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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】蓄電デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/18 20130101AFI20231212BHJP
   H01G 11/06 20130101ALI20231212BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20231212BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20231212BHJP
   H01G 11/64 20130101ALN20231212BHJP
【FI】
H01G11/18
H01G11/06
H01M10/058
H01M10/0566
H01G11/64
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019037537
(22)【出願日】2019-03-01
(65)【公開番号】P2019153790
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2018038646
(32)【優先日】2018-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三尾 巧美
(72)【発明者】
【氏名】大参 直輝
(72)【発明者】
【氏名】木元 雄輔
(72)【発明者】
【氏名】小松原 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】西 幸二
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-251706(JP,A)
【文献】国際公開第2013/146136(WO,A1)
【文献】特開2008-300523(JP,A)
【文献】特開2007-227231(JP,A)
【文献】特開2010-287488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 11/18
H01G 11/06
H01M 10/058
H01M 10/0566
H01G 11/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極活物質を備える正極と、負極活物質を備える負極と、前記正極と前記負極とに挟まれており且つセルロースからなるセパレータと、前記正極および前記負極に接触するとともにアルカリ金属イオンを含む電解液と、内側で前記電解液に接触するとともに前記電解液を密封する密封体と、を有し、前記正極活物質および前記負極活物質の少なくともいずれか一方が、アルカリ金属イオンを吸蔵可能および放出可能な蓄電デバイスであって、
前記電解液は、カーボネート系有機溶媒およびイミド系リチウム塩を含み、
前記電解液に対するハンセン溶解度パラメータに基づくRED値が1より小さく、かつ、前記密封体の内部空間に設けられた、難燃化機能を発揮する消火剤を備え、
前記消火剤は、エーテル型の非イオン界面活性剤(ただしハロゲン系の界面活性剤を除く)であり、前記電解液に対して0.1質量%以上1質量%以下の濃度である、蓄電デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄電デバイスであって、
前記消火剤は、所定温度以下では、前記正極の動作電位範囲内で電気化学的に安定で、かつ、前記負極の動作電位範囲内で電気化学的に安定な、蓄電デバイス。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の蓄電デバイスであって、
リチウムイオンキャパシタである、蓄電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
アルカリ金属イオンを吸蔵可能および放出可能な活物質を備える蓄電デバイスは、動作電圧が高いことや、エネルギー密度に優れることなど、優れた特性を示すため広く普及している。そして、蓄電デバイスの安全性を向上させるために、検討が重ねられており、蓄電デバイスに多数の試験が行われている。例えば、車両用の蓄電デバイスついては、搭載される車両が火災や交通事故に遭う場合等を想定し、蓄電デバイスの内部短絡を模擬した釘刺し試験および圧壊試験や、蓄電デバイスが外部から加熱されることを模擬した加熱試験が行われている。さらに、蓄電デバイスが、内部短絡を生じた場合や、加熱された場合において、蓄電デバイスの発火する可能性が問題とされる場合がある。そして、蓄電デバイスが発火したときに、発火した蓄電デバイスを消火するための技術が提案されている。例えば、特許文献1には、蓄電デバイスの周囲に消火剤を配置することで、発火した蓄電デバイスを消火する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2013-541131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の技術を用いても、発火した蓄電デバイスを容易に消火できないおそれがあった。例えば、高温で気化しやすい有機溶媒を電解液の溶媒として有する複数の蓄電デバイスの周囲に消火剤を配置したとしても、高温の蓄電デバイスが発火して蓄電デバイスの温度がさらに高まることで、その蓄電デバイスの有する有機溶媒が気化して周囲に拡散し、さらに、この気化した有機溶媒に引火した場合、複数の蓄電デバイスが連鎖的に発火しうる。そして、この様に連鎖的に蓄電デバイスが発火したとき、消火が困難となるため、特許文献1に記載の技術を用いたとしても、容易には消火できないおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、難燃性の高い蓄電デバイスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る蓄電デバイスは、次の手段をとる。まず、本発明の第1の発明は、正極活物質を備える正極と、負極活物質を備える負極と、前記正極と前記負極とに挟まれており且つセルロースからなるセパレータと、前記正極および前記負極に接触するとともにアルカリ金属イオンを含む電解液と、内側で前記電解液に接触するとともに前記電解液を密封する密封体と、を有し、前記正極活物質および前記負極活物質の少なくともいずれか一方が、アルカリ金属イオンを吸蔵可能および放出可能な蓄電デバイスであって、前記電解液は、カーボネート系有機溶媒およびイミド系リチウム塩を含み、前記電解液に対するハンセン溶解度パラメータに基づくRED値が1より小さく、かつ、前記密封体の内部空間に設けられた、難燃化機能を発揮する消火剤を備え、前記消火剤は、エーテル型の非イオン界面活性剤(ただしハロゲン系の界面活性剤を除く)であり、前記電解液に対して0.1質量%以上1質量%以下の濃度である、蓄電デバイスである。
【0007】
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係る蓄電デバイスであって、前記消火剤は、所定温度以下では、前記正極の動作電位範囲内で電気化学的に安定で、かつ、前記負極の動作電位範囲内で電気化学的に安定な、蓄電デバイスである。
【0009】
次に、本発明の第の発明は、上記第1または第2の発明に係る蓄電デバイスであって、リチウムイオンキャパシタである蓄電デバイスである。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明によれば、蓄電デバイスは、消火剤が密封体の内部空間に設けられている。従って、消火剤が蓄電デバイスを難燃化する難燃化機能は、密封体の外部からではなく、内部から発揮できるため、消火剤が蓄電デバイスの難燃性を確実に高めることができる。
【0011】
第2の発明によれば、消火剤は、所定温度以下では、前記正極の動作電位範囲内で電気化学的に安定で、かつ、前記負極の動作電位範囲内で電気化学的に安定である。そこで、消火剤は、安定していると考えることができる。従って、消火剤は、蓄電デバイスの難燃性を経時的に安定して高め、かつ、蓄電デバイスの充放電の過程へ大きな影響を及ぼさない。
【0013】
の発明によれば、蓄電デバイスは、リチウムイオンキャパシタである。一般的にリチウムイオンキャパシタの製造方法に含まれるプレドープの工程では、単体のリチウム金属が使用される。そして、通常では、リチウムイオンキャパシタ内に単体のリチウム金属が残らないように、プレドープの工程が行われている。しかし、リチウムイオンキャパシタの安全性に万全を期すために、万が一、リチウムイオンキャパシタ内に単体のリチウム金属が残ったときや、リチウムイオンキャパシタに内部短絡が生じるときや、リチウムイオンキャパシタが加熱されたときにおいて、リチウムイオンキャパシタの発火の可能性が問題とされる場合がある。この様な場合についても、本発明のリチウムイオンキャパシタは、難燃化機能を発揮する消火剤が密封体の内部空間に設けられているため、発火の可能性が抑止されている。また、従来のように金属リチウムが析出しないようプレドープの工程に時間をかける必要がなくなり、プレドープ工程の時間を短縮できる。

【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施の形態の蓄電デバイスの模式的な分解斜視図である。
図2】第1の実施の形態の蓄電デバイスの斜視図である。
図3図2の蓄電デバイスにおけるIII-III断面の模式的な図である。
図4】第1の実施の形態において、正極板の外観の例を説明する図である。
図5図4の正極板におけるV-V断面図である。
図6】第1の実施の形態において、負極板の外観の例を説明する図である。
図7図6の負極板におけるVII-VII断面図である。
図8】第1の実施の形態において、正極の正極板と、負極の負極板と、セパレータと、電解液と、消火剤との位置関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1の実施の形態(図1図8)]
以下に、本発明を実施するための形態について、リチウムイオンキャパシタを蓄電デバイスの例とし、図面を用いて説明する。図1の分解斜視図に示す様に、本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ1は、複数の板状の正極板11と、複数の板状の負極板21とを備えており、これらは交互に積層されている。各正極板11は一方向に突出する電極端子接続部12bを備える。また、各負極板21も、正極板11の電極端子接続部12bが突出する方向と同一の方向に突出する電極端子接続部22bを備えている。そして、図1に示す様に、正極板11の電極端子接続部12bが突出する方向をX軸方向とし、積層される方向をZ軸方向とし、X軸およびZ軸に直交する方向をY軸方向とする。これらのX軸、Y軸、Z軸は互いに直交している。X軸、Y軸、Z軸が記載されているすべての図において、これらの軸方向は同一の方向を示し、以下の説明において方向に関する記述はこれらの軸方向を基準とすることがある。なお、本実施の形態および以下に説明する実施の形態において、付随的な構成については、その図示および詳細な説明を省略する。
【0016】
<1.リチウムイオンキャパシタ1の全体構造(図1図3)>
リチウムイオンキャパシタ1は、図1に示すように、複数の正極板11と、複数の負極板21と、複数のセパレータ30と、電解液40と、ラミネート部材60とを備えている。また、リチウムイオンキャパシタ1は、後述する包囲体50(図1には図示省略)を備えている。ここで、図1に示す様に、正極板11と負極板21とは交互に積層されており、正極板11と負極板21との間それぞれにセパレータ30が挟まれている。電解液40は、この様に積層された、複数の正極板11の一部と、複数の負極板21の一部と、複数のセパレータ30と共に、2つのラミネート部材60(密封体)に包まれて密封されている。これにより、電解液40は、正極10および負極20に接触しており、ラミネート部材60(密封体)は、電解液40に接触している。後述するが、電解液40は、消火剤を含んでおり、消火剤はリチウムイオンキャパシタ1の難燃性を向上させることができる。
【0017】
複数の正極板11の電極端子接続部12bは、同一方向に突出し、正極端子14に導通している。この正極端子14やこれと接続されている複数の正極板11など、正極端子側を構成する導体部材はまとめて正極10と呼べる。同様に、複数の負極板21の電極端子接続部22bと、負極端子24とは導通しており、この負極端子24やこれと接続されている複数の負極板21など、負極端子側を構成する導体部材はまとめて負極20と呼べる。リチウムイオンキャパシタ1は、その内部に以上の構成を備え、その外観を図2に示した。図2に示すリチウムイオンキャパシタ1のIII-III断面を模式的に図3に示す。図3では、わかりやすくするためにリチウムイオンキャパシタ1内における各部材の間に間隔を開けて図示している。しかし、実際には、正極板11と負極板21とセパレータ30とがほとんど隙間無く積層されている。また、図3に示す様に、積層された、複数の正極板11の一部と、複数の負極板21の一部と、複数のセパレータ30とを囲うように巻かれた長尺のシート状の包囲体50が設けられている。
【0018】
<2.リチウムイオンキャパシタ1の各部について(図1図3図7)>
<2-1.正極板11について(図1図3図5)>
正極板11は、従来のリチウムイオンキャパシタの正極板を用いることができる。すなわち、正極板11は、薄板状の集電体12と、集電体12に塗工されている正極活物質層13とを備えている。集電体12は、Z方向に貫通する複数の孔12cが形成された金属箔で(図5参照)、矩形状の集電部12a(図4参照)と、集電部12aの一端(図4の例では、上辺の左端)から突出する電極端子接続部12bとが一体に形成されている。なお、集電部12aには複数の孔12cが形成されている(図5参照)が、電極端子接続部12bには集電部12aの孔12cと同様の複数の孔が形成されていなくともよく、形成されていてもよい。そして、図1および図4に示す、電極端子接続部12bのY軸方向の幅は適宜変更でき、例えば集電部12aと同じ幅としても良い。また、正極活物質層13は、集電部12aの両面に塗工されているが、塗工されている面はどちらかの片面であってもよい。ここで、集電部12aは、複数の孔12cが形成されているため、電解液40の陽イオンおよび陰イオンが集電部12aを透過できる。
【0019】
集電体12は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、ニッケルからなる金属箔を用いることができる。正極活物質層13は、比表面積が大きく導電性の高い正極活物質と、正極活物質層13の電気伝導性を高めるための導電助剤と、正極活物質の結着および正極活物質と集電体12の集電部12aとを結着させるバインダとを含むものとし、さらに増粘剤等の他の成分を含んでも良い。正極活物質は、例えば、活性炭、カーボンナノチューブ、ポリアセン等を用いることができる。導電助剤は、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、グラファイトの微粒子、グラファイトの微細線維を用いることができる。増粘剤は、例えば、カルボキシルメチルセルロース[CMC]を用いることができる。
【0020】
バインダは、正極を構成する材料を結着するために用いられる。バインダは、接着成分であるポリマーを主成分としている。ポリマーは、ポリフッ化ビニリデン、スチレン-ブタジエンゴム[SBR]、ポリアクリル酸等から選択される。ここで、リチウムイオンキャパシタ1を自動車の車室内に設置するためには、85℃の高温環境における耐熱性が求められる。そのため、ポリマーは電解液40に対するハンセン溶解度パラメータ(HSP)に基づくRED値(相対エネルギー差)が1より大きいことが好ましい。電解液40に対するRED値が1より大きいポリマーは、電解液40に溶解しないため、リチウムイオンキャパシタ1を85℃の高温環境で長時間使用しても内部抵抗の増加率が小さいためである。このようなポリマーとして、ポリアクリル酸が挙げられる。ここでのポリアクリル酸とは、未中和のポリアクリル酸だけでなくポリアクリル酸の中和塩及び架橋したものも含む広義の概念である。ポリアクリル酸は、1種のみでも2種以上を組み合わせて用いてもよい。ポリマーを溶解する溶媒としては、水や有機溶媒を用いることができる。溶媒として水を用いる水系バインダは、製造工程での環境負荷を低減することができるため好ましい。ポリアクリル酸は、水を溶媒として水系バインダを構成することができる点でも好適である。なお、ハンセン溶解度パラメータに基づくRED値の詳しい説明は後述する。
【0021】
バインダは、正極活物質に対して1~10質量%添加するのが好ましい。1質量%未満であると結着力が不足しやすい。一方10質量%を超えると内部抵抗の増加原因となる可能性がある。
【0022】
<2-2.負極板21について(図1図3図6図7)>
負極板21は、従来のリチウムイオンキャパシタの負極板を用いることができる。そして、負極板21は、大まかには上述した正極板11と同様の構造を備えており、薄板状の集電体22と、負極活物質層23とを備えている。負極板21は、正極板11と異なり、リチウムイオンLiを吸蔵可能及び放出可能な負極活物質層23の負極活物質を備える。そして、後述する様に、負極活物質は、製造時にリチウムイオンLiが吸着される(いわゆるプレドープされる)。
【0023】
集電体22は、Z方向に貫通する複数の孔22cが形成された金属箔で(図7参照)、矩形状の集電部22aと、集電部22aの一端(図6の例では、上辺の右端)から外側に突出する電極端子接続部22bとが一体に形成されている。なお、集電部22aには複数の孔22cが形成されているが(図7参照)、電極端子接続部22bには、集電部22aの孔22cと同様の複数の孔が形成されていなくともよく、形成されていてもよい。また、負極活物質層23は、集電部22aの両面に塗工されているが、塗工されている面はどちらかの片面であってもよい。ここで、上述した正極板11と同様に、集電部22aは、複数の孔22cが形成されているため、電解液40の陽イオンおよび陰イオンが集電部22aを透過できる。また、正極板11の電極端子接続部12bと、負極板21の電極端子接続部22bとは、図1に示す様に、重ならないように負極板の面方向に互いに間隔を開けた位置に設けられている。ここで、図1および図6に示す、電極端子接続部22bのY軸方向の幅は適宜変更でき、例えば集電部22aと同じ幅としても良い。
【0024】
集電体22は、正極板11の集電体12と同様に、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅からなる金属箔を用いることができる。負極活物質層23は、リチウムイオンLiを吸着及び脱着可能な負極活物質と、負極活物質の結着および負極活物質と集電体22の集電部22aとを結着させるバインダとを含むものとし、負極活物質層23の電気伝導性を高めるための導電助剤や、増粘剤等、他の成分を含んでも良い。負極活物質は、例えば、グラファイトを用いることができる。導電助剤、バインダ、増粘剤は、上述した正極板11と同様の物質を用いることができる。すなわち、導電助剤に、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、グラファイトの微粒子、グラファイトの微細線維を用いることができる。バインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン、スチレン-ブタジエンゴム[SBR]、ポリアクリル酸を用いることができる。増粘剤は、例えば、カルボキシルメチルセルロース[CMC]を用いることができる。
【0025】
<2-3.セパレータ30について(図1図3)>
セパレータ30は、図1に示す様に、正極板11と負極板21とを隔離し、かつ、電解液40の陽イオンおよび陰イオンが透過できるように多孔質の材料からなり、矩形のシート状に形成されている。セパレータ30の縦横の長さは、正極板11の集電体12の集電部12aの長さ、および、負極板21の集電体22の集電部22aの長さよりも長く設定されている(図1図4図6参照)。セパレータ30は、従来のリチウムイオンキャパシタのセパレータを用いることができ、例えば、ビスコースレイヨンや天然セルロース等の抄紙、ポリエチレンやポリプロピレン等の不織布などを用いることができる。
【0026】
<2-4.電解液40について>
電解液40は、従来のリチウムイオンキャパシタの電解液に、消火剤を加えた溶液である。すなわち、電解液40は、有機溶媒(非水溶媒)と、電解質と、消火剤とを含む。電解液40には、適宜添加剤を添加してもよく、添加剤としては、例えば、ビニレンカーボネート[VC]が挙げられる。
【0027】
有機溶媒として、カーボネート系有機溶媒、ニトリル系有機溶媒、ラクトン系有機溶媒、エーテル系有機溶媒、アルコール系有機溶媒、エステル系有機溶媒、アミド系有機溶媒、スルホン系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、芳香族系有機溶媒を例示できる。溶媒は、一種または二種以上を適宜の組成比で混合して用いることができる。リチウムイオンキャパシタ1に85℃以上の耐熱性をもたせる場合には、有機溶媒も耐熱性を有することが好ましい。ここでカーボネート系有機溶媒として、エチレンカーボネート[EC]やプロピレンカーボネート[PC]やフルオロエチレンカーボネート[FEC]などの環状カーボネート、エチルメチルカーボネート[EMC]やジエチルカーボネート[DEC]やジメチルカーボネート[DMC]などの鎖状カーボネートを例示できる。
【0028】
ここで鎖状カーボネートとして各種の鎖状カーボネートを用いることができるが、リチウムイオンキャパシタ1に85℃以上の耐熱性をもたせる場合には、沸点が低く耐熱性に劣るジメチルカーボネート[DMC]を用いないことが好ましい。すなわち有機溶媒中にジメチルカーボネート[DMC]が含まれる場合、ジメチルカーボネート[DMC]が熱分解してジエチルカーボネート[DEC]となり、その際の分解副産物が内部抵抗の増加や耐熱性の悪化を引き起こすことが懸念される(なおこの推察は本発明を限定するものではない)。そしてリチウムイオンキャパシタ1が高温環境下で使用される可能性を考慮すると、鎖状カーボネートとして、比較的高沸点且つ低粘度のエチルメチルカーボネート[EMC]や、より高沸点のジエチルカーボネート[DEC]を用いることが好ましい。そして耐熱性を向上させる観点から、エチルメチルカーボネート[EMC]とジエチルカーボネート[DEC]を混合して用いることがさらに好ましい。なお有機溶媒中におけるエチルメチルカーボネート[EMC]とジエチルカーボネート[DEC]の比率は特に限定しないが、例えばEMC:DEC=2:1~1:2の範囲に設定できる。
【0029】
また環状カーボネートとして各種の環状カーボネートを用いることができるが、電解液の酸化耐性向上の観点から、SEI(Solid Electrolyte Interface)膜と呼ばれる保護被膜を生成する能力を備えたエチレンカーボネート[EC]を用いることが好ましい。そして環状カーボネートとして、エチレンカーボネート[EC]と他の環状カーボネート(例えばプロピレンカーボネート[PC])を混合して用いる場合には、エチレンカーボネート[EC]を、他の環状カーボネート(例えばプロピレンカーボネート[PC])よりも多く含むことが好ましい。このようにエチレンカーボネート[EC]を相対的に多く含むことで、そのSEI膜生成能力が好適に発揮されて、エチレンカーボネート[EC]が還元分解された後にSEI膜を負極表面に作り、電解液がリチウム(Li)の電位に直接さらされなくなる。
【0030】
またニトリル系有機溶媒として、アセトニトリル、アクリロニトリル、アジポニトリル、バレロニトリル、イソブチロ二トリルを例示できる。またラクトン系有機溶媒として、γ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトンを例示できる。またエーテル系有機溶媒として、テトラヒドロフランやジオキサンなどの環状エーテル、1,2-ジメトキシエタンやジメチルエーテルやトリグライムなどの鎖状エーテルを例示できる。またアルコール系有機溶媒として、エチルアルコール、エチレングリコールを例示できる。またエステル系有機溶媒として、酢酸メチル、酢酸プロピル、リン酸トリメチルなどのリン酸エステル、ジメチルサルフェートなどの硫酸エステル、ジメチルサルファイトなどの亜硫酸エステルを例示できる。アミド系有機溶媒として、N‐メチル‐2‐ピロリドン、エチレンジアミンを例示できる。スルホン系有機溶媒として、ジメチルスルホンなどの鎖状スルホン、3‐スルホレンなどの環状スルホンを例示できる。ケトン系有機溶媒としてメチルエチルケトン、芳香族系有機溶媒としてトルエンを例示できる。そしてカーボネート系有機溶媒を除く上記各種の有機溶媒は、環状カーボネートを混合して用いることが好ましく、特に、SEI膜を生成可能なエチレンカーボネート[EC]と混合して用いることが好ましい。
【0031】
電解質は、陽イオン(カチオン)であるLiイオンと、陰イオン(アニオン)とのリチウム塩を用いる。電解質として、例えば、過塩素酸リチウム[LiClO]、ヘキサフルオロリン酸リチウム[LiPF]、テトラフルオロホウ酸リチウム[LiBF]、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド[LiN(FSO、LiFSI]、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド[LiN(SOCF、LiTFSI]、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド[LiN(SOCFCF、LiBETI]を用いてよく、これらのリチウム塩を1種のみを用いても2種以上を用いてもよい。特に、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド等のイミド系リチウム塩(-SO-N-SO-を部分構造に有するリチウム塩)は、85℃以上の耐熱性を備えているため好ましい。イミド系リチウム塩を電解質として用いた場合、85℃の高温環境でもリチウムイオンキャパシタ1の容量維持率を長時間にわたって高く保つことができる。
【0032】
電解液40中の電解質の濃度は、0.5~10.0mol/Lが好ましい。電解液40の適切な粘度および、イオン伝導度の観点から、電解液40中の電解質の濃度は、0.5~2.0mol/Lがより好ましい。電解質の濃度が0.5mol/Lより少ない場合、電解質が解離したイオンの濃度の低下により、電解液40のイオン伝導度が低くすぎるため好ましくない。また、電解質の濃度が10.0mol/Lより大きいと電解液40の粘度の増加により電解液40のイオン伝導度が低すぎるため好ましくない。
【0033】
消火剤は、難燃化機能を発揮し、電解液40に対するハンセン溶解度パラメータに基づくRED値が1より小さく、所定温度以下では、正極板11の動作電位範囲内で電気化学的に安定で、かつ、負極板21の動作電位範囲内で電気化学的に安定である。ここで、消火剤は、電解液40に対するハンセン溶解度パラメータ(HSP)に基づくRED値が1より小さいため、電解液40に溶解している。ハンセン溶解度パラメータは、Charles M Hansen氏により発表され、ある物質がある物質にどのくらい溶けるのかを示す溶解性の指標として知られている。例えば、一般的に水と油は溶け合わないが、これは水と油の「性質」が違うからである。この溶解性に関する物質の「性質」として、ハンセン溶解度パラメータでは、分散項D、極性項P、水素結合項Hの3つの項目を、物質毎に数値で表す。ここで、分散項Dはファンデルワールス力の大きさを表す値で、極性項Pはダイポール・モーメントの大きさを表す値で、水素結合項Hは水素結合の大きさを表す値である。以下では基本的な考えを説明する。このため、水素結合項Hをドナー性とアクセプター性に分割して扱うこと等の説明を省略する。
【0034】
ハンセン溶解度パラメータ(D,P,H)は、溶解性を検討するために、3次元の直交座標系(ハンセン空間、HSP空間)にプロットされる。例えば、溶液Aおよび固体Bそれぞれハンセン溶解度パラメータは、ハンセン空間上で溶液Aおよび固体Bそれぞれに対応する2つの座標(座標A,座標B)にプロットできる。そして、座標Aと座標Bとの距離Ra(HSP distance, Ra)が短い程、溶液Aと固体Bは互いに似た上記「性質」をもつため溶液Aに固体Bが溶解しやすいと考えることができる。この逆に、この距離Raが長い程、溶液Aと固体Bは互いに似ていない「性質」をもつため、溶液Aに固体Bが溶解しにくいと考えることができる。
【0035】
また、溶液Aに対して、溶解する物質と溶解しない物質との境目となる距離Raを相互作用半径R0とする。従って、溶液Aと固体Bについて、距離Raが相互作用半径R0より小さい場合(Ra<R0)は溶液Aに固体Bが溶解すると考えることができる。一方、このRaが相互作用半径R0より大きい場合(R0<Ra)は溶液Aに固体Bが溶解しないと考えることができる。さらに、距離Raを相互作用半径R0で割った値をRED値(=Ra/Ro)とする。すると、RED値が1より小さい場合(RED=Ra/Ro<1)には、Ra<R0となり、溶液Aに固体Bが溶解すると考えることができる。一方、RED値が1より大きい場合(RED=Ra/Ro>1)には、R0<Raとなり、溶液Aに固体Bが溶解しないと考えることができる。この様に、溶液Aおよび固体Bに関するRED値を元に、固体Bが溶液Aに溶けるか否かを判断できる。
【0036】
ここで、本実施の形態では、溶液Aが電解液40に対応し、固体Bが消火剤に対応する。消火剤は、電解液40に対するハンセン溶解度パラメータに基づくRED値が1より小さいため、電解液40に溶解する。この逆に、電解液40に対するハンセン溶解度パラメータに基づくRED値が1より小さい程度に、電解液40に易溶性を示す消火剤も、ハンセン溶解度パラメータに基づくRED値が1より小さいと考えることができる。
【0037】
ハンセン溶解度パラメータおよび相互作用半径R0は、成分の化学構造及び組成比や、実験結果を用いて算出することができる。その場合、Hansen氏らにより開発されたソフトウエアHSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice:HSPを効率よく扱うためのWindows〔登録商標〕用ソフト)を用いて求めることができる。このソフトウエアHSPiPは、2018年3月5日現在 http://www.hansen-solubility.com/から入手可能である。また、複数の溶媒が混合された混合溶媒の場合等に対しても、ハンセン溶解度パラメータ(D,P,H)を算出することができる。
【0038】
消火剤は、難燃化機能を発揮し、電解液40に対するハンセン溶解度パラメータに基づくRED値が1より小さく、所定温度以下では、正極板11の動作電位範囲内で電気化学的に安定で、かつ、負極板21の動作電位範囲内で電気化学的に安定な、公知の消火剤を用いることができる。ここで、消火剤の難燃化機能とは、リチウムイオンキャパシタ1の温度が所定の温度以上となり、リチウムイオンキャパシタ1の一部が発火し始めたときに、消火作用が働くことで発火を抑制する機能である。このような消火剤としては、例えば非イオン界面活性剤が挙げられる。非イオン界面活性剤は、親油性を備えるため、有機溶媒である電解液40に対し、ハンセン溶解度パラメータに基づくRED値が1より小さい。また、非イオン界面活性剤は、所定温度以下では、正極板11の動作電位範囲内で電気化学的に安定で、かつ、負極板21の動作電位範囲内で電気化学的に安定である。さらに、後述する様に、リチウムイオンキャパシタ1の充放電には、電解液40の陰イオンおよびリチウムイオンLiといったイオンが関与するが、非イオン界面活性剤は、イオンに解離しないため、リチウムイオンキャパシタ1の充放電に関与しない。
【0039】
消火剤として用いる非イオン界面活性剤は、特に限定されないが、エーテル型、エステル型及びエステル・エーテル型からなる群から選択される少なくとも一種を用いることができる。これらの非イオン界面活性剤を、電解液40に対して0.1質量%以上1質量%以下の濃度で用いることができる。非イオン界面活性剤の電解液40に対する濃度が、0.1質量%未満であるならば、難燃化機能が十分に発揮されないため好ましくない。また、非イオン界面活性剤の電解液40に対する濃度が、1質量%を超えると、リチウムイオンキャパシタ1の充放電特性に悪影響を及ぼす虞があるため好ましくない。難燃化機能を良好に発揮するために、非イオン界面活性剤の電解液40に対する濃度が、0.5質量%以上1質量%以下の濃度であることがより好ましい。
【0040】
エーテル型の非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリアルキレンアルキルエーテル等を用いることができる。エステル型の非イオン界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等を用いることができる。エステル・エーテル型の非イオン界面活性剤のとしては、例えば、脂肪酸ポリエチレングリコール、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン等を用いることができる。
【0041】
<2-5.包囲体50について(図3)>
包囲体50は、多孔質の長尺のシート状に形成されている。包囲体50は、図3に示す様に、積層された、正極10の複数の正極板11と、負極20の複数の負極板21と、複数のセパレータ30との外周を囲むように巻かれている。そして、包囲体50は、その材質として、上述したセパレータ30と同様に、従来のリチウムイオンキャパシタのセパレータの材質を用いることができる。包囲体50の材質として、例えば、ビスコースレイヨンや天然セルロース等の抄紙、ポリエチレンやポリプロピレン等の不織布などを用いることができる。
【0042】
<2-6.ラミネート部材60について(図1図3)>
ラミネート部材60は、図3に示すように、心材シート61、外側シート62、内側シート63を備えている。そして、心材シート61の外側となる面に外側シート62が接着され、心材シート61の内側となる面に内側シート63が接着されている。例えば、心材シート61はアルミニウム箔とし、外側シート62はナイロンペットフィルム等の樹脂シートとし、内側シート63はポリプロピレン等の樹脂シートとすることができる。
【0043】
<3.リチウムイオンキャパシタ1の充放電の過程について(図3図8)>
上述した様に、正極板11の集電体12の集電部12aはZ方向に貫通する複数の孔12cを備え、負極板21の集電体22の集電部22aもZ方向に貫通する複数の孔22cを備えることで、電解液40の陰イオン及び陽イオンは、正極板11の集電部12aと負極板21の集電部22aとを透過できる。また、セパレータ30も電解液40の陽イオンおよび陰イオンが透過できるように構成されている。リチウムイオンキャパシタ1の、正極10の正極板11と、負極20の負極板21と、セパレータ30と、電解液40との位置関係を図8に模式的に示した。図8に示す様に、リチウムイオンキャパシタ1は、正極板11と負極板21とが、セパレータ30を間に挟んで向き合う構成となっている。リチウムイオンキャパシタ1は、正極板11の表面では、正極活物質と電解質の陰イオンとで電気二重層を形成し、負極板21では、負極活物質にリチウムイオンLiを吸着及び脱着することで充放電を行う。また、リチウムイオンキャパシタ1の製造時には、負極板21の負極活物質にリチウムイオンLiを吸着させる(プレドープ)。負極活物質にリチウムイオンLiが吸着していることで、正極板11と負極板21との間の電位差が大きくなり、正極板11に形成される電気二重層のエネルギー密度を高めることができる。その結果、リチウムイオンキャパシタ1は、大容量化および高出力化されたものとなる。
【0044】
<4.消火剤の効果について>
一般的に、リチウムイオンキャパシタの製造はプレドープの過程を含んでおり、このプレドープの過程では、負極板21の負極活物質にリチウムイオンLiを吸着させる。そして、一般的にリチウムイオンキャパシタの製造方法に含まれるプレドープの工程では、単体のリチウム金属が使用される。そして、通常では、リチウムイオンキャパシタ内に単体のリチウム金属が残らないように、プレドープの工程が行われている。しかし、リチウムイオンキャパシタの安全性に万全を期すために、万が一、リチウムイオンキャパシタ内に単体のリチウム金属が残ったときや、リチウムイオンキャパシタに内部短絡が生じるときや、リチウムイオンキャパシタが加熱されたときにおいて、リチウムイオンキャパシタの発火の可能性が問題とされる場合がある。この様な場合についても、本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ1は、難燃化機能を発揮する消火剤がラミネート部材60(密封体)の内部空間に設けられているため、発火の可能性が抑止されている。また、従来のように金属リチウムが析出しないようプレドープの工程に時間をかける必要がなくなり、プレドープ工程の時間を短縮できる。
【0045】
また、リチウムイオンキャパシタ1(蓄電デバイス)は、消火剤がラミネート部材60(密封体)の内部空間に設けられている。従って、消火剤がリチウムイオンキャパシタ1(蓄電デバイス)を難燃化する難燃化機能は、ラミネート部材60(密封体)の外部からではなく、内部から発揮できるため、消火剤がリチウムイオンキャパシタ1(蓄電デバイス)の難燃性を確実に高めることができる。
【0046】
また、消火剤は、所定温度以下では、正極10の動作電位範囲内で電気化学的に安定で、かつ、負極20の動作電位範囲内で電気化学的に安定である。そこで、消火剤は、安定していると考えることができる。従って、消火剤は、リチウムイオンキャパシタ1(蓄電デバイス)の難燃性を経時的に安定して高め、かつ、リチウムイオンキャパシタ1(蓄電デバイス)の充放電の過程へ大きな影響を及ぼさない。
【0047】
[第2の実施の形態]
続いて、第2の実施の形態の蓄電デバイス(不図示)について、説明する。本実施の形態もリチウムイオンキャパシタを蓄電デバイスの例として説明する。なお、本実施の形態において、第1の実施の形態で説明したリチウムイオンキャパシタ1と実質的な構成及び作用が同じとなる箇所については、これらと同一の符号を付して説明を省略する。
【0048】
<1.リチウムイオンキャパシタ2の構造>
上述した第1の実施の形態では、消火剤は、電解液40に溶解していた。しかし、消火剤は、ラミネート部材60(密封体)の内部空間に設けられていればよい。本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ2(不図示)に用いられている消火剤(不図示)は、電解液40に対するハンセン溶解度パラメータに基づくRED値が1より小さく、所定温度以下では、正極板11の動作電位範囲内及び負極板21の動作電位範囲内の少なくとも一方で電気化学的に不安定である。また、消火剤として、第1の実施の形態の消火剤と同じ成分の消火剤を用いることもできる。そして、消火剤は、1つ以上の中空状の消火剤収容容器(不図示)の中に密封されている。消火剤収容容器は、電解液40に溶解しないよう形成されており、かつ、単体のリチウム金属(アルカリ金属)の発火点以下の所定温度である放出温度以上で消火剤を外部に漏洩するよう構成されている。リチウムイオンキャパシタ2が加熱され、消火剤収容容器の温度が放出温度以上になると、消火剤が消火剤収容容器から外部に放出され、消火剤が難燃化機能を発揮できるようになる。ここで、上述した様に、消火剤の難燃化機能とは、リチウムイオンキャパシタ2の一部が発火し始めたときに消火作用が働くことで発火を抑制する機能である。
【0049】
消火剤収容容器は、例えば、リチウム金属の発火点以下に設定された放出温度で溶解するよう構成されていてもよいし、消火剤を含む収容物の体積膨張による内部圧力の上昇に起因して破損するよう構成されていてもよい。例えば、消火剤収容容器の内部に消火剤と共に二酸化炭素、窒素やアルゴンなどの不活性ガスを密封し、放出温度以上で消火剤を外部に放出するよう構成してもよい。ここで、消火剤収容容器の形状や材質等の構成および消火剤収容容器内に密封する不活性ガスの量は、消火剤収容容器が所定の放出温度以上になった場合に、不活性ガスが膨張して消火剤収容容器に亀裂が入り、消火剤が不活性ガスと共に消火剤収容容器から外部に漏洩することで消火剤が難燃化機能を発揮できるよう、適宜設定する。また、消火剤は、上述のように発火を防ぐ難燃化機能を生じるものであればよい。窒素、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガスを発生させて、放出温度以上で消火剤を消火剤収容容器の外部に放出するよう構成してもよく、例えば、これらの不活性ガスを発生させる構成、これらの不活性ガスをあらかじめ吸蔵した金属から不活性ガスを放出させる金属吸蔵による構成、これらの不活性ガスの圧縮ガスの熱膨張により放出させる圧縮ガスによる構成とすることができる。これらの構成では、ハロゲン及びリン系難燃化剤の消火剤よりも環境への安全性が高いものとなる。また、上記の構成で、二酸化炭素以外の不活性ガスを放出する構成とすれば、人に対する安全性がより高いものとなる。
【0050】
そして、消火剤収容容器は、図示を省略するが、ラミネート部材60の内側の電解液40が収容されている空間と同じ空間に設けることができ、その大きさや形状は適宜設定できる。また、消火剤収容容器は、大きさによっては電解液40に混ぜることができる。消火剤収容容器は、例えば、直径が数百ナノメートル~数ミリメートル程度の球状のマイクロカプセルにすることができる。また、消火剤収容容器は、他には、長手方向の長さが数ミリメートル~数センチメートル程度で長手方向に直行する方向の最大の幅が数百ナノメートル~数ミリメートル程度の回転楕円体状や多角柱状とすることができる。また、消火剤収容容器は、他には、直径が数ミリメートル~数センチメートル程度で厚みが数百ナノメートル~数ミリメートル程度の円盤状にすることができる。また、消火剤収容容器は、他には、一辺の長さが数ミリメートル~数センチメートル程度で厚みが数百ナノメートル~数ミリメートル程度の薄板状にすることができる。
【0051】
<2.リチウムイオンキャパシタ2の充放電の過程について>
本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ2と、第1の実施の形態のリチウムイオンキャパシタ1(図3参照)との間で、正極10と、負極20と、セパレータ30との構成は同様である。このため、本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ2において、正極10の正極板11と、負極20の負極板21と、セパレータ30と、電解液40との位置関係は、第1の実施の形態のリチウムイオンキャパシタ1(図8参照)と同様である。従って、リチウムイオンキャパシタ2は、リチウムイオンキャパシタ1と同様に、正極板11の表面では、正極活物質と電解液40の陰イオンとで電気二重層を形成し、負極板21では、負極活物質にリチウムイオンLiを吸着及び脱着することで充放電を行う。
【0052】
<3.リチウムイオンキャパシタ2の消火剤について>
本実施の形態のリチウムイオンキャパシタ2は、上述した第1の実施の形態のリチウムイオンキャパシタ1と同様に、消火剤がリチウムイオンキャパシタ2(蓄電デバイス)の充放電の過程へ大きな影響を及ぼすことがない。ここで、消火剤は、リチウム金属の発火点以下の所定の温度(前記アルカリ金属イオンに対応する単体のアルカリ金属の発火点以下の所定の温度)以下では、消火剤収容容器の中に密封された状態を保っている。このため、消火剤は、この所定の温度以下では、電解液40に溶解することはなく、より確実に安定している。従って、消火剤は、リチウムイオンキャパシタ2(蓄電デバイス)の難燃性を経時的に安定して高め、かつ、リチウムイオンキャパシタ2(蓄電デバイス)の充放電の過程へ大きな影響を及ぼさない。
【0053】
[その他の実施の形態]
その他の実施の形態として、例えば、第1および第2の実施の形態では、リチウムイオンキャパシタ1およびリチウムイオンキャパシタ2は、包囲体50を備えているが、包囲体を備えないものとしてもよい。また、第2の実施の形態のリチウムイオンキャパシタ2の消火剤収容容器は、中空状としたが、ラミネート部材60(密封体)の内部空間に設けられ、消火剤を密封するように構成されたものであればよい。例えば、リチウム金属(アルカリ金属イオンに対応する単体のアルカリ金属)の発火点以下の温度で溶解し、かつ、電解液40に溶解しないシートの外周部を、ラミネート部材60の内側シート63の電解液40と接する面に接着させ、このシートと内側シート63との間に消火剤を入れることができる。この場合、このシートと内側シート63が消火剤収容容器を構成する。
【0054】
また、第1および第2の実施の形態では、リチウムイオンキャパシタ1およびリチウムイオンキャパシタ2は、正極板11と負極板21とセパレータ30とを積層した積層型セルであるが、長尺の正極と、長尺の負極と、長尺のセパレータとを捲回した捲回型セルとすることができる。
【0055】
上記の第1および第2の実施の形態の説明では、蓄電デバイスの例としてリチウムイオンキャパシタ1およびリチウムイオンキャパシタ2を説明したが、リチウムイオンキャパシタに限定されず、アルカリ金属イオンを吸蔵できる材料を用いた種々の蓄電デバイスに適用可能である。アルカリ金属としては、標準電極電位が-3.045Vであるリチウム、標準電極電位が-2.714Vであるナトリウム、標準電極電位が-2.925Vであるカリウム等が挙げられる。これらのアルカリ金属を利用する蓄電デバイスは、標準電極電位差が比較的大きくなるように負極に炭素材、正極にアルカリ金属酸化物等を備える。その具体例としては、リチウムイオン2次電池や、リチウムポリマー2次電池や、ナトリウムイオン2次電池や、カリウムイオン2次電池や、全固体電池等、種々の蓄電デバイスが挙げられる。リチウムイオンキャパシタ以外のアルカリ金属を利用する2次電池においても、長期間の使用等によりアルカリ金属のデンドライトが発生し、短絡発火の原因となる。そのため、本開示の技術はアルカリ金属イオンを利用する種々の蓄電デバイスに対して発火を抑制し、安全に保つことが可能である。
【0056】
本発明の蓄電デバイスは、上記の実施の形態にて説明した構造、構成、外観、形状等に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
【0057】
[実施例]
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の範囲に限定されるものではない。
【0058】
<リチウムイオンキャパシタの作成>
[正極の作成]
まず、正極活物質として粉体の活性炭88質量部、バインダとしてポリアクリル酸(ポリアクリル酸のナトリウム中和塩)6質量部、導電助剤としてアセチレンブラック15質量部、溶媒として水345質量部を用いて正極活物質を含む正極用スラリーAを調製した。
【0059】
バインダとしてポリアクリル酸を用いた正極用スラリーAは、以下の手順にて調製した。
(1)全ての材料と水とを、ミキサーa(株式会社シンキー製あわとり練太郎ARE-310)にて混合してプレスラリーを調製した。
(2)(1)で得たプレスラリーを、ミキサーb(プライミクス株式会社製フィルミックス40-L)にて更に混合して中間スラリーを調製した。
(3)(2)で得た中間スラリーを再度ミキサーaで混合して正極用スラリーAを調製した。
【0060】
次に、集電箔として厚み15μmのアルミニウム箔(多孔箔)を用い、正極用スラリーAをそれぞれ集電箔に塗工し、乾燥させて正極Aを作成した。正極用スラリーAの塗布量は、乾燥後の活性炭の質量が3mg/cmとなるように調整した。集電箔への正極用スラリーAの塗工には、ブレードコーターやダイコーターを用いた。
【0061】
[負極の作成]
まず、負極活物質としてのグラファイト95質量部、バインダとしてのSBR1質量部、増粘材としてのCMC1質量部、溶媒としての水100質量部を混合し、以下の手順にて負極用スラリーを調製した。
(1)バインダを除く材料と水とを、ミキサーaにて混合してプレスラリーを調製した。
(2)(1)で得たプレスラリーを、ミキサーbにて更に混合して中間スラリーを調製した。
(3)(2)で得た中間スラリーにバインダを添加し、ミキサーaにて混合して負極用スラリーを調製した。
【0062】
次に、集電箔として厚み10μmの銅箔(多孔箔)を用い、負極用スラリーを集電箔に塗工し、乾燥させて負極を作成した。負極用スラリーの塗布量は、乾燥後のグラファイトの質量が3mg/cmとなるように調整した。集電箔への負極用スラリーの塗工には、ブレードコーターを用いた。
【0063】
[電解液の調製]
エチレンカーボネート(EC)30vol%、ジメチルカーボネート(DMC)30vol%及びエチルメチルカーボネート(EMC)40vol%の混合溶媒に、リチウムビス(フルオロスルホニルイミド)(LiFSI)を1mol/L添加し、電解液Iを調製した。さらに、電解液Iにポリオキシエチレンアルキルエーテルを0.5質量%になるように添加して電解液IAを調製した。ポリオキシエチレンアルキルエーテルの電解液Iに対するハンセン溶解度パラメータに基づくRED値を算出したところ、0.86であった。また、エチレンカーボネート(EC)30vol%、ジメチルカーボネート(DMC)30vol%及びエチルメチルカーボネート(EMC)40vol%の混合溶媒に、リチウムビス(フルオロスルホニルイミド)(LiFSI)を1mol/L添加して電解液IBを調製した。
【0064】
[リチウムイオンキャパシタの組立]
実施例1および比較例1のリチウムイオンキャパシタを、次の手順にて作製した。
(1)正極、負極をそれぞれ打ち抜き、60mm×40mmのサイズの長方形とし、40mm×40mmの塗膜を残して長辺の一端側の20mm×40mmの領域の塗膜を剥ぎ落として集電用タブを取り付けた。
(2)厚さ20μmのセルロース製セパレータを間に介した状態で正極と負極の塗膜部分を対向させて積層体を作製した。
(3)(2)で作製した積層体と、リチウムプレドープ用の金属リチウム箔を厚さ20μmのセルロース製包囲体で囲み、アルミラミネート箔に内包し、電解液を注入し、封止してリチウムイオンキャパシタを作製した。
なお、実施例1のリチウムイオンキャパシタには電解液IAを用い、比較例1のリチウムイオンキャパシタには電解液IBを用いた。
【0065】
<内部抵抗>
リチウムイオンキャパシタにおいて、リチウムプレドープ、充放電、エージングを行った後、常温(25℃)にて、カットオフ電圧:2.2~3.8V、測定電流10Cで内部抵抗を測定し、その内部抵抗比を求めた。内部抵抗比は、比較例1を100%とすると、実施例1は98.1%であった。実施例1と比較例1との間で内部抵抗に有意な差はみられず、消火剤がキャパシタの性能を低下させることがなかった。
【0066】
<釘刺し試験>
リチウムイオンキャパシタに釘を刺し、発火等の有無を観察すると共に、表面温度を測定した。3mm径の釘を80mm/秒の速度でリチウムイオンキャパシタに刺した。釘を刺した位置は、リチウムイオンキャパシタの高さ方向に平行な面積の大きい面で、2つの対角線が交差する位置である。釘を刺した位置から集電用タブ側とは反対側へ10mmの位置の温度を、釘を刺した時点から1時間測定した。
【0067】
釘刺し試験の結果、実施例1は、表面温度の最高値が198℃であり、発火もしなかった。比較例1は、表面温度の最高値が332℃であり、釘を刺した直後にリチウムイオンキャパシタが爆発した。実施例1のリチウムイオンキャパシタは、消火剤を内包することにより難燃化機能を十分に発揮できた。また、実施例1は、表面温度の最高値が198℃となっても、発火もしなかったことから、85℃以上の高温環境でリチウムイオンキャパシタが正常に動作しているときで、さらに釘刺し試験や圧壊試験の状態(自動車事故など)に遭遇したときでさえも、発火しない、安全な状態を保てることが確認できた。
【0068】
<他のリチウムイオンキャパシタの作成>
リチウムイオンキャパシタの高温耐久性を調べるために、バインダ及び電解液を変更した複数のリチウムイオンキャパシタを以下の手順で作成した。なお、基本的な作成方法は上記実施例1と同じであるため、相違点のみを以下に示す。
【0069】
[正極の作成]
下記表1に示される組成にて正極活物質を含む正極用スラリーB及びCを調製した。増粘材としてカルボキシメチルセルロース〔CMC〕を用いた。表1におけるSBRは、スチレン-ブタジエンゴムを示し、「部」は質量部を示し、「%」は質量%を示す。
【0070】
【表1】
【0071】
バインダとしてアクリル酸エステル又はSBRを用いた正極用スラリーBとCとは、以下の手順にて調製した。
(1)バインダを除く材料と水とを、ミキサーaにて混合してプレスラリーを調製した。
(2)(1)で得たプレスラリーを、ミキサーbにて更に混合して中間スラリーを調製した。
(3)(2)で得た中間スラリーにバインダを添加し、ミキサーaにて混合して正極用スラリーB又はCを調製した。
【0072】
次に、正極用スラリーBをそれぞれ集電箔に塗工し、乾燥させて正極Bを作成した。集電箔は厚み15μmのアルミニウム箔(多孔箔)である。正極用スラリーBの塗布量は、乾燥後の活性炭の質量が3mg/cmとなるように調整した。集電箔への正極用スラリーBの塗工には、ブレードコーターやダイコーターを用いた。同様に、正極用スラリーCを用いて正極Cを作成した。
【0073】
[電解液の調製]
エチレンカーボネート(EC)30vol%、ジメチルカーボネート(DMC)30vol%及びエチルメチルカーボネート(EMC)40vol%の混合溶媒にヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を添加し、さらに、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを0.5質量%になるよう添加して電解液Pを調製した。また、エチレンカーボネート(EC)30vol%、エチルメチルカーボネート(EMC)46.7vol%、ジエチルカーボネート(DEC)23.3vol%、プロピレンカーボネート(PC)10vol%の混合溶媒にリチウムビス(フルオロスルホニルイミド)(LiFSI)を1mol/L添加し、さらに、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを0.5質量%になるよう添加して電解液I2を調製した。
【0074】
[リチウムイオンキャパシタの組立]
リチウムイオンキャパシタを、下記表2に示す正極及び電解液の組み合わせで作製した。表2には、各組合せにおいて、バインダを構成するポリマーの電解液に対するRED値も示す。
【0075】
【表2】
【0076】
[初期性能の測定]
実施例1~5のリチウムイオンキャパシタにおいて、リチウムプレドープ、充放電、エージングを行った後、常温(25℃)にて、カットオフ電圧:2.2~3.8V、測定電流10Cで内部抵抗及び放電容量を測定し、その結果を初期性能とした。
【0077】
[耐久試験(85℃フロート試験)]
外部電源を繋いで電圧を3.8Vに保持した状態の実施例1~5のリチウムイオンキャパシタを85℃の恒温槽内に放置した。その放置時間が、85℃,3.8Vフロート時間に相当する。所定時間経過後、リチウムイオンキャパシタを恒温槽から取り出し、常温に戻した後上記初期性能の測定と同一条件で内部抵抗及び放電容量を測定し、容量維持率(初期の放電容量を100%としたときの放電容量の百分比)と、内部抵抗増加率(初期性能からの内部抵抗の増加率)を算出した。その結果を表3に示す。
【0078】
【表3】
【0079】
表3に示されるように、85℃の高温環境に放置した場合、電解質としてイミド系リチウム塩ではないフッ化リン酸リチウムを含む電解液を用いた実施例5では短時間で容量維持率が半減したのに対し、電解質としてイミド系リチウム塩を含む電解液を用いた実施例1~4では容量維持率が長時間高く保たれた。しかし、電解質としてイミド系リチウム塩を含む電解液を用いた場合でも、正極のバインダの構成により、内部抵抗増加率に差異があることが明らかとなった。そこで、正極のバインダを構成するポリマーの電解液に対するRED値(表2参照)を対比したところ、RED値が1以下であるアクリル酸エステルを用いた実施例3やSBRを用いた実施例4では内部抵抗増加率が高いことが判明した。これに対し、実施例1及び2では、電解質としてイミド系リチウム塩を含む電解液を用いるとともに、正極のバインダを構成するポリマーとして、電解液に対するRED値が1より大きいポリアクリル酸を用いている。この場合、正極のバインダを構成するポリマーが電解液に溶解しにくく、85℃の高温環境に放置しても容量維持率が高く保たれるとともに、内部抵抗増加率を小さく抑えられることが明らかになった。
【符号の説明】
【0080】
1,2 リチウムイオンキャパシタ
10 正極
11 正極板
12 集電体
12a 集電部
12b 電極端子接続部
12c 孔
13 正極活物質層
14 正極端子
20 負極
21 負極板
22 集電体
22a 集電部
22b 電極端子接続部
22c 孔
23 負極活物質層
24 負極端子
30 セパレータ
40 電解液
50 包囲体
60 ラミネート部材(密封体)
61 心材シート
62 外側シート
63 内側シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8