(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】コークス乾式消火用除塵装置、及びコークス乾式消火ボイラの蒸気収率を向上させる方法
(51)【国際特許分類】
C10B 39/02 20060101AFI20231211BHJP
C10B 45/00 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
C10B39/02
C10B45/00 A
(21)【出願番号】P 2022525770
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(86)【国際出願番号】 CN2020114460
(87)【国際公開番号】W WO2021082755
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】201911059317.1
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514114460
【氏名又は名称】中冶焦耐(大連)工程技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 忠▲義▼
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼ ▲亞▼杰
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 柳池
(72)【発明者】
【氏名】王 琳琳
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 俊峰
(72)【発明者】
【氏名】袁 朝▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 玉▲虎▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 雄▲飛▼
(72)【発明者】
【氏名】王 磊
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-161481(JP,A)
【文献】特開昭54-131602(JP,A)
【文献】特開昭58-219291(JP,A)
【文献】特開昭59-045387(JP,A)
【文献】特開2001-214166(JP,A)
【文献】実開昭60-161147(JP,U)
【文献】特開昭59-197487(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106433700(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10B 39/02
C10B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上から下へ順に接続された除塵機、コークス粉ビン、バーナー及び灰排出弁を含み、前記除塵機の天井部の一側には循環ガス入口が設けられ、他側には循環ガス出口が設けられており、循環ガス入口はコークス炉の循環ガス出口に接続され、循環ガス出口はコークス乾式消火ボイラの循環ガス入口に接続され、前記除塵機の底部に設けられたコークス粉出口は、コークス粉ビンの天井部のコークス粉入口に接続され、コークス粉ビンの底部のコークス粉出口は、バーナーの天井部のコークス粉入口に接続され、バーナーの一側には助燃用空気入口及びバーナーノズルが設けられ、バーナーの他側には熱煙ガス出口が設けられ、熱煙ガス出口は熱煙ガス配管を介して除塵機に接続され、バーナーの底部の灰排出口には灰排出弁が設けられ
、
前記熱煙ガス配管の外側には保温層が設けられていることを特徴とするコークス乾式消火用除塵装置。
【請求項2】
前記除塵機は重力沈下型除塵機であることを特徴とする請求項1に記載のコークス乾式消火用除塵装置。
【請求項3】
前記除塵機のコークス粉出口とコークス粉ビンのコークス粉入口との間は第1フランジによって接続されていることを特徴とする請求項1に記載のコークス乾式消火用除塵装置。
【請求項4】
前記コークス粉ビンのコークス粉出口とバーナーのコークス粉入口との間は第2フランジによって接続されていることを特徴とする請求項1に記載のコークス乾式消火用除塵装置。
【請求項5】
前記バーナーの灰排出口と灰排出弁との間は第3フランジによって接続されていることを特徴とする請求項1に記載のコークス乾式消火用除塵装置。
【請求項6】
バーナーの他側には熱煙ガス出口が設けられ、熱煙ガス出口は熱煙ガス配管を介して除塵機に接続されていることを特徴とする請求項1~
5の何れか1項に記載のコークス乾式消火用除塵装置。
【請求項7】
請求項1~
6の何れか1項に記載のコークス乾式消火用除塵装置により、コークス乾式消火ボイラの蒸気収率を向上させる方法であって、循環ガスは除塵機を介して、コークス炉側からコークス乾式消火ボイラ側に流れ、除塵機において、循環ガスにおけるほとんどのコークス粉は重力作用で沈下し、沈下したコークス粉は下方のコークス粉ビンに落ち込み、コークス粉ビンにより収集されたコークス粉はバーナーに入って、バーナーで十分に燃焼し、燃焼による熱煙ガスはコークス粉ビンを介して除塵機に導入され、またはバーナーの外部の熱煙ガス配管を介して除塵機に導入され、熱煙ガスによって大量の熱を循環ガスにもたらすことで、後続のコークス乾式消火ボイラに、より多くの蒸気を発生させ、バーナーの下方の灰排出弁は灰分の排出速度を制御し、灰分によって密封作用を発生させ、空気の吸入を防止することを特徴とするコークス乾式消火ボイラの蒸気収率を向上させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年11月01日にて中国特許庁に提出され、出願番号が201911059317.1であり、発明名称が「コークス乾式消火用除塵装置、及びコークス乾式消火ボイラの蒸気収率を向上させる方法」である中国特許出願の優先権を主張して、その全ての内容は援用されることで、本出願に結合されている。
【0002】
本発明はコークス乾式消火の技術分野に関して、特に、コークス乾式消火用除塵装置、及びコークス乾式消火ボイラの蒸気収率を向上させる方法に関している。
【背景技術】
【0003】
コークス乾式消火のプロセス過程で、赤熱コークスをコークス炉の天井部から入れて、低温の不活性ガスは循環送風機から、コークス炉の冷却部の赤熱コークス層内に送風され、赤熱コークスの顕熱を吸収し、冷却後のコークスはコークス炉の底部から排出され、コークス炉の環状煙道から排出された高温の不活性ガスはコークス乾式消火ボイラを経由して熱交換を行って、コークス乾式消火ボイラから蒸気を発生させ、冷却後の不活性ガスは循環送風機によって、改めてコークス炉に送風され、密閉システム内で循環使用される。一般的に、高温の循環ガスは一次除塵機を介して粗いコークス粉を分離させられた後、コークス乾式消火ボイラに入って熱交換を行って、温度が約160℃に低下した低温の循環ガスはコークス乾式消火ボイラから排出され、二次除塵機を介して細いコークス粉をさらに分離させられた後、循環送風機によって、給水予熱器に送られて、約130℃まで冷却されてから、コークス炉に入って循環使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一次除塵機は循環ガスにおける大粒子のコークス粉を分離させ、循環ガスの、ボイラ配管に対するフラッシング摩耗を低減させる。現在、一次除塵機により分離されたコークス粉は主に、焼結、再配合コークス製造及びコークス化除塵灰系活性炭の製造などに用いられるが、分離されたコークス粉の品質が低く、エネルギー消費が高く、または技術レベルに制限があるため、このようなプロセスによる経済的利益は有限であり、環境汚染を招致しやすい。
【0005】
本発明は、除塵機の下方に設けられるバーナーを利用して、除塵機から沈下したコークス粉を十分に燃焼させ、発生した大量の熱煙ガスを循環ガスに導入し、コークス乾式消火ボイラにより多くの蒸気を発生させ、これによって、より大きな経済的利益を取得するコークス乾式消火用除塵装置、及びコークス乾式消火ボイラの蒸気収率を向上させる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に達成するために、本発明は以下の技術案を利用して実現され、即ち、
コークス乾式消火用除塵装置であって、上から下へ順に接続された除塵機、コークス粉ビン、バーナー及び灰排出弁を含み、前記除塵機の天井部の一側には循環ガス入口が設けられており、他側には循環ガス出口が設けられ、循環ガス入口はコークス炉の循環ガス出口に接続され、循環ガス出口はコークス乾式消火ボイラの循環ガス入口に接続され、前記除塵機の底部に設けられたコークス粉出口は、コークス粉ビンの天井部のコークス粉入口に接続され、コークス粉ビンの底部のコークス粉出口は、バーナーの天井部のコークス粉入口に接続され、バーナーの一側には助燃用空気入口及びバーナーノズルが設けられ、他側には熱煙ガス出口が設けられ、熱煙ガス出口は熱煙ガス配管を介して除塵機に接続され、バーナーの底部の灰排出口には灰排出弁が設けられている。
【0007】
前記除塵機は重力沈下型除塵機である。
【0008】
前記除塵機のコークス粉出口とコークス粉ビンのコークス粉入口との間は第1フランジによって接続されている。
【0009】
前記コークス粉ビンのコークス粉出口とバーナーのコークス粉入口との間は第2フランジによって接続されている。
【0010】
前記バーナーの灰排出口と灰排出弁との間は第3フランジによって接続されている。
【0011】
前記熱煙ガス配管の外側には保温層が設けられている。
【0012】
コークス乾式消火ボイラの蒸気収率を向上させる方法であって、循環ガスは除塵機を介して、コークス炉側からコークス乾式消火ボイラ側に流れ、除塵機において、循環ガスにおけるほとんどのコークス粉は重力作用で沈下して、沈下したコークス粉は下方のコークス粉ビンに落ち込み、コークス粉ビンにより収集されたコークス粉はバーナーに入って、バーナーで十分に燃焼し、燃焼による熱煙ガスはコークス粉ビンを介して除塵機に導入され、またはバーナーの外部の熱煙ガス配管を介して除塵機に導入され、大量の熱を循環ガスにもたらすことで、後続のコークス乾式消火ボイラに、より多くの蒸気を発生させ、バーナーの下方の灰排出弁は灰分の排出速度を制御し、灰分によって密封作用を発生させ、空気の吸入を防止する。
【発明の効果】
【0013】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下の通り、
1)直接的に、除塵機から沈下し、分離されたコークス粉を十分に燃焼させ、発生した大量の熱煙ガスを循環ガスに導入し、コークス乾式消火ボイラに、より多くの蒸気を発生させ、プロセスの経路が短くて、熱回収効率が高くて、より大きな経済的利益を取得でき、
2)コークス粉に対する後続処理の負荷、及びコークス粉の飛散を減少させ、安くて且つ環境に優しい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に記載のコークス乾式消火用除塵装置の構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下は図面を結合して、本発明の具体的な実施形態をさらに説明する。
【0016】
図1に示すように、本発明に記載のコークス乾式消火用除塵装置は、上から下へ順に接続された除塵機1、コークス粉ビン2、バーナー3及び灰排出弁4を含み、前記除塵機1の天井部の一側には循環ガス入口が設けられ、他側には循環ガス出口が設けられ、循環ガス入口はコークス炉の循環ガス出口に接続され、循環ガス出口はコークス乾式消火ボイラの循環ガス入口に接続され、前記除塵機1の底部に設けられたコークス粉出口は、コークス粉ビン2の天井部のコークス粉入口に接続され、コークス粉ビン2の底部のコークス粉出口はバーナー3の天井部のコークス粉入口に接続され、バーナー3の一側には助燃用空気入口及びバーナーノズルが設けられ、他側には熱煙ガス出口が設けられ、熱煙ガス出口は熱煙ガス配管を介して除塵機1に接続され、バーナー3の底部の灰排出口には灰排出弁4が設けられている。
【0017】
前記除塵機1は重力沈下型除塵機である。
【0018】
前記除塵機1のコークス粉出口とコークス粉ビン2のコークス粉入口との間は第1フランジによって接続されている。
【0019】
前記コークス粉ビン2のコークス粉出口とバーナー3のコークス粉入口との間は第2フランジによって接続されている。
【0020】
前記バーナー3の灰排出口と灰排出弁4との間は第3フランジによって接続されている。
【0021】
前記熱煙ガス配管の外側には保温層が設けられている。
【0022】
本発明に記載のコークス乾式消火ボイラの蒸気収率を向上させる方法において、循環ガスはコークス炉側から除塵機1を介してコークス乾式消火ボイラ側に流れており、除塵機1において、循環ガスにおけるほとんどのコークス粉は重力作用で沈下し、沈下したコークス粉は下方のコークス粉ビン2に落ち込む。コークス粉ビン2により収集されたコークス粉はバーナー3に入って、バーナー3に適量の助燃用空気を噴射し、バーナー3のノズルが点火した後、コークス粉を十分に燃焼させ、燃焼による熱煙ガスはコークス粉ビン2を介して除塵機1に導入され、またはバーナー3の外部の熱煙ガス配管を介して除塵機1に導入され、熱煙ガス配管の導入によって圧力バランスがより最適化され、大量の熱を循環ガスにもたらすことで、後続のコークス乾式消火ボイラに、より多くの蒸気を発生させる。バーナー3の下方の灰排出弁4は灰分の排出速度を制御し、灰分によって密封作用を発生させ、空気の吸入を防止する。
【0023】
以上は本発明の保護範囲を限定していなく、本発明の好適な具体的な実施形態のみであり、当業者であれば、本発明が開示した技術範囲内で、本発明の技術案及びその発明構想に対して等価差し替えまたは変更を行ってもよく、前記等価差し替えまたは変更はいずれも本発明の保護範囲に該当すべきである。
【符号の説明】
【0024】
1 除塵機
2 コークス粉ビン
3 バーナー
4 灰排出弁