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▶ 平 孝太郎の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】鍋蓋
(51)【国際特許分類】
   A47J 36/06 20060101AFI20231211BHJP
【FI】
A47J36/06 Z
A47J36/06 G
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023036035
(22)【出願日】2023-02-17
【審査請求日】2023-03-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523083861
【氏名又は名称】平 孝太郎
(72)【発明者】
【氏名】平 孝太郎
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-160910(JP,A)
【文献】実開昭49-065568(JP,U)
【文献】実開昭52-021441(JP,U)
【文献】特開平10-225368(JP,A)
【文献】実開平03-072821(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第02196119(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第106175501(CN,A)
【文献】特開2016-055108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00-36/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円形形状の柔軟材の円形部を囲む円環状のガラス材の円環部からなる鍋蓋本体、および前記鍋蓋本体の円形部を覆う取手部を有する鍋蓋であって、
前記取手部および鍋蓋本体は分離可能であり、
前記鍋蓋本体の円形部において円環状に磁石または磁性体が配置されており、
前記鍋蓋本体の円形部の磁石に適合する前記取手部の位置に磁性体または磁石が円環状に配置されており、
前記取手部が前記鍋蓋本体を覆ったときに、前記鍋蓋本体に配置された円環状の磁石と前記取手部に配置された磁石または磁性体と接着するか、あるいは前記鍋蓋本体に配置された円環状の磁性体または磁石と前記取手部に配置された磁石と接着し、
前記鍋蓋本体の円形部は複数の扇形形状に分離されており、隣接する扇形の半径同士の間に隙間が存在することを特徴とする鍋蓋。
【請求項3】
前記鍋蓋本体の外周の一部に取付部分が配置されており、
前記取付部分に吸盤が配置されており、吸盤によって鍋と固定することを特徴とする請求項1に記載の鍋蓋。
【請求項7】
前記鍋蓋本体の円形部の中心から、菜箸などを入れて蓋を曲げて中身に触れることができることを特徴とする請求項1~6のいずれかの項に記載の鍋蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋をしたまま調理ができる鍋蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
調理において鍋を使用するときに鍋蓋を共用することがある。鍋蓋は蒸したり煮たりする調理で使用すると、蒸発を防ぐことができる。蓋をすることで、鍋の中の熱を一定に保つことができたり、煮物を作る際は煮汁の蒸発を防ぐ。効率的に美味しく調理するために必要不可欠な調理器具である。
【0003】
鍋に油をひいて肉や野菜を炒めるときなどに、油跳ねが起こることがある。油跳ねによってキッチンが汚れたり、油が肌に付着して火傷するなどの問題が起こる。
【0004】
このような問題の解決策として、鍋蓋で蓋をするというものがある。鍋蓋にはとても小さい蒸気穴があり、蒸気以外のものは外に出ないようになっている。蓋をすることで蒸気だけを逃がし、油跳ねが鍋の外に出るのを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実全平03-003937
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、鍋蓋をしたまま鍋の中の食材等に触れることができない点である。
【0007】
解決しようとする問題点は、鍋と鍋蓋が固定できない点である。
【0008】
解決しようとする問題点は、鍋蓋をつけたときに、鍋の中身が見えない点である。
【0009】
解決しようとする問題点は、何かを煮込んでいるときに、吹きこぼれが発生するという点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前述した問題点を解決する手段を提供する。すなわち、本発明は、鍋蓋をしたまま鍋の中の食材等に触れる手段等を提供する。具体的には以下の特徴を有する。
(1)本発明は、略円形形状の柔軟材の円形部を囲む円環状のガラス材の円環部からなる鍋蓋本体および前記鍋蓋本体の円形部を覆う取手部を有する鍋蓋であって、前記取手部および鍋蓋本体は分離可能であり、前記鍋蓋本体の円形部において円環状に磁石または磁性体が配置されており、前記鍋蓋本体の円形部の磁石に適合する前記取手部の位置に磁性体または磁石が円環状に配置されており、前記取手部が前記鍋蓋本体を覆ったときに、前記鍋蓋本体に配置された円環状の磁石と前記取手部に配置された磁石または磁性体と接着するか、あるいは前記鍋蓋本体に配置された円環状の磁性体または磁石と前記取手部に配置された磁石と接着することを特徴とする、鍋蓋である。
(2)本発明は、(1)に加えて、前記鍋蓋本体の円形部の柔軟材はシリコーンであり、前記鍋蓋本体の取付部分に吸盤が配置されており、吸盤によって鍋と固定し、前記鍋蓋本体の円形部のシリコーンは透明であり、前記鍋蓋本体の円環部のガラス材とともに透明で蓋をしたままでも鍋の中が確認できることを特徴とする。
(3)本発明は、(1)または(2)に加えて、前期鍋蓋本体の円形部のシリコーンは複数の扇形形状に分離されており、隣接する扇形の半径同士に隙間が存在し、前期鍋蓋本体の円形部の中心に穴が存在する。これらによって、前記鍋蓋本体の円形部の中心から、菜箸などを入れて蓋を曲げて中身に触れることができることを特徴とする。
このように、本発明は、排水溝キャップのような形状で、菜箸やゴムベラなどを自由に出し入れできる。吸盤によって鍋に固定できる。鍋蓋はガラスと透明なシリコーンでできており、中身が見える。鍋を密閉でき、中身が外に出ることを防ぎ、吹きこぼれを防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の鍋蓋は、柔らかいシリコーンでできているため、蓋をしたままでも菜箸などで蓋を曲げながら中身に触れることができる。
【0012】
本発明の鍋蓋は、鍋蓋を鍋に固定でき、鍋を揺らしたり傾けたりしても鍋蓋が落ちることがなく、鍋蓋をつけたまま片手で鍋振りをすることができる。鍋振りとは、熱を食材に伝えるため、また鍋肌に付いた食材が焦げないようにするために鍋を振ること。
【0013】
本発明の鍋蓋は、シリコーン部分やガラス部分は透明で中身を見ることができ、鍋蓋を取ることがなく食材の様子を確認することができる。
【0014】
本発明の鍋蓋は、鍋を密閉することができるので、中身が外に出すことを防ぎ、吹きこぼれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は鍋蓋本体の平面図である。
図2図2は鍋蓋の取手部分の平面図である。
図3図3は鍋蓋本体の正面図である。
図4図4は鍋蓋の取手部分の正面図である。
図5図5は鍋蓋を鍋に固定し、取手部分も取り付けたときの全体図である。
図6図6は鍋蓋の実施方法を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の鍋蓋23は、鍋蓋本体21と取手(部分)22の二つの部品からなる。
【0017】
図1図3は、鍋蓋本体21についての図である。図3から分かるように、鍋蓋本体21は上に凸状の形状であり、平面的に見たときに、円形状の円形部分2とそれを取り囲む円環 状の円環部分1で形成され、円環部分1はガラス材でできており、透明である。円形部分2は、耐熱性の柔軟性材料(たとえば、シリコーン)でできていて、排水溝キャップのような形をしており、(すなわち、円形部分2は、複数の扇形形状部分(たとえば、2-1,2-2,2-3,・・・)からなり、扇形形状部分同士の間(隣接する扇形の半径の間)に隙間12がある。)弱い力でも簡単に曲がり、軽い力でも調理器具を鍋に入れることができる。(図6を参照)円環部分1のガラス材と円形部分2のシリコーン材は付着して一体になっている。(円環部分1のガラス材と円形部分2の扇形形状の円弧部分は付着して一体になっている。)また、調理器具等で触れていない間は変形することがなく、蓋の形を保っている。中心には穴13があり、そこから食材や調味料を加えることができる。穴13の大きさは最小限(たとえば、5mm~20mm)であり、取手をつけていない状態でも、油跳ねが鍋の外に飛び出すことを大きく抑えることができる。円形部分2のシリコーンは透明で、中の食材が見える。中心付近には円環状に(扇形形状の部分に円環状に)3の磁石がシリコーン内に埋め込まれており、鍋の中身には触れないようになっている。強力な磁石を使うことで、内部に埋め込まれていても、ほかの部品と接着することができる。図に示すように、鍋蓋本体21の外周の一部に取付部分4が配置されている。4の取付部分には下部に8の吸盤がついており、鍋にくっつけることで鍋と鍋蓋を固定できる。図に示すように、取付部分4は、左右2か所配置するが、2か所以上に配置しても良い。
【0018】
図2図4は取手部分22についての図である。5はつまみであり、プラスチックでできている。取手部分22の円形形状(図2に示すように平面的に見たとき)の取手本体6はガラス材でできており、上に凸状で透明である。7は磁石であり、裏面に円環状に埋め込まれている。取手部分22を鍋蓋本体21に取り付けたときに磁石7と磁石3は接着するようになっている。すなわち、取手部分22を前記鍋蓋本体21に被せた(覆った)ときに、取手部分22の円形形状の取手本体6は鍋蓋本体21の円形状部分2とほぼ同じサイズであるから、取手部分22の円形形状の取手本体6と鍋蓋本体21の円形状部分2が合わさる。また、鍋蓋本体に配置された円環状の磁石3の位置(すなわち、円環状の半径)と取手部に配置された円環状の磁石7の位置((すなわち、円環状の半径)はほぼ同じであるから、取手部分22を前記鍋蓋本体21に被せた(覆った)ときに、鍋蓋本体に配置された円環状の磁石3と取手部に配置された磁石7が接着する。また、鍋蓋と取手は磁石によって取り外し可能である。接着力は、鍋を揺らしても取れない程度に強力であるが、鍋蓋から外すときに鍋が持ち上がらず、鍋蓋や鍋を抑えることがなく簡単に外せる程度の強さである。尚、3と7はどちらも磁石としたが、一方が磁石で他方が磁性体(鉄、ニッケル等)でも良い。磁石3の位置は、円形状部分2の任意の位置で良いが、バランスを考慮して、円形状部分の半径をRとしたとき、円の中心から1/4R~3/4Rの位置が良い。
【0019】
図5は、鍋と共に使用したときの全体図である。9の鍋は鍋蓋23と大きさがほぼ等しく、鍋蓋23が鍋に適合するものとする。図面を見て分かるように、鍋がしっかり密閉されている。取手部分22の円形形状の取手本体6は円形部分2の大きさと等しく、固定すれば円環部分1と円形形状の取手本体6が繋がるようになる。また、鍋蓋と等しいサイズの鍋であれば、吸盤8によって、鍋の素材に関係なく装着することができる。
【0020】
図6は、10の菜箸を用いた使用時の全体図である。図面のように、円形部分2を曲げながら菜箸10を入れることで、油跳ねを防いだまま中身を混ぜることができる。これは、菜箸に限らずほかの調理器具でも同様である。このように、円形部分2は、複数の扇形形状に分離されており、複数の扇形形状部分(2-1、2-2,2-3,・・・)に隙間12が存在し、かつ柔軟性材料(たとえば、シリコーン)でできていて、排水溝キャップのようになっているので、穴13から菜箸や食材等を入れたときに、扇形形状部分の特に先端側は下側に変形可能となる。菜箸や食材等を入れないときは、扇形形状部分の復元力で扇形形状に戻る。ここで、扇形形状部分は、変形力や復元力が等分になるのが望ましく、ほぼ同じサイズである。また、扇形形状部分の数は、ある程度の強度と変形力を最適化するために、6個~18個が望ましい。尚、扇形形状部分の弧の部分は、鍋蓋本体21の円環部分1に一体となって付着している。この付着方法は熱圧着など種々の方法を採用できる。また、前述したように、扇形形状部分の弧以外の部分は、隣の扇形形状部分と分離していて、隙間12が存在する。この隙間12は、菜箸など入れて扇形形状部分を変形させることができる程度の隙間であれば良い。(たとえば、隙間は1mm以下であり、鍋の蒸気が外側へ漏れない程度の隙間である。隙間は切れ目と呼んでも良い。)円環状の磁石3は、隙間12があるために、円周方向には完全に連続していないが、隙間は最小限であるから、円周方向にほぼ連続していると考えて良い。尚、鍋蓋の円形部分が複数の扇形形状に分離されている場合は、鍋蓋(の円形部分)の中心に穴がなくても菜箸等を入れると、扇形形状部分、特に先端部が曲がって、鍋に入れた中身(の具材等)に触れることができる。
【0021】
使用時には、鍋蓋と鍋を固定させる。取手を取った状態の時は、上から菜箸やお玉、へらなどを自由に出し入れできる。また、上に穴が開いているので、水などを沸騰させたときでも、吹きこぼす心配がない。取手をつけた状態の時は、密閉することができ、その状態のまま中身をひっくり返すことができる。この際、中身が外に出る心配がない。
【産業上の利用可能性】
【0022】
鍋蓋が油跳ねを防ぐことによって、調理をする人の火傷や油の掃除などの負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 ガラス材部分(鍋蓋本体の円環部分)
2 シリーコン材部分(鍋蓋本体の円形部分)
3 磁石(鍋蓋本体)
4 取付部分
5 つまみ
6 ガラス材部分(取手部分の取手本体)
7 磁石(取手部分)
8 吸盤
9 鍋
10 菜箸
12 隙間
13 穴
21 鍋蓋本体
22 取手部分
23 鍋蓋
【要約】
【課題】鍋で調理する際、鍋蓋がないと油跳ねが鍋の外に飛び出してしまうという点を解決するために、鍋蓋をしたまま鍋の中の食材等に触れる手段等を提供する。
【解決手段】本発明は、略円形形状の柔軟材の円形部を囲む円環状のガラス材の円環部からなる鍋蓋本体および前記鍋蓋本体の円形部を覆う取手部を有する鍋蓋であって、前記取手部および鍋蓋本体は分離可能であり、前記鍋蓋本体の円形部において円環状に磁石または磁性体が配置されており、前記鍋蓋本体の円形部の磁石に適合する前記取手部の位置に磁性体または磁石が円環状に配置されており、前記取手部が前記鍋蓋本体を覆ったときに、前記鍋蓋本体に配置された円環状の磁石と前記取手部に配置された磁石または磁性体と接着するか、あるいは前記鍋蓋本体に配置された円環状の磁性体または磁石と前記取手部に配置された磁石と接着することを特徴とする、鍋蓋である。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6