(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】パウチ
(51)【国際特許分類】
B65D 75/58 20060101AFI20231212BHJP
B65D 33/24 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B65D75/58
B65D33/24
(21)【出願番号】P 2019064319
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2022-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】古谷 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】武士田 満
(72)【発明者】
【氏名】清水 怜子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英怜那
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特公昭44-012558(JP,B1)
【文献】米国特許第05199602(US,A)
【文献】特開2015-131689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/58
B65D 77/30
B65D 33/00-33/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1面と第2面で構成される本体部と、前記本体部の一方の面に形成される合掌部と、を有するパウチであって、
前記本体部は、第1縁と、前記第1縁と対向する第2縁と、前記第1縁と前記第2縁の間で延びる第3縁と第4縁を有し、
前記合掌部は、前記本体部の前記第3縁から前記第4縁に亘って設けられており、
前記合掌部は、基部と、前記基部と対向する先端部と、を有し、
前記合掌部は、前記本体部から切り離す際に、前記合掌部の前記基部と連接する前記本体部に開口を形成するものであり、
前記本体部は、前記合掌部の前記基部に連設され、前記第1縁に向かって延びる第1部分と、前記合掌部の前記基部に連設され、前記第2縁に向かって延びる第2部分と、を含み、
前記合掌部は、前記合掌部の前記基部に連設され、前記合掌部の先端部に向かって延びる第1部分を含み、
前記合掌部の前記基部が延びる方向である第1方向において、前記合掌部の基部の長さを第1距離とし、前記本体部の前記第1縁の長さを第2距離とする場合、前記第1距離が前記第2距離よりも長
く、
前記本体部は、前記第3縁に沿って延びる第3縁シール部および前記第4縁に沿って延びる第4縁シール部を有し、
前記本体部の第2部分の最も第1縁寄りの位置における第3縁シール部の内縁から第4縁シール部の内縁までの距離を第3距離とする場合、当該第3距離が前記第2距離よりも長いことを特徴とするパウチ。
【請求項2】
前記合掌部が前記第1縁寄りの位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のパウチ。
【請求項3】
前記本体部の前記第3縁および前記第4縁にガセット部を有することを特徴とする請求項1
または請求項
2に記載のパウチ。
【請求項4】
前記本体部の前記第2縁にガセット部を有することを特徴とする請求項1~請求項
3のいずれか一項に記載のパウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容易に開封を行うことができるパウチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内部に食品等を収納する包装用の袋としては、一般に、包材を背面の合掌部でシールするとともに天部および底部でシールするようにした、いわゆるピロータイプのものや、2枚の包材を重ね合わせて四辺をシールするようにした四方シールのもの、あるいは、包材を中央部で折り曲げその折り曲げ部以外の三辺をシールするようにした三方シールのものなどが多く用いられている(特許文献1参照)。上記のような各種の袋を開封する際には、シール部近傍の包材表面をつかんで引っ張ることにより、背シール部(合掌部シール部)または天もしくは底シール部を剥がすようにするのが普通である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の包装袋では、シール部を開封するために比較的大きな力を必要とし、簡易に開封することが難しかった。また、開封した後、内容物が残った場合に、開封により生じた開口を閉じることが難しい。
【0005】
そこで、本発明は、開封をした後、開封により生じた開口を簡易に仮閉じすることができるパウチを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、
対向する第1面と第2面で構成される本体部と、前記本体部の一方の面に形成される合掌部と、を有するパウチであって、
前記本体部は、第1縁と、第1縁と対向する第2縁と、第1縁と第2縁の間で延びる第3縁と第4縁を有し、
前記合掌部は、前記本体部の前記第3縁から前記第4縁に亘って設けられており、
前記合掌部は、基部と、前記基部と対向する先端部と、を有し、
前記本体部は、前記合掌部の前記基部に連設され、前記第1縁に向かって延びる第1部分と、前記合掌部の前記基部に連設され、前記第2縁に向かって延びる第2部分と、を含み、
前記合掌部は、前記合掌部の前記基部に連設され、前記合掌部の先端部に向かって延びる第1部分を含み、
前記合掌部の前記基部が延びる方向である第1方向において、前記合掌部の基部の長さを第1距離とし、前記本体部の前記第1縁の長さを第2距離とする場合、前記第1距離が前記第2距離よりも長いことを特徴とするパウチを提供する。
【0007】
また、本発明のパウチは、前記本体部は、前記第3縁に沿って延びる第3縁シール部および前記第4縁に沿って延びる第4縁シール部を有し、
前記本体部の第2部分の最も第1縁寄りの位置における第3縁シール部の内縁から第4縁シール部の内縁までの距離を第3距離とする場合、当該第3距離が前記第2距離よりも長くてもよい。
【0008】
また、本発明のパウチは、前記合掌部が前記第1縁寄りの位置に設けられていてもよい。
【0009】
また、本発明のパウチは、前記本体部の前記第3縁および前記第4縁にガセット部を有していてもよい。
【0010】
また、本発明のパウチは、前記本体部の前記第2縁にガセット部を有していてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、容易に開封を行うことができるパウチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明第1の実施形態に係るパウチを示す斜視図である。
【
図2】本発明第1の実施形態に係るパウチを示す正面図である。
【
図3】本発明第1の実施形態に係るパウチを示す背面図である。
【
図4】合掌部7を第1縁11側に折り返した状態におけるパウチの正面図である。
【
図5】
図2、
図4における端部P11、P21を中心とする部分拡大図である。
【
図6】第1縁11にシール部を形成してパウチを封止した状態の正面図である。
【
図7】シール箇所の変形例を示すパウチの正面図および背面図である。
【
図8】合掌部7の位置の変形例を示すパウチの正面図および背面図である。
【
図9】第2の実施形態に係るパウチの、合掌部7を第2縁12側に折り返した状態の正面図である。
【
図10】第2の実施形態に係るパウチの、合掌部7を第1縁11側に折り返した状態の正面図である。
【
図12】第3の実施形態に係るパウチの正面図である。
【
図13】サイドガセット袋の形態としたパウチを示す図である。
【
図14】スタンディングパウチの形態としたパウチを示す図である。
【
図15】包装材料の層構成の一例を示す断面図である。
【
図16】合掌部7の切り取りによるパウチの開封の前後を示す正面図である。
【
図17】シール部の形状の変形例を示すパウチの正面図および背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施形態>
まず、第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明第1の実施形態に係るパウチを示す斜視図である。
図2は、本発明第1の実施形態に係るパウチを示す正面図である。
図3は、本発明第1の実施形態に係るパウチを示す背面図である。
図1~
図3に示した本実施形態のパウチは、内容物が充填される前の状態(内容物が充填されていない状態)のパウチを示したものである。なお、
図2の正面図においては、合掌部7の先端部7bが下方に向くように合掌部7を倒した状態を示している。
【0014】
本実施形態のパウチは、対向する第1面1、第2面2で構成される本体部3と、本体部3の一方の面(第1面1)に形成される合掌部7を有している。本実施形態のパウチは、第1面1側から見た正面視、第2面2側から見た背面視において凹八角形状、具体的には、長方形から左右対称に四角形を切り取った形状である。本発明において、長方形、四角形、八角形等の多角形は、各隅が角を有する形状だけでなく、各隅が面取りされて、外に凸の円弧状または曲線状となったものも含む概念である。また、本発明において、パウチは、内容物が充填されていない状態のパウチに限らず、内容物が充填されている状態のパウチも含む概念である。
【0015】
本実施形態のパウチは、上述のように、本体部3と合掌部7を有している。
図1~
図3に示すように、本体部3は、第1縁11と、第1縁11と対向する第2縁12と、第1縁11と第2縁12の間で延びる第3縁13と第4縁14を有している。また、合掌部7は本体部3の第3縁13から第4縁14に亘って設けられている。合掌部7は、基部7aと、基部7aと対向する先端部7bと、基部7aと先端部7bの間で延びる第5縁15と第6縁16を有している。合掌部7は、基部7aから先端部7bに亘って、対向する包装材料どうしが重ね合わされて形成されている。本体部3は、合掌部7の基部7aに連設され、第1縁11に向かって延びる第1部分3aと、合掌部7の基部7aに連設され、第2縁12に向かって延びる第2部分3bと、を含んでいる。
図3に示す2本の二点鎖線のうち、上側の二点鎖線は、第1面1側における合掌部7の基部7aに対応する位置である。下側の二点鎖線は、本体部3の第2部分3bの下限を示している。したがって、本体部3の第2部分3bは、上側の二点鎖線と下側の二点鎖線に挟まれた範囲となる。合掌部7は、後述のように、合掌部7の基部7aが第1縁11から第2縁12の間となる任意の位置において、形成することができる。本実施形態では、合掌部7は、第1縁11寄りの位置に設けられている。具体的には、合掌部7の基部7aの基部7aが、第2縁12よりも第1縁11に近い位置に形成されている。
【0016】
<構成部材>
第1の実施形態のパウチは、3枚の包装材料により形成されている。1枚目は、第2面2となる包装材料であり、2枚目は、第1面1側において、本体部3の第1縁11から合掌部7の先端部7bに亘る包装材料であり、3枚目は、第1面1側において、本体部3の第2縁12から合掌部7の先端部7bに亘る包装材料である。1枚目の包装材料と2枚目の包装材料は、本体部3の第1部分3aにおける第3縁13、第4縁14において、シール(ヒートシール)されて接合されている。1枚目の包装材料と3枚目の包装材料は、本体部3の第1部分3a以外における、第2縁12、第3縁13、第4縁14において、シールされて接合されている。2枚目の包装材料と3枚目の包装材料は、合掌部7の基部7aから先端部7bに亘って、シールされて接合されている。1枚目の包装材料と2枚目の包装材料は、第1縁11において、シールされていないため、内容物の充填前は、収容部8の開口部9となっている。
【0017】
<シール部>
図1~
図3に示す第1の実施形態のパウチは、内容物の充填前の状態を示している。内容物の充填前の本実施形態のパウチは、
図1~
図3に示すように、第2縁12、第3縁13、第4縁14、合掌部7において、ヒートシールされてシール部が形成されている。
図1~
図3においては、既にヒートシールが行われ、形成済みの各シール部を斜線で網掛けして示している。未形成の状態のシール部には、網掛けを施していない。各シール部は、それぞれ、第2縁12、第3縁13、第4縁14、合掌部7の先端部7bを含むように形成されている。第3縁13に沿って網掛けで示した第3縁シール部13a、第4縁シール部14aが形成されている。また、合掌部7においては、本体部3の第3縁13から第4縁14に亘ってシール部が形成されている。
【0018】
図4は、合掌部7を第1縁11側に折り返した状態におけるパウチの正面図である。
図2に示したような合掌部7を第2縁12側に折り返した状態から、合掌部7の基部7aを支点にして、折り返すことにより、
図4に示したような状態が得られる。
図4においては、左右方向に延びる仮想的な線を二点鎖線により示している。上側の二点鎖線は、端部P12と端部P22を結んでおり、合掌部7を第1部分7cとその他の部分に区分する線を示している。下側の二点鎖線は、
図3に示した下側の二点鎖線と同様、端部P14と端部P24を結んでおり、本体部3の第2部分3bの下限を示す線である。
【0019】
図2、
図4を用いて、本実施形態に係るパウチの特徴を説明するための端部について定義しておく。
図2、
図4に示すように、合掌部7の基部7aの第5縁15側の端部をP11とし、合掌部7の第1部分7cの第5縁15のP11とは反対側の端部をP12とし、本体部3の第1部分3aの第3縁13のP11とは反対側の端部をP13とし、本体部3の第2部分3bの第3縁13のP11とは反対側の端部をP14とし、合掌部7の基部7aの第6縁16側の端部をP21とし、合掌部7の第1部分7cの第6縁16のP21とは反対側の端部をP22とし、本体部3の第1部分3aの第4縁14のP21とは反対側の端部をP23とし、本体部3の第2部分3bの第4縁14のP21とは反対側の端部をP24とする。
【0020】
第1の実施形態では、合掌部7の基部7aが延びる方向を第1方向(
図2、
図3、
図4における左右方向)としたとき、合掌部7の基部7aの長さを第1距離D1とし、第1方向における第1縁11の端部間(P13-P23間)の距離を第2距離D2とする。本実施形態では、合掌部7の基部7aの長さである第1距離D1が、第1方向における第1縁11の端部間(P13-P23間)の距離である第2距離D2よりも長い。さらに、第1の実施形態では、本体部3の第2部分3bの最も第1縁11寄りの位置、すなわち合掌部7の基部7aと重なる位置における第3縁シール部13aの内縁から第4縁シール部14aの内縁までの距離を第3距離D3とする。このとき、第3距離D3は第2距離D2よりも長い。
【0021】
第1距離D1及び第3距離D3が、第2距離D2よりも長いことにより、合掌部7を本体部3から切り離して、合掌部7の基部7aと連接する本体部3に開口23(
図16参照)が形成された後に、本体部3の第1部分3aを合掌部7の基部7aが存在した位置で第1面1側に折り曲げた際、第1縁11を開口23に挿入し易くなる。これにより、内容物が残っている場合に、開口23を仮閉じすることが可能となる。仮閉じとは、完全に封をすることはできず、機体や液体は通るが、少なくとも開口のうちの所定の面積を塞ぐことができる状態を意味する。開封した後、再び閉じるため、リクローズと表現することもできる。仮閉じとなるため、開口を完全に閉じることはできないが、内容物が液体でなく、ある程度の大きさをもつ固形物である場合は、開口23から内容物が出るのを防ぐことができる。特に、第3距離D3が第2距離D2よりも長いことにより、本体部3の第1部分3aを合掌部7の基部7aが存在した位置で第1面1側に折り曲げた際、第1縁11を開口23により挿入し易くなり、開口23を容易に仮閉じすることができる。
【0022】
第1の実施形態では、合掌部7を本体部3から切り取り易い条件も備えている。次に、この条件について説明する。上述のようにして定義された端部の位置関係により条件(a)~条件(d)の4つの条件が規定される。
図5は、
図2、
図4における端部P11、P21を中心とする部分拡大図である。
図5(a)(b)は、
図2における端部P11、P21付近の部分拡大図であり、
図5(c)(d)は、
図4における端部P11、P21付近の部分拡大図である。
図5(a)~(d)は、それぞれ条件(a)~条件(d)に対応している。
【0023】
まず、
図2、
図5(a)(b)を用いて、条件(a)と条件(b)について説明する。第1の実施形態では、
図2、
図5(a)に示すように、合掌部7の先端部7bが本体部3の第2縁12側を向くように折り返した状態において、合掌部7の第1部分7cの第5縁15と、本体部3の第1部分3aの第3縁13と、P12とP13を結ぶ仮想線(
図5(a)において一点鎖線で示す。)と、で形成される形状が、P11に向かって先窄まり形状となるように形成されている。これが条件(a)である。
図2、
図5(a)の例では、特に、P11において、合掌部7の第1部分7cの第5縁15と、本体部3の第1部分3aの第3縁13がパウチの外方においてなす角度が鈍角となるように形成されている。第1の実施形態では、P11、P12、P13で三角形を構成しているため、P11に向かって先窄まり形状となっている。このように、合掌部7の第1部分7cの第5縁15と、本体部3の第1部分3aの第3縁13と、P12とP13を結ぶ仮想線と、で形成される形状が、P11に向かって先窄まり形状となるように形成されていることにより、開封時に、合掌部7の第1部分7cの第5縁15に開封応力が集中することになり、端部P11において凝集破壊が起こり、合掌部7が本体部3より切り取られ易くなる。
【0024】
また、第1の実施形態では、
図2、
図5(b)に示すように、合掌部7の先端部7bが本体部3の第2縁12側を向くように折り返した状態において、合掌部7の第1部分7cの第6縁16と、本体部3の第1部分3aの第4縁14と、P22とP23を結ぶ仮想線(
図5(b)において一点鎖線で示す。)と、で形成される形状が、P21に向かって先窄まり形状となるように形成されている。これが条件(b)である。
図2、
図5(b)の例では、特に、P21において、合掌部7の第1部分7cの第6縁16と、本体部3の第1部分3aの第4縁14がパウチの外方においてなす角度が鈍角となるように形成されている。第1の実施形態では、P21、P22、P23で三角形を構成しているため、P21に向かって先窄まり形状となっている。このように、合掌部7の第1部分7cの第6縁16と、本体部3の第1部分3aの第4縁14と、P22とP23を結ぶ仮想線と、で形成される形状が、P21に向かって先窄まり形状となるように形成されていることにより、開封時に、合掌部7の第1部分7cの第6縁16に開封応力が集中することになり、端部P21において凝集破壊が起こり、合掌部7が本体部3より切り取られ易くなる。
【0025】
次に、
図4、
図5(c)(d)を用いて、条件(c)と条件(d)について説明する。第1の実施形態では、
図4、
図5(c)に示すように、合掌部7の先端部7bが本体部3の第1縁11側を向くように折り返した状態において、合掌部7の第1部分7cの第5縁15と、本体部3の第2部分3bの第3縁13と、P12とP14を結ぶ仮想線(
図5(c)において一点鎖線で示す。)と、で形成される形状が、P11に向かって先窄まり形状となるように形成されている。これが条件(c)である。
図4の例では、特に、P11において、合掌部7の第1部分7cの第5縁15と、本体部3の第2部分3bの第3縁13がパウチの外方においてなす角度が鋭角(
図4、
図5(c)の例では直角に近い鋭角)となるように形成されている。第1の実施形態では、P11、P12、P14で三角形を構成しているため、P11に向かって先窄まり形状となっている。このように、合掌部7の第1部分7cの第5縁15と、本体部3の第2部分3bの第3縁13と、P12とP14を結ぶ仮想線と、で形成される形状が、P11に向かって先窄まり形状となるように形成されていることにより、開封時に、合掌部7の第1部分7cの第5縁15に開封応力が集中することになり、端部P11において凝集破壊が起こり、合掌部7が本体部3より切り取られ易くなる。
【0026】
また、第1の実施形態では、
図4、
図5(d)に示すように、合掌部7の先端部7bが本体部3の第1縁11側を向くように折り返した状態において、合掌部7の第1部分7cの第6縁16と、本体部3の第2部分3bの第4縁14と、P22とP24を結ぶ仮想線(
図5(d)において一点鎖線で示す。)と、で形成される形状が、P21に向かって先窄まり形状となるように形成されている。これが条件(d)である。
図4、
図5(d)の例では、特に、P21において、合掌部7の第1部分7cの第6縁16と、本体部3の第2部分3bの第4縁14がパウチの外方においてなす角度が鋭角(
図4、
図5(d)の例では直角に近い鋭角)となるように形成されている。第1の実施形態では、P21、P22、P24で三角形を構成しているため、P21に向かって先窄まり形状となっている。このように、合掌部7の第1部分7cの第6縁16と、本体部3の第2部分3bの第4縁14と、P22とP24を結ぶ仮想線と、で形成される形状が、P21に向かって先窄まり形状となるように形成されていることにより、開封時に、合掌部7の第1部分7cの第6縁16に開封応力が集中することになり、端部P21において凝集破壊が起こり、合掌部7が本体部3より切り取られ易くなる。
【0027】
第1の実施形態では、上述のように、P11、P12、P13で形成される形状が、条件(a)を満たし、P21、P22、P23で形成される形状が、条件(b)を満たし、P11、P12、P14で形成される形状が、条件(c)を満たし、P21、P22、P24で形成される形状が、条件(d)を満たしている。このため、合掌部7を、第2縁12側を向くように折り返した場合、第1縁11側を向くように折り返した場合、あるいは本体部3と直交するように立てた場合のいずれであっても、合掌部7を本体部3より容易に切り取ることが可能となる。上記4つの条件(a)~(d)を全て満たすことが最も好ましいが、条件(a)~(d)のいずれか1つのみを満たすような形状としてもよい。条件(a)~(d)のいずれか1つのみを満たす場合、その条件を満たす端部P11またはP21から合掌部7を容易に切り取ることができる。また、条件(a)と条件(b)のみを満たすようにしてもよい。この場合、合掌部7を、第2縁12側を向くように折り返した状態において、端部P11、P21のどちらからでも合掌部7を容易に切り取ることができる。また、条件(c)と条件(d)のみを満たすようにしてもよい。この場合、合掌部7を、第1縁11側を向くように折り返した状態において、端部P11、P21のどちらからでも合掌部7を容易に切り取ることができる。
【0028】
<収容部>
後に、第1縁11に形成された開口部9を介して内容物が収容された後、第1縁11に沿ってシール形成され、パウチが封止される。第1縁11におけるシール部は、第3縁13から第4縁14に亘って形成される。充填、シール後の収容部8は、第1縁11、第2縁12、第3縁13、第4縁14の内縁で画成されることになる。第1縁11にシール部を形成して封止した状態のパウチを
図6(a)(b)に示す。
図6(a)は、
図2に対応するパウチの正面図、
図6(b)は、
図3に対応するパウチの背面図である。本実施形態では、
図6に示すように、第3縁シール部13a、第4縁シール部14aのシール幅は、合掌部7の基部7aより第1縁11側においては、W1で一定であり、本体部3の第2部分3bより第2縁12側においては、W2で一定である。第3縁シール部13a、第4縁シール部14aのシール幅とは、第3縁13、第4縁14のシール部が延びる方向(
図6における上下方向)に交差する方向(
図6における左右方向)におけるシール部の幅である。本体部3の第2部分3bにおいては、第3縁シール部13a、第4縁シール部14aのシール幅は、第1縁11から第2縁12に向かうにつれて、大きくなっている。
【0029】
<シール箇所の変形例>
第1の実施形態に係るパウチにおいては、封止した状態で
図6に示したシール部と異なる箇所にシール部を形成することも可能である。次に、このようなシール箇所の変形例について説明する。
図7(a)(b)は、シール箇所の変形例を示すパウチの正面図および背面図である。
図7(a)(b)は、第1縁11、第2縁12にシール部を形成しない変形例である。
図7(a)はパウチの正面図、
図7(b)はパウチの背面図である。その他のシール部は、
図6に示した例と同様である。
図7(a)(b)の変形例のパウチは、連続する1枚の包装材料で構成することができる。具体的には、1枚の包装材料の端縁同士を合掌部7の先端部7bとして、合掌部7の先端部7bから合掌部7の基部7aまでを合掌部7として重ね合わせることにより、綴じた形状となる。また、連続する1枚の包装材料は、第1縁11、第2縁12で折り返されている。これらの折り返しにより、合掌部7が位置する側の第1縁11から第2縁12までを第1面1、合掌部7が位置しない側の第1縁11から第2縁12までを第2面2として区分される。なお、封止した状態で、
図2、
図3のような箇所にシール部が形成された変形例とすることもできる。この場合、2枚の包装材料によりパウチを構成することができる。1枚目は、第2面2全体から第1縁11で折り返して合掌部7の先端部7bに亘る包装材料であり、2枚目は、第1面1側において、本体部3の第2縁12から合掌部7の先端部7bに亘る包装材料である。
【0030】
<合掌部の位置の変形例>
本実施形態に係るパウチにおいては、
図6に示した合掌部7と異なる位置に合掌部7を形成することも可能である。次に、このような合掌部7の位置の変形例について説明する。
図8は、合掌部7の位置の変形例を示すパウチの正面図および背面図である。
図8(a)(b)は、合掌部7を、
図1~
図4に示したパウチよりも、第2縁12側に寄せた位置に形成した変形例である。また、
図8(c)(d)は、合掌部7を、
図1~
図4に示したパウチよりも、第1縁11側に寄せた位置に形成した変形例である。なお、
図8(a)(c)はパウチの正面図、
図8(b)(d)はパウチの背面図である。その他は、
図6に示した例と同様である。
図8(a)(b)の変形例のパウチは、合掌部7の基部7aが、第1縁11と第2縁12の略中間に形成されたものである。
図8に示した変形例に限定されず、合掌部7は、合掌部7の基部7aが第1縁11から第2縁12の間となる任意の位置において、形成することができる。
【0031】
<シール部の形状の変形例>
本実施形態に係るパウチにおいては、
図6に示したシール部と異なる形状のシール部を形成することも可能である。次に、このようなシール部の形状の変形例について説明する。
図17は、シール部の形状の変形例を示すパウチの正面図および背面図である。
図17(a)(b)は、第3縁シール部13aおよび第4縁シール部14aに形成されたシール部のうち、合掌部7の基部7aよりも第2縁12寄りのシール部のシール幅を、
図1~
図6に示したパウチよりも狭くした変形例である。なお、
図17(a)はパウチの正面図、
図17(b)はパウチの背面図である。
図17は、第3縁シール部13aおよび第4縁シール部14aのシール幅以外は、
図6に示した例と同様である。
図17の例では、第3縁13、第4縁14の全体に亘って、第3縁シール部13aおよび第4縁シール部14aのシール幅はW1であり均一である。第3縁シール部13aおよび第4縁シール部14aのシール部は、そのシール幅が全て均一でなくてもよいが、合掌部7の基部7aよりも第2縁12寄りの第3縁シール部13aおよび第4縁シール部14aのシール幅を狭くすると、相対的に、合掌部7の基部7aよりも第2縁12側において、第3縁シール部13aおよび第4縁シール部14aのシール部の内縁間の距離が大きくなる。このため、合掌部7を本体部3から切り離して、合掌部7の基部7aと連接する本体部3に開口が形成された後に、合掌部7の基部7aが存在した位置で第1面1側に折り曲げた際、第1縁11を開口に挿入し易くなる。これにより、内容物が残っている場合に、開口を仮閉じすることが可能となる。
【0032】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について説明する。
図9は、第2の実施形態に係るパウチの、合掌部7を第2縁12側に折り返した状態の正面図であり、
図10は、第2の実施形態に係るパウチの、合掌部7を第1縁11側に折り返した状態の正面図である。第2の実施形態に係るパウチは、第1縁11が1点のみであり、この1点である第1縁11から第2縁12に向かって、第3縁13および第4縁14が伸びている。本体部3は、第1縁11に向かって延びる第1部分3aに隣接する第1縁11寄りに第3部分3cを有している。
図9に仮想的な線として二本の二点鎖線を示しているが、端部P13と端部P23を結ぶ二点鎖線より上側が本体部3の第3部分3cであり、この二点鎖線より下側が本体部3の第1部分3aである。
【0033】
説明が煩雑になるのを避けるため、対応する端部について、第1の実施形態と同じ符号を用い、
図9、
図10を用いて、第2の実施形態における端部について定義しておく。
図9、
図10に示すように、合掌部7の基部7aの第5縁15側の端部をP11とし、合掌部7の第1部分7cの第5縁15のP11とは反対側の端部をP12とし、本体部3の第1部分3aの第3縁13のP11とは反対側の端部をP13とし、本体部3の第2部分3bの第3縁13のP11とは反対側の端部をP14とし、合掌部7の基部7aの第6縁16側の端部をP21とし、合掌部7の第1部分7cの第6縁16のP21とは反対側の端部をP22とし、本体部3の第1部分3aの第4縁14のP21とは反対側の端部をP23とし、本体部3の第2部分3bの第4縁14のP21とは反対側の端部をP24とする。
【0034】
第2の実施形態では、合掌部7の基部7aが延びる方向を第1方向(
図9、
図10における左右方向)としたとき、合掌部7の基部7aの長さを第1距離D1とし、第1方向における第1縁11の端部間の距離を第2距離D2とする。第2の実施形態では、第1縁11は1点であるため、端部間の距離である第2距離D2は0となる。したがって、合掌部7の基部7aの長さである第1距離D1が、第1方向における第1縁11の端部間の距離である第2距離D2よりも長い。さらに、第2の実施形態では、本体部3の第2部分3bの最も第1縁11寄りの位置、すなわち合掌部7の基部7aと重なる位置における第3縁シール部13aの内縁から第4縁シール部14aの内縁までの距離を第3距離D3とする。このとき、第3距離D3は第2距離D2よりも長い。
【0035】
以上のように、第1距離D1が第2距離D2よりも長いことにより、合掌部7を本体部3から切り離して、合掌部7の基部7aと連接する本体部3に開口が形成された後に、本体部3の第1部分3aを合掌部7の基部7aが存在した位置で第1面1側に折り曲げた際、第1縁11を開口に挿入し易くなる。これにより、内容物が残っている場合に、開口を仮閉じすることが可能となる。仮閉じとなるため、開口を完全に閉じることはできないが、内容物が液体でなく、ある程度の大きさをもつ固形物である場合は、開口から内容物が出るのを防ぐことができる。さらに、第3距離D3は第2距離D2よりも長いことにより、本体部3の第1部分3aを合掌部7の基部7aが存在した位置で第1面1側に折り曲げた際、第1縁11を開口により挿入し易くなり、開口を容易に仮閉じすることができる。
【0036】
第2の実施形態では、合掌部7を本体部3から切り取り易い条件も備えている。次に、この条件について説明する。上述のようにして定義された端部の位置関係により条件(a)~条件(d)の4つの条件が規定される。
図11は、
図9、
図10における端部P11、P21を中心とする部分拡大図である。
図11(a)(b)は、
図9における端部P11、P21付近の部分拡大図であり、
図11(c)(d)は、
図10における端部P11、P21付近の部分拡大図である。
図11(a)~(d)は、それぞれ条件(a)~条件(d)に対応している。
【0037】
まず、
図9、
図11(a)(b)を用いて、条件(a)と条件(b)について説明する。第2の実施形態では、
図9、
図11(a)に示すように、合掌部7の先端部7bが本体部3の第2縁12側を向くように折り返した状態において、合掌部7の第1部分7cの第5縁15と、本体部3の第1部分3aの第3縁13と、P12とP13を結ぶ仮想線(
図11(a)において一点鎖線で示す。)と、で形成される形状が、P11に向かって先窄まり形状となるように形成されている。これが条件(a)である。
図9、
図11(a)の例では、特に、P11において、合掌部7の第1部分7cの第5縁15と、本体部3の第1部分3aの第3縁13がパウチの外方においてなす角度が鈍角となるように形成されている。第2の実施形態では、P11、P12、P13で三角形を構成しているため、P11に向かって先窄まり形状となっている。このように、合掌部7の第1部分7cの第5縁15と、本体部3の第1部分3aの第3縁13と、P12とP13を結ぶ仮想線と、で形成される形状が、P11に向かって先窄まり形状となるように形成されていることにより、開封時に、合掌部7の第1部分7cの第5縁15に開封応力が集中することになり、端部P11において凝集破壊が起こり、合掌部7が本体部3より切り取られ易くなる。
【0038】
また、第2の実施形態では、
図9、
図11(b)に示すように、合掌部7の先端部7bが本体部3の第2縁12側を向くように折り返した状態において、合掌部7の第1部分7cの第6縁16と、本体部3の第1部分3aの第4縁14と、P22とP23を結ぶ仮想線(
図11(b)において一点鎖線で示す。)と、で形成される形状が、P21に向かって先窄まり形状となるように形成されている。これが条件(b)である。
図9、
図11(b)の例では、特に、P21において、合掌部7の第1部分7cの第6縁16と、本体部3の第1部分3aの第4縁14がパウチの外方においてなす角度が鈍角となるように形成されている。このように、合掌部7の第1部分7cの第6縁16と、本体部3の第1部分3aの第4縁14と、P22とP23を結ぶ仮想線と、で形成される形状が、P21に向かって先窄まり形状となるように形成されていることにより、開封時に、合掌部7の第1部分7cの第6縁16に開封応力が集中することになり、端部P21において凝集破壊が起こり、合掌部7が本体部3より切り取られ易くなる。
【0039】
また、第2の実施形態では、
図10、
図11(c)に示すように、合掌部7の先端部7bが本体部3の第1縁11側を向くように折り返した状態において、合掌部7の第1部分7cの第5縁15と、本体部3の第2部分3bの第3縁13と、P12とP14を結ぶ仮想線(
図11(c)において一点鎖線で示す。)と、で形成される形状が、P11に向かって先窄まり形状となるように形成されている。これが条件(c)である。
図10、
図11(c)の例では、特に、P11において、合掌部7の第1部分7cの第5縁15と、本体部3の第2部分3bの第3縁13がパウチの外方においてなす角度が鋭角(
図10、
図11(c)の例では直角に近い鋭角)となるように形成されている。このように、合掌部7の第1部分7cの第5縁15と、本体部3の第2部分3bの第3縁13と、P12とP14を結ぶ仮想線と、で形成される形状が、P11に向かって先窄まり形状となるように形成されていることにより、開封時に、合掌部7の第1部分7cの第5縁15に開封応力が集中することになり、端部P11において凝集破壊が起こり、合掌部7が本体部3より切り取られ易くなる。
【0040】
また、第2の実施形態では、
図10、
図11(d)に示すように、合掌部7の先端部7bが本体部3の第1縁11側を向くように折り返した状態において、合掌部7の第1部分7cの第6縁16と、本体部3の第2部分3bの第4縁14と、P22とP24を結ぶ仮想線(
図11(d)において一点鎖線で示す。)と、で形成される形状が、P21に向かって先窄まり形状となるように形成されている。これが条件(d)である。
図10、
図11(d)の例では、特に、P21において、合掌部7の第1部分7cの第6縁16と、本体部3の第2部分3bの第4縁14がパウチの外方においてなす角度が鋭角(
図10、
図11(d)の例では直角に近い鋭角)となるように形成されている。このように、合掌部7の第1部分7cの第6縁16と、本体部3の第2部分3bの第4縁14と、P22とP24を結ぶ仮想線と、で形成される形状が、P21に向かって先窄まり形状となるように形成されていることにより、開封時に、合掌部7の第1部分7cの第6縁16に開封応力が集中することになり、端部P21において凝集破壊が起こり、合掌部7が本体部3より切り取られ易くなる。
【0041】
<第3の実施形態>
第3の実施形態について説明する。
図12(a)は、第3の実施形態に係るパウチの、合掌部7を第2縁12側に折り返した状態の正面図であり、
図12(b)は、第3の実施形態に係るパウチの、合掌部7を第1縁11側に折り返した状態の正面図である。第3の実施形態に係るパウチは、第1面、第2面の全体が台形状であり、第1縁11が第2縁12より短くなっており、第1縁11、第2縁12の端点同士を結ぶように、第3縁13および第4縁14が伸びている。
【0042】
合掌部7は、全体として台形状であり、基部7aと、基部7aと対向する先端部7bと、基部7aと先端部7bの間で延びる第5縁15と第6縁16を有している。合掌部7は、基部7aから先端部7bに亘って、対向する包装材料どうしが重ね合わされて形成されている。第3の実施形態では、合掌部7は全体が第1部分7cとなっており、第1部分7c以外の部分は存在しない。第1、第2の実施形態と異なり、第5縁15、第6縁16は、基部7aから先端部7bに亘って形成されている。また、第3の実施形態では、第5縁15、第6縁16は、それぞれ本体部3の第3縁13、第4縁14に重なるように形成されている。本体部3は、合掌部7の基部7aに連設され、第1縁11に向かって延びる第1部分3aと、合掌部7の基部7aに連設され、第2縁12に向かって延びる第2部分3bと、を含んでいる。第3の実施形態では、本体部3の第1部分3aは、端部P11、P21、P23、P13の4点で構成される台形状であり、本体部3の第2部分3bは、端部P11、P21、P22、P12の4点で構成される台形状である。
【0043】
説明が煩雑になるのを避けるため、対応する端部について、第1、第2の実施形態と同じ符号を用い、
図12(a)(b)を用いて、第3の実施形態における端部について定義しておく。
図12(a)(b)に示すように、合掌部7の基部7aの第5縁15側の端部をP11とし、合掌部7の第1部分7cの第5縁15のP11とは反対側の端部をP12とし、本体部3の第1部分3aの第3縁13のP11とは反対側の端部をP13とし、本体部3の第2部分3bの第3縁13のP11とは反対側の端部をP14とし、合掌部7の基部7aの第6縁16側の端部をP21とし、合掌部7の第1部分7cの第6縁16のP21とは反対側の端部をP22とし、本体部3の第1部分3aの第4縁14のP21とは反対側の端部をP23とし、本体部3の第2部分3bの第4縁14のP21とは反対側の端部をP24とする。
【0044】
第3の実施形態では、合掌部7の基部7aが延びる方向を第1方向(
図12における左右方向)としたとき、合掌部7の基部7aの長さを第1距離D1とし、第1方向における第1縁11の端部間(P13-P23間)の距離を第2距離D2とする。第3の実施形態では、合掌部7の基部7aの長さである第1距離D1が、第1方向における第1縁11の端部間(P13-P23間)の距離である第2距離D2よりも長い。さらに、第3の実施形態では、本体部3の第2部分3bの最も第1縁11寄りの位置、すなわち合掌部7の基部7aと重なる位置における第3縁シール部13aの内縁から第4縁シール部14aの内縁までの距離を第3距離D3とする。このとき、第3距離D3は第2距離D2よりも長い。
【0045】
第1距離D1および第3距離D3が、第2距離D2よりも長いことにより、合掌部7を本体部3から切り離して、合掌部7の基部7aと連接する本体部3に開口が形成された後に、合掌部7の基部7aが存在した位置で第1面1側に折り曲げた際、第1縁11を開口に挿入し易くなる。これにより、内容物が残っている場合に、開口を仮閉じすることが可能となる。仮閉じとなるため、開口を完全に閉じることはできないが、内容物が液体でなく、ある程度の大きさをもつ固形物である場合は、開口から内容物が出るのを防ぐことができる。特に、第3距離D3が第2距離D2よりも長いことにより、本体部3の第1部分3aを合掌部7の基部7aが存在した位置で第1面1側に折り曲げた際、第1縁11を開口により挿入し易くなり、開口を容易に仮閉じすることができる。
【0046】
第3の実施形態では、
図12(b)に示すように、合掌部7の先端部7bが本体部3の第1縁11側を向くように折り返した状態において、合掌部7の第1部分7cの第5縁15と、本体部3の第2部分3bの第3縁13と、P12とP14を結ぶ仮想線(
図12(b)において一点鎖線で示す。)と、で形成される形状が、P11に向かって先窄まり形状となるように形成されている。これが条件(c)である。
図12(b)の例では、特に、P11において、合掌部7の第1部分7cの第5縁15と、本体部3の第2部分3bの第3縁13がパウチの外方においてなす角度が鈍角となるように形成されている。このように、合掌部7の第1部分7cの第5縁15と、本体部3の第2部分3bの第3縁13と、P12とP14を結ぶ仮想線と、で形成される形状が、P11に向かって先窄まり形状となるように形成されていることにより、開封時に、合掌部7の第1部分7cの第5縁15に開封応力が集中することになり、端部P11において凝集破壊が起こり、合掌部7が本体部3より切り取られ易くなる。
【0047】
また、第3の実施形態では、
図12(b)に示すように、合掌部7の先端部7bが本体部3の第1縁11側を向くように折り返した状態において、合掌部7の第1部分7cの第6縁16と、本体部3の第2部分3bの第4縁14と、P22とP24を結ぶ仮想線(
図12(b)において一点鎖線で示す。)と、で形成される形状が、P21に向かって先窄まり形状となるように形成されている。これが条件(d)である。
図12の例では、特に、P21において、合掌部7の第1部分7cの第6縁16と、本体部3の第2部分3bの第4縁14がパウチの外方においてなす角度が鈍角となるように形成されている。このように、合掌部7の第1部分7cの第6縁16と、本体部3の第2部分3bの第4縁14と、P22とP24を結ぶ仮想線と、で形成される形状が、P21に向かって先窄まり形状となるように形成されていることにより、開封時に、合掌部7の第1部分7cの第6縁16に開封応力が集中することになり、端部P21において凝集破壊が起こり、合掌部7が本体部3より切り取られ易くなる。
【0048】
第1、第2の実施形態と異なり、第3の実施形態では、4つの条件(a)~(d)のうち、条件(a),(b)を満たしていない。しかし、条件(c),(d)を満たしていることにより、合掌部7を、第1縁11側を向くように折り返した状態において、端部P11、P21のどちらからでも合掌部7を容易に切り取ることができる。
【0049】
<変形例>
次に、本発明に係るパウチの全体形状の変形例について説明する。上記実施形態においては、4方シール、3方シールに合掌部を備えた形態や、ピロータイプのものについて説明したが、側部にガセット部を有するサイドガセット袋や、底部にガセット部を有するスタンディングパウチの形態とすることもできる。
図13は、本発明のパウチの変形例であり、サイドガセット袋の形態としたパウチを示す図である。
図13の変形例は、第1の実施形態における第1面1、第2面2に加えて、2つの側面5、5を備えた形態となっている。各側面5は、折込部5aにより2つ折りされて、第1面1、第2面2の間に挿入され、第1縁11、第2縁12、第3縁13、第4縁14においてシールされて、サイドガセット袋が形成される。
【0050】
図14は、本発明のパウチの変形例であり、スタンディングパウチの形態としたパウチを示す図である。
図14の変形例は、第1の実施形態における第1面1、第2面2に加えて、底面4を備えた形態となっている。底面4は、折込部4aにより2つ折りされて、第1面1、第2面2の間に挿入され、第1縁11、第3縁13、第4縁14においてシールされて、スタンディングパウチが形成される。
図14の変形例では、第1縁11を底縁とする形態であるが、底面4を第2縁12側にシールし、第2縁12を底縁とする形態としてもよい。
図13、
図14に示したような変形例は、第1~第3の実施形態全てにおいて適用可能である。
【0051】
<内容物>
本実施形態に係るパウチが収容対象とする内容物については、特に限定されないが、液体や粉体でなく、ある程度の大きさをもつ固形物を収容するのに適している。特に、スナック菓子等を内容物とする場合に好適に使用可能である。
【0052】
<包装材料の詳細>
パウチの第1面1、第2面2、合掌部7は、積層フィルムである包装材料により構成することができる。上述のように、本実施形態では、基本的には3枚の包装材料により構成されている。本実施形態で用いる包装材料は、少なくとも、外側から、基材、シーラントフィルムを含む積層体である。基材としては、紙またはプラスチックフィルムを用いることができる。基材としては、特に、一軸または二軸延伸された延伸プラスチックフィルムを2枚以上重ねて用いることが好ましい。例えば、包装材料は、外面側から順に、第1延伸プラスチックフィルム、第2延伸プラスチックフィルム、シーラントフィルムが順に積層されていることが好ましい。
【0053】
第1延伸プラスチックフィルム、第2延伸プラスチックフィルム、シーラントフィルムは、例えば接着剤を用いたドライラミネート法により接着剤層を形成して積層することができる。
図15は、包装材料の層構成の一例を示す断面図である。
図15においては、上側が外面側、下側が内面側(内容物と接する側)を示している。
図15に示すように、本実施形態で用いる包装材料30は、第1延伸プラスチックフィルム31、第2延伸プラスチックフィルム32、シーラントフィルム33が外面側から順に積層されている。第1延伸プラスチックフィルム31と第2延伸プラスチックフィルム32は、接着剤層34により接着され、第2延伸プラスチックフィルム32とシーラントフィルム33は、接着剤層35により接着されている。
【0054】
パウチが、熱に対する耐性を必要とする場合は、第1延伸プラスチックフィルム31、第2延伸プラスチックフィルム32は、耐熱性をもつ材料からなることが好ましい。例えば、第1延伸プラスチックフィルム31、第2延伸プラスチックフィルム32の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、ナイロンなどのポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルムなどを用いることができる。厚みは、ともに10μm~50μm程度である。第1延伸プラスチックフィルム31と第2延伸プラスチックフィルム32としては、同じ材料を用いることもできるが、異なる材料を用いることが好ましい。第1延伸プラスチックフィルム31、第2延伸プラスチックフィルム32は、二軸延伸されていることが好ましい。
【0055】
シーラントフィルム33は、包装材料30のうち、製袋してパウチとするときに最も内方となる側に配置される。シーラントフィルム33の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピレンブロック共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体などのポリオレフィン系樹脂などが採用できる。シーラントフィルム33は未延伸であることが好ましい。
【0056】
シーラントフィルム33の厚みは、好ましくは15μm以上であり、より好ましくは18μm以上である。また、シーラントフィルム33の厚みは、好ましくは40μm以下であり、より好ましくは30μm以下である。
【0057】
包装材料30は、印刷層や他の層を含んでいてもよい。印刷層は、商品内容を表示したり美感を付与したりカット部分を表示したりするために設けられる。印刷層は、バインダーと顔料を含む印刷インキにより形成される。
【0058】
他の層は、基材フィルム(第1延伸プラスチックフィルム31、第2延伸プラスチックフィルム32)の外側に設けられていてもよいし、基材フィルム間に設けられていてもよいし、基材フィルムとシーラントフィルム33の間に設けられていてもよい。他の層としては、水蒸気その他のガスバリア性、遮光性など、必要とされる機能に応じて、適切なものが選択される。例えば、他の層がガスバリア層の場合、アルミニウムなどの金属や酸化アルミニウムなどの金属酸化物や酸化珪素などの無機酸化物の蒸着層が設けられる。蒸着層は、基材フィルムに積層してもよいし、シーラントフィルム33に蒸着してもよい。あるいは、アルミニウムなどの金属箔を設けてもよい。その他にも、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)や、ナイロンMXD6などの芳香族ポリアミドなどの、ガスバリア性を有する樹脂層を設けてもよい。各層は、ドライラミネート法や溶融押し出し法などを用いて積層することができる。
【0059】
以下に、好ましい包装材料の具体例をいくつか示す。包装材料としては以下の具体例に限らず、他の構成を用いることもできる。
・OPP(延伸ポリプロピレンフィルム)20μm/印刷層/AC/PE10μm/VMPET12μm/AC/PE10μm/CPP(無延伸ポリプロピレンフィルム)18μm
・OPP20μm/接着剤層/VMCPP30μm
・PET(ポリエチレンテレフタレート)12μm/接着剤層/VMCPP30μm
・OPP20μm/接着剤層/CPP18μm
・ONY(延伸ナイロンフィルム)15μm/PE(ポリエチレン)30μm
・印刷層/紙50μm/PE10μm/VMPET12μm/AC/PE10μm/CPP18μm
・印刷層/紙50μm/PE10μm/アルミニウム箔7μm/PE30μm
・PET12μm/PE15μm/アルミニウム箔7μm/PE30μm
【0060】
包装材料としては、更に第3延伸プラスチックフィルム(図示省略)を備えていてもよい。また、第1延伸プラスチックフィルム31はポリエステルフィルムであることが好ましい。第2延伸プラスチックフィルム32や第3延伸プラスチックフィルムは、ポリエステルフィルムまたはポリアミドフィルムとすることができる。ポリエステルフィルムとしては、テレフタル酸とジオールとの重縮体を主成分とするフィルムを用いることができ、重縮体としては、テレフタル酸とエチレングリコールの重縮体であるポリエチレンテレフタレートや、テレフタル酸と1,4-ブタンジオールの重縮体であるポリブチレンテレフタレートなどが挙げられる。ポリアミドフィルムとしては、ナイロンフィルムを用いることができる。第1延伸プラスチックフィルム31ではなく、第2延伸プラスチックフィルム32に透明蒸着層とガスバリア性塗布膜を設けてもよい。
【0061】
<製造方法>
次に、上述の包装材料30を用いてパウチを製造する方法について説明する。ここでは、第1の実施形態に係るパウチを製造する場合について説明する。まず、3枚の包装材料30を準備する。1枚目は、第2面2となる包装材料であり、2枚目は、第1面1側において、本体部3の第1縁11から合掌部7の先端部7bに亘る包装材料であり、3枚目は、第1面1側において、本体部3の第2縁12から合掌部7の先端部7bに亘る包装材料である。そして、2枚目の包装材料と3枚目の包装材料の一方の端部どうしを合掌部7の先端部7bどうしとして合わせて、合掌部7の内面どうしを重ね合わせた状態で、所定のシール温度でヒートシールしてシール部を形成して接合する。さらに、1枚目の包装材料を、2枚目、3枚目の包装材料と位置合わせして、第1縁11、第2縁12、第3縁13、第4縁14において、所定のシール温度でヒートシールしてシール部を形成して接合する。さらに、第3縁13、第4縁14に沿って、適切な形状に切断して、
図1~
図3に示したような第1の実施形態のパウチが得られる。続いて、第1縁11側の開口部9を介して内容物をパウチの収容部8に充填する。収容部8に収容する内容物は、スナック菓子などのある程度の大きさをもつ固形状の物体が好ましい。
【0062】
その後、第1縁11側において、第1面1、第2面2の重ね合された内面どうしを所定のシール温度でヒートシールして、シール部を形成して開口部9を塞ぐ。これにより、
図6(a)(b)に示すように、内容物が収容され封止されたパウチを得ることができる。
図6(a)(b)においては、内容物の図示を省略している。上記製造方法は、長尺の原反ロールの包装材料30を供給することにより、インラインでパウチの製造および内容物の充填まで行うことができる。
【0063】
<開封時>
次に、内容物が充填されたパウチの開封について説明する。
図16は、合掌部7の切り取りによるパウチの開封の前後を示す正面図である。
図16(a)は、
図6(a)と同一の図であり、パウチの封止後、開封前の状態である。
図16(a)に示したような状態から合掌部7を掴んで、第3縁13または第4縁14側から、他方の第4縁14または第3縁13側に向かって引っ張るように力を加える。すると、ここでは、第3縁13側から第4縁14側に向かって引っ張ったものとする。すると、合掌部7の第1部分7cの第5縁15に開封応力が集中し、端部P11において凝集破壊が起こる。これにより、合掌部7が本体部3より容易に切り取られる。
【0064】
図16(b)は、合掌部7の切り取り後のパウチの正面図である。
図16(b)に示すように、合掌部7の切り取り後は、第3縁13から第4縁14に向かう方向に開口23が形成される。この開口23から内容物を取り出すことができる。例えば、内容物がスナック菓子である場合、上記のように、合掌部7を引っ張って簡単に開封し、スナック菓子を食することができる。スナック菓子が残り、保存しておきたい場合は、開口23に沿った線で折り曲げて、第1縁11を開口23内に挿入することにより、簡易的にパウチを閉じることができる。もちろん密封することはできないが、スナック菓子等のある程度の大きさのある固形物であれば、こぼれない程度に、開口23を閉じることができる。
【0065】
第1~第3の実施形態では、合掌部7の基部7aが延びる方向を第1方向(
図2、
図3等における左右方向)としたとき、第1方向における第1縁11の端部間の距離が、合掌部7の基部7aの長さよりも短い。このため、合掌部7を本体部3から切り離して、合掌部7の基部7aと連接する本体部3に開口23が形成された後に、合掌部7の基部7aが存在した位置で第1面1側に折り曲げた際、第1縁11を開口に挿入し易くなる。これにより、内容物が残っている場合に、開口を閉じることが可能となる。特に、第1の実施形態のように、合掌部7の基部7aが延びる方向を第1方向(
図2、
図3等における左右方向)としたとき、第1方向における第1縁11の端部間の距離が、合掌部7の基部7aの長さと同じである場合に比べて、より第1縁11を開口に挿入し易くなる。
【0066】
包装材料には、開封を容易にするための加工を施しておくことが可能である。例えば、第3縁13から第4縁14に向かって延びる易開封線を施しておいてもよい。易開封線は、基材フィルムを貫通し、且つ、シーラントフィルムを貫通しないハーフカット線としてもよい。ハーフカット線は、刃物を用いて形成してもよいし、レーザー加工により形成してもよい。また、ハーフカット線は、連続的に延びる線であってもよいし、断続的に延びる線であってもよい。また、ハーフカット線は、パウチの第3縁13から第4縁14に至るように設けてもよい。また、基材自体に直進カット性が付与されていてもよい。なお、開封を容易にするための加工は、施されていることが好ましいが、必須のものではない。上記のような包装材料の枚数構成、全体形態等の変形例については、適宜組み合わせて用いることができる。
【0067】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態、変形例に限定されず、さらに種々の変形が可能である。また、上記のような様々な包装材料の枚数構成、各実施形態、全体形態等について、上記変形例を組み合わせる等して、様々な態様のパウチを作成することができる。
【符号の説明】
【0068】
1・・・第1面
2・・・第2面
3・・・本体部
3a・・・(本体部の)第1部分
3b・・・(本体部の)第2部分
3c・・・(本体部の)第3部分
4・・・底面
4a・・・折込部
5・・・側面
5a・・・折込部
7・・・合掌部
7a・・・基部
7b・・・先端部
7c・・・(合掌部の)第1部分
8・・・収容部
9・・・開口部
11・・・第1縁
12・・・第2縁
13・・・第3縁
13a・・・第3縁シール部
14・・・第4縁
14a・・・第4縁シール部
15・・・第5縁
16・・・第6縁
23・・・開口
D1、D2、D3・・・第1距離、第2距離、第3距離
P11、P12、P13、P14、P21、P22、P23、P24・・・端部