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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】多剤式毛髪処理剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/362 20060101AFI20231211BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20231211BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20231211BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20231211BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20231211BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20231211BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20231211BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20231211BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
A61K8/362
A61K8/34
A61K8/36
A61K8/365
A61K8/41
A61K8/46
A61Q5/00
A61Q5/02
A61Q5/12
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022187469
(22)【出願日】2022-11-24
(62)【分割の表示】P 2018092526の分割
【原出願日】2018-05-11
(65)【公開番号】P2023010976
(43)【公開日】2023-01-20
【審査請求日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】P 2017097869
(32)【優先日】2017-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 梓
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 春菜
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 忍
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-282613(JP,A)
【文献】特開2010-065022(JP,A)
【文献】特開2015-120660(JP,A)
【文献】特開平06-298625(JP,A)
【文献】特開平08-198732(JP,A)
【文献】特開2001-031531(JP,A)
【文献】特開2016-185938(JP,A)
【文献】特開2016-190806(JP,A)
【文献】特開2017-019759(JP,A)
【文献】特開2017-025004(JP,A)
【文献】Shampoo & Conditioner Mini Set, Kao, 2009年4月, Mintel GNPD [online],[検索日 2023.07.26], インターネット<URL:http://www.gnpd.com>, ID:1088681
【文献】Haircare Range, Kao, 2005年12月, Mintel GNPD [online],[検索日 2023.07.26], インターネット<URL:http://www.gnpd.com>, ID:422899
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)及び成分(B)を含有し、水で20倍に希釈したときの25℃におけるpHが2.0以上5.5以下である第一の組成物、並びに
成分(A)、成分(C)及び成分(G)を含有し、水で20倍に希釈したときの25℃におけるpHが6.0以上7.0以下である第二の組成物
を備え、第二の組成物において成分(C)に対する成分(H)の質量比(H)/(C)が0.6未満である、多剤式毛髪処理剤。
成分(A):無機性値が230以上450以下でかつ有機性値が50以上250以下であるコハク酸、リンゴ酸、フェニル乳酸、又はこれらの塩
成分(B):アニオン性界面活性剤
成分(C):分子量が300以下の芳香族スルホン酸又はその塩
成分(G):ベンジルアルコール0.5質量%以上5.0質量%以下
成分(H):カチオン性界面活性剤
【請求項2】
第一の組成物中における成分(A)の含有量が、0.1質量%以上5質量%以下である請求項1に記載の多剤式毛髪処理剤。
【請求項3】
第二の組成物中における成分(G)に対する成分(C)の質量比(C)/(G)が、0.5以上5.5以下である請求項1又は2に記載の多剤式毛髪処理剤。
【請求項4】
第二の組成物中における成分(C)の含有量が、0.1質量%以上15質量%以下である請求項1~3のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【請求項5】
第二の組成物中におけるカチオン性界面活性剤の含有量が、6.0質量%未満である請求項1~4のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【請求項6】
第一の組成物中における成分(C)の含有量が、3質量%未満である請求項1~5のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【請求項7】
以下の工程(i)~(ii)を含む毛髪処理方法。
工程(i):成分(A)及び成分(B)を含有し、水で20倍に希釈したときの25℃におけるpHが2.0以上5.5以下である第一の組成物を毛髪に適用してすすぎ流す工程
工程(ii):工程(i)の後、成分(A)、成分(C)及び成分(G)を含有し、水で20倍に希釈したときの25℃におけるpHが6.0以上7.0以下、成分(C)に対する成分(H)の質量比(H)/(C)が0.6未満である第二の組成物を毛髪に適用する工程
成分(A):無機性値が230以上450以下でかつ有機性値が50以上250以下であるコハク酸、リンゴ酸、フェニル乳酸、又はこれらの塩
成分(B):アニオン性界面活性剤
成分(C):分子量が300以下の芳香族スルホン酸又はその塩
成分(G):ベンジルアルコール0.5質量%以上5.0質量%以下
成分(H):カチオン性界面活性剤
【請求項8】
工程(ii)の後、毛髪上の第二の組成物をすすぎ流す工程を含み、その後毛髪に更に他の組成物を適用する工程を含まない請求項7に記載の毛髪処理方法。
【請求項9】
工程(ii)の後、更に工程(iii)を含む、請求項7に記載の毛髪処理方法。
工程(iii):カチオン性界面活性剤と高級アルコールを含む第三の組成物を毛髪に適用する工程
【請求項10】
工程(ii)の後、工程(iii)の前に、毛髪上の第二の組成物をすすぎ流す工程を含む、請求項9に記載の毛髪処理方法。
【請求項11】
工程(ii)の後、工程(iii)の前に、毛髪上の第二の組成物をすすぎ流さない請求項9に記載の毛髪処理方法。
【請求項12】
工程(iii)の後、毛髪上の第三の組成物をすすぎ流す工程を含む請求項9~11のいずれか1項に記載の毛髪処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多剤式毛髪処理剤及び毛髪処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
髪に関する悩みには、くせやうねりが直せない、まとまらない、望ましいヘアスタイルに仕上げることができないといったものが多い。これらの悩みを解決するためには、ヘアスタイリング剤(ワックス、ミスト、フォーム等)等の使用、つまり、毛髪内部の水素結合を切断・再結合させたり、毛髪同士を接着させたりすることが一般的である。しかし、この操作は煩雑である上に、形付けしやすくするという点からは十分なものではなかった。また、毛髪表面への処理剤の塗布に伴い、滑らかさ等の感触が悪化する点からも、効果的ではなかった。このため、簡便な方法で毛髪の形付け性を高め、髪にまとまりと滑らかさを同時に与える方法が種々検討されている。
【0003】
特許文献1には、毛髪の寝癖を防止しながらスタイルを付けやすくし、そのスタイルを持続させる技術として、グリシルグリシンと特定のカルボン酸、或いは更に特定の芳香族スルホン酸を含む毛髪処理用組成物について記載されている。
【0004】
特許文献2には、ケラチン繊維にハリ・コシを与えつつ形付けができ、その形状を長時間に渡り持続的に保持する技術として、特定の芳香族化合物を含む処理剤Aと多価の金属塩を含む処理剤Bの二剤からなるケラチン繊維処理剤について記載されている。
【0005】
特許文献3には、毛髪に塗布するのみで優れたセット性及びくし通り性を付与する技術として、芳香族スルホン酸、オキシ酸、シリコーン誘導体、特定の有機溶剤を含む毛髪処理剤組成物について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-65022号公報
【文献】特開平6-305942号公報
【文献】特開平6-298625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1~3に記載の技術での毛髪に対する形付け性は、毛髪を水で濡れた状態で形付けし、乾燥後の形付けの持続性を観察することで評価されている。このことから、これらの技術における形付け性は、毛髪が水で濡れた状態から乾燥する際に起こる毛髪内部の水素結合の切断・再結合、すなわち、いわゆるウォーターセットによるものといえる。したがって、特許文献1~3に記載の技術は、毛髪処理剤によって処理した後、「乾燥後」の毛髪に対する形付け性を向上させるものではなかった。特に特許文献1に記載の技術は、寝癖がつきにくくする効果も有することから、乾燥後の毛髪に対する形付け性を下げる技術ということもできる。
【0008】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、濡れ髪を乾燥させたときのまとまり性だけでなく、乾燥後の毛髪に対する形付け性をも高め、更に毛髪に滑らかさも付与できる多剤式毛髪処理剤及び毛髪処理方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、特定のカルボン酸とアニオン性界面活性剤を含有する第一の組成物と、特定の芳香族スルホン酸を含有し、この芳香族スルホン酸に対するカチオン性界面活性剤の比率が一定値以下に制限された第二の組成物を備えた多剤式毛髪処理剤の構成とし、この第一の組成物、第二の組成物によって順次毛髪処理することによって、前記要求が達成されることを見いだした。
【0010】
本発明は、成分(A)及び成分(B)を含有する第一の組成物、並びに成分(C)を含有する第二の組成物を備え、第二の組成物において成分(C)に対する成分(H)の質量比(H)/(C)が1未満である、多剤式毛髪処理剤を提供するものである。
成分(A):無機性値が230以上450以下でかつ有機性値が50以上250以下であるカルボン酸、又は当該カルボン酸の塩
成分(B):アニオン性界面活性剤
成分(C):分子量が300以下の芳香族スルホン酸又はその塩
成分(H):カチオン性界面活性剤
【0011】
また本発明は、以下の工程(i)~(ii)を含む毛髪処理方法を提供するものである。
工程(i):成分(A)及び成分(B)を含有する第一の組成物を毛髪に適用してすすぎ流す工程
工程(ii):工程(i)の後、成分(C)を含有し、成分(C)に対する成分(H)の質量比(H)/(C)が1未満である第二の組成物を毛髪に適用する工程
【発明の効果】
【0012】
本発明の多剤式毛髪処理剤及び毛髪処理方法によれば、濡れ髪を乾燥させたときのまとまり性だけでなく、乾燥後の毛髪に対する形付け性をも高め、更に毛髪に滑らかさを付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】

本発明の第一の組成物及び第二の組成物を備えた多剤式毛髪処理剤は、更に第三の組成物と共に使用することができる。本発明の第一の組成物及び第二の組成物、必要に応じて第三の組成物を備えた多剤式毛髪処理剤は、使用前に混合することなく、第一の組成物、次いで第二の組成物、必要に応じてその後に第三の組成物の順で、毛髪に塗布することで用いるための処理剤である。
【0014】
〔第一の組成物〕
第一の組成物は、成分(A)として無機性値が230以上450以下でかつ有機性値が50以上250以下のカルボン酸又はその塩、及び成分(B)としてアニオン性界面活性剤を含有する組成物である。
【0015】
<成分(A):無機性値及び有機性値が特定範囲内であるカルボン酸、又は当該カルボン酸の塩>
成分(A)は、無機性値が230以上450以下でかつ有機性値が50以上250以下のカルボン酸、又は当該カルボン酸の塩である。なお、成分(A)における無機性値及び有機性値とは、カルボン酸についての無機性値及び有機性値をいう。すなわち、カルボン酸塩の場合には、その遊離酸についての無機性値及び有機性値を意味する。乾燥後の毛束のまとまりを良好にする観点、及び乾燥後の毛髪に対する形付け性を良好にする観点から、無機性値は、好ましくは240以上、より好ましくは250以上、更に好ましくは260以上、更に好ましくは265以上、更に好ましくは270以上、更に好ましくは280以上、更に好ましくは290以上であり、かつ、好ましくは420以下、より好ましくは400以下、更に好ましくは390以下、更に好ましくは380以下である。その無機性値の組合せは、好ましくは240以上420以下、より好ましくは250以上420以下、更に好ましくは260以上420以下、更に好ましくは270以上420以下、更に好ましくは270以上400以下、更に好ましくは280以上380以下である。また、同様の観点から、有機性値は、好ましくは60以上、より好ましくは70以上、更に好ましくは80以上であり、かつ、好ましくは200以下、より好ましくは180以下、更に好ましくは160以下、更に好ましくは150以下、更に好ましくは120以下である。その有機性値の組合せは、好ましくは60以上200以下、より好ましくは60以上160以下、更に好ましくは70以上150以下である。
【0016】
なお、無機性値、有機性値は、有機概念図に基づく考え方であり、「有機概念図による乳化処方設計」(矢守;フレグランスジャーナル, 1989(4), P29~38)に基づき、算出した値を用いる。
【0017】
このようなカルボン酸としては、以下の一般式(1)で表されるカルボン酸、リンゴ酸、コハク酸及び乳酸から選ばれるカルボン酸が挙げられる。
【0018】
【化1】
【0019】
〔式中、R1は水素原子、酸素原子又は水酸基を示し、破線はR1が酸素原子である場合に二重結合となることを示し、nは0以上3以下の整数を示す。また、フェニル基及びメチレン鎖の一部が水酸基で置換されていてもよい。〕
【0020】
一般式(1)で表されるカルボン酸としては、マンデル酸、フェニル乳酸等が挙げられる。これらのカルボン酸の具体的な無機性値及び有機性値を示せば、マンデル酸(265、160)、フェニル乳酸(265、180)、リンゴ酸(400、80)、コハク酸(300、80)、乳酸(250、60)である。なお、カッコ内の数値はそれぞれ無機性値及び有機性値を示す。
【0021】
成分(A)としては、乾燥後の毛束のまとまりを良好にする観点から、コハク酸、リンゴ酸、乳酸、マンデル酸及びこれらの塩が好ましい。なかでも、乾燥後の毛束のまとまり、乾燥毛の応力緩和率、乾燥毛に応力をかけたときの形付け性を良好にする観点からは、コハク酸、リンゴ酸及びこれらの塩がより好ましく、コハク酸及びその塩が更に好ましい。
【0022】
以上のカルボン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩、有機四級アンモニウム塩、アルギニン塩等が挙げられる。
【0023】
これらのカルボン酸又はその塩は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。第一の組成物中における成分(A)の含有量は、乾燥後の毛束のまとまり、乾燥毛の応力緩和率、乾燥毛に応力をかけたときの形付け性を良好にする観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下、更に好ましくは2.5質量%以下である。
【0024】
<成分(B):アニオン性界面活性剤>
成分(B)のアニオン性界面活性剤としては、硫酸系、スルホン酸系、カルボン酸系のものが好ましく、例えばアルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸アルキルエステル塩、スルホコハク酸アルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルカンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸又はその塩等が挙げられる。中でもポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩が好ましく、更には次の一般式(2)又は(3)で表されるものが好ましい。
2O(CH2CH2O)mSO3M (2)
2OSO3M (3)
〔式中、R2は炭素数10~18のアルキル基又はアルケニル基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムを示し、mは重量平均で1~30の数を示す。〕
【0025】
この中でも、速い泡立ちと良好な泡の感触を両立する観点から、一般式(2)中のR2が炭素数12~14のアルキル基、mが重量平均で1~10、Mがアンモニウム又はナトリウムであるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が好ましい。
【0026】
成分(B)のアニオン性界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、第一の組成物中における成分(B)の含有量は、毛髪の洗浄のしやすさ、洗浄力の高さの観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
【0027】
<成分(D):カチオン性ポリマー>
第一の組成物は、毛髪の洗浄時のきしみを低減し、乾燥後の毛束の滑らかさを良好にする観点から、更に成分(D)としてカチオン性ポリマーを含有することが好ましい。
【0028】
カチオン性ポリマーとしては、天然又は半合成のカチオン性多糖類、ポリマー鎖の側鎖にアミノ基若しくはアンモニウム基を含むか、又はジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含む合成系ポリマー等が挙げられる。
【0029】
カチオン性多糖類の具体例としては、カチオン化セルロース(例えば、ライオン社:レオガードG、同GP,ダウケミカル社:ユーケア ポリマーJR-125、同JR-400、同JR-30M、同LR-400、同LR-30M,アクゾノーベル社:セルコートH-100、同L-200,花王社:ポイズC-60H、ポイズC-80M、ポイズC-150L)、カチオン化グアーガム(例えば、ソルベイ社:ジャガーC-13S、同C-17,DSP五協フード&ケミカル社:ラボールガムCG-M、同CG-M7、同CG-M8M)、カチオン化タラガム(例えば、東邦化学工業社:カチナールCTR-100、同CTR-200)、カチオン化ローカストビーンガム(例えば、東邦化学工業社:カチナールCLB-100)、カチオン化フェヌグリークガム(例えば、東邦化学工業社:カチナールCF-100)、ヒドロキシプロピルキトサン(例えば、一丸ファルコス社:キトフィルマーHV-10)、キトサン・dl-ピロリドンカルボン酸塩(例えば、ユニオン・カーバイド社:カイトマーPC)等が挙げられる。
【0030】
ポリマー鎖の側鎖にアミノ基又はアンモニウム基を含む合成系カチオン性ポリマーとしては、トリアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、トリアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、ビニルアミン等を構成単位として含む合成系カチオン性ポリマーが挙げられ、具体例としては、メタクリロイルオキシエチレントリモニウムクロリドの重合体(INCI名:ポリクオタニウム-37、例えばBASF社:コスメディア ウルトラジェル300、SALCARE SC95、Sigma 3V社:synthalen CR)、(アクリル酸/アクリル酸メチル/3-メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)コポリマー(INCI名:ポリクオタニウム-47、例えばルーブリゾール社:マーコート2201)、(アクリル酸/アクリルアミド/メチルメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)コポリマー(INCI名:ポリクオタニウム-53、例えばルーブリゾール社:マーコート2003)、(ジメチルアクリルアミド/メタクリル酸エチルトリモニウムクロリド)コポリマー(例えば、BASF社:Tinobis CD)、(ビニルアミン/ビニルアルコール)コポリマー(例えば、積水スペシャリティケミカル社:SEVOL ULTALUX AD、三菱化学社:Diafix C-601)等が挙げられる。
【0031】
ジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含む合成系カチオン性ポリマーの具体例としては、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドの重合体(INCI名:ポリクオタニウム-6、例えばルーブリゾール社:マーコート100)、(ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリルアミド)コポリマー(INCIポリクオタニウム-7、例えばルーブリゾール社:マーコート550、同740)、(アクリル酸/ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)コポリマー(INCI名:ポリクオタニウム-22、例えばルーブリゾール社:マーコート280、同295)、(アクリルアミド/アクリル酸/ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)コポリマー(INCI名:ポリクオタニウム-39、例えばルーブリゾール社:マーコートプラス3330、同3331)等が挙げられる。
【0032】
これらのうち、天然又は半合成のカチオン性多糖類が好ましく、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガムが更に好ましい。成分(D)のカチオン性ポリマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。第一の組成物中における成分(D)の含有量は、乾燥後の毛束の滑らかさを良好にする観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.10質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
【0033】
<成分(E):非イオン性界面活性剤>
第一の組成物は、更に成分(E)として非イオン界面活性剤を含有することが好ましい。非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、高級脂肪酸ショ糖エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸モノ又はジエタノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、アルキルサッカライド、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド、アルキルグリセリルエーテル、アルケニルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0034】
これらのうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、アルキルグリセリルエーテル、アルケニルグリセリルエーテルが好ましい。成分(E)の非イオン性界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。第一の組成物中における成分(E)の含有量は、洗浄力の高さ、良好な増泡効果が得られる観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上であり、また、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
【0035】
<成分(F):両イオン性界面活性剤>
第一の組成物には、更に成分(F)として両イオン性界面活性剤を含有させることが好ましい。両イオン性界面活性剤としては、炭素数8~24のアルキル基、アルケニル基又はアシル基を有するカルボベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系、アミドスルホベタイン系、ホスホベタイン系、イミダゾリニウム系の界面活性剤が挙げられ、なかでもアミドベタイン系界面活性剤、ヒドロキシスルホベタイン系界面活性剤が好ましい。好ましい両イオン性界面活性剤としては、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
【0036】
成分(F)の両イオン性界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。第一の組成物中における成分(F)の含有量は、洗浄力の高さ、良好な増泡効果が得られる観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上であり、また、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
【0037】
<成分(C):芳香族スルホン酸又はその塩>
第一の組成物には、乾燥後の毛束のまとまり、乾燥毛の応力緩和率、乾燥毛に応力をかけたときの形付け性、乾燥後の毛束の滑らかさを良好にする観点から、後述する第二の組成物に含まれる有効成分である成分(C)を含まないこと、すなわち成分(C)の含有量が0質量%であることが好ましい。また、成分(C)を含む場合であっても、第一の組成物中における成分(C)の含有量は、好ましくは3質量%未満、より好ましくは1質量%未満である。
【0038】
第一の組成物は、水を媒体とするが、更に、水以外の媒体として、エタノール等の低級アルコールを併用することもできる。
【0039】
第一の組成物は、毛髪洗浄剤組成物、毛髪コンディショニング組成物、毛髪トリートメント組成物として用いることができ、その中でも毛髪洗浄剤組成物として用いることが好ましい。また、第一の組成物の剤型は、液状、乳液状、ジェル状、クリーム状、泡状等いずれの形態をとることもできる。
【0040】
<pH>
第一の組成物のpHは、乾燥後の毛束のまとまり、乾燥毛の応力緩和率、乾燥毛に応力をかけたときの形付け性を良好にする観点から、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上、更に好ましくは3.0以上であり、また、好ましくは7.0以下、より好ましくは5.5以下、更に好ましくは4.5以下である。なお、pHは水で20倍に希釈したときの25℃における値であり、東亜ディーケーケー社製HM-30R型を用いて、ガラス電極測定法により測定した。
【0041】
〔第二の組成物〕
第二の組成物は、成分(C)として分子量300以下の芳香族スルホン酸又はその塩を含有し、成分(C)に対する成分(H)カチオン性界面活性剤の質量比(H)/(C)が1未満である毛髪処理剤である。
【0042】
<成分(C):分子量300以下の芳香族スルホン酸又はその塩>
成分(C)の分子量が300以下の芳香族スルホン酸又はその塩としては、例えばナフタレンスルホン酸類、アズレンスルホン酸類、ベンゾフェノンスルホン酸類、ベンゼンスルホン酸類等が挙げられる。
【0043】
ナフタレンスルホン酸類としては、例えば下記一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
【0044】
【化2】
【0045】
〔式中、A1~A8のうち1以上はスルホ基又はその塩を示し、残余は水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、カルボキシ基、低級アルコキシカルボニル基、アルキル基、アルケニル基、低級アルコキシ基、ホルミル基、アシル基、置換基を有していてもよいフェニルアゾ基又は-N(R')(R'')(R'及びR''は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、フェニル基、ベンジル基又はアシル基)を示す。〕
【0046】
このナフタレンスルホン酸類の具体例としては、1-又は2-ナフタレンスルホン酸(α-又はβ-ナフタレンスルホン酸)、2,7-ナフタレンジスルホン酸、1,5-ナフタレンジスルホン酸、2,6-ナフタレンジスルホン酸、1-ナフトール-2-スルホン酸、1-ナフトール-4-スルホン酸、2-ナフトール-6-スルホン酸、2-ナフトール-7-スルホン酸、2,3-ジヒドロキシナフタレン-6-スルホン酸、1,7-ジヒドロキシナフタレン-3-スルホン酸、S酸(1-アミノ-8-ナフトール-4-スルホン酸)、ガンマ酸(2-アミノ-8-ナフトール-6-スルホン酸)、J酸(2-アミノ-5-ナフトール-7-スルホン酸)、1-アミノ-2-ナフトール-4-スルホン酸、1-ナフチルアミン-4-スルホン酸、ブロエナーズ酸(2-ナフチルアミン-6-スルホン酸)、クレーブズ酸(1-ナフチルアミン-7-スルホン酸)、2-ナフチルアミン-1-スルホン酸、1-ナフチルアミン-6-スルホン酸、1-ナフチルアミン-8-スルホン酸、2,7-ジアミノ-1-ナフトール-3-スルホン酸、7,8-ジアミノ-1-ナフトール-3-スルホン酸、分子量300以下のナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物、6-メチル-2-ナフタレンスルホン酸、4-エチル-1-ナフタレンスルホン酸、5-イソプロピル-1-ナフタレンスルホン酸、5-ブチル-2-ナフタレンスルホン酸及びそれらの塩等が挙げられる。
【0047】
アズレンスルホン酸類の具体例としては、例えばグアイアズレンスルホン酸、1-アズレンスルホン酸、3-アセチル-7-イソプロピル-1-アズレンスルホン酸、3-(2-ヒドロキシエチル)-7-イソプロピル-1-アズレンスルホン酸、3-メチル-7-イソプロピル-1-アズレンスルホン酸、7-イソプロピル-1-アズレンスルホン酸、1,4-ジメチル-7-イソプロピル-2-アズレンスルホン酸、4-エトキシ-3-エチル-6-イソプロピル-1-アズレンスルホン酸、1,3-アズレンジスルホン酸、1,3-ビス(1,1-ジメチルエチル)-5-アズレンスルホン酸、3-ホルミル-4,6,8-トリメチル-1-アズレンスルホン酸及びそれらの塩等が挙げられる。
【0048】
ベンゾフェノンスルホン酸類としては、例えば下記一般式(5)で表される化合物が挙げられる。
【0049】
【化3】
【0050】
〔式中、A11~A20のうち1以上はスルホ基又はその塩を示し、残余は水素原子、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルコキシ基又はアシル基を示す。〕
【0051】
このベンゾフェノンスルホン酸類の具体例としては、オキシベンゼンスルホン酸、o-クロロベンゾフェノンスルホン酸、p-クロロベンゾフェノンスルホン酸、2-ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸、4-ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸、2-アミノベンゾフェノンスルホン酸、4-アミノベンゾフェノンスルホン酸、2-メチルベンゾフェノンスルホン酸、4-メトキシベンゾフェノンスルホン酸、4,4'-ジメチルベンゾフェノンスルホン酸、4,4'-ジメトキシベンゾフェノンスルホン酸、及びそれらの塩等が挙げられる。
【0052】
ベンゼンスルホン酸類としては、例えば下記一般式(6)で表される化合物が挙げられる。
【0053】
【化4】
【0054】
〔式中、A21~A26のうち1以上はスルホ基又はその塩を示し、残余は水素原子、低級アルキル基を示す。〕
【0055】
ベンゼンスルホン酸類の具体例としては、ベンゼンスルホン酸、o-トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホン酸及びそれらの塩等が挙げられる。
【0056】
以上の芳香族スルホン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩、有機四級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0057】
成分(C)の芳香族スルホン酸又はその塩としては、乾燥後の毛束のまとまり、乾燥毛の応力緩和率、乾燥毛に応力をかけたときの形付け性を良くする観点から、一般式(4)で表されるナフタレンスルホン酸類、一般式(5)で表されるベンゾフェノンスルホン酸類、一般式(6)で表されるベンゼンスルホン酸類が好ましく、更には2-ナフタレンスルホン酸(β-ナフタレンスルホン酸)、1-ナフタレンスルホン酸(α-ナフタレンスルホン酸)、p-トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸(オキシベンゾン-5)及びそれらの塩がより好ましい。なかでも、上記観点から、p-トルエンスルホン酸、1-又は2-ナフタレンスルホン酸(α-又はβ-ナフタレンスルホン酸)又はその塩が更に好ましい。
【0058】
これらの芳香族スルホン酸又はその塩は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。第二の組成物中における成分(C)の含有量は、乾燥後の毛束のまとまり、乾燥毛の応力緩和率、乾燥毛に応力をかけたときの形付け性、乾燥後の毛束の滑らかさを良好にする観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上、更に好ましくは2.0質量%以上、更に好ましくは2.5質量%以上であり、また、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下、更に好ましくは4質量%以下である。
【0059】
<成分(H):カチオン性界面活性剤>
第二の組成物は、成分(H)としてカチオン性界面活性剤を含有してもよいが、含有しないことが好ましく、成分(H)を含む場合であっても、第二の組成物中における成分(C)に対する成分(H)の質量比(H)/(C)は1未満とし、好ましくは0.8未満、より好ましくは0.6未満、更に好ましくは0.4未満、更に好ましくは0.2未満であり、更に好ましくは0である。これは、成分(H)が成分(C)の芳香族スルホン酸と会合体を形成して成分(C)の毛髪内部への浸透を阻害することを回避して、乾燥後の毛束のまとまり、乾燥毛の応力緩和率、乾燥毛に応力をかけたときの形付け性を良好にする観点による。このような成分(H)のカチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩、並びに第3級アミン及びその塩が挙げられる。より具体的には、特開2017-19748号公報に記載のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
【0060】
また、第二の組成物中における成分(H)の含有量は、上記の観点から、好ましくは6.0質量%未満、より好ましくは5.0質量%未満、更に好ましくは4.0質量%未満、更に好ましくは3.0質量%未満、更に好ましくは2.0質量%未満、更に好ましくは1.0質量%未満、更に好ましくは0.5質量%未満、更に好ましくは0質量%である。
【0061】
<成分(A):無機性値及び有機性値が特定範囲内であるカルボン酸、又は当該カルボン酸の塩>
第二の組成物は、乾燥後の毛束のまとまり、乾燥毛の応力緩和率、乾燥毛に応力をかけたときの形付け性、乾燥後の毛束の滑らかさを良好にする観点から、更に成分(A)として、無機性値が230以上450以下でかつ有機性値が50以上250以下のカルボン酸、又は当該カルボン酸の塩を含有することが好ましい。このようなカルボン酸又はその塩としては、前述の第一の組成物と同様のものを使用することができ、なかでも、前記の観点から、コハク酸、リンゴ酸、乳酸、マンデル酸及びこれらの塩が好ましく、乾燥後の毛束のまとまり、乾燥毛の応力緩和率、乾燥毛に応力をかけたときの形付け性を良好にする観点から、コハク酸、リンゴ酸及びこれらの塩がより好ましく、コハク酸及びその塩が更に好ましい。
【0062】
これらのカルボン酸又はその塩は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。第二の組成物中における成分(A)の含有量は、乾燥後の毛束のまとまり、乾燥毛の応力緩和率、乾燥毛に応力をかけたときの形付け性を良好にする観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4.0質量%以下、更に好ましくは3.5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
【0063】
<成分(E):非イオン性界面活性剤>
第二の組成物は、更に成分(E)として非イオン界面活性剤を含有することができる。非イオン界面活性剤としては、前述の第一の組成物と同様のものを使用することができ、なかでも、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルが好ましい。
【0064】
成分(E)の非イオン性界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。第二の組成物中における成分(E)の含有量は、毛髪に組成物を均一に塗布しやすくする観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.10質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。
【0065】
<成分(G):芳香族アルコール>
第二の組成物は、乾燥後の毛束のまとまりを良くする観点から、更に成分(G)として芳香族アルコールを含有することが好ましい。このような芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、フェネチルアルコール、p-アニシルアルコール、p-メチルベンジルアルコール、フェノキシエタノール、2-ベンジルオキシエタノール等が挙げられる。これらのうち、第二の組成物中の成分(C)を毛髪内部へ十分に浸透させ、乾燥後の毛束のまとまりを良くする観点から、ベンジルアルコールが好ましい。
【0066】
これらの芳香族アルコールは、いずれかを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。第二の組成物中における成分(G)の含有量は、乾燥後の毛束のまとまり、乾燥毛の応力緩和率、乾燥毛に応力をかけたときの形付け性を良好にする観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下、更に好ましくは4.0質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下である。
【0067】
第二の組成物において、成分(G)に対する成分(C)の質量比(C)/(G)は、乾燥後の毛束のまとまり及び滑らかさを良好にする観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.6以上、更に好ましくは0.8以上、更に好ましくは1.0以上、更に好ましくは1.1以上、更に好ましくは1.2以上であり、また、好ましくは5.5以下、より好ましくは4.5以下、更に好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.5以下、更に好ましくは3.2以下、更に好ましくは3.0以下である。
【0068】
<成分(B):アニオン性界面活性剤>
第二の組成物には、乾燥後の毛束のまとまり及び滑らかさを良好にする観点から、第一の組成物に含まれる成分(B)のアニオン性界面活性剤を含まないこと、すなわち成分(B)の含有量が0質量%であることが好ましい。また、成分(B)を含む場合であっても、第二の組成物中における成分(B)の含有量は、好ましくは1質量%未満、より好ましくは0.5質量%未満である。
【0069】
第二の組成物は、水を媒体とするが、更に、水以外の媒体として、エタノール等の低級アルコールを併用することもできる。
【0070】
第二の組成物は、毛髪コンディショニング組成物、毛髪トリートメント組成物として用いることが好ましい。また、第二の組成物の剤型は、液状、乳液状、ジェル状、クリーム状、泡状等いずれの形態をとることもできる。
【0071】
<pH>
第二の組成物のpHは、乾燥後の毛束のまとまり、乾燥毛の応力緩和率、乾燥毛に応力をかけたときの形付け性を良好にする観点から、好ましくは3.0以上、より好ましくは4.0以上、更に好ましくは5.0以上であり、また、好ましくは10.0以下、より好ましくは7.0以下、更に好ましくは6.5以下である。なお、pHは水で20倍に希釈したときの25℃における値であり、東亜ディーケーケー社製HM-30R型を用いて、ガラス電極測定法により測定した。
【0072】
<第三の組成物>
本発明の多剤式毛髪処理剤は、乾燥後の毛束のまとまり、乾燥毛の応力緩和率、乾燥後の毛束の滑らかさを良好にする観点から、前述の第一及び第二の組成物に加え、更に、成分(H)としてカチオン性界面活性剤、及び成分(I)として高級アルコールを含有する第三の組成物を備えることが好ましい。
【0073】
<成分(H):カチオン性界面活性剤>
成分(H)のカチオン性界面活性剤としては、上述の第二の組成物における成分(H)と同様に、第4級アンモニウム塩、並びに第3級アミン及びその塩が挙げられる。より具体的には、特開2017-19748号公報に記載のカチオン性界面活性剤を用いることができる。
【0074】
成分(H)のカチオン性界面活性剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。第三の組成物中における成分(H)の含有量は、すすぎ時の毛髪を柔らかくし、乾燥後の毛束をなめらかにする観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2.0質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは6質量%以下、更に好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3.5質量%以下である。
【0075】
<成分(I):高級アルコール>
成分(I)の高級アルコールとしては、下記一般式(12)で表されるものを用いることができる。
【0076】
20-OH (12)
〔式中、R20は炭素数12以上24以下の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示す。〕
【0077】
成分(I)としては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられ、なかでも、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ベヘニルアルコールが好ましい。
【0078】
成分(I)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。第三の組成物中における成分(I)の含有量は、乾燥後の毛束のまとまりを良好にし、乾燥後の毛髪のベタつきを抑制する観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下、更に好ましくは9質量%以下である。
【0079】
<成分(G):芳香族アルコール>
第三の組成物は、乾燥後の毛束のまとまりを良くする観点から、更に成分(G)として芳香族アルコールを含有することができる。芳香族アルコールとしては、第二の組成物で挙げたものと同様のものを用いることができ、なかでも、乾燥後の毛束のまとまりを良くし、乾燥後の毛髪にハリ・コシを与える観点から、ベンジルアルコールが好ましい。
【0080】
これらの芳香族アルコールは、いずれかを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。第三の組成物中における成分(G)の含有量は、乾燥後の毛束のまとまりを良くし、乾燥後の毛髪にハリ・コシを与える観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.10質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
【0081】
<成分(A):無機性値及び有機性値が特定範囲内であるカルボン酸、又は当該カルボン酸の塩>
第三の組成物は、乾燥後の毛束のまとまり、乾燥毛の応力緩和率、乾燥毛に応力をかけたときの形付け性、乾燥後の毛束の滑らかさを良好にする観点から、更に成分(A)として、無機性値が230以上450以下でかつ有機性値が50以上250以下のカルボン酸、又は当該カルボン酸の塩を含有することが好ましい。このようなカルボン酸又はその塩としては、前述の第一の組成物及び第二の組成物と同様のものを使用することができる。
【0082】
これらのカルボン酸又はその塩は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。第三の組成物中における成分(A)の含有量は、乾燥後の毛束のまとまり、乾燥毛の応力緩和率、乾燥毛に応力をかけたときの形付け性を良好にする観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4.0質量%以下、更に好ましくは3.5質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下、更に好ましくは2.5質量%以下である。
【0083】
第三の組成物は、水を媒体とするが、更に、水以外の媒体として、エタノール等の低級アルコールを併用することもできる。
【0084】
第三の組成物は、毛髪コンディショニング組成物、毛髪トリートメント組成物として用いることが好ましい。また、第三の組成物の剤型は、液状、乳液状、ジェル状、クリーム状、泡状等いずれの形態をとることもできる。
【0085】
<pH>
第三の組成物のpHは、乾燥後の毛束のまとまりを良好にする観点から、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上、更に好ましくは3.0以上であり、また、好ましくは10.0以下、より好ましくは8.0以下、更に好ましくは6.0以下である。なお、pHは水で20倍に希釈したときの25℃における値であり、東亜ディーケーケー社製HM-30R型を用いて、ガラス電極測定法により測定した。
【0086】
〔毛髪処理方法〕
本発明の毛髪処理方法は、以下の工程(i)~(ii)を含む。
工程(i):成分(A)及び成分(B)を含有する第一の組成物を毛髪に適用してすすぎ流す工程
工程(ii):工程(i)の後、成分(C)を含有し、成分(C)に対する成分(H)の質量比(H)/(C)が1未満である第二の組成物を毛髪に適用する工程
【0087】
<工程(i):毛髪に第一の組成物を適用してすすぎ流す工程>
工程(i)において、第一の組成物は乾燥した毛髪、濡れた毛髪のどちらに対して適用してもよいが、処理中の指通り、乾燥後の毛束のまとまりを良好にする観点から、濡れた毛髪に適用するのが好ましい。
【0088】
工程(i)において毛髪に適用する第一の組成物の量は、毛髪の乾燥質量に対する浴比(第一の組成物の質量/毛髪の乾燥質量)で、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.07以上、更に好ましくは0.09以上であり、かつ、好ましくは0.20以下、より好ましくは0.17以下、更に好ましくは0.15以下である。
【0089】
第一の組成物を毛髪に適用後、頭髪全体になじませるには、毛髪に組成物を揉み込む、毛髪に手ぐしを通す等の手を用いる方法によればよい。
【0090】
<工程(ii)毛髪に第二の組成物を適用する工程>
工程(i)の後、工程(ii)の前に、毛髪をタオルドライしてもしなくてもよい。
【0091】
工程(ii)において毛髪に適用する第二の組成物の量は、毛髪の乾燥質量に対する浴比(第二の組成物の質量/毛髪の乾燥質量)で、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.07以上、更に好ましくは0.09以上であり、かつ、好ましくは0.20以下、より好ましくは0.17以下、更に好ましくは0.15以下である。
【0092】
第二の組成物を毛髪に適用後、頭髪全体になじませるには、毛髪に組成物を揉み込む、毛髪に手ぐしを通す等の手を用いる方法によればよい。
【0093】
工程(ii)の後、後述の工程(iii)など、毛髪に更に他の組成物を適用する工程を行わない場合において、毛髪上の第二の組成物をすすぎ流してもすすぎ流さなくてもよいが、処理後の毛髪の手触りの軽さ、絡まりにくさを良好にする観点から、すすぎ流すことが好ましい。この場合、第二の組成物中の成分(C)を毛髪内部へ十分に浸透させ、乾燥後の毛束のまとまり、乾燥毛の応力緩和率、乾燥毛に応力をかけたときの形付け性、乾燥後の毛束のなめらかさを良好にする観点から、工程(ii)の後、毛髪上の第二の組成物をすすぎ流す前に、第二の組成物を適用した毛髪を15~60℃で1~30分、簡便に処理する観点からは1~10分、放置する工程を含むことが好ましい。
【0094】
<工程(iii):毛髪に第三の組成物を適用する工程>
工程(iii)は、工程(ii)の後、乾燥後の毛束の滑らかさを向上させる観点から、任意的に、カチオン性界面活性剤と高級アルコールを含む第三の組成物を毛髪に適用する工程である。
【0095】
工程(iii)を行う場合、工程(iii)の前に毛髪上の第二の組成物をすすぎ流してもすすぎ流さなくてもよいが、第二の組成物中の成分(C)を毛髪内部へ十分に浸透させ、乾燥後の毛束のまとまり、乾燥毛の応力緩和率、乾燥毛に応力をかけたときの形付け性、乾燥後の毛束のなめらかさを良好にする観点から、すすぎ流さないことが好ましい。
【0096】
工程(iii)の前に毛髪上の第二の組成物をすすぎ流す場合には、乾燥後の毛束のまとまり、乾燥毛の応力緩和率、乾燥毛に応力をかけたときの形付け性を良好にする観点から、工程(ii)の後、毛髪上の第二の組成物をすすぎ流す前に、第二の組成物を適用した毛髪を15~60℃で1~30分、簡便に処理する観点からは1~10分、放置する工程を含むことが好ましい。
【0097】
工程(iii)において毛髪に適用する第三の組成物の量は、毛髪の乾燥質量に対する浴比(第三の組成物の質量/毛髪の乾燥質量)で、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.07以上、更に好ましくは0.09以上であり、かつ、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.17以下、更に好ましくは0.15以下である。
【0098】
第三の組成物を毛髪に適用後、頭髪全体になじませるには、毛髪に組成物を揉み込む、毛髪に手ぐしを通す等の手を用いる方法によればよい。
【0099】
工程(iii)の後に、毛髪上の第三の組成物、又は毛髪上の第二の組成物及び第三の組成物をすすぎ流してもすすぎ流さなくてもよいが、処理後の毛髪の手触りの軽さを良好にし、乾燥後の毛髪のべたつきを抑制する観点から、すすぎ流すことが好ましい。
【0100】
すすぎ流す場合、乾燥後の毛束のまとまり、乾燥毛の応力緩和率、乾燥毛に応力をかけたときの形付け性を良好にする観点から、工程(iii)とすすぎ流す工程の間に、第三の組成物を適用した毛髪を15~60℃で1~30分、簡便に処理する観点からは3~10分、放置する工程を含むことが好ましい。
【0101】
工程(ii)又は(iii)における毛髪上の組成物をすすぎ流す工程の後、毛髪を乾燥させても乾燥させなくてもどちらでもよいが、毛髪のダメージを防ぐ観点から、乾燥させることが好ましい。毛髪の乾燥は、タオルドライ、自然乾燥のほか、ドライヤー等の加熱乾燥等により行うことができる。
【0102】
乾燥後の毛束のまとまり、乾燥毛の応力緩和率、乾燥毛に応力をかけたときの形付け性を良好にする観点から、乾燥工程中及び乾燥工程後に、毛髪を手やくし、ブラシ等の道具を用いて整えることが好ましい。毛髪に形付けをしたい場合、乾燥工程中及び乾燥工程後に、ヘアアイロン、電気ロッド、カーラー、ホットカーラー等を用いることが好ましい。乾燥後に好ましくない形がついてしまった場合でも、再度形付けを行うことできれいにセットすることができる。
【0103】
このように、本発明では、濡れ髪を乾燥させた場合のまとまり性だけでなく、乾燥後の毛髪に対する形付け性も優れており、更に毛髪に滑らかさも付与することができる。
【0104】
以上述べた実施形態に関し、以下に本発明の好ましい態様を更に開示する。
【0105】
<1>
成分(A)及び成分(B)を含有する第一の組成物、並びに成分(C)を含有する第二の組成物を備え、第二の組成物において成分(C)に対する成分(H)の質量比(H)/(C)が1未満である、多剤式毛髪処理剤。
成分(A):無機性値が230以上450以下でかつ有機性値が50以上250以下であるカルボン酸、又は当該カルボン酸の塩
成分(B):アニオン性界面活性剤
成分(C):分子量が300以下の芳香族スルホン酸又はその塩
成分(H):カチオン性界面活性剤
【0106】
<2>
成分(A)の無機性値が265以上400以下であり、かつ、成分(A)の有機性値が60以上180以下である<1>に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0107】
<3>
成分(A)が、コハク酸、リンゴ酸、乳酸、マンデル酸及びこれらの塩から選ばれる<1>又は<2>に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0108】
<4>
成分(A)が、コハク酸、リンゴ酸及びこれらの塩から選ばれる<1>又は<2>に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0109】
<5>
第一の組成物中における成分(A)の含有量が、0.1質量%以上5質量%以下である<1>~<4>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0110】
<6>
第一の組成物中における成分(A)の含有量が、0.3質量%以上3.0質量%以下である<1>~<4>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0111】
<7>
成分(B)が、次の一般式(2)又は(3)で表される<1>~<6>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
2O(CH2CH2O)mSO3M (2)
2OSO3M (3)
〔式中、R2は炭素数10~18のアルキル基又はアルケニル基、好ましくは12~14のアルキル基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムを示し、mは重量平均で1~30の数を示す。〕
【0112】
<8>
第一の組成物中における成分(B)の含有量が、1質量%以上30質量%以下である<1>~<7>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0113】
<9>
第一の組成物が、更に成分(D)としてカチオン性ポリマーを含有する<1>~<8>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0114】
<10>
成分(D)が、カチオン化セルロース及びカチオン化グアーガムから選ばれる<9>に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0115】
<11>
第一の組成物中における成分(D)の含有量が、0.01質量%以上5質量%以下である<9>又は<10>に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0116】
<12>
第一の組成物中における成分(D)の含有量が、0.10質量%以上1質量%以下である<9>又は<10>に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0117】
<13>
第一の組成物が、更に成分(E)として非イオン界面活性剤を含有する<1>~<12>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0118】
<14>
成分(E)が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、アルキルグリセリルエーテル及びアルケニルグリセリルエーテルから選ばれる<13>に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0119】
<15>
第一の組成物中における成分(E)の含有量が、0.01質量%以上15質量%以下である<13>又は<14>に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0120】
<16>
第一の組成物が、更に成分(F)として両イオン性界面活性剤を含有する<1>~<15>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0121】
<17>
第一の組成物中における成分(F)の含有量が、0.01質量%以上15質量%以下である<16>に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0122】
<18>
第一の組成物中における成分(C)の含有量が、3質量%未満である<1>~<17>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0123】
<19>
第一の組成物中における成分(C)の含有量が、1質量%未満である<1>~<17>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0124】
<20>
第一の組成物を水で20倍に希釈したときの25℃におけるpHが、2.0以上7.0以下である<1>~<19>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0125】
<21>
第一の組成物を水で20倍に希釈したときの25℃におけるpHが、3.0以上4.5以下である<1>~<19>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0126】
<22>
第二の組成物に含有する成分(C)が、ナフタレンスルホン酸類、アズレンスルホン酸類、ベンゾフェノンスルホン酸類及びベンゼンスルホン酸類から選ばれる<1>~<21>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0127】
<23>
第二の組成物に含有する成分(C)が、p-トルエンスルホン酸、1-ナフタレンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸及びそれらの塩から選ばれる<1>~<21>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0128】
<24>
第二の組成物中における成分(C)の含有量が、0.1質量%以上15質量%以下である<1>~<23>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0129】
<25>
第二の組成物中における成分(C)の含有量が、1.5質量%以上6質量%以下である<1>~<23>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0130】
<26>
第二の組成物が、更に成分(A)を含有する<1>~<25>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0131】
<27>
第二の組成物中における成分(A)の含有量が、0.1質量%以上5質量%以下である<26>に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0132】
<28>
第二の組成物中における成分(A)の含有量が、0.3質量%以上4.0質量%以下である<26>に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0133】
<29>
第二の組成物が、更に成分(E)を含有する<1>~<28>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0134】
<30>
第二の組成物中における成分(E)の含有量が、0.01質量%以上10質量%以下である<29>に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0135】
<31>
第二の組成物が、更に成分(G)として芳香族アルコールを含有する<1>~<30>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0136】
<32>
成分(G)が、ベンジルアルコール及びフェノキシエタノールから選ばれる<31>に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0137】
<33>
第二の組成物中における成分(G)の含有量が、0.1質量%以上10質量%以下である<31>又は<32>に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0138】
<34>
第二の組成物中における成分(G)の含有量が、0.5質量%以上4.0質量%以下である<31>又は<32>に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0139】
<35>
第二の組成物における成分(G)に対する成分(C)の質量比(C)/(G)が、0.5以上5.5以下である<31>~<34>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0140】
<36>
第二の組成物中における成分(B)の含有量が、1質量%未満である<1>~<35>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0141】
<37>
第二の組成物中における成分(B)の含有量が、0質量%である<1>~<35>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0142】
<38>
第二の組成物における成分(C)に対する成分(H)の質量比(H)/(C)が、0.8未満である<1>~<37>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0143】
<39>
第二の組成物における成分(C)に対する成分(H)の質量比(H)/(C)が、0.4未満である<1>~<38>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0144】
<40>
第二の組成物における成分(C)に対する成分(H)の質量比(H)/(C)が、0である<1>~<38>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0145】
<41>
第二の組成物中における(H)カチオン性界面活性剤の含有量が、0.5質量%未満である<1>~<40>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0146】
<42>
第二の組成物中における(H)カチオン性界面活性剤の含有量が、0質量%である<1>~<40>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0147】
<43>
第二の組成物のpHが、3.0以上7.0以下である<1>~<42>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0148】
<44>
更に、成分(H)としてカチオン性界面活性剤、及び成分(I)として高級アルコールを含有する第三の組成物を備える<1>~<43>のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0149】
<45>
第三の組成物中における成分(I)の含有量が、0.5質量%以上15質量%以下である<44>に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0150】
<46>
第三の組成物のpHが、2.0以上10.0以下である<44>又は<45>に記載の多剤式毛髪処理剤。
【0151】
<47>
以下の工程(i)~(ii)を含む毛髪処理方法。
工程(i):成分(A)及び成分(B)を含有する第一の組成物を毛髪に適用してすすぎ流す工程
工程(ii):工程(i)の後、毛髪に成分(C)を含有し、成分(C)に対する成分(H)の質量比(H)/(C)が1未満である第二の組成物を毛髪に適用する工程
成分(A):無機性値が230以上450以下でかつ有機性値が50以上250以下であるカルボン酸、又は当該カルボン酸の塩
成分(B):アニオン性界面活性剤
成分(C):分子量が300以下の芳香族スルホン酸又はその塩
成分(H):カチオン性界面活性剤
【0152】
<48>
工程(i)において毛髪に適用する第一の組成物の量が、毛髪の乾燥質量に対する浴比(第一の組成物の質量/毛髪の乾燥質量)で、0.05以上0.15以下である<47>に記載の毛髪処理方法。
【0153】
<49>
工程(ii)において毛髪に適用する第二の組成物の量が、毛髪の乾燥質量に対する浴比(第一の組成物の質量/毛髪の乾燥質量)で、0.05以上0.20以下である<47>又は<48>に記載の毛髪処理方法。
【0154】
<50>
工程(ii)の後、毛髪上の第二の組成物をすすぎ流す工程を含み、その後毛髪に更に他の組成物を適用する工程を含まない<47>~<49>のいずれか1項に記載の毛髪処理方法。
【0155】
<51>
工程(ii)の後、毛髪上の第二の組成物をすすぎ流す前に、第二の組成物を適用した毛髪を15~60℃で1~30分放置する工程を含む<50>に記載の毛髪処理方法。
【0156】
<52>
工程(ii)の後、更に工程(iii)を含む、<47>~<49>のいずれか1項に記載の毛髪処理方法。
工程(iii):カチオン性界面活性剤と高級アルコールを含む第三の組成物を毛髪に適用する工程
【0157】
<53>
工程(iii)において毛髪に適用する第三の組成物の量が、毛髪の乾燥質量に対する浴比(第三の組成物の質量/毛髪の乾燥質量)で、0.05以上0.20以下である<52>に記載の毛髪処理方法。
【0158】
<54>
工程(ii)の後、工程(iii)の前に、毛髪上の第二の組成物をすすぎ流す工程を含む、<52>又は<53>に記載の毛髪処理方法。
【0159】
<55>
工程(ii)の後、毛髪上の第二の組成物をすすぎ流す前に、第二の組成物を適用した毛髪を15~60℃で1~30分放置する工程を含む<54>に記載の毛髪処理方法。
【0160】
<56>
工程(ii)の後、工程(iii)の前に、毛髪上の第二の組成物をすすぎ流さない、<52>又は<53>に記載の毛髪処理方法。
【0161】
<57>
工程(iii)の後、毛髪上の第三の組成物をすすぎ流す工程を含む<52>~<56>のいずれか1項に記載の毛髪処理方法。
【実施例
【0162】
(実施例1~16、比較例1~6)
表1に示す組成の第一の組成物(毛髪洗浄剤A)、表2に示す組成の第二の組成物(毛髪化粧料B)、及び表3に示す組成の第三の組成物(毛髪化粧料C)を調製し、化学処理履歴がない日本人のくせ毛を用いて評価した。評価結果を表4~6に示す。
【0163】
(pH測定方法)
pHは試料を精製水で20質量倍に希釈し、撹拌溶解したのち、pH計(東亜ディーケーケー社製、HM-30R型)を用い、25℃にて測定した。
【0164】
【表1】
【0165】
*1:日油社製、ダイヤポンK-TS
*2:花王社製、ポイズC-150L
*3:花王社製、ソフケアKG-101W-E
*4:ダウ・ケミカル社製、ソフトキャットポリマーSL-30
*5:花王社製、カオーソフケアGP-1
*6:花王社製、エマルゲン103
*7:アデカ社製、アデカカーポールDL-30
*8:花王社製、アンヒトール20HD
*9:花王社製、アンヒトール20AB
【0166】
【表2】
【0167】
*10:花王社製、レオドールAO-10V
*11:花王社製、コータミン 60W
*12:花王社製、カルコール8098
*13:花王社製、カルコール6098
*14:ダイセルファインケム社製、HEC DAICEL SE-850K
*15:ダウ・ケミカル社製、ポリオックスWSR N-60K
*16:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、シリコーンXS65-C0032
【0168】
【表3】
【0169】
*17:重量平均分子量約20万:約5万:約650=93:140:67(重量比)のジメチコン混合物
【0170】
(処理前評価用毛束の作製)
化学処理履歴がない日本人のくせ毛を用いて、長さ25cmの毛髪50本からなる毛束を作製した。以下に示す処方のシャンプーの20倍希釈水溶液に1分間浸漬し、イオン交換水で10秒すすいだ。次いで、以下に示す処方のヘアコンディショナーの20倍希釈水溶液に1分間浸漬し、イオン交換水で10秒すすいだ後、タオルドライし、ドライヤー(TESCOM社製、Nobby TNB1903、温風)で20秒乾燥させた。これを「処理前評価用毛束」とした。
【0171】
シャンプーの処方(pH7.0) (質量%)
ポリオキシエチレン(2.5)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩 15.5
ラノリン酸ジエタノールアミド 2.3
エデド酸二ナトリウム 0.15
安息香酸ナトリウム 0.5
塩化ナトリウム 0.8
リン酸 適量
香料、メチルパラベン 微量
水 残量
合計 100
【0172】
ヘアコンディショナーの処方(pH4.4) (質量%)
ステアロキシプロピルジメチルアミン 0.8
ステアリルアルコール 3.1
乳酸 0.2
水 残量
合計 100
【0173】
(処理前評価用毛束の処理)
各毛束を以下の方法に従って処理し、評価を行った。なお、毛髪洗浄剤及び毛髪化粧料はすべてイオン交換水で20倍に希釈し、処理する際は無限浴で各水溶液に浸漬した。
【0174】
<実施例1>
処理前評価用毛束を、毛髪洗浄剤Aの20倍希釈水溶液に1分間浸漬した後、イオン交換水で10秒間すすいだ。次いで、毛髪化粧料Bの20倍希釈水溶液に6分間浸漬し、イオン交換水で10秒間すすいだ後、タオルドライし、ドライヤーで20秒間乾燥した。
【0175】
<実施例2>
処理前評価用毛束を、毛髪洗浄剤Aの20倍希釈水溶液に1分間浸漬した後、イオン交換水で10秒間すすいだ。次いで、毛髪化粧料Bの20倍希釈水溶液に6分間浸漬し、すすがずに毛髪化粧料Cの20倍希釈水溶液に5分間浸漬した後、イオン交換水で10秒間すすぎ、タオルドライし、ドライヤーで20秒間乾燥した。
【0176】
<実施例3>
実施例2において、毛髪化粧料Bの20倍希釈水溶液に6分間浸漬した後、イオン交換水で10秒間すすぐ操作を行ってから毛髪化粧料Cの20倍希釈水溶液に5分間浸漬する以外は、実施例2と同様の操作を行った。
【0177】
<実施例4~16>
実施例1と同様の操作を行った。
【0178】
<比較例1、5>
処理前評価用毛束を、毛髪洗浄剤Aの20倍希釈水溶液に1分間浸漬した後、イオン交換水で10秒間すすいだ。タオルドライし、ドライヤーで20秒間乾燥した。
【0179】
<比較例2>
処理前評価用毛束を、毛髪化粧料Bの20倍希釈水溶液に6分間浸漬した後、イオン交換水で10秒間すすいだ。タオルドライし、ドライヤーで20秒間乾燥した。
【0180】
<比較例3、4、6>
実施例1と同様の操作を行った。
【0181】
(評価方法)
<乾燥後の毛束のまとまり率>
処理前評価用毛束と各処理を4回行った後の評価用毛束について、根元から15cmの部位の横幅を測定し、以下の式に従ってまとまり率を算出し、表4~6に示す。まとまり率が高いほど毛束のまとまり性が高いことを示している。
【0182】
【数1】
【0183】
<乾燥毛の応力緩和率(20℃、65%RH)>
処理前評価用毛束と各5回処理後の評価用毛束から、無作為に毛髪を各1本ずつ切り出した。繊維・毛髪曲げシステムFBS900(ダイアストロン社製)用のプレス・アセンブリ(ダイアストロン社製)を用い、プラスチック製のタブ(ダイアストロン社製)に毛髪の根元側を挟み、タブの外に出ている毛髪の長さが5mmとなるように、余分な毛髪を切り取った。その後、処理前評価用毛髪と5回処理後評価用毛髪は、イオン交換水で濡らした後、20℃、65%RHで24時間自然乾燥させた。
その調湿した毛髪を、繊維・毛髪曲げシステムFBS900を用いて毛髪の先端から2.75mmの部分の歪みが0.2mmとなるように曲げ、その状態を3分間保持した。初期応力値と3分後の応力値を測定し、以下の式に従って曲げ応力緩和率を算出した。これと同じ評価を合計5回行い、その平均値を表4~6に示す。
応力緩和率が高いほど、曲げの外力に対して元の形に戻ろうとする力が弱く、形付け性つまり塑性変形性が高いことを示している。
【0184】
【数2】
【0185】
<乾燥毛に応力をかけたときの形付け性(20℃、65%RH)>
処理前評価用毛束と各5回処理後の評価用毛束から、無作為に毛髪を各1本ずつ切り出した。切り出した毛髪の根元側に幅1.2cmのメンディングテープ(Scotch社製)を挟み込むように貼り合わせて固定部とした。メンディングテープと毛髪はアロンアルファ(登録商標)(東亞合成社製)を用いて固定した。その後、処理前評価用毛髪と5回処理後評価用毛髪は、イオン交換水で濡らした後、30秒振動させながら乾かした後に、更に20℃、65%RHで吊るして24時間自然乾燥させた。
調湿した毛髪の根元側の固定部から毛先方向に3.0cmまでの部分のカール半径を測定した。次いで、根元側の固定部と同様に毛先側にも固定部を作製し、固定部間の毛髪が3.0cmとなるようにした。その後、テンシロンTG-500N(ミネベア社製)、ロードセル型式TT3D-10N(ミネベア社製)を用いて毛髪を1%延伸し、その状態を3分間保持した。次いで、毛先側の固定部を切り離し、根元側の固定部から毛先3.0cmまでの部分のカール半径を測定した。延伸前後のカール半径から、以下の式に従ってカール半径比を算出した。これと同じ評価を合計5回行い、その平均値を表4~6に示す。
カール半径比が高いほど形付け性が大きいことを示している。
【0186】
【数3】
【0187】
<乾燥後の毛束の滑らかさ>
前述した4回処理後評価用毛束について、乾燥後の毛束表面に手で触れたときの「滑らかさ」を専門パネラー5名によって以下の基準により評価し、平均点を算出した。
5:滑らかである
4:やや滑らかである
3:どちらともいえない
2:やや滑らかではない
1:滑らかではない
【0188】
<第二の組成物の外観>
表2に示す組成の第二の組成物を調製後、25℃で24時間静置したときの外観を以下の基準により評価した。
3:透明
2:白濁
1:分離
【0189】
【表4】
【0190】
【表5】
【0191】
【表6】
【0192】
表4及び6に示す結果より、実施例1~8、11~16の処理後評価用毛束は、比較例1~5の処理後評価用毛束に比べて、乾燥後の毛束のまとまり性、乾燥毛の応力緩和率、すなわち塑性変形性、乾燥毛に応力をかけたときの形付け性、乾燥後の毛束の滑らかさの各効果のバランスが優れていた。
表5に示す結果より、実施例1、9及び10の処理後評価用毛束は、比較例6の処理後評価用毛束に比べて、乾燥後の毛束のまとまり性、乾燥毛の応力緩和率、すなわち塑性変形性、乾燥毛に応力をかけたときの形付け性の各効果のバランスが優れていた。更に、実施例1、9及び10に用いた第二の組成物は、比較例6に用いた第二の組成物に比べて分離することなく、透明で安定性に優れていた。