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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】AV機器
(51)【国際特許分類】
   G11B 33/10 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
G11B33/10 C
G11B33/10 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019107197
(22)【出願日】2019-06-07
(65)【公開番号】P2020202001
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125689
【弁理士】
【氏名又は名称】大林 章
(74)【代理人】
【識別番号】100128598
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 聖一
(74)【代理人】
【識別番号】100121108
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 太朗
(72)【発明者】
【氏名】永井 尚
(72)【発明者】
【氏名】栗田 直明
【審査官】中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05155605(US,A)
【文献】国際公開第2018/159730(WO,A1)
【文献】特開2008-243259(JP,A)
【文献】特開2004-086958(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0029305(US,A1)
【文献】国際公開第2007/114142(WO,A1)
【文献】特開2000-155544(JP,A)
【文献】特開2010-107592(JP,A)
【文献】特開平10-293593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲の再生点の移動に対応して回転する回転体を具備し、
前記回転体は、画像を表示する
AV機器。
【請求項2】
前記回転体は、前記再生点を変化させるために利用者が回転させる回転操作子である
請求項1のAV機器。
【請求項3】
前記回転操作子のうち前記利用者が接触する操作面に前記画像が表示される
請求項2のAV機器。
【請求項4】
前記回転操作子の操作面に光を照射する光照射部を具備し、
前記回転操作子は、前記操作面が畜光材料で形成され、前記光照射部による照射により前記画像を表示する
請求項3のAV機器。
【請求項5】
前記光照射部は、前記回転操作子の半径方向に沿って配列される複数の発光素子を具備する
請求項4のAV機器。
【請求項6】
前記回転操作子は、前記楽曲の再生に並行して回転する
請求項2から請求項5の何れかのAV機器。
【請求項7】
前記画像は、前記再生点に対応する画像である
請求項1から請求項6の何れかのAV機器。
【請求項8】
前記画像は、前記楽曲を表す音信号の波形のうち前記再生点に対応する部分を含む
請求項7のAV機器。
【請求項9】
前記画像は、前記楽曲の歌詞のうち前記再生点に対応する部分を含む
請求項7のAV機器。
【請求項10】
前記画像は、前記再生点の手前の時点に対応する部分を含む
請求項8から請求項9の何れかのAV機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AV(Audio Visual )機器に関する。
【背景技術】
【0002】
円盤状の操作子(ターンテーブル)を任意の方向および速度で回転させる操作により、楽曲の再生の方向および速度を制御するAV機器が従来から提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2008/120397号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、AV機器による音響の再生において、聴覚的な演出だけでなく視覚的な演出の効果も重要である。従来のAV機器においては、視覚的な演出の効果の向上という観点で改善の余地がある。以上の事情を考慮して、本開示は、AV機器において視覚的な演出の効果を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本開示のひとつの態様に係るAV機器は、楽曲の再生点の移動に対応して回転する回転体具備し、前記回転体は、画像を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示の第1実施形態に係る再生システムの構成を例示するブロック図である。
図2】AV機器の機能的な構成を例示するブロック図である。
図3】AV機器の平面図である。
図4】画像データの模式図である。
図5】端末装置の制御装置のフローチャートである。
図6】第2実施形態に係るAV機器の平面図である。
図7】第2実施形態に係る画像データの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<第1実施形態>
図1は、本開示の第1実施形態における再生システム1の構成を例示するブロック図である。再生システム1は、楽曲を再生するコンピュータシステムであり、クラブまたはライブハウス等の各種イベント会場に設置される。第1実施形態の再生システム1は、AV機器10と端末装置20と放音装置30とを具備する。AV機器10は、例えば利用者(DJ)による操作を受付けるDJコントローラである。端末装置20は、AV機器10に対する操作に応じて楽曲の再生を制御する。端末装置20は、例えばスマートフォン、タブレット端末またはパーソナルコンピュータ等の情報端末である。放音装置30(例えばスピーカまたはヘッドホン)は、端末装置20による制御のもとで楽曲を再生する再生機器である。第1実施形態のAV機器10は、端末装置20による制御のもとで楽曲に関連する画像(以下「楽曲画像」という)を表示する。
【0008】
端末装置20は、制御装置21と記憶装置23と通信装置25と入力装置27とを具備する。制御装置21は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の単数または複数の処理回路であり、端末装置20の各要素を制御する。記憶装置23は、制御装置21が実行するプログラムと制御装置21が使用する各種のデータとを記憶する。例えば磁気記録媒体もしくは半導体記録媒体等の公知の記録媒体が記憶装置23として利用される。具体的には、記憶装置23は、音信号Qを記憶する。音信号Qは、楽曲の演奏により発音される音響(例えば歌唱音または演奏音)の時間波形を表現するサンプルの時系列である。端末装置20から放音装置30に音信号Qが供給されることで、当該音信号Qが表す楽曲が再生される。
【0009】
制御装置21は、記憶装置23に記憶されたプログラムを実行することで、楽曲の再生および楽曲画像の表示をするための機能(信号処理部212および画像処理部214)を実現する。信号処理部212は、放音装置30が再生する楽曲のうち再生の対象となる位置(以下「再生点」という)を制御する。具体的には、信号処理部212は、音信号Qのうち再生点に対応する部分(すなわち再生点に対応するサンプル)を放音装置30に供給する。画像処理部214は、楽曲画像Gを表示するためのデータ(以下「画像データD」という)を生成してAV機器10に供給する。AV機器10は、画像データDに応じて楽曲画像Gを表示する。画像データDは、音信号Qに応じて生成される。なお、画像データDの詳細は後述する。
【0010】
通信装置25は、AV機器10および放音装置30と通信するための通信機器であり、無線または有線でAV機器10および放音装置30に接続される。具体的には、通信装置25は、制御装置21による制御のもとで、放音装置30に音信号Qを送信し、かつ、AV機器10に画像データDを送信する。入力装置27(例えばタッチパネル)は、端末装置20に対する各種の指示のために利用者が操作する操作機器であり、例えば利用者が操作する複数の操作子を含んで構成される。具体的には、入力装置27は、楽曲の再生の開始および停止の指示を利用者から受け付ける。楽曲の再生の開始を入力装置27が受け付けると、放音装置30に対する音信号Qの供給と、AV機器10に対する画像データDの供給とが開始される。また、楽曲の再生の停止を入力装置27が受け付けると、放音装置30に対する音信号Qの供給と、AV機器10に対する画像データDの供給とが停止される。
【0011】
図2は、AV機器10の機能的な構成を例示するブロック図であり、図3は、AV機器10の平面図である。図2に例示される通り、AV機器10は、回転操作子11と光照射部12と回転駆動回路13と検出回路14と表示駆動回路15と通信装置16と入力装置17とを具備する。AV機器10の各要素は筐体部19に設置される。筐体部19は、実装面Faを含む直方体状に形成された中空の構造体である。実装面Faは、AV機器10が床面に設置された状態で鉛直方向の上方に位置する平坦面である。回転操作子11と光照射部12とは実装面Faに設置され、検出回路14と回転駆動回路13と表示駆動回路15と通信装置16とは筐体部19の内部に収容される。
【0012】
通信装置16は、端末装置20と通信するための通信機器であり、例えば端末装置20から送信された画像データDを受信する。入力装置17は、端末装置20に対する各種の指示のために利用者が操作する操作機器であり、例えば利用者が操作する複数の操作子を含んで構成される。具体的には、入力装置17は、回転操作子11の回転の開始および停止の指示を利用者から受け付ける。
【0013】
回転操作子11(回転体の一例)は、楽曲の再生点を変化させるために利用者が操作する操作機器である。利用者は、回転により回転操作子11を操作する。図3に例示される通り、回転操作子11は、操作面Fbを含む円盤状の構造体であり、中心軸を中心に回転する。操作面Fbは、利用者が操作のために接触する面であり、回転操作子11のうち実装面Faに略平行な面である。
【0014】
利用者は、操作面Fbに接触した状態で回転操作子11を任意の方向および速度で回転(すなわちスクラッチ操作)させることで、再生点を移動させることが可能である。具体的には、利用者は、所望の回転方向(時計回り/反時計回り)および角速度で回転操作子11を回転させる。回転操作子11の回転方向は、楽曲の時間軸上における再生点の移動方向(順方向/逆方向)に対応する。回転操作子11を時計回りに回転させる動作は、再生点を時間軸上で後方(順方向)に移動させる操作に対応し、回転操作子11を反時計回りに回転させる動作は、再生点を時間軸上で前方(逆方向)に移動させる操作に対応する。
【0015】
第1実施形態の回転操作子11は、再生システム1による楽曲の再生に並行して回転する。すなわち、回転操作子11は、楽曲の再生点の移動に対応して回転する。具体的には、回転操作子11は、楽曲の再生速度に応じた角速度で一方向(例えば時計回り)に連続的に回転する。すなわち、利用者は、回転状態にある回転操作子11に対して操作する。
【0016】
回転駆動回路13は、回転操作子11を所定の角速度で回転させる。例えばモーター等のアクチュエータが回転駆動回路13として利用される。第1実施形態の回転駆動回路13は、入力装置17に対する利用者からの操作に応じて回転操作子11の回転を開始または停止させる。
【0017】
図2の検出回路14は、回転操作子11の回転に応じた検出信号Mを生成する。検出信号Mは、例えば回転操作子11の回転方向および角速度を表す信号である。例えば回転操作子11の回転を光学的に検出するロータリーエンコーダー等のセンサーが検出回路14として利用される。回転操作子11に対する操作がない状態では、回転操作子11が時計回りに所定の角速度で回転することを表す検出信号Mが生成される。他方、回転操作子11が利用者により操作されている状態では、当該操作の内容(回転方向および角速度)を表す検出信号Mが生成される。検出回路14が生成した検出信号Mは、通信装置16から端末装置20に送信される。
【0018】
図1の端末装置20の通信装置25は、AV機器10から送信された検出信号Mを受信する。信号処理部212は、通信装置25が受信した検出信号Mに応じて再生点を単位期間毎に移動させる。単位期間は、スクラッチ操作の1周期分に対して十分に短い時間長である。具体的には、信号処理部212は、検出信号Mが表す回転方向に応じた方向(順方向/逆方向)に当該検出信号Mが表す角速度に応じた速度で再生点を移動させる。なお、回転操作子11の角速度が速いほど、再生点の移動速度が速い。回転操作子11に対する操作がない状態では、再生点は順方向に一定の速度で移動する。他方、回転操作子11に対して利用者が操作をしている状態では、再生点は当該操作の内容(回転方向および角速度)に応じて移動する。信号処理部212は、音信号Qのうち移動後の再生点に対応する部分を放音装置30に供給する。なお、実際には、信号処理部212は、音信号Qに対して各種の音響処理(例えば増幅処理またはイコライジング)をしてから放音装置30に対して供給する。
【0019】
図3の回転操作子11は、楽曲画像Gを表示する表示装置としても機能する。具体的には、回転操作子11の操作面Fbに楽曲画像Gが表示される。すなわち、回転操作子11の回転に応じて楽曲画像Gも回転する。具体的には、楽曲画像Gは、光照射部12による照射により操作面Fbに表示される。第1実施形態の回転操作子11の操作面Fbは、蓄積された光により発光する畜光材料で形成される。例えば円板の表面に蓄光シートを接合することで回転操作子11が構成される。光照射部12により光を照射された操作面Fbが発光することで画像を表示する。第1実施形態の楽曲画像Gは、楽曲の再生点に対応する画像である。再生点は時間の経過とともに楽曲の後方に移動するから、楽曲内における再生点の位置に応じて楽曲画像Gが変化する。図3に例示される通り、音信号Qの波形のうち再生点に対応する部分を含む楽曲画像Gが操作面Fbに表示される。なお、楽曲画像Gを楽曲の音量に応じて変化させてもよい。再生対象となる音信号Qの波形は、音量に応じて変化するから、操作面Fbに表示される楽曲画像Gも変化する。
【0020】
光照射部12は、表示駆動回路15の制御のもとで操作面Fbに光を照射する照明機器である。第1実施形態の光照射部12は、支持部121とN個の発光素子123とを具備する(Nは2以上の自然数)。各発光素子123は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源である。支持部121は、N個の発光素子123を支持するための腕状の構造体であり、筐体部19の実装面Faに設置される。具体的には、支持部121は回転操作子11の半径方向に沿って延在する。支持部121における一方の端部が実装面Faに固定され、他方の端部は回転操作子11の中心部に接触する。
【0021】
N個の発光素子123は、支持部121に支持される。支持部121のうち操作面Fbに対向する面にN個の発光素子123が設置される。各発光素子123は、光軸が操作面Fbに対して垂直になるように支持部121に設置される。具体的には、N個の発光素子123は、支持部121の延在方向に沿って配列される。すなわち、複数の発光素子123は、回転操作子11の半径方向に沿って配列される。したがって、操作面Fbのうち半径方向に沿った直線状の領域が光照射部12により照射される。
【0022】
なお、支持部121のうち回転操作子11の中心部に接触する端部は、支持部121の他方の端部(筐体部19に固定されている端部)を中心に、実装面Faに対して水平方向に動く。したがって、利用者は、光照射部12による照射が不要な場合には、支持部121のうち回転操作子11に接触する端部を操作面Fbに接触しない位置に移動させることができる。また、筐体部19に対して着脱可能な光照射部12を採用してもよい。
【0023】
図1の端末装置20の画像処理部214は、再生点に対応する画像データDを生成する。図4は、画像データDの模式図である。具体的には、画像処理部214は、単位期間毎(再生点Pの移動毎)に画像データDを生成する。画像データDは、相異なる発光素子123に対応するN個の単位データUを含む。N個の単位データUの配列は、支持部121に支持されるN個の発光素子123の配列に対応する。1個の発光素子123に対応する1個の単位データUは、再生点Pにおける当該発光素子123の発光/消灯を指示すデータである。画像処理部214は、音信号Qの波形Wにおいて再生点Pに対応する部分を表すN個の単位データUのうち、当該波形Wの内部に位置する単位データUについては発光を指示する数値に設定し、波形Wの外部に位置する単位データUについては消灯を指示する数値に設定する。画像処理部214は、画像データDをAV機器10に供給する。
【0024】
表示駆動回路15は、端末装置20から送信された画像データDに応じて光照射部12を制御する。具体的には、表示駆動回路15は、画像データDの受信毎(すなわち単位期間毎)に、各発光素子123の発光/消灯を制御する。具体的には、表示駆動回路15は、画像データDのうち各発光素子123に対応する単位データUに応じて当該発光素子123を発光または消灯させる。操作面Fbのうち光照射部12により照射される領域が、回転操作子11の回転に応じて周方向に移動する。したがって、時間軸上に連続した複数の画像データDの各々に応じて各発光素子123を制御することで、操作面Fbの周方向に沿う波形を表す楽曲画像Gが表示される。
【0025】
具体的には、蓄光シートの蓄光量(すなわち発光量)は、光照射部12による光照射の時点から経時的に減少する。したがって、操作面Fbに表示される楽曲画像Gは、回転の下流側に位置につれて低い濃度(発光量)となる。例えば、操作面Fbの特定の地点が光照射部12の直下から1周するまでの期間内に、当該地点の蓄光量は0に十分に近づく。そして、操作面Fbの特定の地点は、光照射部12の直下に到達すると、再生点Pに対応する画像データDに応じて光照射部12により再び照射される。なお、光照射部12は、回転操作子11が1周する間に蓄光量が0に十分に近づくような強度で操作面Fbを照射する。すなわち、楽曲画像Gは、操作面Fbが1周回る毎に、光照射部12により新規の楽曲画像Gに上書きされる。したがって、利用者は、直近で光照射部12により照射された楽曲画像Gを、1周前に照射された楽曲画像Gに妨げられることなく、視認することができる。以上の説明から理解される通り、操作面Fbに表示される楽曲画像Gは、楽曲の進行(すなわち再生点Pの移動)に応じて変化する画像である。回転操作子11の操作に応じて再生点Pは移動するから、楽曲画像Gも当該回転操作子11の操作に応じて変化する。すなわち、光照射部12による照射に並行して、回転操作子11の回転により操作面Fbに円周方向に沿って楽曲画像Gが表示される。
【0026】
図5は、端末装置20の制御装置21のフローチャートである。利用者からの楽曲再生の指示を契機として図5の処理が開始される。図5の処理は、単位期間毎に繰り返し実行される。制御装置21は、AV機器10から送信された検出信号Mを通信装置25に受信させる(Sa1)。信号処理部212は、AV機器10から送信された検出信号Mから、回転操作子11の操作内容(回転方向および角速度)を特定する(Sa2)。信号処理部212は、回転操作子11の操作内容に応じて、楽曲の再生点Pを移動する(Sa3)。具体的には、信号処理部212は、回転操作子11の回転方向に応じた方向(順方向/逆方向)に、回転操作子11の角速度に応じた速度で再生点Pを移動する。制御装置21は、音信号Qのうち移動後の再生点Pに対応する部分を放音装置30に送信する(Sa4)。画像処理部214は、楽曲の再生点Pに応じて画像データDを生成する(Sa5)。画像データDは、光照射部12の各発光素子123が、音信号Qの波形のうち再生点Pに対応する部分の内部に位置するか否かに応じて生成される。制御装置21は、画像データDを通信装置25からAV機器10に送信させる(Sa6)。AV機器10の光照射部12は、端末装置20から順次に送信される画像データDに応じて操作面Fbを照射する。そして、光照射部12により照射された操作面Fbは、楽曲の再生点Pに対応する楽曲画像Gを表示する。
【0027】
以上の説明から理解される通り、第1実施形態では、楽曲の再生点Pを変化させるために利用者が回転させる回転操作子11に楽曲画像Gが表示されるから、回転操作子11の回転に応じて楽曲画像Gも回転する。したがって、例えば回転操作子11とは別個の表示装置に楽曲画像Gが表示される構成(以下「対比例」という)と比較して、視覚的な演出の効果が高い。対比例においても、回転操作子11の回転に連動して楽曲画像Gを移動させることで、視覚的な演出の効果を実現する余地がある。しかし、回転操作子11の回転に連動して楽曲画像Gを移動させる煩雑な表示制御が必要である。本開示は、回転操作子11自体が画像を表示するので、表示制御により画像を移動させなくても回転操作子11の回転に連動して楽曲画像Gが移動する。したがって、楽曲画像Gの表示制御のための処理負荷が対比例と比較して低減される。
【0028】
回転操作子の操作面Fbに楽曲画像Gが表示される第1実施形態の構成によれば、楽曲画像Gの表示に利用できる面積を確保しやすいという利点がある。第1実施形態では、回光照射部12が転操作子11の操作面Fbを照射することで楽曲画像Gが表示されるから、簡便な構成により回転操作子11に楽曲画像Gを表示することができる。第1実施形態では、操作面Fbが畜光材料で形成されるから、楽曲画像Gが経時的に薄くなる。したがって、楽曲画像Gを消去する処理が不要になる。また、楽曲画像Gを表示するための電源を回転操作子11に供給することが不要になるから、例えば表示のための電源の供給が回転操作子11に必要な構成と比較して、AV機器10の構成が簡素化される。平面型の表示パネルを回転操作子11として利用する構成と比較して、機械的な強度を確保しやすい。
【0029】
第1実施形態では、半径方向に沿って配列される複数の発光素子123が操作面Fbを照射するから、例えば操作面Fbの広範囲にわたり発光素子123が配列される構成と比較して、利用者による操作を阻害することなく、回転操作子11の操作面Fbの全体にわたり楽曲画像Gを表示することができる。楽曲の再生に並行して楽曲画像Gが連続的に回転するから、利用者からの操作が発生した場合にのみ回転操作子11が回転する構成と比較して、視覚的な演出の効果が高いという利点がある。
【0030】
第1実施形態では、楽曲の再生点Pの移動に応じて表示される楽曲画像Gが変化するから、利用者が楽曲の再生点Pを視覚的に把握しやすい。すなわち、利用者がDJプレイをしやすいという利点がある。また、楽曲の音信号Qにおいて再生点Pに対応する部分の波形が表示されるから、利用者が楽曲の再生点Pを視覚的に把握しやすいという効果が顕著である。特に、楽曲を表す音信号Qの波形のうち再生点Pに対応する部分を含む楽曲画像が表示されるから、利用者が楽曲の再生点Pを視覚的に把握しやすいという効果が顕著である。
【0031】
<第2実施形態>
本開示の第2実施形態を説明する。以下に例示する各態様において作用や機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0032】
図6は、第2実施形態に係るAV機器10の平面図である。第1実施形態のAV機器10は、楽曲の音信号Qの波形を表す楽曲画像G表示したが、第2実施形態のAV機器10は、楽曲の歌詞を表す楽曲画像G表示する。なお、AV機器10の構成は、第1実施形態と同様である。第2実施形態に係る端末装置20の記憶装置23は、音信号Qに加えて、歌詞画像を記憶する。歌詞画像は、楽曲の歌詞(文字列)を表すビットマップである。
【0033】
端末装置20の信号処理部212は、第1実施形態と同様に、AV機器10から送信された検出信号Mに応じて楽曲の再生点Pを移動させる。画像処理部214は、信号処理部212が移動させた再生点Pに対応する画像データDを生成する。画像データDは、第1実施形態と同様に、相異なる発光素子123に対応するN個の単位データUを含む。図7は、第2実施形態に係る画像データDの模式図である。第2実施形態の画像処理部214は、歌詞画像において再生点Pに対応する部分を表すN個の単位データUのうち、歌詞の各文字の内部に位置する単位データUについては発光を指示する数値に設定し、歌詞の各文字の外部に位置する単位データUについては消灯を指示する数値に設定する。画像処理部214が生成した画像データDは、AV機器10に送信される。
【0034】
AV機器10の表示駆動回路15は、第1実施形態と同様に、画像データDに応じて光照射部12を制御する。光照射部12は、表示駆動回路15の制御のもとで、操作面Fbに光を照射する。光照射部12により照射された操作面Fbは、第1実施形態と同様に、楽曲の再生点Pに対応する楽曲画像Gを表示する。第2実施形態では、楽曲の歌詞のうち再生点Pに対応する部分を含む楽曲画像Gとして表示される。したがって、楽曲の再生に並行して当該楽曲の歌詞が操作面Fbに表示される。
【0035】
第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。第2実施形態では特に、楽曲の歌詞のうち再生点Pに対応する部分を含む楽曲画像Gが操作面Fbに表示されるから、利用者が楽曲の再生点Pを視覚的に把握しやすいという効果が顕著である。
【0036】
<変形例>
以上に例示した各態様は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2個以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0037】
(1)前述の各形態において、AV機器10に端末装置20の機能(信号処理部212および画像処理部214)を搭載してもよい。すなわち、端末装置20は省略される。
【0038】
(2)前述の各形態では、光照射部12の複数の発光素子123は回転操作子11の半径方向に沿って直線状に配列されたが、発光素子123の配列は以上の例示に限定されない。例えば、操作面Fbの円周方向にわたり複数の発光素子123を配列してもよい。また、回転操作子11の操作面Fbの裏側に設置された光照射部12から、当該操作面Fbの裏側を照射することで、操作面Fbに楽曲画像Gを表示してもよい。以上の構成では、操作面Fbの裏側の全体にわたり複数の発光素子123を設置してもよい。
【0039】
(3)前述の各形態では、蓄光材料で形成された操作面Fbを光照射部12で照射することで、操作面Fbに楽曲画像Gを表示したが、楽曲画像Gを操作面Fbに表示する構成は以上の例示に限定されない。例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイまたは電気泳動ディスプレイ(例えば電子ペーパー)等の各種のディスプレイで操作面Fbを形成してもよい。
【0040】
また、磁力により磁性材料の微粒子を移動させることで画像を表示する表示パネルで操作面Fbを形成してもよい。以上の説明から理解される通り、光照射部12は省略される。また、楽曲画像Gに応じたパターンが加工された透明プレートに、発光素子123が光を照射することで当該楽曲画像Gを表示する構成も採用される。
【0041】
(4)前述の各形態では、回転操作子11は楽曲の再生に並行して回転したが、楽曲の再生に並行して回転操作子11が回転することは必須ではない。すなわち、回転操作子11に対する操作がある場合にのみ、当該操作に応じて回転する。
【0042】
(5)前述の各形態では、操作面Fbの全周にわたり楽曲画像Gを表示したが、操作面Fbの一部に楽曲画像Gを表示してもよい。
【0043】
(6)前述の各形態において、例えば楽曲の再生の条件(例えば音量、音高または速度)を変更する操作を端末装置20に対して利用者がした場合に、当該条件の変更に応じて楽曲画像Gの表示の態様(例えば色または大きさ)を変化させてもよい。また、端末装置20に対する操作の内容を表す画像を操作面Fbに表示してもよい。
【0044】
(7)前述の各形態では、回転操作子11の操作面Fbに楽曲画像Gを表示したが、回転操作子11における操作面Fb以外の表面に楽曲画像Gを表示してもよい。例えば、回転操作子11の側面に楽曲画像Gが表示される。
【0045】
(8)前述の各形態では、楽曲画像Gを回転操作子11が表示したが、回転操作子11が表示する画像は楽曲画像Gに限定されない。放音装置30が再生する楽曲とは無関係な画像(例えば企業の広告に関する画像)を回転操作子11が表示してもよい。以上の構成では、当該画像を表すビットマップデータを事前に記憶装置23に記憶し、当該ビットマップデータを利用して画像データDが生成される。なお、楽曲の再生点Pの移動に応じて操作面Fbの画像が変化することは必須ではない。すなわち、楽曲の再生中にわたり固定の画像を操作面Fbが表示してもよい。回転操作子11が表示する画像は、表示駆動回路15により変更可能な画像であれば任意である。したがって、利用者が認識可能な情報を表す画像(例えば楽曲画像G)には、限定されない。例えば、N個の発光素子123の各々をランダムに点滅させることで操作面Fbに画像を表示してもよい。
【0046】
(9)前述の各形態では、音信号Qの波形または歌詞のうち再生点Pに対応する部分を楽曲画像Gとして表示されたが、再生点Pに対応する楽曲画像Gは以上の例示に限定されない。例えば、楽曲の楽譜のうち再生点Pに対応する部分を含む楽曲画像Gを表示してもよい。
【0047】
(10)前述の各形態において、AV機器10の回転操作子11を、音信号Qの波形のうち再生点Pに対応する部分に応じて振動させてもよい。AV機器10は、回転操作子11を振動させる振動子を具備する。例えば、端末装置20がAV機器10に音信号Qを送信し、振動子は当該音信号Qに応じて振動する。
【0048】
(11)前述の各形態では、AV機器10または端末装置20と別体の放音装置30を利用したが、AV機器10または端末装置20と一体の放音装置を利用して楽曲を放音してもよい。
【0049】
(12)前述の各形態では、DJコントローラをAV機器10として例示したが、AV機器10はDJコントローラに限定されない。例えば、リスニング用のレコードプレイヤーをAV機器10として利用してもよい。以上の構成では、例えばトーンアームに光照射部12を設置し、レコードの表面(トーンアームの針を載置する面)が楽曲画像Gを表示する。レコードの表面には例えば蓄光シートが接合される。以上の説明から理解される通り、楽曲の再生点の移動に対応して回転する回転体に楽曲画像Gが表示されれば、利用者により操作される回転体(例えば回転操作子11)であっても、利用者により操作がされない回転体(例えばレコード)であってもよい。
【0050】
(13)前述の各形態において、楽曲画像Gが再生点の手前(時間軸で前方)の時点に対応する部分(以下「前方部分」という)を含んでもよい。第1実施形態では、音信号Qの波形のうち再生点Pの手前に対応する部分が前方部分として例示され、第2実施形態では、歌詞画像において再生点Pの手前に対応する部分が前方部分として例示される。具体的には、画像処理部214は、音信号Qの波形Wにおいて前方部分に対応する画像データDを生成して、AV機器10に供給する。以上の構成では、楽曲の再生点Pに先立って、前方部分を含む楽曲画像Gが表示されるから、例えばDJプレイがしやすくなるという利点がある。
【0051】
(14)回転する回転体に各種の画像を表示するため、前述の各形態で例示した構成が利用される。例えば、自転車または自動車等の車輪を構成する回転体の表面に画像を表示するために利用される。また、展示のために商品または作品等を載置する回転台の表面に画像を表示するために利用してもよい。以上の説明から理解される通り、楽曲の再生点Pの移動を前提としない各種の回転体に画像を表示するために本開示は利用される。また、児童向けのDJコントローラ型の玩具において本開示を利用してもよい。
【0052】
(15)以上に例示した端末装置20の機能は、前述の通り、制御装置21を構成する単数または複数のプロセッサと記憶装置23に記憶されたプログラムとの協働により実現される。本開示に係るプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に格納された形態で提供されてコンピュータにインストールされ得る。記録媒体は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、CD-ROM等の光学式記録媒体(光ディスク)が好例であるが、半導体記録媒体または磁気記録媒体等の公知の任意の形式の記録媒体も包含される。なお、非一過性の記録媒体とは、一過性の伝搬信号(transitory, propagating signal)を除く任意の記録媒体を含み、揮発性の記録媒体も除外されない。また、配信装置が通信網を介してプログラムを配信する構成では、当該配信装置においてプログラムを記憶する記憶装置23が、前述の非一過性の記録媒体に相当する。
【0053】
(16)以上に例示した形態から、例えば以下の構成が把握される。
<態様1>
本開示のひとつの態様(態様1)に係るAV機器は、楽曲の再生点の移動に対応して回転する回転体を具備し、前記回転体は、画像を表示する。以上の構成によれば、楽曲の再生点の移動に対応して回転する回転体に画像が表示されるから、例えば回転体とは別個の表示装置に画像が表示される構成と比較して、視覚的な演出の効果が高い。
<態様2>
態様1の一例に(態様2)に係るAV機器において、前記再生点を変化させるために利用者が回転させる回転操作子を具備し、前記回転操作子は、画像を表示する。以上の構成によれば、楽曲の再生点を変化させるために利用者が回転させる回転操作子に画像が表示されるから、回転操作子の操作に応じて画像も回転する。したがって、視覚的な演出の効果が高い、という効果が顕著である。
【0054】
<態様3>
態様2の一例(態様3)に係るAV機器において、前記回転操作子のうち前記利用者が接触する操作面に前記画像が表示される。以上の構成によれば、操作面に画像が表示されるから、画像の表示に利用できる面積を確保しやすいという利点がある。
【0055】
<態様4>
態様3の一例(態様4)に係るAV機器において、前記回転操作子の操作面に光を照射する光照射部を具備し、前記回転操作子は、前記操作面が畜光材料で形成され、前記光照射部による照射により前記画像を表示する。以上の構成では、回転操作子の操作面を照射することで画像が表示されるから、簡便な構成により回転操作子に画像を表示することができる。
【0056】
<態様5>
態様4の一例(態様5)に係るAV機器において、前記光照射部は、前記回転操作子の半径方向に沿って配列される複数の発光素子を具備する。以上の構成では、半径方向に沿って配列される複数の発光素子が回転操作子を照射するから、例えば操作面の広範囲にわたり発光素子が配列される構成と比較して、利用者による操作を阻害することなく、回転操作子の操作面の全体にわたり画像を表示することができる。
【0057】
<態様6>
態様2から態様5の何れかの一例(態様6)に係るAV機器において、回転操作子は、前記楽曲の再生に並行して回転する。以上の構成では、楽曲の再生に並行して画像が連続的に回転するから、利用者からの操作が発生した場合にのみ回転操作子が回転する構成と比較して、視覚的な演出の効果が高い。
【0058】
<態様7>
態様1から態様6の何れかの一例(態様7)に係るAV機器において、前記画像は、前記再生点に対応する画像である。以上の構成では、楽曲の再生点の移動に応じて表示される画像が変化するから、利用者が楽曲の再生点を視覚的に把握しやすい。すなわち、利用者がDJプレイをしやすいという利点がある。
【0059】
<態様8>
態様7の一例(態様8)に係るAV機器において、前記画像は、前記楽曲を表す音信号Qの波形のうち前記再生点に対応する部分を含む。以上の構成では、楽曲を表す音信号Qの波形のうち再生点に対応する部分を含む楽曲画像が表示されるから、利用者が楽曲の再生点を視覚的に把握しやすいという効果が顕著である。
【0060】
<態様9>
態様7の一例(態様9)に係るAV機器において、前記画像は、前記楽曲の歌詞のうち前記再生点に対応する部分を含む。以上の構成では、楽曲の歌詞のうち再生点に対応する部分を含む楽曲画像が表示されるから、利用者が楽曲の再生点を視覚的に把握しやすいという効果が顕著である。
【0061】
<態様10>
態様8または態様9の一例(態様10)に係るAV機器において、前記画像は、前記再生点の手前の時点に対応する部分を含む。以上の構成では、楽曲の再生点に先立って、当該再生点の手前の時点に対応する部分を含む画像が表示されるから、例えばDJプレイがしやすくなるという利点がある。
【符号の説明】
【0062】
1…再生システム、11…回転操作子、12…光照射部、121…支持部、123…発光素子、13…回転駆動回路、14…検出回路、15…表示駆動回路、16…通信装置、17…入力装置、19…筐体部、20…端末装置、21…制御装置、212…信号処理部、214…画像処理部、23…記憶装置、25…通信装置、27…入力装置、30…放音装置。
図1
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図5
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図7