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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】データ処理装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/14 20060101AFI20231212BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20231212BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20231212BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B65H7/14
H04N1/00 567H
B41J29/38 301
G01B11/00 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019043570
(22)【出願日】2019-03-11
(65)【公開番号】P2019182659
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2018079160
(32)【優先日】2018-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】三ヶ島 勝雄
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-196752(JP,A)
【文献】特開平05-342446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/14
H04N 1/00
B41J 29/38
G01B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送中の記録媒体に向けて発光部から出射される線状光に基づく複数の受光部への入射光量に応じてレベルが変化する複数の第1データを予め定められている閾値で二値化処理を行って二値化データを生成する二値化部と、
前記二値化データの各々に基づき、前記記録媒体の位置を特定する位置特定部と、
前記記録媒体が搬送されていないタイミングで、特定光量を有する特定線状光を前記発光部に出射させる第1発光制御部と、
前記特定線状光に基づく前記複数の受光部への入射光量に応じてレベルが変化する複数の第2データを取得するデータ取得部と、
前記第1発光制御部により出射される前記特定線状光に対応して前記データ取得部により取得される前記複数の第2データが有するレベルから最大レベル及び最小レベルを取得するレベル取得部と、
前記発光部又は前記複数の受光部に異物が付着しておらず前記記録媒体が搬送されていない時に前記発光部から出射される前記特定線状光に対応する前記複数の第2データのレベルに対する、前記発光部又は前記複数の受光部に異物が付着していない時に前記発光部が前記記録媒体に向けて出射した前記特定線状光に対応する前記複数の第2データのレベルの割合を示す低下率が予め記憶される特性記憶部と、
前記閾値、前記最大レベル、前記最小レベル及び前記低下率に基づき、前記線状光の設定光量を導出する光量導出処理を行う光量導出部と、
前記設定光量を有する前記線状光を前記発光部から出射させる第2発光制御部と、
を備え、
前記閾値をT1とし、前記最小レベルをB1とし、前記最大レベルをB2とし、前記低下率をKとし、前記特定光量をL1とし、前記設定光量をL2とする場合、前記光量導出部は、次式(1)及び(2)を満たす前記設定光量を導出するデータ処理装置。
(B2/L1×L2)×K≦T1 …(1)
B1/L1×L2>T1 …(2)
【請求項2】
前記光量導出部が前記線状光の設定光量を導出できなかった場合に、前記光量導出処理がエラーであることを示す警告データを出力する警告出力部、をさらに備える、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記発光部は、予め定められ且つ異なる複数の光透過率を有する複数種の記録媒体のいずれかに向けて前記線状光を出射し、
前記低下率は、前記複数種の記録媒体のうち前記光透過率が最大の記録媒体が用いられて取得される、
請求項1又は2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
搬送中の記録媒体に向けて線状光を出射する発光部と、
前記線状光に基づき入射される光の光量に応じてレベルが変化する複数の第1データを出力する複数の受光部と、
前記複数の第1データを予め定められている閾値で二値化処理を行って二値化データを生成する二値化部と、
前記二値化データの各々に基づき、前記記録媒体の位置を特定する位置特定部と、
前記位置に基づいて前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記記録媒体が搬送されていないタイミングで、特定光量を有する特定線状光を前記発光部に出射させる第1発光制御部と、
前記特定線状光に基づく前記複数の受光部への入射光量に応じてレベルが変化する複数の第2データを取得するデータ取得部と、
前記第1発光制御部により出射される前記特定線状光に対応して前記データ取得部により取得される前記複数の第2データが有するレベルから最大レベル及び最小レベルを取得するレベル取得部と、
前記発光部又は前記複数の受光部に異物が付着しておらず前記記録媒体が搬送されていない時に前記発光部から出射される前記特定線状光に対応する前記複数の第2データのレベルに対する、前記発光部又は前記複数の受光部に異物が付着していない時に前記発光部が前記記録媒体に向けて出射した前記特定線状光に対応する前記複数の第2データのレベルの割合を示す低下率が予め記憶される特性記憶部と、
前記閾値、前記最大レベル、前記最小レベル及び前記低下率に基づき、前記線状光の設定光量を導出する光量導出部と、
前記設定光量を有する前記線状光を前記発光部から出射させる第2発光制御部と、
を備え、
前記閾値をT1とし、前記最小レベルをB1とし、前記最大レベルをB2とし、前記低下率をKとし、前記特定光量をL1とし、前記設定光量をL2とする場合、前記光量導出部は、次式(1)及び(2)を満たす前記設定光量を導出する画像形成装置。
(B2/L1×L2)×K≦T1 …(1)
B1/L1×L2>T1 …(2)
【請求項5】
前記画像形成部に向けて前記記録媒体が搬送される搬送路と、
前記発光部及び前記複数の受光部は、前記搬送路において前記画像形成部寄りの位置に設けられる、
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記タイミングは前記画像形成装置の起動直後である、
請求項4又は5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記光量導出部が前記線状光の設定光量を導出できなかった場合に、前記光量導出処理がエラーであることを示す警告データを出力する警告出力部、をさらに備える、
請求項4~6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記発光部は、予め定められ且つ異なる複数の光透過率を有する複数種の記録媒体のいずれかに向けて前記線状光を出射し、
前記低下率は、前記複数種の記録媒体のうち前記光透過率が最大の記録媒体が用いられて取得される、
請求項4~7のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送路上での記録媒体の位置を特定するデータ処理装置、及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、未印刷の記録媒体が搬送される搬送路に光源及び複数の受光素子が設けられることがある。前記光源は、前記搬送路を搬送される前記記録媒体へ、主走査方向に延びる線状光を出射する。また、前記複数の受光素子は、前記搬送路を挟んで前記光源と対向し、前記記録媒体を透過した線状光を受光する。前記複数の受光素子は、自身への入射光量を示すデータを、CPU等のデータ処理装置に出力する。前記データは、前記主走査方向へ1ライン分ずつ順次出力される。前記データ処理装置は、入力データにシェーディング補正を行う(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-228654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記データ処理装置は、前記搬送路における前記記録媒体の位置を特定し、前記記録媒体に形成される画像の位置を調整することがある。この位置調整のために、シェーディング補正済の前記データを用いることが考えられる。前記シェーディング補正には、特定色(白等)の基準値を示す基準データが必要である。前記光源及び前記受光素子の特性が経年変化することを考慮すると、前記基準データは、前記画像形成装置をユーザー側で稼働開始させた後に取得されることが望ましい。
【0005】
しかし、前記画像形成装置の稼働開始後、前記光源又は前記複数の受光素子に異物(例えば、埃又は紙粉)が付着すると、前記基準データの精度が低下する。その結果、前記搬送路における前記記録媒体の位置を正確に特定できなくなるおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、搬送路における未印刷の記録媒体の位置を正確に特定可能なデータ処理装置、及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係るデータ処理装置は、二値化部と、位置特定部と、第1発光制御部と、データ取得部と、レベル取得部と、特性記憶部と、光量導出部と、第2発光制御部と、を備える。前記二値化部は、搬送中の記録媒体に向けて発光部から出射される線状光に基づく複数の受光部への入射光量に応じてレベルが変化する複数の第1データを予め定められている閾値で二値化処理を行って二値化データを生成する。前記位置特定部は、前記二値化データの各々に基づき、前記記録媒体の位置を特定する。前記第1発光制御部は、前記記録媒体が搬送されていないタイミングで、特定光量を有する特定線状光を前記発光部に出射させる。前記データ取得部は、前記特定線状光に基づく前記複数の受光部への入射光量に応じてレベルが変化する複数の第2データを取得する。前記レベル取得部は、前記複数の第2データが有するレベルから最大レベル及び最小レベルを取得する。前記特性記憶部には、前記発光部又は前記複数の受光部に異物が付着していない時に前記発光部が前記記録媒体に向けて出射した線状光の光量に対する前記複数の第2データのレベルを示す特性データが予め記憶される。前記光量導出部は、前記閾値、前記最大レベル、前記最小レベル及び前記特性データに基づき、前記線状光の設定光量を導出する。前記第2発光制御部は、前記設定光量を有する前記線状光を前記光源から出射させる。
【0008】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、発光部と、複数の受光部と、二値化部と、位置特定部と、画像形成部と、第1発光制御部と、データ取得部と、レベル取得部と、特性記憶部と、光量導出部と、第2発光制御部と、を備える。前記発光部は、搬送中の記録媒体に向けて線状光を出射する。前記複数の受光部は、前記線状光に基づき入射される光の光量に応じてレベルが変化する複数の第1データを出力する。前記二値化部は、前記複数の第1データを予め定められている閾値で二値化処理を行って二値化データを生成する。前記位置特定部は、前記二値化データの各々に基づき、前記記録媒体の位置を特定する。前記画像形成部は、前記位置に基づいて前記記録媒体に画像を形成する。前記第1発光制御部は、前記記録媒体が搬送されていないタイミングで、特定光量を有する特定線状光を前記発光部に出射させる。前記データ取得部は、前記特定線状光に基づく前記複数の受光部への入射光量に応じてレベルが変化する複数の第2データを取得する。前記レベル取得部は、前記複数の第2データが有するレベルから最大レベル及び最小レベルを取得する。前記特性記憶部には、前記発光部又は前記複数の受光部に異物が付着していない時に前記発光部が前記記録媒体に向けて出射した線状光の光量に対する前記複数の第2データのレベルを示す特性データが予め記憶される。前記光量導出部は、前記閾値、前記最大レベル、前記最小レベル及び前記特性データに基づき、前記線状光の設定光量を導出する。前記第2発光制御部は、前記設定光量を有する前記線状光を前記光源から出射させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、搬送路における記録媒体の主走査方向位置を正確に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態に係る画像形成装置の構成を示す模式図である。
図2図2は、画像形成装置の要部を示すブロック図である。
図3図3は、複数の受光部の入出力特性を示す模式図である。
図4図4は、図2に示される特性記憶部に記憶される特性データを示す模式図である。
図5図5は、図2に示される制御部による設定光量を導出処理の手順を示すフローチャートである。
図6図6は、図5に示される設定光量の導出処理を示す模式図である。
図7図7は、図2に示される制御部による画像形成の処理手順を示すフローチャートである。
図8図8は、図5に示される発光部及び複数の受光部に異物が付着していない状態における第2データを示す模式図である。
図9図9は、図5に示される発光部及び複数の受光部に異物が付着している状態における第2データ(設定光量の導出前)を示す模式図である。
図10図10は、図5に示される発光部及び複数の受光部に異物が付着している上における第2データ(設定光量の導出後)を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の各実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
図1において、矢印X、Y及びZは、画像形成装置100の左右方向、前後方向及び上下方向を示す。
【0013】
図1において、画像形成装置100は、複写機、プリンター、ファクシミリ又は複合機等である。前記複合機は、コピー機能、印刷機能及びファクシミリ機能等を有する。
【0014】
画像形成装置100は、具体的には、インクジェットプリンターであり、インクジェット方式により、画像データに基づいてインクを使用して記録媒体Pに画像を形成する。前記画像データは、画像形成装置100と通信可能に接続される情報処理装置等から送られてくる。前記画像データは、画像形成装置100が備える画像読取装置(図示せず)から送られてきてもよい。なお、画像形成装置100は、インクジェット方式以外にも、電子写真方式により、前記画像データに基づいてトナーを使用して記録媒体Pに画像形成してもよい。
【0015】
画像形成装置100は、筐体1と、収容部2と、搬送部3と、画像形成部4と、排出部5と、制御部6と、光検出部7と、を備える。
【0016】
筐体1は画像形成装置100の外装体及びフレームを含む。筐体1には、収容部2、搬送部3及び画像形成部4が収容される。
【0017】
収容部2は給紙カセットである。収容部2は、筐体1において下方寄りの位置に設けられる。収容部2は、筐体1に対し前記前後方向に挿抜自在に装着される。収容部2には、未印刷の記録媒体Pが積載可能である。記録媒体Pは、画像が形成される矩形状の主面を有する。記録媒体Pが収容部2に積載された場合、前記主面の第1辺は記録媒体Pの搬送方向D1と直交する。なお、以下の説明において、前記第1辺に平行な方向を主走査方向D2という。本実施形態では、搬送方向D1は前記左右方向と平行で、主走査方向D2は、前記前後方向と平行である。
【0018】
収容部2には、光透過率が異なる複数種の記録媒体Pを積載することが可能である。具体的に、前記複数種の記録媒体Pは、互いに坪量が異なる普通紙、再生紙、薄紙又は厚紙を含む。なお、前記光透過率は、記録媒体Pの色が白であることが多いため、記録媒体Pの坪量により実質上定められる。
【0019】
また、収容部2には、前記第1辺の長さが互いに異なる複数サイズの記録媒体Pを積載可能である。
【0020】
搬送部3は、上流側搬送部3Aと、下流側搬送部3Bと、を備える。
【0021】
上流側搬送部3Aは、ピックアップローラー31Aと、分離ローラー対32Aと、搬送ローラー対33Aと、レジストローラー対34Aと、第1ガイド部35Aと、搬送路36Aと、第2ガイド部37Aと、を含む。
【0022】
ピックアップローラー31A、分離ローラー対32A、搬送ローラー対33A、レジストローラー対34A、第1ガイド部35A、搬送路36A及び第2ガイド部37Aは、前記第1辺の最大長さよりも主走査方向D2に長い形状を有する。ピックアップローラー31Aと、分離ローラー対32A、搬送ローラー対33A及びレジストローラー対34Aが備える各ローラーは円筒形状を有する。
【0023】
上流側搬送部3Aは、収容部2から記録媒体Pを1枚ずつピックアップして第1ガイド部35Aに送り出す。記録媒体Pは、第1ガイド部35A、搬送路36A及び第2ガイド部37Aを画像形成部4に向けて搬送される。第1ガイド部35A、搬送路36A及び第2ガイド部37Aは本発明における搬送路の一例である。上流側搬送部3Aは、分離ローラー対32A及び搬送ローラー対33Aにより、収容部2の上方に離間して設けられているレジストローラー対34Aまで記録媒体Pを案内する。記録媒体Pは、レジストローラー対34Aに当接し一旦停止する。レジストローラー34Aは、制御部6の制御下で回転し始め、上流側搬送部3A及び下流側搬送部3Bの間に設けられている第2ガイド部37Aに記録媒体Pを送り出す。
【0024】
下流側搬送部3Bは、筐体1において収容部2よりも上方に離間して設けられる。また、下流側搬送部3Bは、第2ガイド部37Aの左側に設けられる。下流側搬送部3Bは、テンションローラー31Bと、駆動ローラー32Bと、第1補助ローラー33Bと、第2補助ローラー34Bと、搬送ベルト35Bと、吸着ローラー36Bと、吸引部37Bと、を含む。
【0025】
テンションローラー31B、駆動ローラー32B、第1補助ローラー33B、第2補助ローラー34B及び吸着ローラー36Bは、前記第1辺の最大長さよりも主走査方向D2に長い円筒状の形状を有する。
【0026】
テンションローラー31Bは、第2ガイド部37Aよりも左方向に離間して設けられる。駆動ローラー32Bは、テンションローラー31Bよりも左方向に離間して設けられる。テンションローラー31B及び駆動ローラー32Bの上端位置は、レジストローラー対34Aにより形成されるニップの上下方向位置と概ね一致する。
【0027】
第1補助ローラー33Bは、テンションローラー31Bよりも左斜め下方向に離間して設けられる。第2補助ローラー34Bは、第1補助ローラー33Bよりも左方向に離間し且つ駆動ローラー32Bよりも右斜め下方向に離間して設けられる。
【0028】
搬送ベルト35Bは、無端ベルトであり、前記第1辺の最大長さよりも主走査方向D2に大きい幅を有する。搬送ベルト35Bは、テンションローラー31B、駆動ローラー32B、第1補助ローラー33B及び第2補助ローラー34Bに張架される。搬送ベルト35Bの周方向の全域には、外周面側から内周面側に貫通する多数の貫通孔(図示せず)が形成されている。
【0029】
駆動ローラー32Bは、制御部6の制御下で回転する。これにより、搬送ベルト35Bは回転する。また、テンションローラー31B、第1補助ローラー33B及び第2補助ローラー34Bは、搬送ベルト35Bの回転により従動し回転する。これにより、搬送ベルト35Bは、テンションローラー31B及び駆動ローラー32Bの上端間を、図1において矢印D3に示す方向(以下、走行方向D3という)に走行する。走行方向D3は、前記左右方向と平行であり、レジストローラー対34Aから排出ローラー対51に向かう方向(即ち、左方向)である。
【0030】
吸着ローラー36Bは、搬送ベルト35Bを挟んでテンションローラー31Bと対向し、搬送ベルト35Bの外周面に上方向から当接する。吸着ローラー36B及び搬送ベルト35Bの間には、第2ガイド部37Aを通過した記録媒体Pが送り込まれる。吸着ローラー36Bは記録媒体Pを搬送ベルト35Bの外周面に押し付け、走行方向D3の下流方向へ送り出す。
【0031】
吸引部37Bは、吸着ローラー36B及び駆動ローラー32Bの間において、搬送ベルト35Bの内周面の直下に配置される。吸引部37Bは、搬送ベルト35Bの前記多数の貫通孔から吸気を行う。これにより、記録媒体Pは、搬送ベルト35Bの外周面に密着した状態で、吸着ローラー36Bから走行方向D3の下流側へと搬送される。なお、吸引部37Bは、記録媒体Pを静電的に吸引し搬送ベルト35Bに密着させてもよい。
【0032】
画像形成部4は、4個の記録ヘッド41を含む。4個の記録ヘッド41は、予め定められている複数色に対応する。前記複数色は、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローである。なお、記録ヘッド41の個数は1又は複数であればよい。
【0033】
各記録ヘッド41は、前記第1辺の最大長さよりも主走査方向D2に長い箱状の形状を有する。各記録ヘッド41は、搬送ベルト35Bを挟んで吸引部37Bの上方に前記左右方向に沿って並置される。各記録ヘッド41は、搬送ベルト35Bの外周面から離間して配置される。各記録ヘッド41の下端部には、インクを吐出する多数のノズルが主走査方向D2に配列されている。
【0034】
記録媒体Pは、各記録ヘッド41の直下を走行する搬送ベルト35Bによって走行方向D3の下流側へと搬送される。各記録ヘッド41は、制御部6によって駆動され、自身の直下を通過する記録媒体Pに向けて対応色のインクを前記多数のノズルから吐出する。これにより、画像形成部4は、4個の記録ヘッド41を用いて、前記画像データに基づく画像を記録媒体Pに形成する。
【0035】
なお、各記録ヘッド41によるインクの吐出方式としては、ピエゾ素子等を用いて前記インクを吐出させるピエゾ方式、又は加熱により気泡を発生させて前記インクを吐出させるサーマル方式が考えられる。
【0036】
排出部5は、排出ローラー対51と、排出トレイ52とを含み、前記画像が形成された記録媒体Pを印刷物として、筐体1から画像形成装置100の外部に排出する。
【0037】
制御部6は、本発明におけるデータ処理装置の一例である。制御部6は、CPU、ROM、RAM及び不揮発性メモリーを含み、ROM等に格納されているプログラムを実行し、画像形成装置100による記録媒体Pへの画像形成を統括的に制御する。なお、制御部6は、CPUに代えて、マイコン、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はDSP(Digital Signal Processor)等の電子回路を含んでいてもよい。
【0038】
光検出部7は、光透過型のCIS(Contact Image Sensor)であり、発光部71と、複数の受光部72と、を備える。
【0039】
発光部71及び複数の受光部72は、記録媒体Pの搬送路(即ち、第1ガイド部35A、搬送路36A及び第2ガイド部37A)において、画像形成部4寄りの位置に設けられる。光検出部7から画像形成部4に至るまでの距離を小さくすることができ、この間で記録媒体Pの主走査方向D2へのずれを小さくすることができる。これにより、画像形成部4は、位置特定部6Hにより特定された位置に画像を正確に形成することができる。
【0040】
具体的に、発光部71及び複数の受光部72は、第2ガイド部37Aに設けられる。第2ガイド部37Aの内部において予め定められている箇所には、主走査方向D2に延在する光照射箇所EP1が定められている。発光部71及び受光部72は、光照射箇所EP1を挟んで前記上下方向において対向するように第2ガイド部37Aに設けられる。
【0041】
発光部71は、主走査方向D2に長い棒状の形状を有する。発光部71は、前記第1辺の最大長さよりも主走査方向D2に長い線状光を生成し光照射箇所EP1へ出射する。第2ガイド部37Aを記録媒体Pが搬送されている場合、搬送中の記録媒体Pに向けて前記線状光は発光部71から出射される。この場合、前記線状光の大部分が記録媒体Pを透過して複数の受光部72に入射される。
【0042】
なお、発光部71は、前後方向Yに沿って配列された発光素子アレイとすることができる。発光部71は、前記発光素子アレイの代わりに、前後方向Yに延在する導光体と、前記導光体の前後方向における端部に設けられる発光素子と、を含んでいてもよい。
【0043】
複数の受光部72は、主走査方向D2に沿って配列された複数のフォトダイオード等である。複数の受光部72には、屈折率分布型のレンズアレイ(図示せず)を介して、前記線状光に基づく光が入射される。前記複数の受光部72は、前記自身への入射光量に応じてレベルが変化する複数の第1データを生成し制御部6に出力する。
【0044】
ところで、画像形成装置100において、制御部6は、前記搬送路における記録媒体Pの主走査方向D2の位置(以下、主走査方向位置という)を特定し、記録媒体Pに形成される前記画像の前記主走査方向への位置を調整する。前記位置調整には、所謂シェーディング補正済の第1データを用いることが考えられる。しかし、前記シェーディング補正には、特定色(白及び黒等)の基準値を示す基準データが必要である。前記基準データは、発光部71及び受光部72の経年変化を考慮すると、画像形成装置100の出荷前ではなく、画像形成装置100をユーザー側で稼働開始させた後に、前記特定色で着色された基準板等を用いて生成されることが望ましい。
【0045】
しかし、画像形成装置100の稼働開始後、発光部71及び複数の受光部72に異物(例えば埃又は紙粉)が付着すると、前記基準データの精度が低下する。その結果、制御部6は、前記搬送路における記録媒体Pの前記主走査方向位置を正確に特定できなくなるおそれがある。
【0046】
そこで、制御部6は、前記第1データに対して前記シェーディング補正を行って記録媒体Pの前記主走査方向位置を特定するのではなく、以下に説明する処理を実行する。そのため、画像形成装置100は、図2に示されるように、表示部8をさらに備える。また、制御部6は、第1発光制御部6A、データ取得部6B、レベル取得部6C、特性記憶部6D、光量導出部6E、第2発光制御部6F、二値化部6G、位置特定部6H、位置制御部6I及び警告出力部6Jを含む。具体的に、制御部6は、前記プログラムを実行することにより、第1発光制御部6A、データ取得部6B、レベル取得部6C、特性記憶部6D、光量導出部6E、第2発光制御部6F、二値化部6G、位置特定部6H、位置制御部6I及び警告出力部6Jとして機能する。
【0047】
図2において、表示部8は、例えば液晶ディスプレーであり、警告出力部6Jから出力される警告データ(詳細は後述)に基づき、二値化部6Gによる二値化処理がエラーであることを示す情報を表示する。
【0048】
第1発光制御部6Aは、記録媒体Pが前記搬送路を搬送されていないタイミングで、特定光量を有する特定線状光を発光部71に出射させる。前記タイミングは、画像形成装置100の起動直後であることが好ましい。前記起動直後は、画像形成装置100の電源投入直後、及び画像形成装置100がスリープモードから復帰した直後のいずれかである。これにより、光量導出部6Eによる処理が画像形成装置100の生産性に影響することを抑制することができる。前記生産性は、例えば単位時間当たりの前記印刷物の出力枚数である。なお、前記タイミングは、起動直後に限らず、画像形成部4がある記録媒体Pに画像を形成し終わった後で且つ次の記録媒体Pに画像を形成する前であってもよい。
【0049】
データ取得部6Bは、前記特定線状光に基づく複数の受光部72への入射光量に応じてレベルが変化する複数の第2データを取得する。ここで、発光部71又は複数の受光素子72に前記異物が付着している場合、複数の受光部72への入射光は前記異物により減衰する。それゆえ、前記複数の第2データの前記レベルは前記異物の付着量に相関する。具体的に、前記異物の付着量が多い程、前記レベルは小さくなる。
【0050】
レベル取得部6Cは、前記複数の第2データが有するレベルから最大レベル及び最小レベルを取得する。
【0051】
特性記憶部6Dは、制御部6が有する前記不揮発性メモリーである。特性記憶部6Dには、発光部71又は複数の受光部72に前記異物が付着していない時に発光部71が記録媒体Pに向けて出射した前記線状光の光量に対する前記複数の第2データのレベルを示す特性データが予め記憶される。具体的に、前記特性データは、画像形成装置100の出荷前(例えば、製造段階)で前記不揮発性メモリーに記憶される。
【0052】
発光部71は、画像形成装置100を前記ユーザー側で稼働開始させた後、異なる複数の光透過率を有する複数種の記録媒体のいずれかに向けて前記線状光を、制御部6の制御下で出射する。前記複数の光透過率は前述の通り予め定められている。前記特性データは、前記光透過率が最大の記録媒体Pに向けて発光部71が出射した前記線状光の光量に対する前記複数の第2データのレベルを示すことが好ましい。もし前記光透過率が最大でない記録媒体Pに向けて出射された前記線状光の光量に対する前記複数の第2データのレベルを前記特性データが示していると、前記光透過率が最大の記録媒体Pに向けて前記線状光が出射された場合に、前記二値化処理でエラーが生じやすくなるからである。
【0053】
光量導出部6Eは、二値化部6Gで用いられる閾値、前記最大レベル、前記最小レベル及び前記特性データに基づき、前記線状光の設定光量を導出する光量導出処理を行う。
【0054】
第2発光制御部6Fは、前記設定光量を有する前記線状光を発光部71から出射させる。
【0055】
前記線状光は、前記搬送路を搬送中の記録媒体Pに向けて出射される。二値化部6Gは、前記線状光に基づく複数の受光部72への入射光量に応じてレベルが変化する複数の第1データを複数の受光部72から取得する。二値化部6Gは、前記複数の第1データを予め定められている閾値T1で二値化処理を行って二値化データを生成する。
【0056】
位置特定部6Hは、前記二値化データの各々に基づき、記録媒体Pの位置を特定する。具体的に、前記位置は、前記搬送路の光照射箇所EP1(図1を参照)における記録媒体Pの主走査方向位置である。
【0057】
位置制御部6Iは、前記画像データを前記位置に基づき補正して、前記画像が記録媒体Pにおける前記画像の形成位置を調整する。位置制御部6Iは、補正後の前記画像データに基づき画像形成部4を駆動する。その結果、画像形成部4は、位置特定部6Hにより特定された前記位置に基づき記録媒体Pに画像を形成する。
【0058】
警告出力部6Jは、光量導出部6Eが前記線状光の設定光量を導出できなかった場合に、前記光量導出処理がエラーであることを示す警告データを出力する。前記警告データは、前記不揮発性メモリー等に予め記憶されている。表示部8は、前記警告データに基づき、前記光量導出処理がエラーである旨を表示して、前記ユーザーに知らせる。
【0059】
以下、図3図10をさらに参照して、制御部6(即ち、データ処理装置)の処理手順について、さらに詳細に説明する。
【0060】
図3には、複数の受光部72の入出力特性曲線L11が示される。入出力特性曲線L11は、線形領域R1と、飽和領域R2と、に分けられる。線形領域R1は、入射光量が0から予め定められている光量閾値T2までの範囲である。飽和領域R2は、前記入射光量が光量閾値T2を超える範囲である。線形領域R1では、複数の受光部72の出力レベルは前記入射光量に比例する。一方、飽和領域R2では、複数の受光部72の出力レベルは前記入射光量に対して一定である。
【0061】
図4には、特性記憶部6Dに予め記憶される出力低下率Kが示される。出力低下率Kは、画像形成装置100の出荷前に行われる実験又はシミュレーションに基づき作成される。具体的に、実験者等は、発光部71又は複数の受光部72に前記異物が付着していない状態で、画像形成装置100を操作して、前記光透過率が最大の記録媒体Pに向けて、特定光量L1を有する特定線状光を出射させる。ここで、特定光量L1は、入出力特性曲線L11の線形領域R1に含まれる光量である。前記実験者等は、複数の受光部72から出力される前記複数の第2データのレベルを測定する。前記実験者等は、各測定レベルを代表するレベルC1を求める。レベルC1は、特定光量L1に対応する前記複数の第2データのレベルであり、前記測定レベル各々の平均値等とすることができる。レベルC1は他にも、複数の受光部72のうち特定の受光部72から出力される第2データのレベルとすることもできる。
【0062】
また、前記実験者等は、入出力特性曲線L11より、特定光量L1に対応するレベルA1を導出する。レベルA1は、記録媒体Pが前記搬送路を搬送されていない場合に複数の受光部72から出力される前記複数の第2データのレベルである。
【0063】
前記実験者等はさらに、K=C1/A1を求めて、前記不揮発性メモリーに記憶させる。Kは、本発明における特性データの一例であり、具体的には、前記光透過率が最大の記録媒体Pにより、複数の受光部72から出力される前記複数の第2データの低下率を示す。
【0064】
図5は、前記設定光量を導出し記憶させる際に制御部6が実行する処理の手順を示すフローチャートである。図5において、制御部6は、画像形成装置100が起動直後か否かを判断する(ステップS1)。具体的に、制御部6は、前記スリープモードからの復帰又は前記電源投入の直後か否かを判断する。制御部6は、前記起動直後でないと判断する場合、図5の処理を終了する。一方、制御部6は、前記起動直後であると判断する場合、処理をステップS2に進める。
【0065】
ステップS2において、制御部6は、前記起動直後の場合、前記搬送路に記録媒体Pが搬送されていないとみなして、第1発光制御部6Aとして機能する。制御部6は、特定光量L1を有する前記特定線状光を発光部71に出射させ(ステップS2)、処理をステップS3に進める。前記特性線状光は、第2ガイド部37A内の空間を伝搬し光照射箇所EP1(図1を参照)を通過して、複数の受光部72に入射される。複数の受光部72は前記複数の第2データを制御部6に出力する。
【0066】
ステップS3において、制御部6は、データ取得部6Bとして機能し、前記複数の第2データを取得し、処理をステップS4に進める。ここで、複数の受光部72に前記異物が付着している場合、前記複数の第2データのレベルは、複数の受光部72の各々への前記異物の付着量に応じて変化する。
【0067】
ステップS4において、制御部6は、レベル取得部6Cとして機能し、前記複数の第2データが有するレベルから最小レベルB1及び最大レベルB2(図6を参照)を取得する。その後、制御部6は、処理をステップS5に進める。
【0068】
ステップS5において、制御部6は、光量導出部6Eとして機能し、前記光量導出処理を行う。具体的に、制御部6はまず、特性記憶部6Dから出力低下率K(既知の定数)をRAM等に読み出す。
【0069】
ここで、図6には、入出力特性曲線L11(図3を参照)、レベルA1及びレベルC1(図4を参照)に加え、最小レベルB1、最大レベルB2及び閾値T1が示されている。図6にはさらに、原点及びレベルC1を通過する直線L12と、原点及び最小レベルB1を通過する直線L13と、原点及び最大レベルB2が通過する直線D4と、が示されている。
【0070】
最小レベルB1及び最大レベルB2は、入出力特性曲線L11及び直線L12で挟まれる領域に含まれる。具体的に、最小レベルB1及び最大レベルB2は、前記領域において光量がL1(即ち、特定光量L1)の直線上にある。また、最小レベルB1は、入出力特性曲線L11及び直線L12のうち直線L12寄りの位置に含まれ、最大レベルB2は、入出力特性曲線L11寄りの位置に含まれる。
【0071】
図6にはさらに、光量導出部6Eで導出される前記線状光の設定光量がL2として示される。設定光量L2は、入出力特性曲線L11の線形領域R1に含まれるとは限らず、飽和領域R2に含まれる可能性がある。また、設定光量L2は、どのような値でもよいわけではない。具体的に、設定光量L2を大きくし過ぎると、二値化部6Gによる二値化処理において、記録媒体Pが光照射箇所EP1を通過しているにも関わらず、前記複数の第2データの全てが閾値T1を超えるおそれがある。しかし、設定光量L2を十分に大きくしなければ、前記二値化処理において、前記異物と記録媒体Pとが正確に区別されないおそれがある。したがって、設定光量L2は、下記の条件を満たすように定められる。以下、設定光量L2の条件について説明する。
【0072】
図6において、点A1及び点C1は、光量が特定光量L1の場合における入出力特性曲線L11上及び直線L12上の点である。点A1及び点C1が示す出力レベルは既知である。また、点A2は、原点及び点A1を通過する直線D5において、設定光量L2に対応するレベルを示す点である。また、点C2は、直線L12において設定光量L2に対応するレベルを示す点である。ここで、点A2は、設定光量L2が飽和領域R2に含まれる可能性があるため未知である。点C2もまた未知である。
【0073】
また、点B1,B2は、光量が特定光量L1の場合における最小レベルB1及び最大レベルB2をそれぞれ示す点である。また、点B1’,B2’は、直線L13,直線D4において設定光量L2の場合における出力レベルをそれぞれ示す点である。
【0074】
図6において、点A1及び点A2が直線D5上にあり、点C1及び点C2が直線L12上にあるため、次式(1)が成り立つ。
【0075】
C1/A1=C2/A2=K…(1)
【0076】
また、B1/B2=B1’/B2’となる。A1≒B2、A2≒B2’とした場合、上式(1)は次式(2)のように変形される。なお、B2、B2’はそれぞれ、前記複数の第2データにおける最大レベルB2であり、設定光量L2における最大レベルB2’であるため、それぞれA1、A2と近似可能である。
【0077】
C2=A2×K=B2’×K=(B2/L1×L2)×K…(2)
【0078】
図6より、次式(3)が成り立つ。
【0079】
B1’=B1/L1×L2…(3)
【0080】
C2が≦T1を満たし且つB1’がB1’>T1という条件を満たす設定光量L2とすることで、記録媒体Pが光照射箇所EP1を通過しているにも関わらず前記複数の第2データの全てが閾値T1を超えず、且つ前記二値化処理において前記異物と記録媒体Pとを正確に区別することが可能となる。
【0081】
光量導出部6Eは、前記条件を満たす光量を設定光量L2として定めて、前記RAM等に記憶させる(ステップS5)。なお、低消費電力の観点から、前記条件を満たす光量のうち最小光量が設定光量L2として定められることが好ましい。ステップS5が終了後、制御部6は、前記画像データが送信されてくることを待機する。なお、前記条件を満たす設定光量L2を定めることができない場合、B1’>T1となる最小の設定光量L2としてRAM等に記憶させればよい。

【0082】
次に、光量導出部6Eは、前記光量導出処理により設定光量L2を導出できたか否かを判定する(ステップS6)。ステップS6において、光量導出部6Eは、具体的には、ステップS5で設定光量L2を定めることができたか否かを判定する。光量導出部6Eは、設定光量L2を導出できた場合には、図5の処理を終了する。一方、光量導出部6Eは、ステップS5で設定光量L2を定めることができなかった場合には、発光部71又は複数の受光部72に前記異物が付着し過ぎているとして、処理をステップS7に進める。
【0083】
ステップS7において、制御部6は、警告出力部6Jとして機能し、前記警告データを表示部8に出力する。表示部8は、前記警告データを表示させる。これにより、前記ユーザーは、発光部71又は複数の受光部72に前記異物が付着し過ぎていることを知ることができる。その後、制御部6は、図5の処理を終了する。
【0084】
図7において、制御部6は、図5の処理を終了後、前記画像データを受け取ったか否かを判断する(ステップS11)。制御部6は、前記画像データを受け取っていないと判断する場合、処理をステップS11に戻す。一方、制御部6は、前記画像データを受け取っていると判断する場合、処理をステップS12に進める。
【0085】
制御部6は、前記画像形成を開始する(ステップS12)。その結果、記録媒体Pが収容部2から1枚ずつピックアップされ、画像形成部4に向けて前記搬送路内を搬送される。
【0086】
また、制御部6は、ステップS12の直後に発光部71及び複数の受光部72を駆動する(ステップS13)。ステップS13において、制御部6は、第2発光制御部6Fとして機能する。具体的に、制御部6は、前記RAM内の設定光量L2を有する前記線状光を発光部71から出射させて、処理をステップS14に進める。
【0087】
ステップS14において、制御部6は、二値化部6Gとして機能し、複数の受光部72から前記複数の第1データを取得し、前記複数の第1データを閾値T1で二値化処理を行って二値化データを生成する。
【0088】
ステップS15において、制御部6は、位置特定部6Hとして機能し、前記二値化データの各々から、主走査方向D2における記録媒体Pのエッジを検出する。前記エッジの検出により、制御部6は、前記搬送路の光照射箇所EP1における記録媒体Pの前記主走査方向位置を特定する。他にも、制御部6は、記録媒体Pに形成される場合がある穴(例えばパンチ穴)の主走査方向位置を特定することもできる(ステップS15)。その後、制御部6は処理をステップS16に進める。
【0089】
ステップS16において、制御部6は、位置制御部6Iとして機能し、前記画像データを前記主走査方向位置に基づき補正して、前記画像が記録媒体Pにおける前記画像の形成位置を調整する。制御部6は他にも、前記画像データにおいて前記穴の位置に相当する部分を消去する等の補正も行う。その後、制御部6は、処理をステップS17に進める。
【0090】
ステップS17において、制御部6は、補正後の前記画像データに基づき画像形成部4を駆動する。その結果、記録媒体Pには、前記補正後の画像データに基づく画像が形成される。その後、制御部6は図7の処理を終了する。
【0091】
図8に示されるように、発光部71及び複数の受光部72に前記異物が付着していない状態では、前記第2データは、主走査方向D2において概ね一定レベルを有する。この場合、二値化部6Gは、前記第1データを予め定められている閾値T1で二値化することにより、記録媒体Pの前記主走査方向位置を特定可能な二値化データを生成することができる。なお、図8において、前記第2データには参照符号D6が付され、前記第1データには参照符号D7が付されている。
【0092】
図9に示されるように、発光部71及び複数の受光部72に前記異物が付着している状態では、前記第2データのレベルは、前記異物が付着している部分において低下する。このようなレベル低下により、もし図5の処理が実行されない場合には、二値化部6Gは、前記第1データを閾値T1で二値化しても、記録媒体Pの前記主走査方向位置を特定可能な二値化データを生成することができないおそれがある。なお、図9において、前記第2データには参照符号D8が付され、前記第1データには参照符号D9が付されている。
【0093】
しかし、本実施形態によれば、光量導出部6Eは、図5の処理により、C2≦Tの条件下で前式(3)を満たすような設定光量L2を導出し、前記画像形成の開始後、発光部71が設定光量L2を有する前記線状光を生成する。それゆえ、図10に示されるように、閾値T1に変化はないが、前記第2データ及び前記第1データのレベルは大きくなる。具体的に、前記第2データは閾値T1を超えるが、前記第1データにおいて記録媒体Pに相当する出力レベルは閾値T1以下となる。その結果、二値化部6Gは、記録媒体Pの前記主走査方向位置を特定可能な二値化データを生成することができる。なお、図10において、前記第2データには参照符号D10が付され、前記第1データには参照符号D11が付されている。
【符号の説明】
【0094】
100 画像形成装置
6 制御部
6A 第1発光制御部6A
6B データ取得部
6C レベル取得部
6D 特性記憶部
6E 光量導出部
6F 第2発光制御部
6G 二値化部
6H 位置特定部
6I 位置制御部
6J 警告出力部
71 発光部
72 複数の受光部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10