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特許7400147宇宙航行体に関連して用いられる処理装置及びコンピュータプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】宇宙航行体に関連して用いられる処理装置及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B64G 1/10 20060101AFI20231211BHJP
   B64G 1/24 20060101ALI20231211BHJP
   G06Q 50/00 20120101ALI20231211BHJP
【FI】
B64G1/10 335
B64G1/24 200
G06Q50/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023521619
(86)(22)【出願日】2023-02-06
(86)【国際出願番号】 JP2023003817
【審査請求日】2023-04-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506097081
【氏名又は名称】株式会社QPS研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】田中 周一
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 乃愛
(72)【発明者】
【氏名】山口 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】サキブ シャドマン
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2122992(KR,B1)
【文献】国際公開第2021/255920(WO,A1)
【文献】特開2013-095162(JP,A)
【文献】特開2009-009436(JP,A)
【文献】特開2020-154835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/10
B64G 1/24
G06Q 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地球を撮像する宇宙航行体に関連して用いられ少なくとも1つのプロセッサを具備する処理装置であって、
該少なくとも1つのプロセッサが、
ユーザの端末装置から、撮像対象とされる地点の座標、又は、該座標及び該地点を撮像する日時、を含む発注条件を受信し、
該発注条件に基づく宇宙航行体による撮像が可能であるか否かを示す判定結果を、前記ユーザの端末装置に送信し、
前記判定結果が、前記発注条件に基づく宇宙航行体による撮像が可能であることを示す場合に、前記地点を撮像可能な候補日時を含む少なくとも1つの候補条件を、前記ユーザの端末装置に送信し、
地図と該地図において宇宙航行体による将来の撮像が可能な範囲とを含む情報を、前記ユーザの端末装置に送信することにより、前記地図において前記宇宙航行体による将来の撮像が可能な範囲が可視化された画面であって、前記宇宙航行体の軌道の両側に帯状に延びる、将来の撮像が可能な範囲を示す領域が、可視化された画面を、前記ユーザの端末装置から前記発注条件を受信する前に、該ユーザの端末装置に表示させ
時間変更インターフェイスを前記ユーザの端末装置に表示させ、
前記時間変更インターフェイスを介して前記ユーザの端末装置により設定された将来の日時に対応する前記領域を、該ユーザの端末装置から前記発注条件を受信する前に、該ユーザの端末装置に表示させる、
ように構成される、ことを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記少なくとも1つの候補条件の中から選択された選択条件を前記ユーザの端末装置から受信し、
前記選択条件に基づいて宇宙航行体により取得された画像データ、又は、該画像データに基づいて生成された画像を、前記ユーザの端末装置に送信する、
ように構成される、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記宇宙航行体による撮像が可能な範囲は、座標を用いて又は座標及び日時を用いて、定められる、請求項1又は請求項2に記載の処理装置。
【請求項4】
地球を撮像する宇宙航行体に関連して用いられる処理装置に搭載された少なくとも1つのプロセッサにより実行されることにより、
ユーザの端末装置から、撮像対象とされる地点の座標、又は、該座標及び該地点を撮像する日時、を含む発注条件を受信し、
該発注条件に基づく宇宙航行体による撮像が可能であるか否かを示す判定結果を、前記ユーザの端末装置に送信し、
前記判定結果が、前記発注条件に基づく宇宙航行体による撮像が可能であることを示す場合に、前記地点を撮像可能な候補日時を含む少なくとも1つの候補条件を、前記ユーザの端末装置に送信し、
地図と該地図において宇宙航行体による将来の撮像が可能な範囲とを含む情報を、前記ユーザの端末装置に送信することにより、前記地図において前記宇宙航行体による将来の撮像が可能な範囲が可視化された画面であって、前記宇宙航行体の軌道の両側に帯状に延びる、将来の撮像が可能な範囲を示す領域が、可視化された画面を、前記ユーザの端末装置から前記発注条件を受信する前に、該ユーザの端末装置に表示させ、
時間変更インターフェイスを前記ユーザの端末装置に表示させ、
前記時間変更インターフェイスを介して前記ユーザの端末装置により設定された将来の日時に対応する前記領域を、該ユーザの端末装置から前記発注条件を受信する前に、該ユーザの端末装置に表示させる、
ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項5】
ユーザの端末装置に搭載された少なくとも1つのプロセッサにより実行されることにより、
地球を撮像する宇宙航行体に関連して用いられる処理装置に、撮像対象とされる地点の座標、又は、該座標及び該地点を撮像する日時、を含む発注条件を送信し、
該発注条件に基づく宇宙航行体による撮像が可能であるか否かを示す判定結果を、前記処理装置から受信し、
前記判定結果が、前記発注条件に基づく宇宙航行体による撮像が可能であることを示す場合に、前記地点を撮像可能な候補日時を含む少なくとも1つの候補条件を、前記処理装置から受信し、
地図において宇宙航行体による将来の撮像が可能な範囲が可視化された画面であって、
前記宇宙航行体の軌道の両側に帯状に延びる、将来の撮像が可能な範囲を示す領域が、可視化された画面を、前記発注条件を送信する前に、表示部に表示
時間変更インターフェイスを前記表示部に表示し、
前記時間変更インターフェイスを介して前記ユーザにより設定された将来の日時に対応する前記領域を、前記発注条件を送信する前に、前記表示部に表示する、
ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの候補条件の中から前記ユーザにより選択された選択条件を前記処理装置に送信し、
前記選択条件に基づいて宇宙航行体により取得された画像データ、又は、該画像データに基づいて生成された画像を、前記処理装置から受信する、
ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる、請求項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記宇宙航行体による撮像が可能な範囲は、座標を用いて又は座標及び日時を用いて、定められる、請求項5又は請求項6に記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記画面に含まれる前記地図において前記撮像対象とされる地点の座標を前記ユーザに指定させる、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる、請求項5又は請求項6に記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの候補条件が複数の候補条件を含み、
該複数の候補条件を表示部に表示することにより、該複数の候補条件の中からいずれかの候補条件を選択条件として前記ユーザに選択させ、
前記選択条件を前記処理装置に送信する、
ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる、請求項又は請求項に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件出願に開示された技術は、一般に、宇宙航行体に関連して用いられる処理装置及びコンピュータプログラムに関し、例えば、地球を撮像する宇宙航行体に対する撮像指示、及び、この撮像指示に応答して宇宙航行体により得られた画像データ及び/又は画像を、ユーザに提供する処理装置(「タスキングシステム」と称することもある)に関する。例えば、本件出願に開示された技術は、ユーザが合成開口レーダー(Synthetic Aperture Radar;SAR)による観測を希望する地点に基づいた撮像要求を決定し、宇宙航行体がSARを用いて当該地点を撮像して取得した画像データ(SAR画像データ)及び/又はこのSAR画像データに基づいて生成されたSAR画像をユーザに提供する、ように構成された処理装置(タスキングシステム)に関する。
【背景技術】
【0002】
SARを用いて撮像される画像(SAR画像)を提供する従来のシステムでは、ユーザは、取得したいデータがあるときには、まず、代理店を通して、撮像を希望する範囲を示した撮像要求を、宇宙航行体を運用する事業者に送信する。この事業者は、このような撮像要求に基づく撮像が可能である場合には、当該撮像要求を受け付け、当該撮像要求に基づく撮像を宇宙航行体に実行させる。さらに、この事業者は、宇宙航行体の撮像により取得された画像データ、又は、その画像データに基づいて生成された画像を、ユーザに提供する。この結果、ユーザは、所望する画像を取得するまでに時間を要し、リアルタイムに所望する画像データ又は画像を取得及び活用することが困難である。
【0003】
ユーザがリアルタイムに画像データ又は画像を取得することを阻害する要因としては、例えば以下の3つの要因が挙げられる。
【0004】
第1の要因として、多くのユーザにとって、宇宙航行体が撮像対象とされる地点を撮像(観測)することが可能であるか否かを判断することは非常に難しく、さらに、宇宙航行体を運用する事業者においても、撮像条件を決定できる作業者が限定されていることが考えられる。
【0005】
第2の要因として、宇宙航行体を運用する事業者に所属する作業者が、各ユーザから受けた撮像要求について、その撮像要求に含まれる撮像条件に基づく撮像が可能であるか否かを判定する。したがって、当該事業者が多数の撮像要求を受けた場合には、ユーザが撮像要求を送信してから宇宙航行体がその撮像要求に基づく撮像を実行するまでに長い時間がかかることが考えられる。
【0006】
第3の要因として、合成開口レーダーを搭載する宇宙航行体の撮像機の視野方向が固定されていること、及び/又は、当該撮像機の視野範囲が限定されていること等の理由により、このような撮像機が、ユーザにより撮像対象とされた地点を撮像できる頻度がそもそも少ない。したがって、撮像機は、ユーザが希望する日時にはこのような地点を撮像することができないことがある。
【0007】
このような問題を解決するために、特許第3658959号公報(特許文献1)に記載された技術は、観測目標の撮影時刻を予約する撮影予約データベースに記憶された情報に基づいて、撮影予約された観測目標に対して最も近い距離にある撮像機の動作時刻及び指向方向を設定する運用計画機と、衛星情報データベースから人工衛星の軌道情報を取得し、観測目標を撮像可能な人工衛星の通過時刻を予約する撮影予約データベースに対して観測目標の撮影時刻を登録するための端末装置と、を用いることを提案するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第3658959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載された技術にあっては、多くのユーザは、自身が撮像対象として希望する地点が宇宙航行体により観測可能(撮像可能)であるか否かを判定することができない。したがって、多くのユーザは、自身が撮像対象として希望する地点が宇宙航行体により観測不可能な地点であるケースにおいても、当該地点を指定した撮像要求を送信しなければ、そのような撮像が不可能である旨の結果を受信することでしか、自身が撮像対象として希望する地点が宇宙航行体により観測不可能な地点であるという事実を認識することができない。この結果、多くのユーザは、上記事実を認識するだけのために時間を失うことになる。
【0010】
そこで、本件出願に開示された技術は、上述した問題に少なくとも部分的に対処すべく、宇宙航行体による撮像を希望するユーザに対してより円滑に画像及び/又は画像データを提供する、処理装置及びコンピュータプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様に係る処理装置は、「地球を撮像する宇宙航行体に関連して用いられ少なくとも1つのプロセッサを具備する処理装置であって、該少なくとも1つのプロセッサが、ユーザの端末装置から、撮像対象とされる地点の座標、又は、該座標及び該地点を撮像する日時、を含む発注条件を受信し、該発注条件に基づく宇宙航行体による撮像が可能であるか否かを示す判定結果を、前記ユーザの端末装置に送信し、前記判定結果が前記発注条件に基づく宇宙航行体による撮像が可能であることを示す場合に、前記地点を撮像可能な候補日時を含む少なくとも1つの候補条件を、前記ユーザの端末装置に送信する、ように構成され」得る。
【0012】
一態様に係るコンピュータプログラムは、「地球を撮像する宇宙航行体に関連して用いられる処理装置に搭載された少なくとも1つのプロセッサにより実行されることにより、ユーザの端末装置から、撮像対象とされる地点の座標、又は、該座標及び該地点を撮像する日時、を含む発注条件を受信し、該発注条件に基づく宇宙航行体による撮像が可能であるか否かを示す判定結果を、前記ユーザの端末装置に送信し、前記判定結果が前記発注条件に基づく宇宙航行体による撮像が可能であることを示す場合に、前記地点を撮像可能な候補日時を含む少なくとも1つの候補条件を、前記ユーザの端末装置に送信する、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
【0013】
別の態様に係るコンピュータプログラムは、「ユーザの端末装置に搭載された少なくとも1つのプロセッサにより実行されることにより、地球を撮像する宇宙航行体に関連して用いられる処理装置に、撮像対象とされる地点の座標、又は、該座標及び該地点を撮像する日時、を含む発注条件を送信し、該発注条件に基づく宇宙航行体による撮像が可能であるか否かを示す判定結果を、前記処理装置から受信し、前記判定結果が前記発注条件に基づく宇宙航行体による撮像が可能であることを示す場合に、前記地点を撮像可能な候補日時を含む少なくとも1つの候補条件を、前記処理装置から受信する、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
【発明の効果】
【0014】
本件出願に開示された技術によれば、宇宙航行体による撮像を希望するユーザに対してより円滑に画像又は画像データを提供する、処理装置及びコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、一実施形態に係るタスキングシステム(処理装置)を含む観測システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示した観測システムに含まれる各端末装置4の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、図1に示した観測システムに含まれる各宇宙航行体1の構成の一例を示す斜視図である。
図4図4は、図1に示した観測システムに含まれる各宇宙航行体1の構成の一例を示すブロック図である。
図5図5は、図1に示した観測システム10に含まれる管理装置6が備える機能の一例を示すブロック図である。
図6図6は、図1に示した観測システム10に含まれる管理装置6により実行される処理の一例を概念的に示す表である。
図7図7は、図1に示した観測システムにより実行される動作の一例を示すフロー図である。
図8図8は、図1に示した観測システム10に含まれるタスキングシステム5により実行される処理の一例を概念的に示す模式図である。
図9図9は、図1に示した観測システム10に含まれるタスキングシステム5により実行される処理の一例を概念的に示す模式図である。
図10図10は、図1に示した観測システム10に含まれるタスキングシステム5により実行される処理の一例を概念的に示す模式図である。
図11A図11Aは、図1に示した観測システム10に含まれる端末装置4に表示される画面の一例を示す模式図である。
図11B図11Aは、図1に示した観測システム10に含まれる端末装置4に表示される画面の一例を示す模式図である。
図11C図11Aは、図1に示した観測システム10に含まれる端末装置4に表示される画面の一例を示す模式図である。
図12図12は、図1に示した観測システム10に含まれる端末装置4に表示される画面の別の例を示す模式図である。
図13図13は、図1に示した観測システム10に含まれる端末装置4に表示される画面のさらに別の例を示す模式図である。
図14図14は、図1に示した観測システム10に含まれる端末装置4に表示される画面のさらに別の例を示す模式図である。
図15図15は、別の実施形態に係る観測システム10Aの構成の一例を示すブロック図である。
図16図16は、さらに別の実施形態に係る観測システム10Bの構成の一例を示すブロック図である。
図17A図17Aは、図1に示す観測システムにより取得された画像の一例を示す図である。
図17B図17Bは、図1に示す観測システムにより取得された画像の別の例を示す図である。
図17C図17Cは、図1に示す観測システムにより取得された画像のさらに別の例を示す図である。
図17D図17Dは、図1に示す観測システムにより取得された画像のさらに別の例を示す図である。
図17E図17Eは、図1に示す観測システムにより取得された画像のさらに別の例を示す図である。
図18図18は、図1に示す観測システムに含まれる端末装置4により表示されるステータスの一例を示す模式図である。
図19図19は、図1に示す観測システムに含まれる端末装置4により表示される各ステータスを説明するフロー図である。
図20図20は、図1に示す観測システムに含まれるタスキングシステム5により優先度に従って各撮像要求を処理する一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の様々な実施形態を説明する。なお、図面において共通した構成要素には同一の参照符号が付されている。また、或る図面に表現された構成要素が、説明の便宜上、別の図面においては省略されていることがある点に留意されたい。さらにまた、添付した図面が必ずしも正確な縮尺で記載されている訳ではないということに注意されたい。
【0017】
本明細書において記載される、様々なシステム、方法および装置は、いかなる方法によっても限定されるものとして解釈されるべきではない。実際には、本開示は、開示された様々な実施形態の各々、これら様々な実施形態を相互に組み合わせたもの、および、これら様々な実施形態の一部を相互に組み合わせたもの、のうちのあらゆる新規な特徴および態様に向けられている。本明細書において記載される、様々なシステム、方法および装置は、特定の態様、特定の特徴、または、このような特定の態様と特定の特徴とを組み合わせたものに限定されないし、本明細書に記載される物および方法は、1もしくはそれ以上の特定の効果が存在することまたは課題が解決されることを、要求するものでもない。さらには、本明細書において記載された様々な実施形態のうちの様々な特徴もしくは態様、または、そのような特徴もしくは態様の一部は、相互に組み合わせて用いられ得る。
【0018】
本明細書において開示された様々な方法のうちの幾つかの方法の動作が、便宜上、特定の順序に沿って記載されているが、このような手法による記載は、特定の順序が以下特定の文章によって要求されていない限り、上記動作の順序を並び替えることを包含する、と理解すべきである。例えば、順番に記載された複数の動作は、幾つかの場合には、並び替えられるかまたは同時に実行される。さらには、簡略化を目的として、添付図面は、本明細書に記載された様々な事項および方法が他の事項および方法とともに用いられ得るような様々な方法を示していない。
【0019】
本開示の装置または方法に関連して本明細書に提示される、動作理論、科学的原理または他の理論的な記載は、よりよい理解を目的として提供されており、技術的範囲を限定することを意図していない。添付した特許請求の範囲における装置および方法は、このような動作理論により記載される方法により動作する装置および方法に限定されない。
【0020】
本明細書に開示された様々な方法のいずれもが、コンピュータにより読み取り可能な1またはそれ以上の媒体に記憶された、コンピュータにより実行可能な複数の命令を用いて実装され、さらに、コンピュータにおいて実行され得る。上記1またはそれ以上の媒体は、例えば、少なくとも1つの光学媒体ディスク、複数の揮発性メモリ部品、または、複数の不揮発性メモリ部品といったような、非一時的なコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体であり得る。ここで、上記複数の揮発性メモリ部品は、例えばDRAMまたはSRAMを含む。また、上記複数の不揮発性メモリ部品は、例えばハードドライブおよびソリッドステートドライブ(SSD)を含む。さらに、上記コンピュータは、例えば、計算を行うハードウェアを有するスマートフォンおよび他のモバイル装置を含む、市場において入手可能な任意のコンピュータを含む。
【0021】
本明細書において開示された技術を実装するためのこのようなコンピュータにより実行可能な複数の命令のいずれもが、本明細書において開示された様々な実施形態の実装の間において生成され使用される任意のデータとともに、1またはそれ以上のコンピュータにより読み取り可能な媒体(例えば、非一時的なコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体)に記憶され得る。このようなコンピュータにより実行可能な複数の命令は、例えば、個別のソフトウェアアプリケーションの一部であり得るか、または、ウェブブラウザもしくは(リモート計算アプリケーションといったような)他のソフトウェアアプリケーションを介してアクセスまたはダウンロードされるソフトウェアアプリケーションの一部であり得る。このようなソフトウェアは、例えば、(例えば市場において入手可能な任意の好適なコンピュータにおいて実行されるプロセスとしての)単一のローカルコンピュータにおいて、または、1またはそれ以上のネットワークコンピュータを用いて、ネットワーク環境(例えば、インターネット、ワイドエリアネットワーク、ローカルエリアネットワーク、(クラウド計算ネットワークといったような)クライアントサーバネットワーク、または、他のそのようなネットワーク)において、実行され得る。
【0022】
明確化のために、ソフトウェアをベースとした様々な実装のうちの特定の選択された様々な態様のみが記載される。当該分野において周知である他の詳細な事項は省略される。例えば、本明細書において開示された技術は、特定のコンピュータ言語またはプログラムに限定されない。例えば、本明細書において開示された技術は、C、C++、Java(登録商標)、または、他の任意の好適なプログラミング言語で記述されたソフトウェアにより実行され得る。同様に、本明細書において開示された技術は、特定のコンピュータまたは特定のタイプのハードウェアに限定されない。好適なコンピュータおよびハードウェアの特定の詳細な事項は、周知であって、本明細書において詳細に説明する必要はない。
【0023】
さらには、このようなソフトウェアをベースとした様々な実施形態(例えば、本明細書において開示される様々な方法のいずれかをコンピュータに実行させるための、コンピュータにより実行可能な複数の命令を含む)のいずれもが、好適な通信手段により、アップロードされ、ダウンロードされ、または、リモート方式によりアクセスされ得る。このような好適な通信手段は、例えば、インターネット、ワールドワイドウェブ、イントラネット、ソフトウェアアプリケーション、ケーブル(光ファイバケーブルを含む)、磁気通信、電磁気通信(RF通信、マイクロ波通信、赤外線通信を含む)、電子通信、または、他のそのような通信手段を含む。
【0024】
1.観測システムの全体構成
図1は、一実施形態に係るタスキングシステム(処理装置)を含む観測システムの構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、一実施形態に係る観測システム(撮像システム)10は、タスキングシステム(処理装置)5と、タスキングシステム5に通信回線を介して接続可能な少なくとも1人のユーザの端末装置4と、タスキングシステム5に通信回線を介して接続可能な管理装置6と、タスキングシステム5に通信回線を介して接続可能な画像データ受信装置7及び画像化装置8と、管理装置6に通信回線を介して接続可能な少なくとも1つの地上局2と、地上局2に通信回線を介して接続可能な少なくとも1つの宇宙航行体1と、を含むことができる。
【0025】
極めて簡潔にいえば、観測システム10では、まず、ユーザが、その端末装置40を操作して、撮像対象とされる地点の座標、又は、撮像対象とされる地点の座標及びこの地点を撮像する日時等を含む発注条件を、タスキングシステム5に送信することができる。これに応答して、タスキングシステム5は、ユーザから受信した発注条件に基づく撮像が可能であるかを示す判定結果を、ユーザの端末装置4に送信することができる。この場合には、タスキングシステム5は、上記地点を撮像可能な候補日時を含む少なくとも1つの候補条件を、ユーザのタスキングシステム4に送信することができる。
【0026】
少なくとも1つの候補条件を受信した端末装置4は、当該少なくとも1つの候補条件を表示部に表示することによりユーザに提示することができる。さらに、端末装置4は、当該少なくとも1つの候補条件の中からいずれかの候補条件を選択条件としてユーザに選択させることができる。これにより、端末装置4は、ユーザにより選択された選択条件をタスキングシステム5に送信することができる。
【0027】
選択条件を受信したタスキングシステム5は、管理装置6及び地上局2を介して、いずれかの宇宙航行体1に当該選択条件に基づく撮像を実行させることができる。さらに、タスキングシステム5は、この撮像により宇宙航行体1により取得された画像データ、及び/又は、この画像データに基づいて生成された画像を、地上局2、受信装置7及び/又は画像化装置8等を介して受信することができる。これにより、タスキングシステム5は、ユーザの端末装置4に対して、画像データ及び/又は画像を送信することができる。
【0028】
このように、タスキングシステム5は、ユーザに対して、ユーザにより要求された画像データ及び/又は画像を送信する、というサービス(撮像サービス/観測サービス)を提供することができる。
【0029】
2.端末装置4
端末装置4は、ユーザにより管理及び/又は操作される情報処理装置であり得る。このような端末装置4として、図1には、1人のユーザの端末装置4しか示されていないが、これ以外に、少なくとも1人の他のユーザの端末装置4が用いられ得る。各端末装置4は、その端末装置のユーザにより操作され、そのユーザからユーザインターフェイスを介して宇宙航行体1による撮像に関する様々な情報を入力することができる。また、各端末装置4は、宇宙航行体1により取得された画像データ、及び/又は、当該画像データに基づいて生成された画像等を含む様々な情報を、タスキングシステム5を介して受信して表示することができる。
【0030】
各端末装置4は、任意の情報処理装置であり得る。このような情報処理装置は、例えば、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、携帯情報端末及び携帯電話等を、これらに限定することなく含むことができる。
【0031】
図2は、図1に示した観測システムに含まれる各端末装置4の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、端末装置4は、中央処理装置11と、主記憶装置12と、入出力インターフェイス装置13と、入力装置14と、補助記憶装置15と、出力装置16と、を含むことができる。これら装置同士は、データバス及び/又は制御バスにより接続されている。
【0032】
中央処理装置11は、「CPU(Central Processing Unit)」と称され、主記憶装置12に記憶されている命令及びデータに対して演算を行い、その演算の結果を主記憶装置12に記憶させることができる。さらに、中央処理装置11は、入出力インターフェイス装置13を介して、入力装置14、補助記憶装置15及び出力装置16等を制御することができる。端末装置4は、1又はそれ以上のこのような中央処理装置11を含むことが可能である。
【0033】
主記憶装置12は、「メモリ」と称され、入力装置14、補助記憶装置15及び通信回線C(タスキングシステム5等)から、入出力インターフェイス装置13を介して受信した命令及びデータ、並びに、中央処理装置11の演算結果を記憶することができる。主記憶装置12は、揮発性メモリ(例えば、レジスタ、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ(RAM))、不揮発性メモリ(例えば、リードオンリーメモリ(ROM)、EEPROM、フラッシュメモリ)、及び、ストレージ(例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、磁気テープ、光学媒体)、といったようなコンピュータにより読み取り可能な媒体を、これらに限定することなく含むことができる。容易に理解されるように、「コンピュータにより読み取り可能な記録媒体」という用語は、変調されたデータ信号すなわち一時的な信号といったような送信媒体ではなく、メモリ及びストレージといったようなデータストレージのための媒体を含むことができる。
【0034】
補助記憶装置15は、主記憶装置12よりも大きな容量を有する記憶装置である。補助記憶装置15は、特定のアプリケーション等を構成する命令及びデータ(コンピュータプログラム)を記憶しておき、中央処理装置11により制御されることにより、これらの命令及びデータ(コンピュータプログラム)を、入出力インターフェイス装置13を介して主記憶装置12に送信することができる。補助記憶装置15は、磁気ディスク装置及び/又は光ディスク装置等をこれらに限定することなく含むことができる。
【0035】
ここでいう特定のアプリケーションは、オペレーションシステム、様々なソフトウェアアプリケーション(ウェブブラウザを含む)、及び、ユーザがタスキングシステム5を介して撮像サービスの提供を受けるために実行される専用のアプリケーション等を、これらに限定することなく含むことができる。
【0036】
入力装置14は、外部からデータを取り込む装置であり、キーボード、タッチパネル、ボタン、マウス及び/又はセンサ(マイク、カメラ)等をこれらに限定することなく含むことができる。
【0037】
出力装置16は、ディスプレイ装置、タッチパネル及び/又はプリンタ装置等をこれらに限定することなく含むことができる。
【0038】
このようなハードウェア構成にあっては、中央処理装置11が、補助記憶装置15に記憶された上記特定のアプリケーションを構成する命令及びデータ(コンピュータプログラム)を順次主記憶装置12にロードし、ロードした命令及びデータを演算することができる。これにより、中央処理装置11は、入出力インターフェイス装置13を介して出力装置16を制御し、或いはまた、入出力インターフェイス装置13及び通信回線Cを介して、他の装置(例えば、タスキングシステム5及び/又は他の端末装置4等)との間で様々な情報(データ)の送受信を行うことができる。
【0039】
このように、端末装置4は、インストールされた上記特定のアプリケーションを実行することにより、撮像サービス(観測サービス)等の提供を受けることに関連する動作等(図7及び図19等を参照して後述する様々な動作等)を実行することができる。これに加えて又はこれに代えて、端末装置4は、ブラウザを実行して図示しない他のサーバ装置(処理装置)にアクセスすることにより、撮像サービス等の提供を受けることに関連する動作等(図7及び図19等を参照して後述する様々な動作等)を実行することもできる。
【0040】
なお、端末装置4は、中央処理装置11に代えて又は中央処理装置11とともに、1又はそれ以上のマイクロプロセッサ、及び/又は、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)等を含むこともできる。
【0041】
3.タスキングシステム5
図1に戻り、タスキングシステム5は、ユーザの端末装置4、管理装置6、受信装置7及び/又は画像化装置8との間において情報の送信及び/又は受信を行うことにより、ユーザの端末装置4に対して撮像サービス(観測サービス)を提供する情報処理装置である。
【0042】
図1には、タスキングシステム5が1つの情報処理装置を用いて構成される例が示されている。しかし、タスキングシステム5は、相互に通信回線を介して接続され、相互に協働して動作する、複数の情報処理装置を用いても構成され得る。
【0043】
タスキングシステム5は、任意の情報処理装置であり得る。このような情報処理装置は、例えば、ワークステーション、スーパーコンピュータ、メインフレーム及びパーソナルコンピュータ等を、これらに限定することなく含むことができる。
【0044】
先に参照した図2において括弧内に示されているように、タスキングシステム5は、中央処理装置21と、主記憶装置22と、入出力インターフェイス装置23と、入力装置24と、補助記憶装置25と、出力装置26と、を含むことができる。これら装置同士は、データバス及び/又は制御バスにより接続されている。
【0045】
これらの装置の各々は、端末装置4に関連して説明したとおりである。
【0046】
補助記憶装置25に記憶され中央処理装置21により実行される、特定のアプリケーションは、オペレーションシステム、様々なソフトウェアアプリケーション、及び、撮像サービス等を提供するために実行される専用のアプリケーション等を、これらに限定することなく含むことができる。
【0047】
このようなハードウェア構成にあっては、中央処理装置21が、補助記憶装置25に記憶された上記特定のアプリケーションを構成する命令及びデータ(コンピュータプログラム)を順次主記憶装置22にロードし、ロードした命令及びデータを演算することができる。これにより、中央処理装置21は、入出力インターフェイス装置23を介して出力装置26を制御し、或いはまた、入出力インターフェイス装置23及び通信回線Cを介して、他の装置(例えば、端末装置4、管理装置6、受信装置7、画像化装置8、及び/又は、他のタスキングシステム5等)との間で様々な情報(データ)の送受信を行うことができる。
【0048】
このように、タスキングシステム5は、インストールされた上記特定のアプリケーションを実行することにより、撮像サービス等を提供することに関連する動作等(図7及び図19等を参照して後述する様々な動作等)を実行することができる。
【0049】
なお、タスキングシステム5は、中央処理装置21に代えて又は中央処理装置21とともに、1又はそれ以上のマイクロプロセッサ、及び/又は、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)等を含むこともできる。
【0050】
なお、各端末装置4とタスキングシステム5とを接続する通信回線としては、携帯電話網、無線ネットワーク(WiFi、WiMax、セルラー、等)、固定電話網、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、イントラネット及び/又はイーサネット(登録商標)等を、これらに限定することなく含むことができる。
【0051】
4.宇宙航行体1
図1に戻り、観測システム10は、少なくとも1つの宇宙航行体1を含むことができる。図1には、2つの宇宙航行体1a、1bが例示されているが、観測システム10は、3つ以上の宇宙航行体1を含み得る。各宇宙航行体1は、例えば人工衛星であり得るが、これに限定されず、宇宙空間を航行することが可能な移動体すべてを含むことができる。
【0052】
各宇宙航行体1の構成の一例について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、図1に示した観測システムに含まれる各宇宙航行体1の構成の一例を示す斜視図である。図4は、図1に示した観測システムに含まれる各宇宙航行体1の構成の一例を示すブロック図である。
【0053】
各宇宙航行体1は、図3及び図4に示すように、地上局2と様々なデータの送受信を実行する通信装置100と、地球を撮像する撮像装置300と、撮像装置300の撮像動作及び宇宙航行体1の姿勢等を制御する制御装置200と、通信装置100、制御装置200及び撮像装置300に電力を供給する電源ユニット400と、を含むことができる。通信装置100、制御装置200、撮像装置300及び電源ユニット400は、制御ライン及び/又はデータラインを介して相互に電気的に接続され得る。
【0054】
(1)通信装置100
通信装置100は、図4に示すように、第1受信装置110と、第2送受信装置120と、を含むことができる。第1受信装置110は、地上局2(に搭載された通信装置3)から送信される撮像装置300による撮像動作に関する制御データを受信して、この制御データを撮像装置300に伝達することができる。第2送受信装置120は、地上局2との間で様々なデータを送信及び/又は受信することができる。
【0055】
第2送受信装置120は、例えば、制御装置200により取得された撮像データと、制御装置200によりモニタリングされている宇宙航行体1の宇宙空間上の位置に関する宇宙位置データと、を地上局2に送信することができる。なお、宇宙航行体1の宇宙位置データは、後述するセンサ240によって随時に取得され得る。
【0056】
また、第2送受信装置120は、地上局2から、複数の通信装置3の各々の識別データを受信して、後述する記憶装置220に各々の識別データを記憶することができる。これにより、第2送受信装置120が或る通信装置3から制御データを受信した際、制御データに含まれる当該或る通信装置3の識別データに基づいて、複数の通信装置3のうちのいずれの通信装置3から制御データを受信したかを認識することが可能である。また、地上局2から第2送受信装置120に送信される複数の通信装置3の各々の識別データの中には、各々の通信装置3の位置データが含まれる。これにより、第2送受信装置120は、複数の通信装置3の各々の位置データと各々のIDデータとを関連付けて、これらのデータを記憶装置220に記憶することができる。したがって、或る通信装置3から宇宙航行体1に制御データが送信される場合においては、制御データ内に当該或る通信装置3の位置データを必ずしも含ませておく必要はなく、制御データの容量を低減することが可能である(この場合において、制御データの中に当該或る通信装置3のIDデータが含まれていれば、宇宙航行体1において、記憶装置220を参照することにより、そのIDデータに関連する当該或る通信装置3の位置データを把握することができる)。
【0057】
第1受信装置110と第2送受信装置120とは、図4に示すように、通信装置100内において別々に設けられてもよいし、一体的に設けられていてもよい。
【0058】
地上局2に搭載される通信装置3から第1受信装置110への制御データの送信は、LPWA(Low Power Wide Area)方式の無線通信により実行されることが好ましく、例えば、LoRa方式の無線通信により実行され得る。したがって、第1受信装置110及び通信装置3には、LoRa方式の無線通信を実行するための専用の通信モジュール(専用の通信アンテナを含む)が搭載され得る。
【0059】
通信装置3から第1受信装置110への制御データの送信を、地上と宇宙空間との長距離通信も可能なLPWA方式(LoRa方式)を用いて実行することにより、第1受信装置110(及び通信装置3)を小型化することができる。
【0060】
他方、LoRa方式による無線通信にあっては、データ送信の容量に制約があることが知られている。したがって、通信装置3から第1受信装置110へ送信される制御データの容量が、例えば100bps以下となるように予め設計しておくことが好ましい。制御データの容量を100bps以下とするためには、例えば、制御データの内容を、撮像装置300が実行可能な撮像動作に関する動作パターンのうちのいずれかを選択する選択データと、撮像装置300により撮像される地球上の被撮像位置を示すデータ(被撮像位置データ)、及び、撮像装置300による撮像時間データ、を含み得る。
【0061】
ここで、選択データとは、例えば、制御装置200(制御装置200の記憶装置220)に、予め想定される宇宙航行体1(撮像装置300)の撮像動作に関する複数の動作パターンを暗号化データとともに記憶することにより、通信装置3から第1受信装置110にこの暗号化データのみを送信することが可能となる。この場合、第1受信装置110が通信装置3から受信した暗号化データを制御装置200に伝達することにより、制御装置200は、この暗号化データに対応する動作パターンを記憶装置220から読み出し、この動作パターンに従って撮像装置300の撮像動作を制御することができる。
【0062】
前述の複数の動作パターンとは、複数の撮像モードを意味し、例えば、広域撮像モード及び高分解能撮像モードの2つのモードを含むことができる。この場合、広域撮像モードを「MODE1」と、高分解能撮像モードを「MODE2」と、各々を暗号化することができる(「MODE1」及び「MODE2」が各々暗号化データとなる)。なお、複数の動作パターンは、広域撮像モード及び高分解能撮像モードの2つに限定されるものではなく、他のモードが含まれていてもよい。
【0063】
前述の被撮像位置データとは、撮像の対象とされる地球上の或る地点又は地域を示すデータであり、例えばこの地点又はこの地域に対応する緯度及び経度を示すデータであり得る。また、前述の撮像時間データとは、撮像が実行されるべき日時(宇宙航行体1による撮像、観測等が求められる日時)を示すデータであり得る。
【0064】
以上を総合すると、通信装置3から第1受信装置110に対して、例えば「2022-10-14/13:00/北緯33.55度/東経135.55度/MODE1/(FROM 20B TO 10A)」との制御データが送信され得る。この場合において、「2022-10-14/13:00」は撮像時間データに相当し、北緯33.55度/東経135.55度」は被撮像位置データに相当し、「MODE1」は選択データに相当する。なお、この制御データ内に、送信元の通信装置3の識別データ(例えば、「20B」)が含まれていてもよい。
【0065】
第2送受信装置120と地上局2との様々なデータの送受信は、前述のLPWA方式の無線通信を用いて実行され得るが、これに限定されず、様々な一般的な通信方式を用いて実行され得る。
【0066】
(2)制御装置200
制御装置200は、第1受信装置110が通信装置3から受信した制御データをこの第1受信装置110から受信して、この制御データに基づいて撮像装置300の撮像動作を制御することができる。また、制御装置200は、その撮像動作に関連して宇宙航行体1の姿勢等を制御することができる。
【0067】
制御装置200は、ハードウェアとして、相互にデータバス及び/又は制御バスにより接続される中央処理装置210、記憶装置220、インターフェイス装置230及びセンサ240等を含み、後述する様々な情報処理を実行することができる。
【0068】
中央処理装置210は、例えば「CPU」と称され、記憶装置220に記憶されている命令及びデータに基づいて様々な演算を行うことにより、撮像装置300の撮像動作に関する制御信号、及び、その撮像動作に関連する宇宙航行体1の姿勢に関する制御信号を生成することができる。
【0069】
記憶装置220は、インターフェイス装置230等を介して受信した命令及びデータ、並びに、中央処理装置210の演算結果等を記憶することができる。さらに、記憶装置220は、特定のアプリケーション(例えば、撮像装置300の撮像動作を制御するためのアプリケーション、宇宙航行体1の姿勢を制御するためのアプリケーション等)を構成する命令及びデータ(コンピュータプログラム)を記憶することができる。記憶装置220は、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリーメモリ)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)等のコンピュータによって読み取り可能な媒体を、これらに限定することなく含むことができる。
【0070】
さらに、記憶装置220は、前述のとおり、予め想定される撮像装置300の撮像動作に関する複数の動作パターンを、暗号化データとともに記憶することができる。例えば、記憶装置220は、広域撮像モードを「MODE1」なる暗号化データとともに、高分解能撮像モードを「MODE2」なる暗号化データとともに、各々記憶することができる。さらに、記憶装置220は、広域撮像モード及び高分解能撮像モードの各々に対応する宇宙航行体1の姿勢制御に関する情報(例えば、広域撮像モードにおいては、宇宙航行体1には、被撮像位置の地表面に対して同じ姿勢を維持する姿勢制御が行われ得る。他方、高分解能撮像モードにおいては、宇宙航行体1には、被撮像位置の地表面を追跡する姿勢制御が行われ得る)、撮像装置300から放射される電波の周波数、撮像装置300から放射される電波の照射時間に関する情報(例えば、広域撮像モードにおいては数秒~数分であるのに対し、高分解能撮像モードにおいては数秒)、変調・復調等の条件に関する情報、撮像動作に要する時間に関する情報、等に関する様々なデータ、それらの演算方法等(コンピュータプログラム等)を記憶することができる。これにより、中央処理装置210は、撮像装置300の撮像動作に関する様々な制御信号を生成することができる。
【0071】
さらに、記憶装置220は、前述のとおり、複数の通信装置3の各々の識別データを記憶することができる。例えば、記憶装置220は、複数の通信装置3の各々の位置データと各々のIDデータとを関連付けて、これらのデータを記憶することができる。
【0072】
センサ240は、一例として、宇宙航行体1の進行、宇宙空間上の位置及び姿勢等に関する様々なデータの取得、並びに、それらの制御に用いられる、ジャイロセンサ、加速度センサ、位置センサ、及び/又は、速度センサ等を含み得る。さらに、センサは、一例として、宇宙航行体1の外部環境及び/又は内部環境を観測するための温度センサ、照度センサ、及び/又は、赤外線センサ等を含みうる。センサによって取得された様々なセンサデータは、記憶装置220に記憶されたうえで、中央処理装置210により演算処理に用いられ、第2送受信装置120を介して地上局2に送信され得る。
【0073】
(3)撮像装置300
撮像装置300は、前述の制御装置200により生成される制御信号を受信して、撮像動作を実行する。撮像装置300は、例えば、合成開口レーダーを用いることができる。撮像装置300は、図3及び図4に示すように、送信器310、輻射器320、反射器330、受信器340、及び、画像処理器350を含むことができる。
【0074】
送信器310は、制御装置200からの制御信号に基づいて所定周波数のパルス信号を送出する。パルス信号は、変調及び/又は復調等の処理が行われ高周波の無線周波数に変換された後に、増幅され、輻射器320から反射器330に対して放射された後、撮像装置300の外部空間に放射される。その後、送信器310は、被撮像地点にて反射した電波(反射波)を、反射器330及び輻射器320を介して受信器340にて受信する。画像処理器350は、この反射波に基づいて被撮像地点における画像データを生成することができる。画像処理器350によって生成された画像データは、前述の第2送受信装置120を介して地上局2に送信され得る。なお、受信器340にて受信された反射波もまた、第2送受信装置120を介して地上局30に送信され得る。
【0075】
ここで、図3に示されるように、輻射器320及び反射器330は、アンテナに相当する。反射器330は、輻射器320に対して所定の角度をもって対向するように配置され、輻射器320から放射される電波を主反射鏡であるリフレクタ331に反射するための副リフレクタ(副反射鏡)332と、副リフレクタ332の鏡面に対向するように配置され、副リフレクタ332により反射された電波をさらに反射して撮像装置300の外部空間へ電波を放射するリフレクタ331と、副リフレクタ332を支持するための支持部材333と、を含むことができる。
【0076】
リフレクタ331は、複数のリブ335及び面状体336等を含み、主反射鏡として機能するために、その反射面がパラボラ(放物)形状に形成され得る。リブ335、面状体336及び他の構成要素を含むアンテナの詳細については、既に公知であるので、詳細な説明は省略する。
【0077】
(4)電源ユニット400
電源ユニット400は、図4に示すように、バッテリ410と、充放電制御回路420と、を含むことができる。バッテリ410としては、ソーラーパネルを利用した太陽電池を一例として用いることができる。バッテリ410は、通信装置100、制御装置200及び撮像装置300に接続されており、各々に対して電力を供給することができる。充放電制御回路420は、バッテリ410から各装置への電力供給、及び、バッテリ410の充放電を制御することができる。
【0078】
5.地上局2
図1に戻り、観測システム10は、少なくとも1つの地上局2を含むことができる。図1には、3つの地上局2a、2b、2cが例示されているが、観測システム10は、任意の数の地上局2を含み得る。
【0079】
各地上局2は、一般的に知られる地上局であり、例えば、(図示しない)バッテリと、複数の宇宙航行体1の各々と様々なデータを送受信するための通信装置3と、管理装置6との間で様々なデータの送受信を行うための(図示しない)第2通信ユニットと、を含むことができる。なお、各地上局2と管理装置6とは、通信回線を介して接続されている。
【0080】
これにより、各地上局2は、宇宙航行体1の各々から、撮像された(取得された)画像データ(撮像データ)又はこの画像データに基づいて生成された画像と、制御装置200によってモニタリングされている宇宙航行体1の宇宙空間上の位置に関する宇宙位置データ等を受信することができ、受信した画像データ(又は画像)及び宇宙位置データを管理装置6に伝達することができる。一方、各地上局2は、管理装置6から、複数の通信装置3の各々の識別データを受信して、受信した識別データを複数の宇宙航行体1の各々に伝達(送信)することができる。
【0081】
なお、各地上局2と管理装置6とを接続する通信回線としては、携帯電話網、無線ネットワーク(WiFi、WiMax、セルラー、等)、固定電話網、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、イントラネット及び/又はイーサネット(登録商標)等を、これらに限定することなく含むことができる。
【0082】
6.通信装置3
各地上局2は、上記のとおり、通信装置3を含むことができる。各通信装置3には、宇宙航行体1との間でLoRa方式の無線通信を実行するための専用の通信モジュール(専用の通信アンテナを含む)が搭載され得る。また、各通信装置3は、バッテリ及び後述する管理装置6との間で様々なデータの送受信を行うための送受信装置を含むことができる。通信装置3と管理装置6とは、通信回線を介して接続されている。これにより、通信装置3から管理装置6に対して、各通信装置3の識別データを送信することができる。ここで、識別データには、各々の通信装置3の位置データ及びシリアルナンバーデータ(IDデータ)等が含まれうる。
【0083】
また、複数の通信装置3の各々と管理装置6とが通信回線を介して接続されることにより、通信装置3の各々は、管理装置6から受信する指示信号(コマンド信号)に基づいて、所定の宇宙航行体1に対して前述の制御データを送信することができる。
【0084】
なお、通信装置3と管理装置6とを接続する通信回線としては、携帯電話網、無線ネットワーク(WiFi、WiMax、セルラー、等)、固定電話網、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、イントラネット及び/又はイーサネット(登録商標)等をこれらに限定することなく含むことができる。
【0085】
7.管理装置6
管理装置6は、ユーザにより選択された候補条件(選択条件)をタスキングシステム5から受信し、かかる候補条件に基づく撮像を実行するために、複数の地上局2の中から適切な地上局2と、複数の宇宙航行体1の中から適切な宇宙航行体1と、を選定することができる。このような管理装置6もまた、図2に例示した構成を含む情報処理装置により構成され得る。
【0086】
図1には1つの管理装置6が用いられる例が示されているが、負荷を分散すること等を目的として、複数の管理装置6を用いることも可能である。管理装置6は、ユーザに観測サービスを提供するためにインストールされた特定のアプリケーションを実行することにより、後述する様々な処理を実行することができる。
【0087】
管理装置6は、図1に示すように、複数の地上局2(図1においては、地上局2a、2b、2c)に通信回線を介して接続され得る。これにより、管理装置6は、複数の地上局(複数の通信装置3)の各々に対して所定の宇宙航行体1に対して前述の制御データを送信する旨の指示信号(コマンド信号)を送信することができる(換言すれば、管理装置6は、通信装置3による宇宙航行体1への制御データの送信を制御することができる)。また、管理装置6は、複数の地上局2(複数の通信装置3)の各々から、前述の識別データを受信することができる。
【0088】
また、管理装置6は、各地上局2に対して、複数の通信装置3の各々の識別データを送信することができる。
【0089】
さらに、管理装置6は、タスキングシステム5に通信回線を介して接続され得る。この場合における通信回線も、携帯電話網、無線ネットワーク(WiFi、WiMax、セルラー、等)、固定電話網、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、イントラネット及び/又はイーサネット(登録商標)等をこれらに限定することなく含むことができる。
【0090】
これにより、管理装置6は、或る地点(又は或る地域)の撮像を要求する旨の撮像要求データをタスキングシステム5から受信することができる。なお、この撮像要求データは、例えば、「或る地点」(撮像対象とされる地点)を特定する被撮像位置データと、この地点を撮像する日時を特定する撮像時間データと、を含み得る。被撮像位置データは、例えば、「或る地点」における緯度データ、経度データ及び/又は住所データ等をこれらに限定することなく含むことができる。
【0091】
管理装置6のハードウェアの構成は、中央処理装置、記憶装置、インターフェイス装置、を含むことができ、この構成は、前述した制御装置200における中央処理装置210、記憶装置220及びインターフェイス装置230と同様であり得る。
【0092】
中央処理装置は、例えば「CPU」と称され、記憶装置に記憶されている命令及びデータに基づいて様々な演算を行うことができる。
【0093】
記憶装置は、「メモリ」と称され、インターフェイス部等を介して受信した命令及びデータ、並びに、中央処理装置の演算結果等を記憶することができる。さらに、記憶装置は、特定のアプリケーション(例えば、撮像動作を実行する宇宙航行体1を決定するためのアプリケーション、宇宙航行体1に対して制御データを送信する通信装置3を決定するためのアプリケーション、通信装置3から宇宙航行体1に対して送信される制御データの内容を制御するアプリケーション、通信装置3とのデータの送受信を制御するアプリケーション、地上局2のデータの送受信を制御するアプリケーション等)を構成する命令及びデータ(コンピュータプログラム)を記憶することができる。記憶装置は、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリーメモリ)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)等のコンピュータによって読み取り可能な媒体を、これらに限定することなく含むことができる。
【0094】
このようなハードウェア構成にあっては、中央処理装置が、記憶装置に記憶された特定のアプリケーションを構成する命令及びデータ(コンピュータプログラム)をロードし、ロードした命令及びデータに基づいて様々な演算処理を実行することができる。また、中央処理装置は、インターフェイス装置を介して、演算処理により生成されたデータを他の構成要素に送信することができ、また、他の構成要素から様々なデータを受信することができる。
【0095】
次に、管理装置6の具体的な機能について、図5を参照して説明する。図5は、図1に示した観測システム10に含まれる管理装置6が備える機能の一例を示すブロック図である。
【0096】
図5に示すように、管理装置6は、通信部41と、記憶部42と、組合せ決定部43と、制御データ生成部44と、を含むことができる。
【0097】
通信部41は、複数の通信装置3、地上局2及びタスキングシステム5との間で、前述した様々なデータを送受信することができる。特に、通信部41は、後述する組合せ決定部43による決定結果に基づいて、特定の通信装置3に対して前述の指示信号(コマンド信号)を送信し、後述する制御データ生成部44の決定結果に基づいて特定の通信装置3から特定の宇宙航行体1に送信される制御データを、当該特定の通信装置3に送信することができる。
【0098】
記憶部42は、通信部41が受信した様々なデータ、組合せ決定部43及び制御データ生成部44による決定結果に関するデータ等を記憶することができる。また、記憶部42は、通信部41、組合せ決定部43、及び、制御データ生成部44が所定の処理を実行するための特定のアプリケーション(例えば、前述した、撮像動作を実行する宇宙航行体1を決定するためのアプリケーション、宇宙航行体1に対して制御データを送信する通信装置3を決定するためのアプリケーション、通信装置3から宇宙航行体1に対して送信される制御データの内容を制御するアプリケーション、通信装置3とのデータの送受信を制御するアプリケーション、地上局2のデータの送受信を制御するアプリケーション等)を記憶することができる。
【0099】
組合せ決定部43は、撮像要求データに含まれる被撮像位置データ、予め地上局2を介して受信している複数の宇宙航行体1の各々の宇宙位置データ、及び、複数の通信装置3の各々の位置データ(識別データ)に基づいて、撮像時間データにより特定される開始タイミングにおいて、被撮像位置データにより特定される地点に対する撮像動作を実行することが可能な1つの宇宙航行体1と、撮像動作を実行することが可能な当該1つの宇宙航行体1に対して前述の制御データを送信する1つの地上局2(通信装置3)と、の組合せを、複数の宇宙航行体1及び複数の地上局2(通信装置3)の中から決定することができる。なお、被撮像位置データに対応する地点に対する撮像を、複数の宇宙航行体1が協調して実行する場合、組合せ決定部43は、撮像動作を実行することが可能な複数の宇宙航行体1と、撮像動作を実行することが可能な当該複数の宇宙航行体1の各々に対して前述の制御データを送信する複数の地上局2(通信装置3)と、の組合せを決定することも可能である。
【0100】
具体的には、組合せ決定部43は、撮像時間データにより特定される撮像日時から起算して、通信装置3から宇宙航行体1に対する制御データの送信開始から送信完了までに要する第1時間(T1)と、宇宙航行体1における制御データの受信完了時から起算して、宇宙航行体1が撮像動作を完了させるまで(全ての反射波を受信するまで)に要する第2時間(T2)と、撮像動作の完了時から起算して、宇宙航行体1から地上局2に対する画像データ(撮像データ)の送信が完了するまでに要する第3時間(T3)と、を演算して得られる、図6に示されるようなテーブルを参照することができる。組合せ決定部43は、このテーブルを参照して、「T1+T2+T3」の合計時間が最も短くなる組合せを選択することができる。一例として、図6に示される場合においては、組合せ決定部43は、前述の合計時間が90分(T1:30分、T2:20分、T3:40分、の合計時間が90分)となる、「宇宙航行体1bと通信装置3b」の組合せを決定することができる。
【0101】
組合せ決定部43は、被撮像位置データ、決定した少なくとも1つの宇宙航行体1と少なくとも1つの通信装置3(を搭載する地上局2)との組合せを示すデータ、及び、合計時間に関するデータ(例えば、図6に示される場合においては、「宇宙航行体1bと通信装置3b(を搭載する地上局2b)」とのデータ、及び、合計時間90分とのデータ)を、制御データ生成部44に送信することができる。
【0102】
制御データ生成部44は、組合せ決定部43から受信した、1つの宇宙航行体1と1つの通信装置3(を搭載する地上局2)との組合せに関するデータ、及び、合計時間に関するデータに基づいて、当該組合せに対応する通信装置3(図6に示される場合においては、通信装置3b)を搭載する地上局2に対して送信する制御データの内容を決定することができる。制御データ生成部44は、被撮像位置データ(により特定される地点)、撮像時間データ(により特定される撮像動作を開始する日時)に基づいて、特定の制御データを生成することができる。
【0103】
さらに、制御データ生成部44は、被撮像位置データ等に基づいて被撮像地点(又は地域)の状況を把握し、宇宙航行体1の撮像装置300がいずれの撮像モードで撮像動作をすべきかを決定することもできる。この決定結果に基づいて、制御データ生成部44は、前述の選択データをさらに生成することができる。
【0104】
制御データ生成部44は、生成した制御データ(被撮像位置データ、撮像時間データ及び選択データ)と、組合せにより決定された1つの宇宙航行体1に対して制御データを送信するように要求する要求信号とを、通信部41に送信することができる。これにより、通信部41は、この制御データ及び要求信号を含む指示信号(コマンド信号)を、前述の組合せにより決定された1つの通信装置3(を搭載する地上局2)に送信することができる。なお、通信部41から通信装置3(を搭載する地上局2)に送信される制御データは、具体的には、一例として、「2022-10-14/13:00/北緯33.55度/東経135.55度/MODE1/(FROM 20B TO 10B)」であり得る。
【0105】
8.画像データ受信装置7及び画像化装置8
図1に戻り、画像データ受信装置7は、宇宙航行体1により取得された画像データを、地上局2(通信装置3)を介して受信することができる。画像データ受信装置7は、受信した画像データを、タスキングシステム5及び/又は画像化装置8に送信することができる。
【0106】
画像化装置8は、画像データ受信装置7から受信した画像データに基づいて画像を生成することができる。画像化装置8は、このように生成した画像をタスキングシステム5に送信することができる。
【0107】
ここで、画像データ及びこの画像に基づいて生成された画像について簡単に説明する。宇宙航行体1は、地球上の或る地点を撮像することにより、画像データを取得することができる。このような画像データは、例えば、上記或る地点に対応する複数の座標と、これら複数の座標に含まれる各座標に対応付けられた深さ及び時間(日時)と、を含むデータであり得る。このような画像データは、例えば、行列という形式により生成され得る。
【0108】
ここで、宇宙航行体1が合成開口レーダーを用いて撮像を行う場合には、宇宙航行体1から地球上の上記或る地点に向けて電波が放射される結果、宇宙航行体1は、上記或る地点を反射して宇宙航行体1に向かって進行する電波を受信することができる。宇宙航行体1は、そのような電波の受信強度とそのような電波を受信した時間(日時)とを用いることにより、上記或る地点に対応する複数の座標と、これら複数の座標に含まれる各座標に対応付けられた深さ及び時間(日時)と、を含むデータを生成することができる。
【0109】
一方、画像データに基づいて生成される画像とは、この画像データに含まれる各座標とこの座標に対応する深さ及び時間とを、地図の形式で表現した画像であり得る。このような画像では、各座標に対応する点は、その座標に対応する深さに応じて定められた濃淡により表現され得る。例えば、或る座標に対応する深さが深い(すなわち、その座標に対応する点が低い位置にある)場合には、当該或る座標に対応する点は、より濃く表現され得る一方、或る座標に対応する深さが浅い(すなわち、その座標に対応する点が高い位置にある)場合には、当該或る座標に対応する点は、より薄く表現され得る。
【0110】
9.観測システム10により実行される動作
次に上記構成を備える観測システム10により実行される動作の一例を、さらに図7を参照して説明する。図7は、図1に示した観測システムにより実行される動作の一例を示すフロー図である。
【0111】
まず、図7には示されていないが、ユーザがその端末装置4を操作することにより、端末装置4は、上述した特定のアプリケーションを実行することにより、タスキングシステム5にアクセスすることができる。
【0112】
ステップ(以下「ST」という。)500において、ユーザは、端末装置4の入力装置14(例えば、キーボード、マウス及び/又はタッチパネル等)を操作することにより、撮像対象とされる地点の座標を入力することができる。これに応答して、端末装置4は、撮像対象とされる地点の座標を含む発注条件をタスキングシステム5に送信することができる。別の例では、ユーザは、撮像対象とされる地点の座標に加えて、この地点を撮像する日時を入力することもできる。この場合には、端末装置4は、撮像対象とされる地点の座標と、この地点を撮像する日時と、を含む発注条件を、タスキングシステム5に送信することができる。
【0113】
ST502において、タスキングシステム5は、端末装置4により送信された発注条件を受信することができる。さらに、タスキングシステム5は、端末装置4から受信した発注条件に基づく宇宙航行体1による撮像が可能であるか否かを判定することができる。
【0114】
発注条件が撮像対象とされる地点の座標のみを含む場合には、タスキングシステム5は、その地点(の座標)が、宇宙航行体1により撮像可能な範囲に含まれるか否かを判断することにより、発注条件に基づく宇宙航行体1による撮像が可能であるか否かを判定することができる。
【0115】
一方、発注条件が、撮像対象とされる地点の座標と、その地点を撮像する日時とを含む場合には、タスキングシステム5は、その地点(の座標)が、その日時に宇宙航行体1により撮像可能な範囲に含まれるか否かを判断することにより、発注条件に基づく宇宙航行体1による撮像が可能であるか否かを判定することができる。
【0116】
タスキングシステム5がこのような判定をどのように実行するのかに関する具体例について、さらに図8図10を参照して説明する。図8図10は、図1に示した観測システム10に含まれるタスキングシステム5により実行される処理の一例を概念的に示す模式図である。
【0117】
SARを用いた観測ができない1つの要因として、入射角(オフナディア角)がある。SARを用いて得られる画像(SAR画像)は、入射角が小さい場合にはレイオーバーが生ずるので、白くなり、逆に入射角が大きい場合にはレーダーシャドウが生ずるので、黒くつぶれてしまう。この結果、撮像されたSAR画像は活用できないので、そのような条件での撮像を避けることが好ましい。
【0118】
そこで、図8及び図9に示すように、入射角θaよりも小さい角度においては、レイオーバーが生じ、入射角θbより大きい角度においては、レーダーシャドウが生ずると仮定する。宇宙航行体1が数秒間で地点FS(First Satellite Position)から地点LS(Last Satellite Position)に移動するとき、宇宙航行体1により撮像可能な近接側及び遠方側をそれぞれ「Near Point」及び「Far Point」と定義することができる。さらに、開始タイミングに撮像可能な地点を、FN(First Near)及びFF(First Far)と定義し、終了タイミングに撮像可能な地点を、LN(Last Near)及びLF(Last Far)と定義することができる。
【0119】
ここで、宇宙航行体1の軌道を中心としたときに、宇宙航行体1は、この軌道の両側(但し、同時にはいずれか一方の側)を撮像することができることから、地図上では、一方の側については、開始タイミングに撮像可能な地点として、FN及びFFを定義することができ、終了タイミングに撮像可能な地点として、LN及びLFを定義することができる。他方の側については、開始タイミングに撮像可能な地点として、FN及びFFを定義することができ、終了タイミングに撮像可能な地点として、LN及びLFを定義することができる。
【0120】
これらの地点を計算するために、まず、宇宙航行体1の位置(緯度及び経度)が地図上に出力され得る。具体的には、宇宙航行体1の位置が地図上に所定の時間間隔をおいてプロットされることにより、宇宙航行体1の軌道が地図上に日時に対応付けて表現され得る(図10参照)。
【0121】
この時間間隔が短い程、より詳細な撮像可能な範囲が定められ得る一方、必要とされる計算量が多くなり得る。そこで、地図上に表現される面積から適切な時間間隔を設定することが好ましい。特に、高度約500km前後にある宇宙航行体1は、秒速約7~8kmの速度で進行するので、地図上に例えば約30kmの面積を表現する場合には、時間間隔は約1秒程度が好ましいが、地図上に例えば約1000kmの面積を表現する場合には、時間間隔を約1秒程度にすることは、必要とされる計算量を増加させるので、好ましくない。
【0122】
このようにして定められた時間間隔を用い、或るタイミングでの地点FS及び地点LSを定めたときに、FSからLSに向かうベクトルを、緯度及び経度で表記した地図上に表現することができる。このベクトルから法線ベクトルが算出され得る。宇宙航行体1の高度と、入射角θa又は入射角θbとを用いることにより、三角関数から、その法線ベクトルの長さが算出され得る。このように法線ベクトルの方向及び長さが算出されることにより、FF、FN、LF、LN、FF、FN、LF、LNが算出され得る。これにより、FF、FN、LF及びLNを4つの角とする四角形R、並びに、FF、FN、LF、LNを4つの角とする四角形Rが、撮像可能な範囲として定められ得る(図9及び図10参照)。
【0123】
このように、タスキングシステム5は、宇宙航行体1により撮像可能な範囲を日時に対応付けて地図上において定めることができる(地図上に重ねて表示することもできる)。宇宙航行体1が複数用いられる場合には、タスキングシステム5は、宇宙航行体1ごとに、この宇宙航行体1により撮像可能な範囲を日時に対応付けて地図上において定めることができる(地図上に重ねて表示することもできる)。
【0124】
この結果、タスキングシステム5は、端末装置4から受信した発注条件に基づく宇宙航行体1による撮像が可能であるか否かを判定することができる。具体的には、発注条件が撮像対象とされる地点の座標のみを含む場合には、タスキングシステム5は、その地点の座標が、上記のように定められた撮像可能な範囲に含まれる(又は含まれない)ときには、その発注条件に基づく宇宙航行体1による撮像が可能である(又は不可能である)と判定することができる。一方、発注条件が、撮像対象とされる地点の座標と、その地点を撮像する日時とを含む場合には、タスキングシステム5は、その地点の座標が、上記のように定められた、その日時に対応する宇宙航行体1により撮像可能な範囲に含まれる(又は含まれない)ときには、その発注条件に基づく宇宙航行体1による撮像が可能である(又は不可能である)と判定することができる。
【0125】
図7に戻り、ST504において、タスキングシステム5は、発注条件に基づく宇宙航行体1による撮像が不可能であると判定した場合には、ST506において、その旨を端末装置4に通知することにより、端末装置4はその旨を表示部(出力装置16)に表示することができる。この後、処理は上述したST500に戻る。この場合、ユーザは、発注条件を見直すことになろう。
【0126】
一方、ST504において、タスキングシステム5は、発注条件に基づく宇宙航行体1による撮像が可能であると判定した場合には、ST508において、この発注条件に含まれた地点(の座標)を撮像可能な候補日時を含む少なくとも1つの候補条件を、端末装置4の表示部(出力装置16)に表示させるべく、端末装置4に通知することができる。
【0127】
(なお、タスキングシステム5は、図示はしていないが、ST504からST508に移行する前に、発注条件に基づく宇宙航行体1による撮像が可能である旨を端末装置4に通知することも可能である。)
【0128】
上記ST502に関連して説明したように、タスキングシステム5は、各宇宙航行体1により撮像可能な範囲を日時に対応付けて地図上において定めることができる。したがって、発注条件が撮像対象とされる地点の座標のみを含む場合には、タスキングシステム5は、かかる地点の座標と、上記のように日時に対応付けて定められた撮像可能な範囲と、を比較することにより、かかる地点を撮像することが可能な少なくとも1つの日時を定めることができる。
【0129】
また、発注条件が、撮像対象とされる地点の座標と、この地点を撮像する日時とを含む場合には、タスキングシステム5は、かかる地点の座標及びその撮像日時と、上記のように日時に対応付けて定められた撮像可能な範囲と、を比較することにより、かかる地点を撮像することが可能な少なくとも1つの日時を定めることができる。
【0130】
タスキングシステム5は、このように定めた候補日時を含む少なくとも1つの候補条件を、端末装置4に通知することにより、端末装置4は、そのような少なくとも1つの候補条件を表示部(出力装置16)に表示させることができる。候補条件が複数存在する場合には、端末装置4は、例えば、これら複数の候補条件をプルダウンメニュー形式により表示することができる。
【0131】
次に、ST510において、端末装置4は、表示された少なくとも1つの候補条件の中からいずれか1つの候補条件を(選択条件として)ユーザに選択させることができる。端末装置4は、選択条件をタスキングシステム5に通知することにより、この選択条件に基づく撮像を発注することができる。この選択条件は、このST510においてユーザにより選択された候補条件(例えば、撮像対象とされる地点を撮像する日時)に加えて、撮像対象とされる地点の座標(ST500においてユーザにより入力された地点の座標)を含み得る。
【0132】
なお、ユーザは、事前に、顧客情報(ユーザの氏名、住所、電話番号、年齢及び/又は電子メールアドレス等)及び契約内容(ユーザが観測サービスの提供を受ける期間及びユーザが観測サービスの提供を受けるために支払う対価等)をタスキングシステム5に登録しておくことにより、より少ない操作で、例えば「発注」というオブジェクトを1回クリック(ワンクリック)するような操作等のみで、このような発注を行うこともできる。これにより、ユーザは、ST500からST510までを例えば数秒~数分で実行することができるので、例えば地震等の災害が発生した局面においても、迅速に撮像を発注することができる。
【0133】
次に、ST512において、タスキングシステム5は、端末装置4からユーザに選択された候補条件(選択条件)を受信すること、すなわち、選択条件に基づく撮像を受注することができる。これにより、タスキングシステム5は、撮像対象とされる地点の座標と、この地点を撮像する日時と、を特定することができる。
【0134】
次に、ST514において、タスキングシステム5は、撮像対象とされる地点の撮像を要求する旨の撮像要求データを、管理装置6に送信することができる。この撮像要求データは、撮像対象とされる地点を特定する被撮像位置データと、この地点を撮像する日時を特定する撮像時間データと、を含むことができる。
【0135】
次に、ST516において、管理装置6が、上記「7.管理装置6」において説明したとおり、ユーザにより発注された撮像を実行することが可能な宇宙航行体1と、かかる宇宙航行体1に対して制御データを送信する通信装置3を搭載した地上局2(ここでは通信装置3aを搭載した地上局2a)と、の組み合わせを決定することができる。さらに、管理装置6は、上記「7.管理装置6」において説明したとおり、決定された地上局2aに対して、制御データ及び要求信号を含む指示信号(コマンド信号)を送信することができる。
【0136】
次に、ST518において、指示信号を受信した地上局2aが、この地上局2aに搭載された通信装置3aを用いて、決定された宇宙航行体1(ここでは宇宙航行体1a)に対して制御データを送信することができる。この制御データは、上記「4.宇宙航行体1」において説明したとおり、例えば、被撮像位置データ(撮像の対象とされる地球上の或る地点又は地域を示すデータ)、撮像時間データ(撮像が実行されるべき日時を示すデータ)及び選択データ(宇宙航行体1が実行可能な撮像動作に関する動作パターンを示すデータ)を含み得る。これにより、ST520において、宇宙航行体1aは、地上局2a(に搭載された通信装置3a)から、制御データを受信することができる。
【0137】
ST520において、さらに、宇宙航行体1aは、受信した制御データに基づいて、撮像対象とされる地点の撮像を、定められた日時に実行することができる。これにより、宇宙航行体1aは、画像データを取得することができる。
【0138】
ここで、一例として、宇宙航行体1は、実行すべき少なくとも1つの撮像に関するスケジュールを登録する特定コンポーネントを含むことができる。宇宙航行体1は、新たな制御データを受信する度に、この特定コンポーネントに新たなスケジュールを登録することができる。さらに、宇宙航行体1は、この特定コンポーネントに登録された或るスケジュールと別のスケジュールとを入れ替えることもできる。さらにまた、宇宙航行体1は、この特定コンポーネントに登録された少なくとも1つのスケジュールをキャンセルすることもできる。或いはまた、宇宙航行体1は、契約条件等で定められた優先度の高いユーザにより要求された撮像に関するスケジュールを優先的に受け付けて登録することも可能である。宇宙航行体1は、このように特定コンポーネントに登録されたスケジュールに従って撮像を実行することができる。各スケジュールは、撮像対象とされる地点及びこの地点を撮像する日時に関する情報を含み得る。
【0139】
次に、ST522において、宇宙航行体1aは、取得した画像データを例えば地上局2に送信(ダウンリンク)することができる。なお、図7には、宇宙航行体1aが、取得した画像データを、制御データを宇宙航行体1aに送信した地上局2aに送信する例が示されている。しかし、宇宙航行体1aは、他の地上局2に送信することもできる。
【0140】
また、図7には、宇宙航行体1aが地上局2に画像データを送信する例が示されている。しかし、宇宙航行体1aが、画像データに基づいて画像を生成する画像化装置を含む場合には、この画像化装置を用いて生成した画像を、地上局2(地上局2aに限定されない)に送信することも可能である。この場合、その画像は、地上局2と、管理装置6、画像データ受信装置7及び/又は画像化装置8と、タスキングシステム5と、を介してユーザの端末装置4に送信され得る。
【0141】
次に、ST524において、画像データを受信した地上局2aは、その画像データを画像データ受信装置7に送信することができる。画像データ受信装置7は、一例では、その画像データを画像化装置8に送信することができる。画像化装置8は、受信した画像データに基づいて画像を生成してタスキングシステム5に送信することができる。
【0142】
なお、画像化装置8は、高解像度を有する画像を生成するためには、一般的には多くの時間を必要とする。より迅速に画像を生成するために、第1の例では、画像化装置8は、広い範囲の画像を生成することに代えて、ユーザが希望する一部のエリアをカバーする画像を生成することができる。
【0143】
より迅速に画像を生成するために、第2の例では、画像化装置8は、広い範囲の画像を生成する場合には、最適化した画質を有する画像を生成することができる。具体的には、画像化装置8は、例えば70cmという最高分解能に代えて、例えば5mというより低い分解能を用いて、画像を生成することができる。
【0144】
次に、ST526において、タスキングシステム5は、受信した画像をユーザの端末装置4に送信することができる。これにより、ST528において、ユーザの端末装置4は、タスキングシステム5から受信した画像を表示することができる。
【0145】
なお、図7には示されていないが、ユーザが画像ではなくその画像の元となった画像データを希望する場合等には、ST524において、地上局2aは、画像データを、管理装置6を介して又は直接的に、タスキングシステム5に送信することも可能である。特に、観測システム10が、合成開口レーダー(SAR)を搭載する宇宙航行体1を利用する場合には、タスキングシステム5、ユーザの端末装置4又は他の処理装置等が、同一の地点の画像データを処理することにより、例えば洪水又は地盤沈下等に起因する地球の微細な変化を検出することができる。よって、地上局2aが、画像データ自体をより迅速にユーザの端末装置4に向けて送信することも重要であり得る。
【0146】
10.変形例
(1)撮像可能な範囲の表示
ユーザが短時間でより多くの撮像をタスキングシステム5に要求(発注)できることが好ましい。ここでポイントとなるのは、撮像が不可となるような発注条件をユーザが入力することをいかに排除するかである。宇宙航行体に関する知識を有しないユーザにとって、例えばタスキングシステム5に発注条件を入力する局面等において、自身が入力する発注条件に基づく撮像が可能であるか否かを直観的に認識することができれば、無駄な発注条件の入力を控えることができ、したがって、短時間でより多くの撮像を要求することができよう。
【0147】
ユーザが入力する発注条件に基づく撮像が可能であるか否かを直観的に認識することを可能にするために、ユーザの端末装置4は、観測システム10において用いられる宇宙航行体1による撮像が可能な範囲を一定時間間隔で連続して表示することができる。
【0148】
例えば、ユーザが福岡市を撮像したいと考えているケースを考える(福岡市の位置については先に用いた図10を参照)。宇宙航行体1は、地球に対して常に同一の軌道に沿って移動する訳ではない。例えば、宇宙航行体1は、図11A図11Cの各々に例示されるように、地球に対して複数の軌道に沿って移動し得る。宇宙航行体1は、図11Aに示す軌道Oに沿って移動する場合には、福岡市の上空を通過するので、福岡市を撮像することができるが、宇宙航行体1が、図11B及び図11Cにそれぞれ示す軌道O及び軌道Oに沿って移動する場合には、福岡市の上空を通過しないので、福岡市を撮像することができない。
【0149】
そこで、ユーザの端末装置4は、図11A図11Cに例示されるように、地図において、宇宙航行体1による撮像が可能な領域530、すなわち、軌道Oの両側に帯状に延びる領域530A、530Bが可視化された(示された)画面を、表示部に表示することができる。また、ユーザの端末装置4は、例えば図11Aに示す地図の一部を拡大して図12に示すように表示することも可能である。
【0150】
このように、端末装置4が、地図において宇宙航行体1による撮像が可能な領域530が可視化された画面をユーザに提示(表示)することにより、ユーザは、自身が所望する地点が宇宙航行体1による撮像が可能な範囲にあるか否かを、直観的に判断することができる。
【0151】
なお、図11A図11C及び図12に例示された、宇宙航行体1の軌道O、及び、この軌道Oの両側に帯状に延びる撮像が可能な範囲は、上記「9.観測システム10により実行される動作」においてST502に関連して説明したように、タスキングシステム5により算出可能である。したがって、タスキングシステム5は、地図データと、この地図データに対応付けて算出された軌道O及び撮像が可能な範囲に関するデータとを、端末装置4に送信することにより、端末装置4は図11A図11C及び図12に例示された画面を表示することができる。
【0152】
また、一例では、宇宙航行体1による撮像が可能な範囲は、地図上における座標によって定められ得る。
【0153】
別の例では、宇宙航行体1による撮像が可能な範囲は、地図上における座標及び日時によって定められ得る。これにより、端末装置4は、図13に例示されるように、地図と組み合わせて、タイムバー又は時間窓のような時間変更インターフェイス540を表示することができる。ユーザは時間変更インターフェイス540を操作することにより、端末装置4は、そのような操作により設定された日時に対応する、宇宙航行体1による撮像が可能な範囲530A、530Bを、地図上に重ねて表示することができる。すなわち、ユーザが時間変更インターフェイス540を操作して第1日時を設定したときには、端末装置4は、第1日時において撮像が可能な範囲(軌道Oに沿って軌道Oの両側に帯状に延びる範囲)を地図上に重ねて表示し、ユーザが時間変更インターフェイス540を操作して或る第2日時を設定したときには、端末装置4は、第2日時において撮像が可能な範囲(軌道Oに沿って軌道Oの両側に帯状に延びる範囲)を地図上に重ねて表示することができる。なお、第1日時と第2日時とが時間上近い場合には、第1日時において撮像が可能な範囲と第2日時において撮像が可能な範囲とが部分的に重なることもあり得る一方、第1日時と第2日時とが時間上大きく離れている場合には、第1日時において撮像が可能な範囲と第2日時において撮像が可能な範囲とが重なることはないであろう。
【0154】
これにより、ユーザは、撮像を希望する時間に合わせた、宇宙航行体1の動きを把握することができる。したがって、ユーザは、必要な時間帯に、適切な宇宙航行体1が、撮像対象とされる地点を観測(撮像)可能であるか否かを判断することができる。
【0155】
なお、ユーザが必要とする情報は、多くの場合、宇宙航行体1の軌道Oに関する情報ではなく、撮像が可能な範囲に関する情報である、という事実に鑑み、図11A図11C図12及び図13に例示される画面において、地図に重ねて、撮像が可能な範囲を表示する際に、宇宙航行体1の軌道Oの表示を省くことも可能である。これにより、端末装置4は、表示すべき情報量を抑えることができるので、地図に重ねて撮像が可能な範囲をよりスムーズかつ迅速に表示することができる。例えば複数の宇宙航行体1が協働して実行する撮像(コンステレーションによる撮像)が利用可能である局面においては、表示されるこれら複数の宇宙航行体1の軌道Oがユーザにとって邪魔になる可能性がある。したがって、コンステレーションによる撮像が利用可能である局面において、このような宇宙航行体1の軌道Oの表示を省く構成は特に有効であり得る。
【0156】
さらに別の例では、ST500(図7参照)において、ユーザが撮像対象とされる地点の座標を入力する際に、図11A図11C図12及び図13に例示される画面を利用することも可能である。すなわち、ST500において、端末装置4は、図11A図11C図12及び図13に例示される地図において、撮像対象とされる地点を、マウス等を用いてユーザに指定させることができる。これにより、ユーザは、マウス等を操作して、地図上においてポインタ等を撮像が可能な範囲に合わせてクリック等することにより、撮像対象とされる地点を決定することができる。したがって、撮像が不可となるような発注条件をユーザが入力することを効果的に排除することができる。
【0157】
(2)画像及び/又は画像データの保存又は表示等
図7を参照して説明した、観測システム10により取得された画像及び/又は画像データは、タスキングシステム5及び/又は端末装置4に保存され得る。画像データが保存され得る理由は、合成開口レーダーの特徴として、或る地点で複数の異なる日時に行われた撮像により取得された2つの画像データを重ね合わせ、これら2つの画像データの差分のみを識別又は表示することにより、微小変化を検知することができる、という利点が存在するからである。例えば、このように複数の画像データ間の差分を識別又は表示する手法を利用することにより、地盤沈下の状況を、又は、ビル若しくはダム等の大型施設の建築状況等を、数cm単位で把握することができる。このような地盤沈下の状況又は大型施設の建築状況等を事前に把握しておくことにより、万一の事故を防止することを期待することができる。
【0158】
取得又は保存された画像データは、そのまま、タスキングシステム5から端末装置4に送信され得るが、これに限定されない。例えば、取得又は保存された画像データだけでなく、その画像データに関連する地図若しくは写真が、同一のタイミングで又はそれぞれ別々のタイミングで、タスキングシステム5から端末装置4に送信され得る。その上で、端末装置4は、その画像データとその画像データに関連する地図又は写真とを組み合わせた形で表示することができる。例えば、端末装置4は、図14に示すように、同一の地図における一部550を画像データにより表現し、同一の地図における残りの部分560を地図又は写真により表現した画面を、表示することができる。
【0159】
(3)観測システム10の変形例
図1等に関連する例に関して、地上局2が宇宙航行体1に制御データ(撮像コマンド)を送信する場合について説明した。しかしながら、これは1つの例に過ぎず、他の構成を採用することも可能である。
【0160】
図15に示す観測システム10Aにおいて、管理装置6は、地上局2に対して、制御データ及び要求信号を含む指示信号(コマンド信号)を送信する構成に代えて、複数の小型無線機300のうちのいずれかの小型無線機300に対して、制御データ及び要求信号を含む指示信号(コマンド信号)を送信することができる。なお、各小型無線機300は、宇宙航行体1に対して制御データを送信することを目的として設けられた装置であり得る(これに対して、地上局2は、宇宙航行体1との間でデータの送受信を行うことが可能である)。
【0161】
このような指示信号を受信した小型無線機300(ここでは一例として小型無線機300a)が、いずれかの宇宙航行体1(ここでは一例として宇宙航行体1b)に対して制御データを送信することができる。この制御データを受信した宇宙航行体1bは、この制御データに基づいて撮像を実行することにより画像データを取得することができる。
【0162】
一例では、宇宙航行体1bは、取得した画像データを地上局2(ここでは一例として地上局2b)に送信することができる。
【0163】
別の例では、宇宙航行体1bは、この宇宙航行体1bに搭載された画像化装置を用いて、取得した画像データから画像を生成することができる。この場合、宇宙航行体1bは、画像データを取得した時点から、地上局2bとの通信が可能となる位置に到達するまでの間に、取得した画像データに基づいて画像を生成することができる。宇宙航行体1bは、地上局2bとの通信が可能となる位置に到達した後に、適切なタイミングで、生成した画像を地上局2bに送信することができる。この構成を採用することにより、観測システム10Aは、画像をより早く生成してユーザの端末装置4に送信することができる。
【0164】
また、図16に示す構成を採用することも可能である。図16に示す観測システム10Bにおいて、管理装置6は、地上局2(ここでは一例として地上局2b)に対して、制御データ及び要求信号を含む指示信号(コマンド信号)を送信することができる。地上局2bは、宇宙航行体1(ここでは一例として宇宙航行体1c)に制御データを送信することができる。
【0165】
ここで、第1の方法として、制御データを受信した宇宙航行体1cは、この制御データに基づいて撮像を実行することにより画像データを取得することができる。宇宙航行体1cは、画像データ又はこの画像データに基づいて(宇宙航行体1cにより)生成された画像を、衛星間通信を利用して、宇宙航行体1dに送信することができる。宇宙航行体1dは、受信した画像データ又は画像を地上局2cに送信することができる。
【0166】
この第1の方法によれば、複数の宇宙航行体1のうち最も適切な宇宙航行体として管理装置6により判断された宇宙航行体1cが、撮像を実行した後に、地上局2に画像データ又は画像を送信することができない状況であっても、宇宙航行体1cは、衛星間通信を利用して、宇宙航行体1dに画像データ又は画像を送信することができる。
【0167】
一方、第2の方法として、制御データを受信した宇宙航行体1cは、この制御データを、衛星間通信を利用して、宇宙航行体1dに送信することができる。この制御データを受信した宇宙航行体1dは、この制御データに基づいて撮像を実行することにより画像データを取得することができる。宇宙航行体1dは、画像データ又はこの画像データに基づいて(宇宙航行体1dにより)生成された画像を地上局2cに送信することができる。
【0168】
この第2の方法によれば、複数の宇宙航行体1のうち最も適切な宇宙航行体として管理装置6により判断された宇宙航行体1dが、地上局2から制御データを受信することができない状況であっても、宇宙航行体1dは、衛星間通信を利用して、宇宙航行体1cから制御データを受信することにより、この制御データに基づいた撮像を実行することができる。
【0169】
(4)ステータスの表示
本件出願に開示された技術により観測された情報は、多くの場面において人々の生活の役に立つ。第1の例として、図17Aに示すように、本件出願に開示された観測システムにより取得された画像(又は画像データ)によれば、商業施設(例えばヤフードーム)の周辺の混雑状況を把握することができる。第2の例として、図17Bに示すように、本件出願に開示された観測システムにより取得された画像(又は画像データ)によれば、ダムに蓄えられた水の量の変化を把握することができる。第3の例として、図17Cに示すように、本件出願に開示された観測システムにより取得された画像(又は画像データ)によれば、駐車場の空き状況を把握することができる。第4の例として、図17Dに示すように、本件出願に開示された観測システムにより取得された画像(又は画像データ)によれば、漁港における船の運航状況を把握すること、及び/又は、最適な航路を選定することができる。第5の例として、図17Eに示すように、本件出願に開示された観測システムにより取得された画像(又は画像データ)によれば、大雨又は地震等を含む天災時における沿岸部及び/又は山陸部の状況を把握することができる。特に、宇宙航行体が、合成開口レーダーを搭載及び使用する場合には、光学カメラを搭載及び使用する場合に比べて、悪天候下及び/又は夜間においても、撮像対象とされる地点を観測(撮像)することができる、という非常に大きな利点を有し得る。
【0170】
このような情報をより効果的に及び/又は効率的に利用するためには、観測システムは、ユーザが所望する観測希望地点について、より早く、地上局2に対して指示信号(コマンド信号)を送信して、すなわち、宇宙航行体1に対して制御データを送信して、より早く、宇宙航行体により取得された画像データ、及び/又は、この画像データに基づいて生成された画像をユーザに提供することが、好ましい。また、観測システムは、或るユーザから仮に複数の撮像要求を受け付けたときに、いずれか一方の撮像要求をキャンセルする場合もあり、この場合には、そのユーザから次の撮像要求を円滑に受け付けることができることが、好ましい。
【0171】
そこで、観測システムは、ユーザの端末装置4が、そのユーザによりこれまでになされた各撮像要求のステータスを表示する構成を採用することができる。例えば、ユーザの端末装置4は、そのユーザがこれまでに行った各撮像要求のステータスを、複数のステータスの中から選択して表示することができる。これら複数のステータスは、図18に例示されるように、「受付中」、「撮像不可」、「撮像可能」、「撮像実行中」及び/又は「撮像済」等を、これらに限定することなく含み得る。
【0172】
図19は、端末装置4により表示される各ステータスを説明するフロー図である。図19に示すように、「受付中」というステータスは、例えば、ユーザの端末装置4が発注条件を送信(ST600)してから、タスキングシステム5がこの発注条件に基づく撮像が可能であるか否かを判定する(ST602)までの期間において、端末装置4に表示され得る。
【0173】
「撮像不可」というステータスは、例えば、タスキングシステム5が上記発注条件に基づく撮像が不可能であると判定した(ST602)時点以降の期間において、端末装置4に表示され得る。
【0174】
「撮像可能」というステータスは、例えば、タスキングシステム5が上記発注条件に基づく撮像が可能であると判定した(ST602)時点から、ユーザの端末装置4が、少なくとも1つの候補条件の中からいずれかの候補条件を選択条件として選択する(ST606)時点までの期間において、端末装置4に表示され得る。
【0175】
「撮像実行中」というステータスは、例えば、端末装置4が選択条件をタスキングシステム5に送信した(ST608)時点から、宇宙航行体1が、タスキングシステム5、管理装置6及び地上局2(通信装置3)を介して、制御データを受信して、その制御データに基づく撮像をスケジュールとして登録した(ST620)時点を経て、その撮像を実行する(ST622)前までの期間において、端末装置4に表示され得る。
【0176】
「撮像済」というステータスは、例えば、宇宙航行体1が撮像を実行した(ST622)結果として、端末装置4がその撮像により取得された画像データ又は画像を受信した時点以降の期間において、端末装置4に表示され得る。
【0177】
さらに、一例では、タスキングシステム5により受け付けられ「撮像実行中」のステータスにある撮像要求であっても、何らかの理由により、タスキングシステム5によりキャンセルされる可能性もあり得る。この場合、そのようにキャンセルされた撮像要求については、端末装置4は、「撮像実行中」というステータスに代えて「撮像不可」というステータスを表示することができる。
【0178】
このようなステータスの表示を可能とするために、タスキングシステム5は、端末装置4から発注条件を受信した時点(ST602)以降において、ユーザの端末装置4に送信した情報及び端末装置4から受信した情報に基づいて、その発注条件に対応する撮像要求が、上述した複数のステータスのうちのいずれのステータスに該当するのかを決定し、その結果をその端末装置4に送信することができる。これに代えて、端末装置4は、端末装置4が発注条件を送信した時点(ST600)以降において、タスキングシステム5に送信した情報及びタスキングシステム5から受信した情報に基づいて、その発注条件に対応する撮像要求が、上述した複数のステータスのうちのいずれのステータスに該当するのかを推定し、そのように推定したステータスを表示することも可能である。
【0179】
以上のように、ユーザの端末装置4が、そのユーザによりなされた各撮像要求のステータスを表示することにより、例えば、そのユーザは、いずれかの撮像要求に対応する撮像が不可能となったときには、その事実を迅速に把握することができる。これにより、そのユーザは、撮像対象とされる地点(さらにはその地点を撮像する日時)を変更して、新たな撮像要求(発注条件)を迅速に送信することができる。したがって、ユーザは、観測システムにより提供される情報をより効果的にかつ効率的に活用することができる。
【0180】
(5)撮像要求の優先度
観測システムは、基本的には、先に受信した撮像要求を優先するが、例えば、天災等の緊急時、及び/又は、各ユーザとの間で締結した契約若しくは料金プランに応じて、先に受信した撮像要求ではなく、その後に受信した撮像要求を優先することができる。
【0181】
図20に例示されるように、時間T2までの期間は、通常の期間である。この通常の期間では、ユーザA及びユーザBが、相互に競合する複数の撮像要求を送信した場合には、タスキングシステム5は、先にユーザAにより送信された撮像要求を優先することができる。
【0182】
ここで、相互に競合する複数の撮像要求とは、広くいえば、観測システムに含まれる宇宙航行体1が一方の撮像要求に基づく撮像と他方の撮像要求に基づく撮像とを実行することができないような、複数の撮像要求であり得る。
【0183】
例えば、先に用いた図10を参照する。宇宙航行体1は、撮像が可能な領域Rを撮像するときには、宇宙航行体1の姿勢を或る方向に傾斜させる必要がある一方、撮像が可能な領域Rを撮像するときには、宇宙航行体1の姿勢を別の方向に傾斜させる必要がある。よって、宇宙航行体1は、領域Rと領域Rとを同時に撮像することはできない。したがって、領域Rに含まれる地点を或る日時に撮像する旨の撮像要求と、領域Rに含まれる地点を同一の日時に撮像する旨の撮像要求とは、相互に競合する複数の撮像要求に該当し得る。
【0184】
図20に戻り、時間T2~時間T4までの期間は、例えば緊急の期間である。この緊急の期間にあっては、天災等の理由により緊急に実行する必要のある撮像要求が優先され得る。例えば、ユーザBが、緊急に実行する必要のある撮像要求を送信した場合には、ユーザBにより送信されたこの撮像要求が、先に受け付けられたユーザAの撮像要求と競合していても、タスキングシステム5は、ユーザBのこの撮像要求を優先させることができる。この場合、タスキングシステム5は、時間T4において、ユーザAの端末装置4に対して、ユーザAにより送信された撮像要求がキャンセルされた(撮像エラーが生じた)旨を示す情報を送信することができる。この場合、ユーザAの端末装置4は、先にユーザAにより送信された撮像要求のステータスを「撮像不可」として表示することもできる(図18参照)。
【0185】
さらに、タスキングシステム5又はタスキングシステム5のオペレータが、所定の期間(例えば、宇宙航行体1に対する制御データを送信可能な期間、すなわち、時間T5までの期間)内に、ユーザBの撮像要求に基づく撮像要求データを管理装置6に送信し、管理装置6が、地上局2に対して指示信号(コマンド信号)を送信し、地上局2(に搭載された通信装置3)が、制御データを宇宙航行体1に送信することができる。この結果、宇宙航行体1が、時間T6において撮像を実行して画像データを取得し、いずれかの装置(この宇宙航行体1、他の宇宙航行体1、画像化装置8又はタスキングシステム5)が、時間T7においてこの画像データに基づいて画像を生成し、タスキングシステム5が、時間T8において画像をユーザBの端末装置4に送信することができる。
【0186】
別の例では、通常の期間において、先に或るユーザにより撮像要求が送信され受け付けられた場合であっても、タスキングシステム5は、例えばより高額な料金プランで契約を締結している及び/又は特別の契約を締結している、別のユーザにより送信された上記或るユーザの撮像要求と競合する後の撮像要求を優先させることも可能である。
【0187】
(6)その他
端末装置4は、例えば、強力なプロセッサを搭載している場合又はその他の場合等において、タスキングシステム5により実行される上述した様々な処理のうちの一部の処理を、タスキングシステム5の代わりに実行することも可能である。ここでいう一部の処理は、例えば、ST502、ST504及び/又はST508においてタスキングシステム5により実行されるものとして上述した処理の一部を、これらに限定することなく含み得る。
【0188】
11.様々な態様
第1の態様に係る処理装置は、「地球を撮像する宇宙航行体に関連して用いられ少なくとも1つのプロセッサを具備する処理装置であって、該少なくとも1つのプロセッサが、ユーザの端末装置から、撮像対象とされる地点の座標、又は、該座標及び該地点を撮像する日時、を含む発注条件を受信し、該発注条件に基づく宇宙航行体による撮像が可能であるか否かを示す判定結果を、前記ユーザの端末装置に送信し、前記判定結果が、前記発注条件に基づく宇宙航行体による撮像が可能であることを示す場合に、前記地点を撮像可能な候補日時を含む少なくとも1つの候補条件を、前記ユーザの端末装置に送信する、ように構成される」構成を採用することができる。
【0189】
第2の態様に係る処理装置は、上記第1の態様において「前記少なくとも1つのプロセッサが、前記少なくとも1つの候補条件の中から選択された選択条件を前記ユーザの端末装置から受信し、前記選択条件に基づいて宇宙航行体により取得された画像データ、又は、該画像データに基づいて生成された画像を、前記ユーザの端末装置に送信する、ように構成される」構成を採用することができる。
【0190】
第3の態様に係る処理装置は、上記第1の態様又は上記第2の態様において「前記少なくとも1つのプロセッサが、地図と該地図において宇宙航行体による撮像が可能な範囲とを含む情報を、前記ユーザの端末装置に送信することにより、前記地図において撮像が可能な範囲が可視化された画面を、前記ユーザの端末装置に表示させる、ように構成される」構成を採用することができる。
【0191】
第4の態様に係る処理装置は、上記第3の態様において「前記宇宙航行体による撮像が可能な範囲は、座標を用いて又は座標及び日時を用いて、定められる」構成を採用することができる。
【0192】
第5の態様に係るコンピュータプログラムは、「地球を撮像する宇宙航行体に関連して用いられる処理装置に搭載された少なくとも1つのプロセッサにより実行されることにより、ユーザの端末装置から、撮像対象とされる地点の座標、又は、該座標及び該地点を撮像する日時、を含む発注条件を受信し、該発注条件に基づく宇宙航行体による撮像が可能であるか否かを示す判定結果を、前記ユーザの端末装置に送信し、前記判定結果が、前記発注条件に基づく宇宙航行体による撮像が可能であることを示す場合に、前記地点を撮像可能な候補日時を含む少なくとも1つの候補条件を、前記ユーザの端末装置に送信する、
ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」構成を採用することができる。
【0193】
第6の態様に係るコンピュータプログラムは、「ユーザの端末装置に搭載された少なくとも1つのプロセッサにより実行されることにより、地球を撮像する宇宙航行体に関連して用いられる処理装置に、撮像対象とされる地点の座標、又は、該座標及び該地点を撮像する日時、を含む発注条件を送信し、該発注条件に基づく宇宙航行体による撮像が可能であるか否かを示す判定結果を、前記処理装置から受信し、前記判定結果が、前記発注条件に基づく宇宙航行体による撮像が可能であることを示す場合に、前記地点を撮像可能な候補日時を含む少なくとも1つの候補条件を、前記処理装置から受信する、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」構成を採用することができる。
【0194】
第7の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第6の態様において「前記少なくとも1つの候補条件の中から前記ユーザにより選択された選択条件を前記処理装置に送信し、前記選択条件に基づいて宇宙航行体により取得された画像データ、又は、該画像データに基づいて生成された画像を、前記処理装置から受信する、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」構成を採用することができる。
【0195】
第8の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第6の態様又は上記第7の態様において「地図において宇宙航行体による撮像が可能な範囲が可視化された画面を表示部に表示する、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」構成を採用することができる。
【0196】
第9の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第8の態様において「前記宇宙航行体による撮像が可能な範囲は、座標を用いて又は座標及び日時を用いて、定められる」構成を採用することができる。
【0197】
第10の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第8の態様において「前記画面に含まれる前記地図において前記撮像対象とされる地点の座標を前記ユーザに指定させる、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」構成を採用することができる。
【0198】
第11の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第6の態様又は上記第7の態様において「前記少なくとも1つの候補条件が複数の候補条件を含み、該複数の候補条件を表示部に表示することにより、該複数の候補条件の中からいずれかの候補条件を選択条件として前記ユーザに選択させ、前記選択条件を前記処理装置に送信する、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」構成を採用することができる。
【0199】
本開示の利益を有する当業者により容易に理解されるように、上述した様々な例は、矛盾の生じさせない限りにおいて、相互に様々なパターンで適切に組み合わせて用いられ得る。
【0200】
本明細書に開示された発明の原理が適用され得る多くの可能な実施形態を考慮すれば、例示された様々な実施形態は好ましい様々な例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明の技術的範囲をこれらの好ましい様々な例に限定すると考えるべきではない、と理解されたい。実際には、特許請求の範囲に係る発明の技術的範囲は、添付した特許請求の範囲により定められる。したがって、特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲に属するすべてについて、本発明者らの発明として、特許の付与を請求する。
【0201】
以上説明したように、本件出願に開示された技術によれば、宇宙航行体による撮像を希望するユーザに対してより円滑に画像又は画像データを提供する、処理装置及びコンピュータプログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0202】
10 観測システム
1、1a、1b 宇宙航行体
2、2a、2b 地上局
3、3a、3b 通信装置
4 ユーザの端末装置
5 タスキングシステム
6 宇宙航行体管理装置
7 画像データ受信装置
8 画像化装置
【要約】
【課題】 宇宙航行体による撮像を希望するユーザに対してより円滑に画像及び/又は画像データを提供する、処理装置及びコンピュータプログラムを提供すること。
【解決手段】 一実施形態に係る処理装置は「地球を撮像する宇宙航行体に関連して用いられ少なくとも1つのプロセッサを具備する処理装置であって、該少なくとも1つのプロセッサが、ユーザの端末装置から、撮像対象とされる地点の座標、又は、該座標及び該地点を撮像する日時、を含む発注条件を受信し、該発注条件に基づく宇宙航行体による撮像が可能であるか否かを示す判定結果を、前記ユーザの端末装置に送信し、前記判定結果が前記発注条件に基づく宇宙航行体による撮像が可能であることを示す場合に、前記地点を撮像可能な候補日時を含む少なくとも1つの候補条件を、前記ユーザの端末装置に送信する、ように構成され」得る。
【選択図】 図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E
図18
図19
図20