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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】両方向ピクノメータ
(51)【国際特許分類】
   G01F 22/02 20060101AFI20231212BHJP
   G01F 17/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G01F22/02
G01F17/00 B
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022526716
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-26
(86)【国際出願番号】 IB2020060218
(87)【国際公開番号】W WO2021105794
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-07-08
(31)【優先権主張番号】16/694,615
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521336244
【氏名又は名称】アントン パール クアンタテック インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガデア ラモス、エンリケ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】タラー、ステファン
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-137959(JP,A)
【文献】特開2007-64705(JP,A)
【文献】特開昭59-20814(JP,A)
【文献】米国特許第5074146(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F17/00-22/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体または液体の試料の体積を測定するための装置であって、
前記試料を収容するための第1のチャンバと、
前記第1のチャンバに接続可能な少なくとも1つの第2のチャンバと、
第1の弁を含む第1のガス経路であって、一端が前記第1の弁を介して前記第1のチャンバに接続され、他端がガス進入経路に接続される、第1のガス経路と、
第2の弁を含む第2のガス経路であって、一端が前記第2の弁を介して前記第2のチャンバに接続され、他端が前記ガス進入経路に接続される、第2のガス経路と、
圧力センサと、
第3の弁を含む第3のガス経路であって、一端が前記第1のチャンバに接続され、他端が前記第3の弁を介して前記圧力センサに接続される、第3のガス経路と、
第4の弁を含む第4のガス経路であって、一端が前記第2のチャンバに接続され、他端が前記第4の弁を介して前記圧力センサに接続される、第4の経路と
を備える、装置。
【請求項2】
選択的に第1の測定モードまたは第2の測定モードに従って前記試料の体積の測定を可能にするためなどで、前記第1の弁、前記第2の弁、前記第3の弁、前記第4の弁のうちの少なくとも1つの状態を制御するように適応されるコントローラをさらに備え、
前記第1の測定モードにおいて、前記試料が収容される前記第1のチャンバには、前記ガス進入経路からガスが充填され、前記ガスはその後、前記第2のチャンバ内へと膨張し、
前記第2の測定モードにおいて、前記第2のチャンバには前記ガス進入経路からガスが充填され、前記ガスはその後、前記試料が収容される前記第1のチャンバ内へと膨張する、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の測定モードおよび前記第2の測定モードにおいて、前記ガスはガス吸い込み部を介して通気する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記第1の測定モードにある時、
前記第1の弁および前記第3の弁を開放して、前記第1のチャンバに前記ガス進入経路からガスを充填することを可能にし、前記第1の弁を閉鎖し、前記圧力センサを使用して前記第1の測定モードに関連している第1の圧力を測定することと、
前記第4の弁を開放して、前記ガスを前記少なくとも1つの第2のチャンバ内にも膨張させることを可能にし、前記第1の測定モードに関連している第2の圧力を測定することと
を行わせるように適応され、
前記装置は、前記第1の測定モードに関連している前記第1の圧力および前記第2の圧力に基づいて前記試料の前記体積を計算するように適応される、
請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記第2の測定モードにある時、
前記第2の弁および前記第4の弁を開放して、前記少なくとも1つの第2のチャンバに前記ガス進入経路からガスを充填することを可能にし、前記第2の弁を閉鎖し、前記圧力センサを使用して前記第2の測定モードに関連している第1の圧力を測定することと、
前記第3の弁を開放して、前記ガスを前記第1のチャンバ内にも膨張させることを可能にし、前記圧力センサを使用して前記第2の測定モードに関連している第2の圧力を測定すること
を行わせるように適応され、
前記装置は、前記第2の測定モードに関連している前記第1の圧力および前記第2の圧力に基づいて前記試料の前記体積を計算するように適応される、
請求項2から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
下記:
第5の弁を含む第5のガス経路であって、一端が前記第5の弁を介して前記第1のチャンバに接続され、他端がガス吸い込み部に接続される、第5のガス経路と、
第6の弁を含む第6のガス経路であって、一端が前記第6の弁を介して前記第2のチャンバに接続され、他端が前記ガス吸い込み部に接続される、第6のガス経路と
のうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の測定モードに関連している前記第2の圧力を測定後、
前記第5の弁を開放して、前記ガスを前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバから前記ガス吸い込み部まで通気することを可能すること
をさらに含む、請求項4に従属する請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第2の測定モードに関連している前記第2の圧力を測定後、
前記第6の弁を開放して、前記ガスを前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバから前記ガス吸い込み部まで通気することを可能にすること
をさらに含む、請求項5に従属する請求項6に記載の装置。
【請求項9】
少なくとも圧力測定ならびに前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバの体積に基づいて前記試料の前記体積を計算するように適応されるプロセッサ
をさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の弁、前記第2の弁、前記第3の弁、前記第4の弁のうちの少なくとも1つは、入力側が密閉されている一方弁を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
下記:
前記第1の弁の入力側が前記第1のチャンバに面する/接続されることと、
前記第2の弁の入力側が前記第2のチャンバに面する/接続されることと、
前記第3の弁の入力側が前記圧力センサに面する/接続されることと、
前記第4の弁の入力側が前記圧力センサに面する/接続されることと、
前記第3の弁が開状態である場合、前記第4の弁の前記入力側が前記第1のチャンバに接続されることと、
前記第4の弁が開状態である場合、前記第3の弁の前記入力側が前記第2のチャンバに接続されることと、
のうちの少なくとも1つが該当する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
一端が前記第1の弁、前記第2の弁、および前記ガス進入経路に接続され、別の端部が別のガス吸い込み部に接続される第8の弁
をさらに備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
下記:
前記ガス進入経路はガス供給弁を含むことと、
前記第1の弁、前記第2の弁、前記第3の弁、前記第4の弁のうちの少なくとも1つは電磁弁を含むことと
のうちの少なくとも1つが該当する、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記試料の体積を計算するために前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバに関する体積較正データを含有する電子記憶装置
をさらに備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記第1のチャンバ、前記第2のチャンバ、および少なくとも1つのガス経路と熱的接触している/これらを包含する/これらを含む金属組立体と、
前記金属組立体を所望の温度に温度調節するための温度調節機器と
をさらに備え、
少なくとも1つのガス経路の少なくとも一部分は、前記金属組立体における孔として実装される、
請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
ガス供給源に接続され、かつ前記第1のガス経路および前記第2のガス経路内に前記ガス進入経路を提供する第3のチャンバ
をさらに備え、
前記第3のチャンバは、前記金属組立体と熱的接触しているおよび/またはこれに包含されている、
請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第3のチャンバは高表面積を提供する金属材料を取り囲み、前記金属材料は前記金属組立体と熱的接触しており、前記金属材料は、繊維ウェブ、焼結構造体、遊離した物質、メッシュ、フリース、生地、不織布、織物、およびマットのうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記金属組立体は、
前記第1のチャンバを包含する第1の金属部分と、前記第2のチャンバを包含する第2の金属部分と、前記第3のチャンバを包含する第3の金属部分と
を備え、
前記第1の金属部分は側部平面において前記第2の金属部分の側部平面に取り付けられ、前記第2の金属部分の別の側部平面は前記第3の金属部分の側部平面に取り付けられる、
請求項16または17に記載の装置。
【請求項19】
少なくとも1つの弁は前記金属組立体の外面に表面取り付けされる、請求項16から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
固体または液体の試料の体積を測定するための装置を製造する方法であって、
第1の弁を含む第1のガス経路を提供する段階であって、前記第1のガス経路は、一端が前記第1の弁を介して前記試料を収容するための第1のチャンバに接続され、他端がガス進入経路に接続される、第1のガス経路を提供する段階と、
第2の弁を含む第2のガス経路を提供する段階であって、前記第2のガス経路は、一端が前記第2の弁を介して試料室に接続可能な少なくとも1つの第2のチャンバに接続され、他端が前記ガス進入経路に接続される、第2のガス経路を提供する段階と、
第3の弁を含む第3のガス経路を提供する段階であって、前記第3のガス経路は、一端が前記第1のチャンバに接続され、他端が前記第3の弁を介して圧力センサに接続される、第3のガス経路を提供する段階と、
第4の弁を含む第4のガス経路を提供する段階であって、前記第4のガス経路は、一端が前記第2のチャンバに接続され、他端が前記第4の弁を介して前記圧力センサに接続される、第4のガス経路を提供する段階と
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、概して、固体のまたは液体の試料の体積を測定するための装置であって、2つの異なる測定モードが可能とされる装置、および該装置を製造するための方法に関する。
【0002】
固体または液体の試料の体積を判定するために(例えば、真密度の判定のために)、比重瓶法が利用され、気相置換法またはガス膨脹法が実行される。それによって、内部に測定される試料が位置する試料室にはガスが充填され、ガス圧が測定される。次いで、ガスは膨張室内に膨張し、結果として生じる圧力が測定される。ボイル-マリオットの法則を使用して、試料の体積は、圧力測定に基づいて、ならびに試料室および膨張室の既知の体積に基づいて判定され得る。
【0003】
従来の先行技術による器具および装置は一方向にのみ動作することができるが、これは、最初にガスが試料室に充填され、参照室もしくは膨張室内に膨張すること、またはその逆を意味する。
【0004】
しかしながら、測定される試料のタイプに応じて、最初にガスを試料室に充填しまたは最初にガスを膨張室に充填し、次いで、対応する他のチャンバにガスを膨張させることは有利であり得る。例えば、発泡体の真密度(または体積)が測定される場合、最初にガスを試料室に導入し、その後このガスを参照室または膨張室に膨張させることが可能であることは有利であり得る。他方では、微粉末について、最初に膨張室または参照室に充填し、次いでガスを試料室内に膨張させることがより好適であり得る。
【0005】
従来の器具では一方向の体積測定または密度測定のみが提供される。このことに関して考えられ得る理由は、常に、最初にガスが導入されるチャンバに圧力変換器または圧力センサが接続されなければならないため、ガス流の方向の変更が妨げられることである。
【0006】
米国特許第5,074,146号の文献には、固形物質の体積を判定しかつその精度をチェックするためのガス比較ピクノメータについて開示されている。特有のキャップ組立体は、ラン間でピクノメータの試料室における体積を固定する。好適なガスによって連続的にパージすることにより、不要な水分および蒸気がシステムから除去される。ガスは最初、試料が位置付けられている試料室に案内され、次いで膨張/参照室内へと膨張させる。
【0007】
米国特許出願公開第2017/0030817号の文献には、試料室、膨張室、および圧力センサを備える真密度測定デバイスについて開示されている。不活性ガス源が試料室に接続されることで、最初にガスを試料室に導入して、次いでそれを膨張室に膨張させるようにする。
【0008】
米国特許出願公開第2017/0010196号の文献には、気相置換法を使用する真密度測定デバイスについて開示されている。試料室は非回転式の蓋によって密封されている。
【0009】
欧州特許出願公開第0,720,011号の文献には、ガス置換および等温ガス膨脹を使用して核燃料ペレットの密度を判定するための方法が開示されている。それによって、ガスは最初に基準体積に導入され、次いでガスは、試料室に接続されるマニホルド内に膨張する。
【0010】
中国実用新案登録第203981234号公報の文献には、ガス圧法を使用することによる体積測定デバイスについて開示されている。測定される物質の体積は、密閉容器におけるガス圧の変化によって判定可能である。容器には圧縮不活性ガスが充填され、圧力測定後、ガスは試料が置かれる別の容器内へと膨張する。
【0011】
先行技術による器具および方法では、全ての条件および状況下で(すなわち、全てのタイプの試料に対して)、試料の体積および/または試料の密度の正確かつ信頼できる判定が提供されないことが観測されている。よって、本発明の目的は、固体試料の体積を測定するための装置であって、結果の精度および/または信頼性が改善され、かつ多数の異なる種類の試料に好適である装置を提供することである。この目的は、独立請求項による主題によって解決される。さらなる実施形態は従属請求項によって提供される。
【発明の概要】
【0012】
含まれる請求項のセットにおいて、1つの請求項の複数の他の請求項に対する複数の従属性は指定されていないが、それにもかかわらず、従属請求項のそれぞれは、本発明の異なる実施形態による複数のまたは全ての先行する請求項を参照する場合がある。よって、「発明の概要」の節の範囲内で説明、提供、または記載される特徴も、この節の範囲内で言及、記載、または提供されるいずれの他の特徴とも組み合わせられ得る。
【0013】
本発明の一実施形態によると、固体または液体の試料の体積を測定するための装置であって、装置または器械は、試料を収容するための第1の(例えば、試料)チャンバと、第1の(例えば、試料)チャンバに接続可能な少なくとも1つの第2の(例えば、参照または膨張)チャンバと、第1の弁を含む第1のガス(例えば、供給)経路であって、一端が第1の弁を介して第1のチャンバに接続され、他端がガス進入経路に接続される、第1のガス経路と、第2の弁を含む第2のガス(例えば、供給)経路であって、一端が第2の弁を介して第2のチャンバに接続され、他端がガス進入経路に接続される、第2のガス経路と、圧力センサと、第3の弁を含む第3のガス(例えば、測定)経路であって、一端が第1のチャンバに接続され、他端が第3の弁を介して圧力センサに接続される、第3のガス経路と、第4の弁を含む第4のガス(例えば、測定)経路であって、一端が第2のチャンバに接続され、他端が第4の弁を介して圧力センサに接続される、第4のガス経路とを備える装置が提供される。
【0014】
装置はとりわけ、固体試料の体積および/または固体試料の(真)密度を測定するのに好適なピクノメータとして構成され得る。固体試料の密度を判定するために、固体試料の体積の判定に加えて、(例えば、内蔵天秤を有する)装置によってまたは補助機器によって固体試料の質量の判定も実行され得る。代替的には、固体試料の密度が既知である場合、装置は固体試料の体積を測定するのに好適であり得、固体試料の質量が次いで、これら2つのパラメータから判定され得る。
【0015】
実施形態の概要
いくつかの実施形態において、装置は2つまたはそれ以上の圧力センサを備え得る。
【0016】
装置は、例えば、5℃~50℃の温度範囲で動作可能であり得る。従って、チャンバおよびガス経路も、上記の温度の動作範囲内で所望の温度に温度調節され得る。とりわけ、測定ガスと熱的接触している装置の全ての構成要素は、同じ動作温度に、例えば、±1℃またはそれを下回る誤差範囲で温度調節され得る。
【0017】
固体試料は、発泡体および/または粉末および/またはコンパクトな試料などを含み得る。固体または液体の試料の体積は、例えば、0.1cm~1000cmの範囲内であり得る。
【0018】
第1のチャンバおよび少なくとも1つの第2のチャンバは、壁部によって区切られる内部体積または内部空間を提供し得る。チャンバは例えば、実質的に円筒形状または直方体形状を有し得る。チャンバは例えば、各々の容器の異なる壁部によって区切られ得る、または、例えば、チャンバが熱的接触している場合があるもしくはチャンバを包含するもしくは含む場合がある金属組立体の材料によって区切られ得る。
【0019】
第1のチャンバは例えば、第1のチャンバを開閉することを可能にする蓋または閉鎖部を備え得る。蓋は、例えば、ユーザが蓋を掴みグリップを第1のチャンバにおける係合部分で(例えば、回転運動によって)係合することを可能にする把持部を有するように構成され得る。第1のチャンバが開放される時、試料が第1のチャンバに導入され得る。試料が(試料室とも呼ばれる)第1のチャンバ内に置かれた後、第1のチャンバは蓋によって閉鎖、つまり、気密になるように閉鎖され得る。
【0020】
例えば、第1のチャンバに充填または少なくとも1つの第2のチャンバに充填した後の作用する相対圧力は、例えば、-1バール~10バールの範囲内になる場合がある。蓋は、第1のチャンバが蓋によって閉鎖される時にガスを第1のチャンバ内の所望の作動圧力で維持するための密封器を備え得る。
【0021】
(参照室とも呼ばれる)少なくとも1つの第2のチャンバは蓋を備えなくてよい。少なくとも1つの第2の参照室は、第3の弁および第4の弁が開状態にある時に第1のチャンバに接続され得る。
【0022】
チャンバが別のチャンバに接続可能であるまたは接続されるということは、チャンバ内に含有されるガスが当該別のチャンバの空間または内部体積と自由に連通し得ることを意味し得る。よって、例えば、第1のチャンバが第2のチャンバに接続される時、第1のチャンバにおけるガスおよび第2のチャンバにおけるガスは、互いに混合する場合があり、かつ第1のチャンバおよび第2のチャンバにわたって分散して同じ圧力に達し、第1のチャンバの自由体積および第2のチャンバの内部体積に完全に充填され得る。チャンバが特定の弁と接続されるということは、チャンバおよび/または対応する弁に含有されるガスが、弁またはチャンバとそれぞれ自由に連通し得ることを意味し得る。
【0023】
ガス経路のいずれも、例えば、実質的に円形の断面形状を有するガス導管によって形成され得、この場合、ガス経路は、実質的に、ガスを汚染せずに、ガスの成分を吸着せずに、および、ガスの組成を変更せずに、ガスを案内するまたは運ぶように適応される。ガス経路およびチャンバは、希ガスまたは例えば窒素などの不活性ガスなどの従来既知の測定ガスのいずれも充填されるまたは案内するのに好適であり得る。とりわけ、ヘリウムが測定ガスとして利用され得る。全ての弁、すなわち、第1、第2、第3、および第4の弁は、基本的に同じように、とりわけ電磁弁として、さらに、とりわけ二方遮断弁として構成され得る。
【0024】
圧力センサは、例えば、-1バール~10バールの動作範囲で相対圧力を測定するように構成され得る。圧力センサはまた、チャンバと、および弁とも実質的に同じ温度を有するように温度調節され得る。全てのガス経路、弁、および全てのチャンバは、上記の圧力範囲においても気密であり得る。
【0025】
第1のガス経路はまた、第1のチャンバ内に測定ガスを供給する機会を提供し得るため、第1のガス供給経路と呼ばれ得る。第2のガス経路はまた、第2のガス経路が第2のチャンバ内に測定ガスを充填することが可能であり得るため、第2のガス供給経路と呼ばれ得る。第3のガス経路はまた、第3のガス測定経路と呼ばれ得るが、これは、測定ガスが第1のチャンバ内に充填された後の圧力を測定するように、第3のガス経路が、ガスを第1のチャンバから膨張させるためにまたは圧力センサを第1のチャンバに接続するために測定中に利用され得るからである。第4のガス経路はまた、第4のガス測定経路と呼ばれ得るが、これは、第1のチャンバ(または第2のチャンバ)内に既に含有されるガスを、第3の弁および第4の弁を介して第2のチャンバ(第1のチャンバ)に膨張させるために測定中に利用され得るからである。この状況において、第4のガス経路は、第1のチャンバおよび第2のチャンバを接続する、また、両方のチャンバの両方の内部体積を圧力変換器または圧力センサに接続する。本発明の実施形態によると、第3のガス経路および第4のガス経路が、第1のチャンバおよび第2のチャンバを互いにおよび圧力センサと接続するために利用され得る。
【0026】
各々の第1、第2、第3、第4の弁を含む第1、第2、第3、第4のガス経路を提供することによって、装置は2つの異なる動作モードでの試料の体積の測定を可能にする。第1の動作モードにおいて、最初に、第1の(試料)チャンバには、測定ガスが充填され、次いで第2の(参照)チャンバ内に膨張させる。第2の測定モードにおいて、最初に、第2のチャンバには、測定ガスが充填されて、次いで第1のチャンバ内に膨張させる。両方の測定モードにおいて、試料は第1のチャンバ内に置かれ得る。膨張する測定ガスの相対する流れ方向を特徴とする2つの異なる測定モードを提供することによって、さまざまな異なるタイプの試料が正確にかつ確実に測定可能である。
【0027】
本発明の一実施形態によると、装置は、選択的に第1の測定モードまたは第2の測定モードに従って試料の体積の測定を可能にするためなどで、第1の弁、第2の弁、第3の弁、第4の弁(ならびにとりわけ、第5の弁および第6の弁)のうちの少なくとも1つの状態を制御するように適応されるコントローラをさらに備え、第1の測定モードにおいて、試料が収容される第1のチャンバには、ガス進入経路からガスが充填され、ガスはその後、第2のチャンバ内へと膨張し、第2の測定モードにおいて、第2のチャンバには、ガス進入経路からガスが充填され、ガスはその後、試料が収容される第1のチャンバ内へと膨張する。
【0028】
コントローラは、異なる弁に電気および/または光および/または無線制御線を介して通信可能に接続され得る。コントローラはまた、例えば、圧力測定信号を読み出すために、圧力センサと通信可能に接続され得る。
【0029】
弁のそれぞれは、2つの異なる状態、つまり、開状態および閉状態になるように適応され得る。閉状態において、対応する弁は、対応する弁の異なる側の間のガス連通を遮断し得る。開状態において、対応する弁は、対応する弁の異なる側にわたる(例えば、ガス経路のうちの1つにおける)ガスの連通を自由に可能し得る。対応する弁は、とりわけ、制御信号または制御電流によって作動されない限り閉状態であり得る簡易な電磁弁を含み得る。他の実施形態において、弁を閉状態と開状態との間で切り換えるために、単一の電流パルスが、二方遮断弁として構成される対応する弁に提供され得る。
【0030】
コントローラは、第1の弁、第2の弁、第3の弁、第4の弁、ならびに、とりわけまた、第5の弁および第6の弁の状態を制御するように適応され得、このことについて、以下にさらに説明する。対応する弁の状態を制御することによって、固体試料の体積を判定するための測定方法を実行することが可能になる。コントローラは、例えば、コントローラから送信される制御信号に応じて、対応する弁の状態を調整または変更するために好適な駆動信号を生成しかつ送信し得る、弁用の各々の駆動部を制御し得る。
【0031】
ガス進入経路は、例えば、測定ガスを保持するガス容器と接続され得る。ガス容器は、各々のチャンバおよび弁と熱的接触していてよい、または熱的接触していなくてもよい。本発明の特定の実施形態において、(第3のチャンバとも呼ばれる)ガス容器を含むガス進入経路は、第1のチャンバ、第2のチャンバ、および異なる弁と熱的接触していてよく、とりわけ、これらと同じ温度で維持され得る。
【0032】
第1の測定モードまたは第2の測定モードを採用するために、装置の任意の部分の物理的な変更または再配置は必要ではない場合がある。単に異なる弁の状態を適切に切り換えることによって、第1の測定モードまたは第2の測定モードは選択的に確定され得る。それによって、さまざまな異なるタイプの試料が確実に測定され得る。例えば、試料の第1のタイプのグループは第1の測定モードを使用して測定されるのが最良であり得、試料の第2のタイプのグループは第2の測定モードによって測定されるのが最良であり得る。装置を動作させるユーザは例えば、単に、測定されることが所望される試料の対応するタイプを入力インタフェースに入力し得る。入力された試料のタイプに基づいて、装置は、ユーザによる干渉/入力のいずれもさらに要求することなく、好適な測定モード、すなわち、第1の測定モードまたは第2の測定モードに自動的に切り換え得る。他の実施形態において、測定モードのタイプ、すなわち、第1の測定モードまたは第2の測定モードはユーザによって直接入力され得る。
【0033】
本発明の一実施形態によると、第1の測定モードおよび第2の測定モードにおいて、ガスはガス吸い込み部を介して通気させる。すなわち、第1の測定モードまたは第2の測定モードのどちらが採用されるかにかかわらず、ガスは常に同じガス吸い込み部、例えば、単一のガス経路に通気させる。ガスをガス吸い込み部に通気させるために、測定モードに応じて、以下に説明される第5の弁または第6の弁が開放され得る。それによって、いずれのガス経路の物理的な再配置も要求されず、それによって、装置の動作が簡略化される。
【0034】
本発明の一実施形態によると、コントローラは、第1の測定モードにある時、第1の弁および第3の弁を開放して、第1のチャンバにガス進入経路からガスを充填することを可能にし、第1の弁を閉鎖し、(とりわけ、第1、第2、第4、第5、および第6(ならびに第7および第8)の弁が閉鎖されている間)(例えば、平衡に達した後)圧力センサを使用して第1の測定モードに関連している第1の圧力を測定することと、第4の弁(任意選択で、第7の弁)を開放して、ガスを少なくとも1つの第2のチャンバ内にも膨張させることを可能にし、第1の測定モードに関連している第2の圧力を測定することとを行わせるように適応され、装置は、第1の測定モードに関連している第1の圧力および第2の圧力に基づいて試料の体積を計算するように適応される。
【0035】
第1の弁および第3の弁を開放することは、同時にまたは続いて実行され得る。例えば、第3の弁が開放され得、すなわち、これは第3の弁を開状態に設定することを意味し、第1の弁は第3の弁の開放と同時にまたはこの後に開放され得る。第1の弁および第3の弁は、(圧力センサによって測定される)第1のチャンバおよび第3のガス経路、さらに第1のガス経路内の圧力が、例えば、-1バール~10バールの範囲内にあり得る目標圧力に達するまで、開放されたままにされ得る。目標圧力に達した後、第1の弁は閉鎖(すなわち、閉状態に設定)され得、(第1の測定モードに関連している)第1の圧力は圧力センサを使用して測定され得る。それによって、測定される圧力が、設定可能な閾値分変化しなくなるまで、ひいては、指定する変化率の限度/閾値まで、圧力センサによって圧力が測定され得る。よって、これは、試料室および第3のガス経路内のガス温度が、実質的に、試料室を制限する壁部、および第3のガス経路を制限する材料の温度を呈するまで、待機され得る。よって、第1の圧力は、ガス温度に関する平衡に達した後判定され得る。第1の圧力は、第1、第2、第4、第5、および第6(ならびに、任意選択でさらに、第7および第8)の弁が閉鎖されている間に測定され得る。
【0036】
(第1の測定モードに関連している)第1の圧力を測定後、第4の弁(および任意選択でさらに、以下に説明される第7の弁)が開放されることで、ガスを第1のチャンバから少なくとも1つの第2のチャンバ内へと膨張させることが可能になり得る。また、(第1の測定モードに関連している)第2の圧力は、(とりわけ、ガス温度に関する)平衡に達した後に測定され得る。それによって、例えば、圧力センサによって測定される圧力は、測定される圧力が著しく変化しなくなるまで、ひいては、所定の時間間隔の後の変化が閾値を下回るまで、追跡されかつ精察される場合がある。
【0037】
(例えば、プロセッサを含む)装置は、第1の圧力および第2の圧力に加えて、第1のチャンバおよび第2のチャンバの(以前から知られている)体積も利用してよく、かつ、体積判定について以下に詳述されるさらなる較正データを利用してよい。
【0038】
本発明の一実施形態によると、コントローラは、第2の測定モードにある時、第2の弁および第4の弁(任意選択で第7の弁)を開放して、少なくとも1つの第2のチャンバにガス進入経路からガスを充填することを可能にし、第2の弁を閉鎖し(例えば、目標圧力に達するまで第2のチャンバは充填され)、(とりわけ、第1、第2、第3、第5、および第6、ならびに第7および第8の弁が閉鎖されている間)、(例えば、平衡に達した後)圧力センサを使用して第2の測定モードに関連している第1の圧力を測定することと、第3の弁を開放して、ガスを第1のチャンバ内にも膨張させることを可能にし、第2の測定モードに関連している第2の圧力を測定することとを行わせるように適応され、装置は、第2の測定モードに関連している第1の圧力および第2の圧力に基づいて試料の体積を計算するように適応される。
【0039】
例えば、第4の弁および第2の弁は、同時にまたは続いて開放され得る。第2のチャンバの体積としての大きい方の体積に、ガスを充填することが所望される場合、任意選択でさらに、第7の弁が開放され得る。第7の弁は第2のチャンバを別の第2のチャンバに接続し得る。第2のチャンバ、および任意選択でさらに、当該別の第2のチャンバには、第2のチャンバ(および任意選択で当該別の第2のチャンバ)内の、および第2のガス経路および第4のガス経路における目標圧力に達するまで、測定ガスが充填され得る。この目標圧力に達した時、第2の弁は閉鎖され得る。次いで、とりわけ、均衡の状態に達した後、(第2の測定モードに関連している)第1の圧力が圧力センサによって測定され得る。第1の圧力の測定の間、第1、第2、第3、第5、および第6、ならびにさらに、第7および第8の弁は閉鎖され得る。
【0040】
(第2の測定モードに関連している)第1の圧力を測定後、第3の弁が開放されることによって、第2のチャンバが第1のチャンバと接続され、第2のチャンバのみならず第1のチャンバおよび第3のガス経路にわたるガスを膨張させることが可能になり得る。均衡に達した(例えば、測定される圧力を精察することによって、測定される圧力が時間と共に大きく変化していないと判定された)後、(第2の測定モードに関連している)第2の圧力が測定され得る。第2の測定モードにおいて、装置(プロセッサ)は、(両方が第2の測定モードに関連している)第1の圧力および第2の圧力に基づいて、および任意選択でさらに、第1のチャンバ、第2のチャンバ、第4のガス経路、および第3のガス経路の既知の内部体積に基づいて、試料の体積を計算する。
【0041】
さらに、測定モードのいずれかの間に試料の体積を計算することはまた、第1のガス経路の部分の体積、とりわけ、第1の弁と第1のチャンバとの間の第1のガス経路の体積に基づき得る。さらに、計算は、第2のガス経路の部分、つまり、第2の弁と第2のチャンバとの間の部分に基づき得る。よって、本発明の実施形態によると、少なくとも、ガス経路の部分の体積は、試料の体積を計算するために考慮され得る。ガス経路のこれらの特定部分は、予め知られている場合があり、例えば、較正データとして電子記憶装置に記憶され得る。
【0042】
本発明の一実施形態によると、装置は、第5の弁を含む第5のガス(例えば、通気)経路であって、一端が第5の弁を介して第1のチャンバに接続され、他端がガス吸い込み部(例えば、通気孔)に接続される、第5のガス経路と、第6の弁を含む第6のガス(例えば、通気)経路であって、一端が第6の弁を介して第2のチャンバに接続され、他端がガス吸い込み部に接続される、第6のガス経路とをさらに備える。
【0043】
第5のガス経路はまた、第5のガス通気経路と呼ばれ得るが、これは、第1の測定モードに従って測定を実行した後、第1のチャンバおよび/またはさらに第2のチャンバ、ならびに、接続しているガス経路を通気するために利用され得るからである。代替的には、第5のガス経路は、第2の測定モードに従って測定を実行した後、チャンバおよびガス経路を通気するために利用され得る。従って、1つの通気孔のみが必要とされ、かつ器具における任意の場所に位置決めされ得る。
【0044】
第6の弁を含む第6のガス経路は、第1の測定モードを使用して測定が実行された後にシステムを通気するために利用され得る。代替的には、第6の弁を通気することはまた、第2の測定モードに従った測定が実行された後に実行され得る。本発明の実施形態は、これらの弁、すなわち、第5の弁および第5のガス経路または第6の弁および第6のガス経路のうちの1つのみを含む。この場合、第5の弁または第6の弁のどちらか1つは、動作測定モードのいずれかが実行された時にシステムを通気するために利用され(かつ存在し)得る。他の実施形態において、第5の弁および第6の弁、ならびにさらに、第5のガス経路および第6のガス経路が存在し得る。
【0045】
本発明の一実施形態によると、装置はさらに、第1の測定モードに関連している第2の圧力を測定後、第5の弁を開放して、ガスを第1のチャンバおよび第2のチャンバからガス吸い込み部まで通気することを可能にすることを含む。本発明の一実施形態によると、装置はさらに、第2の測定モードに関連している第2の圧力を測定後、第6の弁を開放して、ガスを第1のチャンバおよび第2のチャンバからガス吸い込み部まで通気することを可能にすることを含む。それによって、システムを同じガス吸い込み部へと通気することは、いずれのガス経路も物理的に変えることなく提供され得る。
【0046】
本発明の一実施形態によると、装置はさらに、例えば、ボイル-マリオットの法則を使用して、少なくとも圧力測定ならびに第1のチャンバおよび第2のチャンバの体積に基づいて試料の体積を計算するように適応されるプロセッサを備える。
【0047】
プロセッサは、例えば、プロセッサが通信しているメモリにロードされたコンピュータプログラムを含んでまたは実行してよい。計算には、熱力学から既知のボイル-マリオットの法則を利用し得る。ボイル-マリオットの法則によって、理想気体方程式の有効性が想定され得る。他の実施形態において、理想気体が想定されるボイル-マリオットの法則ではなく、理想気体の挙動からの実際のガスの偏差を考慮に入れる修正方程式が利用され得る。プロセッサは、コントローラに通信可能に接続され得ることで、例えばまた、測定プログラムに従って弁を適切に制御するための制御信号をコントローラに供給する。
【0048】
プロセッサはまた、圧力測定信号を受信するために圧力センサに通信可能に接続され得る。さらに、プロセッサは、異なるチャンバおよび/またはガス経路の温度を測定するために配置されている1つまたは複数の温度センサに適応され得る、または通信可能に接続され得る。プロセッサは、全てのチャンバおよび全てのガス経路を包含する(またはこれらと熱的接触している)金属組立体の温度を測定するように構成される温度センサの1つの温度測定を受け得る。その場合、全ての試料室およびガス経路は、実質的に、温度測定センサによって判定されるのと同じ温度を有する、または異なる要素の各々の温度は、例えば、温度較正データを利用して、温度センサによって測定される温度から導出され得ることが想定され得る。
【0049】
本発明の一実施形態によると、第1の弁、第2の弁、第3の弁、第4の弁、(とりわけ、第5の弁および第6の弁)のうちの少なくとも1つは、入力側が密閉されている一方弁を含む。一方弁は、1つの側のみ、つまり、密閉されている(供給側とも呼ばれる)入力側を有し得る。一方弁は、対応する弁の出力側(出口側)からではなく入力側のみからのガス漏れに耐性があり得る。一方弁は、2つの密閉側を有する双方向弁と比較して、寸法およびサイズおよび重量が実質的に小さい場合がある。それによって、装置の複雑性、寸法、および重量は低減され得る。さらに、第5の弁および第6の弁、場合によっては、第8の弁および第7の弁も、1つの入力側が密閉されている一方弁を含み得るまたは一方弁であり得る。
【0050】
本発明の一実施形態によると、下記:第1の弁の入力側が第1のチャンバに面する/接続されること、第2の弁の入力側が第2のチャンバに面する/接続されること、第3の弁の入力側が圧力センサに面する/接続されること、第4の弁の入力側が圧力センサに面する/接続されること、第3の弁が開状態である場合、第4の弁の入力側が第1のチャンバに接続されること、第4の弁が開状態である場合、第3の弁の入力側が第2のチャンバに接続されることのうちの少なくとも1つが該当する。
【0051】
第1の弁の入力側が第1のチャンバに面するまたは接続される時、第1の弁は、第1の弁が閉状態にある時、第1のチャンバから第1の弁を介したガスの漏れを効果的に防止し得る。第2の弁が第2のチャンバに面するまたは接続される時、第2の弁は、閉状態にある時、第2のチャンバから第2の弁を介したガスの漏れを効果的に防止し得る。第3の弁が圧力センサに面するまたは接続される時、例えば第2の測定モードにおいて、(第2の測定モードに関連している)第1の圧力が第2のチャンバに充填した後に測定される時に第3の弁を介したガス漏れが阻止され得る。第4の弁が圧力センサに面するまたは接続される時、第1の測定モードにおいて、第1のチャンバにガスが充填されておりかつ(第1の測定モードに関連している)第1の圧力が測定された後に、第4の弁を通したガス漏れが効果的に阻止され得る。それによって、第1の測定モードおよび第2の測定モードが実行され得る。
【0052】
本発明の一実施形態によると、装置はさらに、一端が第1の弁、第2の弁、およびガス進入経路に接続され、他端が別のガス吸い込み部に接続される第8の弁を備える。とりわけ、第8の弁は、一端が(その入力側が)第1の弁および第2の弁の出力側に接続され、かつガス進入経路に接続され得る。
【0053】
第2の弁および/または第1の弁が、各々のチャンバに圧力を与えたまたはこれらに充填した後にそれらの弁座にわたって漏れることを防止するために、第8の弁はそれらの出力側から大気に通気するために使用され得る。よって、第8の弁はその出口側で大気に通じている場合がある。第8の弁は一方弁であり得る。この場合、第8の弁は、その入力側が第1の弁および第2の弁の出力側に接続され得、さらに、ガス進入経路に接続され得る。
【0054】
本発明の一実施形態によると、下記:ガス進入経路はガス進入弁を含むこと、および、第1の弁、第2の弁、第3の弁、第4の弁、(とりわけ、第5の弁および第6の弁)のうちの少なくとも1つは電磁弁、とりわけ、二方遮断弁を含むまたはこれであることのうちの少なくとも1つが該当する。
【0055】
ガス進入弁は、ガスを(ガス容器から)第1のチャンバもしくは第2のチャンバ(および/または以下に説明される第3のチャンバ)内に充填するために開放され得る。二方遮断弁は、その状態を、電流パルスを受けると変更する弁であり得る。それによって、弁の状態を制御することは簡略化され得る。とりわけ、開状態を採用するように対応する弁に電圧または電流を供給し続ける必要はない場合がある。それによって、装置の制御はさらに簡略化され得る。
【0056】
本発明の一実施形態によると、装置は、試料の体積を計算するために第1のチャンバおよび第2のチャンバに関する体積較正データを含有する電子記憶装置をさらに備える。
【0057】
電子記憶装置は、体積較正データおよび温度較正データを含み得る。体積較正データは、例えば、全てのチャンバの体積、および全ての(またはいくつかの)関連のガス経路の体積または体積部分を含み得る。さらに、例えば、温度較正データを使用することによって、チャンバのいずれか、またはガス経路のいずれかの効果的な温度が、例えば、対応するチャンバまたはガス経路に近いまたはこれから離れた場所における1または複数の測定された温度から推測され得る。それによって、第1の測定モードまたは第2の測定モードによる体積測定を実行することが可能とされる。
【0058】
本発明の一実施形態によると、装置はさらに、第1のチャンバ、第2のチャンバ、および少なくとも1つのガス経路と熱的接触している/これらを包含する/これらを含む金属組立体と、金属組立体を所望の温度に温度調節するための温度調節機器とを備え、とりわけ、少なくとも1つのガス経路の少なくとも一部分は、金属組立体における孔として実装される。
【0059】
金属組立体は、単一の金属ブロック、例えばアルミブロックを含み得る、または、例えばボルトによって互いに接続される複数の金属組立体部分を含み得る。第1のチャンバおよび/または第2のチャンバ(ならびに、場合によってはさらに、第3のチャンバ)は、例えば、粉砕または切断によって実現され得る金属組立体または金属構造体内の対応する凹部として確定され得る。この場合、金属組立体は、第1のチャンバ、第2のチャンバ、および少なくとも1つのガス経路、ならびに、さらに任意選択で第3のチャンバを包含し得る。よって、各々のチャンバの制限壁は、金属組立体自体の材料によって形成され得る。他の実施形態において、金属組立体は、異なるチャンバを提供する異なる容器が挿入される凹部を備え得る。
【0060】
温度調節機器は、電気ヒータおよびクーラ、とりわけ、金属組立体の加熱および/または冷却を可能にする少なくとも1つのペルチェ素子を含み得る。金属組立体は、かなりの熱容量を提供する場合があり、かつ良好な熱伝導体であり得る。基本的に温度は、金属組立体の全範囲にわたって等しいまたは少なくとも非常に類似している場合がある。従って、異なるチャンバおよびガス経路内の温度も、実質的に同じであるまたは少なくとも非常に類似している場合がある。ガスの圧力および/または体積は温度に専らまたは敏感的に依存するため、測定の全ての関わりがある部分において等しい温度を提供することによって、体積判定の信頼性および/または精度が改善され得る。金属組立体における孔を提供することは容易に達成され得る。それによって、ガス経路に対する異なる要素はもはや要求されないまたは必要ではない場合がある。
【0061】
本発明の一実施形態によると、装置は、ガス供給源に接続され、かつ第1のガス経路および第2のガス経路内にガス進入経路を提供する第3のチャンバ(例えば、順応用チャンバ)を備え、第3のチャンバは、金属組立体と熱的接触しているおよび/またはこれに包含されている。
【0062】
第3のチャンバはまた、順応用チャンバと呼ばれる場合があり、これは、第1のチャンバまたは第2のチャンバ内へのガスの導入前のガス温度と、第1のチャンバおよび第2のチャンバの温度、または概して、金属組立体の温度とを平衡化するために提供され得る。第3のチャンバに含有されるガスが既に実質的に金属組立体の温度である、とりわけ、第1のセルおよび/または第2のチャンバの温度である時、ガスを第1のチャンバおよび/または第2のチャンバに充填した後のガス温度の平衡化のための平衡化時間が短縮され得、それによって、総体積測定時間も短縮される。第3のチャンバの出力はそれによって、ガス進入経路を提供し得る。第3のチャンバはまた、金属組立体内に包含され得、例えば塞ぎ板によって閉鎖される金属組立体内の凹部として例えば実装され得る。
【0063】
本発明の一実施形態によると、第3のチャンバは高表面積を提供する金属材料を取り囲み、金属材料は金属組立体と熱的接触しており、金属材料は、繊維ウェブ、焼結構造体、遊離した物質、メッシュ、フリース、生地、不織布、織物、およびマットのうちの少なくとも1つを含む。金属材料は、金属球、金属粉末、または、ガスとチャンバとの間の伝熱性を改善する任意の他の材料をさらに含み得る。金属材料が第3のチャンバ内で取り囲まれ、かつ金属組立体と熱的接触している時、金属材料を囲む第3のチャンバ内のガスは、迅速に金属組立体の温度になるようにされ得る。金属組立体の温度は実質的に第1のチャンバおよび第2のチャンバの温度に対応するまたは等しいため、対応するチャンバへのガスの充填後にガスを第1のチャンバまたは第2のチャンバの温度に平衡化するための平衡化時間も短縮され得る。金属材料はいくつかの異なるやり方で構成され得る。金属材料の表面積は、金属材料が連続的なまたはコンパクトな構成である時の金属材料の表面積よりもかなり大きいことを前提とする。
【0064】
本発明の一実施形態によると、金属組立体は第1のチャンバを包含する第1の金属部分と、第2のチャンバを包含する第2の金属部分と、第3のチャンバを包含する第3の金属部分とを備え、第1の金属部分は側部平面において第2の金属部分の側部平面に取り付けられ、第2の金属部分の別の側部平面は第3の金属部分の側部平面に取り付けられる。
【0065】
金属組立体が第1の金属部分、第2の金属部分、および任意選択で第3の金属部分から組み立てられる時、容易に製造可能である容易な構成が提供される。金属組立体の隣接する金属部分の間の1つまたは複数の流路の部分の間の界面は、金属部分の取り付け界面における漏れを防止するために、Oリングなどの対応する封止材を備え得る。それによって、コンパクトな装置が達成され得る。
【0066】
本発明の一実施形態によると、少なくとも1つの弁が金属組立体の外面に表面取り付けされる。弁は、例えば、ガス経路の2つの部分の出口の上に取り付けられ得る。弁または弁のうちの少なくとも1つの表面取り付けは、製造プロセスを簡略化し得る。
【0067】
固体試料の体積を測定するための装置において、個々にまたは任意の組み合わせで、開示、記載、説明、または提供される特徴がまた、本発明の実施形態による固体試料の体積を測定するための装置を製造するための方法に個々にまたは任意の組み合わせで適用され得、この逆もまた同様であることは、理解されるべきである。
【0068】
本発明の一実施形態によると、固体または液体の試料の体積を測定するための装置を製造する方法であって、第1の弁を含む第1のガス経路を提供する段階であって、第1のガス経路は、一端が第1の弁を介して試料を収容するための第1のチャンバに接続され、他端がガス進入経路に接続される、第1のガス経路を提供する段階と、第2の弁を含む第2のガス経路を提供する段階であって、第2のガス経路は、一端が第2の弁を介して試料室に接続可能な少なくとも1つの第2のチャンバに接続され、他端がガス進入経路に接続される、第2のガス経路を提供する段階と、第3の弁を含む第3のガス経路を提供する段階であって、第3のガス経路は、一端が第1のチャンバに接続され、他端が第3の弁を介して圧力センサに接続される、第3のガス経路を提供する段階と、第4の弁を含む第4のガス経路を提供する段階であって、第4の経路は、一端が第2のチャンバに接続され、他端が第4の弁を介して圧力センサに接続される、第4のガス経路を提供する段階とを含む方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1】本発明の一実施形態による、固体試料の体積を測定するための装置を流体経路図として概略的に示す図である。
【0070】
図2】本発明の一実施形態による、図1に示される装置の分解立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
上に定義した態様および本発明のさらなる態様は、以下に記載される実施形態の例から明らかであり、示される実施形態に関して説明される。本発明について、示される例に関して以下により詳細に説明されるが、本発明はこれらに限定されない。
【0072】
本発明の実施形態は、双方向に動作可能であるピクノメータを提供する。弁およびチャンバ、ならびに他のコンポーネントの装置は、例えば、試料のタイプおよび業界標準に応じて、両方向での動作を容易にする。固体試料の体積を測定するための装置の1つの利点は、測定のための動作シーケンスを最適化するためにコンポーネントを物理的に取り替えるまたは変更することなく装置を切り換え可能であることであり得る。
【0073】
本発明の一実施形態による固体試料101の体積を測定するための装置100は、試料101を収容するための第1のチャンバ103を備える。さらに、装置100は、試料室103に接続可能な少なくとも1つの第2のチャンバ105を備える。さらに、装置100は、第1の弁109を含む第1のガス供給経路107を備え、第1のガス経路107は、一端111が第1の弁109を介して第1のチャンバ103に接続され、他端113がガス進入経路115に接続される。装置はさらに、第2の弁119を含む第2のガス供給経路117を備え、第2のガス経路117は、一端121が第2の弁119を介して第2のチャンバ105に接続され、他端124がガス進入経路115に接続される。
【0074】
装置100は、圧力センサ123、および第3の弁127を含む第3のガス測定経路125をさらに備え、第3のガス経路125は、一端129が第1のチャンバ103に接続され、他端139が第3の弁127を介して圧力センサ123に接続される。装置100は、第4の弁135を含む第4のガス測定経路133をさらに備え、第4のガス経路133は、一端137が第2のチャンバ105に接続され、他端139が第4の弁135を介して圧力センサ123に接続される。
【0075】
装置100は、選択的に第1の測定モードまたは第2の測定モードに従って試料の体積の測定を可能にするためなどで、第1の弁109、第2の弁119、第3の弁127、第4の弁135の状態、とりわけさらに、第5の弁151、第6の弁153、第7の弁155、および第8の弁157の状態を制御するように適応されるコントローラ150をさらに備える。従って、コントローラは、圧力センサ123から圧力測定信号166を受信する。
【0076】
第1の測定モードにおいて、試料101が収容されている第1のチャンバ103には、ガス進入経路115からガスが充填され、ガスはその後、第2のチャンバ105内へと膨張する。第2の測定モードにおいて、第2のチャンバ105には、ガス進入経路115からガスが充填され、ガスはその後、試料101が収容されている第1のチャンバ103内へと膨張する。第1の測定モードおよび第2の測定モードにおいて、ガスはガス吸い込み部159を介して通気する。
【0077】
コントローラ150は、弁を制御するために、弁制御信号161を各々の弁に提供する。第1の測定モードにある時、コントローラは、制御信号161によって、第1の弁109および第3の弁127を開放して、第1のチャンバ103にガス進入経路115からガスを充填することを可能にし、第1の弁109を閉鎖し、圧力センサ123を使用して(第1の測定モードに関連している)第1の圧力を測定することを行わせるように適応される。さらに、コントローラは、第4の弁135、および任意選択で第7の弁155を開放して、ガスを、少なくとも1つの第2のチャンバ105内に、とりわけさらに任意選択で、第7の弁155を介して別の第2のチャンバ106内に膨張させることを可能にすることを行わせる。次いで、(第1の測定モードに関連している)第2の圧力が測定され得、コントローラ150に含まれるプロセッサ163は、第1の圧力および第2の圧力に基づいて試料101の体積を計算する。
【0078】
第2の測定モードにある時、コントローラ150は、第2の弁119および第4の弁135を開放して、第2のチャンバ105にガス進入経路から(および任意選択でさらに、第7の弁155をさらに開放することによって上記別の第2のチャンバ106に)ガスを充填することを可能にすることを行わせるように適応される。次いで、(第2の測定モードに関連している)第1の圧力が圧力センサ123を使用して測定され得る。さらに、コントローラ150は、第3の弁127を開放して、ガスを第1のチャンバ103内に膨張させることを可能にし、(第2の測定モードに関連している)第2の圧力を測定することを行わせる。プロセッサ163はさらにまた、(両方共第2の測定モードに関連している)第1の圧力および第2の圧力に基づいて試料101の体積を計算するように適応される。
【0079】
通気の目的で、装置100は、第5の弁151を含む第5のガス通気経路165を備え、第5のガス経路165は、一端167が第5の弁151を介して第1のチャンバ103に接続され、他端169がガス吸い込み部159に接続される。装置はさらに、第6の弁153を含む第6のガス通気経路171を備え、第6のガス経路171は、一端173が第2のチャンバ105に接続され、他端175がガス吸い込み部159に接続される。
【0080】
示された実施形態において、弁は、入力側および出力側、または供給側および出口側を有する一方向性二方遮断弁として実装または構成され、ここで、供給側または入力側は白丸として図示されており、出力側は閉じた円形または黒丸として図示されている。図1から分かるように、第1の弁109の入力側は第1のチャンバ103に面している。さらに、第2の弁119の入力側は第2のチャンバ105に面している。さらに、第3の弁127の入力側は圧力センサ123に面している。さらに、第4の弁135の入力側はまた、圧力センサ123に面している。さらに、第4の弁135の入力側は、第3の弁127が開状態にある場合、第1のチャンバ103に接続される。さらに、第3の弁127の入力側は、第4の弁135が開状態にある場合、第2のチャンバ105に接続される。
【0081】
装置100はさらに、一端が、第1の弁109、第2の弁119、およびガス進入経路115に接続され、他端が別のガス吸い込み部177に接続される第8の弁157を備える。装置100、とりわけコントローラ150は、体積較正データおよび/または温度較正データを含有する電子記憶装置183を含む。
【0082】
ガス進入経路115はガス容器181と接続されているガス供給弁179を含む。ガス進入経路115は、順応用チャンバ185を含んでも含まなくてもよい。よって、実施形態には順応用チャンバ185は存在しない。
【0083】
しかしながら、図1に示される装置100は、順応の目的で、ガス供給源181、179に接続され、かつ第1のガス経路107および第2のガス経路117内にガス進入経路115を提供する第3のチャンバ185をさらに備え、第3のチャンバ185は、金属組立体160と熱的接触しているまたはこれに包含されている。金属組立体160はまた、第1のチャンバ103、第2のチャンバ105、ならびにガス経路107、117、133、125、165、171および全ての弁109、151、153、155、135、127、119、157と熱的接触しているまたはこれらを包含している。例えば、ペルチェ素子を備える温度調節機器162がさらに提供され、金属組立体160を所望の温度に温度調節するために金属組立体160と熱的接触している。温度調節機器162は、コントローラ150からの制御信号164によって制御される。
【0084】
第3のチャンバ185(存在する場合)は、例えば、第2のチャンバ105または第1のチャンバ103の体積の0.1~10倍の範囲にある体積を有し得る。よって、第3のチャンバ185は図1では正確な縮尺率ではない。第3のチャンバ185には、示されないメッシュフィルタまたは金属メッシュ、例えば、編まれたワイヤメッシュフィルタが詰められている場合がある。第3のチャンバ185が、装置100の任意選択の特徴であり、かつ本発明の他の実施形態にはない場合があることは留意されるべきである。
【0085】
図1に示されるように、試料室103は蓋104によって閉鎖されている。試料101を第1のチャンバ103に装填するために、蓋104がユーザによって取り外され得る。
【0086】
図2は、本発明の一実施形態による、固体試料の体積を測定するための装置の具現を分解斜視図で示している。図1および図2における構造および/または機能が類似している要素は、最初の桁のみが異なっている参照符号で標示されている。1つの特定の実施形態において詳細に説明されていない1つの要素の説明は、別の実施形態または図の文脈におけるこの対応する要素の説明から得ることができる。
【0087】
装置200は、不可視の第1のチャンバを包含する第1の金属部分210と、不可視の第2のチャンバを包含する第2の金属部分206と、不可視の第3のチャンバを包含する第3の金属部分208とを含む金属組立体202を備える。その点で、第1の金属部分210は、(組み立てられた装置200において)側部平面で第2の金属部分206の側部平面に取り付けられ、または第2の金属部分206の別の側部平面は、第3の金属部分208の側部平面に取り付けられる。それによって、第1の金属部分、第2の金属部分、および第3の金属部分は、一連となって配置される。
【0088】
第1の金属部分210に接続される係合部分214によって係合するまたは解除するためのフック216を含む蓋204を捻るまたは回すことを可能にするグリップ部212を含む、第1の金属部分210に包含される第1のチャンバを閉鎖するための蓋204も図2に示されている。
【0089】
図2において見ることができるように、ガス経路のいくつかまたは全ては、金属部分210、206、208内の孔によって実現されている。例えば、第1のガス経路207、第2のガス経路217、および第6のガス経路271は、一部分が孔として示されている。さらに、弁が金属組立体202の外面に取り付けられていることが図2から分かる。とりわけ、例えば、第2の弁219(または別の弁)は、第3の金属部分208の外面に表面取り付けされている。第3の金属部分208は、プレート222で覆われ得る。第1の弁209、第3の弁227、第4の弁235、および/または第5の弁251(またはその他)は、第2の金属部分の外面に取り付けられ得る。さらに図2から分かるように、シールリング218によって、組み立てられた時の異なるコンポーネントの間に気密接続が提供される。3つの金属部分210、206、208は例えば、ボルト220を使用して互いに取り付けられ得る。さらに、圧力センサまたは圧力変換器223が示され、さらに、金属組立体に表面取り付けされる。
【0090】
本発明の実施形態は、第3のチャンバを包含する第3の金属部分208を含んでも含まなくてもよい。
【0091】
通常の固体が測定される時、第2の測定モードが採用され得、この場合、最初に、第2のチャンバ105(または任意選択でさらに他の第2のチャンバ106)にガスが充填される。その後、(第2の測定モードに関連している)第1の圧力を測定後、ガスは、第1のチャンバ、すなわち試料室内へと膨張し得る。
【0092】
発泡体または類似のタイプの材料が測定される場合、第1の測定モードが採用され得る。よって、第1のチャンバは最初に加圧され、すなわちガスが充填されることによって、いずれかのチャンバの機能と取り替えられ得る。それによって、圧力変換器は、第1のチャンバ上に保持され得るが、試料を第1のチャンバと第2のチャンバとの間で取り替える場合があり、それによって、両方のチャンバに提供される開かれたアクセスが求められる。
【0093】
以下に、固体試料の体積の測定のための器具または装置のいくつかの特性について説明する。
【0094】
装置は、1つのチャンバ、すなわち、第1のチャンバ(または試料室)のみに開かれたアクセスを有し得る。
【0095】
装置は、外部接続を再構成せずにいずれの方向にしても(すなわち固定されずに)ガスを通すことができる(すなわち、ガス入力部は常にガス入力部であり得、通気孔は常に通気孔であり得る)。
【0096】
装置は、粉末、非粉末、および発泡体に最適であるように内部ガス経路を自己構成し得る。
【0097】
装置は、複数の基準体積を含み得、これらの全てがいずれの方向にしても使用され得る。
【0098】
装置は、方向および試料室体積に基づいて自動的に呼び出される複数の体積較正値を保有し得る。
【0099】
試料の体積を導出するために、周囲圧力も利用され得る。周囲圧力は例えば、弁の動作によってガス吸い込み部159を圧力センサ123、223と連通させることによって測定され得、この場合、ガス吸い込み部159は大気圧にある。
【0100】
周囲圧力は例えば、(例えば、第1の弁109および/または第2の弁119および/またはガス供給弁179を除いて)全ての弁を開放し、かつ圧力センサ123、223によって圧力を測定することによって測定され得る。実験を評価しかつ試料の体積を導出するために、理想気体の法則が使用され得る。ガス分子量が膨張前後にシステムにおいて一定であるため、ボイル-マリオットの法則が未知の試料の体積Vsを計算するために利用され得、未知の試料の体積は(例えば、第1の測定モードについて)、Vs=Vc-(Va/(P1/P2-1))として計算され得、式中、P1は(例えば、第1の測定モードに関連している)第1の圧力であり、P2は(例えば、第1の測定モードに関連している)第2の圧力であり、Vcは第1のチャンバの体積であり、Vaは第2のチャンバの体積である。
【0101】
第1の測定モードは、例えば、発泡体の分析により良く適合され得る。しかしながら、第1の測定モードにおいて微粉末を測定することは、器具の汚染のリスクがある場合がある。対照的に、微粉末に適用される第2の測定モードを使用することによって、汚染のリスクが低くなる場合がある。
【0102】
本発明の実施形態は、ガス比重瓶法による測定の両方向(最初に試料の体積または最初に基準体積)を支持する器具または装置を提供し、ユーザは単一の分析に使用したいのはどの方向かを決定し得る。
【0103】
第1の測定モードに使用されるシーケンスは下記の通りであってよい。第3の弁127および第4の弁135を開放することによって、第1のチャンバと第2のチャンバとの間で圧力を等しくする。第3の弁127および第4の弁135を閉鎖する。目標圧力が得られるまで第1の弁109および第3の弁127を開放する。第1の弁109を閉鎖し、安定した圧力値を記録する。第4の弁135、必要に応じて第7の弁155を開放し、安定した圧力値を記録する。未知の試料の体積を計算し、第6の弁153を開放することによってシステムを通気する。
【0104】
第2の測定モードによる測定について、下記のシーケンスが使用され得る。第3の弁127および第4の弁135を開放することによって、第1のチャンバと第2のチャンバとの間で圧力を等しくする。目標圧力が得られるまで、第2の弁119および第4の弁135、必要に応じて第7の弁155を開放する。第2の弁119を閉鎖し、安定した圧力値を記録する。第3の弁127を開放し、安定した圧力値を記録する。未知の試料の体積を計算し、第5の弁151を開放することによってシステムを通気する。
【0105】
従来のピクノメータと比較した場合の利点は、ユーザが、現在の試料に最も適合する測定方法の方向を選択し得ることであり得る。
【0106】
実施形態の1つの特性は、一方弁も使用され得るように流体経路図が設計されることである。一方弁は一方向のみが密閉されている。従って、それらの入力側は関連したチャンバ体積に面する必要がある場合がある。第2の弁119および第1の弁109が、圧力が与えられた後にそれらの弁座にわたって漏れることを防止するために、第8の弁157は出口側から大気に通気するために使用可能である。システムはまた、他の実施形態によると、双方向弁を使用して設計または実装可能である。いくつかの実施形態において、第8の弁157は必要とされない場合がある。
【0107】
「備える」という用語が他の要素または段階を除外せず、冠詞「a」または「an」が複数を除外しないことは留意されるべきである。また、異なる実施形態と関連して説明される要素は組み合わせられ得る。
【0108】
本発明の実装形態は、図に示されかつ上述された好ましい実施形態に限定されない。むしろ、基本的に異なる実施形態の場合でも、示される解決策および本発明による原理を使用する多様な変形例が可能である。
図1
図2