(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】空気調和システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/48 20180101AFI20231212BHJP
F24F 11/58 20180101ALI20231212BHJP
F24F 110/12 20180101ALN20231212BHJP
【FI】
F24F11/48
F24F11/58
F24F110:12
(21)【出願番号】P 2019016013
(22)【出願日】2019-01-31
【審査請求日】2021-10-26
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河合 智文
(72)【発明者】
【氏名】島村 豊
(72)【発明者】
【氏名】喜多見 隆一
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-214935(JP,A)
【文献】特開2017-089967(JP,A)
【文献】特開2010-169388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
F24F 110/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アダプタと、室内機を有する空気調和機と、を具備する空気調和システムであって、
前記アダプタは、前記空気調和システムの外部から外気温の予報情報を取得し、
前記室内機は、
外気温の予報値を前記予報情報から抽出し、前記予報値と、予め設定された設定温度に基づいて算出される参照値との比較結果に基づいて、前記空気調和機の運転開始の予約の提案の通知を行
い、
前記通知が受け付けられたか否かを判定し、前記通知が受け付けられなかったと判定した回数に基づいて前記参照値を算出する、
空気調和システム。
【請求項2】
前記室内機は、冷房運転時には、前記予報値が前記参照値より高い場合に前記通知を行う一方で、暖房運転時には、前記予報値が前記参照値より低い場合に前記通知を行う、
請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項3】
前記室内機は、冷房運転時には、前記回数が多くなるほどより大きい値の前記参照値を算出する、
請求項
1に記載の空気調和システム。
【請求項4】
前記室内機は、暖房運転時には、前記回数が多くなるほどより小さい値の前記参照値を算出する、
請求項
1に記載の空気調和システム。
【請求項5】
前記室内機は、さらに、前記予報値と所定の外気温との比較結果に基づいて、前記通知を行う、
請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項6】
前記室内機は、前記回数が所定回数以上となる場合は、前記通知を行わない、
請求項
1に記載の空気調和システム。
【請求項7】
前記室内機は、前記通知が無視された場合、または、前記通知が拒否された場合に、前記通知が受け付けられなかったと判定し、前記通知が無視された場合と前記通知が拒否された場合とで、互いに異なる前記参照値を算出する、
請求項
1に記載の空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和システムにおいて、天気予報の気象情報に基づいて空気調和空間の温度及び湿度の少なくとも一方が所定範囲内になる時刻を予測し、予測時刻をユーザに通知する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、気象情報に基づいた予測時刻がユーザに通知されるだけであり、気象情報に基づいて空気調和機の運転に関する情報を通知することは行われていない。
【0005】
本開示は、ユーザが快適に過ごすことができる空気調和空間を実現するための提案をユーザに対して行うことができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の態様では、空気調和システムは、アダプタと、室内機を有する空気調和機とを有する。前記アダプタは、前記空気調和システムの外部から外気温の予報情報を取得する。前記室内機は、外気温の予報値を前記予報情報から抽出する。そして、前記室内機は、前記予報値と、予め設定された設定温度に基づいて算出される参照値との比較結果に基づいて、前記空気調和機の運転開始の予約の提案の通知を行う。
【発明の効果】
【0007】
開示の態様によれば、ユーザが快適に過ごすことができる空気調和空間を実現するための提案をユーザに対して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例1の空気調和システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施例1のアダプタの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施例1のサーバ装置の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施例1の運転情報データの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施例1の体感温度設定予測モデルの生成または更新に使用される運転情報データの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施例1の空気調和システムの処理を説明するフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施例1の室内機の動作例の説明に供する図である。
【
図8】
図8は、実施例1の外気温予報情報の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施例1の外気温予報情報の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施例1の室内機の動作例の説明に供する図である。
【
図11】
図11は、実施例1の室内機の動作例の説明に供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の技術を図面に基づいて説明する。以下では、同一の構成には同一の符号を付す。
【0010】
[実施例1]
<空気調和システムの構成>
図1は、実施例1の空気調和システムの構成例を示す図である。
図1において、空気調和システム1は、室内機2と、アダプタ3と、ルータ4A,4Bと、サーバ装置5と、中継装置6と、通信端末7と、通信網8とを有する。アダプタ3と中継装置6とは、ルータ4A及び通信網8を介して相互に通信可能である。また、通信端末7と中継装置6とは、ルータ4B及び通信網8を介して相互に通信可能である。
【0011】
室内機2は、室内に配置され、室内の空気を加熱または冷却する空気調和機の一部である。空気調和機は、主に、室内機2と、屋外に配置される室外機(図示省略)とを有する。空気調和機のユーザは、リモコン9の操作により室内機2を遠隔操作することが可能である。リモコン9の一例として、赤外線リモコンまたは電波リモコンが挙げられる。室内機2は、本体2Aと、本体2Aを制御する制御部2Bとを有する。制御部2Bは、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のプロセッサにより実現される。本体2Aは、室内ファン及び室内熱交換器等を備え、室内熱交換器で冷媒と熱交換が行われた室内空気が本体2Aから吹き出されることで、部屋の暖房、冷房、除湿が行われる。また、本体2Aには、室内機2を直接操作可能な操作ボタンが設けられる。また、空気調和機の他の一部である室外機には、室外ファン、室外熱交換器、圧縮機、膨張弁等が備えられている。
【0012】
アダプタ3は、室内機2とルータ4Aとの間を無線通信で接続する通信機能と、室内機2をAI(Artificial Intelligence)制御する制御機能とを有する。アダプタ3は、室内機2毎に設置される。ルータ4Aは、例えばWLAN(Wireless Local Area Network)等を使用して、アダプタ3と無線通信で接続し、アダプタ3と通信網8とを接続する。通信網8の一例として、インターネット等が挙げられる。
【0013】
通信端末7の一例として、ユーザが利用するスマートフォン、タブレット端末等が挙げられる。ルータ4Bは、例えばWLAN等を使用して、通信端末7と無線通信で接続し、通信端末7と通信網8とを接続する。ユーザは、通信端末7を操作することにより、室内機2を操作することが可能である。
【0014】
サーバ装置5は、室内機2を制御するAIの学習モデルを生成する機能、及び、空気調和機の運転情報データを記憶するデータベース等を有する。サーバ装置5は、例えば、データセンタに設置されている。中継装置6は、通信網8に接続され、サーバ装置5と通信する機能を有する。中継装置6は、アダプタ3に適用される学習モデルの生成または更新に使用される運転情報データをアダプタ3から受信し、受信した運転情報データをサーバ装置5へ送信する。また、中継装置6は、サーバ装置5で生成または更新された学習モデルをサーバ装置5から受信し、受信した学習モデルをアダプタ3へ送信する。
【0015】
中継装置6は、第1の中継部6Aと、第2の中継部6Bと、第3の中継部6Cとを有する。第1の中継部6Aは、アダプタ3とサーバ装置5との間で、AI制御に関わる各種データを送信する。例えば、第1の中継部6Aは、アダプタ3から受信した運転情報データをサーバ装置5へ送信するとともに、運転情報データを用いてサーバ装置5が生成または更新した学習モデルをアダプタ3へ送信する。第2の中継部6Bは、ユーザが通信端末7を使用して設定した室内機2の運転条件(冷房/暖房といった運転モードや設定温度等)を取得し、取得した運転条件をアダプタ3経由で室内機2へ送信する。第3の中継部6Cは、通信網8を通して気予報等の外部データを取得し、取得した外部データをサーバ装置5やアダプタ3へ送信する。
【0016】
<アダプタの構成>
図2は、実施例1のアダプタの構成例を示す図である。
図2において、アダプタ3は、第1の通信部11と、第2の通信部12と、記憶部13と、プロセッサ14とを有する。
【0017】
第1の通信部11は室内機2の制御部2Bと通信し、例えばUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)等の通信IF(Interface)により実現される。第2の通信部12はルータ4Aと通信し、例えばWLAN用の通信IFにより実現される。記憶部13は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により実現され、データやプログラム等の各種情報を記憶する。プロセッサ14は、例えばCPU、MPU、MCU等により実現される。
【0018】
記憶部13は、運転情報メモリ13Aと、モデルメモリ13Bと、外部メモリ13Cとを有する。運転情報メモリ13Aは、室内機2から取得された運転情報データを一時記憶する。モデルメモリ13Bは、サーバ装置5から取得した学習モデルを記憶する。外部メモリ13Cは、外部データを記憶する。
【0019】
プロセッサ14は、プロセッサ14における機能ブロックとして、取得部14Aと、送信部14Bと、受信部14Cと、設定部14Dと、予測部14Eとを有する。
【0020】
取得部14Aは、設定温度や室内温度等の運転情報データを、所定の周期で(例えば5分毎に)室内機2から取得する。取得部14Aは、取得した運転情報データを運転情報メモリ13Aに記憶させる。なお、後に
図4を用いて説明するように、運転情報データは、運転情報データの取得年月日であるタイムスタンプを含んでいる。
【0021】
送信部14Bは、運転情報メモリ13Aに記憶された運転情報データを運転情報メモリ13Aから取得し、取得した運転情報データをサーバ装置5へ送信する。
【0022】
受信部14Cは、サーバ装置5から学習モデルを受信し、受信した学習モデルをモデルメモリ13Bに記憶させる。
【0023】
設定部14Dは、モデルメモリ13Bに記憶された学習モデルをモデルメモリ13Bから取得し、取得した学習モデルを予測部14Eに設定する。
【0024】
予測部14Eは、設定部14Dにより設定された学習モデルを用いて室内機2の制御部2Bを制御する。なお、予測部14Eは、学習モデルを用いて室内機2の本体2Aを直接制御しても良い。また、予測部14Eは、学習モデルに基づく制御態様を制御部2Bに送信することにより、制御部2Bを介して本体2Aを間接的に制御しても良い。
【0025】
<サーバ装置の構成>
図3は、実施例1のサーバ装置の構成例を示す図である。
図3において、サーバ装置5は、通信部31と、記憶部32と、プロセッサ33とを有する。通信部31は中継装置6と通信し、例えば通信IFにより実現される。記憶部32は、例えばHDD、ROM、RAM等により実現され、データやプログラム等の各種情報を記憶する。プロセッサ33は、例えばCPU、MPU、MCU等により実現される。
【0026】
記憶部32は、データメモリ32Aと、モデルメモリ32Bとを有する。データメモリ32Aは、アダプタ3から受信された運転情報データを記憶する。モデルメモリ32Bは、サーバ装置5で生成または更新された学習モデルを記憶する。
【0027】
プロセッサ33は、プロセッサ33における機能ブロックとして、受信部33Aと、学習部33Bと、送信部33Cとを有する。
【0028】
受信部33Aは、複数の室内機2のそれぞれに接続された各アダプタ3から運転情報データを受信し、受信した運転情報データをデータメモリ32Aに記憶させる。
【0029】
学習部33Bは、データメモリ32Aに記憶された運転情報データを用いて機械学習を行い、学習結果に基づいて学習モデルを生成または更新する。学習部33Bは、生成または更新した学習モデルをモデルメモリ32Bに記憶させる。学習モデルの一例として、各家庭の空気調和機の運転状況に基づいてユーザの体感温度を予測し、予測した体感温度に応じて空気調和機を制御する「体感温度設定予測モデル」が挙げられる。
【0030】
送信部33Cは、モデルメモリ32Bに記憶されている学習モデルをモデルメモリ32Bから取得し、取得した学習モデルを中継装置6経由でアダプタ3へ送信する。
【0031】
<運転情報データの一例>
図4は、実施例1の運転情報データの一例を示す図である。運転情報データには、例えば、運転状態、運転モード、設定温度、室内温度(室温)、室内湿度、風量、風向、人感センサ、輻射センサ、室内熱交温度、室外温度(外気温)、圧縮機回転数、室外風量、運転電流、室外熱交温度、吐出温度、圧縮機温度、膨張弁開度、放熱器温度、起動失敗履歴、異常停止履歴、応急運転履歴、タイムスタンプ、空気調和機ID、設置場所、施設種類等がある。
【0032】
運転状態は、室内機2の運転のON-OFF状態を示す。運転モードは、室内機2の冷房や暖房等の動作モードを示す。設定温度は、ユーザによって設定された温度であり、室内機2が使用される室内の目標温度を示す。室内温度は、室内機2が使用される室内の実際の温度を示す。室内湿度は、室内機2が使用される室内の実際の湿度を示す。風量は、室内機2から吹き出される室内空気の風量を示す。風向は、室内機2から吹き出される室内空気の風向を示す。人感センサは、室内の人の有無や活動量のセンサによる検出結果を示す。輻射センサは、室内の床や壁の温度の検出結果を示す。室内熱交温度は、室内機2の本体2Aの一部をなす室内熱交換器の温度を示す。室外温度は、室外の実際の温度を示す。圧縮機回転数は、室内機2と冷媒配管で接続される室外機に備えられた圧縮機の運転回転数を示す。室外風量は、室外機に備えられる室外ファンによって生成される風量を示す。運転電流は、例えば、室内機2及び室外機等の空気調和機全体の運転電流を示す。室外熱交温度は、室外機に備えられる室外熱交換機の温度を示す。吐出温度は、圧縮機から吐出される冷媒の温度を示す。圧縮機温度は、圧縮機底部の温度を示す。膨張弁開度は、室外機に備えられる電子膨張弁の開度を示す。放熱器温度は、圧縮機を駆動制御するパワー半導体の温度を示す。起動失敗履歴は、圧縮機の起動の失敗の履歴を示す。異常停止履歴は、空気調和機の異常停止の履歴を示す。応急運転履歴は、応急運転の実施履歴を示す。タイムスタンプは、各々の運転情報データの取得日時を年月日時分秒で示す。空気調和機IDは、空気調和機を識別するために室内機2に付与されるIDを示す。設置場所は、空気調和機が設置された場所の住所を示す。施設種類は、空気調和機が設置された施設の種類(店舗、飲食店、工場等)を示す。
【0033】
図4に示す各運転情報データは、家庭用または業務用といった空気調和機の用途に応じて使い分けられる。家庭用の空気調和機に使用される運転情報データとしては、例えば、運転状態、運転モード、設定温度、室内温度、室内湿度、風量、風向、人感センサ、輻射センサ、タイムスタンプ、空気調和機ID、設置場所等がある。家庭用の空気調和機では、快適性や省エネ性を追求して、AIを用いて操作や提案が行われるため、例えば、設定温度、運転モード、室内や周囲環境等が家庭用に必要なデータとなる。
【0034】
一方で、業務用の空気調和機に使用される運転情報データとしては、例えば、運転状態、運転モード、設定温度、室内温度、室内湿度、風量、風向、人感センサ、輻射センサ、室内熱交温度、室外温度、圧縮機回転数、室外風量、運転電流、室外熱交温度、吐出温度、圧縮機温度、膨張弁開度、放熱器温度、起動失敗履歴、異常停止履歴、応急運転履歴、タイムスタンプ、空気調和機ID、設置場所、施設種類等がある。業務用の空気調和機では、AIが各機器の故障やメンテナンスの必要性を予測する。例えば、業務用の空気調和機では、空気調和機内の各部品の運転状況や履歴が蓄積され、蓄積された運転状況や履歴に基づいて、AIが各部品の故障時期を予測する。なお、空気調和機に備えられる圧縮機やファンモータについては、空気調和機の停止中運転情報データが発生しないため、例えば、圧縮機回転数、室外風量、運転電流及び室外熱交温度のデータは空気調和機の停止中には取得しなくても良い。
【0035】
学習モデルが例えば体感温度設定予測モデルの場合、体感温度設定予測モデルの生成または更新には、設定温度、室内温度、室内湿度、室外温度等の時系列の運転情報データが使用される。
図5は、実施例1の体感温度設定予測モデルの生成または更新に使用される運転情報データの一例を示す図である。体感温度設定予測モデルに使用される運転情報データは、
図5に示すように、季節に応じて異なる。例えば、冬季の体感温度設定予測モデルでは、設定温度、室内温度、室内湿度及び室外温度等が使用される。一方で、夏季の体感温度設定予測モデルでは、冬季に使用される運転情報データに加えて、例えば、風量と人感センサの検出データ(人の有無や活動量)が使用される。
【0036】
<空気調和システムの処理・動作>
図6は、実施例1の空気調和システムの処理を説明するフローチャートである。
図7、
図10及び
図11は、実施例1の室内機の動作例の説明に供する図である。
図8及び
図9は、実施例1の外気温予報情報の一例を示す図である。以下では、24時間制で時刻を表記する。
【0037】
本実施例では、現在時刻よりも後の時刻に空気調和機の運転を開始する予約(以下では「運転開始予約」と呼ぶことがある)のユーザへの提案の通知(以下では「予約提案通知」と呼ぶことがある)を、1年のうち、夏季の所定期間(以下では「夏季所定期間」と呼ぶことがある)、及び、冬季の所定期間(以下では「冬季所定期間」と呼ぶことがある)にだけ実行するものとしている。なお、夏季所定期間の一例として毎年6月1日~9月30日の4ヶ月の期間が挙げられ、冬季所定期間の一例として毎年12月1日~3月31日の4ヶ月の期間が挙げられる。
【0038】
また、
図6に示すフローチャートは、毎年、夏季所定期間が始まる日時、及び、冬季所所定期間が始まる日時に開始される。例えば夏季所定期間が毎年6月1日~9月30日である場合は、
図6に示すフローチャートは、毎年、6月1日の12時00分に開始され、9月30日の23時59分まで実行される。また例えば冬季所定期間が毎年12月1日~3月31日である場合は、
図6に示すフローチャートは、毎年、12月1日の12時00分に開始され、3月31日の23時59分まで実行される。
【0039】
また、本実施例では、予約提案通知を行う時刻(以下では「予約提案通知時刻」と呼ぶことがある)、及び、運転開始予約により空気調和機の運転を開始する推奨の時刻(以下では「運転開始推奨時刻」と呼ぶことがある)は、制御部2Bに予め定められている。例えば、運転開始推奨時刻が夕方の17時00分に定められている場合は、ユーザが予約提案通知を運転開始推奨時刻の当日の昼に確認しやすい昼休みの時間帯である12時00分に予約提案通知時刻が定められている。また例えば、運転開始推奨時刻が朝の6時00分に定められている場合は、ユーザが予約提案通知を運転開始推奨時刻の前日の夕方に確認しやすい帰宅後の時間帯である18時00分に予約提案通知時刻が定められている。
【0040】
図6において、ステップS101では、室内機2の制御部2Bは、現在時刻が第1の予約提案通知時刻である12時00分であるか否かを判定する。以下では、1日に最大2回行われる可能性がある予約提案通知のうち、12時00分に行われる予約提案通知を「12時提案通知」と呼ぶことがある。現在時刻が12時00分である場合は(ステップS101:Yes)、処理はステップS103へ進み、現在時刻が12時00分でない場合は(ステップS101:No)、処理はステップS105へ進む。
【0041】
ステップS103では、制御部2Bは、運転開始推奨時刻を第1の運転開始推奨時刻である17時00分に設定する。
【0042】
一方で、ステップS105では、制御部2Bは、現在時刻が第2の予約提案通知時刻である18時00分であるか否かを判定する。以下では、1日に最大2回行われる可能性がある予約提案通知のうち、18時00分に行われる予約提案通知を「18時提案通知」と呼ぶことがある。現在時刻が18時00分である場合は(ステップS105:Yes)、処理はステップS107へ進み、現在時刻が18時00分でない場合は(ステップS105:No)、処理はステップS101に戻る。
【0043】
ステップS107では、制御部2Bは、運転開始推奨時刻を第2の運転開始推奨時刻である6時00分に設定する。
【0044】
次いで、ステップS109では、制御部2Bは、以下で
図7を用いて説明するように、運転開始予約が室内機2に設定されているか否かと、運転開始予約により空気調和機の運転が開始される時刻(以下では「予約運転開始時刻」と呼ぶことがある)が所定時間内にあるか否かとを判定する。ユーザは、例えばリモコン9を用いて、任意の予約運転開始時刻を制御部2Bに設定可能である。制御部2Bは、例えば
図7に模式的に示したロジックで、ステップS109における判定を行う。
【0045】
図7に示すように、運転開始推奨時刻が第2の運転開始推奨時刻(6時00分)または第1の運転開始推奨時刻(17時00分)の何れに設定されている場合でも、運転開始予約が設定されていない場合(
図7では、運転開始予約の項目を「設定なし」と表記)、つまり、ユーザによる任意の予約運転開始時刻の設定がない場合、制御部2BはステップS109で“OK”と判定し、処理はステップS111へ進む。
【0046】
また、運転開始推奨時刻が第2の運転開始推奨時刻(6時00分)に設定され(
図7では、運転開始予約の項目を「設定あり」と表記。以下、同じ)、かつ、予約運転開始時刻が4時00分~8時00分の何れかの時刻に設定されている場合は、制御部2BはステップS109で“NG”と判定し、処理はステップS101に戻る。なお、ここでは、一例として、第2の運転開始推奨時刻である6時00分から±2時間の範囲を、第2の運転開始推奨時刻に対する所定時間の範囲4時00分~8時00分として定めた。
【0047】
また、運転開始推奨時刻が第2の運転開始推奨時刻(6時00分)に設定され、かつ、予約運転開始時刻が4時00分~8時00分以外の何れかの時刻に設定されている場合は、制御部2BはステップS109105で“OK”と判定し、処理はステップS111へ進む。
【0048】
また、運転開始推奨時刻が第1の運転開始推奨時刻(17時00分)に設定され、かつ、予約運転開始時刻が15時00分~19時00分の何れかの時刻に設定されている場合は、制御部2BはステップS109で“NG”と判定し、処理はステップS101に戻る。なお、ここでは、一例として、第1の運転開始推奨時刻である17時00分から±2時間の範囲を、第1の運転開始推奨時刻に対する所定時間の範囲15時00分~19時00分として定めた。
【0049】
また、運転開始推奨時刻が第1の運転開始推奨時刻(17時00分)に設定され、かつ、予約運転開始時刻が15時00分~19時00分以外の何れかの時刻に設定されている場合は、制御部2BはステップS109で“OK”と判定し、処理はステップS111へ進む。
【0050】
このようにしてステップS109の判定を行うのは、以下の理由による。すなわち、ステップS109で“NG”と判定された場合は、運転開始推奨時刻の前後の時刻を予約運転開始時刻とする運転開始予約が既にあるため、ステップS111以降の処理が不要である一方で、ステップS109で“OK”と判定された場合は、運転開始予約はされているものの、予約運転開始時刻が運転開始推奨時刻から離れた時刻であるため、ステップS111以降の処理が必要となるからである。
【0051】
図6に戻り、ステップS111では、制御部2Bは、外気温の予報情報(以下では「外気温予報情報」と呼ぶことがある)から、運転開始推奨時刻(17時00分または6時00分)における外気温の予報値(以下では「外気温予報値」と呼ぶことがある)を抽出する。アダプタ3は、空気調和システム1の外部に設置されているサーバ装置(外気温予報情報を含む気象情報を格納するサーバ装置)から中継装置6及び通信網8を介して、
図8または
図9に示す外気温予報情報を取得する。アダプタ3は、例えば5分毎に外気温予報情報を取得し、取得した外気温予報情報を制御部2Bへ出力する。アダプタ3は、例えば現在日時が2018年12月24日の12時00分~12時59分の範囲にある場合、
図8に示す外気温予報情報FIAを取得する。また、アダプタ3は、例えば現在日時が2018年12月24日の18時00分~18時59分の範囲にある場合、
図9に示す外気温予報情報FIBを取得する。外気温予報情報FIA(
図8)には、2018年12月24日の12時から1時間毎に24時間分の外気温予報値が含まれ、外気温予報情報FIB(
図9)には、2018年12月24日の18時から1時間毎に24時間分の外気温予報値が含まれる。
図8及び
図9において、例えば2018年12月24日の18時の外気温予報値6℃は、2018年12月24日の18時00分~18時59分における外気温予報値を示す。
【0052】
制御部2Bは、ステップS103で運転開始推奨時刻を17時00分に設定した場合は、外気温予報情報FIA(
図8)から、運転開始推奨時刻17時00分における外気温予報値FV1(7℃)を抽出する。また、制御部2Bは、ステップS107で運転開始推奨時刻を6時00分に設定した場合は、外気温予報情報FIB(
図9)から、運転開始推奨時刻6時00分における外気温予報値FV2(0℃)を抽出する。
【0053】
次いで、ステップS113では、制御部2Bは、室温参照値を算出する。
【0054】
ここで、制御部2Bは、後述するステップS119で予約提案通知をユーザに行う度に、予約提案通知がユーザに受け付けられたか否かを判定し、予約提案通知が受け付けられなかったと判定した回数に基づいて室温参照値を算出する。制御部2Bは、予約提案通知がユーザによって無視された場合、または、拒否された場合に、予約提案通知がユーザに受け付けられなかったと判定する。また、制御部2Bは、予約提案通知がユーザによって承諾された場合に、予約提案通知がユーザに受け付けられたと判定する。以下、本実施例では、予約提案通知が受け付けられなかった場合の一例として、予約提案通知が無視された場合について説明する。
【0055】
制御部2Bは、後述するステップ119で予約提案通知を行う度に、別途
図10に模式的に示したロジックで、予約提案通知が承諾されたか、または、予約提案通知が無視されたかを判定する。
【0056】
図10に示すように、制御部2Bは、後述するステップS119で18時提案通知を行ってから現在時刻が第2の運転開始推奨時刻(6時00分)になるまでの間に、予約運転開始時刻が4時00分~8時00分の範囲の時刻である新たな運転開始予約が室内機2に設定された場合は(
図10では、運転開始予約の項目に「設定あり」と表記。以下、同じ)、18時提案通知が承諾されたと判定する。
【0057】
また、制御部2Bは、後述するステップS119で18時提案通知を行ってから現在時刻が第2の運転開始推奨時刻(6時00分)になるまでの間に、予約運転開始時刻が4時00分~8時00分以外の範囲の時刻である新たな運転開始予約が室内機2に設定された場合は、18時提案通知が無視されたと判定する。
【0058】
また、制御部2Bは、後述するステップS119で12時提案通知を行ってから現在時刻が第1の運転開始推奨時刻(17時00分)になるまでの間に、予約運転開始時刻が15時00分~19時00分の範囲の時刻である新たな運転開始予約が室内機2に設定された場合は、12時提案通知が承諾されたと判定する。
【0059】
また、制御部2Bは、後述するステップS119で12時提案通知を行ってから現在時刻が第1の運転開始推奨時刻(17時00分)になるまでの間に、予約運転開始時刻が15時00分~19時00分以外の範囲の時刻である新たな運転開始予約が室内機2に設定された場合は、12時提案通知が無視されたと判定する。
【0060】
また、制御部2Bは、後述するステップS119で18時提案通知を行ってから現在時刻が第2の運転開始推奨時刻(6時00分)になるまでの間に新たな運転開始予約が室内機2に設定されない場合は(
図10では、運転開始予約の項目に「設定なし」と表記。以下、同じ)、18時提案通知が無視されたと判定する。
【0061】
また、制御部2Bは、後述するステップS119で12時提案通知を行ってから現在時刻が第1の運転開始推奨時刻(17時00分)になるまでの間に新たな運転開始予約が室内機2に設定されない場合は、12時提案通知が無視されたと判定する。
【0062】
そして、制御部2Bは、予約提案通知が無視されたと判定した際には、現在日時が夏季所定期間に含まれる場合は、夏季所定期間における無視の回数(以下では「夏季期間無視回数」と呼ぶことがある)をカウントし、現在日時が冬季所定期間に含まれる場合は、冬季所定期間における無視の回数(以下では「冬季期間無視回数」と呼ぶことがある)をカウントする。例えば、夏季所定期間として6月1日~9月30日が制御部2Bに設定されている場合は、制御部2Bは、毎年、6月1日0時0分に夏季期間無視回数のカウントをゼロから開始し、9月30日23時59分に夏季期間無視回数のカウントを終了して夏季期間無視回数をゼロにリセットする。また例えば、冬季所定期間として12月1日~3月31日が制御部2Bに設定されている場合は、制御部2Bは、毎年、12月1日0時0分に冬季期間無視回数のカウントをゼロから開始し、3月31日23時59分に冬季期間無視回数のカウントを終了して冬季期間無視回数をゼロにリセットする。
【0063】
そして、制御部2Bは、
図11に模式的に示した方法で、運転モードと、ユーザにより制御部2Bに予め設定された室温の設定温度(以下では「ユーザ設定温度」と呼ぶことがある)と、夏季期間無視回数または冬季期間無視回数とに基づいて、室温参照値を算出する。ユーザは、例えばリモコン9を用いて、ユーザ設定温度を制御部2Bに設定可能である。
図11における「運転モード」は、空気調和機の運転が停止中である場合は、空気調和機の運転の停止直前の運転モードを示し、空気調和機が運転中である場合は、空気調和機の現在の運転モードを示す。
図11において、温度A1,A2,A3,B1,B2,B3,C1,C2,C3,D1,D2,D3の関係は、「A1<A2<A3」、「B1<B2<B3」、「A3<B1」、「C1<C2<C3」、「D1>D2>D3」、「C3>D1」である。
【0064】
図11に示すように、制御部2Bは、運転モードが「冷房」で、かつ、夏季期間無視回数または冬季期間無視回数が0~1回である場合は、室温参照値を「ユーザ設定温度+A1℃」と算出する。また制御部2Bは、運転モードが「冷房」で、かつ、夏季期間無視回数または冬季期間無視回数が2~3回である場合は、室温参照値を「ユーザ設定温度+A2℃」と算出する。また制御部2Bは、運転モードが「冷房」で、かつ、夏季期間無視回数または冬季期間無視回数が4~5回である場合は、室温参照値を「ユーザ設定温度+A3℃」と算出する。
【0065】
また、制御部2Bは、運転モードが「暖房」で、かつ、夏季期間無視回数または冬季期間無視回数が0~1回である場合は、室温参照値を「ユーザ設定温度-C1℃」と算出する。また制御部2Bは、運転モードが「暖房」で、かつ、夏季期間無視回数または冬季期間無視回数が2~3回である場合は、室温参照値を「ユーザ設定温度-C2℃」と算出する。また制御部2Bは、運転モードが「暖房」で、かつ、夏季期間無視回数または冬季期間無視回数が4~5回である場合は、室温参照値を「ユーザ設定温度-C3℃」と算出する。
【0066】
なお、後述するように、夏季期間無視回数が6回以上である場合は、当該夏季所定期間における予約提案通知は行われず、また、冬季期間無視回数が6回以上である場合は、当該冬季所定期間における予約提案通知は行われない。これは、当該夏季所定期間または当該冬季所定期間に予約提案通知が6回以上無視されるときは、ユーザが予約提案通知そのものを不要であると考えていると判断されるためである。
【0067】
このように、制御部2Bは、運転モードが「冷房」である場合(つまり、冷房運転時)には、夏季期間無視回数が多くなるほどより大きい値の室温参照値を算出し、運転モードが「暖房」である場合(つまり、暖房運転時)には、冬季期間無視回数が多くなるほどより小さい値の室温参照値を算出する。これにより、夏季所定期間では、最初の予約提案通知が無視された場合、つまり、最初の室温参照値ではユーザが冷房運転は不要であると感じている場合は、次回の予約提案通知は、最初の予約提案通知時よりも大きい値の室温参照値になったときになされる。また、冬季所定期間では、最初の予約提案通知が無視された場合、つまり、最初の室温参照値ではユーザが暖房運転は不要であると感じている場合は、次回の予約提案通知は、最初の予約提案通知時よりも小さい値の室温参照値になったときになされる。つまり、室温参照値の算出に夏季期間無視回数及び冬季期間無視回数を考慮することで、ユーザの体感に合った予約提案通知を行うことができる。
【0068】
図6に戻り、次いで、ステップS115では、制御部2Bは、夏季期間無視回数または冬季期間無視回数が6回未満であるか否かを判定する。夏季期間無視回数または冬季期間無視回数が6回未満である場合は(ステップS115:Yes)、処理はステップS117へ進み、夏季期間無視回数または冬季期間無視回数が6回以上である場合は(ステップS115:No)、ステップS117,S119の処理が行われることなく、当該夏季所定期間または当該冬季所定期間における処理は終了する。つまり、夏季期間無視回数または冬季期間無視回数が6回に達すると、当該夏季所定期間または当該冬季所定期間における予約提案通知はもはや行われない。
【0069】
なお、ステップS115の処理を、ステップS111の処理とステップS113の処理との間に行っても良い。すなわち、夏季期間無視回数または冬季期間無視回数が6回未満である場合は(ステップS115:Yes)、処理はステップS113へ進み、夏季期間無視回数または冬季期間無視回数が6回以上である場合は(ステップS115:No)、ステップS113,S117,S119の処理が行われることなく、処理はステップS101に戻っても良い。
【0070】
次いで、ステップS117では、制御部2Bは、ステップS111で抽出した外気温予報値と、ステップS113で算出した室温参照値とを比較し、外気温予報値と室温参照値との関係が
図11に示す条件(A)に合致するか否かを判定する。
【0071】
図11において、例えば、制御部2Bは、運転モードが「冷房」であり、かつ、夏季期間無視回数が0~1回である場合は、(A)外気温予報値が室温参照値(ユーザ設定温度+A1℃)より高い場合に、条件に合致したと判定する。また例えば、制御部2Bは、運転モードが「冷房」であり、かつ、夏季期間無視回数が2~3回である場合は、(A)外気温予報値が室温参照値(ユーザ設定温度+A2℃)より高い場合に、条件に合致したと判定する。また例えば、制御部2Bは、運転モードが「冷房」であり、かつ、夏季期間無視回数が4~5回である場合は、(A)外気温予報値が室温参照値(ユーザ設定温度+A3℃)より高い場合に、条件に合致したと判定する。このように、制御部2Bは、冷房運転時には、外気温予報値が室温参照値より高い場合に条件に合致したと判定する。
【0072】
また例えば、制御部2Bは、運転モードが「暖房」であり、かつ、冬季期間無視回数が0~1回である場合は、(A)外気温予報値が室温参照値(ユーザ設定温度-C1℃)より低い場合に、条件に合致したと判定する。また例えば、制御部2Bは、運転モードが「暖房」であり、かつ、冬季期間無視回数が2~3回である場合は、(A)外気温予報値が室温参照値(ユーザ設定温度-C2℃)より低い場合に、条件に合致したと判定する。また例えば、制御部2Bは、運転モードが「暖房」であり、かつ、冬季期間無視回数が4~5回である場合は、(A)外気温予報値が室温参照値(ユーザ設定温度-C3℃)より低い場合に、条件に合致したと判定する。このように、制御部2Bは、暖房運転時には、外気温予報値が室温参照値より低い場合に条件に合致したと判定する。
【0073】
図11において、条件(A)は、ユーザが冷房運転時や暖房運転時にユーザ設定温度を自由に選択できる場合に、夏季期間無視回数及び冬季期間無視回数を利用して、ユーザの意図(好み)を最大限反映させた提案通知を行うために定められた条件である。
【0074】
図6に戻り、外気温予報値と室温参照値との関係が
図11に示す何れかの条件(A)に合致する場合には(ステップS117:Yes)、処理はステップS119へ進む。一方で、外気温予報値と室温参照値との関係が
図11に示す何れの条件(A)にも合致しない場合には(ステップS117:No)、ステップS119の処理が行われることなく、処理はステップS101に戻る。
【0075】
ステップS119では、制御部2Bは、ステップS103で運転開始推奨時刻を17時00分に設定した場合は、12時提案通知をアダプタ3に出力する。また、制御部2Bは、ステップS107で運転開始推奨時刻を6時00分に設定した場合は、18時提案通知をアダプタ3に出力する。アダプタ3は、制御部2Bから入力された12時提案通知または18時提案通知を通信端末7へ送信する。12時提案通知を受信した通信端末7のタッチパネル(図示省略)には、例えば「本日の夕方17時の運転開始予約を設定しませんか?」という文章が表示されることにより、ユーザに対して12時提案通知が行われる。また、18時提案通知を受信した通信端末7のタッチパネルには、例えば「明日の朝6時の運転開始予約を設定しませんか?」という文章が表示されることにより、ユーザに対して18時提案通知が行われる。
【0076】
なお、ステップS117では、制御部2Bは、
図11に示す条件(A)に加えて、
図11に示す条件(B)を用い、条件(A)の判定に加えて、ステップS111で抽出した外気温予報値が
図11に示す条件(B)に合致するか否かを判定しても良い。
【0077】
すなわち、
図11において、例えば、制御部2Bは、運転モードが「冷房」であり、かつ、夏季期間無視回数が0~1回である場合は、(A)外気温予報値が室温参照値(ユーザ設定温度+A1℃)より高い場合、または、(B)外気温予報値が所定の外気温B1℃より高い場合に、条件に合致したと判定する。また例えば、制御部2Bは、運転モードが「冷房」であり、かつ、夏季期間無視回数が2~3回である場合は、(A)外気温予報値が室温参照値(ユーザ設定温度+A2℃)より高い場合、または、(B)外気温予報値が所定の外気温B2℃より高い場合に、条件に合致したと判定する。また例えば、制御部2Bは、運転モードが「冷房」であり、かつ、夏季期間無視回数が4~5回である場合は、(A)外気温予報値が室温参照値(ユーザ設定温度+A3℃)より高い場合、または、(B)外気温予報値が所定の外気温B3℃より高い場合に、条件に合致したと判定する。
【0078】
また例えば、制御部2Bは、運転モードが「暖房」であり、かつ、冬季期間無視回数が0~1回である場合は、(A)外気温予報値が室温参照値(ユーザ設定温度-C1℃)より低い場合、または、(B)外気温予報値が所定の外気温D1℃より低い場合に、条件に合致したと判定する。また例えば、制御部2Bは、運転モードが「暖房」であり、かつ、冬季期間無視回数が2~3回である場合は、(A)外気温予報値が室温参照値(ユーザ設定温度-C2℃)より低い場合、または、(B)外気温予報値が所定の外気温D2℃より低い場合に、条件に合致したと判定する。また例えば、制御部2Bは、運転モードが「暖房」であり、かつ、冬季期間無視回数が4~5回である場合は、(A)外気温予報値が室温参照値(ユーザ設定温度-C3℃)より低い場合、または、(B)外気温予報値が所定の外気温D3℃より低い場合に、条件に合致したと判定する。
【0079】
図11に示す条件(B)は、空気調和機の運転モードが「自動」とされている場合、つまり、ユーザがユーザ設定温度を選択できない場合に、ユーザ設定温度を用いることなく、外気温予想値と所定の外気温との比較結果に応じて提案通知を行うために定められた条件である。なお、運転モードが「自動」である場合は、制御部2Bが室温や外気温に基づいて自動的に「冷房」または「暖房」の運転モードを選択することにより空気調和機の運転が行われる。
【0080】
以上のように、実施例1では、空気調和システム1は、アダプタ3と、室内機2とを有する。アダプタ3は、空気調和システム1の外部から外気温予報情報を取得する。室内機2は、外気温予報情報から外気温予報値を抽出する。また、室内機2は、ユーザ設定温度に基づいて室温参照値を算出する。そして、室内機2は、抽出した外気温予報値と算出した室温参照値との比較結果に基づいて、予約提案通知を行う。
【0081】
こうすることで、ユーザ設定温度と外気温予報値とを踏まえた上でユーザに対して予約提案通知が行われるため、ユーザが快適に過ごすことができる空気調和空間を実現するための提案をユーザに対して行うことができる。
【0082】
また実施例1では、室内機2は、冷房運転時には、外気温予報値が室温参照値より高い場合に予約提案通知を行う一方で、暖房運転時には、外気温予報値が室温参照値より低い場合に予約提案通知を行う。
【0083】
また実施例1では、室内機2は、冷房運転時には、夏季期間無視回数または冬季期間無視回数が多くなるほどより大きい値の室温参照値を算出し、暖房運転時には、夏季期間無視回数または冬季期間無視回数が多くなるほどより小さい値の室温参照値を算出する。
【0084】
こうすることで、冷房運転が行われる夏季所定期間と、暖房運転が行われる冬季所定期間とのそれぞれの期間に応じて最適な予約提案通知を行うことができる。
【0085】
また実施例1では、室内機2は、予約提案通知が受け付けられたか否か(例えば、予約提案通知が承諾されたか、または、無視されたか)を判定し、予約提案通知が受け付けられなかったと判定した回数に基づいて室温参照値を算出する。
【0086】
また実施例1では、室内機2は、夏季期間無視回数または冬季期間無視回数が所定回数以上(例えば、6回以上)となる場合は、当該夏季所定期間または当該冬季所定期間における予約提案通知を行わない(
図6の「ステップS115:No」を参照)。
【0087】
こうすることで、予約提案通知を受け付けないユーザに対して予約提案通知が繰り返されるという予約提案通知の煩わしさを抑えつつ、適度な予約提案通知を行うことができる。
【0088】
また実施例1では、室内機2は、さらに、外気温予報値と所定の外気温との比較結果に基づいて予約提案通知を行う。
【0089】
こうすることで、空気調和機の運転モードが「自動」である場合でも、ユーザが快適に過ごすことができる空気調和空間を実現するための提案をユーザに対して行うことができる。
【0090】
以上、実施例1について説明した。
【0091】
[実施例2]
実施例2では、室温参照値の算出方法について、実施例1における室温参照値の算出方法とは異なるバリエーションを挙げる。以下では、夏季期間無視回数及び冬季期間無視回数を「無視回数」と総称することがある。
【0092】
<バリエーション1>
制御部2Bは、冷房運転時には式(1)に従って室温参照値を算出し、暖房運転時には式(2)に従って室温参照値を算出する。
室温参照値=[ユーザ設定温度+5+無視回数]℃ …(1)
室温参照値=[ユーザ設定温度-5-(無視回数+1)]℃ …(2)
【0093】
<バリエーション2>
制御部2Bは、冷房運転時には式(3)に従って室温参照値を算出し、暖房運転時には式(4)に従って室温参照値を算出する。式(3),(4)において「最初の室温参照値」とは、現在日時が含まれる1つの夏季所定期間、または、現在日時が含まれる1つの冬季所定期間において最初に算出された室温参照値である。
室温参照値=[最初の室温参照値+無視回数]℃ …(3)
室温参照値=[最初の室温参照値-無視回数×2]℃ …(4)
【0094】
以上のバリエーション1及びバリエーション2に従って室温参照値を算出しても、実施例1と同様に、ユーザ設定温度と外気温予報値とを踏まえた上でユーザに対して予約提案通知が行われるため、ユーザが快適に過ごすことができる空気調和空間を実現するための提案をユーザに対して行うことができる。
【0095】
以上、実施例2について説明した。
【0096】
[実施例3]
実施例1では、予約提案通知がユーザに受け付けられなかった場合の一例として、予約提案通知が無視された場合について説明した。これに対し、実施例2では、予約提案通知がユーザに受け付けられなかった場合の一例として、予約提案通知がユーザに明確に拒否された場合について説明する。以下では、実施例1と異なる点について説明する。
【0097】
<室内機の処理・動作>
図6のステップS119において予約提案通知を受信した通信端末7のタッチパネルには、実施例1で説明した予約提案通知の文章に加えて、予約提案通知をユーザが拒否する意志を明確に示すことを可能にするために、「拒否ボタン」が表示される。タッチパネルに表示された拒否ボタンがタッチされると、通信端末7は拒否応答をアダプタ3へ送信し、アダプタ3は、受信した拒否応答を制御部2Bへ出力する。
【0098】
制御部2Bは、実施例1で説明した無視回数のカウントに加えて、夏季所定期間における拒否応答の回数をカウントすることにより夏季所定期間における拒否の回数(以下では「夏季期間拒否回数」と呼ぶことがある)をカウントするとともに、冬季所定期間における拒否応答の回数をカウントすることにより冬季所定期間における拒否の回数(以下では「冬季期間拒否回数」と呼ぶことがある)をカウントする。例えば、夏季所定期間として6月1日~9月30日が制御部2Bに設定されている場合は、制御部2Bは、毎年、6月1日0時0分に夏季期間拒否回数のカウントをゼロから開始し、9月30日23時59分に夏季期間拒否回数のカウントを終了して夏季期間拒否回数をゼロにリセットする。また例えば、冬季所定期間として12月1日~3月31日が制御部2Bに設定されている場合は、制御部2Bは、毎年、12月1日0時0分に冬季期間拒否回数のカウントをゼロから開始し、3月31日23時59分に冬季期間拒否回数のカウントを終了して冬季期間拒否回数をゼロにリセットする。以下では、夏季期間拒否回数及び冬季期間拒否回数を「拒否回数」と総称することがある。
【0099】
制御部2Bは、冷房運転時には式(5)に従って室温参照値を算出し、暖房運転時には式(6)に従って室温参照値を算出する。式(5),(6)において「最初の室温参照値」とは、現在日時が含まれる1つの夏季所定期間、または、現在日時が含まれる1つの冬季所定期間において最初に算出された室温参照値である。
室温参照値=[最初の室温参照値+拒否回数×3]℃ …(5)
室温参照値=[最初の室温参照値-拒否回数×4]℃ …(6)
【0100】
また、制御部2Bは、冷房運転時には、実施例1または実施例2のようにして算出した室温参照値と、式(5)に従って算出した室温参照値とのうち、値がより大きい室温参照値を、外気温予報値の比較対象として採用する。また、制御部2Bは、暖房運転時には、実施例1または実施例2のようにして算出した室温参照値と、式(6)に従って算出した室温参照値とのうち、値がより小さい室温参照値を、外気温予報値の比較対象として採用する。
【0101】
また、制御部2Bは、無視回数と拒否回数との合計値が所定回数以上(例えば、6回以上)となる場合は、当該夏季所定期間または当該冬季所定期間における予約提案通知を行わない。
【0102】
以上のように、実施例3では、室内機2は、予約提案通知が無視された場合と予約提案通知が拒否された場合とで、互いに異なる室温参照値を算出する。
【0103】
こうすることで、実施例1,2に比べ、ユーザの意志をより反映した予約提案通知を行うことができる。
【0104】
以上、実施例3について説明した。
【0105】
[実施例4]
実施例1では、アダプタ3は、室内機2の運転情報データを中継装置6経由でサーバ装置5へ送信する場合を一例として説明したが、アダプタ3は、運転情報データを中継装置6を経由することなく、直接、サーバ装置5へ送信しても良い。
【0106】
また、図示した各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各構成要素の分散・統合の具体的形態は図示のものに限定されず、各構成要素の全部または一部を、例えば各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0107】
また、制御部2Bまたはアダプタ3での上記説明における各処理の全部または一部は、各処理に対応するプログラムを制御部2Bまたはアダプタ3が有するプロセッサに実行させることによって実現しても良い。例えば、上記説明における各処理に対応するプログラムがメモリに記憶され、プログラムがプロセッサによってメモリから読み出されて実行されても良い。また、プログラムは、任意のネットワークを介して制御部2Bまたはアダプタ3に接続されたプログラムサーバに記憶され、そのプログラムサーバから制御部2Bまたはアダプタ3にダウンロードされて実行されても良い。
【0108】
以上、実施例4について説明した。
【符号の説明】
【0109】
1 空気調和システム
2 室内機
2B 制御部
3 アダプタ