(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】自動車の周囲を監視するためのシステム
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/00 20060101AFI20231211BHJP
B60Q 1/04 20060101ALI20231211BHJP
B60Q 1/18 20060101ALI20231211BHJP
B60Q 1/24 20060101ALI20231211BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20231211BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20231211BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20231211BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20231211BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20231211BHJP
H05B 47/115 20200101ALI20231211BHJP
【FI】
B60Q1/00 C
B60Q1/04 E
B60Q1/18
B60Q1/24 A
B60R11/02 Z
B60W40/02
B60W60/00
G08G1/16 C
H04N7/18 J
H05B47/115
(21)【出願番号】P 2022529963
(86)(22)【出願日】2020-12-07
(86)【国際出願番号】 EP2020084884
(87)【国際公開番号】W WO2021116019
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-05-23
(32)【優先日】2019-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ブランドシュテッター、マルティン
(72)【発明者】
【氏名】アルトマン、ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】シュポルン、マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ベックマン、ハラルド
(72)【発明者】
【氏名】ベドナー、インゲボルグ
(72)【発明者】
【氏名】ヤックル、クリスティアン
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-105084(JP,A)
【文献】特開2008-306546(JP,A)
【文献】特開2012-071674(JP,A)
【文献】国際公開第2018/052087(WO,A1)
【文献】特開2004-209996(JP,A)
【文献】特開2005-350010(JP,A)
【文献】特開2001-158284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/00
H04N 7/18
B60R 11/02
G08G 1/16
B60Q 1/04
B60Q 1/18
B60W 40/02
B60W 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の周囲を監視するためのシステムであって、
前記システム(1)は、少なくとも1つの光学的な画像検知装置(2)と、更に照射装置(3、4)とを含み、光学的な前記画像検知装置(2)は、周囲の第1検知領域(E1)を検知するように構成されており、前記第1検知領域(E1)は、少なくとも部分的に、又は完全に、前記照射装置(3、4)により照射可能であり、また前記照射装置(3、4)は、自動車配光又は自動車配光の一部分を生成するように構成されており、
前記システム(1)は、少なくとも1つの光学的な補助画像検知装置(5)を含み、前記補助画像検知装置(5)は、所謂補助検知領域(E2)を検知するように構成されており、また前記システム(1)は、更に補助照射装置(6)を含み、前記補助照射装置(6)は、第2検知領域とも呼ばれる前記補助検知領域(E2)を、少なくとも部分的に、又は完全に、照射するように構成されていること、
前記システム(1)は、周囲検知装置(7)を有し、前記周囲検知装置(7)は、RADAR及び/又はLIDARを含み、また前記周囲検知装置(7)は、更なる所謂第3検知領域(E3)を検知するように構成されており、また前記周囲検知装置(7)は、第3検知方向(R3)を有すること、
前記第3検知領域(E3)は、前記第2検知領域(E2)と、或いは前記第1検知領域(E1)及び前記第2検知領域(E2)と、それぞれ少なくとも部分的に重なり合うこと、
前記補助照射装置(6)は、前記周囲検知装置(7)の情報に基づいて作動可能であること、
を特徴とするシステム。
【請求項2】
前記画像検知装置(2)は、第1検知方向(R1)に配向されており、前記補助画像検知装置(5)は、第2検知方向(R2)に配向されており、また前記第1検知方向(R1)と前記第2検知方向(R2)は、水平方向において互いに所定の角度αを有し、α≠0であり、又は前記角度αは45°と65°の間にあり、又はα=55°であること、
を特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1検知方向(R1)は、自動車縦軸線(L1)とほぼ平行に延在し、前記第2検知方向(R2)は、前進方向で見て前記自動車縦軸線(L1)から離れていく方向に延在していること、
を特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記照射装置(3、4)は、自動車投光器(10)の構成部品であること、
を特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記画像検知装置(2)は、1つ又は複数のカメラを含み、及び/又は前記補助画像検知装置(5)は、1つ又は複数の補助カメラを含んでいること、
を特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記照射装置(3、4)は、ロービーム配光を生成するためのロービームモジュール(3)、及び/又はハイビーム配光を生成するためのハイビームモジュール(4)を含むか、或いはロービーム配光とハイビーム配光を生成するための複合モジュールを含んでいること、
を特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1検知領域(E1)と前記第2検知領域(E2)は、
- 互いに重なり合わず且つ接触しないか、又は、
- 互いに領域的に重なり合うか、又は、
- 互いに少なくとも部分的に接触すること、
を特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記補助照射装置(6)は、自動車配光又は自動車配光の一部分を生成するための照射装置であるか、又は前記補助照射装置(6)は、ランプ又はLEDの形態の光源であること、
を特徴とする、請求項1~
7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記補助照射装置(6)は、可視範囲内の光を放射するように構成されているか、又は赤外範囲内の光を放射するように構成されていること、
を特徴とする、請求項1~
8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記補助照射装置(6)は、コーナリングライト配光を生成するように構成されていること、
を特徴とする、請求項1~
9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記補助照射装置(6)の照射領域(A3)、所謂補助照射領域は、
- HDラインの下側に位置するか、又は、
- HDラインの下側と上側に位置するか、又は、
- HDラインの下側と上側、並びにHDラインに沿って位置すること、
を特徴とする、請求項1~
10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記補助画像検知装置(5)と前記補助照射装置(6)は、前記補助画像検知装置(5)が画像を検知する時間窓内だけで前記補助照射装置(6)が光を放射するように、同期されて稼働されること、
を特徴とする、請求項1~
11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記補助画像検知装置(5)は、可視光及び/又はIR放射線を検知するように構成されていること、
を特徴とする、請求項1~
12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
自動車用の自動車投光器であって、
前記自動車投光器(10)は、請求項1~
13のいずれか一項に記載のシステム(1)を含んでいること、
を特徴とする自動車投光器。
【請求項15】
光学的な前記画像検知装置(2)は、前記自動車投光器(10)の側方の第1縁部領域に配設されており、及び/又は、光学的な前記補助画像検知装置(5)は、前記自動車投光器(10)の第2縁部領域に配設されていること、
を特徴とする、請求項
14に記載の自動車投光器。
【請求項16】
前記自動車投光器(10)は、カバープレートを有し、また光学的な前記画像検知装置(2)は、第1検知方向(R1)が、光学的な前記画像検知装置(2)に対向する前記カバープレートの領域に対して直角に延在するように配設され、及び/又は、光学的な前記補助画像検知装置(5)は、第2検知方向(R2)が、光学的な前記補助画像検知装置(5)に対向する前記カバープレートの領域に対して直角に延在するように配設されていること、
を特徴とする、請求項
14又は
15に記載の自動車投光器。
【請求項17】
請求項
14~
16のいずれか一項に記載の自動車投光器(10)を1つ、又は左側に1つと右側に1つで2つ備えた自動車であって、
少なくとも前記照射装置(3、4)は、前記自動車(100)の自動車投光器(10)の構成部品であり、及び/又は、更に少なくとも前記補助照射装置(6)は、前記照射装置(3、4)を含んだ自動車投光器(10)の構成部品であること、
を特徴とする自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の周囲を監視するためのシステム、特に自律型又は部分自律型の自動車の周囲を監視するためのシステムに関し、この際、該システムは、少なくとも1つの光学的な画像検知装置と、更に照射装置とを含み、この際、光学的な画像検知装置は、周囲の検知領域(第1検知領域)を検知するように構成されており、またこの際、該検知領域は、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、照射装置により照射可能であり、またこの際、照射装置は、自動車配光又は自動車配光の一部分を生成するように構成されている。
【0002】
更に本発明は、自動車用の自動車投光器(例えば自動車前照灯)、特に自律型又は部分自律型の自動車用の自動車投光器に関し、この際、該自動車投光器は、そのようなシステムを含んでいる。
【背景技術】
【0003】
例えば自家用車のような自動車には、近年では頻繁に画像検知ユニットが設けられており、これらの画像検知ユニットを用い、自動車の周囲、例えば走行方向で見て自動車の前方に位置する領域を監視することができる。画像検知ユニットは、物体認識ユニット及び/又はパターン認識ユニットを含むことができ、或いは1つ又は複数のそのようなユニットが画像検知ユニットに接続されている。このようにして、例えば、人物、及び/又は先行車両、及び/又は対向車両、及び/又は路面標示、及び/又は交通標識などを認識することができる。
【0004】
検知された情報は、例えば、自動車を制御するため又は部分的に制御するため、特に自律型又は部分自律型の自動車を制御するため又は部分的に制御するために使用することができ、及び/又は、自動車の1つの投光器ないし複数の投光器の自動的な配光制御が実行可能である。
【0005】
典型的には、そのような画像検知装置はカメラであり、多くの場合、1つ又は複数の画像検知装置は、前方に向けられ、即ちほぼ走行方向又は走行方向に向けられている。昼間では、画像検知装置(単数ないし複数)の視野領域は、周囲光により良好に照らされている。夜間では、前方に向けられた画像検知装置による検知領域は、1つ又は複数の車両投光器から放射された光により(例えば投光器のロービームモジュール又はハイビームモジュールのようなライトモジュールから放射された光により)照らされる。
【0006】
システムの視野領域を広げるために、部分的には、少なくとも1つの補助的ないし追加的な画像検知装置を設けることができ、該画像検知装置は、通常は前方に向けられた既存の画像検知装置による検知領域に対して横方向の領域を検知することができ、それにより自動車において前方領域に加え、車両の側方領域も観察/検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2012/229645号
【文献】米国特許出願公開第2019/275923号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし車両の側方領域は、車両の1つ又は複数の投光器では、照らすことができないか又は十分に照らすことはできず、特にロービームモジュール又はハイビームモジュールのような投光器の主ライトモジュールでは照らすことはできず、それにより補助的な画像検知装置(単数又は複数)の視野は、夜間では限られている。
【0009】
本発明の課題は、冒頭で述べたシステムが夜間でも完全に機能可能であるための解決策を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題は、冒頭に記載したシステムにおいて、本発明により該システムが、少なくとも1つの光学的な補助画像検知装置を含み、該補助画像検知装置は、所謂補助検知領域を検知するように構成されており、またこの際、該システムは、更に補助照射装置を含み、該補助照射装置は、第2検知領域とも呼ばれる前記補助検知領域を、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、照射するように構成されていることにより、解決される。
即ち本発明の第1の視点により、
自動車の周囲を監視するためのシステムであって、
前記システムは、少なくとも1つの光学的な画像検知装置と、更に照射装置とを含み、光学的な前記画像検知装置は、周囲の第1検知領域を検知するように構成されており、前記第1検知領域は、少なくとも部分的に、又は完全に、前記照射装置により照射可能であり、また前記照射装置は、自動車配光又は自動車配光の一部分を生成するように構成されており、
前記システムは、少なくとも1つの光学的な補助画像検知装置を含み、前記補助画像検知装置は、所謂補助検知領域を検知するように構成されており、また前記システムは、更に補助照射装置を含み、前記補助照射装置は、第2検知領域とも呼ばれる前記補助検知領域を、少なくとも部分的に、又は完全に、照射するように構成されていること、
を特徴とするシステムが提供される。
より詳しくは、前記第1の視点において、
自動車の周囲を監視するためのシステムであって、
前記システムは、少なくとも1つの光学的な画像検知装置と、更に照射装置とを含み、光学的な前記画像検知装置は、周囲の第1検知領域を検知するように構成されており、前記第1検知領域は、少なくとも部分的に、又は完全に、前記照射装置により照射可能であり、また前記照射装置は、自動車配光又は自動車配光の一部分を生成するように構成されており、
前記システムは、少なくとも1つの光学的な補助画像検知装置を含み、前記補助画像検知装置は、所謂補助検知領域を検知するように構成されており、また前記システムは、更に補助照射装置を含み、前記補助照射装置は、第2検知領域とも呼ばれる前記補助検知領域を、少なくとも部分的に、又は完全に、照射するように構成されていること、
前記システムは、周囲検知装置を有し、前記周囲検知装置は、RADAR及び/又はLIDARを含み、また前記周囲検知装置は、更なる所謂第3検知領域を検知するように構成されており、また前記周囲検知装置は、第3検知方向を有すること、
前記第3検知領域は、前記第2検知領域と、或いは前記第1検知領域及び前記第2検知領域と、それぞれ少なくとも部分的に重なり合うこと、
前記補助照射装置は、前記周囲検知装置の情報に基づいて作動可能であること、
を特徴とする。
更に本発明の第2の視点により、
自動車用の自動車投光器であって、
前記自動車投光器は、前記第1の視点に記載のシステムを含んでいること、
を特徴とする自動車投光器が提供される。
更に本発明の第3の視点により、
前記第2の視点に記載の自動車投光器を1つ、又は左側に1つと右側に1つで2つ備えた自動車であって、
少なくとも前記照射装置は、前記自動車の自動車投光器の構成部品であり、及び/又は、更に少なくとも前記補助照射装置は、前記照射装置を含んだ自動車投光器の構成部品であること、
を特徴とする自動車が提供される。
尚、本願の特許請求の範囲に付記された図面参照符号は、専ら本発明の理解の容易化のためのものであり、図示の形態への限定を意図するものではないことを付言する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)
自動車の周囲を監視するためのシステム、特に自律型又は部分自律型の自動車の周囲を監視するためのシステムであって、
前記システムは、少なくとも1つの光学的な画像検知装置と、更に照射装置とを含み、光学的な前記画像検知装置は、周囲の検知領域を検知するように構成されており、前記検知領域は、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、前記照射装置により照射可能であり、また前記照射装置は、自動車配光又は自動車配光の一部分を生成するように構成されており、
前記システムは、少なくとも1つの光学的な補助画像検知装置を含み、前記補助画像検知装置は、所謂補助検知領域を検知するように構成されており、また前記システムは、更に補助照射装置を含み、前記補助照射装置は、第2検知領域とも呼ばれる前記補助検知領域を、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、照射するように構成されていること。
(形態2)
前記画像検知装置は、第1検知方向に配向されており、前記補助画像検知装置は、第2検知方向に配向されており、また前記第1検知方向と前記第2検知方向は、水平方向において互いに所定の角度αを有し、α≠0であり、好ましくは、前記角度αは45°と65°の間にあり、好ましくはα=55°であること、が好ましい。
(形態3)
前記第1検知方向は、自動車縦軸線とほぼ平行に延在し、前記第2検知方向は、前進方向で見て前記自動車縦軸線から離れていく方向に延在していること、が好ましい。
(形態4)
前記照射装置は、特に自動車の、自動車投光器の構成部品であること、が好ましい。
(形態5)
前記画像検知装置は、1つ又は複数のカメラを含み、及び/又は前記補助画像検知装置は、1つ又は複数の補助カメラを含んでいること、が好ましい。
(形態6)
前記照射装置は、ロービーム配光を生成するためのロービームモジュール、及び/又はハイビーム配光を生成するためのハイビームモジュールを含むか、或いはロービーム配光とハイビーム配光を生成するための複合モジュールを含んでいること、が好ましい。
(形態7)
前記第1検知領域と前記第2検知領域は、
- 互いに重なり合わず且つ接触しないか、又は、
- 互いに領域的に重なり合うか、又は、
- 互いに少なくとも部分的に接触し且つできれば領域的に重なり合うこと、が好ましい。
(形態8)
前記システムは、特に非光学的な周囲検知装置を有し、前記周囲検知装置は、例えばRADAR及び/又はLIDARを含み、また前記周囲検知装置は、更なる所謂第3検知領域を検知するように構成されており、また前記周囲検知装置は、第3検知方向を有すること、が好ましい。
(形態9)
前記第3検知領域は、前記第1検知領域及び/又は前記第2検知領域と、好ましくは前記第1検知領域及び前記第2検知領域と、それぞれ少なくとも部分的に重なり合うか、又は前記第3検知領域は、 それらの両方の検知領域のいずれとも重なり合わないこと、が好ましい。
(形態10)
前記補助照射装置は、自動車配光又は自動車配光の一部分を生成するための照射装置であるか、又は前記補助照射装置は、例えばランプ又はLEDの形態の光源であること、が好ましい。
(形態11)
前記補助照射装置は、特に光源が、可視範囲内の光を放射するように構成され、例えば白色光源として構成されているか、又は赤外範囲内の光を放射するように構成されていること、が好ましい。
(形態12)
前記補助照射装置は、コーナリングライト配光を生成するように構成されていること、が好ましい。
(形態13)
前記補助照射装置の照射領域、所謂補助照射領域は、
- HDラインの下側に位置するか、又は、
- HDラインの下側と上側、並びに好ましくはHDラインに沿って位置すること、が好ましい。
(形態14)
前記補助画像検知装置と前記補助照射装置は、前記補助画像検知装置が画像を検知する時間窓内だけで前記補助照射装置が光を放射するように、同期されて稼働されること、が好ましい。
(形態15)
前記補助画像検知装置は、可視光及び/又はIR放射線を検知するように構成されていること、が好ましい。
(形態16)
自動車用の自動車投光器、特に自律型又は半自律型の自動車用の自動車投光器であって、前記自動車投光器は、形態1~15のいずれか1つに記載のシステムを含んでいること。
(形態17)
光学的な前記画像検知装置は、前記投光器の側方の縁部領域に配設されており、及び/又は、光学的な前記補助画像検知装置は、前記投光器の第2縁部領域に配設されていること、が好ましい。
(形態18)
前記投光器は、カバープレートを有し、また光学的な前記画像検知装置は、第1検知方向が、光学的な前記画像検知装置に対向する前記カバープレートの領域に対して直角に延在するように配設され、及び/又は、光学的な前記補助画像検知装置は、第2検知方向が、光学的な前記補助画像検知装置に対向する前記カバープレートの領域に対して直角に延在するように配設されていること、が好ましい。
(形態19)
形態16~18のいずれか1つに記載の自動車投光器を1つ、好ましくは左側に1つと右側に1つで2つ備えた自動車であって、
好ましくは、少なくとも前記照射装置は、前記自動車の自動車投光器の構成部品であり、及び/又は、好ましくは、更に少なくとも前記補助照射装置は、自動車投光器の構成部品であり、特に前記照射装置を含んだ自動車投光器の構成部品であること。
【0012】
このようにして夜間でも又は視野条件が悪いときでも、側方領域を、補助画像検知装置を用いて高い信頼性で検知することができる。
【0013】
この際、例えば、画像検知装置は、第1検知方向に配向されており、補助画像検知装置は、第2検知方向に配向されていることができ、またこの際、第1検知方向と第2検知方向は、水平方向において互いに所定の角度αを有し、この際、α≠0である。
【0014】
「水平方向における」角度とは、2つの垂直面が互いになす角度として理解することができ、この際、それらの垂直面のそれぞれが、異なる検知方向を含んでいる(例えば一方の垂直面は第1検知方向を含み、他方の垂直面は第2検知方向を含んでいる)。
【0015】
各画像検知装置は、例えば水平方向及び/又は垂直方向において所定の検知角度を有する。この検知角度は、それらの検知方向において同じでも異なっていてもよい。「検知方向」とは、水平方向の検知角度及び/又は垂直方向の検知角度を二等分する方向として理解される。
【0016】
好ましくは、前記角度αは45°と65°の間にあることができ、この際、好ましくはα=55°である。このことは、側方領域の良好な検知を可能にする。
【0017】
第1検知方向は、自動車縦軸線とほぼ平行に延在し、第2検知方向は、前進方向で見て自動車縦軸線から離れていく方向に延在している。
【0018】
好ましくは、照射装置は、特に自動車における自動車投光器の構成部品(コンポーネント)である。それによりコンパクトで容易に取り付け可能なユニットが得られる。
【0019】
例えば、画像検知装置は、1つ又は複数のカメラを含んでいる。
【0020】
補助画像検知装置は、好ましくは1つ又は複数の補助カメラを含んでいる。
【0021】
照射装置は、ロービーム配光を生成するためのロービームモジュール、及び/又はハイビーム配光を生成するためのハイビームモジュールを含むか、或いはロービーム配光とハイビーム配光を生成するための複合モジュールを含むことができる。
【0022】
第1検知領域と第2検知領域は、
- 互いに重なり合わず且つ接触しないか、又は、
- 互いに領域的に重なり合うか、又は、
- 互いに少なくとも部分的に接触し且つできれば領域的に重なり合うこと
ができる。
【0023】
本システムは、特に非光学的な周囲検知装置を有することができ、この際、周囲検知装置は、例えばRADAR及び/又はLIDARを含み、またこの際、周囲検知装置は、更なる所謂第3検知領域を検知するように構成されており、またこの際、周囲検知装置は、第3検知方向を有し、この際、好ましくは、第3検知領域は、第1検知領域及び/又は第2検知領域と、好ましくは第1検知領域及び第2検知領域と、それぞれ少なくとも部分的に重なり合うか、又は第3検知領域は、それらの両方の検知領域のいずれとも重なり合わない。
【0024】
第3検知方向は、好ましくは、水平方向で見て、両方の他の検知方向の間に位置するか、又は第2検知方向と第3検知方向が一致することが適用される。
【0025】
本発明によるシステム、例えば車両投光器は、例えばLIDAR/RADARなどのセンサモジュールである補助的な検知装置を含みないし有することができ、該センサモジュールを用い、他の(画像)検知装置に加え、補助的ないし追加的な、例えば補完的な及び/又は冗長的なデータを獲得することができる。検知装置のデータが組み合わされるないし融合される所謂「センサ融合」により、検知された周囲のできるだけ良好な画像ないし結像を形成することができる。
【0026】
好ましくは、補助照射装置は、自動車配光又は自動車配光の一部分を生成するための照射装置であるか、又は補助照射装置は、例えばランプ又はLEDの形態の光源であることができる。
【0027】
使用される補助画像検知装置の形式に応じ、補助照射装置は、特に光源が、可視範囲内の光を放射するように構成され、例えば白色光源として構成されているか、又は赤外範囲内の光を放射するように構成されていることが可能である。
【0028】
例えば、補助照射装置は、コーナリングライト配光を生成するように構成されていることができる。
【0029】
更に、補助照射装置の照射領域、所謂補助照射領域は、
- 例えば対向交通の眩惑を回避するために、ロービームのためのHDライン(明暗ライン)の下側に位置するか、又は、
- ロービームのためのHDラインの下側と上側、並びに好ましくはロービームのためのHDラインに沿って(ないし接して、an)位置し、
それによりできるだけ良好な照射と、従って補助画像検知装置のできるだけ良好なサポートを達成することができる。
【0030】
「照射領域」とは、その名のごとく、それぞれの照射装置により照射される例えば自動車の前方の領域と理解される。自動車配光又は自動車配光の一部分を生成するための照射装置において、この照射領域、所謂主照射領域は、例えばロービーム配光又はハイビーム配光に対応する。
【0031】
好ましくは、補助画像検知装置と補助照射装置は、補助画像検知装置が画像を検知する時間窓(タイムウィンドウ)内だけで補助照射装置が光を放射するように、同期されて稼働される。
【0032】
一般的に、側方領域は持続的に照射される必要はなく、補助画像検知装置が周囲を検知するとき、及び/又は光条件が作動(アクティブ化)を必要とさせるときにだけ、側方領域を照射すれば十分である。
【0033】
例えば、周囲検知装置の情報に基づいて補助照射装置が作動されるように、周囲検知装置に対する連携構成を設けることができる。例えば周囲検知装置が側方領域内に障害物を認識したとしても、補助画像検知装置がこの障害物を認識しない場合には、補助照射装置が作動される。
【0034】
補助画像検知装置は、可視光及び/又はIR放射線を検知するように構成されていることができる。
【0035】
更に本発明は、自動車用の自動車投光器、特に自律型又は半自律型の自動車用の自動車投光器に関し、この際、自動車投光器は、前記のシステムを含み、この際、好ましくは、光学的な画像検知装置は、投光器の側方の縁部領域(第1縁部領域)に配設されており、及び/又は光学的な補助画像検知装置は、投光器の(例えば前記縁部領域とは反対側にある)第2縁部領域に配設されている。
【0036】
好ましくは、投光器は、カバープレート(カバー部材、Abdeckscheibe)を有することができ、またこの際、光学的な画像検知装置は、第1検知方向が、光学的な画像検知装置に対向するカバープレートの領域に対して直角に延在するように配設され、及び/又は、光学的な補助画像検知装置は、第2検知方向が、光学的な補助画像検知装置に対向するカバープレートの領域に対して直角に延在するように配設されていることができる。
【0037】
「カバープレートの対向領域に対して直角の検知方向」との表現は、例えば、検知方向ないし検知方向に延びる線が、カバープレートを通るその通過点において、この通過点でカバープレートに置かれる接線面に対して直角の状態にあることとして理解することができる。
【0038】
更に本発明は、上述したような自動車投光器を1つ、好ましくは左側に1つと右側に1つで2つ備えた自動車に関する。
【0039】
好ましくは、自動車は、上述したようなシステムを含み、この際、少なくとも照射装置は、自動車の自動車投光器の構成部品である。
【0040】
好ましくは、更に少なくとも補助照射装置は、自動車投光器の構成部品であり、特に照射装置を含んだ自動車投光器の構成部品である。
【0041】
以下、図面に基づき、本発明を更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】自動車の左側の1つの自動車投光器を示す図である。
【
図2】2つの自動車投光器を備えた自動車を示す図である。
【実施例】
【0043】
図1は、本発明によるシステム1を示しており、本システム1は、自動車投光器10内に組み込まれているか又はそのような自動車投光器を構成する。本システム1は、カメラ2の形態の光学的な画像検知装置2と、照射装置(照明装置)3、4とを含んでいる。この際、この実施例において、照射装置は、ロービームモジュール3とハイビームモジュール4を含み、これらのモジュールは、ロービーム配光ないしハイビーム配光を生成するように構成されており、当該配光により、それぞれのモジュールが作動されているときには、第1照射領域A1、A2(「主照射領域」)が照射される。
【0044】
カメラ2は、周囲の検知領域(第1検知領域)E1を検知するように構成されており、それによりカメラ2は、検知された周囲の画像を生成することができる。この際、検知領域E1は、ロービームモジュール3及び/又はハイビームモジュール4により、図示されているように少なくとも部分的に、又は好ましくは完全に照射される。
【0045】
本発明により、本システム1は、補助検知領域E2を検知するように構成されている好ましくは補助カメラ5の形態の光学的な補助画像検知装置5を含んでいる。それに加え、本システム1は、補助照射領域A3を有する補助照射装置6を備え、該補助照射装置6は、第2検知領域E2とも呼ばれる補助検知領域E2を、少なくとも部分的に、好ましくは完全に照射するように構成されている。
【0046】
このようにして夜間でも又は視野条件が悪いときでも、本システム1の側方領域、特に自動車投光器10(ないし自動車100、
図2を参照)の側方領域を、補助画像検知装置5を用いて高い信頼性で検知することができる。
【0047】
補助照射装置6は、自動車配光又は自動車配光の一部分を生成するための照射装置としてよく、図示された実施形態において補助照射装置6は、例えばランプ又はLEDの形態の光源である。
【0048】
使用される補助画像検知装置5の形式に依存し、補助照射装置6は、この実施例では光源6が、可視範囲内の光を放射するか(例えば白色光源)、又は赤外範囲内の光を放射する。
【0049】
図示されたシステム1は、更に非光学的な周囲検知装置7を含み、この際、この周囲検知装置7は、例えばRADAR及び/又はLIDARを含み、更なる所謂第3検知領域E3を検知するように構成されている。
【0050】
図1から分かるように、画像検知装置2は、第1検知方向R1に配向されており、補助画像検知装置5は、第2検知方向R2に配向されている。第1検知方向R1と第2検知方向R2は、水平方向で見て互いに所定の角度αをとり、この際、α≠0である。好ましくは、角度αは45°と65°の間にあることができ、この際、好ましくはα=55°である。このことは、側方領域の良好な検知を可能にする。
【0051】
本システム1が左側の自動車投光器10として取り付けられている(好ましくは左右対称的なシステム1が右側の自動車投光器10として同様に車両に取り付けられている)自動車100を示す
図2から分かるように。第1検知方向R1は、自動車縦軸線L1とほぼ平行に延在し、第2検知方向R2は、前進方向で見て自動車縦軸線L1から離れていく方向に延在している。
【0052】
周囲検知装置7は、第3検知方向R3を有し、この際、好ましくは、第3検知領域E3は、第1検知領域E1及び/又は第2検知領域E2と、好ましくは第1検知領域E1及び第2検知領域E2と、それぞれ少なくとも部分的に重なり合っている。
【0053】
周囲検知装置7は、好ましくは両方のカメラ2、5の間に位置している。第3検知方向R3は、好ましくは、水平方向で見て第1検知方向R1に対してゼロに等しくない角度をとり、前進方向において車両縦軸線L1から離れていくように延在している。第3検知方向R3と第1検知方向R1との間の角度は、例えば、第1検知方向R1と第2検知方向R2の間の角度αよりも小さいか又は同じである。
【0054】
好ましくは、図示されているように、光学的な画像検知装置2は、自動車投光器10の側方の縁部領域(第1縁部領域)に配設されており、好ましくは車両内部の方に指向する縁部領域に配設されており、光学的な補助画像検知装置5は、第2縁部領域として、自動車投光器10の車両外側に位置する縁部領域に配設されている。
【符号の説明】
【0055】
1 システム
2 光学的な画像検知装置(カメラ)
3 照射装置(ロービームモジュール)
4 照射装置(ハイビームモジュール)
5 光学的な補助画像検知装置(補助カメラ)
6 補助照射装置
7 非光学的な周囲検知装置
10 自動車投光器
100 自動車
A1 第1照射領域(主照射領域)
A2 第1照射領域(主照射領域)
A3 補助照射領域
E1 周囲の検知領域(第1検知領域)
E2 補助検知領域(第2検知領域)
E3 第3検知領域
R1 第1検知方向
R2 第2検知方向
R3 第3検知方向
L1 自動車縦軸線
α 第1検知方向と第2検知方向の間の角度