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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-11
(45)【発行日】2023-12-19
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/00 20060101AFI20231212BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20231212BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20231212BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20231212BHJP
   B65H 31/00 20060101ALI20231212BHJP
   B65H 31/10 20060101ALI20231212BHJP
   B65H 31/20 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B41J29/00 H
B41J29/38 206
B41J29/46 Z
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B65H31/00 B
B65H31/10
B65H31/20
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019112559
(22)【出願日】2019-06-18
(65)【公開番号】P2020203437
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】武石 徹司
【審査官】小林 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-132237(JP,A)
【文献】特開平02-229049(JP,A)
【文献】特開平07-061090(JP,A)
【文献】特開2009-196769(JP,A)
【文献】特開2006-248635(JP,A)
【文献】特開2018-144364(JP,A)
【文献】特開2002-087688(JP,A)
【文献】特開2013-208744(JP,A)
【文献】特開平11-028848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41J 29/00-29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に記録を行う記録部および前記記録部により記録の行われた媒体を排出する排出部
を含む装置本体と、
前記装置本体に取り付けられ、前記排出部から排出される媒体を受け入れて媒体に後処
理を行う後処理ユニットと、
前記装置本体の側部に対して鉛直方向に延設されたリニアガイドと、を備え、
前記後処理ユニットは、前記排出部から排出される媒体を受け入れる受け入れ位置と、
前記受け入れ位置から移動して前記排出部から排出される媒体を前記後処理ユニット内に
受け入れずに前記後処理ユニットの外に排出させる排出位置と、の間で移動可能に設けら
れ、
前記リニアガイドは、前記後処理ユニットを、前記受け入れ位置と前記排出位置との間
で移動可能にし、
前記後処理ユニットの前記排出位置は、前記受け入れ位置に対して上方にあり、
前記後処理ユニットは、前記受け入れ位置にある状態から、前記排出部による媒体の排
出方向に移動した後に、上方に変位して前記排出位置に移動する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
媒体に記録を行う記録部および前記記録部により記録の行われた媒体を排出する排出部
を含む装置本体と、
前記装置本体に取り付けられ、前記排出部から排出される媒体を受け入れて媒体に後処
理を行う後処理ユニットと、
前記装置本体の側部に対して鉛直方向に延設されたリニアガイドと、を備え、
前記後処理ユニットは、前記排出部から排出される媒体を受け入れる受け入れ位置と、
前記受け入れ位置から移動して前記排出部から排出される媒体を前記後処理ユニット内に
受け入れずに前記後処理ユニットの外に排出させる排出位置と、の間で移動可能に設けら
れ、
前記リニアガイドは、前記後処理ユニットを、前記受け入れ位置と前記排出位置との間
で移動可能にし、
前記後処理ユニットの前記排出位置は、前記受け入れ位置に対して下方にあり、
前記後処理ユニットは、前記受け入れ位置にある状態から、前記排出部からの媒体の排
出方向に移動した後に、下方に変位して前記排出位置に移動する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記録装置において、前記後処理ユニットが前記排出位置にある状態で
、前記後処理ユニットの上面が、前記排出部から排出される媒体を受ける媒体受け面とな
る、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項3に記載の記録装置において、前記後処理ユニットの前記排出位置は、前記後処
理ユニットの上面に積載された媒体の積載量に応じて下方に変化する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の記録装置において、前記後処理ユニッ
トの移動を制御する制御部を備え、
前記制御部は、媒体のサイズに応じて前記後処理ユニットの移動を制御する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項5に記載の記録装置において、前記制御部は、媒体のサイズが前記後処理ユニッ
トに受け入れ不適なサイズの場合であって前記後処理ユニットが前記受け入れ位置にある
場合、前記後処理ユニットを前記受け入れ位置から前記排出位置に移動させる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項7】
請求項6に記載の記録装置において、前記制御部は、前記受け入れ位置を前記後処理ユ
ニットのホーム位置とする、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項8】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の記録装置において、前記後処理ユニット
の移動を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記記録部による媒体への記録内容に応じて前記後処理ユニットの移動
を制御する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項9】
請求項8に記載の記録装置において、前記記録部は、媒体に対し液体を吐出することで
記録を行う液体吐出ヘッドで構成され、
前記制御部は、前記液体吐出ヘッドが媒体に吐出する単位面積あたりの液体の量を示す
デューティー値が予め定められた値を超える場合、前記後処理ユニットを前記排出位置に
位置させて媒体を前記後処理ユニットの外に排出させる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項10】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の記録装置において、前記後処理ユニット
の移動を制御する制御部と、
前記後処理ユニットの位置を検出する位置検出手段と、を備え、
前記制御部は、前記位置検出手段の検出情報に基づき前記後処理ユニットが前記受け入
れ位置と前記排出位置との間にあると判断する場合、その旨を報知する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項11】
請求項1から請求4のいずれか一項に記載の記録装置において、前記後処理ユニット
の移動を制御する制御部と、
前記後処理ユニットの位置を検出する位置検出手段と、を備え、
前記制御部は、前記位置検出手段の検出情報に基づき前記後処理ユニットが前記受け入
れ位置と前記排出位置との間にあると判断する場合、前記後処理ユニットを前記受け入れ
位置または前記排出位置に移動させる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項12】
媒体に記録を行う記録部および前記記録部により記録の行われた媒体を排出する排出部
を含む装置本体と、
前記装置本体に取り付けられ、前記排出部から排出される媒体を受け入れて媒体に後処
理を行う後処理ユニットと、
前記後処理ユニットの移動を制御する制御部と、を備え、
前記後処理ユニットは、前記排出部から排出される媒体を受け入れる受け入れ位置と、
前記受け入れ位置から移動して前記排出部から排出される媒体を前記後処理ユニット内
に受け入れずに前記後処理ユニットの外に排出させる排出位置と、の間で移動可能に設け
られ、
前記制御部は、前記記録部による媒体への記録内容に応じて前記後処理ユニットの移動
を制御する、
ことを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録の行われた媒体に後処理を行う後処理ユニットを備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体に対しステープル処理やパンチング処理等の後処理を行う後処理部を備えた記録装置は従来から知られている。例えば特許文献1の画像形成装置は、装置本体と、第1処理ユニットと、第2処理ユニットとを備えている。装置本体は、用紙に画像形成処理を行う。第1処理ユニット及び第2処理ユニットは、装置本体の同一の側面側に互いに上下方向に重ねて配置される。第2処理ユニットは、第1処理ユニットの上に配置され、装置本体に対する離接方向にスライド移動自在に構成される。第1処理ユニットは、必要に応じて用紙を1枚ずつ供給するユニットであり、第2処理ユニットは、用紙に後処理を行うユニットである。
【0003】
特許文献1記載の画像形成装置では、第2処理ユニットが装置本体に対する離接方向にスライド移動可能であるので、第2処理ユニットと装置本体との接続部を開放することができ、この接続部に対する作業性が向上する。このため、第2処理ユニットと装置本体との間で搬送不良が起こった場合でも用紙の取り除き等のメンテナンスを容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-6365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の構成では、第2処理ユニットが装置本体に対する離接方向にスライド移動可能であるが、第2処理ユニットは装置本体が動作状態にあるとき近接位置に配置されるため、記録の行われた用紙は必ず第2処理ユニットに送り込まれる。その為、装置本体で記録が可能なサイズの用紙であっても第2処理ユニットの制約によって記録ができない場合が発生し、ユーザビリティの点で改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為の、本発明に係る記録装置は、媒体に記録を行う記録部および前記記録部により記録の行われた媒体を排出する排出部を含む装置本体と、前記装置本体に取り付けられ、前記排出部から排出される媒体を受け入れて媒体に後処理を行う後処理ユニットと、を備え、前記後処理ユニットは、前記排出部から排出される媒体を受け入れる受け入れ位置と、前記受け入れ位置から移動して前記排出部から排出される媒体を前記後処理ユニットの外に排出させる排出位置と、の間で移動可能に設けられることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る記録装置の構成を概略的に示す図。
図2】第1実施形態に係る記録装置の構成を概略的に示す図。
図3】第1実施形態に係る後処理ユニットを駆動する駆動機構を示す図。
図4】第2実施形態に係る後処理ユニットを駆動する駆動機構を示す図。
図5】第3実施形態に係る記録装置の構成を概略的に示す図。
図6】第3実施形態に係る記録装置の構成を概略的に示す図。
図7】第3実施形態に係る記録装置の構成を概略的に示す図。
図8】第4実施形態に係る後処理ユニットを示す図。
図9】第4実施形態に係る後処理ユニットを示す図。
図10】記録装置の制御系統を示すブロック図。
図11】後処理ユニットの移動制御を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明について概略的に説明する。
第1の態様に係る記録装置は、媒体に記録を行う記録部および前記記録部により記録の行われた媒体を排出する排出部を含む装置本体と、前記装置本体に取り付けられ、前記排出部から排出される媒体を受け入れて媒体に後処理を行う後処理ユニットと、を備え、前記後処理ユニットは、前記排出部から排出される媒体を受け入れる受け入れ位置と、前記受け入れ位置から移動して前記排出部から排出される媒体を前記後処理ユニット内に受け入れずに前記後処理ユニットの外に排出させる排出位置と、の間で移動可能に設けられることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、前記後処理ユニットは、前記排出部から排出される媒体を受け入れる受け入れ位置と、前記受け入れ位置から移動して前記排出部から排出される媒体を前記後処理ユニット内に受け入れずに前記後処理ユニットの外に排出させる排出位置と、の間で移動可能に設けられるので、前記後処理ユニットを前記排出位置に移動させることで前記後処理ユニットによる媒体のサイズの制約を受けることがなく、扱いが可能な媒体のサイズが増え、ユーザビリティが向上する。
【0010】
第2の態様は、第1の態様において、前記後処理ユニットの前記排出位置は、前記受け入れ位置に対して上方にあることを特徴とする。
本態様によれば、前記後処理ユニットの前記排出位置が、前記受け入れ位置に対して上方にある構成において、上述した第1の態様の作用効果が得られる。
【0011】
第3の態様は、第2の態様において、前記後処理ユニットは、前記受け入れ位置にある状態から、前記排出部による媒体の排出方向に移動した後に、上方に変位して前記排出位置に移動することを特徴とする。
前記装置本体と前記後処理ユニットとの間で媒体が詰まっている状態で前記後処理ユニットがそのまま上方に変位すると、詰まっている媒体をせん断してしまう虞がある。しかしながら本態様によれば、前記後処理ユニットは、前記受け入れ位置にある状態から、前記排出部による媒体の排出方向に移動した後に、上方に変位して前記排出位置に移動するので、前記後処理ユニットが前記排出方向に移動した際に前記装置本体と前記後処理ユニットとの間での媒体の詰まりを視認することができ、ひいては前記後処理ユニットを前記排出位置に移動させる前にジャム処理を行うことができる。
【0012】
第4の態様は、第1の態様において、前記後処理ユニットの前記排出位置は、前記受け入れ位置に対して下方にあることを特徴とする。
本態様によれば、前記後処理ユニットの前記排出位置が、前記受け入れ位置に対して下方にある構成において、上述した第1の態様の作用効果が得られる。
【0013】
第5の態様は、第4の態様において、前記後処理ユニットは、前記受け入れ位置にある状態から、前記排出部からの媒体の排出方向に移動した後に、下方に変位して前記排出位置に移動することを特徴とする。
前記装置本体と前記後処理ユニットとの間で媒体が詰まっている状態で前記後処理ユニットがそのまま下方に変位すると、詰まっている媒体をせん断してしまう虞がある。しかしながら本態様によれば、前記後処理ユニットは、前記受け入れ位置にある状態から、前記排出部による媒体の排出方向に移動した後に、下方に変位して前記排出位置に移動するので、前記後処理ユニットが前記排出方向に移動した際に前記装置本体と前記後処理ユニットとの間での媒体の詰まりを視認することができ、ひいては前記後処理ユニットを前記排出位置に移動させる前にジャム処理を行うことができる。
【0014】
第6の態様は、第4のまたは第5の態様において、前記後処理ユニットが前記排出位置にある状態で、前記後処理ユニットの上面が、前記排出部から排出される媒体を受ける媒体受け面となることを特徴とする。
本態様によれば、前記後処理ユニットが前記排出位置にある状態で、前記後処理ユニットの上面が、前記排出部から排出される媒体を受ける媒体受け面となるので、前記後処理ユニットが前記排出位置にある状態で前記排出部から排出される媒体を受ける媒体受け部を別途専用の構成として設ける必要がなく、装置の低コスト化を図ることができる。
【0015】
第7の態様は、第6の態様において、前記後処理ユニットの前記排出位置は、前記後処理ユニットの上面に積載された媒体の積載量に応じて下方に変化することを特徴とする。
本態様によれば、前記後処理ユニットの前記排出位置は、前記後処理ユニットの上面に積載された媒体の積載量に応じて下方に変化するので、前記後処理ユニットの上面への媒体の積載量を確保することができる。
【0016】
第8の態様は、第1の態様において、前記後処理ユニットの前記排出位置は、前記受け入れ位置に対して前記排出部からの媒体の排出方向に位置することを特徴とする。
本態様によれば、前記後処理ユニットの前記排出位置は、前記受け入れ位置に対して前記排出部からの媒体の排出方向に位置するので、前記排出部から排出される媒体の先端を前記後処理ユニットによって整合させることができる。
【0017】
第9の態様は、第8の態様において、前記後処理ユニットの前記排出位置は、前記排出部から排出される媒体の前記排出方向の長さに応じて変化することを特徴とする。
本態様によれば、前記後処理ユニットの前記排出位置は、前記排出部から排出される媒体の前記排出方向の長さに応じて変化するので、媒体の先端を前記後処理ユニットによって適切に整合させることができる。
【0018】
第10の態様は、第1から第9の態様のいずれかにおいて、前記後処理ユニットの移動を制御する制御部を備え、前記制御部は、媒体のサイズに応じて前記後処理ユニットの移動を制御することを特徴とする。
本態様によれば、前記後処理ユニットの移動を制御する制御部を備え、前記制御部は、媒体のサイズに応じて前記後処理ユニットの移動を制御するので、ユーザビリティがより一層向上する。
【0019】
第11の態様は、第10の態様において、前記制御部は、媒体のサイズが前記後処理ユニットに受け入れ不適なサイズの場合であって前記後処理ユニットが前記受け入れ位置にある場合、前記後処理ユニットを前記受け入れ位置から前記排出位置に移動させることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、前記制御部は、媒体のサイズが前記後処理ユニットに受け入れ不適なサイズの場合であって前記後処理ユニットが前記受け入れ位置にある場合、前記後処理ユニットを前記受け入れ位置から前記排出位置に移動させるので、前記後処理ユニットにおいて媒体の詰まり等の異常が発生することを回避できる。
【0021】
第12の態様は、第10の態様において、前記制御部は、前記受け入れ位置を前記後処理ユニットのホーム位置とすることを特徴とする。
本態様によれば、前記制御部は、前記受け入れ位置を前記後処理ユニットのホーム位置とするので、前記後処理ユニットは通常前記受け入れ位置に位置することとなり、前記後処理ユニットに媒体を受け入れる際に前記後処理ユニットの移動に要する時間を省略でき、スループットの向上を図ることができる。また、前記後処理ユニットによる後処理の必要がない場合においても前記後処理ユニットに媒体を排出することで、前記後処理ユニットの移動に要する時間を省略できる。
【0022】
第13の態様は、第1から第9の態様のいずれかにおいて、前記後処理ユニットの移動を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記記録部による媒体への記録内容に応じて前記後処理ユニットの移動を制御することを特徴とする。
本態様によれば、前記後処理ユニットの移動を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記記録部による媒体への記録内容に応じて前記後処理ユニットの移動を制御するので、例えば前記後処理ユニットによる後処理が不適な場合は前記後処理ユニットによる後処理を行わない様にすることで適切な結果が得られる。
【0023】
第14の態様は、第13の態様において、前記記録部は、媒体に対し液体を吐出することで記録を行う液体吐出ヘッドで構成され、前記制御部は、前記液体吐出ヘッドが媒体に吐出する単位面積あたりの液体の量を示すデューティー値が予め定められた値を超える場合、前記後処理ユニットを前記排出位置に位置させて媒体を前記後処理ユニットの外に排出させることを特徴とする。
【0024】
前記デューティー値が高くなるほど媒体は変形し易くなり、前記後処理ユニットによって後処理を適切に行えない可能性が高くなる。本態様では、前記制御部は、前記デューティー値が予め定められた値を超える場合、前記後処理ユニットを前記排出位置に位置させて媒体を前記後処理ユニットの外に排出させるので、上述の問題を回避できる。
【0025】
第15の態様は、第1から第9の態様のいずれかにおいて、前記後処理ユニットの移動を制御する制御部と、前記後処理ユニットの位置を検出する位置検出手段と、を備え、前記制御部は、前記位置検出手段の検出情報に基づき前記後処理ユニットが前記受け入れ位置と前記排出位置との間にあると判断する場合、その旨を報知することを特徴とする。
【0026】
本態様によれば、前記制御部は、前記位置検出手段の検出情報に基づき前記後処理ユニットが前記受け入れ位置と前記排出位置との間にあると判断する場合、その旨を報知するので、前記後処理ユニットが不適切な位置にある状態で媒体が排出されることに伴うジャム等の異常を抑制できる。
【0027】
第16の態様は、第1から第9の態様のいずれかにおいて、前記後処理ユニットの移動を制御する制御部と、前記後処理ユニットの位置を検出する位置検出手段と、を備え、前記制御部は、前記位置検出手段の検出情報に基づき前記後処理ユニットが前記受け入れ位置と前記排出位置との間にあると判断する場合、前記後処理ユニットを前記受け入れ位置または前記排出位置に移動させることを特徴とする。
【0028】
本態様によれば、前記制御部は、前記位置検出手段の検出情報に基づき前記後処理ユニットが前記受け入れ位置と前記排出位置との間にあると判断する場合、前記後処理ユニットを前記受け入れ位置または前記排出位置に移動させるので、前記後処理ユニットが不適切な位置にある状態で媒体が排出されることに伴うジャム等の異常を抑制できる。
【0029】
以下、本発明を具体的に説明する。
各図において示すX-Y-Z座標系は直交座標系であり、X軸方向は媒体の幅方向であり、また装置奥行き方向でもある。Y軸方向は装置幅方向であり、Z軸方向は鉛直方向つまり装置高さ方向を示している。
尚、各図において同一の構成には同一の符号を付しており、以下では重複する説明は避けるものとする。また、図1図2図5図7では主として装置の外郭を構成する筐体は二点鎖線で示し、媒体が通る経路は破線で示している。
【0030】
[第1実施形態]
図1図3を参照して第1実施形態を説明する。
図1及び図2において記録装置1Aは、媒体に記録を行う記録装置の一例である。記録装置1Aは、装置本体3に、媒体に記録を行う記録部としてのラインヘッド9を備えている。ラインヘッド9は媒体に液体、より具体的にはインクを吐出することにより記録を行う液体吐出ヘッドの一例である。ラインヘッド9はX軸方向に延設され、移動することなく媒体にインクを吐出する。
媒体には一例として記録用紙があり、以下では媒体を媒体Pと称する。
【0031】
記録装置1Aは、原稿を読み取るスキャナー部6を装置本体3の上部に備え、所謂複合機として構成されている。また記録装置1Aは、装置本体3の+Y方向の側部に、記録後の媒体Pを記録装置1Aから受け入れて後処理を行う後処理ユニット4Aを備えている。
記録装置1Aは、装置本体3の下部に複数の媒体収容カセット7を備えており、媒体収容カセット7に収容された媒体Pが、給送経路11を通ってラインヘッド9と対向する位置に送られ、記録が行われる。給送経路11は、媒体収容カセット7から分岐点K1までの経路である。
【0032】
ラインヘッド9により記録が行われた媒体Pは、フェイスダウン排出経路12を経由してフェイスダウン排出トレイ8に排出されるか、或いはフェイスアップ排出経路15を経由して排出部16から+Y方向に排出される。フェイスダウン排出経路12は、分岐点K3から上方の経路であり、フェイスアップ排出経路15は、分岐点K3から+Y方向の経路である。フェイスアップ排出経路15を経由して排出部16から+Y方向に排出された媒体Pは、フェイスアップ排出トレイ17に排出されるか、或いは後処理ユニット4Aに受け入れられる。図1及び図2において符号K1、K2、K3、K4は媒体Pの行き先が分岐する分岐点を示している。また図1及び図2において各経路に付された矢印は媒体Pの進行方向を示している。
【0033】
記録装置1Aは、スイッチバック経路13及び反転経路14を備え、媒体Pの第1面への記録後に、媒体Pを反転して第2面への記録を行う両面記録が可能に構成されている。スイッチバック経路13は、分岐点K4から下流の経路であり、反転経路14は、分岐点K4から分岐点K1までの経路である。媒体Pの第1面への記録後に、媒体Pの第2面に記録を行う場合、媒体Pは分岐点K2から上方に送られ、分岐点K4を経由してスイッチバック経路13に送られる。
【0034】
スイッチバック経路13に送り込まれた媒体Pは、逆方向に送られて分岐点K4を経由して反転経路14に送り込まれる。反転経路14に送り込まれた媒体Pは、分岐点K1を経由してラインヘッド9と対向する位置に送られ、既に記録が行われた第1面に対し反対の第2面への記録が行われる。
そして記録の行われた媒体Pは、分岐点K3から、フェイスダウン排出経路12及びフェイスアップ排出経路15のいずれかに送り込まれる。
尚、分岐点K2、K4、K3には不図示の経路切り換えフラップが設けられており、必要に応じて姿勢変化して媒体Pを目的の方向に導く。また、各経路には、図示を省略する搬送ローラー対が適宜設けられている。
【0035】
次に後処理ユニット4Aは、処理トレイ20及び積載トレイ22を備え、処理トレイ20に排出された媒体Pに、後処理部21によって後処理を行い、積載トレイ22に排出する構成である。後処理部21により行う後処理の一例としては、ステープル処理や、パンチング処理が挙げられる。後処理ユニット4Aは、装置本体3の排出部16から排出された媒体Pを受け入れ部23から受け入れ、処理トレイ20に積載して後処理を行い、後処理を行った媒体Pを排出部24から積載トレイ22に排出する。
【0036】
この後処理ユニット4Aは、装置本体3に設けられた排出部16から排出される媒体Pを受け入れる受け入れ位置(図1参照)と、この受け入れ位置から移動して排出部16から排出される媒体Pを後処理ユニット4A内に受け入れずに後処理ユニット4Aの外に排出させる排出位置(図2参照)と、の間で移動可能に設けられる。本実施形態において排出位置は受け入れ位置に対して上方にある。
後処理ユニット4Aが図1に示す受け入れ位置にある場合、装置本体3の排出部16と後処理ユニット4Aの受け入れ部23はほぼ同じ高さ位置にあり、排出部16から排出される媒体Pは受け入れ部23から後処理ユニット4A内部に受け入れられる。
後処理ユニット4Aが図2に示す排出位置にある場合、後処理ユニット4Aが装置本体3の排出部16より上に位置し、排出部16から排出される媒体Pは後処理ユニット4Aの外部、より具体的にはフェイスアップ排出トレイ17に排出される。従って後処理ユニット4Aを図2に示す排出位置に移動させることで後処理ユニット4Aによる媒体Pのサイズの制約を受けることがなく、扱いが可能な媒体Pのサイズが増え、ユーザビリティが向上する。
尚本実施形態において、フェイスアップ排出トレイ17に排出可能な媒体PのY軸方向長さは、後処理ユニット4Aが受け入れ可能な媒体PのY軸方向長さより長い。
【0037】
後処理ユニット4Aを装置本体3に対して移動可能とする構成は、図3に示す様に構築することができる。図3において符号31は装置本体3の+Y方向の側部においてZ軸方向に延設されたリニアガイドであり、後処理ユニット4Aはこのリニアガイド31によって装置本体3に対してZ軸方向に移動可能に設けられる。
図3において符号30は、後処理ユニット4AをZ軸方向に沿って駆動する駆動機構である。駆動機構30は、後処理ユニット4Aに設けられたピニオン30aと、装置本体3に設けられたラック30bとを備えた所謂ラックピニオン機構であり、ピニオン30aが図3において不図示のモーターの動力を受けて回転することで、後処理ユニット4Aが+Z方向或いは-Z方向に移動する。
【0038】
尚本実施形態において装置本体3に設けられたフェイスアップ排出トレイ17は、後処理ユニット4Aが図1に示す受け入れ位置にあるとき、水平姿勢をとり、即ち後処理ユニット4Aと干渉しない姿勢をとる。また後処理ユニット4Aが図2に示す排出位置にあるとき、フェイスアップ排出トレイ17は+Y方向に向かって上向きの傾斜姿勢をとり、+Y方向に排出される媒体Pの飛び出しを抑制する。
本実施形態において後処理ユニット4Aが図1に示す受け入れ位置にあるとき、フェイスアップ排出トレイ17と後処理ユニット4Aとは接触しないが、例えばフェイスアップ排出トレイ17によって後処理ユニット4Aを支持する様に構成しても良い。
【0039】
[第2実施形態]
図4を参照して第2実施形態について説明する。図4に示す後処理ユニット4Bが上述した後処理ユニット4Aと異なる点は、受け入れ位置にある状態から、排出部16による媒体Pの排出方向つまり+Y方向に移動した後に、上方つまり+Z方向に変位して排出位置に移動する点である。図4において破線で示す矢印R1は、後処理ユニット4Bが受け入れ位置から排出位置に移動する際の移動軌跡を示している。
例えば装置本体3と後処理ユニット4Bとの間で媒体Pが詰まっている状態で後処理ユニット4Bがそのまま上方に変位すると、詰まっている媒体Pをせん断してしまう虞がある。しかしながら本実施形態によれば後処理ユニット4Bは、移動軌跡R1で示す様に、受け入れ位置にある状態から、排出部16による媒体Pの排出方向つまり+Y方向に移動した後に、上方つまり+Z方向に変位して排出位置に移動するので、後処理ユニット4Bが+Y方向に移動した際に装置本体3と後処理ユニット4Bとの間での媒体Pの詰まりを視認することができ、後処理ユニット4Bを排出位置に移動させる前にジャム処理を行うことができる。
【0040】
尚、本実施形態において後処理ユニット4Bは、ベース部33に設けられており、このベース部33が、図3に示した実施形態と同様にリニアガイド31及び駆動機構30によってZ軸方向に移動できる様に設けられている。そして更に後処理ユニット4Bは、リニアガイド35によってベース部33に対してY軸方向に移動可能に設けられるとともに、駆動機構34によってY軸方向へ移動する為の駆動力が付与される。駆動機構34は、後処理ユニット4Bに設けられるとともに図4において不図示のモーターにより回転駆動されるピニオン34aと、ベース部33に設けられたラック34bとを備えた所謂ラックピニオン機構であり、ピニオン34aが回転することで、後処理ユニット4Bがベース部33に対して+Y方向或いは-Y方向に移動する。
【0041】
[第3実施形態]
図5図7を参照して第3実施形態について説明する。図5図7に示す記録装置1Bが上述した記録装置1Aと異なる点は、後処理ユニット4Cの排出位置が、受け入れ位置に対して下方にある点である。図5は後処理ユニット4Cの受け入れ位置を示し、図6及び図7は後処理ユニット4Cの排出位置を示している。この様に後処理ユニット4CをZ軸方向に移動させる機構は、図3と同様な機構を採用できる。
また本実施形態では、後処理ユニット4Cが図6に示す排出位置にある状態で、後処理ユニット4Cの上面26が、排出部16から排出された媒体Pを受ける媒体受け面となる。このことにより、図1及び図2に示したフェイスアップ排出トレイ17が不要となり、装置の低コスト化を図ることができる。
尚、この第3実施形態の変形例として、図4を参照しつつ説明した様に後処理ユニット4Cが排出位置に移動する前に+Y方向に移動し、その後、下方の排出位置に移動するようにしても良い。その際の後処理ユニット4Cの移動軌跡は、図4において符号R2で示す様になる。またこの様に後処理ユニット4Cを移動させる機構は、図4と同様な機構を採用できる。
【0042】
また、図6に示す後処理ユニット4Cの排出位置は、後処理ユニット4Cの上面26に積載された媒体Pの積載量に応じて下方に変化する様にしても良い。このことにより、後処理ユニット4Cの上面26への媒体Pの積載量を確保することができる。
さらに、上面26を+Y方向に向かって上向きの傾斜姿勢をとるようにして、+Y方向に排出される媒体Pの飛び出しを抑制する構成としても良い。
【0043】
尚、記録装置1Bは、図7に示す様に搬送ユニット5を備えるとともに搬送ユニット5を+Y方向にスライドさせて装置本体3の外に引き出せる様に構成されている。搬送ユニット5は、上述した分岐点K2、K3、K4及びこれらの付近の媒体搬送経路を含んでおり、搬送ユニット5を矢印Bで示す様に装置本体3から引き出すことで、詰まった媒体Pを容易に除去できる様に構成されている。また、装置本体3には不図示の開閉カバーが設けられており、この開閉カバーを開くことで開口部10が露呈し、この開口部10を介して装置本体3の内部に容易にアクセスできる様に構成されている。これにより、搬送ユニット5を引き出しても詰まった媒体Pが装置本体3の内部に残存している場合に、この媒体Pを容易に除去することができる。
尚、本実施形態では後処理ユニット4Cが排出位置に移動することで搬送ユニット5が装置本体3から引き出せる状態となるが、図1及び図2に示した記録装置1Aにおいても、図2の排出位置を更に上方に設定することで、同様な構成とすることができる。
【0044】
[第4実施形態]
図8及び図9を参照して第4実施形態について説明する。図8及び図9に示す後処理ユニット4Dは、排出位置が、受け入れ位置に対して排出部16からの媒体Pの排出方向、つまり+Y方向に位置する点で上述した各実施形態と異なる。図8は後処理ユニット4Dが受け入れ位置にある状態を示し、図9は後処理ユニット4Dが排出位置にある状態を示している。
図8及び図9において符号17Bは装置本体3の+Y方向の側面に設けられるフェイスアップ排出トレイであり、図9に示す様に後処理ユニット4Dが排出位置にある状態で、排出部16から排出される媒体Pはフェイスアップ排出トレイ17Bに積載される。
符号34は後処理ユニット4DをY軸方向に沿って駆動する駆動機構であり、図4を参照しつつ既に説明した構成である。
【0045】
後処理ユニット4Dが図9に示す排出位置にある場合、排出部16から排出される媒体Pの先端E1が、後処理ユニット4Dの-Y方向の側面、つまり背面27に当接する。これにより、排出部16から排出される媒体Pの先端E1を、後処理ユニット4Dの背面27によって整合することができる。
【0046】
この構成において、図9に示す後処理ユニット4Dの排出位置は、排出部16から排出される媒体Pの排出方向の長さに応じて変化させることが好適である。これにより、媒体Pの先端E1を後処理ユニット4Dによって適切に整合させることができる。
【0047】
[後処理ユニットの移動制御]
以下、図1及び図2を参照して説明した第1実施形態に係る記録装置1Aの構成をもとに、後処理ユニット4Aの移動制御について図10及び図11を参照して説明する。
図10において符号50は装置本体3に設けられた制御部であり、ユーザーが操作を行う操作部52からの入力情報に基づき印刷データを生成し、装置本体3の各構成部位及び後処理ユニット4Aを制御する。制御部50は記憶部51を有しており、この記憶部51に、装置本体3及び後処理ユニット4Aの制御に必要な各種プログラムや各種パラメータ等が格納されている。
【0048】
制御部50には、装置本体3及び後処理ユニット4Aに設けられた各種センサー類の情報が入力される。図10には、その一例として媒体検出センサー54、受け入れ位置センサー55、及び排出位置センサー56が示されている。媒体検出センサー54は、例えばラインヘッド9のやや上流に設けられ、媒体Pの先端及び後端の通過を検出し、制御部50は媒体検出センサー54の検出情報をもとに、実際に搬送されている媒体Pの搬送方向の長さを把握することができる。
受け入れ位置センサー55は、後処理ユニット4Aが受け入れ位置(図1参照)にあるときにONとなり、それ以外の位置にあるときにOFFとなる。また排出位置センサー56は、後処理ユニット4Aが排出位置(図2参照)にあるときにONとなり、それ以外の位置にあるときにOFFとなる。受け入れ位置センサー55及び排出位置センサー56は、後処理ユニット4Aの位置を検出する位置検出手段を構成する。
【0049】
従って制御部50は、受け入れ位置センサー55及び排出位置センサー56のいずれもがOFFであれば、後処理ユニット4Aが受け入れ位置と排出位置との間にあると判断できる。尚、以下では便宜上、受け入れ位置と排出位置との間の後処理ユニット4Aの位置を「不完全位置」と称する。
後処理ユニット駆動モーター57は、図3を参照して説明したピニオン30aの駆動源であり、制御部50は後処理ユニット駆動モーター57を駆動することで、後処理ユニット4Aを移動させることができる。
【0050】
制御部50は、受け入れ位置センサー55及び排出位置センサー56の検出信号をもとに、後処理ユニット4Aが不完全位置にあると判断する場合、その旨を報知することができる。この報知は、例えば表示部53を用いた警告メッセージの表示とすることができ、その警告メッセージには、例えば後処理ユニット4Aが不完全位置にある旨と、後処理ユニット4Aの受け入れ位置及び排出位置のいずれかへの移動を促す旨を含めることができる。これによりユーザーによる後処理ユニット4Aの受け入れ位置或いは排出位置への移動作業が期待でき、後処理ユニット4Aが不完全位置にある状態で媒体Pが排出されることに伴うジャム等の異常を抑制できる。
また或いは、制御部50は上記の報知に代えて、或いは上記の報知に加えて、後処理ユニット4Aが不完全位置にあると判断する場合には後処理ユニット駆動モーター57を駆動して後処理ユニット4Aを受け入れ位置または排出位置に移動させることもできる。この様にすることで、ユーザビリティが一層向上する。
【0051】
尚その際、受け入れ位置及び排出位置のいずれかが後処理ユニット4Aのホーム位置に設定されていれば、後処理ユニット4Aをホーム位置に設定されている側に移動させることが好適である。また、印刷ジョブの開始タイミング或いはその後に後処理ユニット4Aが不完全位置にあると判断した場合には、印刷ジョブに適した側に後処理ユニット4Aを移動させることが好適である。具体的には、例えば後処理ユニット4Aに受け入れ不適なサイズの媒体Pが搬送される場合は後処理ユニット4Aを排出位置に移動させ、それ以外の場合には後処理ユニット4Aを受け入れ位置に移動させる。また媒体Pのサイズ以外の要因で媒体Pを後処理ユニット4Aに送ることが不適切であれば、後処理ユニット4Aを排出位置に移動させ、それ以外の場合には後処理ユニット4Aを受け入れ位置に移動させる。
【0052】
続いて印刷ジョブに応じた後処理ユニット4Aの移動について更に説明する。
先ず制御部50は、媒体Pのサイズに応じて後処理ユニット4Aの移動を制御することができる。これにより、ユーザビリティがより一層向上する。
具体的には、例えば制御部50は媒体Pのサイズが後処理ユニット4Aに受け入れ不適なサイズの場合であって後処理ユニット4Aが受け入れ位置にある場合、後処理ユニット4Aを受け入れ位置から排出位置に移動させる。これにより、後処理ユニット4Aにおいて媒体Pの詰まり等の異常が発生することを回避できる。
また制御部50は、受け入れ位置を後処理ユニット4Aのホーム位置とする。これにより後処理ユニット4Aは通常受け入れ位置に位置することとなり、後処理ユニット4Aに媒体Pを受け入れる際に後処理ユニット4Aの移動に要する時間を省略でき、スループットの向上を図ることができる。また、後処理ユニット4Aによる後処理の必要がない場合においても後処理ユニット4Aに媒体Pを排出することで、後処理ユニット4Aの移動に要する時間を省略できる。
【0053】
また制御部50は、ラインヘッド9による媒体Pへの記録内容に応じて後処理ユニット4Aの移動を制御する。これにより、例えば後処理ユニット4Aによる後処理が不適な場合は後処理ユニット4Aによる後処理を行わない様にすることで適切な結果が得られる。より具体的には、制御部50は、ラインヘッド9が媒体Pに吐出する単位面積あたりのインクの量を示すデューティー値が予め定められた閾値を超える場合、後処理ユニット4Aを排出位置に位置させて媒体Pを後処理ユニット4Aの外に排出させる。即ち、デューティー値が高くなるほど媒体Pは変形し易くなり、後処理ユニット4Aによって後処理を適切に行えない可能性が高くなるが、上記の様にデューティー値が予め定められた閾値を超える場合、後処理ユニット4Aを排出位置に位置させて媒体Pを後処理ユニット4Aの外に排出させることで、上述の問題を回避できる。
【0054】
以下、図11を参照して具体的に説明する。制御部50は、印刷ジョブが後処理実行指示を含む場合には(ステップS101においてYes)、ステップS102に進む。ステップS102では、媒体検出センサー54により取得した媒体Pのサイズが適合範囲内であるか否かを判断する。その結果媒体Pのサイズが後処理に適合する範囲内である場合には(ステップS102においてYes)、ステップS103に進む。ステップS103では、デューティー値が予め定められた閾値未満であるか否かを判断する。その結果デューティー値が予め定められた閾値未満であれば(ステップS103においてYes)、後処理ユニット4Aによる後処理を許可する(ステップS104)。
【0055】
一方、媒体検出センサー54により取得した媒体Pのサイズが適合範囲から外れる場合(ステップS102においてNo)、或いはデューティー値が予め定められた閾値以上である場合(ステップS103においてNo)、後処理に不適な印刷ジョブである旨のアラートを表示部53に表示し(ステップS105)、後処理ユニット4Aを排出位置に移動させる(ステップS106)。この様にすることで、後処理ユニット4A内での媒体Pのジャム等の異常発生を回避できる。
尚、上記においては第1実施形態に係る記録装置1Aの構成をもとに、後処理ユニット4Aの移動制御について説明したが、その他の実施形態においても同様な制御を採用可能である。
【0056】
また本発明は上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0057】
1A、1B…記録装置、3…装置本体、4A、4B、4C、4D…後処理ユニット、
5…搬送ユニット、6…スキャナー部、7…媒体収容カセット、8…フェイスダウン排出トレイ、9…ラインヘッド、10…開口部、11…給送経路、12…フェイスダウン排出経路、13…スイッチバック経路、14…反転経路、15…フェイスアップ排出経路、16…排出部、17、17B…フェイスアップ排出トレイ、20…処理トレイ、21…後処理部、22…積載トレイ、23…受け入れ部、24…排出部、26…上面、27…背面、30…駆動機構、30a…ピニオン、30b…ラック、31…リニアガイド、33…ベース部、34…駆動機構、34a…ピニオン、34b…ラック、35…リニアガイド、50…制御部、51…記憶部、52…操作部、53…表示部、54…媒体検出センサー、55…受け入れ位置センサー、56…排出位置センサー、57…後処理ユニット駆動モーター、P…媒体
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