(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】デュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システムと車両
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20231211BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/09 V
G08G1/09 F
(21)【出願番号】P 2022569286
(86)(22)【出願日】2021-01-10
(86)【国際出願番号】 CN2021071001
(87)【国際公開番号】W WO2021143630
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】202010057099.4
(32)【優先日】2020-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522288164
【氏名又は名称】鯊湾科技(青島)有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHARKGULF TECHNOLOGY (QINGDAO) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 8206-1-4 (A), 2F, Qiantongyuan Office Building, No. 44 Moscow Road, Qianwan Bonded Port Area, Qingdao Area, China (Shandong) Pilot Free Trade Zone Qingdao, Shandong 266000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】柳 科
(72)【発明者】
【氏名】胡 輝
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109677410(CN,A)
【文献】特開2006-192967(JP,A)
【文献】特開2019-137189(JP,A)
【文献】特開2005-105507(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0201181(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
A42B 3/00 - 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウドサービス側と、クラウドサービス側と情報インタラクションを行うことができるモータービークル端末とを含むデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システムであって、
前記モータービークル端末は、両者がそれぞれ独立して運行が可能かつリアルタイムでデータのやり取りが可能な第一の制御系及び第二の制御系を含み、
前記第一の制御系は、車両の運行状態をリアルタイムで監視し、少なくとも一部の運行状態データを第二の制御系にリアルタイムで伝送し、この第一の制御系は、内部所定命令及び前記第二の制御系から受信した制御命令に基づいて車両の運行を制御し、
前記第二の制御系は、前記第一の制御系によって伝送されたデータを受信し、受信した少なくとも一部のデータをクラウドサービス側に送信し、この第二の制御系は、前記クラウドサービス側からの制御命令を受信し、車両の運行を制御するための制御命令を前記第一の制御系に転送する、ことを特徴とするデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システム。
【請求項2】
この車両インテリジェント制御システムは、前記クラウドサービス側と情報インタラクションを行うことができるユーザ端末をさらに含み、
前記クラウドサービス側は、ユーザ端末からの制御命令を前記第二の制御系に送信するためにも用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システム。
【請求項3】
前記第二の制御系は、その取得した前記運行状態データをクラウドサービス側に送信し、
クラウドサービス側と接続を確立したユーザ端末は、ユーザ端末で車両の現在の運行状態をリアルタイムで表示するために、前記運行状態データを取得する、ことを特徴とする請求項2に記載のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システム。
【請求項4】
前記第一の制御系は、第一の電子制御ユニットを含み、前記第二の制御系は、第二の電子制御ユニットを含み、前記第一の電子制御ユニットは、第二の電子制御ユニットとリアルタイムのデータのやり取りを行うことができ、
前記第一の電子制御ユニットは、第二の電子制御ユニットによって伝送されたデータによらずに、前記車両の走行を制御する、ことを特徴とする請求項2に記載のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システム。
【請求項5】
前記第二の制御系は、車両に設けられた表示モジュールを含み、前記表示モジュールは、前記運行状態データを表示するために用いられる、ことを特徴とする請求項4に記載のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システム。
【請求項6】
前記第二の制御系は、さらにユーザの操作命令及び/又はクラウドサービス側からの制御命令に基づいて前記表示モジュールの表示を制御する、ことを特徴とする請求項5に記載のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システム。
【請求項7】
前記第二の制御系は、車両に設けられたポジショニングモジュールを含み、前記ポジショニングモジュールは、車両の地理的位置情報を取得するために用いられ、
前記表示モジュールは、前記地理的位置情報を表示するためにも用いられる、ことを特徴とする請求項5に記載のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システム。
【請求項8】
前記第二の制御系は、前記地理的位置情報をクラウドサービス側に送信し、
クラウドサービス側と接続を確立したユーザ端末は、ユーザ端末で車両の地理的位置をリアルタイムで表示するために、前記地理的位置情報を取得する、ことを特徴とする請求項7に記載のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システム。
【請求項9】
前記第一の制御系は、車両の運行状態データを取得するためのセンサをさらに含み、前記第一の電子制御ユニットは、前記センサによって取得された運行状態データに基づいて前記車両の運行を制御する、ことを特徴とする請求項4に記載のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システム。
【請求項10】
前記第一の電子制御ユニットは、前記センサによって取得された生データ又は前記生データに対して処理を行った後の集計データを前記第二の電子制御ユニットに送信するためにも用いられ、
前記第二の電子制御ユニットは、自分が取得したデータ及び/又は前記第一の電子制御ユニットからのデータを前記クラウドサービス側に送信するためにも用いられる、ことを特徴とする請求項9に記載のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システム。
【請求項11】
前記第一の電子制御ユニットには、センシング制御モジュール、ヒューマンコンピュータインタラクションモジュール及び身分識別モジュールのうちの少なくとも一つが接続されている、ことを特徴とする請求項4に記載のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システム。
【請求項12】
前記センシング制御モジュールには、前記車両の電池システムを制御するための電池管理モジュールが接続されている、ことを特徴とする請求項11に記載のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システム。
【請求項13】
前記車両インテリジェント制御システムは、スマートヘルメットをさらに含み、前記第二の電子制御ユニットは、前記第一の制御系、第二の制御系及び/又はクラウドサービス側から取得したデータを前記スマートヘルメットに送信するために、前記スマートヘルメットとデータのやり取りを行うことができ、
前記スマートヘルメットは、前記取得したデータを展示及び/又は再生するために用いられる、ことを特徴とする請求項4に記載のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システム。
【請求項14】
前記スマートヘルメットは、前記第二の電子制御ユニットからの情報を可視化投影表示するための投影モジュールを含む、ことを特徴とする請求項13に記載のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システム。
【請求項15】
前記第二の電子制御ユニットは、再起動制御モジュールと、アプリケーション運行モジュールとを含み、
前記アプリケーション運行モジュールは、様々なアプリケーションを記憶、インストール及び運行するために用いられ、
前記再起動制御モジュールは、前記アプリケーション運行モジュールの自動再起動を制御するために用いられる、ことを特徴とする請求項3~14のいずれか1項に記載のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システム。
【請求項16】
前記再起動制御モジュールは、第一のデータ記憶モジュールを含み、
前記第一の電子制御ユニットが第二の電子制御ユニットに報告したデータ又は前記クラウドサービス側から第二の電子制御ユニットに発信した制御命令は、まず前記第一のデータ記憶モジュールにキャッシュされ、次に、再起動制御モジュールにより前記アプリケーション運行モジュールに送信される、ことを特徴とする請求項15に記載のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システム。
【請求項17】
車体と、車両制御システムとを含む車両であって、
前記車両制御システムは、両者がそれぞれ独立して運行が可能かつリアルタイムでデータのやり取りが可能な第一の制御系及び第二の制御系を含み、
前記第一の制御系は、前記車両の運行状態をリアルタイムで監視し、少なくとも一部の運行状態データを第二の制御系にリアルタイムで伝送するとともに、この第一の制御系は、内部所定命令及び前記第二の制御系から受信した制御命令に基づいて車両の運行を制御し、
前記第二の制御系は、前記第一の制御系によって伝送されたデータを受信し、受信した少なくとも一部のデータをクラウドサービス側に送信するとともに、この第二の制御系は、前記クラウドサービス側からの制御命令を受信し、車両の運行を制御するための制御命令を前記第一の制御系に転送する、ことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の技術分野に属し、特に二輪車に適用されている。本発明で言う二輪車は、交通手段として用いられる電動自転車、バイク、電動バイク、電動キックスケーターなどを指す。しかし、本発明の技術案は、インテリジェント制御を行う必要がある三輪車、四輪車などの他の車両にも適用可能である。
【背景技術】
【0002】
電動二輪車は、電池から供給されるエネルギを使って駆動する。電動機、電池などのキー部品を安全かつ安定して運行させるために、一般的には、これらの部品を統一的に制御するための電子制御ユニットが必要である。例えば、電池の電圧、電流の出力を制御し、電動機の回転数又は入力電力を調節し、及び安全盗難防止、環境状態監視など機能を実現する。しかしながら、従来の電子制御ユニットは、ヒューマンコンピュータインタラクション上の機能が少なく、車両に対するユーザの遠隔監視又はリモートアクセスもサポートしない。
【0003】
通信技術及びモノのインターネット技術の発展に伴い、車両も徐々にインターネット・オブ・エブリシングスのノードに発展し、移動クライアントを介して車両運行の状態に対して遠隔監視を行い、盗難防止注意、遠隔管理などの機能を実現することが期待されている。これらの機能を実現するために、車両の制御システムを改良し、遠隔通信、スマート操作、モード識別、ポジショニング、アラームなどのための機能モジュールを増設する必要がある。しかしながら、一方では、従来の車両用電子制御ユニット(ECU)は、拡張性が弱く、増加しつつある新しい知能化応用需要に適応することが困難であり、他方では、ECUに新たに増設する拡張機能は、ECUリソースの消費を増加し、既存の車両制御機能のリソースを圧迫し、複雑な機能も走行制御の安全性の低下を招くおそれがある。
【0004】
そのため、業界ではリモートアクセスと知能化に適しており、そして運行が安定し、拡張性が強く、エラー耐性が高く、そして特に電動二輪車に適用される車両インテリジェント制御システムが極めて強く要望されている。
【発明の概要】
【0005】
(一)発明が解決しようとする技術課題
本発明は、従来の車両インテリジェント制御システムにおける機能単一、拡張性が弱く、安定性が悪く、エラー耐性が低い及び安全性が高くないなどの問題を解決することを目的としている。
【0006】
(二)技術案
上記技術課題を解決するために、本発明の一態様は、クラウドサービス側と、クラウドサービス側と情報インタラクションを行うことができるモータービークル端末とを含むデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システムであって、前記モータービークル端末は、両者がそれぞれ独立して運行が可能かつリアルタイムでデータのやり取りが可能な第一の制御系及び第二の制御系を含み、前記第一の制御系は、前記車両の運行状態をリアルタイムで監視し、少なくとも一部の運行状態データを第二の制御系にリアルタイムで伝送するとともに、この第一の制御系は、内部所定命令及び前記第二の制御系から受信した制御命令に基づいて車両の運行を制御し、前記第二の制御系は、前記第一の制御系によって伝送されたデータを受信し、受信した少なくとも一部のデータをクラウドサービス側に送信するとともに、この第二の制御系は、前記クラウドサービス側からの制御命令を受信し、車両の運行を制御するための制御命令を前記第一の制御系に転送する。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態によれば、この車両インテリジェント制御システムは、前記クラウドサービス側と情報インタラクションを行うこともできるユーザ端末をさらに含み、前記クラウドサービス側は、ユーザ端末からの制御命令を前記第二の制御系に送信するためにも用いられる。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態によれば、前記第二の制御系は、その取得した前記運行状態データをクラウドサービス側に送信し、クラウドサービス側と接続を確立したユーザ端末は、ユーザ端末で車両の現在の運行状態をリアルタイムで表示するために、前記運行状態データを取得する。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態によれば、前記第一の制御系は、第一の電子制御ユニットを含み、前記第二の制御系は、第二の電子制御ユニットを含み、前記第一の電子制御ユニットは、第二の電子制御ユニットとリアルタイムのデータのやり取りを行うことができ、前記第一の電子制御ユニットは、第二の電子制御ユニットによって伝送されたデータによらずに、前記車両の走行を制御する。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態によれば、前記第二の制御系は、車両に設けられた表示モジュールを含み、前記表示モジュールは、前記運行状態データを表示するために用いられる。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態によれば、前記第二の制御系は、さらにユーザの操作命令及び/又はクラウドサービス側からの制御命令に基づいて前記表示モジュールの表示を制御する。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態によれば、前記第二の制御系は、車両に設けられたポジショニングモジュールを含み、前記ポジショニングモジュールは、車両の地理的位置情報を取得するために用いられ、前記表示モジュールは、前記地理的位置情報を表示するためにも用いられる。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態によれば、前記第二の制御系は、前記地理的位置情報をクラウドサービス側に送信し、クラウドサービス側と接続を確立したユーザ端末は、ユーザ端末で車両の地理的位置をリアルタイムで表示するために、前記地理的位置情報を取得する。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態によれば、前記第一の制御系は、前記車両運行状態データを取得するためのセンサをさらに含み、前記第一の電子制御ユニットは、前記センサによって取得された運行状態データに基づいて前記車両の運行を制御する。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態によれば、前記第一の電子制御ユニットは、前記センサによって取得された生データ又は前記生データに対して処理を行った後の集計データを前記第二の電子制御ユニットに送信するためにも用いられ、前記第二の電子制御ユニットは、自分が取得したデータ及び/又は前記第一の電子制御ユニットからのデータを前記クラウドサービス側に送信するためにも用いられる。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態によれば、前記車両インテリジェント制御システムは、スマートヘルメットをさらに含み、前記第二の電子制御ユニットは、前記第一の制御系、第二の制御系及び/又はクラウドサービス側から取得したデータを前記スマートヘルメットに送信するために、前記スマートヘルメットとデータのやり取りを行うことができる。
【0017】
前記スマートヘルメットは、前記取得したデータを展示及び/又は再生するために用いられる。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態によれば、前記スマートヘルメットは、前記第二の電子制御ユニットからの情報を可視化投影表示するための投影モジュールを含む。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態によれば、前記第二の電子制御ユニットは、再起動制御モジュールと、アプリケーション運行モジュールとを含み、前記アプリケーション運行モジュールは、様々なアプリケーションを記憶、インストール及び運行するために用いられ、前記再起動制御モジュールは、前記アプリケーション運行モジュールの自動再起動を制御するために用いられる。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態によれば、前記再起動制御モジュールは、第一のデータ記憶モジュールを含み、前記第一の電子制御ユニットが第二の電子制御ユニットに報告したデータ又は前記クラウドサービス側から第二の電子制御ユニットに発信した制御命令は、まず前記第一のデータ記憶モジュールにキャッシュされ、次に、再起動制御モジュールにより前記アプリケーション運行モジュールに送信される。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態によれば、前記第一の電子制御ユニットには、センシング制御モジュール、ヒューマンコンピュータインタラクションモジュール及び身分識別モジュールのうちの少なくとも一つが接続されている。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態によれば、前記センシング制御モジュールには、前記車両の電池システムを制御するための電池管理モジュールが接続されている。
【0023】
本発明の別の態様は、車体と、車両制御システムとを含む車両をさらに提案する。前記車両制御システムは、両者がそれぞれ独立して運行が可能かつリアルタイムでデータのやり取りが可能な第一の制御系及び第二の制御系を含み、前記第一の制御系は、前記車両の運行状態をリアルタイムで監視し、少なくとも一部の運行状態データを第二の制御系にリアルタイムで伝送するとともに、この第一の制御系は、内部所定命令及び前記第二の制御系から受信した制御命令に基づいて車両の運行を制御し、前記第二の制御系は、前記第一の制御系によって伝送されたデータを受信し、受信した少なくとも一部のデータをクラウドサービス側に送信するとともに、この第二の制御系は、前記クラウドサービス側からの制御命令を受信し、車両の運行を制御するための制御命令を前記第一の制御系に転送する。
【0024】
本発明の好ましい実施の形態によれば、前記第一の制御系は、第一の電子制御ユニットを含み、前記第二の制御系は、第二の電子制御ユニットを含み、前記第一の電子制御ユニットは、第二の電子制御ユニットとリアルタイムのデータのやり取りを行うことができ、前記第一の電子制御ユニットは、第二の電子制御ユニットによって伝送されたデータによらずに、前記車両の走行を制御する。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態によれば、前記第二の制御系は、車両に設けられた表示モジュールを含み、前記表示モジュールは、前記運行状態データを表示するために用いられる。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態によれば、前記第二の制御系は、さらにユーザの操作命令及び/又は前記クラウドサービス側からの制御命令に基づいて前記表示モジュールの表示を制御する。
【0027】
本発明の好ましい実施の形態によれば、前記第二の制御系は、車両に設けられたポジショニングモジュールを含み、前記ポジショニングモジュールは、車両の地理的位置情報を取得するために用いられ、前記表示モジュールは、前記地理的位置情報を表示するためにも用いられる。
【0028】
本発明の好ましい実施の形態によれば、前記第二の制御系は、前記地理的位置情報をクラウドサービス側に送信する。
【0029】
本発明の好ましい実施の形態によれば、前記第一の制御系は、前記車両運行状態データを取得するためのセンサをさらに含み、前記第一の電子制御ユニットは、前記センサによって取得された運行状態データに基づいて前記車両の運行を制御する。
【0030】
本発明の好ましい実施の形態によれば、前記第一の電子制御ユニットは、前記センサによって取得された生データ又は前記生データに対して処理を行った後の集計データを前記第二の電子制御ユニットに送信するためにも用いられ、前記第二の電子制御ユニットは、自分が取得したデータ及び/又は前記第一の電子制御ユニットからのデータを前記クラウドサービス側に送信するためにも用いられる。
【0031】
本発明の好ましい実施の形態によれば、前記第二の電子制御ユニットは、再起動制御モジュールと、アプリケーション運行モジュールとを含み、前記アプリケーション運行モジュールは、様々なアプリケーションを記憶、インストール及び運行するために用いられ、
前記再起動制御モジュールは、前記アプリケーション運行モジュールの自動再起動を制御するために用いられる。
【0032】
本発明の好ましい実施の形態によれば、前記再起動制御モジュールは、第一のデータ記憶モジュールを含み、前記第一の電子制御ユニットが第二の電子制御ユニットに報告したデータ又は前記クラウドサービス側から第二の電子制御ユニットに発信した制御命令は、まず前記第一のデータ記憶モジュールにキャッシュされ、次に、再起動制御モジュールにより前記アプリケーション運行モジュールに送信される。
【0033】
(三)有益な効果
本発明は、設計されたデュアル独立制御系のアーキテクチャを介して、知能化、遠隔制御する必要があり、ネットワーク相互接続に基づくスマートアプリケーションを下位層の車両制御と相互隔離させ、車両の安全性を向上させた。
【0034】
また、本発明は、最上層制御系の自動再起動を設計することで、システム全体の適応性、安定性をより強くし、ユーザ体験を改善した。
【0035】
本発明の最上層制御系は、独立した運行プラットフォームを有し、より多くの知能化拡張を行うことができ、機能単一、拡張性が弱いという問題を解決した。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システムに応用される電動二輪車アプリケーションシナリオの概略図である。
【
図2】本発明のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システムの全体アーキテクチャ図である。
【
図3】本発明のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システム一実施例の構造ブロック図である。
【
図4】本発明のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システム別の具体的な実施例の構造ブロック図である。
【
図5】本発明のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システムの一実施例のユーザ端末の表示インターフェース概略図である。
【
図6】本発明のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システムの別の実施例のインタラクション方式概略図である。
【
図7】
図6に示される実施例のスマートヘルメットの構造ブロック図である。
【
図8】本発明のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システムにおける第二の制御ユニットの具体的な実施例の構造ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
具体的な実施例についての紹介プロセスにおいて、構造、性能、効果又は他の特徴についての詳細記述は、当業者の実施例に対する理解を十分にするためである。しかし、当業者が特定の場合に、上記の構造、性能、効果又は他の特徴を含まない技術案で本発明を実施することができることは排除されない。
【0038】
添付図面におけるフローチャートは、例示的なフロー提示にすぎず、本発明の態様には、フローチャートにおけるすべての内容、操作とステップを含まなければならないことを表すものではなく、添付図面に示された順序で実行されなければならないことを表すものでもない。例えば、フローチャートでは、分解可能である操作/ステップもあるし、統合又は部分統合可能である操作/ステップもある。本発明の趣旨から逸脱することなく、フローチャートに示される実行順序を実際の状況に応じて変更してもよい。
【0039】
添付図面におけるブロック図は、一般的には、機能エンティティを表し、物理的に独立したエンティティに必ず対応することを必須としない。即ち、これらの機能エンティティは、ソフトウェア形式により実現されてもよいし、又は一つ又は複数のハードウェアモジュール又は集積回路により実現されてもよいし、又は異なるネットワーク及び/又は処理ユニット装置及び/又はマイクロコントローラ装置により実現されてもよい。
【0040】
各添付図面に示される同一又は類似した素子、コンポーネント又は部分には同一の符号を付し、したがって、以下では、同一又は類似した素子、コンポーネント又は部分の重複した説明が省略されている場合がある。理解すべきこととして、本明細書では、様々なデバイス、素子、コンポーネント又は部分を、第一、第二、第三などの番号を表す限定語で記述するが、これらのデバイス、素子、コンポーネント又は部分は、これらの限定語によって制限されるべきではない。つまり、これらの限定語は、一方と他方とを区別するためにのみ用いられる。例えば、第一のデバイスは、第二のデバイスとも呼ばれるが、本発明の実質的な技術案から逸脱することはない。なお、用語「及び/又は」、「および/または」は、列挙された項目のいずれか一つ又は複数の全ての組み合わせを指す。
【0041】
本発明は、革新的なアーキテクチャを持つ車両インテリジェント制御システムを提案する。全体としては、このシステムは、クラウドコネクテッドインタラクションモードに基づき、即ちシステムは、クラウドサービス側を含み、クラウドサービス側は、各モータービークル端末と情報インタラクションを行うことによって、モータービークル端末及びクラウドサービス側で構成されるカーネットワークを1つ形成する。モータービークルは、電動自転車、燃料バイク、電動バイク、電動キックスケーターなどを含む遠隔データのやり取りが可能な任意の車両であってもよく、燃料、純電動、燃料電池、ハイブリット動力の自動車、三輪車、バイク、自転車などの様々な車両に拡張してもよい。無論、機能拡張の需要のために、上記カーネットワークは、モータービークル端末に接続されることに加えて、ユーザのモバイル端末、及びモータービークルに付設される他の機器端末、例えば電池、電池充電器、充電スタンド、スマートヘルメットなどを含む他の端末にアクセスすることができる。
【0042】
従来技術の車両電子制御ユニットがスマートアプリケーション拡張において運行が不安定であり、拡張性が弱く、エラー耐性が悪いなどの問題を解決するために、本発明によるモータービークル端末は、デュアル独立制御系のアーキテクチャを採用しており、即ちモータービークル端末は、第一の制御系と、第二の制御系とを含み、かつ二つの制御系は、リアルタイムのデータのやり取りを行うことができる。第一の制御系は、下位層制御系と呼ばれてもよく、その基本的な機能は、スマートアプリケーション方面の機能を実現するために、前記車両の運行状態をリアルタイムで監視し、車両の運行を制御するとともに、第二の制御系の制御命令を受信することができることを含む従来の車両制御機能を参照する。第二の制御系は、最上層制御系と呼ばれてもよく、主にカーネットワークにアクセスしてデータのやり取りを行うために用いられるとともに、モータービークル端末とユーザとの間の直接情報インタラクション(表示機器を制御して車両の運行状態を表示すること、スマートヘルメットとの情報インタラクションなどを含む)を実現するために用いられる。
【0043】
遠隔制御に基づくスマートアプリケーション方面の機能を実現するために、第一の制御系は、第二の制御系とデータのやり取りを行う必要がある。具体的には、一方では、第一の制御系は、少なくとも一部車両の運行状態データをリアルタイムで第二の制御系に伝送する必要があるとともに、この第一の制御系は、内部所定命令及び前記第二の制御系から受信した制御命令に基づいて車両の運行を制御することもできる。他方では、第二の制御系は、前記第一の制御系によって伝送されたデータを受信し、受信した少なくとも一部のデータをクラウドサービス側に送信することができ、同時に、この第二の制御系は、前記クラウドサービス側からの制御命令を受信し、そのうちの車両運行を制御するための制御命令を前記第一の制御系に転送することもできる。
【0044】
説明すべきこととして、本発明の第一の制御系と第二の制御系との間、及び第二の制御系とクラウドサービス側との間で交換必要な具体的なデータ又は制御命令は、具体的な車両タイプ、アプリケーション機能、アプリケーション環境などに応じて異なる設計を行うことができるが、本発明を限定するものではない。
【0045】
さらに強調すべきこととして、本発明における第一の制御系と第二の制御系は、それぞれ独立して運行することができる。本発明で言う独立運行は、二者のそれぞれの基本作動モードの正常運行が他方の正常運行に依存しないことを指す。具体的には、一方では、下位層制御系としての第一の制御系は、第二の制御系が正常に作動しない場合であっても、その基本的なモータービークル制御が影響を受けず、ただし、第二の制御系が正常に作動しない場合、第一の制御系は、第二の制御系から制御命令を取得できない可能性があり、車両運行状態データをリアルタイムで第二の制御系に送信することもできなくなる。しかし、上記の取得できない制御命令や送信できない状態データは、第一の制御系の車両に対する基本走行制御に影響を与えない。他方では、最上層制御系としての第二の制御系は、第二の制御系が正常に作動しない場合であっても、その基本的なネットワーク相互接続が影響を受けず、ただし、第二の制御系は、第一の制御系からリアルタイムの車両運行状態を取得できない可能性があり、外部の追加制御命令を第一の制御系に送信することもできなくなる。
【0046】
前述したように、本発明のカーネットワークは、他の端末によりアクセスされる。一実施の形態では、本発明の車両インテリジェント制御システムは、ユーザ端末をさらに含み、ユーザ端末は、前記クラウドサービス側と情報インタラクションを行うこともでき、クラウドサービス側は、ユーザ端末からの制御命令を前記第二の制御系に送信することもできる。これにより、第二の制御系は、ユーザ端末からの制御命令を受信し、遠隔制御方面のアプリケーション、例えば盗難防止のための遠隔ロックなどを実現するために、第一の制御系による処理を必要とする制御命令を第一の制御系に転送することができる。
【0047】
また、第二の制御系は、車両の様々な運行状態データを含む第一の制御系からの車両運行状態データをクラウドサービス側に送信することもできる。説明すべきこととして、ここで言う運行状態は、車両の環境状態、フルビークル状態及び各部品の状態を含み、そして、車両走行時の状態を含むだけではなく、車両が停止未起動、起動未発進などの様々なモードでの状態も含む。
【0048】
具体的な一例として、第一の制御系は、電池の残り電力量、走行速度などを含む車両の様々なリアルタイム車両状態情報を取得するためのセンシング制御モジュールを含み、第一の制御系は、センシング制御モジュールによって取得された様々な情報を第二の制御系に送信し、第二の制御系は、それをクラウドサービス側に送信することができる。これにより、クラウドサービス側と接続を確立して許可を得たユーザ端末は、車両のリアルタイム状態情報をリアルタイムで取得することができる。これにより、電池電力量に対するリアルタイム監視を含む携帯電話上で車両に対するリアルタイム監視を実現することができる。
【0049】
好ましい実施の形態として、本発明の車両は、ディスプレイと、表示内容を制御するための表示モジュールとを含む表示装置を有し、第二の制御系は、この表示モジュールを含む。この表示装置は、第一の制御系から受信したデータ(ナビゲーションデータなど)又は制御命令(接続命令など)などの情報を表示することができ、より重要なことは、前記第一の制御系からの車両状態情報を受信して表示することもできる。このとき、第二の制御系は、前記第一の制御系から受信した車両状態情報に基づいて、前記車両のリアルタイム運行状態を表示装置上に表示するように前記表示モジュールを制御する。
【0050】
これに加えて、第二の制御系は、いくつかの機能モジュール、例えばポジショニングモジュールを含んでもよく、ポジショニングモジュールは、車両の地理的位置情報を表示検出するために用いられ、表示モジュールは、この地理的位置情報に基づいて電子ナビゲーション電図を表示することができる。同時に、第二の制御系は、この地理的位置情報をクラウドサーバにアップロードすることもできる。このように、クラウドサーバに接続される他のユーザ端末は、クラウドサーバからリアルタイムで車両の地理的位置情報を取得することができる。
【0051】
なお、本発明の表示装置又は表示モジュールは、車両の唯一表示装置又はモジュールとして機能してもよく、従来の機械メータ、電子ランプなどに合わせて協働動作してもよい。例えば、車両を運転するユーザが車両のウインカーランプをオンにする場合、車両上の方向指示灯(例えばLEDランプ)を併せて点灯させてもよく、表示装置に方向を表すパターン又は動画を表示してもよい。このとき、第一の制御系は、ユーザのウインカーランプがオン状態であることを検出すると、これに伴ってウインカーランプオン状態を表すデータを第二の制御系に送信し、第二の制御系は、このデータに基づいて表示モジュールを制御して相応なパターン又は動画を表示する。さらに、第二の制御系は、このウインカーランプオン状態を表すデータをクラウドサービス側に送信することもでき、クラウドサービス側と接続を確立したユーザ端末は、このウインカーランプオン状態のデータをリアルタイムで取得することができ、これにより、車両ウインカーランプがオンされたことをユーザ端末にリアルタイムで表示することもできる。
【0052】
以上に基づき、より具体的な例として、運転者以外の他のユーザの携帯電話が許可された場合に、第二の制御系によってアップロードされた車両の地理的位置情報及び車両の各ランプのリアルタイム状態を受信し、車両の各ランプの状態を含む車両アイコンの地図画面上で運行する動画をこの携帯電話上にリアルタイムで表示することができる。このような協働遠隔表示方式は、遠隔ユーザが車両の運行状態を詳細に知ることができるだけでなく、車両のユーザに対する興趣性を向上させ、ユーザ体験を向上させることができる。
【0053】
なお、表示モジュール又は表示装置については、第二の制御系は、ユーザの操作命令及び/又はクラウドサービス側からの制御命令に基づいて前記表示モジュールの表示を制御することもできる。例えば、ユーザが、車両が盗難されたことを疑う場合に、遠隔操作により表示装置をオフにしたり、又は相応な警告情報などを表示装置上に表示したりすることができる。さらに例えば、他のユーザ(例えば運転者の友人又は家族)が許可を得た後、ユーザ端末(携帯電話)を介してメッセージを送信することもでき、このメッセージは、クラウドサーバの転送により第二の制御系によって受信され、第二の制御系の制御を介して表示装置又は表示モジュール上に表示される。なお、車両には付設されるスマートヘルメットが接続されている場合、第二の制御系は、このメッセージをスマートヘルメットに送信することもでき、テキストメッセージに対して投影表示を行うことができ、又は、第二の制御系は、テキストメッセージをボイスメッセージに変換した後スマートヘルメットにオーディオデータを送信し、運転者が、送信された文字メッセージから変換されたボイスメッセージを直接に聞くことができ、さらに又は、オーディオメッセージに対して、第二の制御系は、それをスマートヘルメットに直接転送し、運転者が、ヘルメットを介してこのオーディオメッセージを聞くようにする。
【0054】
さらに、好ましい態様として、前記第一の制御系は、第一の電子制御ユニットを含み、前記第二の制御系は、第二の電子制御ユニットを含み、かつ第一の電子制御ユニットは、第二の電子制御ユニットとリアルタイムのデータのやり取りを行うことができる。そして、第一の制御系と第二の制御系とのそれぞれ独立運行を実現するために、前記第一の電子制御ユニットは、第二の電子制御ユニットによって伝送されたデータによらずに、前記車両の走行を制御する。ここで言う走行運行は、車両の走行機能に関連する機能部品の作動を指す。つまり、遠隔制御などのネットワーク相互接続機能に関する他の操作を除き、第一の電子制御ユニットは、いずれも第二の電子制御ユニット作動に依存しない状態で行われることができ、これにより、第二の電子制御ユニットが環境変化(過冷、過熱、衝突などの自然原因、信号無しなどの通信原因)により正常に動作できない場合であっても、第一の電子制御ユニットは、依然として基本的な走行制御を行うことができ、それによって車両の安定性と安全性を向上させる。
【0055】
具体的には、第一の電子制御ユニットは、センサから取得した生データ又は前記生データに対して処理を行った後の集計データを第二の電子制御ユニットに送信し、第二の電子制御ユニットは、第一の電子制御ユニットからのデータを前記クラウドサービス側に転送する。これにより、クラウドサービス側は、一つのデータセンターとして、それに接続される全てのモータービークル端末からアップロードされたデータを取得することができ、これらのデータは、ユーザの運転選好及びモータービークル端末の運行規則の学習と利用を行うために、モデル化処理されてもよく、それによって第一の制御系と第二の制御系の制御方式を改善させ、車両制御の知能化を向上させ、ユーザ体験を大幅に向上させる。
【0056】
好ましくは、システムの安定性を向上させるために、第一の電子制御ユニット及び/又は第二の電子制御ユニットは、フリーズ状態を監視し、そして電子制御ユニットがフリーズ状態にあることが監視された場合、電子制御ユニットの自己再起動を制御することができる。
【0057】
具体的な一例として、第二の電子制御ユニットには、再起動制御モジュール(例えばMCU)と、アプリケーション運行モジュールとが設けられており、再起動制御モジュールは、第二の電子制御ユニットのアプリケーション運行モジュール部分がフリーズしたか否かをリアルタイムで監視し、フリーズしたら、このアプリケーション運行モジュール部分を再起動するように制御する。
【0058】
更に、再起動制御モジュールは、第一のデータ記憶モジュールを含み、第一の電子制御ユニットにより報告されるデータ又はクラウドサービス側により発信される制御命令は、まず前記再起動制御モジュールにキャッシュされ、次に、アプリケーション運行モジュールに送信される。
【0059】
再起動制御モジュールによりアプリケーション運行モジュールのフリーズが検出された場合、このフリーズ状態又は再起動の過程において、第二の電子制御ユニットが第一の電子制御ユニットにより報告されるデータ又はクラウドサービス側からの制御命令を受信すると、前記再起動制御モジュールは、この報告されるデータ又は発信される制御命令を第一のデータ記憶モジュール(例えばRAM)にキャッシュする。前記アプリケーション運行モジュールが正常に起動されると、前記再起動制御モジュールは、第一のデータ記憶モジュール内のデータをアプリケーション運行モジュールに再送信する。
【0060】
上記の第二の電子制御ユニットの自行再起動の方式は、第一の電子制御ユニットにも適用されるため、繰り返しの説明を省略する。
【0061】
本発明の目的、技術案と利点をより明確にするために、以下は、具体的な実施例に関連して、添付図面を結び付けながら、本発明をさらに詳細に説明する。
【0062】
具体的な実施例についての紹介プロセスにおいて、構造、性能、効果又は他の特徴についての詳細記述は、当業者の実施例に対する理解を十分にするためである。しかし、当業者が特定の場合に、上記の構造、性能、効果又は他の特徴を含まない技術案で本発明を実施することができることは排除されない。
【0063】
添付図面におけるフローチャートは、例示的なフロー提示にすぎず、本発明の態様には、フローチャートにおけるすべての内容、操作とステップを含まなければならないことを表すものではなく、添付図面に示された順序で実行されなければならないことを表すものでもない。例えば、フローチャートでは、分解可能である操作/ステップもあるし、統合又は部分統合可能である操作/ステップもある。本発明の趣旨から逸脱することなく、フローチャートに示される実行順序を実際の状況に応じて変更してもよい。
【0064】
添付図面におけるブロック図は、一般的には、機能エンティティを表し、物理的に独立したエンティティに必ず対応することを必須としない。即ち、これらの機能エンティティは、ソフトウェア形式により実現されてもよいし、又は一つ又は複数のハードウェアモジュール又は集積回路に実現されてもよいし、又は異なるネットワーク及び/又は処理ユニット装置及び/又はマイクロコントローラ装置に実現されてもよい。
【0065】
各添付図面に示される同一又は類似した素子、コンポーネント又は部分には同一の符号を付し、したがって、以下では、同一又は類似した素子、コンポーネント又は部分の重複した説明が省略されている場合がある。理解すべきこととして、本明細書では、様々なデバイス、素子、コンポーネント又は部分を、第一、第二、第三などの番号を表す限定語で記述するが、これらのデバイス、素子、コンポーネント又は部分は、これらの限定語によって制限されるべきではない。つまり、これらの限定語は、一方と他方とを区別するためにのみ用いられる。例えば、第一のデバイスは、第二のデバイスとも呼ばれるが、本発明の実質的な技術案から逸脱することはない。なお、用語「及び/又は」、「および/または」は、列挙された項目のいずれか一つ又は複数の全ての組み合わせを指す。
【0066】
図1は、本発明のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システムに適用される電動二輪車アプリケーションシナリオの概略図である。
【0067】
図1に示すように、この例示的なアプリケーションシナリオでは、モータービークル端末は、電動バイク10に取り付けられており、クラウドサービス側80と移動通信ネットワークを介してデータのやり取りを行うことができる。また、電動バイク10は、携帯電話20とスマートヘルメット30と通信接続を行うことができる。そのうち、モバイル端末としての携帯電話20は、移動通信ネットワークを介してクラウドサービス側80とデータのやり取りを行うこともできる。なお、この電動バイク10には、取り外し且つ電池に専用の充電機器40に置いて充電可能な電池41が取り付けられている。この充電機器は、無線通信モジュール又は有線通信モジュールも有し、それによってクラウドサービス側80とデータのやり取りを行うこともできる。
【0068】
このことから分かるように、電動バイク10、携帯電話20、充電機器40は、いずれもクラウドサービス側80と通信接続を行うことができ、それによってカーネットワークを1つ形成する。ユーザは、電動バイク10、充電機器40に対して直接の操作を行うことができるだけでなく、携帯電話などの移動通信機器を介して電動バイク、充電機器などのアクセス機器に対して遠隔の監視と制御を行い、様々なスマートアプリケーション機能を実現することができる。
【0069】
例えば、ユーザは、携帯電話20を介して電動バイク10の運行状態をリアルタイムで監視し、充電機器40及びその中で充電する電池41の運行状態を監視することができる。同時に、電動バイク10と充電機器40から異常が検出された場合、警告メッセージを、クラウドサービス側80を介してユーザの携帯電話に送信することができ、例えば故障警告、盗難警告、電池充電異常又は充電完了警告などを発する。さらに、ユーザは、携帯電話20上で操作を行うことにより、電動バイク10と充電機器40を遠隔的に制御し、例えば電動バイク10を遠隔的にロック又はアンロックするか、充電機器の充電パラメータ、充電のオンとオフなどを遠隔的に制御することもできる。
【0070】
説明すべきこととして、上記
図1に示されるアプリケーションシナリオは、例示的なものにすぎず、モータービークル端末とクラウドサービス側に加えて、他のクラウドサービス側にアクセスする機器は、クラウドサービス側にアクセス可能な任意の機器、例えばPC、スマートウォッチなどであってもよく、車両に付設されるスマートヘルメット、ウェアラブルデバイス(例えばスマートグラス)などもクラウドサービス側にアクセスすることができ、それによって車両のスマートアプリケーションをより豊かにする。
【0071】
図2は、本発明のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システムの全体アーキテクチャ図である。
図2に示すように、上記のモータービークル端末は、第一の制御系11と、第二の制御系12とを含み、二つの制御系は、デュアル独立制御系のアーキテクチャを構成する。デュアル独立制御系アーキテクチャは、第一の制御系11と第二の制御系がそれぞれ独立して運行可能であることを指す。前述したように、本発明で言う独立運行は、二者のそれぞれの基本作動モードの正常運行が他方の正常運行に依存しないことを指す。具体的には、一方では、第一の制御系11は、第二の制御系12が正常に作動しない場合にも、その基本的なモータービークル制御が影響を受けず、ただし、第二の制御系12が正常に作動しない場合、第一の制御系11は、第二の制御系12から制御命令を取得できない可能性があり、車両運行状態データをリアルタイムで第二の制御系12に送信することもできなくなる。しかし、上記の取得できない制御命令や送信できない状態データは、第一の制御系11の車両に対する基本走行制御に影響を与えない。他方では、第二の制御系12が正常に作動しない場合には、その基本的なネットワーク相互接続が影響を受けず、ただし、第二の制御系12は、第一の制御系11からリアルタイムの車両運行状態を取得できない可能性があり、外部の追加制御命令を第一の制御系11に送信することもできなくなる。
【0072】
二つの制御系がいずれも正常に作動する時に、両者は、リアルタイムのデータのやり取りを行うことができる。遠隔制御に基づくスマートアプリケーション方面の機能を実現するために、第一の制御系11と第二の制御系12は、データのやり取りを行う必要がある。第一の制御系11は、下位層制御系と呼ばれてもよく、その基本的な機能は、スマートアプリケーション方面の機能を実現するために、前記車両の運行状態をリアルタイムで監視し、車両の運行を制御するとともに、第二の制御系12の制御命令を受信することができることを含む従来の車両制御機能を参照する。第二の制御系12は、最上層制御系と呼ばれてもよく、主にカーネットワークにアクセスしてデータのやり取りを行うために用いられるとともに、モータービークル端末とユーザとの間の直接情報インタラクション(表示機器を制御して車両の運行状態を表示すること、スマートヘルメットとの情報インタラクションなどを含む)を実現するために用いられる。
【0073】
具体的には、一方では、第一の制御系11は、少なくとも一部車両の運行状態データをリアルタイムで第二の制御系12に伝送する必要があるとともに、この第一の制御系11は、内部所定命令及び前記第二の制御系12から受信した制御命令に基づいて車両の運行を制御することができる。他方では、第二の制御系12は、前記第一の制御系11によって伝送されたデータを受信し、受信した少なくとも一部のデータをクラウドサービス側に送信することができ、同時に、この第二の制御系12は、前記クラウドサービス側80からの制御命令を受信し、そのうちの車両運行を制御するための制御命令を前記第一の制御系11に転送することもできる。
【0074】
本発明の第一の制御系11と第二の制御系12との間、及び第二の制御系12とクラウドサービス側との間でやり取りを行う必要のある具体的なデータ又は制御命令は、具体的な車両タイプ、アプリケーション機能、アプリケーション環境などに応じて異なる設計を行うことができるが、本発明を限定するものではない。
【0075】
図2に示すように、本発明の車両インテリジェント制御システムは、ユーザ端末20をさらに含み、ユーザ端末20は、前記クラウドサービス側80と情報インタラクションを行うこともでき、クラウドサービス側80は、ユーザ端末20からの制御命令を前記第二の制御系12に送信することもできる。第二の制御系12は、ユーザ端末20からの制御命令を受信し、遠隔制御方面の応用、例えば盗難防止のための遠隔ロックなどを実現するために、第一の制御系11による処理を必要とする制御命令を第一の制御系11に転送することができる。
【0076】
また、第二の制御系12は、車両の様々な運行状態データを含む第一の制御系11からの車両運行状態データをクラウドサービス側80に送信することもできる。説明すべきこととして、ここで言う運行状態は、車両の環境状態、フルビークル状態及び各部品の状態を含み、そして、車両走行時の状態を含むだけではなく、車両が停止未起動、起動未発進などの様々なモードでの状態も含む。
【0077】
図3は、本発明のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システムの具体的な一実施例の構造ブロック図である。
図3に示すように、この実施例では、第一の制御系11は、第一の電子制御ユニット111と、センシング制御モジュール112と、ヒューマンコンピュータインタラクションモジュール113と、身分識別モジュール114とを含む。第二の制御系は、第二の電子制御ユニット121と、通信モジュール122と、表示モジュール123とを含む。第一の電子制御ユニット111は、第二の電子制御ユニット121と接続してデータのやり取りを行う。具体的な実施の形態として、第一の電子制御ユニット111は、CANBus(ControLLer Area Net-work Bus)を介して第二の電子制御ユニット121に接続されている。他の実施の形態では、両者は、他の接続線を介して接続されてもよく、本発明は、接続線のタイプに対して限定しない。
【0078】
二つの電子制御ユニットは、一般的には、ECU(Electronic Control Unit)により実現されてもよく、ECUは、「走行用コンピュータ」とも呼ばれ、マイクロプロセッサ(CPU)、メモリ(ROM、RAM)、入力/出力インターフェース(I/O)、アナログデジタル変換器(A/D)及び整形、駆動などを含む大規模集積回路から構成されている。しかし、本発明は、他の形態の電子制御ユニットを排除するものではなく、一定のデータ記憶及び処理能力を備えていればよい。
【0079】
本実施例の第一の電子制御ユニット111には、センシング制御モジュール112、ヒューマンコンピュータインタラクションモジュール113及び身分識別モジュール114が接続されており、前記センシング制御モジュール112は、電池センサ、フルビークル環境情報センサ、電子制御環境情報センサなどを含む車両の様々なセンサを接続するために用いられ、各センサが取得した検出データを収集、まとめ、前処理した後に、第一の電子制御ユニット111に送信する。第一の電子制御ユニット111は、センサから取得した生データ又は前記生データに対して処理を行った後の集計データを、CANBusを介して第二の電子制御ユニット121に送信し、第二の電子制御ユニット121は、第一の電子制御ユニット111からのデータを前記クラウドサービス側80に転送する。
【0080】
ヒューマンコンピュータインタラクションモジュール113と身分識別モジュール114は、アプリケーションモジュールに属し、それぞれ、ユーザのヒューマンコンピュータインタラクションと身分識別とに用いられる。他の実施の形態では、第一の電子制御ユニット111に接続されているのは、他の任意のアプリケーションモジュール、例えば照明制御モジュール、電子切り替えモジュール(デュアル電池又はマルチ電池の場合)、FOCモジュールなどであってもよい。様々なアプリケーションモジュールは、一般的にはセンサと、実行機構とを含み、例えば、身分識別モジュールは、生体特徴識別用のセンサを含み、ロックとアンロック用の回路なども含む。本発明は、具体的なアプリケーションモジュールに限定されない。第一の電子制御ユニット111は、各アプリケーションモジュールのセンサから取得した生データ又は前記生データに対して処理を行った後の集計データを、CANBusを介して第二の電子制御ユニット121に送信し、第二の電子制御ユニット121は、第一の電子制御ユニット111からのデータを前記クラウドサービス側80に転送することもできる。
【0081】
この実施例では、第一の電子制御ユニット111によって制御されるアプリケーションモジュールは、主に車両の走行制御、電池管理、情報収集とヒューマンコンピュータインタラクションなどの基本走行運行機能に関するため、第一の電子制御ユニット111は、走行監視ユニットとも呼ばれる。一方では、第二の電子制御ユニット121は、主にクラウドサービス側80との接続、通信及びポジショニング、表示装置の制御、音響及び映像の制御などを含む車両のネットワーク接続及びマルチメディア機能を制御することに向いている。そのため、第二の電子制御ユニット121は、官能相互接続ユニットとも呼ばれる。
【0082】
この実施例では、第二の電子制御ユニット121には、通信モジュール122と表示モジュール123とが接続されている。通信モジュール122の一方面は、クラウドサービス側80と接続を確立するために用いられ、例えば、データをクラウドサービス側80に送信するか、又はクラウドサービス側80から制御命令をダウンロードするために、4G通信をサポートする移動通信モジュールであってもよい。通信モジュール122の別の方面は、車両の附属の機器と接続を確立するために用いられ、例えば、スマートヘルメットの状態を取得してスマートヘルメットにデータを送信するために、ブルートゥース(登録商標)モジュールを介してスマートヘルメットに接続される。
【0083】
表示モジュール123は、車両のディスプレイの表示を制御するために用いられる。当然ながら、他の実施の形態では、第二の電子制御ユニット121は、他のアプリケーションモジュール、例えばポジショニングモジュールに接続されてもよい。
【0084】
この実施例における表示モジュールに対して、第二の電子制御ユニット121は、第一の電子制御ユニット111から受信した運行状態データに基づいて、車両のリアルタイム運行状態をディスプレイに表示させるように表示モジュールを制御する。また、前記第二の電子制御ユニット121は、ユーザの操作命令及び/又はクラウドサービス側からの制御命令に基づいて表示モジュール123の表示を制御することもできる。
【0085】
この実施例では、第一の制御系及び第二の制御系から取得したデータに基づいて、表示モジュールは、車両の走行速度、電池の電力量、環境温度、ウインカーランプの状態などを含む車両データを表示するようにディスプレイを制御することができる。ポジショニングモジュールを含む他の実施例では、表示モジュールは、ナビゲーション地図を表示することもできる。つまり、本発明は、表示モジュールが表示を制御可能なデータ又は表示方式を限定するものではない。
【0086】
さらに、この実施例では、第二の電子制御ユニット121は、その取得した車両運行状態データ(例えばウインカーランプオン状態を表すデータ)をクラウドサービス側80に送信するように通信モジュール122を制御するためにも用いられ、クラウドサービス側と接続を確立したユーザ端末20は、この車両の運行状態データをリアルタイムで取得することができ、これにより、ユーザ端末で車両の現在の運行状態をリアルタイムで表示することもできる。
【0087】
図4は、本発明のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システムの別の具体的な実施例の構造ブロック図である。
図4に示すように、前の一実施例とは異なり、この実施例のセンシング制御モジュールには、電動バイクの電池システムを管理するための独立した電池管理モジュール1121が接続されている。この実施例では、電動バイクの電池は、動力電池1122と、中央制御電池1123とを含み、動力電池1122は、モータービークルの動力システムに電気エネルギを供給するために用いられ、中央制御電池は、モータービークルの電気システムに電気エネルギを供給するために用いられる。上記の動力システムは、車両走行のために動力を提供するシステムを指し、電動機、変速機、輪軸などを含む。上記の電気システムは、車両の電気機器又は電気素子を指し、第一の制御系及び第二の制御系に含まれる様々なセンサ、制御ユニットを含み、表示モジュール、ポジショニングモジュール、車両照明機器なども含む。
【0088】
この実施例では、独立した電池管理モジュール1121を用いて電池システムを管理することにより、車両の電池システムに対する制御をより効率的かつ知能化することが可能となる。動力電池については、本実施例は、二つの電池を含み、電池管理モジュール1121は、各電池の様々な状態及び情報(紛失の有無などを含む)を収集し、電池状態をモニタリングし、電池の充電、放電、サイクル回数を管理する。中央制御電池については、電池管理モジュール1121も同様に電池の電力量などの様々な状態を収集し、電池の充電、放電、サイクル回数などを管理する。中央制御電池は、メイン電池、バックアップ用電池を採用してもよく、電池管理モジュール1121はまたメイン電池、バックアップ用電池の切り替えを管理することを担う。
【0089】
電動バイクの電池数の増加と電池管理の精細化、知能化需要の増加に伴って、電池管理は、より多くの情報を取得し、より膨大なデータ処理を行う必要があり、それによってより多くのリソース配分が必要となる。従来技術では、汎用モジュールを用いて電池システムを併せて管理する方式は、このような変化に適応することは困難であり、これにより、本発明は、独立した電池管理モジュールを用いて車両の電池システムを統一的に管理する構想を提案する。上記の電池管理モジュールは、より多くの知能化設計とアプリケーション拡張を容易にするために、専用のデータプロセッシングデバイスにより実現されてもよい。独立した電池管理モジュールを採用することはまた、電池システム間の回路設計の最適化とアップグレードを容易にし、例えば、車両の電池に対する管理と制御をよりロバスト及び安全にするために、電池と電池管理モジュールとの間の回路のために専用の回路又は伝送方式を設計する。
【0090】
図5は、本発明のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システムの一実施例のユーザ端末の表示インターフェース概略図である。この実施例における一つのユーザ端末は、携帯電話であり、携帯電話のインターフェースは、
図5に示すように、運転者以外の他のユーザの携帯電話が許可された場合に、このインターフェースを表示することができる。インターフェースには、電動バイクを模擬する表示装置の領域を含み、その上に電子地
図203が表示されており、電子地
図203には、電動バイクの位置を表すエンブレム204を表示することができる。電子地
図203の両側には、それぞれ左折標識201と右折標識202である方向指示標識が設けられた。表示装置模擬領域の下方には、車両のリアルタイム状態を表示するための状態情報欄205がさらに設けられた。
【0091】
電動バイクが一人の運転者で運転される場合、電動バイクは、第一の制御系11を介して、車両からの各照明器具のリアルタイム状態、車両の速度、車両電池の残り電力量、及び第一の電子制御ユニット111により算出された残り走行距離などのリアルタイムの車両状態情報を取得することができ、第一の制御系11は、これらのリアルタイムの車両状態情報を第二の制御系12に送信し、第二の制御系は、それに接続される機能モジュールから車両に関連する情報、例えばポジショニングモジュールから取得した車両の地理的位置情報を取得することもできる。それによって、第二の制御系は、第一の制御系11から取得した車両状態情報とポジショニングモジュールから取得した地理的位置情報とをまとめてクラウドサービス側80に送信することができる。これにより、電動バイクと接続を確立した携帯電話において、照明器具のリアルタイム状態、車両の速度、車両電池の残り電力量、及び第一の電子制御ユニット111により算出された残り走行距離などを含む車両の地理的位置情報と車両状態情報を同時に、例えば
図5に示される方式で表示することができる。
【0092】
説明すべきこととして、
図5は、携帯電話インターフェースの一例に過ぎず、当業者であれば、表示する必要がある情報に応じて、様々なデータの表示方式を変更、最適化することができる。
図5に示される表示方式は、本発明のユーザ端末の表示方式を限定するものと解釈すべきではない。例えば、車両の各ランプの状態を含む車両アイコンの地図画面上で運行する動画をこの携帯電話上にリアルタイムで表示することができる。このような協働遠隔表示方式は、遠隔ユーザが車両の運行状態を詳細に知ることができるだけでなく、車両のユーザに対する興趣性を向上させ、ユーザ体験を向上させることができる。
【0093】
そして、
図5に示されるのは、携帯電話上の一つの表示インターフェースであるが、本発明のユーザ端末は、携帯電話だけでなく、例えばPCコンピュータ、タブレットパソコン、スマートウォッチ、スマートグラスなどの様々な表示媒介として機能することができ、かつクラウドサービス側アクセス能力を有する機器であってもよい。類似した原理により、これらのユーザ端末で様々な車両に関連するデータを表示することもできる。
【0094】
図6は、本発明のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システムの別の実施例のインタラクション方式概略図である。
図6に示すように、車両インテリジェント制御システムは、スマートヘルメット30をさらに含み、電動バイク10は、このスマートヘルメット30と通信を行うことができる。具体的には、車両インテリジェント制御システムの第二の制御系12の通信モジュール122は、スマートヘルメットと通信する通信ユニット、例えばブルートゥース(登録商標)通信ユニットをさらに含む。これにより、第二の制御系12は、スマートヘルメット30とデータのやり取りを行うことができる。この実施例では、第二の制御系12は、ユーザの操作命令及び/又はクラウドサービス側80からの制御命令に基づいて前記表示内容を制御することもできる。例えば、ユーザが、車両が盗難されたことを疑う場合に、ユーザ端末20を介して遠隔操作により表示装置をオフにしたり、又は相応な警告情報などを表示装置上に表示したりすることができる。さらに例えば、他のユーザ(例えば運転者の友人又は家族)が許可を得た後、ユーザ端末(携帯電話)を介してメッセージを送信することもでき、このメッセージは、クラウドサービス側80の転送を介して第二の制御系12によって受信され、第二の制御系の制御を介して表示装置又は表示モジュール上に表示される。
【0095】
なお、第二の制御系12は、スマートヘルメットとデータインタラクションを行い、テキストメッセージに対して投影表示を行うことができる。別の実施の形態では、第二の制御系12は、テキストメッセージをボイスメッセージに変換した後、スマートヘルメットにオーディオデータを送信し、運転者が送信された文字メッセージから変換されたボイスメッセージを直接に聞くことができる。さらに別の実施の形態では、受信したオーディオメッセージに対して、第二の制御系12は、それをスマートヘルメットに直接転送し、運転者がヘルメットを介してこのオーディオメッセージを聞くようにする。
【0096】
図7は、上記実施例のスマートヘルメット30の構造ブロック図である。
図7に示すように、スマートヘルメット30は、主制御モジュール31と、送受信モジュール32と、通話モジュール33と、オーディオモジュール34と、投影モジュール35とを含む。そのうち、主制御モジュール31は、各機能モジュールの作動を制御して協調し、及び関連データをキャッシュするために用いられ、送受信モジュール32は、第二の制御系の通信モジュールと通信接続を確立し、データを送受信するために用いられ、通話モジュール33は、ユーザのボイス入力と前処理を受信するために用いられ、オーディオモジュール34は、オーディオ情報の再生を制御するために用いられ、投影モジュール35は、情報を投影表示するために用いられる。
【0097】
スマートヘルメットの送受信モジュール32は、電動バイクからの様々な情報、例えば第一の制御系によって取得された車両状態情報、第二の制御系によって生成されたナビゲーションボイス情報、ナビゲーション指示情報(投影で表示されることが選択可能)、第二の制御系によって受信されたクラウドサービス側からのテキストメッセージ(投影で表示されることが選択され、又は第二の制御系でボイスに変換されて送信されてもよい)、ボイスメッセージなどを受信することができる。
【0098】
通話モジュール33によって受信されたユーザのボイス情報は、第二の制御モジュール12に送信されてもよく、第二の制御モジュールは、それを制御命令に変換して、ユーザがボイスを介してシステム全体を設定することができ、例えばユーザは、ヘルメットの通話モジュールを介して「ナビゲーションして駅に行きます」の命令を発することができ、第二の制御系がこのボイスを受信すると、その内部のナビゲーションアプリケーションを開き、目的地を駅に設定する。
【0099】
オーディオモジュール34は、様々なオーディオの再生を制御することができる。オーディオは、第二の制御系からのナビゲーションボイス、クラウドサービス側80から受信したボイスメッセージ又は受信したテキストメッセージから変換して得られたボイスメッセージを含む。
【0100】
投影モジュール35は、第一の制御系によって取得された車両状態情報、第二の制御系によって生成されたナビゲーション指示情報、第二の制御系によって受信されたクラウドサービス側からの情報などを含む様々な可視化表示可能な情報を投影するために用いられる。
【0101】
説明すべきこととして、この実施例に記述されたスマートヘルメットは、本発明の一例示的な実施の形態であり、電動バイクと通信接続を確立することが可能であり、且つ情報の展示又は再生を有するヘルメットであれば、いずれも本発明に適用可能である。つまり、上記スマートヘルメットの各機能モジュールは、異なる目的に応じて増加又は削除されてもよい。
【0102】
このことから分かるように、車両とスマートヘルメットとのインタラクションにより、本発明の車両インテリジェント制御システムの機能をより多様化及び利便化し、ユーザのスマート、遠隔制御に対する感覚をより改善させ、ユーザ体験を向上させる。
【0103】
図8は、本発明のデュアル独立制御系に基づく車両インテリジェント制御システムにおける第二の制御ユニットの具体的な実施例の構造ブロック図である。
図8に示すように、第二の電子制御ユニット121は、再起動制御モジュール1211と、アプリケーション運行モジュール1212とを含む。アプリケーション運行モジュール1212は、様々なアプリケーションを記憶、インストール及び運行するために用いられ、再起動制御モジュール1211は、アプリケーション運行モジュール1212の自動再起動を制御するために用いられる。好ましい実施の形態として、アプリケーション運行モジュールには、独立したオペレーティングシステム、例えばAndroidシステムがインストールされてもよく、これにより、このオペレーティングシステムに様々なアプリケーションをインストール、更新し、新しい機能の追加及び既存の機能のアップグレードを容易にすることができる。
【0104】
アプリケーション運行モジュール1212は、複数のスマートアプリケーションの運行を同時にサポートする可能性があるため、比較的に多くのシステムリソースを消費する可能性があるため、内部記憶空間の不足によるオーバーフローなど、特定の場合に運行エラー(又は「フリーズ」と呼ぶ)が発生して中止するおそれがある。ユーザ、特に運転中の運転手が操作して再起動することが不便であり、そうでなければ安全に影響を与えることを考慮すると、本発明は、自行再起動の設定を提案する。つまり、前記アプリケーション運行モジュール1212には、マイクロプロセッサ(MCU)で実現でき、第二の電子制御ユニット121のアプリケーション運行モジュール1212部分がフリーズしたか否かをリアルタイムで監視するための再起動制御モジュール1211が接続されており、フリーズが監視された場合、このアプリケーション運行モジュール部分を再起動するように制御する。
【0105】
更に、再起動制御モジュール1211はまた、再起動過程を管理する。フリーズと再起動過程において、データ中断が発生する可能性があることを考慮すると、この実施例における再起動制御モジュール1211は、第一のデータ記憶モジュール1213を含み、それは、例えばRAMによって実現されてもよく、第一の電子制御ユニットにより報告されるデータ又はクラウドサービス側により発信される制御命令は、まず前記再起動制御モジュールの第一のデータ記憶モジュール1213にキャッシュされ、次に、前記アプリケーション運行モジュール1212に送信される。
【0106】
これにより、再起動制御モジュール1211によりアプリケーション運行モジュール1212のフリーズが検出された場合、このフリーズ状態又は再起動の過程において、第二の電子制御ユニット121が第一の電子制御ユニット111により報告されるデータ又はクラウドサービス側80からの制御命令を受信すると、前記再起動制御モジュールは、この報告されるデータ又は発信される制御命令を第一のデータ記憶モジュール(例えばRAM)にキャッシュする。前記アプリケーション運行モジュール1212が正常に起動されると、前記再起動制御モジュール1211は、第一のデータ記憶モジュール1213内のデータをアプリケーション運行モジュール1212に再送信する。
【0107】
このことから分かるように、このような自動再起動機能により、電動バイクなどの車両が特殊な場合で上層制御系(第二の制御系)の不正常作動が発生しても、相応な機能を回復するために迅速に再起動することができ、これは、システムの安定と車両の安全性の向上にとって大いに助けとなる。
【0108】
上記の実施の形態についての記述によって、当業者は、本発明が特定のコンピュータプログラムを実行可能なハードウェア、例えば、本発明のシステム、及びシステムに含まれる電子処理ユニット、サーバ、クライアント、携帯電話、制御ユニット、プロセッサなどによって実現されてもよく、本発明は、上記システム又は構成要素の少なくとも一部を含む車両により実現されてもよいことを容易に理解するであろう。本発明は、本発明の方法を実行するコンピュータソフトウェア、例えばモータービークル端末のマイクロプロセッサ、電子制御ユニット、クライアント、サーバ端などにより実行される制御ソフトウェアなどにより実現されてもよい。しかし、説明すべきこととして、本発明の方法を実行するコンピュータソフトウェアは、1つ又は特定数のハードウェアエンティティによって実行されることに限定されるものではなく、不特定の具体的なハードウェアによって、分散型の方式で実現されてもよく、例えば、コンピュータプログラムによって実行されるいくつかの方法ステップは、モータービークル端末にて実行されてもよく、別の部分は、モバイル端末又はスマートヘルメットなどにて実行されてもよい。
【0109】
コンピュータソフトウェアに対して、ソフトウェア製品は、一つのコンピュータ可読の記憶媒体(CD-ROM、Uディスク、リムーバブルハードディスクなどであってもよい)又はネットワーク上に記憶してもよく、データプロセッシングデバイス(パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワーク機器などであってもよい)が本発明による上記方法を実行するように命令を若干含んでもよい。前記コンピュータ可読記憶媒体は、ベースバンドで伝播されるか、又はキャリアの一部として伝播されるデータ信号を含んでもよく、その中には、可読プログラムコードが載せられている。このような伝播されるデータ信号は、複数の形式を採用してもよく、電磁信号、光信号、又は上記の任意の適切な組み合わせを含むが、それらに限らない。可読記憶媒体は、可読記憶媒体以外の任意の可読媒体であってもよく、この可読媒体は、命令実行システム、装置又はデバイスによって使用されるか、又はそれと組み合わせて使用されるためのプログラムを送信、伝播、又は伝送することができる。可読記憶媒体に含まれるプログラムコードは、任意の適切な媒体で伝送されてもよく、無線、有線、光ケーブル、RFなど、又は上記の任意の適切な組み合わせを含むが、それらに限らない。
【0110】
本発明の操作を実行するためのプログラムコードは、一つ又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで作成してもよく、前記プログラミング言語は、オブジェクト指向プログラミング言語、例えば、Java、C++などを含み、従来のプログラムプログラミング言語、例えば「C」言語又は類似したプログラミング言語をさらに含む。プログラムコードは、ユーザコンピューティングデバイス上で完全に実行されてもよいし、ユーザ機器上で部分的に実行されてもよいし、一つの独立したソフトウェアパッケージとして実行されてもよいし、一部がユーザコンピューティングデバイス上で、一部が遠隔コンピューティングデバイス上で実行されてもよいし、又は遠隔コンピューティングデバイス又はサーバ上で完全に実行されてもよい。遠隔コンピューティングデバイスに関する場合、遠隔コンピューティングデバイスは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又は広域ネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを介して、ユーザコンピューティングデバイスに接続されるか、又は外部コンピューティングデバイスに接続される(例えば、インターネットサービスプロバイダを利用してインターネットを介して接続する)ようになってもよい。
【0111】
上述した具体的な実施例は、本発明の目的、技術案と有益な効果をさらに詳細に説明したが、理解すべきこととして、以上の実施例は、本発明の具体的な実施例にすぎず、本発明はこれに限定するものではなく、本発明の精神及び原則の範囲内で行われたいかなる修正、均等物、改良などは、いずれも本発明の保護範囲に含まれるものとする。