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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】分与装置及び分与方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 3/22 20060101AFI20231212BHJP
   B65D 90/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B65B3/22
B65D90/00 H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019059672
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020158164
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【弁理士】
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【弁理士】
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】森 裕章
(72)【発明者】
【氏名】長井 太郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 寛子
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0164383(US,A1)
【文献】米国特許第06401978(US,B1)
【文献】特開2014-104979(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0025021(KR,A)
【文献】特開平07-315397(JP,A)
【文献】特開2006-248580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 3/22
B65D 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体組成物を内部に収容する容器本体と、前記容器本体の一方の側に設けられ、前記液体組成物を前記容器本体の外に排出する排出部と、を備えた軟包装容器から、前記液体組成物を他の容器へ分与する分与装置であって、
前記分与装置は、前記軟包装容器を横倒し状態で支持する支持台と、前記支持台上に設けられ、前記容器本体表面の一部と当接した状態で前記液体組成物の液面の高さが前記排出部の高さより高くなるように前記容器本体の一部を前記支持台から持ち上げる持ち上げ手段と、
前記持ち上げ手段の当接した当接部を所定の方向に移動させる移動手段と、
前記軟包装容器の前記排出部のない側の位置を固定する固定手段と、を備え、
前記移動手段により前記持ち上げ手段の前記当接部を前記軟包装容器の前記排出部に向かって移動させることにより、前記軟包装容器が前記当接部で屈曲され、前記液体組成物が前記排出部の方向に集められ、前記軟包装容器内の前記液体組成物を前記排出部から他の容器へ分与させることを特徴とする分与装置。
【請求項2】
前記持ち上げ手段が、前記軟包装容器と当接する前記当接部が、上方に隆起した隆起構造を有し、前記隆起構造が、上下方向に可動であることを特徴とする請求項1に記載の分与装置。
【請求項3】
前記当接部が、ローラー構造を有することを特徴とする請求項2に記載の分与装置。
【請求項4】
前記当接部が、前記軟包装容器を挟持するクランプ構造を有することを特徴とする請求項2に記載の分与装置。
【請求項5】
前記持ち上げ手段の前記当接部の上方に板状部材を有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の分与装置。
【請求項6】
前記軟包装容器の前記排出部が、複数の排出口を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の分与装置。
【請求項7】
液体組成物を内部に収容する容器本体と、前記容器本体の一方の側に設けられ、前記液体組成物を前記容器本体の外に排出する排出部と、を備えた軟包装容器から、前記液体組成物を他の容器へ分与する分与方法であって、
前記軟包装容器を横倒し状態で支持する支持台と、前記支持台上に設けられ、前記容器本体表面の一部と当接した状態で前記液体組成物の液面の高さが前記排出部の高さより高くなるように前記容器本体の一部を前記支持台から持ち上げる持ち上げ手段により前記軟包装容器を持ち上げる工程と、
前記持ち上げ手段の当接した当接部を所定の方向に移動させる移動手段により移動させる工程と、
前記軟包装容器の前記排出部のない側の位置を固定する工程と、
を備え、
前記移動手段により前記持ち上げ手段の前記当接部を前記軟包装容器の前記排出部に向かって移動させることにより、前記軟包装容器が前記当接部で屈曲され、前記液体組成物が前記排出部の方向に集められ、前記軟包装容器内の前記液体組成物を前記排出部から他の容器へ分与させることを特徴とする分与方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体組成物が収容された軟包装容器から液体組成物を分与する分与装置及び分与方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、予め製造された液体組成物を所定量に小分けする(以下、分与という。)ことが、種々の分野で行われている。 例えば特許文献1や特許文献2では、一つの元容器に収容された液体組成物が、小分け用の容器(以下、分与容器という。) に分与される。元容器として、プラスチックフィルム等を用いて作製された軟包装容器が用いられることがある。軟包装容器は、ガラス容器に比べ、破損しにくい、軽量である、使用後の減容化が図れる、取扱いが容易である等の長所を有している。
【0003】
しかしながら、その一方で、軟包装容器から液体組成物を分与する場合、軟包装容器内の液体組成物の残量が少な くなると、表面張力等に起因して液体組成物が軟包装容器内に薄く広がる。このため、液体組成物を軟包装容器の排出部に集め難くなり、且つ、軟包装容器内に薄く広がった液体組成物を排出部に集めようとすると、軟包装容器内に泡が発生し液体組成物に気泡が混入することがある。
【0004】
軟包装容器内の液体組成物に気泡が混入すると、分与容器に所定量の液体組成物を分与することが難しくなり、分与の精度が得られず、また、分与容器に分与された製品の歩留まりも低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-238890号公報
【文献】特開2015-139625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1や特許文献2は、元の軟包装容器の排出部を上または下にして元の軟包装容器を倒立させた状態で元の軟包装容器から分与容器に液体組成物が分与される。このように倒立した状態で分与を行う場合には、上記問題に加えて、例えば、粒子等の固体を含む液体組成物の場合、軟包装容器を倒立した状態では粒子等の固体が沈降するために分与の精度が得られず、より深刻なものとなる。
【0007】
そこで本発明は、上記問題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは液体組成物が収容された軟包装容器から液体組成物を分与するとき、軟包装容器内への気泡の発生、液体組成物への気泡の混入を抑制することができ、分与の精度が得られる分与装置及び分与方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の各態様により上記課題を達成するものである。本発明の第一の態様は、液体組成物を内部に収容する容器本体と、前記容器本体の一方の側に設けられ、前記液体組成物を前記容器本体の外に排出する排出部と、を備えた軟包装容器から、前記液体組成物を他の容器へ分与する分与装置であって、前記分与装置は、支持台と、前記支持台上に設けられ、前記容器本体表面の一部と当接した状態で前記液体組成物の液面の高さが前記排出部の高さより高くなるように前記容器本体の一部を前記支持台から持ち上げる持ち上げ手段と、前記持ち上げ手段の当接した当接部を所定の方向に移動させる移動手段と、を備え、前記移動手段により前記持ち上げ手段の前記当接部を前記軟包装容器の前記排出部に向かって移動させることにより、前記液体組成物が前記排出部の方向に集められ、前記軟包装容器内の前記液体組成物を前記排出部から他の容器へ分与させることを特徴とする分与装置である。
【0009】
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様の分与装置において、前記持ち上げ手段が、前記軟包装容器と当接する前記当接部が、上方に隆起した隆起構造を有し、前記隆起構造が、上下方向に可動であることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の第三の態様は、前記第二の態様の分与装置において、前記当接部が、ローラー構造を有することを特徴とするものである。
【0011】
本発明の第四の態様は、前記第二の態様の分与装置において、前記当接部が、前記軟包装容器を挟持するクランプ構造を有することを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第五の態様は、前記第二または第三の態様の分与装置において、前記持ち上げ手段の前記当接部の上方に板状部材を有することを特徴とするものである。
【0013】
本発明の第六の態様は、前記第一乃至第五のいずれかの態様の分与装置において、前記軟包装容器の前記排出部のない側の位置を固定する固定手段を備えていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の第七の態様は、前記第一乃至第六のいずれかの態様の分与装置において、前記軟包装容器の前記排出部が、複数の排出口を備えることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の第八の態様は、液体組成物を内部に収容する容器本体と、前記容器本体の一方の側に設けられ、前記液体組成物を前記容器本体の外に排出する排出部と、を備えた軟包装容器から、前記液体組成物を他の容器へ分与する分与方法であって、支持台と、前記支持台上に設けられ、前記容器本体表面の一部と当接した状態で前記液体組成物の液面の高さが前記排出部の高さより高くなるように前記容器本体の一部を前記支持台から持ち上げる持ち上げ手段により前記軟包装容器を持ち上げる工程と、前記持ち上げ手段の当接した当接部を所定の方向に移動させる移動手段により移動させる工程と、を備え、前記移動手段により前記持ち上げ手段の前記当接部を前記軟包装容器の前記排出部に向かって移動させることにより、前記液体組成物が前記排出部の方向に集められ、前記軟包装容器内の前記液体組成物を前記排出部から他の容器へ分与させることを特徴とする分与方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、液体組成物を内部に収容する軟包装容器から液体組成物を他の容器へ分与するとき、軟包装容器内への気泡の発生、液体組成物への気泡の混入を抑制することができ、分与の精度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る一実施形態を説明するための図であって、軟包装容器を示す平面図である。
図2】本発明に係る一実施形態を説明するための図であって、軟包装容器を示す側面図である。
図3】本発明に係る一実施形態を説明するための図であって、図2に対応する側面図であり軟包装容器内の液体組成物が減量した状態を説明するための説明図である。
図4】本発明に係る一実施形態を説明するための図であって、分与容器を示す平面図である。
図5】本発明に係る本実施形態の第1具体例を説明するための図であって、分与装置及び分与方法を説明するための側面図である。
図6】本発明に係る本実施形態の第1具体例を説明するための図であって、分与装置及び分与方法を説明するための平面図である。
図7】本発明に係る本実施形態の第1具体例を説明するための図であって、分与装置及び分与方法を説明するための側面図である。
図8】本発明に係る本実施形態の第2具体例を説明するための図であって、分与装置及び分与方法を説明するための側面図である。
図9】本発明に係る本実施形態の第3具体例を説明するための図であって、分与装置及び分与方法を説明するための側面図である。
図10】本発明に係る本実施形態の第4具体例を説明するための図であって、分与装置及び分与方法を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳述する。
図1は本発明に係る一実施形態を説明するための図であって、軟包装容器を示す平面図、図2は本発明に係る一実施形態を説明するための図であって、軟包装容器を示す側面図、図3は本発明に係る一実施形態を説明するための図であって、図2に対応する側面図であり軟包装容器内の液体組成物が減量した状態を説明するための説明図、図4は本発明に係る一実施形態を説明するための図であって、分与容器を示す平面図、図5は本発明に係る本実施形態の第1具体例を説明するための図であって、分与装置及び分与方法を説明するための側面図、図6は本発明に係る本実施形態の第1具体例を説明するための図であって、分与装置及び分与方法を説明するための平面図、図7は本発明に係る本実施形態の第1具体例を説明するための図であって、分与装置及び分与方法を説明するための側面図、図8は本発明に係る本実施形態の第2具体例を説明するための図であって、分与装置及び分与方法を説明するための側面図、図9は本発明に係る本実施形態の第3具体例を説明するための図であって、分与装置及び分与方法を説明するための側面図、図10は本発明に係る本実施形態の第4具体例を説明するための図であって、分与装置及び分与方法を説明するための側面図であり、図中の10は軟包装容器、10a、20aは一方の端部、10b、20bは他方の端部、11、21は容器本体、12、22はフィルム基材、13は排出部、14は排出口、15、25はシール部、20は分与容器、20’は液体組成物が充填された分与容器、23は注出入口部、24aは第1注出入口、24bは第2注出入口、24cは第3注出入口、30は液体組成物、31は気体、40は分与装置、41は支持手段、41aは支持台、42は持ち上げ手段、42aは持ち上げ部材、42bは当接部、42cはローラー構造、42dはクランプ構造、43は固定手段、43aは固定具、44は移動手段、45は液体組成物移送手段、45aは圧送装置、46は板状部材、L1は第1ライン、L2は第2ライン、h1は支持台の水平面から持ち上げ部材の当接部に至る高さ、h2は支持台の水平面から液体組成物の液面に至る高さ、h3は支持台の水平面から排出口の上面に至る高さをそれぞれ示す。なお、本件明細書に添付する図面は、理解しやすくするために便宜上、適宜縮尺、X軸Y軸Z軸の3次元方向の寸法及び形状等を実物の縮尺、寸法及び形状等と変更を加えてあり、これらに限定されるものではない。また、X軸は左右方向、Y軸は前後方向、Z軸は上下方向と呼ぶことがある。
【0019】
本発明に係る一実施形態の分与装置40及び分与方法は、軟包装容器10に収容された液体組成物30の所定量を分与し、例えば分与容器20等に分与していく装置及び方法である。分与装置40及び分与方法は、予め作製した液体組成物30を軟包装容器10に収容され保管される。その後、分与する容量が決定されると、軟包装容器10に収容された液体組成物30を決定された量ずつ分与容器20に分与されるものである。液体組成物30は固体物を含んでいてもよい。
【0020】
軟包装容器10は、フィルム基材12を用いて作製された容器である。フィルム基材12としては、少なくとも内面にヒートシール可能な樹脂層を備えた樹脂製フィル ムであり、柔軟性を有している。このようなフィルム基材12は、内部に収容した液体組成物30の量に応じて容易に変形することができる。このような柔軟性、変形容易性を備えた容器を本発明では軟包装容器と称する。したがって、液体組成物30が収容された軟包装容器10は、この軟包装容器10から液体組成物30が排出されると軟包装容器10のフィルム基材12が変形するものである。さらに、図5に示すように、支持台41a上で軟包装容器10本体表面の一部と線状に屈曲させるように当接した状態(以下、この状態を横倒し状態とする)にされた軟包装容器10を軟包装容器10の縦断乃至横断して軟包装容器10の対向する端部間に跨って持ち上げると軟包装容器10と当接する部分で屈曲し、ヘの字状に変形する。あるいは上方に凸条の台の上に軟包装容器10を横倒し状態に載置すると凸条に当接する縦断乃至横断する部分を屈曲部として、ヘの字状に変形する。このために軟包装容器10が横倒し状態であっても持ち上げ手段42により、軟包装容器10の液体組成物30の液面の高さが排出部13の高さより高くすることが可能となる。このような軟包装容器10は、使用後、折り畳むことができ嵩張ることがなく減容化できるので廃棄性に優れるという効果を有している。また、フィルム基材12に含まれる層に応じて、遮光性、耐候性、バリア性等の種々の特性を軟包装容器10に付与することもできる。
【0021】
図1は本発明に係る一実施形態を説明するための図であって、軟包装容器10を示す平面図、図2は軟包装容器10を示す側面図である。図1に示すように、軟包装容器10は、容器本体11と、容器本体11の内部と外部とを連通する排出部13を有している。軟包装容器10は略矩形状であり、一方の端部10aに排出部13を備えている。排出部13には液体組成物30を排出する流路となる排出口14を有しており、排出口14は、例えば、プラスチック成形品からなる管状部材で容器本体11の内部と外部とを閉鎖可能に連通することが好ましい。このようにすることにより軟包装容器10は、容器本体11内に液体組成物30を保持することができる。また、軟包装容器10は、排出部13を介して保持した液体組成物30を排出することができる。図1には排出部13として排出口14が1つ形成された例を示したが、排出口14は用途に応じて複数の排出口を備えることが好ましい。
【0022】
軟包装容器10は具体的には、二枚のフィルム基材12のシール可能な面同士を重ね合わせ、排出部13の形成予定位置に二枚のフィルム基材12の間に管状部材からなる排出口14を挟み、排出口14とフィルム基材12を接合すると共に重ね合わせた二枚のフィルム基材12の周縁を接合してシール部15が形成されている。接合方法は熱溶着するヒートシール法、インパルスシール法、高周波加熱シール法、超音波シール法等によりシール部15を設けることができる。排出口14は、シール部15を横断して延びており、シール部15で囲まれた領域を液体組成物30が収容される内部とし、内部と外部に連通している。そうすることにより液体組成物が排出、受入が可能な流路となる。
軟包装容器10の形状は図示したものに限らず、液体組成物を内部に収容する容器本体と、前記容器本体の一方の側に設けられ、前記液体組成物を前記容器本体の外に排出する排出部と、を備えた形態であれば、適宜変更することができる。
【0023】
フィルム基材12としてはヒートシール可能な樹脂が使用でき、例えば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体等の樹脂の一種ないしそれ以上からなる樹脂で形成することができる。なお、積層体とすることもでき、これらの樹脂をヒートシール層とし、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン等の延伸または未延伸フィルムを基材層とし、これらを組み合わせて積層して用いることもできる。
【0024】
図2は軟包装容器10を示す側面図であり、液体組成物30が収容され分与される前の軟包装容器10が横倒し状態で載置されている。軟包装容器10の容器本体11内には液体組成物30と、その上部のヘッドスペースには気体31を有している。分与される前は、液体組成物30の液面は排出部13の上部より高い位置にある。
【0025】
図3は本発明に係る一実施形態を説明するための図であって、図2に対応する側面図であり軟包装容器10内の液体組成物30が排出され減量した状態を説明するための説明図である。軟包装容器10の容器本体11内の液体組成物30の排出が進行するにつれて液体組成物30の液面が次第に下降していき、やがて液体組成物30の液面は排出部13の上部より低い位置となる。このような状態になると排出部13は容器本体11の気体31と接することになり、さらに横倒し状態で液体組成物30を排出すると気体31が排出される液体組成物30に巻き込まれ気泡となって混入したり、容器本体11に残留する液体組成物30にも気泡が混入する。液体組成物30内に気泡が発生し混入すると高精度に定量して液体組成物30を分与することが難しくなる。したがって、液体組成物30が分与容器20に分与され液体組成物が分与された分与容器20’(図7参照)の歩留まりの低下、生産性の低下を引き起こすことになる。
【0026】
このように容器本体11内の液体組成物30への気泡の発生、気泡の混入は液体組成物が分与された分与容器20’の歩留まりの低下、生産性の低下の原因となるために気泡の発生、気泡の混入を抑制する必要がある。もちろん、従来のように軟包装容器10を排出部13を下方にして倒立させた状態で液体組成物30を排出すれば排出部13が気体31と接することが防止できるので気泡の発生、混入を抑制することができる。しかし、固体を含む液体組成物30が収容された軟包装容器10の場合、吊るした状態にすると液体組成物30に含まれる固体が沈降し排出部13の周辺に集まるために液体組成物30の成分にバラツキを生じる欠点がある。このような場合には軟包装容器10を横倒し状態で分与を行う方が有利となる。
【0027】
図4は本発明に係る一実施形態を説明するための図であって、分与容器20を示す平面図である。分与容器20は、軟包装容器10に収容された液体組成物30を分与するための小分け用の容器となるものである。図4に示すように分与容器20は、容器本体21と、容器本体21の内部と外部とを連通する注出入口部23を有している。分与容器20は略矩形状であり、一方の端部20aと他方の端部20bを対向して備えており、一方の端部20aに注出入口部23を備えている。注出入口部23は液体組成物30を注入、排出する流路等になるものであり第1注出入口24a、第2注出入口24b、第3注出入口24cを有しており、それぞれの注出入口は、例えば、プラスチック成形品からなる管状部材で構成され容器本体21の内部と外部とを閉鎖可能に連通するものである。図4には注出入口が3つ備えた例を示したが、これに限定されるものではない。また、形状も用途に応じて適宜設計できるものであり、例えば三方シール袋、四方シール袋、自立袋等が使用できる。
【0028】
分与容器20は、二枚のフィルム基材22のシール可能な面同士を重ね合わせ、注出入口部23の形成予定位置に二枚のフィルム基材22の間に管状部材からなる第1注出入口24a、第2注出入口24b、第3注出入口24cをそれぞれ離間させて挟み、それぞれを表裏のフィルム基材22と接合すると共に重ね合わせた二枚のフィルム基材22の周縁を接合してシール部25が形成されている。接合方法は熱溶着するヒートシール法、インパルスシール法、高周波加熱シール法、超音波シール法等によりシール部25を設けることができる。第1注出入口24a、第2注出入口24b、第3注出入口24cは、シール部25を横断して延びており、シール部25で囲まれた領域を分与された液体組成物30が収容される内部とし、内部と外部に連通している。そうすることにより分与された液体組成物が受入、排出が可能な流路となる。
【0029】
分与容器20を作製するフィルム基材22としては、少なくとも内面にヒートシール可能な樹脂層を備えた樹脂製フィル ムであり、柔軟性を有している。また、フィルム基材22に含まれる層に応じて、遮光性、耐候性、バリア性等の種々の特性を分与容器20に付与することもできる。さらに、液体組成物が分与された分与容器20’は冷凍保存されることもあり、フィルム基材22は耐寒性を有することが好ましい。フィルム基材22としてはフィルム基材12と同様にヒートシール可能な樹脂が使用でき、例えば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体等の樹脂の一種ないしそれ以上からなる樹脂で形成することができる。さらに積層体も使用でき、積層体としては、例えば、外層/内層、外層/中間層/内層等の2層以上の積層体とすることができる。外層の基材としては、機械的、物理的、化学的等において優れた性質を有する合成樹脂製フィルムを用いることができ、例えば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系等の樹脂を用いることができる。また、これらの樹脂を用いたフィルムとしては、未延伸フィルム、あるいは、一軸方向ないし二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができ、フィルムの厚さとしては基材としての強度、剛性などについて必要最低限に保持され得る厚さであればよく、コストなどを勘案して決めればよい。
【0030】
また、中間層は、液体組成物及びそれの保管条件により分与容器20に対して要求される保護機能として酸素ガス、水蒸気ガス等のガスバリアー性、及び/又は、遮光性を付与するために基材層と内層との間に設けられるものである。この中間層を構成する材料としては、たとえば、アルミニウム、鉄、銅、錫等の金属箔、あるいは、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリ塩化ビニリデン等のフィルム、あるいは、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリビニルアルコール等のフィルムにポリ塩化ビニリデンを塗工したフィルムないしはアルミニウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機物の蒸着を施し蒸着層を形成したフィルムなどを用いることができる。
【0031】
なお、外層の基材として上記ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系等のフィルムにアルミニウム等の金属の蒸着層または酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機物の蒸着層を形成したものまたはポリ塩化ビニリデンの塗膜を形成したものを用いることができ、この場合には前記中間層を省略することもできる。内層としては、上記のヒートシール可能な樹脂が使用できる。積層方法としては、2液硬化型の接着剤を用いたドライラミネート法、熱可塑性樹脂を溶融押出しする押出ラミネート法等が使用される。
【0032】
軟包装容器10に収容され分与容器20に分与される液体組成物30としては、特に固体を含む液体組成物30が好ましく、例えば、果実入りジュース等の飲料類、細胞を懸濁した細胞懸濁液、蛋白質を懸濁した蛋白質懸濁液、粒子等が分散された懸濁液等が挙げられる。なお、本発明では、液体組成物は水溶性組成物であってもよく、また組成物を含有しない液体単体であってもよい。
【0033】
本実施形態の分与装置40及び分与方法は、軟包装容器10から例えば、分与容器20に液体組成物30を分与するとき、軟包装容器10を横倒し状態で分与容器20に液体組成物30を分与しても、気泡の発生、気泡の混入を抑制できることを特徴の一つとしている。具体的には本発明の分与方法は、液体組成物30が収容された軟包装容器10から分与容器20に液体組成物30を分与する方法であって、軟包装容器10が、液体組成物30を内部に収容する容器本体11と、液体組成物30を容器本体11から排出する排出部13を一方の端部10aに備えており、軟包装容器10の一方の端部10aに備えた排出部13と、排出部13と対向する他方の端部10bとを左右方向とし軟包装容器10を横倒し状態で支持する工程と、横倒し状態で支持された軟包装容器10を排出部13と他方の端部10bの間で容器本体11の左右方向と交差する上下方向において、軟包装容器10を上方向に持ち上げ手段42により持ち上げる工程と、軟包装容器10の他方の端部10bを固定手段43により固定する工程と、前記持ち上げ手段を移動可能な移動手段44により移動させる工程と、を備え、持ち上げ手段42により液体組成物30の液面の高さが排出部13の高さより高くなるように制御し、軟包装容器10から分与容器20に液体組成物30を分与するものである。本発明の分与方法によって、軟包装容器10内の液体組成物30への気泡の発生、混入を効果的に抑制することができるので分与の精度が得られ液体組成物が分与された分与容器20’の歩留まり向上が図れ、生産性が向上する。したがって、以下に説明する本実施の 形態による分与方法及び分与装置40は、横倒し状態で分与することが好ましい特に固体を含む液体組成物30に対して好適である。また、移動手段44は持ち上げ手段42を左右方向に平行に移動させるものである。
なお、前記固定手段43により軟包装容器10の排出部13のない側と支持台とを固定することが好ましいが、必ずしも前記固定手段43により軟包装容器10の位置を固定しなくてもよい。たとえば、軟包装容器10の自重を利用するようにしてもよい。
【0034】
次に図5図10を参照しながら本実施形態による第1~第4具体例について説明する。第1~第4具体例は、軟包装容器10の持ち上げ手段42が異なる。以下の説明及び図面において、第1~第4具体例の間で対応する構成に ついては同一の符号を付し、重複する説明を省略する。なお、図5図7~10において、持ち上げ手段42により屈曲した容器本体11の部分は、便宜上、二枚のフィルム基材12が少し離れた状態で示されているが、実際には二枚のフィルム基材12は接した状態となっており、液体組成物30の逆流を防ぐことが可能になっている。
【0035】
[第1具体例]
まず、第1具体例について説明する。図5図7は本実施形態の第1具体例を説明するための図である。図5は分与装置40及び分与方法を説明するための側面図、図6は平面図、図7は分与操作が進行するに伴い持ち上げ手段42が移動した状態を示す側面図である。
【0036】
分与装置40は、液体組成物30が充填された軟包装容器10から分与容器20に液体組成物30を分与する装置であって、軟包装容器10を横倒し状態で支持する支持手段41と、軟包装容器10を上方向に持ち上げる持ち上げ手段42と、軟包装容器10の他方の端部10bを固定する固定手段43と、持ち上げ手段42が左右方向に平行移動可能な移動手段44と、を備える。さらに軟包装容器10から分与容器20に液体組成物30を移送する液体組成物移送手段45を有している。
【0037】
軟包装容器10を横倒し状態で支持する支持手段41としては、液体組成物30を収容した軟包装容器10を横倒し状態で支持できる例えば、水平面を有する支持台41aが好ましい。支持台41aは揺動可能なことが好ましく、上下方向に揺動することがより好ましい。支持台41aの水平面の大きさは軟包装容器10を横倒し状態で載置したとき、軟包装容器10が支持台41aの水平面よりはみださないことが好ましく、軟包装容器10の外郭が支持台41aの水平面内に収まることが好ましい。
【0038】
軟包装容器10を上方向に持ち上げる持ち上げ手段42としては、液体組成物30の液面の高さが排出部13の高さより高くなるように制御可能な持ち上げ部材42aで構成され、図5図6に示すように持ち上げ部材42aは、支持台41aより上方に凸状の構造を有し、軟包装容器10の対向する一方の端部10aと他方の端部10bの方向(左右方向)と直交する前後方向を跨ぐ長さを有していることが好ましい。図5に示すように持ち上げ部材42aの上部は軟包装容器10と当接し軟包装容器10を屈曲させる当接部42bを備える。当接部42bは、上方に隆起した隆起構造を有することが好ましく、上部に鋭角な構造あるいはアール(R)を有する構造でもよい。持ち上げ部材42aは当接部42bで軟包装容器10を上方に屈曲させることにより、液体組成物30を一方の端部10a側に集めると共に他方の端部10bの側に逆流することを防止するものである。また、持ち上げ部材42aの高さは支持台41aの水平面より当接部42bに至る高さh1が、液体組成物30を一方の端部10a側に集めたとき、形成される液面高さ、すなわち、支持台41aの水平面から液体組成物30の液面に至る高さh2との関係がh1>h2を満足する。
【0039】
また、持ち上げ手段42は、持ち上げ部材42aの備える隆起構造が、上下方向に可動であることが好ましく、下限の位置が支持台41aの水平面と同じ位置乃至水平面より低い位置でもよい。上下方向に可動である構成とすることにより、軟包装容器10からの分与作業の進行に伴い、支持台41aの水平面から液体組成物30の液面に至る高さh2との関係がh1>h2を保持し易くなるので好ましい。
【0040】
固定手段43としては、軟包装容器10の他方の端部10bを固定するものであり、少なくとも容器本体11の他方の端部10bの側を固定できればよく、限定されるものではないが例えば、クランプ機能を備えた固定具43aを使用できる。あるいはネジ方式で軟包装容器10の他方の端部10bを挟む構造であってもよい。また、セロテープ(登録商標)等の粘着テープ等を用いて軟包装容器10の他方の端部10bを支持台41aに固定してもよい。
【0041】
持ち上げ手段42は、この持ち上げ手段42により支持台41aの水平面から液体組成物30の液面に至る高さh2が支持台41aの水平面から排出口14の上面に至る高さh3より高くなるように制御されるものであり、持ち上げ手段42が上下方向に可動であることにより制御しやすくなる。また、持ち上げ手段42は移動手段44により左右方向に平行移動可能なものである。移動手段44の一例を示すと、例えば、持ち上げ部材42aが支持台41aを前後方向(図6参照)に跨ぎ両端に持ち上げ部材42aを架橋構造で支える一対のキャリッジと、キャリッジに支えられた持ち上げ部材42aを左右方向に平行移動させるための回転可能な一対のスクリュースピンドルと、スクリュースピンドルを回転させるトランスミッションハウジングとを備える。
【0042】
一対のキャリッジは、支持台41aの前後方向の端部にそれぞれ支持台41aを介して対向して配されている。一対のスクリュースピンドルのスクリューはそれぞれ一対のキャリッジと係合し、スクリュースピンドルの回転と連動してキャリッジ及びキャリッジに支えられた持ち上げ部材42aを左右方向に移動させることが可能となっている。一対のスクリュースピンドルは棒状であり、その長さは支持台41aの左右方向の長さに応じて決められるものであるが、長さ方向の一方の端部は支持台41aの一方の端部側に周方向回転可能に支持され、他方の端部には、例えば、同一直径の歯車をそれぞれに有しその歯車はトランスミッションハウジング内に備えられている。それぞれの歯車はトランスミッションハウジングに備えられる歯付き駆動ベルト等と駆動可能に係合されている。したがって、トランスミッションハウジングの駆動ベルトが駆動されると一対のスクリュースピンドルが同時に周方向に回転し、両方のスクリュースピンドルに係合するキャリッジを同期的に動作させることによって、キャリッジに支えられた持ち上げ部材42aを支持台41aの左右方向に沿って移動するように制御される。なお、キャリッジ、スクリュースピンドル、トランスミッションハウジング等は図示していない。
【0043】
液体組成物移送手段45としては、軟包装容器10に収容された液体組成物30を分与容器20に移送するためのものであり、図5には、例えばポンプからなる圧送装置45aと第1ラインL1と第2ラインL2を有している。圧送装置45aのポンプとしては定量搬送が可能なシリンジポンプやベリスターポンプが用いられる。第1ラインL1は圧送装置45aと軟包装容器10を連結し軟包装容器10の排出口14に挿入されている。第2ラインは圧送装置45aと分与容器20を連結し分与容器20の注出入口部23に挿入されている。
【0044】
図5図6を参照しながら分与方法を詳しく説明する。
液体組成物30を分与する方法は、液体組成物30を収容した軟包装容器10の一方の端部10aに備えた排出部13と、排出部13と対向する他方の端部10bとを左右方向とし軟包装容器10を横倒し状態で支持する工程と、横倒し状態で支持された軟包装容器10を排出部13と他方の端部10bの間で容器本体11の左右方向と交差する上下方向において、軟包装容器10を上方向に持ち上げ手段42により持ち上げる工程と、軟包装容器10の他方の端部10bを固定手段43により固定する工程と、持ち上げ手段42を移動可能な移動手段44により移動させる工程と、軟包装容器10に収容された液体組成物30を分与容器20に分与する工程を含む。
【0045】
まず、軟包装容器10を横倒し状態で支持する工程は、持ち上げ部材42aを液体組成物移送手段45が位置する側と反対側の支持台41aの他方の端部側に寄せておく。つぎに軟包装容器10の液体組成物30を排出口14側に寄せた状態とし、持ち上げ部材42aの当接部42bに軟包装容器10を当接させると共に他方の端部10bを固定具43aで支持台41aに固定し、液体組成物30を当接部42bより排出口14側に寄せた状態を保持する。図5はその状態を示しており、上方に隆起構造を備えた持ち上げ部材42aにより軟包装容器10は当接部42bで屈曲しへの字状になっている。当接部42bにおけるフィルム基材12は当接部42bで押し上げられることにより密着すると共に排出口14側に寄せられた液体組成物30が他方の端部10bの側に逆流することを防止している。そして、支持台の水平面から持ち上げ部材の当接部に至る高さh1、支持台の水平面から液体組成物の液面に至る高さh2、および支持台の水平面から排出口の上面に至る高さh3の関係が
h1>h2>h3
を満足している。
【0046】
つぎに支持台41aに載置されている軟包装容器10の排出口14に第1ラインL1を液密に挿入されると共に第2ラインL2は分与容器20の注出入口部23に液密に連結され、圧送装置45aにより分与が開始される。
【0047】
別法として、持ち上げ部材42aの当接部42bの位置が、支持台41aの水平面ないし水平面より低い位置に下降させ、持ち上げ部材42aを固定具43a側に寄せておく。つぎに支持台41aの上に横倒し状態で支持する。軟包装容器10の排出口14を支持台41aの一方の端部側、軟包装容器10の他方の端部10bを固定具43a側とする。つぎに軟包装容器10の他方の端部10bを固定具43aで支持台41aに固定する。そして、支持台41aに載置されている軟包装容器10の排出口14に第1ラインL1を液密に挿入されると共に第2ラインL2は分与容器20の注出入口部23に液密に連結され、圧送装置45aにより分与が開始される。分与作業が進行するに伴い、液体組成物30の液面が低下するが、持ち上げ部材42aを上方向に可動させ、さらに移動手段44により排出口14側に移動されることにより、支持台の水平面から持ち上げ部材の当接部に至る高さh1、支持台の水平面から液体組成物の液面に至る高さh2、および支持台の水平面から排出口の上面に至る高さh3の関係が
h1>h2>h3
を満足するように制御させる。この間、隆起構造を備えた持ち上げ部材42aにより軟包装容器10は当接部42bで屈曲しへの字状になっており、逆流することを防止している。
また、支持台41aは固定ではなく、可動にすることもでき、直立、または、傾斜させることができる。具体的には、軟包装容器10の他方の端部10bを固定具43aで支持台41aに固定し、支持台41aの固定具43a側の他方の端部側を上昇させるか、または、一方の端部の側を下降させることにより支持台41aを直立、または、傾斜させることで液体組成物30を自重により排出口14側に寄せることができる。
【0048】
図7の気体31は、液体組成物30が減量しても分与開始前の気体の量と殆ど変化がないものであるが理解しやすくするために誇大した記載としている。図7に示すように分与作業が進行し、液体組成物が分与された分与容器20’が続々と生産されると液体組成物30が減量していくが、減量に伴い持ち上げ部材42aが移動手段44により排出口14側に移動する。そして、持ち上げ部材42aにより液体組成物30の液面の高さが排出部13の高さより高くなるように制御され、前記h1>h2>h3の関係が満足されることから分与作業が進んでも液体組成物30内に気泡が混入することが抑制することができ、分与精度を向上させることができる。当接部52bは、容器本体11の下側のフィルム基材12の表面と接した状態で滑りながら移動し、屈曲した状態は維持され屈曲部において二枚のフィルム基材12は密着しているので持ち上げ部材42aが移動しても液体組成物30の逆流を防げる。
【0049】
図8は、本発明に係る本実施形態の第2具体例を説明するための図であって、分与装置及び分与方法を説明するための側面図であり、図5に対応するものである。図8は、持ち上げ部材42aの当接部が、ローラー構造42cを有する。その他は第1具体例と同じであり、同符号を付して説明を省略する。第1具体例の隆起構造を備えた当接部42bに比べ、第2具体例のローラー構造42cは、フィルム基材12との接触面積が増え、持ち上げ部材42aが左右方向に移動する際、当接部となるローラー構造42cに加わる容器本体11との接触抵抗が大きくなるが、回転可能な構造とすることにより接触抵抗が少なくなり、分与作業が容易になる。ローラー構造42cとしては、円筒形ローラーをシャフトに回転可能に設けるか、シャフトとローラーを一体化して回転可能な構造にしてもよい。ローラー構造42cは容器本体11との摩擦抵抗による連れ回り方式や駆動による回転方式にすることができ任意である。
【0050】
図9は本発明に係る本実施形態の第3具体例を説明するための図であって、分与装置及び分与方法を説明するための側面図であり、図5に対応するものである。本実施形態の第3具体例は、持ち上げ部材42aの当接部が、軟包装容器10の容器本体11を跨ぎ前後方向(図6参照)に挟持するクランプ構造42dを有する。その他は第1具体例と同じである。クランプ構造42dは、例えば、棒状乃至板状の部材を上下に対向して配置させ容器本体11を挟持できれば特に限定されるものではない。持ち上げ手段42が移動手段44により移動する際、軟包装容器10の容器本体11とクランプ構造42dとの接触抵抗を下げる構造が好ましく、クランプする面にシリコーン等のスリップ層を設けてもよい。クランプ圧は持ち上げ手段42が移動する際、液体組成物30が他方の端部10bの側に逆流することを防止できる程度にニップできればよいものであり、小さいことが好ましい。
【0051】
図10は、本発明に係る本実施形態の第4具体例を説明するための図であって、分与装置及び分与方法を説明するための側面図、図5に対応するものである。本実施形態の第4具体例は、板状部材46が、持ち上げ部材42aの当接部42bの上方に備えられた構成である。その他は第1具体例と同じである。板状部材46は、当接部42bの上方に対向して配置され、軟包装容器10が持ち上げ部材42aに載置されたとき、当接部42bで屈曲された軟包装容器10の屈曲部を当接部42bと板状部材46で挟持するものである。板状部材46は、持ち上げ手段42とは独立して設けられており、例えば支持台41a等の固定された部位に支持手段で固定され設けられるものである。したがって、持ち上げ部材42aの当接部42bと板状部材46で軟包装容器10を挟持しつつ、持ち上げ部材42aの当接部42bのみが左右方向に平行移動する。板状部材46は、例えば、板状の部材であれば特に限定されるものではないが持ち上げ手段42が左右方向に平行移動する間に亘り当接部42bと接することができる大きさが好ましい。持ち上げ手段42が移動手段44により移動する際、軟包装容器10の容器本体11と接触抵抗を下げる構造が好ましく、挟持する面にシリコーン等のスリップ層を設けてもよい。挟持する圧力は持ち上げ手段42が移動する際、液体組成物30が他方の端部10bの側に逆流することが防止できる程度であればよいものであり、小さいことが好ましい。また、第2具体例において、第4具体例と同様にローラー構造42cの上方に板状部材46を配置し、軟包装容器10が持ち上げ部材42aに載置されたとき、あるいは持ち上げ部材42aが上昇し軟包装容器10を持ち上げたとき、ローラー構造42cで屈曲された軟包装容器10の屈曲部をローラー構造42cと板状部材46とで挟持する構造にすることもできる。
【0052】
なお、今まで説明してきた具体例は、本発明の分与装置40及び分与方法の代表的な例を示したものであって、本発明に係る分与装置40及び分与方法はこれに限るものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範疇のものは、すべて本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0053】
10 軟包装容器
10a、20a 一方の端部
10b、20b 他方の端部
11、21 容器本体
12、22 フィルム基材
13 排出部
14 排出口
15、25 シール部
20 分与容器
20’ 液体組成物が分与された分与容器
23 注出入口部
24a 第1注出入口
24b 第2注出入口
24c 第3注出入口
30 液体組成物
31 気体
40 分与装置
41 支持手段
41a 支持台
42 持ち上げ手段
42a 持ち上げ部材
42b 当接部
42c ローラー構造
42d クランプ構造
46 板状部材
43 固定手段
43a 固定具
44 移動手段
45 液体組成物移送手段
45a 圧送装置
L1 第1ライン
L2 第2ライン
h1 支持台の水平面から持ち上げ部材の当接部に至る高さ
h2 支持台の水平面から液体組成物の液面に至る高さ
h3 支持台の水平面から排出口の上面に至る高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10