(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】電磁波シールド性能を備えた銅鉄合金材の製造方法
(51)【国際特許分類】
C22F 1/08 20060101AFI20231211BHJP
C22C 9/00 20060101ALI20231211BHJP
C22F 1/00 20060101ALN20231211BHJP
【FI】
C22F1/08 D
C22C9/00
C22F1/00 621
C22F1/00 622
C22F1/00 623
C22F1/00 624
C22F1/00 625
C22F1/00 661Z
C22F1/00 681
C22F1/00 682
C22F1/00 683
C22F1/00 685Z
C22F1/00 686B
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22F1/00 691Z
C22F1/00 694B
C22F1/00 694Z
(21)【出願番号】P 2022529750
(86)(22)【出願日】2020-09-27
(86)【国際出願番号】 CN2020118032
(87)【国際公開番号】W WO2021098381
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】201910782289.X
(32)【優先日】2019-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522017645
【氏名又は名称】シルイ アドバンスド コパー アロイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ウェンピン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、ピン
(72)【発明者】
【氏名】リャン、チエンピン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、チュン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ホンイェン
(72)【発明者】
【氏名】スン、チュンポン
(72)【発明者】
【氏名】クオ、チョアンリー
(72)【発明者】
【氏名】シャン、イン
【審査官】鈴木 葉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-151559(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107695622(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110229972(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0215357(US,A1)
【文献】特開2012-207246(JP,A)
【文献】特開2015-093311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22F 1/00, 1/08
C22C 9/00- 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーセンテージで原料中のFe元素の含有率5%~10%、原料中のCu元素の含有率90%~95%で配合された原料を中周波数誘導炉で溶解して均一な合金溶液を得る溶解ステップであって、その過程で脱気および脱酸工程を行い、かつ、電磁攪拌を伴い、Fe元素としてCuFe母合金を添加し、Cu元素として電気銅板を用いる溶解ステップ(1)、
黒鉛張り銅晶析器を使用してステップ(1)で得られた合金溶液を冷却晶析し、鋳造速度を50~100mm/minとし、長方形の合金インゴットを得る鋳造ステップ(2)、
ガス炉を使用して、ステップ(2)で得られた合金インゴットを加熱温度890℃~930℃で加熱し、3~4時間保温した後、2ロール可逆圧延機でパス分けして熱間圧延する熱間圧延ステップ(3)、
ステップ(3)で熱間圧延して得られた板材を、両面フライス加工装置でフライス厚さ0.5mm~1mmで上面フライス加工および下面フライス加工を行うフライス加工ステップ(4)、
ステップ(4)で得られたストリップを冷間圧延し、冷間圧延プロセス中にベルジャー炉を用いて焼鈍温度を600℃~700℃に制御しながら焼鈍処理を行って半製品であるストリップを得る冷間圧延・焼鈍ステップ(5)、および、
ステップ(5)で得られた半製品であるストリップを、熱処理し、熱処理温度を450℃~550℃に制御し、熱処理した後、表面洗浄を行って最終製品である合金ストリップを得る熱処理・洗浄ステップ(6)、
を含
み、
前記ステップ(5)において、焼鈍処理するとき、前記ベルジャー炉に窒素ガスとメタノールを加え、前記窒素ガスの流量を2m
3
/h~4m
3
/hとし、前記メタノールの流量を0.08L/h~0.15L/hとし、加熱時間を15分間~45分間とし、昇温温度を620℃~670℃とし、0.5時間~2.0時間保温処理し、前記ベルジャー炉の炉圧を180Pa~320Paに制御することを特徴とし、
ステップ(6)では、前記熱処理を複数の段階に分けて行い、ある段階の熱処理温度を450℃~550℃に制御することを特徴とする、
電磁波シールド性能を備えた銅鉄合金材の製造方法。
【請求項2】
前記ステップ(3)の具体的な手順として、まず、2ロール可逆圧延機を予めに温度750℃~850℃に加熱し、そして、前記合金インゴットを、厚さが70~95mmになるまで4~8パスで熱間圧延することを特徴とする
か、
あるいは、前記ステップ(3)の具体的な手順として、まず、2ロール可逆圧延機を予めに温度750℃~850℃に加熱し、そして、前記合金インゴットを、厚さが70~95mmになるまで6~10パスで熱間圧延することを特徴とする、
請求項1に記載の電磁波シールド性能を備えた銅鉄合金材の製造方法。
【請求項3】
前記ステップ(4)において、上部フライス盤送り速度は30~60mm/minであり、下部フライス盤送り速度は50~90mm/minであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電磁波シールド性能を備えた銅鉄合金材の製造方法。
【請求項4】
ステップ(6)において、前記熱処理の具体的な手順として、第1段階で、前記半製品であるストリップを熱処理炉に置き、温度450℃~500℃の条件下で1.2h~2h保温処理し、そして、第2段階で、前記半製品であるストリップを温度500℃~700℃の条件下で2h~4h保温し、そして温度450℃~550℃まで降温して2.5h~4h保温処理することを特徴とする、
請求項1~3のいずれか1項に記載の電磁波シールド性能を備えた銅鉄合金材の製造方法。
【請求項5】
ステップ(6)が完了した後、研磨装置を使用して前記最終製品である合金ストリップを研磨処理し、かつ磁粉探傷と超音波探傷による処理を行って、最終製品である合金ストリップにクラックの有無を検査して、最終製品である合金ストリップの表面と内部に欠陥
がないことを確保することを特徴とする
請求項1~4のいずれか1項に記載の電磁波シールド性能を備えた銅鉄合金材の製造方法。
【請求項6】
パーセンテージで原料中のFe元素の含有率5%~10%、原料中のCu元素の含有率90%~95%で配合された原料を中周波数誘導炉で溶解して均一な合金溶液を得る溶解ステップであって、その過程で脱気および脱酸工程を行い、かつ、電磁攪拌を伴い、Fe元素としてCuFe母合金を添加し、Cu元素として電気銅板を用いる溶解ステップ(1)、
黒鉛張り銅晶析器を使用してステップ(1)で得られた合金溶液を冷却晶析し、鋳造速度を50~100mm/minとし、長方形の合金インゴットを得る鋳造ステップ(2)、
ガス炉を使用して、ステップ(2)で得られた合金インゴットを加熱温度890℃~930℃で加熱し、3~4時間保温した後、2ロール可逆圧延機でパス分けして熱間圧延する熱間圧延ステップ(3)、
ステップ(3)で熱間圧延して得られた板材を、両面フライス加工装置でフライス厚さ0.5mm~1mmで上面フライス加工および下面フライス加工を行うフライス加工ステップ(4)、
ステップ(4)で得られたストリップを冷間圧延し、冷間圧延プロセス中にベルジャー炉を用いて焼鈍温度を600℃~700℃に制御しながら焼鈍処理を行って半製品であるストリップを得る冷間圧延・焼鈍ステップ(5)、および、
ステップ(5)で得られた半製品であるストリップを、熱処理し、熱処理温度を450℃~550℃に制御し、熱処理した後、表面洗浄を行って最終製品である合金ストリップを得る熱処理・洗浄ステップ(6)、
を含み、
ステップ(6)において、前記熱処理の具体的な手順として、第1段階で、前記半製品であるストリップを熱処理炉に置き、温度450℃~500℃の条件下で1.2h~2h保温処理し、そして、第2段階で、前記半製品であるストリップを温度500℃~700℃の条件下で2h~4h保温し、そして温度450℃~550℃まで降温して2.5h~4h保温処理することを特徴とする、
電磁波シールド性能を備えた銅鉄合金材の製造方法。
【請求項7】
前記ステップ(3)の具体的な手順として、まず、2ロール可逆圧延機を予めに温度750℃~850℃に加熱し、そして、前記合金インゴットを、厚さが70~95mmになるまで4~8パスで熱間圧延することを特徴とする
か、
あるいは、前記ステップ(3)の具体的な手順として、まず、2ロール可逆圧延機を予めに温度750℃~850℃に加熱し、そして、前記合金インゴットを、厚さが70~95mmになるまで6~10パスで熱間圧延することを特徴とする、
請求項6に記載の電磁波シールド性能を備えた銅鉄合金材の製造方法。
【請求項8】
前記ステップ(4)において、上部フライス盤送り速度は30~60mm/minであり、下部フライス盤送り速度は50~90mm/minであることを特徴とする、請求項6又は7に記載の電磁波シールド性能を備えた銅鉄合金材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、出願日が2019年11月23日である中国特許出願201910782289Xの優先権を主張する。本願は、上記の中国特許出願の全文を引用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、電磁波シールド技術分野に関し、具体的に電磁波シールド性能を備えた銅鉄合金材の製造方法に関する
【背景技術】
【0003】
現代の電子情報の急速な発展に伴い、ますます多くの電子・電気デバイスが使用されるようになり、同時に、これらの電子デバイスによって発生されるさまざまな周波数とエネルギーの電磁波は、新しい汚染源として人々の生活に溢れている。また、それは、現在、水質汚染、騒音汚染、大気汚染と合わせて4つの主な汚染と呼ばれている。電磁波による汚染は、宇宙に分布する電磁波によって引き起こされ、電磁波によって引き起こされる電磁波の危険性は、主に人間の健康への悪影響、自然環境への影響、電子機器への妨害という3つの面にある。
【0004】
現在、金属電磁波シールド材料は通常、(i)良好な電気伝導率を有するため静電界と高周波および低周波の磁界のシールドによく使用される、銅、アルミニウム、ニッケルなどの優れた導体類シールド材料、および、(ii)高い透磁率を有するため、低周波(f<100KHz)の磁界のシールドによく使用される、鉄、シリコン鋼、ピペルモ合金などの、強磁性シールド材という2つのカテゴリに分類されている。したがって、電磁波シールド保護措置は、現代の生活において非常に重要な役割を果たし、将来研究の重要な課題の1つである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の既存の技術的問題を考慮して、本発明は、組織が均一で、高い導電性、透磁性を有する銅鉄合金材の製造方法を提供する。
本発明の構成は、下記の通りである。
【0006】
パーセンテージで原料中のFe元素の含有率5%~10%、原料中のCu元素の含有率90%~95%で配合された原料を中周波数誘導炉で溶解して均一な合金溶液を得る溶解ステップであって、その過程で脱気および脱酸工程を行い、かつ、電磁攪拌を伴い、Fe元素としてCuFe母合金を添加し、Cu元素として電気銅板を用いる溶解ステップ(1)、
【0007】
黒鉛張り銅晶析器を使用してステップ(1)で得られた合金溶液を冷却晶析し、鋳造速度を50~100mm/minとし、長方形の合金インゴットを得る鋳造ステップ(2)、
【0008】
ガス炉を使用して、ステップ(2)で得られた合金インゴットを加熱温度890℃~930℃で加熱し、3~4時間保温した後、2ロール可逆圧延機でパス分けして熱間圧延する熱間圧延ステップ(3)、
【0009】
ステップ(3)で熱間圧延して得られた板材を、両面フライス加工装置でフライス厚さ0.5mm~1mmで上面フライス加工および下面フライス加工を行うフライス加工ステップ(4)、
【0010】
ステップ(4)で得られたストリップを冷間圧延し、冷間圧延プロセス中にベルジャー炉を用いて焼鈍温度を600℃~700℃に制御しながら焼鈍処理を行って半製品であるストリップを得る冷間圧延・焼鈍ステップ(5)、および、
【0011】
ステップ(5)で得られた半製品であるストリップを熱処理し、熱処理温度を450℃~550℃に制御し、熱処理した後、表面洗浄を行って、最終製品である合金ストリップを得る熱処理・洗浄ステップ(6)、
を含む、電磁波シールド性能を備えた銅鉄合金材の製造方法。
【0012】
さらに、ステップ(3)の具体的な手順として、まず、2ロール可逆圧延機を予めに温度750℃~850℃に加熱し、そして、合金インゴットを、厚さが70~95mmになるまで4~8パスで熱間圧延する。このプロセスにより、合金の組成成分を均質化して熱間圧延後の金属粒子の析出を低減するという目的を達成することができる。
さらに、ステップ(4)において、上部フライス盤送り速度は30~60mm/minであり、下部フライス盤送り速度は50~90mm/minである。
【0013】
さらに、ステップ(5)において、焼鈍処理するとき、ベルジャー炉に窒素ガスとメタノールを加え、窒素ガスの流量を2m3/h~4m3/hとし、メタノールの流量を0.08L/h~0.15L/hとし、加熱時間を15分間~45分間とし、上昇温度を620℃~670℃とし、0.5時間~2.0時間保温処理し、前記ベルジャー炉の炉圧を180Pa~320Paに制御する。これにより、ストリップの透磁性を高め、熱処理中におけるストリップの酸化を防止する。
【0014】
さらに、ステップ(6)において、前記熱処理の具体的な手順として、第1段階で、前記半製品であるストリップを熱処理炉に置き、温度450℃~500℃の条件下で1.2h~2h保温処理し、そして、第2段階で、前記半製品であるストリップを温度500℃~700℃の条件下で2h~4h保温し、そして温度450℃~550℃まで降温して2.5h~4h保温処理する。これにより、半製品であるストリップの引張強度、曲げ強度等の物性を向上させる。
【0015】
さらに、ステップ(6)が完了した後、研磨装置を使用して最終製品である合金ストリップを研磨処理し、かつ磁粉探傷と超音波探傷による処理を行って、最終製品である合金ストリップにクラックの有無を検査して、最終製品である合金ストリップの表面と内部に欠陥がないことを確保する。
【0016】
さらに、ステップ(6)において、半製品であるストリップを、まず無水アルコールに浸漬し、次に純水で超音波洗浄を行い、最後に高純度窒素ガスでブロー乾燥する。半製品であるストリップの表面を洗浄することにより、半製品であるストリップの表面に付着する不純物が合金材料の電磁波シールド性能に影響を与えることを回避する。
【0017】
従来技術に比べて、本発明にて製造された銅鉄合金材は、組織が均一で、Fe相が微細繊維状で圧延方向に平行に分布し、高い導電性と透磁性を有し、それ自体電磁波シールド性能を有する合金材である。本発明は、熱処理と焼鈍処理により合金材のマイクロ構造を変化させ、材料の結晶化体積分率を増加させ、材料のヒステリシスループの形状を変化させ、材料の誘導異方性を高め、合金材中の原子拡散を顕著にし、金属組織分布を均一にする効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】本発明の実施例3で製造された銅鉄合金材を顕微鏡下で50倍に拡大したトポグラフィー図である。
【
図3】本発明の実施例4で製造された銅鉄合金材を顕微鏡下で100倍に拡大したトポグラフィー図である。
【
図4】本発明の実施例4で製造された銅鉄合金材を用いて作製された角棒の構造模式図である。
【
図5】本発明の実施例4で製造された銅鉄合金材を用いて作製された丸棒の構造模式図である。
【
図6】本発明の実施例1で製造された銅鉄合金材を用いて作製されたストリップの構造模式図である。
【
図7】本発明の実施例2で製造された銅鉄合金材を用いて作製されたCFA95(t)0.2mm銅鉄合金放熱板の構造模式図である。
【
図8】本発明の実施例3で製造された銅鉄合金材を用いて作製されたCFA95(t)0.2mm CPUカバーの構造模式図である。
【
図9】本発明の実施例5で製造された銅鉄合金材を用いて作製されたシールドルームの構造模式図である。
【
図10】本発明の実施例6で製造された銅鉄合金材を用いて作製されたCFA95(t)0.3mm空調パイプの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施例1
電磁波シールド性能を備えた銅鉄合金材の製造方法として、下記のステップを含んだ。
【0020】
溶解ステップ(1):パーセンテージで原料中のFe元素の含有率5%、原料中のCu元素の含有率95%で配合された原料を中周波数誘導炉で溶解し、その過程で脱気および脱酸工程を行い、かつ、電磁攪拌を伴い、そのうち、Fe元素としてCuFe母合金を添加し、Cu元素として電気銅板を用いて、均一な合金溶液を得た。
【0021】
鋳造ステップ(2):黒鉛張り銅晶析器を使用してステップ(1)で得られた合金溶液を冷却晶析し、鋳造速度を50mm/minとし、長方形の合金インゴットを得た。
【0022】
熱間圧延ステップ(3):ガス炉を使用して、ステップ(2)で得られた合金インゴットを加熱温度890℃で加熱し、3時間保温した後、2ロール可逆圧延機でパス分けして熱間圧延し、まず、2ロール可逆圧延機を予め温度750℃に加熱し、そして、合金インゴットを、厚さが70mmになるまで4パスで熱間圧延した。このプロセスにより、合金の組成成分を均質化して熱間圧延後の金属粒子の析出を低減した。
【0023】
フライス加工ステップ(4):ステップ(3)で熱間圧延して得られた板材を、両面フライス加工装置でフライス厚さ0.5mmで上面フライス加工および下面フライス加工を行った。
【0024】
冷間圧延・焼鈍ステップ(5):ステップ(4)で得られたストリップを冷間圧延し、冷間圧延プロセス中にベルジャー炉を用いて焼鈍温度を600℃に制御しながら焼鈍処理を行って半製品であるストリップを得た。
【0025】
熱処理・洗浄ステップ(6):ステップ(5)で得られた半製品であるストリップを、熱処理温度450℃で熱処理し、熱処理した後表面洗浄を行って最終製品である合金ストリップを得た。
製造された銅鉄合金材をシールドルーム法で測定し、その結果を表1に示した。
本実施例で製造された銅鉄合金材の構造模式図を
図6に示した。
【0026】
実施例2
電磁波シールド性能を備えた銅鉄合金材の製造方法として、下記のステップを含んだ。
【0027】
溶解ステップ(1):パーセンテージで原料中のFe元素の含有率8%、原料中のCu元素の含有率92%で配合された原料を中周波数誘導炉で溶解し、その過程で脱気および脱酸工程を行い、かつ、電磁攪拌を伴い、そのうち、Fe元素としてCuFe母合金を添加し、Cu元素として電気銅板を用いて、均一な合金溶液を得た。
【0028】
鋳造ステップ(2):黒鉛張り銅晶析器を使用してステップ(1)で得られた合金溶液を冷却晶析し、鋳造速度を80mm/minとし、長方形の合金インゴットを得た。
【0029】
熱間圧延ステップ(3):ガス炉を使用して、ステップ(2)で得られた合金インゴットを加熱温度915℃で加熱し、3.5時間保温した後、2ロール可逆圧延機でパス分けして熱間圧延し、まず、2ロール可逆圧延機を予めに温度800℃に加熱し、そして、合金インゴットを、厚さが82mmになるまで6パスで熱間圧延した。このプロセスにより、合金の組成成分を均質化して熱間圧延後の金属粒子の析出を低減した。
【0030】
フライス加工ステップ(4):ステップ(3)で熱間圧延して得られた板材を、両面フライス加工装置でフライス厚さ0.8mmで上面フライス加工および下面フライス加工を行った。そのうち上部フライス盤送り速度は46mm/minであり、下部フライス盤送り速度は77mm/minであった。
【0031】
冷間圧延・焼鈍ステップ(5):ステップ(4)で得られたストリップを冷間圧延し、冷間圧延プロセス中にベルジャー炉を用いて焼鈍温度を660℃に制御しながら焼鈍処理を行って半製品であるストリップを得た。
【0032】
熱処理・洗浄ステップ(6):ステップ(5)で得られた半製品であるストリップを、熱処理温度500℃で熱処理し、熱処理した後表面洗浄を行って最終製品である合金ストリップを得た。
製造された銅鉄合金材をシールドルーム法で測定し、その結果を表1に示した。
本実施例で製造された銅鉄合金材から作製したCFA95(t)0.2mm銅鉄合金放熱板的構造模式図を
図7に示した。
【0033】
実施例3
電磁波シールド性能を備えた銅鉄合金材の製造方法として、下記のステップを含んだ。
【0034】
溶解ステップ(1):パーセンテージで原料中のFe元素の含有率10%、原料中のCu元素の含有率90%で配合された原料を中周波数誘導炉で溶解し、その過程で脱気および脱酸工程を行い、かつ、電磁攪拌を伴い、そのうち、Fe元素としてCuFe母合金を添加し、Cu元素として電気銅板を用いて、均一な合金溶液を得た。
【0035】
鋳造ステップ(2):黒鉛張り銅晶析器を使用してステップ(1)で得られた合金溶液を冷却晶析し、鋳造速度を100mm/minとし、長方形の合金インゴットを得た。
【0036】
熱間圧延ステップ(3):ガス炉を使用して、ステップ(2)で得られた合金インゴットを加熱温度930℃で加熱し、4時間保温した後、2ロール可逆圧延機でパス分けして熱間圧延し、まず、2ロール可逆圧延機を予めに温度850℃に加熱し、そして、合金インゴットを、厚さが95mmになるまで8パスで熱間圧延した。このプロセスにより、合金の組成成分を均質化して熱間圧延後の金属粒子の析出を低減した。
【0037】
フライス加工ステップ(4):ステップ(3)で熱間圧延して得られた板材を、両面フライス加工装置でフライス厚さ1mmで上面フライス加工および下面フライス加工を行った。そのうち、上部フライス盤送り速度は60mm/minであり、下部フライス盤送り速度は90mm/minであった。
【0038】
冷間圧延・焼鈍ステップ(5):ステップ(4)で得られたストリップを冷間圧延し、冷間圧延プロセス中にベルジャー炉を用いて焼鈍温度を700℃に制御しながら焼鈍処理を行って半製品であるストリップを得た。焼鈍処理したとき、ベルジャー炉に窒素ガスとメタノールを加え、窒素ガスの流量を2m3/h~4m3/hとし、メタノールの流量を0.08L/h~0.15L/hとし、加熱時間を15分間~45分間とし、上昇温度を620℃~670℃とし、0.5時間~2.0時間保温処理し、ベルジャー炉の炉圧を180Pa~320Paに制御した。これにより、ストリップの透磁性を高め、熱処理中におけるストリップの酸化を防止した。
【0039】
熱処理・洗浄ステップ(6):ステップ(5)で得られた半製品であるストリップを、熱処理温度550℃で熱処理し、熱処理した後表面洗浄を行って最終製品である合金ストリップを得た。
製造された銅鉄合金材をシールドルーム法で測定し、その結果を表1に示した。
本実施例で製造された銅鉄合金材を顕微鏡下で50倍に拡大したトポグラフィーを
図2に示した。
本実施例で製造された銅鉄合金材を用いて作製されたCFA95(t)0.2mm CPUカバーの構造模式図を
図8に示した。
【0040】
実施例4
電磁波シールド性能を備えた銅鉄合金材の製造方法として、下記のステップを含んだ。
【0041】
溶解ステップ(1):パーセンテージで原料中のFe元素の含有率5%、原料中のCu元素の含有率95%で配合された原料を中周波数誘導炉で溶解し、その過程で脱気および脱酸工程を行い、かつ、電磁攪拌を伴い、そのうち、Fe元素としてCuFe母合金を添加し、Cu元素として電気銅板を用いて、均一な合金溶液を得た。
【0042】
鋳造ステップ(2):黒鉛張り銅晶析器を使用してステップ(1)で得られた合金溶液を冷却晶析し、鋳造速度を50mm/minとし、長方形の合金インゴットを得た。
【0043】
熱間圧延ステップ(3):ガス炉を使用して、ステップ(2)で得られた合金インゴットを加熱温度890℃で加熱し、3時間保温した後、2ロール可逆圧延機でパス分けして熱間圧延し、まず、2ロール可逆圧延機を予めに温度750℃に加熱し、そして、合金インゴットを、厚さが70mmになるまで4パスで熱間圧延した。このプロセスにより、合金の組成成分を均質化して熱間圧延後の金属粒子の析出を低減した。
【0044】
フライス加工ステップ(4):ステップ(3)で熱間圧延して得られた板材を、両面フライス加工装置でフライス厚さ0.5mmで上面フライス加工および下面フライス加工を行った。
【0045】
冷間圧延・焼鈍ステップ(5):ステップ(4)で得られたストリップを冷間圧延し、冷間圧延プロセス中にベルジャー炉を用いて焼鈍温度を600℃に制御しながら焼鈍処理を行って半製品であるストリップを得た。
【0046】
熱処理・洗浄ステップ(6):ステップ(5)で得られた半製品であるストリップを、熱処理温度450℃で熱処理し、熱処理した後表面洗浄を行って最終製品である合金ストリップを得た。熱処理の具体的な手順として、第1段階で、前記半製品であるストリップを熱処理炉に置き、温度450℃の条件下で1.2h保温処理し、そして、第2段階で、前記半製品であるストリップを温度500℃の条件下で2h保温し、そして温度450℃まで降温して2.5h保温処理した。これにより、半製品であるストリップの引張強度、曲げ強度等の物性を向上させる。
【0047】
製造された銅鉄合金材をシールドルーム法で測定し、その結果を表1に示した。
【0048】
本実施例で製造された銅鉄合金材を顕微鏡下で100倍に拡大したトポグラフィーを
図3に示した。
【0049】
本実施例で製造された銅鉄合金材を用いて作製された方棒の構造模式図を
図4に示した。
本実施例で製造された銅鉄合金材を用いて作製された丸棒の構造模式図を
図5に示した。
【0050】
実施例5:電磁波シールド性能を備えた銅鉄合金材の製造方法として、下記のステップを含んだ。
【0051】
溶解ステップ(1):パーセンテージで原料中のFe元素の含有率8%、原料中のCu元素の含有率92%で配合された原料を中周波数誘導炉で溶解し、その過程で脱気および脱酸工程を行い、かつ、電磁攪拌を伴い、そのうち、Fe元素としてCuFe母合金を添加し、Cu元素として電気銅板を用いて、均一な合金溶液を得た。
【0052】
鋳造ステップ(2):黒鉛張り銅晶析器を使用してステップ(1)で得られた合金溶液を冷却晶析し、鋳造速度を80mm/minとし、長方形の合金インゴットを得た。
【0053】
熱間圧延ステップ(3):ガス炉を使用して、ステップ(2)で得られた合金インゴットを加熱温度915℃で加熱し、3.5時間保温した後、2ロール可逆圧延機でパス分けして熱間圧延し、まず、2ロール可逆圧延機を予めに温度800℃に加熱し、そして、合金インゴットを、厚さが82mmになるまで6パスで熱間圧延した。このプロセスにより、合金の組成成分を均質化して熱間圧延後の金属粒子の析出を低減した。
【0054】
フライス加工ステップ(4):ステップ(3)で熱間圧延して得られた板材を、両面フライス加工装置でフライス厚さ0.8mmで上面フライス加工および下面フライス加工を行った。そのうち、上部フライス盤送り速度は46mm/minであり、下部フライス盤送り速度は77mm/minであった。
【0055】
冷間圧延・焼鈍ステップ(5):ステップ(4)で得られたストリップを冷間圧延し、冷間圧延プロセス中にベルジャー炉を用いて焼鈍温度を660℃に制御しながら焼鈍処理を行って半製品であるストリップを得た。
【0056】
熱処理・洗浄ステップ(6):ステップ(5)で得られた半製品であるストリップを、熱処理温度500℃で熱処理し、熱処理した後表面洗浄を行って最終製品である合金ストリップを得た。研磨装置を使用して最終製品である合金ストリップを研磨処理し、かつ磁粉探傷と超音波探傷による処理を行い、最終製品である合金ストリップの表面と内部に欠陥がないことを確保するために、最終製品である合金ストリップにクラックがないかどうかを確認した。
製造された銅鉄合金材をシールドルーム法で測定し、その結果を表1に示した。
本実施例で製造された銅鉄合金材を用いて作製されたシールドルームの構造模式図を
図9に示した。
【0057】
実施例6
電磁波シールド性能を備えた銅鉄合金材の製造方法として、下記のステップを含んだ。
【0058】
溶解ステップ(1):パーセンテージで原料中のFe元素の含有率8%、原料中のCu元素の含有率92%で配合された原料を中周波数誘導炉で溶解し、その過程で脱気および脱酸工程を行い、かつ、電磁攪拌を伴い、そのうち、Fe元素としてCuFe母合金を添加し、Cu元素として電気銅板を用いて、均一な合金溶液を得た。
【0059】
鋳造ステップ(2):黒鉛張り銅晶析器を使用してステップ(1)で得られた合金溶液を冷却晶析し、鋳造速度を77mm/minとし、長方形の合金インゴットを得た。
【0060】
熱間圧延ステップ(3):ガス炉を使用して、ステップ(2)で得られた合金インゴットを加熱温度915℃で加熱し、3.5時間保温した後、2ロール可逆圧延機でパス分けして熱間圧延し、まず、2ロール可逆圧延機を予めに温度800℃に加熱し、そして、合金インゴットを、厚さが83mmになるまで4~8パスで熱間圧延した。このプロセスにより、合金の組成成分を均質化して熱間圧延後の金属粒子の析出を低減した。
【0061】
フライス加工ステップ(4):ステップ(3)で熱間圧延して得られた板材を、両面フライス加工装置でフライス厚さ0.8mmで上面フライス加工および下面フライス加工を行った。そのうち、上部フライス盤送り速度は48mm/minであり、下部フライス盤送り速度は77mm/minであった。
【0062】
冷間圧延・焼鈍ステップ(5):ステップ(4)で得られたストリップを冷間圧延し、冷間圧延プロセス中にベルジャー炉を用いて焼鈍温度を650℃に制御しながら焼鈍処理を行って半製品であるストリップを得た。焼鈍処理するとき、ベルジャー炉に窒素ガスとメタノールを加え、窒素ガスの流量を3m3/hとし、メタノールの流量を0.12L/hとし、昇温時間を32 minとし、昇温温度を650℃とし、1.5時間保温処理し、ベルジャー炉の炉圧を260Paに制御した。これにより、ストリップの透磁性を高め、熱処理中におけるストリップの酸化を防止した。
【0063】
熱処理・洗浄ステップ(6):ステップ(5)で得られた半製品であるストリップを、熱処理温度510℃で熱処理し、熱処理した後表面洗浄を行って最終製品である合金ストリップを得た。熱処理の具体的な手順として、第1段階で、半製品であるストリップを熱処理炉に置き、温度470℃の条件下で1.7h保温処理し、そして、第2段階で、半製品であるストリップを温度610℃の条件下で3h保温し、そして温度510℃まで降温して3.5h保温処理した。これにより、半製品であるストリップの引張強度、曲げ強度等の物性を向上させた。研磨装置を使用して最終製品である合金ストリップを研磨処理し、かつ磁粉探傷と超音波探傷による処理を行い、最終製品である合金ストリップの表面と内部に欠陥がないことを確保するために、最終製品である合金ストリップにクラックがないかどうかを確認した。表面を洗浄するとき、半製品であるストリップを、まず無水アルコールに浸漬し、次に純水で超音波洗浄を行い、最後に高純度窒素ガスでブロー乾燥する。半製品であるストリップの表面を洗浄することにより、半製品であるストリップの表面に付着する不純物が合金材料の電磁波シールド性能に影響を与えることを回避した。
製造された銅鉄合金材をシールドルーム法で測定し、その結果を表1に示した。
本実施例6で製造された銅鉄合金材を用いて作製されたCFA95(t)0.3mm空調パイプの構造模式図を
図10に示した。
【0064】
実施例7
電磁波シールド性能を備えた銅鉄合金材の製造方法として、下記のステップを含んだ。
【0065】
溶解ステップ(1):パーセンテージで原料中のFe元素の含有率10%、原料中のCu元素の含有率90%で配合された原料を中周波数誘導炉で溶解し、その過程で脱気および脱酸工程を行い、かつ、電磁攪拌を伴い、そのうち、Fe元素としてCuFe母合金を添加し、Cu元素として電気銅板を用いて、均一な合金溶液を得た。
【0066】
鋳造ステップ(2):黒鉛張り銅晶析器を使用してステップ(1)で得られた合金溶液を冷却晶析し、鋳造速度を100mm/minとし、長方形の合金インゴットを得た。
【0067】
熱間圧延ステップ(3):ガス炉を使用して、ステップ(2)で得られた合金インゴットを加熱温度930℃で加熱し、4時間保温した後、2ロール可逆圧延機でパス分けして熱間圧延した。
【0068】
フライス加工ステップ(4):ステップ(3)で熱間圧延して得られた板材を、両面フライス加工装置でフライス厚さ1mmで上面フライス加工および下面フライス加工を行った。
【0069】
冷間圧延・焼鈍ステップ(5):ステップ(4)で得られたストリップを冷間圧延し、冷間圧延プロセス中にベルジャー炉を用いて焼鈍温度を700℃に制御しながら焼鈍処理を行って半製品であるストリップを得た。
【0070】
熱処理・洗浄ステップ(6):ステップ(5)で得られた半製品であるストリップを、熱処理温度450℃~550℃で熱処理し、熱処理した後表面洗浄を行って最終製品である合金ストリップを得た。
製造された銅鉄合金材をシールドルーム法で測定し、その結果を表1に示した。
【0071】
【0072】
銅鉄合金の電磁波シールド特性は、以下のとおりである。
【0073】
銅鉄合金は大きな塑性変形を経ると、銅マトリックス内のFe相が「針状」組織(「繊維状」)を呈し、針状形態のFe相が形成する磁場は避雷針の作用と同じ、周辺磁界を吸収し、発電所の磁界と磁場の磁界が反方向性を有し、ヒステリシス現象を起こして互いに打ち消し合い、完全なシールド効果が得られる。
銅鉄合金の応用例
銅鉄合金ストリップ(仕様:(t)0.01mm~(t)0.3mm)
1、5G通信の時代には、ワイヤレス充電とフレキシブル配線板(10μm)に用いる電磁波シールド機能、導電放熱機能を有するプレートが必要されている。
2、ディスプレイバックパネル材用1000mm×1000mm×0.1mmのCFA95ストリップは、ディスプレイメーカーに必要されている。
3、大きなシールドルーム用材料
4、CFA95(t)0.3mmストリップを溶接してなる板材は、コンデンサーパイプなどに用いられる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明の原理及び趣旨から逸脱することなく、これらの実施形態に様々な変更又は修正を加えることができることは、当業者には理解すべきである。したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。