(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】ポリフェノールを含む組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20231211BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20231211BHJP
【FI】
A23L27/00 Z
A23L5/00 K
(21)【出願番号】P 2022526253
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(86)【国際出願番号】 KR2020015546
(87)【国際公開番号】W WO2021091322
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-05-06
(31)【優先権主張番号】10-2019-0142992
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0123836
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0123837
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508139664
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CJ CHEILJEDANG CORPORATION
【住所又は居所原語表記】CJ Cheiljedang Center,330,Dongho-ro,Jung-gu,Seoul,Republic Of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ヒ・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ソン・ヨン・パク
【審査官】高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/145289(WO,A2)
【文献】特表2016-539183(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0289030(US,A1)
【文献】特表2009-530014(JP,A)
【文献】特開2004-167218(JP,A)
【文献】特開2003-210119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
Google
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロロゲン酸、カフェ酸、及びキナ酸を含む組成物
であって、前記クロロゲン酸及びカフェ酸の含量の合計は、キナ酸100重量部を基準に0.1から700重量部であり、異臭を低減させるための用途の組成物。
【請求項2】
前記カフェ酸は、前記クロロゲン酸100重量部を基準に10から400重量部である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記異臭は、生臭い匂いである、請求項
1に記載の組成物。
【請求項4】
前記異臭は、窒素化合物により発生される、請求項
1に記載の組成物。
【請求項5】
前記異臭は、ヘキシルアルデヒド(ヘキサナール(hexanal))、ヘプタナール(Heptanal)、2-ノネナール(2-Nonenal、(Z)-)、2,4-ヘプタジエナール(2,4-Heptadienal、(E,E)-)、2-ヘキセナール(2-Hexenal,(E)-)、2,6-ノナジエナール(2,6-Nonadienal、(E,Z)-)、2-ノナノン(2-Nonanone)、2-ペンテナール(2-Pentenal,(E)-)、1-ペンテン-3-オン(1-Penten-3-one)、ジスルフィド(disulfide)類化合物及びジメチル(dimethyl)類化合物よりなる群から選択される1つ以上の化合物により発生される、請求項
1に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1から
5の何れか1項に記載の組成物
を異臭の発生物質に添加するステップを含む
、異臭の低減方法。
【請求項7】
請求項1から
5の何れか1項に記載の組成物
を異臭の発生物質に添加するステップを含む
、異臭の低減物質の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ポリフェノールを含む組成物及びこの用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリフェノール(polyphenols)は、果物や葉菜類などの植物に含有されている化合物であって、現在まで確認されているポリフェノールの種類は数千種を超え、代表的に、フラボノイド(flavonoids)、アントシアニン(anthocyanins)、タンニン(tannins)、カテキン(catechins)、イソフラボン(isoflavones)、リグナン(lignans)、レスベラトロ-ル(resveratrols)などが挙げられる。ポリフェノールに存在する多数のヒドロキシル基(-OH)は、多くの化合物と容易に結合する特性を有しており、抗酸化効果及び坑癌、抗炎効果に優れる。
【0003】
ポリフェノールは、単独物質でも効果を示すことができるが、各物質を組み合せることにより効果が上昇することができ、その組み合せが重要であることが知られているが(大韓民国公開特許第 10-2015-0016343号)、ポリフェノールの種類が多様であり、その組み合せによる上昇効果を確認するのに困難がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国公開特許第10-2015-0016343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願の一目的は、多様な用途に用いることができるポリフェノールを含む組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するため、本出願の一側面は、クロロゲン酸、カフェ酸、及びキナ酸を含む組成物を提供する。
【0007】
また、前述した目的を達成するために、本出願のまた他の側面は、クロロゲン酸、カフェ酸、及びキナ酸を含む組成物を異味又は異臭の発生物質に添加するステップを含む異味又は異臭の低減方法を提供する。
【0008】
また、前述した目的を達成するために、本出願のまた他の側面は、クロロゲン酸、カフェ酸、及びキナ酸を含む組成物を異味又は異臭の発生物質に添加するステップを含む異味又は異臭の低減物質の製造方法を提供する。
【0009】
また、前述した目的を達成するために、本出願のまた他の側面は、クロロゲン酸、カフェ酸、及びキナ酸を含む組成物の異味剤又は異臭剤として用いる用途を提供する。
【0010】
また、前述した目的を達成するために、本出願のまた他の側面は、クロロゲン酸、カフェ酸、及びキナ酸を含む製品の保存用組成物を提供する。
【0011】
また、前述した目的を達成するために、本出願のまた他の側面は、クロロゲン酸、カフェ酸、及びキナ酸を含む組成物を製品に添加するステップを含む製品の酸化を防止する方法を提供する。
【0012】
また、前述した目的を達成するために、本出願のまた他の側面は、クロロゲン酸、カフェ酸、及びキナ酸を含む組成物を製品に添加するステップを含む製品の褐変を抑制する方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本出願のクロロゲン酸、カフェ酸、及びキナ酸を含む組成物は、多様な用途に用いることができる。
【0014】
本出願の組成物は、異味又は異臭の低減用途に用いられ得る。本出願の組成物は、異味又は異臭の発生原因物質であるトリメチルアミン(TMA)の低減能に非常に優れており、多様な揮発性香り成分の変化を誘導することで卓越な異味又は異臭の低減効果を有する。
【0015】
また、本出願の組成物は、従来に用いられる異味又は異臭の低減物質とは異なり、製品に残存する量が非常に少なく、製品の本来特徴に影響を与えず、加工製品の製造工程に適用しやすいという利点を有する。
【0016】
また、本出願のクロロゲン酸、カフェ酸、及びキナ酸を含む組成物は、製品の保存用途、具体的に、製品の酸化防止又は褐変抑制用途に用いられ得る。
【0017】
本出願のポリフェノール組成物は、DPPHラジカル消去能で確認されるとおり、酸化防止効果が非常に優れており、酸化安定性に優れ、ポリフェノールオキシダーゼ阻害活性が高くて褐変抑制活性を有する。
【0018】
また、本出願の組成物は、従来の酸化防止剤又は褐変抑制剤とは異なり製品に残存する量が非常に少なく、製品本来の特徴に影響を与えず、加工製品の製造工程に適用しやすいという利点を有する。
【0019】
但し、本出願の効果は、前記で言及した効果に制限されず、言及されなかったまた他の効果は下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本出願を具体的に説明する。
【0021】
本出願の一側面によると、本出願は、クロロゲン酸、カフェ酸、及びキナ酸を含む組成物を提供する。
【0022】
本出願の活性成分であるクロロゲン酸、カフェ酸、及びキナ酸は、ポリフェノール成分である。
【0023】
本出願において用いられる用語「ポリフェノール」は、分子内に1つ以上のヒドロキシ基を有するフェノールを1つ以上含む化合物を意味する。本明細書における用語「ポリフェノール」は、ポリフェノール自体だけでなくこの配糖体、このアルキル化化合物、このエスト化化合物などの誘導体(derivatives)も含む意味として用いられる。
【0024】
本出願において、クロロゲン酸(chlorogenic acid)は、カフェ酸(caffeic acid)とキナ酸(quinic acid)がエステル結合で構成された化合物であり、下記化学式1で表される。
【0025】
【0026】
本出願において、カフェ酸は、ヒドロキシケイ皮酸に分類される化合物であって、下記化学式2で表される。
【0027】
【0028】
本出願において、キナ酸(quinic acid)は、下記化学式3で表される。
【0029】
【0030】
本出願において用いられるクロロゲン酸、カフェ酸及びキナ酸は、天産物から由来された物質だけではなく、人工的に合成された物質も用いることができる。
【0031】
前記天産物は、クロロゲン酸、カフェ酸及び/又はキナ酸を含むいずれの物質でも制限なく利用可能であるが、植物であり得る。具体的に、アロエ、アニスシード、エルダー、エゾウコギ、オオバコ、オレンジフラワー、オールスパイス、オレガノ、カコウソウ、カモミール、カプシカムペッパー、カルダモン、カシア、ガーリック、キャラウエイシード、クローブ、クミンシード、コーラ、コリアンダーシード、ヌルデ、サフラン、サンショウ、ジュニパーベリー、シナモン、ジンジャー、スターアニス、セント・ジョーンズ・ウオルト、セロリーシード、セイボリー、ゴマ、ダイオウ 、タラゴン、ターメリック、アザミ、ディルシード、ナツメグ、ネトル、ハイビスカス、ハマメリス、バーチ、バジル、ビターオレンジ、フェンネル、プリムローズ、フェヌグリーク、ベルベナ、ベイローレル、ホップ、ボルドー、ワサビ、ポピーシード、五倍子、マリーゴルード、マロン、マジョラム、マスタード、ミルフォイル、ミントリーブス、メルッサ、メース、リンデン、リンドウ、ローズヒップ、ローズマリー、マンネンロウ、ヒマワリ種子、ブドウ果皮、リンゴ、ニンジン葉、バナナ、イチゴ、アンズ、モモ、プラム、パイナップル、ナシ、カキ、サクランボ、パパイヤ、マンゴー、アボガド、メロン、ビワ、イチジク、キウイ、プルーン、ブルーベリー、ブラックベリー、ラズベリー、クランベリー、コーヒー豆、カカオ豆、ブドウ種子、グレープフルーツ種子、ペカンナッツ、カシューナッツ、クリ、ココナッツ、ピーナッツ、クルミ、緑茶葉、紅茶葉、ウーロン茶葉、タバコ、シソ葉、ニワタイム、セージ、ラベンダー、スペアミント、ペパーミント、サントリソウ、ヒソップ、メボウキ、マリーゴルード、タンポポ、アーチチョーク、ドイツカミルレ、キンミズヒキ、カンゾウ、アニス、ノコギリソウ、ユーカリ、ワームウッド、香油、シシウド、フェヌグリーク、シシトウガラシ、フェンネル、トウガラシ、コリアンダーシード、キャラウエイシード、フェンネルシード、ジンジャー、セイヨウワサビ、オレガノマジョラム、オレガノ(origanumvalgare)、マスタード、パセリ、コショウ、セイボリー、タラゴン、ウコン、ワサビ、ディルシード、又は柑橘類果物などであってよい。
【0032】
前記天産物から当業界に公知された方法、例えば、公知された抽出方法により分離精製したものを用いることができる。
【0033】
本出願の組成物において、クロロゲン酸、カフェ酸及びキナ酸は、その含量の比率が制限なく用いられてよいが、キナ酸100重量部を基準にクロロゲン酸及びカフェ酸の含量の合計が0.1重量部、0.3重量部、0.4重量部、0.5重量部、0.7重量部、0.8重量部、0.9重量部、1重量部、1.1重量部、1.2.重量部、1.3重量部、1.4重量部、1.5重量部、10重量部、50重量部、及び100重量部のうち選択される1つの下限線、及び/又は700重量部、600重量部、500重量部、480重量部、470重量部、460重量部、450重量部、400重量部、350重量部、330重量部、320重量部、310重量部、300重量部、250重量部、240重量部、230重量部、210重量部、200重量部、及び100重量部のうち選択される1つの上限線で構成された範囲であってよい。例えば、0.1から700重量部、0.3から600重量部、0.5から600重量部、0.7から500重量部、0.7から470重量部、0.7から460重量部、0.8から460重量部、0.8から450重量部、0.8から310重量部、0.8から300重量部、0.8から270重量部、0.8から250重量部又は 0.9から240重量部であってよい。
【0034】
前記クロロゲン酸、カフェ酸の含量の比率は、クロロゲン酸100重量部を基準にカフェ酸の含量が10重量部、30重量部、35重量部、37重量部、39重量部、40重量部、45重量部、49重量部、50重量部、及び70重量部から選択される1つの下限線、及び/又は400重量部、300重量部、200重量部、150重量部、120重量部、110重量部及び100重量部から選択される1つの上限線から構成された範囲であってよい。例えば、10重量部から400重量部、30重量部から300重量部、35重量部から200重量部、35重量部から150重量部、39重量部から150重量部、39重量部から120重量部、39重量部から110重量部又は40重量部から100重量部であってよい。
【0035】
前記クロロゲン酸、カフェ酸、キナ酸の含量比率でポリフェノール組み合せの効果が発現され得る。
【0036】
前記組成物は、用途を考慮して制限なくカフェ酸、クロロゲン酸、キナ酸含量を調節して用いることができるが、組成物基準のカフェ酸、クロロゲン酸及びキナ酸の含量の合計が0.1ppm、0.5ppm、1ppm、10ppm、20ppm、40ppm、50ppm、80ppm、100ppm、120ppm、140ppm、145ppm、149ppm及び150ppmのうち選択される1つの下限線、及び/又は5,000ppm、2,000ppm、1,000ppm、500ppm、300ppm、250ppm、230ppm及び200ppmのうち選択される1つの上限線で構成された範囲であってよい。例えば、0.1ppmから5,000ppm、1ppmから2,000ppm、50ppmから1,000ppm、100ppmから1,000ppm、120ppmから1,000ppm、120ppmから500ppm、140ppmから300ppm、140ppmから250ppm、140ppmから230ppm、145ppmから230ppm、145ppmから200ppm、149ppmから200ppm、又は150ppmから200ppmであってよい。前記ppmは、重量比(w/w)であってもよい。
【0037】
本出願の組成物は、クロロゲン酸、カフェ酸、及びキナ酸を除いた他のポリフェノールを追加でさらに含むことができる。
【0038】
他のポリフェノールは、具体的に、フェノール酸(Phenolic acid)、フラボノイド(Flavoids)、スチルベン(stilbens)、リグナン(lignin)などが制限なく含まれてよく、例えば、イソラムネチン、イソラムネチングリコシド、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エラグ酸、カテコール、カフェ酸エステル、ケンフェロール、ケンフェロールグリコシド、ケルセチン、ケルセチングリコシド、ケルセタゲニン、ゲニセチン、ゲニセチングリコシド、タンニン酸、アントシアニン、ヒドロキノン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、没食子酸、没食子酸エステル(没食子酸ラウリル、没食子酸プロピル、没食子酸ブチル)、4-メチルカテコール、5-メチルカテコール、4-メトキシカテコール、5-メトキシカテコール、メチルカテコール-4-カルボン酸、2-メチルレゾルシノール、5-メチルレゾルシノール、リグニン、リモシトリン、リモシトリングリコシド、リモシトロ-ル、ルテオリン、ルテオリングリコシド、ルテオリニジン、ルテオリニジングリコシド、ルチン、レゾルシン、レスベラトロ-ル、レゾルシノール、ロイコシアニジン、又はロイコデルフィニジンなどが挙げられるが、これに限定されない。
【0039】
本出願の組成物は、ポリフェノール成分以外に多様な栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸、ペクチン酸の塩、アルギン酸、アルギン酸の塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール又は炭酸化剤などを追加で含むことができる。
【0040】
具体的に、本出願の組成物は、ビタミンA、C、D、E、B1、B2、B6、B12、ナイアシン(niacin)、ビオチン(biotin)、葉酸(folate)、パントテン酸(panthotenic acid)などを含むことができる。また、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、カルシウム(Ca)、クロミウム(Cr)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、などのミネラルを含むことができる。また、リジン、トリプトファン、システイン、バリンなどのアミノ酸を含むことができる。また、ブドウ糖、果糖のようなモノサカライド;マルトース、スクロースのようなジサカライド;デキストリン、シクロデキストリンのようなポリサカライド;キシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールを含むことができる。また、防腐剤として、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、デヒドロ酢酸ナトリウムなど;殺菌剤として、漂白粉と高度漂白粉、次亜塩素酸ナトリウムなど;酸化防止剤として、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)など;着色剤として、タール色素;発色剤として、亜窒酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム;漂白剤として、亜硫酸ナトリウム;調味料として、MSGグルタミン酸ナトリウム;甘味料として、ソーマチン、ステビア抽出物のような天然甘味剤、サッカリン、アスパルテームのような合成甘味剤;香料として、バニリン、ラクトン類;膨張剤として、ミョウバン、D酒石酸水素カリウム;強化剤、乳化剤、増粘剤(糊料)、被膜剤、ガム基礎剤、泡抑制剤、溶剤、改良剤などの食品添加物(food additives)を含むことができる。
【0041】
前記添加物は、食品の種類に応じて選別され、適切な量で用いられ得る。
【0042】
一具現形態において、本出願の組成物は、異味又は異臭の低減用途に用いられ得る。
【0043】
本出願における「異味」は、製品に含まれた成分自体又はこの成分の2次的な化学的変化又は外部から混入された物質により生じる不快感又は嫌悪感を与える味を意味する。
【0044】
本出願における「異臭」は、製品に含まれた成分自体又はこの成分の2次的な化学的変化又は外部から混入された物質により生じる不快感又は嫌悪感を与える匂いを意味する。
【0045】
前記異味又は異臭を発生させる物質は、一例として、窒素化合物、硫黄化合物、低級脂肪酸類、カルボニル化合物、エステル類、フェノール類、アルコール類、炭化水素類、又は塩素化合物であり得る。
【0046】
具体的に、前記異臭は、生臭い匂いであり得る。前記生臭い匂いは、植物又は海産物から由来される生臭い匂いであり、具体的に、魚類から由来される生臭い匂いであり得る。
【0047】
前記窒素化合物は、アンモニア、トリメチルアミン、ピペリジン、トリメチルオキシドなど悪臭を発生し得る物質であれば、制限なく含むことができるが、具体的にトリメチルアミンであり得る。
【0048】
前記異味又は異臭を発生させる物質は、揮発性香り成分であり得る。前記揮発性香り成分は、例えば、ヘキシルアルデヒド(ヘキサナール(hexanal))、ヘプタナール(Heptanal)、2-ノネナール(2-Nonenal,(Z)-)、2,4-ヘプタジエナール(2,4-Heptadienal,(E,E)-)、2-ヘキセナール(2-Hexenal,(E)-)、2,6-ノナジエナール(2,6-Nonadienal、(E,Z)-)、2-ノナノン(2-Nonanone)、2-ペンテナール(2-Pentenal,(E)-)、1-ペンテン-3-オン(1-Penten-3-one)、ジスルフィド(disulfide)類化合物及びジメチル(dimethyl)類化合物よりなる群から選択される1つ以上の化合物であってよいが、これらに限定されるものではない。
【0049】
本出願のクロロゲン酸、カフェ酸及びキナ酸含有組成物は、異味又は異臭の低減に有用に用いられ得る。
【0050】
本出願の他の側面によると、本出願は、前述した本出願の組成物を異味又は異臭の発生物質に添加するステップを含む異味又は異臭の低減方法を提供する。
【0051】
本出願のまた他の側面によると、本出願は、前述した本出願の組成物を異味又は異臭の発生物質に添加するステップを含む異味又は異臭の低減物質の製造方法を提供する。
【0052】
本出願の他の側面によると、本出願は、クロロゲン酸、カフェ酸、及びキナ酸を含む製品の保存用組成物を提供する。
【0053】
一具現形態において、前記製品の保存用は、製品の酸化防止用又は褐変抑制用であり得る。
【0054】
他の具現形態において、前記保存用、酸化防止用又は褐変抑制用の対象製品は、食品、飼料、生活用品又は工業用品であり得る。
【0055】
本出願の前記製品の保存用組成物において、クロロゲン酸、カフェ酸及びキナ酸は、その含量の比率が制限なく用いられてよいが、キナ酸100重量部を基準にクロロゲン酸及びカフェ酸の含量の合計が0.1重量部、0.3重量部、0.4重量部、0.5重量部、0.7重量部、1重量部、1.1重量部、1.3重量部、1.4重量部、10重量部、50重量部、100重量部、及び150重量部のうち選択される1つの下限線、及び/又は700重量部、600重量部、500重量部、450重量部、400重量部、350重量部、340重量部、330重量部、320重量部、310重量部、300重量部、250重量部、240重量部、230重量部、210重量部、200重量部、及び150重量部のうち選択される1つの上限線で構成された範囲であってよい。例えば、0.1から700重量部、0.3から600重量部、0.5から600重量部、1から500重量部、10から450重量部、50から450重量部、100から400重量部、150から350重量部、200から350重量部、又は200から300重量部であってよい。
【0056】
前記クロロゲン酸、カフェ酸の含量の比率は、クロロゲン酸100重量部を基準にカフェ酸の含量が10重量部、30重量部、35重量部、39重量部、40重量部、45重量部、49重量部、50重量部、70重量部、80重量部及び90重量部から選択される1つの下限線、及び/又は400重量部、300重量部、200重量部、150重量部、140重量部、130重量部、120重量部、110重量部及び100重量部から選択される1つの上限線から構成された範囲であってよい。例えば、10重量部から400重量部、30重量部から300重量部、35重量部から200重量部、40重量部から150重量部、50重量部から140重量部、60重量部から130重量部、70重量部から120重量部、又は80重量部から120重量部であってよい。
【0057】
本出願の一側面である製品の保存用組成物に関し、ポリフェノール成分に関する事項、ポリフェノール成分以外の他の成分に関する事項、これらの含量に関する事項のうち、前述した本出願の他の側面である「クロロゲン酸、カフェ酸、及びキナ酸を含む組成物」において説明された内容と同一の内容は、既に説明された内容を援用し、明細書の複雑性を避けるために重複して説明しない。
【0058】
本出願のクロロゲン酸、カフェ酸及びキナ酸含有組成物は、優れた抗酸化効果を有するので、酸化防止剤として用いられ得る。
【0059】
本出願のクロロゲン酸、カフェ酸及びキナ酸含有組成物は、BHA(butylated hydroxyanisole)、BHT(butylated hydroxytoluene)又はTBHQ(tertiary butylhydropuinone)などのような合成抗酸化剤を代替することができる。
【0060】
一具現形態において、本出願の組成物は、フリーラジカル抑制活性により脂肪又はタンパク質の酸化を効率的に抑制する活性を有する。
【0061】
本出願のクロロゲン酸、カフェ酸及びキナ酸含有組成物は、褐変抑制剤に用いられ得る。
【0062】
本出願の組成物は、優れたポリフェノールオキシダーゼ(polyphenol oxidase)阻害活性を有するので、優れた褐変抑制活性を有する。
【0063】
本出願において、褐変抑制剤は、フェノール性化合物の酸化により生ずる褐変自体を抑制するものであってよく、糖類、アミノ酸などの反応で発生する褐変反応を抑制するものであってよい。
【0064】
本出願の他の側面によると、本出願は、クロロゲン酸、カフェ酸、及びキナ酸を含む組成物を製品に添加するステップを含む製品の酸化を防止する方法を提供する。
【0065】
本出願のまた他の側面によると、本出願は、クロロゲン酸、カフェ酸、及びキナ酸を含む組成物を製品に添加するステップを含む製品の褐変を抑制する方法を提供する。
【0066】
本出願のクロロゲン酸、カフェ酸及びキナ酸を含む組成物は、多様な製品に適用され得る。
【0067】
本出願の組成物は、食品、飼料、生活用品、工業用品など制限なく適用され得る。前記食品又は飼料の具体的な例としては、穀類加工品、野菜、果物、野菜の乾燥製品や切断製品、果物ジュース、野菜ジュース、野菜と果物の混合ジュース、チップ類、麺類、畜産加工食品、水産加工食品、乳加工食品、発酵乳食品、微生物発酵食品、製菓製パン、薬味類、魚/肉加工類、酸性飲料水、加工食品類、簡易食類、甘草類、ハーブ類、昆虫飼料類、家畜飼料類、ペット飼料類などがあるが、これに制限されるものではない。
【0068】
前記魚/肉加工類は、食肉又は魚肉を原料として加工したハム類、ソーセージ類、ベーコン類、乾燥保存肉類、薬味肉類、包装肉、粉砕加工肉製品、カルビ加工品、食肉抽出加工品、食用牛脂、食用豚脂、魚肉の肉塊などを意味する。前記「食肉」は、牛、豚、羊、ヤギ、ウサギ、ニワトリ、七面鳥、鴨、雉、ウズラなどの食生活慣習上、一般的に用いられる肉類と食用可能な臓器類及び副産物であってよいが、これに制限されない。肉加工品の形態としては、滅菌食肉製品、ハム類、プレスハム、混合プレスハム、ソーセージ、混合ソーセージ、乾燥ソーセージ(乾燥混合ソーセージ)、半乾燥ソーセージ(半乾燥混合ソーセージ)、加熱冷凍ソーセージ、ベーコン類、乾燥保存肉、薬味肉、粉砕加工品、カルビ加工品、包装肉及びその他の食肉加工品などを含み、これに制限されない。
【0069】
本出願の組成物が用途に合うように用いられる場合、用途に合うように便利かつ好適な方法で液状、固相、パウダー状などに多様に製剤化されてよい。本出願の組成物は、製造工程時に原料とともに配合されてよく、食品を本出願の組成物に浸漬するか、浸漬した後にかけ混ぜるか、組成物を振りかけるか、直接混合することにより、これを食品に均一に適用できるようにすることができる。
【0070】
本出願の他の一具現形態において、キナ酸を含む異味又は異臭の低減用組成物を提供する。
【0071】
キナ酸の異味又は異臭の低減用組成物などに対する内容は、前述したとおりである。
【0072】
前記キナ酸を含む異味又は異臭の低減用組成物は、キナ酸を除去したポリフェノールを追加で含んでよく、具体的に、フェノール酸(Phenolic acid)及び/又はキナ酸誘導体を追加で含んでよい。
【0073】
前記キナ酸を含む異味又は異臭の低減用組成物は、ポリフェノール100重量%を基準に10重量%以上、30重量%以上、50重量%以上、70重量%以上、90重量%以上、又は99重量%以上であってよい。
【0074】
以下、本出願を実施例により詳細に説明する。但し、下記実施例は、本出願を具体的に例示するものであり、本出願の内容が下記実施例により限定されない。
【0075】
実施例
【0076】
実験例1:ポリフェノール含有組成物の製造
【0077】
1.実験材料
【0078】
実験に用いたポリフェノールは、単一化合物としてクロロゲン酸、カフェ酸、没食子酸、カテキン、フェルラ酸、キナ酸をシグマアルドリッチ社(St.Louis.Mo,USA)から購入して用いた。
【0079】
2.ポリフェノール含有組成物の成分構成
【0080】
下記表1に示した成分構成として50ppmの同一の含量で3種のポリフェノール単一化合物を混合し、T1からT6のポリフェノール含有組成物を製造した。
【0081】
【0082】
3.ポリフェノール含有組成物の成分含量比構成
【0083】
ポリフェノールの混合組成物のうち、最も良い効果を示したT1組成物において、クロロゲン酸、カフェ酸、キナ酸の含量(unit:ppm)の比率を調節し、下記表2のS1からS6の多様なポリフェノール含有組成物を製造した。
【0084】
【0085】
実験例2:トリメチルアミン(TMA)分析
【0086】
1.トリメチルアミン(TMA)標準物質の製造
【0087】
実験に用いたトリメチルアミン(TMA)は、ドクサン化学(大韓民国、安山)から30%濃度の製品を購入して用いた。TMAの低減効果を確認するために、標準試薬である30%トリメチルアミンを蒸溜水に100ppmの濃度で希釈して標準水溶液を製造した。製造した標準水溶液を、試験用ポリフェノール組成物を製造するときに溶媒として用いて、トリメチルアミンが含まれたポリフェノール組成物サンプルを製造した後、GC/MS分析に用いた。
【0088】
2.トリメチルアミン(TMA)成分及び含量の分析
【0089】
次の方法を介して、ポリフェノール組成物におけるトリメチルアミン(TMA)成分を確認した。揮発性物質の分析を行う吸着のため、SPME(Solid Phase Microextraction Fiber Holder,Supelco.,Bellefonte,PA,USA)は、DVB/CAR/PDMS(50/30μm)を用いて前処理した。前処理した組成物1mLを20mLのEPAバイアル(vial)に入れた後、PTFE/Siliconでキャッピング(capping)した。組成物を添加したバイアルにSPMEニードル(needle)を挿入した後、60℃で30分間吸着後、GC/MS分析に用いた。
【0090】
GC/MS分析はアジレントガスクロマトグラフ(Agilent gas chromatograph)(GC2010 plus,Agilent,USA)を用い、カラム(column)はDB-5MS(thickness:0.25μm、length:30m、Diameter:0.25mm)を用いた。Heをキャリアガス(carrier gas)として用い、カラムオーブンの温度(column oven temperature)は100℃、インジェクションの温度(injection temperature)は200℃、総流量(total flow)は1.10mL/min、総プログラム時間(total programtime)は37分に設定した後、分析を実施した。組成物中のTMAに対する定量は、試料1.0gと100mg/LのTMA 1gのピーク面積を相対比較し、試料内の揮発性香り成分の含量を相対定量(comparative relative quantification)として計算して定量した。
【0091】
実験例3:ポリフェノール組成によるトリメチルアミン(TMA)の低減効果
【0092】
クロロゲン酸、カフェ酸、キナ酸の組み合せの優秀性を確認するために、ポリフェノールの効果として知られているTMAの低減効果を確認した。具体的に、実験例1~2で製造したそれぞれのポリフェノール組成物に対して実験例2の方法を介してトリメチルアミン(TMA)の低減効果を確認した。
【0093】
【0094】
前記表3の結果で確認したように、クロロゲン酸、カフェ酸及びキナ酸の組み合せ(T1組成物)が他のポリフェノール組み合せに比べてTMAの低減効果が最も優れたことを確認した。
【0095】
実験例4:ポリフェノール組成物の組成比によるTMAの低減効果
【0096】
実験例1の3.項目で成分含量を異にして製造したポリフェノール組成物に対し、実験例2の方法を介してトリメチルアミン(TMA)の低減効果を確認した。
【0097】
【0098】
前記表4で分かるように、組成物においてクロロゲン酸、カフェ酸、キナ酸の含量を変化させたとしてもTMAの低減効果が維持されることを確認した。
【0099】
実験例5:揮発性香り成分の分析
【0100】
1.実験方法
【0101】
ポリフェノール組成物の酸敗臭の低減効果を確認するため、組成物を魚油に適用した後、揮発性香り成分の分析を行った。
【0102】
揮発性物質の分析を行う吸着のため、SPME(Solid Phase Microextraction Fiber Holder,Supelco.,Bellefonte,PA,USA)はDVB/CAR/PDMS(50/30μm)を用いて前処理した。実験に用いたサンプルは、魚油(Fish oil)にポリフェノール組成物を添加した後、45℃のインキュベーターで72時間加速的に酸化を誘導した油脂1gを20mLのEPAバイアルに入れ、PTFE/Siliconでキャッピングした。サンプルを添加したバイアルにSPMEニードルを挿入した後、60℃で30分間吸着後、GC/MS分析に用いた。
【0103】
GC/MS分析はアジレントガスクロマトグラフ(GC2010 plus,Agilent,USA)を用い、カラムはDB-5MS(thickness:0.25μm、length:30m、Diameter:0.25mm)を用いた。Heをキャリアガスとして用い、カラムオーブンの温度は100℃、インジェクションの温度は200℃、総流量は1.10mL/min、総プログラム時間は37minに設定した後、分析を実施して得た結果数値をピーク(Peak)面積値に換算して比較した。実験の結果により、酸敗臭の特性を有する化合物を確認し、ポリフェノール組成物による低減効果を確認した。
【0104】
2.実験結果の分析
【0105】
魚油(Fish oil)を用いるのにおいて最も障害になる要素としては、生臭い匂い及び酸敗臭の発生にある。これは、魚油の高度不飽和脂肪酸の含量が高いことに起因するものであって、トコフェロールのような天然抗酸化剤の含量が少なく、魚油に含有された窒素化合物が高度不飽和脂肪酸と結合して酸化されることにより酸敗臭の発生が加速化されるためであるとみられる。
【0106】
下記表5に、魚油にポリフェノール組成物を適用することにより発生する主要揮発性香り成分の変化を測定した結果を示した(unit:peak area/10000)。
【0107】
【0108】
前記表5において、陽性(+)対照群は、L-アスコルビン酸(L-ascorbic acid)を添加した群であり、陰性(-)対照群は、抗酸化剤やポリフェノールが添加されていない群である。
【0109】
表5に示された結果によると、酸敗の指標として確認されるヘキサナール(Hexanal)は、陽性対照群で低い強度を示し、T1組成物の場合、陽性対照群と類似の水準で低い強度を示した。
【0110】
ヘプタナール(Heptanal)のような特徴的な草の匂いと魚油の生臭い匂いにも関与する成分も、全てのポリフェノール組成物において陰性対照群と比較するときに低減する効果を示し、その中でもT1組成物が最も優れた低減効果を示した。
【0111】
2,4-Heptadienal,(E,E)-の成分は、濃い脂肪臭と生臭い匂いを誘発する物質として知られており、新鮮な海産物に存在しつつ高度不飽和脂肪酸が自動酸化により生成され、含量が増加するものと報告されている。ポリフェノール組成物を処理したとき、特に、T1の組成物を処理したとき、陽性対照群よりも2,4-Heptadienal,(E,E)-の生成がより大きく抑制された。
【0112】
また、enal類及びdienal類化合物は、魚類の揮発性成分として生臭い匂いの形成において重要な役割を担っているものとみられる。また、ジスルフィド(Disulfide)、ジメチル(dimethyl)のような成分も力強い悪臭成分として確認された。ポリフェノール組成物を処理した場合、酸敗臭に関与するenal類、dienal類、ジスルフィド、ジメチル成分の発生が全般的に阻害されたものと表われた。
【0113】
下記表6には、T1のポリフェノール組成物でポリフェノール成分の含量を異にして製造した組成物の揮発性香り成分の変化を測定した結果を示した。
【0114】
【0115】
前記表6の結果によると、T1組成物に含まれたクロロゲン酸、カフェ酸、キナ酸の各成分の含量が変化された場合にも、揮発性香り成分を変化させる効能には大きな差がないことを確認することができた。
【0116】
実験例6:ポリフェノール含有組成物の保存効果の測定方法
【0117】
ポリフェノール化合物を含有する組成物の保存効果を確認するために、酸化防止効果と褐変阻害効果を測定した。酸化防止効果は、DPPHラジカル消去能を測定して確認し、追加で脂肪の酸敗可否を加速に誘導して酸化安定性を確認することができるランシマット(Rancimat)測定方法を用いた。褐変阻害効果は、ポリフェノールオキシダーゼ(polyphenol oxidase)阻害活性の測定を介して確認した。
【0118】
実験例7:DPPHラジカル消去能測定
【0119】
4mMのDPPHエタノール溶液を製造して吸光度を1.000±0.1に調節して用いた。それぞれの試料0.2mlを試験管に加え、DPPH溶液2.8mlを混合して10分間反応させた後、517nmでマイクロプレートリーダー(Microplate reader;M2,Molecular Device,Canada)を用いて吸光度を測定した。陽性対照群は、L-アスコルビン酸(L-ascorbic acid)を用いて、次の式からDPPHラジカル消去活性を計算した。
【0120】
DPPH radical scavenging activity(%)= [1-(A/B)]×100
【0121】
(A:試料添加群の吸光度、B:試料無添加群の吸光度)
【0122】
DPPHラジカル消去能を分析した結果は、下記表7に示した。ポリフェノール組成物により差異を示し、組成物のうちT1組成物の消去能が最も高く表われ、T3組成物を除いた残りの組成物においてもラジカル消去効果が表われた。
【0123】
【0124】
* Duncan’s multiple range test at p<0.05
【0125】
最も優れた効果を示したT1組成物においてポリフェノール成分の含量比を異にしてラジカル消去効果の変化を確認した結果、3種のポリフェノールの組成比を類似に調節したときにその効果が高くなる傾向を示した。特に、表8の結果のとおり、クロロゲン酸とカフェ酸の含量を類似の比率で混合したときに消去効果が高く表われた。
【0126】
【0127】
* Duncan’s multiple range test at p<0.05
【0128】
実験例8:ランシマット(Rancimat)方法による酸化安定性の測定
【0129】
油脂の酸化安定性は、ランシマット(743 MetrohmCo.,Herisau,Switzerland)方法を用いて分析した。反応容器にポリフェノール組成物2%が含まれた魚油[fish oil、シグマアルドリッチ社(St.Louis.MO,USA)]2.5gを入れ、100℃に調節されたアルミニウムヒーティングブロック上で20L/hrで空気を注入しながら油脂を酸化させた。このとき発生する揮発性酸化生成物を60mLの蒸溜水が入っている吸収容器(absorption vessel)に移行させ、電気伝導度の変化に応じて自動的に算出された誘導期間で抗酸化の程度を測定し、抗酸化力の比較は、ポリフェノール組成物を添加していない油脂試料を対照群として算出した抗酸化指数(Antioxidative Index、AI)として、下記式で計算して示した。また、陽性対照群としてL-アスコルビン酸(L-ascorbic acid)を用いた。
【0130】
抗酸化指数(AI)=IG/IC(IG:対照群、IC:処理群)
【0131】
魚油に各ポリフェノール組成物を添加した後、酸化安定性を確認した結果は、表5に示した。表9に示されたとおり、大部分の組成物において対照群と類似するか高い酸化安定性を示し、特に、T1組成物の酸化安定性が最も高かった。全般的な傾向は、抗酸化能を測定したDPPHラジカル消去能の結果と類似のパターンを示した。
【0132】
【0133】
* Duncan’s multiple range test at p<0.05
【0134】
下記表10には、酸化安定性が最も高く表われたT1組成物においてポリフェノール成分の含量を異にして組成物を製造し、この組成物を試料に添加して酸化安定性を測定した結果を示した。表10の結果のとおり、クロロゲン酸とカフェ酸の含量を類似の比率で混合したとき、酸化安定性が優れて表われた。
【0135】
【0136】
* Duncan’s multiple range test at p<0.05
【0137】
実験例9:ポリフェノールオキシダーゼ(Polyphenol oxidase、PPO)阻害活性の測定
【0138】
50mMのリン酸緩衝液(phosphate buffer;pH6.5)1.7mlとPPO(4,276units/mg)0.2mlを混合した後、各ポリフェノール組成物0.1mlを添加し、25℃に調節された恒温水槽で15分間放置し、基質として4mMのカテキン(catechin)溶液1mlをそれぞれ添加した。次いで、マイクロプレートリーダー(Microplate reader,M2,Molecular Device,Canada)を用いて、420nmで5分間の吸光度の変化を測定した。酵素阻害活性は、次の式により吸光度の減少量%で示した。
【0139】
Inhibition of PPO activity(%)=[1-(A/B)]×100
【0140】
[A:試料の吸光度、B:盲検液(blank solution)の吸光度]
【0141】
表11には、それぞれのポリフェノール組成物によるポリフェノールオキシダーゼ阻害活性を測定した結果を示した。表11に示された結果によると、T1組成物のポリフェノールオキシダーゼ阻害活性が最も優れていた。
【0142】
【0143】
* Duncan’s multiple range test at p<0.05
【0144】
表12には、ポリフェノールオキシダーゼ阻害活性が最も優れて表われたT1組成物においてポリフェノール成分の含量を異にした組成物のポリフェノールオキシダーゼ阻害活性を測定した結果を示した。表12の結果のとおり、クロロゲン酸とカフェ酸の含量を類似の比率で混合したとき、ポリフェノールオキシダーゼ阻害活性が優れて表われた。
【0145】
【0146】
* Duncan’s multiple range test at p<0.05
【0147】
前記では、本出願の代表的な実施例を例示的に説明したが、本出願の範囲は前記のような特定の実施例だけに限定されず、当該分野で通常の知識を有する者であれば、本出願の特許請求の範囲に記載された範疇内で適切に変更が可能であろう。