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  • 特許-両面ロングパイル編み物 図1
  • 特許-両面ロングパイル編み物 図2
  • 特許-両面ロングパイル編み物 図3
  • 特許-両面ロングパイル編み物 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】両面ロングパイル編み物
(51)【国際特許分類】
   D04B 1/02 20060101AFI20231211BHJP
【FI】
D04B1/02
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023065112
(22)【出願日】2023-04-12
【審査請求日】2023-04-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】393010101
【氏名又は名称】佰龍機械廠股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】游 仁偉
【審査官】川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-169413(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113718412(CN,A)
【文献】特開平09-324347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
丸編機によって編まれる両面ロングパイル編み物であって、
基礎組織と、
それぞれ前記基礎組織に接続され且つ前記基礎組織の2つの対向面に位置する2つのロングパイル組織であって、前記2つのロングパイル組織のそれぞれが、複数のカットパイルを備え、前記2つのロングパイル組織の前記複数のカットパイルのそれぞれの長さは、3.5~15mmであり、前記2つのロングパイル組織のそれぞれは、前記基礎組織に接続される複数の弧形の糸区間を備え、前記2つのロングパイル組織の一方は、連続的な前記複数の弧形の糸区間によって前記複数のカットパイルの2つ接続され、前記2つのロングパイル組織の他方は、前記複数の弧形の糸区間の1つによって前記複数のカットパイルの2つ接続される2つのロングパイル組織と
を含むことを特徴とする両面ロングパイル編み物。
【請求項2】
前記基礎組織が複数のループを備え、前記複数のループのそれぞれは、前記2つのロングパイル組織の前記複数のカットパイルのどちらか1つに接続され、前記複数のループで同じ列に位置するものを観察すると、前記2つのロングパイル組織の一方の前記連続的な前記複数の弧形の糸区間によって前記複数のカットパイルの2つが接続された1組のカットパイルと前記2つのロングパイル組織の他方の前記複数の弧形の糸区間の1つによって前記複数のカットパイルの2つが接続された1組のカットパイルは交互に設けられることを特徴とする請求項1に記載の両面ロングパイル編み物。
【請求項3】
前記基礎組織が単層構造であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の両面ロングパイル編み物。
【請求項4】
前記2つのロングパイル組織の一方の前記複数のカットパイルの長さは、前記2つのロングパイル組織の他方の前記複数のカットパイルの長さと異なることを特徴とする請求項3に記載の両面ロングパイル編み物。
【請求項5】
前記2つのロングパイル組織の一方の色は前記2つのロングパイル組織の他方の色と異なることを特徴とする請求項3に記載の両面ロングパイル編み物。
【請求項6】
前記2つのロングパイル組織の少なくとも1つは、色が異なる複数のカットパイルを含むことを特徴とする請求項3に記載の両面ロングパイル編み物。
【請求項7】
前記2つのロングパイル組織の少なくとも1つは、少なくとも1つのバーンアウトされた領域を備えることを特徴とする請求項3に記載の両面ロングパイル編み物。
【請求項8】
前記2つのロングパイル組織の一方の前記複数のカットパイルの長さは、前記2つのロングパイル組織の他方の前記複数のカットパイルの長さと異なることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の両面ロングパイル編み物。
【請求項9】
前記2つのロングパイル組織の一方の色は前記2つのロングパイル組織の他方の色と異なることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の両面ロングパイル編み物。
【請求項10】
前記2つのロングパイル組織の少なくとも1つは、色が異なる複数のカットパイルを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の両面ロングパイル編み物。
【請求項11】
前記2つのロングパイル組織の少なくとも1つは、少なくとも1つのバーンアウトされた領域を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の両面ロングパイル編み物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面ロングパイル編み物に関する。
【背景技術】
【0002】
パイル編み物の形成方式は多くあり、一般的な実施形態としては、編み上げた編み物にループカット加工作業を行うことにより、当該編み物にあったループをカットしてパイルを形成させることである。しかしながら、このように形成したパイルは長さがループの本来の長さより明らかに短くなるため、ロングパイルを実現できない。
【0003】
特許文献1は、一体型の両面カットパイル生地を開示し、当該出願の図1に示されるように、特許文献1の正反両面カットパイルの基礎組織との接続は非常に弱いため、パイル脱落の問題が起きやすい。そのため、特許文献1で使用される糸には低融点繊維が含まれなければならず、低温ホットメルトによってカットパイルと基礎組織の接続を強化させる必要があり、これによって編み物自体の柔らかさが損なわれてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】中国特許公開第CN114687048A号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、従来のパイル編み物においてロングパイルを形成できないという課題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するために、丸編機によって編まれる両面ロングパイル編み物を提供し、当該両面ロングパイル編み物は、基礎組織と、それぞれ当該基礎組織に接続され且つ当該基礎組織の2つの対向面に位置する2つのロングパイル組織とを含み、当該2つのロングパイル組織のそれぞれは、複数のカットパイルを備え、当該2つのロングパイル組織の当該複数のカットパイルの長さは、3.5~15mmであり、当該2つのロングパイル組織のそれぞれは、前記基礎組織に接続される複数の弧形の糸区間を備え、当該2つのロングパイル組織の一方は、連続的な当該複数の弧形の糸区間によって当該複数のカットパイルの2つに接続され、当該2つのロングパイル組織の他方は、当該複数の弧形の糸区間の一方によって当該複数のカットパイルの2つに接続される。
【0007】
一実施例において、当該基礎組織は、複数のループを備え、当該複数のループのそれぞれは、当該2つのロングパイル組織の当該複数のカットパイルの一方に接続され、当該複数のループで同じ列に位置するものを観察すると、当該2つのロングパイル組織の当該複数のカットパイルは交差して設けられる。
【0008】
一実施例において、当該基礎組織は、単層構造である。
【0009】
一実施例において、当該2つのロングパイル組織の一方の当該複数のカットパイルの長さは、当該2つのロングパイル組織の他方の当該複数のカットパイルの長さと異なる。
【0010】
一実施例において、当該2つのロングパイル組織の色は異なる。
【0011】
一実施例において、当該2つのロングパイル組織の少なくとも一方の当該複数のカットパイルの色は異なる。
【0012】
一実施例において、当該2つのロングパイル組織の少なくとも一方は、少なくとも1つのバーンアウト領域を備える。
【発明の効果】
【0013】
上記のように実施する本発明は、従来と比べて次の特徴を有する。本発明の両面ロングパイル編み物における複数のカットパイルは、丸編機の編み工程において直接形成され、即ち、基礎組織と2つのロングパイル組織はいずれも丸編機によって編まれるもので、ループカット作業などの後加工を行う必要がない。また、複数のカットパイルの長さは、実施の要件に基づいて調整することができ、編んだ後のループカット加工作業から制限されなくなる。また、本発明の2つのロングパイル組織に含まれる複数のカットパイルの基礎組織に対する構造強度が良い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施例の構造分解模式図である。
図2図2は、本発明の一実施例の編み物の組織模式図である。
図3図3は、本発明の一実施例の編み物の模式図である。
図4図4は、本発明の別の実施例の編み物の組織模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の技術内容を図面を参照して詳細に説明する。
図1図3が参照されるとおり、本発明は、両面ロングパイル編み物20を提供し、両面ロングパイル編み物20は丸編機によって編まれるものであり、両面ロングパイル編み物20は、基礎組織21と、それぞれ基礎組織21に接続され且つ基礎組織21の2つの対向面に位置する2つのロングパイル組織22、23とを含み、2つのロングパイル組織22、23のそれぞれは、複数のカットパイル221、231を備え、複数のカットパイル221、231は、当該丸編機が編む時にカットして形成される。図2が参照されるとおり、基礎組織21は、複数のループ211を備え、複数のループ211は、少なくとも1つの糸で連続的に編んで形成されるものであり、複数のループ211のそれぞれは、それぞれ、複数のカットパイル221、231のそれぞれの基部222、232に接続される。さらに、複数のループ211のそれぞれは、2つのロングパイル組織22、23の複数のカットパイル221、231の一方だけに接続され、複数のループ211で同じ列に位置するものを観察すると、2つのロングパイル組織22、23の複数のカットパイル221、231は交差して設けられ。また、基礎組織21は、図2に示すように、単層構造である。また、2つのロングパイル組織22、23のそれぞれは、基礎組織21に接続される複数の弧形の糸区間223、233を備える。2つのロングパイル組織の一方22は、連続的な複数の弧形の糸区間223によって複数のカットパイルの2つ(221)に接続され、つまり、Wの形で実施される。2つのロングパイル組織の他方23は、複数の弧形の糸区間の一方233によって複数のカットパイルの2つ(231)に接続され、即ち、Vの形で実施される。本発明の2つのロングパイル組織22、23の基礎組織21に対する接続強度が良いため、複数のカットパイル221、231の基礎組織21からの誤離脱のような状況の発生を減らすことができる。
【0016】
さらに、本発明の2つのロングパイル組織22、23は、当該丸編機の編み工程において行われるループカット作業によって形成されるもので、後からループカット加工作業を行って得るものではない。したがって、本発明の2つのロングパイル組織22、23の長さは従来のロングパイル編み物よりも明らかに長くなる。2つのロングパイル組織22、23の複数のカットパイル221、231の長さは、3.5~15mmである。
【0017】
図4が参照されるとおり、一実施例において、2つのロングパイル組織22、23の一方の複数のカットパイル221、231の長さは、2つのロングパイル組織22、23の他方の複数のカットパイル221、231の長さと異なる。つまり、2つのロングパイル組織22、23の長さは異なってもよい。
【0018】
さらに、一実施例において、2つのロングパイル組織22、23の色は異なる。2つのロングパイル組織22、23の色が異なることを実現する方式として、編み後印刷、編み後染色、又は先染め方式がある。また、一実施例において、2つのロングパイル組織22、23のそれぞれの複数のカットパイル221、231の色は異なる。複数のカットパイル221、231の色が異なるのは前述と同じ方式であるため、ここで説明を省略する。
【0019】
一実施例において、2つのロングパイル組織22、23の少なくとも一方は、少なくとも1つのバーンアウト領域を備え、当該バーンアウト領域は、後加工の方式で2つのロングパイル組織22、23の少なくとも一方に形成されるものであり、当該バーンアウト領域により2つのロングパイル組織22、23の少なくとも一方には「有毛」と「無毛」の違いからパターンが形成される。
【符号の説明】
【0020】
20 両面ロングパイル編み物
21 基礎組織
22 ロングパイル組織
221 カットパイル
222 基部
223 弧形の糸区間
23 ロングパイル組織
231 カットパイル
232 基部
233 弧形の糸区間
【要約】      (修正有)
【課題】ロングパイルを形成可能なパイル編み物を提供する。
【解決手段】丸編機によって編まれる両面ロングパイル編み物であって、基礎組織21と、該基礎組織に接続され且つその2つの対向面に位置する2つのロングパイル組織22、23とを含み、2つのロングパイル組織のそれぞれは、3.5~15mm長さの複数のカットパイル221、231を備え、2つのロングパイル組織のそれぞれは、基礎組織に接続される複数の弧形の糸区間223、233を備え、2つのロングパイル組織の一方は、連続的な複数の弧形の糸区間によって複数のカットパイルの2つに接続され、2つのロングパイル組織の他方は、複数の弧形の糸区間の一方によって複数のカットパイルの2つに接続される、両面ロングパイル編み物である。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4