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  • 特許-部品実装機およびノズル撮像方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】部品実装機およびノズル撮像方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20231211BHJP
【FI】
H05K13/08 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023509989
(86)(22)【出願日】2021-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2021013670
(87)【国際公開番号】W WO2022208689
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】小林 悠節
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/056239(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/094167(WO,A1)
【文献】特開2014-220269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の仮想直線である回転軸を中心として円周状に配列された複数のノズルと、
前記複数のノズルの内側に配置されて、前記回転軸を中心とする円筒形を有する背景部材と、
前記回転軸を中心として円周状に配列されて、前記背景部材に対向する複数の発光部と、
前記複数のノズル、前記背景部材および前記複数の発光部を、前記回転軸を中心に一体的に回転させる回転駆動部と、
前記複数のノズルの外側から前記背景部材の側面に対向して、所定の撮像範囲を撮像する撮像部と、
前記発光部から前記背景部材に光を照射させつつ前記撮像部に前記撮像範囲を撮像させることで、前記複数のノズルのうち前記撮像範囲に位置する前記ノズルを撮像して、前記背景部材を背景とする前記ノズルの画像を取得する撮像処理を実行する制御部と
を備え、
前記複数の発光部は、前記背景部材のうちの互いに異なる複数の対象領域に光を照射し、
前記背景部材は、前記対象領域への光の照射に応じて前記対象領域から前記側面を介して光を射出することで、前記発光部から照射された光の強度に応じた明るさを有し、
前記制御部は、前記撮像処理において、前記回転駆動部によって回転される前記複数の発光部の回転位置に応じて前記発光部が照射する光の強度を制御する部品実装機。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の対象領域のうち、前記撮像範囲における両端に位置する端部対象領域に照射される光の強度が、当該端部対象領域とは異なる対象領域に照射される光の強度より大きくなるように、前記発光部が照射する光の強度を制御する請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
前記撮像範囲において両端に位置する前記端部対象領域のうち、一方の端部対象領域と前記回転軸までの距離が、他方の端部対象領域と前記回転軸までの距離よりも長い場合には、前記制御部は、前記一方の端部対象領域に照射される光の強度が、前記他方の端部対象領域に照射される光の強度より大きくなるように、前記発光部が照射する光の強度を制御する請求項2に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記発光部は、印加された電流に応じた強度の光を照射し、
前記制御部は、前記回転位置と、前記複数の発光部それぞれに印加する電流の値との対応関係を示すテーブルを有し、前記テーブルによって示される値の電流を前記発光部に印加することで、前記回転位置に応じて前記発光部が照射する光の強度を制御する請求項1ないし3のいずれか一項に記載の部品実装機。
【請求項5】
前記制御部は、前記発光部に電流を印加することで前記発光部から光が照射された前記背景部材を前記撮像部によって撮像して前記背景部材の画像を取得するテスト撮像を、前記回転位置を変更しつつ実行した結果に基づき前記テーブルを作成する請求項4に記載の部品実装機。
【請求項6】
前記背景部材は、前記対象領域へ照射された光を拡散することで前記対象領域から前記側面を介して光を射出する光拡散部材である請求項1ないし5のいずれか一項に記載の部品実装機。
【請求項7】
所定の仮想直線である回転軸を中心として円周状に配列された複数のノズルと、前記複数のノズルの内側に配置されて前記回転軸を中心とする円筒形を有する背景部材と、前記回転軸を中心として円周状に配列されて前記背景部材に対向する複数の発光部とを、前記回転軸を中心に一体的に回転させる工程と、
前記発光部から前記背景部材に光を照射しつつ、前記複数のノズルの外側から前記背景部材の側面に対向する撮像部によって所定の撮像範囲を撮像することで、前記背景部材を背景とする前記ノズルの画像を取得する撮像処理を実行する工程と
を備え、
前記複数の発光部は、前記背景部材のうちの互いに異なる複数の対象領域に光を照射し、
前記背景部材は、前記対象領域への光の照射に応じて前記対象領域から前記側面を介して光を射出することで、前記発光部から照射された光の強度に応じた明るさを有し、
前記撮像処理では、前記複数の発光部の回転位置に応じて前記発光部が照射する光の強度が制御されるノズル撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板に実装される部品を吸着するために用いられるノズルを撮像する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を実装する部品実装機では、部品を吸着しつつ基板へ運搬するノズルの状態を確認するために、ノズルの撮像が適宜のタイミングで実行される。また、特許文献1では、いわゆるロータリーヘッドのノズルを撮像する技術が提案されている。ロータリーヘッドは、所定の回転軸を中心に円周状に配列された複数のノズルを有し、複数のノズルは回転軸を中心に回転する。さらに、回転軸を中心とする円筒形の背景部材が複数のノズルの内側に配置されるとともに、照明部材が複数のノズルの外側に配置され、背景部材が照明部材から照射された紫外線によって蛍光する。このように蛍光する背景部材を背景にしつつノズルを撮像することで、ノズルのシルエット画像が取得される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-191771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなノズルの画像を撮像するにあたっては、ノズルの背景となる背景部材が一様な明るさを有していることが好ましい。そこで、回転軸を中心に円周状に配列された複数の発光部を背景部材に対向させて、発光部から背景部材に光を照射する構成を採用することができる。これによって、背景部材の形状に沿って配置された発光部から射出された光に応じた明るさを背景部材に与えることができる。ただし、かかる構成を採用したとしても、背景部材の明るさにむらが生じる場合があった。例えば、背景部材の両端から撮像部へ向かう光が背景部材の内部を通過する距離は、背景部材の中央から撮像部へ向かう光が背景部材の内部を通過する距離よりも長いことに起因して、かかるむらは発生しうる。そのため、撮像部からの視界において、背景部材の両端において明るさが低下するといったむらが生じうる。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、一様な明るさを有する背景部材を背景にノズルを撮像することを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る部品実装機は、所定の仮想直線である回転軸を中心として円周状に配列された複数のノズルと、複数のノズルの内側に配置されて、回転軸を中心とする円筒形を有する背景部材と、回転軸を中心として円周状に配列されて、背景部材に対向する複数の発光部と、複数のノズル、背景部材および複数の発光部を、回転軸を中心に一体的に回転させる回転駆動部と、複数のノズルの外側から背景部材の側面に対向して、所定の撮像範囲を撮像する撮像部と、発光部から背景部材に光を照射させつつ撮像部に撮像範囲を撮像させることで、複数のノズルのうち撮像範囲に位置するノズルを撮像して、背景部材を背景とするノズルの画像を取得する撮像処理を実行する制御部とを備え、複数の発光部は、背景部材のうちの互いに異なる複数の対象領域に光を照射し、背景部材は、対象領域への光の照射に応じて対象領域から側面を介して光を射出することで、発光部から照射された光の強度に応じた明るさを有し、制御部は、撮像処理において、回転駆動部によって回転される複数の発光部の回転位置に応じて発光部が照射する光の強度を制御する。
【0007】
本発明に係るノズル撮像方法は、所定の仮想直線である回転軸を中心として円周状に配列された複数のノズルと、複数のノズルの内側に配置されて回転軸を中心とする円筒形を有する背景部材と、回転軸を中心として円周状に配列されて背景部材に対向する複数の発光部とを、回転軸を中心に一体的に回転させる工程と、発光部から背景部材に光を照射しつつ、複数のノズルの外側から背景部材の側面に対向する撮像部によって所定の撮像範囲を撮像することで、背景部材を背景とするノズルの画像を取得する撮像処理を実行する工程とを備え、複数の発光部は、背景部材のうちの互いに異なる複数の対象領域に光を照射し、背景部材は、対象領域への光の照射に応じて対象領域から側面を介して光を射出することで、発光部から照射された光の強度に応じた明るさを有し、撮像処理では、複数の発光部の回転位置に応じて発光部が照射する光の強度が制御される。
【0008】
このように構成された本発明(部品実装機、ノズル撮像方法)では、複数の発光部は、背景部材のうちの互いに異なる複数の対象領域に光を照射し、背景部材は、対象領域への光の照射に応じて対象領域から側面を介して光を射出することで、発光部から照射された光の強度に応じた明るさを有する。そして、撮像処理では、複数の発光部の回転位置に応じて発光部が照射する光の強度が制御される。これによって、一様な明るさを有する背景部材を背景にノズルを撮像することが可能となる。
【0009】
また、制御部は、複数の対象領域のうち、撮像範囲における両端に位置する端部対象領域に照射される光の強度が、当該端部対象領域とは異なる対象領域に照射される光の強度より大きくなるように、発光部が照射する光の強度を制御するように、部品実装機を構成してもよい。これによって、撮像部からの視界において、背景部材の両端において明るさが低下するといったむらの発生を抑えつつ、この背景部材を背景にノズルを撮像することが可能となる。
【0010】
また、撮像範囲において両端に位置する端部対象領域のうち、一方の端部対象領域と回転軸までの距離が、他方の端部対象領域と回転軸までの距離よりも長い場合には、制御部は、一方の端部対象領域に照射される光の強度が、他方の端部対象領域に照射される光の強度より大きくなるように、発光部が照射する光の強度を制御するように、部品実装機を構成してもよい。これによって、一方の端部対象領域から撮像部へ向かう光が背景部材を通過する距離と、他方の端部対象領域から撮像部へ向かう光が背景部材を通過する距離との差の影響を抑制して、背景部材に一様な明るさを与えることができる。
【0011】
また、発光部は、印加された電流に応じた強度の光を照射し、制御部は、回転位置と、複数の発光部それぞれに印加する電流の値との対応関係を示すテーブルを有し、テーブルによって示される値の電流を発光部に印加することで、回転位置に応じて発光部が照射する光の強度を制御するように、部品実装機を構成してもよい。かかる構成では、背景部材の明るさのむらを、テーブルを用いた簡便な制御によって適切に抑えて、背景部材に一様な明るさを与えることができる。
【0012】
また、制御部は、発光部に電流を印加することで発光部から光が照射された背景部材を撮像部によって撮像して背景部材の画像を取得するテスト撮像を、回転位置を変更しつつ実行した結果に基づきテーブルを作成するように、部品実装機を構成してもよい。このようにしてテーブルを作成することで、適切な値の電流を発光部に印加して、適切な強度の光を発光部から背景部材に照射して、背景部材に一様な明るさを与えることができる。
【0013】
また、背景部材は、対象領域へ照射された光を拡散することで対象領域から側面を介して光を射出する光拡散部材であるように、部品実装機を構成してもよい。かかる光拡散部材を用いることで、一様な明るさの背景でノズルを撮像することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、一様な明るさを有する背景部材を背景にノズルを撮像することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は本発明に係る部品実装機の一例の構成を模式的に示す平面図。
図2図1の部品実装機が備える電気的構成を示すブロック図。
図3】実装ヘッドおよび照明部の構成を模式的に示す底面図。
図4】実装ヘッド、照明部および撮像部の構成を模式的に示す部分断面図。
図5A】撮像処理の第1例で実行される動作を模式的に示す底面図。
図5B】撮像処理の第1例で実行される動作を模式的に示す底面図。
図5C】撮像処理の第1例で実行される動作を模式的に示す底面図。
図6A】撮像処理の第2例で実行される動作を模式的に示す底面図。
図6B】撮像処理の第2例で実行される動作を模式的に示す底面図。
図6C】撮像処理の第2例で実行される動作を模式的に示す底面図。
図7】回転角度と発光素子に印加する電流の値との対応関係を示す電流値テーブルの一例を示す図。
図8】電流値テーブルを作成する方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明に係る部品実装機の一例の構成を模式的に示す平面図である。図2図1の部品実装機が備える電気的構成を示すブロック図である。図1および以下の図では、水平方向であるX方向、X方向に直交する水平方向であるY方向および鉛直方向であるZ方向を適宜示す。
【0017】
図2に示すように、部品実装機1は、装置全体を統括的に制御するコントローラー100を備える。コントローラー100は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)で構成されたプロセッサーである演算処理部110およびHDD(Hard Disk Drive)で構成された記憶部120を有する。さらに、コントローラー100は、部品実装機1の駆動系を制御する駆動制御部130と、後に詳述するノズルN(図3図4)の撮像を制御する撮像制御部140とを有する。
【0018】
そして、演算処理部110は記憶部120に記憶されるプログラムに従って駆動制御部130を制御することで、プログラムが規定する手順で部品実装を実行する。この際、演算処理部110は撮像制御部140が撮像部6および照明部7を用いて撮像した画像に基づき、部品実装を制御する。また、部品実装機1には、表示/操作ユニット150が設けられており、演算処理部110は、部品実装機1の稼働状況を表示/操作ユニット150に表示したり、表示/操作ユニット150に入力された作業者からの指示を受け付けたりする。
【0019】
図1に示すように、部品実装機1は、基板BをX方向(基板搬送方向)に搬送する搬送部12を備える。この搬送部12は、X方向に並列に配置された一対のコンベア121を基台11上に有し、コンベア121によって基板BをX方向に搬送する。これらコンベア121の間隔は、X方向に直交するY方向(幅方向)に変更可能であり、搬送部12は、搬送する基板Bの幅に応じてコンベア121の間隔を調整する。この搬送部12は、基板搬送方向であるX方向の上流側から所定の作業位置123に搬入するとともに、作業位置123で部品Eが実装された基板Bを作業位置123からX方向の下流側に搬出する。
【0020】
搬送部12のY方向の両側それぞれでは2つの部品供給部21がX方向に並んでおり、各部品供給部21では、複数のテープフィーダー22がX方向に並ぶ。部品供給部21では、X方向に並ぶ複数の部品供給箇所23が設けられており、各部品供給箇所23に供給すべき部品Eを供給するテープフィーダー22が、各部品供給箇所23に対応付けられて着脱可能に装着される。つまり、各テープフィーダー22に対しては、集積回路、トランジスター、コンデンサー等の小片状の部品Eを所定間隔おきに収容したキャリアテープが巻き付けられた部品供給リールが配置されており、各テープフィーダー22は部品供給リールから引き出されたキャリアテープを間欠的に送り出すことで、その先端部の部品供給箇所23に部品Eを供給する。
【0021】
また、部品実装機1では、Y方向に延びる一対のY軸レール31と、Y方向に延びるY軸ボールネジ32と、Y軸ボールネジ32を回転駆動するY軸モーターMyとが設けられ、X軸レール34が一対のY軸レール31にY方向に移動可能に支持された状態でY軸ボールネジ32のナットに固定されている。X軸レール34には、X方向に延びるX軸ボールネジ35と、X軸ボールネジ35を回転駆動するX軸モーターMxとが取り付けられており、ヘッドユニット40がX軸レール34にX方向に移動可能に支持された状態でX軸ボールネジ35のナットに固定されている。したがって、駆動制御部130は、Y軸モーターMyによりY軸ボールネジ32を回転させてヘッドユニット40をY方向に移動させ、あるいはX軸モーターMxによりX軸ボールネジ35を回転させてヘッドユニット40をX方向に移動させることができる。
【0022】
また、部品実装機1は、ノズルNをZ方向に昇降させるZ軸モーターMzと、ノズルNを回転させるR軸モーターMrとを有する。そして、駆動制御部130は、X軸モーターMxによってノズルNの高さを調整し、R軸モーターMrによってノズルNの回転角度を調整する。
【0023】
ヘッドユニット40は、X方向に直線状に並ぶ複数(3本)の実装ヘッド4を有する。実装ヘッド4は、円周上に配列された複数のノズルNを有するロータリーヘッドであり、ノズルNによって部品Eの吸着・実装を実行する。この実装ヘッド4が有するノズルNの画像は、上述の通り、撮像部6およぶ照明部7を用いて取得される。続いては、この点について説明する。
【0024】
図3は実装ヘッドおよび照明部の構成を模式的に示す底面図であり、図4は実装ヘッド、照明部および撮像部の構成を模式的に示す部分断面図である。実装ヘッド4は、その下端に回転体41を有する。回転体41は、Z方向に平行な仮想直線である回転軸Azを中心とする円筒形を有し、上述のR軸モーターMrに接続されている。したがって、R軸モーターMrが回転体41を駆動すると、回転体41が回転軸Azを中心に回転する。この回転体41の底面には、複数(ここの例では18個)のノズルNが回転軸Azを中心とする円周状に等ピッチ(20°)で配列されている。そして、回転体41の回転に伴って、複数のノズルNは回転軸Azを中心に回転する。
【0025】
この回転体41の底部には、照明部7が取り付けられており、回転体41の回転に伴って照明部7は回転軸Azを中心に回転する。照明部7は、回転軸Azに沿って延設されたフレーム71と、フレーム71に取り付けられた照明基板72と、照明基板72に実装された発光素子Lと、フレーム71に取り付けられた光拡散部材74とを有する。照明基板72では、複数(ここの例では8個)の発光素子Lが回転軸Azを中心とする円周状に等ピッチ(45°)で配列されている。発光素子Lは、印加された電流に応じた強度の光を射出するLED(Light Emitting Diode)である。そして、照明基板72は、撮像制御部140からの指令に応じた値の電流を発光素子Lに印加することで、当該電流の値に応じた強度の光を発光素子Lに照射させる。
【0026】
光拡散部材74は、複数の発光素子Lの下側に配置された光拡散体741を有し、複数の発光素子Lのそれぞれは、光拡散体741に対して上方から対向して、光拡散体741の内部へ向けて光を照射する。光拡散体741は、回転軸Azを中心とする円筒形を有し、発光素子Lから照射された光を拡散させる。光を拡散させる素材としては、半透明のアクリル樹脂やガラス等が挙げられる。光拡散体741のうち、発光素子Lが対向する領域(換言すれば、発光素子Lの直下の領域)は、発光素子Lからの光が照射される光照射領域Rlとなる。つまり、光拡散体741には、複数の発光素子Lに対応して複数の光照射領域Rlが設けられ、各光照射領域Rlは対応する発光素子Lから照射された光を拡散させる。こうして光照射領域Rlによって拡散された光は、光拡散体741の側面742(円筒形の周面)から射出される。
【0027】
また、実装ヘッド4に対しては、ノズルNを撮像するための撮像位置Piが設けられている。図3に示すように、2個の撮像位置Piが回転軸Azを中心に180°の間隔を空けて並び、2個の撮像位置Piに対応して2個の撮像部6が設けられている。これら撮像部6の構成は共通するため、1個の撮像部6について説明を行う。
【0028】
図4に示すように、撮像部6は、プリズム61とカメラ63とを有する。プリズム61は、撮像位置Piを介して光拡散体741の側面742にY方向(水平方向)から対向し、撮像位置Piから入射してきた光をカメラ63へ向けて反射する。カメラ63は、プリズム61から入射してきた光を個体撮像素子によって撮像することで取得した画像を撮像制御部140に出力する。つまり、撮像部6は、撮像位置Piを介して光拡散体741の側面742に対向しており、光拡散体741の側面742を背景に撮像位置Piを撮像する。なお、撮像部6は実装ヘッド4に取り付けられており、実装ヘッド4に伴って一体的に移動する。
【0029】
このように、底面視においては、複数のノズルNが回転軸Azを中心に円周状に配列される。また、複数のノズルNの内側において、複数の発光素子Lが回転軸Azを中心に円周状に配列される。なお、発光素子Lの個数は、ノズルNの個数よりも少ない。さらに、複数のノズルNの内側において、回転軸Azを中心とする円形を有する光拡散体741が複数の発光素子Lに対して重複するように配置されている。そして、回転体41が回転軸Azを中心に回転すると、複数のノズルN、複数の発光素子Lおよび光拡散体741が回転軸Azを中心に一体的に回転する。
【0030】
そして、コントローラー100は、複数のノズルNを回転させることで、各ノズルNを順番に撮像位置Piに位置させつつ、撮像位置PiのノズルNを撮像部6によって撮像することでノズルNの画像を取得する(撮像処理)。この撮像処理において、コントローラー100は、発光素子Lから光照射領域Rlに光を照射することで、光拡散体741の側面742から撮像位置Piへ向けて光を射出する。これによって、発光素子Lから照射された光の強度に応じた明るさを有する光拡散体741を背景として、撮像位置Piに位置するノズルNのシルエット画像を取得できる。特に次に説明するように、背景となる光拡散体741の明るさが一様となるように、コントローラー100は、発光素子Lから照射する光の強度を調整する。
【0031】
図5A図5Bおよび図5Cは撮像処理の第1例で実行される動作を模式的に示す底面図である。撮像処理は2個の撮像位置Piのそれぞれで同様に実行されるため、これらの図における右側の1個の撮像位置Piに対する撮像処理について説明を行う。また、仮想直線Axに対して当該撮像位置Piの反対側に位置する各発光素子L(仮想直線Axより左側の発光素子L)は、当該撮像位置Piに対する撮像処理には寄与しないものと扱う。なお、仮想直線Axは、回転軸Azに交差してX方向に平行な仮想直線であり、発光素子Lの位置は、発光素子Lが照射する光の底面視における照度分布のピークの位置として求めることができる。これらの図に示すように、撮像部6は、X方向(水平方向)において撮像位置Piを中心に所定幅を有する撮像範囲Riを撮像することで、撮像範囲Riに含まれるノズルNを撮像する。
【0032】
回転軸Azを中心とする回転体41の回転角度θがθ1(=0°)の場合には、撮像処理に寄与する5個の発光素子Lに対向する5個の光照射領域Rlが撮像範囲RiにおいてX方向に並ぶ。ここで、回転角度θは、回転軸AzからY方向の右側へ延設された仮想直線に対する回転軸Azを中心とした角度であり、反時計回り方向が回転角度θの正方向である。そして、5個の光照射領域Rlのうち、90°に位置する発光素子Lrに対向する光照射領域Rl_rと、-90°に位置する発光素子Llに対向する光照射領域Rl_lとが、X方向の両端に位置する。そこで、コントローラー100の撮像制御部140は、5個の光照射領域Rlのうち、両端の光照射領域Rl_r、Rl_lに対して照射される光の強度が、これらの間の光照射領域Rlに対して照射される光の強度より大きくなるように、発光素子Lに印加する電流を調整する。例えば、コントローラー100は、光照射領域Rl_r、Rl_lの間の光照射領域Rlに対向する発光素子Lに対して、通常電流値Inの電流を印加する一方、光照射領域Rl_r、Rl_lに対向する発光素子Lに対して、通常電流値Inよりも大きい増加電流値Iaを印加する。
【0033】
回転体41の回転角度θがθ2(=20°)の場合には、撮像処理に寄与する4個の発光素子Lに対向する4個の光照射領域Rlが撮像範囲RiにおいてX方向に並ぶ。そして、4個の光照射領域Rlのうち、65°に位置する発光素子Lrに対向する光照射領域Rl_rと、-70°に位置する発光素子Llに対向する光照射領域Rl_lとが、X方向の両端に位置する。そこで、コントローラー100の撮像制御部140は、4個の光照射領域Rlのうち、両端の光照射領域Rl_r、Rl_lに対して照射される光の強度が、これらの間の光照射領域Rlに対して照射される光の強度より大きくなるように、発光素子Lに印加する電流を調整する。
【0034】
こうして、撮像位置Piに位置するノズルNを順番に変更するために、回転体41の回転角度θがノズルNの配列ピッチ(20°)ずつ変更されるのに伴って、撮像範囲RiにおいてX方向の両端に位置する光照射領域Rl_r、Rl_lが複数の光照射領域Rlの間で切り換わる。これに応じて、コントローラー100は、増加電流値Iaを印加する発光素子Lを切り換える。つまり、回転体41の回転角度θに応じて、発光素子Lに印加する電流の電流値が、通常電流値Inと増加電流値Iaとの間で切り換えられる。こうして、コントローラー100は、発光素子Lから照射する光の強度を、回転角度θに応じて変更する。
【0035】
このように撮像処理の第1例では、複数の発光素子L(発光部)は、光拡散部材74(背景部材)のうちの互いに異なる複数の光照射領域Rl(対象領域)に光を照射し、光拡散部材74は、光照射領域Rlへの光の照射に応じて光照射領域Rlから側面742を介して光を射出することで、発光素子Lから照射された光の強度に応じた明るさを有する。そして、撮像処理では、複数の発光素子Lの回転角度θ(回転位置)に応じて発光素子Lが照射する光の強度が制御される。これによって、一様な明るさを有する光拡散部材74を背景にノズルNを撮像することが可能となる。
【0036】
また、コントローラー100(制御部)は、複数の光照射領域Rlのうち、撮像範囲Riにおいて両端に位置する光照射領域Rl_r、Rl_l(端部対象領域)に照射される光の強度が、当該光照射領域Rl_r、Rl_lの間の光照射領域Rlに照射される光の強度より大きくなるように、発光素子Lが照射する光の強度を制御する。これによって、撮像部6からの視界において、光拡散部材74の両端において明るさが低下するといったむらの発生を抑えつつ、この光拡散部材74を背景にノズルを撮像することが可能となる。
【0037】
また、光照射領域Rlへ照射された光を拡散することで光照射領域Rlから側面742を介して光を射出する光拡散部材74が背景として用いられる。かかる光拡散部材74を用いることで、一様な明るさの背景でノズルNを撮像することができる。
【0038】
図6A図6Bおよび図6Cは撮像処理の第2例で実行される動作を模式的に示す底面図である。撮像処理の第2例が、撮像処理の第1例と異なるのは、光照射領域Rl_r、Rl_lに照射する光の強度の制御態様である。ここでは、第1例との違いを主に説明することとし、第1例と共通する部分については相当符号を付して適宜説明を省略する。
【0039】
回転軸Azを中心とする回転体41の回転角度θがθ1(=0°)の場合には、撮像処理に寄与する5個の発光素子Lに対向する5個の光照射領域Rlのうち、90°に位置する発光素子Lrに対向する光照射領域Rl_rと、-90°に位置する発光素子Llに対向する光照射領域Rl_lとが、X方向の両端に位置する。そこで、コントローラー100の撮像制御部140は、5個の光照射領域Rlのうち、両端の光照射領域Rl_r、Rl_lに対して照射される光の強度が、これらの間の光照射領域Rlに対して照射される光の強度より大きくなるように、発光素子Lに印加する電流を調整する。
【0040】
また、光照射領域Rl_rと回転軸AzとのX方向への距離Drと、光照射領域Rl_lと回転軸AzとのX方向への距離Dlとは等しい。ここで、XY平面(換言すれば、底面視)において、光照射領域Rlの位置は、これに対向する発光素子Lの位置として求めることができる。したがって、コントローラー100の撮像制御部140は、光照射領域Rl_rに照射される光の強度と、光照射領域Rl_lに照射される光の強度が等しくなるように、光照射領域Rl_rに対向する発光素子Lに印加する電流の値と、光照射領域Rl_lに対向する発光素子Lに印加する電流の値とを調整する。
【0041】
回転体41の回転角度θがθ2(=20°)の場合には、撮像処理に寄与する4個の発光素子Lに対向する4個の光照射領域Rlのうち、65°に位置する発光素子Lrに対向する光照射領域Rl_rと、-70°に位置する発光素子Llに対向する光照射領域Rl_lとが、X方向の両端に位置する。そこで、コントローラー100の撮像制御部140は、4個の光照射領域Rlのうち、両端の光照射領域Rl_r、Rl_lに対して照射される光の強度が、これらの間の光照射領域Rlに対して照射される光の強度より大きくなるように、発光素子Lに印加する電流を調整する。
【0042】
また、光照射領域Rl_rと回転軸AzとのX方向への距離Drより、光照射領域Rl_lと回転軸AzとのX方向への距離Dlが長い。したがって、コントローラー100の撮像制御部140は、光照射領域Rl_rに照射される光の強度より、光照射領域Rl_lに照射される光の強度が大きくなるように、光照射領域Rl_rに対向する発光素子Lに印加する電流の値と、光照射領域Rl_lに対向する発光素子Lに印加する電流の値とを調整する。
【0043】
つまり、距離Dlが距離Drよりも長いことから、光照射領域Rl_lから撮像部6へ向かう光が光拡散体741を通過する距離は、光照射領域Rl_rから撮像部6へ向かう光が光拡散体741を通過する距離より長い。したがって、光照射領域Rl_lから射出される光は、光照射領域Rl_rから射出される光と比べて、大きく減衰する。このような減衰の偏りを補正するために、上記の様に光照射領域Rl_l、Rl_rそれぞれに発光素子Lから照射される光の強度が調整される。
【0044】
回転体41の回転角度θがθ3(=40°)の場合には、撮像処理に寄与する4個の発光素子Lに対向する4個の光照射領域Rlのうち、85°に位置する発光素子Lrに対向する光照射領域Rl_rと、-50°に位置する発光素子Llに対向する光照射領域Rl_lとが、X方向の両端に位置する。そこで、コントローラー100の撮像制御部140は、4個の光照射領域Rlのうち、両端の光照射領域Rl_r、Rl_lに対して照射される光の強度が、これらの間の光照射領域Rlに対して照射される光の強度より大きくなるように、発光素子Lに印加する電流を調整する。
【0045】
また、光照射領域Rl_rと回転軸AzとのX方向への距離Drが、光照射領域Rl_lと回転軸AzとのX方向への距離Dlより長い。したがって、コントローラー100の撮像制御部140は、光照射領域Rl_rに照射される光の強度が、光照射領域Rl_lに照射される光の強度より大きくなるように、光照射領域Rl_rに対向する発光素子Lに印加する電流の値と、光照射領域Rl_lに対向する発光素子Lに印加する電流の値とを調整する。
【0046】
こうして、撮像位置Piに位置するノズルNを順番に変更するために、回転体41の回転角度θがノズルNの配列ピッチ(20°)ずつ変更されるのに伴って、撮像範囲RiにおいてX方向の両端に位置する光照射領域Rl_r、Rl_lが複数の光照射領域Rlの間で切り換わる。これに応じて、コントローラー100は、発光素子Lに印加する電流を変更することで、光照射領域Rl_r、Rl_lに対向する発光素子Lから照射される光の強度と、他の発光素子Lから照射される光の強度より大きくする。しかも、光照射領域Rl_r、Rl_lそれぞれと回転軸AzまでのX方向への距離に応じて、光照射領域Rl_r、Rl_lそれぞれに対向する発光素子Lから照射する光の強度を調整する。
【0047】
このように撮像処理の第2例では、撮像範囲Riにおいて両端に位置する光照射領域Rl_r、Rl_lのうち、一方の光照射領域Rlと回転軸Azまでの距離が、他方の光照射領域Rlよりも長い場合には、コントローラー100は、一方の光照射領域Rlに照射される光の強度が、他方の光照射領域Rlに照射される光の強度より大きくなるように、発光素子Lが照射する光の強度を制御する。これによって、光照射領域Rl_r、Rl_lのうち、一方の光照射領域Rlから撮像部6へ向かう光が光拡散部材74を通過する距離と、他方の光照射領域Rlから撮像部6へ向かう光が光拡散部材74を通過する距離との差の影響を抑制して、光拡散部材74に一様な明るさを与えることができる。
【0048】
上述の様に、撮像処理の第1例および第2例では、回転角度θに応じて発光素子Lに印加する電流の値を制御することで、撮像範囲Riにおける光拡散体741の明るさを一様にする。このような電流の制御は、例えば図7に示す電流値テーブルに基づき実行できる。
【0049】
図7は回転角度と発光素子に印加する電流の値との対応関係を示す電流値テーブルの一例を示す図である。同図では、8個の発光素子Lを識別するために符号L1~L8が用いられている。この電流値テーブルTiは、回転角度θがθ1~θ9までのそれぞれの場合において、発光素子L1~L8のそれぞれに流す電流の値を示す。この電流値テーブルTiは、コントローラー100の記憶部120に予め保存されている。そして、撮像処理では、コントローラー100は、各発光素子Lに印加する電流の値を電流値テーブルTiに基づき決定する。これによって、電流値テーブルTiが回転角度θに応じて各発光素子Lについて示す値の電流が、各発光素子Lに印加されることとなる。
【0050】
この例では、コントローラー100は、回転角度θと、複数の発光素子Lそれぞれに印加する電流の値との対応関係を示す電流値テーブルTiを有する。そして、コントローラー100は、電流値テーブルTiによって示される値の電流を発光素子Lに印加することで、発光素子Lが照射する光の強度を回転角度θに応じて制御する。かかる構成では、光拡散部材74の明るさのむらを、電流値テーブルTiを用いた簡便な制御によって適切に抑えて、光拡散部材74に一様な明るさを与えることができる。
【0051】
図8は電流値テーブルを作成する方法を示すフローチャートである。かかるフローチャートは、180°の角度間隔を空けて設けられた2個の撮像部6について同時に実行される。ただし、実行される内容は2個の撮像部6で共通するため、1個の撮像部6について説明を行う。
【0052】
ステップS101では、回転体41の回転角度θがゼロにセットされる。そして、ステップS102では、複数(8個)の発光素子Lのそれぞれに、基準値の電流が印加される。これによって、撮像部6による撮像処理において背景となる光拡散部材74は、照射された光の強度に応じた明るさを有する。ステップS103では、コントローラー100の撮像制御部140は、光拡散部材74の光拡散体741の側面742を撮像部6により撮像して、光拡散体741の画像データを取得する。この画像データは、カメラ63の個体撮像素子が出力する各画素の輝度値を示す。
【0053】
ステップS104では、コントローラー100の演算処理部110は、画像データのうちから暗部を探索する。具体的には、所定の閾値よりも低い輝度値を有する所定個数以上の画素によって構成される範囲が暗部として画像データのうちから探索される。ステップS105では、演算処理部110は、暗部が存在するかを判断する。ステップS104の探索で暗部が検出された場合(ステップS105で「NO」の場合)には、ステップS106に進む。
【0054】
ステップS106では、撮像制御部140は、探索された暗部に対応する発光素子Lに印加する電流の値を1段階だけ上昇させる。ここで、暗部に対応する発光素子Lとは、画像データを取得した撮像部6の撮像に寄与する発光素子Lに対向する光照射領域Rlのうち、X方向において暗部に最も近い光照射領域Rlに対向する発光素子Lである。また、撮像部6の撮像に寄与する発光素子Lとは、上述の撮像処理に寄与する発光素子Lと同様に定義できる。すなわち、コントローラー100は、当該撮像部6に対して仮想直線Axの反対側に位置する発光素子Lは、当該撮像部6による撮像に寄与せず、これら以外の発光素子Lが当該撮像部6による撮像に寄与すると取り扱う。
【0055】
ステップS106が完了すると、ステップS103に戻って、撮像制御部140は、光拡散部材74の光拡散体741の側面742を撮像部6により撮像して、光拡散体741の画像データを取得する。そして、演算処理部110は、画像データのうちから暗部を探索して(ステップS104)、当該探索で暗部が検出されたかを判断する(ステップS105)。こうして、光拡散体741の明るさを示す画像データのうちから暗部がなくなるまで、ステップS103~S106が繰り返される。
【0056】
暗部がなくなって、ステップS105で「YES」と判断されると、演算処理部110は、各発光素子Lに印加されている電流の値を、撮像処理で各発光素子Lに印加する電流の値として確定する。こうして、各発光素子Lに対する電流値が回転角度θに対応づけて求められる。
【0057】
ステップS108では。回転角度θがθmax(=160°)であるか否かが判断される。回転角度θがθmaxでない場合(ステップS108で「NO」の場合)には、ステップS109において回転角度θがΔθ(=20°)だけ増加されて(すなわち、回転体41がΔθだけ回転して)、ステップS102に戻る。これによって、回転角度θがθ1~θ9のそれぞれに対応付けて、各発光素子Lに対する電流値が決定される。その結果、電流値テーブルTiが完成する。
【0058】
このように、図8のテーブル作成では、コントローラー100は、発光素子Lに電流を印加することで当該発光素子Lから光が照射された光拡散部材74を撮像部6によって撮像して光拡散部材74の画像を取得するテスト撮像(ステップS102~S106)を、回転角度θを変更しつつ実行した結果に基づき(ステップS108、S109)、電流値テーブルTiを作成する(ステップS107)。このようにして電流値テーブルTiを作成することで、適切な値の電流を発光素子Lに印加して、適切な強度の光を発光素子Lから光拡散部材74に照射して、光拡散部材74に一様な明るさを与えることができる。
【0059】
このように上記の実施形態では、部品実装機1が本発明の「部品実装機」の一例に相当し、コントローラー100が本発明の「制御部」の一例に相当し、撮像部6が本発明の「撮像部」の一例に相当し、光拡散部材74が本発明の「背景部材」および「光拡散部材」の一例に相当し、側面742が本発明の「側面」の一例に相当し、回転軸Azが本発明の「回転軸」の一例に相当し、発光素子Lが本発明の「発光部」の一例に相当し、Z軸モーターMzが本発明の「回転駆動部」の一例に相当し、ノズルNが本発明の「ノズル」の一例に相当し、撮像範囲Riが本発明の「撮像範囲」の一例に相当し、光照射領域Rlが本発明の「対象領域」の一例に相当し、光照射領域Rl_r、Rl_lが本発明の「端部対象領域」の一例に相当し、電流値テーブルTiが本発明の「テーブル」の一例に相当し、回転角度θが本発明の「回転位置」の一例に相当する。
【0060】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、撮像処理に用いる背景は、光拡散部材74ではなく、紫外線の照射によって蛍光する部材であってもよい。
【0061】
また、ノズルNの個数や、ノズルNを配列するピッチ等を適宜変更してもよい。
【0062】
また、発光素子Lの個数や、発光素子Lを配列するピッチ等を適宜変更してもよい。
【0063】
また、撮像部6の構成を適宜変更することができる。具体的には、プリズム61を設けずに、カメラ63を光拡散部材74の側面742に対向させてもよい。
【0064】
また、撮像位置Piの個数は、上記の2個に限られず、1個あるいは3個以上でもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…部品実装機
100…コントローラー(制御部)
6…撮像部
74…光拡散部材
742…側面
Az…回転軸
L…発光素子(発光部)
Mz…Z軸モーター(回転駆動部)
N…ノズル
Ri…撮像範囲
Rl…光照射領域(対象領域)
Rl_r、Rl_l…光照射領域(端部対象領域)
Ti…電流値テーブル(テーブル)
θ…回転角度(回転位置)

図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7
図8