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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】フェイスマスク
(51)【国際特許分類】
   A45D 44/22 20060101AFI20231212BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231212BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20231212BHJP
   A61K 8/26 20060101ALI20231212BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20231212BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
A45D44/22 C
A61Q19/00
A61K8/02
A61K8/26
A61K8/81
A61K8/19
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018212066
(22)【出願日】2018-11-12
(65)【公開番号】P2020079207
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村木 健太郎
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0069314(KR,A)
【文献】特表2016-525525(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1868113(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1338671(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 44/00-44/22
A61Q 19/00
A61K 8/02- 8/81
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
美容や肌の手入れに用いるフェイスマスクにおいて、
前記フェイスマスクは、肌に接する側から保水層、光沢層、保護層から構成され、
前記保水層は密度が50g/m である不織布を用いてなり、
前記光沢層は、厚みが7μm~30μmであり、アルミニウム箔、アルミニウム蒸着ポリエチレン、スズ蒸着ポリエチレンテレフタレート、アルミニウムを含むコーティング層を表面に有するポリエチレンテレフタレートのいずれかを用いてなり、
前記保護層は、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、アイオノマーのいずれかを用いてなり、
前記保護層の曲げ剛性率は、10~150MPaの範囲であることを特徴とするフェイスマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェイスマスクに関するものである。特に美容や肌の手入れに用いる、フェイスマスクのうち、表面に光沢を有し適度な柔軟性を有するフェイスマスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
美容や肌の手入れを目的として、化粧水や保湿成分を直接肌に接触させ、有効成分を肌に吸収させることできるフェイスマスクは、様々なタイプのものが商品化され、市場に出回っている。
【0003】
特許文献1には、フェイスマスクとして、化粧料を含浸する含浸層、および含浸層に積層される非含浸層を備えるものである。しかしながら、フェイスマスクの商品としての美観や、使用した際の使用感を左右する柔軟性については、特段の顧慮がなされたものではなかった。
【0004】
たとえば、商品としての高級感を光沢を付与するなどして考慮した場合には、光沢層の保護などを目的として、押し出しの樹脂層を設ける場合があり、その結果硬さが出てしまい、装着時のフィット感を損ねるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-275222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、光沢を有して美観に優れ、かつ適度な柔軟性を有して装着時のフィット感に優れるフェイスマスクを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、
美容や肌の手入れに用いるフェイスマスクにおいて、
フェイスマスクは、肌に接する側から保水層、光沢層、保護層から構成され、
保水層は密度が50g/m である不織布を用いてなり、
光沢層は、厚みが7μm~30μmであり、アルミニウム箔、アルミニウム蒸着ポリエチレン、スズ蒸着ポリエチレンテレフタレート、アルミニウムを含むコーティング層を表面に有するポリエチレンテレフタレートのいずれかを用いてなり、
保護層は、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、アイオノマーのいずれかを用いてなり、
この保護層の曲げ剛性率は、10~150MPaの範囲であることを特徴とするフェイ
スマスクである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、樹脂層の曲げ剛性率が、10~150MPaの範囲であることによって、光沢層を有して美観に優れ、かつ適度な柔軟性を有して装着時のフィット感に優れるフェイスマスクを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明に係るフェイスマスクの基本構成を説明するための、部分断面模式図である。
図2図2は、本発明に係るフェイスマスクの実施例1を説明するための、部分断面模式図である。
図3図3は、本発明に係るフェイスマスクの実施例2を説明するための、部分断面模式図である。
図4図4は、本発明に係るフェイスマスクの実施例3を説明するための、部分断面模式図である。
図5図5は、本発明に係るフェイスマスクの実施例4を説明するための、部分断面模式図である。
図6図6は、本発明に係るフェイスマスクの比較例1を説明するための、部分断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を図1図6を参照しながら、更に詳しい説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって限定されるものである。
【0011】
図1は、本発明に係るフェイスマスクの基本構成を説明するための、部分断面模式図である。
【0012】
本発明は、美容や肌の手入れに用いるフェイスマスク(4)に関するものである。このフェイスマスク(4)は、肌に接する側から保水層(1)、光沢層(2)、保護層(3)から構成される。
【0013】
このうち、保水層(1)は不織布を用いてなる。保水層(1)が不織布であることによって、美容や肌の手入れのための成分を含む化粧水などの液体をフェイスマスク中に保持しておくことができ、フェイスマスクとしての使用時には、美容や肌の手入れのための成分を、肌の表面に満遍なくいきわたらせることができる。
【0014】
また、光沢層(2)は、金属光沢の意匠性を表現するために、金属箔、または金属蒸着フィルム、または金属を含むコーティング層を表面に有するフィルムを用いてなる。この金属には、たとえばアルミニウム、スズ、などの金属を用いることができる。
【0015】
金属箔であれば、たとえばアルミニウム、スズなどの金属箔を層として積層して用いることができる。
【0016】
また、金属蒸着フィルムであれば、たとえばアルミニウム、スズなどの金属を、プラスチックフィルムの表面に真空蒸着をして被膜形成したものを用いることができる。
【0017】
また金属を含むコーティング層を表面に有するフィルムは、たとえばアルミニウムやスズなどの金属の微粒子を、インキ化あるいは塗料化して、印刷手法やコーティング手法を用いてプラスチックフィルムの表面に塗膜形成して用いることができる。
【0018】
また、保護層(3)は樹脂層を用いてなるものである。本発明は、この樹脂層の曲げ剛性率が、10~150MPaの範囲であることを特徴とする、フェイスマスク(4)である。我々は、本発明を鋭意検討した結果、曲げ剛性率が、10~150MPaの範囲であることによって、フェイスマスク(4)として光沢層を有して美観に優れ、かつ適度な柔軟性を有して装着時のフィット感に優れるフェイスマスク(4)を実現することが可能であることを見出した。
【0019】
本発明においては、樹脂層の曲げ剛性率が、10~150MPaの範囲であるが、この範囲を超える場合には、フェイスマスクは硬い感じであって、装着時にごわつく結果となる。また反対に10MPaに満たない場合には、安定したラミネート加工ができなくなり実用は困難である。
【0020】
この樹脂層に用いる樹脂には特段の制限を設けるものでは無いが、たとえばエチレン・メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・メタクリル酸共重合体(EMMA)、アイオノマーなどを用いることができる。
【実施例
【0021】
以下本発明を、実施例および比較例によって更に具体的な説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって限定されるものである。
【0022】
本発明による、実施例1~実施例4、本発明によらない比較例1の評価用サンプルを作成した。評価は保護層(3)すなわち樹脂層の曲げ剛性率、および装着感の2項目について行なった。
【0023】
評価方法は下記のとおりである。
【0024】
<曲げ剛性率>
JIS K7106 によって、測定した。(MPa)
【0025】
<装着感>
モニター10名による官能検査である。
10人中10人の評価が「顔面にフィットした」と回答した場合に〇評価とし、それ以外は×評価とした。
【0026】
<実施例1>
図1は、本発明に係るフェイスマスクの基本構成を説明するための、部分断面模式図である。
また、図2は、本発明に係るフェイスマスクの実施例1を説明するための、部分断面模式図である。
【0027】
保護層(1)として、不織布(10)(50g/m)を用いた。
【0028】
光沢層(2)として、アルミニウム箔(11)(厚さ7μm)を用いた。
【0029】
保護層(3)として、EMMA(12)(厚さ12μm)を用いた
また、不織布(10)アルミニウム箔(11)との接着層として、EMMA(13)(厚さ12μm)を用いた。
【0030】
これらを積層したものを、実施例1の評価サンプルとした。
【0031】
<実施例2>
図1は、本発明に係るフェイスマスクの基本構成を説明するための、部分断面模式図である。
また、図3は、本発明に係るフェイスマスクの実施例2を説明するための、部分断面模式図である。
【0032】
保護層(1)として、不織布(10)(50g/m)を用いた。
【0033】
光沢層(2)として、アルミニウム蒸着ポリエチレン(14)(厚さ30μm)を用いた。
【0034】
保護層(3)として、EVA(15)(厚さ12μm)を用いた
また、不織布(10)と、アルミニウム蒸着ポリエチレン(14)との接着層として、EVA(16)(厚さ12μm)を用いた。
【0035】
これらを積層したものを、実施例2の評価サンプルとした。
【0036】
<実施例3>
図1は、本発明に係るフェイスマスクの基本構成を説明するための、部分断面模式図である。
また、図4は、本発明に係るフェイスマスクの実施例3を説明するための、部分断面模式図である。
【0037】
保護層(1)として、不織布(10)(50g/m)を用いた。
【0038】
光沢層(2)として、スズ蒸着ポリエチレンテレフタレート(17)(厚さ12μm)を用いた。
【0039】
保護層(3)として、EMMA(12)(厚さ12μm)を用いた
また、不織布(10)と、スズ蒸着ポリエチレンテレフタレート(17)との接着層として、EMMA(13)(厚さ12μm)を用いた。
【0040】
これらを積層したものを、実施例3の評価サンプルとした。
【0041】
<実施例4>
図1は、本発明に係るフェイスマスクの基本構成を説明するための、部分断面模式図である。
また、図5は、本発明に係るフェイスマスクの実施例4を説明するための、部分断面模式図である。
【0042】
保護層(1)として、不織布(10)(50g/m)を用いた。
【0043】
光沢層(2)として、アルミニウムを含むコーティング層を表面に有するポリエチレンテレフタレート(18)(厚さ12μm)を用いた。
【0044】
保護層(3)として、アイオノマー(19)厚さ(12μm)を用いた。
また、不織布(10)と、アルミニウムを含むコーティング層を表面に有するポリエチレンテレフタレート(18)との接着層として、接着剤(20)を用いてラミネートした。
【0045】
これらを積層したものを、実施例4の評価サンプルとした。
【0046】
<比較例1>
図1は、本発明に係るフェイスマスクの基本構成を説明するための、部分断面模式図である。
また、図6は、本発明に係るフェイスマスクの比較例1を説明するための、部分断面模式図である。
【0047】
保護層(1)として、不織布(10)(50g/m)を用いた。
【0048】
光沢層(2)として、アルミニウム箔(5)(厚さ7μm)を用いた。
【0049】
保護層(3)として、LDPE(21)(厚さ12μm)を用いた
また、不織布(10)アルミニウム箔(11)との接着層として、LDPE(22)(厚さ12μm)を用いた。
【0050】
これらを積層したものを、比較例1の評価サンプルとした。
【0051】
評価結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
表1に示す結果から明らかなように、本発明による実施例1~実施例4が曲げ剛性率10~150MPaの範囲であって、装着感の評価は全て〇評価である。これに対し、曲げ剛性率において本発明の範囲を逸脱している比較例1は装着感の評価において×評価であり、差が見られる。
【0054】
このように、本発明によれば、光沢を有して美観に優れ、かつ適度な柔軟性を有して装着時のフィット感に優れるフェイスマスクを提供することが可能であることを、検証することができた。
【符号の説明】
【0055】
1・・・保水層
2・・・光沢層
3・・・保護層
4・・・フェイスマスク
10・・・不織布
11・・・アルミニウム箔
12・・・EMMA
13・・・EMMA
14・・・アルミニウム蒸着ポリエチレン
15・・・EVA
16・・・EVA
17・・・スズ蒸着ポリエチレンテレフタレート
18・・・アルミニウムを含むコーティング層を表面に有するポリエチレンテレフタレート
19・・・アイオノマー
20・・・接着剤
21・・・LDPE
22・・・LDPE
図1
図2
図3
図4
図5
図6