工程S106において、最終的に金属プレス加工品10を金型から抜き落として製造工程を終えることができるため、大量生産に適した順送プレス加工に組み込むことが容易である。
【0056】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0057】
例えば、上述の実施形態では、第1打ち抜き工程S101において、金属板50の表面51側から、金属板50の最終打ち抜き予定ライン53の短辺近傍を打ち抜く場合について説明したが、第1打ち抜き工程S101は上述の実施形態に限定されない。例えば、金属板50の裏面52側から、金属板50を打ち抜いてもよいし、金属板50の最終打ち抜き予定ライン53の長辺近傍を打ち抜いてもよい。
【0058】
例えば、上述の実施形態では、第1シェービング加工工程S102において、金属板50の表面51側から、表面51のダレ部分を打ち抜く場合について説明したが、第1シェービング加工工程S102は上述の実施形態に限定されない。例えば、金属板50の裏面52側から、ダレ部分を打ち抜いてもよい。
【0059】
例えば、上述の実施形態では、第1シェービング加工工程S102および第2シェービング加工工程S105において、2回に分けて表面51のダレ部分を除去する場合について説明したが、シェービング加工の態様は、上述の実施形態に限定されない。例えば、シェービング加工を1度のみ行ってもよいし、3回以上のシェービング加工を行ってもよい。
【0060】
例えば、上述の実施形態では、レ溝加工工程S103において、金属板50の最終打ち抜き予定ライン53の長辺に沿って、金属板50の裏面52に一対のレ溝60を形成する場合について説明したが、レ溝加工工程S103は、上述の実施形態に限定されない。例えば、金属板50の最終打ち抜き予定ライン53の短辺に沿って、一対のレ溝60を形成してもよいし、金属板50の表面51にレ溝60を形成してもよい。最終打ち抜き予定ライン53の長辺または短辺のどちらに沿って、一対のレ溝60を形成するかは、金属板50の圧延方向に応じて決定してもよい。
【0061】
その他、上述の実施形態で説明した各工程のうち、レ溝加工工程S103および最終打ち抜き工程S106以外のいずれかの工程を省略しても構わない。また、必要に応じて、上述の実施形態で説明した各工程以外の工程(例えば、バリ面20のバリを除去する工程、金属プレス加工品10のいずれかの面に対して表面処理を行う工程等)を行ってもよい。
【0062】
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様を付記する。
【0063】
(付記1)
本発明の一態様によれば、
一対の主面と、それらの間をつなぐ複数の側面と、を備える多面体として構成された金属プレス加工品であって、
前記複数の側面のうち少なくともいずれかの面は、せん断面を有し、
前記一対の主面のうち少なくともいずれか一方の面は、前記主面の面積に対して、平面度が10μm以下となる平坦面積の割合が90%以上である、金属プレス加工品が提供される。
【0064】
(付記2)
付記1に記載の金属プレス加工品であって、
前記複数の側面のうち少なくともいずれかの面は、破断面と、第1せん断面と、第2せん断面と、を有し、
前記第2せん断面は、前記第1せん断面のせん断傷とは、長さ、ピッチ、深さのうち少なくともいずれかが異なるせん断傷を有する。
【0065】
(付記3)
付記2に記載の金属プレス加工品であって、
前記一対の主面のうち、一方はバリを有する面、他方はダレを有する面であり、
前記第2せん断面は、前記ダレを有する面側に設けられている。
【0066】
(付記4)
付記2または付記3に記載の金属プレス加工品であって、
前記第2せん断面の幅は、前記側面の厚みの10%以上20%以下である。
【0067】
(付記5)
付記2から付記4のいずれか1つに記載の金属プレス加工品であって、
前記多面体は直方体であり、
4つの側面のうち向かい合う一対の側面にのみ、前記第2せん断面が設けられている。
【0068】
(付記6)
付記5に記載の金属プレス加工品であって、
前記第2せん断面が設けられていない側面においては、破断面が前記ダレを有する面側に設けられている。
【0069】
(付記7)
付記5または付記6に記載の金属プレス加工品であって、
長辺側の側面にのみ、前記第2せん断面が設けられている。
【0070】
(付記8)
本発明の他の態様によれば、
金属板の最終打ち抜き予定ラインに沿って、傾斜角が非対称に構成された非対称V溝を、少なくとも1本形成する、非対称V溝加工工程と、
前記非対称V溝が形成された面と対向する面から、前記金属板を打ち抜く、最終打ち抜き工程と、
を有する、金属プレス加工品の製造方法が提供される。
【0071】
(付記9)
付記8に記載の金属プレス加工品の製造方法であって、
前記金属板の一方の面から、前記一方の面のダレ部分を打ち抜く、シェービング加工工程をさらに有する。
【0072】
(付記10)
付記8または付記9に記載の金属プレス加工品の製造方法であって、
前記非対称V溝加工工程では、深さが、前記金属板の厚みの10%以上20%以下である前記非対称V溝を形成する。
【0073】
(付記11)
付記8から付記10のいずれか1つに記載の金属プレス加工品の製造方法であって、
前記非対称V溝加工工程では、外側傾斜角αが内側傾斜角βよりも大きく、かつ、前記外側傾斜角αと前記内側傾斜角βとの和(α+β)が45度以上70度以下である前記非対称V溝を形成する。
【0074】
(付記12)
付記8から付記11のいずれか1つに記載の金属プレス加工品の製造方法であって、
前記非対称V溝加工工程では、前記最終打ち抜き予定ラインの長辺に沿って、前記非対称V溝を形成する。
【符号の説明】
【0075】
10 金属プレス加工品
20 バリ面
21 ダレ面
30 第1側面
31 第2側面
40 破断面
41 第1せん断面
42 第2せん断面
43 せん断面
50 金属板
51 表面
52 裏面
53 最終打ち抜き予定ライン
54 ダイ
55 パンチ
56 ストリッパー
57 スクラップ
58 レ溝駒
59 平駒
60 レ溝
101 破断面
102 せん断面
103 バリ面
104 ダレ面
S101 第1打ち抜き工程
S102 第1シェービング加工工程
S103 レ溝加工工程
S104 平打ち工程
S105 第2シェービング加工工程
S106 最終打ち抜き工程
【要約】
【課題】ダレを抑制し、主面の平坦面積の割合が高い金属プレス加工品を製造できる技術を提供する。
【解決手段】一対の主面と、それらの間をつなぐ複数の側面と、を備える多面体として構成された金属プレス加工品であって、複数の側面のうち少なくともいずれかの面は、せん断面を有し、一対の主面のうち少なくともいずれか一方の面は、主面の面積に対して、平面度が10μm以下となる平坦面積の割合が90%以上である、金属プレス加工品。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9