IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本特殊陶業株式会社の特許一覧 ▶ 国立大学法人東北大学の特許一覧

特許7400179半導体製造装置用セラミックス構造体およびその製造方法
<>
  • 特許-半導体製造装置用セラミックス構造体およびその製造方法 図1
  • 特許-半導体製造装置用セラミックス構造体およびその製造方法 図2
  • 特許-半導体製造装置用セラミックス構造体およびその製造方法 図3
  • 特許-半導体製造装置用セラミックス構造体およびその製造方法 図4
  • 特許-半導体製造装置用セラミックス構造体およびその製造方法 図5
  • 特許-半導体製造装置用セラミックス構造体およびその製造方法 図6A
  • 特許-半導体製造装置用セラミックス構造体およびその製造方法 図6B
  • 特許-半導体製造装置用セラミックス構造体およびその製造方法 図7A
  • 特許-半導体製造装置用セラミックス構造体およびその製造方法 図7B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】半導体製造装置用セラミックス構造体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 37/00 20060101AFI20231212BHJP
   C04B 41/90 20060101ALI20231212BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
C04B37/00 B
C04B41/90 A
H01L21/302 101G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019141691
(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公開番号】P2021024749
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】傳井 美史
(72)【発明者】
【氏名】市川 佳孝
(72)【発明者】
【氏名】島津 武仁
(72)【発明者】
【氏名】魚本 幸
【審査官】神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-235300(JP,A)
【文献】特開2008-214110(JP,A)
【文献】特開2017-119593(JP,A)
【文献】特開2015-051452(JP,A)
【文献】特開2012-082095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 37/00
C04B 41/90
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミナ焼結体、窒化アルミニウム焼結体、または炭化珪素焼結体からなる板状の第1基材と、イットリア焼結体またはイットリウムおよびアルミニウムを含む複合酸化物焼結体からなり、前記第1基材より厚みが小さい板状の第2基材と、を準備する工程と、
前記第1基材の厚み方向に垂直な平面方向に沿った前記第1基材の平滑な第1の接合面上および前記第2基材の厚み方向に垂直な平面方向に沿った平滑な前記第2基材の第2の接合面上にそれぞれWまたはTaからなる下地層を形成する工程と、
前記第1基材に形成された前記下地層の上および前記第2基材に形成された前記下地層の上にそれぞれAuからなる金属膜を形成する工程と、
前記第1基材に形成された前記金属膜と前記第2基材に形成された前記金属膜とを重ね合わせた状態で1MPa以上25MPa以下の圧力で加圧することにより、前記金属膜を介して前記第1基材と前記第2基材と接合する工程と、を備え
前記第1基材に形成された前記下地層の上に形成される前記金属膜の厚みは前記第1の接合面の算術平均粗さRaの2倍よりも大きく、前記第2基材に形成された前記下地層の上に形成される前記金属膜の厚みは前記第2の接合面の算術平均粗さRaの2倍よりも大きく、
前記第1基材に形成された前記金属膜と前記第2基材に形成された前記金属膜とを重ね合わせた状態において、前記厚み方向から見た時に前記第1の接合面と前記第2の接合面とが重なる領域を通る線分の最大長さが200mm以上であり、
前記金属膜を形成する工程において、前記第1の接合面および前記第2の接合面の20mm四方の領域の平面度よりも大きい厚みで前記金属膜を形成する
ことを特徴とする半導体製造装置用セラミックス構造体の製造方法。
【請求項2】
前記準備する工程で準備される前記第1基材および前記第2基材の少なくとも一方は、前記第1の接合面および前記第2の接合面の少なくとも一方となる端面を有する複数の凸部が主面に形成されていることを特徴とする請求項に記載の半導体製造装置用セラミックス構造体の製造方法。
【請求項3】
前記準備する工程では、前記第2基材を複数準備し、
前記接合する工程において、前記平面方向に隣接して配置された複数の前記第2基材と前記第1基材とを前記金属膜を介して接合することを特徴とする請求項1または2に記載の半導体製造装置用セラミックス構造体の製造方法。
【請求項4】
アルミナ焼結体、窒化アルミニウム焼結体、または炭化珪素焼結体からなる板状の第1基材と、イットリア焼結体またはイットリウムおよびアルミニウムを含む複合酸化物焼結体からなり、前記第1基材より厚みが小さい板状の第2基材と、が接合されてなる半導体製造装置用セラミックス構造体であって、
前記第1基材と前記第2基材とは、
前記第1基材の厚み方向に垂直な平面方向に沿った前記第1基材の平滑な第1の接合面上および前記第2基材の厚み方向に垂直な平面方向に沿った平滑な前記第2基材の第2の接合面上にそれぞれ形成された、WまたはTaからなる下地層と、前記第1の接合面上に形成された下地層と、前記第2の接合面上に形成された下地層との間に形成された、Auからなる金属接合層と、を介して接合され
前記第1基材と前記第2基材の少なくとも一方には、溝および貫通孔が形成され、前記貫通孔から排気して-95kPaまで減圧した1分後の圧力変化が5kPa未満である半導体製造装置用セラミックス構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置用のセラミックス構造体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置において、プラズマ環境下で使用される部材には耐プラズマ性が要求されている。耐プラズマ性を有する素材としてセラミックス焼結体が用いられていたが、半導体製造装置の大型化に伴い、セラミックス焼結体も大型化が要求されている。Y23のような耐プラズマ性の良好なセラミックス焼結体素材は、Al23などと比較して相対的に強度が低く、大型化が困難であったため、従来は金属基材にY23溶射膜をコーティングすることがなされていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-144123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、Y23溶射膜はその組織が粗く、パーティクル発塵の原因となり集積度の高い半導体プロセスには適用できなくなってきた。溶射膜の代わりにPVDまたはCVDなどの薄膜コーティングも考えられるが、プラズマによる侵食のために寿命が短く実用化されていない。
【0005】
そこで、本発明は、半導体製造装置の大型化に伴いY23などの強度の低いセラミックス焼結体が用いられても全体の大型化を図ることができるセラミックス構造体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の半導体製造装置用セラミックス構造体の製造方法は、
アルミナ焼結体、窒化アルミニウム焼結体、または炭化珪素焼結体からなる板状の第1基材と、イットリア焼結体またはイットリウムおよびアルミニウムを含む複合酸化物焼結体からなり、前記第1基材より厚みが小さい板状の第2基材と、を準備する工程と、
前記第1基材の厚み方向に垂直な平面方向に沿った前記第1基材の平滑な第1の接合面上および前記第2基材の厚み方向に垂直な平面方向に沿った平滑な前記第2基材の第2の接合面上にそれぞれWまたはTaからなる下地層を形成する工程と、
前記第1基材に形成された前記下地層の上および前記第2基材に形成された前記下地層の上にそれぞれAuからなる金属膜を形成する工程と、
前記第1基材に形成された前記金属膜と前記第2基材に形成された前記金属膜とを重ね合わせた状態で1MPa以上25MPa以下の圧力で加圧することにより、前記金属膜を介して前記第1基材と前記第2基材と接合する工程と、を備え
前記第1基材に形成された前記下地層の上に形成される前記金属膜の厚みは前記第1の接合面の算術平均粗さRaの2倍よりも大きく、前記第2基材に形成された前記下地層の上に形成される前記金属膜の厚みは前記第2の接合面の算術平均粗さRaの2倍よりも大きく、
前記第1基材に形成された前記金属膜と前記第2基材に形成された前記金属膜とを重ね合わせた状態において、前記厚み方向から見た時に前記第1の接合面と前記第2の接合面とが重なる領域を通る線分の最大長さが200mm以上であり、
前記金属膜を形成する工程において、前記第1の接合面および前記第2の接合面の20mm四方の領域の平面度よりも大きい厚みで前記金属膜を形成する
【0007】
当該構成の半導体製造装置用セラミックス構造体の製造方法によれば、第1基材に形成された金属膜と第2基材に形成された金属膜とが原子拡散接合により一体化した金属接合層によって、第1基材および第2基材が強固に接合されている。ここで、原子拡散接合とは、従来のいわゆる拡散接合(素材の溶融温度近傍で接合面を横切って接合界面の原子を拡散させ、金属学的に完全な接合部を得る方法)と異なり室温または比較的低温下で2つの基材が有する平滑な接合面上に形成された金属膜同士が接触するように重ね合わせることにより、2つの金属膜の接触界面および結晶粒界に原子拡散を生じさせて接合する方法のことをいう。
【0008】
これにより、アルミナ焼結体、窒化アルミニウム焼結体または炭化珪素焼結体からなる第1基材により全体的な強度が確保されるため、イットリア焼結体またはイットリウムおよびアルミニウムを含む複合酸化物焼結体からなる第2基材の薄型化または小型化を図りながら全体としての大型化および耐プラズマ性の向上が図られる。
【0009】
なお、本発明において平滑な第1の接合面および平滑な第2の接合面とは、平面度(PV値)が20mm四方の領域において0.01~0.1μmであることを意味する。
【0010】
本発明の半導体製造装置用セラミックス構造体の製造方法において前記のように、前記第1基材に形成された前記下地層の上に形成される前記金属膜の厚みは前記第1の接合面の算術平均粗さRaの2倍よりも大きく、前記第2基材に形成された前記下地層の上に形成される前記金属膜の厚みは前記第2の接合面の算術平均粗さRaの2倍よりも大きい。
【0011】
これにより、第1の接合面または第2の接合面上に形成される凹部が金属膜を構成する金属によって確実に充填され、第1基材および第2基材を原子拡散接合により強固に接合することができる。
【0012】
本発明の半導体製造装置用セラミックス構造体の製造方法において前記のように、前記第1基材に形成された前記金属膜と前記第2基材に形成された前記金属膜とを重ね合わせた状態において、前記厚み方向から見た時に前記第1の接合面と前記第2の接合面とが重なる領域を通る線分の最大長さが200mm以上であり、前記金属膜を形成する工程において、前記第1の接合面および前記第2の接合面の20mm四方の領域の平面度よりも大きい厚みで前記金属膜を形成する。
【0013】
当該構成の半導体製造装置用セラミックス構造体の製造方法によれば、第1の接合面と第2の接合面とが重なる領域を通る線分の最大長さが200mm以上と接合される面積が比較的大きい場合であっても、金属膜の厚みが、第1の接合面および第2の接合面の20mm四方の領域の平面度よりも大きいため接合不良箇所の発生を抑制することができる。
【0014】
本発明の半導体製造装置用セラミックス構造体の製造方法では、前記準備する工程で準備される前記第1基材および前記第2基材の少なくとも一方は、前記第1の接合面および前記第2の接合面の少なくとも一方となる端面を有する複数の凸部が主面に形成されていることが好ましい。
【0015】
当該構成の半導体製造装置用セラミックス構造体の製造方法によれば、第1の接合面および第2の接合面の少なくとも一方が複数の凸部の端面として形成されるため、第1の接合面および第2の接合面の少なくとも一方の面積の低減を図ることにより第1の接合面および第2の接合面の少なくとも一方の平面度を容易に高めることができ、その結果、第1基材と第2基材との接合を容易に行うことができる。
【0016】
本発明の半導体製造装置用セラミックス構造体の製造方法では、前記準備する工程では、前記第2基材を複数準備し、前記接合する工程において、前記平面方向に隣接して配置された複数の前記第2基材と前記第1基材とを前記金属膜を介して接合することが好ましい。
【0017】
当該構成の半導体製造装置用セラミックス構造体の製造方法によれば、第2基材のより一層の小型化を図りながら全体としての大型化および耐プラズマ性の向上が図られる。
【0018】
本発明の半導体製造装置用セラミックス構造体は、
アルミナ焼結体、窒化アルミニウム焼結体、または炭化珪素焼結体からなる板状の第1基材と、イットリア焼結体またはイットリウムおよびアルミニウムを含む複合酸化物焼結体からなり、前記第1基材より厚みが小さい板状の第2基材と、が接合されてなる半導体製造装置用セラミックス構造体であって、
前記第1基材と前記第2基材とは、
前記第1基材の厚み方向に垂直な平面方向に沿った前記第1基材の平滑な第1の接合面上および前記第2基材の厚み方向に垂直な平面方向に沿った平滑な前記第2基材の第2の接合面上にそれぞれ形成された、WまたはTaからなる下地層と、前記第1の接合面上に形成された下地層と、前記第2の接合面上に形成された下地層との間に形成された、Auからなる金属接合層と、を介して接合され
前記第1基材と前記第2基材の少なくとも一方には、溝および貫通孔が形成され、前記貫通孔から排気して-95kPaまで減圧した1分後の圧力変化が5kPa未満である
【0019】
当該構成の半導体製造装置用セラミックス構造体によれば、アルミナ焼結体、窒化アルミニウム焼結体、または炭化珪素焼結体からなる第1基材により全体的な強度が確保されるため、イットリア焼結体またはイットリウムおよびアルミニウムを含む複合酸化物焼結体からなる第2基材の薄型化または小型化を図りながら全体としての大型化および耐プラズマ性の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態としてのセラミックス構造体の構成に関する説明図。
図2図1のセラミックス構造体の第1の製造方法に関する説明図。
図3図1のセラミックス構造体の第2の製造方法に関する説明図。
図4】本発明の第2実施形態としてのセラミックス構造体の構成に関する説明図。
図5図4のセラミックス構造体の製法に関する説明図。
図6A】実施例1、5、6のセラミックス構造体を構成する第1および第2基材の上面図。
図6B図6AのVIB-VIB断面線に沿った第1および第2基材の断面図。
図7A】実施例2、3、7、8のセラミックス構造体を構成する第1および第2基材の上面図。
図7B図7AのVIIB-VIIB断面線に沿った第1および第2基材の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
【0022】
(構成)
図1に示されている本発明の第1実施形態としてのセラミックス構造体10は、略平板状の第1基材11と、第1基材11より厚みが小さい略平板状の第2基材12と、第1基材11および第2基材12の間に介在し、金属膜21、22同士の原子拡散接合により形成されてなり、第1基材11および第2基材12を接合する金属接合層20と、金属接合層20と第1基材11との間および金属接合層20と第2基材12との間に介在する下地層31、32を備えている。セラミックス構造体10は、チャンバの天井部材など、半導体製造装置の構成部材として用いられる。
【0023】
第1基材11としては、アルミナ(Al23)焼結体、窒化アルミニウム(AlN)焼結体または炭化珪素(SiC)焼結体が用いられる。第2基材12としては、Y23焼結体、またはイットリウムおよびアルミニウムを含む複合酸化物焼結体としてのイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)焼結体など、第1基材11よりも耐プラズマ性が高い一方で強度が低いセラミックス焼結体が用いられる。金属接合層20は、Au、Ag、Cu、Ni、Pt、Pdまたはこれらの少なくとも1種を含む合金等の金属からなる。下地層31、32はW、Ta、Ti、Cr、Hf、Mo、Nb、V、Zr、Sc、Yまたはこれらの少なくとも1種を含む合金からなる。この中でも、下地層31、32が、WまたはTaであることが好ましい。下地層31、32が、WまたはTaからなる場合、追ってAuからなる金属膜21、22を形成するときにAuが均一に製膜され、下地層31、32との密着性が向上するからである。
【0024】
(製造方法)
略平板状の第1基材11および第2基材12のそれぞれが作製される。第1基材11および第2基材12のそれぞれの厚み方向に垂直な平面方向に沿った接合面である一方の主面の表面粗さRaが1~100nmになるように、かつ、平面度が20mm四方の領域において0.01~0.1μmになるように当該接合面に表面加工が施される。
【0025】
続いて、第1基材11の接合面(第1の接合面)および第2基材12の接合面(第2の接合面)にそれぞれ、PVDなどの製膜法によって厚さ1~10nmの下地層31、32が形成される。ここで、下地層31および下地層32は同じ素材でもよく、異なる素材でもよい。
【0026】
次に、第1基材11に形成された下地層31の上にPVDなどの製膜法によって厚さ40~300nmの金属膜21が形成され、第2基材12に形成された下地層32の上にPVDなどの製膜法によって厚さ40~300nmの金属膜21と同じ金属からなる金属膜22が形成される(図2参照)。ここで、金属膜21および金属膜22は同じ素材であってもよく、異なる素材であってもよい。
【0027】
そして、第1基材11および第2基材12が、金属膜21、22を介して重ね合わせられたうえで、当該重ね合わせ方向に対して1~25MPaの圧力がかけられる(図2参照)。この際、雰囲気は大気雰囲気であり、雰囲気温度は室温(例えば、20℃)~400℃に調節される。これにより、金属膜21、22のそれぞれを構成する金属原子が再配列されて原子拡散接合されて金属接合層20が形成され、図1に示されているセラミックス構造体10が作製される。この方法によれば、真空チャンバのような不活性ガス雰囲気や減圧雰囲気などの雰囲気を制御するための装置を用いる必要がない。ただし、圧力がかけられるときの雰囲気は不活性雰囲気(不活性ガス雰囲気または減圧雰囲気)であってもよい。金属膜21、22の形成と原子拡散接合をすべて不活性雰囲気で行ってもよい。その場合、雰囲気温度は、室温(例えば、20℃)~200℃に調節される。
【0028】
(他の製造方法)
複数の第2基材121、122、123が第1基材11に対して金属接合層20を介して接合されてもよい。例えば、図3に示されているように、Y23焼結体、またはイットリウムおよびアルミニウムを含む複合酸化物焼結体からなる3つの第2基材121、122および123が作製される。第2基材121、122および123のそれぞれの縁の一部には相欠きが形成されている(図3参照)。第2基材121、122および123のそれぞれに形成された下地層321、322、323の上に金属膜221、222および223のそれぞれが形成され、平面方向に隣り合う第2基材121、122、123が相欠き継ぎによって組み合わせられるように、第1基材11に対して重ね合わせられ、当該重ね合わせ方向に対して圧力がかけられる(図3参照)。
【0029】
これにより、金属膜21、221、222、223のそれぞれを構成する金属原子が再配列されて原子拡散接合されて金属接合層20が形成され、図1に示されているセラミックス構造体10が作製される。この結果、より大型のセラミックス構造体10が作製されうる。
【0030】
(第2実施形態)
【0031】
(構成)
図4に示されている本発明の第2実施形態としてのセラミックス構造体10は、第2基材12の一方の主面に複数の凸部120が形成され、当該複数の凸部120の端面が一の平面となるように第2基材12の接合面を構成している。このため、第1基材11および第2基材12の間には、当該複数の凸部120の間隙に相当する空間が存在する。それ以外は、第1実施形態のセラミックス構造体と同様の構成であるため、当該同様の構成に関しては同一の符号を用いるとともに説明を省略する。
【0032】
(製造方法)
略平板状の第1基材11および第2基材12のそれぞれが作製される。第2基材12の一方の主面に複数の凸部120が形成される。第1基材11の接合面である一方の主面および第2基材12の接合面である複数の凸部120の端面の表面粗さRaが1~100nmになるように、かつ、平面度が20mm四方の領域において0.01~0.1μmになるように当該接合面に表面加工が施される。なお、表面粗さRaは非接触型の表面性状測定器(TAYLOR HOBSON社製 Talysurf CCI HDM112-4161-01)を用いて測定され、平面度はレーザ干渉計(ZYGO社製 Mark GPI XPS)や3次元測定器を用いて測定される。
【0033】
続いて、第1基材11の接合面に下地層31を介して金属膜21が形成され、第2基材12の接合面である複数の凸部120の端面に下地層32を介してPVDなどの製膜法によって厚さ50~200nmの金属膜22が形成される(図5参照)。なお、ここで形成する下地層の厚みや材料は、第1実施形態と同様である。
【0034】
そして、第1基材11および第2基材12が、金属膜21、22を介して重ね合わせられたうえで、当該重ね合わせ方向に対して1~25MPaの圧力がかけられる(図2参照)。この際、雰囲気は大気雰囲気であり、雰囲気温度は室温(例えば20℃)~200℃に調節される。これにより、図4に示されているセラミックス構造体10が作製される。
【0035】
(効果)
前記実施形態のセラミックス構造体10によれば、金属接合層20によって、当該接合層20を構成する金属の原子拡散接合により第1基材11および第2基材12が強固に接合されている。これにより、第1セラミックス焼結体からなる第1基材11により全体的な強度が確保されるため、第2セラミックス焼結体からなる第2基材12の薄型化または小型化を図りながら、セラミックス構造体10の全体としての大型化および耐プラズマ性の向上が図られる。
【0036】
(実施例)
【0037】
(実施例1)
一辺20mm、厚み6mmの略正方形板状のAl23焼結体からなる第1基材11が作製された。ここで作製した第1基材11には、図6Aおよび図6Bに示されているように、幅1mm、深さ0.25mmの格子状の溝110が接合面となる一方の主面111に形成され、当該溝110と連通するように第1基材11を厚み方向に貫通するφ2mmの貫通孔114が形成されている。このとき、第1基材11の当該一方の主面111の外縁から最外周の溝110までの距離は2.5mmに設定された。第1基材11の接合面である主面111の表面粗さRaが10nmになり、かつ、20mm四方の領域において平面度が0.06μmになるように、当該接合面に表面加工が施された。なお、ここでの平面度は第1基材11に形成された溝110を除く領域での測定値である。
【0038】
一辺20mm、厚み3mmの略正方形板状のY23焼結体からなる第2基材12が作製された。第2基材12の接合面の表面粗さRaが33nmになり、かつ、20mm四方の領域において平面度が0.06μmになるように、当該接合面に表面加工が施された。
【0039】
第1基材11および第2基材12のそれぞれの接合面に、厚さ6nmのTaからなる下地層31、32と厚さ100nmのAuからなる金属膜21、22とがこの順で形成された。第1基材11および第2基材12が金属膜21および22を介して重ね合わせられ、20℃において当該重なり方向に4MPaの圧力がかけられた。
【0040】
これにより、第1実施形態にしたがった実施例1のセラミックス構造体10が作製された(図1参照)。
【0041】
作製されたセラミックス構造体10について、接合面の観察、接合面の耐圧評価、および接合面の気密評価を実施した。
【0042】
まず、作製されたセラミックス構造体10について超音波探傷により接合面を観察したが接合不良箇所は確認されなかった。
【0043】
次に、接合面の耐圧評価として、第1基材11に形成した貫通孔にHeガスを0.5MPa負荷した。その結果、接合面からの剥離や破壊は生じず十分な接合強度が得られていることが確認された。
【0044】
最後に、接合面の気密評価として、第1基材11に形成した貫通孔から排気し、バルブを介して-95kPaまで減圧した。その後、バルブを閉じ1分後の圧力変化を測定した。その結果、圧力変化は確認されず十分な気密性が確保されていることが確認された。
【0045】
(実施例2)
φ180mm、厚み10mmの略円形板状のAl23焼結体からなる第1基材11が作製された。ここで作製した第1基材11には、図7Aおよび図7Bに示されているように、幅10mm、深さ1mmの溝110を接合面となる一方の主面111に形成し、当該溝110と連通するように第1基材11を厚み方向に貫通するφ4mmの貫通孔114が形成されている。第1基材11の主面111に形成された溝110は円形溝部と円形溝部の内周側において当該円形溝部と接続された十字溝とからなり、第1基材11の主面111の外縁から円形溝部までの距離は10mmに設定された。第1基材11の接合面である主面111の表面粗さRaが15nmになり、かつ、20mm四方の領域において平面度が0.06μmになるように、当該接合面に表面加工が施された。なお、ここでの平面度は第1基材11に形成された溝110を除く領域での測定値である。
【0046】
φ180mm、厚み3mmの略円形板状のY23焼結体からなる第2基材12が作製された。第2基材12の接合面の表面粗さRaが20nmになり、かつ、20mm四方の領域において平面度が0.07μmになるように、当該接合面に表面加工が施された。
【0047】
第1基材11および第2基材12のそれぞれの接合面に、厚さ3nmのWからなる下地層31、32が形成された。
【0048】
次に、第1基材11および第2基材12に形成された下地層31、32のそれぞれの上に、厚さ40nmのAuからなる金属膜21、22が形成された。第1基材11および第2基材12が金属膜21および22を介して重ね合わせられ、100℃において当該重なり方向に10MPaの圧力がかけられた。
【0049】
これにより、第1実施形態にしたがった実施例2のセラミックス構造体10が作製された。作製されたセラミックス構造体10について実施例1と同様の方法で接合面の観察、接合面の耐圧評価、および接合面の気密評価を行ったところ、いずれも実施例1と同様に良好な結果が得られることが確認された。
【0050】
(実施例3)
φ450mm、厚み25mmの略円形板状のAl23焼結体からなる第1基材11が作製された。ここで作製した第1基材11には、図7Aおよび図7Bに示されているように、幅10mm、深さ1mmの溝110を接合面となる一方の主面111に形成し、当該溝110と連通するように第1基材11を厚み方向に貫通するφ4mmの貫通孔114が形成されている。第1基材11の主面111に形成された溝110は円形溝部と円形溝部の内周側において当該円形溝部と接続された十字溝とからなり、第1基材11の主面111の外縁から円形溝部までの距離は10mmに設定された。第1基材11の接合面である主面111の表面粗さRaが15nmになり、かつ、20mm四方の領域において平面度が0.06μmになるように、当該接合面に表面加工が施された。なお、ここでの平面度は第1基材11に形成された溝110を除く領域での測定値である。
【0051】
φ450mm、厚み6mmの略円形板状のY23焼結体からなる第2基材12が作製された。第2基材12の接合面の表面粗さRaが20nmになり、かつ、20mm四方の領域において平面度が0.08μmになるように、当該接合面に表面加工が施された。
【0052】
第1基材11および第2基材12のそれぞれの接合面に、厚さ3nmのWからなる下地層31、32と厚さ200nmのAuからなる金属膜21、22とがこの順で形成された。第1基材11および第2基材12が金属膜21および22を介して重ね合わせられ、20℃において当該重なり方向に2MPaの圧力がかけられた。
【0053】
これにより、第1実施形態にしたがった実施例3のセラミックス構造体10が作製された(図1参照)。作製されたセラミックス構造体10について実施例1と同様の方法で接合面の観察、接合面の耐圧評価、および接合面の気密評価を行ったところ、いずれも実施例1と同様に良好な結果が得られることが確認された。
【0054】
(実施例4)
1辺の長さ400mm、厚み25mmの略正方形板状のAl23焼結体からなる第1基材11が作製された。第1基材11の接合面の表面粗さRaが15nmになり、かつ、20mm四方の領域において平面度が0.06μmになるように、当該接合面に表面加工が施された。
【0055】
1辺の長さ100mm、厚み5mmの略正方形板状のY23セラミックス焼結体からなる16個の第2基材が作製された(図3参照)。第2基材のそれぞれの接合面の表面粗さRaが33nmになり、かつ、20mm四方の領域において平面度が0.06μmになるように、当該接合面に表面加工が施された。
【0056】
第1基材11および複数の第2基材121、122、‥のそれぞれの接合面に、厚さ6nmのTaからなる下地層と厚さ200nmのAuからなる金属膜21、221、222‥が形成された(図3参照)。第1基材11および第2基材121、122、‥が金属膜21および221、222、‥を介して重ね合わせられ、室温200℃において当該重なり方向に2MPaの圧力がかけられた。
【0057】
これにより、第1実施形態にしたがった実施例4のセラミックス構造体10が作製された。作製されたセラミックス構造体10について実施例1と同様の方法で接合面の観察を行ったところ接合不良箇所は確認されなかった。
【0058】
(実施例5)
一辺20mm、厚み6mmの略正方形板状のAl23焼結体からなる第1基材11が作製された。ここで作製した第1基材11には、図6Aおよび図6Bに示されているように、幅1mm、深さ0.25mmの格子状の溝110が接合面となる一方の主面111に形成され、当該溝110と連通するように第1基材11を厚み方向に貫通するφ2mmの貫通孔114が形成されている。第1基材11の主面111の外縁から最外周の溝までの距離は2.5mmに設定された。第1基材11の接合面である主面111の表面粗さRaが10nmになり、かつ、20mm四方の領域において平面度が0.06μmになるように、当該接合面に表面加工が施された。なお、ここでの平面度は第1基材11に形成された溝110を除く領域での測定値である。
【0059】
一辺20mm、厚み3mmの略正方形板状のYAG(Y3Al)焼結体からなる第2基材12が作製された。第2基材12の接合面の表面粗さRaが30nmになり、かつ、20mm四方の領域において平面度が0.08μmになるように、当該接合面に表面加工が施された。
【0060】
第1基材11および第2基材12のそれぞれの接合面に、厚さ6nmのTaからなる下地層31、32と厚さ200nmのAuからなる金属膜21、22とがこの順で形成された。第1基材11および第2基材12が金属膜21および22を介して重ね合わせられ、200℃において当該重なり方向に1MPaの圧力がかけられた。
【0061】
これにより、第1実施形態にしたがった実施例5のセラミックス構造体10が作製された(図1参照)。作製されたセラミックス構造体10について実施例1と同様の方法で接合面の観察、接合面の耐圧評価、および接合面の気密評価を行ったところ、いずれも実施例1と同様に良好な結果が得られることが確認された。
【0062】
(実施例6)
一辺20mm、厚み6mmの略正方形板状のAl23焼結体からなる第1基材11が作製された。ここで作製した第1基材11には、図6Aおよび図6Bに示されているように、幅1mm、深さ0.25mmの格子状の溝110が接合面となる一方の主面111に形成され、当該溝110と連通するように第1基材11を厚み方向に貫通するφ2mmの貫通孔114が形成されている。このとき、第1基材11の主面111の外縁から最外周の溝までの距離は2.5mmに設定された。第1基材11の接合面である主面111の表面粗さRaが10nmになり、かつ、20mm四方の領域において平面度が0.06μmになるように、当該接合面に表面加工が施された。なお、ここでの平面度は第1基材11に形成された溝110を除く領域での測定値である。
【0063】
一辺20mm、厚み3mmの略正方形板状のAl23-Y23(13mol%Y-87mol%Al)からなる複合酸化物焼結体からなる第2基材12が作製された。第2基材12の接合面の表面粗さRaが31nmになり、かつ、20mm四方の領域において平面度が0.08μmになるように、当該接合面に表面加工が施された。
【0064】
第1基材11および第2基材12のそれぞれの接合面に、厚さ6nmのTaからなる下地層31、32と厚さ200nmのAuからなる金属膜21、22とがこの順で形成された。第1基材11および第2基材12が金属膜21および22を介して重ね合わせられ、20℃において当該重なり方向に25MPaの圧力がかけられた。
【0065】
これにより、第1実施形態にしたがった実施例6のセラミックス構造体10が作製された(図1参照)。
【0066】
作製されたセラミックス構造体10について実施例1と同様の方法で接合面の観察、接合面の耐圧評価、および接合面の気密評価を行ったところ、いずれも実施例1と同様に良好な結果が得られることが確認された。
【0067】
(実施例7)
φ250mm、厚み10mmの略円形板状のAl23焼結体からなる第1基材11が作製された。ここで作製した第1基材11には、図7Aおよび図7Bに示されているように、幅10mm、深さ1mmの溝110を接合面となる一方の主面111に形成し、当該溝110と連通するように第1基材11を厚み方向に貫通するφ4mmの貫通孔114が形成されている。第1基材11の主面111に形成された溝110は円形溝部と円形溝部の内周側において当該円形溝部と接続された十字溝とからなり、第1基材11の主面111の外縁から円形溝部までの距離は10mmに設定された。第1基材11の接合面である主面111の表面粗さRaが15nmになり、かつ、20mm四方の領域において平面度が0.06μmになるように、当該接合面に表面加工が施された。なお、ここでの平面度は第1基材11に形成された溝110を除く領域での測定値である。
【0068】
φ250mm、厚み3mmの略円形板状のY23焼結体からなる第2基材12が作製された。第2基材12の接合面の表面粗さRaが20nmになり、かつ、20mm四方の領域において平面度が0.08μmになるように、当該接合面に表面加工が施された。
【0069】
第1基材11および第2基材12のそれぞれの接合面に、厚さ3nmのWからなる下地層31、32と厚さ40nmのAuからなる金属膜21、22とがこの順で形成された。第1基材11および第2基材12が金属膜21および22を介して重ね合わせられ、100℃において当該重なり方向に10MPaの圧力がかけられた。
【0070】
これにより、実施例7のセラミックス構造体10が作製された。
【0071】
作製されたセラミックス構造体10について実施例1と同様の方法で接合面の観察、接合面の耐圧評価、および接合面の気密評価を行ったところ、接合面の気密評価において、1KPaの圧力変化が確認されたものの接合面の観察、接合面の耐圧評価において異常は確認されなかった。実施例7のセラミックス構造体によれば、気密を必要とする用途以外では使用できることが確認された。
【0072】
(実施例8)
φ450mm、厚み25mmの略円形板状のAl23焼結体からなる第1基材11が作製された。ここで作製した第1基材11には、図7Aおよび図7Bに示されているように、幅10mm、深さ1mmの溝110を接合面となる一方の主面111に形成し、当該溝110と連通するように第1基材11を厚み方向に貫通するφ4mmの貫通孔114が形成されている。第1基材11の主面111に形成された溝110は円形溝部と円形溝部の内周側において当該円形溝部と接続された十字溝とからなり、第1基材11の主面111の外縁から円形溝部までの距離は10mmに設定された。第1基材11の接合面である主面111の表面粗さRaが15nmになり、かつ、20mm四方の領域において平面度が0.06μmになるように、当該接合面に表面加工が施された。なお、ここでの平面度は第1基材11に形成された溝110を除く領域での測定値である。
【0073】
φ450mm、厚み6mmの略円形板状のY23焼結体からなる第2基材12が作製された。第2基材12の接合面の表面粗さRaが20nmになり、かつ、20mm四方の領域において平面度が0.08μmになるように、当該接合面に表面加工が施された。
【0074】
第1基材11および第2基材12のそれぞれの接合面に、厚さ3nmのWからなる下地層31、32と厚さ40nmのAuからなる金属膜21、22とがこの順で形成された。第1基材11および第2基材12が金属膜21および22を介して重ね合わせられ、200℃において当該重なり方向に4MPaの圧力がかけられた。
【0075】
これにより、実施例8のセラミックス構造体10が作製された。
【0076】
作製されたセラミックス構造体10について実施例1と同様の方法で接合面の観察、接合面の耐圧評価、および接合面の気密評価を行ったところ、接合面の気密評価において、1KPaの圧力変化が確認されたものの接合面の観察、接合面の耐圧評価において異常は確認されなかった。実施例7のセラミックス構造体によれば、気密を必要とする用途以外では使用できることが確認された。
【0077】
(比較例)
【0078】
(比較例1)
一辺20mm、厚み6mmの略正方形板状のAl23焼結体からなる第1基材11が作製された。ここで作製した第1基材11は
第1基材11には、図6Aおよび図6Bに示されているように、幅1mm、深さ0.25mmの格子状の溝110が接合面となる一方の主面111に形成され、当該溝110と連通するように第1基材11を厚み方向に貫通するφ2mmの貫通孔114が形成されている。このとき、第1基材11の主面111の外縁から最外周の溝までの距離は2.5mmに設定された。第1基材11の接合面である主面111の表面粗さRaが59nmになり、かつ、20mm四方の領域において平面度が0.22μmになるように、当該接合面に表面加工が施された。なお、ここでの平面度は第1基材11に形成された溝110を除く領域での測定値である。
【0079】
一辺20mm、厚み3mmの略正方形板状のY23焼結体からなる第2基材12が作製された。第2基材12の接合面の表面粗さRaが126nmになり、かつ、20mm四方の領域において平面度が0.25μmになるように、当該接合面に表面加工が施された。
【0080】
第1基材11および第2基材12のそれぞれの接合面に、厚さ6nmのTaからなる下地層31、32と厚さ100nmのAuからなる金属膜21、22とがこの順で形成された。第1基材11および第2基材12が金属膜21および22を介して重ね合わせられ、20℃において当該重なり方向に0.5MPaの圧力がかけられた。これにより、比較例1のセラミックス構造体10が作製された。
【0081】
作製されたセラミックス構造体10について、接合面の観察、接合面の耐圧評価、および接合面の気密評価を実施したところ、接合時の圧力が0.5MPaと小さかったために接合面に接合不良箇所が確認され、耐圧評価において剥離が確認され、気密評価において5KPa圧力変化が確認され、リークが発生した。
【0082】
表1には、上記実施例1~8および比較例1のセラミックス構造体の表か結果が示されている。
【0083】
【表1】
【0084】
以上の結果より、第1基材11と第2基材12の接合面同士が重なる領域を通る線分の最大長さが200mm以上である場合には、金属膜21、22の厚みをある程度大きくすることがより好ましく、第1基材11および第2基材12の接合面の20mm四方の領域の平面度よりも大きい厚みで金属膜21、22を形成すれば気密性が良好に保たれたセラミックス構造体10を作製できることが示された。また、第1基材11に形成された金属膜21の厚みを第1基材11の接合面の算術平均粗さRaの2倍よりも大きく、第2基材12に形成された金属膜22の厚みを第2基材12の接合面の算術平均粗さRaの2倍よりも大きくすれば、第1基材11と第2基材12とを良好に接合できることが示された。
【符号の説明】
【0085】
10‥半導体製造装置用セラミックス構造体、11‥第1基材、12‥第2基材、20‥金属接合層、21、22‥金属膜、31、32‥下地層、120‥凸部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B