(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】ロボットシステム、制御装置およびロボットの制御方法
(51)【国際特許分類】
B25J 19/06 20060101AFI20231212BHJP
B25J 19/02 20060101ALI20231212BHJP
G01L 1/26 20060101ALI20231212BHJP
G01L 5/16 20200101ALI20231212BHJP
【FI】
B25J19/06
B25J19/02
G01L1/26 D
G01L5/16
(21)【出願番号】P 2019092676
(22)【出願日】2019-05-16
【審査請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】▲瀬▼下 勇
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-124740(JP,A)
【文献】特開2015-066669(JP,A)
【文献】特開2016-221607(JP,A)
【文献】特開2015-074059(JP,A)
【文献】特開2014-050935(JP,A)
【文献】特開平10-180662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
G01L 1/00- 1/26
G01L 5/00- 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アームを有し、人と協働して動作するロボットと、
前記ロボットの駆動を制御する制御装置と、
前記ロボットに設けられ、力を検出する力センサーと、
前記力センサーの温度を検出する第1温度センサーと、
を備え、
前記制御装置は、
前記力センサーからの出力に基づいて、前記ロボットの動作を減速または停止させる制御部と、
前記第1温度センサーからの出力が第1目標値になるまで前記ロボットに暖機運転を行わせる実行部と、
を有し、
前記制御部は、前記アームの駆動を制御する制御モードとして、前記アームの最高速度が第1速度である第1モードと、前記最高速度が前記第1速度よりも遅い第2モードと、
を有し、
前記実行部は、前記暖機運転の間、前記制御部に前記第2モードを選択させることを特徴とするロボットシステム。
【請求項2】
外気温を検出する第2温度センサーを備え、
前記実行部は、前記第1温度センサーからの出力および前記第2温度センサーからの出力に基づいて、前記暖機運転を行わせる請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記第1温度センサーからの出力は、前記力センサーの温度の検出値である請求項1または2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記第1温度センサーからの出力は、前記力センサーの温度における単位時間当たりの変化量である請求項1または2に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記力センサーは、筐体と、前記筐体の内部に設けられている力検出部と、を有し、
前記第1温度センサーは、前記筐体の内部に設けられている請求項1ないし4のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記ロボットは、基台と、前記基台に接続されているアームと、を有し、
前記実行部および前記制御部は、前記基台の内部に配置されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記実行部は、前記第1温度センサーからの出力に基づいて、前記暖機運転の運転時間を計算し、
前記運転時間を表示する表示部を備える請求項1ないし6のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項8】
アームを有し人と協働して動作するロボットを、制御する制御装置であって、
前記ロボットに設けられた、力を検出する力センサーからの出力に基づいて、前記ロボットの動作を減速または停止させる制御部と、
前記力センサーの温度を検出する第1温度センサーからの出力が第1目標値になるまで前記ロボットに暖機運転を行わせる実行部と、
を備え、
前記制御部は、前記アームの駆動を制御する制御モードとして、前記アームの最高速度が第1速度である第1モードと、前記最高速度が前記第1速度よりも遅い第2モードと、
を有し、
前記実行部は、前記暖機運転の間、前記制御部に前記第2モードを選択させることを特徴とする制御装置。
【請求項9】
アームを有し人と協働して動作するロボットを、制御する制御方法であって、
前記ロボットに設けられた、力を検出する力センサーの温度を第1温度センサーにより検出する工程と、
前記第1温度センサーからの出力が第1目標値に到達したかどうかを判定する工程と、
を有し、
前記第1温度センサーからの出力が前記第1目標値に到達していない場合、前記ロボットに暖機運転を行わせ、前記第1温度センサーからの出力が前記第1目標値に到達した場合、前記ロボットへの前記暖機運転を終了させ、
前記暖機運転の間、前記アームの最高速度が第1速度である第1モードと、前記最高速度が前記第1速度よりも遅い第2モードとのうち、前記第2モードを選択することを特徴とするロボットの制御方法。
【請求項10】
アームを有するロボットと、
前記ロボットの駆動を制御する制御装置と、
前記ロボットに設けられ、力を検出する力センサーと、
前記力センサーの温度を検出する第1温度センサーと、
を備え、
前記制御装置は、
前記力センサーからの出力に基づいて、前記ロボットの動作を減速または停止させる制御部と、
前記第1温度センサーからの出力が第1目標値になるまで前記ロボットに暖機運転を行わせる実行部と、
を有し、
前記制御部は、前記アームの駆動を制御する制御モードとして、前記アームの最高速度が第1速度である第1モードと、前記最高速度が前記第1速度よりも遅い第2モードと、
を有し、
前記実行部は、前記暖機運転の間、前記制御部に前記第2モードを選択させることを特徴とするロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットシステム、制御装置およびロボットの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人協働ロボットは、人と同じ作業空間を共有し、人と協調して作業を行うロボットである。
【0003】
例えば、特許文献1には、床部上に固定され、人と協働作業を行う協働ロボットが開示されている。この協働ロボットは、床部上に固定された固定プレートと、固定プレート上に設けられた力センサーと、を介して固定されている。力センサーは、ロボットに作用する外力、例えば人がロボットと接触したときの力を検出する装置である。このような力センサー上にロボットを固定することにより、人とロボットとが接触したことを検出することができる。具体的には、力センサーは、外力を電気信号に変換することにより、外力の変化を電気信号の変化として出力する。また、力センサーについて、温度が変化することによって出力値が変化する温度ドリフトという現象が生じることが一般に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ロボットに電源を投入した直後から通電状態が継続されることにより、力センサーの温度も徐々に上昇することで温度ドリフトが発生してしまい、ロボットの衝突検出の精度が低下してしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の適用例に係るロボットシステムは、
人と協働して動作するロボットと、
前記ロボットに設けられ、力を検出する力センサーと、
前記力センサーからの出力に基づいて、前記ロボットの動作を減速または停止させる制御部と、
前記力センサーの温度を検出する第1温度センサーと、
前記第1温度センサーからの出力が第1目標値になるまで前記ロボットに暖機運転を行わせる実行部と、
を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係るロボットシステムを示す図である。
【
図2】
図1に示すロボットシステムの概略図である。
【
図3】
図1および
図2に示すロボットシステムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図3をより詳細に説明するための機能ブロック図である。
【
図5】
図1に示す力センサーの構造の概要を示す断面図である。
【
図6】制御装置によるロボットの制御方法を示すフローチャートである。
【
図7】第2実施形態に係るロボットシステムの概略図である。
【
図8】第3実施形態に係るロボットシステムの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のロボットシステム、制御装置およびロボットの制御方法の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】
1.第1実施形態
まず、第1実施形態に係るロボットシステム、制御装置およびロボットの制御方法について説明する。
【0010】
図1は、第1実施形態に係るロボットシステムを示す図である。
図2は、
図1に示すロボットシステムの概略図である。
図3は、
図1および
図2に示すロボットシステムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4は、
図3をより詳細に説明するための機能ブロック図である。
【0011】
なお、
図1では、互いに直交する3軸として、X軸、Y軸およびZ軸を図示している。また、本明細書において、「接続」とは、直接的に接続されている場合と、任意の部材を介して間接的に接続されている場合の双方を含む。
【0012】
1.1 ロボットシステム
図1に示すロボットシステム100は、例えば作業対象物の保持、搬送および組立て等の作業で用いられる。このロボットシステム100は、ロボット1と、ロボット1の駆動を制御する制御装置5と、ロボット1に作用する力を検出する力センサー120と、力センサー120の温度を検出する第1温度センサー150と、外気温を検出する第2温度センサー160と、を有する。なお、これらの各部は、有線または無線により通信可能とされ、その通信は、インターネットのようなネットワークを介してなされてもよい。
【0013】
1.1.1 ロボット
図1および
図2に示すように、ロボット1は、いわゆる6軸の垂直多関節ロボットであり、基台110と、基台110に接続されたロボットアーム10と、を有する。
【0014】
基台110は、ロボット1を任意の設置箇所に取り付ける部分である。本実施形態では、基台110は、例えば
図2に示すX-Y平面で構成された設置箇所70上に設置されている。なお、基台110の設置箇所70は、床等に限定されず、例えば、壁、天井、移動可能な台車上等であってもよい。また、ロボット1と設置箇所70との間には、力センサー120が配置され、ロボット1に作用する力を検出可能になっている。
【0015】
図1および
図2に示すように、ロボットアーム10は、アーム11、アーム12、アーム13、アーム14、アーム15、およびアーム16を有する。これらアーム11~16は、基端側、すなわち基台110側から、先端側、すなわち基台110とは反対側、に向かってこの順に連結されている。各アーム11~16は、隣り合うアームまたは基台110に対して回動可能になっている。例えば、アーム16は、
図1に示すように円盤状をなし、アーム15に対して回動可能になっている。
【0016】
このようなロボットアーム10の先端には、
図1に示すように、作業対象物を把持する把持ハンド17が接続されている。なお、把持ハンド17は、交換可能であり、把持ハンド17に代えて、吸着ハンド、磁気ハンド、ねじ止めツール、係合ツール等が用いられてもよい。
【0017】
図4に示すように、ロボット1は、一方のアームを他方のアームまたは基台110に対して回動させる図示しないモーターと、図示しない減速機と、を備える駆動部130を有する。モーターとしては、例えば、ACサーボモーター、DCサーボモーター等のサーボモーターを用いることができる。減速機としては、例えば、遊星ギア型の減速機、波動歯車装置等を用いることができる。また、ロボット1は、モーターまたは減速機の回転軸の回転角度を検出する位置センサー140を有する。位置センサー140には、例えばロータリーエンコーダー等を用いることができる。また、駆動部130および位置センサー140は、例えば基台110および各アーム11~16に設けられており、本実施形態では、ロボット1は、6つの駆動部130および6つの位置センサー140を有している。また、各駆動部130は、例えばロボット1に内蔵された図示しないモータードライバーを介して制御装置5に電気的に接続されている。さらに、各位置センサー140も、
図4では図示しないが、制御装置5に電気的に接続されている。
【0018】
ロボット1には、この他に任意の部材、機器等が設けられていてもよい。具体的には、作業対象物やロボット1またはその周辺を撮像する撮像部等が挙げられる。
【0019】
1.1.2 制御装置
図4に示すように、制御装置5は、ロボット1の駆動を制御する機能を有し、ロボット1に対して通信可能に接続されている。なお、制御装置5とロボット1との間は、有線で接続されていてもよいし、無線で接続されていてもよい。また、制御装置5には、例えばモニター等を備える表示装置401(表示部)と、例えばキーボード等を備える入力装置402と、が接続されている。
【0020】
図4に示すように、制御装置5は、制御部51と、記憶部52と、外部入出力部53と、ロボット1に暖機運転を行わせる実行部54と、を含む。制御装置5の各構成要素は、種々のバスを介して相互に通信可能に接続されている。
【0021】
制御部51は、記憶部52に記憶された各種プログラム等を実行する。これにより、ロボット1の駆動の制御や各種演算および判断等の処理を実現できる。一例として、力センサー120からの出力により、ロボット1が人や物に衝突するおそれがあると判断したとき、制御部51は、ロボット1の動作を減速または停止させる機能を有する。これにより、ロボット1が人や物に衝突するのを防止したり、衝撃を緩和したりすることができる。
【0022】
記憶部52には、制御部51により実行可能な各種プログラムが保存されている。また、記憶部52には、外部入出力部53で受け付けた各種データの保存が可能である。
【0023】
外部入出力部53は、外部インターフェースを備え、ロボット1、表示装置401および入力装置402との接続のために用いられる。
【0024】
実行部54は、制御部51を介して駆動部130を駆動することにより、暖機運転を行わせる。暖機運転とは、例えば、ロボットシステム100に電源が投入され、ロボット1が通常運転に移行する前に、駆動部130を予備的に駆動させることをいう。この暖機運転において駆動部130に発生した熱が、力センサー120にも伝達され、力センサー120の温度が上昇する。そして、暖機運転を一定時間以上継続することにより、力センサー120の温度変化が小さくなって、最終的にはほぼ一定になる。これにより、力センサー120の温度ドリフトを抑制することができる。
なお、実行部54の作動については、後に詳述する。
【0025】
このような制御装置5のハードウェア構成は、特に限定されないが、例えば、
図3に示すように、ロボット1と通信可能に接続されたコントローラー61と、コントローラー61に通信可能に接続されたコンピューター62と、を含んで構成されている。
【0026】
このうち、
図3に示すプロセッサーとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等が挙げられる。
【0027】
また、
図3に示すメモリーとしては、例えばRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリーや、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリー等が挙げられる。なお、メモリーは、非着脱式に限らず、着脱式の外部記憶装置を有する構成であってもよい。
【0028】
さらに、
図3に示す外部インターフェースとしては、各種の通信用コネクターが挙げられる。一例として、USB(Universal Serial Bus)コネクター、RS-232Cコネクター、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN等が挙げられる。
【0029】
なお、制御部51および実行部54は、ハードウェア構成において1つの素子に集約されていてもよい。
【0030】
また、制御装置5には、前述した構成に加えて、さらに他の構成が付加されていてもよい。また、記憶部52に保存されている各種プログラムやデータ等は、予め記憶部52に記憶されたものであってもよいし、例えばCD-ROM等の記録媒体に格納され、この記録媒体から提供されたものでもよいし、ネットワーク等を介して提供されたものであってもよい。
【0031】
1.1.3 力センサー
図1に示す力センサー120は、ロボット1の基台110の内部に設けられている。これにより、把持ハンド17やロボットアーム10に作用する力を検出することができる。
【0032】
このような力センサー120としては、6軸力覚センサーや3軸力覚センサーのような力覚センサーが好ましく用いられる。力覚センサーでは、力を精度よく検出することができる。また、力の大きさおよび向きを検出することもできるので、例えば、把持ハンド17やロボットアーム10に対してどのような方向で力が作用しているのかを把握することが可能になる。力センサー120は、検出した力を電気信号に変換し、その電気信号を制御装置5へと出力する。
【0033】
図5は、
図1に示す力センサー120の構造の概要を示す断面図である。
図5に示す力センサー120は、筐体121と、筐体121の内部に設けられている力検出部122と、を有している。
【0034】
このうち、筐体121は、第1基部121aと、第1基部121aから所定の間隔を隔てて配置された第2基部121bと、を備えている。そして、第1基部121aと第2基部121bとで、箱状の筐体121が構成されている。筐体121の内部には空間121cが形成され、その空間121cに複数の力検出部122が収容されている。
【0035】
第1基部121aおよび第2基部121bの構成材料としては、例えば、金属材料、セラミックス材料、樹脂材料等が挙げられる。
【0036】
力検出部122は、第1基部121aと第2基部121bとの間に挟持されている。力検出部122は、外力を受けて電荷を発生させる素子等で構成される。力検出部122の具体例としては、例えば圧電素子が挙げられ、水晶を用いた圧電素子が好ましく用いられる。力センサー120に外力が作用すると、第1基部121aに対して第2基部121bが変位するため、力検出部122にも力が作用して電荷が発生する。この電荷を検出することにより、力の大きさおよび向きを求めることができる。
【0037】
力センサー120に温度ドリフトが発生する原因の1つとしては、筐体121の熱膨張が挙げられる。力センサー120では、筐体121に力検出部122が固定されているため、筐体121が膨張または収縮すると、その変位が力検出部122に及んで、出力値を変化させる。例えば、ロボットシステム100に電源が投入された直後は、筐体121の温度は、ほぼ外気温に等しいため、比較的低い温度である。ところが、駆動部130を駆動したり、力センサー120に通電したりすると、筐体121の温度が上昇する。このとき、温度上昇に伴って筐体121が膨張するため、その変位が力検出部122に力を作用させる。これにより、力検出部122では、実際には作用していない力を検出したことになり、出力値の上昇を招くことになる。
【0038】
そこで、本実施形態に係るロボットシステム100は、力センサー120の温度を検出する第1温度センサー150と、第1温度センサー150からの出力が第1目標値になるまでロボット1に暖機運転を行わせる実行部54と、を備えている。これにより、力センサー120の温度を積極的に上昇させ、力センサー120からの出力の信頼性を早期に確保する。
【0039】
なお、第1温度センサー150からの出力としては、例えば、第1温度センサー150によって検出された力センサー120の温度、または、第1温度センサー150によって検出された力センサー120の温度における単位時間当たりの変化量が挙げられる。
【0040】
このうち、第1温度センサー150からの出力として、第1温度センサー150による力センサー120の温度を用いた場合には、第1目標値として力センサー120の目標温度を設定する。この場合、実行部54は、第1温度センサー150からの出力として、力センサー120の温度の検出値をモニターする。そして、実行部54は、この検出値が第1目標値以上、つまり、目標温度以上になるまで、暖機運転を実行するように構成されている。
【0041】
なお、目標温度は、過去の実績から求めておくことができる。具体的には、ロボット1に電源を投入した後、力センサー120の温度が上昇する過程において、力センサー120からの出力が安定し始めるときの力センサー120の最低温度、つまり、温度ドリフトが十分に抑制され始める力センサー120の最低温度が挙げられる。このような温度になるまで暖機運転を実行することにより、実行部54は、力センサー120からの出力の信頼性を担保することになる。
【0042】
一方、第1温度センサー150からの出力として、第1温度センサー150によって検出した力センサー120の温度の変化量を用いるようにしてもよい。この場合、第1目標値として力センサー120の温度における単位時間当たりの変化量を設定する。そして、実行部54は、この単位時間当たりの変化量が第1目標値以下、つまり、目標変化量以下になるまで、暖機運転を実行するように構成されている。
【0043】
なお、目標変化量は、過去の実績から求めておくことができる。具体的には、ロボット1に電源を投入した後、力センサー120の温度が上昇する過程において、力センサー120からの出力が安定し始めるときの、力センサー120の温度の単位時間当たりにおける変化量が挙げられる。つまり、暖機運転が進むに伴って、単位時間当たりの変化量は減少するため、力センサー120からの出力が安定し始めるときの変化量を、目標変化量として設定すればよい。
【0044】
なお、第1温度センサー150からの出力は、上記に限定されず、温度に関連する任意の指標、または、その指標の変化量であってもよい。例えば、サーミスター等のセンサーから直接出力されるのは、電気信号であり、これを変換して温度が求められるが、この電気信号(出力値)がそのまま指標として用いられてもよい。具体的には、第1温度センサー150から出力された電圧信号または電圧信号の変化量が挙げられる。また、第1温度センサー150からの出力は、前記温度に関連する任意の指標について、実行部54で任意の演算を行った後の演算結果であってもよい。
【0045】
また、制御装置5が備える制御部51は、力センサー120からの出力に基づいて、ロボット1の動作を減速または停止させる。信頼性が担保された力センサー120からの出力に基づいてロボット1の駆動を制御することができる。つまり、把持ハンド17やロボットアーム10に作用する力をより正確に検出することができるので、例えば把持ハンド17やロボットアーム10が人や物等に衝突していないにもかかわらず、衝突したと誤検出する確率を小さくすることができ、ロボット1の動作の不必要な減速または停止を避けることができる。
【0046】
1.1.4 第1温度センサー
図4に示す第1温度センサー150は、力センサー120の筐体121の内部の空間121cに設けられている。具体的には、力センサー120は、前述したように、筐体121と、筐体121の内部に設けられている力検出部122と、を有しており、第1温度センサー150は、空間121cに臨む筐体121の内壁面に固定されている。これにより、第1温度センサー150は、筐体121のうち、力検出部122により近い位置で温度を検出し、モニターすることができる。その結果、力検出部122からの出力値の安定を、第1温度センサー150からの出力に基づいて、より精度よく捉えることができる。
【0047】
第1温度センサー150としては、例えば、サーミスター、熱電対等、公知の温度センサーが用いられる。第1温度センサー150からは、検出した温度を示す電気信号が制御装置5の実行部54に入力される。
【0048】
また、空間121cにおける第1温度センサー150の位置は、特に限定されず、
図5に示すように力検出部122に近接した位置であってもよく、離れた位置であってもよい。さらに、第1温度センサー150は、筐体121の外部であってもよい。
【0049】
なお、ロボットシステム100は、複数の第1温度センサー150を備えていてもよい。例えば、力センサー120が複数の力検出部122を備えている場合、各力検出部122に対応して第1温度センサー150を設けるようにしてもよい。
【0050】
1.1.5 第2温度センサー
図4に示す第2温度センサー160は、外気温を検出するセンサーである。第2温度センサー160が設けられる位置は、外気温を検出可能な位置であれば、ロボット1の外装の内側であっても、外側であってもよい。
【0051】
実行部54は、第2温度センサー160からの出力、すなわち外気温の検出値をモニターしている。第2温度センサー160からは、例えば検出した温度を示す電気信号が制御装置5の実行部54に入力される。
【0052】
そして、実行部54は、第1温度センサー150からの出力だけでなく、第2温度センサー160からの出力に基づいて、暖機運転を行わせる。具体的には、例えば第2温度センサー160で検出された外気温に応じて、暖機運転を終了する条件を変更する。より具体的には、本実施形態では、前述した第1温度センサー150からの出力が第1目標値になるまで暖機運転が継続されるところ、この第1目標値を、外気温に応じて変更するようにしてもよい。例えば、外気温が低い場合には、第1目標値としての目標温度も低く設定し、外気温が高い場合には、第1目標値としての目標温度も高く設定する。これにより、外気温の影響に伴う力センサー120の温度変化を、暖機運転の終了条件に反映させることができる。その結果、必要な暖機運転の長さを外気温に基づいてより精度よく見極めることができる。これにより、暖機運転をより短時間で終了させることができ、より早く通常運転を開始することができる。
【0053】
なお、第2温度センサー160は、必要に応じて設けられればよく、省略されてもよい。
【0054】
1.1.6 表示装置および入力装置
図4に示す表示装置401は、モニターを備えており、各種画面等を表示する機能を有する。したがって、作業者は、表示装置401を介してロボット1の駆動状態等を確認することができる。
【0055】
入力装置402は、例えばキーボード、キーパッド等を備えている。したがって、作業者は、入力装置402を操作することで、制御装置5に対して各種処理等の指示を行うことができる。なお、図示はしないが、入力装置402は、例えばティーチングペンダント等を備えていてもよい。
【0056】
また、表示装置401および入力装置402の代わりに、表示装置401および入力装置402の機能を兼ね備えた表示入力装置を用いてもよい。表示入力装置としては、例えばタッチパネルディスプレイ等を用いることができる。また、ロボットシステム100は、表示装置401および入力装置402をそれぞれ1つ有していてもよいし、複数有していてもよい。
【0057】
以上、第1実施形態に係るロボットシステム100について説明したが、このロボットシステム100は、人と協働して動作するロボット1と、ロボット1に設けられ、力を検出する力センサー120と、力センサー120からの出力に基づいて、ロボット1の動作を減速または停止させる制御部51と、力センサー120の温度を検出する第1温度センサー150と、第1温度センサー150からの出力が第1目標値になるまでロボット1に暖機運転を行わせる実行部54と、を備えている。
【0058】
このようなロボットシステム100によれば、例えば、ロボット1に電源が投入された直後において、実行部54が力センサー120の温度の検出値をモニターし、第1温度センサー150の検出値が十分な値になるまで暖機運転を実行する。このため、力センサー120からの出力の信頼性が担保することができる。これにより、必要最小限の長さの暖機運転を実行することが可能になり、力センサー120からの出力が正確な値になる、すなわち温度ドリフトが解消するまでの時間を短縮することができる。その結果、力センサー120において誤検出が発生する確率を小さくすることができ、ロボット1の動作の不必要な減速または停止を避けることができる。
【0059】
また、第1実施形態に係る制御装置5は、人と協働して動作するロボット1の駆動を制御する装置であって、ロボット1に設けられ、力を検出する力センサー120からの出力に基づいて、ロボット1の動作を減速または停止させる制御部51と、力センサー120の温度を検出する第1温度センサー150からの出力が第1目標値になるまでロボット1に暖機運転を行わせる実行部54と、を備えている。
【0060】
このような制御装置5によれば、例えば、ロボット1に電源が投入された直後において、第1温度センサー150からの出力が所定の条件を満たすまで暖機運転を実行する。このため、力センサー120からの出力の信頼性が担保することができる。これにより、必要な長さの暖機運転を効率よく実行して、力センサー120の温度ドリフトが解消するまでの時間を短縮することができる。その結果、力センサー120において誤検出が発生する確率を小さくすることができ、ロボット1の動作の不必要な減速または停止を避けることができる。
【0061】
1.2 ロボットの制御方法
次に、第1実施形態に係るロボットの制御方法について説明する。
図6は、制御装置5によるロボット1の制御方法を示すフローチャートである。
【0062】
まず、
図6に示すステップS01として、ロボット1に電源を投入する。
次に、
図6に示すステップS02として、第2温度センサー160により、外気温を検出する。なお、第2温度センサー160が省略されている場合には、第1温度センサー150によって検出された温度を、外気温として用いるようにしてもよい。
【0063】
次に、
図6に示すステップS03として、第1目標値を決定する。この第1目標値は、前述したように、第1温度センサー150からの出力に関する目標値であり、暖機運転を終了させるためのしきい値である。
【0064】
第1目標値は、第2温度センサー160により検出した外気温に基づいて決定する。なお、外気温は、第2温度センサー160や第1温度センサー150以外の温度センサー、例えば前述した駆動部130が備える温度センサーや把持ハンド17が備える温度センサーによって検出されてもよい。第1目標値は、特に限定されないが、一例として、外気温よりも高い温度に設定される。より具体的に例を挙げるとすれば、外気温に1℃以上70℃以下を加算した値とする。
【0065】
また、第1目標値は、外気温以外の要素に基づいて決定するようにしてもよい。例えば、第1目標値を任意の固定値としてもよく、日時や地域等に応じて予測された外気温に基づいて第1目標値を決定するようにしてもよい。これらのデータは、制御装置5の記憶部52に記憶しておけばよい。
【0066】
次に、
図6に示すステップS04として、暖機運転を開始する。暖機運転の方法は、特に限定されず、ロボット1に電源を投入した状態でそのまま放置する方法、つまり、通電による抵抗発熱を利用して各部の温度を上昇させる方法であってもよいが、好ましくは駆動部130を駆動してモーターや減速機等からの発熱を利用する方法が用いられる。
図6に示すロボット1の場合、力センサー120に近いアーム11を優先的に駆動するのが好ましい。これにより、より短時間で力センサー120の温度を上昇させることができ、暖機運転を早期に終了させることができる。
【0067】
なお、暖機運転では、6つのアーム11~16の全てを駆動するようにしてもよい。これにより、ロボットアーム10自体の暖機運転も同時に行うことができる。
【0068】
一方、本実施形態に係るロボット1は、前述したようにロボットアーム10を有しているが、暖機運転の際には、力センサー120による力の検出精度が低下しているおそれがある。したがって、この点を踏まえると、暖機運転の際には、ロボットアーム10の駆動に制限を課すことが好ましい。駆動の制限の例としては、例えば、ロボットアーム10の駆動範囲を限定したり、駆動速度を抑えたりすることが挙げられる。このうち、ロボットアーム10の駆動速度を抑えることが特に有効である。具体的には、暖機運転の際には、制御部51が、ロボットアーム10の駆動を制御する制御モードとして、最高速度が異なる複数のモードを有しているのが好ましい。より具体的には、制御部51が、駆動されるロボットアーム10の最高速度が第1速度である第1モード、および、最高速度が第1速度よりも遅い第2速度である第2モード、という速度の大小関係を有する2つのモードを有している。この場合、実行部54が暖機運転を実行している間、実行部54は、制御部51に第2モードを選択させるのが好ましい。
【0069】
これにより、暖機運転を実行しているときには、最高速度をより抑えた制御モードでロボットアーム10を駆動することになる。その結果、仮に、暖機運転中にロボットアーム10が障害物等に衝突したとしても、衝撃を小さく抑えることができる。
【0070】
次に、
図6に示すステップS05として、第1温度センサー150により、力センサー120の温度を検出する。そして、第1温度センサー150による検出値を実行部54に送出し、必要に応じて演算を行う。これにより、第1温度センサー150の出力値を得る。
【0071】
次に、
図6に示すステップS06として、第1温度センサー150からの出力が第1目標値に到達したか否かを判断する。例えば、第1目標値が第1温度センサー150による力センサー120の目標温度である場合、力センサー120の温度が十分に上昇して、この目標温度以上になっていれば、後述するステップS07に移行する。
【0072】
なお、前述した実行部54は、第1温度センサー150からの出力に基づいて、暖機運転の運転時間を計算する機能を有していてもよい。この運転時間は、例えば、ステップS03で決定した第1温度センサー150からの出力に関連する第1目標値、ステップS05で検出した力センサー120の温度、および、ステップS04における暖機運転の開始からステップS05における温度の検出までの経過時間、といったパラメーターに基づいて求められる。具体的には、第1目標値としての目標温度と力センサー120の検出温度との差を経過時間で割ることにより、暖機運転に伴う温度の上昇速度が求められる。これにより、力センサー120の温度が目標温度に到達するまでに要する時間を推測することができるため、これを暖機運転の運転時間とすればよい。
【0073】
求めた運転時間は、例えば制御部51により、表示装置401(表示部)に表示させる。これにより、ロボットシステム100のユーザーは、暖機運転の運転時間、つまり通常運転が開始可能になるまでの時間を知ることができる。その結果、ユーザーは、例えば作業対象物を準備するといった事前作業を効率的に行うことができる。
【0074】
図6に示すステップS07では、暖機運転を終了する。一方、力センサー120の温度が目標温度未満である場合、暖機運転を継続するという判断を行うステップS065を経て、前述したステップS05の前に戻る。
【0075】
ステップS07の終了後には、十分な暖機運転がなされたと判断することができる。このため、ステップS07の終了後に通常運転を開始してもよい。
【0076】
一方、力センサー120からの出力の信頼性をより十分に担保するためには、後述するステップS08からステップS12までを行うようにしてもよい。
【0077】
まず、
図6に示すステップS08として、ロボットアーム10を静止させた状態または等速で駆動している状態において、力センサー120からの出力をモニターする。そして、力センサー120からの出力について、単位時間当たりの変化量を取得する。
【0078】
次に、
図6に示すステップS09として、前述した力センサー120からの出力の変化量が、第2目標値以下であるか否かを判断する。この第2目標値とは、力センサー120の出力を利用してロボット1の駆動を制御するにあたり、出力の単位時間当たりの変化量が許容できる範囲内であるか否かのしきい値である。つまり、このステップS09は、力センサー120の温度ドリフトが許容範囲内に収まっているか否かを判断するステップである。そして、力センサー120からの出力の変化量が第2目標値以下であった場合、すなわち、力センサー120の温度ドリフトが許容範囲内に収まっていた場合には、後述するステップS10に移行する。
【0079】
図6に示すステップS10では、通常運転の許可を通知する。通常運転とは、例えば、暖機運転時に課していたロボットアーム10の駆動の制限を解除してロボット1を動作させることをいう。また、通常運転の許可の通知は、例えば、制御部51により、許可を知らせる旨を表示装置401に表示させることによって行う。
【0080】
一方、ステップS09において、力センサー120からの出力の変化量が、第2目標値以下でなかった場合、すなわち、力センサー120の温度ドリフトが許容範囲内に収まっていなかった場合には、後述するステップS11に移行する。
【0081】
図6に示すステップS11では、前述した力センサー120からの出力の変化量が、第2目標値を超えている状態の継続時間を算出する。そして、この継続時間が所定時間以上であるか否かを判断する。この所定時間とは、出力の変化量が長時間にわたって第2目標値を超えている場合であって、過去の実績等から、第2目標値以下になる見込みがないと判断することができる時間のことをいう。継続時間が所定時間以上であった場合、後述するステップS12に移行する。一方、継続時間が所定時間未満であった場合、前述したステップS08の前に戻る。
【0082】
図6に示すステップS12では、通常運転の禁止を通知する。この通知が発せられたときには、制御部51は、通常運転の開始を許可しない。通常運転の禁止の通知も、例えば、制御部51により、禁止を知らせる旨を表示装置401に表示させることによって行う。
【0083】
以上のように、本実施形態に係るロボット1の制御方法は、人と協働して動作するロボット1を制御する制御方法であって、ロボット1に設けられた、力を検出する力センサー120の温度を第1温度センサー150により検出する工程であるステップS05と、第1温度センサー150からの出力が第1目標値になるまでロボット1に暖機運転を行わせる工程であるステップS06、S07と、を有する。
【0084】
このような制御方法によれば、例えば、ロボット1に電源が投入された直後において、第1温度センサー150の検出値が十分な値になるまで暖機運転を実行する。このため、力センサー120からの出力の信頼性を担保することができる。これにより、必要な長さの暖機運転を効率よく実行して、力センサー120からの出力が正確な値になるまでの時間を短縮することができる。その結果、力センサー120において誤検出が発生する確率を小さくすることができ、ロボット1の動作の不必要な減速または停止を避けることができる。
【0085】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態に係るロボットシステムについて説明する。
図7は、第2実施形態に係るロボットシステムの概略図である。
【0086】
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、
図7において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0087】
第2実施形態は、力センサー120の配置が異なる以外、第1実施形態と同様である。すなわち、前述した第1実施形態では、力センサー120が基台110の内部に設けられているのに対し、本実施形態では、力センサー120がロボットアーム10と把持ハンド17との間に配置されている。
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0088】
また、力センサー120が
図7に示す位置に設けられている場合、暖機運転の方法は第1実施形態と同様であるが、ロボットアーム10のうち、特にアーム16を優先的に駆動するのが好ましい。これにより、より短時間で力センサー120の温度を上昇させることができ、暖機運転を早期に終了させることができる。また、アーム16は、ロボットアーム10の中でも先端側に位置しており、可動域が比較的狭いため、駆動速度が大きい状態で駆動しても、安全を確保しやすいという利点がある。なお、ロボットアーム10による暖機運転に代えて、把持ハンド17の駆動を利用した暖機運転を行うようにしてもよい。把持ハンド17は、可動域が特に狭く、かつ、ロボットアーム10に比べて出力も小さいため、より安全を確保しやすい点で有用である。
【0089】
さらに、
図7に示す位置に力センサー120を設けた場合、力センサー120からアーム16や把持ハンド17までの物理的距離が小さい。このため、第1実施形態では力センサー120の内部に設けていた第1温度センサー150を、本実施形態では把持ハンド17が備える温度センサーやアーム16が備える温度センサーと兼用にすることができる。これにより、ロボットシステム100の構成の簡素化を図ることができる。
【0090】
3.第3実施形態
次に、第3実施形態に係るロボットシステムおよび制御装置について説明する。
図8は、第3実施形態に係るロボットシステムの機能ブロック図である。
【0091】
以下、第3実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、
図8において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0092】
第3実施形態は、制御装置5の配置が異なる以外、第1実施形態と同様である。すなわち、前述した第1実施形態では、制御装置5がロボット1の外部に配置されているのに対し、本実施形態では、
図8に示すように、制御装置5がロボット1の基台110の内部に配置されている。換言すれば、ロボット1は、基台110と、基台110に接続されているロボットアーム10と、を有しており、制御部51および実行部54を備える制御装置5は、基台110の内部に配置されている。
【0093】
このようなロボットシステム100によれば、ロボット1と制御装置5とを接続する配線を、ロボット1の外部に引き回す必要がない。このため、外部配線が少ない分、低コスト化が図られるとともに、ロボットシステム100の設置作業の効率化を図ることができる。
以上のような第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0094】
4.変形例
次に、変形例に係るロボットシステムについて説明する。
【0095】
本変形例に係る制御装置5は、ロボット1の電源が遮断されていた時間を、電源遮断時間として記憶部52において記録する機能を有する。電源が遮断されている間は、ロボット1の放熱が進むため、力センサー120の温度も徐々に低下する。そして、電源遮断時間と力センサー120の温度低下幅との間には、一定の相関関係が成り立つ。よって、この相関関係に基づけば、電源遮断時間、および、電源遮断直前に記録しておいた力センサー120の温度、により、ロボット1に再び電源が投入されたときの温度を推定することができる。
【0096】
したがって、この推定温度を用いることにより、第1温度センサー150からの出力の真偽を確認したり、出力値を補正したりすることができる。これにより、力センサー120の温度をより正確に検出することが可能になる。
【0097】
なお、電源遮断時間は、記憶部52ではなく、ロボットアーム10が備える図示しない記憶部に記録するようにしてもよい。この場合、ロボットアーム10に対して電源遮断時間を付随させることができる。その結果、例えばロボットアーム10と制御装置5とを切り離した場合でも、電源遮断時間を保持させ続けることができ、制御装置5を再びロボット1に接続したとき、ロボットアーム10に保持させておいた電源遮断時間を制御装置5から読み出して利用することができる。
【0098】
以上、本発明のロボットシステム、制御装置およびロボットの制御方法を図示の実施形態ならびにロボットシステムおよび制御装置の変形例に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。例えば、本願においてロボットシステムが有するロボットは6軸の垂直多関節ロボットであるが、これに限定されず、水平多関節ロボットであってもよい。また、垂直多関節ロボットの軸数は、6軸より少なくても多くてもよい。また、ロボットシステムの前記実施形態およびその変形例ならびに制御装置の前記実施形態およびその変形例には、それぞれ他の任意の構成物が付加されていてもよい。さらに、ロボットの制御方法の前記実施形態には、任意の目的の工程が付加されていてもよい。
【符号の説明】
【0099】
1…ロボット、5…制御装置、10…ロボットアーム、11…アーム、12…アーム、13…アーム、14…アーム、15…アーム、16…アーム、17…把持ハンド、51…制御部、52…記憶部、53…外部入出力部、54…実行部、61…コントローラー、62…コンピューター、70…設置箇所、100…ロボットシステム、110…基台、120…力センサー、121…筐体、121a…第1基部、121b…第2基部、121c…空間、122…力検出部、130…駆動部、140…位置センサー、150…第1温度センサー、160…第2温度センサー、401…表示装置、402…入力装置、S01…ステップ、S02…ステップ、S03…ステップ、S04…ステップ、S05…ステップ、S06…ステップ、S07…ステップ、S08…ステップ、S09…ステップ、S10…ステップ、S11…ステップ、S12…ステップ