(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】金属-セラミック基板を生産する方法及びそのような方法によって生産された金属-セラミック基板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/38 20060101AFI20231211BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
H05K3/38 B
H05K1/03 630J
H05K1/03 630H
(21)【出願番号】P 2022537703
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 EP2020084468
(87)【国際公開番号】W WO2021122035
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】102019135099.9
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515063390
【氏名又は名称】ロジャーズ ジャーマニー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Rogers Germany GmbH
【住所又は居所原語表記】Am Stadtwald 2, D-92676 Eschenbach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、カルステン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルカー、ティロ
(72)【発明者】
【氏名】ブリッティング、シュテファン
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-049589(JP,A)
【文献】特開平07-307538(JP,A)
【文献】特開昭60-108377(JP,A)
【文献】特開2017-065935(JP,A)
【文献】特開平05-163078(JP,A)
【文献】国際公開第2008/149818(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/38
H05K 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層方向(S)に沿って重ねて配置されている少なくとも1つの第1の金属層(20)とセラミック要素(10)と少なくとも1つの第2の金属層(22)とを有する金属-セラミック基板(1)を生産する方法であって、前記セラミック要素(20)は、前記少なくとも1つの第1の金属層(20)と前記少なくとも1つの第2の金属層(22)との間に前記積層方向(S)に配置されており、前記少なくとも1つの第1の金属層(20)は特に金属材料に関して前記少なくとも1つの第2の金属層(22)と異なる、方法であり、
-前記セラミック要素(10)を設けることと、
-前記セラミック要素(10)の第1の側(S1)上に、第1の活性金属層(31)と第1の湿潤金属層(32)とを含む第1のインターフェイスメタライゼーション(15)を形成することと、
-前記セラミック要素(10)の前記第1の側(S1)と反対側にある前記セラミック要素(10)の第2の側(S2)上に、第2の活性金属層(41)と第2の湿潤金属層(42)とを含む第2のインターフェイスメタライゼーション(16)を形成することと、
-特に活性はんだ付けプロセスによって前記第1のインターフェイスメタライゼーション(15)に前記少なくとも1つの第1の金属層(20)を接合し、前記金属-セラミック基板(1)を形成することと、
-特に活性はんだ付けプロセスによって前記第2のインターフェイスメタライゼーション(16)に前記少なくとも1つの第2の金属層(22)を接合することと、を含み、
前記第1のインターフェイスメタライゼーション(15)及び前記第2のインターフェイスメタライゼーション(16)の少なくとも一方は、前記第1のインターフェイスメタライゼーション(15)に前記少なくとも1つの第1の金属層(20)を前記接合すること及び前記第2のインターフェイスメタライゼーション(16)に前記少なくとも1つの第2の金属層(22)を前記接合することの少なくとも一方に先だって、特に一時的にエネルギー入力(40)に曝される、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1の金属層(20)を前記接合することと前記少なくとも1つの第2の金属層(22)を前記接合することとは同時に実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1の金属層(20)及び前記少なくとも1つの第2の金属層(22)を前記接合することは、800℃未
満のはんだ付け温度で行われる、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1の金属層(20)及び前記少なくとも1つの第2の金属層(22)の少なくとも一方は、ハイブリッド構造及び表面改質の少なくとも一方を含
み、
前記ハイブリッド構造は、第1の部分セクションと、前記第1の部分セクションよりも薄く、より低い溶解温度を有するとともに前記セラミック要素(10)に面する側に配置される第2の部分セクションと、を含む、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
-前記第1の活性金属層(31)を少なくともセクション毎に最初に配置すること及び前記第2の活性金属層(41)を少なくともセクション毎に最初に配置することの少なくとも一方、が堆積プロセスによって行われ、
又は、
-前記活性金属層(31)上に前記第1の湿潤金属層(32)を少なくともセクション毎に次に配置すること及び前記第2の活性金属層(42)上に前記第2の湿潤金属層(42)を少なくともセクション毎に次に配置することの少なくとも一方、が堆積プロセスによって行われ、
又は、
-前記第1の活性金属層(31)を少なくともセクション毎に最初に配置すること及び前記第2の活性金属層(41)を少なくともセクション毎に最初に配置することの少なくとも一方、及び
-前記活性金属層(31)上に前記第1の湿潤金属層(32)を少なくともセクション毎に次に配置すること及び前記第2の活性金属層(42)上に前記第2の湿潤金属層(42)を少なくともセクション毎に次に配置することの少なくとも一方、が堆積プロセスによって行われ、
前記最初に配置することと前記次に配置することとの間に、前記第1の活性金属層(31)及び前記第2の活性金属層(41)の少なくとも一方は更なるエネルギー入力に曝される、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
光がエネルギー入力(40)及び更なるエネルギー入力の少なくとも一方として使用される、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
光フラッシュが使用され、前記第1の活性金属層(31)、前記第2の活性金属層(41)、前記第1の湿潤金属層(32)及び前記第2の湿潤金属層(42)の少なくとも1つに対する前記光フラッシュの前記エネルギー入力(40)は
、少なくとも5k
Wである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の活性金属層(31)は第1の厚み(D1)を有し、前記第1の湿潤金属層(32)は第2の厚み(D2)を有し、前記第1の厚み(D1)及び前記第2の厚み(D2)の少なくとも一方は、0nm
よりも大きく5000nm
以下の値をとる、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のインターフェイスメタライゼーション(15)及び前記第2のインターフェイスメタライゼーション(16)の少なくとも一方を形成するためにプロセスガスが使用される、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の方法によって生産された金属-セラミック基板(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属-セラミック基板を生産する方法及びそのような方法によって生産された金属-セラミック基板に関する。
【背景技術】
【0002】
金属-セラミック基板は、例えばプリント回路基板又は回路基板として、先行技術、例えば特許文献1、特許文献2及び特許文献3から十分に周知である。典型的には、電気構成要素の接続領域及び導体トラックは金属-セラミック基板の部品面に配置されており、電気構成要素と導体トラックは相互接続されて電気回路を形成することができる。金属-セラミック基板の必須の構成要素は、好ましくはセラミック製の絶縁層及び絶縁層に接合された少なくとも1つの金属層である。その比較的高い絶縁強度のために、セラミック製の絶縁層はパワーエレクトロニクスにおいて特に有利であることが判明している。したがって、金属層を構造化することによって、導体トラック及び/又は電気構成要素の接続領域が実現され得る。
【0003】
そのような金属-セラミック基板を設けることの必須要件は、金属層とセラミック層との間の永久接合である。いわゆる直接接合プロセス、すなわち、DCB(Direct Copper Bonding:直接銅接合)又はDAB(Direct Aluminum Bonding:直接アルミニウム接合)プロセスに加えて、はんだ材料を介してセラミック層に金属層を接合することが先行技術から周知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許出願公開第102013104739号明細書
【文献】独国特許発明第19927046号明細書
【文献】独国特許出願公開第102009033029号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
典型的には、表側メタライゼーションと裏側メタライゼーションが金属材料に関して同一である、例えば、それぞれ銅製である金属-セラミック基板が提供される。この場合、異なる金属の接合は通常不可能である。なぜなら、プロセステンパー(Prozess-Tempe-ruren)がこれを可能にしないからである。金属とセラミックの異なる膨張係数により、連続的な結合はより困難になる。
【0006】
この先行技術に基づいて、本発明の目的は、改良された、セラミック層に金属層を接合する、特に、セラミック層に第1の金属層及び第2の金属層を接合する方法を提供することであり、第1の金属層と第2の金属層は、材料組成の点において互いに異なる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に記載の金属-セラミック基板を生産する方法及び請求項10に記載のそのような方法によって生産される金属-セラミック基板によって達成される。従属請求項並びに明細書及び添付の図から更なる利点及び特性が得られる。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、積層方向に沿って重ねて配置されている少なくとも1つの第1の金属層とセラミック要素と少なくとも1つの第2の金属層とを有する金属-セラミック基板を生産する方法であって、セラミック要素は、少なくとも1つの第1の金属層と少なくとも1つの第2の金属層との間に積層方向に配置されており、少なくとも1つの第1の金属層は少なくとも1つの第2の金属層と異なる、方法であり、
-セラミック要素を設けることと、
-セラミック要素の第1の側上に第1のインターフェイスメタライゼーションを形成することであって、第1のインターフェイスメタライゼーションは第1の活性金属層と第1の湿潤金属層とを含む、ことと、
-セラミック要素の第1の側と反対側にあるセラミック要素の第2の側上に第2のインターフェイスメタライゼーションを形成することであって、第2のインターフェイスメタライゼーションは、第2の活性金属層と第2の湿潤金属層とを含む、ことと、
-特に活性はんだ付けプロセスによって第1のインターフェイスメタライゼーションに少なくとも1つの第1の金属層を接合し、金属-セラミック基板を形成することと、
-特に活性はんだ付けプロセスによって第2のインターフェイスメタライゼーションに少なくとも1つの第2の金属層を接合することと、を含み、
第1のインターフェイスメタライゼーション、特に、第1の活性金属層及び/若しくは第1の湿潤金属層、並びに/又は第2のインターフェイスメタライゼーション、特に、第2の活性金属層及び/若しくは第2の湿潤金属層は、第1のインターフェイスメタライゼーションに少なくとも1つの第1の金属層を接合すること及び第2のインターフェイスメタライゼーションに少なくとも1つの第2の金属層を接合することに先だって、特に一時的にエネルギー入力に曝される、方法が提供される。
【0009】
先行技術で提供される方法と比較すると、本発明によれば、第1のインターフェイスメタライゼーションはセラミック要素の第1の側上に設けられ、第2のインターフェイスメタライゼーションは第1の側と反対側にあるセラミック要素の第2の側上に設けられるようになっている。この場合、第1のインターフェイスメタライゼーション及び/又は第2のインターフェイスメタライゼーションは、セラミック要素に少なくとも1つの第1の金属層又は少なくとも1つの第2の金属層を接合するためのある種のアダプタ又は結合層を提供する役割を果たす。このようにして、有利には、少なくとも1つの第1の金属層が第1のインターフェイスメタライゼーションに接合される及び/又は少なくとも1つの第2の金属層が第2のインターフェイスメタライゼーションに接合されるはんだ付けプロセスを適応させることが可能であり、したがって、例えば、同程度の又は同一のはんだ付け温度での、特に、両側同時の材料接合につながるはんだ付け材料が使用され得る。特に、金属-セラミック基板の製造プロセス時に既に、生産される金属-セラミック基板の耐用年数をさもなければ減少させる可能性のある対応する熱機械的に誘起される応力を回避するために、生産される金属-セラミック基板に対して比較的低い熱負荷を生じさせるはんだ材料を使用することが考えられる。
【0010】
更に、第1のインターフェイスメタライゼーション及び第2のインターフェイスメタライゼーションによって、少なくとも1つの第1の金属層及び少なくとも1つの第2の金属層の材料選択がより自由になることが可能であり、例えば、裏側メタライゼーションとして、すなわち、少なくとも1つの第2の金属層としてアルミニウムを使用することができ、少なくとも1つの第1の金属層及び/又は表側メタライゼーションとして銅層を使用することができる。このようにして、生産される金属-セラミック基板の費用及び/又は重量を削減することができる。好ましくは、セラミック要素は、少なくとも1つのセラミック層を含む。好ましくは、セラミック要素は、熱放散のために1.4mm超の厚みを有する金属中間層が間に提供された、又はハイブリッドセラミックを提供するために異なっている少なくとも2つのセラミック層を含む。
【0011】
好ましくは、金属-セラミック基板はプリント回路基板(PCB)である。例えば、当該方法は、大きなカードを形成するために使用され、その後、分離プロセスにおいて、いくつかの個々の金属-セラミック基板が大きなカードから形成される。特に、第1のインターフェイスメタライゼーションに少なくとも1つの第1の金属層を接合した後、又は第2のインターフェイスメタライゼーションに少なくとも1つの第2の金属層を接合した後、例えば、エッチング、特に、多段階エッチング及び/又はミリングによって、少なくとも1つの第1の金属層及び/又は少なくとも1つの第2の金属層の構造化が行われるようになっている。このようにして、例えば、少なくとも1つの第1の金属層に導体トラック及び/又は接続が作製され得る。少なくとも1つの第2の金属層内に例えばフィンの形態の構造化物が実現されることも考えられ、フィンは、冷却構造体の一部である又は冷却構造体を形成し、これに沿って更に、金属-セラミック基板の動作時に冷却流体が案内され、少なくとも1つの第1の金属層上の構成要素の動作中に発生した対応する熱を放散する。
【0012】
特に、第1及び/又は第2の活性金属層と第1及び/又は第2の湿潤金属層はそれらの材料の選択に関して異なる。例えば、第1及び/又は第2の活性金属層の材料は、Ti、Zr、Hf、Cr、Nb及び/又はVであり、好ましくは、第1及び/又は第2の湿潤金属層の材料は、Cu、Ag、Ni、In及び/又は類似の金属である。特に、プロセスガス雰囲気中でエネルギー入力及び/又は更なるエネルギー入力の適用によって第1及び/又は第2の活性金属層が少なくとも1つのセラミック層に接合される場合、酸化銅が第1及び/又は第2の湿潤金属層として使用されることも考えられる。更に、積層方向から見て、第1及び/又は第2の湿潤金属層が第1及び/又は第2の活性金属層に直接隣接するようになっている。更に、第1及び/又は第2の湿潤金属層並びに/又は第1又は第2の活性金属層は、上側の第1及び/若しくは第2の湿潤金属層並びに/又はセラミック要素の下側の第1若しくは第2の活性金属層と異なることが考えられる。
【0013】
更に、金属-セラミック基板は、セラミック要素の上側に接合された少なくとも1つの第1の金属層とセラミック要素の下側に接合された少なくとも1つの第2の金属層とを含み、少なくとも1つの第1の金属層、少なくとも1つの第2の金属層、及びセラミック要素は、主伸張平面に沿って延び、主伸張平面に対して垂直に延びる積層方向に沿って重ねて配置されている。少なくとも1つの第1の金属層及び/又は少なくとも1つの第2の金属層の材料として、銅、アルミニウム、モリブデン及び/又はそれらの合金、並びにCuW、CuMo、CuAl、AlCu及び/又はCuCu等の積層体、特に、第1の銅層と第2の銅層とを有し、第1の銅層中の粒径が第2の銅層と異なる銅サンドイッチ構造が考えられる。少なくとも1つの金属層は表面改質されていることが更に好ましい。考えられる表面改質は、例えば、貴金属、特に銀及び/若しくは金若しくはENIG(electroless nickel immersion gold)(「無電解ニッケル浸漬金」)による封止、又はクラック形成及び/若しくは膨張を抑制するための少なくとも1つの第1及び/若しくは第2の金属層のエッジ封入である。
【0014】
好ましくは、1つのセラミック要素は、Al2O3、Si3N4、AlN、HPSXセラミック(すなわち、xパーセントのZrO2を含むAl2O3マトリックスを有するセラミック、例えば、9%ZrO2を含むAl2O3=HPS9又は25%ZrO2を含むAl2O3=HPS25)、SiC、BeO、MgO、高密度MgO(理論密度の90%超)、TSZ(tetragonally stabilized zirconia:正方晶安定化ジルコニア)、又はセラミックの材料としてのZTAを含む。この状況において、様々な所望の性質を組み合わせるためにそれぞれ材料組成の点で異なるいくつかのセラミック層が順に重ねて配置され、互いに接合されて絶縁層を形成する複合及び/又はハイブリッドセラミックとしてセラミック要素が設計されることも考えられる。好ましくは、最低可能熱抵抗のために可能な限り熱伝導性の高いセラミックが使用される。
【0015】
更に、少なくとも1つのセラミック層に加えて、セラミック要素内に少なくとも1つの更なるセラミック層が提供されることが考えられ、金属中間層が少なくとも1つのセラミック層と少なくとも1つの更なるセラミック層との間に配置され、金属中間層は、好ましくは1.4mmよりも厚い並びに/又は少なくとも1つのセラミック層及び少なくとも1つの更なるセラミック層よりも厚い。
【0016】
好ましくは、金属層は、AMB(active metal brazing:活性金属ろう付け)プロセス及び/又はDCBプロセスによってセラミック層に接合される。
当業者であれば、「DCBプロセス」(直接銅接合技術)又は「DABプロセス」(直接アルミニウム接合技術)は、例えば、それらの表面側に層又はコーティング(融合層)を有する金属及び/若しくは銅シート又は金属及び/若しくは銅箔を使用して、金属層又はシート(例えば、銅シート若しくは箔又はアルミニウムシート若しくは箔)を互いに及び/又はセラミックス若しくはセラミック層に接合するために使用されるプロセスであると理解している。例えば、米国特許第3744120号明細書又は独国特許発明第2319854号明細書に記載されているこのプロセスでは、この層又はコーティング(融合層)は、金属(例えば銅)の溶解温度未満の溶解温度で共晶を形成するため、セラミック上に箔を置き、全ての層を加熱することによって、すなわち実質的に融合層及び/又は酸化膜の領域内のみの金属及び/又は銅が溶解することにより、これらは互いに接合され得る。
【0017】
特に、DCBプロセスはしたがって、例えば、以下の工程段階を有する。
・均一な酸化銅層が形成されるように銅箔を酸化させること。
・セラミック層上に銅箔を置くこと。
【0018】
・約1025~1083℃、例えば約1071℃のプロセス温度に複合材を加熱すること。
・室温に冷却すること。
【0019】
例えば、金属層又は金属箔、特にまた、銅層又は銅箔をセラミック材料と接合するための活性はんだ付けプロセスとは、特にまた、金属-セラミック基板を生産するために使用されるプロセスを意味し、銅、銀及び/又は金等の主成分に加えて活性金属も包含する硬ろうを使用して、金属箔、例えば銅箔と、セラミック基板、例えば窒化アルミニウムセラミックとの間に約650~1000℃の温度で接合が生成される。この活性金属(例えば、群Hf、Ti、Zr、Nb、Ceのうちの少なくとも1つの元素)は、化学反応によって硬ろうとセラミックとの間に接続を確立し、硬ろうと金属との間の接続は金属硬ろう接続である。代替的に、接合のために厚膜プロセスも考えられる。
【0020】
特に、はんだ材料は、好ましくは銀ベース又は銅ベースのはんだ材料である。銀ベースのはんだ材料においては、銀が主成分、すなわち最大重量パーセントの成分であり、銅ベースのはんだ材料においては、銅が主成分である。銀ベースのはんだ材料の例は、AgCu、特に、AgCu28、AgCuIn、AgCuSn、及びAgCuGaである。銅ベースの母材の例は、銅CuSn、CuIn、CuGa、CuInSn、CuInMb、CuGaSnである。NiCrMn、Sn、SnSb、又はSnCuをベース材料として使用することも考えられる。
【0021】
好適な実施形態によれば、少なくとも1つの第1の金属層を接合することと少なくとも1つの第2の金属層を接合することとは、同時に実施される又は少なくとも部分的に同時に実施されるようになっている。このことは、有利には、セラミック要素に少なくとも1つの第1の金属層及び/又は少なくとも1つの第2の金属層を同時に接合することを可能にする。したがって、製造される金属-セラミック基板は、セラミック要素に少なくとも1つの第1の金属層及び少なくとも1つの第2の金属層を接合するために必要とされる不必要に長い温度処理に曝されない。更に、金属-セラミック基板の生産の過程で時間とエネルギーを有利に節約することができるため、生産プロセスが加速する。
【0022】
更に、セラミック要素が、少なくとも1つのセラミック層及び/又はセラミック層を含む少なくとも1つの複合物を含むようになっていることが好ましい。例えば、セラミック要素は少なくとも2つのセラミック層を含み、少なくとも2つのセラミック層の間に金属中間層が配置されることが考えられる。金属中間層は、1.4mmよりも大きい及び/又は複合物の各セラミック層の層厚みよりも厚い。その結果、中間金属層は2つのセラミック層の間に実装することができ、このことは既に熱放散に寄与することができ、したがって、放熱を支持する及び/又は向上させる。
【0023】
更に、少なくとも1つの第1の金属層及び少なくとも1つの第2の金属層を接合することは、800℃未満、好ましくは700℃未満、より好ましくは650℃未満のはんだ付け温度で行われるようになっていることが好ましい。好ましくは、230℃~650℃のはんだ付け温度が提供される。特に、一般に使用される直接金属接合プロセス、例えばDCB若しくはDABプロセスの状況で、又は少なくとも1つの第1の金属層及び/若しくは少なくとも1つの第2の金属層が少なくとも1つのセラミック要素に直接接合されるはんだ付けプロセスにおいて使用される温度と比較すると、金属-セラミック基板の生産時に、一般に使用されるはんだ付け材料のはんだ付け温度又はプロセス温度よりも低いはんだ付け温度を使用することが可能である。これは特に有利であることが判明している。なぜなら、生産時に、個々の層の膨張は、生産される金属-セラミック基板の耐用年数にとって好ましくない、生産される金属-セラミック基板中の熱機械的応力及び/又は機械的応力の存在につながるからである。更に、生産プロセス時のエネルギー入力を低減することができる。
【0024】
好都合なことに、少なくとも1つの第1の金属層及び/又は少なくとも1つの第2の金属層はハイブリッド構造及び/又は表面改質を含むようになっている。これにより、有利には、少なくとも1つの第1及び/又は第2の金属層の接合特性を更に向上させることを可能にする。例えば、少なくとも1つの第1の金属層は、この目的で、少なくとも1つの第1の金属層の第1の部分セクションよりも薄く、特に、より低い溶解温度を有する第2の部分セクションを含む。第1のインターフェイスメタライゼーションの第1の側に接合することは、したがって、第2の部分セクションを介して行われる。例えば、第1の部分セクションは、第1の金属層の第2の部分セクションが形成される金属の金属合金でできている。例えば、少なくとも1つの第2の金属層の第1の部分セクション及び第2の部分セクションはめっき処理される、又は第1及び/若しくは第2の部分セクションは表面改質されてハイブリッド構造を形成することも考えられる。例えば、少なくとも1つの第2の金属層が、第2の側に面するAlSi層を有することが考えられ、これにより、セラミック要素に少なくとも1つの第2の金属層を接合することを容易にする。
【0025】
好ましくは、
-第1の活性金属層及び/又は第2の活性金属層を少なくともセクション毎に(zumindest abschnittsweise)最初に配置すること、及び/又は
-活性金属層上に第1の湿潤金属層を及び/又は第2の活性金属層上に第2の湿潤金属層を少なくともセクション毎に次に配置すること、が堆積プロセスによって行われ、
最初に配置することと次に配置することとの間に、第1の活性金属層及び/又は第2の活性金属層は更なるエネルギー入力に曝されるようになっている。特に、第1のインターフェイスメタライゼーション及び/又は第2のインターフェイスメタライゼーションをエネルギー入力及び/又は更なるエネルギー入力によって実現すると有利であることが見出されている。特に、第1の活性金属層、第2の活性金属層、第1の湿潤金属層及び/又は第2の湿潤金属層の比較的薄い設計により、目標とするエネルギー入力の枠組み内において、セラミック要素の第1及び/又は第2の側に対する材料接合をもたらす金属の溶解を生じさせることが可能になるという事実が利用される。エネルギー入力及び/又は更なるエネルギー入力を連続的に用いることにより、第1のエネルギー入力及び更なるエネルギー入力に使用されるパワー部分をいずれの場合においても可能な限り低く維持することができ、それにより、生産される金属-セラミック基板に対する各々の負荷が可能な限り低く維持される。
【0026】
好ましくは、光がエネルギー入力又は更なるエネルギー入力として使用されるようになっている。例えば、特に、第1の活性金属層、第2の活性金属層、第1の湿潤金属層、又は第2の湿潤金属層に向けられるレーザ光が使用される。好ましくは、光フラッシュが使用されるようになっており、活性金属層及び/又は湿潤金属層に対する光フラッシュのエネルギー入力は、好ましくは少なくとも5kW、より好ましくは少なくとも8kW、更により好ましくは10kW~15kWである。特に、エネルギー入力は、活性金属層及び/又は湿潤金属層の全面積に0.6ms~20msにわたって光フラッシュを当てるいわゆる「フラッシュライトアニーリング」の枠組み内において行われる。このようにして、活性金属層及び/又は湿潤金属層は、全面積にわたって、例えば、約800℃の短期的な加熱の形態の短い熱衝撃に曝される。好ましくは、エネルギー密度が0.01J/cm2~100J/cm2、好ましくは0.5J/cm2~15J/cm2及び/又はパルス持続時間が0.2ms~20msの光フラッシュが使用される。そのような光フラッシュによる処理は、少なくとも1つの金属層及び/又は少なくとも1つの更なる金属層の実際の接合の前の準備工程の一部として、記載のインターフェイスメタライゼーションの形成を可能にすることが見出されている。例えば、対応する光フラッシュによるエネルギー入力は、活性金属中に以下の反応を生じさせる。
【0027】
Si3N4+Ti→TiN+Ti3Si5
代替的に及び/又は追加的に、エネルギー入力及び/又は更なるエネルギー入力は、焼結及び/又はテンパリングを含むようになっており、すなわち、好ましくは、活性金属層及び/又は湿潤金属層は特に不活性条件下で加熱又は加温される。加熱は真空中又は不活性ガス雰囲気中で行われると考えられる。エネルギー入力は誘導効果によって開始されることも考えられる。活性金属層及び/又は湿潤金属層は、エネルギー入力及び/又は更なるエネルギー入力中に、加圧される、すなわち、互いに押し付けられることも考えられる。
【0028】
好ましくは、最初に配置すること及び/又は次に配置することは、堆積プロセスによって、特に、物理気体蒸着プロセスによって実現されるようになっている。例えば、これには、DCスパッタリング及び/又は反応性スパッタリングを伴う。このようにして、比較的薄い第1若しくは第2の活性金属層及び/又は第1若しくは第2の湿潤金属層を特に実現することができ、このことは更に、セラミック要素に少なくとも第1及び/又は第2の活性金属層を接合するために必要なエネルギー入力に良い影響をもたらす。更に、例えば、堆積プロセスの過程で、対応するマスキングによって、第1及び/若しくは第2のインターフェイスメタライゼーション並びに/又は少なくとも第1及び/若しくは第2の活性金属層並びに/又は第1及び/若しくは第2の湿潤金属層の構造化が行われるようになっていることが好ましい。少なくとも第1の金属層の計画された構造化に好ましくは対応する第1のインターフェイスメタライゼーションにおけるこのような構造化は、計画された構造化の領域内でセラミック要素に少なくとも第1の金属層が接合することを有利に阻止し、それにより、最終構造化のために提供されるエッチング工程、いわゆる「第2のエッチング」(すなわち、少なくとも第1の金属層の個々の金属セクション間の分離トレンチを実現するエッチング工程)が簡略化され得る。更に、第1若しくは第2の活性金属層及び/又は第1若しくは第2の湿潤金属層が、好ましくは活性金属としてCrを用いて、ガルバニック的に及び/又は電気化学的に及び/又は無電流湿式化学的に実現されると考えられる。
【0029】
更なる好適な実施形態では、第1の活性金属層は第1の厚みを有し、第1の湿潤金属層は第2の厚みを有し、第1の厚み及び/又は第2の厚みは、0nm又は10nm~5,000nm、好ましくは50nm~2,500nm、特に好ましくは100nm~1000nmの値をとるようになっている。特に、第1の厚みは第2の厚みに実質的に等しいことが特に好ましい。しかしながら、第2の厚みは第1の厚みの最大5倍超であることも考えられる。この状況において、「実質的に等しい」とは、特に、値が互いに等しい又は50%、好ましくは30%若しくはより好ましくは10%の許容差内に相当することを意味するものと理解される。第1の活性金属層及び/又は第1の湿潤金属層を適切に寸法決めすることにより、有利には、セラミック要素に第1のインターフェイスメタライゼーションを接続するための材料接合を実現するために、対応するエネルギー入力によって比較的容易に溶解するこの目的のための層システムを提供することが可能である。特に、第1及び第2の厚みの上記関係は、第2の活性金属層及び第2の湿潤金属層にも同様に当てはまる。
【0030】
更に、第1の湿潤金属層と第2の湿潤金属層は特に金属材料に関して互いに異なることが特に好ましい。これにより、第1のインターフェイスメタライゼーションに対する少なくとも1つの第1の金属層の接合プロセスと第2のインターフェイスメタライゼーションに対する少なくとも1つの第2の金属層の接合との間で使用されるはんだ材料に更に影響を及ぼすことが可能である。
【0031】
好ましくは、第1のインターフェイスメタライゼーション及び/又は第2のインターフェイスメタライゼーションを形成するために、特に、エネルギー入力及び/又は更なるエネルギー入力の導入中にプロセスガスが使用されるようになっている。例えば、プロセスガスは、アルゴン、窒素及び/又は酸素である。このようなプロセスガスを使用することにより、有利には、第1の活性金属層、第2の活性金属層、第1の湿潤金属層及び/又は第2の湿潤金属層中に対応する酸化物及び/又は窒化物を形成することが可能である。これらは、ある種の保護層を形成するので、中間貯蔵(Zwischenla-gern)に特に有利であることが判明している。
【0032】
本発明の更なる目的は、本発明による方法によって生産された金属-セラミック基板である。方法に関して記載されている全ての利点及び特徴は、同様に、金属-セラミック基板に移し替えることができ、その逆もまた然りである。
【0033】
更なる利点及び特徴は、添付の図を参照し、本発明による対象の好ましい実施形態の以下の説明からもたらされる。その場合、個々の実施形態の個々の特徴は、本発明の範囲内で互いに組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の第1の好適な実施形態による金属-セラミック基板を概略的に示す図である。
【
図2】本発明の第2の好適な実施形態による金属-セラミック基板を生産する方法を概略的に示す図である。
【
図3】本発明の第3の好適な実施形態による金属-セラミック基板を生産する方法を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、本発明の第1の好適な実施形態による金属-セラミック基板1を概略的に示す。このような金属-セラミック基板1は、いずれの場合においても、金属-セラミック基板1に接続され得る電子及び/又は電気構成要素の保持要素としての、すなわちプリント回路基板(PCB)としての役割を果たすことが好ましい。このような金属-セラミック基板1の必須の構成要素は、主伸張平面HSEに沿って延びるセラミック要素10、セラミック要素10に接合された少なくとも1つの第1の金属層20、及び少なくとも1つの第1の金属層20と反対側にある少なくとも1つの第2の金属層22である。セラミック要素10は、セラミックを含む少なくとも1種の材料で作製されている。例えば、セラミック要素10は、セラミック層、特に単一のセラミック層、又は例えば、セラミック層が組み込まれた複合構造体である。この場合、少なくとも1つの第1の金属層20と少なくとも1つの第2の金属層22とセラミック要素10は、主伸張平面HSEに対して垂直に延びる積層方向Sに沿って重ねて配置されており、製造済みの状態において、少なくとも所定の領域において接合表面を介して互いに実質的に接合されている。好ましくは、少なくとも1つの第1の金属層20は、したがって、導体トラック又は電気構成要素の接続点を形成するように構造化されている。例えば、この構造化物は、少なくとも1つの第1の金属層20にエッチングされる。しかしながら、これに先だって、少なくとも1つの第1の金属層20と少なくとも1つのセラミック層10との間に永久接合、特に材料接合が形成されなければならない。少なくとも1つの第2の金属層22は、冷却要素として設けられることが好ましい。例えば、これは、少なくとも1つの第2の金属層22内に延びる冷却フィン若しくは冷却チャネルシステムが備えられた固体金属ブロック又は冷却構造体である。
【0036】
少なくとも1つの第1の金属層20及び/又は少なくとも1つの第2の金属層22を少なくとも1つのセラミック要素10に永久的に接合するために、例えば、DCB若しくはDAB接合プロセス又は活性はんだ付けプロセス(AMBプロセス)で金属-セラミック基板1を製造するためのシステムは炉を含み、炉内でセラミック要素10と少なくとも1つの金属層20とのスタックアセンブリを加熱することで接合を実現する。
【0037】
特に、
図1に示される金属-セラミック基板1の実施形態例は、特に使用される金属材料に関して少なくとも1つの第1の金属層20が少なくとも1つの第2の金属層22と異なる金属-セラミック基板1である。例えば、少なくとも1つの第1の金属層20は銅層であり、少なくとも1つの第2の金属層22はアルミニウム層である。この点に関して、少なくとも1つの第1の金属層20は第1のインターフェイスメタライゼーション15を介して少なくとも1つのセラミック要素10の第1の側S1に接合され、少なくとも1つの第2の金属層22は、第2のインターフェイスメタライゼーション16を介して少なくとも1つのセラミック要素10の第1の側S1の反対側にある少なくとも1つのセラミック要素10の第2の側S2に接合されると想定される。換言すると、少なくとも1つの第1の金属層20及び/又は少なくとも1つの第2の金属層22は少なくとも1つのセラミック要素10に直接及び直に接合されず、アダプタとして機能する第1のインターフェイスメタライゼーション15及び/又は第2のインターフェイスメタライゼーション16を介して接合されるようになっていることが好ましい。第1のインターフェイスメタライゼーション15及び/又は第2のインターフェイスメタライゼーション16を使用することにより、有利には、動作範囲が好ましくは650℃未満のはんだ材料35を使用することが可能である。特に、第1のインターフェイスメタライゼーション15及び/又は第2のインターフェイスメタライゼーション16を使用すると、少なくとも1つの第1の金属層20及び少なくとも1つの第2の金属層22を接合するために同じはんだ材料35を使用することが可能になると考えられる。
【0038】
図2は、第1の本発明による金属-セラミック基板1を生産する方法を示す。特に、
図2に示される実施形態は、第1のインターフェイスメタライゼーション15及び/又は第2のインターフェイスメタライゼーション16を形成するための調製工程を示す。更に、第1のインターフェイスメタライゼーション15は第1の活性金属層31及び第1の湿潤金属層32を含み、第2のインターフェイスメタライゼーション16は第2の活性金属層41及び第2の湿潤金属層42を含むようになっていることが好ましい。この場合、活性金属層、すなわち第1の活性金属層31及び第2の活性金属層41は第1の厚みD1を有し、第1の湿潤金属層32及び第2の湿潤金属層42は第2の厚みD2を有し、少なくとも第1の金属層及び少なくとも第2の金属層はそれぞれ、第3の厚みD3を有し、第3の厚みD3に対する第1の厚みD1と第2の厚みD2の合計の比率は、0.5の値よりも小さい、好ましくは0.1よりも小さい、より好ましくは0.05よりも小さいようになっていることが好ましい。換言すると、比較的薄い第1のインターフェイスメタライゼーション15及び/又は第2のインターフェイスメタライゼーション16が設けられる。
【0039】
特に、セラミック要素10が設けられた後、最初の配置によって、第1の活性金属層31がセラミック要素10の上側及び/又は第1の側S1に配置され、第2の活性金属層41が、第1の側S1と反対側にあるセラミック要素10の第2の側S2に配置されるようになっている。好ましくは、最初に配置することの一部として、第1及び/又は第2の活性金属層31、41は、堆積プロセス、例えばスパッタリングプロセスによって第1の側S1又は第2の側S2に適用される。その後、好ましくはスパッタリング等の堆積プロセスによって、第1の湿潤金属層32が第1の活性金属層31上に配置され、第2の湿潤金属層42が第2の活性金属層41に適用されるようになっている。
【0040】
第1の活性金属層31及び第1の湿潤金属層32並びに/又は第2の活性金属層41及び第2の湿潤金属層42を含む2層システムの接着接合のために、第1の活性金属層31及び第1の湿潤金属層32並びに/又は第2の活性金属層41及び第2の湿潤金属層42を含む層システムはエネルギー入力40に曝されるようになっていることが好ましい。この場合、例えば、エネルギー入力40は、光、例えば、レーザ光又はパルスレーザ光又は光フラッシュの形態によって行われ、光は、第1及び/又は第2の活性金属層31、41並びに第1及び/又は第2の湿潤金属層32,42を溶解し、それによりセラミック要素10の第1の側S1及び/又は第2の側S2と第1及び/又は第2の活性金属層31、41との間の反応によって材料接合を生じさせるように設計されている。特に、第1及び/又は第2のインターフェイスメタライゼーション15,16の対応する形成は、フラッシュライトアニーリングという状況で行われる。これには、最大20J/cm2又は100J/cm2のエネルギー入力につながる0.2~20msのパルス持続時間での光のフラッシュを伴う。特に、第1のインターフェイスメタライゼーション15及び/又は第2のインターフェイスメタライゼーション16は第1の側S1及び/又は第2の側S2の面積の50%超、好ましくは70%超、より好ましくは80%超にわたって延びることが意図される。
【0041】
図3は、本発明の第2の例示的実施形態による金属-セラミック基板1を生産する方法を示す。特に、
図3に示される方法の工程は、
図2に示される調製工程に続くようになっている。特に、形成された第1のインターフェイスメタライゼーション15及び/又は第2のインターフェイスメタライゼーション16に好ましくは箔状はんだ及び/又ははんだペーストの形態のはんだ材料35が適用され、特に、第1のインターフェイスメタライゼーション15と少なくとも1つの第1のメタライゼーション20との間に、及び/又は第2のインターフェイスメタライゼーション16と少なくとも1つの第2の金属層22との間に配置されると想定される。この状況において、はんだ材料35は互いに一致する及び/又は互いに異なると考えられる。更に、少なくとも1つの第1の金属層20及び/又は少なくとも1つの第2の金属層22はハイブリッド構造であるようになっていることが好ましい。例えば、少なくとも1つの第1の金属層20は、第1のサブセクション26及び第2のサブセクション27を含み、例えば、第1のサブセクション26は第1の金属を含み、第2のサブセクション27は第1のサブセクション26の金属に基づいた金属合金を含む。好ましくは、第2のサブセクション27は、第1のサブセクション26の5分の1の薄さである。好ましくは、はんだ付けプロセスの一部として少なくとも1つの第1の金属層20を溶解させ、はんだ材料35を介した少なくとも1つの第1の金属層20と第1のインターフェイスメタライゼーション15との間の材料接合に最終的に寄与するように、第2のサブセクション27の形成は、特に650℃未満の温度で溶解可能な金属合金を提供する役割を果たす。特に好ましくは、例えば、第1のサブセクション26は銅である及び/又は第2のサブセクション27は低融点銅合金であるようになっている。
【0042】
更に、少なくとも1つの第2の金属層22は第1のサブセクション29及び第2のサブセクション28を含み、少なくとも1つの第2の金属層22の第1のサブセクション29及び第2のサブセクション28は、クラッディング操作、例えばロールクラッディング操作の過程で好ましくは生産されるようになっている。例えば、第1のサブセクション29は、アルミニウム本体及び/又はベース本体であり、そのセラミック要素10の第2の側S2に面する側に、第2のサブセクション28が配置されている。この第2のサブセクション28は例えばAlSiでできている。特に、少なくとも1つの第2の金属層22の第1のサブセクション29は、少なくとも1つの第2の金属層22の第2のサブセクション28の少なくとも5倍厚いようになっている。少なくとも1つの第1の金属層20と、少なくとも1つの第2の金属層22と、はんだ材料35と、第1のインターフェイスメタライゼーション15及び第2のインターフェイスメタライゼーション16とを備えるセラミック要素10との組み立て後に、積層方向Sに沿って重ねて取り付けられた集合体の要素は、好ましくは650℃未満の温度の共通のはんだ付けプロセスで互いに結合される。
【0043】
セラミック要素10の第1の側S1に少なくとも1つの第1の金属層20を、及びセラミック要素10の第2の側S2に少なくとも1つの第2の金属層22を材料接合後に、好ましくは多段階エッチング工程において、少なくとも1つの第1の金属層20及び/又は少なくとも1つの第2の金属層22を構造化するようになっている。この目的のために、マスキングが行われ、マスキングに基づいて、好ましくは多段階エッチング工程が行われる。このようにして、例えば、分離トレンチが少なくとも1つの第1の金属層20に導入され得る、及び/又は異なるタイプの構造化物が少なくとも1つの第2の金属層22に導入され得る。更に、構造化に続いて、表面処理が最終的に行われる前に、好ましくは個々の金属-セラミック基板を分離するためにレーザ処理が行われるようになっていることが好ましい。
【符号の説明】
【0044】
1 金属-セラミック基板
10 セラミック要素
15 第1のインターフェイスメタライゼーション
16 第2のインターフェイスメタライゼーション
20 第1の金属層
26 第1の金属層の第1のサブセクション
27 第1の金属層の第2のサブセクション
28 第2の金属層の第2のサブセクション
29 第2の金属層の第1のサブセクション
22 第2の金属層
31 活性金属層
32 湿潤金属層
35 はんだ材料
40 エネルギー入力
HSE 主伸張平面
S 積層方向
D1 第1の厚み
D2 第2の厚み
D3 第3の厚み
S1 第1の側
S2 第2の側